JP2013072940A - 光学シート、面光源装置及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明基材と、当該透明基材の一面側に設けられ、当該透明基材とは反対側の面に複数の単位凹凸構造を備える凹凸形状を有する光学機能発現部とを備える光学シートであって、当該光学機能発現部が、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物からなり、該光学機能発現部の表面を原子間力顕微鏡で観察した場合に平均直径0.1〜2μm及び平均高さ1nm〜100nmの隆起状構造を呈していることを特徴とする、光学シート。
【選択図】図1
Description
このような光学シートとしては、例えば、液晶表示装置等のバックライトに用いられるプリズムシート、立体写真や投影スクリーン等に用いられるレンチキュラーレンズシート、オーバーヘッドプロジェクターのコンデンサーレンズ等に用いられるフレネルレンズシート及びカラーフィルタ等に用いられる回折格子等を挙げることができる。
なお、エッジライト型の面光源装置は、通常、アクリル樹脂等の透明な板状導光体の一側端面から光源光を入射し、液晶セル側の出光面から光を出射するように構成された装置である。一方、直下型の面光源装置は、光源を挟んだ態様で液晶セルと反射板とを配置してなり、通常、光源からの光を反射板によって液晶セル側に反射させるように構成された装置である。
しかしながら、上記プリズム部の有する復元性は、当該プリズム部に加わる外力による変形の問題を解消するのには十分なものではなかった。また、復元性を付与した分、プリズム部の欠けが生じ易くなり、復元性と耐傷付き性とが両立し無いものであった。
本発明者らが鋭意検討した結果、ある特定の硬化状態を有する(メタ)アクリル系樹脂の硬化物が耐傷付き性と復元性を高次元で達成できることを見出した。
当該光学機能発現部が、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
該光学機能発現部の表面を原子間力顕微鏡で観察した場合に平均直径0.1〜2μm及び平均高さ1nm〜100nmの隆起状構造を呈していることを特徴とする。
当該光学シートを備える面光源装置は、光学シートの光学機能発現部が導光板等の部材と接触しても、単位凹凸構造の頂部に欠け、山潰れ及び変形が生じ難い。
当該光学シートを備える液晶表示装置は、光学シートの単位凹凸構造の頂部に欠け、山潰れ及び変形が生じ難いため、白点(白模様)等の表示ムラを生じ難く、外観に優れる。
本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
なお、フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、THF溶剤におけるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
本発明において、固形分とは、組成物から溶剤を除いた部分を意味する。
本発明に係る光学シートは、透明基材と、当該透明基材の一面側に設けられ、当該透明基材とは反対側の面に複数の単位凹凸構造を備える凹凸形状を有する光学機能発現部とを備える光学シートであって、
当該光学機能発現部が、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
該光学機能発現部の表面を原子間力顕微鏡で観察した場合に平均直径0.1〜2μm及び平均高さ1nm〜100nmの隆起状構造を呈していることを特徴とする。
上記光学機能発現部の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した場合に平均直径0.1〜2μm及び平均高さ1nm〜100nmの隆起状構造を呈していない場合、凹凸形状の復元性及び/又は耐傷付き性が不足している、或いは、両者のバランスがとれておらず、光学シートを装置に組み込む作業時や、2P法で製造する時に光学シートを巻き取った後で巻き出した時に応力が加わると、変形、欠け又は山潰れの発生を十分に抑えることができない。そのような光学シートを製品として使用すると、歩留まりが悪くなる。
本発明に係る光学シートの層構成について図面を用いて説明するが、以下においてはプリズムシートを例に説明する。尚、図1以下の図面では、説明の便宜上、縦横の寸法比及び各層間の寸法比は適宜、実寸とは変えて誇張して図示してある。
透明基材10は、光学シート1の基材であり、特に限定されず、従来公知の光学シートに用いられている透明基材を用いることができる。透明基材は、所望の透明性、機械的強度等の要求適性を勘案の上、材料及び厚さを適宜選択すればよい。透明基材は、樹脂基材であっても良いし、硝子基材であっても良い。
