JP2013110106A - 空気電池 - Google Patents

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史教 水野
Keiichi Minami
圭一 南
Yasutoshi Hojo
康利 方城
Michiko Kusunoki
美智子 楠
Motohiro Yamamoto
元弘 山本
Hiroyuki Ono
浩之 大野
Yoshiaki Yamamoto
義明 山本
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Abstract

【課題】従来の炭素材料よりも酸素還元反応の反応起点が多い針状炭素集合体を空気極層に含む空気電池を提供する。
【解決手段】少なくとも空気極、負極、並びに、当該空気極及び当該負極の間に介在する電解質層を備える空気電池であって、前記空気極は、針状炭素集合体を含有する空気極層を少なくとも備え、前記針状炭素集合体は、各針状炭素の長手方向が、当該針状炭素集合体内部から外表面に向かう方向となるように配列してなることを特徴とする、空気電池。
【選択図】図7

Description

本発明は、従来の炭素材料よりも酸素還元反応の反応起点が多い針状炭素集合体を空気極層に含む空気電池に関する。
空気電池は、金属単体又は金属化合物を負極活物質に、酸素を正極活物質に利用した、充放電可能な電池である。正極活物質である酸素は空気から得られるため、電池内に正極活物質を封入する必要がないことから、理論上、空気電池は、固体の正極活物質を用いる二次電池よりも大きな容量を実現できる。
空気電池の一種であるリチウム空気電池においては、放電の際、負極では式(I)の反応が進行する。
2Li→2Li+2e (I)
式(I)で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、空気極に到達する。そして、式(I)で生じたリチウムイオン(Li)は、負極と空気極に挟持された電解質内を、負極側から空気極側に電気浸透により移動する。
また、放電の際、空気極では式(II)及び式(III)の反応が進行する。
2Li+O+2e→Li (II)
2Li+1/2O+2e→LiO (III)
生じた過酸化リチウム(Li)及び酸化リチウム(LiO)は、固体として空気極に蓄積される。
充電時においては、負極において上記式(I)の逆反応、空気極において上記式(II)及び(III)の逆反応がそれぞれ進行し、負極において金属リチウムが再生するため、再放電が可能となる。
従来、空気極層に含まれる導電性材料としては、カーボンナノチューブ等の針状炭素材料が用いられてきた。針状炭素材料を用いた技術として、特許文献1には、導電性材料を含有する空気極層を備える空気極、負極、及び非水電解質を備える金属空気二次電池であって、前記導電性材料は、平均アスペクト比が10以上の針状炭素材料であることを特徴とする金属空気二次電池に関する技術が開示されている。
特開2010−287390号公報
本発明者らが特許文献1に記載された金属空気二次電池についてさらに検討したところ、1回の放電につき取り出せる放電容量が極めて低いことが分かった。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、従来の炭素材料よりも酸素還元反応の反応起点が多い針状炭素集合体を空気極層に含む空気電池を提供することを目的とする。
本発明の空気電池は、少なくとも空気極、負極、並びに、当該空気極及び当該負極の間に介在する電解質層を備える空気電池であって、前記空気極は、針状炭素集合体を含有する空気極層を少なくとも備え、前記針状炭素集合体は、各針状炭素の長手方向が、当該針状炭素集合体内部から外表面に向かう方向となるように配列してなることを特徴とする。
本発明においては、前記針状炭素集合体は、針状炭素が略放射状に配列してなる粒子であることが好ましい。
本発明においては、前記針状炭素集合体の(002)面の平均面間隔が0.335nm以上0.370nm未満であり、且つ、前記針状炭素集合体のD/G比が0.1以上であることが好ましい。
本発明においては、前記針状炭素集合体のBET比表面積が、10〜3000m/gであってもよい。
本発明においては、前記針状炭素集合体が、SiC表面分解法により得られるカーボンナノチューブ集合体粒子であってもよい。
本発明において、前記針状炭素集合体は、内部に空隙を有していてもよい。
本発明において、前記針状炭素集合体の空隙率は、10〜90%であってもよい。
本発明において、前記針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径は、0.1〜10μmであってもよい。
本発明によれば、外表面に各針状炭素のカーボンエッジ部が現れ、従来の炭素材料よりも酸素還元反応の反応起点を外表面により多く含む針状炭素集合体を空気極層に含むことにより、当該針状炭素集合体と、より多くの酸素分子との間の電子の授受が可能となる結果、従来の空気電池よりも高容量化且つ高エネルギー密度化を実現することができる。
本発明に用いられる針状炭素集合体の第1の典型例の模式図である。 本発明に用いられる針状炭素集合体の第2の典型例の斜視模式図である。 本発明に用いられる針状炭素集合体の第1の変形例の断面模式図である。 本発明に用いられる針状炭素集合体の第2の変形例の断面模式図である。 本発明の空気電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。 本発明の実施例1に用いた、SiC表面分解法によって得られたCNT中実粒子のTEM画像である。 実施例1及び比較例1の空気電池の放電曲線を重ねて示したグラフである。 実施例2、実施例3、及び参考例1の空気電池の放電曲線を重ねて示したグラフである。 SiC残留SiC−CNT粒子のSEM画像である。
本発明の空気電池は、少なくとも空気極、負極、並びに、当該空気極及び当該負極の間に介在する電解質層を備える空気電池であって、前記空気極は、針状炭素集合体を含有する空気極層を少なくとも備え、前記針状炭素集合体は、各針状炭素の長手方向が、当該針状炭素集合体内部から外表面に向かう方向となるように配列してなることを特徴とする。
特許文献1に記載されたようなVGCF等の針状炭素材料を用いた場合に、1回あたりの放電容量が大幅に低い理由として、針状炭素材料中の反応起点の数、反応起点の間隔、及び反応場所の面積が、球状炭素粒子等の他の炭素材料よりも格段に小さいということが考えられる。ここでいう反応とは、主に上記式(II)及び/又は(III)に示す酸素還元反応である。
反応起点の数の指標としては、D/G比が例示できる。D/G比とは、針状炭素材料のラマンスペクトルにおける、1580cm−1(Gバンド)のピーク強度に対する1360cm−1(Dバンド)のピーク強度の比を指す。Dバンドは、針状炭素材料において反応起点になりやすい欠陥部位、例えば、カーボンエッジ部や歪のある箇所等に対応するピークである。一方、Gバンドは、針状炭素材料において反応起点になりにくい黒鉛部位、例えば、炭素網面等に対応するピークである。したがって、D/G比の値が大きいほど、反応起点の数が多くなると考えられる。
なお、Dバンドに対応する欠陥部位は、酸素分子が針状炭素材料から最初に電子を受け取る場所であると考えられる。酸素分子が電子を受け取った結果生成する酸素ラジカル、及び電解質層を伝導した金属イオン等が反応し、Dバンドに対応する欠陥部位、及びGバンドに対応する黒鉛部位に金属酸化物が析出すると考えられる。
