JP2013068875A - 可変焦点レンズおよびその製造方法ならびに可変焦点レンズを備えた撮像装置 - Google Patents

可変焦点レンズおよびその製造方法ならびに可変焦点レンズを備えた撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】2種の媒質の界面を光の屈折面とする可変焦点レンズにおいて、環境温度の変動に拘わらず圧電アクチュエータを安定的に駆動する。
【解決手段】
第1および第2の液体L1,L2をそれぞれ収容する液室45,46を有すると共に、当該液室を連通する光路孔28が形成された容器と、これら液室内における第1および第2の液体の圧力または体積を変動させる圧電アクチュエータ35とを備えた可変焦点レンズ14において、光路孔には、光が通過する第1および第2の液体の界面が形成され、圧電アクチュエータは、第1および第2の液室を仕切るように設けられ、第1または第2の媒質側に変位可能である構成とした。
【選択図】図5

Description

本発明は、焦点距離を変更可能な可変焦点レンズおよびその製造方法ならびに可変焦点レンズを備えた撮像装置に関する。
近年、媒質(液体等)の界面形状を変化させることにより焦点距離を変更する可変焦点レンズが開発されている。例えば、互いに屈折率が異なる2種の液体の界面を光の屈折面とする可変焦点レンズであって、2種の液体を収容する容器と、2種の液体の一方の圧力または体積を変動させるピエゾ素子を用いた圧電アクチュエータとを備え、容器内の2種の液体は互いに混和しない状態で接触して界面を形成すると共に、その界面に光を通過させるように光路が配置され、圧電アクチュエータの駆動によって界面の曲率を変化させることにより焦点距離を変更可能としたものが存在する(特許文献1参照)。
このような液状の媒質を用いる可変焦点レンズでは、光学ガラス製のレンズ部材を用いる可変焦点レンズの場合に比べて、コンパクトな構成でありながら、焦点距離の制御を高速に行うことができるという利点がある。
特開2009−217249号公報
ところで、上記特許文献1に記載の従来技術では、圧電アクチュエータは、一方の液体が収容される液室の開口部に配置されることにより、当該一方の液体の圧力または体積を変動させることが可能となっている。
しかしながら、上記従来技術では、環境温度の変動(すなわち、液体の膨張・収縮等)により容器内の圧力が増減すると、圧電アクチュエータの駆動(振幅等)に悪影響を及ぼし得るという問題があった。加えて、この種の可変焦点レンズでは、圧電アクチュエータの駆動により、液体の界面形状をより高速に変化させることが望ましい。
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、環境温度の変動に拘わらず圧電アクチュエータを安定的に駆動して、2種の媒質の界面形状(すなわち、焦点距離)を変化させることを可能とした可変焦点レンズおよびその製造方法ならびに可変焦点レンズを備えた撮像装置を提供することを主目的とする。
本発明の可変焦点レンズは、互いに屈折率が異なる第1および第2の媒質の界面を光の屈折面とする可変焦点レンズであって、前記第1および第2の媒質をそれぞれ収容する第1および第2の液室を有すると共に、当該第1および第2の液室を連通する光路孔が形成された容器と、前記第1および第2の液室内における前記第1および第2の媒質の圧力または体積を変動させる圧電アクチュエータとを備え、前記光路孔には、前記光が通過する前記第1および第2の媒質の界面が形成され、前記圧電アクチュエータは、前記第1および第2の液室を仕切るように設けられ、前記第1または第2の媒質側に変位可能であることを特徴とする。
このように本発明によれば、環境温度の変動に拘わらず圧電アクチュエータを安定的に駆動して、媒質の界面形状を高速に変化させることが可能となるという優れた効果を奏する。
第1実施形態に係る可変焦点レンズ14を内蔵した撮像装置1の斜視図 図1中のカメラ部3の内部構成を示す断面図 第1実施形態に係る可変焦点レンズ14の一部切り欠き斜視断面図 第1実施形態に係る可変焦点レンズ14の分解斜視図 第1実施形態に係る可変焦点レンズ14の動作を示す模式的断面図 図5(A)中のVI部に対応する可変焦点レンズ14のピン止め部33の詳細形状を示す説明図 図5(A)中のVII部に対応する気泡貯留部43における気泡の状態を示す説明図((A)高圧時、(B)低圧時) 第2実施形態に係る可変焦点レンズ14を示す模式的断面図 図8中のIX部に対応する可変焦点レンズ14の変形例を示す図 第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の分解斜視図 第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の断面図 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図((A)平面図および(B)B−B線断面図) 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図((A)平面図および(B)B−B線断面図) 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図((A)平面図および(B)B−B線断面図) 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図((A)平面図および(B)B−B線断面図) 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図((A)平面図および(B)B−B線断面図) 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図((A)平面図および(B)B−B線断面図) 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図((A)平面図および(B)B−B線断面図) 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図((A)平面図および(B)B−B線断面図) 