JP2013070528A - モータ装置、制御プロファイル生成方法、制御プロファイル生成装置、及びロボット装置 - Google Patents

モータ装置、制御プロファイル生成方法、制御プロファイル生成装置、及びロボット装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回転子を高精度に制御する。
【解決手段】回転子と、回転子の少なくとも一部に掛けられる伝達部と、伝達部に接続され、伝達部を移動させる駆動部と、回転子と伝達部との間を回転力伝達状態にして前記伝達部を移動させる駆動動作と、回転子と伝達部との間を回転力非伝達状態にして伝達部を所定の位置に戻す復帰動作とを駆動部に行わせる制御部とを備え、駆動動作を行う駆動期間は、少なくとも初期駆動期間及び主駆動期間を含み、制御部は、初期駆動期間における初期駆動動作と主駆動期間における主駆動動作とを前記駆動部に行わせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、モータ装置、制御プロファイル生成方法、制御プロファイル生成装置、及びロボット装置に関する。
旋回系機械を駆動させるアクチュエータとして、例えばモータ装置が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。このようなモータ装置としては、例えば電動モータや超音波モータなどが広く知られている。近年では、ヒューマノイドロボットの関節部分など、より精密な部分を駆動させるモータ装置が求められており、電動モータや超音波モータなどの既存のモータ装置においてもトルクの制御性等、細密で高精度な駆動を行うことができる構成が求められている。
特開平2−311237号公報
しかしながら、上述のようなモータ装置は、旋回系機械などの被駆動部の駆動に必要なトルクを発生させるために回転子に減速機を取り付けることがある。この場合、モータ装置は、減速機のバックラッシュにより、回転子を高精度に駆動ができないことがある。すなわち、上述のようなモータ装置は、被駆動部の駆動に必要なトルクを発生させつつ高精度に制御することができないという問題がある。
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、駆動部を高精度に制御することができるモータ装置、制御プロファイル生成方法、制御プロファイル生成装置、及びロボット装置を提供することにある。
本発明の一実施形態は、回転子と、前記回転子の少なくとも一部に掛けられる伝達部と、前記伝達部に接続され、前記伝達部を移動させる駆動部と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力伝達状態にして前記伝達部を移動させる駆動動作と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力非伝達状態にして前記伝達部を所定の位置に戻す復帰動作とを前記駆動部に行わせる制御部とを備え、前記駆動動作を行う駆動期間は、少なくとも初期駆動期間及び主駆動期間を含み、前記制御部は、前記初期駆動期間における初期駆動動作と前記主駆動期間における主駆動動作とを前記駆動部に行わせることを特徴とするモータ装置である。また、本発明の一実施形態は、回転子と、前記回転子の少なくとも一部に掛けられる伝達部と、前記回転子に生じた駆動トルクの少なくとも一部を前記伝達部に受け渡しさせる初期駆動動作と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力伝達状態にして前記伝達部を移動させる主駆動動作と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力非伝達状態にして前記伝達部を所定の位置に戻す復帰動作とを前記駆動部に行わせる制御部とを備えることを特徴とするモータ装置である。
また、本発明の一実施形態は、回転子と前記回転子の少なくとも一部に掛けられる伝達部との間を回転力伝達状態として前記伝達部を移動させる駆動動作と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力非伝達状態として前記伝達部を所定の位置に戻す復帰動作とを前記駆動部に行わせるための制御プロファイルの生成方法であって、前記駆動動作を行う駆動期間は少なくとも初期駆動期間及び主駆動期間を含み、前記初期駆動期間における初期駆動動作と前記主駆動期間における主駆動動作とを前記駆動部に行わせる前記制御プロファイルを生成する制御プロファイル生成ステップを有することを特徴とする制御プロファイルの生成方法である。
また、本発明の一実施形態は、上記の制御プロファイルの生成方法によって生成された前記制御プロファイルに基づいて前記駆動部を駆動させる制御部を備えることを特徴とするモータ装置である。
また、本発明の一実施形態は、上記の制御プロファイル生成方法によって前記制御プロファイルを生成することを特徴とするモータ制御プロファイル生成装置である。
また、本発明の一実施形態は、上記のモータ装置を備えることを特徴とするロボット装置である。
本発明によれば、駆動部を高精度に制御することができる。
本発明の第1の実施形態によるモータ装置の構成の一例を示す構成図である。 本実施形態における回転子の構成の一例を示す構成図である。 本実施形態における伝達部の構成の一例を示す構成図である。 本実施形態における駆動部の構成の一例を示す断面図である。 本実施形態における制御部の構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態における回転力伝達状態とする場合の動作の一例を示す断面図である。 本実施形態における回転力非伝達状態とする場合の動作の一例を示す断面図である。 本実施形態におけるオイラーの原理に基づく伝達部と回転子との接触角と、伝達効率との関係の一例を示すグラフである。 本実施形態における駆動トルク受け渡し開始時の駆動部の位置の一例を示す模式図である。 本実施形態における駆動トルク受け渡し中の駆動部の位置の一例を示す模式図である。 本実施形態における駆動トルク受け渡し開始時の駆動部の位置と駆動トルクの関係の一例を示す模式図である。 本実施形態における駆動トルク受け渡し中の駆動部の位置と駆動トルクの関係の一例を示す模式図である。 本実施形態における制御部の動作の一例を示すフローチャートである。 本実施形態における回転子を回転させる場合の制御プロファイルに基づく駆動波形の一例を示すグラフである。 本実施形態における伝達過渡状態の一例を示す断面図である。 本実施形態における駆動状態の一例を示す断面図である。 本実施形態における復帰状態の一例を示す断面図である。 本実施形態における回転子が回転している場合の伝達過渡状態の一例を示す断面図である。 本実施形態における回転子を順方向駆動した場合の制御プロファイルに基づく駆動波形の一例を示すグラフである。 本実施形態における回転子を逆方向駆動した場合の制御プロファイルに基づく駆動波形の一例を示すグラフである。 本実施形態におけるU相及びV相の制御プロファイルに基づく駆動波形の一例を示すグラフである。 本実施形態における記憶部を備える制御部の構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態によるモータ装置の一例を示す構成図である。 本実施形態における制御部の構成の一例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態によるロボット装置の構成の一例を示す構成図である。 本実施形態における回転子を中空とした構成の一例を示す模式図である。 本実施形態における回転子と伝達部とを係合させた構成の一例を示す断面図である。 本実施形態における開ベルト構造の一例を示す断面図である。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係るモータ装置MTRの一例を示す概略構成図である。
[モータ装置MTRの構成]
図1に示すように、モータ装置MTRは、回転子SFと、複数の伝達部BTと、複数の駆動ユニットACと、支持部材BSと、制御部CONTとを有している。モータ装置MTRは、回転子SF及び複数の駆動ユニットACが支持部材BSによって支持された状態になっており、複数の駆動ユニットACにそれぞれ接続された伝達部BTが回転子SFに掛けられた構成になっている。制御部CONTは複数の駆動ユニットACに接続されており、当該駆動ユニットACに対して制御信号を供給可能になっている。
また、モータ装置MTRは、複数の伝達部BTと、複数の駆動ユニットACとを、図1に示すように、回転子SFの回転軸方向に沿って備えている。例えば、本実施形態のモータ装置MTRは、伝達部BTと駆動ユニットACとを組にして、U相と、V相と、W相とからなる各相の伝達部BT及び駆動ユニットACの組を備えている。つまりモータ装置MTRは、U相の伝達部BTUと、V相の伝達部BTVと、W相の伝達部BTWとを備えている。例えば、これらの伝達部BTは、回転子SFの回転軸方向に沿って、それぞれ幅(回転軸方向の寸法)を等しくして配置されている。3つの伝達部BTは、回転子SFの円周方向に等角度でずれた位置(例えば、120°ずつずれた位置)に配置されている。同様に、3つの駆動ユニットAC、つまりU相の駆動ユニットACUと、V相の駆動ユニットACVと、W相の駆動ユニットACWとは、回転子SFの円周方向に等角度でずれた位置(例えば、120°ずつずれた位置)に配置されている。
図2は、回転子SFの構成を示す図である。
同図に示すように、回転子SFは、円柱状に形成されており、軸部11と、拡径部12とを有している。軸部11は、例えば不図示のベアリング機構などを介して支持部材BSの軸受部41(図1参照)に回転可能に支持されている。拡径部12は、軸部11に対して径が大きく形成された部分である。軸部11及び拡径部12は、共通の回転軸を有するように形成されている。拡径部12の表面は、伝達部BTが掛けられる外周となる。回転子SFは、例えばアルミニウムなどの導電材料によって構成されている。回転子SFは、拡径部12の回転速度を検出可能な不図示の検出器を有している。拡径部12の直径は、例えば10mm程度に設定することができる。
図3は、モータ装置MTRが備える、3つの伝達部BTのうち、U相の伝達部BTUの構成を示す図である。V相の伝達部BTV及びW相の伝達部BTWは、いずれもU相の伝達部BTUと同一の構成であるため、説明を省略する。
図3に示すように、伝達部BTUは、帯状に形成されており、回転子SFの拡径部12の周面(例、外周面や内周面)の少なくとも一部に巻き掛けられている。図3においては、回転子SFの図示を省略している。伝達部BTUは、例えばスチールなどの導電材料によって構成されている。伝達部BTUは、拡径部12に例えば1回転巻き掛けられて交差した状態になっている。伝達部BTUの交差部分21は、クロスベルト構造になっている。一例として、伝達部BTUは、交差部分21において、伝達部BTUの第1端部22Aが二股に分かれていると共に伝達部BTの第2端部22Bの幅が狭くなっている。このため、伝達部BTUは、第2端部22Bが第1端部22Aの二股の間に配置された状態で交差している。伝達部BTUの第1端部22A及び第2端部22Bは、それぞれ駆動ユニットACUに接続されている。伝達部BTUと回転子SFの拡径部12との間の摩擦係数は、例えば0.3となるように形成されている。