透明フィルムの樹脂材料としては、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂及びシクロオレフィンコポリマー(COC)樹脂等を例示することができる。
透明基材の光透過率としては、ディスプレイの前面設置用としては、100%が理想であり、透過率85%以上であることが好ましい。
透明基材は、必要に応じて、その表面に従来公知のマット処理(光拡散性の微小凹凸の形成)、帯電防止処理又は反射防止処理等が施されたものであっても良い。また、透明樹脂と基材の間にマット処理、帯電防止処理又は反射防止処理等が施されたものであっても良いし、これらを自由に組合せて用いても良い。
光学機能発現部20は、少なくともアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、透明基材10とは反対側の面に複数の単位凹凸構造30を備える凹凸形状を有する。該光学機能発現部の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した場合に平均直径0.1〜2μm及び平均高さ1nm〜100nmの隆起状構造を呈している。このように、光学機能発現部が上記隆起状構造を呈している硬化状態であると、光学機能発現部の凹凸形状は優れた復元性と耐傷付き性を両立できる硬化状態であり、そのため、本発明の光学シートを装置に組み込む作業時や、2P法で製造する場合に本発明の光学シートを巻き取った後で巻き出した時に応力が加わっても、一時的に変形するだけで光学機能発現部の凹凸形状が損なわれ難く、応力から解放されると凹凸形状が回復し、所望の形状を維持することが可能で、且つ、耐傷付き性にも優れる。
上記サイズから分かるように、本発明の隆起状構造は、非常に微細で直径に比べて高さの値が低く、巨視的にみるとほぼ平坦に見える。また、平面上から見た時には直感的に粒子状構造とも見える。
上記観察に用いられる原子間力顕微鏡(AFM)としては、Bruker AXS製のNanoscope(商品名)などが例示できる。平均直径は、ラインプロファイルより一つ一つの粒子直径を直接読み取り、平均をとることにより求めることができる。平均高さは、粒子直径のラインプロファイルから、高さの最大値を高さの最小値で引いた値を一つ一つの粒子について読み取り、平均をとることにより求めることができる。
尚、積算照射量とは、照度に照射時間を乗じた値(mJ/cm2)である。
硬度が上記下限を下回る場合には、凹凸形状が外圧に対して弱く、上記上限を越える場合には、凹凸形状の外圧に対して強靭性を有するが復元性が乏しくなってしまう。
尚、上記硬度の測定は、積算照射量100mJ/cm2未満の範囲においては、樹脂組成物が十分に硬化されていないため、凹凸形状が不安定で成立しない。
本発明に係る光学シートは、上記範囲の復元率を有する場合に、他部材との接触やシートの巻きによる応力が加わると一時的に変形し、応力から開放されると、弾性復元力により元の形状に復元し、永久歪み(変形)が生じることは無い。復元率が上記下限を下回る場合には、凹凸形状の外圧に対する復元性が乏しく、凹凸形状が傷つき易い、又は変形したままになってしまう。
本発明の凹凸形状の復元率は、積算照射量100mJ/cm2以上の範囲においては積算照射量が大きくなるに従い、復元率は徐々に低くなる傾向がある。上記下限を下回る場合には、樹脂組成物が十分に硬化されていないため、凹凸形状が不安定で上記復元率の測定が成立しない。
例えば、プリズムシートとしての光学機能発現部の凹凸形状の具体的な形状(構造)としては、三角柱(図2参照)、四角柱、五角柱等の角柱状の単位プリズム(単位凹凸構造)をその稜線方向(延在方向)と直交する方向に多数配列したもの(プリズム線状配列)が挙げられる。上述したような角柱状の単位プリズムの場合、光学機能発現部の厚さTは、その稜線方向で均一であっても良いし、均一でなくとも良い。例えば、周縁部に近いほど高く、中央部に近いほど低いというように稜線方向で異なっていても良い。
透明基材の平面の法線方向(以下、単に「厚さ方向」という。)における単位プリズムの断面の形状は図2のように二等辺三角形としても良いし、図示しないが不等辺三角形としても良い。
厚さ方向の断面における三角形の単位プリズムの頂角の値は、図2のように90°でも良いし、それ以外の角度であっても良く、40〜120°の範囲で調節することができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、単に「組成物」ということがある。)は、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を含み、活性エネルギー線の照射により硬化して光学機能発現部を形成する。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を組成物の全固形分質量に対して少なくとも50質量%含むものとする。
