JP2013075157A - 電動ファン付き呼吸用保護具 - Google Patents
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Abstract
【課題】検知精度が経時低下しやすく、排気弁の経時劣化により検知精度が低下するという問題を解決することができる電動ファン付き呼吸用保護具の提供。
【解決手段】着用者の鼻孔と口許とを覆う面体と、フィルタが設けられた吸気口と、吸気口を通して外息を面体内に送り込む電動ファンと、排気口と、圧力測定部と、電動ファンの回転数を制御する制御部とを備える電動ファン付き呼吸用保護具であって、前記圧力測定部が、面体内の圧力変化に応じて変形する膜部材と、膜部材の動きに追従して変形する呼吸センサとを含んで構成され、前記制御部が、圧力測定部からの出力信号に応じて、電動ファンを制御することを特徴とする電動ファン付き呼吸用保護具。
【選択図】図1
【解決手段】着用者の鼻孔と口許とを覆う面体と、フィルタが設けられた吸気口と、吸気口を通して外息を面体内に送り込む電動ファンと、排気口と、圧力測定部と、電動ファンの回転数を制御する制御部とを備える電動ファン付き呼吸用保護具であって、前記圧力測定部が、面体内の圧力変化に応じて変形する膜部材と、膜部材の動きに追従して変形する呼吸センサとを含んで構成され、前記制御部が、圧力測定部からの出力信号に応じて、電動ファンを制御することを特徴とする電動ファン付き呼吸用保護具。
【選択図】図1
Description
本発明は、防塵・防毒などを目的として使用される全面形ないし半面形の電動ファン付き呼吸用保護具に関し、より詳細には、例えば、面体内の圧力変化に応じて電動ファンの動作を制御することができる電動ファン付き呼吸用保護具に関する。
人体に有害な粉塵が存在する環境下では、ユーザーは防塵マスクを装着し、フィルタで粉塵を除去した空気を呼吸する。フィルタは、浄化作用の大きいものほど通気抵抗が増大するのが通常であるところ、フィルタの通気抵抗の分だけ息苦しさを感じるという問題がある。また、通気抵抗によりマスク面体内が環境圧力と比べ陰圧になると、マスクと顔の間の隙間から、粉塵が侵入するという問題がある。そこで、抵抗の大きいフィルタを備える防塵マスクには、呼吸の補助を行うブロワー(電動ファン)が設けられている。
しかしながら、着用者の呼吸に連動せず常に一定量の送気を行うブロワーマスク装置は、フィルタが消耗しやすい、マスク内の圧力が高まり排気時(呼気時)の抵抗が大きくなる、電力消費量が多く駆動時間が短いなどの問題があった。そこで、着用者の呼吸に連動して吸気時にブロワーの送風量を増やす一方、排気時にはブロワーの送風量を減らすようにした呼吸連動型のブロワーマスク装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このブロワーマスク装置は、排気弁または吸気弁の動きを光学式センサで検知し、センサからの信号によってブロワーを制御し、排気時にはブロワーを停止・減速して、フィルタの消耗、排気抵抗および消費電力を抑えるようにしている。
しかしながら、光学式センサを採用した構成においては、センサの受光素子が太陽光などの外光を受光すると、排気弁の動きを正確に検知できなくなり、ブロワーの制御が不正確となるという問題がある。光学式センサに対して外光を遮断するためには、例えば排気弁カバーを長くしてその先端の排気口に対してセンサを遠ざけ、更に排気口を狭くして外光がセンサに届かないようにする必要があるが、このようにすると、マスクが嵩張り、排気口の開口面積が狭くなって排気抵抗が増すので、着用感が悪くなるなどの問題が生じる。
しかしながら、光学式センサを採用した構成においては、センサの受光素子が太陽光などの外光を受光すると、排気弁の動きを正確に検知できなくなり、ブロワーの制御が不正確となるという問題がある。光学式センサに対して外光を遮断するためには、例えば排気弁カバーを長くしてその先端の排気口に対してセンサを遠ざけ、更に排気口を狭くして外光がセンサに届かないようにする必要があるが、このようにすると、マスクが嵩張り、排気口の開口面積が狭くなって排気抵抗が増すので、着用感が悪くなるなどの問題が生じる。
特許文献2では、非光学式センサを排気弁に設けた呼吸連動型ブロワーマスクが提案されている。ここで、非光学式のセンサとしては、温度センサ、湿度センサ、炭酸ガスセンサ、酸素ガスセンサが例示されている。しかしながら、排気流路にセンサを設置すると、排気に含まれる微細な粉塵や湿気によりセンサが汚れ、検知精度が経時低下しやすいという問題がある。また、温度センサは、外気の温度が体温と同程度の環境下においては、機能しなくなるという問題がある。湿度センサについても、外気の湿度が人間の吐いた息と同程度の環境下においては、機能しなくなるという問題がある。ガスセンサは高価であり、回路構成が複雑で小型化が難しいという問題がある。
