JP2013120354A - セキュリティ媒体及びそれを用いた真贋判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】真贋判定のための3次元構造物の形状を正確に再現可能なセキュリティ媒体を提供する。
【解決手段】本発明に係るセキュリティ媒体は、マイクロレンズが第1のピッチで配列されたマイクロレンズアレイと、前記マイクロレンズの略焦点位置に配置された3次元微細構造物が、前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで配列された3次元微細構造物アレイと、を備え、前記3次元微細構造物の観察面は、透明材料に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターンの表面に形成された反射層で構成されていることを特徴とする。
【選択図】図12

Description

本発明は、真贋判定を可能とするセキュリティ媒体、特に、直接目視することでは判別不可能な3次元微細構造物を有するセキュリティ媒体、並びに、その真贋判定方法に関する。
金券やID証など、偽造防止を必要とされている媒体において、特殊な装置を必要とすることなく簡易に真贋判定出来ることが求められている一方で、偽造が困難なハイセキュリティ性が求められている。
従来、パールインキやホログラムなど容易に目視判断出来る偽造防止画像形成物や、印刷物の中に2次元の潜像図柄を組込みマイクロレンズによって潜像を発現させて真贋判定可能な偽造防止画像形成物が知られている。また3次元形状を持つ構造物のシートの上にマイクロレンズシートを接着層で接着し、モアレの効果で拡大像を発現させるものも知られている。
特許文献1には、回折構造からなる表示パターンの上側にブレーズド型もしくはバイナリ型のホログラムレンズを重ね合わせることで生じるモアレ効果によって合成像を表示する表示体が開示されている。
特許文献2には、マイクロレンズと顕微鏡レベル構造体を組み合わせ、顕微鏡レベル構造体をモアレ効果で拡大させて見るセキュリティ媒体が開示されている。
特開2009−186544号公報 特表2008−529851号公報
特許文献1に記載の回折構造からなる表示パターンを形成する凹凸の深さは、光の波長程度の数百nm程度である。このような表示パターンは、観察者に対して表示パターンの凹凸を積極的に観察させるものとは異なり、回折像が浮いたり沈んだりして観察される。
また、特許文献2に記載の顕微鏡レベル構造体は、エンボスされた表面に金属層が設けられているため、エンボスにより形成された顕微鏡レベル構造体の形状がなまってしまい、設計時とは異なる形状で観察されるという問題がある。
そのため本発明に係るセキュリティ媒体は、
マイクロレンズが第1のピッチで配列されたマイクロレンズアレイと、
前記マイクロレンズの焦点位置に配置された3次元微細構造物が、前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで配列された3次元微細構造物アレイと、を備え、
前記3次元微細構造物の観察面は、透明材料に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターンの表面に形成された反射層で形成されていることを特徴とする。
さらに本発明に係るセキュリティ媒体において、
第1のピッチで配列された複数のマイクロミラーレンズを有するマイクロミラーレンズアレイと、
前記マイクロミラーレンズの焦点位置に配置された3次元微細構造物が、前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで配列された3次元構造物アレイと、を備え、
前記マイクロミラーレンズの反射面は、透明材料に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターンの表面に形成された反射層で形成されることを特徴とする。
さらに本発明に係るセキュリティ媒体において、
前記反射層は、金属層、高屈折率層にて形成されることを特徴とする。
また本発明に係る真贋判定方法は、前述した何れか1つのセキュリティ媒体を用いて真贋判定を行うことを特徴とする。
本発明によれば、マイクロレンズアレイと3次元微細構造物を重ねることでルーペや顕微鏡などの治具を用いなくても目視による真贋判定が可能となる。また、真贋判定の観察対象として3次元微細構造物を採用したことで、従来の2次元(平面上)に印刷された画像を利用した真贋判定とは異なり、拡大観察される像を模写するだけでは3次元微細構造物を複製することはできず、偽造が困難な構成となっている。
さらに、3次元微細構造物の観察面を、透明材料に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターンの表面に形成された反射層で形成したことで、3次元微細構造物の形状を、反射層で鈍らせることなく略設計時の形状で観察者に観察させることが可能となる。
また、マイクロミラーレンズから射出された反射光により3次元微細構造物の形状を観察させる場合には、マイクロミラーレンズの反射面を、透明材料に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターンの表面に形成された反射層で形成したことで、マイクロミラーレンズから射出される反射光の光路を略設計どおりのものとすることが可能となり、ぼけなどを抑えた3次元微細構造物を観察者に観察させることが可能となる。