なお、本発明において「活性エネルギー線」とは、可視光線並びに紫外線及びX線等の非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線及びα線のような粒子線を総称する、活性エネルギー線硬化性基を有する分子に架橋反応乃至重合反応を生じせしめるに足るエネルギー量子を持った放射線が含まれる。活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。
上記セグメントとして、単官能、すなわち活性エネルギー線硬化性基を1個有する(メタ)アクリル系化合物の繰り返し単位からなる重合構造のセグメント、及び、多官能、すなわち活性エネルギー線硬化性基を2個有する(メタ)アクリル系化合物の繰り返し単位からなる重合構造のセグメントを含むことができる。
カプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレートの繰り返し単位としては、一般式(I)を例示することができる。
中でも、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
上記単官能のセグメントは1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記多官能のセグメントは1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明に係る光学シートにおいては、図3に示したように、必要に応じて光拡散機能を付与するために光拡散層40を設けても良い。
光拡散層は、好ましく設けられる任意の層であって、光を拡散させる作用があればよく、一般的な光拡散シートに形成されているものを用いることができる。
例えば、光拡散性微粒子が透光性樹脂中に分散した層を適用できる。光拡散層は、図3のように透明基材10の光学機能発現部20とは反対側の面に設けられていても良いし、図示しないが透明基材と光学機能発現部の間に設けられていても良い。
また、光拡散性微粒子としては、一般的に光拡散シートに用いられる光拡散性の微粒子が用いられ、例えば、ポリメタクリル酸メチル(アクリル)系ビーズ、ポリメタクリル酸ブチル系ビーズ、ポリカーボネート系ビーズ、ポリウレタン系ビーズ、炭酸カルシウム系ビーズ及びシリカ系ビーズ等が挙げられる。
なお、光拡散層の厚さは、通常、1〜20μmである。
本発明の光学シートの製造方法は、上述したアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用い、該樹脂組成物の硬化時に後述する照射条件を採用する以外は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、上述したアクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製し、所望の単位凹凸形状の型に該組成物を充填し、そこに透明基材を重ね、ラミネーター等を用いて透明基材をその組成物に圧着し、紫外線等で組成物を硬化させ、単位凹凸形状を形成する。次いで、単位凹凸形状の型を剥離乃至除去することで、透明基材上に所望の凹凸形状を有する光学機能発現部を備える光学シートが得られる。
量産性を向上させるためには、輪転式2P法でロールにプリズムシートを巻き取って光学シートを製造することが好ましい。
100mJ/cm2〜10000mJ/cm2であることが好ましく、更に200mJ/cm2〜2000mJ/cm2であることが本発明の隆起状構造を有する光学シートを得られる観点から好ましい。積算照射量の下限を下回る場合には、樹脂組成物が十分に硬化せず、上限を越える場合には硬化が過剰になり、硬度は高くなるが、復元性が低減してしまう。
照射装置としては、超高圧水銀ランプ(HOYA−SCHOTT製;商品名:UV LIGHT SOURCE EX250;光源:250W)等を用いることができる。
本発明に係る光学シートは、例えば、液晶表示装置等のバックライトに用いられるプリズムシート、プロジェクションテレビ等の投影スクリーンに用いられるフレネルレンズシートやレンチキュラーシート等に用いることができる。本発明に係る光学シートはこれらのいずれにおいても好適に用いることができるが、中でも液晶表示装置用バックライトのプリズムシートとして好適に用いることができる。
