JP2013075314A - アプセット溶接接合方法 - Google Patents

アプセット溶接接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、2本の棒材を突き合わせ溶接するアプセット溶接接合方法に関し、溶接に伴う汚染が生じず、溶接部の外径が拡大したコブ状増径部が整った形状で形成され、溶接部の端面形状や面積によることなく安定的かつ強固に溶接することを、安価な溶接設備で実現するアプセット溶接接合方法を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の対向するアプセット溶接電極により、2本の棒材をこれらの棒材の溶接部からそれぞれ離れた位置で掴持し、上記アプセット溶接電極を互いに近接方向に、上記2本の棒材の溶接部同士が接触する程度の第1の加圧力で加圧しながら、上記アプセット溶接電極に電力を供給してその溶接部を加熱し、その後、上記アプセット溶接電極に電力を供給しながらこのアプセット溶接電極を互いに近接方向に、上記第1の加圧力よりも高い第2の加圧力で加圧して、上記2本の棒材を突き合わせ溶接する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、2本の棒材を突き合わせ溶接するアプセット溶接接合方法に関する。
鉄筋コンクリート構造又はプレストレストコンクリート構造の柱又は梁等の部材では、曲げ剛性を高めるために、長手方向の主筋の周囲を囲繞するせん断補強筋が用いられる。従来のせん断補強筋は、両端部にフックを設けたもので、全体形状が角形、日の字形、目の字形、田の字形、囲の字形又はこれらを組み合わせた形状を有し、主筋を取り巻き、フックを主筋に係止して剪断力に対して抵抗するようになっていた。このフックを両端部に設ける代わりに、両端部を相互に溶接接合してループを形成した閉鎖せん断補強筋とすることもあった。このような閉鎖せん断補強筋は、主筋と係合するフックがなく、主筋の位置とは無関係に任意の位置で溶接接合することができるので、製造上の制約、取付け作業時の制約等がなく、連続したせん断補強筋として賞用されている。しかし、溶接を施すと一般に強度や伸びが小さくなるという問題がある。また、特に引張強さが高く、耐力が大きい高強度せん断補強筋では、溶接部や熱影響部が母材に比べて低強度となったり、引張破損しやすいなどの問題がある。このため、優れた高強度の母材を用いても、溶接部や熱影響部の特性により最終的な特性が制約されるという問題があった。
従来より、溶接すべき2本の棒材の溶接部を突き合わせ、通電により加熱し、その溶接部に高圧力を加えて接合する突き合わせ抵抗溶接法として、例えばアプセット溶接やフラッシュ溶接が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
アプセット溶接は、溶接すべき2本の棒材を電極で掴持し、その溶接部を突き合わせ、加圧をしながら通電し、短絡させたまま抵抗発熱のみにより溶接部を加熱し、溶接部が適当な温度になったところで強く加圧して接合する突き合わせ抵抗溶接法である。
フラッシュ溶接は、溶接すべき2本の棒材を電極で掴持し、その溶接部を突き合わせて通電し、溶接部の接触と分離を繰り返すことによる短絡とアークの繰り返しにより溶接部を溶融飛散させながら加熱し、溶接部全体が十分に加熱溶融されたところで強く加圧して接合する突き合わせ抵抗溶接法である。
鈴木茂、長谷川和芳、抵抗溶接の実際(その2)−フラッシュ溶接とアプセット溶接、「溶接学会誌」、溶接学会、1995年3月、第64巻、第2号、p.94−97
上記アプセット溶接は、抵抗発熱のみにより溶接部を加熱する溶接法であって、溶接部における溶融飛散が発生しないため、溶接に伴う汚染が生じない。また、アプセット溶接では、溶接部の外径が拡大したコブ状増径部が整った形状で形成される。また、アプセット溶接は、棒材を掴持する電極を進退させる機構や、アークを発生させるためのリアクタンス回路が不要であるため、フラッシュ溶接に比して溶接設備が安価である。