反応起点の間隔の指標として、X線回折法又は粉末X線回折法により求められる、針状炭素材料の(002)面の平均面間隔d002が例示できる。一般的に、d002の値が小さいほど、反応起点であるカーボンエッジ部同士の間隔が小さくなると考えられる。
反応場所の面積の指標として、N吸着法により求められる、BET比表面積が例示できる。BET比表面積は、必ずしも電気化学的に有効な表面積とは限らないが、BET比表面積が大きいほど放電容量が高くなると考えられる。なお、BET比表面積は、上記Dバンドに対応する欠陥部位の面積、及び上記Gバンドに対応する黒鉛部位の面積の和に相当する。
本発明者らは、反応起点の数、反応起点の間隔、及び反応場所の面積の3つの上記指標のうち、特に反応起点の数の指標であるD/G比に着目して、炭素材料の探索を行った。
鋭意努力の結果、本発明者らは、各針状炭素の長手方向が、内部から外表面に向かう方向となるように配列してなる針状炭素集合体は、従来の炭素材料と比較して、酸素還元反応の反応起点の間隔は同程度であるにもかかわらず、酸素還元反応の反応起点の数が格段に多いことを見出した。また、本発明者らは、当該針状炭素集合体を空気極層に含むことにより、当該針状炭素集合体と、より多くの酸素分子との間の電子の授受が可能となる結果、当該空気極層を用いた空気電池の容量及びエネルギー密度を、いずれも従来の空気電池より向上できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に用いられる針状炭素集合体は、各針状炭素の長手方向が、当該針状炭素集合体内部から外表面に向かう方向に配列していれば、形状等は特に限定されない。針状炭素集合体の形状の例としては、球状(粒子状)、多面体状、円盤状、円柱状等が挙げられる。
針状炭素集合体の外表面に酸素還元反応の反応起点が略均一に配置されるという観点から、当該針状炭素集合体を構成する各針状炭素は、当該針状炭素集合体の内部から略垂直に延在することが好ましく、当該針状炭素集合体の内部のグラファイト表面から略垂直に延在することがより好ましい。
従来から空気極に用いられてきたカーボンナノチューブは、主にsp炭素原子からなる円筒であり、その径は円筒全体にわたり略等しい。カーボンナノチューブは、主に、円筒の先端に相当するカーボンエッジ部、及び、円筒の腹の部分に相当する炭素網面からなる。従来のカーボンナノチューブは、上述したDバンドに対応するカーボンエッジ部の面積が小さく、上述したGバンドに対応する炭素網面の面積が大きいため、D/G比の値が小さく、酸素還元に関与する反応起点の数が少ないと考えられる。
図1は、本発明に用いられる針状炭素集合体の第1の典型例の模式図である。図1中の直線は、それぞれ針状炭素を示す。なお、図1及び後述する図2は、必ずしも、本発明に用いられる針状炭素集合体の(002)面の平均面間隔d002等のパラメータを反映させた模式図であるとは限らない。
針状炭素集合体の第1の典型例100は、針状炭素が略放射状に配列してなる、針状炭素集合体の粒子である。図1から分かるように、本第1の典型例100は、反応起点であるカーボンエッジ部が集合体の表面に均一に現れる。また、本第1の典型例100は、各針状炭素がほぼ全て内部から外表面へ延在した、いわばウニ状構造(又は栗のイガ状構造)をとるため、各針状炭素の炭素網面の略全部が集合体の内部に隠れる。したがって、本第1の典型例100は、従来のカーボンナノチューブと比較して、上述したDバンドに対応するカーボンエッジ部の面積がより大きく、上述したGバンドに対応する炭素網面の面積がより小さいため、D/G比の値がより大きく、酸素還元に関与する反応起点の数がより多いと考えられる。したがって、本第1の典型例100を空気極層に用いることにより、本第1の典型例100と、より多くの酸素分子との電子の授受が可能となる結果、従来の空気電池よりも高容量化、高エネルギー密度化が実現できる。
図1に示した針状集合体粒子の例としては、SiC表面分解法により得られるカーボンナノチューブ集合体粒子等が挙げられる。
SiC表面分解法とは、炭化ケイ素粉末に高温処理を施し、炭化ケイ素粒子の表面からケイ素を蒸発揮散させることにより、残った炭素によりカーボンナノチューブ集合体粒子を形成する方法である。SiC表面分解法により、図1に示したような、粒子中心部から外表面に向かって配向する多数直線状のカーボンナノチューブが密集した集合体粒子が得られる。
図2は、本発明に用いられる針状炭素集合体の第2の典型例の斜視模式図である。図2中の細い直線は、それぞれ針状炭素を示す。図2中の太い一点鎖線は、針状炭素を成長させるための微小基板の外縁を示す。
針状炭素集合体の第2の典型例200は、針状炭素の他に、当該針状炭素を成長させるための微小基板を備える。すなわち、本第2の典型例200は、微小基板の両面に、図2の上方向又は下方向へ成長させた針状炭素、及び、微小基板の外縁から放射状に成長させた針状炭素を有する。図2から分かるように、本第2の典型例200は、反応起点であるカーボンエッジ部が集合体の表面に現れる。また、本第2の典型例200は、各針状炭素がほぼ全て微小基板から外表面へ延在した構造をとるため、各針状炭素の炭素網面の略全部が、集合体の内部に隠れる。したがって、本第2の典型例200は、上述した第1の典型例100と同様に、従来のカーボンナノチューブと比較して、D/G比の値がより大きく、酸素還元に関与する反応起点の数がより多いと考えられる。したがって、本第2の典型例200を空気極層に用いることにより、従来の空気電池よりも高容量化、高エネルギー密度化が実現できる。
本発明においては、針状炭素集合体が、内部に空隙を有していてもよい。内部に空隙を有することにより、当該針状炭素集合体を空気電池の空気極層に用いた場合に、針状炭素集合体粒子内部の優れた酸素拡散性のため、当該針状炭素集合体粒子内部の空隙を反応場として利用することができ、その結果、従来の空気電池よりも放電容量をさらに向上させることができる。
図1に示したような第1の典型例の場合、針状炭素集合体の表面の酸素還元活性は高いものの、粒子の内側であればある程密度が高くなり、空隙が少なくなるため、粒子内部の有用性はそれほど高くない。しかし、内部に空隙を有することにより、粒子内部における酸素拡散性を高めることができ、粒子内部も充放電反応に有効に寄与させることができる。
針状炭素集合体の空隙率は、10〜90%であってもよい。針状炭素集合体の空隙率が10%未満である場合には、空隙が少なすぎるため、針状炭素集合体内部における酸素還元反応の反応起点の数が乏しくなるおそれがある。また、針状炭素集合体の空隙率が90%を超える場合には、空隙が多すぎるため、針状炭素集合体が粒子の形状を維持できなくなるおそれがある。
本発明における「針状炭素集合体の空隙率」とは、針状炭素集合体を含む電極の見かけ体積に対する、当該電極中の空隙の割合を指す。ここで、電極の見かけ体積とは、電極の寸法(例えば、縦×横×厚さ)から算出される体積を指す。また、電極中の空隙とは、例えば、細孔分布測定法の一種であるBarrett−Joyner−Halenda(BJH)法等によって求められる細孔容積を指す。本発明において、針状炭素集合体の空隙率は、公知の方法により算出できる。例えば、まず、細孔分布測定装置等を用いて、減圧真空状態から窒素分子を徐々に電極サンプルに吸着させる。窒素吸着後において、BJH法により、吸着等温線から細孔容積を算出する。続いて、電極サンプルの見かけ体積に占める細孔容積の割合から、針状炭素集合体の空隙率を算出する。
