以下、本発明を適用した支承構造について図面を参照して、下記の順に沿って説明する。
1.支承構造の説明
2.支承装置の説明
3.弾性体及び拘束体の説明
4.支承装置の動作説明
5.摺滑部材の説明
6.ガイド部材の説明
7.作用効果
8.支承構造の変形例1の説明
9.支承構造の変形例2の説明
10.支承構造の変形例3の説明
11.支承構造の変形例4の説明
12.支承構造の変形例5の説明
13.支承構造の変形例6の説明
14.支承構造の変形例7の説明
15.支承構造の変形例8の説明
16.支承構造の変形例9の説明
17.支承構造の変形例10の説明
18.その他の変形例
[1.支承構造の説明]
図1に示すように、本発明を適用した支承構造1は、橋桁等の上部構造物2と橋脚や橋台といった下部構造物3との間に配設された支承装置10と、この支承装置10と上部構造物2との間に介在され、支承装置10を摺滑させる摺滑部材11と、支承装置10を摺滑可能に支持すると共に摺滑の際にガイドするガイド部材12とを備えている。
[2.支承装置の説明]
図1に示すように、支承装置10は、橋桁等の上部構造物2と橋脚や橋台といった下部構造物3との間に装着して水平荷重や鉛直荷重、回転荷重等の各種の荷重を支えると共に、地震や風、動的又は静的交通荷重等による揺動や振動、応力を吸収、分散しつつ、支承する橋梁用支承装置である。勿論、本発明の支承装置10は、橋梁に対する適用に止まらず、建築物や建造物、文化財等々適宜の構造体の支承装置として適用することが出来る。この支承装置10は、第一剛性体としての上沓20と第二剛性体としての下沓21との間に支承体となる弾性体22が介在されている。また、弾性体22は、上沓20又は下沓21(ここでは上沓20)に固定された拘束体23によって囲繞されている。
上沓20は、金属やセラミックス、或いは硬質樹脂やFRPの如くの強化樹脂等の剛性素材によって構成することが好ましいが、必ずしも剛性素材に限定されるものではなく、弾性素材や剛性素材と弾性素材とを組み合せた材料によっても構成することが出来る。各種素材から構成される上沓20は、平面形状が略多角形、略円形、略長円径、略楕円形等の適宜の形状に設定することが出来るが、方形又は円形とすること、望ましくは方形とすることが力学上、製造上、或いは施工上、交換上有利である。なお、上沓20は、外表面を全体的に弾性体等の被覆層で覆って、耐候性、防錆効果を得るように構成しても良い。このような上沓20は、摺滑部材11を介在させて、ガイド部材12によって上部構造物2に摺滑可能に支持されている。
図1においては、上沓20は、橋軸直角方向(幅方向)の長さが上部構造物2の幅方向の長さと略同じになるように形成されているが、これに限定されるものではなく、幅方向の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも短くなるように形成されても良く、長くなるように形成されていても良い。
下沓21は、上沓20と同様に、金属やセラミックス、或いは硬質樹脂やFRPの如くの強化樹脂等の剛性素材によって構成することが好ましいが、必ずしも剛性素材に限定されるものではなく、弾性素材や剛性素材と弾性素材とを組み合せた材料によって構成することも出来る。各種素材から構成される下沓21は、平面形状が略多角形、略円形、略長円径、略楕円形等の適宜の形状に設定することが出来るが、方形又は円形とすること、望ましくは方形とすることが力学上、製造上、又は施工上、交換上で有利である。下沓21の平面形状等は、必ずしも上沓20と一致させる必要はないが、各部のサイズと、凸部や凹部の形状や位置等は下沓21の設定と上沓20の設定を互いに整合させる必要がある。なお、下沓21は、外表面を全体的に弾性体等の被覆層で覆って、耐候性、防錆効果を得るように構成することも出来る。
更に、下沓21は、例えばアンカボルト、ナット等の固定部材4によって下部構造物3に固定されている。この際、下沓21を下部構造物3に対して直接的に固定しても良いが、ここでは、下沓21よりも広面積の板状をなす下部プレート24を用いて下沓21を下部構造物3に対して間接的に固定している。下沓21の下部構造物3への固定方法は、これらの例に限定されるものではない。なお、下沓21の直接的又は間接的な固定は、着脱可能な方法とするのが好ましく、アンカボルト、ナット等による締結はその一例である。
[3.弾性体及び拘束体の説明]
ここで用いられる弾性体22は、例えば、弾性層22aと補強板22bとが積層された積層構造の弾性体である。弾性体22は、内部に補強板22bが設けられ、弾性層22aが複数設けられ、補強板22bと弾性層22aとが加硫接着によって相互に接着されている。また、弾性体22は、上面と下面も上板22cと下板22dとが加硫接着され補強されている。
ここで、弾性層22aとしては、天然ゴムや合成ゴム、熱可塑性エラストマや熱硬化性エラストマを用いることができ、これらの中でも天然ゴムを主成分として使用することが好ましい。具体的なエラストマ成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(臭素化、塩素化等)、アクリルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ化ゴム、多硫化ゴム、ハイパロン、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−メチルアクリレート共重合体、スチレン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、ポリオレフィン系エラストマ、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、エポキシ化天然ゴム、trans−ポリイソプレン、ノルボルネン開環重合体(ポリノルボルネン)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ハイスチレン樹脂、イソプレンゴム等のゴムを一種単独、或いは二種以上を併用することが出来る。そして、補強板22bや上板22cや下板22dは、鉄板といった剛性の鋼材が用いられている。以上のような積層型の弾性体22は、荷重が加わったとき、自由側面となっている補強板22bの間の弾性層22aの側面が荷重の大きさに応じて側方に僅かに膨出する特性を有する。
弾性体22の周囲には、周回り方向に、凸部25と凹部26とが設けられている。凸部25と凹部26は、図1の例では、互いに平行に、周回り方向に連続して設けられている。勿論、凸部25と凹部26は、周回り方向に断続的に設けられていても良い。特に、弾性体22では、自由側面となっている弾性層22aの側面に凸部25が設けられ、補強板22bの位置に凹部26が設けられている。勿論、これとは逆に、弾性層22aの位置に凹部26を設け、補強板22bの位置に凸部25を設けるようにしても良い。
以上のような弾性体22は、下沓21に固定された芯材27の大径部28に配設され、支持される。弾性体22は、上沓20と下沓21との間を接着して高支圧化しても良いが、接着しないことにより、良好な回転追従性を実現することも出来る。
なお、以上の例では、弾性体22が積層型である場合を説明したが、本発明での弾性体22は、図2に示すように、凸部25や凹部26を設けながらも、内部に鉄板といった剛性の補強板が設けられていない弾性層が一つ(単層)のものであっても良い。また、図3に示すように、弾性体22としては、高さ(厚さ)方向に、凸部25や凹部26を設けたものであっても良い。図3の例では、弾性層が単層でも良いが、図1の例のように、補強板を有する積層型であっても良い。更に、図4に示すように、側面に凸部25や凹部26を有しない弾性体22であっても良い。この場合も、弾性体22は、弾性層が単層でも良いが、補強板を有する積層型であっても良い。また、図1−図4の弾性体22の大きさは、拘束体23内に挿入するとき、拘束体23に嵌合する大きさでも良いが、組立性を考慮して、一回り小さくして、拘束面23aと弾性体22の側面との間に間隙を設けるようにしても良い。更に、図4の例では、拘束体23の拘束面23aに凸部25及び/又は凹部26を設けるようにしても良い。以下の説明では、図1に示した凸部25や凹部26を有する積層型の弾性体22を例に説明する。
以上のように構成される弾性体22は、図1に示すように、拘束体23によって囲繞されている。拘束体23は、弾性体22の外径よりやや大きい内径を有する円筒体であり、上沓20又は下沓21の何れか、図1では上沓20に固定されている。例えば、拘束体23は、ねじ締結体等の固定部材29によって、上沓20に固定されている。なお、拘束体23は、その他に、溶接や従来公知の固定方法等によって、上沓20又は下沓21の何れかに固定されるようにしても良い。
