JP2013087664A - 真空破壊制御システムおよび真空破壊制御方法 - Google Patents

真空破壊制御システムおよび真空破壊制御方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 真空破壊のタイミングを適切に判定し復水器を真空破壊する。
【解決手段】 ユニットのタービンを停止可能なタービン停止部12と、ブロー弁を開閉することによってユニットのフラッシュタンク残圧を調整可能なフラッシュタンク残圧調整部13と、タービン停止部12によってタービンを停止して回転数が所定値以下となり、かつ、フラッシュタンク残圧調整部13によってブロー弁を開閉してフラッシュタンク80の残圧が所定の状態となった場合に、復水器90の真空を破壊する真空破壊部14と、を備える。
【選択図】 図1

Description

この発明は、火力発電所の発電ユニット停止時において復水器の真空破壊を制御する真空破壊制御システムに関し、より適切なタイミングで真空破壊を実施することが可能な真空破壊制御システムおよび真空破壊制御方法に関する。
火力発電所の発電ユニット(以下、単にユニットという。)停止時においては、運転中に生じた熱によって設備が損傷しないように、まずユニットを解列し、タービンを停止してから、ボイラを消火し、さらに通風系統を停止し、その後、復水器を真空破壊している。このように、例えば、ボイラの消火後は、復水器へ熱が流入していないにも関わらず、復水器の真空を破壊しておらず、補機類が運転されたままとなっていた。つまり、ユニットの解列から復水器を真空破壊するまでに時間を要するために、その間の補機類の運転によってコストの増加や、人為的な負担の増加につながっていた。
そこで、発電プラントの運転停止時に、タービン通常停止モードにおけるメタル温度推移特性データから予想メタル温度推移を決定し、警報レベルに応じた許容メタル温度差に基づきメタル温度を決定し、決定されたメタル温度から該予想メタル温度推移に基づき真空破壊のタイミングを決定する発電プラントの運転停止システムに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、深夜起動停止時には、復水器の真空破壊を行い、循環水ポンプ等の補機類の停止およびグランド蒸気の供給停止により、コスト削減を図る発電設備の運転方法に関する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2009−243364号公報 特開2004−068646号公報
特許文献1に記載された技術は、メタル温度の特性データに基づいて、真空破壊のタイミングを決定するものである。また、特許文献2に記載された技術は、深夜起動停止時の運転コストの削減を図るために、復水器の真空破壊を行うものである。これに対して、本願発明者は、熱によって設備が損傷するのを防止するとともに、タービンの回転によって設備に損傷を与えるような振動の発生を抑制するために、真空破壊のタイミングをタービンの回転数とフラッシュタンクの残圧とにもとづいて、真空破壊のタイミングを判定すればよいと考えた。
そこで、この発明は、真空破壊のタイミングを適切に判定し復水器を真空破壊することが可能な真空破壊制御システムおよび真空破壊制御方法を提供することを目的としている。
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、火力発電所のユニット停止時において復水器の真空破壊を制御する真空破壊制御システムであって、前記ユニットのタービンを停止可能なタービン停止手段と、ブロー弁を開閉することによって前記ユニットのフラッシュタンク残圧を調整可能なフラッシュタンク残圧調整手段と、前記タービン停止手段によって前記タービンを停止して回転数が所定値以下となり、かつ、前記フラッシュタンク残圧調整手段によって前記ブロー弁を開閉してフラッシュタンクの残圧が所定の状態となった場合に、前記復水器の真空を破壊する真空破壊手段と、を備えることを特徴とする復水器の真空破壊制御システムである。
この発明によれば、真空破壊手段によって、タービン停止手段によってタービンを停止して回転数が所定値以下となり、かつ、フラッシュタンク残圧調整手段によってブロー弁を開閉してフラッシュタンクの残圧が所定の状態となった場合に、復水器の真空を破壊する。
請求項2の発明は、火力発電所のユニット停止時において復水器の真空破壊を制御する真空破壊制御方法であって、前記ユニットのタービンを停止し、ブロー弁を開閉することによって前記ユニットのフラッシュタンクの残圧を調整し、前記タービンの回転数が所定値以下となり、かつ、前記フラッシュタンクの残圧が所定の状態となった場合に、前記復水器の真空を破壊する、ことを特徴とする復水器の真空破壊制御方法である。
