JP2013088158A - 原子力プラントの非常用復水システムとその運用方法 - Google Patents

原子力プラントの非常用復水システムとその運用方法 Download PDF

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圭太 奥山
Kenichi Katono
健一 上遠野
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Abstract

【課題】炉心燃料の崩壊熱の減衰に合わせて、原子炉を構成する材料を保護し、より短時間で原子炉内の水の温度を下げる。
【解決手段】原子炉圧力容器と、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気引き込み管と、蒸気引き込み管から導入された蒸気を凝縮する蒸気凝縮伝熱管と、蒸気凝縮伝熱管に接続されて蒸気凝縮伝熱管内の凝縮水を原子炉圧力容器に戻す凝縮水戻し管と、内部に水を貯蔵し蒸気凝縮伝熱管をその水中に設置する伝熱管冷却プールを有する原子力プラントの非常用復水システムにおいて、蒸気凝縮伝熱管を複数のユニットに分けてそれぞれの蒸気凝縮伝熱管ユニットに直列に復水弁を設置し、復水弁は独立して機械的に開閉する機械式弁で構成するとともに、復水弁の開閉は原子炉圧力容器の圧力または水位に応じて個別に設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子炉の安全設備に係り、特に原子炉隔離時における静的な原子炉格納容器冷却系の一つである原子力プラントの非常用復水システムとその運用方法に関する。
原子力プラントにおける静的な原子炉格納容器冷却系の一つに、アイソレーションコンデンサ(IC)を備えた非常用復水システムがある。非常用復水システムの構成を図2に示す。
図2において、11は原子炉圧力容器である。原子炉隔離時における静的な原子炉格納容器冷却系の一つである非常用復水システムは、蒸気引き込み管13、伝熱管冷却プール8内に設置された蒸気凝縮伝熱管10、復水弁3、凝縮水戻し管14で構成されている。
なお、蒸気引き込み管13の原子炉圧力容器11への取り付け部分aは、通常運転時における原子炉圧力容器11内の水位Ldよりも上部に位置付けられている。また、凝縮水戻し管14の原子炉圧力容器11への取り付け部分bは、通常運転時における原子炉圧力容器11内の水位Ldよりも下部に位置付けられている。
なお、通常運転時には、復水弁3は閉止されており、従って原子炉圧力容器11から伝熱管冷却プール8を介して原子炉圧力容器11に至る配管系統には流体が流れていない。
復水弁3は、差動信号発信系17からの信号を受けて、復水弁駆動系18により開閉が制御される。また、差動信号発信系17は原子炉圧力容器11の炉内圧力を測定する圧力計16が圧力上昇を検知したこと、または原子炉圧力容器11の水位を測定する水位計15が水位低下を検知したことをもって、復水弁3の開放を指令する。復水弁3が開放されてはじめて、非常用復水システムが作動する。
蒸気凝縮伝熱管10内の凝縮水の水位Lcは、原子炉圧力容器11内の通常運転時の水位Ldよりも高くなるように設定されており、復水弁3が開放されると水の自重により凝縮水を原子炉圧力容器11内に供給する。これにより、原子炉圧力容器11内の水位Ldの低下を抑制し、または原子炉圧力容器11内の圧力を低下させることができる。
図2に示す従来の非常用復水システムにおいて、作動信号発信系17及び復水弁駆動系18は、一般的には電源系統19から供給される電力によって駆動する。
以上に示すように、アイソレーションコンデンサICは原子力圧力容器に格納されている炉心燃料(図示せず)の崩壊熱を伝熱管冷却プール8に輸送し、放熱する静的な冷却システムである。このシステムでは、復水弁3が開放されると水の自重により凝縮水を原子炉圧力容器11内に供給し、伝熱管冷却プール8に水がある限り、ポンプなどの動的機器を用いることなく、原子炉圧力容器を冷却することができる。
本システムによれば、アイソレーションコンデンサIC作動後、炉心燃料の崩壊熱が蒸気引き込み管13内を流れる蒸気Sにより伝熱管冷却プール8に伝達される結果として、伝熱管冷却プール8の水の温度が徐々に上昇する。他方、これと同時に凝縮水Wを原子炉圧力容器11内に供給するので原子炉格納容器内の蒸気の温度が低下する。
このため伝熱管冷却プール8に着目すると、アイソレーションコンデンサIC作動後の時間経過に伴い、蒸気凝縮伝熱管10内での熱交換の対象物である蒸気と伝熱管冷却プール8の水の温度差が小さくなる。これにより、アイソレーションコンデンサICの除熱性能が低下する。
さらにその後、伝熱管冷却プール8の水が飽和温度に達した後は、伝熱管冷却プール8の温度は一定になる。この状態では、蒸気と伝熱管冷却プール8の水の温度差の変化が小さくなるため、アイソレーションコンデンサICの除熱性能の低下量は一層小さくなる。
図3は、アイソレーションコンデンサIC作動後の原子炉内の水の温度TRと、原子炉内で発生する崩壊熱による熱量Hdの関係を示している。このうち、炉心燃料の崩壊熱Hdは、アイソレーションコンデンサIC作動後の時間tの経過とともに急激に低下する。