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す模式図((A)平面図および(B)B−B線断面図) 図23(A)中の駆動部72を下面側から視た図 図23(A)中XXV−XXV線断面図 図23(A)中XXVI−XXVI線断面図 図11の可変焦点レンズ14の一製造工程を示す図 第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の配線構造を示す要部平面図 第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の配線構造を示す要部断面図 第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の配線構造の変形例を示す模式的断面図 第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の駆動部72の変形例を示す模式的断面図 第4実施形態に係る可変焦点レンズ14の一製造工程を示す図 第4実施形態に係る可変焦点レンズ14の一製造工程を示す図 第5実施形態に係る可変焦点レンズ14の一製造工程を示す図 第5実施形態に係る可変焦点レンズ14の膜製造工程を示す図
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、互いに屈折率が異なる第1および第2の媒質の界面を光の屈折面とする可変焦点レンズであって、前記第1および第2の媒質をそれぞれ収容する第1および第2の液室を有すると共に、当該第1および第2の液室を連通する光路孔が形成された容器と、前記第1および第2の液室内における前記第1および第2の媒質の圧力または体積を変動させる圧電アクチュエータとを備え、前記光路孔には、前記光が通過する前記第1および第2の媒質の界面が形成され、前記圧電アクチュエータは、前記第1および第2の液室を仕切るように設けられ、前記第1または第2の媒質側に変位可能である構成とする。
これによると、2つの液室を仕切るように設けられた圧電アクチュエータを第1または第2の媒質側に変位させる構成としたため、環境温度等の変化により可変焦点レンズの内部圧力が変化した場合でも、圧電アクチュエータの両側(第1および第2の媒質側)の圧力を常に等しく保持することができる。したがって、環境温度の変動に拘わらず圧電アクチュエータを安定的に駆動して、2種の媒質の界面形状(すなわち、焦点距離)を変化させることが可能となる。
また、第2の発明は、上記第1の発明に関し、前記圧電アクチュエータは、前記光路孔の少なくとも一部を画成する光路開口を有する構成とする。
これによると、容器の大型化を回避しつつ、圧電アクチュエータによって2つの液室を仕切る構成を容易に実現できる。
また、第3の発明は、上記第2の発明に関し、前記光路開口は、前記光路孔における最小径部を画成する構成とする。
これによると、第1および第2の媒質の界面の位置(周縁の位置)を圧電アクチュエータの光路開口の内周縁部に固定することができ、2種の媒質の界面形状を安定的に変化させることが可能となる。
また、第4の発明は、上記第3の発明に関し、前記圧電アクチュエータが、圧電体を一対の電極で挟持した膜状の圧電素子からなり、当該一対の電極における一方の電極により、前記光路孔における前記最小径部を画成する構成とする。
これによると、一方の電極に形成された開口によって最小径部を画成できるため、第1および第2の媒質の界面の位置を簡易かつ高精度に設定することが可能となる。
また、第5の発明は、上記第4の発明に関し、前記圧電アクチュエータが、互いに大きさの異なる圧電体を有する複数の圧電アクチュエータを含む構成とする。
これによると、圧電アクチュエータの駆動状態(圧力または体積の変動量)を複数段階で調節することが可能となる。
また、第6の発明は、上記第1〜第5の発明のいずれかに関し、前記第1および第2の液室の少なくとも一方の内壁には、前記第1または第2の媒質に混入された気泡を貯留する凹部が形成され構成とする。
これによると、第1または第2の媒質の圧力が変動した場合でも、凹部内の気泡が収縮または膨張することにより、容器の破損や媒質の漏れ等を防止することができる。
また、第7の発明は、上記第1または第2の発明に関し、前記容器には、前記光路孔を閉鎖すると共に、前記第1および第2の媒質の境界をなす透明膜が設けられた構成とする。
これによると、光路孔に最小径部を設ける必要がなく、その加工精度の影響を受けずに界面を所望の曲率に安定的に変形させることができる。
また、第8の発明は、上記第1の発明に関し、前記光路孔の内周には、前記光路孔における最小径部を画成する環状の尖形凸部が形成された構成とする。
これによると、第1および第2の媒質の界面の位置(周縁の位置)を尖形凸部に固定することができ、2種の媒質の界面形状を安定的に変化させることが可能となる。
また、第9の発明は、上記第1〜第8の発明のいずれかに関し、前記第1および第2の媒質の一方は、フッ素系の液体を用いる構成とする。
これによると、可変焦点レンズとして必要な非電離性等の性質を保ちながらその組成を任意に変更可能とすることができ、所望の屈折率、密度をもつ液体を容易に得ることができる。
また、第10の発明は、上記第1から第9の発明のいずれかに係る可変焦点レンズの製造方法であって、前記圧電アクチュエータをMEMS構造体として形成することを特徴とする。
これによると、圧電アクチュエータを2つの液室を仕切るように設け、当該圧電アクチュエータを第1または第2の媒質側に変位させる構成を容易かつ高精度に実現できる。
また、第11の発明は、上記第1から第9の発明のいずれかに係る可変焦点レンズを、被写体を撮像するカメラ部に備えた撮像装置である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る可変焦点レンズ14を内蔵した撮像装置1の斜視図であり、図2は、図1中のカメラ部3の内部構成を示す断面図である。
この撮像装置1は、焦点距離を変更しながら被写体(ここでは、略六角錐形の立体物)2を撮像するものである。撮像により取得した複数の画像データは、図示しないPC(Personal Computer)等の画像処理装置によって合成処理することにより、画像領域全体においてピントの合った撮像画像を得ることができる。撮像装置1は、例えば、書画カメラとしての使用に好適である。