更に、下沓21には、芯材27が固定され、上揚防止部と水平変位防止部となっている。具体的に、芯材27は、ベースプレートとなる下沓21に下端部が固定される。芯材27は、大径部28となる頭部を有する金属性のボルト状部材からなり、先端部である大径部28が拘束体23内に配設され、弾性体22をほぼ密閉状態に拘束して高支圧化させるピストンのように機能する。この芯材27は、下沓21のネジ穴30に螺合されることによって固定される。なお、芯材27の下沓21への固定構造も、これに限定されるものではなく、例えば芯材27のネジ穴に、下沓21の下面から挿通させた固定ボルトを螺合して固定するようにしても良い。なお、大径部28も、例えば芯材27の先端部に設けたネジ部を別部材の大径部のネジ穴に螺合して固定するようにしても良い。
芯材27と一体の大径部28は、ネジ等の固定部材31によって拘束体23の下面に固定された上揚防止片32と係合する。下沓21と一体の芯材27の大径部28は、上揚防止部ともなって、上沓20に上揚力が加わったとき、上沓20側の上揚防止片32が係止されることで、上沓20と下沓21とが乖離することを防止する。即ち、芯材27の大径部28は、拘束体23内に配設されることで、弾性体22の鉛直方向の変位を許容し、また、水平変位防止部となって、芯材27で水平方向の変位を規制する。これにより、過剰に上沓20と下沓21とが水平方向において相対変位することを防止することが出来る。更に、上揚防止片32と下沓21との間は、間隙が設けられており、鉛直下向きに変位して、上沓20が下沓21側に移動した際にも、上揚防止片32が下沓21に突き当たらないようにしている。なお、上揚防止片32は、固定部材31を用いる他に、溶接や従来公知の固定方法等によって、拘束体23に固定されるようにしても良い。
即ち、支承装置10は、上沓20側の拘束体23と、下沓21側に設けられ弾性体22を支持する大径部28を有する芯材27とが配設されることで、弾性体22の剪断変形を抑制する機能や、弾性体22をほぼ密閉状態に拘束して高支圧化させるピストンの役割を実現し、下沓21に支持された弾性体22は、上面が上沓20、側面が拘束体23によって包囲され、半密閉の空間に配設されることになる。支承装置10は、半密閉のゴム支承となり、鉛直面内における回転に必要とされる鉛直撓みを可能としながらも小さな支承面積にして高荷重を支承することが可能となる。
この支承装置10の組立方法について説明すると、拘束体23に芯材27を挿入し、芯材27を下沓21のネジ穴30に固定する。これにより、拘束体23内には、大径部28によって、弾性体22を収納するポット部が形成される。この後、ポット部には、弾性体22が芯材27の上に配置される。この後、拘束体23には、上沓20が固定部材29によって結合される。勿論、支承装置10の組立方法は、上記の例に限定されるものではない。
なお、弾性体22と拘束体23との間は、潤滑剤を充填するようにし、低摩擦にして、弾性体22が拘束体23内で円滑に鉛直変位出来るようにしても良い。また、拘束体23の拘束面23aを鏡面加工し、低摩擦にして、弾性体22が拘束体23内で円滑に鉛直変位出来るようにしても良い。
ここで、弾性体22と拘束体23との大きさの関係について説明すると、図1の例では、支承装置10が上部構造物2と下部構造物3との間に設置され、支承装置10に対する上部構造物2の荷重によって弾性体22が変形している状態(例えば死荷重が加わった状態)において、弾性体22の側面の凸部25が拘束体23の内周面の拘束面23aに当接した状態となるように構成されている。つまり、上部構造物2と下部構造物3との間に設置される前は、弾性体22の側面の凸部25が拘束体23の内周面の拘束面23aとの間において非接触の状態で、隙間が設けられた状態となっており、上部構造物2と下部構造物3との間に設置されると、上部構造物2の死荷重によって、弾性体22の側面の凸部25が拘束体23の内周面の拘束面23aに当接した状態となる。なお、死荷重の載荷時には、弾性体22の側面の凸部25が拘束体23の内周面の拘束面23aと非接触で、通常の使用範囲を超える高い荷重(例えば例えば大型車両等の交通荷重による活荷重)があった際に、弾性体22の側面の凸部25が拘束体23の内周面の拘束面23aと当接し、更なる高荷重の入力によって拘束面23aに凸部25、並びに、凹部26の膨出変形した部分が圧接されるようにしても良い。なお、弾性体22の側面に高さ方向の凸部25と凹部26がある場合、弾性体22を、拘束体23内のポット部に容易に収納することが出来る。
[4.支承装置の動作説明]
以上のような支承装置10では、上部構造物2と下部構造物3との間に設置されると、図1に示すように、弾性体22が、通常の使用範囲の荷重(例えば死荷重や死荷重+車両通行時の活荷重)によって、圧縮され、弾性体22の凸部25は、弾性体22を囲繞した拘束体23の拘束面23aに近接又は当接した位置となる。支承装置10は、弾性体22が鉛直荷重の大きさに応じた弾性変形をし、この弾性変形によって側面の凸部25が凹部26により構成された隙間を埋めるように変形しながら、拘束体23の拘束面23aに圧接される。即ち、弾性体22の変位量は、拘束体23によって制限される。
更に、弾性体22の凸部25及び凹部26と拘束体23の拘束面23aとの関係を説明すると、積層型の弾性体22は、自由側面の弾性層22aの位置に凸部25を設け、補強板22bの位置に凹部26を設けるようにしている。この場合、凸部25は、荷重が加わった際、弾性層22aの自由側面が膨出することで、凹部26より先に拘束体23の拘束面23aに強く圧接される。積層型の弾性体22は、従来最も膨出量が多い補強板間の位置の弾性層22aに凸部25を設けた上、拘束体23の拘束面23aによってこの凸部25周辺の膨出量が拘束されているので、高荷重が入力されている際でも内部の補強板22bの周囲における弾性層22aに対する局部応力が緩和される。また、内部の補強板22bが高荷重によっても潰れにくくなり、補強板22bを薄くすることが出来、支承装置10の全体の薄型化を実現出来る。なお、補強板22bの位置を凸部25とし、弾性層22aの位置を凹部26としても良い。この場合、凹部となっている弾性層22aの自由側面が僅かに膨出することで、凸部25と凹部26の部分が同じように拘束体23の拘束面23aと当接され均等に圧接されるようにすることが出来る。
そして、支承装置10は、上沓20側の拘束体23と、下沓21側に設けられ弾性体22を支持する大径部28を有する芯材27とが配設されることで、大径部28が上沓20と下沓21の間に配設される弾性体22の剪断変形を抑制する機能や、弾性体22をほぼ密閉状態に拘束して高支圧化させるピストンの役割を実現し、下沓21に支持された弾性体22は、上面が上沓20、側面が拘束体23によって包囲され、半密閉の空間に配設されることになり、半密閉のゴム支承となり、鉛直面内における回転に必要とされる鉛直撓みを可能としながらも小さな支承面積にして高荷重を支承することが可能となる。
また、低荷重から高荷重の入力に亘って鉛直面内における回転力の作用時には、弾性体22が拘束体23によって部分的に支持されながらも凸部25又は凹部26による隙間により弾性体22が変形し、弾性体22への極端な負荷なく、良好な回転追従性を実現出来る。
ここで、図5に、鉛直方向の変位量と鉛直荷重との関係を示す。
線A・・・一般的な積層ゴム支承
なお、ここで言うゴム支承は、弾性体が積層ゴムであり、内部に複数枚の鋼板が設けられた地震時水平力分散型ゴム支承や免震支承であり、密閉ゴム支承ではなく、荷重が加わった際の変位が拘束されていない支承である。
線B・・・拘束体23の内径(ポット部の内径)に対して弾性体22の外形を小さくし、凸部25と凹部26を大きく形成して、拘束面23aと弾性体22の側面との間の隙間を大きくしたときの特性を示す。(隙間大)
線C・・・拘束面23aと弾性体22の側面との間の隙間を線Bの場合より小さくしたときの特性を示す。(隙間中)
線D・・・拘束面23aと弾性体22の側面との間の隙間を最も小さくしたときの特性を示す。(隙間小)
線E・・・拘束面23aと弾性体22の側面との間の隙間を設けない密閉ゴム支承。回転追従性能を有するが、鉛直方向の弾性変位はほとんど無く、金属支承の扱いとなる。
なお、本発明では、線A−Eの何れの支承装置も適用可能である。