図4は、モータ装置MTRが備える、3つの駆動ユニットACのうち、U相の駆動ユニットACUの構成を示す図である。V相の駆動ユニットACV及びW相の駆動ユニットACWは、いずれもU相の駆動ユニットACUと同一の構成であるため、説明を省略する。図4では、駆動ユニットACUが伝達部BTUに接続された構成を示している。
駆動ユニットACUは、伝達部BTUの交差部分21にそれぞれ設けられている。駆動ユニットACUは、保持部材31と、一対の接続部33と、一対のバネ機構34とを有している。また、駆動ユニットACUは、一対の電歪素子(第1駆動部)32Uとして、U相の第1電歪素子(第1駆動部のうち一方)32AU及びU相の第2電歪素子(第1駆動部のうち他方)32BUを有している。
保持部材31は、上記交差部分21における回転子SFの円周の接線方向に沿って形成されている。保持部材31は、当該接線方向が長手になっている。保持部材31は、長手方向の両端部にそれぞれ凹部31aを有している。凹部31aの底部には、それぞれ開口部31bが設けられている。図1に示すように、保持部材31は、支持部材BSに固定されている。
電歪素子(駆動部)32Uは、保持部材31の各凹部31aに設けられている。このため、電歪素子32Uは、基準位置として上記交差部分21を挟むように一対設けられていることになる。一対の電歪素子32Uは、それぞれ中空の円柱形状で、それぞれ基準位置である交差部分21に対して互いに反対方向へ変形するように設けられている。第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUとしては、例えばピエゾ素子などが用いられる。
接続部33は、伝達部BTUの第1端部(伝達部の一端)22Aと第1電歪素子32AUとを接続すると共に、第2端部(伝達部の他端)22Bと第2電歪素子32BUとを接続する部分である。接続部33は、フランジ部材33aと、ロッド部材33bとを有している。フランジ部材33aは、第1電歪素子32AUの端面及び第2電歪素子32BUの端面にそれぞれ当接されるように設けられている。ロッド部材33bは、フランジ部材33aと一体的に設けられている。ロッド部材33bは、第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUをそれぞれ貫通すると共に凹部31aの開口部31bを貫通して設けられている。ロッド部材33bの先端は、伝達部BTの第1端部22A及び第2端部22Bにそれぞれ接続されている。
バネ機構34は、フランジ部材33aを交差部分21へ向けて押圧する構成になっている。バネ機構34は、例えば板バネ部材34aによって構成されている。板バネ部材34aは、例えば一端がフランジ部材33aの外面にナットなどを介して接続され、フランジ部材33aを迂回するように折り返されて他端が保持部材31の端面に固定されている。例えば板バネ部材34aの他端側は、当該保持部材31の端面に対して面で当接するように折り曲げられている。
図5は、制御部CONTの構成を示すブロック図である。
制御部CONTは、生成した回転子SFの制御プロファイル(制御波形)に基づいて、駆動ユニットACが有する電歪素子(駆動部)32を駆動する電歪素子32の駆動波形(駆動プロファイル)を生成する。制御部CONTは、目標値取得部51と、制御プロファイル生成部52と、駆動波形生成部53と、出力部54とを備えている。回転子SFの制御プロファイルは、回転子SFの回転位置、角速度及び駆動トルクが含まれる。
目標値取得部51は、上位装置に接続され、上位装置によって設定された回転子SFの駆動トルクの目標値(目標駆動トルク)などを、上位装置から取得する。
制御プロファイル生成部52は、目標値取得部51によって取得された駆動トルクの目標値と、回転子SFに生じている駆動トルクと、回転子SFの回転位置と、回転子SFの角速度とに基づいて、回転子SFの制御プロファイルを生成する。制御プロファイル生成部52は、トルクセンサTSによって検出された回転子SFに生ずる駆動トルクの大きさと方向を取得する。また、制御プロファイル生成部52は、エンコーダENCによって検出された回転子SFの回転位置と、角速度センサVSによって検出された回転子SFの角速度と、を取得する。一例として、制御プロファイル生成部52は、目標値取得部51によって取得された駆動トルクの目標値と検出された回転子SFの駆動トルクとから算出した差分値(駆動トルク補正値)と、エンコーダENC及び角速度センサVSから計測された回転子SFの位置情報と、に基づいて、回転子SFの制御プロファイルを生成する。なお、駆動トルク補正値は、回転子SFの駆動トルクを維持する又は変えるために、補正後の駆動トルク(補正駆動トルク)として用いられる。そして、制御プロファイル生成部52は、生成した回転子SFの制御プロファイルを駆動波形生成部53へ送信する。ここで、回転子SFの制御プロファイルは、回転子SFを制御する期間として、後述するように、例えば伝達過渡期間S1、初期駆動期間S2、主駆動期間S3、及び復帰期間S4が含まれる。なお、角速度センサVSによって計測される回転子SFの角速度は、エンコーダENCによって計測された値を微分して算出してもよい。
次に、駆動波形生成部53は、制御プロファイル生成部52から受信した制御プロファイルに基づいて、各相の電歪素子32に供給する電圧の駆動波形(電歪素子32の駆動波形)を生成する。一例として、駆動波形生成部53は、制御プロファイル生成部52によって生成された制御プロファイルを座標変換して電歪素子32の駆動波形を生成する。このように、上記の制御プロファイルが回転子SFの座標から電歪素子32の座標へ変換されることによって電歪素子32の駆動波形が得られる。そして、駆動波形生成部53は、生成した電歪素子32の駆動波形を出力部54へ送信する。ここで、駆動波形は、上記の制御プロファイルに基づく期間として、後述するように、例えば伝達過渡期間S1、初期駆動期間S2、主駆動期間S3、及び復帰期間S4が含まれる。なお、例えば、駆動波形生成部53において、電歪素子32の目標変形量と目標変形速度とが算出される。
出力部54は、駆動波形生成部53から受信した電歪素子32の駆動波形を増幅し、増幅した駆動波形を、駆動ユニットAC(例、電歪素子32)に出力する。
[駆動ユニットACの動作]
次に、上記のように構成されたモータ装置MTRが備える各相の駆動ユニットACのうち、U相の駆動ユニットACUの動作を説明する。V相の駆動ユニットACV及びW相の駆動ユニットACWは、互いに異なる位相によってU相の駆動ユニットACUと同一の動作をするため、説明を省略する。
まず、図6及び図7を参照して、駆動ユニットACUの動作の一例を説明する。伝達部BTUの移動の様子を判別しやすくするため、図6及び図7では、回転子SFを省略した状態における伝達部BTUの構成を示している。
第1電歪素子32Aに電気信号を供給していない状態の場合、バネ機構34によってフランジ部材33aが交差部分21側へ押圧された状態になっている。この状態から第1電歪素子32AUに電気信号を供給すると、図6に示すように、第1電歪素子32AUが伸びるように変形(伸縮)し、当該変形による力が交差部分21から離れる方向(以下、「外側」と表記する)に対して作用する。この力はフランジ部材33aを外側へ押圧する。第1電歪素子32AUの変形による押圧力がバネ機構34による押圧力よりも大きくなると、フランジ部材33aが外側に移動し、ロッド部材33bが伝達部BTの第1端部22Aを外側へ引っ張る。この動作により、伝達部BTUの第1端部22Aが外側に移動する。
一方、この状態から第1電歪素子32AUに電気信号の供給を停止すると、図7に示すように、第1電歪素子32AUが収縮するように変形(伸縮)し、当該変形によってフランジ部材33aへの押圧力が低下する。加えて、バネ機構34による押圧力が働くため、フランジ部材33aが基準位置に近づく方向(以下、「内側」と表記する)に移動し、ロッド部材33bが伝達部BTUの第1端部22Aを内側へ押し込む。この動作により、伝達部BTUの第1端部22Aが内側に移動する。
同様に、第2電歪素子32BUに電気信号を供給していない状態の場合、バネ機構34によってフランジ部材33aが交差部分21側へ押圧された状態になっている。この状態から第2電歪素子32BUに電気信号を供給すると、第2電歪素子32BUが膨張するように変形し、当該変形による力が外側に対して作用する。この力はフランジ部材33aを外側へ押圧する。第2電歪素子32BUの変形による押圧力がバネ機構34による押圧力よりも大きくなると、フランジ部材33aが外側に移動し、ロッド部材33bが伝達部BTUの第2端部22Bを外側へ引っ張る。この動作により、伝達部BTUの第2端部22Bが外側に移動する。
一方、この状態から第2電歪素子32BUに電気信号の供給を停止すると、第2電歪素子32BUが収縮するように変形し、当該変形によってフランジ部材33aへの押圧力が低下する。加えて、バネ機構34による押圧力が働くため、フランジ部材33aが内側に移動し、ロッド部材33bが伝達部BTUの第2端部22Bを内側へ押し込む。この動作により、伝達部BTUの第2端部22Bが内側に移動する。
このようにして、制御部CONTは、第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUの2つの電歪素子32Uを協働して動作させることにより、伝達部BTUを移動させる。
[回転子SFの駆動原理]
次に、本実施形態のモータ装置MTRが、回転子SFを駆動させる原理について説明する。U相の駆動ユニットACUは、回転子SFを駆動させる際に、回転子SFに巻き掛けられたU相の伝達部BTUに有効張力を生じさせ、当該有効張力によって回転子SFにトルクを伝達する。V相及びW相は、いずれもU相と同一の構成であるため、説明を省略する。
オイラーの摩擦ベルト理論により、回転子SFに巻き掛けられた伝達部BTUの第1端部22A側の張力T1及び第2端部22B側の張力T2が下記式(1)を満たすとき、伝達部BTUと回転子SFとの間で摩擦力が生じ、伝達部BTUが移動することにより、回転子SFが回転する。この伝達部BTUの移動により、回転子SFにトルクが伝達される。ただし、式(1)において、μは伝達部BTUと回転子SFとの間の見かけ上の摩擦係数であり、θは伝達部BTUの有効巻き付き角である。
Figure 2013070528
このとき、トルクの伝達に寄与する有効張力は、(T1−T2)によって表される。上記式(1)に基づいて有効張力(T1−T2)を求めると、下記式(2)のようになる。式(2)は、T1を用いて有効張力を表す式である。
Figure 2013070528
上記式(2)より、回転子SFに伝達されるトルクは第1電歪素子32AUの張力T1によって一意に決定されることがわかる。式(2)の右辺のT1の係数部分は、伝達部BTUと回転子SFとの間の摩擦係数μ及び伝達部BTUの有効巻き付き角θにそれぞれ依存する。図8は、摩擦係数μを変化させたときの有効巻き付き角θと係数部分の値との関係を示すグラフである。グラフの横軸は有効巻き付き角θを示しており、グラフの縦軸は係数部分の値を示している。
図8に示すように、例えば摩擦係数μが0.3の場合には、有効巻き付き角θが300°以上のときに係数部分の値が0.8以上となっている。このことから、摩擦係数μが0.3の場合には、有効巻き付き角θを300°以上とすることにより、第1電歪素子32Aによる張力T1の80%以上の力が回転子SFのトルクに寄与することがわかる。この巻き付き角の他、図8のグラフから、例えば伝達部BTUと回転子SFとの間の摩擦係数を大きくするほど、係数部分の値が大きくなることが推定される。
