JP2013063986A - アトラル酸の単離、アトラル酸誘導体の合成、ならびにアトラル酸およびその誘導体の、良性前立腺過形成、前立腺悪性腫瘍および球脊髄性筋萎縮症の処置のための使用 - Google Patents

アトラル酸の単離、アトラル酸誘導体の合成、ならびにアトラル酸およびその誘導体の、良性前立腺過形成、前立腺悪性腫瘍および球脊髄性筋萎縮症の処置のための使用 Download PDF

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Abstract

【課題】生物材料からのアトラル酸の単離方法、アトラル酸誘導体、それらの化学合成、ならびにアトラル酸およびその誘導体の、良性前立腺過形成、前立腺悪性腫瘍または球脊髄性筋萎縮症の処置のための使用またはかかる処置のための医薬の製造における使用法の提供。
【解決手段】該生物材料はアフリカンプラムツリーP. africanaの樹皮またはP. africanaの樹皮上において生存可能な地衣類であり、また該化学合成はアトラル酸の攪拌を、等モル量のアルカリ水酸化物またはアルカリ土類水酸化物とともに、一級脂肪族アルコール溶液中において行う。さらに該アトラル酸は良性前立腺過形成、前立腺悪性腫瘍または球脊髄性筋萎縮症の処置に用いられる他の剤の開発のための基本物質として使用される。
【選択図】なし

Description

本発明は、生物材料からのアトラル酸の単離、アトラル酸誘導体、その化学合成、さらにアトラル酸およびその誘導体の、良性前立腺過形成および/または前立腺悪性腫瘍、とくに治療に耐性の前立腺悪性腫瘍、さらに球脊髄性筋萎縮症の処置またはそれらの処置のための医薬の製造のための使用に関する。本発明はまた、アトラル酸およびその誘導体の、良性前立腺過形成および/もしくは前立腺悪性腫瘍、とくに治療に耐性の前立腺悪性腫瘍の処置のため、またはかかる処置に用いるための医薬の製造のための、新たな活性物質の開発のためのリード物質としての使用に関する。
良性前立腺過形成(BPH)は、前立腺の移行帯における腺上皮、結合組織および平滑筋における良性の肥大である。BPHは60才を越える男性の50%が罹患し、75才を越える男性では75%ものパーセンテージとなる。すなわち、BPHは男性における膀胱障害の最も頻繁に生じるものに関与しているのである。
BPHの症状には、閉塞性および刺激性の病状が含まれる。閉塞性の症状には尿流の減少、排尿時間の延長、尿の滴下および残余が含まれ、刺激性の症状は排尿頻度の増加、排尿時の痛み、および急迫性尿失禁に顕著である。BPHの病因については、現在のところ種々の仮説が提唱されている。
前立腺悪性腫瘍は西洋諸国の男性を苦しめている最も普通にみられる癌であり、肺ガンに次いで2番目に多い癌死の原因となっている。病因としては、前立腺悪性腫瘍はBPHと直接の関連はないが、重篤なBPHに苦しむ患者は、前立腺悪性腫瘍の患者と極めて類似する遺伝子異常を示す。BPHがとくに前立腺の移行帯を攻撃するのに対して、悪性腫瘍は周辺領域に発生しやすい。
前立腺悪性腫瘍の進行の原因は種々の遺伝子の欠陥であり、それは家系における素因によるものであることがある。すなわち、前立腺悪性腫瘍に苦しむ患者においては、アンドロゲン受容体の種々の変異が生じている。しかし、II型α−リダクターゼの活性が低下すると、悪性腫瘍が進行する危険度も低下する。また、クロモソーム13q上のRb遺伝子等の異なる腫瘍抑制遺伝子が、変異による影響を受けて不活性化されることもある。これに対して、癌遺伝子の機能亢進によって腫瘍の形成が促進される。また、重要な成長制御遺伝子および無毒化遺伝子のメチル化が重大な役割を果たしていて、その結果これらの遺伝子は機能し得なくなり、癌化の道を明け渡すこととなる。最も最先端の科学によれば、炎症の過程が大きく関与していて、そこから新生物前病変または新生物病変が発出する。
前立腺悪性腫瘍を処置するための初期治療は、通常、根治的な前立腺切除による前立腺の除去や、放射線治療による変性した細胞の除去からなる。進行した、転移している前立腺悪性腫瘍は、苦痛を緩和するホルモン治療によって処置され得る。今日では、アンドロゲンの完全なブロックが行われており、これは手術による性腺切除および化学的な性腺切除の組み合わせを含む。純粋に抗アンドロゲン剤であるビカルタミド(Casodex(登録商標))、フルタミド(Fugerel(登録商標))およびニルタミド(Anandron(登録商標))が標的器官のアンドロゲン受容体に選択的に作用するのに対して、酢酸シプロテロン(Androcur(登録商標))はプロゲステロン受容体およびグルココルチコイド受容体にも作用する。
しかし、ホルモン治療では進行した前立腺癌を治癒させることはできない。その処置は、初期には抗アンドロゲン依存的な腫瘍成長阻害を引き起こす。しかし、平均して2年後には、治療に対する耐性が生じる。まず種々の共活性体の過剰発現によって、非アンドロゲン性ステロイドを介するアンドロゲン受容体の活性化が起こり得る。その後、フルタミドの活性代謝物である2−ヒドロキシフルタミドのような抗アンドロゲン剤によってもアンドロゲン受容体が活性化されるようになり、腫瘍はアンドロゲンに依存しないようになる。
したがって、本発明の目的は、BPHおよび/または前立腺悪性腫瘍の処置のための新たな活性物質を見出すことにあり、とくにアンドロゲン非依存性前立腺癌細胞の成長を阻害する活性物質を見出すことにある。
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は神経変性疾患であるかまたは遺伝性の神経性筋障害であり、筋萎縮症に関連し、男性のみが罹患する。脊髄中に存在し、その突起が筋肉に広がる末梢運動ニューロン(脊髄前角細胞)の死は、筋萎縮症、筋無力症(不全麻痺)、不随意筋攣縮(線維束性攣縮)や震え(振戦)につながる。筋無力症は、初期では近傍の領域(上腕、大腿)に影響を及ぼす。運動ニューロンのうち脳幹(球(bulbus))にあるにあるもの、すなわち大脳皮質および脊髄へのその接合部の神経細胞が害されると、発声筋、咀嚼筋および嚥下筋も弱る。さらに、中枢運動系における疾患によって筋緊張の増大(痙攣性麻痺)が生じる。
球脊髄性筋萎縮症の遺伝的な原因として、性決定X染色体上にあるアンドロゲン受容体遺伝子のエクソン1におけるCAG塩基トリプレットの数の増加が考えられている。これによってアンドロゲン受容体のポリグルタミン領域の拡大が起こる。このようにして病理的に改変されたアンドロゲン受容体が長期にわたって蓄積され、細胞核に封入体(inclusion)を形成せしめ、ニューロンを死に至らしめると思われる。
病理的に改変されたアンドロゲン受容体が細胞核においてリガンドに依存して蓄積されることが、球脊髄性筋萎縮症が発症する要因とされる。CAG塩基トリプレットの数が増加したヒトアンドロゲン受容体遺伝子を有するマウスは、神経運動の障害を示し、これは雄の実験動物においてとくに顕著であることが示されている。これらのラットにおけるSBMA類似のかかかる障害は、性腺除去によって緩和され、テストステロンの投与によって悪化せしめることができた。これらの実験結果は、SBMAの患者におけるアンドロゲン受容体の不活化によって病気の進行を緩和することができることを示唆するものである。アンドロゲン受容体の凝集(aggregation)におけるリガンド結合の重要性についても、アンドロゲンとアンドロゲンアンタゴニストを用いて検討した。アンドロゲン受容体について病的な変化を発現している細胞をテストステロンを用いて刺激すると、細胞質に特徴的な封入体が生じた。対照的に、これらの細胞を部分的アンドロゲンアンタゴニストであるシプロステロン(cyprosterone)によって処理した場合には少量の封入体のみが観察され、フルタミドによって処理した場合には封入体は生じなかった。これらの観察結果は、アンドロゲンアンタゴニストによってアンドロゲン受容体の凝集体の形成を阻害し得るという仮説を支持するものである。しかしながら、現在において、アンドロゲン受容体の凝集体の形成が球脊髄性筋萎縮症の進行に関与していることは証明されていない。
したがって、本発明の他の目的は、球脊髄性筋萎縮症の処置のための新たな活性物質を見出すことにある。
かかる本発明の他の目的は、アフリカンプラムツリーP. africanaの樹皮から、抗アンドロゲン活性を有する物質を単離することによって達成された。
驚くべきことに、物質アトラル酸がP. africanaの樹皮またはP. africanaの樹皮上において生息している地衣類から単離され、この物質が高い抗アンドロゲン活性を有していることが見出された。アトラル酸は、ヒドロキシフルタミドによる処置に反応を示さない前立腺癌細胞の増殖を抑えることもできる。
