以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、参照する各図面において、構成をわかり易く示すため、各構成要素の寸法の比率、角度等が異なる場合がある。
(第1の実施形態)
<圧電モーターの駆動装置>
図を参照して、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置の概略構成を説明する。図1は、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、第1の実施形態に係る圧電モーターの構成を示す模式図である。また、図3は、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置の要部を示すブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100は、圧電モーター10と、圧電モーター10を駆動する駆動部としての駆動回路30と、駆動回路30を制御する制御部20と、駆動回路30のインピーダンスと圧電モーター10のインピーダンスとを整合する整合部としての整合回路40と、整合回路40の後段の電圧を検出する電圧検出部50と、を備えている。
<圧電モーター>
まず、第1の実施形態に係る圧電モーター10の構成を説明する。図2に示すように、第1の実施形態に係る圧電モーター10は、振動体1と、被駆動体5と、保持部材8と、付勢バネ6と、基台7と、を備えている。振動体1、被駆動体5、保持部材8、及び付勢バネ6は、基台7に設置されている。なお、ここでは、被駆動体5が回転駆動されるローターである場合を例にとり説明する。
図2に示す平面視で、振動体1は、短辺1aと長辺1bとを有する略矩形形状である。以下の説明では、短辺1aに沿った方向を短手方向と呼び、長辺1bに沿った方向を長手方向と呼ぶ。振動体1は、例えば、板状に形成された圧電素子で構成されるが、圧電素子と振動板とが積層された積層体であってもよい。
圧電素子は、電気機械変換作用を示す圧電材料からなり、例えば、一般式ABO3で示されるペロブスカイト構造を有する金属酸化物を材料として形成されている。このような金属酸化物としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3:PZT)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等があげられる。
振動体1の表面には、Ni,Au,Ag等の導電性金属からなる電極3が設けられている。電極3は、振動体1の短手方向の中央部、及び長手方向の中央部に形成された溝部によって、略4等分されている。これにより、電極3は、個別電極として互いに電気的に隔離された電極部3a,3b,3c,3dの4つの電極部に分割されている。また、振動体1の反対側の表面には、共通電極9(図3参照)が設けられている。
電極3の4つの電極部のうち、互いに対角となるように配置され対を成す電極部3a,3dは、第1屈曲振動用電極として機能する。また、電極部3a,3dと交差する対角となるように配置され対を成す電極部3b,3cは、第2屈曲振動用電極として機能する。電極部3a,3dが配置された領域、及び電極部3b,3cが配置された領域が、それぞれ振動体1の短手方向に屈曲振動を励起する屈曲振動励起領域となる。
振動体1は、被駆動体5側に突出するように延設され、被駆動体5の側面(円周面)に当接する摺動部4を有している。また、振動体1は、短手方向両外側に向かって延設された一対の腕部1cを有している。腕部1cには厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられており、貫通孔を挿通させたネジを介して、腕部1cが保持部材8に固定されている。これにより、振動体1は、保持部材8に対して、腕部1cを基点として屈曲振動が可能な状態で保持される。
被駆動体5は、円盤形状を有しており、振動体1の摺動部4が設けられた側に配置されている。被駆動体5は、基台7に立設された棒状の軸5aを回転中心として、回転自在に保持されている。被駆動体5に近い位置には、エンコーダー11(図1参照)が設けられている。エンコーダー11は、被駆動体5の位置や回転速度に基づくエンコーダー信号を副制御部22(図1参照)にフィードバックする。
基台7は、振動体1の短手方向の両外側に、長手方向に沿って延在して配置された一対のスライド部7aを有している。保持部材8は、基台7に対して、スライド部7aに沿ってスライド移動可能に支持されている。
保持部材8の被駆動体5とは反対側と基台7との間には、付勢バネ6が設置されている。付勢バネ6は、保持部材8を介して振動体1を被駆動体5に向けて付勢し、この付勢力により、摺動部4が被駆動体5に所定の力で当接する。付勢バネ6の付勢力は、被駆動体5と摺動部4との間で適切な摩擦力が発生するように適宜設定されている。これにより、振動体1の振動が、摺動部4を介して被駆動体5に効率よく伝達される。なお、被駆動体5は、上述の回転駆動されるローターに限定されるものではない。被駆動体5は直線駆動されるリニア被駆動体であってもよく、被駆動体5の駆動方向は任意に構成できる。