特許文献3では、面体に形成された開口を覆うダイアフラムと、ダイアフラムに取り付けられた磁石と、磁石に対峙して面体に取り付けられたホール素子とを有する呼吸モニター装置が提案されている。ホール素子は磁気センサなので、面体内の空気に含まれる微細な塵埃や水滴が付着しても、光センサに比べて検知精度は低下し難いようである。
特許文献1の装置は、光学式センサを用いるので、外光による誤動作等の問題がある。また、特許文献1および2の装置は、排気に含まれる微細な粉塵や湿気によりセンサが汚れ、検知精度が経時低下しやすく、排気弁の経時劣化により検知精度が低下するという問題がある。
特許文献3の装置は、センサ部が、面体内の空気に曝されるため、光センサほどではないにしろ精度の経時低下の問題がある。また、ダイアフラムとホール素子を用いる構造上、呼吸検知手段の小型化・軽量化には制約がある。
特許文献3の装置は、センサ部が、面体内の空気に曝されるため、光センサほどではないにしろ精度の経時低下の問題がある。また、ダイアフラムとホール素子を用いる構造上、呼吸検知手段の小型化・軽量化には制約がある。
本発明は、上記課題を解決することができる電動ファン付き呼吸用保護具を提供することを目的とする。
第1の発明は、着用者の鼻孔と口許とを覆う面体と、フィルタが設けられた吸気口と、吸気口を通して外息を面体内に送り込む電動ファンと、排気口と、圧力測定部と、電動ファンの回転数を制御する制御部とを備える電動ファン付き呼吸用保護具であって、前記圧力測定部が、面体内の圧力変化に応じて変形する膜部材と、膜部材の動きに追従して変形する呼吸センサとを含んで構成され、前記制御部が、圧力測定部からの出力信号に応じて、電動ファンを制御することを特徴とする電動ファン付き呼吸用保護具である。
第2の発明は、第1の発明において、呼吸センサが、ストレインゲージにより構成されることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、前記ストレインゲージが偶数枚からなり、熱により生じる電圧をキャンセルする機能を有することを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、呼吸センサが、圧電センサにより構成されことを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明において、前記圧電センサが、PVDFフィルムにより構成されることを特徴とする。
第6の発明は、第4または5の発明において、前記呼吸センサが、第1の素子(A)と、第1の素子(A)と実質的に同一形状かつ実質的に同一素子容量であり、第1の素子(A)と表裏反対に配置された第2の素子(B)と、を備え、第1および第2の素子に与えられた熱により生じる電圧をキャンセルする機能を有することを特徴とする。
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記膜部材が、振動吸収材料で構成された固定材を介して前記面体に固定されていることを特徴とする。
第8の発明は、第1ないし7のいずれかの発明において、前記呼吸センサが、膜部材の外方に配置されることを特徴とする。
第9の発明は、第1ないし8のいずれかの発明において、前記呼吸センサが、一端が膜部材に固定され、他端が固定部材に固定された長尺形状に構成されることを特徴とする。
第910の発明は、第1ないし9のいずれかの発明において、前記制御部が、排気時の電動ファンの回転数を吸気時と比べ低下させることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、呼吸センサが、ストレインゲージにより構成されることを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明において、前記ストレインゲージが偶数枚からなり、熱により生じる電圧をキャンセルする機能を有することを特徴とする。
第4の発明は、第1の発明において、呼吸センサが、圧電センサにより構成されことを特徴とする。
第5の発明は、第4の発明において、前記圧電センサが、PVDFフィルムにより構成されることを特徴とする。