針状炭素集合体の空隙率は、15%以上であってもよく、20%以上であってもよい。針状炭素集合体の空隙率は、85%以下であってもよく、80%以下であってもよい。
針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径は0.1〜10μmであってもよい。針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径が0.1μm未満である場合には、空隙が小さすぎるため、針状炭素集合体内部における酸素還元反応の反応起点の数に乏しくなるおそれがある。また、針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径が10μmを超える場合には、空隙が大きすぎるため、針状炭素集合体が粒子の形状を維持できなくなるおそれがある。
例えば、針状炭素集合体の原料としてSiC単結晶を用いる場合には、本発明における「針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径」とは、原料であるSiC単結晶の平均粒径に対応する。
本発明において、針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径は、公知の方法により測定できる。例えば、まず、針状炭素集合体の粒子1つを公知の方法により輪切りにする。次に、その断面を適切な倍率(例えば、5万〜100万倍)で、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;以下、TEMと称する。)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;以下、SEMと称する。)により観察する。TEM画像又はSEM画像において、輪切りにした針状炭素集合体の断面について、空隙の断面を円形とみなした際の空隙の直径を算出する。針状炭素集合体に空隙が2以上含まれる場合には、全ての空隙について直径を算出する。このようなTEM観察又はSEM観察による空隙の直径の算出を、200〜300個の針状炭素集合体について行い、これら全ての針状炭素集合体における空隙の直径の平均を、針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径とする。
針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径は、0.2μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよい。針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径は、5μm以下であってもよく、2μm以下であってもよい。
図3は、本発明に用いられる針状炭素集合体の第1の変形例の断面模式図である。図3中の直線は、それぞれ針状炭素を示す。また、図3中の針状炭素に囲まれた白い部分は、針状炭素集合体内部の中空の空隙を表す。なお、図3及び後述する図4は、必ずしも、本発明に用いられる針状炭素集合体の(002)面の平均面間隔d002等のパラメータを反映させた模式図であるとは限らない。
針状炭素集合体の第1の変形例300は、内部に中空の空隙を有すること以外は、上述した第1の典型例と同様に、針状炭素が略放射状に配列してなる、針状炭素集合体の粒子である。図3から分かるように、本第1の変形例300は、反応起点であるカーボンエッジ部が集合体の表面及び空隙内部の表面に均一に現れる。また、本第1の変形例300は、各針状炭素がほぼ全て内部から外表面へ延在した、いわばウニ状構造をとるため、各針状炭素の炭素網面の略全部が互いに重なり合って隠れる。したがって、本第1の変形例300は、従来のカーボンナノチューブと比較して、上述したDバンドに対応するカーボンエッジ部の面積がより大きく、上述したGバンドに対応する炭素網面の面積がより小さいため、D/G比の値がより大きく、酸素還元に関与する反応起点の数がより多いと考えられる。したがって、本第1の変形例300を空気極層に用いることにより、本第1の変形例300と、より多くの酸素分子との電子の授受が可能となる結果、従来の空気電池よりも高容量化、高エネルギー密度化が実現できる。
図4は、本発明に用いられる針状炭素集合体の第2の変形例の断面模式図である。図4中の直線は、それぞれ針状炭素を示す。また、図4中の針状炭素に囲まれた黒い部分は、針状炭素集合体内部の隔壁を表し、且つ、針状炭素に囲まれた白い部分は、針状炭素集合体内部の空隙を表す。
針状炭素集合体の第2の変形例400は、内部に複数個の空隙を有すること以外は、上述した第1の変形例と同様である。したがって、本第2の変形例400を空気極層に用いることにより、本第2の変形例400と、より多くの酸素分子との電子の授受が可能となる結果、従来の空気電池よりも高容量化、高エネルギー密度化が実現できる。
図3及び図4に示した針状集合体粒子の例としては、SiC表面分解法により得られるカーボンナノチューブ集合体中空粒子等が挙げられる。
カーボンナノチューブ集合体中空粒子は、公知の方法により製造できる。
図3に示した針状集合体粒子の例としては、後述する製造例3及び製造例4に示すように、まず、予め作製したSiC粒子を1,600〜2,000℃まで加熱し、SiC粒子の一部のSiC(主にSiC粒子外側のSiC)をCNTに転化する。次に、加熱を継続したまま、製造装置内の雰囲気圧力を低下させ、SiC粒子の残りのSiC(主にSiC粒子の中央部位に残留するSiC)を減圧揮散させることにより、カーボンナノチューブ集合体中空粒子が製造される。
図4に示した針状集合体粒子の例としては、後述する製造例5及び製造例6に示すように、まず、予め作製したSiC粒子を1,600〜2,000℃まで加熱し、SiC粒子の一部のSiC(主にSiC粒子外側のSiC)をCNTに転化する。加熱を途中で止めることにより、主に粒子の中央部位にSiC隔壁が残留した空隙を有するカーボンナノチューブ集合体中空粒子が製造される。
本発明に用いられる針状炭素集合体のD/G比は0.1以上であることが好ましい。針状炭素集合体のD/G比が0.1未満である場合には、酸素還元に関わる反応起点の数が少なすぎるため、当該針状炭素集合体を空気電池の空気極に使用した場合に、空気電池の放電容量が小さくなるおそれがある。
本発明に用いられる針状炭素集合体のD/G比は、0.11以上であることがより好ましい。また、当該D/G比は、1.2以下であることがより好ましい。
本発明において、針状炭素集合体のD/G比を測定する方法としては、例えば、上述したように、針状炭素集合体のラマンスペクトル中のGバンド及びDバンドのピーク強度から算出する方法が挙げられる。
本発明に用いられる針状炭素集合体の(002)面の平均面間隔、すなわちd002は、0.335nm以上0.370nm未満であることが好ましい。d002が0.335nm未満である針状炭素集合体は理論上存在しない。また、針状炭素集合体のd002が0.370nm以上である場合には、針状炭素集合体の結晶性が低すぎるため、針状炭素集合体と酸素分子との間の電子授受が十分に行われないおそれがある。
本発明に用いられる針状炭素集合体のd002は、0.335〜0.360nmであることがより好ましく、0.335〜0.350nmであることがさらに好ましい。
