JP2013081925A - 排水処理方法及び排水処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】実排水処理槽における有機物の処理状態を精度良く連続的に把握し得る排水処理方法及び排水処理装置を提供する。
【解決手段】有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法による排水処理方法を用いた排水処理装置1では、ミニチュア反応槽21に、実排水処理槽12への実排水と実排水処理槽12から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行い、ミニチュア反応槽21内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する。
【選択図】図1
【解決手段】有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法による排水処理方法を用いた排水処理装置1では、ミニチュア反応槽21に、実排水処理槽12への実排水と実排水処理槽12から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行い、ミニチュア反応槽21内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法による排水処理方法及び排水処理装置に関するものであり、特に、処理槽にて発生する炭酸ガスの測定に関する。
下水又は有機性の工場排水を生物学的に処理する活性汚泥法において、有機物の処理状態を連続して観察(≒測定)することは、本来、非常に重要な行為のはずである。しかしながら、有機物の処理状態を直接的かつ連続的に測定する方法は未だ世の中に存在しない。
近い能力を有する測定装置として、例えば、紫外線吸光度法を利用した有機汚濁モニタ、連続式TOC(Total Organic Carbon:全有機炭素)計、バイオセンサー型BOD(Biochemical oxygen demand:生物化学的酸素要求量)計がその代表として挙げられる。しかし、これら計器は、以下の特徴を有しているが、直接的かつ連続的な測定とは言い難い。
まず、有機汚濁モニタ(紫外線吸光度法)は、対象物に紫外線を透過させたときの光の吸収度合いから有機物濃度を間接的に換算する方法である。この方法は、排水中の有機物の成分が変わると換算係数を変える必要があり、大幅な水質変動がある場合には追従性に乏しい。また、液中に固形物が存在すると外乱となる。最近では、その影響を差し引くための工夫(2波長式等の方法)も考案されてはいるが、汚泥のように固形物(≒生物細胞)を多量に含む液体の測定には一般的に不向きと考えられる。
次に、連続式TOC計は、原理上、対象物中の全ての炭素量を検知してしまい、生物反応に寄与する有機物のみを抽出することができないのが本方式の難点である。また、1回の測定に数分〜数十分の時間を要することから、数秒単位での有機物濃度変化を追うのは困難である。さらに、測定対象が汚泥の場合、生物細胞中の炭素量も併せて検知してしまうため、液中の有機物の濃度を測る場合にはろ過等の操作が必要となる。したがって、この点からもリアルタイムでの検知が困難である。
次に、バイオセンサー型BOD計は、TOC計とは原理が異なり、生物分解に関わる有機物のみを消費酸素量から算出することが可能である。しかしながら、数秒単位での有機物濃度変化を追うのが困難であり、1回の測定に数分〜数十分の時間が必要であること、及び汚泥含有液を測定するのに不向きという点ではTOC計と同様である。また、バイオセンサー型BOD計での測定速度はJIS規格に準ずるBOD法よりも格段に早いものの、BOD計メーカー指定の特定の菌を用いるため、実排水処理設備に存在する菌とは異なる傾向を示す場合がある。
このような理由により、より直接的かつ連続的に測定が可能な装置が望まれている。
ここで、下水又は有機性の工場排水を生物学的に処理する活性汚泥法においては、有機物が分解されて炭酸ガスと水になるのが特徴である。そこで、炭酸ガスを管理することにより、有機物の処理状態を連続して観察(≒測定)することが考えられる。
この点に着目した、従来技術として、例えば特許文献1に開示された活性汚泥処理プラント曝気槽の制御方法では、図5に示すように、曝気槽101における処理水の流下方向に複数の捕集器102を配置して、曝気槽101の空気中の炭酸ガス(CO2 )を捕らえている。これにより、曝気槽101における処理水の流下距離とその距離における炭酸ガス(CO2 )発生濃度との関係を求め、その平均値により原水量、送気量を加減し、また、流下距離の10〜20%の処で炭酸ガス(CO2 )濃度が最大となるよう活性汚泥量を加減するものとなっている。
また、例えば特許文献2に開示された排水処理装置200では、図6に示すように、処理槽201内の大気相202に設けられ、かつ該大気相202の炭酸ガス(CO2 )濃度を検出する二酸化炭素濃度検出手段203と、この二酸化炭素濃度検出手段203からの出力に応じて曝気手段204の曝気量を制御する曝気制御手段205とを備えている。
さらに、例えば特許文献3に開示された排水処理装置300では、図7に示すように、排水の一部と汚泥の一部とを反応容器301内に導入し、該反応容器301内の溶存炭酸ガス濃度の変化を溶存炭酸ガス濃度測定器302にて測定し、該濃度変化の状態によって排水のBOD負荷を推測すると共に、推測したBOD負荷に対応させて曝気槽310への酸素導入量を調節している。
ところで、処理槽にて発生する炭酸ガスを測定する場合、現実的には、以下の問題が存在する。
すなわち、図8に示すように、下方から一定流量で空気を供給する場合、理想系においては、反応槽内で発生する炭酸ガス(CO2 )発生量が変化しない限り、上部で検知される炭酸ガス(CO2 )濃度も変化しない。そして、このような反応槽を3つ並設した場合においても、図9(a)に示すように、どのポイントにおいても空気が真上に浮上し、その結果、各反応槽内で発生する炭酸ガス(CO2 )発生量は同じ値である。
しかしながら、現実には、反応槽内の液中においては乱流が発生しており、空気は真上には浮上しない。この結果、図9(b)に示すように、同じ有機物分解反応が反応槽内で起こっていても、下方からの空気で希釈される倍率が各々の場所で異なっているので、検知される炭酸ガス(CO2 )濃度も変わってしまう。この結果、炭酸ガス(CO2 )濃度は反応槽の上面の各位置でバラつきが発生するので、反応槽の上面における各位置での炭酸ガス(CO2 )濃度の測定値には信頼性がない。