これに対し、原子炉内の水の温度TRに着目すると、まずアイソレーションコンデンサICが起動した直後の時刻taでは、炉心燃料の崩壊熱とアイソレーションコンデンサICの除熱量の差が小さいので、原子炉内の水の温度TRの低下量は小さい。アイソレーションコンデンサICが起動して時間が経過した時刻tbでは、炉心燃料の崩壊熱が急激に低下するため、相対的にアイソレーションコンデンサICの除熱量が徐々に大きくなる。そのため、原子炉内の水温TRの変化量が大きくなり、時刻tc以降では急激に低下する。この点に関し、原子炉を構成する材料保護の観点からみると、原子炉内の水の急激な温度低下は好ましくない。原子炉内の水を冷却するにしても、より緩やかな温度変化での冷却とすることが望ましい。
これに対し、従来は運転員が原子炉圧力容器11とアイソレーションコンデンサICを接続する復水弁3を手動制御することで、原子炉内の水の温度を適切に低下させていた。
また、特許文献1には、原子炉の炉内圧力を計測し、この計測値をもとに凝縮水戻し管に設置してある弁の開度を制御する方法が示されている。
また特許文献2には、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気引き込み管上に復水弁を設置し、原子炉圧力容器の圧力変化または水位変化に応じて機械的に弁を開閉させる方法が示されている。
特開平4−27896号公報 特開2011−122949号公報
原子炉内の水の急激な温度低下を抑止する必要があるという課題に対し、原子炉圧力容器11とアイソレーションコンデンサICを接続する復水弁3を手動制御する場合は、運転員に課せられる負荷が大きくなる。アイソレーションコンデンサICの信頼度を高める観点からも、またヒューマンエラーの防止の観点からも、運転員の手動による操作をなるべく少なくしたい。
特許文献1の方法では、運転員の手動操作は生じないが、代わりに原子炉内の圧力を計測する機器と、この結果を基に復水弁3の開度を制御するための機器が必要である。然るに、これらの機器は直流電源19により動作する。信頼性をより一層高める観点からは、直流電源を全く用いない非常用復水システムが望まれる。
特許文献2によれば、直流電源が必要な特別な制御装置を用いずに原子炉内の水の温度を制御する方法が示されている。この場合、原子炉圧力容器の圧力変化または水位変化に応じてアイソレーションコンデンサICの除熱機能の作動と停止を繰り返す。これにより、原子炉内の水の温度変化は緩やかになり、原子炉を構成する材料が保護されるとしている。
図4は、特許文献2の手法を採用したときのアイソレーションコンデンサIC作動後の原子炉内の水の温度TRと、原子炉内で発生する崩壊熱による熱量Hdの関係を示している。この図の表記は、図3に準じており崩壊熱量Hdは図3と同じように時間経過により急激に減少する,原子炉の炉水温度TR1は、格別の制御を行わないときの温度低下の傾向を示している。
特許文献2の手法では、除熱機能の作動と停止を繰り返し、アイソレーションコンデンサICの除熱量を制御したときの除熱量をC1で示している。この例では、アイソレーションコンデンサICが起動した直後の時刻t0から時刻tdまでの間除熱機能を作動させ、時刻tdから時刻teまでの間除熱機能を停止させ、時刻teから時刻tfまでの間除熱機能を再度作動させるという具合に、除熱機能の作動と停止を繰り返した。
しかしながら、この特許文献2の手法では、図4の温度変化特性TR3に示すようにアイソレーションコンデンサICが停止している時(時刻tdから時刻teまで)には原子炉内の水の温度が上昇する。
原子炉を構成する材料を保護するための緩やかな冷却としては、図3の温度変化特性TR2に示すように温度変化させたいのであり、増減を繰り返す温度変化特性TR3を得たいわけではない。
以上のことから本発明においては、炉心燃料の崩壊熱の減衰に合わせて、アイソレーションコンデンサICの除熱性能を段階的かつ自動的に調整し、原子炉を構成する材料を保護し、かつより短時間で原子炉内の水の温度を下げることができる原子力プラントの非常用復水システムとその運用方法を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために本発明では、原子炉圧力容器と、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気引き込み管と、蒸気引き込み管から導入された蒸気を凝縮する蒸気凝縮伝熱管と、蒸気凝縮伝熱管に接続されて蒸気凝縮伝熱管内の凝縮水を原子炉圧力容器に戻す凝縮水戻し管と、内部に水を貯蔵し蒸気凝縮伝熱管をその水中に設置する伝熱管冷却プールを有する原子力プラントの非常用復水システムにおいて、蒸気凝縮伝熱管を複数のユニットに分けてそれぞれの蒸気凝縮伝熱管ユニットに直列に復水弁を設置し、復水弁は独立して機械的に開閉する機械式弁で構成するとともに、復水弁の開閉は原子炉圧力容器の圧力または水位に応じて個別に設定されている。
また、複数の復水弁は、原子炉圧力容器の圧力または水位の変動に応じて開放し、その後順次閉成するように、原子炉圧力容器の圧力または水位の設定値が個別に設定されている。
また、複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能が互いに相違するように設定されている。
また、除熱性能が高い蒸気凝縮伝熱管ユニットの順に、当該蒸気凝縮伝熱管ユニットに接続された復水弁が閉成されていく。
