JP2013083374A - 振止部材取付構造および蒸気発生器 - Google Patents

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Abstract

【課題】振止部材の機能を損なうことなく、管支持板の差込孔と振止部材との間の隙間によって生じる隙間流励起振動を防止すること。
【解決手段】複数の伝熱管の間に配置される棒状の振止部材14Bが、伝熱管を支持する管支持板6に設けられた差込孔6Aに端部を挿通されて取り付けられる振止部材取付構造において、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bの周面14Baとの間に隙間Sを設け、かつ振止部材14Bまたは差込孔6Aの内面6Aaの少なくとも一方に、隙間Sを維持しつつ当該隙間Sを通過する流体を通す流路18(溝18A)を設ける。
【選択図】図5

Description

本発明は、伝熱管を振れ止めする振止部材を取り付けるための振止部材取付構造、および当該振止部材取付構造が適用される蒸気発生器に関するものである。
蒸気発生器は、U字形状の伝熱管が複数整列されたものである。この蒸気発生器では、伝熱管の間に気液二相流体が流れる際のU字形状の円弧部での流体励起振動を防ぐため、振止部材が用いられている。振止部材は、円弧部において伝熱管の間に挿入されたほぼV字形状のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭61−291896号公報
ところで、原子力発電設備における出力向上に伴い、蒸気発生器の出力を向上させるため蒸気発生器が大型化する。このため、伝熱管の円弧部の半径が大きくなることから、振止部材による支持箇所を増す必要がある。具体的に、円弧部の中心部分では、上述したV字形状の振止部材が届かないため、円弧部の中央部に、垂直に立てられた直線形状の振止部材が採用される。この直線形状の振止部材は、伝熱管の円弧部の外側は一端が支持部材によって支持され、円弧部の中心側では他端が管支持板に挿通された形態となる。そして、直線形状の振止部材を管支持板に挿通する形態は、原子力発電設備の運転時に振止部材の熱伸びがあることから、管支持板の差込孔と振止部材との間に隙間を設ける必要がある。
しかしながら、管支持板の差込孔と振止部材との間に隙間を設けると、この隙間を流れる水蒸気によって振止部材自体が隙間流励起振動を起こしてしまうおそれがある。この隙間流励起振動を防止するには、隙間を広くして限界流速を上げることや、差込孔の内面を水蒸気の流れの下流側に向けて先細テーパー形状にしたり、差込孔の内面の水蒸気の流れの下流側に突起を設けたりして隙間の出口圧損を増大させることが考えられる。ところが、隙間を広くすると、振止部材の位置決め精度が低下し、本来の機能である伝熱管の振動抑制機能が低下することになる。また、差込孔を先細テーパー形状にしたり、突起を設けたりすると、差込孔の内面と振止部材とが接触し易くなって、熱伸びを逃がす機能が低下するとともに、接触時の衝突振動強度を考慮しなければならない。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、振止部材の機能を損なうことなく、管支持板の差込孔と振止部材との間の隙間によって生じる隙間流励起振動を防止することのできる振止部材取付構造および蒸気発生器を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の振止部材取付構造は、複数の伝熱管の間に配置される棒状の振止部材が、前記伝熱管を支持する管支持板に設けられた差込孔に端部を挿通されて取り付けられる振止部材取付構造において、前記差込孔の内面と前記振止部材の周面との間に隙間を設け、かつ前記振止部材または前記差込孔の内面の少なくとも一方に、前記隙間を維持しつつ前記隙間を通過する流体を通す流路を設けることを特徴とする。
隙間に流体が流れることで、振止部材に隙間流励起振動が発生するおそれがある。この隙間流励起振動は、隙間を広くして限界流速を上げることで防止できるが、隙間を広くすると、振止部材の位置決め精度が低下し、本来の機能である伝熱管の振動抑制機能が低下することになる。この点、本発明の振止部材取付構造によれば、流路によって流体を通すことで限界流速を上げるため、隙間流励起振動を防止することができ、かつ流路は隙間を維持するように設けられているため隙間自体を広くするものではない。この結果、振止部材の振れ止め機能を損なうことなく、管支持板の差込孔と振止部材の間の隙間によって生じる隙間流励起振動を防止することができる。
また、本発明の振止部材取付構造では、前記流路は、前記振止部材の周面または前記差込孔の内面の少なくとも一方に、前記隙間を通過する前記流体の流れ方向に沿って凹設された溝であることを特徴とする。
