JP2013117499A - 放射線遮蔽材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡スチロール、軽量気泡コンクリートおよび発泡ウレタンからなる群から選択される少なくとも1の層を有することを特徴とする放射線遮蔽材。
【選択図】なし
Description
上記放射線遮蔽材は、発泡スチロール、軽量気泡コンクリートおよび発泡ウレタンからなる群から選択される少なくとも1の層、並びに、鉛板、鉄板、アルミ板、並びに、鉛粉、活性炭およびゼオライトのうち少なくとも一種を含有する塗料によって形成された塗膜からなる群から選択される少なくとも1の層を有することがより好ましい。
本発明は上述した放射線遮蔽材を使用して得られたことを特徴とする放射性物質保管容器でもある。
(放射線遮蔽能の測定方法)
遮蔽された空間において、遮蔽物をはさむように、線源と線量計(Radi PA−300、株式会社堀場製作所)を向かい合わせに置いた。測定期間中の、遮蔽物がないときの値は約1.6μSv/hrから1.7μSv/hrの間であった。
まず、向かい合わせに置いた線源と線量計との間に何も置かない状態で、線量を独立して7回測定し、これらの値からバックグラウンドを引いた値の平均を算出した。(以下、この値を「直接線量」と呼ぶ)。次に、向かい合わせに置いた線源と線量計との間に被測定サンプルを置き、このときの線量を独立して7回測定し、これらの値からバックグラウンドを引いた値の平均を算出した。(以下、「透過線量」と呼ぶ)。
遮蔽率は、上述のように測定された直接線量、透過線量の値から、次のような計算式を用いて算出された。
遮蔽率=100×(直接線量−透過線量)/直接線量 (式1)
本実施例では、各種材質の板状遮蔽物を単独で用いた場合の、放射線遮蔽効果を調べた。
(実施例1−1)
発泡スチロール板による放射線の遮蔽、発泡スチロール板の厚みと遮蔽率との関係、および発泡スチロール板の密度と遮蔽率との関係――
31.7kg/m3、17.8kg/m3、8.2kg/m3という密度を有する発泡スチロール板を用意した。本明細書では、それらを密度の高い順から、高密度発泡スチロール板、中密度発泡スチロール板、低密度発泡スチロール板と呼ぶこととする。また、用意されたそれら発泡スチロール板の大きさは、密度の高い順から、50mm厚×20cm×30cm、20mm厚×10cm×19.5cm、30mm厚×20cm×30cmであった。また、発泡スチロール板の厚みと遮蔽率の関係を調べる際、発泡スチロールの厚みは同じ種類の板を重ねることで調整された。
軽量気泡コンクリートによる放射線の遮蔽、および軽量気泡コンクリートの厚みと遮蔽率との関係
試験を行った軽量気泡コンクリートの大きさは、38mm厚×20cm×20cmであった。密度は570kg/m3であった。また、軽量気泡コンクリートの厚みと遮蔽率の関係を調べる際、その厚みは同じものを重ねることで調整された。
種々の厚みの軽量気泡コンクリートの遮蔽率の測定結果を表4に示す。それぞれの値は平均値±S.D.(n=7)で表す。この結果、厚みが114mmの時の遮蔽率は約9割であった。軽量気泡コンクリートは、壁材などの建築材として利用できる範囲内の厚みで、高い遮蔽率を有することがわかった。また、表4の測定値を厚み―遮蔽率グラフ上にプロットしたものを図2に示す。このグラフ上のプロットに対して近似曲線を計算した結果、厚みと遮蔽率の関係は、
(遮蔽率)= 7×10−5×(厚み)3−0.0219×(厚み)2 +2.3642×(厚み) (式2)
