JP2013082593A - 複合焼結体およびそれを用いた複合焼結体工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性および耐欠損性に優れた複合焼結体を提供する。
【解決手段】本発明の複合焼結体は、60体積%以上99.7体積%以下のSiAlONを含み、残部が結合材からなり、該結合材は、FeSi化合物を含み、結合材の組織は、不連続な部分を有することを特徴とする。上記の結合材は、Si34およびAl23をさらに含むことが好ましい。複合焼結体に含まれる結合材のうちの、10%以上95%未満の結合材の粒子径の長径が5μm以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、複合焼結体およびそれを用いた複合焼結体工具に関し、特に耐欠損性および耐摩耗性に優れる複合焼結体およびそれを用いた複合焼結体工具に関する。
切削工具は、被削材の種類や加工方法によって耐摩耗性や耐欠損性等の要求性能が異なるため、その要求に応じた材料のものを使い分けて用いている。たとえば、高能率加工や断続加工のように耐欠損性が要求される用途では、耐欠損性に優れた超硬合金製工具を使用するし、インコネル等のNi基耐熱合金系難削材料の仕上げ加工のように耐摩耗性が要求される用途では、耐摩耗性に優れたSiAlONセラミックス工具やcBN焼結体工具を使用する。
このように切削工具を選定して種々の切削加工に対応しているが、被削材に対応する好適な切削工具が開発されていないケースもある。一例として、たとえばロックウェルCスケール硬度(HRC)で40を超える高硬度の難削材を切削加工するときの切削工具を挙げることができる。
上記難削材を切削加工するには、耐欠損性に優れた工具が好ましいことが予想されるが、実際に耐欠損性に優れる超硬合金製の工具を用いて切削すると、工具が塑性変形するという問題がある。また、上記の難削剤をcBN焼結体を用いて切削すると、切削加工時の刃先が高温となるときにcBN焼結体中の鉄族金属(NiやCo等)が、被削材中の鉄族金属と反応し、摩耗も欠損も生じやすい。したがって、上記難削材の切削加工には、耐欠損性が必ずしも十分とは言えないSiAlONセラミックス工具に頼らざるを得ない状況である。
ところで、パンチやダイスなどに代表される塑性加工用途においても、耐摩耗性に優れるSiAlONセラミックス等を用いた工具の適用が進んでおり、高速度鋼製の工具や超硬合金製の工具を代替する材料として期待されている。
以上のように、SiAlONセラミックス工具は、難削材の切削加工や、塑性加工の用途に使用されている。現在市販のSiAlONセラミックス工具は、Y23のガラス相が連続して結合相として存在するものであるため、欠損に対する安定性が十分ではなく、さらなる改善が期待されている。
上記SiAlONセラミックス工具の改善を図る試みとして、たとえば特開平08−337477号公報(特許文献1)および特開2006−175561号公報(特許文献2)には、SiAlON焼結体粒子を主成分として含み、残部に酸化物またはガラス質相(非晶質相)からなる粒界相を充填したSiAlONセラミックス製の工具が開示されている。また、特開2005−212048号公報(特許文献3)には、Si2W、MoSi2等の金属合金と、ガラス質相(非晶質相)によってSiAlON焼結体粒子を結合したSiAlONセラミックス製の工具が開示されている。
特開平08−337477号公報 特開2006−175561号公報 特開2005−212048号公報
特許文献1〜3に開示される焼結体工具はいずれも、耐摩耗性を向上させることはできるが、耐欠損性が十分ではなく、また耐摩耗性においてもさらなる向上が要求されている。本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐摩耗性および耐欠損性に優れた複合焼結体を提供することにある。
本発明者らは、市販のSiAlON焼結体工具の摩耗面の損傷を観察したところ、結合材部分の摩耗が先行して進行しており、所々のSiAlON焼結体粒子が脱落していることが確認された。この結果から、SiAlON焼結体工具の摩耗の進行は、結合材の摩耗が選択的に進行し、次いでその結合材の周囲のSiAlON焼結体粒子が脱落するというように進むものと推測される。したがって、従来のSiAlON焼結体や特許文献1〜3に開示されるSiAlON焼結体工具が摩耗しやすい理由は、硬度が低い結合材が焼結体中に連続して存在することによるものと考えられる。