また、アトラル酸が2つのエストロゲン受容体(エストロゲン受容体α(ERα)およびエストロゲン受容体β(ERβ))に対してアゴニスト効果を有することも証明できた。
αアドレノ受容体ブロッカーであるドキサゾシン(Cardura(登録商標))や5αリダクターゼ阻害剤であるフィナステリド(Propecia(登録商標))以外に、多くの植物性医薬として市販されているものがBPHの処置に用いられている。タデナン(登録商標)製剤はDebat社のものであるが、Prunus africana(Hook.f.)Kalkm.(Pygeum africana)の樹皮のクロロホルム抽出物を含有している。これはフランスにおいて、良性前立腺過形成の処置について既に1969年から承認され、これまでにイタリアおよび米国においても広まっている。しかしながら、ドイツにおいては、このクロロホルム抽出物は承認されていない。ドイツでは、抽出物および調製物としてアメリカンノコギリパルメット(Sabal serrulata=Serenoa repens、Permixon(登録商標))の実からのもの、ネトル (Urtica dioica)の根、カボチャ(Cucurbita pepo)の種、ライ麦(Secale cereale)の花粉およびアフリカンリリー(Hypoxis rooperi)の根からのものが、BPHの処置に承認されている。
Prunus africana(Hook.f.)Kalkm.は従前の植物分類名はPygeum africana(Hook.f.)であり、Prunoideae亜科に分類され、Rosaceae科に含まれる。Prunoideaeには核果を有する木性植物が包含される。Prunus属はこの亜科において最も広範な属であるところ、包含されるものとしてサクラ(Prunus avium L.)、モモ(Prunus persica L.)、ウメ(Prunus domestica L.)およびアーモンド(Prunus dulcis(Mill.) D.A. Webb)がある。アフリカンプラムツリー、Prunus africana(Hook.f.)Kalkm.は、アフリカ大陸において見出されたこの属の唯一の種であるため、同一亜科の他のものとは成分が異なると推測される
本発明の目的は、抗アンドロゲン活性を有する天然物質をPrunus africanaの樹皮から単離することにあった。その理由は、数多くの成分を含有する抽出物の標準化は、全ての活性物質について、その正確な活性の強さを含めて知ることによってのみなされ、また、かかる抽出物は生命体に対するストレスがより大きいからである。他の目的は、新たな抗アンドロゲン活性物質の製造を、P. africanaから単離される抗アンドロゲン活性物を基に行うことであった。
まず、Pygeumの異なる抽出物の抗アンドロゲン効力の比較を行った。次に活性化合物の単離を活性ガイド分画(activity-guided fractionation)を用いて行った。P. africana(Hook.f.)Kalkm.の樹皮の選択的分画のために、まず選択的抽出物の調製を行った。
一般に、植物薬剤の成分は、高い度合いの生物的多様性があるという特徴を有し、これは数多くの最も異なる化合物群に反映されている。それにもかかわらず抽出物として対処し得る数の成分を有するものを得るために、極性が増大する溶媒群中における溶解度に従って前分画(prefractionation)を行うことが有用であることが立証されている。極性の範囲が制限されていること、および低濃度物質の濃縮によって、得られた選択的抽出物はクロマトグラフィによる扱いがより容易となり、さらに分画を行って最終的に活性成分を単離することができる。
本研究においては、選択的抽出の過程は2回行った。植物材料を小片に細かくし、篩にかけ、続いてn−ヘキサン中においてUltra-Turraxを用いてサイズをさらに小さくし、そして最後にステンレス鋼カートリッジ(40×10cmおよび80×10cm)に充填し、両端をスチールフリットにて閉じた。HPLCポンプを用いて溶媒を極性が高くなる順に(n−ヘキサン、ジクロロメタン、メタノール、メタノール/水(50/50)および水)前記充填したカートリッジに通した。この抽出をそれぞれの場合に最後まで(to exhaustion)行い、次に得られた抽出物を減圧化において絞り乾燥せしめた。この抽出方法は極めてマイルドであるため、温度ストレスならびに酸素および光の薬剤に対する直接の作用は防止される。しかし、重要なことはこのようにして予め抽出物中においてソートされた成分が、極性に従って並べられ、そのためクロマトグラフィがより容易であることである。
抽出物の総量中における選択的抽出物の質量の比率を考えると、前記植物材料に主として含有されているのはメタノール可溶成分であることは明らかである。n−ヘキサンおよびジクロロメタンからの親油性抽出物の重要性は比較的小さい。一般に、樹脂、オイル、脂質または脂質様物質がヘキサン抽出物には含有されている。したがって、P. africanaからの長鎖アルコールおよび脂肪酸はその抽出物に含有されている。植物ステロールおよび五環トリテルペン類がジクロロメタン抽出物に含有されていると考えられる。しかし、高極性の植物成分、例えばアミノ酸、無機塩または糖類等は、メタノール/水または水によってのみ抽出される。
選択的抽出物とは別に、P. africana(Hook.f.)のエタノール完全抽出物の調製も行った。そのために、無水エタノール中の篩に掛けた300gの植物材料をUltra-Turraxを用いてさらに細かくし、数ポーションに総量5リットルのエタノールを用いて抽出を行った。次に抽出物を濾過し、最終的には低圧下にて絞って乾燥せしめた。
得られた抽出物の潜在的な抗アンドロゲン効力の評価をアンドロゲン受容体依存性MMTV-lucレポーター遺伝子アッセイによって行った。以下においてはルシフェラーゼアッセイという。
そのアッセイにおいては、酵素であるルシフェラーゼがレポーターとしての役割を果たす。ルシフェラーゼは北アメリカホタルPhotinus pyralis由来のオキシドリダクターゼであり、基質であるルシフェリンの脱水を空中の酸素、ATPおよびMg2+イオンの存在下にて行い、オキシルシフェリンにする。このプロセスにおいて放散されるエネルギーは、光として放射される。
ルシフェラーゼのレポーター遺伝子は、pMMTV-lucプラスミド(MMTV = Mouse mammary tumour virus)上に配置され、このプラスミドには、アンドロゲン反応因子(ARE)も配置される。pMMTV-lucプラスミドを、アンドロゲン受容体発現ベクターとともにサル腎臓の線維芽細胞に導入する。そこにアンドロゲンを加えた場合、このアンドロゲンはアンドロゲン受容体との複合体において、アンドロゲン反応因子に結合する。このプロセスによって、次に続く遺伝子、すなわちルシフェラーゼレポーター遺伝子の転写が開始される。発現されるルシフェラーゼの量はルシフェリンを添加したときに放出される光量に直接比例し、光量の定量はλ=562nmにおける発光量を測定することによって行うことができる。アンドロゲン以外に抗アンドロゲン物質または抗アンドロゲン抽出物も存在すると、アンドロゲン反応因子によるルシフェラーゼレポーター遺伝子のトランス活性化が阻害され、その後基質を添加しても、相応のより少量の光エネルギーしか放散されない。光の減少は抗アンドロゲン性に直接比例するため、このアッセイは新しい抗アンドロゲン性リード構造物の探索に大変好適である。
次に、抽出物の評価を、2つの濃度(300μg/mlおよび600μg/ml)にて、抗アンドロゲン性生物活性について、ルシフェラーゼアッセイを用いて行う。評価のために、抗アンドロゲン効果の計算を、純粋溶媒のみを添加したコントロールに対する阻害パーセントとして行った。次に最も効果が高い抽出物をさらなる活性ガイド分画に付するものとした。
図1には、P. africanaの選択的ヘキサン抽出物の抗アンドロゲン活性は弱いものであることが示されている。これは、おそらく遊離のおよびエステル化した脂肪酸および長鎖アルコールの割合が多いことによる。
P. africanaからの選択的ジクロロメタン抽出物は、このアッセイにおいて最も高い抗アンドロゲン活性を示すことが明らかになった。したがって、この抽出物をさらなる活性ガイド分画の対象に選んだ。
Pygeumの抽出物の親水性の増大に伴い、抗アンドロゲン活性は顕著に低下する。