この振止部材取付構造によれば、溝によって流体を通すことで限界流速を上げるため、隙間流励起振動を防止することができ、かつ溝は振止部材の周面または差込孔の内面の少なくとも一方に設けられているため隙間自体を広くするものではない。この結果、振止部材の振れ止め機能を損なうことなく、管支持板の差込孔と振止部材との間の隙間によって生じる隙間流励起振動を防止することができる。
また、本発明の振止部材取付構造は、前記溝の溝底が、前記隙間を通過する前記流体の下流側に向けて漸次浅く形成されていることを特徴とする。
隙間流励起振動は、隙間をなす差込孔の内面や振止部材の周面を下流側に向けてテーパー形状として限界流速を上げることで防止できるが、隙間が下流側に向かって狭くなるので、差込孔の内面と振止部材とが接触し易くなって、熱伸びを逃がす機能が低下するとともに、接触時の衝突振動強度を考慮しなければならない。この点、本発明の振止部材取付構造によれば、溝の溝底をテーパー形状とすることで限界流速を上げるため、隙間流励起振動を防止することができ、かつ溝が振止部材の周面または差込孔の内面の少なくとも一方に設けられているため溝底をテーパー形状にしても隙間自体を狭くするものではない。この結果、振止部材の振れ止め機能を損なうことなく、管支持板の差込孔と振止部材との間の隙間によって生じる隙間流励起振動を防止することができる。
また、本発明の振止部材取付構造では、前記流路は、前記振止部材の相反する側に設けられた前記隙間を通過する前記流体を流通させるように前記振止部材に貫通して設けられた貫通孔であることを特徴とする。
振止部材の相反する側の隙間に流体が流れると、相互の圧力差によって隙間流励起振動が発生するおそれがある。そのため、本発明の振止部材取付構造では、貫通孔によって、相反する側の隙間を通過する流体を相互に流通させることで、相互の圧力差を低減するため、隙間流励起振動を防止することができ、かつ貫通孔は振止部材に貫通して設けられているため隙間自体を広くしたり狭くしたりするものではない。この結果、振止部材の振れ止め機能を損なうことなく、管支持板の差込孔と振止部材との間の隙間によって生じる隙間流励起振動を防止することができる。
また、本発明の振止部材取付構造では、前記貫通孔は、複数設けられて前記振止部材の内部で連通して形成されていることを特徴とする。
この振止部材取付構造によれば、複数の貫通孔が、振止部材の内部で相互に連通して形成されているため、振止部材の左右に加えて表裏の隙間に対しても流体圧力の抜け道をつくることで、隙間流励起振動を防止する効果を顕著に得ることができる。
上述の目的を達成するために、本発明の蒸気発生器は、加熱された一次冷却水を伝熱管内に通し、前記伝熱管外部の二次冷却水と熱交換させて当該二次冷却水を蒸発させる蒸気発生器であって、上述のいずれか1つに記載の振止部材取付構造を適用して、前記伝熱管を振れ止めする振止部材を取り付けてなることを特徴とする。
この蒸気発生器によれば、振止部材による伝熱管の振動防止機能を損なうことなく、管支持板の差込孔と振止部材との間の隙間によって生じる隙間流励起振動を防止する効果を顕著に得ることができる。
本発明によれば、振止部材の機能を損なうことなく、管支持板の差込孔と振止部材との間の隙間によって生じる隙間流励起振動を防止することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る蒸気発生器の側断面概略図である。 図2は、伝熱管群の平面視概略図である。 図3は、図2のA−A断面図である。 図4は、伝熱管群の斜視概略図である。 図5は、本発明の実施の形態1に係る振止部材取付構造を示す側断面図である。 図6は、図5の底面図である。 図7は、本発明の実施の形態1に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図である。 図8は、図7の底面図である。 図9は、本発明の実施の形態1に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図である。 図10は、図9の底面図である。 図11は、本発明の実施の形態2に係る振止部材取付構造を示す側断面図である。 図12は、図11の底面図である。 図13は、本発明の実施の形態2に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図である。 図14は、図13の底面図である。 図15は、本発明の実施の形態2に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図である。 図16は、図15の底面図である。 図17は、本発明の実施の形態3に係る振止部材取付構造を示す側断面図である。 図18は、図17の底面図である。 図19は、本発明の実施の形態3に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図である。 図20は、図19の底面図である。 図21は、本発明の実施の形態3に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図である。 図22は、図21の底面図である。