この問題に関して、上記従来の特許文献1に開示された活性汚泥処理プラント曝気槽の制御方法では、曝気槽101における処理水の流下方向に複数の捕集器102を配置して、曝気槽101の空気中の炭酸ガス(CO2 )を捕らえているが、現実には、処理水の流下方向に沿って旨く炭酸ガス(CO2 )濃度を把握することはできないと考えられる。
また、特許文献2に開示された排水処理装置200でも、処理槽201内における大気相202での1点での二酸化炭素濃度検出手段203による検出では、処理槽201内の二酸化炭素濃度の平均を求めているとすることはできない。
一方、特許文献3に開示された排水処理装置300では、実際の曝気槽310での溶存炭酸ガス濃度ではなく、曝気槽310から採取した排水の一部と汚泥の一部を反応容器301内に導入して溶存炭酸ガス濃度を測定しており、上述した曝気槽310の上方での炭酸ガス濃度測定による炭酸ガス濃度のばらつきを回避している点で評価できる。
しかしながら、特許文献3に開示された排水処理装置300の反応容器301には、曝気手段が存在しないので、曝気槽310の状態を再現しているとはいい難い。また、この場合、大気に排出された炭酸ガス(CO2 )濃度を測るのではなく溶存炭酸ガス(CO2 )濃度を測っているが、センサ部が水中に浸漬しているため、検知面の汚濁による出力値の変動が懸念される。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、実排水処理槽における有機物の処理状態を精度良く連続的に把握し得る排水処理方法及び排水処理装置を提供することにある。
本発明の排水処理方法は、上記課題を解決するために、有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法による排水処理方法において、ミニチュア反応槽に、実排水処理槽への実排水と該実排水処理槽から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行い、該ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス濃度を測定することを特徴としている。
すなわち、有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法による排水処理方法においては、従来、実排水処理装置における実排水処理槽の処理状態を把握する際に、現存する例えば紫外線吸光度法を利用した有機汚濁モニタ、連続式TOC計、バイオセンサー型BOD計等の計器でもある程度の状態把握は可能であった。しかし、有機物の処理状態を示す直接的な指標ではない、又は連続的に測れない等の課題があり、双方を十分に満たす測定器ではなかった。
これに対して、本発明の排水処理方法では、ミニチュア反応槽に、実排水処理槽への実排水と該実排水処理槽から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行い、該ミニチュア反応槽内の有機物分解反応(≒炭酸ガス(CO2 )の排出)に伴い大気中に排出された炭酸ガス濃度を測定する。
この結果、本発明では、ミニチュア反応槽に、実排水処理槽への実排水と該実排水処理槽から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行っている。このため、ミニチュア反応槽での処理は、曝気により酸素供給がなされるので、実排水処理槽と同様の好気性処理が行われ、実排水処理槽での処理を再現しているといえる。
また、本発明では、実排水処理槽の管理指標として炭酸ガス濃度を用いることにより、有機物の処理状態を示す直接的な指標とすると共に、リアルタイムで連続的な測定を可能とするものとなっている。
ところで、実排水処理槽において炭酸ガス濃度を測定する場合、実排水処理槽の液中においては曝気により乱流が発生しているので、広範な実排水処理槽における上面の大気中の炭酸ガス濃度は均一ではない。このため、実排水処理槽における上面の大気中の炭酸ガス濃度を多点測定して平均値を求める等しなければ、測定値が実排水処理槽における上面の大気中の炭酸ガス濃度を反映しないことになる。また、炭酸ガス濃度の多点測定は、多数の炭酸ガス濃度計を必要とし、実質的ではない。
そこで、本発明では、実排水処理槽の実排水及び実汚泥を用いて連続的に供給させ曝気も行うミニチュア反応槽、つまり実排水処理槽のミニチュア版を用いて炭酸ガス濃度を測定する。このミニチュア反応槽での炭酸ガス濃度測定においては、ミニチュア反応槽の上面の面積は小さいので、ミニチュア反応槽における槽内の活性汚泥による有機物分解処理にて発生した炭酸ガス量を全て量ることができ、ミニチュア反応槽における槽内の活性汚泥による有機物分解処理にて発生した炭酸ガス量を反映している。
この結果、ミニチュア反応槽によって、実排水処理槽と同様の有機物分解状況を直接的かつリアルタイムで連続的に精度良く把握することが可能となる。具体的には、数秒で1回の測定が可能である。これにより、これまで困難とされてきた、実排水処理槽の処理状態の良否判定、並びに運転操作の変更及び自動制御への適用等が可能になる。
したがって、実排水処理槽における有機物の処理状態を精度良く連続的に把握し得る排水処理方法を提供することができる。
本発明の排水処理方法では、前記ミニチュア反応槽では、前記実排水処理槽への実排水と該実排水処理槽から排出された実汚泥とを、該実排水処理槽とミニチュア反応槽との容量比率に基づいて流入させると共に、上記実排水処理槽における実排水量及び実汚泥量の変動を、ミニチュア反応槽への流入量に反映させることが好ましい。具体的には、実排水処理槽における実排水量が変動したときには、その変動に伴って、ミニチュア反応槽への実排水量の流入量を増減制御し、実排水処理槽における実汚泥量が変動したときには、その変動に伴って、ミニチュア反応槽への実汚泥量の流入量を増減制御する。
これにより、ミニチュア反応槽では、実排水処理槽と同じ滞留時間を確保できる。また、上記実排水処理槽における実排水量及び実汚泥量の変動を、ミニチュア反応槽への流入量に反映させるので、より忠実に該実排水処理槽の処理状態を再現できるようになる。
本発明の排水処理方法では、前記ミニチュア反応槽では、前記実排水処理槽の溶存酸素濃度と同じ溶存酸素濃度となるように曝気量を制御することが好ましい。
これにより、溶存酸素に関して、より忠実に該実排水処理槽の処理状態を再現できるようになる。
本発明の排水処理方法では、前記ミニチュア反応槽を、実排水処理槽に浸漬して、該ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス濃度を測定することが可能である。