本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体を使用したセキュリティカードを示す斜視図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプA)の構成を示す模式図 本発明の実施形態に係る3次元微細構造物、マイクロレンズの配列を示す図 本発明の他の実施形態に係る3次元微細構造物、マイクロレンズの配列を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプA)の実像表示原理を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプA)の虚像表示原理を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプB)の構成を示す模式図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプB)の実像表示原理を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプB)の虚像表示原理を示す図 実像表示時における3次元微細構造物のピッチとピッチ差の関係を示す図 虚像表示時における3次元微細構造物のピッチとピッチ差の関係を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(実施例1:タイプA)の製造過程及びその構成を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(実施例2:タイプB)の製造過程及びその構成を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(実施例3:タイプA)の構成を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(実施例4:タイプB)の構成を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(実施例5:タイプA)の構成を示す図 本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(実施例6:タイプB)の構成を示す図
本発明に係るセキュリティ媒体の実施形態について図を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体を有するセキュリティカードを示す斜視図である。セキュリティ媒体は、クレジットカードやID証、紙幣、金券、有価証券など真贋判定が必要とされる各種カード、紙類などに形成される媒体であって、容易に偽造されないことが必要とされる。
図1に示すセキュリティ媒体5は、クレジットカードのようなセキュリティカード4に設けられた例であって、セキュリティカード4の一部に所定の像が目視可能に形成されている。セキュリティカード4を使用もしくは認証する者は、セキュリティ媒体5に予め定められている像が表示されていることをもって真のセキュリティカード4であることを認証する。以後の説明では、図1に示すように、セキュリティカード4の板面をXY平面にとり、XY平面に垂直かつ使用者が観察する方向をZ軸の正の方向にとって説明する。
図2は、本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプA)の構成を示す模式図であって、セキュリティ媒体の一部を拡大した斜視図となっている。本実施形態のセキュリティ媒体5は、XY平面と平行な面上に配列された3次元微細構造物1と、XY平面と平行な面上に配列されたマイクロレンズ2によって、拡大された3次元微細構造物1の実像もしくは虚像を観察者に観察させる。これは隣接する3次元微細構造物1間の間隔(ピッチw)と隣接するマイクロレンズ2の間隔(ピッチp)の間にわずかなピッチ差を設け、ピッチ差によって発生するモアレ効果を利用したものとなっている。
図3には、図2に記載する3次元微細構造物1のXY平面と平行な面における配列(3次元微細構造物アレイ)、マイクロレンズ2のXY平面と平行な面における配列(マイクロレンズアレイ)が、それぞれ図3(a)、(b)に示されている。本実施形態の3次元微細構造物1、マイクロレンズ2の配列は、どちらも格子状に配列されたものとなっている。図3(a)に示されるように隣接する3次元微細構造物1はX軸方向にピッチw、Y軸方向にピッチzを有して配列されている。ピッチwとピッチzを等距離としてもよい。3次元微細構造物1の形状は、任意な形状とすることができるが、後ほど説明する拡大率の関係を分かりやすくするため、直径hで円形の外形を有するものとしている。
一方、図3(b)に示されるようにマイクロレンズ2は、3次元微細構造物1と同様に格子状に配列されている。そして隣接するマイクロレンズ2は、X軸方向にピッチp、Y軸方向にピッチqを有して配列されている。ただし、このピッチpは3次元微細構造物1のピッチwに対して僅かな差(ピッチ差)を有したものとなっている。このピッチpとピッチqも等距離としてもよい。なお、マイクロレンズ2のピッチqについても、3次元微細構造物1のピッチzと僅かな差(ピッチ差)を有して配列されている。
マイクロレンズ2の大きさは、数十〜数百μm程度の大きさに形成される。一方、マイ
クロレンズ2によって拡大される3次元微細構造物1は、マイクロレンズ2の大きさよりも小さく形成されることとなる。3次元微細構造物1は、秘匿性の都合上、直接目視したときに視認できない程度の大きさとすることが好ましい。
3次元微細構造物1とマイクロレンズ2の配列は、図3のような格子状配列に限らず、例えば、図4のような配列であってもよい。図4の例は、3次元微細構造物1、マイクロレンズ2が亀甲状に配列された例である。図4(a)に示されるように、X軸方向に隣接する3次元微細構造物1は、ピッチwを有して配列される。そして、斜め方向に隣接する3次元微細構造物1に対してもピッチwを有して配列されている。マイクロレンズ2も同様であって、図4(b)に示されるようにX軸方向、斜め方向に隣接するマイクロレンズ2間はピッチpを有して配列されている。本実施形態のセキュリティ媒体は、モアレ効果を利用することで複数の3次元微細構造物1の拡大表示像を重ねて観察者に提示することとしている。そのため、単位面積あたりに配置された3次元微細構造物やマイクロレンズが多いほど、表示像を鮮明なものとすることが可能となる。