一方、P. africanaからのエタノール完全抽出物が強い効果を有することも示された。このことから、エタノールによって、選択的ジクロロメタン抽出物中のものと同一の抗アンドロゲン物質が抽出されたことが示唆された。後者の方が有望であった。この抽出物においては、活性物質の濃縮がうまく行えたからである。
数多くの化合物を含む複雑な混合物中の活性化合物の探索においては、活性ガイド分画が有用であることが立証されている。このために、まず前記植物抽出物の生物活性についての試験を行った。効果が生じたとき、サンプルをクロマトグラフィによって分離する。全般に、活性は全ての画分に分散せず、数少ない明確に画定される画分のみに見出される。これらの画分に活性物質が蓄積されているからである。次にこれらの活性画分を選択し、さらなる分画を異なる分離方法によって行う。この操作の反復は、特異性が増大する方法を用いながら最終的に活性物質が単離されるまで行う。異なる分離方法の組み合わせ(選択的抽出、振盪抽出、順相クロマトグラフィおよび逆相クロマトグラフィ)によって、分画工程の数が少なくなり、そのため時間も短縮される。次に単離された物質の同定および定量を種々の分析手法によって行い、最後にそれらの効力の評価を、個々の物質およびすべての活性化合物について行う。レファレンス化合物と抽出物から単離された化合物が一致した場合、化合物の同定が確認できたとする。
この方法を本研究にも適用した。まず、最も高い効力を示した抽出物を選択した。これはP. africanaからの選択的ジクロロメタン抽出物であり、選択的抽出によるアプローチのために、既に前分画されていた。この抽出物のさらなる分画を、勾配エクストログラフィ(gradient extrography)−順相クロマトグラフィ、によって行った。
エクストログラフィの工程は粗オイル蒸留残渣の分画のために開発された。これは複雑な混合物であって、成分の極性が広範囲に存在するものの分離に寄与する。かかる複雑な混合物を粗い段階的勾配によって処理し得る数の画分に分離する。各画分は前のものよりより狭い範囲の極性を有する。これによって各画分に特定の極性を有する物質が蓄積されることとなる。この方法を改変して植物抽出物用のものとしたが、とくにサンプルゾーンを数センチメートルに短縮した。このようにすると、大量の抽出物を比較的短時間で分画することが可能となる。
エクストログラフィにおいては、抽出物をまず適切な溶媒に溶解し、約5倍量の粗シリカゲルに吸着せしめる。このためには、シリカゲルを澄明な抽出物溶液と合わせ、この混合物を超音波処理し、その後に溶媒の除去を回転エバポレータによって、ピストンの回転を遅くして、乾燥した流動性材料が残るまで行う。この工程によってサンプル分子のシリカゲル上への前分別が行われる。
シリカゲルの非常に極性が高いシラノール基によって、まず最も極性が高いサンプル分子がその表面に吸着される。極性化合物のこの新しい表面は、今度は抽出物からやや低極性の物質を吸着する。これによって、シリカゲルの孔に極性が低下するようにサンプル分子の数層が構成される。したがって、新しい孔表面に存在するのは最も低極性な物質である。このことから、溶解した抽出物の全量は1回(portion)でシリカゲルに設置されることが不可欠であり、数回に分けて設置されることは避けなければならないといえる。そうしないと、それぞれの回において、溶媒を回収した後に物質の極性を全て再びそこに吸着しなければならないからである。
吸着した抽出物を有するシリカゲルを、微細シリカゲル(Macherey-Nagel Si60、15〜25μm)のクロマトグラフィ床の前の分離カラムに充填する。次に溶媒勾配を親油性溶離液で始めた場合、最初に親油性物質のみが表面に溶解し、クロマトグラフィ分離床に渡される。勾配によって溶離液の極性が増大し、それによって極性が増大した物質がクロマトグラフィに付されるようになる。したがって、サンプル分子をシリカゲル上にて前分別することによって、大量の物質の分画が可能となる。分離床のオーバーロードは避けなければならないが、その理由はサンプル分子が分離ベッドに一時に入らず徐々に入り、極性が異なる群として分別されてしまうからである。
溶媒勾配として選択的ジクロロメタン抽出物に最も適切なものの決定は、一連の前試験を異なる勾配で行うことによって行った。選択的抽出と同様に、n−ヘキサンを最も親油性が高い溶媒成分に選択した。さらなる勾配においては、ジクロロメタンの混和を、ゆっくりと、かつ均一に行うこととした。その理由は、抽出物の分離が最終的にその溶媒によって行われたため、ジクロロメタンを用いると最も都合がよい(successful)と考えられたからである。続いて、メタノール混和物および最後に水混和物を比較的短い時間内において追加する。これらに近い極性を有する化合物がジクロロメタン抽出物に見出されることは考えにくかったからである。0.1%のトリフルオロ酢酸を全ての溶出物に添加して酸化合物の解離を防いだ。
エクストログラフィを、予備的な規模で、2回、P. africanaからの選択的ジクロロメタン抽出物を用いて行った(extrography 1 = E1 and extrography 2 = E2)。大規模へのスケールアップにはカラムの大きさと溶離液の流速を調節する必要があった。ステンレス鋼カートリッジ(Merck Prepbar(登録商標)40×10cm)にシリカゲルを充填したものをカラムとして用いた。このカートリッジのパッキングの押圧を、プレス器具および可変カラムヘッドを用いて行った。吸着した抽出物からなるサンプルゾーンは、クロマトグラフィチューブの下部に位置せしめた。溶離液を、HPLCポンプを用いて、流速120ml/minで底部から頂部にポンプし、エアポケットの形成を防いだ。
調製勾配エクストログラフィによって得た35個の画分(表1)をHPLC分析によってその成分を調べ、個別に、および未分画の選択的ジクロロメタン抽出物と比較した。この工程においては、全ての画分を等量にてクロマトグラフィに付し、個々の画分中の同一の化合物の濃度の直接比較を、UV吸収に基づいてクロマトグラム面上にて行えるようにした。
エクストログラフィ画分のクロマトグラムをクロマトグラフィによる全体像と比較することによって、エクストログラフィが良好であり、成分全体からの物質の相互分離が達成されていることが明らかとなった。物質の中には対応する画分に蓄積が大きいものがあった。
35個の画分をルシフェラーゼアッセイに付し、抗アンドロゲン活性を調べた。全ての画分の試験は、濃度を30μg/mlおよび60μg/mlとして行った。35個の画分のうち、3個の分画、すなわち、F6、F7およびF8は、極めて効果が高いことが明らかになり、このことは図2から理解することができる。
F6画分、F7画分およびF8画分のHPLCクロマトグラムを比較すると、これら3つの画分全ての成分プロフィールが非常に似ていることが観察された。ピークの数は、未分画の選択的ジクロロメタン抽出物より顕著に少なくなっていた。リテンションタイム39分におけるダブルピークがとくに特徴的であった。かかるピークは他の32個の画分にはみられなかったからである。このことから、ダブルピークに示される2つの物質のうちの1つ、または両方の物質が、P. africanaの活性成分であると推測された。
抗アンドロゲン活性物質を得るために、最終分離ステージを行わなければならなかった。すなわち、さらなる単離を、抗アンドロゲン活性エクストログラフィ画分から行うのである。
3つのエクストログラフィ画分F6、F7およびF8のうち、F8画分は量が十分であったため、さらなる調製的分離のために選択した。分析的分離方法は短縮し、カラムの寸法および流速を適合させて調製的な規模に変換した。数回の分離を経て、P3、P5、P7、P9およびP10をルシフェラーゼアッセイに十分な量で得た。
単離した物質P3、P5、P7、P9およびP10の試験を抗アンドロゲン活性について、ルシフェラーゼアッセイによって行った。結果を図3に示す。
図3から明らかなことは、物質P9およびP10が、P. africanaからの活性物質であるということである。ルシフェラーゼアッセイにおいて、P5が示した活性は中程度であり、P3の抗アンドロゲン活性は弱く、P7には有意な効果が見出されなかった。
F8の調製的分離に先立ち、この画分をクロマトグラフィ開始条件の溶媒混合物(アセトニトリル(ACN)20%、水80%)に溶解せしめた。残渣が残ったので濾別し、これについてもエタノール/DMSOに溶解せしめて試験を行った。この残渣はルシフェラーゼアッセイにおいて活性を示さなかった。