すなわち、活性汚泥法による生物反応において水温は重要な因子である。そこで、本発明では、ミニチュア反応槽を、実排水処理槽に浸漬する。これにより、ミニチュア反応槽を実排水処理槽と同じ温度環境下におくことができるので、実排水処理槽での活性汚泥法による生物反応を、ミニチュア反応槽にて再現することが可能となる。したがって、ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス濃度を測定することは、実排水処理槽における有機物の処理状態を把握することになる。
本発明の排水処理方法では、前記ミニチュア反応槽内の炭酸ガス濃度を測定するときには、除湿した後、測定することが好ましい。
すなわち、一般に湿度が高い場合には、炭酸ガス濃度計の測定精度が低下する傾向がある。そこで、ミニチュア反応槽内の炭酸ガス濃度を測定するときには、除湿した後、測定することによって、ミニチュア反応槽にて発生する水分の多い炭酸ガス中の水分を除去し、炭酸ガス濃度計の測定精度が低下するのを防止することが可能となる。
本発明の排水処理方法では、一台の炭酸ガス濃度計を用いると共に、前記ミニチュア反応槽から炭酸ガス濃度計への経路中に三方弁を設け、上記ミニチュア反応槽から炭酸ガス濃度計への経路と、大気から炭酸ガス濃度計への経路とに切り替えて炭酸ガス濃度を測定することが可能である。
すなわち、炭酸ガス濃度計にて得られる測定値は、大気中の炭酸ガス濃度と、有機物分解由来の炭酸ガス濃度との合算値である。このため、有機物分解由来の炭酸ガス濃度を求めるためには、大気中の炭酸ガス濃度を求める必要がある。しかし、炭酸ガス濃度計を2台用意することは、初期費用の増大に繋がる。
そこで、本発明では、ミニチュア反応槽から炭酸ガス濃度計への経路中に三方弁を設け、ミニチュア反応槽から炭酸ガス濃度計への経路と、大気から炭酸ガス濃度計への経路とに切り替えて炭酸ガス濃度を測定する。これにより、一台の炭酸ガス濃度計にて、有機物分解由来の炭酸ガス濃度を求めることが可能となる。また、コスト削減を図ることができる。
本発明の排水処理方法では、前記炭酸ガス濃度の測定値に基づいて、前記実排水処理槽の操作条件を制御することが好ましい。
これにより、これまで困難とされてきた、実排水処理槽の処理状態の良否判定、並びに運転操作の変更及び自動制御への適用が現実のものとして可能になる。
本発明の排水処理装置は、上記課題を解決するために、前記記載の排水処理方法に使用される排水処理装置であって、実排水処理槽とは別にミニチュア反応槽が設けられていると共に、上記ミニチュア反応槽には、上記実排水処理槽への実排水を該ミニチュア反応槽に連続的に供給する実排水供給手段と、上記実排水処理槽から排出された実汚泥を連続的に供給する実汚泥供給手段と、該ミニチュア反応槽を曝気する曝気手段と、該ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出される炭酸ガス濃度を測定する炭酸ガス濃度測定手段とが備えられていることを特徴としている。
上記の発明によれば、実排水処理槽での活性汚泥処理を、ミニチュア反応槽にて再現できる。また、炭酸ガス濃度測定手段にて、ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出される炭酸ガス濃度を測定することにより、実排水処理槽における有機物の処理状態を把握することができる。
したがって、実排水処理槽における有機物の処理状態を精度良く連続的に把握し得る排水処理装置を提供することができる。
本発明の排水処理方法は、以上のように、ミニチュア反応槽に、実排水処理槽への実排水と該実排水処理槽から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行い、該ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス濃度を測定する方法である。
本発明の排水処理装置は、以上のように、実排水処理槽とは別にミニチュア反応槽が設けられていると共に、上記ミニチュア反応槽には、上記実排水処理槽への実排水を該ミニチュア反応槽に連続的に供給する実排水供給手段と、上記実排水処理槽から排出された実汚泥を連続的に供給する実汚泥供給手段と、該ミニチュア反応槽を曝気する曝気手段と、該ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出される炭酸ガス濃度を測定する炭酸ガス濃度測定手段とが備えられているものである。
それゆえ、実排水処理槽における有機物の処理状態を精度良く連続的に把握し得る排水処理方法及び排水処理装置を提供するという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
最初に、本実施の形態の排水処理装置の構成について、図1に基づいて説明する。図1は、本実施の形態の排水処理装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の排水処理装置1は、下水又は有機性の工場排水等の有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法を用いて処理するものであり、図1に示すように、実排水処理装置10と、この実排水処理装置10から分岐して設けられたミニチュア排水処理装置20との2つに大別することができる。
上記実排水処理装置10は、図1に示すように、排水貯留槽11と実排水処理槽12と沈殿槽13とを備えている。
上記実排水処理装置10では、実排水処理槽12に好気性微生物からなる高濃度の活性汚泥を浮遊させ、そこに排水貯留槽11から有機性の排水を連続的に投入し、散気管12aにて曝気して好気性処理する。これにより、有機性の排水は、炭酸ガス(CO2 )と水とに分解される。この炭酸ガス(CO2 )は、一部は実排水処理槽12の排水に溶存されると共に、他の一部は排水貯留槽11の排水の上面から大気中に放散される。
排水貯留槽11にて好気性処理された排水及び活性汚泥は、沈殿槽13に導入される。沈殿槽13では、活性汚泥が沈澱されると共に、上澄水を分離して取り出すことにより、処理水を得ることができる。上記沈殿槽13に溜まった汚泥は、返送汚泥として実排水処理槽12にその一部が戻される一方、余剰汚泥は、廃棄処理等される。
一方、ミニチュア排水処理装置20は、図1に示すように、例えば1リットル程度の大きさのミニチュア反応槽21、攪拌機22、曝気手段としてのエアーポンプ23、ガス流量計24、実排水供給手段としての液送ポンプ25、実汚泥供給手段としての汚泥ポンプ26、及び炭酸ガス濃度測定手段としての炭酸ガス(CO2 )濃度計27を有している。尚、ミニチュア反応槽21の容量は、他の大きさでもよい。
