JP2013123274A - 組電池の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクティブバランシングによる容量調整を、短い時間で、かつ、高効率で行なうことができる組電池の制御装置を提供すること。
【解決手段】複数のセルを直列に接続してなる組電池の制御装置であって、特定のセルと該特定セルを含む複数のセルから構成されるモジュールとの間および/または複数のセルから構成されるモジュール間で電荷の移動を行なう電荷移動回路と、前記電荷移動回路を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールごとに、現在の充電状態と電荷を入出力した際の電荷移動損失とを考慮した電荷移動量、および電荷の入出力方向を算出する電荷移動量算出手段と、算出した電荷移動量および電荷の入出力方向に基づいて、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールごとに、電荷移動を行なう順番を決定する電荷移動プロセス決定手段と、を有することを特徴とする組電池の制御装置を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数のセルを直列に接続してなる組電池の制御装置であって、特定のセルと該特定セルを含む複数のセルから構成されるモジュールとの間および/または複数のセルから構成されるモジュール間で電荷の移動を行なう電荷移動回路と、前記電荷移動回路を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールごとに、現在の充電状態と電荷を入出力した際の電荷移動損失とを考慮した電荷移動量、および電荷の入出力方向を算出する電荷移動量算出手段と、算出した電荷移動量および電荷の入出力方向に基づいて、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールごとに、電荷移動を行なう順番を決定する電荷移動プロセス決定手段と、を有することを特徴とする組電池の制御装置を提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、組電池の制御装置に関するものである。
複数のセルを直列に接続し、所定数ごとにモジュール化されてなる組電池の容量調整を行なう方法として、組電池を構成する各セル間や各モジュール間で、電荷移動を行なうアクティブバランシングが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
しかしながら、上述した特許文献1に開示されたアクティブバランシングにおいては、以下の課題がある。
すなわち、特許文献1に開示されたアクティブバランシングにおいては、容量ばらつきの計測を行い、計測された容量ばらつきに基づいて、容量調整を行なうものであるため、容量ばらつきを精度良く算出する必要があることから、容量調整のための電荷移動、および各セル間の容量ばらつきの計測を繰り返し行なう必要がある。そのため、電荷移動を行なう際の電荷移動量を小さくした場合には、各セル間の容量ばらつきの計測の頻度が高くなってしまい、結果として、容量調整に要する時間が長くなってしまうという問題がある。特に、各セル間の容量ばらつきの計測を行なう際には、各セルの電圧やSOCを精度良く測定する必要があることから、電荷移動を停止した後、残留電荷による電圧誤差や分極の解消を待ってから、電圧やSOCを測定する必要があり、そのため、容量ばらつきの計測の頻度が高くなると、容量調整のための電荷移動を停止している時間が長くなってしまい、結果として、容量調整に要する時間が長くなってしまうこととなる。
一方で、容量調整のための電荷移動量を大きくした場合には、目標電圧あるいは目標SOC付近で、充電と放電を繰り返すチャタリング現象が発生してしまい、チャタリング現象により、容量調整に要する時間が長くなってしまうという問題がある。特に、このようなチャタリング現象は、各セル間および各モジュール間において同時に、アクティブバランシングによる電荷移動を行なった場合により顕著となる。さらには、各セル間または各モジュール間における電荷移動の効率は100%でないため、チャタリング現象により、容量調整に要する時間が長くなってしまうと、不要に電荷移動を行なうこととなってしまい、これにより電荷移動効率が低下してしまうという問題も生じてしまう。
本発明が解決しようとする課題は、アクティブバランシングによる容量調整を、短い時間で、かつ、高効率で行なうことができる組電池の制御装置を提供することにある。
本発明は、複数のセルを直列に接続してなる組電池において、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールごとに、現在の充電状態と電荷を入出力した際の電荷移動損失とを考慮した電荷移動量、および電荷の入出力方向を算出し、算出した電荷移動量および電荷の入出力方向に基づいて、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールごとに、電荷移動を行なう順番を決定することにより、上記課題を解決する。
本発明によれば、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールごとに、現在の容量および電荷移動損失を考慮して、電荷移動量および電荷の入出力方向を算出し、これに基づいて、電荷移動を行なう順番を決定することができるため、アクティブバランシングによる容量調整を、短い時間で、かつ、高効率で行なうことが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<組電池システムの構成>
図1は、本実施形態に係る組電池システムを示す構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る組電池システムは、複数のセルC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,・・・を直列に接続し、これらが所定数ごとにモジュール化されてなる組電池100、および組電池100を制御するための制御装置10、セルコントローラ20a,20b、モジュールコントローラ30を備えている。
図1は、本実施形態に係る組電池システムを示す構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る組電池システムは、複数のセルC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,・・・を直列に接続し、これらが所定数ごとにモジュール化されてなる組電池100、および組電池100を制御するための制御装置10、セルコントローラ20a,20b、モジュールコントローラ30を備えている。
組電池100は、複数のセルC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,・・からなり、これら複数のセルは、4つのセルを一組としてモジュール化されている。すなわち、セルC1,C2,C3,C4は、モジュールM1としてモジュール化されており、また、セルC5,C6,C7,C8は、モジュールM2としてモジュール化されている。なお、図1においては、4つのセルをモジュール化してなる例を示したが、各モジュールを構成するセルの数は2つでも、また3つでもよいし、あるいは、5つ以上でもよい。また、図1においては、8つのセルC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8のみを代表して示したが、組電池100を構成するセルの数は特に限定されず、適宜設定することができる。
制御装置10は、組電池100を制御するための装置であり、具体的には、制御装置10は、セルコントローラ20a,20b、モジュールコントローラ30に各種指令を送出することで、組電池100を構成するセルおよびモジュール間において、アクティブバランシングによる容量調整を行なう。なお、具体的な容量調整方法は後述する。
セルコントローラ20aは、モジュールM1を構成する各セルC1,C2,C3,C4と、モジュールM1との間でアクティブバランシングによる容量調整を行なうための装置であり、同様に、セルコントローラ20bは、モジュールM2を構成する各セルC5,C6,C7,C8と、モジュールM2との間でアクティブバランシングによる容量調整を行なうための装置であり、これらセルコントローラは、各モジュールに対応して設けられる。すなわち、図1においては、セルコントローラ20a,20bのみを代表して示しているが、本実施形態に係る組電池システムは、組電池100を構成するモジュールの数に応じた数のセルコントローラを備えている。
ここで、セルコントローラ20aを例示すると、セルコントローラ20aは、制御装置10からの指令に基づき、セルバランシング回路200aを制御することで、モジュールM1を構成する各セルC1,C2,C3,C4と、モジュールM1との間で容量調整、すなわち、セルバランシング(セルとモジュールとの間での容量調整)を行なう。セルバランシング回路200aは、図1に示すように、スイッチS1〜S8、ダイオードD1、およびトランスT1を備えている。
以下、セルコントローラ20aにより実行されるセルバランシングについて説明する。たとえば、モジュールM1を構成するセルC2から、モジュールM1へと放電する場合には、図2に示すように、スイッチS2,S3,S6,S7が閉とされ、スイッチS8を開閉制御することにより、セルC2が放電し、セルC2の放電により出力された電荷が、トランスT1を介して、モジュールM1を充電するための電荷に変換され、これにより、モジュールM1(モジュールM1を構成する全てのセルC1〜C4)が充電されることとなる。ここで、セルC2の電圧をVcell_2とし、セルC2からの放電電流をIcell_2とし、モジュールM1全体の電圧をVmodule_1とし、モジュールM1の充電電流をImodule_1とし、充電方向に電流が流れる場合をプラスとし、逆に、放電方向に電流が流れる場合をマイナスとした場合に、下記式(1)の関係が成り立つこととなる。
η×Vcell_2×Icell_2=−Vmodule_1×Imodule_1 (1)
なお、ηは、トランスT1の電荷移動効率を示す。
η×Vcell_2×Icell_2=−Vmodule_1×Imodule_1 (1)
なお、ηは、トランスT1の電荷移動効率を示す。
あるいは、これとは逆に、モジュールM1を構成するセルC2に、モジュールM1から充電する場合には、図3に示すように、スイッチS2,S3,S6,S7を閉とし、スイッチS8を開閉制御することにより、モジュールM1から出力された電荷が、トランスT1を介して、セルC2に充電されることとなり、この場合には、下記式(2)の関係が成り立つこととなる。
Vcell_2×Icell_2=−η×Vmodule_1×Imodule_1 (2)
Vcell_2×Icell_2=−η×Vmodule_1×Imodule_1 (2)
このように、本実施形態では、セルコントローラ20aによって、スイッチS2,S3,S6,S7を閉とし、スイッチS8を開閉制御させることにより、モジュールM1を構成するセルC2からモジュールM1へ、あるいは、モジュールM1からセルC2へ電荷を移動させることができる。本実施形態では、このようにしてセルバランシングを実行する。