物質P9の構造解析のために、H−NMR、13C−NMR、UV、IRおよびEI−MSスペクトルを用いた。P9は、メチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート、別称をメチル−β−オルシノールカルボキシラート、慣用名アトラル酸、と同定された。「酸」と称することは誤解を招きかねない。というのは、アトラル酸のカルボン酸基は遊離体には存在せず、メタノールによってエステル化されているからである。しかしながら、アトラル酸は、2つのフェノール性水酸基およびフェニルの(phenylogous)カルボニル基の存在により、酸性を有することは確かである。アトラル酸(AA)の構造式を図5に示す。
アトラル酸は無色のニードルとしてF8画分から単離された。この物質は特有のウッディ(woody)な臭いを有する。メトキシカルボニル基の吸収バンド以外に、クロロホルム中のアトラル酸溶液のIRスペクトルハロゲン化物2つのバンドを水酸基について示す。OHの価電子振動(valence oscillation)がνmax=3040cm−1であることから、分子内水素ブリッジの存在が示唆され、それは分子により、C−2位の水酸基およびカルボニル基の間で、形成されるものである。前記溶液を希釈してもバンドは同じ位置に保たれた。しかし、サンプルを希釈すると、νmax=3040cm−1におけるOHの価電子振動バンドはより大きい波長方向にシフトしたことから、分子内水素ブリッジの存在が示唆される。希釈によって分子内水素結合としてC−4位の水酸基と第二分子のカルボニル基との間でのものが開裂され、OH基の結合強度が高められ、価電子振動の励起により大きいエネルギーを必要とするようになる。
分子間水素ブリッジはH−NMRスペクトルからもみられた。C−2位の水酸基のプロトンのシグナルとして分子間水素ブリッジに関与しているものは、多くの場合シャープでありディープフィールド(δ=11.98ppm)に強くシフトしている。HD交換(HD exchange)の場合、このプロトンの重水素による置換は、他方の水酸基であるC−4位のもののプロトンの場合ほど生じない。このことから、分子間水素ブリッジは分子内水素ブリッジよりはるかに強固であることが示される。アトラル酸の結晶構造像の記録は1983年に成功している。
アトラル酸のH−NMRスペクトルは、6つの一重項を示す。メチル基のシグナルのシフト位置はδ=2.03ppmおよびδ=2.39ppmである。3つのプロトンのシグナル強度を有する一重項がδ=3.85ppmにあり、これはメトキシカルボニル基の存在を示唆するものであり、δ=51.8ppmおよびδ=172.6ppmの13C−NMRスペクトルのシグナルによって確認される。13C−NMR スペクトルは、C−3位のメチル基のδ=7.6ppmという極端なハイ・フィールドシフトを示す。これは、隣接するC原子上の2つの水酸基による強い電子吸引性によって説明される。メチル基の位置の確認はHMBC試験(HMBC = Heteronuclear Multiple Bond Correlation)によってなされ、それはスペクトル中にクロスシグナルとしてC−3位とC−2位およびC−4位のメチルプロトンのJ(C,H)カップリングを示す。
全てのプロトンの対応する炭素原子への割り当ては、HMQCスペクトル(HMQC = Heteronuclear Multiple Quantum Coherence)によって達成される。
アトラル酸のEIマススペクトルは、分子イオンピークをm/z196に生じる。示性式としてC1013が、マスの精査によってなされる。スペクトルは、アトラル酸の2つの特徴的な断片イオンのピークも示す。断片イオンとしてm/z164のものはメタノールの分離によって形成されるところ、メトキシカルボニル基のメチル基がC−2位水酸基のプロトンとともにメタノールを形成し、次に前記メタノールとして分離される。これはサリチル酸メチルの部分構造に特徴的なものである。さらなる断片化によって、一酸化炭素が分離され、2番目のイオンピークがm/z136に形成される。
アトラル酸のUVスペクトルは、3つの極大点をλ=217、245および307nmにおいて示す。アルカリ条件によって黄色の溶液となり、UVスペクトルにおいて極大点の深色移動が生じる。
アトラル酸をアセトンから再結晶し、単斜結晶を得ることができる。また、サリ値ラートの部分構造によって、アトラル酸は塩化鉄(III)溶液とともにバイオレット色を呈する。全ての分析データは文献記載のものとよく一致している。
アトラルのP. africanaからの選択的ジクロロメタン抽出物における定量において、検量線の決定には99%より高い純度を有するアトラル酸をレファレンス物質として用いた。これによって、アトラル酸の量として0.16%(m/m)が選択的ジクロロメタン抽出物において決定された。
ルシフェラーゼアッセイにおいて、アトラル酸は明瞭な抗アンドロゲン活性を示す。したがって、本発明は、アトラル酸の、良性前立腺過形成の処置のための使用、および良性前立腺過形成の処置のための医薬の製造における使用に関する。
アトラル酸の単離は、Newbouldia laevis、Alseodaphne andersonii、Acer nikoense、Xylosma velutinaおよびEkebergia pterophylla等の種々の高等植物の樹皮を材料として既に行われている。
一方、アトラル酸は、地衣類の物質としても知られている。地衣類は着生植物、すなわち共生微生物のうち菌類(共生菌)および藻類(共生藻)からなるものである。アトラル酸は地衣類において遊離体として存在することができ、デプシド類およびデプシドン類の成分として作用する。例えば、よく知られた地衣類物質であるアトラノリンはアトラル酸およびヘマトム酸(hematommic acid)のデプシドであり、種々の地衣類の種によるポリケチド代謝によって合成される。
このことから、以下の問題が提起される:アトラル酸は本当にPrunus africana(Hook.f.)Kalkmの二次代謝物であるのか、あるいは木の樹皮に地衣類が群生し、アトラル酸をポリケチドとして、酢酸−ポリマロナート合成経路によって、産生しているのかである。
Pygeum africanaの樹皮薬物を顕微鏡下で観察すると、明瞭なハイフン(Hyphen)が見えることから、地衣類が存在することが確認される。このことは、アトラル酸の由来が地衣類のポリケチド代謝であり、Pygeum africanaの二次代謝物ではないことを示唆するものである。
アトラル酸は地衣酸に属し、ポリアセタートであり、その生物的起源は植物地衣体の菌類成分によるものである。他の地衣酸と同様に、アトラル酸は抗菌性および殺線虫活性を有すると考えられている。
なお、アトラル酸の製造は、3−メチル−4−メチレン−2−オキセタンおよび酢酸メチルエステルから完全合成によって行うこともできる。
前立腺細胞および前立腺癌細胞の増殖は、元来アンドロゲンに依存している。アトラル酸のアンドロゲンに対するアンタゴニズムが細胞増殖にも影響するか否かを試験するために、ヒト前立腺癌細胞株LNCaPを用いた。これはアンドロゲン依存性の増殖を示すことが知られている。LNCaP細胞の培養を10μMのアトラル酸存在下にて行った。図4は10μMのアトラル酸の処理を受けた細胞が、処理8日目には増殖が無処理細胞より明らかに遅くなっていることを示している。
この効果は処理18日目にはさらに顕著になった。10μMのアトラル酸の存在下において、LNCaP細胞の増殖は低下し、OH−F(ヒドロキシフルタミド)による処理においては増殖は全く遅延しなかった。後者は、LNCaP細胞が、ヒトアンドロゲン受容体のリガンド結合領域に点突然変異を生じ、OH−Fがこれらの細胞に対して抗アンドロゲン性を示すことを妨げたことに起因するかもしれない。
これらのデータから、アトラル酸のアンドロゲンに対するアンタゴニズムは変異したヒトアンドロゲン受容体にも効果を示すといえる。すなわち、アトラル酸はLNCaP細胞の培養を阻害するのである。したがって、アトラル酸の使用は、前立腺悪性腫瘍のうちヒドロキシフルタミドのような抗アンドロゲン活性剤に対して耐性を有するものにも可能であると結論される。
したがって、本発明は、アトラル酸の使用として、前立腺悪性腫瘍の処置および前立腺悪性腫瘍を処置するための医薬の製造のための使用にも関する。かかる医薬は、とくに、前立腺悪性腫瘍のうち、例えばビカルタミド、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロンのような公知のアンドロゲンアンタゴニストによる処置に対して耐性を有するものに対する医薬である。