上記した目的を達成するために本発明では、原子炉圧力容器と、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気引き込み管と、蒸気引き込み管から導入された蒸気を凝縮する蒸気凝縮伝熱管と、蒸気凝縮伝熱管に接続されて蒸気凝縮伝熱管内の凝縮水を原子炉圧力容器に戻す凝縮水戻し管と、内部に水を貯蔵し蒸気凝縮伝熱管をその水中に設置する伝熱管冷却プールを有する原子力プラントの非常用復水システムにおいて、蒸気凝縮伝熱管を複数のユニットに分けてそれぞれの蒸気凝縮伝熱管ユニットに直列に復水弁を設置し、復水弁は独立して機械的に開閉する機械式弁で構成するとともに、復水弁の開閉は前記原子炉圧力容器の圧力または水位に応じて個別に設定されており、複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能が互いに相違するように設定されている。
また、除熱性能が高い蒸気凝縮伝熱管ユニットの順に、当該蒸気凝縮伝熱管ユニットに接続された復水弁が閉成されていく。
また、複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能が互いに相違するように設定するために、蒸気凝縮伝熱管は、ユニット毎に蒸気凝縮伝熱管の長さが異なる。
また、複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能が互いに相違するように設定するために、蒸気凝縮伝熱管は、ユニット毎に蒸気凝縮伝熱管に設置してあるフィンの除熱特性が異なる。
また、除熱性能が高い蒸気凝縮伝熱管ユニットに接続された復水弁は、開閉する圧力の設定値が相対的に高い。
上記した目的を達成するために本発明では、原子炉圧力容器と、原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気引き込み管と、蒸気引き込み管から導入された蒸気を凝縮する蒸気凝縮伝熱管と、蒸気凝縮伝熱管に接続されて蒸気凝縮伝熱管内の凝縮水を原子炉圧力容器に戻す凝縮水戻し管と、内部に水を貯蔵し蒸気凝縮伝熱管をその水中に設置する伝熱管冷却プールを有する原子力プラントの非常用復水システムの運用方法において、蒸気凝縮伝熱管を複数のユニットに分けてそれぞれの蒸気凝縮伝熱管ユニットに直列に復水弁を設置し、復水弁は独立して機械的に開閉する機械式弁で構成するとともに、原子炉圧力容器で発生した崩壊熱を除去するために復水弁を開閉して蒸気凝縮伝熱管ユニットにおける除熱量を段階的に低減させる。
本発明においては、炉心燃料の崩壊熱の減衰に合わせて、アイソレーションコンデンサICの除熱性能を段階的かつ自動的に調整し、原子炉を構成する材料を保護し、かつより短時間で原子炉内の水の温度を下げることができる。
本発明における非常用復水システムの第一の実施形態の構成を示す図。 従来の非常用復水システムの構成を示す図。 アイソレーションコンデンサIC作動後の原子炉内の水の温度TRと、原子炉内で発生する崩壊熱による熱量Hdの関係を示す図。 特許文献2の手法を採用したときのアイソレーションコンデンサIC作動後の原子炉内の水の温度TRと、原子炉内で発生する崩壊熱による熱量Hdの関係を示す図。 復水弁3A〜3Dを原子炉圧力容器11内の圧力に連動して機械的に操作する場合の開閉設定圧力の考え方について説明する図。 原子炉圧力が上昇し本発明システムが作動したときの応答と圧力推移を示す図。 復水弁3A〜3Dを原子炉圧力容器11内の水位に連動して機械的に操作する場合の開閉設定水位の考え方について説明する図。 原子炉水位が低下し本発明システムが作動したときの応答と水位変動を示す図。 本発明における非常用復水システムの第二の実施形態の構成を示す図。 冷却用プール8を上部から俯瞰し、蒸気凝縮伝熱管6の断面を表した図。 本発明における非常用復水システムの第三の実施形態の構成を示す図。 本発明における非常用復水システムの第四の実施形態の構成を示す図。
本発明の実施例を、図面を用いて以下に説明する。
本発明による非常用復水システムの第一の実施形態を図1に示す。
図1において、11は原子炉圧力容器である。原子炉隔離時における静的な原子炉格納容器冷却系の一つである非常用復水システムは、蒸気引き込み管13、伝熱管冷却プール8内に設置された蒸気凝縮伝熱管10、復水弁3、電動弁4、凝縮水戻し管14で構成されている。
この図1の非常用復水システムは、以下の点で図2の従来システムと相違する。このように構成した理由並びに具体的な運用手法について後述する。
蒸気凝縮伝熱管10が、複数の蒸気凝縮伝熱管ユニット10UA,10UB,10UCで構成され、並列配置されている点。
各蒸気凝縮伝熱管ユニット10Uに直列に、復水弁3と電動弁4の並列弁ユニットが設置されている点。
凝縮水戻し管14に直列に、復水弁3Dと電動弁4Dの並列弁ユニットが設置されている点。
復水弁3は機械弁であり、電気的な駆動部分を備えない。原子炉内圧力変動、原子炉内水位変動により機械的に開閉される。
電動弁4は、電気的に駆動されて開閉する弁である。
この構成では、要するに蒸気凝縮伝熱管ユニット10Uと、復水弁3と電動弁4の並列弁ユニットが直列配置された冷却ユニットMが、蒸気引き込み管13と凝縮水戻し管14の間に並列に複数組設けられている。
なお、蒸気引き込み管13の原子炉圧力容器11への取り付け部分aは、通常運転時における原子炉圧力容器11内の水位Ldよりも上部に位置付けられている。また、凝縮水戻し管14の原子炉圧力容器11への取り付け部分bは、通常運転時における原子炉圧力容器11内の水位Ldよりも下部に位置付けられている。