なお、セルバランシング回路200aを構成する各スイッチのうち、スイッチS1〜S5は、セルバランシングを実行するためのスイッチに該当する。そのため、図2、図3に示すように、セルC2とモジュールM1との間でセルバランシングを実行する場合には、スイッチS2,S3を閉としたが、たとえば、セルC1とモジュールM1との間でセルバランシングを実行する場合には、スイッチS1,S2を閉とすればよい。同様に、セルC3の場合には、スイッチS3,S4を閉とし、また、セルC4の場合には、スイッチS4,S5を閉とすればよい。また、スイッチS6,S7は電荷移動方向を制御するためのスイッチであり、図2、図3に示すように、所望の電荷方向に応じてスイッチS6,S7を制御することにより、各セルC1〜C4からモジュールM1へと放電したり、逆に、モジュールM1から各セルC1〜C4に充電することができるようになっている。さらに、スイッチS8は、開閉制御することにより、トランスT1を介して、電荷移動を行なう際に用いられるスイッチである。
また、同様に、セルコントローラ20bは、セルバランシング回路200bを制御することで、モジュールM2を構成する各セルC5,C6,C7,C8と、モジュールM2との間で容量調整、すなわち、セルバランシングを行なうための装置であり、セルバランシング回路200bは、上述したモジュールM1に対応するセルバランシング回路200aと同様に、スイッチS11〜S18、ダイオードD2、およびトランスT2を備えている。そして、上記と同様にして、セルコントローラ20bによって、セルバランシング回路200bを構成するスイッチS11〜S18を制御することにより、モジュールM2を構成する各セルC5〜C8と、モジュールM2との間で電荷を移動させるセルバランシングが実行されるようになっている。
モジュールコントローラ30は、モジュールM1,M2間でアクティブバランシングによる容量調整を行なうための装置であり、モジュールコントローラ30は、制御装置10からの指令に基づき、モジュールバランシング回路300を制御することで、モジュールM1と、モジュールM2と間で容量調整、すなわち、モジュールバランシング(モジュール間での容量調整)を行なう。なお、モジュールバランシング回路300は、図1に示すように、スイッチS21〜S24、トランスT3,T4を備えている。
モジュールコントローラ30による、モジュールM1と、モジュールM2との間における容量調整方法、すなわち、モジュールバランシングの方法としては、上述したセルコントローラ20a,20bによるセルバランシングと同様であり、その具体的な容量調整方法としては以下の通りである。
すなわち、モジュールM1(すなわち、モジュールM1を構成する全てのセルC1〜C4)から、モジュールM2(すなわち、モジュールM2を構成する全てのセルC5〜C8)へと放電し、モジュールM1からモジュールM2へと電荷を移動させる場合には、たとえば、スイッチS22,S23,S24を閉とし、ジュールM1に対応するスイッチS21を開閉制御することにより、モジュールM1からモジュールM2へと電荷の移動が行なわれる。あるいは、これとは逆に、モジュールM2からモジュールM1へと放電し、モジュールM2からモジュールM1へと電荷を移動させる場合には、たとえば、スイッチS21,S22,S24を閉とし、モジュールM2に対応するスイッチS23を開閉制御することにより、モジュールM2からモジュールM1へと電荷の移動が行なわれる。なお、図1においては、2つのモジュールM1,M2のみを例示して示したが、モジュールM1と、組電池100を構成するモジュールM2以外のモジュールとの間で電荷移動を行なう場合にも、同様の方法にて実行することができる。もちろん、モジュールM2と、組電池100を構成するモジュールM1以外のモジュールとの間で電荷移動、さらには、モジュールM1,M2以外のモジュール同士での電荷移動を行なう場合にも、同様の方法にて実行することができる。
このように、本実施形態の組電池システムは、セルバランシング回路200a,200bおよびモジュールバランシング回路300を備え、これにより、各モジュールを構成するセルと、モジュール間の容量調整を行なうセルバランシングと、各モジュール間の容量調整を行なうモジュールバランシングとを実行できるものである。
ここで、図1に示す組電池システムにおいて、アクティブバランシングによる容量調整を行なう方法としては、次の3つの態様が挙げられる。すなわち、(A)セルバランシングのみを行なう方法、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法、の3つの態様が挙げられる。
そして、たとえば、図4(A)〜図4(C)に示すように、容量調整前の状態において、各モジュールを構成する各セル間のSOCがばらついており、さらには、各モジュール間のSOC(モジュールを構成する全てのセルの最大容量の合計に対する、モジュールを構成する全てのセルの現在の容量の合計の割合)もばらついている場合を考えると、まず、図4(A)に示すように、(A)セルバランシングのみを行なう方法においては、各モジュールを構成する、セル間のSOCは均等となるものの、各モジュール間のSOCは、ばらついたままとなってしまう。
また、図4(B)に示すように、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法においては、各モジュール間のSOCは均等となるものの、各セル間のSOCは、ばらついたままとなってしまう。
これに対し、図4(C)に示すように、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法においては、セル間のSOCおよび各モジュール間のSOCのいずれも均等なものとすることができる。
なお、本実施形態においては、上記(A)の方法を実行した後、上記(B)の方法を実行することにより、あるいはその逆の順番でこれらの方法を実行することにより、上記(C)の方法と同様に、セル間のSOCおよび各モジュール間のSOCのいずれも均等なものとすることが可能となる。しかしその一方で、上記(C)の方法によれば、上記(A)の方法を実行した後、上記(B)の方法を実行した場合と比較して、容量調整時間を短縮化することが可能となるため、望ましい。
そのため、本実施形態では、まず、組電池100を構成する各セルC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,・・・のSOCを算出し、算出した各セルのSOCに基づいて、(A)セルバランシングのみを行なう方法、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法のいずれを選択すべきかの判定を行なう。図5に、アクティブバランシング方法の選択方法を説明するためのフローチャートを示す。
まず、ステップS1では、制御装置10により、組電池100を構成する全てのセルC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,・・・のSOCを算出する処理が実行される。なお、各セルのSOCの算出方法としては、特に限定されず、公知のSOC算出方法(セルの開路電圧とSOCとの関係に基づいて、SOCを算出する方法等)を制限なく用いることができる。
ステップS2では、制御装置10により、組電池100を構成する全てのモジュールについて、下記式(3)にしたがい、各モジュールを構成する全てのセルのうち、SOCが最大のセルと、SOCが最小のセルとのSOCの差Ajを算出する処理が行なわれる。
(なお、上記式(3)中、SOCiは、j番目のモジュールのi番目のセルのSOCを表し、nMjは、j番目のモジュールを構成するセルの数を表し、Ajは、j番目のモジュールにおける、SOCが最大のセルと、SOCが最小のセルとのSOCの差を表す。)
次いで、ステップS3では、制御装置10により、下記式(4)にしたがい、組電池100を構成する全てのモジュールのうち、SOCが最大のモジュールと、SOCが最小のモジュールとのSOCの差Bを算出する処理が行なわれる。なお、本実施形態においては、たとえば、モジュールを構成する各セルのSOCの平均値を、モジュールのSOCとすることができる。
(なお、上記式(4)中、SOCMjは、j番目のモジュールのSOCを表し、mは、組電池100を構成するモジュールの数を表し、Bは、SOCが最大のモジュールと、SOCが最小のモジュールとのSOCの差を表す。)
次いで、ステップS4では、ステップS3で算出したSOCが最大のモジュールと、SOCが最小のモジュールとのSOC差Bが、所定の閾値δ以上であるか否かの判定が行なわれる。SOC差Bが、所定の閾値δ以上である場合には、モジュールバランシングを行なう必要があると判定し、ステップS5に進む。一方、SOC差Bが、所定の閾値δ未満である場合には、モジュールバランシングを行なう必要がないと判断して、ステップS8に進む。なお、所定の閾値δとしては、モジュール間のSOC差が容量調整が必要な程度に広がっていると判断できるような値に設定することができる。
ステップS4において、SOC差Bが、所定の閾値δ以上であると判断された場合には、ステップ5に進み、ステップS5では、ステップS2において各モジュールごとに算出された、SOCが最大のセルと、SOCが最小のセルとのSOCの差Ajについて、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上となったモジュールが存在したか否かの判定が行なわれる。なお、所定の閾値εとしては、同一のモジュールを構成するセル間のSOC差が容量調整が必要な程度に広がっていると判断できるような値に設定することができる。そして、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上となったモジュールが存在した場合には、セルバランシングを行う必要があると判断して、ステップS6に進み、ステップS6において、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法が選択される。なお、この場合においては、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上となったモジュールについてのみ、セルバランシングが実行されることとなる。一方、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上となったモジュールが存在しかなった場合には、ステップS7に進み、ステップS7において、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法が選択される。
あるいは、ステップS4において、SOC差Bが、所定の閾値δ未満であると判断された場合には、ステップ8に進み、ステップS8においても、上述したステップS5と同様に、ステップS2において各モジュールごとに算出された、SOCが最大のセルと、SOCが最小のセルとのSOCの差Ajについて、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上となったモジュールが存在したか否かの判定が行なわれる。SOC差Ajが、所定の閾値ε以上となったモジュールが存在した場合には、セルバランシングを行う必要があると判断して、ステップS9に進み、ステップS9において、(A)セルバランシングのみを行なう方法が選択される。なお、この場合においては、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上となったモジュールについてのみ、セルバランシングが実行されることとなる。一方、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上となったモジュールが存在しかなった場合には、ステップS10に進み、ステップS10において、容量調整を行なわないと決定される。
本実施形態では、以上のようにして、(A)セルバランシングのみを行なう方法、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法の選択、あるいは、容量調整を行なわないとの決定がなされる。以下においては、各方法により容量調整を行なう場合における具体的な方法について説明する。
なお、図5に示す例においては、各セルのSOCを算出し、SOC差Aj、SOC差Bを求め、これに基づき、容量調整を行なう方法を選択する態様を例示したが、各セルの端子電圧の値に基づいて、容量調整を行なう方法を選択するような態様としてもよい。