では、図2に示した構成のセキュリティ媒体(タイプA)について、その表示原理を図5を用いて説明する。ここではX軸方向に隣接する3次元微細構造物1による表示原理を説明するが、Y軸方向、あるいは、斜め方向に隣接する3次元微細構造物1に対しても同様の表示原理を利用することで、表示像をより鮮明なものとすることが可能となる。
タイプAのセキュリティ媒体は、観察者側に近い側にマイクロレンズ2のレンズ面が配置され、観察者から遠い側に3次元微細構造物1が配置されたレイアウトとされている。図5には、マイクロレンズ2によって形成されるレンズ面と、3次元微細構造物1、並びに観察される実像が模式的に示されている。
3次元微細構造物1は、Z軸方向すなわち観察者の観察方向において、マイクロレンズ2の略焦点位置に配置される。略焦点位置とは、観察者が拡大された3次元微細構造物1を視認できる範囲の位置を意味するものであって、正確な焦点距離に対し約30%範囲以内の位置のことをいう。隣接するマイクロレンズ2間のピッチをp、隣接する3次元微細構造物1間のピッチをw、3次元微細構造物1の直径をh、マイクロレンズ2の曲率半径の中心位置から3次元微細構造物1までの距離をd、3次元微細構造物1の実像とマイクロレンズ2の曲率半径の中心位置までの距離をL、観察される実像の直径をHとする。なお、図はZX平面内での主光線の様子を示したものとなっているが、拡大の様子を分かりやすくするため、3次元微細構造物1とその実像についてはXY平面と平行な面の様子を示したものとしている。図2で説明したように、観察者は、Z軸の正方向を観察方向としてセキュリティ媒体の観察することで、拡大された3次元微細構造物1の像を観察することが可能とされる。
図5のセキュリティ媒体の構成は、マイクロレンズ2のピッチpよりも3次元微細構造物1のピッチwが大きい場合(w>p)の構成となっている。この場合、3次元微細構造物1は、マイクロレンズ2によって拡大像を形成する。所定の距離Lの位置では、ピッチ差(w−p)を起因として、隣接する拡大像が同じ位置あるいは略同じ位置に重なり合うことで実像を形成、すなわち、セキュリティ媒体に対して観察者側に像が形成される。これはいわゆるモアレ効果を利用したものであって、観察者は拡大された3次元微細構造物1を浮いた状態で観察することが可能となる。
このように拡大して観察される3次元微細構造物1の拡大率について検証しておく。図5において幾何学上の相似関係から(1−1)式を導くことができる。
w(L+d)=p/L ・・・(1−1)
(1−1)式を変形すると、
L=dp/(w−p) ・・・(1−2)
同様に、幾何学上の相似関係から(1−3)式を導くことができる。
H=Lh/d ・・・(1−3)
(1−3)式を変形すると、
L=Hd/h ・・・(1−4)
(1−2)式と(1−4)式から、観察される3次元微細構造物1の拡大率αは(1−5)式にて表すことができる。
α=H/h=p/(w−p)・・・(1−5)
以下に、図5のセキュリティ媒体について、拡大率αと観察される像の大きさHの数値実施例を記載しておく。何れの場合も3次元微細構造物1の大きさh(直径)を90μm、3次元微細構造物のピッチwを98.9μmに固定している。
Figure 2013120354
表1から分かるようにピッチ差が小さくなるほど、拡大率α、観察像の大きさは共に大きくなることが分かる。また、1μmのピッチ差が拡大率に大きく影響を及ぼすこともみてとれる。3次元微細構造物1とマイクロレンズ2とのピッチ差を精密に異ならせて製造することは難しいため、その複製を困難な状態とし、容易に偽造や改ざんを行うことを防止することが可能となる。
図6は、図5と同様、観察者側にマイクロレンズ2が配置されているセキュリティ媒体(タイプA)であって、3次元微細構造物1のピッチwよりもマイクロレンズ2のピッチpが大きい場合(p>w)の構成となっている。図6には、マイクロレンズ2によって形成されるレンズ面と、3次元微細構造物1、並びに観察される虚像が模式的に示されている。
3次元微細構造物1は、観察者の観察方向において、マイクロレンズ2の略焦点位置に配置される。略焦点位置とは、観察者が拡大された3次元微細構造物1を視認できる範囲の位置を意味するものであって、正確な焦点距離に対し約30%範囲以内の位置のことをいう。隣接するマイクロレンズ2間のピッチをp、隣接する3次元微細構造物1間のピッチをw、3次元微細構造物1の直径をh、マイクロレンズ2の曲率半径の中心位置から3次元微細構造物1までの距離をd、3次元微細構造物1から実像までの距離をL、観察される実像の直径をHとする。
この場合、3次元微細構造物1は、マイクロレンズ2によって拡大像を形成する。このとき所定の距離Lの位置では、ピッチ差(p−w)を起因として、隣接する拡大像が同じ位置あるいは略同じ位置に重なり合うことで虚像を形成する。すなわち、セキュリティ媒体に対して観察者と反対側に像を形成する。観察者は拡大された3次元微細構造物1を沈んだ状態で観察することが可能となる。
このように拡大して観察される3次元微細構造物1の拡大率について検証しておく。図6において幾何学上の相似関係から(2−1)式を導くことができる。
w/L=p/(L+d) ・・・(2−1)
(2−1)式を変形すると、
L=dw/(p−w) ・・・(2−2)
同様に、幾何学上の相似関係から(2−3)式を導くことができる。
d/h=(d+L)/H ・・・(2−3)
(2−3)式を変形すると、
L=d(H/h−1) ・・・(2−4)
(2−2)式と(2−4)式から、観察される3次元微細構造物1の拡大率αは(2−5)式にて表すことができる。
α=H/h=p/(p−w)・・・(2−5)
図2に示されるようなタイプAのセキュリティ媒体では、観察者側に配列されたマイクロレンズ2を介して、観察側に対して反対側(観察者側からみて遠い側)に配列された3次元微細構造物の実像あるいは虚像を拡大観察することが可能とされている。本実施形態のセキュリティ媒体は、このような構成(タイプA)のみならず、次のような構成(タイプB)を採用することもできる。