駆動回路30から、共通電極9に対して共通信号が供給され、第1屈曲振動用電極である電極部3a,3dに対して駆動信号が供給されると、振動体1に、短手方向に沿って屈曲する屈曲振動が励振される。この屈曲振動により、摺動部4は、時計回りの楕円軌道を描くように摺動する。これにより、被駆動体5が、図2に矢印で示すように、反時計回りに回転する。
一方、共通電極9に対して共通信号が供給され、第2屈曲振動用電極である電極部3b,3cに対して駆動信号が供給されると、振動体1に、短手方向に沿って屈曲する屈曲振動が励振される。この屈曲振動により、摺動部4は、反時計回りの楕円軌道を描くように摺動する。これにより、被駆動体5が、図2に示す矢印とは反対の、時計回りに回転する。
このように、圧電モーター10は、駆動回路30から共通電極9と電極部3a,3b,3c,3dとの間に駆動信号を供給する際に、第1屈曲振動用電極(電極部3a,3d)を選択する場合と、第2屈曲振動用電極(電極部3b,3c)を選択する場合とを切り替えることにより、被駆動体5を反時計回り及び時計回りの双方向に回転させることが可能である。
なお、圧電モーター10は、被駆動体5の回転を増速又は減速して伝達する増減速機構をさらに備えていてもよい。増減速機構を備えていると、被駆動体5の回転速度を増速又は減速して所望の回転速度を容易に得ることができる。
<制御部及び駆動回路>
続いて、図1に戻って、制御部20と駆動回路30とを説明する。図1に示すように、制御部20は、主制御部21と、副制御部22とを備えている。また、駆動回路30は、発振器31と、ゲインアンプ32と、PWM部33と、デジタルアンプ34とを備えている。
主制御部21は、CPU(Central Processing Unit)で構成される。主制御部21は、圧電モーターの駆動装置100を含むシステム全体を制御する制御装置(図示省略)と、CAN(Controller Area Network)を介して接続されている。主制御部21は、例えば、駆動回路30の出力電圧の所定の値である電圧指令値(Ve)を副制御部22に指示する等の、圧電モーターの駆動装置100全体の制御を行う。
副制御部22は、ロジックICやFPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成される。副制御部22は、主制御部21とSPI(Serial Peripheral Interface)を介して接続されている。副制御部22は、主制御部21の指示に基づいて、発振器31で生成する信号の周波数、ゲインアンプ32の出力(増幅率)、スイッチ12(図3参照)の切り替え等の制御を行う。また、副制御部22は、エンコーダー11からフィードバックされたエンコーダー信号に基づいて、圧電モーター10の被駆動体5の位置や回転速度を検出する。
発振器31は、DDS(Direct Digital Synthesizer)等で構成される。発振器31は、圧電モーター10の振動体1に供給する駆動信号のもととなる信号を生成する。発振器31で生成された信号は、DAコンバーターによりアナログ信号に変換される。また、発振器31は、副制御部22の指示に基づいて、駆動信号の周波数を調整する。
ゲインアンプ32は、例えば、デジタルポテンショメーターとオペアンプとで構成される。ゲインアンプ32は、発振器31からのアナログ信号をデジタル制御により増幅する。ゲインアンプ32の出力レベルは、副制御部22の指示に基づいて制御(増加又は減少)される。
PWM部33は、PWM(Pulse Width Modulation)回路で構成される。PWM部33は、ゲインアンプ32からの入力信号におけるパルスのデューティー比を変えることにより、等価的なアナログ制御を行なう。
デジタルアンプ34は、MOSトランジスターのHブリッジ回路で構成され(図3参照)、PWM部33との併用により、デジタルアンプとして機能する。デジタルアンプ34は、PWM部33からの信号の電力を増幅してスイッチングを行う。なお、主制御部21からの「Sleep」指示があると、電力を増幅してスイッチングを行う機能がOFF状態となる。
デジタルアンプ34は、整合回路40を介して、圧電モーター10の第1屈曲振動用電極(図2に示す電極部3a,3d)、第2屈曲振動用電極(図2に示す電極部3b,3c)に駆動信号を出力する。また、デジタルアンプ34は、圧電モーター10の共通電極9(図3参照)に共通信号を出力する。
スイッチ12は、電磁リレー等のメカニカルリレーやフォトモスリレー等の電子式リレーで構成される。スイッチ12は、副制御部22の指示に基づいて動作し、第1屈曲振動用電極及び第2屈曲振動用電極とデジタルアンプ34とが、電気的に接続した状態と電気的に切断した状態とを切り替える。第1屈曲振動用電極又は第2屈曲振動用電極を選択することにより、圧電モーター10の被駆動体5は反時計回り又は時計回りに回転する。なお、スイッチ12に手動のトグルスイッチを用いる構成としてもよい。
続いて、図3を参照して、整合回路40と電圧検出部50とを説明する。整合回路40は、デジタルアンプ34に接続されている。整合回路40の後段には、スイッチ12を介して、圧電モーター10が接続されている。整合回路40は、棒状のコアを有するコイル等のインダクター41,42と、コンデンサー等のキャパシター43とで構成されるLC整合回路である。整合回路40は、駆動回路30のインピーダンスと圧電モーター10のインピーダンスとの整合(マッチング)をとるとともに、圧電モーター10への出力電圧を昇圧する役割を担う。