図1に示すように、撮像装置1は、被写体2を撮像するカメラ部3と、このカメラ部3を保持するアーム4を有するスタンド部5とを備える。スタンド部5は、ユーザが撮像の操作指示等を行うための複数の操作ボタン6を有している。また、撮像装置1は、図示しない通信制御部および外部インターフェースによって画像処理装置との間で画像データや各種制御信号を送受信可能である。
図2に示すように、カメラ部3の内部には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)等からなるイメージセンサ11が設けられている。イメージセンサ11の下方には、上下の固定焦点レンズ12,13と、これら固定焦点レンズ12,13の間に配置された可変焦点レンズ14とからなる光学系15が設けられている。光学系15では、光軸Cが上下方向に沿って配置されており、被写体2からの光は、固定焦点レンズ13、可変焦点レンズ14および固定焦点レンズ12を順次通過してイメージセンサ11の受光面に結像される。なお、光学系15の構成(例えば、固定焦点レンズの形状、数量および配置等)は、ここに示したものに限らず、撮像装置1に必要とされる光学特性に応じて種々の変更が可能である。
図3は、可変焦点レンズ14の一部切り欠き斜視断面図であり、図4は、可変焦点レンズ14の分解斜視図である。
可変焦点レンズ14は、下部プレート21と、下部レンズ22と、メニスカスプレート23と、駆動プレート24と、気泡貯留プレート25と、上部レンズ26と、上部プレート27とが下側から順に積層された構成を有している。各プレート21,23〜25,27は略円板状をなし、各々の中央部には、被写体からの光が通る光路孔28を画成する開口21a,23a〜25a,27aが設けられている。各プレート21,23〜25,27は、レンズ22,26を保持した状態で互いに接着されて一体に固定される。
下部レンズ22は、平凸レンズからなり、上下に重なり合う下部プレート21およびメニスカスプレート23の間に介装され、それぞれの開口21a,23aの間を閉鎖するように配置される。下部レンズ22と下部プレート21との間には、密封用のOリング31が取り付けられる。なお、下部レンズ22は、少なくとも被写体からの光が通過する領域が所定のレンズ機能を果たすものであればよい(上部レンズ26についても同様)。
メニスカスプレート23の開口23aの周囲には、図4に示すように、周方向に等しい間隔で複数の貫通孔32が設けられている。また、詳細は後述するが、開口23aの周面における上下方向の中間位置には、環状の尖形凸部として形成されたピン止め部33が設けられている。
駆動プレート24は、メニスカスプレート23の複数の貫通孔32を閉鎖するように、メニスカスプレート23の上部に重ね合わされる。駆動プレート24の開口24aの周囲には、複数の凹部34が設けられている。これら凹部34は、平面視において台形状をなしており、周方向に互いに等しい間隔で配置されている。また、駆動プレート24には、各凹部34の底壁(すなわち、貫通孔32を閉鎖する仕切り壁)34aの上面側には、圧電アクチュエータ35(図5参照)がそれぞれ設けられている。各圧電アクチュエータ35は、電圧の印加により屈曲振動可能な膜状の圧電素子であり、ここでは図示しないが、平板状の上部電極(第1電極)と下部電極(第2電極)との間に圧電体が挟み込まれた積層構造を有している。各凹部34の底壁34aは、圧電アクチュエータ35の駆動時に振動板として機能する。電源のGNDが接続される下部電極は、各圧電アクチュエータ35に共有される。
圧電体は、PZT(チタン酸ジルコニウム酸鉛)から形成され、上部電極および下部電極は、それぞれニッケル材料および白金(Pt)から形成される。ここでは、底壁34aとは別に下部電極を用いることとしたが、各凹部34の底壁34aを下部電極として用いる構成も可能である。なお、圧電アクチュエータ35の構成は、周知の圧電素子の構成を適用することにより種々の変更が可能である。
上部レンズ26は、平凸レンズからなり、上下に重なり合う気泡貯留プレート25および上部プレート27の間に介装され、それぞれの開口25a,27aの間を閉鎖するように配置される。上部レンズ26と気泡貯留プレート25および上部プレート27の間には、それぞれ密封用のOリング40,41が取り付けられる。
図3に示すように、気泡貯留プレート25の開口25aを外囲するようにその下面側に設けられた環状凹部42には、複数(ここでは、5つ)の気泡貯留部43が設けられている。これら気泡貯留部43は、開口25aと同心に配置された互いに径の異なる円環状の溝として設けられている。なお、気泡貯留部43の溝深さは、内側の2つが浅く設定されており、外側の3つが深く設定されているが、これに限らずそれらの配置を含めて種々の変更が可能である。また、上下方向が変更され得る撮像装置に可変焦点レンズ14を適用する場合には、メニスカスプレート23側に同様の気泡貯留部を設けてもよい。
図5は、可変焦点レンズ14の動作を示す模式的断面図((A)界面IFが凸形、(B)界面IFが凹形)であり、図6は、図5(A)中のVI部に対応する可変焦点レンズ14のピン止め部33の詳細形状を示す説明図であり、図7は、図5(A)中のVII部に対応する気泡貯留部43における気泡の状態を示す説明図((A)高圧時、(B)低圧時)である。
上述のように組み立てられた各プレート21,23〜25,27は、内部の密閉空間に液体等の媒質を収容可能な容器を形成する。ここでは、図5(A),(B)に示すように、下部プレート21、下部レンズ22、メニスカスプレート23および駆動プレート24により、下部液室(第1の液室)45が画成される。また、メニスカスプレート23、駆動プレート24、気泡貯留プレート25、上部レンズ26および上部プレート27により、上部液室(第2の液室)46が画成される。これら下部液室45と上部液室46とは、光路孔28の一部を画成するメニスカスプレート23の開口23aにより連通状態にある。