請求項1または請求項2に記載の発明によれば、タービンを停止して回転数が所定値以下となり、かつ、ブロー弁を開閉してフラッシュタンクの残圧が所定の状態となった場合に、復水器の真空を破壊するので、適切に真空を破壊することができる。つまり、タービンの回転数が高いにも関わらず真空破壊してしまうことによってユニットの設備の損傷を招いたり、フラッシュタンク残圧が高いにも関わらず真空破壊してしまうことによって、漏水したりしてしまうことを防止できる。一方、タービンの回転数やフラッシュタンク残圧が十分に低いにも拘わらず、真空破壊をせずに無駄に真空を維持することを防止することができる。このように、適切なタイミングで真空を破壊することができるので、ユニットの解列から真空破壊までの時間が短縮された分、補機の運転に要していたコストや、運転員の負担を軽減することができる。
また、真空を破壊するタイミングの判定を、運転員の経験にもとづいて行う必要がないので、運転員の熟練度によらず適切かつ安全に真空を破壊することができる。
この発明の実施の形態に係る真空破壊制御システムの概略構成ブロック図である。 ボイラの給水系統を示す概略構成図である。 発電機内のタービン速度と振動などを示すトレンドグラフである。 発電機内のフラッシュタンク圧力を示すトレンドグラフである。 図1の真空破壊制御システムの処理を示すフローチャートである。 図5の真空破壊時期判定タスクの処理を示すフローチャートである。
つぎに、この発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
図1ないし図6は、この発明の実施の形態を示している。真空破壊制御システム1は、火力発電所のユニット停止時において復水器90の真空破壊を制御するシステムであり、図1に示すように、主として、記憶部11と、タービン停止手段としてのタービン停止部12と、フラッシュタンク残圧調整手段としてのフラッシュタンク残圧調整部13と、真空破壊手段としての真空破壊部14およびこれらの制御を行う制御部10とを備えている。この真空破壊制御システム1は火力発電所のユニット監視制御サーバ(図示略)に備えられている。
ここで、火力発電所のユニットは、石炭やガスなどの燃料をボイラで燃焼させて、発生した高温・高圧ガスによってガスタービンを回転させるとともに、ボイラで発生した蒸気によって蒸気タービンを回転させることにより発電するものである。ここでは、一般的な構成のユニットと同等の構成であるため、詳細な説明は省略する。
このユニットは、図2に示すように、ポンプ20と、高圧ヒータ30と、エコノマイザ40と、ボイラ本体50と、一次過熱器60aと、二次過熱器60bと、高圧タービン(以下、単にタービンという。)70と、フラッシュタンク80と、復水器90を有している。このユニットにおいては、取水された水をポンプ20によって、高圧ヒータ30へ送出し、高圧ヒータ30とエコノマイザ40は、水を加熱する。加熱された水は、ボイラ本体50によって、さらに過熱されて蒸気となる。ここで、ボイラ本体50には、通風系統が配設され、取り込んだ外気をヒータで加熱して、ボイラ本体50に供給する機能と、排出される排ガスの一部を抜き出して底部に戻す機能とを有している。
ボイラ本体50で加熱された蒸気は、一次過熱器60aと二次過熱器60bによって、加熱されて高温・高圧になる。この高温・高圧の蒸気は、タービン70に送出される。
タービン70は、ガスタービンで構成され、二次過熱器60bの下流側に配設され、ボイラ本体50、一次過熱器60a、二次過熱器60bで生成された高温・高圧の蒸気を羽根車で受けることにより、回転運動としての動力を得るものである。
フラッシュタンク80は、ボイラ本体50やタービン70などの蒸気供給系で生じた蒸気を貯蔵し、低圧蒸気と低圧凝縮水に分離して復水器90に送出するものである。また、フラッシュタンクダンプ蒸気弁81は、フラッシュタンク80と復水器90との間の上方の配管に配設されており、開閉によって低圧蒸気の流れを制御するものである。フラッシュタンクドレン弁82は、フラッシュタンク80と復水器90との間の下方の配管に配設されており、開閉によって低圧凝縮水の流れを制御するものである。また、ブロー弁83は、フラッシュタンク80内の水を系外のブロータンクへ送出するものである。これらのフラッシュタンクダンプ蒸気弁81、フラッシュタンクドレン弁82、ブロー弁83を開閉することによって、フラッシュタンク80内の圧力を調整することができる。
復水器90は、フラッシュタンク80から送出された低圧蒸気と低圧凝縮水とを水に戻すものである。ユニットの運転時には、復水器90は、真空が保持されており、ユニットに生じた蒸気などを吸引するようになっている。復水器90の真空は、真空破壊弁(図示略)を開放して大気圧に戻すことで、復水器90やタービン70などの真空を破壊する。
