JP2013063790A - 生花用容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】生花の保管・輸送に使用される容器であって、この容器に貯溜された給水用の水を生花が吸収することにより、保管時や輸送時に生じ易い生花の乾燥や萎れを防止すると共に、転倒しても水が容器内に多量に残り容器外には漏れ難いようにし、使用した後に容器内に残る水の廃棄が容易な生花用容器を提供すること。
【解決手段】容器本体フランジ部4aと蓋体フランジ部4bを嵌合させて、水密状態を形成するようにした生花用容器1であって、蓋体に設けた生花保持部を蓋体フランジ部4bより上方側に配置し、この空間部分の高さと幅を特定の範囲として貯水容量を大きくし、生花保持部の生花を保持する水平部20を蓋体フランジ部4bより上方側に設たことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、生花用容器に関する。さらに詳しくは、生花の保管や輸送のために使用される容器であって、この容器に貯溜された給水用の水を生花が吸収することにより、保管時や輸送時に生じ易い生花の乾燥や萎れを防止すると共に、容器が転倒した際には、上記貯留水が容器内に残り容器外には漏れ難いようにし、使用した後に容器内に残る水の廃棄が容易な生花用容器に関する。
従来、生花を保管や輸送する際に、多くは収容部の浅いダンボール箱を使用し、生花をこのダンボール箱の底壁に沿わせた状態で収納し、場合によっては水を噴霧して梱包し、輸送する方法がとられてきた。この方法では、下側に配置された生花が上側に配置された生花によって圧迫されて品質が劣化し易い。また、生花を保管や輸送する間は、生花には全く給水されないため、生花の保管中や目的地に輸送するまでの期間が長い場合は、生花の鮮度を維持するのは困難であった。
保管時や輸送時に生花の鮮度を維持する目的で使用される容器として、特許文献1ないし特許文献3に記載の容器が提案されている。これら特許文献で提案されている生花用容器によれば、容器に生花給水用の水を貯溜し、この貯溜水に生花の茎切断部を浸して起立状態で収容し、生花を収容した状態の生花用容器をさらにダンボール箱に収納して、保管や輸送をすることができる。この方法によると、生花を起立状態に維持し、生花用容器に貯留水が残っている間は、保管中や輸送中であっても生花に給水が可能となり、生花の鮮度を維持することができる。
しかし、特許文献1に記載されている生花用容器では、容器自体が嵩張り、容器の貯蔵、保管、輸送、使用などの際に取扱いが煩雑であった。また、容器本体に貯留された貯留水は、生花の茎切断面から吸収され、吸収された水が葉面や茎表面から蒸発することによって徐々に減るため、貯溜水が不足することがあった。特に高温時に生花による水の吸収が活発だったり、保管期間が長引いたり輸送に時間がかかったりした場合などに、貯留水不足が生じ易いという問題があった。さらに、生花を目的地に輸送した後、生花用容器からの水抜き作業が困難であった。
また、特許文献2および特許文献3に記載されている生花用容器は、生花を目的地に輸送した後の水抜き作業は改善されているが、起立状態で収容した生花の茎を保持する位置が、容器本体開口部の下側に配置された生花保持部の下側部分であり、生花を保持する位置は茎の切断部に近い位置である。このため、生花を起立状態で収容した容器をダンボール箱に収納して貯蔵、保管、輸送する場合、生花の上部側が揺れてダンボール箱の内側面と擦れて傷み、生花の商品価値を損い易いという問題があった。出願人はこのような問題を解決した生花用容器を開発し、先に特許出願した(特願2010−102223)。
出願人が提案した特願2010−102223に係る生花用容器では、生花を起立状態で収納したダンボール箱を転倒させた際に、蓋体生花保持部の内側下端部に連接させて設けた水平部内周の直線部が下側に位置しないと、蓋体生花保持部の貯留水量が漏れることがあるので、蓋体生花保持部の内側下端部に連接させて設けた水平部内周の直線部の位置を個々に目視確認し、同じ方向に揃える必要があった。その後、生花用容器に生花を収納する作業や、生花を収容した容器をダンボール箱に収納する際の作業性などを向上させる目的で、生花用容器をコンベアベルトに載置して連続的に移送しつつ、この容器に生花を起立状態で収容し、さらにダンボール箱に収納した後、紐懸けする梱包方法が採用されることがある。このような梱包方法では、途中で振動、傾斜、転倒することがあるので、生花を起立状態で収容した生花用容器は水平部内周の直線部を揃えても意味がなく、むしろあらゆる方向に傾斜、転倒させても貯留水が漏れない構造とするのが有利であることが分かった。