このように、トルクの大きさは第1電歪素子32AUの張力T1によって一意に決定されることになり、例えば伝達部BTUの移動距離などには無関係であることがわかる。したがって、例えば第1電歪素子32A及び第2電歪素子32Bに用いられるピエゾ素子などは、数ミリ程度の小型素子であっても、数百ニュートン以上の力を出すことができるので、回転子SFに大きな回転力を与えることができる。
上述した原理に基づいて、制御部CONTは、第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUを変形させて回転子SFに回転力を伝達する。ここで、制御部CONTは、回転子SFの回転に必要な駆動トルクを、各伝達部BTが順に受け渡すように、伝達部BTUと、伝達部BTVと、伝達部BTWとを協調させて動作させる。このようにして、制御部CONTは、回転子SFに回転力を伝達して、回転子SFを回転させる。また、本実施形態におけるモータ装置MTRは、第1電歪素子32AUと第2電歪素子32BUとが協働的に(又は相互作用的に)駆動することによって、第1電歪素子32AUによって伝達部BTUに加えられる力(例、張力や押圧力)と第2電歪素子32BUによって伝達部BTUに加えられる力(例、張力や押圧力)とに基づいて回転子SFに対する伝達部BTUの接触状態を調整可能なため、伝達部BTUを介して回転子SFにトルクを伝達する。また、モータ装置MTRは、第1電歪素子32AUと第2電歪素子32BUとが協働的に(又は相互作用的に)駆動することによって、伝達部BTUの回転子SFに対する巻き付き角θに基づく回転子SFに対する伝達部BTUの接触状態を調整可能なため、伝達部BTUを介して回転子SFにトルクを伝達する。このように、本実施形態におけるモータ装置MTRは、駆動部32によって回転子SFの径方向に力が伝達部BTの少なくとも一部に加えられた状態(回転力伝達状態)で、伝達部BTを介して回転子SFにトルクが伝達される。
[制御プロファイルの生成原理]
次に、図9から図12を用いて、本実施形態におけるモータ装置MTRの制御プロファイルの生成原理について説明する。
まず、回転子SFの駆動トルクは式(3)に示す通り加速トルクと負荷トルクの総和である。
Figure 2013070528
ここで、後述する少なくとも初期駆動期間S2を含む駆動期間において、例えばU相の伝達部BTUから、V相の伝達部BTVに、回転子SFの駆動トルクを受け渡す場合において、駆動トルク受け渡しの動作の概念について説明する。つまり、制御部CONTが、初期駆動期間S2において、駆動部32を用いて伝達部BTU及び伝達部BTVの少なくとも2つの伝達部BTを同時に移動させつつ、伝達部BTUから伝達部BTVに駆動トルクを受け渡す動作の概念について説明する。V相の伝達部BTVに受け渡す駆動トルクは、以下のように、U相の第2電歪素子32BUと、V相の第2電歪素子32BVとの間の相対距離Lによって表すことができる。つまり、第1の伝達部(BTU)から第2の伝達部(BTV)に受け渡す駆動トルクは、第1の電歪素子(32BU)と第2の電歪素子(32BV)との間の相対距離Lによって表すことができる。
図9及び図10は、この駆動トルク受け渡しの動作の概念を示す図である。図9は駆動トルクの受け渡し開始時の状態を表しており、図10は駆動トルクの受け渡し完了時の状態を表している。
図9及び図10において、バネSP1は、駆動ユニットACU及び伝達部BTUを含む駆動力伝達系を構成する部材の剛性(以下、「総合剛性」と表現する)に応じた部材のたわみを模式的にバネによって表している。同様に、バネSP2は、駆動ユニットACV及び伝達部BTVを含む駆動力伝達系を構成する部材の総合剛性に応じた部材のたわみを模式的にバネによって表している。
また、伝達部BTU及び伝達部BTVはそれぞれ回転子SFに巻き掛けられている。伝達部BTUは、バネSP1を介してU相の第2電歪素子32BUと接続されている。同様に、伝達部BTVは、バネSP2を介してV相の第2電歪素子32BVと接続されている。回転子SFには負荷LDが与えられている。第2電歪素子32BU及び第2電歪素子32BVは、回転子SFを、負荷LDによって生じる負荷トルクの方向と逆の方向に回転させている。ここで、相対距離Lは、バネSP1及び第2電歪素子32BUが接している面と、バネSP2及び第2電歪素子32BVが接している面との距離である。
この相対距離Lは、例えば、バネSP1の長さとバネSP2の長さとが同じ場合、相対距離L=0である。この場合は、バネSP1及びバネSP2が均等に回転子SFの駆動トルクを保持していることを示す。また、相対距離Lは、バネSP1の長さがバネSP2の長さよりも短い場合、相対距離L>0である。この場合は、バネSP1が保持している駆動トルクが、バネSP2が保持している駆動トルクよりも大きいことを示す。同様に、相対距離Lは、バネSP1の長さがバネSP2の長さよりも長い場合、相対距離L<0である。この場合は、バネSP1が保持している駆動トルクが、バネSP2が保持している駆動トルクよりも小さいことを示す。
このように相対距離Lを用いて受け渡す駆動トルクを表すことができる。伝達部BTVが回転子SFに接触したとき、相対距離はL1(L1>0)である(図9)。また、駆動トルクの受け渡しが行われて、伝達部BTUと伝達部BTVとが均等に回転子SFの駆動トルクを保持しているとき、相対距離はL0(L0=0)である(図10)。
次に、伝達部BTUが保持している駆動トルクを伝達部BTUから伝達部BTVに受け渡すための駆動トルクの補正量として、駆動トルク受け渡し補正量の算出について説明する。
図11及び図12は、この駆動トルク受け渡し補正量を算出するための簡略化モデルを示した図である。説明を簡単にするため、回転子SFは図中のx方向に距離x移動するものとし、伝達部BTU及び伝達部BTVは図中のx方向と同一の方向にそれぞれ距離y1及び距離y2移動するものとして説明する。また、上述した相対距離Lは、各相の第2電歪素子32と回転子SFとの間の距離の和として説明する。つまり、相対距離L1は、第2電歪素子32BUと回転子SFとの距離(y1−x)を表し、相対距離L2は、第2電歪素子32BVと回転子SFとの距離(y2−x)を表す。そして、相対距離Lは、相対距離L1と相対距離L2との和(L1+L2)として説明する。
第2電歪素子32BU及び第2電歪素子32BVの移動により、駆動トルクτ1がバネSP1に、駆動トルクτ2がバネSP2にそれぞれ与えられる。これにより、バネSP1及びバネSP2は、伸縮し、伝達部BTU及び伝達部BTVが回転子SFにx方向に移動する力、つまり駆動トルクを与える。なお、バネSP1及びバネSP2のバネ定数はいずれもkである。
ここで、図11に示すように、第2電歪素子32BVを移動させず、第2電歪素子32BUを距離y1だけ移動させ、バネSP1に駆動トルクτ1を与えた場合に、回転子SFが距離xだけ移動したとする。このとき、相対距離L1は(L1=y1−x)であり、相対距離L2は(L2=0)であるから式(4)が成立する。
Figure 2013070528
さらに、図12に示すように、第2電歪素子32BUを距離y1だけ移動させ、バネSP1に駆動トルクτ1を与えて、第2電歪素子32BVを距離y2だけ移動させ、バネSP2に駆動トルクτ2を与えて、回転子SFが距離xだけ移動したとする。このとき、相対距離はL’1(L’1=y1−x)であり、相対距離はL’2(L’2=y2−x)である。そして、駆動トルクτ1と駆動トルクτ2とが一致する場合(つまり2つの伝達部BTが回転子SFの駆動トルクを均等に保持している場合)は、相対距離L’1=相対距離L’2であるから式(5)が成立する。
Figure 2013070528
これら式(4)と式(5)との式から、伝達部BTUと伝達部BTVとの間で駆動トルクτを受け渡す場合の駆動トルク受け渡し補正量を算出すると、式(6)が成立する。
Figure 2013070528
式(6)は伝達部BTUと伝達部BTVとの間(すなわち2つの伝達部BT間)における駆動トルク受け渡し補正量L0を示している。これを一般化して、回転子SFの駆動に関わる伝達部BTの数をN(Nは2以上の整数)とすれば、式(7)が成立する。
Figure 2013070528
以上の関係式によって得られた駆動トルク受け渡し補正量L0に基づいた制御プロファイル生成手順(制御プロファイル生成ステップ)によって回転子SFの制御プロファイルを生成する。
[制御プロファイルの生成ステップ]
図13は、回転子SFの制御プロファイルを生成する生成ステップを示すフローチャートである。制御プロファイル生成部52は、例えば、U相の電歪素子32Uの制御期間が復帰期間S4から伝達過渡期間S1へ移行するタイミングの時に、以下に示す手順によって制御プロファイルの生成を行う。
まず、目標値取得部51は、回転子SFの制御目標値を設定する。本実施形態においては、制御目標値は、例えば回転子SFの駆動トルクの目標値、すなわち目標駆動トルクである。そして、目標値取得部51は、設定した目標駆動トルクを制御プロファイル生成部52に出力する(ステップS101)。
次に、制御プロファイル生成部52は、トルクセンサTSによって検出された駆動トルクと、角速度センサVSによって検出された角速度とを取得し、取得した駆動トルクと角速度とをデジタル符号化する(ステップS102)。
次に、制御プロファイル生成部52は、ステップS101において取得された目標駆動トルクとステップS102において取得した駆動トルク及び角速度とに基づいて、保持トルクと加速トルクとを含む駆動トルク補正値(目標駆動トルクと検出した駆動トルクとの差分値に基づく補正後の駆動トルク)を算出する。(ステップS103)。
次に、制御プロファイル生成部52は、予め定められている伝達部BTの数と、予め得られている総合剛性と、取得した回転子SFの角速度とに基づいて、式(7)によって、上述した駆動トルク受け渡し補正量を算出する。さらに、制御プロファイル生成部52は、算出した駆動トルク受け渡し補正量と、ステップS103において算出した駆動トルク補正値とを演算(例、加算)して、U相の電歪素子32U(又は、U相の電歪素子32Uと他の相の電歪素子32)が回転子SFに与える補正後の駆動トルク(補正駆動トルク)を算出する(ステップS104)。なお、上記の駆動トルク補正値が0の場合や駆動トルク受け渡し補正量を加えた制御プロファイルを生成するタイミング以外に駆動トルク補正値のフィードバックを行う場合などは、上述の駆動トルク受け渡し補正量がU相の電歪素子32Uが回転子SFに与える補正後の駆動トルクに相当する。
次に、制御プロファイル生成部52は、算出した補正後の駆動トルクとエンコーダENC及び角速度センサVSから計測された回転子SFの位置情報とに基づいて、後述する伝達過渡期間S1、初期駆動期間S2、主駆動期間S3及び復帰期間S4における回転子SFの制御プロファイルを生成する(ステップS105)。
次に、制御プロファイル生成部52は、生成した制御プロファイルを駆動波形生成部53へ送信する。なお、例えば、制御プロファイル生成部52は、上記ステップS105において、エンコーダENCによって検出された伝達部BTの位置と、角速度センサVSによって検出された回転子SFの角速度とを取得する。