タービン回転数測定部(図示略)は、タービン70の回転数を測定し、制御部10に伝送する機能を有している。ここで、タービン70の回転数は、図3に示すように、タービン70の停止後から減少する。例えば、6:27にタービン70を停止すると、回転数3600rpmから、16分後の6:43には1078rpmとなり、18分後の263rpmまで減少し、さらに18分後には0rpmとなる。
タービン70の回転数が高い状態で、真空を破壊すると振動の原因となり、タービン70を損傷させるおそれがある。このため、タービン70の回転数がユニットの運転状態に応じて所定値以下、例えば、2900rpm以下となった場合に、真空を破壊するようにすればよい。この値は、図3に示されているようなタービン70の軸受の振動や偏心、伸び差、カム軸位置などの測定結果や、過去の運転実績などを考慮することにより、算定することができる。
フラッシュタンク圧力測定部(図示略)は、フラッシュタンク80の圧力(残圧)を測定し、制御部10に伝送する機能を有している。ここで、フラッシュタンク80の圧力が所定の状態であれば、復水器90への熱の流入がなくなっているため、復水器90の真空を破壊することが可能である。この所定の状態は、図4に示されているような脱気器レベル、フラッシュタンクレベル、フラッシュタンク蒸気弁開度、フラッシュタンク水位調節弁開度、タービンバイパス弁開度、補助蒸気圧力、復水器真空などの測定結果や、過去の運転実績などにより、算定することができる。例えば、図4に示すトレンドグラフからは、フラッシュタンクの圧力は、21:08のタービン70の停止から増加し、21:25のボイラの消火後は、2.94MPaから3.5MPaまで急激に増加し、21:27頃から急激に減少し、21:35には1.354Mpaとなり、さらに、21:53には1.057MPaとなる。そして、タービン停止後は、蒸気供給系で蒸気が発生しなくなるので、フラッシュタンク80の圧力は減少する。そして、22:11にフラッシュタンク80のブロー弁83を開放すると、さらに急減に低下し0.1MPaで一定となる。つまり、この場合には、フラッシュタンク80の圧力が0.1MPa以下であれば、復水器90の真空を破壊することが可能である。
記憶部11は、制御部10に伝送されたタービン回転数測定部で測定したタービン70の回転数と、フラッシュタンク圧力測定部で測定したフラッシュタンク80の圧力を記憶したり、真空破壊タスク、真空破壊時期判定タスク15を記憶したりしている。
タービン停止部12は、制御部10からの指令に基づいて、タービン70に停止する制御信号を送信するものである。
フラッシュタンク残圧調整部13は、真空破壊タスクの起動中においては、制御部10からの指令に基づいて、フラッシュタンク80のフラッシュタンクダンプ蒸気弁81やフラッシュタンクドレン弁82を閉操作する制御信号を送信する。また、フラッシュタンク残圧調整部13は、真空破壊タスクの起動中においては、制御部10からの指令に基づいて、フラッシュタンク80の残圧が所定の状態となるように、ブロー弁83を開操作する制御信号を送信する。ユニット停止時にフラッシュタンクダンプ蒸気弁81やフラッシュタンクドレン弁82が閉塞されると、フラッシュタンク80の圧力が上昇する。
真空破壊部14は、制御部10からの指令に基づいて、復水器90の真空破壊弁を開操作して、復水器90の真空を破壊するものである。
真空破壊時期判定タスク15は、タービン停止部12によってタービン70を停止して回転数が所定値以下となり、かつ、フラッシュタンク残圧調整部13によってブロー弁83を開閉してフラッシュタンク80の残圧が所定の状態となった場合に、真空破壊可能であると判定する機能を有するプログラム、タスクである。この真空破壊時期判定タスク15は、制御部10によって、図5に示すように通風系統停止後に起動されるようにプログラミングされている。
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)などで構成され、図5に示す真空破壊タスクを起動したりするものである。
次に、このような構成の真空破壊制御システム1における復水器90の真空破壊方法および作用について説明する。
火力発電所のユニットを停止させるために、真空破壊タスクを起動して、図5で示すフローチャートの処理(真空破壊タスク)を開始する。このとき、タービン回転数測定部によって測定されたタービン70の回転数と、フラッシュタンク圧力測定部によって測定されたフラッシュタンク80の圧力(残圧)とが、制御部10に伝送される。
まず、ステップS1において、タービン停止部12によってタービンを停止し、ステップS2において、ボイラを消化し、ステップS3において、通風系統を停止し、ステップS4において、真空破壊時期判定タスク15を起動する。