特開2002−154589号公報 特許第3754664号公報 特許第4231039号公報
本発明は上記問題を解消した容器を提供すべく鋭意検討した結果完成されたものであり、その目的は次の通りである。
1.生花を起立状態で収容した生花用容器を、ダンボール箱に収納して移送、梱包、輸送する際に、あらゆる方向に傾斜・転倒しても水漏れが少く、十分な量の水を貯溜できる生花用容器を提供すること。
2.使用前後に嵩張らず、使用後は貯留水を容易に廃棄できる生花用容器を提供すること。
3.生花を起立状態で収容した生花用容器をダンボール箱に収納して移送、梱包、輸送などの際に、生花の上部側部分とダンボール箱の内側面とが擦れ難く、生花の商品価値を損なうことの少ない生花用容器を提供すること。
本発明は、上記目的を達成するため、開口部に容器本体フランジ部が設けられた容器本体と、この容器本体フランジ部と嵌合して水密状態を形成する蓋体フランジ部が設けられた蓋体とからなる生花用容器において、
前記容器本体は、上底に開口部が設けられ、この開口部と連接して容器本体の下底と略平行に容器本体フランジ部が設けられ、容器本体中央部を含む垂直断面は上底が下底より長くされた略台形状とされ、
前記蓋体は、前記容器本体フランジ部と嵌合する蓋体フランジ部と、この蓋体フランジ部に連接された生花保持部とから構成され、
この生花保持部は、前記蓋体フランジ部と連接し蓋体の中心軸に向かって傾斜して上方へ延在する外側壁部と、この外側壁部と連接し蓋体フランジ部と略平行に蓋の中心軸方向へ延在する上面壁部と、この上面壁部と連接し蓋体の中心軸に向かって傾斜して下方へ延在する内側壁部と、この内側壁部下端と連接し前記蓋体フランジ部と略平行に蓋体の中心軸方向へ延在する水平部とから構成され、容器本体の高さをHとし、生花保持部の高さをHとし、生花保持部内側壁部の寸法をHとし、生花保持部の上面壁部の幅をWとするとき、HがHの0.5〜2.0、HがHの2/3〜4/5、かつ、WがHの0.1〜0.4とされてなり、
前記水平部が前記蓋体フランジ部より上方に配置されたことを特徴とする、生花用容器を提供する。
本発明は、以下詳細に説明するとおりであり、次のように特別に顕著な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る生花用容器は、容器本体と蓋体の双方のフランジを嵌合させた際に水密状態を形成するようにされているので、生花用容器に生花を起立状態で収容してダンボール箱に収納し梱包する際に、生花用容器が振動し、どの方向に傾斜・転倒しても、生花保持部からの水漏れを少なくすることができる。
2.本発明に係る生花用容器は、容器本体と蓋体とに分割されているので、使用前や使用後に容器本体と蓋体をそれぞれ別々に積み重ねることができるので嵩張らないし、使用後は容器本体と蓋体の双方のフランジの嵌合を解く(開蓋する)ことによって、容易に水抜できる。
3.本発明に係る生花用容器は、蓋体の生花保持部が十分な高さにされ、外側壁部と内側壁部とを連接する上面壁部が十分に広くされ、かつ、この生花保持部が蓋体フランジ部より上方に配置され、蓋体の保水量が多いので、生花用容器への貯溜水量を大幅に増やすことができ、生花を容器内に起立させた状態で収容し、保管や輸送をする際に生花に十分給水でき、生花の鮮度を維持したまま保管や輸送が可能である。
4.本発明に係る生花用容器は、蓋体の生花保持部が十分な高さにされており、水平部も蓋体フランジ部より上方に配置され、生花は茎の切断部から離れた茎の比較的上側の位置で保持されるので、生花の上側部の揺れが抑制され、生花の上側部とダンボール箱の側面部との擦れ合いを少なくすることができ、生花の商品価値は損なわれ難い。
本発明に係る生花用容器に、生花を起立状態で収容した一例を示す斜視図である。 本発明に係る生花用容器の一例の中央部を含む垂直断面の正面略図である。 図2に示した生花用容器を構成する容器本体の一例の図であり、(a)は中央部を含む垂直断面の正面略図であり、(b)は平面図である。 図2に示した生花用容器を構成する蓋体の一例の図であり、(a)は中央部を含む垂直断面の正面略図であり、(b)は平面図である。 図4に示した蓋体のA−A線で垂直断面の正面図である。 図1に示した生花用容器に生花を起立状態で収容して水を貯溜し、転倒させた状態の一例を示す断面略図である。 図1に示した生花用容器に生花を起立状態で収容し、ダンボール箱に収納した状態を示す斜視略図である。