下部液室45は、メニスカスプレート23の開口23aにより画成される下部界面形成室51と、各貫通孔32によって画成される複数の下部圧力室52とを有しており、下部界面形成室51と複数の下部圧力室52とは、各貫通孔32に対応して設けられた各下部通路53(図4を併せて参照)を介して連通状態にある。各下部圧力室52の上部開口は、上面に圧電アクチュエータ35が設けられた底壁34aによって閉鎖されている。下部液室45には、第1の液体(第1の媒質)L1が収容される。
また、上部液室46は、メニスカスプレート23、駆動プレート24および気泡貯留プレート25の開口23a〜25aにより画成される上部界面形成室55と、駆動プレート24の各凹部34および気泡貯留プレート25の環状凹部42によって画成される上部圧力室56とを有しており、上部界面形成室55と上部圧力室56とは、各下部通路53に対応して設けられた各上部通路57(図4を併せて参照)を介して連通状態にある。上部液室46には、第2の液体(第2の媒質)L2が収容される。
なお、可変焦点レンズ14の内部に形成される液室45,46の構成(すなわち、容器の構成)については、少なくとも圧電アクチュエータ35により第1および第2の液体L1,L2の圧力または体積を変動させることが可能な限りにおいて、ここに示すものに限定されず種々の変更が可能である。
ここで、第1の液体L1は、水系の液体(すなわち、純水または水を主成分とする液体等)からなり、第2の液体L2は、油系の液体(すなわち、シリコーンオイル等の常温で流動性を有する油またはこの油を主成分とする液体)からなる。第1の液体L1と第2の液体L2とは、互いに屈折率が異なり、かつ互いに混和しないように各成分が選択される。ここでは、上側に位置する第2の液体L2の比重は、第1の液体L1の比重よりも小さくなるように設定されている。第1の液体L1と第2の液体L2とは、メニスカスプレート23の開口23a内で互いに接触した状態にあり、ピン止め部33を周縁とした界面IFを形成する。つまり、下部液室45と上部液室46とは、ピン止め部33に形成される界面IFの位置で仕切られる。
第1の液体L1を構成する水系の液体としてフッ素系の液体を用いると、可変焦点レンズとして必要な非電離性等の性質を保ちながらその組成を任意に変更可能となる。よって、所望の屈折率、密度をもつ液体を容易に得ることができる。つまり、任意の「印加電圧対レンズパワー」特性をもたせることや、内部の2種の液体(第1の液体L1と第2の液体L2)の密度を厳密に合わせることで重力変動の大きな使用条件においても安定した作動状態を実現できることになる。
この可変焦点レンズ14では、圧電アクチュエータ35が油系の第2の液体L2のみと接触する(すなわち、水系の第1の液体L1とは接触しない)構成としたため、水分に起因する圧電体の劣化等を防止することができ、圧電アクチュエータ35を長期間安定して駆動させることができる。なお、下部液室45および上部液室46にそれぞれ収容される媒質は、両者の界面が光の屈折面として機能し得る程度に流動または変形可能な限りにおいて、厳密に液体に限定される必要はない。
ピン止め部33の先端は、平面視において円形(好ましくは真円形)をなし、メニスカスプレート23の開口23aにおける最小径部を画成する。これにより、可変焦点レンズ14では、第1の液体L1と第2の液体L2との界面IFの面積を最小に留めようとする(すなわち、凸形または凹形に変形する界面IFの周縁位置をピン止め部33に留めようとする)ピン止め効果が生じる。
この場合、例えば、図6中に2点鎖線で示すように、ピン止め部33の先端を鋭角に形成することでより大きなピン止め効果が得られるが、機械加工ではそのような先端形状を実現することは困難である。そこで、本実施形態では、図6中に実線で示すように、ピン止め部33の先端形状(断面形状)を放電加工により2次曲線(ここでは、Y=X)状とすることにより、ピン止め部33の加工を容易としつつ高いピン止め効果を得ている。
上記構成の可変焦点レンズ14において、圧電アクチュエータ35の下部電極および上部電極にそれぞれ正および負またはその逆向きの電圧を印加すると、圧電アクチュエータ35は、収縮または伸長し、これにより、図5(A)または図5(B)に示すように、圧電アクチュエータ35は底壁34aと共に凹状または凸状に変形する。
より詳細には、図5(A)に示すように、圧電アクチュエータ35が凹状に変形すると、この変形した圧電アクチュエータ35によって下部圧力室52内の第1の液体L1が押圧される。これにより、下部液室45の容積が小さくなって第1の液体L1の圧力が高まり、メニスカスプレート23の開口23a内では、第1の液体L1を上部液室46側(上方)に押し込む力が生じる。一方、圧電アクチュエータ35の変形により、上部圧力室56の容積は拡大するため、メニスカスプレート23の開口23a内では、第2の液体L2を上部液室46側に引き込む力が生じる。その結果、メニスカスプレート23の開口23a内において、界面IFを高速で凸形に変形させることができる。
逆に、図5(B)に示すように、圧電アクチュエータ35が凸状に変形すると、メニスカスプレート23の開口23a内では、第2の液体L2を下部液室45側(下方)に押し込む力が生じる一方、第1の液体L1を下部液室45側に引き込む力が生じる。その結果、メニスカスプレート23の開口23a内において、界面IFを高速で凹形に変形させることができる。
このように、圧電アクチュエータ35の下部電極および上部電極に対して正負が逆転する所定の電圧を印加することにより、上記図5(A),(B)に示した動作を周期的に行わせることができる。つまり、撮像装置1では、界面IFを所望の曲率に高速で変化させながら(すなわち、焦点距離を所望の大きさに高速で変化させながら)撮像を行うことができる。なお、本実施形態では、界面IFを凹形および凸形の双方に変形させる構成としたが、界面IFを凹形または凸形の一方のみに変形させる構成としてもよい。
上記構成の可変焦点レンズ14では、圧電アクチュエータ35は、光路孔28を介して連通する下部液室45(下部圧力室52)および上部液室46(上部圧力室56)を、光路孔28とは異なる位置において仕切るように設けられ、第1の液体L1または第2の液体L2側に変位可能な構成としている。これにより、可変焦点レンズ14では、環境温度等の変化により可変焦点レンズ14の内部圧力が変化した場合でも、圧電アクチュエータ35の両面(上側および下側)の圧力を常に等しく保持できるため、両面の圧力のバランスが崩れて圧電アクチュエータ35の動作(振動時の振幅等)に悪影響が及ぶことを防止できる。したがって、可変焦点レンズ14では、焦点距離制御を安定的に実施することが可能となる。