<(A)セルバランシングのみを行なう方法>
まず、(A)セルバランシングのみを行なう方法における、具体的な容量調整方法について説明する。(A)セルバランシングのみを行なう方法は、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理において、セルバランシングのみを行なうと判定された場合(ステップS9)に実行される。まず、(A)セルバランシングのみを行なう方法においては、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理におけるステップS8において、SOCが最大のセルと、SOCが最小のセルとのSOCの差Ajについて、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上であると判定されたモジュールを特定する処理を実行し、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上であると判定されたモジュールについてセルバランシングを行なうことを決定する。
まず、(A)セルバランシングのみを行なう方法における、具体的な容量調整方法について説明する。(A)セルバランシングのみを行なう方法は、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理において、セルバランシングのみを行なうと判定された場合(ステップS9)に実行される。まず、(A)セルバランシングのみを行なう方法においては、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理におけるステップS8において、SOCが最大のセルと、SOCが最小のセルとのSOCの差Ajについて、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上であると判定されたモジュールを特定する処理を実行し、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上であると判定されたモジュールについてセルバランシングを行なうことを決定する。
なお、本実施形態に係るセルバランシングは、上述したように、セルバランシングの対象となるモジュールを構成する各セルと、モジュールとの間において電荷移動を行ない、これにより、モジュール内にて容量調整を行なう方法である。ここで、図6に、本実施形態に係るセルバランシングを示す模式図を示す。なお、図6中においては、組電池100を構成するモジュールのうち、j番目のモジュールであるモジュール#jにおいて行なわれるセルバランシングを模式的に示している。そして、図6に示すように、以下においては、モジュール#jを構成する1番目のセル#1に、モジュール#jから移動する電荷量をy1とし、i番目(i=1〜nMj、ただし、nMjは、j番目のモジュールのセル数)のセル#iに、モジュール#jから移動する電荷量をyiとし、nMj番目のセル#nMjに、モジュール#jから移動する電荷量をynMjとする。
ここで、モジュール#jを構成するセル#iと、モジュール#jとの間における電荷移動を行なう場合について考える。なお、以下においては、図7に示すように、モジュール#jからセル#iに移動する電荷量をyiとし、電荷移動効率をηi(ηi<1)とし、電荷移動前のモジュール#jの容量をQMjとし、電荷移動前のセル#iの容量をQiとする。そして、電荷量yiの符号を、モジュール#jからセル#iに放電が行なわれる場合にプラスと定義し、逆に、セル#iからモジュール#jに放電が行なわれる場合にマイナスと定義した場合に、以下の関係が成り立つこととなる。
すなわち、yi>0である場合には、モジュール#jからセル#iに電荷の移動が行なわれ、この場合には、モジュール#jから出力される電荷の電荷量はyiとなり、これに対し、セル#iが受け取る電荷の電荷量はηi×yiとなる。一方、yi<0である場合には、セル#iからモジュール#jに電荷の移動が行なわれ、この場合には、セル#iから出力される電荷の電荷量は、1/ηi×|yi|となり、これに対し、モジュール#jが受け取る電荷の電荷量は|yi|となる。そのため、この場合には、下記式(5)の関係が成り立つこととなる。
(なお、上記式(5)において、QMj’ は、電荷移動後のモジュール#jの容量を表し、Qi’は、電荷移動後のセル#iの容量を表す。)
そのため、セル#i、およびモジュール#jにおける、セルバランシングにより入出力される電荷量と、セルバランシング後の充電量(SOC)x(x=0〜1)との関係は、下記式(6)により示すことができる。
(上記式(6)において、
iは、1〜nMj(ただし、nMjは、j番目のモジュールのセル数)の整数を表し、
SOCiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、j番目のモジュールのi番目のセルの最大容量を表し、
ki・yiは、j番目のモジュールのi番目のセルに出入りする電荷量を表し、
SOCMjは、j番目のモジュールの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
ηiは、j番目のモジュールのi番目のセルに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表す。)
iは、1〜nMj(ただし、nMjは、j番目のモジュールのセル数)の整数を表し、
SOCiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、j番目のモジュールのi番目のセルの最大容量を表し、
ki・yiは、j番目のモジュールのi番目のセルに出入りする電荷量を表し、
SOCMjは、j番目のモジュールの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
ηiは、j番目のモジュールのi番目のセルに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表す。)
なお、上記式(6)において、Qi、Qi,max、kiは既知のパラメータ(あるいは、既知のパラメータより導出可能なパラメータ)となり、一方、x、yiは未知のパラメータとなる。すなわち、セルバランシングを行なうモジュールのセル数nMjに対して、nMj+1個の未知パラメータ(y1,y2,・・・,ynMj−1,ynMj,x)が存在することとなる。
そのため、本実施形態では、下記式(7)に示すように、セルバランシングを行うnMj個の各セルのそれぞれ、およびセルバランシングを行なうモジュールについて、上記式(6)に対応する式をたてることができ、この下記式(7)をマトリックス化して示すと下記式(8)となる。なお、本実施形態においては、セルバランシングを行なうことにより、セルバランシング後の全てのセルは充電量(SOC)が等しくなると考えることができるため、下記式(7)において、セルバランシング後の充電量(SOC)を示すx(x=0〜1)の値は、セルバランシングを行うnMj個の全てのセル、およびこれらのセルから構成されるモジュールにおいて、等しい値とすることができる。
そして、本実施形態では、上記式(8)に示すマトリックスにおいて、xの値およびyi(y1,y2,・・・,ynMj−1,ynMj)の値を演算することにより、セルバランシング時の目標充電量(xの値)、および各セルとモジュールとの間の電荷移動量(yiの値)を算出することができる。しかしその一方で、上記式(8)に示すマトリックスにおいて、kiの値については、yiの値がプラスであるのか、あるいはマイナスの値であるのかでその値が変化するため、上記式(8)に示すマトリックスから、直接xの値およびyiの値を演算することはできない。すなわち、yiの値がプラスの場合には、kiの値はηiとなり、yiの値がマイナスの場合には、kiの値は1/ηiとなるため(上記式(6)参照)、上記式(8)に示すマトリックスから、直接xの値およびyiの値を演算することはできない。
そのため、本実施形態では、以下に説明する仮設演算処理を行なうことで、上記式(8)に示すマトリックスから、xの値およびyiの値を演算し、これにより、セルバランシング時の目標充電量(xの値)、および各セルとモジュールとの間の電荷移動量(yiの値)に加えて、電荷移動方向(yiの値がプラスであるかマイナスであるか、およびkiの値がηiであるか1/ηiであるか)を演算する。ここで、図8は、セルバランシング時における仮設演算処理を示すフローチャートである。なお、以下に説明する仮設演算処理は、制御装置10により実行される。
まず、ステップS101では、上記式(8)に示すマトリックスにおいて、全てのkiの値(すなわち、k1,k2,・・・,knMj−1,knMjの全ての値)をki=ηiに設定する。すなわち、ステップS1では、セルバランシングを行なうモジュールを構成する全てのセルの電荷移動方向を、モジュールからセルに移動する方向となるように、kiの値をki=ηiに仮に設定する。
次いで、ステップS102では、ステップS101または後述するステップS105において仮に設定されたkiの値に基づいて、上記式(8)に示すΓCのマトリックスの構築を行なう。
次いで、ステップS103では、ステップS102で構築したΓCのマトリックスに基づいて、上記式(8)から導出される下記式(9)に基づいて、ΘCの値、すなわち、xの値およびyi(y1,y2,・・・,ynMj−1,ynMj)の値を演算し、得られたxの値およびyiの値を、容量調整後のSOCおよび各セル間の電荷移動量として、仮に設定する。
次いで、ステップS104では、ステップS103において仮に設定されたyiの値、さらに、ステップS101または後述するステップS105において仮に設定されたkiの値に基づき、全てのki(i=1〜nMj)およびこれに対応するyi(i=1〜nMj)について、「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足しているか否かの判定が行なわれる。
判定の結果、全てのkiおよびこれに対応するyiのうち、少なくとも一部が「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足しない場合には、ステップS105に進み、ステップS105において、全てのki(i=1〜n)のうち、「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足しなかったkiを、ki=1/kiとし、ステップS102に戻る。すなわち、ki=ηiに設定されていた場合にはki=1/ηiに仮に設定し、ki=1/ηiに設定されていた場合にはki=ηiに仮に設定する。そして、再度、仮に設定したkiに基づいて、Γcのマトリックスの構築を実行し(ステップS102)、上記式(9)に基づいて、Θcの値の演算を行い(ステップS103)、「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足したか否かの判定を行なう(ステップS104)。
そして、本実施形態では、最終的に、全てのkiおよびこれに対応するyiが「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足するまで、ステップS102〜S105の動作を、kiの値を、ki=1/kiに従って変化させながら、繰り返し実行する。そして、全てのkiおよびこれに対応するyiが「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足した場合には、セルバランシング時の目標充電量(xの値)、各セル間の電荷移動量(yiの値)、および電荷移動方向(yiの値がプラスであるかマイナスであるか、およびkiの値がηiであるか1/ηiであるか)を決定できたと判断し、ステップS106に進む。次いで、ステップS6では、得られたyiの値より、下記式(10)に従って、各セルの容量調整時間の算出を行なう。