で表されることがわかった。そこでこの関係式を用いて、遮蔽率が約100%になる場合の厚みを計算した結果、その厚みは約153mmであった。このことから、軽量気泡コンクリートを用いれば、建築材として利用しやすい厚みで顕著な遮蔽効果を得られると考えられる。
鉄板による放射線の遮蔽、および鉄板の厚みと遮蔽率との関係
試験を行った鉄板の大きさは、8mm厚×20cm×30cmの鉄板であった。また、鉄板の厚みと遮蔽率の関係を調べる際、その厚みは同じものを重ねることで調整された。
種々の厚みの鉄板の遮蔽率の測定結果を表5に示す。それぞれの値は平均値±S.D.(n=7)で表す。また、表5の測定値を厚み―遮蔽率グラフ上にプロットしたものを図3に示す。このグラフ上のプロットに対して近似曲線を計算した結果、厚みと遮蔽率の関係は、
(遮蔽率)=0.0014×(厚み)3−0.1325×(厚み)2 +5.5389×(厚み) (式3)
で表されることがわかった。そこでこの関係式を用いて、遮蔽率が約100%になる場合の厚みを計算した結果、その厚みは約36mmであった。
鉛板による放射線の遮蔽、および鉛板の厚みと遮蔽率との関係
測定に使用した鉛板の大きさは、2mm厚×15cm×15cmであった。また、鉛板の厚みと遮蔽率の関係を調べる際、その厚みは同じものを重ねることで調整された。
種々の厚みの鉄板の遮蔽率の測定結果を表6に示す。それぞれの値は平均値±S.D.(n=7)で表す。また、表6の測定値を厚み―遮蔽率グラフ上にプロットしたものを図4に示す。このグラフ上のプロットに対して近似曲線を計算した結果、厚みと遮蔽率の関係は、
(遮蔽率)=12.03×(厚み) (式4)
で表されることがわかった。そこでこの関係式を用いて、遮蔽率が約100%になる場合の厚みを計算した結果、その厚みは約8.3mmであった。
本実施例では、実施例1で調査された各種材質の板状遮蔽物を組み合わせて、積層体として用いた場合の放射線遮蔽効果を調べる。使用した高密度発泡スチロール板、鉛板、軽量気泡コンクリート、および鉄板は上記で使用されたものである。これら板状遮蔽物を組み合わせて、以下のIからVの積層体を作製した。
積層体IIは,鉄板および軽量気泡コンクリートをそれぞれ線源側から、鉄板(厚み24mm)−軽量気泡コンクリート(厚み114mm)の順で積層したものである。
積層体IIIは、鉛板および軽量気泡コンクリートをそれぞれ線源側から,軽量気泡コンクリート(厚み38mm)−鉛板(厚み2mm)−軽量気泡コンクリート(厚み38mm)の順で積層したものである。
積層体IVは、鉛板および軽量気泡コンクリートをそれぞれ線源側から,軽量気泡コンクリート(厚み38mm)−鉛板(厚み2mm)−軽量気泡コンクリート(厚み38mm)−鉛板(厚み2mm)−軽量気泡コンクリート(厚み38mm)の順で積層したものである。
積層体Vは、高密度発泡スチロールおよび鉛板をそれぞれ線源側から,高密度発泡スチロール(厚み50mm)−鉛板(厚み2mm)−高密度発泡スチロール(厚み50mm)−鉛板(厚み2mm)−高密度発泡スチロール(厚み50mm)の順で積層したものである。
以上のIからVの積層体の遮蔽率の測定結果を表7に示す。9割以上の遮蔽率を有する積層体の中で最も薄かったのは、積層体IVであった。このことから、軽量気泡コンクリートと鉛板とを交互に積層することで、比較的薄い厚みで、遮蔽率の高い積層体を作製できることがわかった。
本実施例では、耐候性処理が放射線遮蔽率に及ぼす影響を調べる。上記で使用した高密度発泡スチロールの片面に耐候性処理を施し、その遮蔽率を、耐候性処理を施さなかったものと比較した。それぞれの遮蔽率の測定結果を表8に示す。この結果から、耐候性処理は少なくとも遮蔽率の低下は引き起こさないことが分かった.