図5の線Aで示すゴム支承では、鉛直荷重が大きくなるに連れて鉛直変位量もほぼ比例的に大きくなり、グラフの傾き(拘束度又はバネ定数)はほぼ一定である。弾性体22の側面に凸部25と凹部26を設けた線B−Dの例によれば、鉛直荷重が大きくなるに連れて鉛直変位量も大きくなるが、その特性は非線形となる。即ち、鉛直変位に対する鉛直荷重反力の大きさを表すグラフの傾き(拘束度又はバネ定数)は、鉛直変位が大きくなるほど大きくなる。このように、弾性体22の側面に凸部25と凹部26を設けたときには、大きな荷重が入力されたときほど、より高度な密閉状態に変化して鉛直変位量の増加量が小さくなるような特性で、即ち、拘束度を可変として、上部構造物2を支承することが出来る。即ち、この支承装置10では、適度な鉛直可撓性を有しながら高荷重を支持することが出来る。また、線B−Dの例を見ると、隙間が小さい程、鉛直変位に対する鉛直荷重反力の大きさを表すグラフの傾きの緩やかな範囲(一次勾配)を狭く設定することが出来る。即ち、鉛直変位が小さくなる。更に、線Eの密閉ゴム支承では、鉛直方向の弾性変位はほとんど見られない。
特に、弾性体22の側面に凸部25と凹部26を設けた線B−Dの例によれば、高荷重が加わると、鉛直可撓変位が小さくなり、密閉ゴム支承のように挙動する。従って、線B−Dの例では、支承する上部構造物2の種類、用途等に応じて、線B−Dの使用範囲を設定していくことになる。例えば、死荷重に活荷重が加わった状態が、グラフの急勾配(二次勾配)の領域に含まれるようにすることで、活荷重の大小による鉛直撓み幅を狭くすることが出来るようになり、車両通過時の振動や騒音を低減することが出来るようになる。なお、低荷重域(一次勾配)では、鉛直撓みがあるため、線B−Dの支承装置は、弾性支承装置に属する扱いとし得る。
[5.摺滑部材の説明]
摺滑部材11は、図1に示すように、上部構造物2と上沓20との間に配設されている。摺滑部材11としては、例えば、ステンレスや、フッ化炭素樹脂の一種であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から成る低摩擦係数の表面を有するプレート等であり、上沓20の上面20a及び/又は上部構造物2の下面2aに固定されている。なお、図1においては、摺滑部材11は、上沓20の上面20aの全面に配設されている。これにより、支承装置10は、上部構造物2と摺滑部材11との間の最大静止摩擦力以上の水平力が生じると、上部構造物2に対して摺滑部材11で摺滑し、それ以上水平力が入力されることを防止出来る。従って、支承装置10は、上部構造物2と下部構造物3との間の大きな相対変位を吸収することが出来る。なお、この際、上部構造物2は、下部構造物3に設けられたダンパー又はストッパによって所定の抵抗をもって水平力を分散させるようにしても良い。即ち、支承装置10は、摺滑部材11によって、可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。更に、摺滑部材11は、上沓20の上面20aの全面に配設されることに限定されるものではなく、一部に配設されるようにしても良い。
更に、上部構造物2の下面2aには、ステンレス板等の上部構造物2よりも低摩擦係数の表面を有する上部プレート33が固定されている。この上部プレート33は、図1に示すように、上部構造物2の下面2aの全面に配設されるようにしても良く、一部に配設されるようにしても良い。更に、摺滑部材11及び上部プレート33の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、さらに摺滑部材11(上沓20)と上部プレート33(上部構造物2)との間の低摩擦化を図るようにしても良い。
なお、上部構造物2の下面2aには、上部プレート33が固定される代わりに、鏡面加工が施されて、さらに摺滑部材11(上沓20)と上部構造物2との間の低摩擦化を図るようにしても良い。更に、この場合、摺滑部材11及び上部構造物2の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、さらに摺滑部材11(上沓20)と上部構造物2との間の低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、摺滑部材11は、上沓20の上面20aに固定されることに限定されるものではなく、上部構造物2の下面2aに固定されるようにしても良い。この場合、摺滑部材11は、上部構造物2の下面2aの全面に配設されるようにしても良く、一部に配設されるようにしても良い。また、この場合には、上沓20の上面20aが鏡面加工されて、さらに摺滑部材11(上部構造物2)と上沓20との間の低摩擦化を図るようにしても良い。更に、摺滑部材11及び上沓20の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、さらに摺滑部材11(上部構造物2)と上沓20との間の低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、摺滑部材11が上部構造物2の下面2aに固定された場合、上沓20の上面20aには、図1に示すような摺滑部材11が上沓20の上面20aに固定された場合と同様に、ステンレス板等の上沓20よりも低摩擦係数の表面を有する上部プレート33が固定されるようにしても良い。この際、上部プレート33は、上沓20の上面20aの全面に配設されるようにすることが好ましいが、一部に配設されるようにしても良い。更に、摺滑部材11及び上部プレート33の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、さらに摺滑部材11(上部構造物2)と上部プレート33(上沓20)との間の低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、摺滑部材11は、上部構造物2の下面2a及び上沓20の上面20aに固定されて、さらに上部構造物2と上沓20との間の低摩擦化を図るようにしても良い。また、摺滑部材11を上部構造物の下面2a及び上沓20の上面20aに設けずに、摺滑部材11の代わりに、上部構造物の下面2a及び/又は上沓20の上面20aに鏡面加工を施して、上部構造物2と上沓20との間の低摩擦化を図るようにしても良い。更に、上部構造物の下面2aと上沓20の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、さらに上部構造物2と上沓20との間の低摩擦化を図るようにしても良い。
[6.ガイド部材の説明]
図1及び図6に示すように、ガイド部材12は、上端部12aに、内側に張り出した凸条の係合部34が形成された断面略L字状の長尺部材である。ここでは、ガイド部材12は、橋軸方向(長さ方向)の長さが上沓20の長さ方向の長さと略同じ長さとなるように設けられている。このようなガイド部材12は、例えば、上沓20の橋軸方向に沿って橋軸直角方向に一対、互いの係合部34が向かい合うように配設され、係合部34が上部構造物2の上面2bと係合するように、ねじ締結体等の固定部材35によって、上沓20の側面部20cに固定されている。なお、ガイド部材12は、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短く設けられるようにしても良い。また、ガイド部材12は、その他に、溶接や従来公知の固定方法等によって、上沓20の側面部20cに固定されるようにしても良い。
このようなガイド部材12は、上沓20の側面部20cに固定されて側面部12cが上部構造物2の側面に当接され、係合部34が上部構造物2の上面2bと係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止する。即ち、支承装置10は、ガイド部材12によって、可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に取り付けられる。
なお、図7に示すように、上沓20は、上部構造物2の下面2aに支承装置10を中心に橋軸方向に所定の距離離間して配設された一対のストッパ部材37,37に当接して橋軸方向の移動が規制されるようにしても良い。例えば、ストッパ部材37,37は、ねじ締結体等の固定部材36によって上部構造物2の下面2aに固定されている。なお、ストッパ部材37,37は、その他に、溶接や従来公知の固定方法等によって、上部構造物2の下面2aに固定されるようにしても良い。