図1の非常用復水システムによれば、蒸気凝縮伝熱管ユニット10Uの内部を流れる蒸気Sは、伝熱管冷却プール8内の水によって冷却されて凝縮し、蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10C内で凝縮した蒸気は、蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10C内に水位Lcを形成する。
このシステムでは、通常運転中は電動弁4A〜4Dと復水弁3A〜3Dはすべて閉められており、蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cに原子炉圧力容器11内の蒸気が連続的に流れ込むのを防止している。
以下、本発明の非常用復水システムとその動作について詳細に説明するが、その前に復水弁3と電動弁4の並列弁ユニットを構成したことの意味について説明する。まず電動弁4であるがこれは図2に示すように作動信号発信系17、復水弁駆動系18を介して駆動されており、その前提として電源系統19が健全であることを要する。これに対し、復水弁3は機械弁であり、電源系統19からの駆動力を必要としていない。
本発明は、電源系統19が喪失した状態においても原子炉冷却が可能な非常用復水システムである。このため、以下の説明では電動弁4側の説明を省略し、復水弁3側の動作に特化して説明する。従って、以下の説明では復水弁3のみが動作し、電動弁4は一切の動作を行っていないものとする。
このシステムにおいて、原子炉圧力容器11内の水位Ldが一定値まで低下した場合、または原子炉圧力容器11内の圧力が一定値まで上昇した場合、復水弁3A〜3Dが動力及び作動信号なしで機械的に開放し、アイソレーションコンデンサICが作動する。
ここで、復水弁3A〜3Dを原子炉圧力容器11内の圧力に連動して機械的に操作する場合の開閉設定圧力の考え方について図5を用いて説明する。設定圧力として、開放時設定圧力Poと閉成時設定圧力Pcを備える。開放時設定圧力Poは、通常運転時の原子炉圧力容器11内の圧力Pnよりも高く設定され、復水弁3A〜3Dの開放時設定圧力Poは、例えばPoD<PoC<PoB<PoAとされる。
これに対し、一度開放した後に閉成するときの閉成時設定圧力Pcは、通常運転時の原子炉圧力容器11内の圧力Pnよりも低く設定される。また復水弁3A〜3Dの開放時設定圧力Poは、PcD<PcC<PcB<PcAとする。
図6は、原子炉圧力が上昇し本発明システムが作動したときの応答と圧力推移を示している。縦軸に圧力、横軸に時間をとって示している。まず時刻t10−t11の間では原子炉内圧力Pは正常時設定圧力Pnに制御されている。
時刻t11で負荷遮断(発電機が電力系統から解列され無負荷状態になった)が発生し、時刻t12にかけて原子炉内圧力Pが上昇する。時刻t12において、復水弁3の開放時設定圧力Poに達し、復水弁3が機械的に開放される。
このとき、原子炉圧力容器11に格納されている炉心燃料の崩壊熱が高く、原子炉圧力容器内の圧力Pが高い場合は、すべての復水弁3A〜3Dが開き、すべての蒸気凝縮伝熱管ユニット10UA,10UB,10UCに原子炉圧力容器内の蒸気Sが流れ込み、蒸気凝縮伝熱管ユニット10UA,10UB,10UCを介して原子炉に凝縮水が流れ込むことで、原子炉内の水の温度を積極的に下げる。
これに対し、炉心燃料の崩壊熱が相対的に小さい場合は、原子炉圧力容器11内の圧力が相対的に低いため、開放圧力の設定値Poが低い復水弁のみが開き、その復水弁に接続された蒸気凝縮伝熱管ユニット10Uのみに原子炉圧力容器内の蒸気が流れ込む。図5の開放圧力の設定では、原子炉内圧力Pの上昇に従い、3D、3C、3B、3Aの順に開放していく。図6では、原子炉内圧力Pが瞬時に上昇し、全ての復水弁3A〜3Dが機械的に開放された状態を示している。
蒸気凝縮伝熱管ユニット10UA,10UB,10UC内の凝縮水の水位Lcは、通常運転時の原子炉圧力容器11内の通常運転時水位Ldよりも高くなるように設定されている。このため、復水弁3A〜3Dが開かれると、水の自重を利用して凝縮水が原子炉圧力容器11内に供給される。
このとき、原子炉圧力容器11の圧力Pに応じて復水弁3A〜3Cが開放されるので、原子炉圧力容器11の圧力Pが高い時には、原子炉圧力容器11に供給する凝縮水の量を相対的に多く、原子炉圧力容器11の圧力が低い時は、原子炉圧力容器11に供給する凝縮水の量が相対的に少なくなる。
そして図6において、凝縮水が原子炉圧力容器11内に供給されたのちの時刻t13に至り原子炉圧力容器11内の圧力低下により、圧力がPcAに達すると、復水弁3Aが閉成する。これにより、蒸気凝縮伝熱管ユニット10UAからの凝縮水の供給が停止される。蒸気凝縮伝熱管ユニット10UAからの凝縮水の供給停止により、原子炉圧力容器11への凝縮水供給総量は減少し、原子炉内圧力の低下も緩和される。このことから明らかなように復水弁3Aは、時刻t12−t13の期間のみ開放して凝縮水の供給を行う。