その一方で、環境温度等の変化により可変焦点レンズ14の内部圧力が過度に上昇または下降すると、第1の液体L1および第2の液体L2が膨張または収縮して下部液室45および上部液室46の密閉構造に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、可変焦点レンズ14では、予め気泡貯留部43に気体G(例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス)を貯留しており、これら気体Gの収縮または膨張によって内部圧力を調整可能としている。
つまり、図7(A)に示すように、可変焦点レンズ14の内部圧力が上昇すると、気泡貯留部43の気体Gは、標準体積(図7(A)中に破線で示す)から収縮する。また、図7(B)に示すように、可変焦点レンズ14の内部圧力が下降すると、気泡貯留部43の気体Gは、標準体積(図7(B)中に破線で示す)から膨張する。なお、可変焦点レンズ14では、気泡貯留部43を互いに径の異なる環状の溝として複数設けたため、気泡が光路孔28に移動して撮像に悪影響を及ぼすことを防止できる。
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る可変焦点レンズ14を示す模式的断面図であり、図9は、図8中のIX部に対応する可変焦点レンズ14の変形例を示す図である。図8および図9では、上述の第1実施形態と同様の構成要素について同一の符号が付されている。また、第2実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様とする。
図8に示すように、第2実施形態に係る可変焦点レンズ14では、光路孔28において、下部液室45と上部液室46とが弾性を有する透明膜61によって仕切られている点において第1実施形態の場合とは異なる。これにより、第1の液体L1と第2の液体L2とは直接接触せずに透明膜61によって両者の界面が形成される。透明膜61は、平面視において円形をなす薄膜(例えば、厚さ50μm)であり、透明膜61の周縁部はメニスカスプレート23と駆動プレート24との間に挟持されている。なお、透明膜61は、少なくとも被写体からの光が通過する領域が撮像可能な程度に透明なものであればよく、例えば、透明膜61を形成する材料としてシリコーン樹脂を用いることができる。
図8では、上述の図5(A)の場合と同様に、圧電アクチュエータ35が凹形に変形した状態を示しており、これにより、光路孔28内では、透明膜61が上部液室46側(上方)に押し込まれるように弾性変形し、凸形の界面が形成される。
第2実施形態に係る可変焦点レンズ14では、第1実施形態の場合のようなピン止め部33(図5参照)は不要となるため、ピン止め部33の先端の加工精度に因らずに、界面を所望の曲率に安定的に変形させることができる。また、界面の変形動作を高速で繰り返す際にも、透明膜61によってダンピングの効果が得られるという利点もある。
なお、上記構成の可変焦点レンズ14では、後述するように、シリコンウエハ上に半導体集積回路作製技術を用いて微細加工を施すことにより、駆動プレート24をMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造体として形成することができる。これにより、透明膜61の上面側の変形端となる駆動プレート24のエッジ部24eを精度良く形成することができ、凸形の界面の変形精度を向上させることができる。さらに、図9に示すように、透明膜61の下面側の変形端となるメニスカスプレート23のエッジ部23eをMEMS構造体として形成すれば、凹形の界面の変形精度も向上させることができる。
<第3実施形態>
図10および図11は、それぞれ第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の分解斜視図および断面図である。図10および図11では、上述の第1実施形態と同様の構成要素について同一の符号が付されている(後述する図12〜図31も同様。)。また、第3実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第1実施形態の場合と同様とする。なお、図11では、図示の都合上、必要に応じて各構成要素間の相対的なサイズ(断面図における厚みや平面図における幅等)を変更しており、各構成要素の実用上のサイズとは必ずしも一致しない(以後の図についても同様。)。
図10に示すように、可変焦点レンズ14は、光学材料からなるガラス基板71と、MEMS構造体である駆動部72と、金属製の封止体73と、平凸レンズからなる封止ガラス74とが下側から順に積層された構成を有している。駆動部72および封止体73は略円板状をなし、それぞれの中央部には、被写体からの光が通る光路孔28を画成する開口72a,73aが設けられている。
図11に示すように、可変焦点レンズ14では、封止体73の上壁に形成された開口73aが封止ガラス74によって閉鎖される一方、封止体73の下部の開口73bがガラス基板71によって閉鎖される。これにより、組み立てられた封止体73、封止ガラス74およびガラス基板71は、内部の密閉空間に液体等の媒質を収容可能な容器を形成する。この密閉空間は、ガラス基板71の上面に固着された駆動部72によって仕切られ、ガラス基板71と駆動部72との間に下部液室(第1の液室)45が画成される一方、駆動部72と封止体73との間に上部液室(第2の液室)46が画成される。これら下部液室45と上部液室46とは、駆動部72の開口72aにより連通状態にある。また、下部液室45には、光路孔28から半径方向に延びる仕切り壁(図15の117参照)が周方向に所定の間隔で複数設けられており、第1実施形態における下部圧力室52と同様の複数の下部圧力室が形成されている。