本発明に係る面光源装置は、各種の仕様(形態)のものが使用でき、特に制限は無い。従来公知の、いわゆる、エッジライト型面光源装置、直下型面光源装置、EL(電場発光)型面光源装置等の形態の面光源の光放出面側に上記の本発明の光学シートを載置して本発明の面光源装置が構成される。ここでは、エッジライト型面光源装置の形態を例にとり、詳述する。本発明に係るエッジライト型面光源装置は、面光源の光放出面側に上記光学シートを備えることを特徴とする。
図5は、本発明に係る光学シートを備える面光源装置の一例を示した模式的な斜視図である。図5の面光源装置50は、導光板60の光放出面61側に、光放出面61側から光拡散層40、透明基材10及び光学機能発現部20が設けられている。尚、図5の面光源装置50はエッジライト型の面光源装置であり、その導光板60の少なくとも一つの側端面62に設けられた光源70から光が導光板60内に入射され、光放出面61から光が放出される。
導光板の厚さは通常1〜10mmであり、その厚さは全範囲で一定であっても良いし、図5に示すように、一端側に光源70を設ける場合は、光源70を設ける側端面62側が最も厚く、側端面62の反対側ほどに徐々に薄くなるテーパ形状であっても良い。導光板には、光放出面から光を放出させるために、その内部又は表面に光散乱機能が付加されていることが好ましい。
単位凹凸構造の頂角が80度未満の場合は、図示しないが図5の場合とは逆に、光学シート1の光学機能発現部20側が導光板60側に対峙する向きで配置される。
光反射板は、薄い金属板にアルミニウム等を蒸着したもの、又は、白色の発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)等が用いられる。
本発明に係る面光源装置によれば、上記本発明に係る光学シートを備えるため、光学シートの光学機能発現部が導光板等の部材と接触しても、単位凹凸構造の頂部に欠け、山潰れ及び変形が生じ難い。
本発明に係る液晶表示装置は、液晶セルの一面側に上記光学シートを備えることを特徴とする。本発明において液晶セルとは、液晶化合物をガラス板等の2枚の透明板の間に封入したモジュールをいい、偏光板又はカラーフィルタ等のその他の部材が含まれたモジュールであっても良い。
・ビスフェノールAジグリシジルアクリレート(日油株式会社製;商品名:ブレンマーG):40質量部
・カプロラクトン変性ウレタンアクリレート(BASFジャパン製;商品名:ε−Caprolacton Urethane Acrylates):10質量部
・ビフェニリロキシエチルアクリレート(大阪有機化学株式会社製;商品名:V#193):8質量部
EO変性ビフェニリロキシエチルアクリレート(大阪有機化学株式会社製;商品名:V#193‘):7質量部
・ビスフェノールAエポキシアクリレート(新中村化学株式会社製;商品名:A−B1206PE ;分子量500):5質量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学株式会社製;商品名:A−400):20質量部
・トリレンジイソシアネート(日化トレーディング株式会社製;商品名:TDI):5質量部
・光開始剤(ビスアシルフォスフィンオキサイド;チバスペシャリティーケミカルズ社製;商品名:イルガキュア819):3質量部
・N−ジオクチルメチルアミン(メルク株式会社 製;商品名:820790):1質量部
・リン酸エステル系離型剤(SC有機化学(株)製;商品名Chelex H−18D):0.1質量部
・フェノキシエチルアクリレート(サートマー社製;商品名:SR339A):18.9質量部
・イソボルニルアクリレート(ダイセル社製;商品名:UBOA):8質量部
・ビスフェノールAジアクリレート(EO4モル変性;一般式(2)においてm=n=2、かつ、R1及びR3が全て水素原子;共栄社化学(株)製;商品名:ライトアクリレート BP−4EA):12質量部
・ビスフェノールAエポキシジアクリレート(共栄社化学(株)製;商品名:FLEA−POA;全質量に対するビスフェノールAエポキシジアクリレートの含有量49質量%;フェノキシエチルアクリレートの含有量51質量%;重量平均分子量2000):16.1質量部
・イソシアヌル酸トリアクリレート(EO3モル変性;東亞合成(株)製;商品名:アロニックス M−315):13質量部
・4−アクリロイルモルホリン(東京化成工業株式会社製;商品名:4−Acryloylmorpholine):5質量部
・1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン(株)製;商品名:イルガキュア184):3質量部
・リン酸エステル系離型剤(SC有機化学(株)製;商品名Chelex H−18D):0.05質量部
<隆起状構造の測定>