電圧検出部50は、整合回路40の後段に、抵抗54,55,56を介して接続されている。電圧検出部50は、アンプ51と、ADコンバーター52と、アイソレーター53とで構成される。電圧検出部50は、整合回路40の後段の電圧値を検出し、検出した電圧検出値(Vu)を副制御部22に出力する。より具体的には、抵抗54,55,56により、例えば1/250に分圧された整合回路40の後段の電圧値を、アンプ51が増幅し、ADコンバーター52がデジタル化して、アイソレーター53を通して副制御部22に出力する。
次に、整合回路40の周波数とインピーダンスとの関係について、図4を参照して説明する。図4は、第1の実施形態に係る整合回路の周波数とインピーダンスとの関係の例を示す図である。図4に示すように、振動体1(圧電素子)が振動する際、駆動周波数(横軸)に対してインピーダンス(縦軸)が極小となる共振点がある。このような共振点では、振動体1における振動の振幅は極大となり、圧電モーター10は高効率で安定して駆動する。したがって、圧電モーター10を駆動する駆動信号の周波数(駆動周波数)は、例えば常温(25℃)において、共振点に近い周波数となるように設定される。
ここで、整合回路40の周波数fは、インダクター41,42のインダクタンスをともにLとし、キャパシター43の静電容量をCとし、振動体1(圧電素子)の静電容量をCdとすると、以下の式(1)で表される。
振動体1(圧電素子)の静電容量Cdは、温度によって変化する。静電容量Cdが変化すると、式(1)により、整合回路40の周波数fも変化することとなる。図4に示す例では、実線で示す常温(25℃)に対して、2点鎖線で示す45℃、破線で示す65℃、1点鎖線で示す85℃と温度が上昇するとともに、整合回路40の周波数fは25℃における共振点からずれてしまう。そして、整合回路40の周波数fがずれると、インピーダンスは大きくなる。
整合回路40により整合されたインピーダンスが大きくなると、圧電モーター10を駆動する電圧が低下するため、圧電モーター10のトルクが低下するとともに、圧電モーター10の駆動制御が良好に行えなくなってしまう。温度変化に対応して駆動周波数を変化させる方法も考えられるが、駆動周波数が変化することによって、圧電モーター10の駆動状態が不安定となることや、駆動状態が不安定となることによって摺動部4の先端が摩耗、又は破損するおそれがある。
これに対して、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100では、整合回路40の後段の電圧値、すなわち、圧電モーター10にかかる電圧値を電圧検出部50で検出し、検出した電圧検出値(Vu)が電圧指令値(Ve)と異なる場合、副制御部22がゲインアンプ32の出力レベルを増加又は減少させて、圧電モーター10に出力される電圧を調整する制御を、以下のようにして行う。
<圧電モーターの駆動方法>
次に、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100における圧電モーターの駆動方法を説明する。図5は、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動方法を示すフローチャートである。図6及び図7は、第1の実施形態に係る出力電圧の制御方法を説明する図である。
図5に示すように、圧電モーターの駆動装置100の動作をスタートする際、ステップS1で、ゲインアンプ32の出力レベルを初期値に設定する。出力レベルの初期値としては、例えば、駆動回路30の出力電圧値が電圧指令値(Ve)の1/4となるように設定される。このように、ゲインアンプ32の出力レベルの初期値をゼロ(0)ではなく電圧指令値(Ve)の1/4に設定することで、圧電モーター10の起動を早めることができる。
次に、ステップS2では、副制御部22が電圧指令値(Ve)と電圧検出値(Vu)とを比較する。図6(a),(b)に示すように、電圧指令値(Ve)は、主制御部21から副制御部22に入力される。なお、電圧指令値(Ve)は、エンコーダー11からフィードバックされたエンコーダー信号に基づき適正な値として計算されたものである。電圧検出値(Vu)は、電圧検出部50で検出され、副制御部22に入力される。
また、ステップS2では、タイムカウントをゼロ(0)に設定する。本制御方法では、所定のタイム間隔(例えば、64μsec)毎に電圧指令値(Ve)と電圧検出値(Vu)との比較を行い、その比較結果に基づいて圧電モーター10を駆動する出力電圧値を電圧指令値(Ve)に近付ける制御を行う。
図5のステップS3では、電圧指令値(Ve)と電圧検出値(Vu)とが同じであるか否かを判定する。電圧指令値(Ve)と電圧検出値(Vu)とが同じ(ステップS3:YES)場合は、ゲインアンプ32の出力レベルを変更することなく、ステップS7に移行する。電圧指令値(Ve)と電圧検出値(Vu)とが異なる(ステップS3:NO)場合はステップS4に進む。
ステップS4では、電圧検出値(Vu)が電圧指令値(Ve)よりも小さいか否かを判定する。電圧検出値(Vu)が電圧指令値(Ve)よりも小さい(ステップS4:YES)場合は、ステップS5に進む。ステップS5では、図6(a)に示すように、副制御部22がゲインアンプ32に対して、出力レベルをそれまでのViから変化量Vaだけ増加させる制御を行う。そして、ステップS7に進む。