しかしながら、アプセット溶接では、溶接部の端面形状によっては、溶接部における均一な温度上昇・温度分布が妨げられて不完全な接合となり、溶接部が母材に比べて低強度となるおそれがある。特に溶接部の面積が大きい場合、突き合わせたときの整合をとりづらいことから、溶接部における均一な温度上昇・温度分布が妨げられることがより顕著に表れる。
上記フラッシュ溶接は、溶接部全体が十分に加熱溶融されたところで強く加圧して接合する溶接法であるため、溶接強度が強く、また、溶接部の端面形状や面積によることなく安定的に溶接することができる。
しかしながら、フラッシュ溶接は、短絡とアークの繰り返しにより溶接部を溶融飛散させながら加熱する溶接法であるため、溶接に伴う汚染が生じる。また、そのようにして加熱される溶接部は、1500℃以上に加熱されることとなるため、溶接後の溶接部近傍に、炭素含有量の減少(脱炭)により軟化した、いわゆるホワイトバンドと称される白色層(脱炭部)が生じ、その脱炭の程度によっては、棒材に軸方向引張力が作用すると溶接部で破断するいわゆる界合面破断のおそれがある。また、フラッシュ溶接では、溶接部の外径が拡大したコブ状増径部の外面に、溶接部における溶融飛散に伴う突起が形成される、いわゆる花咲き現象が生じる。このような花咲き現象が生じると、その分だけコブ状増径部の外径が大きくなるため、コンクリートかぶりを厚くする必要があり、コンクリート使用量の増大を招く。また、フラッシュ溶接では、棒材を掴持する電極を進退させる機構や、アークを発生させるためのリアクタンス回路が必要であるため、溶接設備が非常に高価である。
本発明は、上記事情に鑑み、溶接に伴う汚染が生じず、溶接部の外径が拡大したコブ状増径部が整った形状で形成され、溶接部の端面形状や面積によることなく安定的かつ強固に溶接することを、安価な溶接設備で実現するアプセット溶接接合方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成する本発明のアプセット溶接接合方法は、一対の対向するアプセット溶接電極により、2本の棒材をこれらの棒材の溶接部からそれぞれ離れた位置で掴持し、上記アプセット溶接電極を互いに近接方向に、上記2本の棒材の溶接部同士が接触する程度の第1の加圧力で加圧しながら、上記アプセット溶接電極に電力を供給してその溶接部を加熱し、その後、上記アプセット溶接電極に電力を供給しながらこのアプセット溶接電極を互いに近接方向に、上記第1の加圧力よりも高い第2の加圧力で加圧して、上記2本の棒材を突き合わせ溶接することを特徴とする。
本発明のアプセット溶接接合方法は、第1の加圧力が、2本の棒材の溶接部同士が接触する程度の加圧力であるため、第1の加圧力で加圧するときに、溶接部において最も突出した凸部同士の接触、局所的な溶融による切断、通電点の移動を繰り返す。これにより、溶接部の端面の凹凸が均されて整合が図られるとともに、局所的な溶融が溶接部の端面全体に分布して、その端面全体が適度な溶融状態となる。すなわち、第1の加圧力による加圧が終了すると、第2の加圧力による加圧にあたっての良好な溶接部が得られる。従って、溶接部の端面形状や面積によることなく安定的かつ強固に溶接される。また、本発明のアプセット溶接接合方法は、棒材を掴持するアプセット溶接電極を進退させる機構や、アークを発生させるためのリアクタンス回路が不要であって、短絡させたまま抵抗発熱のみにより溶接部を加熱する方法であるため、フラッシュ溶接に比して溶接設備が安価であり、溶接に伴う汚染や花咲き現象が生じず、整った形状のコブ状増径部が形成される。また、加熱された溶接部の温度は、フラッシュ溶接のような高温ではないため、脱炭による軟化が生じない。
ここで、本発明のアプセット溶接接合方法は、上記第1の加圧力が、500N以下の加圧力であることが好ましい。
このような好ましい形態によれば、溶接部において最も突出した凸部同士の接触、局所的な溶融による切断、通電点の移動を、効率よく繰り返させることができる。
また、本発明のアプセット溶接接合方法は、上記アプセット溶接電極を上記第2の加圧力で加圧するときにこのアプセット溶接電極に供給される電力よりも高い電力を、このアプセット溶接電極を上記第1の加圧力で加圧するときにこのアプセット溶接電極に供給することも好ましい形態である。