駆動部72は、円環状の側壁部81の上に平板状の圧電アクチュエータ35が設けられた構成を有している。各圧電アクチュエータ35は、ニッケル材料からなる下部電極(第2電極)82と、白金(Pt)からなる上部電極(第1電極)83との間にPZTからなる圧電体84が挟みこまれた積層構造を有している。円板状をなす下部電極82の外周縁部の下面は、側壁部81の上端に接続されている。ここでは、下部電極82が振動板として機能する。
また、駆動部72において、円板状をなす下部電極82の中央には開口82aが形成されている。開口82aは、駆動部72に形成される光路孔28において最小径部を画成し、これにより、開口82aの内周縁部はピン止め部として機能する。この場合、開口82aの内周縁部の厚さを無視できる程度に小さくする(例えば、1〜2μmとする)ことにより、開口82aの内周端を上述の第1実施形態におけるピン止め部33(図5参照)の先端と同様に機能させることができる。
このような構成により、第3実施形態に係る可変焦点レンズ14では、駆動部72は、ガラス基板71と共に下部液室45を画成し、第1実施形態における2つの部材(駆動プレート24およびメニスカスプレート23)と同様の機能を果たす。なお、ガラス基板71は、少なくとも光路孔28に対応する部位がレンズ機能を有する構成とすることができる。また、変形例として、ガラス基板71の外周縁を覆うように封止体73をかしめ固定していわゆるCANパッケージを構成することにより、内部の密閉空間における圧力変動の許容度を高めることができる。
次に、第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の製造工程について説明する。図12から図27は、それぞれ図11に示した可変焦点レンズ14の一製造工程の模式図である。なお、図10に示したように、可変焦点レンズ14の各構成要素の外形は平面視において円形となるが、ここでは、簡単のため平面視における各構成要素の外形を正方形とし、これに対応させるように各構成要素の他の部位も図示している。
まず、図12に示すように、シリコンウエハからなる基材101上にPtからなる第1電極層102(上部電極83に相当)、PZTからなる圧電体層103(圧電体84に相当)およびニッケルからなる第2電極層104(下部電極82に相当)を順次積層する。各層102〜104の厚みは適宜設定可能であるが、好ましくは、第1電極層102の厚みは0.1〜1μm、圧電体層103の厚みは2〜10μm、第2電極層104の厚みは1〜10μmの範囲内でそれぞれ設定するとよい。
なお、基材101にアライメントマークを形成しておくことにより、各層102〜104について高い位置精度を確保することができる。また、可変焦点レンズにおいて圧電体の変形を必要としない領域には、圧電体層103と第2電極層104との間に絶縁体層(例えば、感光性ポリイミド層)を形成しておくとよい。これにより、圧電アクチュエータの駆動の信頼性が高まる。
次に、図13に示すように、第2電極層104上にドライフィルムレジストからなるレジスト層111を形成した後、所望のパターンにて露光および現像する。このとき、レジスト層111では、後の光路孔およびその周囲の下部圧力室を画成する側壁を形成する部分が除去され、当該除去部分において第2電極層104が露出する。
次に、図14に示すように、第2電極層104の露出部位をシード層としてニッケル電鋳を実施し、当該露出部位にニッケル電鋳層112を形成する。このとき、レジスト層111と共にニッケル電鋳層112に対して研削加工を行うことにより、ニッケル電鋳層112を適切な厚み(例えば、140〜150μm)に調整する。なお、下部電極としてニッケル以外の金属材料を用いることもできるが、その場合には、ニッケル電鋳を実施する第2電極層104の部位にシード層としてニッケル層を形成しておくとよい。
次に、図15に示すように、全てのレジスト層111を剥離・除去する。これにより、4つの下部圧力室52A〜52Dの周壁が完成する。各下部圧力室52A〜52Dの周壁は、後に光路孔28が形成される中央部を囲むように内側に形成された内壁115と、外側に形成された外壁116と、これら内壁115と外壁116との間のスペースを仕切るように周方向に所定の間隔で複数形成された仕切り壁117とから構成されている。内壁115には、各下部圧力室52A〜52Dと中央部(光路孔)とを連通するための下部通路53が設けられている。なお、上述のように、外壁116の形状は円形(円弧状)とすることができる。また、下部圧力室の数(すなわち、仕切り壁117の数)は、ここに示したものに限らず適宜変更することができる。
次に、図16に示すように、図15に示した構造体を上下反転させて、ニッケル電鋳層112の下端をガラス基板71に接着する。続いて、図17に示すように、基材101を所定の厚みまで研削し、その後、エッチングガスを用いたドライエッチングを実施して基材101を全て除去する。このとき、使用するエッチングガスは、第1電極層102がエッチングストッパとなるように選択する。
次に、図18に示すように、第1電極層102上にレジスト層121を形成した後、所望の形状にて露光および現像する。このとき、レジスト層121は、第1電極層102における変位領域(すなわち、圧電アクチュエータの各圧電体が変位する領域に対応する領域)と、後に上部電極を外部と電気的に接続するための電極リード123A〜123D(図28参照)の領域とを覆うようにパターン形成される。このとき、圧電体層103の下側に形成されたニッケル電鋳層112とのアライメントを行うため、図示しないアライメントマークを基準にマスクパターンを形成してレジスト層121を露光するとよい。
次に、図19に示すように、エッチングガスを用いたドライエッチングを実施して第1電極層102の露出部位を除去し、その後、レジスト層121を剥離・除去する。これにより、第1電極層102のパターニングが終了(上部電極が完成)する。
次に、図20に示すように、第1電極層102および圧電体層103上にレジスト層125を形成した後、所望の形状にて露光および現像する。このとき、レジスト層125は、圧電体層103において後に各圧電体が形成される領域を覆うようにパターン形成される。その後、圧電体層103に対してエッチング(例えば、フッ硝酸を用いたウェットエッチング)を行った後、レジスト層125を除去する。これにより、図21に示すように、圧電体層103において光路孔を形成する領域(図11中の下部電極82の開口82aよりも若干大きな円形)を除去すると共に、下方の下部圧力室52A〜52Dにそれぞれ対応する後の各圧電体に相当する領域を分離する。