以下、本発明に係る生花用容器を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る生花用容器に、生花を起立状態で収容した一例を示す斜視図である。図2は、本発明に係る生花用容器の一例の中央部を含む垂直断面の端面図である。図3(b)は、図2に示した生花用容器を構成する容器本体の平面図である。図4(b)は、図2に示した生花用容器を構成する蓋体の一例の平面図である。生花用容器1は、生花Fへの給水用の水を貯溜する容器本体2と、生花Fの茎を保持する蓋体3とから構成される。容器本体2と蓋体3は、容器本体フランジ部4aと蓋体フランジ部4bとを嵌合させることによって、水密構造を形成するようにされている。
図3および図4には、図2に示した本発明に係る生花用容器を構成する容器本体2と蓋体3の構造を詳細に示した図である。容器本体2は、容器本体2の下側に水を貯溜し生花を起立状態で茎の切断部を接触させて収容する下底(底壁側)5、容器本体2上側に上底(開口部を含む側)8と容器本体フランジ部4aが、容器本体2の下底と容器本体上底8との間に筒状にされた部分(筒状部)6と側壁7が設けられている。容器本体2の中央部を含む垂直断面形状は、上底が下底より長くされた略台形状に形成される。このような台形とすることにより、容器本体2を、合成樹脂を原料として製造する際の型抜きが容易となるばかりでなく、空容器を複数個積み重ねた場合でも体積を小さくすることができ、かつ、蓋体3と組合せて使用する際、取り扱い易く便利である。
容器本体2の中央部を含む垂直断面形状は上記の通り略台形状とするが、上底8側と下底5側の平面視形状の組合せには制限がなく、相似した組合せ、相似しない組合せのいずれであってもよい。例えば、双方を円形、多角形の組合せとすることができるし、一方を円形とし他方を多角形とすることもできる。ただし容器本体2は、下底5と上底8の容器本体フランジ部4aの外形の双方の平面視形状を円形とすると、転倒させた状態で転がることがあるので好ましくなく、少なくとも一方は円周の一部を切り欠いて直線部を設けるのがよい。直線部を設けると、容器本体2が転倒した際の転がりを止めることができる。
容器本体2の下底5に連接された側壁は段部のない面で構成することもできるが、図2に示したように、下底5側に容器本体高さをHとするとき、筒状部6の高さはHの1/3〜2/3とし、この筒状部6に連接させて側壁7を設け、筒状部6の径を側壁7のものより小さくするのが好ましい。筒状部6と側壁7の径をこのようにすると、起立状態で収容した生花の茎切断部が乱雑に広がるのを防ぎ、容器本体1に貯留する貯留水が少なくてもその水位を上げることができる。従って、容器に収容した茎切断面が揃っておらず総てが下底5に接触していなくとも、茎切断面の総てを少ない貯留水で浸すことができる。なお、筒状部6の水平断面の最大径をrとし、容器本体2開口部の最大径をrとしたとき、r>rを満たす関係にするのが好ましい。また、筒状部の平面視形状は、例えば四角形のような多角形とすると、生花用容器1を起立させたときに、平面視形状が円形のものに比較して据わりが安定するので好ましい。筒状部が四角形の場合、最大径rは四角形の対角線を意味する。
容器本体2の容量は、起立させた状態で収容する生花Fの種類や束の大きさなどによって変わり、0.2〜10リットルの範囲で選ぶことができる。その際の容器本体2は、例えば、上記筒状部6の水平断面の最大径(r)は(下底側が平面視四角形の筒状部とされている場合は、筒状部付根部分の対角線を意味する)5〜30cm、高さを5〜30cm、容器本体フランジ部4aの外平面部10aに開口した開口部の最大径(r)を10〜50cmの範囲で選ぶことができる。容器本体2の壁面の厚さは、容器本体2の高さも含む大きさに応じて0.2〜1.0mmの範囲で選ぶことができる。