ステップS5における出力レベルの変化量Vaは、電圧検出値(Vu)と電圧指令値(Ve)との差分値の大小に基づいて、例えば以下のように設定される。差分値が所定の値Dよりも小さい場合は出力レベルの変化量Vaを1とし、差分値が所定の値D以上の場合は出力レベルの変化量Vaを差分値/Dとする。所定の値Dは、駆動回路30の構成に基づいて適宜設定される値であり、例えば8である。これにより、図7に示すように、出力レベルの変化量Vaは、差分値が大きくなるにしたがってほぼリニアな関係で大きくなる。
ここで、出力レベルの変化量Vaを、差分値が所定の値D以上の場合にも固定値に設定して、制御を簡易化することも可能である。しかしながら、上述の制御方法のように、差分値の大小に基づいて出力レベルの変化量Vaを設定することにより、出力電圧値の変動量の大小に関わらず、出力電圧値を電圧指令値(Ve)に近付けることができる。これにより、温度変化に伴って整合回路40の周波数fにずれが生じても、圧電モーター10をより安定したトルクで駆動でき、圧電モーター10の駆動制御を良好に行うことができる。なお、差分値と出力レベルの変化量Vaとを対応させたテーブルを作成し、そのテーブルに基づいて変化量Vaを決定する構成としてもよい。
図5のステップS4において、電圧検出値(Vu)が電圧指令値(Ve)よりも大きい(ステップS4:NO)場合は、ステップS6に進む。ステップS6では、図6(b)に示すように、副制御部22がゲインアンプ32に対して、出力レベルをそれまでのViから変化量Vaだけ減少させる制御を行う。そして、ステップS7に進む。
ステップS6における出力レベルの変化量Vaは、ステップS5と同様に設定される。すなわち、電圧検出値(Vu)と電圧指令値(Ve)との差分値が所定の値Dよりも小さい場合は出力レベルの変化量Vaを1とし、差分値が所定の値D以上の場合は出力レベルの変化量Vaを差分値/Dとする。
図5のステップS7では、停止指示があるか否かを確認し、停止指示がない(ステップS7:NO)場合は、ステップS8に進む。ステップS8では、所定のタイム間隔(64μsec)が経過するまで、ステップS7の手前のステップにおける状態を維持する。そして、所定のタイム間隔が経過したら、ステップS2に戻る。
ステップS7で停止指示があった(ステップS7:YES)場合は、圧電モーターの駆動装置100の動作を停止して、出力電圧の制御を終了する。
続いて、上述のゲインアンプ32の出力レベルを増減させる制御方法による効果を説明する。図8は、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動方法による効果を説明する図である。図8において、横軸の出力レベルはゲインアンプ32からPWM部33へ出力する信号におけるパルスのデューティー比であり、縦軸は圧電モーター10への出力電圧である。
図8に示すように、上述のゲインアンプ32の出力レベルを増減させる制御を行わない状態では、温度変化によって出力電圧が変動し、25℃に対して、55℃、85℃と温度が上昇することで、それぞれの出力レベルにおいて出力電圧が低下する。また、25℃、55℃、85℃の各温度において、出力レベルと出力電圧とは、図8に点線で示す理論値のようにリニアな関係とならない。そのため、出力電圧を適正に制御することが難しい。
これに対して、上述のゲインアンプ32の出力レベルを増減させる制御を行った状態では、25℃、55℃、85℃のいずれの温度においても、それぞれの出力レベルにおける出力電圧はほぼ同じとなり、出力レベルと出力電圧との関係は理論値に近いリニアなものとなっている。したがって、温度変化によって整合回路40の周波数fにずれが生じても、圧電モーター10を駆動する出力電圧の変動が抑えられる。また、常温(25℃)における出力電圧の制御性が向上し、温度変化によって整合回路40の周波数fにずれが生じた場合でも同様の制御性を維持できる。
以上述べたように、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100の構成、及び圧電モーターの駆動方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)整合回路40の後段の電圧を検出する電圧検出部50を備え、副制御部22は、電圧検出部50により検出された電圧検出値(Vu)が電圧指令値(Ve)よりも小さい場合は、ゲインアンプ32の出力レベルを増加させて出力電圧を電圧指令値(Ve)に近付ける制御を行う。また、副制御部22は、電圧検出値(Vu)が電圧指令値(Ve)よりも大きい場合は、ゲインアンプ32の出力レベルを減少させて出力電圧を電圧指令値(Ve)に近付ける制御を行う。これにより、温度変化に伴う振動体1(圧電素子)の静電容量の変化等に起因して整合回路40の周波数fにずれが生じても、圧電モーター10を駆動する出力電圧の変動が抑えられるので、圧電モーター10を安定したトルクで駆動することができる。
(2)副制御部22が圧電モーター10を駆動する出力電圧を電圧指令値(Ve)に近付ける制御を行うことにより、ゲインアンプ32の出力レベルと圧電モーター10を駆動する出力電圧との関係をリニアに近付けることができるので、出力電圧の制御性を向上させることができる。また、温度変化に伴って整合回路40の周波数fにずれが生じても、出力電圧の制御性を適正に維持することができる。