本発明者らは、上記考察に基づいて、結合材の組成および骨格構造に関し鋭意検討を重ねることにより本発明を完成した。すなわち、本発明の複合焼結体は、60体積%以上99.7体積%以下のSiAlONを含み、残部が結合材からなり、該結合材は、FeSi化合物を含み、該結合材の組織は、不連続な部分を有することを特徴とする。上記の結合材は、Si34およびAl23をさらに含むことが好ましい。
複合焼結体に含まれる結合材のうちの、10%以上95%未満の結合材の粒子径の長径が5μm以下であることが好ましい。上記のSiAlONは、α−SiAlON、β−SiAlON、オルソ−SiAlON、およびc−SiAlONからなる群より選択される一種以上の結晶構造であることが好ましい。結合材は、FeSi化合物のみからなることが好ましい。FeSi化合物におけるFeの比率は、15原子%以上85原子%以下であることが好ましい。本発明は、上記の複合焼結体を切削加工または塑性加工に関与する少なくとも一部に含む複合焼結体工具でもある。
本発明の複合焼結体は、上記のような構成を有することにより、耐摩耗性および耐欠損性に優れるという効果を示す。
<複合焼結体工具>
本発明の複合焼結体工具は、切削加工または塑性加工に関与する少なくとも一部に本発明の複合焼結体を含むものである。このような複合焼結体工具は、たとえばドリル、エンドミル、フライス加工用または旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切工具、リーマ、タップ、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用チップ等として極めて有用に用いることができる。本発明の複合焼結体を工具の刃先等に用いることにより、特にステンレス、インコネル、チタン等の難削材を削る場合にも、欠損が生じにくく、かつ摩耗しにくいという優れた性能を示す。本発明の複合焼結体工具は、cBN焼結体工具に比して、コストパフォーマンスに優れるだけでなく、耐摩耗性および耐欠損性にも優れたものとなる。
<複合焼結体>
本発明の複合焼結体は、60体積%以上99.7体積%以下のSiAlONを含み、残部が結合材からなり、該結合材は、FeSi化合物を含み、結合材の組織は、不連続な部分を有することを特徴とする。ここで、「結合材の組織が不連続な部分を有する」とは、複合焼結体の断面を走査型電子顕微鏡で観察したときに、結合材が間隔を開けて配置されているか、または結合材同士の間にSiAlON粒子が存在しており、結合材同士が二次元的に見て互いに接触していない状態を意味する。このように結合材同士が不連続に配置されることにより、強度が低い結合材の摩耗が進行しにくくなり、複合焼結体の耐摩耗性を向上させることができる。
<SiAlON>
本発明の複合焼結体に含まれるSiAlONは、60体積%以上99.7体積%以下であることを特徴とする。このような体積比でSiAlONを含むことにより、SiAlON粒子同士がネックグロースし、SiAlONの骨格構造が形成されて複合焼結体の硬度を高めることができる。しかも、硬度が低い結合材の組織が不連続な部分を有するものとなり、複合焼結体の靭性を向上させることができる。
上記のSiAlONの体積比が60体積%未満であると、摩耗し易い結合材の組織が連続することになるため、耐摩耗性が著しく低下する可能性が高い。一方、SiAlONの体積比が99.7体積%を超えると、複合焼結体の硬度そのものは向上させることができるが、複合焼結体を占める結合材の割合が少なすぎて、SiAlON粒子同士の結合力を高めることができない。なお、結合材を用いずにSiAlON粒子のみを焼結してSiAlON粒子同士を結合したとしても、その結合力が不十分であり、また仮に結合できたとしても、耐欠損性が不足するという問題がある。
上記のSiAlONの結晶構造は、α−SiAlON、β−SiAlON、オルソ−SiAlON、およびc−SiAlONからなる群より選択される一種以上の結晶構造を含むものであるが、c−SiAlONの結晶構造の比率が高まるほど好ましい。これにより本発明の複合焼結体の切削性能、特に耐摩耗性を向上させることができる。
<結合材>