第6の発明は、第4または5の発明において、前記呼吸センサが、第1の素子(A)と、第1の素子(A)と実質的に同一形状かつ実質的に同一素子容量であり、第1の素子(A)と表裏反対に配置された第2の素子(B)と、を備え、第1および第2の素子に与えられた熱により生じる電圧をキャンセルする機能を有することを特徴とする。
第7の発明は、第1ないし6のいずれかの発明において、前記膜部材が、振動吸収材料で構成された固定材を介して前記面体に固定されていることを特徴とする。
第8の発明は、第1ないし7のいずれかの発明において、前記呼吸センサが、膜部材の外方に配置されることを特徴とする。
第9の発明は、第1ないし8のいずれかの発明において、前記呼吸センサが、一端が膜部材に固定され、他端が固定部材に固定された長尺形状に構成されることを特徴とする。
第910の発明は、第1ないし9のいずれかの発明において、前記制御部が、排気時の電動ファンの回転数を吸気時と比べ低下させることを特徴とする。
本発明によれば、呼吸センサという新規な呼吸検知手段を備えた呼吸追従型電動ファン付き呼吸用保護具を提供することが可能となる。この新規な呼吸検知手段は、膜部材の動きに追従して変形する呼吸センサであるので、圧力測定部の小型化・軽量化が可能である。
さらには、呼吸センサが膜部材の外方に配置される構成においては、呼吸センサが面体内の空気に曝されないため、検知精度の経時低下が生じ難いという効果が奏される。
さらには、呼吸センサが膜部材の外方に配置される構成においては、呼吸センサが面体内の空気に曝されないため、検知精度の経時低下が生じ難いという効果が奏される。
本発明を実施するための形態を、電動ファン付き防塵マスクの例で説明する。
《構成》
図1に示すように、本発明の防塵マスク1は、面体2と、面体2の前部中央に設けられた電動ファンユニット3と、面体2の側方に対向して設けられた一対の排気口4と、圧力測定部5と、制御部6(図示せず)とを主要な構成要素とする。
図1に示すように、本発明の防塵マスク1は、面体2と、面体2の前部中央に設けられた電動ファンユニット3と、面体2の側方に対向して設けられた一対の排気口4と、圧力測定部5と、制御部6(図示せず)とを主要な構成要素とする。
面体2は、マスク着用者の顔面の鼻孔と口許とを覆うことが可能な大きさに形成されている。電動ファンユニット3は、羽根部材およびモータと、着脱自在に設けられた防塵用のフィルタ(濾過材)と、排気時に閉じ、吸気時に開く吸気用逆止弁とを備える。排気口4は、排気時に開き、吸気時に閉じる排気用逆止弁を備える。排気口4の数および位置は、図示のものに限定されず、例えば、電動ファンユニット3の上方または下方に1つ設けてもよい。
本実施形態に係る圧力測定部5は、膜部材51と、呼吸センサを構成する圧電センサ52と、面体2の内部空間と連通する通気路53と、固定部材54,55とを備える(図3参照)。膜部材51は呼吸に伴う面体内の圧力変化で変形する可撓性材料からなるシート、例えば、シリコンゴムシートであり、排気時に外方へ膨張し、吸気時に内方へ収縮するように張設されている。膜部材51を支持する固定部材54,55は、振動吸収材料で構成されており、例えば、ゴム等の弾性体、発泡スチロール等のセル(液体セルであってもよい)を含む軟質材を用いることができる。
圧電センサ52は、例えば、可撓性のあるシート状部材であり、膜部材51の動きに追従するように、一方の端部が膜部材51に固設され、他方の端部が固定部材55に固定されている。圧電センサ52は、着用者の呼吸による熱、湿気、粉塵等の影響を受けないよう、膜部材51の外方に配置することが好ましい。圧電センサ52に面体外の粉塵等が付着することを防ぐべく、圧電センサ52を通気が確保された保護部材(カバー)で覆うことが好ましい。
圧力測定部5の位置は、図示のものに限定されず、任意の場所に設置することができるが、着用者の呼吸による風が直接当たらない場所に設置するのが好ましい。また、圧力測定部5は、複数個設けてもよい。
圧電センサ52は、例えば、可撓性のあるシート状部材であり、膜部材51の動きに追従するように、一方の端部が膜部材51に固設され、他方の端部が固定部材55に固定されている。圧電センサ52は、着用者の呼吸による熱、湿気、粉塵等の影響を受けないよう、膜部材51の外方に配置することが好ましい。圧電センサ52に面体外の粉塵等が付着することを防ぐべく、圧電センサ52を通気が確保された保護部材(カバー)で覆うことが好ましい。
圧力測定部5の位置は、図示のものに限定されず、任意の場所に設置することができるが、着用者の呼吸による風が直接当たらない場所に設置するのが好ましい。また、圧力測定部5は、複数個設けてもよい。