次に、駆動波形生成部53は、ステップS105において生成された制御プロファイルに基づいて、各相の電歪素子32を駆動する駆動波形を生成し、生成した駆動波形を出力部54に出力する(ステップS106)。なお、例えば、駆動波形生成部53は、各相の電歪素子32を変形させる量と、変形させる時間とを算出する。
次に、出力部54は、制御プロファイル生成部52が生成した駆動波形を増幅して、増幅した駆動波形を駆動ユニットACに出力する(ステップS107)。
以上の手順により、モータ制御プロファイル生成装置GENによって生成された制御プロファイルに基づいて、モータ装置MTRは、各相の駆動ユニットACを制御する。
[制御プロファイルに基づく駆動ユニットACの制御]
次に、図14から図18を用いて、制御プロファイル生成部52が回転子SFの制御プロファイルを生成する動作を説明する。さらに、制御部CONTが、制御プロファイルに基づいて生成された駆動波形を駆動ユニットACに出力して、回転子SFを回転させる動作を説明する。本実施形態においては、U相の駆動ユニットACUの動作を例にして説明する。なお、V相の駆動ユニットACV及びW相の駆動ユニットACWは、互いに異なる位相によって駆動ユニットACUと同一の動作をするため、説明を省略する。
図14は、上述したそれぞれの制御の期間における駆動ユニットACUの制御プロファイルの一例を示したグラフである。グラフの横軸は時間を示しており、グラフの縦軸は、一対の電歪素子32の変位量を示している。本実施形態において、このグラフは、制御プロファイルとして第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUの変位量と、時間との関係を示している。縦軸の原点は電歪素子32の駆動開始位置を示しており、変位量が大きくなるに従って第1端部22A及び第2端部22Bは外側に移動することを示している。
[制御の各期間における制御プロファイルの生成]
制御プロファイル生成部52は、制御の期間、つまり制御部CONTが駆動ユニットACUを制御する期間として、伝達過渡期間S1、初期駆動期間S2、主駆動期間S3、復帰期間S4を含む各期間に対応する制御プロファイルを生成する。
まず、上述した制御の期間(制御期間)のうち、伝達過渡期間S1について説明する。
例えば、制御プロファイル生成部52は、取得された目標駆動トルクと、トルクセンサTSの検出値と、エンコーダENCの検出値と、角速度センサVSの検出値とに基づいて、伝達過渡期間S1における回転子SFの制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、伝達過渡期間S1における回転子SFの制御プロファイルに基づき、図14に示すような伝達過渡期間S1における電歪素子32の駆動波形(駆動プロファイル)を生成する。なお、例えば、制御プロファイル生成部52は、伝達過渡期間S1の制御プロファイルとして、時刻t1から時刻t2までの間に対応する制御プロファイルを生成する。ここで、駆動波形W1AUは、伝達過渡期間S1における第1電歪素子32AUの駆動波形であり、駆動波形W1BUは、伝達過渡期間S1における第2電歪素子32BUの駆動波形である。
次に、上述した制御の期間のうち、初期駆動期間S2及び主駆動期間S3について説明する。
制御プロファイル生成部52は、取得された目標駆動トルクと、トルクセンサTSの検出値と、角速度センサVSの検出値と、上述の駆動トルク受け渡し補正量とに基づいて、回転子SFに生じる駆動トルクを一定にするようにして、伝達部BTUに保持させる補正後の駆動トルク(補正駆動トルク)を算出する。次に、制御プロファイル生成部52は、算出した伝達部BTUに保持させる補正後の駆動トルクと時刻t2から時刻t3までの時間情報とに基づいて、第1電歪素子32AUと第2電歪素子32BUとを変形させる速度(第1の駆動速度)を算出する。さらに制御プロファイル生成部52は、算出した速度に基づいて、初期駆動期間S2における回転子SFの制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、初期駆動期間S2における回転子SFの制御プロファイルに基づき、図14に示すような初期駆動期間S2における電歪素子32の駆動波形(駆動プロファイル)を生成する。なお、例えば、制御プロファイル生成部52は、初期駆動期間S2における制御プロファイルとして、時刻t2から時刻t3までの間に対応する制御プロファイルを生成する。ここで、駆動波形W2AUは、初期駆動期間S2における第1電歪素子32AUの駆動波形であり、駆動波形W2BUは、初期駆動期間S2における第2電歪素子32BUの駆動波形である。なお、制御プロファイル生成部52は、駆動トルク補正値を考慮しなくてよい場合、上述の駆動トルク受け渡し補正量に基づき、駆動トルク受け渡し補正量に相当する速度(第1の駆動速度)を算出する。また、初期駆動期間S2において、伝達部BTV(第2の伝達部)は、伝達部BTU(第1の伝達部)から保持させられる駆動トルク受け渡し補正量に応じて、制御部CONTによって伝達部BTUに対する相対速度を変えて移動させられる。
次に、制御プロファイル生成部52は、取得された目標トルクと、トルクセンサTSの検出値と、角速度センサVSの検出値とに基づいて、回転子SFに生じる駆動トルクを一定にするようにして、伝達部BTUに保持させる補正後の駆動トルクを算出する。次に、制御プロファイル生成部52は、算出した伝達部BTUに保持させる補正後の駆動トルクと時刻t3から時刻t4までの時間情報とに基づいて、第1電歪素子32AUと第2電歪素子32BUとを変形させる速度(第2の駆動速度)を算出する。さらに制御プロファイル生成部52は、算出した速度に基づいて、主駆動期間S3における回転子SFの制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、主駆動期間S3における回転子SFの制御プロファイルに基づき、図14に示すような主駆動期間S3における電歪素子32の駆動波形(駆動プロファイル)を生成する。なお、例えば、制御プロファイル生成部52は、主駆動期間S3における制御プロファイルとして、時刻t3から時刻t4までの間に対応する制御プロファイルを生成する。ここで、駆動波形W3AUは、主駆動期間S3における第1電歪素子32AUの駆動波形であり、駆動波形W3BUは、主駆動期間S3における第2電歪素子32BUの駆動波形である。本実施形態における制御プロファイル生成部52は、第1電歪素子32A及び第2電歪素子32Bを駆動(例、伸縮)させる速度として、例えば初期駆動動作における速度(第1の駆動速度)を、主駆動動作における速度(第2の駆動速度)よりも速くするように制御プロファイルを生成する。
次に、上述した制御の期間のうち、復帰期間S4について説明する。
制御プロファイル生成部52は、取得された目標トルクと、トルクセンサTSの検出値と、角速度センサVSの検出値とに基づいて、回転子SFに生じる駆動トルクを一定にするようにして、伝達部BTUに保持させる補正後の駆動トルクを算出する。次に、制御プロファイル生成部52は、算出した伝達部BTUに保持させる補正後の駆動トルクと時刻t4から時刻t5までの時間情報とに基づいて、第1電歪素子32AUを変形させる速度と第2電歪素子32BUを変形させる速度とが互いに異なる速度となるように、第1電歪素子32AUと第2電歪素子32BUとを変形させる速度を算出する。さらに制御プロファイル生成部52は、算出した速度に基づいて、復帰期間S4における回転子SFの制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、復帰期間S4における回転子SFの制御プロファイルに基づき、図14に示すような復帰期間S4における電歪素子32の駆動波形(駆動プロファイル)を生成する。なお、例えば、制御プロファイル生成部52は、主駆動期間S3における制御プロファイルとして、時刻t4から時刻t5までの間に対応する制御プロファイルを生成する。ここで、駆動波形W4AUは、復帰期間S4における第1電歪素子32AUの駆動波形であり、制御プロファイルW4BUは、復帰期間S4における第2電歪素子32BUの駆動波形である。
[制御プロファイル及び駆動波形に基づいた駆動ユニットACUの駆動動作]
次に、上述した制御の各期間において、制御プロファイル及び駆動波形に基づいて駆動ユニットACUが駆動される動作について説明する。
まず、上述した制御の期間のうち、伝達過渡期間S1について説明する。
図15は、駆動ユニットACUの伝達過渡期間S1における動作を示している。伝達過渡期間S1は、伝達部BTUが、回転子SFに対して回転力を伝達していない状態から、回転力を伝達している状態に移行させる動作(伝達過渡動作)が行われる期間である。制御部CONTは、復帰動作を行う復帰期間S4と、後述する駆動期間との間の伝達過渡期間S1において、第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUに、伝達過渡動作を行わせる。
駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づいて駆動波形W1AUを生成し、生成した駆動波形W1AUを出力部54を介して第1電歪素子32AUに出力する。これにより、図15に示すように、第1電歪素子32AUは、第1端部22Aが外側に移動するように変形する。同時に、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づいて駆動波形W1BUを生成し、生成した駆動波形W1BUを出力部54を介して第2電歪素子32BUに出力する。これにより、図15に示すように、第2電歪素子32BUは、第2端部22Bが外側に移動するように変形する。
この伝達過渡動作により、伝達部BTUの第1端部22A側に張力T1が発生し、伝達部BTUの第2端部22B側に張力T2が発生する。したがって、伝達部BTUに有効張力(T1−T2)が発生する。このとき、駆動波形生成部53は、一対の第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUを互いに異なる駆動速度で、第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUを駆動させる。この伝達過渡動作によって、伝達部BTUが、回転子SFに回転力を伝達する状態、すなわち回転力伝達状態になる。
次に、上述した制御の期間のうち、初期駆動期間S2及び主駆動期間S3について説明する。
図16は、制御部CONTによる制御の期間のうち、伝達過渡期間S1の次の期間として、駆動期間(初期駆動期間S2及び主駆動期間S3)における動作を示している。初期駆動期間S2は、制御部CONTが伝達部BTUを回転子SFの少なくとも一部に対して回転力を伝達した状態にして、主として、駆動トルクの受け渡し動作(初期駆動動作)が行われる期間である。主駆動期間S3は、初期駆動期間S2の後に、制御部CONTが伝達部BTUを回転子SFに対して回転力を伝達した状態にして、回転子SFを回転させる動作(主駆動動作)が行われる期間である。なお、初期駆動期間S2は、駆動トルクの受け渡し動作のみが行われる期間、又は駆動トルクの受け渡し動作及び回転子SFを回転させる動作が行われる期間である。
駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイル(第1の駆動条件)に基づいて、初期駆動期間S2における駆動波形W2AU(第1の駆動波形、初期駆動波形)を生成し、生成した駆動波形W2AUを出力部54を介して第1電歪素子32AUに出力する。これにより、図16に示すように、第1電歪素子32AUは、第1端部22Aが外側に移動するように変形する。同時に、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイル(第1の駆動条件)に基づいて、初期駆動期間S2における駆動波形W2BU(第1の駆動波形、初期駆動波形)を生成し、生成した駆動波形W2BUを出力部54を介して第2電歪素子32BUに出力する。これにより、図16に示すように、第2電歪素子32BUは、第2端部22Bが内側に移動するように変形する。
次に、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づいて、主駆動期間S3における駆動波形W3AU(主駆動波形)を生成し、生成した駆動波形W3AUを出力部54を介して第1電歪素子32AUに出力する。これにより、図16に示すように、第1電歪素子32AUは、第1端部22Aが外側に移動するように変形する。同時に、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づいて、主駆動期間S3における駆動波形W3BU(主駆動波形)を生成し、生成した駆動波形W3BUを出力部54を介して第2電歪素子32BUに出力する。これにより、図16に示すように、第2電歪素子32BUは、第2端部22Bが内側に移動するように変形する。
以上に示した駆動動作(すなわち初期駆動動作及び主駆動動作)により、伝達部BTUと回転子SFとの間に摩擦力が発生し、伝達部BTUの移動によって回転子SFに回転力が伝達される状態(回転力伝達状態)になり、伝達部BTUが移動する。これにより回転子SFは、伝達部BTUの移動に応じて図中θ方向(以下、「正回転方向」と表記する)に回転する。
次に、上述した制御の期間のうち、復帰期間S4について説明する。
図17は、制御の期間のうち、初期駆動期間S2及び主駆動期間S3の次の期間として、復帰期間S4における動作を示している。復帰期間S4は、制御部CONTが伝達部BTUを回転子SFの少なくとも一部に対して回転力を伝達していない状態にして、伝達部BTUを回転力の伝達を開始する位置(以下、「駆動開始位置」と表記する)に復帰させる動作(復帰動作)が行われる期間である。制御部CONTは、復帰期間S4における復帰動作によって、伝達部BTUに付加されていた有効張力を解除し、伝達部BTUから回転子SFに回転力が伝達されない状態(回転力非伝達状態)にする。
駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づいて、駆動波形W4AUを生成し、生成した駆動波形W4AUを出力部54を介して第1電歪素子32AUに出力する。これにより、図17に示すように、第1電歪素子32AUは、第1端部22Aが内側に移動するように変形する。同時に、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づいて、駆動波形W4BUを生成し、生成した駆動波形W4BUを出力部54を介して第2電歪素子32BUに出力する。これにより、図16に示すように、第2電歪素子32BUは、第2端部22Bが外側に移動するように変形する。
この復帰動作によって、伝達部BTUは、回転子SFに対する巻き掛けが緩んだ状態になり、回転力非伝達状態になる。この状態において、伝達部BTUと回転子SFとの間に摩擦力は発生せず、回転子SFは慣性によって回転し続けることになる。
図18は、制御の期間のうち、復帰期間S4の次の期間として、伝達過渡期間S1における動作、つまり、図15と同じ伝達過渡動作を示している。このように、制御部CONTは、上記の伝達過渡動作、初期駆動動作、主駆動動作、及び復帰動作の一連の動作を駆動ユニットACUに繰り返し行わせることにより、回転子SFを正回転方向に回転させる。
[順方向駆動及び逆方向駆動の動作]
次に、モータ装置MTRが、順方向駆動及び逆方向駆動を行う場合の制御部CONTの制御について説明する。順方向駆動は、回転子SFに生じる駆動トルクの方向と同じ方向に回転子SFを回転させる駆動動作である。逆方向駆動は、回転子SFに生じる駆動トルクの方向と逆の方向に回転子SFを回転させる駆動動作である。ここで、伝達部BTUが回転子SFに接する際に生じる摩擦力は、駆動トルクの方向と回転子SFの回転方向とが同じ方向か、逆の方向かによって、発生のしかたが異なる。伝達部BTUが回転子SFから離れる際に生じる摩擦力についても同様である。つまりモータ装置MTRは、駆動トルクの方向及び回転子SFの回転方向に応じて、伝達部BTUと回転子SFとの間の摩擦力を制御することにより、回転子SFの駆動トルクの変動を低減することができる。
図19は、順方向駆動の場合の制御プロファイルに基づく駆動波形の一例を示している。
制御プロファイル生成部52は、トルクセンサTSの検出値と角速度センサVSの検出値とに基づいて、回転子SFに生じている駆動トルクの方向と回転子SFの回転方向とを算出する。制御プロファイル生成部52は、駆動トルクの方向と回転子SFの回転方向とが一致している場合に、順方向駆動と判定する。順方向駆動と判定した場合、制御プロファイル生成部52は、伝達過渡期間S1において、伝達過渡動作(第1の伝達過渡動作)として、第1電歪素子32AUの変形開始タイミングを図14において示したタイミングよりも遅らせた制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づき駆動波形W1AU2を生成する。一方、制御プロファイル生成部52は、復帰期間S4において、復帰動作(第1の復帰動作)として、第2電歪素子32BUの変形終了タイミングを図14において示したタイミングよりも早めた制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づき駆動波形W4BU2を生成する。
図20は、逆方向駆動の場合の制御プロファイルに基づく駆動波形の一例を示している。
制御プロファイル生成部52は、トルクセンサTSによって検出された駆動トルクと角速度センサVSによって検出された角速度とに基づいて、回転子SFに生じている駆動トルクの方向と回転子SFの回転方向とを算出する。制御プロファイル生成部52は、駆動トルクの方向と回転子SFの回転方向とが一致していない場合に、逆方向駆動と判定する。逆方向駆動と判定した場合、制御プロファイル生成部52は、伝達過渡期間S1において、伝達過渡動作(第2の伝達過渡動作)として、第2電歪素子32BUの変形開始タイミングを図14において示したタイミングよりも遅らせた制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づき駆動波形W1BU2を生成する。一方、制御プロファイル生成部52は、復帰期間S4において、復帰動作(第2の復帰動作)として、第1電歪素子32AUの変形終了タイミングを図14において示したタイミングよりも早めた制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づき駆動波形W4AU2を生成する。このように、制御プロファイル生成部52は、回転子SFに生じる駆動トルクの方向に応じて、一対の駆動ユニットACUが備える第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUの動作タイミングを変えることによって、伝達部BTUが、回転子SFと接する際、または回転子SFから離れる際の摩擦力を制御する。
[制御ユニット間のトルク受け渡し]
次に、図21を用いて、制御部CONTが、回転子SFに生じる駆動トルクの変動を低減させつつ、複数の駆動ユニットACを協調させて動作させる駆動トルク受け渡し動作の制御について説明する。
駆動トルクは、負荷トルクが変化した場合のほか、伝達部BTと回転子SFとの間における摩擦力の変化に応じて変化することがある。つまり、駆動トルクは、伝達部BTが回転子SFと接し始めるとき、または離れ始めるときに変化することがある。そこで、制御プロファイル生成部52は、トルクセンサTSによって検出された駆動トルクに基づいて、回転子SFに生じる駆動トルクを一定にするように、複数の伝達部BTを協調させて移動させる制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、この生成した制御プロファイルに基づいて、駆動波形を生成し、生成した駆動波形を出力部54を介して電歪素子32に出力する。このようにして、制御部CONTは、駆動ユニットACを協調させて駆動する。
図21は、図16に示す正回転方向に回転子SFを回転させる場合の制御プロファイルに基づく駆動波形の一例を示している。図21に示す駆動波形を用いて、制御部CONTが回転子SFを正回転方向に回転させる制御について説明する。
制御プロファイル生成部52は、回転子SFに生じさせる駆動トルクを、制御の期間に応じて各相の伝達部BTが保持する駆動トルクとして、各相に配分して、伝達部BT全体として回転子SFに与える駆動トルクを一定にするように制御プロファイルを生成する。ここで、説明を簡単にするため、三相のうちU相とV相とについて説明する。U相が初期駆動期間S2であり、V相が復帰期間S4である場合を説明する。他の相の駆動ユニットACは、説明する2相と同等なため、説明を省略する。
U相の伝達部BTUは、初期駆動期間S2において回転子SFを駆動する時に、保持する駆動トルクを徐々に増加させる。一方、V相の伝達部BTVは、復帰期間S4において回転子SFから離れる時に、それまで保持していた駆動トルクを徐々に減少させる。このとき、例えば、制御プロファイル生成部52は、U相の伝達部BTUに保持させる駆動トルクと、V相の伝達部BTVに保持させる駆動トルクとの和が一定になるようにして、トルクセンサTSによって検出された駆動トルクに基づいて制御プロファイルを生成する。つまり、制御プロファイル生成部52は、図21に示すような駆動波形W2BUと、駆動波形W2AUと、駆動波形W2BVと、駆動波形W2AVとに相当する各制御プロファイルを生成する。駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づいて、駆動波形を生成し、生成した駆動波形(図21参照)を出力部54を介してU相及びV相の電歪素子32に出力する。また、制御プロファイル生成部52は、伝達部BTUに保持させる駆動トルクが変動した場合に、生成した制御プロファイルを変える。
つまり制御プロファイル生成部52は、回転子SFに発生させる駆動トルクのうちV相の伝達部BTVが保持する駆動トルクの少なくとも一部をU相の伝達部BTUに保持させるように制御プロファイルを生成する。そして、駆動波形生成部53は、生成された制御プロファイルに基づいて第1電歪素子32AU及び第2電歪素子32BUの駆動波形を生成する。
このようにして、制御部CONTは、U相の伝達部BTU及びV相の伝達部BTVを制御することにより、保持させる回転子SFの駆動トルクを各相の伝達部BT間で受け渡しながら、回転子SFを回転させる。