さらに、アトラル酸は、良性前立腺過形成および/または前立腺悪性腫瘍の処置、とくに治療耐性を有する前立腺悪性腫瘍の処置に適した新規活性物質の開発のためのリード物質として貢献し得る。
本発明における根本的な課題は、BPHおよび/または前立腺悪性腫瘍の処置のため、またはBPHおよび/または前立腺悪性腫瘍の処置のための医薬の製造のための、新たな抗アンドロゲン物質を提供することにあった。
この課題は、数多くの化学合成によるアトラル酸の誘導体として、ベンゼン環の側鎖またはエステル側鎖を置換したものを提供することによっても解決される。アトラル酸の構造を最適化するために、数多くの物質を合成した。これらはアトラル酸とはエステル基において相違するものである。この目的のために、最初に試みたのは酸触媒エステル化を2,4−ジヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸に対して、種々の第一級脂肪族アルコールと行うことであった。カルボニル活性が低いため、カルボン酸のアルコールとの反応は全般に緩徐なものでしかなかった。強鉱物酸である硫酸を添加し、還流を数時間行うことによって、反応速度を大幅に増大せしめることができる。しかし、2,4−ジヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸と第一級アルコール、例えばエタノールとの反応では、目的のエステルは生成されなかった。その理由は、昇温下においては、2,4−ジヒドロキシ−3,5−ジメチル安息香酸が鉱酸によって、サリチラート構造にために脱カルボキシル化するからである。
しかしながら、アトラル酸のアルカリ触媒再エステル化を第一級アルコールと行うと、目的のエステルが生成された。この目的のために、アトラル酸の一晩の攪拌を、等モル量よりやや多い量の水酸化カリウムとともに、対応する第一級脂肪族アルコールまたはベンゼンスルホンアミド中にて行った。この再エステル化は定量的に起こらなかったため、反応生成物の混合物からの単離を調製HPLCによって行わなければならなかった。
このようにして、以下のアトラル酸誘導体(アトラテート(atratate)類)の合成に成功した。構造式を図5に示す:
A1=エチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート;エチルアトラテート
A2=プロピル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート;プロピルアトラテート
A3=ブチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート;ブチルアトラテート
A4=2−[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート
A5=(2E)−3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエン−1−イル−2,4−ジヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾアート;ゲラニル−2,4−ジヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾアート;ゲラニルアトラテート
A6=イソプロピル−2,4−ジヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾアート;イソプロピルアトラテート
さらに、アトラル酸と類似の構造を示す、以下の市販の化合物についても、抗アンドロゲン効果を評価した。
R0=エチル−2,4−ジヒドロキシ−6−メチルベンゾアート
R1=メチル−3,5−ジブロモ−2,4−ジヒドロキシ−6−メチルベンゾアート
R2=メチル−2−ヒドロキシ−3−メチルベンゾアート
R3=メチル−2,4−ジヒドロキシベンゾアート
R4=メチル−2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアート
R5=メチル−2,6−ジヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾアート
R6=2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸
X=1−(2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシフェニル)−エタノン;キサントキシリン。
化合物A4は、アトラル酸とN−ブチルベンゼンスルホンアミドとのキメラであるが、図6および7に示すとおり抗アンドロゲン効果を示さなかった。このことから導かれる仮説は、アトラル酸誘導体における大きい側鎖をエステルとしても抗アンドロゲン活性分子にはつながらないということである。この仮説はイソプロピル基(化合物A)をより大きく、より疎水性が高いゲラニル基(化合物A5)に置換しても抗アンドロゲン活性分子にはつながらなかったことと一致する。
化合物R4およびA6は強い抗アンドロゲン活性を示し、アンドロゲン受容体媒介トランス活性化のほぼ完全な阻害が10μMでみられた(図7)。わずか1μMの濃度でも、R4とA6はいずれもアンドロゲン受容体媒介トランス活性化を不活化することができた。
ルシフェラーゼアッセイの結果から、オルト位のメチル基は抗アンドロゲン活性に必要なものではないが(アトラル酸の効果とR4の効果との比較によって示されている)、メタ位のメチル基は抗アンドロゲン活性に必須である(R0の活性を参照)ことが示唆される。そのことに関連して、ベンゼンから両方のメチル基を取ると抗アンドロゲン活性は完全に失われることとなる。また、各メチル基を臭素原子で置換しても抗アンドロゲン活性は失われる。これは化合物R1の活性から明らかである。
また、化合物R5は、アトラル酸の全ての置換基を異なる位置に有するものであるが、抗アンドロゲン活性を失っている。エステルのメチル基も抗アンドロゲン活性に必須のようである。これを取ると抗アンドロゲン活性は失われるからである。R6の活性によって示される。
アンドロゲン類は正常な発育、正常な成長および前立腺の正常な分泌活動に不可欠のものである。それとは対照的に、エストロゲン類は一般に、前立腺の成長を阻害するものと考えられている。しかし、エストロゲン類に関するそのような一般的な評価は誤りであると思われる。なぜなら、ERβの活性化は前立腺癌細胞の増殖を阻害する効果をもたらすことを示し得るからである。さらに、ERβの不活化によって、前立腺過形成がマウスに生じた。
本発明のためになされた研究の枠組みの中で、アトラル酸は抗アンドロゲン活性を有するのみならず、ERβに対してアゴニストとして作用することも明らかになった。この発見から、アトラル酸の前立腺癌細胞の増殖に対する阻害効果はその抗アンドロゲン効果のみによるものではなく、ERβアゴニズムにもよるものであると推測される。それどころか、他の病気、例えば神経変性障害に罹患した患者は、アトラル酸またはERβに対してアゴニスト効果を有するアトラル酸誘導体による処置によって、恩恵を被る可能性がある。
図1は、ルシフェラーゼアッセイにおける、P. africanaからの異なる抽出物によるアンドロゲンの活性に対する阻害を示す。 図2は、P. africanaからの選択的塩化メチレン抽出物の画分の抗アンドロゲン活性を示す。 図3は、塩化メチレン抽出物のF8画分から単離された化合物の抗アンドロゲン活性を表す図である。 図4は、ヒト前立腺癌細胞の増殖に対するアトラル酸による阻害を表す。 図5は、アトラル酸(AA)およびアトラル酸誘導体(A1〜A6)の構造式を例示する。 図6は、アトラル酸(AA)の合成構造修飾物の、濃度10−6Mにおけるルシフェラーゼアッセイの結果を示す。 図7は、アトラル酸と構造的に類似する化合物の抗アンドロゲン活性を表す図である。 図8は、アトラル酸のエストロゲン受容体ベータに対するアゴニスト活性を表す図である。 図9は、アトラル酸のエストロゲン受容体αに対するアゴニスト活性を表す図である。
したがって、本発明の主題は、下記一般式の2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートの良性前立腺過形成および/または前立腺悪性腫瘍、とくにアンドロゲンアンタゴニスト療法に対して耐性である前立腺悪性腫瘍の処置のための使用である。
Figure 2013063986