圧電センサ52には、ピエゾ効果を示すものを用いることができ、PVDF(Polyvinylidene fluoride:ポリフッ化ビリニデン)やチタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などからなる圧電セラミックまたは圧電セラミック薄膜が例示される。また、Pb(Zr・Ti)O3、PbTiO3、(Pb,La)(ZR,Ti)O3等の無機圧電材料の微粉末を熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の高分子材料中に分散させたものを用いてもよい。好ましくは、軽量で柔軟性に富み、加工性がよいPVDFフィルムを用いる。PVDFは応答帯域がきわめて広く、固有の共振周波数を持ちにくいという特徴も有する。PVDFフィルムを、アルミ箔状の電極によりフィルムを挟んだサンドイッチ構造とし、この電極にリード線を導電性の接着剤等で接着して用いることができる。
制御部6は、着用者の呼吸により加えられた応力による歪みに応じて圧電センサ52が発生させた電圧信号に基づき着用者の呼吸状態を把握し、電動ファンを駆動するモータの回転数制御を行う。一定時間呼吸が無い場合には、電動ファンを停止させるようにしてもよい。制御部6(図示せず)は、防塵マスク1自体に設けてもよいが重量の観点からは、防塵マスク1とは別個に設けることが好ましい。例えば、ケーブル61に接続されるコンピュータが収納された箱状体とし、着用者の腰部に取り付けられるように構成する。
《作動》
図2(a)は、電動ファンが無い防塵マスクにおける面体内の圧力変化を示す図である。防塵マスクは、フィルタの通気抵抗によりマスク面体内が環境圧力と比べ陰圧になる傾向があるが、マスクと顔面に隙間があると面体内に粉塵が侵入する危険がある。そこで、面体内圧力が常に環境圧力と比べ陽圧になるように、電動ファンを設けることが好ましい。図2(b)は、連続稼動する電動ファンを設けた場合の面体内の圧力変化を示す図である。このように、電動ファン(制御なし)を設けることにより、呼気時と吸気時の圧力差を変えることなく、常に面体内圧力が環境圧力と比べ陽圧とすることが可能である。
図2(a)は、電動ファンが無い防塵マスクにおける面体内の圧力変化を示す図である。防塵マスクは、フィルタの通気抵抗によりマスク面体内が環境圧力と比べ陰圧になる傾向があるが、マスクと顔面に隙間があると面体内に粉塵が侵入する危険がある。そこで、面体内圧力が常に環境圧力と比べ陽圧になるように、電動ファンを設けることが好ましい。図2(b)は、連続稼動する電動ファンを設けた場合の面体内の圧力変化を示す図である。このように、電動ファン(制御なし)を設けることにより、呼気時と吸気時の圧力差を変えることなく、常に面体内圧力が環境圧力と比べ陽圧とすることが可能である。
しかしながら、上述したように、常に一定量の送気を行うと、マスク内の圧力が高まり排気時(呼気時)の抵抗が大きくなる、電力消費量が多く駆動時間が短いなどの問題がある。そこで、電動ファンの回転数を制御することにより、面体内の圧力を環境圧力より高い範囲内で低下させることにより、排気抵抗を減少させる。具体的には、吸気時にはモータが通常動作するように電力を供給し、排気時にはモータが停止或いは回転数が減少するように電力を供給することにより、排気抵抗を減少させる(図2(c)参照)。
図3(a)は、排気時(息を吐いた時)の圧力測定部5の状態を示す図である。固定部材54により固定された膜部材51は、通気路53の圧力が高まったのをうけ、外方(着用者と反対側)へ膨張変形した状態にある。圧電センサ52は、一方の端部が固定部材55に固定され、他方の端部が膜部材51に固定されており、この状態では僅かに外方へ反っている。
図3(b)は、吸気時(息を吸った時)の圧力測定部5の状態を示す図である。膜部材51は、通気路53の圧力が低下したのをうけ、内方(着用者側)へ引っ張られ陥没変形した状態にある。この状態では、圧電センサ52は、内方へ大きく湾曲している。なお、吸気により圧電センサ52に歪みが生じればよいので、膜部材51は必ずしも陥没変形する必要はなく、水平ないし緩やかなアーチ形状であってもよい。
このように、着用者の呼吸により、圧電センサ52が外方および内方に歪むことにより、歪みに応じた電荷が誘起される。図3とは逆に、圧電センサ52が、排気時に外方へ大きく反り、吸気時に水平ないし内方へ僅かに湾曲するように構成してもよい。また、フィルタの目詰まり等により、面体内圧が負圧になったことを圧電センサ52の出力の変化により検知した際には、通常時と比べ電動ファンの回転数を上げるような制御をしてもよい。