また、ストッパ部材37は、上部構造物2の上面2bに固定されて、係合部34が当接されることで、上沓20の橋軸方向の移動を規制するようにしても良い。更に、ストッパ部材37は、上部構造物2の上面2b及び下面2aに固定されて、上沓20及び係合部34が当接されることで、上沓20の橋軸方向の移動を規制するようにしても良い。更にまた、ストッパ部材37は、図7に示すようなブロック部材に限定されるものではなく、上沓20及び/又は係合部34が当接されることで、上沓20の橋軸方向の移動を規制するものであれば如何なるものでも良く、例えば、ボルト等であっても良い。
[7.作用効果]
以上のように、本発明を適用した支承構造1は、上部構造物2と支承装置10の上沓20との間に配設された摺滑部材11が支承装置10を摺滑し、この上沓20の側面部20cに設けられたガイド部材12が上部構造物2の上面2bと係合し、上沓20を、上部構造物2に対して摺滑可能に支持すると共に、上沓20が上部構造物2に対して摺滑した際にガイドするので、支承装置10を可動型弾性支承装置として用いることが出来る。従って、本発明を適用した支承構造1は、支承装置10と摺滑部材11との間の最大静止摩擦力以下の水平力が作用している間は弾性体22にせん断変形が生じ、支承装置10と摺滑部材11との間の最大静止摩擦力以上の水平力が生じると、支承装置10が摺滑部材11を摺滑し、それ以上水平力が作用することを防止出来、また、支承装置10の上沓20及び下沓21の大きな相対変位を吸収することが出来る。
更に、本発明を適用した支承構造1は、ガイド部材12が上沓20の側面部20cに固定されているので、支承装置10が上部構造物2と下部構造物3との間に配設された後に、ガイド部材12を上沓20の側面部20cに取り付けることが出来る。即ち、ガイド部材12は、後付けすることが出来る。従って、本発明を適用した支承構造1は、施工現場において、固定型の支承装置である支承装置10を、可動型ゴム支承装置として機能するように、上部構造物2と下部構造物3との間に容易に取り付けることが出来る。
[8.支承構造の変形例1の説明]
図8に示すように、変形例1の支承構造110では、ガイド部材12の係合部34がガイド部材12の本体部12eとは別体に設けられている。この係合部34は、例えば、ねじ締結体等の固定部材38によってガイド部材12の本体部12eに固定されている。
このような支承構造110にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。更に、このような支承構造110では、ガイド部材12を、係合部34が一体のものよりも、安価に製造することが出来る。
なお、係合部34は、その他に、溶接やボルト及びナット等の従来公知の固定方法等によって、ガイド部材12の本体部12eに固定されるようにしても良い。
[9.支承構造の変形例2の説明]
変形例2の支承構造120は、図9に示すような構成を有する。この支承構造120の支承装置10は、上沓20に表裏面に貫通した貫通孔121が穿設されている。貫通孔121には、上沓20の上面側から芯材122が挿入され、芯材122の先端部が上沓20の上面から突出することなく、上沓20が鉛直下向きに変位する分を考慮して、先端部が一段低くなるように収容されている。この貫通孔121の開口端には、上揚防止片121aがフランジ状に形成されている。また、拘束体23は、上沓20の外周部に、上述の例と同様、固定部材29で固定されている。拘束体23の下沓21側の先端部は、下沓21の外周部の外側に位置し、固定されていない。これにより、上沓20は、鉛直荷重の入力があったとき、弾性体22を圧縮しながら鉛直下向きに変位することが出来る。即ち、拘束体23の下沓21側の先端部は、下沓21の外周部の外側に位置することで、上沓20と下沓21の間に配設される弾性体22の剪断変形を抑制する機能や、弾性体22を略密閉状態に拘束して高支圧化させるシリンダの役割を実現する。かくして、下沓21に支持された弾性体22は、上面が上沓20、側面が拘束体23によって包囲され、略密閉された空間に配設される。従って、支承構造120の支承装置10は、略密閉ゴム支承となり、小さな支承面積にして高荷重を支承することが可能となる。
貫通孔121に挿通される芯材122は、大径部123となる頭部を有する金属性のボルト状部材から成り、先端部である大径部123が上沓20の貫通孔121の内部に収容可能な大きさに設定されている。この芯材122は、上沓20の貫通孔121より弾性体22の略中央部に形成された挿通孔124に挿通され、更に、下沓21の弾性体22の支持面側に形成されたネジ穴125に螺合されることによって固定される。芯材122は、貫通孔121より挿入され、ネジ穴125に固定されたとき、大径部123が貫通孔121内に先端部が一段低くなるように収容される。この芯材122は、下沓21に固定されることで、上沓20と下沓21とが水平方向に相対変位しようとした際に、芯材122が上揚防止片121aの先端面又は貫通孔121の側面に突き当たり、下沓21に固定された芯材122によって上沓20の変位が制限される。即ち、芯材122は、水平変位防止部として機能して、過剰に上沓20と下沓21とが水平方向において相対変位することを防止する。更に、芯材122の大径部123は、貫通孔121の上揚防止片121aの開口径より大きく、上揚防止片121aと係合する。芯材122は、上沓20に上揚力が加わったとき、下沓21に固定された芯材122の大径部123に上揚防止片121aが係止されることによって、上沓20と下沓21とが乖離することを防止する。即ち、大径部123は、上揚防止部としても機能することになる。
更に、支承構造120は、図1に示す支承構造1と同様に、ガイド部材12が上沓20の側面部20cに固定されて側面部12cが上部構造物2の側面部に当接され、係合部34が上部構造物2の上面2bと係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止することが出来る。これにより、このような支承構造120にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。
なお、支承構造120は、図8に示す支承構造110と同様に、係合部34をガイド部材12の本体部12eとは別体に設けるようにしても良い。
[10.支承構造の変形例3の説明]
以上の例では、図6に示すように、上沓20の側面部20c,20cに、橋軸方向(長さ方向)の長さが上沓20の長さ方向の長さと略同じ長さのガイド部材12がそれぞれ1個固定されているが、図10に示すように、変形例3の支承構造130では、上沓20の側面部20c,20cに、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短いガイド部材12が複数個固定されている。
例えば、支承構造130では、図10に示すように、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短いガイド部材12が、上沓20の各側面部20c,20cの長さ方向の一端及び他端の2ヶ所に固定され、上沓20の両側面部20c,20cに、合計4ヶ所固定されている。なお、ガイド部材12の数及び固定位置は、これに限定されるものではなく、支承装置10の大きさや重量等によって適宜変更可能である。
このようなガイド部材12であっても、上沓20の側面部20cに固定されて側面部12cが上部構造物2の側面部に当接され、係合部34が上部構造物2の上面2bと係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止することが出来る。更に、このようなガイド部材12は、図6に示すような長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さと略同じものよりも、軽量化を図ることが出来、更に、安価に製造することが出来る。
従って、このような支承構造130にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。
なお、支承構造130は、図8に示す支承構造110と同様に、係合部34がガイド部材12の本体部12eとは別体に設けられるようにしても良い。
[11.支承構造の変形例4の説明]
図11に示すように、変形例4の支承構造140では、上部構造物2にスペーサ板40が固定され、このスペーサ板40の側面部40aに、上沓20の側面部20cに固定されたガイド部材12が係合されるように、設けられている。