このような好ましい形態によれば、第1の加圧力で加圧するときに、局所的な溶融による切断を安定的に生じさせることができる。
本発明によれば、溶接に伴う汚染が生じず、溶接部の外径が拡大したコブ状増径部が整った形状で形成され、溶接部の端面形状や面積によることなく安定的かつ強固に溶接することを、安価な溶接設備で実現するアプセット溶接接合方法が提供される。
本発明の一実施形態であるアプセット溶接接合方法における2本の棒材の溶接部を突き合わせた状態を示す模式図である。 図1に示すA部の拡大図である。 図1に示すA部の拡大図である。 図1に示すA部の拡大図である。 図1に示すA部の拡大図である。 本発明の一実施形態であるアプセット溶接接合方法における一次加圧が終了し二次加圧される直前の状態を示すである。 本発明の一実施形態であるアプセット溶接接合方法における二次加圧が終了した状態を示す模式図である。 2本の棒材を溶接した継手の軸方向引張強さと熱影響部の幅との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
ここでは、15.9mmの線径を有する2本の棒材の突き合わせ溶接に本発明を適用した実施形態を説明する。また、ここで用いる溶接設備は、従来から知られているアプセット溶接のための溶接設備である。
図1は、本発明の一実施形態であるアプセット溶接接合方法における2本の棒材1a,1bの溶接部2を突き合わせた状態を示す模式図である。
まず、2本の棒材1a,1bの溶接部2からそれぞれ一定距離離れた位置で、一対の対向するクランプ3a,3bにより棒材1a,1bを掴持し、2本の棒材1a,1bの溶接部2を突き合わせる。このクランプ3a,3bは、図示しない油圧シリンダによって互いに近接する方向に動作するものである。より詳細には、このクランプ3a,3bのうちの一方のクランプ3aが油圧シリンダによって他方のクランプ3bに近接する方向に動作するものであり、他方のクランプ3bは位置が固定されたものである。このような動作によりクランプ3a,3b間に圧力が掛けられる。また、このクランプ3a,3bは、図示しない電源に接続されており、電力の供給を受けて溶接部2を加熱する電極としても機能する。この2本の棒材1a,1bが、本発明にいう2本の棒材の実施例であり、また、このクランプ3a,3bが、本発明にいうアプセット溶接電極の実施例である。図示しない電源から供給された電流は、クランプ3a,3bを介して棒材1a,1bに流れ、溶接部2を加熱することとなる。
クランプ3a,3bによって棒材1a,1bを掴持して溶接部2を突き合わた後、油圧シリンダにより一方のクランプ3aを他方のクランプ3bに近接する方向に動作させ、クランプ3a,3bを互いに近接方向に第1の加圧力で一次加圧する。第1の加圧力は、棒材1a,1bの溶接部2同士が接触する程度の加圧力である。また、第1の加圧力は一定の加圧力であって、所定時間加圧し続ける。第1の加圧力は、例えば従来のアプセット溶接における一次加圧の加圧力の10分の1以下の加圧力であって、ここでは約135Nである。この第1の加圧力が、本発明にいう第1の加圧力の実施例である。また、一次加圧の加圧時間は、例えば2秒である。
また、一次加圧を継続した状態で、図示しない電源から電力を供給し、クランプ3a,3bを介して溶接部2を加熱する。このときの電流値は、例えば従来のアプセット溶接における電流値の1.5倍以上の電流値であって、ここでは約8000Aである。尚、この約8000Aという電流値は、後述する電磁ピンチ力によるヒューズ効果を安定的に生じさせる電流値の一例である。
図2〜図5は、図1に示すA部の拡大図である。尚、図2には、図示しない電源から電力が供給された直後の溶接部2の状態が示されており、図3〜図5には、その後の溶接部2の状態が示されている。