さらに時刻t14に至り原子炉圧力容器11内の圧力低下により、圧力がPcBに達すると、復水弁3Bが閉成する。これにより、蒸気凝縮伝熱管ユニット10UBからの凝縮水の供給が停止される。蒸気凝縮伝熱管ユニット10UBからの凝縮水の供給停止により、原子炉圧力容器11への凝縮水供給総量は減少し、原子炉内圧力の低下もさらに緩和される。このように復水弁3Bは、時刻t12−t14の期間開放して凝縮水の供給を行う。
さらに時刻t15に至り原子炉圧力容器11内の圧力低下により、圧力がPcCに達すると、復水弁3Cが閉成する。これにより、蒸気凝縮伝熱管ユニット10UCからの凝縮水の供給が停止される。蒸気凝縮伝熱管ユニット10UCからの凝縮水の供給停止により、原子炉圧力容器11への凝縮水供給総量は減少し、原子炉内圧力の低下もさらに緩和される。このように復水弁3Cは、時刻t12−t15の期間開放して凝縮水の供給を行う。
以上の説明から明らかなように、本発明では圧力上昇の程度に応じて凝縮水供給総量が変更される。また、最初に大量に投入し、その後は圧力低下に応じて順次投入量を減らしている。かつ、これらが機械的に行われるため、電源を喪失した状態でも原子炉の緩やかな冷却を達成することが可能である。
これにより、原子炉内の水の急激な温度低下させることがないため、原子炉を構成する材料を保護しつつ、原子炉圧力容器11内の水位12の低下を抑制し、原子炉圧力容器11内の圧力を低下させることができる。
上記の効果は、原子炉圧力容器11内の水位変動に応じて復水弁3を機械的に操作する場合にも達成可能である。復水弁3A〜3Dを原子炉圧力容器11内の水位に連動して機械的に操作する場合の開閉設定水位の考え方について図7で説明する。
設定水位として、開放時設定水位Loと閉成時設定水位Lcを備える。開放時設定水位Loは、通常運転時の原子炉圧力容器11内の水位Lnよりも低く設定され、復水弁3A〜3Dの開放時設定水位Loは、例えばLoD>LoC>LoB>LoAとされる。
これに対し、一度開放した後に閉成するときの閉成時設定水位Lcは、通常運転時の原子炉圧力容器11内の水位Lnよりも低く、かつ開放時設定水位Loよりも高い水位に設定される。そのうえで、復水弁3A〜3Dの開放時設定水位Loは、LcD>LcC>LcB>LcAとする。
図8は、原子炉水位が低下し本発明システムが作動したときの応答と水位変動を示している。縦軸に水位、横軸に時間をとって示している。まず時刻t10−t11の間では原子炉内水位Lは正常時設定水位Lnに制御されている。
時刻t11で負荷遮断(発電機が電力系統から解列され無負荷状態になった)が発生し、時刻t12にかけて原子炉内水位Lが低下する。時刻t12において、復水弁3の開放時設定水位Loに達し、復水弁3が機械的に開放される。
このとき、原子炉圧力容器11に格納されている炉心燃料の崩壊熱が高く、原子炉圧力容器内の水位Lが十分に低い場合は、すべての復水弁3A〜3Dが開き、すべての蒸気凝縮伝熱管ユニット10UA,10UB,10UCに原子炉圧力容器内の蒸気Sが流れ込み、蒸気凝縮伝熱管ユニット10UA,10UB,10UCを介して原子炉に凝縮水が流れ込むことで、原子炉内の水の温度を積極的に下げる。
これに対し、炉心燃料の崩壊熱が相対的に小さい場合は、原子炉圧力容器11内の水位が相対的に高いため、開放水位の設定値Loが高い復水弁のみが開き、その復水弁に接続された蒸気凝縮伝熱管ユニット10Uのみに原子炉圧力容器内の蒸気が流れ込む。図7の開放水位の設定では、原子炉内水位Lの低下に従い、3D、3C、3B、3Aの順に開放していく。図8では、原子炉内水位Lが瞬時に低下し、全ての復水弁3A〜3Dが機械的に開放された状態を示している。
蒸気凝縮伝熱管ユニット10UA,10UB,10UC内の凝縮水の水位Lcは、通常運転時の原子炉圧力容器11内の通常運転時水位Ldよりも高くなるように設定されている。このため、復水弁3A〜3Dが開かれると、水の自重を利用して凝縮水が原子炉圧力容器11内に供給される。
このとき、原子炉圧力容器11の水位Lに応じて復水弁3A〜3Cが開放されるので、原子炉圧力容器11の水位Lが十分に低い時には、原子炉圧力容器11に供給する凝縮水の量は相対的に多く、原子炉圧力容器11の水位が相対的に高い時は、原子炉圧力容器11に供給する凝縮水の量は相対的に少なくなる。
そして図8において、凝縮水が原子炉圧力容器11内に供給されたのちの時刻t13に至り原子炉圧力容器11内の水位上昇により、水位がLcAに達すると、復水弁3Aが閉成する。これにより、蒸気凝縮伝熱管ユニット10UAからの凝縮水の供給が停止される。蒸気凝縮伝熱管ユニット10UAからの凝縮水の供給停止により、原子炉圧力容器11への凝縮水供給総量は減少し、原子炉内水位の上昇が緩和される。このことから明らかなように復水弁3Aは、時刻t12−t13の期間開放して凝縮水の供給を行う。
さらに時刻t14に至り原子炉圧力容器11内の水位上昇により、水位がLcBに達すると、復水弁3Bが閉成する。これにより、蒸気凝縮伝熱管ユニット10UBからの凝縮水の供給が停止される。蒸気凝縮伝熱管ユニット10UBからの凝縮水の供給停止により、原子炉圧力容器11への凝縮水供給総量は減少し、原子炉内水位の上昇もさらに緩和される。このように復水弁3Bは、時刻t12−t14の期間開放して凝縮水の供給を行う。
さらに時刻t15に至り原子炉圧力容器11内の水位上昇により、水位がLcCに達すると、復水弁3Cが閉成する。これにより、蒸気凝縮伝熱管ユニット10UCからの凝縮水の供給が停止される。蒸気凝縮伝熱管ユニット10UCからの凝縮水の供給停止により、原子炉圧力容器11への凝縮水供給総量は減少し、原子炉内水位の低下もさらに緩和される。このように復水弁3Cは、時刻t12−t15の期間開放して凝縮水の供給を行う。