(上記式(10)中、tiは、セルバランシングを行なうセルのうち、i番目のセルの容量調整時間(単位は、秒)を表し、Ibalは、容量調整電流(単位は、A)を表す。)
以上のようにして、セルバランシングを行なう際における、電荷移動方向(yiの値がプラスであるかマイナスであるか)、および各セルの電荷移動量yi、ならびに容量調整時間tiが決定される。
次いで、制御装置10は、上記方法により決定した電荷移動方向(yiの値がプラスであるかマイナスであるか)、および各セルの電荷移動量yiに基づいて、セルバランシングを行なう際における、セルバランシングを行なうセルの順序を決定する処理を行なう。具体的には、制御装置10は、セルバランシングの効率化という点より、電荷移動量yiの絶対値が最も大きなセルから順に容量調整を行なうように決定することができる。この場合において、セルバランシングを行なうモジュールが複数存在する場合には、各モジュールごとに独立して、セルバランシングを行なうセルの順序を決定し、各モジュールごとに独立して、同時にセルバランシングを行なうことができる。また、本実施形態においては、セルバランシングの効率をより高めるために、次の方法により、セルバランシングを行なうセルの順序を決定してもよい。
すなわち、まず、組電池100が放電中である場合には、最もSOCが低く、そのため、最も多くの電荷量を充電する必要があるセルから容量調整を行なうような構成とすることができる。たとえば、図9に示すように、モジュールを構成するセル数が6であり、6つのセル#1〜#6の電荷移動方向および電荷移動量が同図の関係にある場合には、図10に示すように、最も多くの電荷量を充電する必要があるセルであるセル#2から順に、セル#5、セル#6、セル#4、セル#1、セル#3の順番で容量調整を行なうような構成とすることができる。特に、組電池100が放電中である場合に、最もSOCが低く、そのため、最も多くの電荷量を充電する必要があるセルから容量調整を行なうことで、組電池100を構成するモジュールの放電電流の一部を、充電が必要となる電池の供給することができるため、セルバランシングおよび組電池100の放電をより効率的に行なうことができる。
あるいは、これとは逆に、組電池100が充電中である場合には、最もSOCが高く、そのため、最も多くの電荷量を放電する必要があるセルから容量調整を行なうような構成とすることができる。たとえば、図9に示すように、モジュールを構成するセル数が6であり、6つのセル#1〜#6の電荷移動方向および電荷移動量が同図の関係にある場合には、図11に示すように、最も多くの電荷量を放電する必要があるセルであるセル#1から順に、セル#3、セル#2、セル#5、セル#6、セル#4の順番で容量調整を行なうような構成とすることができる。特に、組電池100が充電中である場合に、最もSOCが高く、そのため、最も多くの電荷量を放電する必要があるセルから容量調整を行なうことで、放電が必要となるセルからの充電電流を、組電池100を構成するモジュールの充電電流の一部として用いることができるため、セルバランシングおよび組電池100の充電をより効率的に行なうことができる。
また、本実施形態では、セルバランシングを行なうセルの順序を決定する際に、電荷移動量yiに代えて、容量調整時間tiを用いるような構成としてもよい。
そして、制御装置10は、上記方法にしたがって算出された電荷移動方向(yiの値がプラスであるかマイナスであるか)、および各セルの電荷移動量yi(あるいは、容量調整時間ti)の情報、ならびに、セルバランシングを行なうセルの順序の情報を、各セルコントローラ(たとえば、図1に示すセルコントローラ20a,20b)に送信し、各セルコントローラにセルバランシング回路(たとば、セルバランシング回路200a,200b)の制御を行なわせることで、各セル間で電荷を移動させることにより容量調整を行なうセルバランシングが実行される。
また、この場合において、電荷移動を行なうセルのうち、一部のセルについてその温度が予め定められた所定値以上であることが検出された場合には、該セルが高温となってしまい劣化等してしまうことを避けるため、このような場合には、上述した方法により決定したセルバランシングの順序にかかわらず、温度が予め定められた所定値以上であると検出されたセルについては、セルバランシングを実行する順序が到来した場合でも、セルバランシングを実行せず、温度が予め定められた所定値未満となった際に、セルバランシングを実行するような構成としてもよい。なお、セルの温度は、たとえば、セル近傍に設置された温度センサ等により検出することができる。
あるいは、セルバランシングを実行しているセルについて、セルバランシングによる電荷の移動により、予め定められた過充電電圧または過充電電圧に到達したことが検出された場合には、当該セルについてセルバランシングを中止し、次にセルバランシングを行なうことが決定されているセルについて、先にセルバランシングを行なうような構成としてもよい。
<(B)モジュールバランシングのみを行なう方法>
次いで、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法における、具体的な容量調整方法について説明する。(B)モジュールバランシングのみを行なう方法は、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理において、モジュールバランシングのみを行なうと判定された場合(ステップS7)に実行される。本実施形態に係るモジュールバランシングは、上述したように、モジュールバランシングの対象となるモジュール間において電荷移動を行ない、これにより、モジュール間にて容量調整を行なう方法である。
次いで、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法における、具体的な容量調整方法について説明する。(B)モジュールバランシングのみを行なう方法は、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理において、モジュールバランシングのみを行なうと判定された場合(ステップS7)に実行される。本実施形態に係るモジュールバランシングは、上述したように、モジュールバランシングの対象となるモジュール間において電荷移動を行ない、これにより、モジュール間にて容量調整を行なう方法である。
ここで、図12に、本実施形態に係るモジュールバランシングを示す模式図を示す。図12に示すように、以下においては、組電池100を構成する1番目のモジュール#1に、モジュールバランシング回路から移動する電荷量をz1とし、j番目(j=1〜m、ただし、mは、組電池100を構成するモジュールの数)のモジュール#jに、モジュールバランシング回路から移動する電荷量をzjとし、m番目のモジュール#mに、モジュールバランシング回路から移動する電荷量をzmとする。
そして、モジュールバランシングにおいても、上述したセルバランシングと同様に、モジュール#j、および組電池100全体における、モジュールバランシングにより入出力される電荷量と、セルバランシング後の充電量(SOC)x(x=0〜1)との関係は、下記式(11)により示すことができる。
(上記式(11)において、
SOCMjは、j番目のモジュールの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、j番目のモジュールのi番目のセルの最大容量を表し、
nMjは、j番目のモジュールを構成するセルの数を表し、
nMj・pj・zjは、j番目のモジュールに出入りする電荷量を表し、
SOCpackは、組電池の電荷移動を行なった後のSOCを表し、
nは、組電池を構成するセルの総数を表し、
mは、組電池を構成するモジュールの総数を表し、
ηMjは、j番目のモジュールに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表す。)
SOCMjは、j番目のモジュールの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、j番目のモジュールのi番目のセルの最大容量を表し、
nMjは、j番目のモジュールを構成するセルの数を表し、
nMj・pj・zjは、j番目のモジュールに出入りする電荷量を表し、
SOCpackは、組電池の電荷移動を行なった後のSOCを表し、
nは、組電池を構成するセルの総数を表し、
mは、組電池を構成するモジュールの総数を表し、
ηMjは、j番目のモジュールに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表す。)
そして、上記式(11)においても、上記式(6)と同様に、Qi、Qi,max、pjは既知のパラメータ(あるいは、既知のパラメータより導出可能なパラメータ)となり、一方、x、zjは未知のパラメータとなる。すなわち、モジュールバランシングを行うモジュールの数をmとした場合には、m+1個の未知パラメータ(z1,z2,・・・,zm−1,zm,x)が存在することとなる。
そのため、セルバランシングの場合と同様に、上記式(11)を、モジュールバランシングを行なうm個の各モジュールについて、マトリックス化して示すと下記式(12)が得られることとなる。なお、モジュールバランシングにおいても、上述したセルバランシングと同様に、モジュールバランシング後の全てのモジュールは充電量(SOC)が等しくなると考えることができるため、上記式(12)において、モジュールバランシング後の充電量(SOC)を示すx(x=0〜1)の値は、モジュールバランシングを行うm個の全てのモジュール、および組電池100全体において等しい値とすることができる。
そして、モジュールバランシングにおいても、上述したセルバランシングと同様に、以下に説明する仮設演算処理を行なうことで、上記式(12)に示すマトリックスから、xの値およびzjの値を演算し、これにより、モジュールバランシング時の目標充電量(xの値)、および各モジュール間の電荷移動量(zjの値)に加えて、電荷移動方向(zjの値がプラスであるかマイナスであるか、およびpjの値がηMjであるか1/ηMjであるか)を演算する。ここで、図13は、モジュールバランシング時における仮設演算処理を示すフローチャートである。なお、以下に説明する仮設演算処理は、制御装置10により実行される。
まず、ステップS201では、上述したセルバランシングと同様に、上記式(12)に示すマトリックスにおいて、全てのpjの値(すなわち、p1,p2,・・・,pm−1,pmの全ての値)をpj=ηMjに仮に設定する。そして、ステップS202では、ステップS201または後述するステップS205において仮に設定されたpjの値に基づいて、上記式(12)に示すΓMのマトリックスの構築を行なう。
次いで、ステップS203では、ステップS202で構築したΓMのマトリックスに基づいて、上記式(12)から導出される下記式(13)に基づいて、ΘMの値を演算し、得られたxの値およびpjの値を、容量調整後のSOCおよび各モジュール間の電荷移動量として、仮に設定する。
次いで、ステップS204では、ステップS203において仮に設定されたzjの値、さらに、ステップS201または後述するステップS205において仮に設定されたpjの値に基づき、全てのpj(j=1〜m)およびこれに対応するzj(j=1〜m)について、「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足しているか否かの判定が行なわれる。