(第2の実施形態)
<圧電モーターの駆動装置>
次に、第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置の概略構成を説明する。図9は、第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置の概略構成を示すブロック図である。第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置は、第1の実施形態に対して、整合回路が相互インダクタンスを有するインダクターを含む点が異なっているが、その他の構成はほぼ同じである。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図9に示すように、第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101は、圧電モーター10と、駆動回路30と、制御部20(図1参照)と、整合回路40Aと、電圧検出部50と、を備えている。
整合回路40Aは、相互インダクタンスを有するインダクター44,45と、キャパシター43とで構成されるLC整合回路である。インダクター44,45は、例えば、トロイダルコアを有するトロイダルコイルである。すなわち、共通のトロイダルコアに、インダクター44のコイルとインダクター45のコイルとが2重に巻かれた構成となっている。インダクター44,45のそれぞれ単独のインダクタンスをともにLとすると、相互インダクタンスを含むトータルのインダクタンスLmは以下の式(2)で表される。なお、kは、インダクター44,45の構成によって決まる係数である。
式(2)に示すように、相互インダクタンスを有するインダクター44,45を用いることにより、トータルのインダクタンスLmを第1の実施形態のインダクター41,42の2Lよりも大きくすることができる。したがって、インダクター44,45では、同じインダクタンスを得るためのコイルの巻き数を、インダクター41,42よりも少なくすることができる。これにより、コイルに起因する抵抗値を小さくできるので、抵抗による損失を少なく抑えることができる。また、棒状のコアを有するインダクターに比べて、磁界の漏れが少ないので、磁界に起因するノイズを抑えることができる。
なお、整合回路40Aの周波数fは、インダクター44,45の容量分をCiとし、キャパシター43の静電容量をCとし、振動体1(圧電素子)の静電容量をCdとすると、以下の式(3)で表される。
第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101の構成、及び圧電モーターの駆動方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)整合回路40Aの後段の電圧を検出する電圧検出部50により検出された電圧検出値(Vu)が電圧指令値(Ve)と異なる場合、副制御部22がゲインアンプ32の出力レベルを増減させて出力電圧を電圧指令値(Ve)に近付ける制御を行うので、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(2)整合回路40Aが相互インダクタンスを有するインダクター44,45を含むので、第1の実施形態に比べて、コイルに起因する抵抗値を小さくして抵抗による損失を少なく抑えることができる。これにより、より効率よく圧電モーター10を駆動することができる。
(第3の実施形態)
<電子部品搬送装置及び電子部品検査装置>
次に、第3の実施形態に係る電子部品搬送装置及び電子部品検査装置を説明する。第3の実施形態に係る電子部品搬送装置及び電子部品検査装置は、第1の実施形態又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置を備えている。第1の実施形態及び第2の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図10は、第3の実施形態に係る電子部品搬送装置及び電子部品検査装置の構成を示す概略斜視図である。図10に示す電子部品検査装置200は、電子部品搬送装置230と検査装置240とを備えている。電子部品搬送装置230は、電子部品70を所定の場所に搬送するとともに、電子部品70を所定の位置に位置決めする機能を有する。検査装置240は、電子部品70の電気的特性を検査する機能を有する。
なお、電子部品70は、例えば、基板に半導体チップが実装されたものであるが、半導体チップ、LCD等の表示デバイス、水晶デバイス、各種センサー、インクジェットヘッド等であってもよい。
図10に示すように、電子部品搬送装置230は、直方体状の基台206を備えている。基台206の長手方向をY方向とし、水平面においてY方向と直交する方向をX方向とする。そして、鉛直方向を−Z方向とする。
基台206上において図中左側には、給材装置207が設置されている。給材装置207の上面には、Y方向に延びる一対の案内レール208a,208bが給材装置207のY方向全幅にわたり凸設されている。一対の案内レール208a,208bの上側には、直動機構を備えたステージ209が取付けられている。