図7は、本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプB)の構成を示す模式図であって、セキュリティ媒体の一部を拡大した斜視図となっている。本実施形態のセキュリティ媒体5は、XY平面上に配列された3次元微細構造物1と、XY平面上に配列されたマイクロミラーレンズ3によって、拡大された3次元微細構造物1の実像もしくは虚像を観察者に観察させることを可能としている。
3次元微細構造物1の配列(3次元微細構造物アレイ)、マイクロミラーレンズ3の配列(マイクロミラーレンズアレイ)は、図7、図3に示すように格子状あるいは図4で説明したように亀甲状にて配置される。本実施形態の3次元微細構造物1並びにそれが配置されたシートは透明部材によって構成されている。一方、マイクロミラーレンズ3は、Z軸負の方向に凹面を向けた反射面を有し、観察方向(Z軸負側から正側に向かう方向)から入射する光を反射させる。マイクロミラーレンズ3で反射された光は、3次元微細構造物1を透過し、観察者に対して3次元微細構造物1の実像もしくは虚像を拡大表示する。
図8は、観察者側に3次元微細構造物1が配置されたセキュリティ媒体(タイプB)であって、3次元微細構造物1のピッチwよりもマイクロミラーレンズ3のピッチpが大きい場合(p>w)の構成となっている。図8には、マイクロミラーレンズ3によって形成されるミラー面と、3次元微細構造物1、並びに観察される実像が模式的に示されている。
3次元微細構造物1は、観察者の観察方向において、マイクロミラーレンズ3の略焦点位置に配置される。略焦点位置とは、観察者が拡大された3次元微細構造物1を視認できる範囲の位置を意味するものであって、正確な焦点距離に対し約30%範囲以内の位置の
ことをいう。隣接するマイクロミラーレンズ3間のピッチをp、隣接する3次元微細構造物1間のピッチをw、3次元微細構造物1の直径をh、マイクロミラーレンズ3の曲率半径の中心位置から3次元微細構造物1までの距離をd、3次元微細構造物1からその実像までの距離をL、観察される実像の直径をHとする。図7に示されるように、観察者は、Z軸の正方向を観察方向としてセキュリティ媒体の観察することで、拡大された3次元微細構造物1の像を観察することが可能とされる。
この場合、マイクロミラーレンズ3から射出される反射光は、3次元微細構造物1を透過して拡大像を形成する。このとき所定の距離Lの位置では、ピッチ差(p−w)を起因として、隣接する拡大像が同じ位置あるいは略同じ位置に重なり合うことで実像を形成する。これもタイプAのセキュリティ媒体と同様、モアレ効果を利用したものであって、観察者は、拡大された3次元微細構造物1を浮いた状態で観察することが可能となる。
このように拡大して観察される3次元微細構造物1の拡大率について検証しておく。図8において幾何学上の相似関係から(3−1)式を導くことができる。
w/L=p/(L+d) ・・・(3−1)
(2−1)式を変形すると、
L=dw/(p−w) ・・・(3−2)
同様に、幾何学上の相似関係から(3−3)式を導くことができる。
d/h=(d+L)/H ・・・(3−3)
(2−3)式を変形すると、
L=d(H/h−1) ・・・(3−4)
(3−2)式と(3−4)式から、観察される3次元微細構造物1の拡大率αは(3−5)式にて表すことができる。
α=H/h=p/(p−w)・・・(3−5)
一方、図9は、図8と同様、観察者側に3次元微細構造物1が配置されているセキュリティ媒体(タイプB)であって、マイクロミラーレンズ3のピッチpよりも3次元微細構造物1のピッチwが大きい場合(w>p)の構成となっている。図9には、マイクロミラーレンズ3によって形成されるミラー面と、3次元微細構造物1、並びに観察される虚像が模式的に示されている。
3次元微細構造物1は、観察者の観察方向において、マイクロミラーレンズ3の略焦点位置に配置される。略焦点位置とは、観察者が拡大された3次元微細構造物1を視認できる範囲の位置を意味するものであって、正確な焦点距離に対し約30%範囲以内の位置のことをいう。隣接するマイクロミラーレンズミラー3間のピッチをp、隣接する3次元微細構造物1間のピッチをw、3次元微細構造物1の直径をh、マイクロミラーレンズミラー3の曲率半径の中心位置から3次元微細構造物1までの距離をd、3次元微細構造物1からその虚像までの距離をL、観察される実像の直径をHとする。
この場合、マイクロミラーレンズ3から射出された反射光は、3次元微細構造物1を透過して拡大像を形成する。所定の距離Lの位置では、ピッチ差(w−p)を起因として、隣接する拡大像が同じ位置あるいは略同じ位置に重なり合うことで虚像を形成する。観察者は拡大された3次元微細構造物1を沈んだ状態で観察することが可能となる。
このように拡大して観察される3次元微細構造物1の拡大率について検証しておく。図9において幾何学上の相似関係から(4−1)式を導くことができる。
w/L=p/(L−d) ・・・(4−1)
(1−1)式を変形すると、
L=dw(w−p) ・・・(4−2)
同様に、幾何学上の相似関係から(4−3)式を導くことができる。
h/d=H/(L−d) ・・・(4−3)
(4−3)式を変形すると、
L=d(H/h+1) ・・・(4−4)
(4−2)式と(4−4)式から、観察される3次元微細構造物1の拡大率αは(4−5)式にて表すことができる。
α=H/h=p(p−w) ・・・(4−5)
タイプA、タイプBのセキュリティ媒体それぞれについて、w>pの場合と、w<pの場合の拡大率について検討したが、次にw>pの場合(ケース1)、w<pの場合(ケース2)のそれぞれについて、3次元微細構造物のピッチwの好適とされる範囲について検討する。ここではマイクロレンズ2を使用したタイプAについて検討するが、マイクロミラーレンズ3を用いたタイプBについても同様である。
まず、w>pの場合(ケース1)について3次元微細構造物1のピッチwの上限、下限について説明する。
3次元微細構造物1に対するピッチ差(w−p)の比率をA[%]とすると、