式中RはC〜Cアルキルを表し、Rは水素もしくはメチル、エチルまたはプロピル残基である。
本発明の主題は、下記一般式の2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートの球脊髄性筋萎縮症の処置のための使用およびその処置のための医薬に用いられる医薬の製造のための使用でもある。
Figure 2013063986
式中RはC〜Cアルキルを表し、Rは水素もしくはメチル、エチルまたはプロピル残基である。
本発明はさらに、前記2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートの良性前立腺過形成、前立腺悪性腫瘍または球脊髄性筋萎縮症の処置のための他の、または新たな活性物質の開発のためのリード物質としての使用に関する。
本発明はさらに、良性前立腺過形成および/または前立腺悪性腫瘍の処置、とくにアンドロゲンアンタゴニストによる療法に対して耐性である前立腺悪性腫瘍の処置、ならびに球脊髄性筋萎縮症の処置のための医薬であって、少なくとも1種の下記一般式の2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートを含有することを特徴とする医薬に関する。
Figure 2013063986
式中RはC〜Cアルキルを表し、Rは水素もしくはメチル、エチルまたはプロピル残基である。
また、本発明は、以下の工程を含む、アトラル酸を生物材料から単離する方法に関する。
a.前記生物材料のサイズを小さくする工程;
b.前記生物材料からの抽出を、一価のC〜Cアルコール類および高揮発性で(部分的に)ハロゲン化されているC炭化水素類を含む群から選択される溶媒によって行う工程;
c.前記抽出物を分画する工程、
d.アトラル酸を含む画分からアトラル酸を単離する工程。
前記生物材料は、アフリカンプラムツリーP. africanaの樹皮またはP. africanaの樹皮上において生息している地衣類であってよい。好ましくは、抽出は、極性が増大する連続的な一連の溶媒によって行われる選択的抽出として行い、抽出物の分画は、溶離液の極性が増大する勾配エクストログラフィを用いて行う。とくに好ましくは、アトラル酸のアトラル酸含有画分からの単離を、調製HPLCを用いて行う。
本発明の他の主題は、アトラル酸誘導体(アトラテート)の合成方法であって、その特徴は、アトラル酸を、等モル量のアルカリ水酸化物またはアルカリ土類水酸化物とともに第一級脂肪族アルコール溶液中において攪拌し再エステル化のみを行うこと、および続いてアトラル酸誘導体の反応混合物から好ましくは調製HPLCによって単離することである。
好ましくは、用いるアルカリ水酸化物が水酸化カリウムであり、とくに好ましくは、第一級脂肪族アルコールはメタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノールおよびブタノールを含む群から選択される。
本発明の他の主題は、下記一般式の2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートを含むアトラル酸誘導体であって、
Figure 2013063986
式中、Rは水素もしくはもしくはメチル、エチルまたはプロピル残基であり、Rがイソプロピル、ゲラニルおよびエチルベンゼンスルホンアミド残基を含む群から選択されることを特徴とするものである。
例1: 植物材料の抽出
乾燥したアフリカンプラムツリー(P. africana)の樹皮を粉末化し、1.73kgの粉末樹皮を1lのn−ヘキサン中にて氷冷しながら、Ultra Turraxを用いてホモジナイズした。植物材料をカラム(Merck Prepbar(登録商標)、400×100mm)に充填し、選択的抽出を25.0リットルのn−ヘキサン、26.0リットルの塩化メチレン25.0リットルのメタノール(MeOH)および12.5リットルの水によって、室温にて続けて行った。得られた抽出物から溶媒を真空中、40℃にて留去した。これによって4.8gの選択的ヘキサン抽出物、11.03gの選択的塩化メチレン抽出物、116.81gの選択的メタノール抽出物および7.00gの選択的抽出物を得た。
エタノール抽出物を調製するために、300gのP. africanaの樹皮材料を粉末化し、3回の抽出を5.0リットルのエタノール(EOH)を用いて行った。抽出物の濾過を孔径0.7μmの濾紙を通して行った後、溶媒の全抽出物からの除去を40℃にて回転式エバポレータを用いて行った。得られた抽出物の乾燥体は16.02gであった。
例2:塩化メチレン抽出物の分画
Pygeum africanaの選択的塩化メチレン抽出物の分画をシリカゲル(Macherey - Nagel Si60、15〜25μm)を用いて行った。これを目的として、抽出物を2000mlのCHClに溶解せしめ、孔径0.7μmの濾紙(Schleicher & Schuell)を通して行った。25gのシリカゲル(Merck Si60、0.063〜0.2mm)を抽出物に添加し、次に溶媒の除去を真空中、40℃にて行った。このようにしてコートしたシリカゲルをドライパックシリカゲルカラム(Merck Prepbar(登録商標)、400×100mm)に搭載し、流速120ml・min−1で、0minにヘキサン(100:0)、50minにヘキサン(100:0)、350minにCHCl(100:0)、500minにCHCl(100:0)、700minにCHCl−MeOH(80:20)、750minにMeOH(100:0)、800minにMeOH(100:0)、850minにHO(100:0)、885minにHOの直線的な勾配を用いて、溶離を行った。クロマトグラフィによって35個の画分を得、波長245nmのUV光による検出が行われた(表1)。
Figure 2013063986
例3:アトラル酸の単離
アトラル酸の単離は、F8画分から調製HPLC(250×21mm、100-5 C18 HD Macherey - Nagel、22ml・min−1、220nmにおけるUV検出、勾配:0min ACN−HO(0.1%のTFAを添加)((20:80)、40min ACN−HO(80:20)、45min ACN(アセトニトリル)(100:0))によって行った。アトラル酸の回収は23〜25分に行った。その構造推定をH NMRおよび13C NMR、EI−MS、HR−EI−MS、IRおよびUVスペクトルによって行った。
例4:細胞培養およびルシフェラーゼアッセイ
内在性アンドロゲン受容体を欠くサル腎臓細胞ラインCV1の培養を、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を10%(v/v)のウシ胎児血清、ペニシリン(100 IU/ml)およびストレプトマイシン(100 IU/ml)で補強したもので、37℃および5%COにおいて培養した。
トランスフェクションの実験においては、細胞を6ウェル細胞培養プレート(Nunc, Roskilde、Denmark)にウェルあたり細胞数1.2×10の密度で播種し、DMEM培地を10%(v/v)のデキストランコート活性化木炭処理(charcoal stripped)血清で補強したもので培養した。播種6時間後、細胞のトランスフェクションをCa3(PO4)2法を用いて行った。ヒトアンドロゲン受容体(hAR)発現ベクター(0.2μg)を、1μgのレポータープラスミドMMTV-lucおよび0.2μgのサイトメガロウィルス(CMV)誘導β−ガラクトシダーゼ発現ウィルスとともに共トランスフェクションし、トランスフェクション効率の内部標準とした。14時間後、培地の交換を、メチルトリエノロンを添加しないか(図1〜3の白色バー)または添加して(R1881、最終濃度3x10−10M;図1〜3の黒色バー)、示した抽出物(図1)、塩化メチレン抽出物画分(図2)および個々の単離した化合物(図3)とともに、行った。さらに48時間の後、細胞を回収してアッセイに付し、ルシフェラーゼ活性およびβ−ガラクトシダーゼ活性を調べた。
ルシフェラーゼ活性の測定はルシフェリンおよびルシフェリンを注入し、発光量を562nmで測定し、相対光量単位(RLU)として表した。β−ガラクトシダーゼ活性の値をルシフェラーゼ活性の正規化に用いた。示した全てのトランスフェクションアッセイは2連制で行い、少なくとも2回反復した。
P. africanaの樹皮からの種々の抽出物における抗アンドロゲン活性の測定においては、抽出物の濃度を300μg/mlとして用いた。結果を図1に示す。