本発明において、複合焼結体に含まれる結合材は、FeSi化合物を含むものであることを特徴とする。本発明のようにFeSi化合物を含む複合焼結体は、SiAlON粒子のみからなる複合焼結体に比して、格段に耐摩耗性および耐欠損性が優れたものとなる。ここで、「FeSi化合物」とは、FeSi2、FeSi、Fe3Si等のFeSi合金や、FeSiの窒化物等を意味する。このように性能を向上し得る要因としては、FeSi化合物を含む結合材がSiAlON粒子同士の結合力を高める役割を果たすだけでなく、耐衝撃性に優れたものであり、かつSiAlON粒子同士のネックグロースを促進する効果も発揮されることによるものと考えられる。従来のようにY23からなる結合材を用いても、上記のような耐摩耗性および耐欠損性を顕著に向上させる効果を得ることはできない。これは、FeSi化合物に含まれるFeおよびSiがいずれもSiAlONと親和性が高く、特にFeがSiAlONと親和性が高いが、このFeがSiと共存することによりSiAlON粒子間で相互拡散を促進し、その結合力を高めると考えられるからである。したがって、上記のFeSi化合物に含まれるFeの比率は、15原子%以上85原子%以下であることが好ましい。Feの原子比が15原子%未満であると、拡散が生じにくくなるため好ましくなく、85原子%を超えると、Siが少ないことによりSiによるFeSi化合物とSiAlON粒子との相互拡散促進作用が低下するため好ましくない。
上記の結合材は、Si34およびAl23をさらに含むことが好ましい。上記のFeSi化合物、Si34、およびAl23は、結合材の総量に対し、50体積%以上で含まれることが好ましい。本発明においては、結合材の残部に周期律表のIVa族元素、Va族元素、VIa族元素の遷移金属元素や、FeN、Al、Si、B、Co、Ni、C、N、Oおよび不可避不純物を含んでいてもよい。
また、複合焼結体に含まれる結合材のうちの、10%以上95%未満の結合材の粒子径の長径が5μm以下であることが好ましく、より好ましくは20%以上90%以下の結合材の粒子径の長径が5μm以下である。ここで、「結合材の粒子径の長径」とは、複合焼結体の断面を走査型電子顕微鏡で観察した際の結合材粒子が包含される仮想の円の直径のことである。
このような比率で粒子径の長径が5μm以下の結合材を含むことにより、SiAlON粒子充填時の粒界の接触面積が増加し、結合力を顕著に高めることができ、また亀裂発生機構の異なる微粒子および粗粒子からなるSiAlON粒子、ならびに結合材粒子を混合した組織となることにより、亀裂伝播抵抗を高めることもできる。粒子径の長径が5μmを超える結合材が、10%未満または95%以上であると、上記の亀裂伝播抵抗の改善効果が少なくなる。
<製造方法>
本発明の複合焼結体の製造方法としては、まず、SiAlON粒子とFeSi粒子とを超硬合金製ボールに入れて配合してボールミル混合することにより混合粉末を準備する。ここで、SiAlON粒子は、レーザー回析・散乱式粒度分布測定装置で測定した平均粒子径(D50)が1〜10μmのものを用いることが好ましく、FeSi粒子は、平均粒子径(D50)が0.1〜10μmのものを用いることが好ましい。なお、上記のSiAlON粒子およびFeSi粒子は、後述する焼結により、互いに結合することや、溶解および溶浸することもあるため、その粒子径は大きくなることも小さくなることもある。
次に、上記の混合粉末を超硬合金等の高融点の容器に充填し、3〜5GPaの圧力に加圧した上で、1200℃〜1700℃の温度で、1〜120分間焼結を行なうことにより複合焼結体を作製することが好ましい。なお、上記のような製造方法以外にも、たとえばSiAlON粉末を層状にしてその上に、Fe、Si、もしくはFeSi化合物からなる金属板を重ね合わせて、FeSi融液を溶浸させながら焼結することにより、複合焼結体を作製しても差し支えない。FeSi化合物が結合材の総量に対し、50体積%を超える場合は、1400℃未満で焼結することにより、複合焼結体の耐欠損性を高めることができる。一方、結合材が、FeSi化合物、Si34、およびAl23を含む場合は、1400℃以上で焼結することにより、耐摩耗性および耐欠損性のバランスに優れたものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜5および比較例1〜2>