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施の形態に係る蒸気発生器の側断面概略図である。蒸気発生器1は、例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)に用いられる。加圧水型原子炉は、原子炉冷却材および中性子減速材として軽水を使用している。加圧水型原子炉は、軽水を炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水としての一次冷却水を蒸気発生器1に送る。蒸気発生器1では、高温高圧の一次冷却水の熱を二次冷却水に伝え、二次冷却水に水蒸気を発生させる。そして、この水蒸気によりタービン発電機が回されて発電する。
蒸気発生器1は、上下方向に延在され、かつ密閉された中空円筒形状を成し、上半部に対して下半部が若干小径とされた胴部2を有している。胴部2は、その下半部内に、該胴部2の内壁面と所定間隔をもって配置された円筒形状を成す管群外筒3が設けられている。この管群外筒3は、その下端部が、胴部2の下半部内の下方に配置された管板4近傍まで延設されている。管群外筒3内には、伝熱管群51が設けられている。伝熱管群51は、逆U字形状をなす複数の伝熱管5から成る。各伝熱管5は、U字形状の円弧部を上方に向けて配置され、下端部が管板4に支持されているとともに、中間部が複数の管支持板6を介して管群外筒3に支持されている。管支持板6には、多数の貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔内に各伝熱管5が貫通されている。
胴部2は、その下端部に水室7が設けられている。水室7は、内部が隔壁8により入室71と出室72とに区画されている。入室71は、各伝熱管5の一端部が連通され、出室72は、各伝熱管5の他端部が連通されている。また、入室71は、胴部2の外部に通じる入口ノズル711が形成され、出室72は、胴部2の外部に通じる出口ノズル721が形成されている。そして、入口ノズル711は、加圧水型原子炉から一次冷却水が送られる冷却水配管(図示せず)が連結され、出口ノズル721は、熱交換された後の一次冷却水を加圧水型原子炉に送る冷却水配管(図示せず)が連結される。
胴部2は、その上半部内に、給水を蒸気と熱水とに分離する気水分離器9、および分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする湿分分離器10が設けられている。気水分離器9と伝熱管群51との間には、外部から胴部2内に二次冷却水の給水を行う給水管11が挿入されている。さらに、胴部2は、その上端部に、蒸気排出口12が形成されている。また、胴部2は、その下半部内に、給水管11からこの胴部2内に給水された二次冷却水を、胴部2と管群外筒3との間を流下させて管板4にて折り返させ、伝熱管群51に沿って上昇させる給水路13が形成されている。なお、蒸気排出口12は、タービンに蒸気を送る冷却水配管(図示せず)が連結され、給水管11は、タービンで使用された蒸気が復水器(図示せず)で冷却された二次冷却水を供給するための冷却水配管(図示せず)が連結される。
このような蒸気発生器1では、加圧水型原子炉で加熱された一次冷却水は、入室71に送られ、多数の伝熱管5内を通って循環して出室72に至る。一方、復水器で冷却された二次冷却水は、給水管11に送られ、胴部2内の給水路13を通って伝熱管群51に沿って上昇する。このとき、胴部2内で、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われる。そして、冷やされた一次冷却水は出室72から加圧水型原子炉に戻される。一方、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行った二次冷却水は、胴部2内を上昇し、気水分離器9で蒸気と熱水とに分離される。そして、分離された蒸気は、湿分分離器10で湿分が除去されてからタービンに送られる。
このように構成された蒸気発生器1において、一次冷却水が各伝熱管5内を通過する際、逆U字形状の円弧部にて流体励起振動が発生する。そこで、伝熱管5の円弧部には、振止部材が設けられている。図2は、伝熱管群の平面視概略図であり、図3は、図2のA−A断面図であり、図4は、伝熱管群の斜視概略図である。
伝熱管群51の上端部には、上述したように伝熱管5の逆U字形状の円弧部が配置されている。伝熱管5は、図3に示すように、中央から外側に向けて円弧部の径が大きなものを配列した伝熱管層5Aとし、かつ当該伝熱管層5Aを、図2に示すように、側方に重ねつつ最外周伝熱管の径を変えることで、伝熱管群51の上端部である円弧部が半球形状に形成されている。