以上の説明から明らかなように、水位に連動させた本発明の実施例では水位上昇の程度に応じて凝縮水供給総量が変更される。また、最初に大量に投入し、その後は水位低下に応じて順次投入量を減らしている。かつ、これらが機械的に行われるため、電源を喪失した状態でも達成することが可能である。
以上、圧力あるいは水位に連動して複数の復水弁3を機械的に順次開閉することについて説明した。再度図3に戻り、崩壊熱量Hdの時間的推移との関係で複数の復水弁3の開閉の状態を図示すると、負荷遮断による非常用復水システム作動の直後の時期に全ての復水弁3が開放して凝縮水を原子炉に供給し、圧力、水位の回復の程度に応じて順次復水弁3が閉成していく。
係る制御の結果として、アイソレーションコンデンサICの除熱量は、段階的に減少する形となり、緩やかな温度低下特性TR2を実現することができた。ここでは、除熱量の減少のタイミングが複数の復水弁3により定まり、圧力、水位の回復の程度に応じて変更されていることが理解できる。
このことは、非常用復水システムの運用方法としてみると、蒸気凝縮伝熱管10を複数の蒸気凝縮伝熱管ユニット10UA,10UB,10UCで構成し、非常用復水システム作動の直後には複数ユニットからの凝縮水供給を行い、その後ユニット数を減らしていくように運用すればよい。ユニット数の調整のために機械式の復水弁が使用され、タイミング決定のために圧力、水位の回復の程度が利用される。
なお、図1に示す本発明による非常用復水システムでは、原子炉圧力容器11内の水位Ldが一定値まで低下した場合、または原子炉圧力容器11内の圧力が一定値まで上昇した場合、復水弁3A〜3Dが外部からの動力及び作動信号無しに機械的に開放する。そのため、本発明の図1に示す構成では、従来の非常用復水システムで必要であった作動信号発信系、復水弁駆動系、電源系統、圧力計、水位計が不要である。
なお、電動弁4A〜Dは、運転員が積極的にアイソレーションコンデンサICを作動させるために設置してある。
機械的に作動する復水弁3A〜3Dとしては、バネ式弁のように圧力によって開閉する機構を有する。また、特許文献2に示されているように、破裂弁や圧力逃がし弁、逆止弁を組み合わせることで、復水弁3A〜3Dの作動をより確実にすることも可能である。
本発明の実施例2における非常用復水システムの構成を図9に示す。本実施例では、実施例1の構成と復水弁の開閉操作を採用した上でさらに、蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cの除熱性能が10A、10B、10Cの順に高くなるように構成されている。除熱性能を可変にするために、蒸気凝縮伝熱管6に設置してあるフィンの数を異ならせている。なお、図9において、蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cは、ヘッタ5とフッター7の間に筒状の複数の蒸気凝縮伝熱管6を配置したものである。ヘッタ5とフッター7は、それぞれ蒸気引き込み管13と蒸気凝縮伝熱管14に接続されており、蒸気を均等に蒸気凝縮伝熱管6に分流し、凝縮水を効率よく合流させる機能を果たす。
このための蒸気凝縮伝熱管の断面を図10に示す。図10は、冷却用プール8を上部から俯瞰した図であり、蒸気凝縮伝熱管6の断面を表している。この例では、蒸気凝縮伝熱管6Cに設置してあるフィンの数が最も多く、次いで6Bとされ、6Cにはフィンは設置しない。このように、フィンの数によって蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cの除熱性能を、10C<10B<10Aとする。
原子炉圧力容器内の炉心燃料の崩壊熱は、図3のHdに示したように指数関数的に減衰する。炉心燃料の崩壊熱が高い場合は、原子炉圧力容器11の圧力が高いため、復水弁3A〜3Cがすべて開き、蒸気凝縮伝熱管ユニット10A〜10Cがすべて作動する。このように炉心燃料の崩壊熱が高い場合は、アイソレーションコンデンサICの除熱性能を高くする。炉心燃料の崩壊熱が下がると、原子炉圧力容器11の圧力が低下し、設定圧力値が最も高い復水弁3Aが最初に閉じる。以後は、復水弁3B,3Cの順に閉成させる。
これにより除熱性能が最も高い蒸気凝縮伝熱管ユニットから順次停止することになる。このため、アイソレーションコンデンサICの除熱性能は、実施例1の同じケースと比べて、より大きく低下する。このとき、炉心燃料の崩壊熱が指数関数的に低下している。本実施例のアイソレーションコンデンサICは、アイソレーションコンデンサICの崩壊熱の減衰に合わせて、原子炉内の水の温度をより一層適切に下げることができる。
このように第2の実施例では、複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能を異なるものとし、除熱性能が高いものから順に停止していくものである。
本発明の実施例3におけるアイソレーションコンデンサICの構成図を図11に示す。実施例3の場合にも、実施例2と同様に蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cの除熱性能を異なるものとし、除熱性能が高いものから順に停止していく。除熱性能を異ならせるために、フィンではなく蒸気凝縮伝熱管の菅長を相違せしめて実現している。