具体的に、スペーサ板40は、橋軸直角方向(幅方向)の長さが上沓20の幅方向の長さと略同じ長さの平面視略矩形状の薄板であって、上部構造物2の下面2aに溶接やねじ締結体等によって固定されている。このようなスペーサ板40は、上部構造物2の下面2aの全面又は一部に配設されている。更に、スペーサ板40の下面には、上部プレート33が固定されている。この際、上部プレート33は、スペーサ板40の下面の全面に配設されるようにすることが好ましいが、一部に配設されるようにしても良い。また、スペーサ板40の側面部40aには、橋軸方向(長さ方向)に延設された鋸歯状の凹凸から成る係合凹条部41が形成されている。
ガイド部材12は、上沓20と対向する一側面部12cに、係合部34の代わりに、スペーサ板40の係合凹条部41に対応するように、長さ方向に延設された鋸歯状の凹凸から成る係合凸条部12gが形成されている。このようなガイド部材12は、図1に示す支承構造1と同様に、上沓20の側面部20cに固定されて、係合凸条部12gがスペーサ板40の係合凹条部41と係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止する。
従って、このようなガイド部材12の係合凸条部12gがスペーサ板40の係合凹条部41に係合される支承構造140にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。
なお、支承構造140は、スペーサ板40の側面部40aに係合凸条部が形成され、ガイド部材12に係合凹条部が形成されるようにしても良い。
また、支承構造140は、図11に示すように、スペーサ板40の下面に上部プレート33が固定され、上沓20の上面20aに摺滑部材11が固定されることに限定されるものではなく、スペーサ板40の下面に摺滑部材11が固定され、上沓20の上面20aに上部プレート33が固定されるようにしても良い。更に、摺滑部材11及び上部プレート33の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造140は、上部プレート33をスペーサ板40の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、上部プレート33に代わり、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、この場合、摺滑部材11とスペーサ板40の下面の少なくとも一方、又は、摺滑部材11と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造140は、摺滑部材11をスペーサ板40の下面及び上沓20の上面20aに設けて、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、支承構造140は、摺滑部材11をスペーサ板40の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、摺滑部材11の代わりに、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、スペーサ板40の下面と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
また、支承構造140は、図10に示す支承構造130と同様に、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短いガイド部材12が、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれ複数個固定されるようにしても良い。
[12.支承構造の変形例5の説明]
以上の例では、例えば、図1に示すように、上部構造物2と上沓20との橋軸直角方向(幅方向)の長さが同じ場合を例に説明してきたが、これに限定されるものではなく、図12に示すように、上沓20の幅方向の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも短い場合においても、適用することが出来る。
具体的に、図12に示すように、変形例5の支承構造150では、ガイド部材12がスペーサ50を介して上沓20の側面部20cに固定される。このスペーサ50は、例えば、橋軸方向(長さ方向)の長さが上沓20の長さ方向の長さと略同じ長さの角柱状の長尺部材であって、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれねじ締結体等の固定部材(不図示)によって固定されている。また、スペーサ50は、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれ固定された際に、上沓20とこれら一対のスペーサ50,50とを合わせた幅方向の長さが上部構造物2の幅方向の長さと略同じになるように形成されている。更に、このようなスペーサ50には、上沓20の側面部20c,20cに固定された後に、それぞれねじ締結体等の固定部材35によってガイド部材12が固定される。
なお、スペーサ50は、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さと略同じ長さに設けられて、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれ1個固定されることに限定されるものではなく、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短く設けられて、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれ複数個固定されるようにしても良い。
このようなガイド部材12であっても、スペーサ50を介して上沓20の側面部20cに固定されて側面部12cが上部構造物2の側面部に当接され、係合部34が上部構造物2の上面2bと係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止することが出来る。
従って、このような上沓20の幅方向の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも短い支承構造150にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。
なお、支承構造150は、図8に示す支承構造110と同様に、係合部34がガイド部材12の本体部12eとは別体に設けられるようにしても良い。
また、支承構造150は、図10に示す支承構造130と同様に、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短いガイド部材12が、スペーサ50を介して、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれ複数個固定されるようにしても良い。
[13.支承構造の変形例6の説明]
図13に示すように、変形例6の支承構造160では、上沓20の橋軸直角方向(幅方向)の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも短い場合、上部構造物2にスペーサ板60が固定され、このスペーサ板60に、上沓20の側面部20cに固定されたガイド部材12の係合部34が係合されるように、設けられている。
具体的に、スペーサ板60は、幅方向の長さが上沓20の幅方向の長さよりも短い第一スペーサ板61と、幅方向の長さが上沓20の幅方向の長さと略同じ長さの第二スペーサ板62とで構成されている。第一スペーサ板61は、平面視略矩形状の薄板であって、上部構造物2の下面2aに溶接やねじ締結体等によって固定されている。第二スペーサ板62は、平面視略矩形状の薄板であって、第一スペーサ板61の下面に積層配設されて溶接やねじ締結体等によって固定されている。このような第一スペーサ板61及び第二スペーサ板62は、上部構造物2の下面2aの全面又は一部に配設されている。更に、第二スペーサ板62の下面には、上部プレート33が固定されている。この際、上部プレート33は、第二スペーサ板62の下面の全面に配設されるようにすることが好ましいが、一部に配設されるようにしても良い。
また、第一スペーサ板61の幅方向の長さが第二スペーサ板62の幅方向の長さよりも短いので、上部構造物2の下面2aと第二スペーサ板62との間には、ガイド部材12の係合部34が挿入可能な挿入凹部63が形成される。更に、第二スペーサ板62の第一スペーサ板61から突出した突出部は、挿入凹部63に挿入された係合部34が係合されると共に係合部34が移動する際のレールとなる被係合部64となる。更に、第一スペーサ板61は、係合部34が挿入凹部63に容易に挿入することが出来、被係合部64と容易に係合することが出来るように、係合部34よりも肉厚に形成されている。