まず、一次粒子の長径の平均粒子径が5μmであるβ−SiAlONと、長径の平均粒子径が5μmのFeSi2粒子(Fe−66原子%Si)とを、表1の「SiAlON体積比」に示す配合比で超硬合金製ボールに入れてボールミル混合することにより混合粉末を得た。次に、上記混合粉末を超硬合金製容器に充填し、圧力6.0GPa、温度1390℃で30分間焼結することにより、実施例1〜5および比較例1〜2の複合焼結体をそれぞれ3個ずつ作製した。
実施例1〜5および比較例1〜2の複合焼結体に対し、EDS分析を行なったところ、いずれの試料においてもSiAlON、FeSi化合物、および微量のW、Co、FeN、Si、Alとの反応生成物等を同定した。
実施例1〜5および比較例1〜2の複合焼結体を研磨し、その研磨面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて観察し、それに付属の波長分散型X線分析(EPMA:Electron Probe Micro-Analysis)を用いて、複合焼結体の断面中におけるSiAlONと結合材成分の同定を行ない、5000倍の視野の反射電子像において、結合材成分が連なって存在している場合には、表1の「結合材組織」の欄に「連続」と記し、結合材成分がSiAlONによって分断されている場合には、表1の「結合材組織」の欄に「不連続」と記した。
次いで、結合材粒子を100点以上包含する領域の反射電子像について、画像処理によってSiAlONの面積比率の百分率を算出した。その結果、上記の各原材料の配合比と、最終的に得られる複合焼結体を構成する各組成の体積比とは同一とみなし得た。なお、結合材の体積比は、表1中に記載していないが、SiAlONを除く部分に相当し、100体積%から上記のSiAlONの体積比を引いた値となる。
<比較例3〜6>
比較例3〜6には、以下の焼結体を用いた。
比較例3:Y23結合材を用いた市販のSiAlONセラミックス
比較例4:TiN結合材を用いた市販のcBN焼結体
比較例5:Co結合材を用いた市販のcBN焼結体
比較例6:市販の超硬合金
実施例1〜5および比較例1〜6の複合焼結体に対し、ビッカース硬度を測定し、その結果を表1の「硬度」の欄に示した。また、実施例1〜5および比較例1〜6の複合焼結体に対し、破壊靱性値(インデンテーション法)を測定し、その結果を表1の「破壊靱性値」に示した。
<切削試験>
実施例1〜5および比較例1〜6の複合焼結体を切削に関与する部分に備える切削チップを作製した。このチップ形状は、ISO型番でCNGA120408に分類され、刃先処理を−25°の角度で、幅0.15mmのチャンファー形状とし、切刃傾き角、横すくい角、前逃げ角、横逃げ角、前切刃角、横切刃角がそれぞれ、−5、−5、5、5、5、−5となるようにホルダーに取り付けた。
実施例1〜5および比較例1〜6の複合焼結体を備える切削工具を用いて、以下の切削条件で連続切削を行なうことにより、複合焼結体工具の工具寿命を評価した。
被 削 材:インコネル718の丸棒の外径加工
被削材硬度:HRC20
切削速度:V=200m/min
切り込み:d=0.3mm
送り速度:f=0.12mm/rev
クーラント:エマルジョン20倍希釈
工具寿命は、複合焼結体工具の逃げ面の最大摩耗量(VBmax)が0.2mmとなるまでの切削距離(km)によって評価し、最大摩耗量(VBmax)が0.2mmとなるまでに欠損が生じた場合は、その欠損が生じるまでの切削距離によって評価した。その結果を表1の「工具寿命」の欄に示す。なお、工具寿命が長いほど、複合焼結体工具の耐摩耗性および耐欠損性が優れることを示している。
Figure 2013082593
表1に示される結果から、各実施例の複合焼結体工具は、各比較例のそれに比して、工具寿命が長いことが明らかである。この結果から、各実施例の複合焼結体工具は、各比較例のそれに比し、耐摩耗性および耐欠損性に優れたものであると言える。このように各実施例の複合焼結体工具の耐摩耗性および耐欠損性が向上したのは、本発明の結合材の組織が、不連続な部分を有することによるものと考えられる。
一方、比較例1の複合焼結体工具は、結合材の組織が連続していたため、欠損が生じやすかったものと考えられ、比較例2の複合焼結体工具は、SiAlON粒子の含有量が多すぎたため、結合材の触媒としての促進作用が得られなかったものと考えられる。
<実施例6〜12>