そして、真空破壊時期判定タスク15は、図6に示すように、ステップS11において、記憶部11からタービン回転数を取得し、ステップS12において、フラッシュタンク圧力を取得し、ステップS13において、真空破壊が可能か否かを判定する。ここで、タービン回転数およびフラッシュタンク圧力は、真空破壊タスクの起動中においては、所定間隔で随時測定され、記憶部11が更新されている。
真空破壊が可能か否かは、(A)タービン停止部12によってタービン70を停止して回転数が所定値以下、(B)フラッシュタンク残圧調整部13によってブロー弁83を開閉してフラッシュタンク80の残圧が所定の状態、のいずれもみたす場合に、真空破壊が可能(「YES」)と判定する。真空破壊が不可能な場合(「NO」の場合)は、ステップS11に戻って同様の処理を繰り返す。真空破壊が可能な場合(「YES」の場合)は、このタスクの処理を終了して、図5に示す真空破壊タスクのステップS5に進む。
つぎに、ステップS5において、真空破壊部14によって復水器90の真空を破壊して、このタスクの処理を終了する。
このようにして、真空破壊タスクによって、タービン停止部12によってタービン70を停止して回転数が所定値以下となり、かつ、フラッシュタンク残圧調整部13によってフラッシュタンク80のブロー弁を開閉してフラッシュタンク80の残圧が所定の状態となった場合に、真空破壊部14によって復水器90の真空が破壊される。
以上のように、この真空破壊制御システム1および真空破壊制御方法によれば、タービン停止部12によってタービン70を停止して回転数が所定値以下となり、かつ、フラッシュタンク残圧調整部13によってフラッシュタンク80のブロー弁83を開閉してフラッシュタンク80の残圧が所定の状態となった場合に、復水器90の真空を破壊するので、適切に真空を破壊することができる。つまり、タービン70の回転数が高いことによってユニットの設備の損傷を招いたり、フラッシュタンク80の残圧が高いことによって、復水器90への熱の流入がある状態で真空を破壊し、漏水したりしてしまうことなどを防止できる。一方、タービン70の回転数やフラッシュタンク80の残圧が十分に低いにも拘わらず、真空破壊をせずに無駄に真空を維持することを防止することができる。このように、適切なタイミングで真空を破壊することによって、時間が短縮された分、補機の運転に要していたコストや、運転員の負担を軽減することができる。
また、真空を破壊するタイミングの判定を、真空破壊時期判定タスク15によって行い、運転員の経験にもとづいて行う必要がないので、運転員の熟練度によらず適切かつ安全に真空を破壊することができる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、ユニットが2台の循環ポンプを有している場合について説明したが、3台以上の循環ポンプを有している場合であっても同様である。
1 真空破壊制御システム
12 タービン停止部(タービン停止手段)
13 フラッシュタンク残圧調整部(フラッシュタンク残圧調整手段)
14 真空破壊部(真空破壊手段)
20 ポンプ
30 高圧ヒータ
40 エコノマイザ
50 ボイラ本体
60a 一次過熱器
60b 二次過熱器
70 タービン
80 フラッシュタンク
81 フラッシュタンクダンプ蒸気弁
82 フラッシュタンクドレン弁
90 復水器

Claims (2)

  1. 火力発電所のユニット停止時において復水器の真空破壊を制御する真空破壊制御システムであって、
    前記ユニットのタービンを停止可能なタービン停止手段と、
    ブロー弁を開閉することによって前記ユニットのフラッシュタンク残圧を調整可能なフラッシュタンク残圧調整手段と、
    前記タービン停止手段によって前記タービンを停止して回転数が所定値以下となり、かつ、前記フラッシュタンク残圧調整手段によって前記ブロー弁を開閉してフラッシュタンクの残圧が所定の状態となった場合に、前記復水器の真空を破壊する真空破壊手段と、
    を備えることを特徴とする復水器の真空破壊制御システム。
  2. 火力発電所のユニット停止時において復水器の真空破壊を制御する真空破壊制御方法であって、
    前記ユニットのタービンを停止し、
    ブロー弁を開閉することによって前記ユニットのフラッシュタンクの残圧を調整し、
    前記タービンの回転数が所定値以下となり、かつ、前記フラッシュタンクの残圧が所定の状態となった場合に、前記復水器の真空を破壊する、
    ことを特徴とする復水器の真空破壊制御方法。
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