本発明において、針状炭素集合体のd002を測定する方法としては、例えば、針状炭素集合体のXRDスペクトル中の(002)面の回折ピークの半値幅から算出する方法が挙げられる。
本発明に用いられる針状炭素集合体のBET比表面積は、大きければ大きいほどよいが、例えば、10〜3000m/gであってもよい。BET比表面積が小さすぎると、酸素還元に関わる反応面積が小さすぎるため、当該針状炭素集合体を空気電池の空気極に使用した場合に、空気電池の放電容量が小さくなりすぎるおそれがある。
本発明に用いられる針状炭素集合体のBET比表面積は、10〜1600m/gであることが好ましい。
本発明において、針状炭素集合体のBET比表面積を測定する方法としては、例えば、当該針状炭素集合体について、77Kの温度条件下でN吸着測定を行い、BET法により算出する方法が挙げられる。
本発明に用いられる針状炭素集合体の平均アスペクト比は、特に限定されない。例えば、上述したカーボンナノチューブ集合体粒子の場合、平均アスペクト比は1〜10の範囲内となる。このように、平均アスペクト比が比較的小さい針状炭素集合体粒子を用いることにより、空気極中に針状炭素集合体粒子を最密充填しやすくなり、その結果空気極の密度を上げ、電極反応部位を増やすことができる。
本発明において、針状炭素集合体の平均アスペクト比を測定する方法としては、例えば、TEM画像において、複数個の集合体についてそれぞれ長径及び短径を測定し、当該長径及び短径からアスペクト比を算出し、当該アスペクト比の平均をとる方法等が挙げられる。
図5は、本発明の空気電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。なお、本発明の空気電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。
空気電池500は、空気極層2及び空気極集電体4を備える空気極6と、負極活物質層3及び負極集電体5を備える負極7と、空気極6及び負極7に挟持される電解質層1を備える。
以下、本発明の空気電池を構成する、空気極、負極、及び電解質層、並びに本発明の空気電池に好適に使用されるセパレータ及び電池ケースについて、詳細に説明する。
本発明の空気電池の空気極は空気極層を備え、通常、空気極集電体、及び当該空気極集電体に接続された空気極リードをさらに備える。
本発明の空気電池中の空気極層は、少なくとも上述した針状炭素集合体を含有する。さらに、必要に応じて、触媒、結着剤等を含有していても良い。
上記空気極層中の針状炭素集合体の含有割合としては、空気極層全体の質量を100質量%としたとき、10〜99質量%であることが好ましい。針状炭素集合体の含有割合が少なすぎると、電子伝導が低くなり所望の電池特性が得られなかったり、反応場が少なすぎるため電池特性が悪化したりするおそれがある。一方、針状炭素集合体の含有割合が多すぎると、機械的強度が低くなりすぎ、独立した層(自立した層)として作製できず、性能評価が不可能となるおそれがある。空気極層中の針状炭素集合体の含有割合は、空気極作製時において適宜調節できる。
上記空気極層中の針状炭素集合体の含有割合は、20質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよい。針状炭素集合体のカーボン含有量は、95質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよい。
上記空気極層に用いられる触媒としては、例えば、酸素活性触媒が挙げられる。酸素活性触媒の例としては、例えば、ニッケル、パラジウム及び白金等の白金族;銀、金等の第11族元素;コバルト、マンガン及び/又は鉄等の遷移金属を含むペロブスカイト型酸化物;ルテニウム、イリジウム及び/又はパラジウム等の貴金属酸化物を含む無機化合物;ポルフィリン骨格又はフタロシアニン骨格を有する金属配位有機化合物;酸化マンガン(MnO)、酸化セリウム(CeO)等が挙げられる。
空気極層中の触媒の含有割合としては、特に限定されるものではないが、例えば、空気極層全体の質量を100質量%としたとき、1〜90質量%であることが好ましい。
電極反応がよりスムーズに行われるという観点から、上述した針状炭素集合体に触媒が担持されていてもよい。
上記空気極層は、少なくとも針状炭素集合体を含有していれば良いが、さらに、針状炭素集合体を固定化する結着剤を含有することが好ましい。結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、スチレン・ブタジエンゴム(SBRゴム)等のゴム系樹脂等を挙げることができる。
空気極層中の結着剤の含有割合としては、特に限定されるものではないが、例えば、空気極層全体の質量を100質量%としたとき、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
空気極層の作製方法としては、例えば、針状炭素集合体を含む空気極層の原料等を、混合して圧延する方法や、当該原料に溶媒を加えてスラリーを調製し、後述する空気極集電体に塗布する方法等が挙げられるが、必ずしもこれらの方法に限定されない。スラリーの空気極集電体への塗布方法としては、例えば、スプレー法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、グラビア印刷法、ダイコート法等の公知の方法が挙げられる。
上記空気極層の厚さは、空気電池の用途等により異なるものであるが、例えば2〜500μm、中でも5〜300μmであることが好ましい。
本発明の空気電池中の空気極集電体は、空気極層の集電を行うものである。空気極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、カーボン等を挙げることができる。空気極集電体の形状としては、例えば箔状、板状およびメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。中でも、本発明においては、集電効率に優れるという観点から、空気極集電体の形状がメッシュ状であることが好ましい。この場合、通常、空気極層の内部にメッシュ状の空気極集電体が配置される。さらに、本発明の空気電池は、メッシュ状の空気極集電体により集電された電荷を集電する別の空気極集電体(例えば箔状の集電体)を備えていても良い。また、本発明においては、後述する電池ケースが空気極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
空気極集電体の厚さは、例えば10〜1000μmの範囲内、中でも20〜400μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の空気電池中の負極は、好ましくは負極活物質を含有する負極層を備え、通常、負極集電体、及び当該負極集電体に接続された負極リードをさらに備える。
本発明の空気電池中の負極層は、金属材料、合金材料、及び/又は炭素材料を含む負極活物質を含有する。負極活物質に用いることができる金属及び合金材料としては、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム等の第2族元素;アルミニウム等の第13族元素;亜鉛、鉄等の遷移金属;又は、これらの金属を含有する合金材料や化合物を例示することができる。