まず、1μmと、5μmとの2種類の長径の平均粒子径のβ−SiAlONを表2の「1μm/5μm」の欄に示す配合比で超硬合金製ボールに入れて混合した。さらに、長径の平均粒子径が5μmのFeSi2粒子(Fe−66原子%Si)を、FeSi2粒子(Fe−66原子%Si)の体積比が9体積%となる配合比で超硬合金製ボールに入れてボールミル混合することにより混合粉末を得た。次に、上記の混合粉末を超硬合金製容器に充填し、圧力6.0GPa、温度1700℃で30分間焼結することにより、実施例6〜12の複合焼結体をそれぞれ3個ずつ作製した。
実施例6〜12の複合焼結体に対し、EDS分析を行なったところ、いずれの試料においてもSiAlON、FeSi化合物、Si34およびAl23ならびに微量のAl、Si、FeN、W、Coとの反応生成物等を同定した。
実施例6〜12の複合焼結体を研磨し、該研磨面に対し実施例1〜5と同様の方法により、結合材組織の骨格構造を調べたところ、結合材は全て不連続に分布していることが明らかとなった。さらに、複合焼結体中のSiAlONの体積比の百分率を算出したところ、90体積%であることが明らかとなった。また、100点以上の結合材粒子の粒子径を測定し、そのうちの長径が5μm以下となる結合材粒子の割合の百分率を算出し、表2の「長径が5μm以下の結合材の割合」の欄に示した。
<比較例7〜9>
比較例7〜9には、以下の焼結体を用いた。
比較例7:Y23結合材を用いた市販のSiAlONセラミックス
比較例8:TiN結合材を用いた市販のcBN焼結体
比較例9:Co結合材を用いた市販のcBN焼結体
実施例6〜12および比較例7〜9の複合焼結体に対し、ビッカース硬度を測定し、その結果を表2の「硬度」の欄に示した。また、実施例6〜12および比較例7〜9の複合焼結体に対し、破壊靱性値(インデンテーション法)を測定し、その結果を表2の「破壊靱性値」に示した。
<切削試験>
実施例4、6〜12および比較例7〜9の複合焼結体を切削に関与する部分に備える切削チップを作製した。このチップ形状は、ISO型番でCNGA120408に分類され、刃先処理を−25°の角度で、幅0.15mmのチャンファー形状とし、切刃傾き角、横すくい角、前逃げ角、横逃げ角、前切刃角、横切刃角がそれぞれ、−5、−5、5、5、5、−5となるようにホルダーに取り付けた。
実施例4、6〜12および比較例7〜9の複合焼結体を備える切削工具を用いて、以下の切削条件で連続切削を行なうことにより、複合焼結体工具の工具寿命を評価した。
被 削 材:インコネル718の丸棒の外径加工
被削材硬度:HRC40
切削速度:V=400m/min
切り込み:d=0.2mm
送り速度:f=0.06mm/rev
クーラント:エマルジョン20倍希釈
工具寿命は、複合焼結体工具の逃げ面の最大摩耗量(VBmax)が0.2mmとなるまでの切削距離(km)によって評価し、最大摩耗量(VBmax)が0.2mmとなるまでに欠損が生じた場合は、その欠損が生じるまでの切削距離によって評価した。その結果を表2の「工具寿命」の欄に示す。なお、工具寿命が長いほど、複合焼結体工具の耐摩耗性および耐欠損性が優れることを示している。
Figure 2013082593
表2に示される結果から、実施例4、6〜12の複合焼結体は、比較例7〜9のそれに比して、工具寿命が長いことが明らかである。この結果から、実施例4、6〜12の複合焼結体は、比較例7〜9のそれに比し、耐摩耗性および耐欠損性に優れたものであると言える。このように実施例4、6〜12の複合焼結体の耐摩耗性および耐欠損性が向上したのは、本発明の結合材の組織が、不連続な部分を有することによるものと考えられる。
特に、実施例8〜10の複合焼結体においては、複合焼結体に含まれる結合材のうちの、10%以上95%未満の結合材の粒子径の長径が5μm以下であるため、耐摩耗性および耐欠損性の向上が顕著であった。また、実施例4は、1400℃以下の温度(1390℃)で焼結したため、複合焼結体の耐欠損性が高かった。一方、実施例6〜12は、1400℃以上の温度(1700℃)で焼結したため、複合焼結体の耐摩耗性および耐欠損性のバランスに優れていた。
<実施例13〜15>
まず、1μmと、5μmとの2種類の長径の平均粒子径のβ−SiAlONを表3の「1μm/5μm」の欄に示す配合比で超硬合金製ボールに入れて混合した。さらに、長径の平均粒子径が5μmのFeAl粒子(Fe−40原子%Al)を、FeAl粒子(Fe−40原子%Al)の体積比が9体積%となる配合比で超硬合金製ボールに入れてボールミル混合することにより混合粉末を得た。次に、上記の混合粉末を超硬合金製容器に充填し、圧力6.0GPa、温度1850℃で30分間焼結することにより、実施例13〜15の複合焼結体をそれぞれ3個ずつ作製した。