振止部材14は、図4に示すように、重ねられる伝熱管層5Aの間に挿入される。振止部材14は、矩形断面をなす棒状体であって、伝熱管層5Aの円弧部の中心線Cから外れる位置では、ほぼV字形状に折り曲げて形成されている(以下、V字形状の振止部材に符号14Aを付す)。また、振止部材14は、伝熱管層5Aの円弧部の中央(中心線C)の位置では、中心線Cに沿って直線形状に形成されている(以下、直線形状の振止部材に符号14Bを付す)。
V字形状に形成された振止部材14Aは、重ねられた各伝熱管層5Aの同径の部位に屈曲部が配置される。そして、振止部材14Aは、最も大きい径の伝熱管5の円弧部の外側に両端部が突出されている。また、振止部材14Aは、大きいほぼV字形状のものの内側に小さいV字形状のものが配置されて対をなし、この対が伝熱管5の半円部分に例えば2つ配置されている。
直線形状に形成された振止部材14Bは、伝熱管層5Aの円弧部の中心線Cに沿って配置される。そして、振止部材14Bは、最も大きい径の伝熱管5の円弧部の外側に一端部が突出され、蒸気発生器1において最も上側の管支持板6に穿設された差込孔6Aに他端部が挿通されている。なお、差込孔6Aは、複数の伝熱管5の間に配置される複数の振止部材14Bを挿通するように、複数並設されている。なお、複数並設された差込孔6Aの両側には、管支持板6に穿設されて蒸気を通すための蒸気孔6Bが形成されている。
このような、振止部材14(14A,14B)は、伝熱管5の円弧部の外側に突出された端部が、伝熱管層5Aの積層方向であって半球形状の円弧に沿って一列に並んで配置される。また、伝熱管5の円弧部の外側に突出された端部に、接合部材15が設けられている。振止部材14に設けられた接合部材15は、図2〜図4に示すように、保持部材16が溶接されている。保持部材16は、伝熱管群51の半球状の外周に沿って取り付けられた棒状のもので、伝熱管層5Aの積層方向であって半球形状の円弧に沿って一列に並んで配置される振止部材14(14A,14B)の端部を繋ぐように、各接合部材15に溶接されている。保持部材16は、最外周の伝熱管5とその内側の伝熱管5との間に挿入されたほぼコ字形状の取付部17の両端が溶接されることで伝熱管群51に取り付けられる。これにより、保持部材16を介して振止部材14が伝熱管群51に取り付けられる。
[実施の形態1]
図5は、本実施の形態に係る振止部材取付構造を示す側断面図であり、図6は、図5の底面図であり、図7は、本実施の形態に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図であり、図8は、図7の底面図であり、図9は、本実施の形態に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図であり、図10は、図9の底面図である。
上述したように、振止部材14Bは、一端部に接合部材15が設けられ、この接合部材15は、他の振止部材14(14A)の接合部材15とともに保持部材16を介して伝熱管群51に取り付けられている。そして、振止部材14Bは、他端部が、蒸気発生器1において最も上側の管支持板6に形成された差込孔6Aに挿通されて取り付けられている。
本実施の形態において、振止部材14Bの他端部を差込孔6Aに挿通して取り付けるための振止部材取付構造は、図5〜図10に示すように、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bの周面14Baとの間に隙間Sを設けて振止部材14Bが差込孔6Aに挿通されている。隙間Sは、振止部材14Bの熱伸びを許容するためのものであるが、振止部材14Bの取り付け位置を保つように適した寸法とされている。そして、本実施の形態の振止部材取付構造では、振止部材14Bまたは差込孔6Aの内面6Aaの少なくとも一方に、隙間Sを通過する流体を通す流路18を設けている。なお、本実施の形態において、流体は、蒸気発生器1において二次冷却水から発生する水蒸気であり、その流れ方向は、矢印Rで示すように管支持板6の下側から上側となる。
流路18は、図5および図6に示すように、隙間Sを通過する流体の流れ方向Rに沿って振止部材14Bの周面14Baに凹設された溝18Aとして構成されている。上述したように、本実施の形態の振止部材14Bは、矩形断面をなす棒状体であり、その周面14Baである4つの面に溝18Aが形成されている。この溝18Aは、差込孔6Aに挿通された振止部材14Bの他端部の端から、管支持板6の上面側の差込孔6Aの開口縁までの間で同じ断面積で連続して形成されている。
このように、本実施の形態の振止部材取付構造は、複数の伝熱管5の間に配置される棒状の振止部材14Bが、伝熱管5を支持する管支持板6に設けられた差込孔6Aに端部を挿通されて取り付けられる構造において、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bの周面14Baとの間に隙間Sを設け、かつ振止部材14Bの周面14Baに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Aを設けている。