3次元微細構造物1に対するマイクロレンズ2のピッチ差は、
w−p=w×A/100 ・・・(5−1)
で表すことができる。このピッチ差を用いてマイクロレンズ2のピッチpは、
p=w(1−A/100) ・・・(5−2)
と表すことができる。
ケース1の場合、拡大率αは(1−5)式で表すことができる。ピッチw内に位置する3次元微細構造物1は、ピッチwと拡大率αの積となる大きさβを上限として観察されることとなる。
β=w×α=w(p/w−p) ・・・(5−3)
観察時における大きさβを2000[μm](2[mm])以上の大きさに設定することを考えると(5−3)式から
w(p/w−p)≧2000 ・・・(5−3)’
の関係が必要となる。(5−3)’式に(5−2)式を代入すると、
100w/(2000+w)≧A ・・・(5−3)’’
なる関係が得られ、3次元微細構造物1に対するピッチ差(w−p)の比率Aは、3次元微細構造物1のピッチwに依存することが分かる。
図10は、(5−3)’’をグラフ化した図であって、w>pの場合(ケース1)における3次元微細構造物のピッチwと、ピッチwに対するピッチ差(w−p)の比率Aを示した図である。実線は(5−3)’’において、大きさβがちょうど2000[μm]となる値を示している。この実線よりも下方、図ではドットが付された領域内では大きさβは2000[μm]よりも大きい値となる。
3次元微細構造物1のピッチwの上限は300[μm]以下に設定することが好ましい。3次元微細構造物1のピッチwを300[μm]以上とすると、レンズ等の拡大手段を用いなくてもピッチw内に配置される3次元構造物1を目視で容易に観察可能となる。したがって、偽造や改ざんを防止する上では目視で観察できない大きさにピッチwを設ける
ことが好ましい。さらに好ましくは、ピッチwの上限を100[μm]に設定することとする。目視での観察をより困難な状態とし、偽造、改ざんをさらに抑制することが可能となる。
一方、マイクロレンズ2のピッチpは、3次元微細構造物1のピッチwと同様に300[μm]以下とすることが好ましく、100[μm]以下の大きさに設定することがさらに好ましい。観察される実像または虚像は1個のマイクロレンズ2を1画素として観察される。ピッチpが300[μm]以上になると画素が粗くなり解像度の低い観察像となってしまう。一方、ピッチpが100[μm]以下では画素が目視でほとんど見えなくなり解像度の高い像を提供することが可能となる。
また3次元微細構造物1のピッチwの下限は10[μm]とすることが好ましい。これは、ピッチ差(w−p)の比率Aを理由とするものである。本実施形態ではモアレ効果を利用して像を拡大する関係上、3次元微細構造物1とマイクロレンズ2のピッチ差が重要である。しかしながら、ピッチ差の比率Aは0.5[%]以上の精度で合わせ込むことは困難である。したがって、3次元微細構造物1のピッチwの下限は、β=2000[μm]におけるピッチ差の比率A=0.5[%]としたときの値である10[μm]に設定することが好ましい。
次に、w<pの場合(ケース2)について3次元微細構造物1のピッチwの上限、下限について説明する。
3次元微細構造物1のピッチwに対するピッチ差(p−w)の比率をA[%]とすると、
3次元微細構造物1のピッチwに対するマイクロレンズ2のピッチ差は、
p−w=w×A/100 ・・・(6−1)
で表すことができる。このピッチ差を用いてマイクロレンズ2のピッチpは、
p=w(1+A/100) ・・・(6−2)
と表すことができる。
ケース2の場合、拡大率αは(2−5)式で表すことができる。ピッチw内に位置する3次元微細構造物1は、ピッチwと拡大率αの積となる大きさβを上限として観察されることとなる。
β=w×α=w(p/p−w) ・・・(6−3)
観察時における大きさβを2000[μm](2[mm])以上の大きさに設定することを考えると(6−3)式から
β=w(p/p−w)≧2000 ・・・(6−3)’
の関係が必要となる。(6−3)’式に(6−2)式を代入すると、
β=100w/(2000−w)≧A ・・・(6−3)’’
なる関係が得られ、3次元微細構造物1に対するピッチ差(p−w)の比率Aは、ケース1の場合と同様、3次元微細構造物1のピッチwに依存することが分かる。
図11は、(6−3)’’をグラフ化した図であって、w<pの場合(ケース2)における3次元微細構造物のピッチwと、ピッチwに対するピッチ差(p−w)の比率Aを示した図である。実線は(6−3)’’において、大きさβがちょうど2000[μm]となる値を示している。この実線よりも下方、図ではドットが付された領域内では大きさβは2000[μm]よりも大きい値となる。
ケース1の場合と同様、3次元微細構造物1のピッチwの上限は、偽造や改ざん抑制の観点から300[μm]以下に設定することが好ましい。さらには100[μm]に設定
することが好ましい。
また、ケース1の場合と同様、マイクロレンズ2のピッチpについては、300[μm]以下の大きさに設定することが好ましく、100[μm]以下の大きさに設定することがさらに好ましい。
また、ケース2の場合、3次元微細構造物1のピッチwの下限は10[μm]とすることが好ましい。これはケース1の場合と同様、ピッチ差の比率Aを0.5[%]以上に合わせ込むことが困難であることを理由としている。したがって、3次元微細構造物1のピッチwの下限は、β=2000[μm]におけるピッチ差の比率A=0.5[%]としたときの値である10[μm]に設定することが好ましい。
では、本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体の製造過程(製造方法)、並びに、その構成の実施例を説明する。本実施形態のセキュリティ媒体は、3次元微細構造物1もしくはマイクロレンズ2(マイクロミラーレンズミラー3)のどちらか一方を、2枚のプラスチックシートで挟持一体化することで、挟持された対象物の取り出し、及び、その複製を困難な状態しとし、容易に偽造や改ざんを行うことを防止することが可能となる。