選択的塩化メチレン抽出物の画分における抗アンドロゲン活性の測定においては、各画分を2μl用い、これは最終濃度30μg/mlに対応するものであった。F6画分〜F10画分については、最終濃度30μg/mlに対応する4μlで追加の試験を行った。活性画分であったF7およびF8については、さらに試験を行った。結果の一部を図2に示す。
選択的塩化メチレン抽出物のF8画分から単離された物質群による阻害を、アンドロゲン活性阻害パーセントによって図3に示した。物質は、それぞれ30μg/mlの濃度で用いた。
例5:アトラル酸によるヒト前立腺癌細胞の増殖阻害
ヒト前立腺癌細胞(株LNCaP)を、ウシ胎児血清、ペニシリン(100 IU/ml)、トレプトマイシン(100 IU/ml)、2mMのグルタミンおよび1 mMのピルビン酸で補強したRPMI-1640培地で培養した。
細胞増殖アッセイにおいては、細胞を24ウェル細胞培養プレートにウェルあたり細胞数5×10の密度で播種し、ウシ胎児血清を5%含むRPMI-1640培地で培養した。 2日目に培養培地を取り換えるとともにエタノール/DMSO(コントロール)、アトラル酸(1μMおよび10μM)または既知の抗アンドロゲン物質であるヒドロキシフルタミド(OH−F)(0.1μM)を添加し細胞を処理した。2日ごとに培地を新しい培地と交換するとともに化合物を新たに添加した。細胞をトリプシン処理し、細胞計数チャンバを用いて、示した日に計数を行った。結果を図5に示す。
例6:メチルベンゼンスルホンアミド(=S1)の合成
実験式:C1114(MW=210.09)
IUPAC:エチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート
外観:白色粉末
合成:
392mgのアトラル酸(2mmol)の118mgの水酸化カリウム(2.1mmol)との攪拌を10mlエタノール中にて一晩行い、中和した。溶媒の回収を回転式エバポレータによって行い、残渣の溶解をクロマトグラフィを開始する条件の溶媒混合物中にて行った。続いて、反応生成物の単離を調製HPLCによって、方法B4に従って行った:
Figure 2013063986
高精度質量決定(高精度質量決定)(HR−EI−MS):
計算値:[M]について210.0892
実測値:210.0889
例7:プロピルアトラテート(A2)の合成
実験式:C1216(MW=224.10)
IUPAC:プロピル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート
外観:白色粉末
合成:
392mgのアトラル酸()(2mmol)の118mgの水酸化カリウム(2.1mmol)との攪拌を10mlプロパノール中にて一晩行い、中和した。溶媒の回収を回転式エバポレータによって行い、残渣の溶解をクロマトグラフィを開始する条件の溶媒混合物中にて行った。続いて、反応生成物の単離を調製HPLCによって、方法B5に従って行った:
Figure 2013063986
Figure 2013063986
例8:ブチルアトラテート(A3)の合成
実験式:C1318(MW=238,12)
IUPAC:ブチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート
外観: 白色粉末
合成:
392mgのアトラル酸()(2mmol)の118mgの水酸化カリウム(2.1mmol)との攪拌を10mlブタノール中にて一晩行い、中和した。溶媒の回収を回転式エバポレータによって行い、残渣の溶解をクロマトグラフィを開始する条件の溶媒混合物中にて行った。続いて、反応生成物の単離を調製HPLCによって、方法B7に従って行った:
Figure 2013063986
Figure 2013063986
高精度質量決定(HR−EI−MS):
計算値:[M]について238.1226
実測値:238.1226
例9:アトラル酸とN−ブチルベンゼンスルホンアミド(A4)とのハイブリッド合成
実験式:C1719NS(MW=365.09)
IUPAC:2−[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート
外観:黄色がかった粉末
合成:
1.822gの2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル安息香酸(0.01mol)および3.522gのN−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンスルホン酸の処理を、環流化にて5時間、30mlオルトトルエンに0.05gの濃硫酸を添加したものの中で行った。中和の後、溶媒の回収を回転式エバポレータによって行い、残渣の溶解をクロマトグラフィを開始する条件の溶媒混合物中にて行った。続いて、反応生成物の単離を調製HPLCによって、方法B9に従って行った:
Figure 2013063986
Figure 2013063986
高精度質量決定(HR−EI−MS):
計算値:[M]について365.0933
実測値:365.0933
例10:ゲラニルアトラテート(A5)の合成
実験式:C1926(MW=318.18)
IUPAC:(2E)−3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエン−1−イル2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート
外観:黄色がかった粉末
合成:
392mgのアトラル酸()(2mmol)の118mgの水酸化カリウム(2.1mmol)との攪拌を10mlゲラニオール中にて一晩行い、中和した。溶媒の回収を回転式エバポレータによって行い、残渣の溶解をクロマトグラフィを開始する条件の溶媒混合物中にて行った。続いて、反応生成物の単離を調製HPLCによって、方法B8に従って行った:
Figure 2013063986
Figure 2013063986
高精度質量決定(HR−EI−MS):
計算値:[M]について318.1834
実測値:318.1829
例11:イソプロピルプロピルアトラテート(A6)の合成
実験式:C1216(MW=224.10)
IUPAC:イソプロピル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート
外観:白色粉末
合成:
392mgのアトラル酸()(2mmol)の118mgの水酸化カリウム(2.1mmol)との攪拌を10mlのイソプロパノール中にて一晩行い、中和した。溶媒の回収を回転式エバポレータによって行い、残渣の溶解をクロマトグラフィを開始する条件の溶媒混合物中にて行った。続いて、反応生成物の単離を調製HPLCによって、方法B6に従って行った:
Figure 2013063986
高精度質量決定(HR−EI−MS):
計算値:[M]について224.1049
実測値:224.1051
例12:エストロゲン受容体アゴニストとしてのアトラル酸
有意な量の機能性エストロゲン受容体を示さないCV1細胞を、機能性のアッセイのために、レポーター遺伝子(p2ERE-TATA-luc)としてルシフェラーゼの遺伝子をコードする発現プラスミド、およびヒトERαまたはヒトERβをコードする発現プラスミドで、共トランスフェクトした。エストロゲン受容体を用いたトランジェントトランスフェクション実験においては、フェノールレッドフリーDMEM培地(invitrogen)を、予めデキストラン被覆木炭によって精製した血清10%(v/v)、グルタミン1%(v/v)、ピルビン酸ナトリウム1%(v/v)およびペニシリンストレプトマイシン1%(v/v)で補強した。7日後、細胞を6ウェル細胞培養プレート(Nunc, Roskilde、Denmark)にウェルあたり細胞数1.2×10の密度で播種した。
24時間後、細胞のトランスフェクションを、リン酸カルシウム法に従い、受容体遺伝子をコードする発現プラスミド2μg、前記ERαをコードするかまたはERβをコードする発現プラスミド2μg、および正規化のために、サイトメガロウィルス由来β−ガラクトシダーゼ0.2μgを用いて行った。14時間後、培地を新しい培地に取り換えた。エストラジオールは添加または無添加であったが、いずれにおいても対応する量のアトラル酸を添加した。48時間後に細胞を回収し、アッセイに付してルシフェラーゼ活性およびβ−ガラクトシダーゼ活性を調べた。全てのトランスフェクションアッセイを、2連制で行い、少なくとも2回繰り返した。