隙間Sに流体が流れることで、振止部材14Bに隙間流励起振動が発生するおそれがある。この隙間流励起振動は、隙間Sを広くして限界流速を上げることで防止できるが、隙間Sを広くすると、振止部材14Bの位置決め精度が低下し、本来の機能である伝熱管5の振動抑制機能が低下することになる。この点、本実施の形態の振止部材取付構造によれば、溝18Aによって流体を通すことで限界流速を上げるため、隙間流励起振動を防止することが可能になり、かつ溝18Aは振止部材14Bの周面14Baに設けられているため隙間S自体を広くするものではない。この結果、振止部材14Bの振れ止め機能を損なうことなく、管支持板6の差込孔6Aと振止部材14Bとの間の隙間Sによって生じる隙間流励起振動を防止することが可能になる。
また、流路18は、図7および図8に示すように、隙間Sを通過する流体の流れ方向Rに沿って差込孔6Aの内面6Aaに凹設された溝18Bとして構成されている。上述したように、本実施の形態の振止部材14Bは、矩形断面をなす棒状体であって、この振止部材14Bを挿通する差込孔6Aも矩形状に開口する孔であり、その内面6Aaである4つの面に溝18Bが形成されている。この溝18Bは、管支持板6の下面側の差込孔6Aの開口縁から、管支持板6の上面側の差込孔6Aの開口縁までの間で同じ断面積で連続して形成されている。
このように、本実施の形態の振止部材取付構造は、複数の伝熱管5の間に配置される棒状の振止部材14Bが、伝熱管5を支持する管支持板6に設けられた差込孔6Aに端部を挿通されて取り付けられる構造において、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bの周面14Baとの間に隙間Sを設け、かつ差込孔6Aの内面6Aaに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Bを設けている。
この振止部材取付構造によれば、溝18Bによって流体を通すことで限界流速を上げるため、隙間流励起振動を防止することが可能になり、かつ溝18Bは差込孔6Aの内面6Aaに設けられているため隙間S自体を広くするものではない。この結果、振止部材14Bの振れ止め機能を損なうことなく、管支持板6の差込孔6Aと振止部材14Bとの間の隙間Sによって生じる隙間流励起振動を防止することが可能になる。
また、流路18は、図9および図10に示すように、溝18Aと溝18Bとをともに備えて構成されている。
このように、本実施の形態の振止部材取付構造は、複数の伝熱管5の間に配置される棒状の振止部材14Bが、伝熱管5を支持する管支持板6に設けられた差込孔6Aに端部を挿通されて取り付けられる構造において、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bの周面14Baとの間に隙間Sを設け、かつ振止部材14Bの周面14Baに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Aを設けるとともに、差込孔6Aの内面6Aaに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Bを設けている。
この振止部材取付構造によれば、溝18A,18Bによって流体を通すことで限界流速を上げるため、隙間流励起振動を防止することが可能になり、かつ溝18Aは振止部材14Bの周面14Baに設けられ、溝18Bは差込孔6Aの内面6Aaに設けられているため隙間S自体を広くするものではない。この結果、振止部材14Bの振れ止め機能を損なうことなく、管支持板6の差込孔6Aと振止部材14Bとの間の隙間Sによって生じる隙間流励起振動を防止することが可能になる。特に、溝18Aと溝18Bとをともに備えることで、限界流速をより上げることができるため、隙間流励起振動を防止する効果を顕著に得ることが可能になる。なお、図10に示すように、溝18Aと溝18Bとを互いに対向して配置しており、このように構成することで、流路18をより広く形成できるので、限界流速をより上げることができ、隙間流励起振動を防止する効果をより顕著に得ることが可能になる。
[実施の形態2]
図11は、本実施の形態に係る振止部材取付構造を示す側断面図であり、図12は、図11の底面図であり、図13は、本実施の形態に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図であり、図14は、図13の底面図であり、図15は、本実施の形態に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図であり、図16は、図15の底面図である。
本実施の形態の振止部材取付構造は、上述した実施の形態1の流路18である溝18A,18Bにおいて、その溝底18Aa,18Baが、隙間Sを通過する流体の下流側に向けて漸次浅く形成されている。