攪拌機22の軸は、ミニチュア反応槽21の蓋21aに取り付けられたメカニカルシール21bを介しているため、ミニチュア反応槽21における槽外のガスが軸周りから容易に浸入しない構造となっている。
上記ミニチュア排水処理装置20では、ミニチュア反応槽21に、例えば工場排水を貯留する実排水処理装置10の排水貯留槽11からの排水を液送ポンプ25にて連続的に供給すると共に、実排水処理装置10の沈殿槽13からの汚泥を、汚泥返送管26aを通して所定量連続的に汚泥ポンプ26にて供給する。
そして、ミニチュア反応槽21においては、下方よりエアーポンプ23にてエアーによる曝気手段としての散気管21cを介して曝気を行う。このときのエアー供給量は、ガス流量計24にて管理される。
これにより、ミニチュア反応槽21の内部では、実排水処理槽12と同様の生物による有機物分解反応が起こる。反応後、処理水を含む汚泥は、流入した排水の排水量及び汚泥量に応じて、ミニチュア反応槽21から押し出されることによって、ミニチュア反応槽21の槽内の液量バランスが保たれ、連続的な処理がなされる。
ここで、ミニチュア反応槽21へ供給する排水の流量及び汚泥返送の流量は、ミニチュア反応槽21と実排水処理槽12との容量比率から逆算して設定する。これにより、実排水処理装置10と同じ滞留時間を確保でき、より忠実に実排水処理装置10の処理状態を再現できるようになる。
このミニチュア排水処理装置20を使用することによって、ミニチュア反応槽21の槽内において、実排水処理装置10の実排水処理槽12の槽内と同様の反応が起こる。つまり、供給された排水中の有機物が汚泥中の細菌で分解される際に生成する炭酸ガス(CO2 ) を排出する反応が起こる。このため、炭酸ガス(CO2 )は、ミニチュア反応槽21内の大気中に排出される。ここで、ミニチュア排水処理装置20には処理水含有汚泥越流口が設けられており、この処理水含有汚泥越流口は大気に開放状態となっている。したがって、ミニチュア反応槽21内の大気中に排出された炭酸ガス(CO2 )は順次拡散し、細菌の有機物分解度合いに応じた連続的な変化を示すようになっている。
そして、本実施の形態のミニチュア排水処理装置20には、炭酸ガス(CO2 )濃度計27が設けられている。この炭酸ガス(CO2 )濃度計27は、例えば、炭酸ガス(CO2 )が赤外線を吸収する性質を利用して、測定する空気の一方から赤外線のビームを照射し、もう一方で照射した赤外線がどの程度減衰したかを測定することによって、発光部と受光部の間にある炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する仕組みになっている。測定に要する時間は数秒である。
この結果、炭酸ガス(CO2 )濃度計27にて、ミニチュア反応槽21の処理水上面における大気中の炭酸ガス(CO2 )を容易に短時間で測定することができる。このため、大気中の炭酸ガス(CO2 )の測定値から通常の大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を差し引けば、ミニチュア反応槽21の処理水上面の大気中に放散される炭酸ガス(CO2 )を算出することができる。
したがって、わざわざ実排水処理装置10の全体を覆蓋して炭酸ガス(CO2 )を測るというような大掛かりな作業・設備なくして、実排水処理槽12での微生物の代謝状態を、直接的かつ連続的に、リアルタイムで把握することができるようになる。
すなわち、ミニチュア排水処理装置20の特徴は、ミニチュア版のミニチュア反応槽21にて実排水処理装置10の実排水処理槽12を再現した上で、反応に伴う直接的な指標である炭酸ガス(CO2 )を検知することにあり、取り扱いが困難な水及び汚泥をサンプリング不要な点が魅力的である。
ここで、本実施の形態では、このようなミニチュア反応槽21の大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を測定した後、このミニチュア排水処理装置20からの炭酸ガス(CO2 )濃度の出力を基に、実排水処理槽12への排水流入量、曝気量、汚泥返送率、及び水温等の操作条件を自動制御して管理するようになっている。具体的には、炭酸ガス(CO2 )濃度が低いときには、例えば、生物の活性が低下していると捉え、排水流入量を少なくしたり、曝気量を多くしたり、汚泥返送率を上げたり、或いは水温を上げたりする。
尚、本発明においては、排水流入量、曝気量、汚泥返送率、及び水温等の操作条件は、必ずしも全てではなく、少なくとも一つの単位操作の操作条件でよい。また、本発明においては、操作条件を必ず自動制御して管理する必要はなく、手動で操作条件を変更してもよい。
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、液送ポンプ25における排水の供給量、及び汚泥ポンプ26での汚泥の供給量は一定であった。しかしながら、本発明においては、特にこれに限定するものではない。すなわち、実排水処理装置10において、実排水処理槽12への供給排水量又は返送汚泥量が時間的に大きく変動するような場合は、実排水処理装置10の排水供給ライン及び汚泥返送ラインへ流量計を取り付け、その情報に基づいて、ミニチュア反応槽21への排水供給流量及び汚泥供給流量を実排水処理装置10に比例させる形で随時、実排水処理装置10の排水供給ライン及び汚泥返送ラインへ流量計を取り付け、コントロールすることが再現精度向上に有効である。
したがって、これを満たすために、例えば、ミニチュア排水処理装置20においても、ミニチュア反応槽21への排水供給ライン及び汚泥返送ラインへ流量計を取り付けて随時、排水供給量及び汚泥返送量をコントロールすることが好ましい。
また、例えば、DO(Dissolved Oxygen:溶存酸素)計を付加する実排水処理装置10での実排水処理槽12の槽内にDO濃度が過不足なく存在する場合は問題ない。しかしながら、特にDO<1mg/Lとなって酸素不足に陥っている場合には、有機物分解が不十分になっている可能性もあり、その状態をミニチュア反応槽21の槽内で再現してやる必要がある。
このような場合は、実排水処理装置10における実排水処理槽12の槽内の実DO濃度を測定してエアー供給量を調整する必要性から、ミニチュア反応槽21にDO計とそのコントローラとを付加することが望ましい。
このように、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置1は、有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法による排水処理方法及び排水処理装置1において、ミニチュア反応槽21に、実排水処理槽12への実排水と実排水処理槽12から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行い、ミニチュア反応槽21内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する。