次に、図22に示すように、第1電極層102、第2電極層104および圧電体層103上にレジスト層126を形成した後、所望の形状にて露光および現像する。このとき、レジスト層126は、第2電極層104における後の下部電極82の開口82a(図11参照)以外の領域を覆うようにパターン形成される。その後、第2電極層104に対してエッチングを行い、下部電極82の開口82aに相当する貫通孔を形成する。これにより、図23〜図26に示すように、ガラス基板71上の駆動部72が完成する。
次に、図27(図11を併せて参照)に示すように、駆動部72が形成されたガラス基板71に封止体73を接着する。このとき、封止体73の開口73aから下部液室45に対して第1の液体L1を注入し、続いて上部液室46に対して第2の液体L2を注入する。第1の液体L1の注入量は、メニスカスレベルが下部電極82の開口82aと一致するように設定する。その後、封止体73の開口73aを封止ガラス74により閉鎖して内部空間を密閉する。
図28および図29は、それぞれ第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の配線構造を示す模式的な要部平面図および要部断面図であり、図30は、可変焦点レンズ14の配線構造の変形例を示す模式的断面図である。
上記製造工程では説明を省略したが、可変焦点レンズ14では、駆動部72を形成した後(封止体73の接着前)に下部電極82および上部電極83を外部と電気的に接続するための配線が行われる。図28に示すように、制御線131A,131Bおよび制御線131C,131Dは、それぞれFPC(Flexible Printed Circuits)132上に一纏めにパターン形成され、図示しないACF(Anisotropic Conductive Film)を介して上部電極83に形成された電極リード123A〜123Dに接続される。また、コモン線133は、図示しないACFを介して下部電極82の外周部に接続される。なお、コモン線133は、制御線131A,131Bと共にFPC132に形成してもよい。
FPC132(コモン線133も同様)は、図29に示すように、駆動部72の側面に沿ってガラス基板71側に導かれ、このガラス基板71と封止体73の間を通して外部に引き出される。この場合、FPC132は多少の厚みを有するため、ガラス基板71または封止体73の少なくとも一方にFPC132を外部に導くための切欠き部や貫通孔を設けるとよい。最終的に、ガラス基板71と封止体73とはFPC132を引き出した状態で接着され、内部空間は密閉される。
このような構成において、コモン線133に図示しない電源のGNDを接続すると共に、制御線131A〜131Dに所定の電位を印加することで、駆動部72(圧電アクチュエータ35)を駆動することができる。なお、図30に示すように、上部液室46内に圧電アクチュエータ35用のドライバ141を搭載した基板142を設け、当該ドライバ141を介して上部電極83および下部電極82に電圧を印加してもよい。この場合、外部からの制御信号をシリアル信号とすることにより、制御線131の数を低減できるという利点がある。
図31は、第3実施形態に係る可変焦点レンズ14の駆動部72の変形例を示す模式的断面図である。上記可変焦点レンズ14では、図10にも示したように、複数の圧電アクチュエータ35は、周方向に互いに等しい間隔で配置され且つ互いに同一の大きさ(平面視における面積)を有している。これら各圧電アクチュエータ35の大きさはこれに限らず、例えば、次のような変更が可能である。
図31に示すように、互いに圧電体および上部電極の大きさが異なる3つの圧電アクチュエータ35A〜35Cを1組(図31中の破線枠参照)として、これらを周方向に互いに等しい間隔で配置する。ここで、平面視における圧電アクチュエータ35A〜35Cの有効面積(下部圧力室52を押圧可能な面積)をそれぞれS1〜S3とすると、これら有効面積S1〜S3は、各圧電アクチュエータ35A〜35Cの1回の駆動により移動する液体の量M1〜M3が所定の関係(ここでは、M3=4×M1、M2=2×M1)となるように設定される。
各組の圧電アクチュエータ35A〜35Cは、個別にON・OFF可能であるため、8段階の駆動状態(移動させる液体の量)をとることが可能である。したがって、全8組の圧電アクチュエータ35A〜35Cを用いることにより、57段階の駆動状態をとることができる。これにより、界面IFの曲率変化量を高い精度で制御することが可能となる。なお、圧電アクチュエータ35の形状は種々の変更が可能であり、例えば、中心角を円弧状に切り欠いた扇形としてもよい。また、ここに示した駆動部72の変形例は、第1および第2実施形態の圧電アクチュエータ35に対しても同様に適用可能である。
<第4実施形態>
図32および図33は、それぞれ第4実施形態に係る可変焦点レンズ14の一製造工程を示す図である。図32および図33では、上述の第3実施形態と同様の構成要素について同一の符号が付されている。また、第4実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第3実施形態の場合と同様とする。
図32に示すように、第4実施形態に係る可変焦点レンズ14では、図12に示した構成において第2電極層104上に膜形成層145を形成する。ここでは、膜形成層145はSiOからなる。その後、第3実施形態の場合と同様に各工程を実施し、最終的に図33(第3実施形態の図26に対応)に示すように、円板状とした膜形成層145で第2電極82の開口82aを閉鎖する構成とする。このような構成は、開口82aを形成する工程において、SiOをストップ材として反応を止めることにより実現できる。膜形成層145は、変形可能な程度の厚み(例えば、2μm)で形成されており、図8に示した透明膜61と同様に機能させることができる。なお、膜形成層145の材料としては、SiOに限らず他の材料(SiON等)を用いてもよい。
<第5実施形態>