リチウム元素を含有する合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。
リチウム元素を含有する化合物としては、リチウム酸化物、リチウム硫化物、及びリチウム窒化物が例示できる。リチウム酸化物としては、例えばリチウムチタン酸化物等を挙げることができる。リチウム窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。なお、負極層には、固体電解質をコートしたリチウムを用いることもできる。
また、上記負極層は、負極活物質のみを含有するものであっても良く、負極活物質の他に、導電性材料及び結着剤の少なくとも一方を含有するものであっても良い。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含有する負極層とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質及び結着剤を含有する負極層とすることができる。なお、結着剤については、上述した「空気極層」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
負極層が含有する導電性材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料、ペロブスカイト型導電性材料、多孔質導電性ポリマー及び金属多孔体等を挙げることができる。炭素材料は、多孔質構造を有するものであっても良く、多孔質構造を有しないものであっても良い。多孔質構造を有する炭素材料としては、具体的にはメソポーラスカーボン等を挙げることができる。一方、多孔質構造を有しない炭素材料としては、具体的にはグラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバー等を挙げることができる。
本発明の空気電池中の負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅、ステンレス、ニッケル、カーボン等を挙げることができる。負極集電体は、これらの内、SUS及びNiを用いることが好ましい。上記負極集電体の形状としては、例えば箔状、板状およびメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。本発明においては、後述する電池ケースが負極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
本発明の空気電池中の電解質層は、空気極層及び負極層の間に保持され、空気極層及び負極層との間で金属イオンを交換する働きを有する。
電解質層には、電解液、ゲル電解質、及び固体電解質等を用いることができる。これらは、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
電解液としては、水系電解液及び非水系電解液を用いることができる。
非水系電解液の種類は、伝導する金属イオンの種類に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、リチウム空気電池に用いる非水系電解液としては、通常、リチウム塩及び非水溶媒を含有したものを用いる。上記リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO及びLiAsF等の無機リチウム塩;LiCFSO、LiN(SOCF(Li−TFSA)、LiN(SO及びLiC(SOCF等の有機リチウム塩等を挙げることができる。上記非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル(AcN)、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びこれらの混合物等を挙げることができる。非水系電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.5〜3mol/kgの範囲内である。
本発明においては、非水系電解液又は非水溶媒として、例えば、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(PP13TFSA)、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(P13TFSA)、N−ブチル−N−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(P14TFSA)、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(DEMETFSA)、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(TMPATFSA)に代表されるような、イオン性液体等の低揮発性液体を用いても良い。
上記非水溶媒のうち、上記式(II)又は(III)で表される酸素還元反応を進行させるために、酸素ラジカルに安定な電解液溶媒を用いることがより好ましい。このような非水溶媒の例としては、アセトニトリル(AcN)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(PP13TFSA)、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(P13TFSA)、N−ブチル−N−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(P14TFSA)等が挙げられる。
水系電解液の種類は、伝導する金属イオンの種類に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、リチウム空気電池に用いる水系電解液としては、通常、リチウム塩及び水を含有したものを用いる。上記リチウム塩としては、例えばLiOH、LiCl、LiNO、CHCOLi等のリチウム塩等を挙げることができる。
本発明に用いられるゲル電解質は、通常、非水系電解液にポリマーを添加してゲル化したものである。例えば、リチウム空気電池の非水ゲル電解質は、上述した非水系電解液に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加し、ゲル化することにより得られる。本発明においては、LiTFSA(LiN(CFSO)−PEO系の非水ゲル電解質が好ましい。
固体電解質としては、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、及びポリマー電解質等を用いることができる。
硫化物系固体電解質としては、具体的には、LiS−P、LiS−P、LiS−P−P、LiS−SiS、LiS−SiS、LiS−B、LiS−GeS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−SiS−P、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、LiPS−LiGeS、Li3.40.6Si0.4、Li3.250.25Ge0.76、Li4−xGe1−x等を例示することができる。
酸化物系固体電解質としては、具体的には、LiPON(リン酸リチウムオキシナイトライド)、Li1.3Al0.3Ti0.7(PO、La0.51Li0.34TiO0.74、LiPO、LiSiO、LiSiO、LiLaZr12等を例示することができる。