図3(b)は、吸気時(息を吸った時)の圧力測定部5の状態を示す図である。膜部材51は、通気路53の圧力が低下したのをうけ、内方(着用者側)へ引っ張られ陥没変形した状態にある。この状態では、圧電センサ52は、内方へ大きく湾曲している。なお、吸気により圧電センサ52に歪みが生じればよいので、膜部材51は必ずしも陥没変形する必要はなく、水平ないし緩やかなアーチ形状であってもよい。
このように、着用者の呼吸により、圧電センサ52が外方および内方に歪むことにより、歪みに応じた電荷が誘起される。図3とは逆に、圧電センサ52が、排気時に外方へ大きく反り、吸気時に水平ないし内方へ僅かに湾曲するように構成してもよい。また、フィルタの目詰まり等により、面体内圧が負圧になったことを圧電センサ52の出力の変化により検知した際には、通常時と比べ電動ファンの回転数を上げるような制御をしてもよい。
《温度キャンセル機能》
圧電センサ52は、温度変化により余分な電気出力が生じ、これがノイズ出力になるという問題がある。そこで、一対の圧電センサ52を並べて配置することにより、温度キャンセル機能を持たせるようにしてもよい。温度キャンセル機能は、圧電フィルムに熱を与えた際に、表面側が正に荷電し、各裏面側が負に荷電する現象を利用したものである。
圧電センサ52は、温度変化により余分な電気出力が生じ、これがノイズ出力になるという問題がある。そこで、一対の圧電センサ52を並べて配置することにより、温度キャンセル機能を持たせるようにしてもよい。温度キャンセル機能は、圧電フィルムに熱を与えた際に、表面側が正に荷電し、各裏面側が負に荷電する現象を利用したものである。
図4(ア)は、圧電フィルムAの表面と圧電フィルムBの裏面に、同時に温度変化を与え際に生じる電荷の状態を示す図である。図4(ア)から、並置された圧電フィルムA、Bに同じ方向から熱を付与した際には、各表面側が正に荷電し、各裏面側が負に荷電することが確認できる。
図4(イ)は、図4(ア)と同じ配置の圧電フィルムA、Bに同じ方向から同時に応力を与えた際に生じる電荷の状態を示す図である。図4(イ)から、圧電フィルムA、Bに応力が与えられた際には、圧電フィルムの表面側からか裏面側からかにかかわらず、応力が与えられた側の面が正に荷電し、その反対面が負に荷電することが確認できる。
図4(イ)は、図4(ア)と同じ配置の圧電フィルムA、Bに同じ方向から同時に応力を与えた際に生じる電荷の状態を示す図である。図4(イ)から、圧電フィルムA、Bに応力が与えられた際には、圧電フィルムの表面側からか裏面側からかにかかわらず、応力が与えられた側の面が正に荷電し、その反対面が負に荷電することが確認できる。
図5は、同一方向から印加された熱により生じる出力をキャンセルする回路構成を示す図である。図5の回路において、温度変化が生じた際の荷電状態を示したのが図6(ア)であり、応力が印加された際の荷電状態を示したのが図6(イ)である。図6(ア)に示すように、温度変化により生じた電荷については、圧電素子A、B間を移動するため出力が生じない。他方、図6(イ)に示すように、応力により生じた電荷については、導電線に接続された図示しない測定装置により出力が検出される。このように、圧力測定部5に、上面を表裏反対とする一対の圧電センサ52を並置することにより、温度変化をキャンセルし、呼吸により与えられた歪みのみを検出することが可能となる。
《ストレインゲージ》
呼吸センサを圧電センサ52に替えてストレインゲージ56により構成してもよい。この場合の構成は、図13のとおりとなる。
ストレインゲージは、ひずみを測定するための力学的センサであり、例えば、応力計測や、荷計にも用いられる。例えば、図14に示す如く、ベース材である樹脂フィルム上に貼着した金属箔に、並列に並ぶ直線部分であるグリッド部とグリッド部の折り返し部分であるエンドタブ部とを有するパターンをエッチング技術により形成して構成される。
ひずみゲージは、それ単独で用いるとひずみによる抵抗の変化は極めて小さいので、図15に示すホイートストンブリッジ回路に組み、抵抗の変化を電圧の変化に変換して測定する(E:ブリッジ電圧、E0:出力電圧)。この回路では、抵抗変化分に比例した出力電圧が得られるとともに、ひずみにも比例した出力電圧が得られる。この微小電圧を増幅器で拡大して、アナログ出力として得たり、ディジタル値として表示してひずみを測定することができる。
呼吸センサを圧電センサ52に替えてストレインゲージ56により構成してもよい。この場合の構成は、図13のとおりとなる。