上記調製した組成物1を、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東洋紡績(株)製の商品名A4300)に塗布し、超高圧水銀ランプ(HOYA−SCHOTT製;商品名:UV LIGHT SOURCE EX250;光源:250W)を用い、170mJ/cm2で組成物1に対して紫外線照射を行い、硬化させた後、長さ10mm、幅10mmに切断し、試験片を作製した。
上記試験片を原子間力顕微鏡(Bruker AXS製;商品名:Nanoscope V)で観察し、隆起状構造がある場合には、それらの直径及び高さを測定し平均値、単位面積あたりの個数を得た。その測定結果を表2に示す。
上記試験片において、ISO14577−1に準拠して、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の微小硬さ試験機(商品名PICODENTOR HM500、圧子はダイヤモンド製の四角錐型、対面角90°)を用いて、押し込み荷重を変化させて押し込み深さを測定し、最大押し込み時の荷重(N)を圧子と試料の接触面積(mm2)で除した値を硬度とした。その測定結果を表2に示す。なお、測定は押し込み深さを制御するモードでおこない、条件は深さ1μmに5秒で圧子先端が到達する設定とした。
上記試験片において、ISO14577−1に準拠して、(株)フィッシャー・インストルメンツ製の微小硬さ試験機(商品名PICODENTOR HM500、圧子はダイヤモンド製の四角錐型、対面角90°)を用いて、押し込み荷重を変化させて押し込み深さを測定し、最大押し込み深さに達したところで除荷した後の押し込み深さを測定し、最大押し込み深さと除荷した後の押し込み深さの差(弾性変形)を、最大押し込み深さ(全体変形)で除した値を復元率とした。その測定結果を表2に示す。なお、測定は押し込み深さを制御するモードでおこない、条件は深さ1μmに5秒で圧子先端が到達し、最大押し込み深さに達した後、5秒間かけて除荷する設定とした。
図2に示すような単位プリズムの線状配列の凹凸形状が形成されたプリズム型に上記調製した組成物1を滴下した後、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東洋紡績(株)製の商品名A4300)を重ね、ラミネーターで当該PET基材全面を組成物1に圧着した。
ここで、単位プリズムの形状は、厚さ方向の断面における形状が高さ25μm、底辺50μm、頂角90℃となる二等辺三角形の三角柱形状とした。そして、光学機能発現部は、各単位プリズムの稜線が互いに平衡になるように複数の単位プリズムを配列周期50μmで当該稜線と直交する方向に多数隣接して配列しているものであった。
(評価方法)
図7は、本発明における復元性及び耐傷付き性の評価方法を模式的に示した概略図であり、図7に示すように、耐摩耗試験機の可動盤110上に試験片である光学シート1を透明基材側が可動盤側に位置するように設定し、当該試験片上に面積12cm2の偏光フィルム120を介して荷重部130に2.45N(250gf)の荷重をかけた。そして、可動盤110を速度5mm/sで20秒間、図7の矢印140方向に移動させた時の光学機能発現部の頂部の状態を目視及び顕微鏡観察により評価した。
測定装置は、テスター産業(株)製の商品名AB−301 学振型摩擦堅牢度試験機を用いた。
偏光フィルムは、面積12cm2の大日本印刷(株)製の商品名H25を用い、マット層側を試験片に向けて配置した。
顕微鏡は、(株)キーエンス社製の商品名デジタルマイクロスコープ VHX−200Nを用いた。
尚、荷重部の底面は外径20mm、内径10mmのドーナツ状であり、底面積は2.36cm2である。
・評価5:顕微鏡観察で形状の変形が確認されなかった。
・評価4:顕微鏡観察で形状の変形が確認されたが、バックライト上で目視では確認されなかった。
・評価3:バックライト上で目視で形状の変形が確認されたが、室温(25℃)で10分以内に元の形状に復元した。
・評価2:バックライト上で目視で形状の変形が確認され、室温(25℃)で10分以内に元の形状に復元しなかったが、35℃に加熱した場合、5分以内に元の形状に復元した。
・評価1:バックライト上で目視で形状の変形が確認され、35℃で加熱しても5分以内に元の形状に復元しなかったが、80℃で1分加熱した場合、元の形状に復元した。
・評価5:顕微鏡観察で傷が確認されなかった。
・評価4:顕微鏡観察で傷が1本確認されたが、バックライト上で目視では傷が確認されなかった。
・評価3:バックライト上で目視により傷が2〜3本確認された。
・評価2:バックライト上で目視により傷(スジ)が多数確認された。
・評価1:バックライト上で目視によりプリズム表面全面に削れた後が確認された。
なお、復元性評価及び耐傷付き性評価において、顕微鏡観察は、顕微鏡の倍率を100〜1000倍の範囲内で適宜調節して行った。