以上説明したように、本実施形態のモータ装置MTRは、回転子SFと、回転子SFの少なくとも一部に掛けられる伝達部BTと、伝達部BTに接続され、伝達部BTを移動させる駆動ユニットACと、回転子SFと伝達部BTとの間を回転力伝達状態にして伝達部BTを移動させる駆動動作と、回転子SFと伝達部BTとの間を回転力非伝達状態にして伝達部BTを所定の位置に戻す復帰動作とを駆動ユニットACに行わせる制御部CONTとを備えている。また、本実施形態のモータ装置MTRが駆動動作を行う駆動期間は、少なくとも初期駆動期間S2及び主駆動期間S3を含み、制御部CONTは、初期駆動期間S2における初期駆動動作と主駆動期間S3における主駆動動作とを駆動ユニットACに行わせる。
これにより、本実施形態のモータ装置MTRは、例えば、ロボットアームなど旋回系被駆動部の駆動に必要なトルクを、伝達部BTによって回転子SFに発生させることができるため、回転子SFに減速機を取り付ける必要がない。したがって、例えば、モータ装置MTRは、減速機のバックラッシュによる回転子SFの制御精度の低下を防ぐことができる。また、本実施形態の制御部CONTは、駆動ユニットACに初期駆動動作を行わせるため、例えば、駆動動作を開始する際に発生する、伝達部BT及び駆動ユニットACを含む部材の剛性に基づいて生ずるたわみによるトルク伝達遅れを、低減させることができる。そのため、モータ装置MTRは、回転子SFの駆動トルク変動を低減させることができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
さらに、複数の伝達部BTを有する場合において、制御部CONTは、初期駆動動作により、伝達部BTVが回転子SFから離れる際に発生する回転子SFのトルク変動を、伝達部BTUが回転子SFに与える駆動トルクによって相殺することができる。つまりモータ装置MTRは、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
また、本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、駆動トルクに基づいた制御プロファイル(第1の駆動条件)によって初期駆動動作を駆動ユニットACに行わせる。上述したように、制御プロファイルは、回転子SFの駆動トルク及び角速度、電歪素子32の駆動速度、駆動電圧、又は駆動時間などに基づいて定められる。これにより、制御部CONTは、回転子SFの回転角速度、負荷トルク及び加速トルクなどの駆動条件の変化に対して、伝達部BTと回転子SFとの間に生じる摩擦力を制御することができる。つまりモータ装置MTRは、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
また、本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、駆動トルクのうち伝達部BTに保持させる駆動トルクに基づいて制御プロファイル(第1の駆動条件)を変える。
ここで、駆動トルクのうち伝達部BTに保持させる駆動トルクとは、例えば上述した図1に示すように、協調して回転子SFを回転させる3つの伝達部BTのうち、U相の伝達部(伝達部)BTUが受け持つ駆動トルクのことである。U相の伝達部BT1、V相の伝達部BTV、W相の伝達部BTWは、それぞれが受け持つ駆動トルクの大きさを授受しつつ動作して、回転子SFに駆動トルクを与え、回転子SFを回転させる。
さらに、本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、駆動期間において、駆動トルクのうちV相の伝達部(第2の伝達部)BTVが保持する駆動トルクの少なくとも一部をU相の伝達部(第1の伝達部)BTUに分担させるように駆動ユニットACを駆動させる。
これにより、制御部CONTは、例えば、伝達部BTVが回転子SFに与えるトルク変動を、伝達部BTUが保持する駆動トルクによって相殺させて、回転子SFに発生する駆動トルクが一定になるようにして、回転子SFを回転させることができる。つまりモータ装置MTRは、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
また、本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、初期駆動動作として第1の駆動速度で駆動ユニットACを駆動させ、主駆動動作として第2の駆動速度で駆動ユニットACを駆動させる。
さらに、本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、初期駆動期間S2において、第2の駆動速度より速い第1の駆動速度によって駆動ユニットACを駆動させる。
図14に示すように、制御部CONTは、例えば、初期駆動期間S2における第1電歪素子32A及び第2電歪素子32Bの変形速度(第1の駆動速度)を、主駆動期間S3における第1電歪素子32A及び第2電歪素子32Bの変形速度(第2の駆動速度)よりも大きくする。
これにより、制御部CONTは、例えば、駆動動作を開始する際に発生する、伝達部BT及び駆動ユニットACを含む部材の剛性に基づいて生ずるたわみによるトルク伝達遅れを、低減させることができる。そのためモータ装置MTRは、回転子SFの駆動トルク変動を低減させることができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
また、本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、復帰動作を行う復帰期間S4と駆動期間との間に、回転力非伝達状態から回転力伝達状態に移行させる伝達過渡動作を駆動ユニットACに行わせる。
制御部CONTは、伝達過渡動作によって、伝達部BTと、回転子SFとの間の摩擦力を制御することができる。また、制御部CONTは、伝達部BTUを回転力非伝達状態から回転力伝達状態に変化させる際に、他の伝達部BTに復帰動作をさせて、同様に摩擦力を制御することができる。これにより、摩擦力の変化によって回転子SFに発生するトルク変化を相殺することができる。つまりモータ装置MTRは、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、伝達過渡動作及び復帰動作として、後述する順方向駆動の場合は、伝達過渡動作(第1の伝達過渡動作)及び復帰動作(第1の復帰動作)を駆動ユニットACに行わせ、後述する逆方向駆動の場合は、伝達過渡動作(第2の伝達過渡動作)及び復帰動作(第2の復帰動作)を駆動ユニットACに行わせる。
このため、制御部CONTは、回転子SFの回転方向及び駆動トルクの発生方向に応じて、伝達部BTUが、回転子SFと接する際、または回転子SFから離れる際の摩擦力を制御することができる。つまりモータ装置MTRは、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
また、本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、伝達過渡動作を行う伝達過渡期間S1において、互いに異なる駆動速度で一対の第1駆動ユニットACを駆動させる。
このため、制御部CONTは、回転している回転子SFに伝達部BTを接し始める際に、回転子SFと伝達部BTとの間に発生する摩擦力を制御することができる。また、モータ装置MTRは、同時に他の伝達部BTに復帰動作をさせて、同様に摩擦力を制御することができる。これにより、摩擦力の変化によって回転子SFに発生するトルク変化を相殺することができる。つまりモータ装置MTRは、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
また、本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、復帰期間S4において、互いに異なる駆動速度で一対の第1駆動ユニットACを駆動させる。
これにより、制御部CONTは、回転している回転子SFから伝達部BTが離れる際に、回転子SFと伝達部BTとの間に発生する摩擦力を制御することができる。また、モータ装置MTRは、同時に他の伝達部BTに伝達過渡動作をさせて、同様に摩擦力を制御することができる。これにより、摩擦力の変化によって回転子SFに発生するトルク変化を相殺することができる。つまりモータ装置MTRは、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
なお、本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、上述した制御プロファイルに応じた駆動波形、すなわち、初期駆動動作に対応させた初期駆動波形と主駆動動作に対応させた主駆動波形とに基づいて駆動ユニットACを駆動させる。
本実施形態のモータ装置MTRが備える制御部CONTは、これら初期駆動波形と主駆動波形とに基づいて駆動ユニットACを駆動させることにより、回転子SFの駆動トルク変動を低減させることができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
なお、本実施形態のモータ装置MTRは、駆動ユニットACを駆動する際に、制御部CONTが有している制御プロファイル生成部52が、制御プロファイルを生成するとして説明したが、これに限られない。例えば、制御部CONTは、制御プロファイル記憶部55と、制御プロファイル選択部56とを有しており、制御プロファイル記憶部55に予め記憶されている、駆動トルクに応じた複数の制御プロファイルのうちから、制御プロファイル選択部56が駆動トルクに基づいていずれかの制御プロファイルを選択してもよい。
また、例えば、制御部CONTは、制御プロファイル生成部52を有しておらず、外部の制御プロファイル生成装置によって駆動トルクに基づいて生成された制御プロファイルを取得してもよい。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図23は、本実施形態に係るモータ装置MTRに、生成した制御プロファイルを供給するモータ制御プロファイル生成装置GENの一例を示す概略構成図である。本実施形態におけるモータ装置MTRは、回転子SFと、複数の伝達部BTと、複数の駆動ユニットACと、支持部材BSと、制御部CONT2とを有している。また、駆動ユニットACは、複数の電歪素子32を有している。なお、第1の実施形態と同じ構成及び動作については説明を省略する。また、本実施形態における制御プロファイルの生成ステップは、上記した第1の実施形態における生成ステップと同等なため、説明を省略する。
図24は、本実施形態におけるモータ制御プロファイル生成装置GENと、制御部CONT2との一例を示すブロック図である。
[モータ制御プロファイル生成装置GENの構成]
モータ制御プロファイル生成装置GENは、目標値取得部501と、制御プロファイル生成部502と、出力部503とを備えている。
目標値取得部501は、上位装置に接続され、上位装置によって設定された回転子SFの駆動トルクの目標値(目標駆動トルク)を、上位装置から取得する。目標値取得部501は、取得した駆動トルクの目標値をデジタル符号化して、デジタル符号化した駆動トルクの目標値を制御プロファイル生成部502に出力する。