ストレインゲージは、ひずみを測定するための力学的センサであり、例えば、応力計測や、荷計にも用いられる。例えば、図14に示す如く、ベース材である樹脂フィルム上に貼着した金属箔に、並列に並ぶ直線部分であるグリッド部とグリッド部の折り返し部分であるエンドタブ部とを有するパターンをエッチング技術により形成して構成される。
ひずみゲージは、それ単独で用いるとひずみによる抵抗の変化は極めて小さいので、図15に示すホイートストンブリッジ回路に組み、抵抗の変化を電圧の変化に変換して測定する(E:ブリッジ電圧、E0:出力電圧)。この回路では、抵抗変化分に比例した出力電圧が得られるとともに、ひずみにも比例した出力電圧が得られる。この微小電圧を増幅器で拡大して、アナログ出力として得たり、ディジタル値として表示してひずみを測定することができる。
また、ストレインゲージは非常にしなやかであるため、複数枚のストレインゲージにより呼吸センサを構成することもできる。例えば、2枚のストレインゲージ(図16参照)や4枚のストレインゲージ(図17参照)により呼吸センサを構成してもよい。複数枚のストレインゲージにより呼吸センサを構成すれば、出力を大きくとることができ、また、温度変化をキャンセルすることも可能である。ここで、ストレインゲージは、圧電フィルムと異なり裏表がない。温度の影響は測定するためのグリッド部から発生し、それをキャンセルするためにブリッジを構成する対角線でない辺(隣接する2辺)にそれぞれストレインゲージを配置するとブリッジ回路の特性から温度変化がキャンセルされる(図18参照)。なお、図17の構成は、ブリッジを構成する2組の隣接2辺にストレインゲージが配置されているので、温度キャンセル機能を有している。
以上に説明したストレインゲージは、圧電フィルムのように微分値ではなく絶対値が出力されるので、制御には有利である。このように、本発明の防塵マスクは、呼吸センサをストレインゲージにより構成しても実現することが可能である。
以上に説明したストレインゲージは、圧電フィルムのように微分値ではなく絶対値が出力されるので、制御には有利である。このように、本発明の防塵マスクは、呼吸センサをストレインゲージにより構成しても実現することが可能である。
以下では、本発明の詳細を実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されることはない。
実施例1の防塵マスクは、市販の防塵マスクの頬部に圧力測定部5を取り付け、電動ファン用モータと連動させる改良を施したものである(図1参照)。
圧力測定部5は、図3に示す如く構成され、膜部材51はシリコンゴムシート、圧電センサ52は、PVDFフィルムである。PVDFフィルムは、長手方向の歪に応じた信号を出力する方形状の圧電フィルムであり、東京センサー社の圧電フィルムを使用した。実施例1で使用した圧電フィルムの主な仕様は次のとおりである。
圧力測定部5は、図3に示す如く構成され、膜部材51はシリコンゴムシート、圧電センサ52は、PVDFフィルムである。PVDFフィルムは、長手方向の歪に応じた信号を出力する方形状の圧電フィルムであり、東京センサー社の圧電フィルムを使用した。実施例1で使用した圧電フィルムの主な仕様は次のとおりである。
型番:LDTC−100V
全体の厚さ:203μm
フィルムの厚さ:28μm
シート部寸法:6mm×12.8mm
電極部寸法:4.2mm×8mm
静電容量:0.244nF
全体の厚さ:203μm
フィルムの厚さ:28μm
シート部寸法:6mm×12.8mm
電極部寸法:4.2mm×8mm
静電容量:0.244nF
図7(a)は、電動ファンをOFFとした場合における呼吸による面体内の圧力変化の測定結果を示す図である。同図中、点線で囲んだ部分が吸気による電圧変化であり、実線で囲んだ部分が呼気による電圧変化である。
図7(b)は、電動ファンをONとした場合における呼吸による面体内の圧力変化の測定結果を示す図である。同図中、点線で囲んだ部分が吸気による電圧変化であり、実線で囲んだ部分が呼気による電圧変化である。同図では、電動ファンによるノイズ出力もみられるが、呼気状態、吸気状態を判別することは充分可能である。
このように、電動ファンのON/OFFにかかわらず、圧電センサ52からの出力により呼気状態、吸気状態を判別できるので、呼気状態または吸気状態の変化に応じて、電動ファン用モータを制御することが可能である。
図7(b)は、電動ファンをONとした場合における呼吸による面体内の圧力変化の測定結果を示す図である。同図中、点線で囲んだ部分が吸気による電圧変化であり、実線で囲んだ部分が呼気による電圧変化である。同図では、電動ファンによるノイズ出力もみられるが、呼気状態、吸気状態を判別することは充分可能である。