ステージ209の直動機構は、例えば、案内レール208a,208bに沿ってY方向に延びるリニアモーターを備えた直動機構である。この直動機構に所定のステップ数に相対する駆動信号がリニアモーターに入力されると、リニアモーターが前進または後退して、ステージ209が同ステップ数に相当する分だけ、Y方向に沿って往動または復動する。ステージ209のZ方向を向く面は載置面209aであり、載置面209aにはこれから検査を行う電子部品70が載置される。ステージ209には吸引式の基板チャック機構が設置されている。そして、基板チャック機構が電子部品70を載置面209aに固定するようになっている。
基台206において給材装置207のY方向側には、撮像部210が設置されている。撮像部210は、受光する光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)素子等を搭載した電気回路基板、ズーム機構を備えた対物レンズ、落射照明装置、自動焦点合わせ機構を備えている。これにより、撮像部210と対向する場所に電子部品70が位置するとき、撮像部210は電子部品70を撮影して位置決めをすることができる。撮像部210は、電子部品70に光を照射してピント合わせをした後撮影することにより、ピンボケの無い画像を撮影することができる。
基台206において撮像部210のY方向側には、検査装置240が備える検査台211が設置されている。検査台211は、電子部品70を検査するときに電気信号を送受信するための治具である。なお、検査装置240は、検査台211と、把持部225と、制御部(制御装置226に含む)とで構成される。検査台211及び把持部225には、電子部品70の電気的特性を計測するための複数のプローブが配置されている。
基台206上において検査台211のY方向側には、除材装置212が設置されている。除材装置212の上面には、Y方向に延びる一対の案内レール213a,213bが全幅にわたり凸設されている。一対の案内レール213a,213bの上側には、直動機構を備えたステージ214が取付けられている。ステージ214の直動機構は、給材装置207が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。ステージ214は、案内レール213a,213bに沿って往動または復動する。ステージ214のZ方向を向く面は載置面214aであり、載置面214aには検査が終了した電子部品70が載置される。
基台206の−X方向には、略直方体状の支持台215が設置されている。支持台215は、基台206に比べてZ方向に高い形状となっている。支持台215においてX方向を向く面には、Y方向に延びる一対のレール216a,216bが、支持台215のY方向全幅にわたり凸設されている。レール216a,216bのX方向側には、一対のレール216a,216bに沿って移動する直動機構を備えたYステージ217が取付けられている。
Yステージ217の直動機構は、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101を用いて構成されている。レール216a,216bの少なくとも一方が、圧電モーター10の被駆動体5に相当する。ここでは、被駆動体5(レール216a,216b)は、直線駆動されるリニア被駆動体である。振動体1(図示省略)は、レール216a,216bの少なくとも一方に当接して、Yステージ217に備えられている。振動体1が振動することにより、固定されたレール216a,216bに対して、相対的にYステージ217がレール216a,216bに沿って往動または復動する。
Yステージ217においてX方向を向く面には、X方向に延在する角柱状の腕部218が設置されている。腕部218において−Y方向を向く面には、X方向に延びる一対のレール219a,219bが腕部218のX方向全幅にわたり凸設されている。一対のレール219a,219bの−Y方向側には、レール219a,219bに沿って移動する直動機構を備えたXステージ220が取付けられている。
Xステージ220の直動機構は、Yステージ217の直動機構と同様に、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101を用いて構成されている。Xステージ220に備えられた振動体1が振動することにより、被駆動体5であるレール219a,219bに対して、相対的にXステージ220がレール219a,219bに沿って往動または復動する。
Xステージ220には、撮像部221及びZ移動装置222が設置されている。撮像部221は、撮像部210と同様な構造と機能を備えている。撮像部221及び撮像部210にて撮像部を構成している。
Z移動装置222は、内部に直動機構を備え、直動機構はZステージを昇降させる。Zステージには、回転装置223が接続されている。Z移動装置222は、回転装置223をZ方向に昇降させることができる。Z移動装置222の直動機構も、Yステージ217及びXステージ220の直動機構と同様に、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101を用いて構成されている。