溶接部2の端面は、精度良く加工したとしても凹凸を有する。本実施形態では、第1の加圧力が、棒材1a,1bの溶接部2同士が接触する程度の加圧力であるため、一次加圧を継続した状態で電源から電力が供給されると、まず、図2に示すように、溶接部2において最も突出した凸部21a,21b同士が接触し、その部分に電流Iが流れる。すなわち、局所的に電流Iが流れる。その後、図3,図4に示すように、電磁ピンチ力によるヒューズ効果によって、電流Iが流れた凸部21a,21bが局所的に溶融し切断される。上述したように、その電流Iは、従来のアプセット溶接における電流値の1.5倍以上の約8000Aであるため、従来の電流値に比して、電磁ピンチ力によるヒューズ効果が安定的に生じる。
上述したように、溶接部2同士が接触する程度の加圧力である第1の加圧力で加圧し続けられるため、凸部21a,21bが切断されると、図5に示すように、凸部21a,21b切断後の溶接部2において最も突出した凸部22a,22b同士が接触し、その部分に電流Iが流れる。すなわち、通電点が移動する。その後、上述した凸部21a,21b切断と同様に、電磁ピンチ力によるヒューズ効果によって、電流Iが流れた凸部22a,22bが局所的に溶融し切断される。
以下、溶接部2において最も突出した凸部同士の接触、局所的な溶融による切断、通電点の移動を繰り返す。
図6は、本発明の一実施形態であるアプセット溶接接合方法における一次加圧が終了し二次加圧される直前の状態を示す模式図である。
一次加圧が終了すると、上述した、溶接部2において最も突出した凸部同士の接触、局所的な溶融による切断、通電点の移動の繰り返しによって、図6に示すように、溶接部2の端面の凹凸が均されて整合が図られる。また、上述した局所的な溶融が溶接部2の端面全体に分布して、その端面全体が適度な溶融状態となる。すなわち、一次加圧が終了すると、後述する二次加圧にあたっての良好な溶接部2が得られる。
本実施形態で用いる溶接設備は、アークを発生させるためのリアクタンス回路が設けられていないアプセット溶接のための溶接設備であって、短絡させたまま抵抗発熱のみにより溶接部2を加熱する装置である。そのため、溶接に伴う汚染が生じない。また、加熱された溶接部2の温度は、フラッシュ溶接のような高温ではなく、1300℃程度以下であるため、脱炭による軟化が生じない。この温度は、例えばサーモグラフィで観察することにより確認される。
電力供給して溶接部2が加熱されたところで、油圧シリンダにより一方のクランプ3aを他方のクランプ3bに近接する方向に動作させることで、クランプ3a,3bを互いに近接方向に第2の加圧力で二次加圧する。第2の加圧力は、第1の加圧力よりも高い加圧力である。第2の加圧力は、例えば従来のアプセット溶接における二次加圧の加圧力と同等の加圧力であって、ここでは約2.3kNである。この第2の加圧力が、本発明にいう第2の加圧力の実施例である。このときの電流は、一次加圧のときの電流よりも小さく、例えば一次加圧のときの電流の3分の2以下である。この電流値は、例えば従来のアプセット溶接における電流値と同等の電流値であって、ここでは約4000Aである。
図7は、本発明の一実施形態であるアプセット溶接接合方法における二次加圧が終了した状態を示す模式図である。
二次加圧によって、棒材1a,1bにおける加熱された溶接部2が加圧力によって溶着(温間接合)するとともに、図7に示すように径方向に広がり、溶接部2の外径が拡大したコブ状増径部10a,10bが形成される。二次加圧によるアプセット量は、動作するクランプ3aの位置検出によって制御される。例えば、図示しないエンコーダにより一方のクランプ3aが目標位置まで移動したことが検出されると加圧を終了する。以上の工程を経て、図7に示すように、2本の棒材1a,1bが突き合わせ溶接される。
本実施形態は、棒材1a,1bを掴持するクランプ3a,3bを進退させる機構や、アークを発生させるためのリアクタンス回路が不要であって、従来より知られているアプセット溶接のための溶接設備を用いる溶接接合方法であるため、フラッシュ溶接に比して溶接設備が安価である。また、本実施形態では、上述したように、加熱された溶接部2の温度が、フラッシュ溶接のような高温ではなく、1300℃程度以下であって、短絡させたまま抵抗発熱のみにより溶接部2が加熱されるため、花咲き現象が生じず、整った形状のコブ状増径部10a,10bが形成される。また、本実施形態によれば、上述したように、一次加圧が終了した時点で、溶接部2の端面の凹凸が均されて整合が図られて二次加圧にあたっての良好な溶接部2が得られるとともに、局所的な溶融が溶接部2の端面全体に分布するため、溶接部2の端面形状や面積によることなく安定的かつ強固に溶接される。尚、溶接部2の端面が溶融状態となっていたことは、溶接後にコブ状増径部10a,10bを軸方向に沿って切断して組織を調べたときに、溶接部2に溶融を経た組織が観察されることで確認される。
