JP2013111683A - 溝加工方法及び金属部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】兼用バイト20の先端の両側に逃げを付けた状態で、溝深さ方向に沿って一定の溝幅を有したリング溝Gを形成し、兼用バイト20の先端の片側に逃げを付けた状態で、溝幅が溝底Gb側から外側に向かって拡がるようにリング溝Gの溝壁Ga,Gcを整形し、溝底切削用バイト30の先端の両側に逃げを付けた状態で、リング溝Gの溝底GbをR形状に整形すること。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここで、本願の図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「U」は、上方向、「D」は、下方向を指してある。また、本願の明細書の説明中、「X軸方向」とは、前後方向、「Z軸方向」とは、左右方向、「Y軸方向」とは、上下方向、「C軸方向」とは、Y軸方向に平行な軸心周りの回転方向のことである。なお、図1から図6(a)(b)は、ガスタービン回転部品Pの外周面に1つ目のラビリンス溝LGを形成した後に、2つ目のラビリンス溝LGを形成する様子を示している。
本発明の第1実施形態について図1、図2、及び図3(a)(b)を参照して説明する。
図1に示すように、旋盤のタレット型刃物台(図示省略)をX軸方向、Z軸方向、Y軸方向、及びC軸方向へ移動制御することにより、タレット型刃物台に装着された溝入れ用バイトとしての兼用バイト20を旋盤のワーク主軸(図示省略)にセットしたガスタービン回転部品Pの外周面に接近した位置(図1において仮想線で示す位置)に位置させる。ここで、兼用バイト20は、先端側から先端両コーナ側にかけて切刃20eを有し、兼用バイト20のバイト幅は、兼用バイト20の先端に向かって拡がってあって、兼用バイト20の切刃20eの先端両コーナ側部分は、R形状を呈している。次に、回転モータ(図示省略)の駆動によりガスタービン回転部品Pをその軸心(ガスタービン回転部品Pの軸心)Ps周りにワーク主軸と一体的に回転させる。そして、タレット型刃物台をX軸方向へ移動制御することにより、ガスタービン回転部品Pをその軸心Ps周りに回転させた状態で、兼用バイト20の先端の両側(左右両側)に逃げを付けながら、兼用バイト20をガスタービン回転部品Pの軸心Psに接近する方向(前方向)へ送り移動させる。これにより、兼用バイト20の切刃20eによってガスタービン回転部品Pの外周面に切削加工を施して、溝深さ方向に沿って一定の溝幅を有したリング溝Gを形成することができる。
第1切削工程(1-1)の終了後に、図2(a)に示すように、タレット型刃物台のX軸方向及びZ軸方向へ移動制御することにより、溝壁切削用バイトとしての兼用バイト20をリング溝Gの左溝壁Gaの縁側に接近した位置(図2(a)において仮想線で示す位置)に位置させる。そして、タレット型刃物台をX軸方向、Z軸方向、及びC軸方向へ移動制御することにより、ガスタービン回転部品Pをその軸心Ps周りに回転させた状態で、兼用バイト20の先端の片側(左側)に逃げを付けながら、兼用バイト20をリング溝Gの左溝壁Gaの縁側から溝底Gb側に向かって送り移動させる。これにより、兼用バイト20の切刃20eによってリング溝Gの左溝壁Gaに切削加工を施して、溝幅が溝底Gb側から外側に向かって拡がるようにリング溝Gの左溝壁Gaを整形することができる。
第2切削工程(1-2)の終了後に、図3(a)に示すように、タレット型刃物台のX軸方向、Z軸方向、及びC軸方向へ移動制御することにより、タレット刃物台に装着された溝底切削用バイト30をリング溝Gに接近した位置(図3(a)において仮想線で示す位置)に位置させる。ここで、溝底切削用バイト30は、先端側にR形状の切刃30eを有し、溝底切削用バイト30の先端の両側面(左側面及び右側面)は、先細りのテーパ形状を呈してあって、溝底切削用バイト30の先端側の大きさは、ラビリンス溝LGの断面の大きさよりも僅かに小さくなっている。そして、タレット型刃物台のX軸方向へ移動制御することにより、ガスタービン回転部品Pをその軸心Ps周りに回転させた状態で、溝底切削用バイト30の先端の両側(左右両側)に逃げを付けながら、溝底切削用バイト30をガスタービン回転部品Pの軸心Psに接近する方向へ送り移動させる。これにより、溝底切削用バイト30の切刃30eによってリング溝Gの溝底Gbに切削加工を施して、リング溝Gの溝底GbをR形状に整形しつつ、リング溝Gをラビリンス溝LGに最終的に仕上げることができる(図9(a)参照)。