このように、電動ファンのON/OFFにかかわらず、圧電センサ52からの出力により呼気状態、吸気状態を判別できるので、呼気状態または吸気状態の変化に応じて、電動ファン用モータを制御することが可能である。
電動ファン用モータの制御は、吸気時にはモータが通常動作するように電力を供給し、排気時にはモータが停止或いは回転数が減少するように電力を供給することにより行う。モータの回転を完全に停止させると、再起動時の立ち上がり時間が必要となるため、モータの回転数を低下させることにより、面体内圧力を制御することが好ましい。本実施例では、直流モータの供給電圧を下げることにより電動ファンの回転数を制御した。
図8は、呼吸によるマスク内圧力の変化を示す図である。同図中、上の波形が電動ファンを制御せず連続稼動した際のもので、下の波形が電動ファンの回転数を制御した際のものである。同図から、電動ファンを制御することにより、制御しない場合と比べマスク内圧を低下させ、かつ、環境圧力よりも充分に高い範囲内(概ね10〜40Pa)でマスク内圧を制御することが可能であることを確認することができた。
実施例2の防塵マスクは、実施例1の防塵マスクにおいて、膜部材51を改良したものである。実施例1の防塵マスクにおいては、電動ファンによるノイズ抑制のためのプログラム制御が複雑になるという課題があった。そこで、実施例2では、膜部材51を積層構造とし、周囲の肉厚部でノイズを低減しつつ、中心の薄肉部で測定することで上記ノイズの問題を解決している。
実施例2では、3層のシリコンゴムシートからなる積層構造シートを準備し、ノイズ低減効果を確認した。
シートAは、0.1mm厚の第一膜部材(上層)と、0.1mm厚の第二膜部材(下層)と、0.1mm厚の第三膜部材(中層)とから構成される。第一膜部材(上層)および第二膜部材(下層)は、中心部分に直径10mmの穴が設けられている。シートAの中心を切断した場合の断面図を図10上図に示す。
シートBは、0.1mm厚の第一膜部材(上層)と、0.1mm厚の第二膜部材(下層)と、0.05mm厚の第三膜部材(中層)とから構成される。第一膜部材(上層)および第二膜部材(下層)は、中心部分に直径10mmの穴が設けられている。シートBの中心を切断した場合の断面図を図10中図に示す。
シートCは、0.05mm厚の第一膜部材(上層)と、0.05mm厚の第二膜部材(下層)と、0.05mm厚の第三膜部材(中層)とから構成される。第一膜部材(上層)および第二膜部材(下層)は、中心部分に直径10mmの穴が設けられている。シートCの中心を切断した場合の断面図を図10下図に示す。
シートAは、0.1mm厚の第一膜部材(上層)と、0.1mm厚の第二膜部材(下層)と、0.1mm厚の第三膜部材(中層)とから構成される。第一膜部材(上層)および第二膜部材(下層)は、中心部分に直径10mmの穴が設けられている。シートAの中心を切断した場合の断面図を図10上図に示す。
シートBは、0.1mm厚の第一膜部材(上層)と、0.1mm厚の第二膜部材(下層)と、0.05mm厚の第三膜部材(中層)とから構成される。第一膜部材(上層)および第二膜部材(下層)は、中心部分に直径10mmの穴が設けられている。シートBの中心を切断した場合の断面図を図10中図に示す。
シートCは、0.05mm厚の第一膜部材(上層)と、0.05mm厚の第二膜部材(下層)と、0.05mm厚の第三膜部材(中層)とから構成される。第一膜部材(上層)および第二膜部材(下層)は、中心部分に直径10mmの穴が設けられている。シートCの中心を切断した場合の断面図を図10下図に示す。
上記のシートA〜Cと、0.1mm厚のシリコンゴムシート1枚を膜部材51に用いた比較例1とを用いて、積層構造シートによるノイズ低減効果を確認した。
図11は、電動ファンをONとした状態で人の呼吸により生じる面体内の圧力変化の測定結果を示す図であり、(i)は比較例1の場合、(ii)は実施例2に係るシートAの場合、(iii)は実施例2に係るシートBの場合、(iii)は実施例2に係るシートCの場合である。
図12は、電動ファンをOFFとした状態で人の呼吸により生じる面体内の圧力変化の測定結果を示す図であり、(i)は比較例1の場合、(ii)は実施例2に係るシートAの場合、(iii)は実施例2に係るシートBの場合、(iii)は実施例2に係るシートCの場合である。
図11は、電動ファンをONとした状態で人の呼吸により生じる面体内の圧力変化の測定結果を示す図であり、(i)は比較例1の場合、(ii)は実施例2に係るシートAの場合、(iii)は実施例2に係るシートBの場合、(iii)は実施例2に係るシートCの場合である。