判定の結果、全てのpjおよびこれに対応するzjのうち、少なくとも一部が「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足しない場合には、ステップS205に進み、ステップS205において、全てのpj(j=1〜m)のうち、「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足しなかったpjを、pj=1/pjに仮に設定し、ステップS202に戻る。そして、再度、仮に設定したpjに基づいて、ΓMのマトリックスの構築を実行し(ステップS202)、上記式(13)に基づいて、ΘMの値の演算を行い(ステップS203)、このような処理を、全てのpjおよびこれに対応するzjが、「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足するまで(ステップS204=Yes)、繰り返し実行する。
そして、全てのpjおよびこれに対応するzjが「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足した場合には、モジュールバランシング時の目標充電量(xの値)、各モジュール間の電荷移動量(zjの値)、および電荷移動方向(zjの値がプラスであるかマイナスであるか、およびpjの値がηMjであるか1/ηMjであるか)を決定できたと判断し、ステップS206に進み、得られたzjの値より、下記式(14)に従って、各モジュールの容量調整時間の算出を行なう。
(上記式(14)中、tMjは、モジュールバランシングを行なうモジュールのうち、j番目のモジュールの容量調整時間(単位は、秒)、Ibalは、容量調整電流(単位は、A))
以上のようにして、モジュールバランシングを行なう際における、電荷移動方向(zjの値がプラスであるかマイナスであるか)、および各モジュールの電荷移動量zj、ならびに容量調整時間tMjが決定される。
次いで、制御装置10は、上記方法により決定した電荷移動方向(zjの値がプラスであるかマイナスであるか)、および各セルの電荷移動量zjに基づいて、モジュールバランシングを行なう際における、モジュールバランシングを行なうモジュールの順序を決定する処理を行なう。以下、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法において、モジュールバランシングを行なうモジュールの順序を決定する方法について、説明する。
たとえば、図14に示すように、組電池100が、8つのモジュールM#1〜M#8で構成されており、各モジュールM#1〜M#8の電荷移動方向および電荷移動量が同図の関係にある場合を例示する。そして、この場合においては、たとえば、下記式(15)および図15に示すように、モジュールナンバーの小さい方から順に一対のモジュールを選択し、選択した一対のモジュール間でモジュールバランシングを実行することができる。
この場合においては、それぞれ、M#1からM#2への電荷の移動(q1)が行なわれ、次いで、M#1からM#4への電荷の移動(q2)、M#1からM#5への電荷の移動(q3)、M#3からM#5への電荷の移動(q4)、M#3からM#6への電荷の移動(q5)、M#3からM#7への電荷の移動(q6)、M#8からM#7への電荷の移動(q7)が順に実行される。
あるいは、上記に代えて、モジュールバランシングを行なうモジュールを切替える回数を少なくするために、下記式(16)および図16に示すように、電荷移動量の大きなモジュールから順に、モジュールバランシングを実行するような構成としてもよい。下記式(16)および図16に示す方法によれば、上記式(15)および図15に示す方法と比較して、モジュールバランシングを行なうモジュールを切替える回数を少なくすることが可能となる。
さらに、上記式(16)および図16に示す方法において、下記式(17)および図17に示すように、モジュールバランシングを行なう際の電荷移動量が多い順に、モジュールバランスを行なうような構成としてもよい。このような方法によれば、電荷移動量が多いプロセスを優先して実行することができ、結果として、最終的な目標SOCからより離れたSOCを有するモジュールから優先して容量調整を行なうことが可能となるため、組電池100が充電または放電されることにより、最終的な目標SOCからより離れたSOCを有するモジュールが、下限閾値および上限閾値に到達してしまうことを有効に防止することができる。
なお、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法においても、上記した方法に代えて、上述した(A)セルバランシングのみを行なう方法と同様に、組電池100の放電中には、最もSOCが低く、そのため、最も多くの電荷量を充電する必要があるモジュールから順に容量調整を行ない、組電池100の充電中には、最もSOCが高く、そのため、最も多くの電荷量を放電する必要があるモジュールから順に容量調整を行なうような構成としてもよい。
また、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法においても、モジュールバランシングを行なうモジュールの順序を決定する際に、電荷移動量zjに代えて、容量調整時間tMjを用いるような構成としてもよい。
そして、制御装置10は、上記方法にしたがって算出された電荷移動方向(zjの値がプラスであるかマイナスであるか)、および各モジュールの電荷移動量zj(あるいは、容量調整時間tMj)の情報、ならびに、モジュールバランシングを行なうモジュールの順番を、各モジュールコントローラ(たとえば、図1に示すモジュールコントローラ30)に送信し、各モジュールコントローラにモジュールバランシング回路(たとば、モジュールバランシング回路300)の制御を行なわせることで、各モジュール間で電荷を移動させることにより容量調整を行なうモジュールバランシングが実行される。
また、この場合において、組電池100を構成するモジュールのうち、一部のモジュールについてその温度が予め定められた所定値以上であることが検出された場合には、該モジュールを構成する各セルが高温となってしまい劣化等してしまうことを避けるため、このような場合には、上述した方法により決定したモジュールバランシングの順序にかかわらず、温度が予め定められた所定値以上であると検出されたモジュールについては、モジュールバランシングを実行する順序が到来した場合でも、モジュールバランシングを実行せず、温度が予め定められた所定値未満となった際にモジュールバランシングを実行するような構成としてもよい。なお、モジュールの温度は、たとえば、モジュール近傍に設置された温度センサ等により検出することができる。
あるいは、モジュールバランシングを実行しているモジュールについて、モジュールバランシングによる電荷の移動により、予め定められた過充電電圧または過充電電圧に到達したことが検出された場合には、当該モジュールについてモジュールバランシングを中止し、次にモジュールバランシングを行なうことが決定されているモジュールについて、先にモジュールバランシングを行なうような構成としてもよい。
<(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法>
次いで、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法における、具体的な容量調整方法について説明する。(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法は、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理において、セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なうと判定された場合(ステップS6)に実行される。本実施形態に係るセルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法は、上述したように、セルバランシングの対象となるモジュールについて、該モジュールを構成するセルとモジュールとの間において電荷移動を行ない、これによりモジュールを構成する各セルの容量調整を行なうセルバランシングを実行し、かつ、これと同時に、モジュールバランシングの対象となるモジュール間において電荷移動を行ない、これにより、モジュール間にて容量調整を行なう方法である。なお、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法においても、上述した(A)セルバランシングのみを行なう方法と同様に、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理におけるステップS5において、SOCが最大のセルと、SOCが最小のセルとのSOCの差Ajについて、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上であると判定されたモジュールを特定し、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上であると判定されたモジュールについてセルバランシングを行なうことを決定する処理が行なわれる。なお、以下においては、セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法を、セル−モジュールバランシングとする。
次いで、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法における、具体的な容量調整方法について説明する。(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法は、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理において、セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なうと判定された場合(ステップS6)に実行される。本実施形態に係るセルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法は、上述したように、セルバランシングの対象となるモジュールについて、該モジュールを構成するセルとモジュールとの間において電荷移動を行ない、これによりモジュールを構成する各セルの容量調整を行なうセルバランシングを実行し、かつ、これと同時に、モジュールバランシングの対象となるモジュール間において電荷移動を行ない、これにより、モジュール間にて容量調整を行なう方法である。なお、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法においても、上述した(A)セルバランシングのみを行なう方法と同様に、図5に示すアクティブバランシング方法を決定する処理におけるステップS5において、SOCが最大のセルと、SOCが最小のセルとのSOCの差Ajについて、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上であると判定されたモジュールを特定し、SOC差Ajが、所定の閾値ε以上であると判定されたモジュールについてセルバランシングを行なうことを決定する処理が行なわれる。なお、以下においては、セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法を、セル−モジュールバランシングとする。
ここで、図18に、本実施形態に係るセル−モジュールバランシングを示す模式図を示す。図18に示すように、以下においては、組電池100を構成する1番目のモジュール#1に、モジュールバランシング回路から移動する電荷量をz1とし、j番目(j=1〜m、ただし、mは、組電池100を構成するモジュールの数)のモジュール#jに、モジュールバランシング回路から移動する電荷量をzjとし、m番目のモジュール#mに、モジュールバランシング回路から移動する電荷量をzmとする。また、図18に示すように、モジュール#1を構成するセル#1、#nM1にモジュール#1から移動する電荷量をy1、ynM1とし、モジュール#jを構成するセル#1、#nMjにモジュール#jから移動する電荷量をyi、yi+nMjとし、モジュール#mを構成するセル#1、#nMmにモジュール#mから移動する電荷量をyn−nMm+1、ynMmとする。