(実施例1)
図12には、セキュリティ媒体(タイプA)の製造過程及びその構成が示されている。図12(a)はセキュリティ媒体の製造過程を、また、図12(b)はセキュリティ媒体の構成(図1におけるA−A’間のZX平面での断面図)が示されている。なお、図1において実際に利用可能なセキュリティカード4を構成する場合、図12に図示した以外の層が設けられる場合がある。
実施例1のセキュリティ媒体は、2枚のプラスチックシート31、32の間に3次元微細構造物1を有する3次元微細構造物シート10を挟持一体化することで形成される。まず、この3次元微細構造物シート10の製造過程について説明する。
工程1:Si基板の上にポジレジスト(東京応化工業社製PMER P−LA900PM)を20μmの膜厚で塗布し、フォトマスクを介して、ステッパ露光、現像処理、Alスパッタを施し、1つ90μmの大きさ(高さ5μm)の3次元微細構造物1を有する凹凸パターンを20mm×20mmのエリア内にX方向99μm、Y方向99μmピッチで配列したレジスト原版を作製する。
工程2:工程1で作製したレジスト原版の上にUV硬化樹脂12を滴下し、PETなどを材料とする基材11を被せた後、365nmのUV(紫外線)を照射して硬化させ、レジスト原版から剥離することで表面に3次元微細構造物1が形成された複製版を作製する。なお、基材11、UV硬化樹脂12は、使用時において光を透過できるよう透明な材質が選定される。また工程2で作製した複製版を原版として、工程2と同様の工程を複数回繰り返すことで、複製版の複製版や複製版の複製版の複製版を作製し、工程3で用いてもよい。大量生産時に、工程1で作製したレジスト原版を繰り返し使う必要がなくなり、生産性が向上するためである。
工程3:工程2の複製版の3次元微細構造物1の表面に反射層13を形成する。本実施形態では、Al(アルミニウム)を約30nmスパッタすることで3次元微細構造物1の表面に反射層13を形成している。反射層13は、このようにAlなどの金属層を設けることなどで完全反射型とする構成以外に、高屈折率層、薄い金属層、あるいは多層膜を設けることで半透過型とすることとしてもよい。
工程4:抜き刃を用いて、工程3で反射層13が形成された複製版を15mm×15mmに打ち抜き、3次元微細構造物シート10が作製される。
本実施形態では、このように3次元微細構造物1の形成にあたり、光硬化性樹脂としてUV硬化樹脂を用いることとしたが、このほか材料には熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を用いることや、製法には熱プレスを用いて形成することとしてもよい。
このような工程で作製された3次元微細構造物シート10は、2枚のプラスチックシート31、32に挟持され、熱インプリント装置にて熱プレスすることでカード化、すなわち、図1に示されるような実際に使用されるセキュリティカード4と同じ面形状を有するセキュリティ媒体5として作製される。その際、本実施形態では熱プレスを行う際に、マイクロレンズ2を同時にプラスチックシート31上に賦形することで、工程の簡略化が図られている。
2枚のプラスチックシート31、32間で挟持一体化される3次元微細構造物シートの位置、特に3次元微細構造物のZ軸方向の位置は、プラスチックシート31の厚みを選択することで制御することが可能である。図5、図6で説明したように距離dを含むレンズ面と3次元微細構造物1のZ軸方向の位置合わせは、ぼけの少ない像を形成するために重要である。挟持一体化の過程、すなわち熱プレスを経た完成後のセキュリティ媒体からは、レンズ面と3次元微細構造物1の距離を特定することは困難となるため、このような製造工程は、複製防止効果に役立つこととなる。
マイクロレンズ2の賦形は、熱プレスする際に使用される金型51に賦形されたマイクロレンズ賦形部52によって行われる。本実施形態では、150mm×150mmの大きさのSUS板の表面に版面形成用の銅めっき層を設け、銅めっき層にエッチングによってマイクロレンズを形成後、クロムめっきを施して、15mm×15mmのエリア(マイクロレンズ賦形部52)内にX方向100μm、Y方向100μmピッチで多数配列したマイクロレンズ2の金型51(原版)を作製した。
セキュリティ媒体は、工程1〜工程4の製造工程で作製された3次元微細構造物シート10を2枚のプラスチックシート31間に挟んだ状態で、マイクロレンズ賦形部52を有する金型51と金型50との間で熱プレスすることでカード化される。その際、3次元微細構造物シート10上にマイクロレンズ賦形部52が位置するように金型51の位置決めされる。
このように作製されたセキュリティ媒体において、マイクロレンズ2部分を観察することで拡大された3次元微細構造物1を観察することができた。
また、このように3次元微細構造物1の観察面を、透明材料であるUV硬化樹脂12に形成された凹凸パターンと、凹凸パターンの表面に形成された反射層13の境界面で形成することにより、マイクロレンズ2から入射する光は、レジスト原版でUV硬化樹脂12に賦形された3次元微細構造物1の表面で直接反射して、観察者に拡大像を提示する。観察者は、賦形時における3次元微細構造物1の形を観察することとなり、エッジ鈍り等を抑えた先鋭な形状を観察することが可能となる。なお、本発明における透明材料において、「透明」とは、観察環境にて使用される光の透過度が高度に高いものだけではなく、観察者が3次元微細構造物1の観察面を観察可能な程度であるものも含むものである。
(実施例2)
図13には、セキュリティ媒体(タイプB)の製造過程及びその構成が示されている。図13(a)〜(c)はセキュリティ媒体の製造過程を、また、図13(d)はセキュリ
ティ媒体の構成(図1におけるA−A’間のZX平面での断面図)が示されている。なお、図1において実際に利用可能なセキュリティカード4を構成する場合、図13に図示した以外の層が設けられる場合がある。