具体的に、本実施の形態の振止部材取付構造は、図11および図12に示すように、振止部材14Bの周面14Baである4つの面に溝18Aが形成されている。この溝18Aは、差込孔6Aに挿通された振止部材14Bの他端部の端から、管支持板6の上面側の差込孔6Aの開口縁までの間で連続して形成されており、その溝底18Aaが、隙間Sを通過する流体の流れ方向Rに沿い、当該流れ方向Rの下流側に向かってテーパー状に浅くなるように形成されている。
このように、本実施の形態の振止部材取付構造は、複数の伝熱管5の間に配置される棒状の振止部材14Bが、伝熱管5を支持する管支持板6に設けられた差込孔6Aに端部を挿通されて取り付けられる構造において、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bの周面14Baとの間に隙間Sを設け、かつ振止部材14Bの周面14Baに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Aを設け、この溝18Aの溝底18Aaを、隙間Sを通過する流体の下流側に向けて漸次浅く形成する。
隙間流励起振動は、隙間Sをなす差込孔6Aの内面6Aaや振止部材14Bの周面14Baを下流側に向けてテーパー形状として限界流速を上げることで防止できるが、隙間Sが下流側に向かって狭くなるので、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bとが接触し易くなって、熱伸びを逃がす機能が低下するとともに、接触時の衝突振動強度を考慮しなければならない。この点、本実施の形態の振止部材取付構造によれば、溝18Aの溝底18Aaをテーパー形状とすることで限界流速を上げるため、隙間流励起振動を防止することが可能になり、かつ溝18Aが振止部材14Bの周面14Baに設けられているため溝底18Aaをテーパー形状にしても隙間S自体を狭くするものではない。この結果、振止部材14Bの振れ止め機能を損なうことなく、管支持板6の差込孔6Aと振止部材14Bとの間の隙間Sによって生じる隙間流励起振動を防止することが可能になる。
なお、図11および図12に示す形態において、図7および図8に示すように、差込孔6Aの内面6Aaに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Bを設けてもよい。このように構成することで、溝18Aの溝底18Aaをテーパー形状とした効果、および差込孔6Aの内面6Aaに溝18Bを設けた効果を、ともに得ることが可能になる。
また、本実施の形態の振止部材取付構造は、図13および図14に示すように、差込孔6Aの内面6Aaである4つの面に溝18Bが形成されている。この溝18Bは、管支持板6の下面側の差込孔6Aの開口縁から、管支持板6の上面側の差込孔6Aの開口縁までの間で連続して形成されており、その溝底18Baが、隙間Sを通過する流体の流れ方向Rに沿い、当該流れ方向Rの下流側に向かってテーパー状に浅くなるように形成されている。
このように、本実施の形態の振止部材取付構造は、複数の伝熱管5の間に配置される棒状の振止部材14Bが、伝熱管5を支持する管支持板6に設けられた差込孔6Aに端部を挿通されて取り付けられる構造において、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bの周面14Baとの間に隙間Sを設け、かつ差込孔6Aの内面6Aaに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Bを設け、この溝18Bの溝底18Baを、隙間Sを通過する流体の下流側に向けて漸次浅く形成する。
この振止部材取付構造によれば、溝18Bの溝底18Baをテーパー形状とすることで限界流速を上げるため、隙間流励起振動を防止することが可能になり、かつ溝18Bが差込孔6Aの内面6Aaに設けられているため溝底18Baをテーパー形状にしても隙間S自体を狭くするものではない。この結果、振止部材14Bの振れ止め機能を損なうことなく、管支持板6の差込孔6Aと振止部材14Bとの間の隙間Sによって生じる隙間流励起振動を防止することが可能になる。
なお、図13および図14に示す形態において、図5および図6に示すように、振止部材14Bの周面14Baに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Aを設けてもよい。このように構成することで、溝18Bの溝底18Baをテーパー形状とした効果、および振止部材14Bの周面14Baに溝18Aを設けた効果を、ともに得ることが可能になる。
また、本実施の形態の振止部材取付構造は、図15および図16に示すように、溝18Aと溝18Bとをともに備え、溝18Aの溝底18Aaが、隙間Sを通過する流体の下流側に向けて漸次浅く形成され、溝18Bの溝底18Baが、隙間Sを通過する流体の下流側に向けて漸次浅く形成されている。