そして、セル−モジュールバランシングにおいても、上述したセルバランシングのみを行なう場合およびモジュールバランシングのみを行う場合と同様に、各セル#iおよびモジュール#jにおける、セルバランシングにより入出力される電荷量と、セルバランシング後の充電量(SOC)x(x=0〜1)との関係、およびモジュール#j、および組電池100全体における、モジュールバランシングにより入出力される電荷量と、セルバランシング後の充電量(SOC)x(x=0〜1)との関係は、下記式(18)により示すことができる。
(上記式(18)において、
iは、1〜n(ただし、nは、組電池を構成するセルの総数)の整数を表し、
SOCiは、i番目のセルの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、i番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、i番目のセルの最大容量を表し、
ki・yiは、i番目のセルが属するj番目のモジュールとの電荷移動により、i番目のセルに出入りする電荷量を表し、
pj・zjは、i番目のセルが属するj番目のモジュールに出入りする単位セル当たりの電荷量を表し、
SOCMjは、j番目のモジュールの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、j番目のモジュールのi番目のセルの最大容量を表し、
nMjは、j番目のモジュールを構成するセルの数を表し、
nMj・pj・zjは、j番目のモジュールに出入りする電荷量を表し、
SOCpackは、組電池の電荷移動を行なった後のSOCを表し、
nは、組電池を構成するセルの総数を表し、
mは、組電池を構成するモジュールの総数を表し、
ηiは、i番目のセルに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表し、
ηMjは、j番目のモジュールに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表す。)
iは、1〜n(ただし、nは、組電池を構成するセルの総数)の整数を表し、
SOCiは、i番目のセルの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、i番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、i番目のセルの最大容量を表し、
ki・yiは、i番目のセルが属するj番目のモジュールとの電荷移動により、i番目のセルに出入りする電荷量を表し、
pj・zjは、i番目のセルが属するj番目のモジュールに出入りする単位セル当たりの電荷量を表し、
SOCMjは、j番目のモジュールの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、j番目のモジュールのi番目のセルの最大容量を表し、
nMjは、j番目のモジュールを構成するセルの数を表し、
nMj・pj・zjは、j番目のモジュールに出入りする電荷量を表し、
SOCpackは、組電池の電荷移動を行なった後のSOCを表し、
nは、組電池を構成するセルの総数を表し、
mは、組電池を構成するモジュールの総数を表し、
ηiは、i番目のセルに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表し、
ηMjは、j番目のモジュールに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表す。)
そして、上記式(18)においても、上記式(6)、(11)と同様に、Qi、Qi,max、ki、pjは既知のパラメータ(あるいは、既知のパラメータより導出可能なパラメータ)となり、一方、x、yi、zjは未知のパラメータとなる。すなわち、モジュールバランシングを行うセルの数をnとし、モジュールの数をmとした場合には、n+m+1個の未知パラメータ(y1,y2,・・・,yn−1,yn,z1,z2,・・・,zm−1,zm,x)が存在することとなる。
そのため、セルバランシングのみを行う場合、およびモジュールバランシングのみを行う場合と同様に、上記式(18)を、セルバランシングを行なうn個の各セル、モジュールバランシングを行なうm個の各モジュールについて、マトリックス化して示すと下記式(19)が得られることとなる。なお、セル−モジュールバランシングにおいても、上述したセルバランシングにみを行なう場合、およびモジュールバランシングのみを行う場合と同様に、セル−モジュールバランシングを行なった後の全てのセルおよびモジュールは充電量(SOC)が等しくなると考えることができる。そのため、上記式(18)において、セル−モジュールバランシングを行なった後の充電量(SOC)を示すx(x=0〜1)の値は、セルバランシングを行なうn個の全てのセル、モジュールバランシングを行なうm個の全てのモジュール、および組電池100全体において等しい値とすることができる。
そして、セル−モジュールバランシングにおいても、上述したセルバランシングのみを行なう場合、およびモジュールバランシングのみを行なう場合と同様に、以下に説明する仮設演算処理を行なうことで、上記式(19)に示すマトリックスから、xの値、yiの値、およびzjの値を演算し、これにより、セル−モジュールバランシング時の目標充電量(xの値)、セルバランシングにおけるセルとモジュール間の電荷移動量(yiの値)、モジュールバランシングにおける各モジュール間の電荷移動量(zjの値)に加えて、電荷移動方向(yi、zjの値がプラスであるかマイナスであるか、kiの値がηiであるか1/ηiであるか、さらには、pjの値がηMjであるか1/ηMjであるか)を演算する。ここで、図19は、セル−モジュールバランシング時における仮設演算処理を示すフローチャートである。なお、図19に示すフローチャートにおいては、組電池100を構成する全てのモジュールについてセルバランシングを行なう場合における処理を示している。また、以下に説明する仮設演算処理は、制御装置10により実行される。
まず、ステップS301では、上述したセルバランシングのみを行なう場合、モジュールバランシングのみを行なう場合と同様に、上記式(19)に示すマトリックスにおいて、全てのkiの値(すなわち、k1,k2,・・・,knの全ての値)をki=ηiに仮に設定するとともに、全てのpjの値(すなわち、p1,p2,・・・,pmの全ての値)の値をpj=ηMjに仮に設定する。そして、ステップS302では、ステップS301または後述するステップS305、S306において仮に設定されたki、pjの値に基づいて、上記式(19)に示すマトリックスにおける、ΓCMのマトリックスの構築を行なう。
次いで、ステップS303では、ステップS302で構築したΓCMのマトリックスに基づいて、上記式(19)から導出される下記式(20)に基づいて、ΘCMの値を演算し、得られたxの値およびki、pjの値を、容量調整後のSOC、ならびに、各セルとモジュール間、および各モジュール間の電荷移動量として、仮に設定する。
次いで、ステップS304では、全てのki(i=1〜n)およびこれに対応するyi(i=1〜n)について、「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足しており、かつ、全てのpj(j=1〜m)およびこれに対応するzj(j=1〜m)について、「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足しているか否かの判定が行なわれる。
判定の結果、全てのkiおよびこれに対応するyiのうち、少なくとも一部が「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足しない場合、ならびに、全てのpjおよびこれに対応するzjのうち、少なくとも一部が「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足しない場合には、ステップS305に進む。そして、ステップS305では、全てのki(i=1〜n)のうち、「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足しなかったkiを、ki=1/kiに仮に設定し、次いで、ステップS306に進み、ステップS306では、全てのpj(j=1〜m)のうち、「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足しなかったpjを、pj=1/pjに仮に設定し、ステップS302に戻る。
そして、再度、仮に設定したki、pjに基づいて、ΓCMのマトリックスの構築を実行し(ステップS302)、上記式(20)に基づいて、ΘCMの値の演算を行い(ステップS303)、このような処理を、全てのkiおよびこれに対応するyiが「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足し、かつ、全てのpjおよびこれに対応するzjが「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足(ステップS304=Yes)するまで、繰り返し実行する。
そして、全てのkiおよびこれに対応するyiが「ki<1、かつ、yi<0」または「ki≧1、かつ、yi≧0」の関係を満足し、かつ、全てのpjおよびこれに対応するzjが「pj<1、かつ、zj<0」または「pj≧1、かつ、zj≧0」の関係を満足した場合には、セル−モジュールバランシング時の目標充電量(xの値)、各セルとモジュールとの間の電荷移動量(yiの値)、各モジュール間の電荷移動量(zjの値)、および電荷移動方向(yi、zjの値がプラスであるかマイナスであるか、kiの値がηiであるか1/ηiであるか、さらには、pjの値がηMjであるか1/ηMjであるか)を決定できたと判断し、ステップS307に進み、得られたyiの値、zjの値より、上記式(10)、上記式(14)に従って、各セルおよび各モジュールの容量調整時間の算出を行なう。
以上のようにして、セル−モジュールバランシングを行なう際における、電荷移動方向(yi、zjの値がプラスであるかマイナスであるか)、各セルとモジュールとの間の電荷移動量(yiの値)、および各モジュール間の電荷移動量(zjの値)、ならびに容量調整時間ti、tMjが決定される。
次いで、制御装置10は、上記方法により決定した電荷移動方向(yi、zjの値がプラスであるかマイナスであるか)、各セルとモジュールとの間の電荷移動量yi、および各モジュール間の電荷移動量zjに基づいて、セル−モジュールバランシングを行なう際における、セルバランシングを行なうセルの順序、およびモジュールバランシングを行なうモジュールの順序を決定する処理を行なう。
なお、本実施形態においては、セル−モジュールバランシングを行なう際には、セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に、実行することができるため、セルバランシングを行なうモジュールの順序、モジュールバランシングを行なうモジュールの順序をそれぞれ独立に決定することができ、それぞれ独立に決定した順序にて、セルバランシングおよびモジュールバランシングを行なうことができる。なお、セルバランシングを行なうモジュールの順序は、たとえば、上述した(A)セルバランシングのみを行なう方法と同様の方法にて決定することができる。この場合において、セルバランシングを行なうモジュールが複数存在する場合には、各モジュールごとに独立して、セルバランシングを行なうセルの順序を決定し、各モジュールごとに独立して、同時にセルバランシングを行なうことができる。また、モジュールバランシングを行なうモジュールの順序は、たとえば、上述した(B)モジュールバランシングのみを行なう方法と同様の方法にて決定することができる。