結果を図8および9にグラフで示した。これらの実験結果は、2種類のエストロゲン受容体がアトラル酸による影響を受けることが示している。驚くべきことに、2種類のエストロゲン受容体に対するホルモン媒介トランス活性化は、アトラル酸による影響を受けなかった。しかし、エストラジオールが存在しない場合、レポーター遺伝子によるエストロゲン応答性の発現は、10μMおよび100μMの存在によって用量依存的に活性化された。このことはルシフェラーゼ活性の測定から明らかである。したがって、より高い濃度において、アトラル酸は両方のエストロゲン受容体に対するアゴニストとなる。
このようにして、以下のアトラル酸誘導体(アトラテート(atratate)類)の合成に成功した。構造式を図5に示す:
A1=エチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート;エチルアトラテート
A2=プロピル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート;プロピルアトラテート
A3=ブチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート;ブチルアトラテート
A4=2−[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート
A5=(2E)−3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエン−1−イル−2,4−ジヒドロキシ−3,−ジメチルベンゾアート;ゲラニル−2,4−ジヒドロキシ−3,−ジメチルベンゾアート;ゲラニルアトラテート
A6=イソプロピル−2,4−ジヒドロキシ−3,−ジメチルベンゾアート;イソプロピルアトラテート
例5:アトラル酸によるヒト前立腺癌細胞の増殖阻害
ヒト前立腺癌細胞(株LNCaP)を、ウシ胎児血清、ペニシリン(100 IU/ml)、トレプトマイシン(100 IU/ml)、2mMのグルタミンおよび1 mMのピルビン酸で補強したRPMI-1640培地で培養した。
細胞増殖アッセイにおいては、細胞を24ウェル細胞培養プレートにウェルあたり細胞数5×10の密度で播種し、ウシ胎児血清を5%含むRPMI-1640培地で培養した。2日目に培養培地を取り換えるとともにエタノール/DMSO(コントロール)、アトラル酸(1μMおよび10μM)または既知の抗アンドロゲン物質であるヒドロキシフルタミド(OH−F)(0.1μM)を添加し細胞を処理した。2日ごとに培地を新しい培地と交換するとともに化合物を新たに添加した。細胞をトリプシン処理し、細胞計数チャンバを用いて、示した日に計数を行った。結果を図に示す。
例6:メチルベンゼンスルホンアミド(=A1)の合成
実験式:C1114(MW=210.09)
IUPAC:エチル−2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルベンゾアート
外観:白色粉末
合成:
392mgのアトラル酸(2mmol)の118mgの水酸化カリウム(2.1mmol)との攪拌を10mlエタノール中にて一晩行い、中和した。溶媒の回収を回転式エバポレータによって行い、残渣の溶解をクロマトグラフィを開始する条件の溶媒混合物中にて行った。続いて、反応生成物の単離を調製HPLCによって、方法B4に従って行った:

Claims (16)

  1. 下記一般式の2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートの、良性前立腺過形成、前立腺悪性腫瘍または球脊髄性筋萎縮症の処置のための使用:
    Figure 2013063986
    式中、RはC〜Cアルキルを表し、Rは水素もしくはメチル、エチルまたはプロピル残基である。
  2. 下記一般式の2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートの、良性前立腺過形成、前立腺悪性腫瘍または球脊髄性筋萎縮症の処置に用いられる医薬の製造のための使用:
    Figure 2013063986
    式中、RはC〜Cアルキルを表し、R2は水素もしくはメチル、エチルまたはプロピル残基である。
  3. 下記一般式の2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートの、良性前立腺過形成、前立腺悪性腫瘍または球脊髄性筋萎縮症の処置のための活性物質の開発のためのリード物質としての使用:
    Figure 2013063986
    式中、RはC〜Cアルキルを表し、Rは水素もしくはメチル、エチルまたはプロピル残基である。
  4. 前立腺悪性腫瘍がアンドロゲンアンタゴニストに対して治療耐性であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
  5. アンドロゲンアンタゴニストが、ビカルタミド、フルタミド、ヒドロキシフルタミド、ニルタミドおよび酢酸シプロテロンを含む群から選択されるものであることを特徴とする、請求項4に記載の使用。
  6. 良性前立腺過形成、前立腺悪性腫瘍または球脊髄性筋萎縮症の処置のための医薬であって、少なくとも1種の下記一般式の2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートを含有することを特徴とする前記医薬:
    Figure 2013063986
    式中、RはC〜Cアルキルを表し、Rは水素もしくはメチル、エチルまたはプロピル残基である。
  7. 下記一般式の2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアートであって、
    Figure 2013063986
    式中Rは水素もしくはもしくはメチル、エチルまたはプロピル残基であり、Rがイソプロピル、ゲラニルおよびエチルベンゼンスルホンアミド残基を含む群から選択されることを特徴とする、前記2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾアート。
  8. 以下の工程を含む、アトラル酸を生物材料から単離する方法:
    a.前記生物材料のサイズを小さくする工程;
    b.前記生物材料からの抽出を、一価のC〜Cアルコール類および高揮発性で(部分的に)ハロゲン化されているC炭化水素類を含む群から選択される溶媒によって行う工程;
    c.前記抽出物を分画する工程、
    d.アトラル酸を含む画分からアトラル酸を単離する工程。
  9. 生物材料が、アフリカンプラムツリーP. africanaの樹皮またはP. africanaの樹皮上において生存可能な地衣類であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 抽出が、極性が増大する一連の連続的な溶媒によって行われる選択的抽出であることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
  11. 抽出物の分画が、溶離液の極性が増大する勾配エクストログラフィを用いて行われることを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 画分からのアトラル酸の単離が調製HPLCを用いて行われることを特徴とする、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
  13. アトラル酸誘導体の合成方法であって、アトラル酸の攪拌を、等モル量のアルカリ水酸化物またはアルカリ土類水酸化物とともに、一級脂肪族アルコール溶液中において行うこと、およびその後にアトラル酸誘導体を反応混合物から単離することを特徴とする、前記方法。
  14. アルカリ水酸化物が水酸化カリウムであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. アルコールが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールを含む群から選択されることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
  16. アトラル酸誘導体の単離を調製HPLCによって行うことを特徴とする、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
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