ガイド部材12は、図1に示す支承構造1と同様に、上沓20の側面部20cに固定されて、側面部12cが第二スペーサ板62の側面部に当接され、係合部34が第二スペーサ板62の被係合部64と係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止する。
従って、このような上沓20の幅方向の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも短い支承構造160にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。
なお、支承構造160は、第一スペーサ板61及び第二スペーサ板62が別体に設けられることに限定されるものではなく、一体に設けられるようにしても良い。即ち、スペーサ板60は、幅方向の長さが上沓20の幅方向の長さよりも短い第一スペーサ部61と、幅方向の長さが上沓20の幅方向の長さと略同じ長さの第二スペーサ部62とで構成されるようにしても良い。
また、支承構造160は、図13に示すように、第二スペーサ板62の下面に上部プレート33が固定され、上沓20の上面20aに摺滑部材11が固定されることに限定されるものではなく、第二スペーサ板62の下面に摺滑部材11が固定され、上沓20の上面20aに上部プレート33が固定されるようにしても良い。更に、摺滑部材11及び上部プレート33の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造160は、上部プレート33を第二スペーサ板62の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、上部プレート33に代わり、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、この場合、摺滑部材11と第二スペーサ板62の下面の少なくとも一方、又は、摺滑部材11と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造160は、摺滑部材11を第二スペーサ板62の下面及び上沓20の上面20aに設けて、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、支承構造160は、摺滑部材11を第二スペーサ板62の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、摺滑部材11の代わりに、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、第二スペーサ板62の下面と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
また、支承構造160は、図8に示す支承構造110と同様に、係合部34がガイド部材12の本体部12eとは別体に設けられるようにしても良い。
また、支承構造160は、図10に示す支承構造130と同様に、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短いガイド部材12が、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれ複数個固定されるようにしても良い。
また、支承構造160は、第一スペーサ板61の幅方向の長さが第二スペーサ板62の幅方向の長さよりも短く設けられることで、挿入凹部63及び被係合部64が形成されることに限定されるものではなく、図14に示すように、第一スペーサ板61の幅方向の長さが上沓20の幅方向の長さと略同じ長さとなるように形成され、第一スペーサ板61の幅方向の側面部61a,61aに平面視略矩形状の切欠部61b,61bが形成されることで、挿入凹部63及び被係合部64が形成されるようにしても良い。即ち、図14に示す支承構造160では、切欠部61b内が、係合部34が挿入可能な挿入凹部63となり、第二スペーサ板62の切欠部61bから露出した露出部が、係合部34が係合されると共に係合部34が移動する際のレールとなる被係合部64となる。更に、図14に示す支承構造160では、切欠部61bに対して長さ方向に隣接する第一スペーサ板61の部分が、上沓20が橋軸方向にある程度摺滑した後にガイド部材12の係合部34が当接されてこれ以上の上沓20の橋軸方向の移動を規制するストッパ部61cとなる。
なお、切欠部61bは、平面視略矩形状に限定されるものではなく、図15に示すように、平面視略台形状であっても良く、その他に、半長孔状等であっても良い。これにより、ストッパ部61cは、支承装置10から長さ方向に離間するに連れて幅広となるテーパ部61dを有する。このテーパ部61dは、上沓20が橋軸方向にある程度摺滑した後にガイド部材12の係合部34が圧接又は密接されることで、これ以上の上沓20の橋軸方向の移動を規制することが出来ると共に、上沓20の橋軸方向の移動を減速又は減衰させるように支承装置10の変位を吸収することが出来る。更に、このような切欠部61bによるストッパ部61cは、図7に示すストッパ部材37の代わりに設けるようにしても良く、ストッパ部材37と共に設けるようにしても良い。
[14.支承構造の変形例7の説明]
図16に示すように、変形例7の支承構造170では、上沓20の橋軸直角方向(幅方向)の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも短い場合、上部構造物2にスペーサ板70が固定され、このスペーサ板70の側面部70aに、上沓20の側面部20cに固定されたガイド部材12が係合されるように、設けられている。
具体的に、スペーサ板70は、幅方向の長さが上沓20の幅方向の長さと略同じ長さの平面視略矩形状の薄板であって、上部構造物2の下面2aに溶接やねじ締結体等によって固定されている。このようなスペーサ板70は、上部構造物2の下面2aの全面又は一部に配設されている。更に、スペーサ板70の下面には、上部プレート33が固定されている。この際、上部プレート33は、スペーサ板70の下面の全面に配設されるようにすることが好ましいが、一部に配設されるようにしても良い。また、スペーサ板70の側面部70aには、橋軸方向(長さ方向)に延設された鋸歯状の凹凸から成る係合凹条部71が形成されている。
ガイド部材12は、上沓20と対向する一側面部12cに、係合部34の代わりに、スペーサ板70の係合凹条部71に対応するように、長さ方向に延設された鋸歯状の凹凸から成る係合凸条部12gが形成されている。このようなガイド部材12は、図1に示す支承構造1と同様に、上沓20の側面部20cに固定されて、係合凸条部12gがスペーサ板70の係合凹条部71と係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止する。
従って、このようなガイド部材12の係合凸条部12gがスペーサ板70の係合凹条部71に係合される支承構造170にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。
なお、支承構造170は、スペーサ板70の側面部70aに係合凸条部が形成され、ガイド部材12に係合凹条部が形成されるようにしても良い。
また、支承構造170は、図16に示すように、スペーサ板70の下面に上部プレート33が固定され、上沓20の上面20aに摺滑部材11が固定されることに限定されるものではなく、スペーサ板70の下面に摺滑部材11が固定され、上沓20の上面20aに上部プレート33が固定されるようにしても良い。更に、摺滑部材11及び上部プレート33の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造170は、上部プレート33をスペーサ板70の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、上部プレート33に代わり、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、この場合、摺滑部材11とスペーサ板70の下面の少なくとも一方、又は、摺滑部材11と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造170は、摺滑部材11をスペーサ板70の下面及び上沓20の上面20aに設けて、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、支承構造170は、摺滑部材11をスペーサ板70の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、摺滑部材11の代わりに、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、スペーサ板70の下面と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