すなわち、有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法による排水処理方法においては、従来、実排水処理装置における実排水処理槽の処理状態を把握する際に、現存する例えば紫外線吸光度法を利用した有機汚濁モニタ、連続式TOC計、バイオセンサー型BOD計等の計器でもある程度の状態把握は可能であった。しかし、有機物の処理状態を示す直接的な指標ではない、又は連続的に測れない等の課題があり、双方を十分に満たす測定器ではなかった。
これに対して、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置1では、ミニチュア反応槽21に、実排水処理槽12への実排水と実排水処理槽12から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行い、ミニチュア反応槽21内の有機物分解反応(≒炭酸ガス(CO2 )の排出)に伴い大気中に排出された炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する。
この結果、本実施の形態では、ミニチュア反応槽21に、実排水処理槽12への実排水と該実排水処理槽12から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行っている。このため、ミニチュア反応槽21での処理は、曝気により酸素供給がなされるので、実排水処理槽12と同様の好気性処理が行われ、実排水処理槽12での処理を再現しているといえる。
また、本実施の形態では、実排水処理槽12の管理指標として炭酸ガス(CO2 )濃度を用いることにより、有機物の処理状態を示す直接的な指標とすると共に、リアルタイムで連続的な測定を可能とするものとなっている。
ところで、実排水処理槽12において炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する場合、実排水処理槽12の液中においては曝気により乱流が発生しているので、広範な実排水処理槽12における上面の大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度は均一ではない。このため、実排水処理槽12における上面の大気中の炭酸ガス濃度を多点測定して平均値を求める等しなければ、測定値が実排水処理槽12における上面の大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を反映しないことになる。また、炭酸ガス(CO2 )濃度の多点測定は、多数の炭酸ガス(CO2 )濃度計27を必要とし、実質的ではない。
そこで、本実施の形態では、実排水処理槽12の実排水及び実汚泥を用いて連続的に供給させ曝気も行うミニチュア反応槽21、つまり実排水処理槽12のミニチュア版を用いて炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する。このミニチュア反応槽21での炭酸ガス(CO2 )測定においては、ミニチュア反応槽21の上面の面積は小さいので、ミニチュア反応槽21における槽内の活性汚泥による有機物分解処理にて発生した炭酸ガス(CO2 )量を全て量ることができ、ミニチュア反応槽21における槽内の活性汚泥による有機物分解処理にて発生した炭酸ガス(CO2 )量を反映している。
この結果、ミニチュア反応槽21によって、実排水処理槽12と同様の有機物分解状況を直接的かつリアルタイムで連続的に精度良く把握することが可能となる。具体的には、数秒で1回の測定が可能である。
これにより、これまで困難とされてきた、実排水処理槽12の処理状態の良否判定、並びに運転操作の変更及び自動制御への適用等が可能になる。
したがって、実排水処理槽12における有機物の処理状態を精度良く連続的に把握し得る排水処理方法及び排水処理装置1を提供することができる。
また、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置1では、ミニチュア反応槽21において、実排水処理槽12への実排水と該実排水処理槽12から排出された実汚泥とを、該実排水処理槽12とミニチュア反応槽21との容量比率に基づいて流入させると共に、実排水処理槽12における実排水量及び実汚泥量の変動を、ミニチュア反応槽21への流入量に反映させることが好ましい。具体的には、実排水処理槽12における実排水量が変動したときには、その変動に伴って、ミニチュア反応槽21への実排水量の流入量を増減制御し、実排水処理槽12における実汚泥量が変動したときには、その変動に伴って、ミニチュア反応槽21への実汚泥量の流入量を増減制御する。
これにより、実排水処理槽12と同じ滞留時間を確保できる。また、実排水処理槽12における実排水量及び実汚泥量の変動を、ミニチュア反応槽21への流入量に反映させるので、より忠実に実排水処理槽12の処理状態を再現できるようになる。
また、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置1では、ミニチュア反応槽21において、実排水処理槽12の溶存酸素濃度と同じ溶存酸素濃度となるように曝気量を制御することが好ましい。
これにより、溶存酸素に関して、より忠実に実排水処理槽12の処理状態を再現できるようになる。
また、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置1では、炭酸ガス(CO2 )濃度の測定値に基づいて、実排水処理槽12の操作条件を制御する。
これにより、これまで困難とされてきた、実排水処理槽12の処理状態の良否判定、並びに運転操作の変更及び自動制御への適用が現実のものとして可能になる。
また、本実施の形態の排水処理装置1は、本実施の形態の排水処理方法に使用される排水処理装置であって、実排水処理槽12とは別にミニチュア反応槽21が設けられている。そして、ミニチュア反応槽21には、実排水処理槽12への実排水を該ミニチュア反応槽21に連続的に供給する実排水供給手段としての液送ポンプ25と、実排水処理槽12から排出された実汚泥を連続的に供給する実汚泥供給手段としての汚泥ポンプ26と、ミニチュア反応槽21を曝気する曝気手段としてのエアーポンプ23及び散気管21cと、ミニチュア反応槽21内の有機物分解反応に伴い大気中に排出される炭酸ガス(CO2 )を測定する炭酸ガス濃度測定手段としての炭酸ガス(CO2 )濃度計27とが備えられている。