そして、制御装置10は、上記方法にしたがって算出された電荷移動方向(yi、zjの値がプラスであるかマイナスであるか)、および各セルおよび各モジュールの電荷移動量yi、zj(あるいは、容量調整時間ti、tMj)の情報、ならびに、セルバランシングを行なうセルの順序およびモジュールバランシングを行なうモジュールの順序の情報を、各セルコントローラ(たとえば、図1に示すセルコントローラ20a,20b)および各モジュールコントローラ(たとえば、図1に示すモジュールコントローラ30)に送信し、各セルコントローラにセルバランシング回路(たとば、セルバランシング回路200a,200b)の制御を、また、各モジュールコントローラにモジュールバランシング回路(たとば、モジュールバランシング回路300)の制御を行なわせることで、各セル間および各モジュール間で電荷を移動させることにより容量調整を行なうセル−モジュールバランシングが実行される。
また、セル−モジュールバランシングを行なう際には、セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に、実行することができる一方で、たとえば、同一のモジュールについて、セルバランシングとモジュールバランシングとを同時に行なう場合には、該モジュールを構成する各セル間を接続する導線に、セルバランシングの電流、モジュールバランシングの電流、さらには組電池100の通常使用による充放電電流が重畳して流れることとなり、そのため、これらの重畳した電流が、各セル間を接続する導線の許容電流を超えてしまう場合が考えられる。そのため、このような場合には、セルバランシングを実行しているセルについて、セルバランシングを中止し、次にセルバランシングを行なうことが決定されているセルについて、先にセルバランシングを行なうような構成とする。あるいは、セルバランシングを行なうセルを変更した場合でも、依然として、重畳した電流が、各セル間を接続する導線の許容電流を超えてしまう状態が続いた場合には、当該モジュールについてモジュールバランシングを中止し、次にモジュールバランシングを行なうことが決定されているモジュールについて、先にモジュールバランシングを行なうような構成とすることができる。
以上のように、本実施形態においては、たとえば、各モジュールを構成する各セル間の容量ばらつきの程度や、組電池100を構成する各モジュール間の容量ばらつきの程度に応じて、(A)セルバランシングのみを行なう方法、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法のいずれかの方法により、アクティブバランシングによる容量調整を行なうことができる。
なお、(A)セルバランシングのみを行なう方法、(B)モジュールバランシングのみを行なう方法、(C)セルバランシングおよびモジュールバランシングを同時に行なう方法のいずれの方法においても、上述した方法により決定されたセルバランシングおよび/またはモジュールバランシングを行なう際には、セルバランシングおよび/またはモジュールバランシングによる容量調整を連続的に行なうことで、セルバランシングおよび/またはモジュールバランシングを実行してもよいし、あるいは、セルバランシングおよび/またはモジュールバランシングによる容量調整を所定時間行った後、容量調整を中断し、各セルの電圧の検出を行い、再度、セルバランシングおよび/またはモジュールバランシングによる容量調整を所定時間行なうという動作を繰り返し実行するような構成としてもよい。すなわち、セルバランシングおよび/またはモジュールバランシングによる容量調整を間欠的に行なうような構成としてもよい。
なお、セルバランシングおよび/またはモジュールバランシングによる容量調整を間欠的に行なう場合においては、たとえば、図20(A)に示すように、上述した方法にしたがって決定したセルバランシングおよび/またはモジュールバランシングの順序に従って、容量調整を行なうような構成とすることができる。すなわち、たとえば、図20(A)に示すように、4つのセルC#1、C#2、C#3、C#4について、同図に示す順番でセルバランシングを行なう場合を例示して説明すると、容量調整を行なう時間(セルバランシング回路オンとする時間)Tに関係なく、同図に示す順番でセルバランシングを行なうような構成とすることができる。なお、図20(A)においては、セルバランシングのみを例示したが、モジュールバランシングにおいても同様とすることができる。
あるいは、図20(B)に示すように、上述した方法にしたがって決定したセルバランシングおよび/またはモジュールバランシングの順序に従い、容量調整を行なう時間(セルバランシング回路および/またはモジュールバランシング回路をオンとする時間)Tごとに、各セルおよび/またはモジュールの容量調整を行なう時間に応じた割合にて、容量調整を行なう全てのセルおよび/モジュールについて容量調整を実行するような構成としてもよい。すなわち、たとえば、図20(A)の場合と同様に、4つのセルC#1、C#2、C#3、C#4について、同図に示す順番でセルバランシングを行なう場合を例示して説明すると、容量調整を行なう時間(セルバランシング回路オンとする時間)Tごとに、4つのセルC#1、C#2、C#3、C#4の容量調整を行なう時間に応じた割合にて、容量調整を行なう全てのセルC#1、C#2、C#3、C#4について容量調整を実行するような構成としてもよい。なお、図20(B)においては、セルバランシングのみを例示したが、モジュールバランシングにおいても同様とすることができる。特に、このような方法によれば、セルバランシングおよび/モジュールバランシングを行なう各セルおよび/または各モジュールについて、均等に容量調整を実行することができ、そのため、セルバランシングおよび/モジュールバランシングを途中で中断した場合でも、各セルおよび/または各モジュール間における容量の不均一度を低減することができる。
本実施形態によれば、アクティブバランシングによる容量調整を行なう際に、目標の充電量、各セルとモジュールとの間および/または各モジュール間で移動させる電荷量、電荷の移動方向、および容量調整時間を適切に算出することができるため、アクティブバランシングによる容量調整を短時間で、高効率で行なうことができる。特に、本実施形態によれば、目標の充電量、ならびに、各セルとモジュールとの間および/または各モジュール間で移動させる電荷量を予め求めることができるため、容量調整中に、容量ばらつきの計測を行なうために容量調整を中断する処理を頻繁に行なう必要がなくなるため、容量調整時間の短縮化が可能となる。特に、本実施形態によれば、目標の充電量、各セルとモジュールとの間および/または各モジュール間で移動させる電荷量、電荷の移動方向、および容量調整時間を適切に算出することができるため、容量調整中に、容量ばらつきの計測を行なうために容量調整を中断する処理を全く行なわない場合、あるいは、容量ばらつきの計測を行なうために容量調整を中断する処理を行なう回数を低減することが可能となる。これに加えて、本実施形態によれば、目標の充電量、ならびに、各セルとモジュールとの間および/または各モジュール間で移動させる電荷量に基づいて、容量調整を行なうことができるため、容量調整の終期に、充電および放電を繰り返すチャタリング現象の発生を有効に防止することができる。
なお、図21、図22に、本実施形態に係る手法によりアクティブバランシングを行なった場合におけるシミュレーション結果を、図23、図24に、従来例の手法によりアクティブバランシングを行なった場合におけるシミュレーション結果を、それぞれ示す。なお、本シミュレーションにおいては、1モジュール当たりの12個の電池を直列接続してなるモジュールを8個直列してなる組電池において、本実施形態に係る手法、および従来例の手法によりアクティブバランシングを行なった場合についてシミュレーションを行なった。
ここで、図21、図22には、上述した図20(B)に示す方法により本実施形態に係るセル−モジュールバランシングを行なった場合におけるシミュレーション結果を示している。また、図23、図24には、特許文献1(特開2005−521363号公報)に開示された方法、すなわち、間欠的に容量調整を行なうに際し、容量調整を中断している間に、容量ばらつきの計測を行い、容量調整を中断している間において容量ばらつきが最も大きなセルおよびモジュールについて容量調整を行なうという動作を繰り返し実行することでアクティブバランシングを行なう方法によるシミュレーション結果を示している。また、図21、図23は、8個のモジュールを構成する各電池のSOCの変化を、図22、図24は、各モジュールのSOCの変化をそれぞれ示している。なお、本シミュレーションにおいては、本実施形態に係る手法および従来例の手法のいずれにおいても、容量バラツキの条件は同じとし、かつ、容量調整をオンとする時間を3600秒、容量調整をオフとする時間を120秒とし、容量調整のオン/オフを繰り返すような条件とした。
図21、図22に示すように、本実施形態に係る手法によりアクティブバランシングを行なった場合には、各セルおよび各モジュールの容量調整を良好に行なうことができる一方で、図23、図24に示すように、従来例の手法によりアクティブバランシングを行なった場合には、充電および放電を繰り返すチャタリング現象が発生してしまい、各セルおよび各モジュールの容量が収束しない結果となった。
なお、上述の実施形態において、セルバランシング回路200a,200b、モジュールバランシング回路300は本発明の電荷移動回路に、制御装置10は本発明の制御手段に、それぞれ相当する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
10…制御装置
100…組電池
C1〜C8…セル
M1,M2…モジュール
20a,20b…セルコントローラ
30…モジュールコントローラ
200a,200b…セルバランシング回路
300…モジュールバランシング回路
100…組電池
C1〜C8…セル
M1,M2…モジュール
20a,20b…セルコントローラ
30…モジュールコントローラ
200a,200b…セルバランシング回路
300…モジュールバランシング回路
Claims (13)
- 複数のセルを直列に接続してなる組電池の制御装置であって、
特定のセルと該特定セルを含む複数のセルから構成されるモジュールとの間および/または複数のセルから構成されるモジュール間で電荷の移動を行なう電荷移動回路と、
前記電荷移動回路を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールごとに、現在の充電状態と電荷を入出力した際の電荷移動損失とを考慮した電荷移動量、および電荷の入出力方向を算出する電荷移動量算出手段と、
算出した電荷移動量および電荷の入出力方向に基づいて、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールごとに、電荷移動を行なう順番を決定する電荷移動プロセス決定手段と、
を有することを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1に記載の組電池の制御装置において、
前記制御手段は、特定のモジュールを構成する複数のセルと、前記特定のモジュールとの間における電荷移動を制御するセルバランスを実行するセルバランス制御手段をさらに備え、
前記電荷移動量算出手段は、セルバランスを実行する際には、
前記特定のモジュールを構成する各セルと、前記特定のモジュールとの間で電荷移動を行なう際における、各セルの充電状態と、各セルに入出力される電荷移動損失を考慮した電荷移動量との関係、および、前記特定のモジュールの充電状態と、前記特定のモジュールに入出力される電荷移動損失を考慮した電荷移動量との関係を定義し、