また、支承構造170は、図10に示す支承構造130と同様に、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短いガイド部材12が、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれ複数個固定されるようにしても良い。
[15.支承構造の変形例8の説明]
以上の例では、例えば、図1に示すように、上沓20の橋軸直角方向(幅方向)の長さが上部構造物2の幅方向の長さと略同じ場合、図11及び図12に示すように、上沓20の幅方向の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも短い場合を例に説明してきたが、これに限定されるものではなく、図17に示すように、上沓20の幅方向の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも長い場合においても適用することが出来る。
具体的に、図17に示すように、変形例8の支承構造180では、ガイド部材12が上沓20の上面20aに固定される。この場合、ガイド部材12は、下端部12bが上沓20の下面20b側からねじ締結体等の固定部材35によって上沓20の上面20aに固定されることで、上沓20の上面20aに固定される。なお、ガイド部材12は、その他に、溶接や従来公知の固定方法等によって、上沓20の上面20aに固定されるようにしても良い。
このようなガイド部材12は、上沓20の上面20aに固定されて側面部12cが上部構造物2の側面部に当接され、係合部34が上部構造物2の上面2bと係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止する。
従って、このような上沓20の幅方向の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも長い支承構造180にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。
なお、支承構造180は、図17に示すように、上部構造物2の下面2aに上部プレート33が固定され、上沓20の上面20aに摺滑部材11が固定されることに限定されるものではなく、上部構造物2の下面2aの下面2aに摺滑部材11が固定され、上沓20の上面20aに上部プレート33が固定されるようにしても良い。更に、摺滑部材11及び上部プレート33の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造180は、上部プレート33を上部構造物2の下面2a及び上沓20の上面20aに設けずに、上部プレート33に代わり、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、この場合、摺滑部材11と上部構造物2の下面2aの少なくとも一方、又は、摺滑部材11と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造180は、摺滑部材11を上部構造物2の下面2a及び上沓20の上面20aに設けて、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、支承構造180は、摺滑部材11を上部構造物2の下面2a及び上沓20の上面20aに設けずに、摺滑部材11の代わりに、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、上部構造物2の下面2aと上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
また、支承構造180は、図18に示すように、ガイド部材12の下端部12b側の係合部34が形成された一側面部12cとは反対側の他側面部12dに、外側に張り出した凸状の取付部12fが形成されて、この取付部12fが上沓20の上面2b側からねじ締結体等の固定部材35によって上沓20の上面2bに固定されることで、ガイド部材12が上沓20の上面20aに固定されるようにしても良い。
また、支承構造180は、図8に示す支承構造110と同様に、係合部34がガイド部材12の本体部12eとは別体に設けられるようにしても良い。更に、図18に示す支承構造180においては、更に、取付部12fがガイド部材12の本体部12eとは別体に設けられるようにしても良く、係合部34と取付部12fとがガイド部材12の本体部12eとは別体に設けられるようにしても良い。
また、支承構造180は、図10に示す支承構造130と同様に、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短いガイド部材12が、上沓20の上面20aの幅方向の両端にそれぞれ複数個固定されるようにしても良い。
[16.支承構造の変形例9の説明]
図19に示すように、変形例9の支承構造190では、上沓20の橋軸直角方向(幅方向)の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも長い場合、上部構造物2にスペーサ板90が固定され、このスペーサ板90に、上沓20の側面部20cに固定されたガイド部材12の係合部34が係合されるように、設けられている。
具体的に、スペーサ板90は、幅方向の長さが上沓20の幅方向の長さと略同じ長さに設けられた平面視略矩形状の薄板であって、上部構造物2の下面2aに溶接やねじ締結体等によって固定されている。このようなスペーサ板90は、上部構造物2の下面2aの全面又は一部に配設されている。また、スペーサ板90の幅方向の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも長いので、スペーサ板90の上部構造物2から突出した突出部は、ガイド部材12の係合部34が係合する被係合部91となる。更に、スペーサ板90の下面には、上部プレート33が固定されている。
ガイド部材12は、図1に示す支承構造1と同様に、上沓20の側面部20cに固定されて側面部12cがスペーサ板90の側面部に当接され、係合部34がスペーサ板90の被係合部91と係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止する。
従って、このような上沓20の幅方向の長さが上部構造物2の幅の長さよりも長い支承構造190にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。
なお、支承構造190は、図19に示すように、スペーサ板90の下面に上部プレート33が固定され、上沓20の上面20aに摺滑部材11が固定されることに限定されるものではなく、スペーサ板90の下面に摺滑部材11が固定され、上沓20の上面20aに上部プレート33が固定されるようにしても良い。更に、摺滑部材11及び上部プレート33の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造190は、上部プレート33をスペーサ板90の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、上部プレート33に代わり、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、この場合、摺滑部材11とスペーサ板90の下面の少なくとも一方、又は、摺滑部材11と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造190は、摺滑部材11をスペーサ板90の下面及び上沓20の上面20aに設けて、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、支承構造190は、摺滑部材11をスペーサ板90の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、摺滑部材11の代わりに、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、スペーサ板90の下面と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