上記の構成によれば、実排水処理槽12での活性汚泥処理を、ミニチュア反応槽21にて再現できる。また、炭酸ガス(CO2 )濃度計27にて、ミニチュア反応槽21内の有機物分解反応に伴い大気中に排出される炭酸ガス(CO2 )濃度を測定することにより、実排水処理槽12における有機物の処理状態を把握することができる。
したがって、実排水処理槽12における有機物の処理状態を精度良く連続的に把握し得る排水処理装置1を提供することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本発明の他の実施の形態について図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置では、前記実施の形態1の排水処理方法及び排水処理装置の構成に加えて、ミニチュア反応槽21の温度管理を行っている点が異なっている。
すなわち、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置2では、図2に示すように、ミニチュア反応槽21を恒温槽30に収容している。この理由は、生物反応において、水温は重要な因子であるため、実排水処理装置10における実排水処理槽12の水温を測定した上で、ミニチュア反応槽21の水温をヒーター、或いは冷却機等を使用してコントロールすることが好ましいためである。
また、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置2では、ミニチュア反応槽21へのエアー供給ラインにマスフローコントローラ31を設けることにより、ミニチュア反応槽21へのエアー供給流量をコントロールできるようにしている。
すなわち、大気を圧縮して空気供給するタイプのエアーポンプ23を使用する場合、エアー供給流量が不安定になる場合がある。したがって、小さい容量のミニチュア反応槽21に対して、その変動量の影響が無視できない場合が起こり得る。この場合、基本的には、ミニチュア反応槽21へのエアー供給流量が不安定であっても、そのエアー供給流量の経時変化を把握しておけば、有機物分解量の時間的変化を追うことは可能である。
しかしながら、ミニチュア反応槽21へのエアー供給ラインにマスフローコントローラ31を設けることにより、マスフローコントローラ31にてエアー供給流量を調整して流量を常時一定に保持しておく方が、エアー供給を安定的に行うことができると共に、流量に関するデータ処理が容易になる上、処理状態の変化を直感的に把握し易くなるという利点がある。
ところで、炭酸ガス(CO2 )濃度計27にて得られる測定値は、前述したように、大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度と、有機物分解由来の炭酸ガス(CO2 )濃度との合算値である。したがって、ミニチュア排水処理装置20のエアー供給源として、空気ボンベを使用する場合はこの限りではないが、大気を圧縮して空気供給するタイプのエアーポンプ23を使用する場合、元となる大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度は、測定環境の変化、例えば、天候、周辺の人の呼吸等により常に変動する。このため、大気中の正確な炭酸ガス(CO2 )濃度を把握するためには、エアーポンプ23の吸込口における大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を連続的に測定して、ベースライン補正、つまり大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度の補正を行うことが好ましい。
このためには、例えば、炭酸ガス(CO2 )濃度計27を2台用意し、一方で大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を測定し、他方でミニチュア反応槽21から排出された炭酸ガス(CO2 )濃度を測定し、その差分を有機物由来の炭酸ガス(CO2 )濃度として求めることが好ましい。しかしながら、炭酸ガス(CO2 )濃度計27を2台用意することは、初期費用の増大に繋がる。
そこで、本実施の形態では、図2に示すように、ミニチュア反応槽21から炭酸ガス(CO2 )濃度計27への経路に三方弁32を設けている。この三方弁32は、ミニチュア反応槽21から炭酸ガス(CO2 )濃度計27への経路と、エアーポンプ23周辺の大気から炭酸ガス(CO2 )濃度計27への経路との2つの経路に切り替え可能となっている。
これにより、1台の炭酸ガス(CO2 )濃度計27を、三方弁32を定期的に切り替えることにより、ミニチュア反応槽21内の炭酸ガス(CO2 )濃度測定と、エアーポンプ23周辺の大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度測定とを交互に切り替えて行うことができる。また、これにより、高価な炭酸ガス(CO2 )濃度計27を1台で済ますことができ、経費節減に繋がる。
また、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置2では、図2に示すように、三方弁32と炭酸ガス(CO2 )濃度計27との間に、除湿機33を設けている。
すなわち、炭酸ガス(CO2 )濃度計27の原理及び特性にもよるが、一般に湿度が高い場合には、炭酸ガス(CO2 )濃度計27の測定精度が低下すると言われている。そこで、本実施の形態では、ミニチュア反応槽21から炭酸ガス(CO2 )濃度計27へ経路に除湿機33を設けてガス中の水分を除去している。尚、除湿機33の除湿原理としては、例えば、冷却、中空糸等を利用したものを利用することが可能である。尚、できればその湿度変化も観察しておくことが好ましい。
このように、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置2では、ミニチュア反応槽21内の炭酸ガス(CO2 )濃度を測定するときには、除湿した後、測定する。
すなわち、一般に湿度が高い場合には、炭酸ガス(CO2 )濃度計27の測定精度が低下する傾向がある。そこで、ミニチュア反応槽21内の炭酸ガス(CO2 )濃度を測定するときには、除湿した後、測定することによって、ミニチュア反応槽21にて発生する水分の多い炭酸ガス(CO2 )中の水分を除去し、炭酸ガス(CO2 )濃度計27の測定精度が低下するのを防止することが可能となる。