ポリマー電解質は、伝導する金属イオンの種類に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、リチウム空気電池のポリマー電解質は、通常、リチウム塩及びポリマーを含有する。リチウム塩としては、上述した無機リチウム塩、及び/又は有機リチウム塩を使用できる。ポリマーとしては、リチウム塩と錯体を形成するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
本発明の空気電池は、空気極及び負極の間に、セパレータを備えていてもよい。上記セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系多孔膜;及びポリプロピレン等の樹脂製の不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。
セパレータに使用できるこれらの材料は、上述した電解液を含浸させることにより、電解液の支持材として使用することもできる。
本発明の空気電池は、通常、空気極、負極、電解質層等を収納する電池ケースを備える。電池ケースの形状としては、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。電池ケースは、大気開放型の電池ケースであっても良く、密閉型の電池ケースであっても良い。大気開放型の電池ケースは、少なくとも空気極層が十分に大気と接触可能な構造を有する電池ケースである。一方、電池ケースが密閉型電池ケースである場合は、密閉型電池ケースに、気体(空気)の導入管及び排気管が設けられることが好ましい。この場合、導入・排気する気体は、酸素濃度が高いことが好ましく、乾燥空気や純酸素であることがより好ましい。また、放電時には酸素濃度を高くし、充電時には酸素濃度を低くすることが好ましい。
電池ケース内には、電池ケースの構造に応じて、酸素透過膜や、撥水膜を設けてもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
1.CNT粒子の作製
[製造例1]
SiC表面分解法により、中身の詰まったCNT粒子(以下、SiC−CNT中実粒子と称する場合がある。)を以下の通り作製した。まず、市販の0.7μmφSiC粉末に対し、特開2008−285346号公報(明細書の段落[0039](実施例1))に記載された方法により粒成長処理を行い、2μmφSiC粉末を作製した。次に、2μmφSiC粉末を黒鉛坩堝に加え、製造装置内に静置した。続いて、真空度13.3Paに維持しながら1時間かけて800℃まで昇温した。800℃となったところで、一酸化炭素ガスを導入しつつ、油回転ポンプにより真空排気を維持し、炉内の圧力が66.5Paである雰囲気の下、昇温速度5.6℃/分で1,800℃まで昇温した。その後、1,800℃で4時間保持し、SiC粒子が含むSiCを完全にCNTに転化した。最後に加熱を停止し、自然放冷させて、製造例1のCNT粒子(2μmφのSiC−CNT中実粒子)を作製した。
[製造例2]
SiC−CNT中実粒子を以下の通り作製した。まず、市販の約0.2μmφSiC粉末に対し、特開2008−285346号公報(明細書の段落[0039](実施例1))に記載された方法により粒成長処理を行い、0.5μmφSiC粉末を作製した。次に、0.5μmφSiC粉末を黒鉛坩堝に加え、製造装置内に静置した。続いて、真空度13.3Paに維持しながら1時間かけて800℃まで昇温した。800℃となったところで、一酸化炭素ガスを導入しつつ、油回転ポンプにより真空排気を維持し、炉内の圧力が66.5Paである雰囲気の下、昇温速度5.6℃/分で1,800℃まで昇温した。その後、1,800℃で2時間保持し、SiC粒子が含むSiCを完全にCNTに転化した。最後に加熱を停止し、自然放冷させて、製造例2のCNT粒子(0.5μmφのSiC−CNT中実粒子)を製造した。
製造例2のSiC−CNT中実粒子のTEM画像を図6に示す。図6から分かるように、SiC−CNT中実粒子は、カーボンナノチューブが略放射状に配列してなる、カーボンナノチューブ集合体粒子である。
[製造例3]
SiC表面分解法により、内部が空洞のCNT粒子(以下、SiC−CNT中空粒子と称する場合がある。)を以下の通り作製した。まず、市販の0.7μmφSiC粉末に対し、特開2008−285346号公報(明細書の段落[0039](実施例1))に記載された方法により粒成長処理を行い、2μmφSiC粉末を作製した。次に、2μmφSiC粉末を黒鉛坩堝に加え、製造装置内に静置した。続いて、真空度13.3Paに維持しながら1時間かけて800℃まで昇温した。800℃となったところで、一酸化炭素ガスを導入しつつ、油回転ポンプにより真空排気を維持し、炉内の圧力が66.5Paである雰囲気の下、昇温速度5.6℃/分で1,800℃まで昇温した。その後、1,800℃で1.5時間保持し、SiC粒子の一部のSiC(主にSiC粒子外側のSiC)をCNTに転化した。次に、製造装置に直結付属する真空ブースターポンプを稼働させて雰囲気圧力を急低下させ、炉内圧力5Pa以下で2.5時間1,800℃加熱を継続し、SiC粒子の残りのSiC(主にSiC粒子の中央部位に残留するSiC)を減圧揮散させた。最後に加熱を停止し、自然放冷させて、製造例3のCNT粒子(2μmφのSiC−CNT中空粒子)を製造した。
製造例3のSiC−CNT中空粒子の空隙率を測定した。測定には、細孔分布測定装置(BELSORP−max−12−n−vp、日本ベル株式会社製)を用いた。測定管に試料を投入し、減圧真空状態から窒素分子を徐々にサンプルに吸着させていった。吸着後はBJH法を用いて吸着等温線から細孔容積を算出した。見かけ体積に占める細孔容積の割合から、製造例3のSiC−CNT中空粒子の空隙率は27%と算出された。
製造例3のSiC−CNT中空粒子の空隙の断面の平均直径をSEM観察により測定した。SEM観察により測定したSiC−CNT中空粒子の空隙の断面の平均直径は、1.9μmであった。
[製造例4]
SiC−CNT中空粒子を以下の通り作製した。まず、市販の0.2μmφSiC粉末に対し、特開2008−285346号公報(明細書の段落[0039](実施例1))に記載された方法により粒成長処理を行い、0.5μmφSiC粉末を作製した。次に、0.5μmφSiC粉末を黒鉛坩堝に加え、製造装置内に静置した。続いて、真空度13.3Paに維持しながら1時間かけて800℃まで昇温した。800℃となったところで、一酸化炭素ガスを導入しつつ、油回転ポンプにより真空排気を維持し、炉内の圧力が66.5Paである雰囲気の下、昇温速度5.6℃/分で1,800℃まで昇温した。その後、1,800℃で0.5時間保持し、SiC粒子の一部のSiC(主にSiC粒子外側のSiC)をCNTに転化した。次に、製造装置に直結付属する真空ブースターポンプを稼働させて雰囲気圧力を急低下させ、炉内圧力5Pa以下で1.5時間1,800℃加熱を継続し、SiC粒子の残りのSiC(主にSiC粒子の中央部位に残留するSiC)を減圧揮散させた。最後に加熱を停止し、自然放冷させて、製造例4のCNT粒子(0.5μmφのSiC−CNT中空粒子)を製造した。
[製造例5]