このように、本実施の形態の振止部材取付構造は、複数の伝熱管5の間に配置される棒状の振止部材14Bが、伝熱管5を支持する管支持板6に設けられた差込孔6Aに端部を挿通されて取り付けられる構造において、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bの周面14Baとの間に隙間Sを設け、かつ振止部材14Bの周面14Baに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Aを設け、この溝18Aの溝底18Aaを、隙間Sを通過する流体の下流側に向けて漸次浅く形成するとともに、差込孔6Aの内面6Aaに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Bを設け、この溝18Bの溝底18Baを、隙間Sを通過する流体の下流側に向けて漸次浅く形成する。
この振止部材取付構造によれば、溝18Aの溝底18Aaをテーパー形状とするとともに、溝18Bの溝底18Baをテーパー形状とすることで限界流速を上げるため、隙間流励起振動を防止することが可能になり、かつ溝18Aは振止部材14Bの周面14Baに設けられ、溝18Bは差込孔6Aの内面6Aaに設けられているため隙間S自体を広くするものではない。この結果、振止部材14Bの振れ止め機能を損なうことなく、管支持板6の差込孔6Aと振止部材14Bとの間の隙間Sによって生じる隙間流励起振動を防止することが可能になる。特に、溝18A,18Bにおいて溝底18Aa,18Baをテーパー形状とすることで限界流速をより上げることができるため、隙間流励起振動を防止する効果を顕著に得ることが可能になる。なお、図16に示すように、溝18Aと溝18Bとを互いに対向して配置しており、このように構成することで、テーパー形状の溝底18Aa,18Baを対向して配置できるので、限界流速をより上げることができ、隙間流励起振動を防止する効果をより顕著に得ることが可能になる。
[実施の形態3]
図17は、本実施の形態に係る振止部材取付構造を示す側断面図であり、図18は、図17の底面図であり、図19は、本実施の形態に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図であり、図20は、図19の底面図であり、図21は、本実施の形態に係る他の振止部材取付構造を示す側断面図であり、図22は、図21の底面図である。
本実施の形態の振止部材取付構造は、図17〜図22に示すように、振止部材14Bに、隙間Sを通過する流体を通す流路18を設けている。
流路18は、図17および図18に示すように、振止部材14Bにおいて相反する側の隙間Sを通過する流体が相互に流通するように振止部材14Bに貫通して設けられた貫通孔18Cとして構成されている。上述したように、本実施の形態の振止部材14Bは、矩形断面をなす棒状体であり、その周面14Baのうち相反する方向に向く2つの面に貫通するように2つの貫通孔18Cが形成されている。本実施の形態において、貫通孔18Cは、隙間Sを通過する流体の流れ方向Rに直交して形成されている。また、本実施の形態において、各貫通孔18Cは、振止部材14Bの内部で相互に連通して形成されている。
このように、本実施の形態の振止部材取付構造は、複数の伝熱管5の間に配置される棒状の振止部材14Bが、伝熱管5を支持する管支持板6に設けられた差込孔6Aに端部を挿通されて取り付けられる構造において、差込孔6Aの内面6Aaと振止部材14Bの周面14Baとの間に隙間Sを設け、かつ振止部材14Bにおいて相反する側の隙間Sを通過する流体が相互に流通するように振止部材14Bを貫通する貫通孔18Cを設けている。
振止部材14Bの相反する側(左右または表裏)の隙間Sに流体が流れると、相互の圧力差によって隙間流励起振動が発生するおそれがある。そのため、本実施の形態の振止部材取付構造では、貫通孔18Cによって、相反する側の隙間Sを通過する流体を相互に流通させることで、相互の圧力差を低減するため、隙間流励起振動を防止することが可能になり、かつ貫通孔18Cは振止部材14Bに貫通して設けられているため隙間S自体を広くしたり狭くしたりするものではない。この結果、振止部材14Bの振れ止め機能を損なうことなく、管支持板6の差込孔6Aと振止部材14Bとの間の隙間Sによって生じる隙間流励起振動を防止することが可能になる。
なお、本実施の形態の振止部材取付構造は、各貫通孔18Cが、振止部材14Bの内部で相互に連通して形成されている。このため、左右に加えて表裏の隙間Sに対しても流体圧力の抜け道をつくることで、隙間流励起振動を防止する効果を顕著に得ることが可能になる。