ここで、従来より、突き合わせ溶接では、棒材1a,1bの、クランプ3a,3bで掴持した部分とコブ状増径部10a,10bとの間に、増径はしていないが溶接熱の影響により軟化した熱影響部11a,11bが形成されることが知られている。そして、その熱影響部11a,11bの幅によっては、軸方向引張力の作用を受けるとその熱影響部11a,11bで破断するおそれがある。
また、従来より、溶接後の棒材1a,1bに生じる軟化した熱影響部11a,11bの幅を狭くすることで、その熱影響部11a,11bの強度を母材(棒材1a,1b)並みの強度とする技術が知られている。図8を参照してこの技術について説明する。
図8は、2本の棒材を溶接した継手の軸方向引張強さと熱影響部の幅との関係を示すグラフである。このグラフの縦軸は継手の軸方向引張強さを示し、横軸は熱影響部の幅(mm)を示す。また、縦軸におけるσは母材強度を示す。尚、図8では、10mmの線径を有する棒材(母材)を用いた。
図8に示すように、溶接後の棒材に生じる軟化した熱影響部の幅が母材直径の0.2倍(図8に示す例では2mm)程度までは、その熱影響部の強度が母材強度並みの強度を有する。これは、低強度の熱影響部の塑性変形が高強度の母材部分で拘束されるためである。尚、この技術は、いわゆる「軟質継手理論」と称される技術であって、例えば『溶接学会、「溶接・接合技術」、初版第2刷、産報出版株式会社、1994年7月20日、p.267』に記載されている。尚、軟化した熱影響部の幅は、溶接後に熱影響部を含む領域を軸方向に沿って切断して硬さを測定することで確認される。
アプセット溶接において、クランプによって棒材を掴持する位置を従来よりも溶接部に近付けることで、溶接後の棒材に生じる軟化した熱影響部の幅を母材直径の0.2倍以下の幅とすることが可能である。しかしながら、従来のアプセット溶接では、その熱影響部の幅を母材直径の0.2倍以下の幅とするために、クランプによって棒材を掴持する位置を溶接部に近付けると、これに比例して、クランプによる抜熱が強化されることとなる。その結果、電力の供給による溶接部の加熱が妨げられ、加熱不足による不完全な接合となり、溶接部が母材に比べて低強度となるおそれがある。すなわち、このような不完全な接合が生じると、軸方向引張力を受けて溶接部で破断するいわゆる界合面破断のおそれがある。従って、従来のアプセット溶接では、クランプによって棒材を掴持する位置を溶接部に近付けることによって、溶接後の棒材に生じる軟化した熱影響部の幅を母材直径の0.2倍以下の幅とすることは困難であった。
以下、図7を参照して説明する。
本実施形態では、上述したように、一次加圧における第1の加圧力を、棒材1a,1bの溶接部2同士が接触する程度の加圧力とすることによって、溶接部2において最も突出した凸部同士の接触、局所的な溶融による切断、通電点の移動を繰り返させている。そして、一次加圧が終了した時点で、溶接部2の端面の凹凸が均されて整合が図られて二次加圧にあたっての良好な溶接部2が得られるとともに、局所的な溶融が溶接部2の端面全体に分布するため、溶接部2の端面形状や面積によることなく安定的かつ強固に溶接される。従って、本実施形態では、溶接後の棒材1a,1bに生じる軟化した熱影響部11a,11bの幅を母材(棒材1a,1b)直径の0.2倍以下の幅とする程度に、クランプ3a,3bによって棒材1a,1bを掴持する位置を溶接部2に近付けたとしても、溶接部2が十分に加熱される。