回転装置223は回転軸223aを備え、回転軸223aには把持部225が接続されている。把持部225には、検査対象となる電子部品70が把持される。回転装置223は、Z方向を軸にして、電子部品70を把持した状態で把持部225を回転させることができる。
回転装置223は、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101を用いて構成され、回転軸223aを所定の角度に回動させる。ここでは、回転駆動される回転軸223aが、圧電モーター10の被駆動体5に相当する。Yステージ217、Xステージ220、Z移動装置222、回転装置223等により可動部224が構成されている。
基台206のX方向側には、制御装置226が設置されている。制御装置226は、電子部品70を検査する検査装置240を含む電子部品検査装置200の動作を制御する機能を備えている。また、制御装置226には、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101の制御部20、駆動回路30、整合回路40、電圧検出部50が含まれている。制御装置226は、入力装置226a及び出力装置226bを備えている。
入力装置226aは、キーボードや入力コネクター等であり、信号やデータの他に操作者の指示を入力する装置である。出力装置226bは、表示装置や外部装置に出力する出力コネクター等であり、信号やデータを他装置へ出力する。出力装置226bは、電子部品検査装置200の状況を操作者に伝達する装置でもある。
電子部品検査装置200では、検査対象となる電子部品70を把持部225に把持して、電子部品搬送装置230の可動部224によりステージ209から検査台211へ搬送して位置決めした後、検査装置240により電気特性の検査を行う。電気特性の検査が終了すると、電子部品搬送装置230の可動部224により電子部品70をステージ214まで搬送する。
第3の実施形態に係る電子部品検査装置200(電子部品搬送装置230)は、可動部224を構成するYステージ217、Xステージ220、Z移動装置222、回転装置223に、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101を備えている。したがって、電子部品検査装置200(電子部品搬送装置230)が設置された環境における温度変化に関わらず、圧電モーター10を安定したトルクで駆動し良好に制御することができるので、可動部224を安定した状態で制御して動作させることができる。
なお、電子部品検査装置200において、上述の電子部品搬送装置230の構成部分の一部を検査装置240側に備える構成としてもよい。
(第4の実施形態)
<ロボット>
次に、第4の実施形態に係るロボットを説明する。第4の実施形態に係るロボットは、ロボットハンドを有し、ロボット及びロボットハンドの関節部の駆動装置として、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101を備えている。第1の実施形態及び第2の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図11は、第4の実施形態に係るロボットハンド及びロボットの構造を示す模式図である。詳しくは、図11(a)はロボットが備えるロボットハンドの構造を示す模式図であり、図11(b)はロボットの構造を示す模式図である。
図11(a)に示すように、ロボットハンド300は、ハンド本体部301と、2つの指部302と、制御装置307と、を備えている。2つの指部302は、ハンド本体部301に設置されている。
2つの指部302は、可動部としての3つの関節部304と3つの指部材303とが交互に接続されて構成されている。3つの関節部304には、それぞれ第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101の圧電モーター10が設けられている。
制御装置307には、制御部20、駆動回路30、整合回路40、電圧検出部50が配置されている。関節部304に設けられた圧電モーター10を駆動することにより、関節部304を回動させて指部302を人間の指のように所望の形態に変形させることが可能になっている。
図11(b)に示すように、ロボット310は、ロボット本体部311と、2つの腕部312と、制御装置317と、を備えている。2つの腕部312は、ロボット本体部311に設置されている。
2つの腕部312は、3つの関節部314と2つの腕部材313とが交互に接続されて構成されている。3つの関節部314には、それぞれ第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101の圧電モーター10が設けられている。腕部312の一端はロボット本体部311に設置され、他端にはロボットハンド300が設置されている。ロボットハンド300は、図11(a)と同様の構成を有する。
制御装置317には、制御部20、駆動回路30、整合回路40、電圧検出部50が配置されている。関節部314に設けられた圧電モーター10を駆動することにより、関節部314を回動させて腕部312を人間の腕のように所望の形態に変形させることが可能になっている。