また、図には明示しないが、図17および図18に示す貫通孔18Cに加え、差込孔6Aの内面6Aaに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Bを設けたり(図7および図8参照)、溝底18Baをテーパー形状とした溝18Bを設けたりすれば(図13および図14参照)、相乗した効果により、隙間流励起振動を防止する効果をより顕著に得ることが可能になる。
また、貫通孔18Cは、図19および図20に示すように、上述した実施の形態1の溝18Aとともに設けられていてもよい。このように構成することで、貫通孔18Cと溝18Aとの相乗した効果を得ることが可能になる。また、図には明示しないが、図19および図20に示す貫通孔18Cに加え、差込孔6Aの内面6Aaに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Bを設けたり(図7および図8参照)、溝底18Baをテーパー形状とした溝18Bを設けたりすれば(図13および図14参照)、相乗した効果により、隙間流励起振動を防止する効果をより顕著に得ることが可能になる。
また、貫通孔18Cは、図21および図22に示すように、上述した実施の形態2の溝底18Aaをテーパー形状とした溝18Aとともに設けられていてもよい。このように構成することで、貫通孔18Cと溝底18Aaをテーパー形状とした溝18Aとの相乗した効果を得ることが可能になる。また、図には明示しないが、図21および図22に示す貫通孔18Cに加え、差込孔6Aの内面6Aaに、隙間Sを通過する流体を通す流路18である溝18Bを設けたり(図7および図8参照)、溝底18Baをテーパー形状とした溝18Bを設けたりすれば(図13および図14参照)、相乗した効果により、隙間流励起振動を防止する効果をより顕著に得ることが可能になる。
なお、上述した実施の形態1〜実施の形態3において、伝熱管5は、U字形状に形成された円弧部を有し、当該円弧部の径が中央から外側に向けて大きなものを配列した伝熱管層5Aとされ、かつ当該伝熱管層5Aを重ねつつ最外周伝熱管の径を変えることで円弧部の部分が半球形状に形成されてなる。そして、振止部材14Bは、直線形状に形成されて円弧部の中心線Cに沿って伝熱管層5Aの間に配置され、かつ管支持板6に設けられた差込孔6Aに端部を挿通されて取り付けられている。
このような構成では、蒸気発生器1の出力を向上させるため蒸気発生器1が大型化した場合に、伝熱管5の円弧部の半径が大きくなり、特に、円弧の中心部分では、V字形状の振止部材14Aが届かないため、円弧の中央部に、垂直に立てられた直線形状の振止部材14Bが必要となる。そして、このような構成において、上述した実施の形態1〜実施の形態3の振止部材取付構造を適用することで、上述した蒸気発生器1および伝熱管5の構造に適して、振止部材14Bの機能を損なうことなく、管支持板6の差込孔6Aと振止部材14Bとの間の隙間Sによって生じる隙間流励起振動を防止する効果を顕著に得ることが可能である。
1 蒸気発生器
5 伝熱管
6 管支持板
6A 差込孔
6Aa 内面
14(14A,14B) 振止部材
14Ba 周面
18 流路
18A,18B 溝
18Aa,18Ba 溝底
18C 貫通孔
S 隙間

Claims (6)

  1. 複数の伝熱管の間に配置される棒状の振止部材が、前記伝熱管を支持する管支持板に設けられた差込孔に端部を挿通されて取り付けられる振止部材取付構造において、
    前記差込孔の内面と前記振止部材の周面との間に隙間を設け、かつ前記振止部材または前記差込孔の内面の少なくとも一方に、前記隙間を維持しつつ前記隙間を通過する流体を通す流路を設けることを特徴とする振止部材取付構造。
  2. 前記流路は、前記振止部材の周面または前記差込孔の内面の少なくとも一方に、前記隙間を通過する前記流体の流れ方向に沿って凹設された溝であることを特徴とする請求項1に記載の振止部材取付構造。
  3. 前記溝の溝底が、前記隙間を通過する前記流体の下流側に向けて漸次浅く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の振止部材取付構造。
  4. 前記流路は、前記振止部材の相反する側に設けられた前記隙間を通過する前記流体を流通させるように前記振止部材に貫通して設けられた貫通孔であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の振止部材取付構造。
  5. 前記貫通孔は、複数設けられて前記振止部材の内部で連通して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の振止部材取付構造。
  6. 加熱された一次冷却水を伝熱管内に通し、前記伝熱管外部の二次冷却水と熱交換させて当該二次冷却水を蒸発させる蒸気発生器であって、
    請求項1〜5のいずれか1つに記載の振止部材取付構造を適用して、前記伝熱管を振れ止めする振止部材を取り付けてなることを特徴とする蒸気発生器。
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