制御プロファイル生成部502は、目標値取得部501によって取得された駆動トルクの目標値と、回転子SFに生じている駆動トルクと、回転子SFの角速度とに基づいて、回転子SFの制御プロファイルを生成する。制御プロファイル生成部52は、トルクセンサTSによって検出された回転子SFに生ずる駆動トルクの大きさ及び方向を取得する。また、制御プロファイル生成部52は、角速度センサVSによって検出された回転子SFの角速度を取得する。駆動波形生成部505は、エンコーダENCによって検出された回転子SFの回転位置を取得する。制御プロファイル生成部52は、目標駆動トルクと、トルクセンサTSによって検出された駆動トルクと、検出された回転子SFの回転位置と、検出された回転子SFの角速度と、に基づいて、制御プロファイルを生成する。
出力部503は、制御プロファイル生成部502によって生成された制御プロファイルを制御部CONT2が有する駆動波形生成部505に出力する。
[制御部CONT2の構成]
本実施形態における制御部CONT2は、駆動波形生成部505と、出力部506とを有している。つまり、本実施形態の制御部CONT2は、第1の実施形態において説明した、図5に示す制御プロファイル生成部52を有していない。本実施形態の制御部CONT2は、モータ制御プロファイル生成装置GENによって生成された制御プロファイルに基づいて駆動ユニットACの制御を行う。
駆動波形生成部505は、モータ制御プロファイル生成装置GENが有する制御プロファイル生成部502によって生成された回転子SFの制御プロファイルに基づいて、駆動ユニットACが電歪素子32に供給する駆動波形を生成する。
出力部506は、駆動波形生成部505によって生成された駆動波形を増幅し、増幅した駆動波形を、駆動ユニットACが有する電歪素子32に出力する。
なお、モータ制御プロファイル生成装置GENは、目標値取得部501と、制御プロファイル生成部502と、駆動波形生成部505と、出力部503とを備える構成でもよい。
以上のように、本実施形態のモータ制御プロファイル生成装置GENは、駆動動作を行う駆動期間は少なくとも初期駆動期間S2及び主駆動期間S3を含み、初期駆動期間S2における初期駆動動作と主駆動期間S3における主駆動動作とを駆動ユニットACに行わせる制御プロファイルを生成する制御プロファイル生成ステップを有している。また、本実施形態のモータ装置MTRは、モータ制御プロファイル生成装置GENによって生成された制御プロファイルに基づいて駆動ユニットACを駆動する。
これにより、本実施形態のモータ制御プロファイル生成装置GENは、例えば、ロボットアームなど被駆動部の駆動に必要なトルクを伝達部BTによって回転子SFに発生させるモータ装置MTRに、接続することができる。このようなモータ装置MTRは、例えば回転子SFに減速機を取り付ける必要がないため、減速機のバックラッシュによる回転子SFの制御精度の低下を防ぐことができる。
また、本実施形態のモータ制御プロファイル生成装置GENは、初期駆動動作を含む制御プロファイルを生成する。このため、モータ制御プロファイル生成装置GENは、接続されるモータ装置MTRの、例えば、駆動動作を開始する際に発生する、伝達部BT及び駆動ユニットACを含む部材の剛性に基づいて生ずるたわみによるトルク伝達遅れを、低減させることができる。そのため、モータ制御プロファイル生成装置GENは、接続されるモータ装置MTRの、回転子SFの駆動トルク変動を低減させることができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
さらに、モータ制御プロファイル生成装置GENは、モータ装置MTRが、複数の伝達部BTを有する場合において、初期駆動動作により、伝達部BTVが回転子SFから離れる際に発生する回転子SFのトルク変動を、伝達部BTUが回転子SFに与える駆動トルクによって相殺することができる。つまりモータ制御プロファイル生成装置GENは、接続されるモータ装置MTRの、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
また、本実施形態のモータ制御プロファイル生成装置GENは、制御プロファイル生成ステップに、駆動期間における駆動トルクに基づいて、駆動期間における制御プロファイルを生成することを含んでいる。
これにより、モータ制御プロファイル生成装置GENは、接続されるモータ装置MTRの、回転子SFの回転角速度、負荷トルク及び加速トルクなどの駆動条件の変化に対して、伝達部BTと回転子SFとの間に生じる摩擦力を制御することができる。つまりモータ制御プロファイル生成装置GENは、接続されるモータ装置MTRの、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
また、本実施形態のモータ装置MTRが備える、モータ制御プロファイル生成装置GENは、駆動期間における駆動トルクと回転子SFを回転させる負荷トルクに抗して回転子SFを保持する保持トルクとに基づいて、駆動期間と回転力非伝達状態から回転力伝達状態に移行させる伝達過渡動作を行う伝達過渡期間S1とにおける制御プロファイルを生成する。
したがってモータ制御プロファイル生成装置GENは、伝達過渡動作によって、接続されるモータ装置MTRの伝達部BTと回転子SFとの間の摩擦力を制御することができる。また、モータ制御プロファイル生成装置GENは、接続されるモータ装置MTRの他の伝達部BTに復帰動作をさせて、同様に摩擦力を制御することができる。これにより、摩擦力の変化によって回転子SFに発生するトルク変化を相殺することができる。つまりモータ制御プロファイル生成装置GENは、接続されるモータ装置MTRの、回転子SFのトルク変動を低減することができ、回転子SFを高精度に制御することができる。
このように、本実施形態の制御プロファイル生成ステップによって生成された制御プロファイルによれば、上述した総合剛性を考慮して駆動トルクを2つの伝達部BT間において受け渡すことが可能になる。
このため、本実施形態のモータ制御プロファイル生成装置GENは、伝達過渡期間S1、初期駆動期間S2、主駆動期間S3及び復帰期間S4において総合剛性及び摩擦力の変化に起因した回転子SFの駆動トルク変動を低減させることができ、接続されるモータ装置MTRの、回転子SFを高精度に制御することができる。
なお、モータ制御プロファイル生成装置GENは、制御部CONT2に接続される独立したユニットとして説明したが、制御部CONT2に組み込まれるICのような電子部品であってもよい。この場合、モータ制御プロファイル生成装置GENを小型化することができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態として、上記のモータ装置MTRを備えるロボット装置RBTへの適用例を説明する。
図25は、モータ装置MTRを例えばロボットアームARMに適用させた構成を示す図である。
図25に示すように、モータ装置MTRがカップリングCPLを介してロボットアームARMに接続されている。上記実施形態のモータ装置MTRは、上述した制御プロファイルによって駆動ユニットACを制御するため、ロボットアームARMを高精度に駆動させることができる。また、上記実施形態のモータ装置MTRは、ロボットの関節部分や工作機械の駆動ユニットACなどにも応用することができる。これによって、モータ装置MTRが備える制御部CONT2は、回転子SFを高精度に制御することができる。
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、回転子SFが中実である構成としたが、これに限られることは無い。特に第3実施形態のように、ロボットアームARMなどの旋回系機械にモータ装置MTRを搭載する場合などには、例えば図26(a)に示すように、回転子SFを中空の構成としても構わない。図26(a)に示すように、回転子SFは、回転軸方向に貫通する貫通部71を有している。貫通部71には、円筒状のベアリング70が設けられている。回転子SFは、当該ベアリング70の周囲に回転可能になっている。
また、図26(b)に示すように、ベアリング70の内部には、例えば配線72などを配置させることができる。このように、回転子SFを配線配管として用いることも可能である。
また、上記実施形態においては、回転伝達状態として、回転子SFと伝達部BTとの間が摩擦力によって滑らない状態であるとして説明したが、これに限られることは無い。例えば図27に示すように、回転子SFと伝達部BTとを係合させた状態を回転伝達状態としても構わない。同図に示すように、回転子SFには凸部15が設けられており、当該凸部15と噛みあうように伝達部BTに凹部25が設けられている。このように、回転子SFの凸部15と伝達部BTの凹部25とを係合させることで回転力を伝達する構成であっても構わない。
なお、例えば、回転子SFの凸部15が設けられる方向は、特に限定されることは無く、ランダムな方向、回転子SFの回転軸方向、や回転子SFの円周方向、などでもよい。また、本実施形態においては、回転子SFに凹部を設け、伝達部BTに凸部を設ける構成としてもよい。
なお、上記凸部(例えば、凸部15)又は上記凹部(例えば、凹部25)のサイズは、特に限定はされないが、駆動ユニットACによって伝達部BTを緩ませることが可能な程度に小さいこと、又は駆動ユニットACによって回転子SFと伝達部BTとの間に隙間を生じさせることが可能な程度に小さいことが望ましい。ここで、本実施形態における係合とは、例えば、回転子SFの凸部15と伝達部BTの凹部25とが噛み合うこと、回転子SFの凸部15と伝達部BTの凹部25とが嵌め合うこと、回転子SFの凸部15と伝達部BTの凹部25とが継なぎ合うこと、なども含むものであって、回転子SFの凸部15と伝達部BTの凹部25とが完全に係合している必要はない。
また、上記実施形態においては、伝達部BTを回転子SFに対して360°巻き掛けて交差部分21を設ける閉ベルト構造としたが、これに限られることは無く、例えば図28に示すように、伝達部BTを回転子SFに対して360°未満の角度で巻き掛けた開ベルト構造としても構わない。この場合、伝達部BTの幅を全て回転力伝達に用いることができるので、トルクを効率的に伝達可能となる。
また、上記実施形態では、回転子SFの回転軸方向に伝達部BTがずれるのを防ぐため、位置ずれ抑制部を設ける構成としても構わない。また、回転子SFの拡径部12において、伝達部BTごとに径が異なるように形成されていても構わない。この構成によれば、伝達部BTごとにトルクの伝達を異ならせることができるため、幅広い駆動が可能となる。
上記実施形態では、回転子SFの表面が平坦な構成を例に挙げて説明したが、これに限定されることは無く、例えば回転子SFの表面に溝部として溝が形成されている構成としても構わない。また、上記実施形態では、伝達部BTの表面が平坦な構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば伝達部BTの表面に溝部として溝が形成されている構成としても構わない。上記の回転子SFの表面に形成された溝と伝達部BTの表面に形成された溝とのうち少なくとも一方の溝により、伝達部BTと回転子SFとの間に空気の流路が形成されることになるため、伝達部BTが回転子SFに固着されるのを防ぐことができ、伝達部BTを回転子SFに対して容易に着脱させることができる。また、上記のように溝を設けることで、回転時に発生する伝達部BTと回転子SFとの擦れによる塵などを溝に入れることができ、伝達部BTと回転子SFとの間の摩擦力を一定にし、安定な回転を得ることができる。なお、例えば、回転子SFの表面に溝部が設けられる方向は、特に限定されることは無く、ランダムな方向、回転子SFの回転軸方向、や回転子SFの円周方向、などでよい。