本実施例では、蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cの除熱性能が10A、10B、10Cの順に高くなっている。蒸気凝縮伝熱管6Aの長さが最も長く、次いで6B、6Cが一番短い。このように、蒸気凝縮伝熱管の長さによって蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cの除熱性能を、10C<10B<10Aとする。
原子炉圧力容器内の炉心燃料の崩壊熱は、図3のHdに示すように指数関数的に減衰する。炉心燃料の崩壊熱が高い場合は、原子炉圧力容器11の圧力が高いため、復水弁3A〜3Dがすべて開き、蒸気凝縮伝熱管ユニット10A〜10Cがすべて作動する。このように炉心燃料の崩壊熱が高い場合は、アイソレーションコンデンサICの除熱性能を高くする。炉心燃料の崩壊熱が下がると、原子炉圧力容器11の圧力が低下し、設定圧力値が最も高い復水弁3Aが最初に閉じる。以後は、復水弁3B,3Cの順に閉成させる。
これにより除熱性能が最も高い蒸気凝縮伝熱管ユニット6Aが作動しなくなるため、アイソレーションコンデンサICの除熱性能は、実施例1の同じケースと比べて、より大きく低下する。このとき、炉心燃料の崩壊熱が指数関数的に低下している。本実施例のアイソレーションコンデンサICは、アイソレーションコンデンサICの崩壊熱の減衰に合わせて、原子炉内の水の温度をより一層適切に下げることができる。
このように第3の実施例でも、複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能を異なるものとし、除熱性能が高いものから順に停止していくものである。
本発明の実施例4におけるアイソレーションコンデンサICの構成図を図12に示す。実施例4の場合にも、実施例2、3と同様に蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cの除熱性能を異なるものとし、除熱性能が高いものから順に停止していく。
本実施例では、蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cの除熱性能が10C、10B、10Aの順に高くなっている。蒸気凝縮伝熱管AMの長さが最も長く、次いで6B、6Cが一番短い。ただし、実施例3とは異なり、蒸気凝縮伝熱管の長さは管の蛇行量で調整しており、蒸気凝縮伝熱管6A、6B、6Cの高さはすべて同じである。蒸気凝縮伝熱管ユニット10A、10B、10Cの除熱性能に差をつけることで、アイソレーションコンデンサICの除熱性能を指数関数的に減衰する炉心燃料の崩壊熱により対応させることができる。
さらに、本実施例では蒸気凝縮伝熱管ユニットの高さがすべて同じである。蒸気凝縮ユニットは、冷却用プール9内において水に完全に浸す必要があるが、本実施例では蒸気凝縮ユニットの高さがすべて同じであるため、冷却用プール9を小さくすることができる。
以上説明した本発明によれば、複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットに直列に、開閉する圧力の設定値が異なる復水弁が設置されている。このことから、図3に示すように、原子炉圧力容器の圧力或いは水位に応じて、開いている復水弁の数が変化する。これにより稼働する蒸気凝縮伝熱管ユニットの数が変化する。
即ち、原子炉圧力容器に格納されている炉心燃料の崩壊熱が高く、原子炉圧力容器内の圧力が高い場合は、すべての復水弁が開き、すべての蒸気凝縮伝熱管ユニットに原子炉圧力容器内の蒸気が流れ込み、蒸気凝縮伝熱管を介して原子炉に凝縮水が流れ込むことで、原子炉内の水の温度を積極的に下げる。
一方、炉心燃料の崩壊熱が相対的に小さい場合は、原子炉圧力容器内の圧力が相対的に低いため、開閉する圧力の設定値が低い復水弁のみが開き、その復水弁に接続された蒸気凝縮伝熱管ユニットのみに原子炉圧力容器内の蒸気が流れ込む。蒸気凝縮伝熱管ユニットを介して原子炉に流れ込む凝縮水も相対的に少ないため、炉心燃料の崩壊熱が相対的に小さい場合であっても、原子炉内の水の温度を適切に下げることができる。
さらに、長さが長いもしくは除熱性能が高い蒸気凝縮伝熱管ユニットに接続されている復水弁について、開閉する圧力の設定値を相対的に高くすることにより、アイソレーションコンデンサICの除熱性能を、指数関数的に減衰する炉心燃料の崩壊熱により対応させることができる。これにより、アイソレーションコンデンサICの崩壊熱の減衰に合わせて、原子炉内の水の温度をより一層適切に下げることができる。
これらは、従来の非常用復水システムにおいて使用していた作動信号発信系、復水弁駆動系、電源系統を必要としないため、これらの故障によるリスクがなく信頼性が大幅に向上するため、実用上の効果が大きい。
本発明は、原子炉の安全設備に関し、特に原子炉隔離時における静的な原子炉格納容器冷却系の一つである非常用復水システムに適用することができる。
3A〜3D:復水弁
4:電動弁
5:ヘッター
6A〜6C:蒸気凝縮伝熱管
7:フッター
8:冷却用プール
10A〜10M:蒸気凝縮伝熱管ユニット
11:原子炉圧力容器
13:蒸気引き込み管
14:蒸気凝縮伝熱管
15:水位計
16:圧力計
17:作動信号発信系
18:復水弁駆動系
19:電源系統