また、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置2では、一台の炭酸ガス(CO2 )濃度計27を用いると共に、ミニチュア反応槽21から炭酸ガス(CO2 )濃度計27への経路中に三方弁32を設け、ミニチュア反応槽21から炭酸ガス(CO2 )濃度計27への経路と、大気から炭酸ガス(CO2 )濃度計27への経路とに切り替えて炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する。
すなわち、炭酸ガス(CO2 )濃度計27にて得られる測定値は、大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度と、有機物分解由来の炭酸ガス(CO2 )濃度との合算値である。このため、有機物分解由来の炭酸ガス(CO2 )濃度を求めるためには、大気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を求める必要がある。しかし、炭酸ガス(CO2 )濃度計27を2台用意することは、初期費用の増大に繋がる。
そこで、本実施の形態では、ミニチュア反応槽21から炭酸ガス(CO2 )濃度計27への経路中に三方弁32を設け、ミニチュア反応槽21から炭酸ガス(CO2 )濃度計27への経路と、大気から炭酸ガス(CO2 )濃度計27への経路とに切り替えて炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する。これにより、一台の炭酸ガス(CO2 )濃度計27にて、有機物分解由来の炭酸ガス(CO2 )濃度を求めることが可能となる。また、コスト削減を図ることができる。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本発明のさらに他の実施の形態について図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態2においては、ミニチュア反応槽21の水温をコントロールするために、ミニチュア反応槽21を恒温槽30に収容していた。
しかしながら、本実施の形態の排水処理方法及び排水処理装置3では、図3に示すように、ミニチュア反応槽21の水温をコントロールするために、ミニチュア反応槽21を実排水処理槽12に浸漬している点が異なっている。
すなわち、前述したように、生物反応において水温は重要な因子である。そこで、本実施の形態では、ミニチュア反応槽21を実排水処理装置10における実排水処理槽12の水面付近に浸漬させ、ミニチュア反応槽21の水温を、実排水処理槽12の水温に合わせるようにしている。これにより、ミニチュア反応槽21の水温を前述したヒーター又は冷却機等を使用してコントロールするのに比べて、コスト及び安定性の点から効率的である。
このように、本実施の形態の排水処理方法で及び排水処理装置3では、ミニチュア反応槽21を、実排水処理槽12に浸漬して、ミニチュア反応槽21内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス(CO2 )濃度を測定する。
これにより、ミニチュア反応槽21を実排水処理槽12と同じ温度環境下におくことができるので、実排水処理槽12での活性汚泥法による生物反応を、ミニチュア反応槽21にて再現することが可能となる。したがって、ミニチュア反応槽21内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス(CO2 )濃度を測定することは、実排水処理槽12における有機物の処理状態を把握することになる。
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本実施例では、実施の形態2において説明した排水処理装置2についての検証実験について、図2及び図4に基づいて説明する。
図2に示す排水処理装置2の具体的構成として、まず、容積約1000mLの塩ビ製のミニチュア反応槽21に活性汚泥を約650mL充填し、上部を蓋21aで閉めた。尚、蓋21aにはメカニカルシール21bを介した攪拌機22を取り付けた。これにより、図示しない攪拌モーターの軸からのガス漏れを防ぎつつ、攪拌モーターが回転することによりミニチュア反応槽21の槽内の活性汚泥は攪拌される仕組みになっている。
また、ミニチュア反応槽21には、側面の5箇所に以下の治具が取り付けられている。(ア)排水流入口(排水貯留槽11に繋ぎ込み)
(イ)汚泥流入口(沈殿槽13に繋ぎ込み)
(ウ)処理水含有汚泥越流口(廃液タンクに繋ぎ込み)
(エ)エアー供給口(マスフローコントローラ31を介してエアーポンプ23に繋ぎ込み)
(オ)ガス排出口(除湿機33(冷却+中空糸)を介して、炭酸ガス(CO2 )濃度計27に繋ぎ込み)
これらに必要配管等を全て繋ぎ込み、実線部を恒温槽30内に配置した上で、以下の条件で運転を試みた。
(1)排水供給流量:1mL/分(スキムミルク。期間中の平均TOC:730mg/L)
(2)汚泥供給流量:0.8mL/min(MLSS:約7000mg/L)
(3)ミニチュア反応槽21の槽内MLSS:約3500mg/L
(4)処理温度
(a)t=0.0〜0.9日:恒温槽内温度:25℃設定で運転
(b)t=0.9〜1.9日:恒温槽内温度:15℃設定で運転
(c)t=1.9〜2.9日:恒温槽内温度:10℃設定で運転
(d)t=2.9〜3.1日:恒温槽内温度:25℃設定で運転
上記条件で運転したときの炭酸ガス(CO2 )濃度に関するデータを、図4に示す。尚、図4において、プロットした点が、上下に波打っているのは、1台の炭酸ガス(CO2 )濃度計27でミニチュア反応槽21からの排出ガス中の炭酸ガス(CO2 )濃度と、曝気に使用している空気(大気)中の炭酸ガス(CO2 )濃度とを交互に測定しているためである。詳細には、三方弁32の切り替えにより、30分毎にミニチュア反応槽21からの排出ガス中の炭酸ガス(CO2 )濃度を2分間測定し、その後、インターバルの間に曝気に使用する空気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を測定した。また、図4において、プロットした点の上限レベルが排ガス中の炭酸ガス(CO2 )濃度と使用した空気中の炭酸ガス(CO2 )濃度の合算値である。さらに、下端が使用した空気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を示す。
(イ)汚泥流入口(沈殿槽13に繋ぎ込み)
(ウ)処理水含有汚泥越流口(廃液タンクに繋ぎ込み)
(エ)エアー供給口(マスフローコントローラ31を介してエアーポンプ23に繋ぎ込み)