復元性評価3及び耐傷付き性評価3とは、例えば、図8の(c)に示すように光学機能発現部20の単位凹凸構造30の頂部に、偏光フィルム120の幅Lの凹み(変形)と、偏光フィルム120の幅Lよりも小さい幅lが形成された後、室温(25℃)で10分以内に、図8の(d)に示すように凹凸形状が元の形状に復元するが、凹凸構造の頂部近傍の表面に復元せずに残った傷が2〜3本形成され、当該傷がバックライト上で目視により確認された場合をいう。
実施例2〜4は、実施例1において、積算照射量を表2のように代えた以外は実施例1と同様に行い、測定及び評価を行った。
また、比較例1〜4は、実施例1において、組成物1を組成物2に変更し、積算照射量を表2のように代えた以外は実施例1と同様に行い、測定及び評価を行った。
図9に本発明の実施例における積算照射量に対する隆起状構造の個数、反応率、復元率及び硬度をプロットしたグラフを示す。また、図10に、本発明の比較例における積算照射量に対する隆起状構造の個数、反応率、復元率及び硬度をプロットしたグラフを示す。
表2、図9及び図10を参照して総合的に言えることは、実施例と比較例は、反応の進み方が全く異なるということである。したがって、図9と図10を比較すると、実施例と比較例とで反応率の推移が全く異なる。
また、図9を参照すると、実施例においては、ある程度の硬度を有するが高靭性ではなく、復元率は積算照射量が増加するに従い緩やか減少してはいるが、比較例と比べると高い。ここから、実施例は耐傷付き性と復元性のバランスがとれていると言うことができる。このことは、表2に示された復元性及び耐傷付き性の評価結果の高さからも理解することができる。
図10を参照すると、比較例においては、積算照射量が増加するに従い硬度は急激に高くなるが復元率は伸びず、実施例と比べると復元率は低い。ここから、比較例は復元性と耐傷付き性のバランスが悪いと言うことができる。このことは、表2に示された復元性及び耐傷付き性の評価結果の低さからも理解することができる。
2 隆起状構造
10 透明基材
20 光学機能発現部
30 単位凹凸構造
40 光拡散層
50 面光源装置
60 導光板
61 光放出面
62 側端面
70 光源
80 光反射板
90 液晶表示装置
100 液晶セル
100 液晶セル
110 可動盤
120 偏光フィルム
130 荷重部
140 移動方法
150 傷
Claims (7)
- 透明基材と、当該透明基材の一面側に設けられ、当該透明基材とは反対側の面に複数の単位凹凸構造を備える凹凸形状を有する光学機能発現部とを備える光学シートであって、
当該光学機能発現部が、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
該光学機能発現部の表面を原子間力顕微鏡で観察した場合に平均直径0.1〜2μm及び平均高さ1nm〜100nmの隆起状構造を呈していることを特徴とする、光学シート。 - 前記アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂が、カプロラクトン変性ウレタン(メタ)アクリレートの繰り返し単位からなる重合構造のセグメントを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学シート。
- 前記アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂が、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群より選択される繰り返し単位からなる重合構造のセグメントを少なくとも一種、更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の光学シート。
- 前記隆起状構造の個数が5〜100個/400μm2であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学シート。
- 前記光学機能発現部が単位凹凸構造としてプリズム及び/又はマイクロレンズを含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学シート。
- 面光源の光放出面側に請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学シートを備えることを特徴とする、面光源装置。
- 液晶セルの一面側に請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学シートを備えることを特徴とする、液晶表示装置。
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