実施例2のセキュリティ媒体は、2枚のプラスチックシート31、32の間にマイクロミラーレンズ3を有するマイクロミラーレンズシート20を挟持一体化することで形成される。まず、このマイクロミラーレンズシート20の製造過程について説明する。
工程1:Si基板の上にポジレジスト(東京応化工業社製PMER P−LA900PM)を20μmの膜厚で塗布し、フォトマスクを介して、ステッパ露光、現像処理、Alスパッタを施し、20mm×20mmのエリア内に、X方向100μm、Y方向100μmピッチで多数配列したマイクロレンズアレイの原版を作製する。
工程2:工程1で作製したマイクロレンズアレイの原版の上にUV硬化樹脂22を滴下し、PETなどを材料とする基材21を被せた後、365nmのUV(紫外線)を照射して硬化させ、レジスト原版から剥離することで表面にマイクロミラーレンズ3の原型を有する複製版を作製する。なお、基材21、UV硬化樹脂22は、使用時において光を透過できるよう透明な材質が選定される。また工程2で作製した複製版を原版として、工程2と同様の工程を複数回繰り返すことで、複製版の複製版や複製版の複製版の複製版を作製し、工程3で用いてもよい。大量生産時に、工程1で作製したレジスト原版を繰り返し使う必要がなくなり、生産性が向上するためである。
工程3:工程2の複製版のマイクロミラーレンズ3の表面に反射層23を形成する。本実施形態では、Al(アルミニウム)を約30nmスパッタすることでマイクロミラーレンズ3の表面に反射層13を形成している。前述した実施例と同様、反射層13には、完全反射型、半透過型、どちらを採用することとしてもよい。
工程4:抜き刃を用いて、工程3で反射層13が形成された複製版を15mm×15mmに打ち抜き、マイクロミラーレンズシート20が作製される。
このような工程で作製されたマイクロミラーレンズシート20は、2枚のプラスチックシート31、32に挟持され、熱インプリント装置にて熱プレスすることで、図14(b)に示されるようなプラスチックシート31、32の間にマイクロミラーレンズシート20を挟持一体化されたシートが形成される。本実施形態では、このように作製されたシート上に3次元微細構造物1を賦形することで、セキュリティ媒体が作製される。
Si基板の上にポジレジスト(東京応化工業社製PMER P−LA900PM)を20μmの膜厚で塗布し、フォトマスクを介して、ステッパ露光、現像処理、Alスパッタを施し、15mm×15mmのエリア内(3次元微細構造物賦形部53)に、1つ90μmの大きさ(高さ4μm)の凹凸パターンからなる3次元微細構造物1をX方向99μm、Y方向99μmピッチで配列した3次元微細構造物1のレジスト原版を作製する。
作製されたレジスト原版にUV硬化樹脂を滴下し、上から青板ガラスを被せて、UV光を照射して硬化させ、レジスト原版から剥離して複製版54を作製する。
図13(b)のシート上にUV硬化樹脂を滴下し、マイクロレンズ2が形成されている位置に複製版54を重ねて位置合わせし、青板ガラス55側からUV光を照射して硬化させ、複製版54を剥離することで、シート上に3次元微細構造物1が賦形され、セキュリティ媒体が完成する。図13(c)には、その工程が、また、図13(d)には完成時のセキュリティ媒体の様子が示されている。
このように作製されたセキュリティ媒体において、マイクロミラーレンズ3からの反射光にて拡大された3次元微細構造物1を観察することができた。
また、このようなマイクロミラーレンズ3の裏面、すなわち、観察側とは反対側に反射層23が設けられることで、設計時の反射光光路を略再現することが可能となり、歪みの少ない3次元微細構造物1の像を観察者に提示することが可能となる。
また、このようにマイクロミラーレンズ3の反射面を、透明材料であるUV硬化樹脂22に形成された凹凸パターンと、凹凸パターンの表面に形成された反射層23の境界面で形成することにより、マイクロミラーレンズ3の設計時の反射光光路を略再現することが可能となり、歪みの少ない3次元微細構造物1の像を観察者に提示することが可能となる。なお、本発明における透明材料において、「透明」とは、観察環境にて使用される光の透過度が高度に高いものだけではなく、マイクロミラーレンズ3による反射光にて、観察者が3次元微細構造物1を観察可能な程度であるものも含むものである。
(実施例3)
図14は、本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプA)の別の構成を示す図であって、紙幣や有価証券などにラベルとして貼着する形態となっている。以下に、この製造工程を説明する。
工程1:Si基板の上にポジレジスト(東京応化工業社製PMER P−LA900PM)を10μmの膜厚で塗布し、フォトマスクを介して、ステッパ露光、現像処理、ポストベークを施し、1つ90μmの大きさ(凹凸方向の深さ約4μm)の凹凸パターンを有する3次元微細構造物を20mm×20mmのエリア内にX方向99μm、Y方向99μmピッチで配列した3次元微細構造物1の原版を作製する。
工程2:150mm×150mmの大きさのSUS板の表面に版面形成用の銅めっき層を設け、銅めっき層にエッチングによってマイクロレンズを形成後、クロムめっきを施して、20mm×20mmのエリア内にX方向100μm、Y方向100μmピッチで配列したマイクロレンズ2の原版を作製する。
工程3:プラスチックシートなど1枚の基材41の両側に、工程1と工程2で作製した原版が対面になるように配置して熱プレスすることで、基材41の両面に3次元微細構造1とマイクロレンズ2が賦形される。
工程4:工程3で作製した複製版の3次元微細構造の表面(観察する方向と逆側)に反射層42を形成する。本実施形態では、Al(アルミ)を約50nmスパッタすることで3次元微細構造物1の表面に反射層42を形成している。このようにマイクロレンズ2と3次元微細構造物1が1枚の基材に設けられた形態においても、3次元微細構造物1の観察面は、透明材料であるUV硬化樹脂12に形成された凹凸パターンと、凹凸パターンの表面に形成された反射層で形成されているため、3次元微細構造物1の原版によって形成された形状を直接観察することが可能となっている。なお、前述した実施例と同様、反射層13には、完全反射型、半透過型、どちらを採用することとしてもよい。