本発明の第2実施形態について図4(a)(b)、図5、及び図6(a)(b)を参照して説明する。
本発明の第1実施形態に係る溝加工方法における第1切削工程(1-1)と同様の処理を実行することにより、溝入れ用バイトとしての兼用バイト20の切刃20eによってガスタービン回転部品Pの外周面に切削加工を施して、溝深さ方向に沿って一定の溝幅を有したリング溝Gを形成することができる(図1参照)。
第1切削工程(2-1)の終了後に、図4(a)に示すように、タレット型刃物台のX軸方向及びZ軸方向へ移動制御することにより、溝壁切削用バイトとしての兼用バイト20をリング溝Gの左溝壁Gaに接近した位置(図4(a)において仮想線で示す位置)に位置させる。そして、タレット型刃物台をX軸方向、Z軸方向、及びC軸方向へ移動制御することにより、ガスタービン回転部品Pをその軸心Ps周りに回転させた状態で、兼用バイト20の先端の片側(左側)に逃げを付けながら、兼用バイト20をリング溝Gの左溝壁Gaの縁側から溝底Gb側に向かって送り移動させる。これにより、兼用バイト20の切刃20eによってリング溝Gの左溝壁Gaに切削加工を施して、リング溝Gの左溝壁Gaに余肉Tを残した状態で、溝幅が溝底Gb側から外側に向かって拡がるようにリング溝Gの左溝壁Gaを整形することができる。
第2切削工程(2-2)の終了後に、図5に示すように、タレット型刃物台のX軸方向、Z軸方向、及びC軸方向へ移動制御することにより、タレット刃物台に装着された溝底切削用バイトとしての兼用バイト50をリング溝Gに接近した位置(図5において仮想線で示す位置)に位置させる。ここで、兼用バイト50は、先端側にR形状の切刃50eを有し、兼用バイト50の先端の両側面(左右両側面)は、先細りのテーパ形状を呈してあって、兼用バイト50の先端側の大きさは、ラビリンス溝LGの断面の大きさの略半分になっている。そして、タレット型刃物台のX軸方向へ移動制御することにより、ガスタービン回転部品Pをその軸心Ps周りに回転させた状態で、兼用バイト50の先端の両側(左右両側)に逃げを付けながら、兼用バイト50をガスタービン回転部品Pの軸心Psに接近する方向へ送り移動させる。これにより、兼用バイト50の切刃50eによってリング溝Gの溝底Gbに切削加工を施して、リング溝Gの溝底Gbに余肉Tを残した状態で、リング溝Gの溝底GbをR形状に整形することができる。
第3切削工程(2-3)の終了後に、図6(a)に示すように、タレット型刃物台のX軸方向及びZ軸方向へ移動制御することにより、仕上げ用バイトとしての兼用バイト50をリング溝Gの左溝壁Gaに接近した位置(図6(a)において仮想線示す位置)に位置させる。そして、タレット型刃物台をX軸方向、Z軸方向、及びC軸方向へ移動制御することにより、ガスタービン回転部品Pをその軸心Ps周りに回転させた状態で、兼用バイト50の先端の片側(左側)に逃げを付けながら、兼用バイト50をリング溝Gの左溝壁Gaの縁側から溝底Gb側に向かって送り移動させる。これにより、兼用バイト20の切刃20eによってリング溝Gの左溝壁Gaの縁側から溝底Gb側にかけて余肉Tを除去することができる。
本発明の実施形態の変形例について図7及び図8(a)(b)を参照して説明する。
Ps ガスタービン回転部品の軸心
LG ラビリンス溝
G リング溝
Ga リング溝の左溝壁
Gb リング溝の溝底
Gc リング溝の右溝壁
F フィン
T 余肉
10 総形バイト
10e 総形バイトの切刃
20 兼用バイト
20e 兼用バイトの切刃
30 溝底切削用バイト
30e 溝底切削用バイトの切刃
40 溝底切削用バイト
40e 溝底切削用バイトの切刃
50 兼用バイト
50e 兼用バイトの切刃
Claims (7)
- 溝幅が溝底側から外側に向かって拡がるように設定されたリング溝を金属部品の外周面に形成するための溝加工方法において、