また、支承構造190は、図8に示す支承構造110と同様に、係合部34がガイド部材12の本体部12eとは別体に設けられるようにしても良い。
また、支承構造190は、図10に示す支承構造130と同様に、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短いガイド部材12を、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれ複数個固定されるようにしても良い。
また、支承構造190は、図14及び図15に示す支承構造160と同様に、スペーサ板90が、幅方向の長さが上沓20の幅方向の長さと略同じ長さの第一スペーサ及び第二スペーサで構成され、第一スペーサの幅方向の側面部にそれぞれ平面視略矩形状、台形状又は半長孔状の切欠部が形成されて、係合部34が挿入される挿入凹部と、挿入凹部に挿入された係合部34が係合される被係合部と、係合部34が当接されて上沓20の橋軸方向の移動を規制するストッパ部とが形成されるようにしても良い。
[17.支承構造の変形例10の説明]
図20に示すように、変形例10の支承構造200では、上沓20の橋軸直角方向(幅方向)の長さが上部構造物2の幅方向の長さよりも長い場合、上部構造物2にスペーサ板100が固定され、このスペーサ板100の側面部100aに、上沓20の側面部20cに固定されたガイド部材12が係合されるように、設けられている。
具体的に、スペーサ板100は、幅方向の長さが上沓20の幅方向の長さと略同じ長さの平面視略矩形状の薄板であって、上部構造物2の下面2aに溶接やねじ締結体等によって固定されている。このようなスペーサ板100は、上部構造物2の下面2aの全面又は一部に配設されている。更に、スペーサ板100の下面には、上部プレート33が固定されている。この際、上部プレート33は、スペーサ板100の下面の全面に配設されるようにすることが好ましいが、一部に配設されるようにしても良い。また、スペーサ板100の側面部100aには、橋軸方向(長さ方向)に延設された鋸歯状の凹凸から成る係合凹条部101が形成されている。
ガイド部材12は、上沓20と対向する一側面部12cに、係合部34の代わりに、スペーサ板100の係合凹条部101に対応するように、長さ方向に延設された鋸歯状の凹凸から成る係合凸条部12gが形成されている。このようなガイド部材12は、図1に示す支承構造1と同様に、上沓20の側面部20cに固定されて、係合凸条部12gがスペーサ板100の係合凹条部101と係合されることで、上沓20を上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持し、上沓20が摺滑部材11によって橋軸方向に摺滑した際に上沓20をガイドし、上沓20が上部構造物2から離間することを防止する。
従って、このようなガイド部材12の係合凸条部12gがスペーサ板100の係合凹条部101に係合される支承構造200にあっても、ガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置となるように上部構造物2に容易に取り付けることが出来、摺滑部材11及びガイド部材12によって、支承装置10を可動型ゴム支承装置として用いることが出来る。
なお、支承構造200は、スペーサ板100の側面部100aに係合凸条部が形成され、ガイド部材12に係合凹条部が形成されるようにしても良い。
また、支承構造200は、図20に示すように、スペーサ板100の下面に上部プレート33が固定され、上沓20の上面20aに摺滑部材11が固定されることに限定されるものではなく、スペーサ板100の下面に摺滑部材11が固定され、上沓20の上面20aに上部プレート33が固定されるようにしても良い。更に、摺滑部材11及び上部プレート33の少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造200は、上部プレート33をスペーサ板100の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、上部プレート33に代わり、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、この場合、摺滑部材11とスペーサ板100の下面の少なくとも一方、又は、摺滑部材11と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
更に、支承構造200は、摺滑部材11をスペーサ板100の下面及び上沓20の上面20aに設けて、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、支承構造170は、摺滑部材11をスペーサ板100の下面及び上沓20の上面20aに設けずに、摺滑部材11の代わりに、これらの面に鏡面加工を施して、低摩擦化を図るようにしても良い。更に、スペーサ板100の下面と上沓20の上面20aの少なくとも一方には、潤滑剤が塗布されて、低摩擦化を図るようにしても良い。
また、支承構造200は、図10に示す支承構造130と同様に、長さ方向の長さが上沓20の長さ方向の長さよりも短いガイド部材12が、上沓20の側面部20c,20cにそれぞれ複数個固定されるようにしても良い。
[18.その他の変形例]
以上の例では、上沓20と上部構造物2との間に摺滑部材11が配設されて、上沓20に固定されたガイド部材12によって、上沓20が上部構造物2に対して橋軸方向に摺滑可能に支持されると共にガイドされる例を説明したが、これに限定されるものではない。本発明の支承構造は、下沓21と下部構造物3との間に摺滑部材11が配設されて、下沓21に固定されたガイド部材12によって、下沓21が下部構造物3に対して橋軸方向に摺滑可能に支持されると共にガイドされるようにしても良い。なお、この場合、上沓20は、例えばボルト、ナット等の固定部材によって上部構造物2に直接的に又は上部プレート33を用いて間接的に固定される。
また、以上の例では、ガイド部材12が上沓20又は下沓21の橋軸直角方向に一対固定され、このガイド部材12によって、上沓20又は下沓21が上部構造物2又は下部構造物3に対して橋軸方向に摺滑可能に支持されると共にガイドされる例を説明したが、これに限定されるものではない。本発明の支承構造は、ガイド部材12が上沓20又は下沓21の橋軸方向に一対固定され、このガイド部材12によって、上沓20又は下沓21が上部構造物2又は下部構造物3に対して橋軸直角方向に摺動可能に支持される共にガイドされるようにしても良い。
更に、以上の例では、上部構造物2と上沓20との間又は下部構造物3と下沓21との間に摺滑部材11が配設され、上沓20又は下沓21に固定されたガイド部材12によって、上沓20又は下沓21が上部構造物2又は下部構造物3に対して橋軸方向又は橋軸直角方向に摺滑可能に支持されると共にガイドされる例を説明したが、これに限定されるものではない。本発明の支承構造は、上部構造物2と上沓20との間及び下部構造物3と下沓21との間にそれぞれ摺滑部材11が配設され、上沓20に固定されたガイド部材12によって、上沓20が上部構造物2に対して橋軸方向又は橋軸直角方向に摺滑可能に支持されてガイドされると共に、下沓21に固定されたガイド部材12によって、下沓21が下部構造物3に対して橋軸方向又は橋軸直角方向に摺滑可能に支持されてガイドされるようにしても良い。
更に、本発明の支承構造は、上沓20及び下沓21の何れか一方が、橋軸方向に摺滑可能に支持されてガイドされ、他方が橋軸直角方向に摺滑可能に支持されてガイドされるようにしても良い。更に、本発明の支承構造は、上沓20及び下沓21が、橋軸方向又は橋軸直角方向に摺滑可能に支持されてガイドされることに限定されるものではなく、橋軸方向又は橋軸直角方向から所定の角度を有する方向に摺滑可能に支持されてガイドされるようにしても良い。
更に、上述の説明では、本発明の支承構造の支承装置を橋梁用支承装置として説明したが、本発明の支承構造の支承装置は橋梁用支承装置に限定されるものではなく、建築物や建造物、文化財等々、各種の構造体の制震、免震用の支承装置として採用することが出来る。