図12は、電動ファンをOFFとした状態で人の呼吸により生じる面体内の圧力変化の測定結果を示す図であり、(i)は比較例1の場合、(ii)は実施例2に係るシートAの場合、(iii)は実施例2に係るシートBの場合、(iii)は実施例2に係るシートCの場合である。
図11および図12の(i)を比較すると、比較例1では電動ファンによるノイズが生じていることが分かる。図11および図12の(ii)を比較すると、シートAでは、電動ファンOFFの状態ではかろうじて呼吸の有無を認識することができるものの、電動ファンONの状態では呼吸の有無を認識することができていないことが分かる。図11および図12の(iii)を比較すると、シートBでは、電動ファンのノイズを抑制できていることが確認できる。図11および図12の(iv)を比較すると、シートCでは、電動ファンのノイズを抑制できていることが確認できる。
なお、シートAとBとの比較から、シートAで呼吸を十分に検出できなかったのは、0.1mm厚の第三膜部材(中層)が厚すぎることが原因であると考えられる。このことから、第三膜部材(中層)の厚さを、例えば、0.3mm〜0.9mmの範囲で設定することが好ましいと考えられる。
なお、シートAとBとの比較から、シートAで呼吸を十分に検出できなかったのは、0.1mm厚の第三膜部材(中層)が厚すぎることが原因であると考えられる。このことから、第三膜部材(中層)の厚さを、例えば、0.3mm〜0.9mmの範囲で設定することが好ましいと考えられる。
1 防塵マスク
2 面体
3 電動ファンユニット(吸気口)
4 排気口
5 圧力測定部
6 制御部
51 膜部材
52 圧電センサ(呼吸センサ)
53 通気路
54,55 固定部材
56 ストレインゲージ(呼吸センサ)
61 ケーブル
2 面体
3 電動ファンユニット(吸気口)
4 排気口
5 圧力測定部
6 制御部
51 膜部材
52 圧電センサ(呼吸センサ)
53 通気路
54,55 固定部材
56 ストレインゲージ(呼吸センサ)
61 ケーブル
Claims (10)
- 着用者の鼻孔と口許とを覆う面体と、フィルタが設けられた吸気口と、吸気口を通して外息を面体内に送り込む電動ファンと、排気口と、圧力測定部と、電動ファンの回転数を制御する制御部とを備える電動ファン付き呼吸用保護具であって、
前記圧力測定部が、面体内の圧力変化に応じて変形する膜部材と、膜部材の動きに追従して変形する呼吸センサとを含んで構成され、
前記制御部が、圧力測定部からの出力信号に応じて、電動ファンを制御することを特徴とする電動ファン付き呼吸用保護具。 - 呼吸センサが、ストレインゲージにより構成されることを特徴とする請求項1の電動ファン付き呼吸用保護具。
- 前記ストレインゲージが偶数枚からなり、熱により生じる電圧をキャンセルする機能を有することを特徴とする請求項2の電動ファン付き呼吸用保護具。
- 呼吸センサが、圧電センサにより構成されことを特徴とする請求項1の電動ファン付き呼吸用保護具。
- 前記圧電センサが、PVDFフィルムにより構成されることを特徴とする請求項4の電動ファン付き呼吸用保護具。
- 前記呼吸センサが、第1の素子(A)と、第1の素子(A)と実質的に同一形状かつ実質的に同一素子容量であり、第1の素子(A)と表裏反対に配置された第2の素子(B)と、を備え、第1および第2の素子に与えられた熱により生じる電圧をキャンセルする機能を有することを特徴とする請求項4または5の電動ファン付き呼吸用保護具。
- 前記膜部材が、振動吸収材料で構成された固定材を介して前記面体に固定されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの電動ファン付き呼吸用保護具。
- 前記呼吸センサが、膜部材の外方に配置されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの電動ファン付き呼吸用保護具。
- 前記呼吸センサが、一端が膜部材に固定され、他端が固定部材に固定された長尺形状に構成されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの電動ファン付き呼吸用保護具。
- 前記制御部が、排気時の電動ファンの回転数を吸気時と比べ低下させることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかの電動ファン付き呼吸用保護具。
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