先端側に切刃を有した溝入れ用バイトを用い、前記金属部品をその軸心周りに回転させた状態で、前記溝入れ用バイトの先端の両側に逃げを付けながら、前記溝入れ用バイトを前記金属部品の軸心に接近する方向へ送り移動させることにより、前記溝入れ用バイトの前記切刃によって前記金属部品の外周面に切削加工を施して、溝深さ方向に沿って一定の溝幅を有したリング溝を形成する第1切削工程と、
前記第1切削工程の終了後に、先端コーナ側に切刃を有した溝壁切削用バイトを用い、前記金属部品をその軸心周りに回転させた状態で、前記溝壁切削用バイトの先端の片側に逃げを付けながら、前記溝壁切削用バイトを前記リング溝の溝壁の縁側から溝底側に向かって送り移動させることにより、前記溝壁切削用バイトの前記切刃によって前記リング溝の溝壁に切削加工を施して、溝幅が溝底側から外側に向かって拡がるように前記リング溝の溝壁を整形する第2切削工程と、を備えたことを特徴とする溝加工方法。 - 前記第2切削工程の終了後に、先端側にR形状の切刃を有した溝底切削用バイトを用い、前記金属部品をその軸心周りに回転させた状態で、前記溝底切削用バイトの先端の両側に逃げを付けながら、前記溝底切削用バイトを前記リング溝の溝底側に向かって送り移動させることにより、前記溝底切削用バイトの前記切刃によって前記リング溝の溝底に切削加工を施して、前記リング溝の溝底をR形状に整形する第3切削工程と、を備えたことを特徴とする溝加工方法。
- 前記第2切削工程は、前記溝壁切削用バイトの前記切刃によって前記リング溝の溝壁に切削加工を施して、前記リング溝の溝壁に余肉を残した状態で、溝幅が溝底側から外側に向かって拡がるように前記リング溝の溝壁を整形するものであって、
前記第3切削工程は、前記溝底切削用バイトの前記切刃によって前記リング溝の溝底に切削加工を施して、前記リング溝の溝底に余肉を残した状態で、前記リング溝の溝底をR形状に整形するものであって、
前記第3切削工程の終了後に、先端側にR形状の切刃を有した仕上げ切削用バイトを用い、前記金属部品をその軸心周りに回転させた状態で、前記仕上げ切削用バイトの先端の片側に逃げを付けながら、前記仕上げ切削用バイトを前記リング溝の溝壁の縁側から溝底側に向かって送り移動させることにより、前記仕上げ切削用バイトの前記切刃によって前記リング溝の溝壁の縁側から溝底側にかけて余肉を除去して仕上げる第4切削工程と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の溝加工方法。 - 前記第1切削工程は、前記金属部品の外周面に1つ目の前記リング溝を形成した後に、前記溝入れ用バイトに前記金属部品の軸方向の横送りを与えて、前記溝入れ用バイトの前記切刃による切削加工を施すことにより、前記金属部品の外周面に2つ目の前記リング溝を形成しつつ、前記軸方向に隣接する前記リング溝間に環状のフィンを区画形成するものであって、
前記第2切削工程は、前記フィンを間にして一方の前記リング溝の溝壁と他方の前記リング溝の溝壁に切削加工を施す場合に、前記溝壁切削用バイトを一方の前記リング溝の溝壁の縁側から溝底側に向かって送り移動させる動作と、前記溝壁切削用バイトを他方の前記リング溝の溝壁の縁側から溝底側に向かって送り移動させる動作とを交互に繰り返して行うものであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかの請求項に記載の溝加工方法。 - 前記金属部品は、チタン合金、ニッケル合金、又はコバルト合金により構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の溝加工方法。
- 前記設定されたリング溝は、ラビリンス溝であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれかの請求項に記載の溝加工方法。
- 請求項1から請求項6のうちにいずれかの請求項に記載の溝加工方法によって前記設定されたリング溝が外周面に形成されていることを特徴とする金属部品。
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