本実施例では、鉛粉末懸濁塗料の塗布が放射線遮蔽率に及ぼす影響を調べる。
鉛粉末を懸濁した塗料を塗布した低密度発泡スチロール板の遮蔽率
鉛粉末を塗料中に懸濁し、上記で用いた低密度発泡スチロール板の片面に塗布した。塗料に懸濁された状態で塗布された鉛粉末の密度は,0.028Kg/m2,0.056Kg/m2,0.083Kg/m2の3種類であった。次に、同じ鉛粉末密度で塗布されたものどうしを1枚から3までの間で積層し、その時の遮蔽率を測定した。結果を表9および図5に示す。
図5から、全体の厚みが30mmの場合,最も高い密度で鉛粉末が塗布された発泡スチロール(図5,0.083kg−Pb/m2)の遮蔽率は,それより低い密度で鉛粉末が塗布された発泡スチロールの遮蔽率と比べて,有意に高いことは明らかである。このことは,鉛粉末を含む塗料の塗布は,遮蔽率向上のための有効な手段になりうることを示している。
上記で使用された、片面に耐候性処理が施された高密度発泡スチロール板に,鉛粉末を懸濁した塗料を塗布し、その時の遮蔽率を調べた.ただし,塗料を塗布した面は,耐候性処理を施した面と反対側の面であった.塗料に懸濁された状態で塗布された鉛粉末の密度は、0.017Kg/m2,0.033Kg/m2,0.050Kg/m2の3種類であった.また,これら3種類の板を1枚ずつ積層した場合の遮蔽率も調べた.さらに,これら3種類の板のうち,鉛粉末の密度が0.056Kg/m2になるように塗料が塗布されたもの1枚と,耐候性処理が施されただけのもの2枚とを積層した場合の遮蔽率も調べた.これらの結果を表10に示す。
本実施例では、発泡ウレタンのみ、および、発泡ウレタンとアルミ板とを組み合わせて積層体として用いた場合の放射線遮蔽効果を調べる。使用した発泡ウレタンの大きさは、40mm厚×20cm×30cmであった。密度は35kg/m3であった。また、使用したアルミ板の大きさは、0.15mm厚×20cm×30cmであった。これらを組み合わせて、以下のVIからIX積層体を作製した。遮蔽率の測定結果を表11に示す。それぞれの値は平均値±S.D.(n=7)で表す。
積層体VIは、アルミ板および発泡ウレタンをそれぞれ線源側から、アルミ板(厚み0.15mm)−発泡ウレタン(厚み40mm)−アルミ板(厚み0.15mm)の順で積層したものである。
積層体VIIは、アルミ板および発泡ウレタンをそれぞれ線源側から、アルミ板(厚み0.15mm)−発泡ウレタン(厚み40mm)の順で積層したものである。
積層体VIIIは、アルミ板および発泡ウレタンをそれぞれ線源側から、発泡ウレタン(厚み40mm)−アルミ板(厚み0.15mm)の順で積層したものである。
IXは、発泡ウレタン(厚み40mm)単独である。
本実施例では、活性炭含有塗料およびゼオライト含有塗料の塗布が放射線遮蔽率に及ぼす影響を調べる。活性炭が10%添加された水性塗料、ゼオライトが5%あるいは10%添加された水性塗料をろ紙に塗布し、遮蔽率を測定した結果を表12に示す。測定の繰り返し回数は7回であり、遮蔽率は、平均値±標準偏差で示す。なお、ろ紙のみの場合と比較した時の有意差を、T−testにより検定した。塗料を塗布したすべての場合において、studentのT−testによって計算されたP値が0.001以下であった。このことから、実施例で使用された塗料の塗布は、有意に遮蔽率を向上することがわかる。
Claims (5)
- 軽量気泡コンクリート、および発泡スチロール、発泡ウレタンのような発泡樹脂からなる群から選択される少なくとも1の層を有することを特徴とする放射線遮蔽材。
- 軽量気泡コンクリート、および発泡スチロール、発泡ウレタンのような発泡樹脂からなる群から選択される少なくとも1の層、並びに、鉛板、鉄板、アルミ板のような金属板、並びに、鉛粉のような金属粉末、活性炭のような木質炭化素材、およびゼオライトのような岩石粉末のうち少なくとも一種を含有する塗料あるいは表面処理剤によって形成された塗膜からなる群から選択される少なくとも1の層を有することを特徴とする請求項1記載の放射線遮蔽材。
- 上記放射線遮蔽材は、板状である請求項1又は2記載の放射線遮蔽材。
- 請求項1、2又は3記載の放射線遮蔽材を使用して得られたことを特徴とする放射性物質保管容器。
- 請求項1、2又は3記載の放射線遮蔽材を使用して得られたことを特徴とする建築材料。
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JP2015055562A (ja) * | 2013-09-12 | 2015-03-23 | 勝 狩野 | 放射線遮蔽材及び放射線廃棄物保管容器、及び放射線廃棄物保管容器の製造方法 |
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