電荷移動を行なった際に、前記特定のモジュールを構成する全てのセルの充電状態が等しくなると仮定した場合に、電荷移動を行なう各セルにおける電荷の入出力方向と、前記電荷移動損失との関係が合致するように、各セルごとの電荷の入出力方向および電荷移動量を、逐次補正することで、前記特定のモジュールを構成する各セルの電荷移動量および電荷の入出力方向を算出することを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1に記載の組電池の制御装置において、
前記制御手段は、特定のモジュールを構成する複数のセルと、前記特定のモジュールとの間における電荷移動を制御するセルバランスを実行するセルバランス制御手段をさらに備え、
前記電荷移動量算出手段は、セルバランスを実行する際には、前記特定のモジュールを構成する各セルの充電状態と入出力される電荷量との関係、および、前記特定のモジュールの充電状態と入出力される電荷量との関係を、下記式(I)、(II)に示すように定義し、下記式(II)において、ΘCを構成する各パラメータが、yi≧0の場合にki=ηiが成立し、yi<0の場合にki=1/ηiが成立するような値となるように、ΘCを構成する各パラメータを逐次補正することで、前記特定のモジュールを構成する各セルの電荷移動量および電荷の入出力方向を算出することを特徴とする組電池の制御装置。
iは、1〜nMj(ただし、nMjは、j番目のモジュールのセル数)の整数を表し、
SOCiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、j番目のモジュールのi番目のセルの最大容量を表し、
ki・yiは、j番目のモジュールのi番目のセルに出入りする電荷量を表し、
SOCMjは、j番目のモジュールの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
ηiは、j番目のモジュールのi番目のセルに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表す。)
- 請求項1〜3のいずれかに記載の組電池の制御装置において、
前記制御手段は、モジュール間の電荷移動を制御するモジュールバランスを実行するモジュールバランス制御手段をさらに備え、
前記電荷移動量算出手段は、モジュールバランスを実行する際には、
モジュール間で電荷移動を行なう際における、各モジュールの充電状態と、各モジュールに入出力される電荷移動損失を考慮した電荷移動量との関係、および、前記組電池全体の充電状態と、前記組電池に入出力される電荷移動損失を考慮した電荷移動量との関係を定義し、
電荷移動を行なった際に、電荷移動の対象となる全てのモジュールの充電状態が等しくなると仮定した場合に、電荷移動を行なう各モジュールにおける電荷の入出力方向と、前記電荷移動損失との関係が合致するように、各モジュールごとの電荷の入出力方向および電荷移動量を、逐次補正することで、電荷移動を行なうモジュールの電荷移動量および電荷の入出力方向を算出することを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の組電池の制御装置において、
前記制御手段は、モジュール間の電荷移動を制御するモジュールバランスを実行するモジュールバランス制御手段をさらに備え、
前記電荷移動量算出手段は、モジュールバランスを実行する際には、電荷移動を行なう各モジュールの充電状態と入出力される電荷量との関係、および、前記組電池全体の充電状態と入出力される電荷量との関係を、下記式(III)、(IV)に示すように定義し、下記式(IV)において、ΘMを構成する各パラメータが、zj≧0の場合にpj=ηMjが成立し、zj<0の場合にpj=1/ηMjが成立するような値となるように、ΘMを構成する各パラメータを逐次補正することで、電荷移動を行なう各モジュールの電荷移動量および電荷の入出力方向を算出することを特徴とする組電池の制御装置。
SOCMjは、j番目のモジュールの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、j番目のモジュールのi番目のセルの最大容量を表し、
nMjは、j番目のモジュールを構成するセルの数を表し、
nMj・pj・zjは、j番目のモジュールに出入りする電荷量を表し、
SOCpackは、組電池の電荷移動を行なった後のSOCを表し、
nは、組電池を構成するセルの総数を表し、
mは、組電池を構成するモジュールの総数を表し、
ηMjは、j番目のモジュールに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表す。)
- 請求項4または5に記載の組電池の制御装置において、
前記電荷移動プロセス決定手段は、モジュール間で電荷移動を行なう際における、各モジュールの電荷移動を、電荷移動後の目標SOCからより離れたSOCを有するモジュールから実行するように決定することを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の組電池の制御装置において、
前記制御手段は、特定のモジュールを構成する複数のセルと、前記特定のモジュールとの間における電荷移動、および、モジュール間の電荷移動を制御するセル−モジュールバランスを実行するセル−モジュールバランス制御手段をさらに備え、
前記電荷移動量算出手段は、セル−モジュールバランスを実行する際には、
前記特定のモジュールを構成する各セルと、前記特定のモジュールとの間で電荷移動を行なう際における、各セルの充電状態と、各セルに入出力される電荷移動損失を考慮した電荷移動量との関係、および、前記特定のモジュールの充電状態と、前記特定のモジュールに入出力される電荷移動損失を考慮した電荷移動量との関係を定義するとともに、
モジュール間で電荷移動を行なう際における、各モジュールの充電状態と、各モジュールに入出力される電荷移動損失を考慮した電荷移動量との関係、および、前記組電池全体の充電状態と、前記組電池に入出力される電荷移動損失を考慮した電荷移動量との関係を定義し、
電荷移動を行なった際に、前記特定のモジュールを構成する全てのセルの充電状態と、電荷移動の対象となる全てのモジュールの充電状態と、が共に等しくなると仮定した場合に、電荷移動を行なう各セルにおける電荷の入出力方向と、前記電荷移動損失との関係、および、電荷移動を行なう各モジュールにおける電荷の入出力方向と、前記電荷移動損失との関係が共に合致するように、各セルごとの電荷の入出力方向および電荷移動量、ならびに、各モジュールごとの電荷の入出力方向および電荷移動量を、逐次補正することで、前記特定のモジュールを構成する各セルの電荷移動量および電荷の入出力方向、ならびに、電荷移動を行なうモジュールの電荷移動量および電荷の入出力方向を算出することを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の組電池の制御装置において、
前記制御手段は、特定のモジュールを構成する複数のセルと、前記特定のモジュールとの間における電荷移動、および、モジュール間の電荷移動を制御するセル−モジュールバランスを実行するセル−モジュールバランス制御手段をさらに備え、
前記電荷移動量算出手段は、セル−モジュールバランスを実行する際には、前記特定のモジュールを構成する各セルの充電状態と入出力される電荷量との関係、電荷移動を行なう各モジュールの充電状態と入出力される電荷量との関係、および、前記組電池全体の充電状態と入出力される電荷量との関係を、下記式(V)、(VI)に示すように定義し、下記式(VI)において、ΘCMを構成する各パラメータが、yi≧0の場合にki=ηiが成立し、yi<0の場合にki=1/ηiが成立し、zj≧0の場合にpj=ηMjが成立し、zj<0の場合にpj=1/ηMjが成立するような値となるように、ΘCMを構成する各パラメータを逐次補正することで、電荷移動を行なう各モジュールの電荷移動量および電荷の入出力方向を算出することを特徴とする組電池の制御装置。
iは、1〜n(ただし、nは、組電池を構成するセルの総数)の整数を表し、
SOCiは、i番目のセルの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、i番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、i番目のセルの最大容量を表し、
ki・yiは、i番目のセルが属するj番目のモジュールとの電荷移動により、i番目のセルに出入りする電荷量を表し、
pj・zjは、i番目のセルが属するj番目のモジュールに出入りする単位セル当たりの電荷量を表し、
SOCMjは、j番目のモジュールの電荷移動を行なった後のSOCを表し、
Qiは、j番目のモジュールのi番目のセルの電荷移動を行なう前の容量を表し、
Qmax,iは、j番目のモジュールのi番目のセルの最大容量を表し、
nMjは、j番目のモジュールを構成するセルの数を表し、
nMj・pj・zjは、j番目のモジュールに出入りする電荷量を表し、
SOCpackは、組電池の電荷移動を行なった後のSOCを表し、
nは、組電池を構成するセルの総数を表し、
mは、組電池を構成するモジュールの総数を表し、
ηiは、i番目のセルに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表し、
ηMjは、j番目のモジュールに電荷が入出力する場合における電荷移動効率を表す。)
- 請求項7または8に記載の組電池の制御装置において、
前記電荷移動プロセス決定手段は、モジュール間で電荷移動を行なう際における、各モジュールの電荷移動を、電荷移動後の目標SOCからより離れたSOCを有するモジュールから実行するように決定することを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の組電池の制御装置において、
前記電荷移動プロセス決定手段は、前記組電池が放電中である場合には、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールのうち、電荷移動により入力させる電荷量が多いセルおよび/またはモジュールから優先して電荷移動を実行するように決定することを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の組電池の制御装置において、
前記電荷移動プロセス決定手段は、前記組電池が充電中である場合には、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールのうち、電荷移動により出力させる電荷量が多いセルおよび/またはモジュールから優先して電荷移動を実行するように決定することを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の組電池の制御装置において、
前記制御手段は、電荷移動を行なう各セルおよび/または各モジュールにおける電荷移動が間欠的に実行されるように、前記電荷移動回路をオン/オフ制御し、
前記電荷移動プロセス決定手段は、算出した各セルおよび/または各モジュールごとの電荷移動量に応じて、前記電荷移動回路をオンとした際における電荷移動時間を、電荷移動を行なう全てのセルおよび/または全てのモジュールについて割り当てることを特徴とする組電池の制御装置。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の組電池の制御装置において、
前記制御手段は、各モジュールを構成するセルのSOC差または電圧差が予め定められた第1閾値以上であるか否か、および、前記組電池を構成するモジュールのSOC差または電圧差が予め定められた第2閾値以上であるか否か、に基づいて、電荷移動を行なうセルおよび/またはモジュールを決定することを特徴とする組電池の制御装置。
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