実施例13〜15の複合焼結体に対し、EDS分析を行なったところ、いずれの試料においてもSiAlONに加えて、FeSi化合物、Si34およびAl23ならびに微量のAl、Si、FeN、W、Coとの反応生成物等を同定した。
実施例13〜15の複合焼結体を研磨し、該研磨面に対し実施例1〜5と同様の方法により、結合材組織の骨格構造を調べたところ、結合材は全て不連続に分布していることが明らかとなった。さらに、複合焼結体中のSiAlONの体積比の百分率を算出したところ、90体積%であることが明らかとなった。また、100点以上の結合材粒子の粒子径を測定し、そのうちの長径が5μm以下となる結合材粒子の割合の百分率を算出し、表3の「長径が5μm以下の結合材の割合」の欄に示した。
<比較例10〜12>
比較例10〜12には、以下の焼結体を用いた。
比較例10:Y23結合材を用いた市販のSiAlONセラミックス
比較例11:TiN結合材を用いた市販のcBN焼結体
比較例12:Co結合材を用いた市販のcBN焼結体
実施例13〜15および比較例10〜12の複合焼結体に対し、ビッカース硬度を測定し、その結果を表3の「硬度」の欄に示した。また、実施例13〜15および比較例10〜12の複合焼結体に対し、破壊靱性値(インデンテーション法)を測定し、その結果を表3の「破壊靱性値」に示した。
<切削試験>
実施例1〜12と同様にして切削チップを作製し、ホルダーに取り付けて以下の切削条件で連続切削を行なうことにより、複合焼結体工具の工具寿命を評価した。工具寿命は、実施例4、6〜12と同様の評価基準、すなわち複合焼結体工具の逃げ面の最大摩耗量(VBmax)が0.2mmとなるまでの切削距離(km)によって評価し、最大摩耗量(VBmax)が0.2mmとなるまでに欠損が生じた場合は、その欠損が生じるまでの切削距離によって評価した。その結果を表3の「工具寿命」の欄に示す。なお、工具寿命が長いほど、複合焼結体工具の耐摩耗性および耐欠損性が優れることを示している。
被 削 材:インコネル718の丸棒の外径加工
被削材硬度:HRC40
切削速度:V=450m/min
切り込み:d=0.2mm
送り速度:f=0.06mm/rev
クーラント:エマルジョン20倍希釈
Figure 2013082593
表3に示される結果から、実施例13〜15の複合焼結体は、比較例10〜12のそれに比して、工具寿命が長いことが明らかである。この結果から、実施例13〜15の複合焼結体は、比較例10〜12のそれに比し、耐摩耗性および耐欠損性に優れたものであると言える。このように実施例13〜15の複合焼結体の耐摩耗性および耐欠損性が向上したのは、本発明の結合材の組織が、不連続な部分を有することによるものと考えられる。
特に、実施例14〜15の複合焼結体においては、複合焼結体に含まれる結合材のうちの、10%以上95%未満の結合材の粒子径の長径が5μm以下であるため、耐摩耗性および耐欠損性の向上が顕著であった。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (6)

  1. 60体積%以上99.7体積%以下のSiAlONを含み、残部が結合材からなり、
    前記結合材は、FeSi化合物を含み、
    前記結合材の組織は、不連続な部分を有する、複合焼結体。
  2. 前記結合材は、Si34およびAl23をさらに含む、請求項1に記載の複合焼結体。
  3. 前記複合焼結体に含まれる前記結合材のうちの、10%以上95%未満の結合材の粒子径の長径が5μm以下である、請求項1または2に記載の複合焼結体。
  4. 前記SiAlONは、α−SiAlON、β−SiAlON、オルソ−SiAlON、およびc−SiAlONからなる群より選択される一種以上の結晶構造である、請求項1〜3のいずれかに記載の複合焼結体。
  5. 前記FeSi化合物におけるFeの比率は、15原子%以上85原子%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の複合焼結体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の複合焼結体を切削加工または塑性加工に関与する少なくとも一部に含む、複合焼結体工具。
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