図34は、第5実施形態に係る可変焦点レンズ14の一製造工程を示す図であり、図35は、可変焦点レンズ14の膜製造工程を示す図である。図34および図35では、上述の第3実施形態と同様の構成要素について同一の符号が付されている。また、第5実施形態において、以下で特に言及しない事項については、第3実施形態の場合と同様とする。
図34に示すように、第5実施形態に係る可変焦点レンズ14では、図16に示した構成においてニッケル電鋳層112とガラス基板71との間に熱剥離シート層151を形成する。熱剥離シート層151は、ポリエステルフィルム基材の両面にそれぞれ熱剥離粘着材を付着させたものであり、その粘着力は高温環境下において略ゼロとなる。
このような構成において、上述の図26と同様に駆動部72を形成した後、図35(A)に示すように、高温環境下においてガラス基板71から駆動部72を一旦分離する。その後、下部電極82の下面側をシリコーン樹脂のプールに浸漬した後に引き上げることにより、図35(B)に示すように、下部電極82の開口82aにシリコーン樹脂からなる透明膜61を形成することができる。なお、下部電極82の上面側をシリコーン樹脂のプールに浸漬することにより、図35(B’)に示すように、透明膜61の凸状の方向を逆転させることができる。この透明膜61の形成方法は、第2実施形態の図8の場合にも同様に適用することができる。
本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。各実施形態では、各構成要素およびその説明に関して方向を示す用語を用いたが、各構成要素の配置は必ずしもそれらの方向に限定されるものではない。なお、上記実施形態に示した本発明に係る可変焦点レンズおよび撮像装置の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
本発明に係る可変焦点レンズおよびその製造方法ならびに可変焦点レンズを備えた撮像装置は、環境温度の変動に拘わらず圧電アクチュエータを安定的に駆動して、2種の媒質の界面形状(すなわち、焦点距離)を変化させることを可能とし、焦点距離を変更可能な可変焦点レンズおよびその製造方法ならびに可変焦点レンズを備えた撮像装置として有用である。
1 撮像装置
3 カメラ部
11 イメージセンサ
14 可変焦点レンズ
21 下部プレート
22 下部レンズ
23 メニスカスプレート
24 駆動プレート
24a 開口(光路開口)
25 気泡貯留プレート
26 上部レンズ
27 上部プレート
28 光路孔
33 ピン止め部(尖形凸部)
34a 底壁
35 圧電アクチュエータ
43 気泡貯留部(凹部)
45 下部液室(第1の液室)
46 上部液室(第2の液室)
51 下部界面形成室
52 下部圧力室
53 下部通路
55 上部界面形成室
56 上部圧力室
57 上部通路
61 透明膜
71 ガラス基板
72 駆動部
73 封止体
74 封止ガラス
81 側壁部
82 下部電極
82a 開口(光路開口)
83 上部電極
84 圧電体
101 基材
102 第1電極層
103 圧電体層
104 第2電極層
112 ニッケル電鋳層
C 光軸
G 気体
IF 界面
L1 第1の液体(第1の媒質)
L2 第2の液体(第2の媒質)

Claims (11)

  1. 互いに屈折率が異なる第1および第2の媒質の界面を光の屈折面とする可変焦点レンズであって、
    前記第1および第2の媒質をそれぞれ収容する第1および第2の液室を有すると共に、当該第1および第2の液室を連通する光路孔が形成された容器と、
    前記第1および第2の液室内における前記第1および第2の媒質の圧力または体積を変動させる圧電アクチュエータとを備え、
    前記光路孔には、前記光が通過する前記第1および第2の媒質の界面が形成され、
    前記圧電アクチュエータは、前記第1および第2の液室を仕切るように設けられ、前記第1または第2の媒質側に変位可能であることを特徴とする可変焦点レンズ。
  2. 前記圧電アクチュエータは、前記光路孔の少なくとも一部を画成する光路開口を有することを特徴とする請求項1に記載の可変焦点レンズ。
  3. 前記光路開口は、前記光路孔における最小径部を画成することを特徴とする請求項2に記載の可変焦点レンズ。
  4. 前記圧電アクチュエータは、圧電体を一対の電極で挟持した膜状の圧電素子からなり、当該一対の電極における一方の電極により、前記光路孔における前記最小径部を画成することを特徴とする請求項3に記載の可変焦点レンズ。
  5. 前記圧電アクチュエータは、互いに大きさの異なる圧電体を有する複数の圧電アクチュエータを含むことを特徴とする請求項4に記載の可変焦点レンズ。
  6. 前記第1および第2の液室の少なくとも一方の内壁には、前記第1または第2の媒質に混入された気泡を貯留する凹部が形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の可変焦点レンズ。
  7. 前記容器には、前記光路孔を閉鎖すると共に、前記第1および第2の媒質の境界をなす透明膜が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変焦点レンズ。
  8. 前記光路孔の内周には、前記光路孔における最小径部を画成する環状の尖形凸部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の可変焦点レンズ。
  9. 前記第1および第2の媒質の一方は、フッ素系の液体を用いることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の可変焦点レンズ。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の可変焦点レンズの製造方法であって、
    前記圧電アクチュエータをMEMS構造体として形成することを特徴とする可変焦点レンズの製造方法。
  11. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の可変焦点レンズを、被写体を撮像するカメラ部に備えた撮像装置。
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