そのため、本実施形態では、溶接熱の影響により、溶接後の棒材1a,1bに生じる、軟化した熱影響部11a,11bの幅が、棒材1a,1bの直径の0.2倍以下となる位置を、2本の棒材1a,1bを掴持する位置としてクランプ3a,3bにより掴持することができる。このようにして掴持された棒材1a,1bが溶接されたものは、図8を参照して説明したように、熱影響部11a,11bの強度が母材(棒材1a,1b)強度並みの強度を有する。すなわち、軸方向引張力が作用して熱影響部11a,11bで破断することが回避され、母材(棒材1a,1b)で破断することとなる。
従って、軟化した熱影響部11a,11bが生じることに伴う、例えば合金成分を含有させるなどといった対策を施す必要がなく、母材(棒材1a,1b)自体の強度を考慮すればよいため、コストの削減を図ることができる。また、熱影響部11a,11bで破断することがないため、軸方向引張力が作用したときの伸びをコブ状増径部10a,10bを除いた全体で受け持つこととなり、良好な伸び値性能を得ることができる。
尚、上述した実施形態では、本発明にいう棒材が、15.9mmの線径を有する棒材である例を挙げて説明したが、本発明にいう棒材は、これに限られるものではなく、いかなる線径の棒材であってもよい。但し、15.9mmよりも細い線径を有する棒材の場合、第1,第2の加圧力は上述した実施形態に記載の加圧力よりも低い加圧力とし、15.9mmよりも太い線径を有する棒材の場合、第1,第2の加圧力は上述した実施形態に記載の加圧力よりも高い加圧力とする。
また、上述した実施形態では、本発明にいう第1の加圧力が、135Nである例を挙げて説明したが、本発明にいう第1の加圧力は、これに限られるものではなく、溶接部において最も突出した凸部同士の接触、局所的な溶融による切断、通電点の移動を、効率よく繰り返させることができる加圧力であればよく、500N以下の加圧力であることが好ましい。
また、上述した実施形態では、本発明にいうアプセット溶接電極を第2の加圧力で加圧するときにアプセット溶接電極に供給される電力よりも高い電力を、アプセット溶接電極を第1の加圧力で加圧するときにアプセット溶接電極に供給する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、本発明にいうアプセット溶接電極に供給される電力は例えば一定の電力であってもよい。
1a,1b 棒材
2 溶接部
21a,21b,22a,22b 凸部
3a,3b クランプ
10a,10b コブ状増径部
11a,11b 熱影響部

Claims (3)

  1. 一対の対向するアプセット溶接電極により、2本の棒材を該棒材の溶接部からそれぞれ離れた位置で掴持し、前記アプセット溶接電極を互いに近接方向に、前記2本の棒材の溶接部同士が接触する程度の第1の加圧力で加圧しながら、前記アプセット溶接電極に電力を供給して該溶接部を加熱し、その後、前記アプセット溶接電極に電力を供給しながら該アプセット溶接電極を互いに近接方向に、前記第1の加圧力よりも高い第2の加圧力で加圧して、前記2本の棒材を突き合わせ溶接することを特徴とするアプセット溶接接合方法。
  2. 前記第1の加圧力が、500N以下の加圧力であることを特徴とする請求項1記載のアプセット溶接接合方法。
  3. 前記アプセット溶接電極を前記第2の加圧力で加圧するときに該アプセット溶接電極に供給される電力よりも高い電力を、該アプセット溶接電極を前記第1の加圧力で加圧するときに該アプセット溶接電極に供給することを特徴とする請求項1または2記載のアプセット溶接接合方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016149341A (ja) * 2015-02-10 2016-08-18 日本特殊陶業株式会社 ヒータおよびヒータの製造方法
CN111299781A (zh) * 2019-11-01 2020-06-19 河钢股份有限公司承德分公司 一种钢筋焊接方法及钢筋焊接装置
CN111823002A (zh) * 2020-05-22 2020-10-27 河北秦合重科金属科技有限公司 一种钢筋用快速对焊装置

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