SiC表面分解法により、内部にSiCが残留したCNT粒子(以下、SiC残存SiC−CNT粒子と称する場合がある。)を以下の通り作製した。まず、市販の0.7μmφSiC粉末に対し、特開2008−285346号公報(明細書の段落[0039](実施例1))に記載された方法により粒成長処理を行い、2μmφSiC粉末を作製した。次に、2μmφSiC粉末を黒鉛坩堝に加え、製造装置内に静置した。続いて、真空度13.3Paに維持しながら1時間かけて800℃まで昇温した。800℃となったところで、一酸化炭素ガスを導入しつつ、油回転ポンプにより真空排気を維持し、炉内の圧力が66.5Paである雰囲気の下、昇温速度5.6℃/分で1,800℃まで昇温した。その後、1,800℃で1.5時間保持し、SiC粒子の一部のSiC(主にSiC粒子外側のSiC)をCNTに転化した。最後に加熱を停止し、自然放冷させて、製造例5のCNT粒子(2μmφのSiC残存SiC−CNT粒子)を製造した。すなわち、製造例5においては、製造例3のようなSiC揮散処理を行わなかったため、SiC粒子の主に外側がCNTに転化され、SiC粒子の主に内部にSiCが残る粒子が製造された。
[製造例6]
SiC残存SiC−CNT粒子を以下の通り作製した。まず、市販の0.2μmφSiC粉末に対し、特開2008−285346号公報(明細書の段落[0039](実施例1))に記載された方法により粒成長処理を行い、0.5μmφSiC粉末を作製した。次に、0.5μmφSiC粉末を黒鉛坩堝に加え、製造装置内に静置した。続いて、真空度13.3Paに維持しながら1時間かけて800℃まで昇温した。800℃となったところで、一酸化炭素ガスを導入しつつ、油回転ポンプにより真空排気を維持し、炉内の圧力が66.5Paである雰囲気の下、昇温速度5.6℃/分で1,800℃まで昇温した。その後、1,800℃で0.5時間保持し、SiC粒子の一部のSiC(主にSiC粒子外側のSiC)をCNTに転化した。最後に加熱を停止し、自然放冷させて、製造例6のCNT粒子(0.5μmφのSiC残存SiC−CNT粒子)を製造した。すなわち、製造例6においては、製造例4のようなSiC揮散処理を行わなかったため、SiC粒子の主に外側がCNTに転化され、SiC粒子の主に内部にSiCが残る粒子が製造された。
製造例6のSiC残存SiC−CNT粒子の30,000倍のSEM画像を図9に示す。図9において、粒子内部の灰色の隔壁部分は、粒子内部に残留したSiCであり、当該灰色の隔壁部分を取り囲む白い部分がCNTである。図9から分かるように、SiC残存SiC−CNT粒子は、内部にSiCが残留したCNT集合体粒子である。
2.空気極の作製
[製造例7]
まず、製造例1のSiC−CNT中実粒子、及びPTFEバインダー(ダイキン製)を、SiC−CNT中実粒子:PTFE=90質量%:10質量%の割合で混合した。次に、当該混合物をロールプレスにより圧延し、乾燥させ、適宜切断し、空気極層を作製した。続いて、空気極集電体として、SUSメッシュ(ニラコ製、SUS304製100メッシュ)を、当該空気極層の一面側に貼付け、製造例7の空気極を製造した。
[製造例8]
製造例7において、製造例1のSiC−CNT中実粒子を、製造例3のSiC−CNT中空粒子に替えたこと以外は、製造例7と同様の材料を用いて、製造例8の空気極を製造した。
[参考製造例1]
製造例7において、製造例1のSiC−CNT中実粒子を、製造例5のSiC残存SiC−CNT粒子に替えたこと以外は、製造例7と同様の材料を用いて、参考製造例1の空気極を製造した。
[比較製造例1]
製造例7において、製造例1のSiC−CNT中実粒子を、気相成長炭素繊維(昭和電工製;以下、VGCFと称する。)に替えたこと以外は、製造例7と同様の材料を用いて、比較製造例1の空気極を製造した。
3.炭素材料の評価
製造例1のSiC−CNT中実粒子、製造例3のSiC−CNT中空粒子、及び比較製造例1に使用したVGCFについて、(002)面の平均面間隔d002、D/G比、及びBET比表面積を測定した。
3−1.(002)面の平均面間隔d002の測定
上記各炭素材料について、粉末X線回折法により、XRDパターンを測定し、(002)面のピークの半値幅位置から、(002)面の平均面間隔d002を算出した。粉末X線回折測定の詳細な測定条件及び解析法は以下の通りである。
線源:CuKα
管電圧:40kV
管電流:40mA
解析法:FT法
3−2.D/G比の測定
上記各炭素材料について、レーザーラマン分光光度計により、488nmのレーザー光源を用いてラマン測定を行った。得られた各炭素材料のラマンスペクトルについて、ベースラインを差し引いた1360cm−1(Dバンド)及び1580cm−1(Gバンド)のピーク強度を算出し、Gバンドのピーク強度に対するDバンドのピーク強度を算出した。
各炭素材料に対して任意の場所にて3点ずつ測定を行い、各ピーク強度比を算出し、3点の各ピーク強度比の平均を、その炭素材料のD/G比とした。
3−3.BET比表面積の測定
上記各炭素材料について、77Kの温度条件下でN吸着測定を行い、BET法によりBET比表面積を算出した。
下記表1は、製造例1のSiC−CNT中実粒子、製造例3のSiC−CNT中空粒子、及び比較製造例1に使用したVGCFについて、(002)面の平均面間隔d002、D/G比、及びBET比表面積を比較した表である。
4.空気電池の作製
[実施例1]
空気極として、製造例7の空気極を使用した。
電解液として、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(関東化学製、PP13TFSA)に、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(キシダ化学製)を0.32mol/kgの濃度となるように溶解させ、アルゴン雰囲気下で一晩攪拌混合したものを用意した。また、セパレータとしてポリプロピレン製不織布を用意した。
負極集電体としてSUS箔(ニラコ製、SUS304)を用意し、当該SUS箔の一面側に金属リチウム(本城金属製)を貼り合わせて、負極を作製した。
電池ケースとして、空気極側に酸素取り込み孔を有するケースを用意した。
電池ケースの底から、負極集電体、金属リチウム、電解液を含浸させたセパレータ、SiC−CNT中実粒子を含む空気極層、及び空気極集電体の順に積層するように、電池ケース内に各部材を収納し、実施例1の空気電池を製造した。
以上の工程は、全て窒素雰囲気下のグローブボックス内で行った。
[実施例2]
空気極として、製造例8の空気極を使用した。
電解液として、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム ビストリフルオロメタンスルホニルアミド(関東化学製、DEMETFSA)に、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(キシダ化学製)を0.35mol/kgの濃度となるように溶解させ、アルゴン雰囲気下で一晩攪拌混合したものを用意した。また、セパレータとしてポリオレフィン系セパレータを用意した。
負極集電体としてSUS箔(ニラコ製、SUS304)を用意し、当該SUS箔の一面側に金属リチウム(本城金属製)を貼り合わせて、負極を作製した。
電池ケースとして、空気極側に酸素取り込み孔を有するケースを用意した。
電池ケースの底から、負極集電体、金属リチウム、電解液を含浸させたセパレータ、SiC−CNT中空粒子を含む空気極層、及び空気極集電体の順に積層するように、電池ケース内に各部材を収納し、実施例2の空気電池を製造した。
以上の工程は、全て窒素雰囲気下のグローブボックス内で行った。
[実施例3]