上記実施形態では、伝達部BTが帯状に形成された例を説明したが、これに限られることは無く、例えば線状、鎖状に形成されていても構わない。
上記実施形態では、例えば、第1電歪素子32AUと第2電歪素子32BUとの変位によって張力を制御できるので、駆動停止時においても保持トルクの制御が可能である。
上記実施形態では、伝達部BTを移動させる駆動ユニットACが電歪素子32を有する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば駆動ユニットACが電歪素子32に代えて磁歪素子、電磁石、VCM(ボイスコイルモータ)など、他のアクチュエータを用いる構成であっても構わない。例えば磁歪素子を用いた場合、推力を高くすることができる。電磁石を用いた場合は、高推力、長ストロークの駆動が可能である。VCMを用いた場合、長ストロークの駆動が可能であり、トルク制御が容易となる。
なお、図1における制御部CONT、または、この制御部CONTが備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
なお、この制御部CONT、または、この制御部CONTが備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、この制御部CONT、または、この制御部CONTが備える各部はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、制御部CONT、または、この制御部CONTが備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
また、図1における制御部CONT、または、この制御部CONTが備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部CONT、または、この制御部CONTが備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
なお、図24におけるモータ制御プロファイル生成装置GEN、または、このモータ制御プロファイル生成装置GENが備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
なお、このモータ制御プロファイル生成装置GEN、または、このモータ制御プロファイル生成装置GENが備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、このモータ制御プロファイル生成装置GEN、または、このモータ制御プロファイル生成装置GENが備える各部はメモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、モータ制御プロファイル生成装置GEN、または、このモータ制御プロファイル生成装置GENが備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
また、図24におけるモータ制御プロファイル生成装置GEN、または、このモータ制御プロファイル生成装置GENが備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、モータ制御プロファイル生成装置GEN、または、このモータ制御プロファイル生成装置GENが備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
MTR…モータ装置、SF…回転子、BT…伝達部、AC…駆動ユニット、CONT…制御部、GEN…モータ制御プロファイル生成装置、RBT…ロボット装置、32…電歪素子(駆動部)

Claims (20)

  1. 回転子と、
    前記回転子の少なくとも一部に掛けられる伝達部と、
    前記伝達部に接続され、前記伝達部を移動させる駆動部と、
    前記回転子と前記伝達部との間を回転力伝達状態にして前記伝達部を移動させる駆動動作と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力非伝達状態にして前記伝達部を所定の位置に戻す復帰動作とを前記駆動部に行わせる制御部と
    を備え、
    前記駆動動作を行う駆動期間は、少なくとも初期駆動期間及び主駆動期間を含み、
    前記制御部は、前記初期駆動期間における初期駆動動作と前記主駆動期間における主駆動動作とを前記駆動部に行わせる
    ことを特徴とするモータ装置。
  2. 前記制御部は、駆動トルクに基づいた制御プロファイルによって前記初期駆動動作を前記駆動部に行わせる
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ装置。
  3. 前記制御部は、前記駆動トルクのうち前記伝達部に保持させる駆動トルクに基づいて前記制御プロファイルを変える
    ことを特徴とする請求項2に記載のモータ装置。
  4. 前記制御部は、前記初期駆動動作において、前記回転子を回転させつつ、前記伝達部とは異なる第2の伝達部と前記伝達部とに対して前記駆動トルクの少なくとも一部を受け渡しさせる
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のモータ装置。
  5. 前記回転子の少なくとも一部に掛けられる第2の伝達部を備え、
    前記制御部は、少なくとも前記初期駆動期間において、前記駆動トルクのうち前記第2の伝達部が保持する駆動トルクの少なくとも一部を前記伝達部に保持させるように前記駆動部を駆動させる
    ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のモータ装置。
  6. 前記制御部は、前記初期駆動動作として第1の駆動速度で前記駆動部を駆動させ、前記主駆動動作として第2の駆動速度で前記駆動部を駆動させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のモータ装置。
  7. 前記制御部は、前記初期駆動期間において、前記第2の駆動速度より速い前記第1の駆動速度によって前記駆動部を駆動させる
    ことを特徴とする請求項6に記載のモータ装置。
  8. 前記制御部は、前記復帰動作を行う復帰期間と前記駆動期間との間に、前記回転力非伝達状態から前記回転力伝達状態に移行させる伝達過渡動作を前記駆動部に行わせる
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のモータ装置。
  9. 前記伝達過渡動作は、
    駆動トルクの方向と一致する方向に前記回転子を回転させる前記駆動動作を行う順方向駆動に対応する第1の伝達過渡動作と、前記駆動トルクの方向と逆の方向に前記回転子を回転させる前記駆動動作を行う逆方向駆動に対応する第2の伝達過渡動作とを含み、
    前記復帰動作は、
    前記順方向駆動に対応する第1の復帰動作と、前記逆方向駆動に対応する第2の復帰動作とを含み、
    前記制御部は、
    前記伝達過渡動作及び前記復帰動作として、前記順方向駆動の場合は、前記第1の伝達過渡動作及び前記第1の復帰動作を前記駆動部に行わせ、前記逆方向駆動の場合は、前記第2の伝達過渡動作及び前記第2の復帰動作を前記駆動部に行わせる
    ことを特徴とする請求項8に記載のモータ装置。
  10. 前記駆動部は、一対の第1駆動部を備え、
    前記一対の第1駆動部のうち一方は前記伝達部の一端に接続されて、前記一対の第1駆動部のうち他方は前記伝達部の他端に接続され、
    前記制御部は、前記伝達過渡動作を行う伝達過渡期間において、互いに異なる駆動速度で前記一対の第1駆動部を駆動させる
    ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載のモータ装置。
  11. 前記制御部は、前記復帰期間において、互いに異なる駆動速度で前記一対の第1駆動部を駆動させる
    ことを特徴とする請求項10に記載のモータ装置。
  12. 前記制御部は、前記初期駆動動作に対応させた初期駆動波形と前記主駆動動作に対応させた主駆動波形とに基づいて前記駆動部を駆動させる
    ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のモータ装置。
  13. 回転子と、
    前記回転子の少なくとも一部に掛けられる伝達部と、
    前記回転子に生じた駆動トルクの少なくとも一部を前記伝達部に受け渡しさせる初期駆動動作と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力伝達状態にして前記伝達部を移動させる主駆動動作と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力非伝達状態にして前記伝達部を所定の位置に戻す復帰動作とを前記駆動部に行わせる制御部と
    を備えることを特徴とするモータ装置。
  14. 前記制御部は、前記伝達部に対して前記回転子の径方向に力が加えられた前記回転力伝達状態にして、前記初期駆動動作及び前記主駆動動作を前記駆動部に行わせる
    ことを特徴とする請求項13に記載のモータ装置。
  15. 回転子と前記回転子の少なくとも一部に掛けられる伝達部との間を回転力伝達状態として前記伝達部を移動させる駆動動作と、前記回転子と前記伝達部との間を回転力非伝達状態として前記伝達部を所定の位置に戻す復帰動作とを前記駆動部に行わせるための制御プロファイルの生成方法であって、
    前記駆動動作を行う駆動期間は少なくとも初期駆動期間及び主駆動期間を含み、前記初期駆動期間における初期駆動動作と前記主駆動期間における主駆動動作とを前記駆動部に行わせる前記制御プロファイルを生成する制御プロファイル生成ステップ
    を有することを特徴とする制御プロファイルの生成方法。
  16. 前記制御プロファイル生成ステップは、前記駆動期間における駆動トルクに基づいて、前記駆動期間における前記制御プロファイルを生成することを含む
    ことを特徴とする請求項15に記載の制御プロファイルの生成方法。
  17. 前記制御プロファイル生成ステップは、
    前記駆動期間における駆動トルクと、前記回転子を回転させる負荷トルクに抗して前記回転子を保持する保持トルクとに基づいて、前記駆動期間と前記回転力非伝達状態から前記回転力伝達状態に移行させる伝達過渡動作を行う伝達過渡期間とにおける前記制御プロファイルを生成する
    ことを特徴とする請求項15に記載の制御プロファイルの生成方法。
  18. 請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の制御プロファイルの生成方法によって生成された前記制御プロファイルに基づいて前記駆動部を駆動させる制御部を備える
    ことを特徴とするモータ装置。
  19. 請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の制御プロファイル生成方法によって前記制御プロファイルを生成する
    ことを特徴とするモータ制御プロファイル生成装置。
  20. 請求項1から請求項14のいずれか一項、または請求項18に記載のモータ装置
    を備えることを特徴とするロボット装置。
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