20:フィン
a:蒸気引き込み管13の原子炉圧力容器11への取り付け部分
b:凝縮水戻し管14の原子炉圧力容器11への取り付け部分
Lc:蒸気凝縮伝熱管10内の凝縮水の水位
Ld:原子炉圧力容器内水位

Claims (10)

  1. 原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気引き込み管と、該蒸気引き込み管から導入された蒸気を凝縮する蒸気凝縮伝熱管と、該蒸気凝縮伝熱管に接続されて前記蒸気凝縮伝熱管内の凝縮水を前記原子炉圧力容器に戻す凝縮水戻し管と、内部に水を貯蔵し前記蒸気凝縮伝熱管をその水中に設置する伝熱管冷却プールを有する原子力プラントの非常用復水システムにおいて、
    前記蒸気凝縮伝熱管を複数のユニットに分けてそれぞれの蒸気凝縮伝熱管ユニットに直列に復水弁を設置し、前記復水弁は独立して機械的に開閉する機械式弁で構成するとともに、前記復水弁の開閉は前記原子炉圧力容器の圧力または水位に応じて個別に設定されていることを特徴とする原子力プラントの非常用復水システム。
  2. 請求項1に記載の原子力プラントの非常用復水システムにおいて、
    前記複数の復水弁は、前記原子炉圧力容器の圧力または水位の変動に応じて開放し、その後順次閉成するように、原子炉圧力容器の圧力または水位の設定値が個別に設定されていることを特徴とする原子力プラントの非常用復水システム。
  3. 請求項1または2に記載の原子力プラントの非常用復水システムにおいて、
    複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能が互いに相違するように設定されていることを特徴とする原子力プラントの非常用復水システム。
  4. 請求項3に記載の原子力プラントの非常用復水システムにおいて、
    除熱性能が高い蒸気凝縮伝熱管ユニットの順に、当該蒸気凝縮伝熱管ユニットに接続された復水弁が閉成されていくことを特徴とする原子力プラントの非常用復水システム。
  5. 原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気引き込み管と、該蒸気引き込み管から導入された蒸気を凝縮する蒸気凝縮伝熱管と、該蒸気凝縮伝熱管に接続されて前記蒸気凝縮伝熱管内の凝縮水を前記原子炉圧力容器に戻す凝縮水戻し管と、内部に水を貯蔵し前記蒸気凝縮伝熱管をその水中に設置する伝熱管冷却プールを有する原子力プラントの非常用復水システムにおいて、
    前記蒸気凝縮伝熱管を複数のユニットに分けてそれぞれの蒸気凝縮伝熱管ユニットに直列に復水弁を設置し、前記復水弁は独立して機械的に開閉する機械式弁で構成するとともに、前記復水弁の開閉は前記原子炉圧力容器の圧力または水位に応じて個別に設定されており、複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能が互いに相違するように設定されていることを特徴とする原子力プラントの非常用復水システム。
  6. 請求項5に記載の原子力プラントの非常用復水システムにおいて、
    除熱性能が高い蒸気凝縮伝熱管ユニットの順に、当該蒸気凝縮伝熱管ユニットに接続された復水弁が閉成されていくことを特徴とする原子力プラントの非常用復水システム。
  7. 請求項5または請求項6に記載の原子力プラントの非常用復水システムにおいて、
    複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能が互いに相違するように設定するために、前記蒸気凝縮伝熱管は、ユニット毎に蒸気凝縮伝熱管の長さが異なることを特徴とする原子力プラントの非常用復水システム。
  8. 請求項5または請求項6に記載の原子力プラントの非常用復水システムにおいて、
    複数の蒸気凝縮伝熱管ユニットの除熱性能が互いに相違するように設定するために、前記蒸気凝縮伝熱管は、ユニット毎に蒸気凝縮伝熱管に設置してあるフィンの除熱特性が異なることを特徴とする原子力プラントの非常用復水システム。
  9. 請求項6に記載した原子力プラントの非常用復水システムにおいて、
    除熱性能が高い蒸気凝縮伝熱管ユニットに接続された復水弁は、開閉する圧力の設定値が相対的に高いことを特徴とする原子力プラントの非常用復水システム。
  10. 原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器から蒸気を抜き取る蒸気引き込み管と、該蒸気引き込み管から導入された蒸気を凝縮する蒸気凝縮伝熱管と、該蒸気凝縮伝熱管に接続されて前記蒸気凝縮伝熱管内の凝縮水を前記原子炉圧力容器に戻す凝縮水戻し管と、内部に水を貯蔵し前記蒸気凝縮伝熱管をその水中に設置する伝熱管冷却プールを有する原子力プラントの非常用復水システムの運用方法において、
    前記蒸気凝縮伝熱管を複数のユニットに分けてそれぞれの蒸気凝縮伝熱管ユニットに直列に復水弁を設置し、前記復水弁は独立して機械的に開閉する機械式弁で構成するとともに、
    前記原子炉圧力容器で発生した崩壊熱を除去するために前記復水弁を開閉して前記蒸気凝縮伝熱管ユニットにおける除熱量を段階的に低減させることを特徴とする原子力プラントの非常用復水システムの運用方法。
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