実施例2において、製造例8の空気極の替わりに、製造例7の空気極を使用したこと以外は、実施例2と同様の部材を用いて、実施例3の空気電池を製造した。
[参考例1]
実施例2において、製造例8の空気極の替わりに、参考製造例1の空気極を使用したこと以外は、実施例2と同様の部材を用いて、参考例1の空気電池を製造した。
[比較例1]
実施例1において、製造例1の空気極の替わりに、比較製造例1の空気極を使用したこと以外は、実施例1と同様の部材を用いて、比較例1の空気電池を作製した。
5.空気電池の放電容量の測定
実施例1及び比較例1の空気電池について、放電容量を測定した。
まず、各空気電池を、60℃の温度条件下に3時間放置した。その後、充放電試験装置(ナガノ製、BTS2004H)を用いて、各空気電池の空気極層に純酸素(大陽日酸、99.9%)を供給しながら、60℃の温度条件、且つ、電流密度0.02mA/cmの条件下で、定電流放電測定を行った。得られた放電容量を、各空気極質量で除した値を、その空気電池の放電容量とした。
図7は、実施例1及び比較例1の空気電池の放電曲線を重ねて示したグラフである。下記表2は、実施例1及び比較例1の空気電池について、放電容量を比較した表である。
次に、実施例2、実施例3、及び参考例1の空気電池について、放電容量を測定した。
まず、各空気電池を、60℃の温度条件下に3時間放置した。その後、充放電試験装置(ナガノ製、BTS2004H)を用いて、各空気電池の空気極層に純酸素(大陽日酸、99.9%)を供給しながら、60℃の温度条件、且つ、電流密度0.1mA/cmの条件下で、2.3Vまで定電流放電測定を行った。得られた放電容量を、各空気極質量で除した値を、その空気電池の放電容量とした。
図8は、実施例2、実施例3、及び参考例1の空気電池の放電曲線を重ねて示したグラフである。図8は、縦軸に放電電位(V)を、横軸に放電容量(%)をそれぞれとったグラフである。なお、図8の横軸は、実施例3の2.3Vにおける放電容量の値を100%としたときの、各放電容量の相対値(%)を示したものである。また、下記表3は、実施例2、実施例3、及び参考例1の空気電池について、放電容量を比較した表である。
6.評価のまとめ
表1及び表2に示すように、比較例1の空気電池は、d002が0.337nm、D/G比が0.065、及びBET比表面積が12m/gのVGCFを空気極層に含む。表2に示すように、比較例1の空気電池の放電容量は43mAh/gである。したがって、D/G比が0.1未満の炭素材料を使用した比較例1の空気電池の放電容量は、後述する実施例1の空気電池の放電容量の約半分であることが分かる。
一方、表1及び表2に示すように、実施例1の空気電池は、d002が0.339nm、D/G比が0.207、及びBET比表面積が33m/gのSiC−CNT中実粒子を空気極層に含む空気電池である。表2に示すように、実施例1の空気電池の放電容量は85mAh/gである。したがって、d002が比較例1とほぼ同程度であるが、D/G比が0.1以上である針状炭素集合体を使用した実施例1の空気電池は、従来の炭素材料を使用した空気電池と比較して、高い放電容量を有することが分かる。
表3に示すように、参考例1の空気電池は、SiC残存SiC−CNT粒子を空気極層に含む。表3に示すように、参考例1の空気電池の放電容量は、実施例3の空気電池の放電容量の37%である。したがって、SiC−CNT粒子の内部にSiCが残った炭素材料を使用した参考例1の空気電池の放電容量は、後述する実施例3の空気電池の放電容量の約3分の1であることが分かる。
一方、表1及び表3に示すように、実施例2の空気電池は、d002が0.338nm、D/G比が0.115、及びBET比表面積が72m/gのSiC−CNT中空粒子を空気極層に含む空気電池である。表3に示すように、実施例2の空気電池の放電容量は、実施例3の空気電池の放電容量の142%である。
実施例2及び実施例3と、参考例1とを比較することにより、炭素材料の粒子内部の環境が、空気電池の放電容量に影響を及ぼすことが明らかとなった。特に、実施例3及び参考例1を比較することにより、内部にSiCが残ったSiC−CNT粒子を使用した空気電池と比較して、内部にSiCが残らずCNTのみが存在するSiC−CNT中実粒子を使用した空気電池は、放電容量が3倍となることが分かる。参考例1の空気電池よりも、実施例3の空気電池の方が放電容量が高い理由は、炭素材料の粒子内部の反応点の数の差である。具体的には、実施例3に用いた炭素材料内部における未成長のCNTの粒界には、電極反応における反応点(活性点)が多く存在する。一方、参考例1に用いた炭素材料内部におけるSiCは単結晶の粒子であり、電極反応における反応点(活性点)の数が非常に少ない。
また、実施例2及び実施例3を比較することにより、内部が詰まったSiC−CNT粒子を使用した空気電池と比較して、内部が中空化したSiC−CNT粒子を使用した空気電池は、放電容量が1.4倍となることも分かる。以上の結果から、SiC−CNT粒子内部の酸素拡散性を高めることによって、粒子内部まで酸素還元反応の起点として利用できることが実証された。
1 電解質層
2 空気極層
3 負極活物質層
4 空気極集電体
5 負極集電体
6 空気極
7 負極
100 針状炭素集合体の第1の典型例
200 針状炭素集合体の第2の典型例
300 針状炭素集合体の第1の変形例
400 針状炭素集合体の第2の変形例
500 空気電池

Claims (8)

  1. 少なくとも空気極、負極、並びに、当該空気極及び当該負極の間に介在する電解質層を備える空気電池であって、
    前記空気極は、針状炭素集合体を含有する空気極層を少なくとも備え、
    前記針状炭素集合体は、各針状炭素の長手方向が、当該針状炭素集合体内部から外表面に向かう方向となるように配列してなることを特徴とする、空気電池。
  2. 前記針状炭素集合体は、針状炭素が略放射状に配列してなる粒子である、請求項1に記載の空気電池。
  3. 前記針状炭素集合体の(002)面の平均面間隔が0.335nm以上0.370nm未満であり、且つ、前記針状炭素集合体のD/G比が0.1以上である、請求項1又は2に記載の空気電池。
  4. 前記針状炭素集合体のBET比表面積が、10〜3000m/gである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の空気電池。
  5. 前記針状炭素集合体が、SiC表面分解法により得られるカーボンナノチューブ集合体粒子である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の空気電池。
  6. 前記針状炭素集合体は、内部に空隙を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の空気電池。
  7. 前記針状炭素集合体の空隙率は、10〜90%である、請求項6に記載の空気電池。
  8. 前記針状炭素集合体の空隙の断面の平均直径は、0.1〜10μmである、請求項6又は7に記載の空気電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2014038692A1 (ja) * 2012-09-10 2014-03-13 国立大学法人 大分大学 空気電池の空気極用炭素材料、及び当該炭素材料を含む空気電池

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