工程5:反射層42側にヒートシール61を約5μm塗布し、有価証券などの被着体33に貼付可能な構成としている。
工程6:工程5の中のマイクロレンズアレイと3次元微細構造のパターン部分を15mm×15mmで打ち抜くことで、貼付可能なラベル形態としてのセキュリティ媒体が完成
する。
このような工程で完成したセキュリティ媒体は、有価証券などに貼付することで真贋判定に利用することが可能となる。セキュリティ媒体のマイクロレンズ2を介して観察することで、拡大された3次元微細構造物1を観察することが可能となる。
(実施例4)
図15には本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプB)の別の構成が示されている。製造過程は実施例3とほぼ同様であって、2つの原版で挟むことで基材41の両面にマイクロミラーレンズ3と3次元微細構造物1が形成される。このタイプBの実施例ではマイクロミラーレンズ3側に反射層42が形成される。このようにタイプBのセキュリティ媒体についても、マイクロミラーレンズ3の反射面を、透明材料であるUV硬化樹脂22に形成された凹凸パターンと、凹凸パターンの表面に形成された反射層23の境界面で形成することにより、設計時の反射光光路を略再現することが可能となり、歪みの少ない3次元微細構造物1の像を観察者に提示することが可能となる。
実施例3、実施例4は1枚の基材の両面に3次元微細構造物1と、マイクロレンズ2もしくはマイクロミラーレンズ3を設けることとしているが、これら両面に設けられる光学要素を異なる2枚のシートによって構成し、互いに貼り合わせることでセキュリティ媒体を構成してもよい。
(実施例5)
図16には、本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプA)のさらに別の構成が示されている。この実施例のセキュリティ媒体は、マイクロレンズシート70と3次元微細構造物シート10を粘着層62を介して互いに貼り合わせることで構成されている。マイクロレンズシート70、3次元微細構造物シート10は、それぞれ基材71、11上にUV硬化樹脂を設けて構成されており、図12で説明した3次元微細構造物シート10、図13で説明したマイクロミラーレンズシート20と同様の製造過程で作製することができる。
また、このタイプAのセキュリティ媒体では、3次元微細構造物シート10に形成される3次元微細構造物1の観察面は、透明材料であるUV硬化樹脂12に形成された凹凸パターンと、凹凸パターンの表面に形成された反射層で形成されており、原版などで形成された3次元微細構造物1の形状を直接観察することが可能となっている。
(実施例6)
図17には、本発明の実施形態に係るセキュリティ媒体(タイプB)のさらに別の構成が示されている。このタイプBの実施例ではマイクロミラーレンズ3側に反射層23が設けられる。このようにタイプBのセキュリティ媒体についても、マイクロミラーレンズ3の反射面を、透明材料であるUV硬化樹脂22に形成された凹凸パターンと、凹凸パターンの表面に形成された反射層23の境界面で形成することにより、設計時の反射光光路を略再現することが可能となり、歪みの少ない3次元微細構造物1の像を観察者に提示することが可能となる。
なお、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
1…3次元微細構造物
2…マイクロレンズ
3…マイクロミラーレンズ
4…セキュリティカード
5…セキュリティ媒体
10…3次元微細構造物シート
11…基材
12…UV硬化樹脂
13…反射層
15…観察者の眼
15a…観察方向
20…マイクロミラーレンズシート
21…基材
22…UV硬化樹脂
23…反射層
31、32…プラスチックシート
33…被着体
41…基材(プラスチックシート)
42…反射層
50…金型(基台)
51…金型
52…マイクロレンズ賦形部
53…3次元微細構造物賦形部
61…ヒートシール
62…粘着層
70…マイクロレンズシート
71…基材
72…UV硬化樹脂

Claims (4)

  1. マイクロレンズが第1のピッチで配列されたマイクロレンズアレイと、
    前記マイクロレンズの焦点位置に配置された3次元微細構造物が、前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで配列された3次元微細構造物アレイと、を備え、
    前記3次元微細構造物の観察面は、透明材料に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターンの表面に形成された反射層で形成されていることを特徴とする
    セキュリティ媒体。
  2. 第1のピッチで配列された複数のマイクロミラーレンズを有するマイクロミラーレンズアレイと、
    前記マイクロミラーレンズの焦点位置に配置された3次元微細構造物が、前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで配列された3次元構造物アレイと、を備え、
    前記マイクロミラーレンズの反射面は、透明材料に形成された凹凸パターンと、前記凹凸パターンの表面に形成された反射層で形成されることを特徴とする
    セキュリティ媒体。
  3. 前記反射層は、金属層、高屈折率層にて形成されることを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載のセキュリティ媒体。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載のセキュリティ媒体を用いて真贋判定を行うことを特徴とする
    真贋判定方法。
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