(オ)ガス排出口(除湿機33(冷却+中空糸)を介して、炭酸ガス(CO2 )濃度計27に繋ぎ込み)
これらに必要配管等を全て繋ぎ込み、実線部を恒温槽30内に配置した上で、以下の条件で運転を試みた。
(1)排水供給流量:1mL/分(スキムミルク。期間中の平均TOC:730mg/L)
(2)汚泥供給流量:0.8mL/min(MLSS:約7000mg/L)
(3)ミニチュア反応槽21の槽内MLSS:約3500mg/L
(4)処理温度
(a)t=0.0〜0.9日:恒温槽内温度:25℃設定で運転
(b)t=0.9〜1.9日:恒温槽内温度:15℃設定で運転
(c)t=1.9〜2.9日:恒温槽内温度:10℃設定で運転
(d)t=2.9〜3.1日:恒温槽内温度:25℃設定で運転
上記条件で運転したときの炭酸ガス(CO2 )濃度に関するデータを、図4に示す。尚、図4において、プロットした点が、上下に波打っているのは、1台の炭酸ガス(CO2 )濃度計27でミニチュア反応槽21からの排出ガス中の炭酸ガス(CO2 )濃度と、曝気に使用している空気(大気)中の炭酸ガス(CO2 )濃度とを交互に測定しているためである。詳細には、三方弁32の切り替えにより、30分毎にミニチュア反応槽21からの排出ガス中の炭酸ガス(CO2 )濃度を2分間測定し、その後、インターバルの間に曝気に使用する空気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を測定した。また、図4において、プロットした点の上限レベルが排ガス中の炭酸ガス(CO2 )濃度と使用した空気中の炭酸ガス(CO2 )濃度の合算値である。さらに、下端が使用した空気中の炭酸ガス(CO2 )濃度を示す。
図4に示すように、水温条件を変更した場合の排ガス中の炭酸ガス(CO2 )濃度(≒有機物分解に関わる直接的な代謝物)を連続的に測定でき、かつな応答変化を遅れなく明確に測定できていることが判る。
尚、本実施例では30分毎に炭酸ガス(CO2 )濃度を測定しているが、測定頻度を増やすためには、数分で1回の測定が可能である。また、炭酸ガス(CO2 )濃度計27を増設する等の工夫をすれば、連続測定も可能である。
さらに、本実施例では、水温変化の一例を示したものとなっている。しかしながら、ミニチュア排水処理装置20では、その他条件を変更させた場合も同様に変化を観測することが可能である。
本発明は、有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法による排水処理方法及び排水処理装置に適用することができる。
1 排水処理装置
2 排水処理装置
3 排水処理装置
10 実排水処理装置
11 排水貯留槽
12 実排水処理槽
12a 散気管(曝気手段)
13 沈殿槽
20 ミニチュア排水処理装置
21 ミニチュア反応槽
21a 蓋
21b メカニカルシール
21c 散気管
22 攪拌機
23 エアーポンプ(曝気手段)
24 ガス流量計
25 液送ポンプ(実排水供給手段)
26 汚泥ポンプ(実汚泥供給手段)
27 炭酸ガス(CO2 )濃度計(炭酸ガス濃度測定手段)
30 恒温槽
31 マスフローコントローラ
32 三方弁
33 除湿機
2 排水処理装置
3 排水処理装置
10 実排水処理装置
11 排水貯留槽
12 実排水処理槽
12a 散気管(曝気手段)
13 沈殿槽
20 ミニチュア排水処理装置
21 ミニチュア反応槽
21a 蓋
21b メカニカルシール
21c 散気管
22 攪拌機
23 エアーポンプ(曝気手段)
24 ガス流量計
25 液送ポンプ(実排水供給手段)
26 汚泥ポンプ(実汚泥供給手段)
27 炭酸ガス(CO2 )濃度計(炭酸ガス濃度測定手段)
30 恒温槽
31 マスフローコントローラ
32 三方弁
33 除湿機
Claims (8)
- 有機性排水を生物学的に処理する活性汚泥法による排水処理方法において、
ミニチュア反応槽に、実排水処理槽への実排水と該実排水処理槽から排出された実汚泥とを連続的に供給した上で曝気を行い、該ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス濃度を測定することを特徴とする排水処理方法。 - 前記ミニチュア反応槽では、前記実排水処理槽への実排水と該実排水処理槽から排出された実汚泥とを、該実排水処理槽とミニチュア反応槽との容量比率に基づいて流入させると共に、
上記実排水処理槽における実排水量及び実汚泥量の変動を、ミニチュア反応槽への流入量に反映させることを特徴とする請求項1記載の排水処理方法。 - 前記ミニチュア反応槽では、前記実排水処理槽の溶存酸素濃度と同じ溶存酸素濃度となるように曝気量を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の排水処理方法。
- 前記ミニチュア反応槽を、実排水処理槽に浸漬して、該ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出された炭酸ガス濃度を測定することを特徴とする請求項1,2又は3記載の排水処理方法。
- 前記ミニチュア反応槽内の炭酸ガス濃度を測定するときには、除湿した後、測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水処理方法。
- 一台の炭酸ガス濃度計を用いると共に、
前記ミニチュア反応槽から炭酸ガス濃度計への経路中に三方弁を設け、
上記ミニチュア反応槽から炭酸ガス濃度計への経路と、大気から炭酸ガス濃度計への経路とに切り替えて炭酸ガス濃度を測定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の排水処理方法。 - 前記炭酸ガス濃度の測定値に基づいて、前記実排水処理槽の操作条件を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の排水処理方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の排水処理方法に使用される排水処理装置であって、
実排水処理槽とは別にミニチュア反応槽が設けられていると共に、
上記ミニチュア反応槽には、
上記実排水処理槽への実排水を該ミニチュア反応槽に連続的に供給する実排水供給手段と、
上記実排水処理槽から排出された実汚泥を連続的に供給する実汚泥供給手段と、
該ミニチュア反応槽を曝気する曝気手段と、
該ミニチュア反応槽内の有機物分解反応に伴い大気中に排出される炭酸ガス濃度を測定する炭酸ガス濃度測定手段とが備えられていることを特徴とする排水処理装置。
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