第4の実施形態に係るロボットハンド300及びロボット310は、関節部304及び関節部314を回動させる装置として、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100、又は第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101を備えている。したがって、ロボットハンド300及びロボット310が設置された環境における温度変化に関わらず、圧電モーター10を安定したトルクで駆動し良好に制御することができるので、関節部304及び関節部314を安定した状態で制御して動作させることができる。
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
例えば、上述した第1の実施形態では、圧電モーターの振動体に屈曲振動が励起される構成であったが、これに限定されるものではない。圧電モーターの振動体に屈曲振動だけでなく縦振動も励起される構成であってもよい。
図12は、変形例1に係る圧電モーターの構成を示す模式図である。図13は、変形例1に係る圧電モーターの駆動装置の要部を示すブロック図である。第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図12に示すように、変形例1に係る圧電モーター10Aは、振動体2と、被駆動体5と、保持部材8と、付勢バネ6と、基台7と、を備えている。
振動体2の電極3の表面は5分割されており、電極部3a,3b,3c,3dに加えて、電極部3eが設けられている。電極部3eは、電極部3a,3bと電極部3c,3dとの間の短手方向中央部に配置されており、電極部3a,3bを合わせた面積(電極部3c,3dを合わせた面積)とほぼ同じ面積を有している。電極部3eは、縦振動用電極として機能する。縦振動とは、振動体2に長手方向に沿って伸縮する振動のことを指す。
図13に示すように、変形例1に係る圧電モーターの駆動装置102は、圧電モーター10Aと、駆動回路30と、制御部20(図1参照)と、整合回路40と、電圧検出部50と、を備えている。圧電モーターの駆動装置102では、圧電モーター10Aに対して、スイッチ12の切り替えにより第1屈曲振動用信号又は第2屈曲振動用信号のいずれかが供給されるとともに、いずれの状態においても縦振動用の駆動信号が供給される。
振動体2の電極部3a,3dに第1屈曲振動用の駆動信号が供給され、電極部3eに縦振動用の駆動信号が供給されると、振動体2の短手方向に沿って屈曲する屈曲振動とともに長手方向に沿って伸縮する縦振動が励振される。このような屈曲振動と縦振動とが合成されて振動体2が励振されることにより、摺動部4は時計回りの楕円軌道を描くように摺動するので、被駆動体5は反時計回りに回転する(図12参照)。
一方、振動体2の電極部3b,3cに第2屈曲振動用の駆動信号が供給され、電極部3eに縦振動用の駆動信号が供給されると、屈曲振動と縦振動とが合成されて振動体2が励振されることにより、摺動部4は反時計回りの楕円軌道を描くように摺動するので、被駆動体5は時計回りに回転する。
このように、変形例1に係る圧電モーターの駆動装置102は、振動体2の電極が5分割され屈曲振動用の電極部3a,3b,3c,3dに加えて縦振動用の電極部3eを有する圧電モーター10Aを備えているが、第1の実施形態と同様に、整合回路40の後段の電圧を検出する電圧検出部50を備えている。そして、電圧検出部50により検出された電圧検出値(Vu)が電圧指令値(Ve)と異なる場合、副制御部22がゲインアンプ32の出力レベルを増減させて出力電圧を電圧指令値(Ve)に近付ける制御を行うので、第1の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置100と同様の効果が得られる。
(変形例2)
また、図14は、変形例2に係る圧電モーターの駆動装置の要部を示すブロック図である。図14に示すように、変形例2に係る圧電モーターの駆動装置103は、変形例1と同様の圧電モーター10Aと、駆動回路30と、制御部20(図1参照)と、第2の実施形態と同様の整合回路40Aと、電圧検出部50と、を備えている。
このように、変形例2に係る圧電モーターの駆動装置103は、変形例1と同様に、振動体2の電極が5分割された圧電モーター10Aを備え、第2の実施形態と同様に、相互インダクタンスを有するインダクター44,45を含む整合回路40Aを備えている。そして、電圧検出部50により検出された電圧検出値(Vu)が電圧指令値(Ve)と異なる場合、副制御部22がゲインアンプ32の出力レベルを増減させて出力電圧を電圧指令値(Ve)に近付ける制御を行うので、第2の実施形態に係る圧電モーターの駆動装置101と同様の効果が得られる。
(変形例3)
また、上述した第2の実施形態では、整合回路40Aに、相互インダクタンスを有するインダクターとしてトロイダルコイルのインダクター44,45を含む構成であったが、これに限定されるものではない。相互インダクタンスを有するインダクターとして、1つのコアに1次側コイルと2次側コイルとを備えたトランスを用いた構成としてもよい。
(変形例4)
また、上述した実施形態では、駆動回路30にデジタルアンプ34を用いていたが、これに限定されるものではなく、駆動回路30にアナログアンプを用いた構成としてもよい。駆動回路30にアナログアンプを用いる場合、PWM部33は削除される。