容器本体フランジ部4aは、側壁7と連接させて容器本体2の開口部9の外側に設けられる。容器本体フランジ部と嵌合して水密状態を形成する蓋体フランジ部は、図面に示したように、上底から下側に陥没させた状態で嵌合可能な構造とすることもできるし、上底から上側に突出させた状態で嵌合可能な構造とすることもできる。以下の例では、上底8、下底5、容器開口部9、筒状部6の水平切断面などの形状が四角形であり、容器本体フランジ部が上底8の面から下側に陥没させた状態で嵌合する構造の例を中心として説明する。ここで四角形とは、幾何学的に正確な四角形ではなく、四辺が膨らんでいたり、角隅部が切り欠かれたりした四角形を意味する。
容器本体フランジ部4aは、側壁7の上端の開口部9に連接し下底5に対して略平行に外側に延在し上底8を構成する段部10a、段部10aに連接し下底5に対して垂直より内側に傾斜して下側に延在する垂下部11a、垂下部11aに連接し下底5に対して略平行に外側に延在する段部12a、段部12aの外側に連接した凹環部13a、その外側に下底5に対して略平行に外側に延在する外平面部14aと、から構成される。なお、上底が四角形で開口部が円形の場合は、外平面部14aにできる余白部に、容器本体2を持ち易くし、強度やデザイン性などを向上させるリブや穴を設けることができる。
容器本体フランジ部4aを、段部10a、垂下部11a、段部12a、凹環部13aおよび外平面部14aによって構成することによって、容器本体フランジ部4aの強度を向上させることができる。また、外平面部14aと、これに対応して蓋体フランジ部4bに設けられる外平面部14bとを指で摘んで上下に引き離すことによって、組合された容器本体2と蓋体3を容易に開蓋する(嵌合を解く)ことができる。外平面部14aの平面視形状が四角形であるときは、外平面部14aの四隅部に小さい凹凸を設けることによって、指で摘んで上下に引き離す操作が容易となる。
蓋体3は容器本体2と嵌合され、起立状態で容器本体2に収容された生花Fを、茎の比較的上側の位置で保持し、この状態の容器本体2が振動、傾斜、転倒した際などに水が漏れないようにする。図4に、本発明に係る生花用容器1を構成する蓋体3の一例を示した。図4(b)は、蓋体3の平面図である。蓋体3は、蓋体フランジ部4bと、この蓋体フランジ部4bに連接させて設けた生花保持部16とによって構成される。蓋体3の大きさは、容器本体2の大きさに応じて変えることができる。蓋体3と容器本体2とを嵌合可能とするため、容器本体フランジ部4aと蓋体フランジ部4bの平面視形状は同形とされる。蓋体3の壁面の厚さは、蓋体3の大きさに応じて0.2〜1.0mmの範囲で選ぶことができるが、容器本体2と同様に高さも含む大きさに応じて変えることができる。
蓋体フランジ部4bは、生花保持部16の外周に連接し、外側に延在する段部10bと、この段部10bに連接し段部10bに対して垂直より若干内側に傾斜して下側に延在する垂下部11b、垂下部11bに連接した蓋体の下底13に対して略平行に外側に延在する段部12b、段部12bの外側に連接した凹環部13b、および、その外側に蓋体の下底13に対して略平行に外側に延在する外平面部14bと、から構成される。
上記構成の容器本体フランジ部4aと蓋体フランジ部4bを嵌合すると、段部10aと段部10b、垂下部11aと垂下部11b、凹環部13aに凹環部13bを強制的に嵌合させることによって、段部12aと段部12bとを密着させ、かつ、外平面部14aと外平面部14bとを密着させ水密構造が形成され、この部分から水が漏れるのを防ぐことができる。外平面部14aと外平面部14bは、生花Fの束を起立状態で収容した生花用容器1を収納した状態のダンボール箱Bの内側面と接触し、生花用容器1と内側面との間に空間部分Cを形成し、生花Fがダンボール箱Bの内側面と接触し難くする。生花Fを収容しダンボール箱Bに収容された生花用容器1が、何らかの理由で傾斜・転倒し、外平面部14aと外平面部14bが変形しても、容器本体フランジ部4aと蓋体フランジ部4bとの嵌合状態が解け、開蓋することはない。
生花保持部16は、起立させた状態で生花用容器1に収容した生花Fの葉の多い茎の中ほどを保持し、生花を保管・輸送する際の生花上部側の揺れを抑えるとともに、生花用容器1を傾斜・転倒させた際に貯留水の生花用容器外への漏れを少なくする。生花保持部16は、段部10bと連接し蓋体3の中心軸に向かって傾斜して上方へ延在する外側壁部17と、外側壁部17と連接し段部10bと略平行に蓋体3の中心軸に向かって延在する上面壁部19と、上面壁部19と連接し蓋体3の中心軸に向かって傾斜しながら下方へ延在する内側壁部18と、内側壁部18の下端と連接し段部10bと略平行に蓋体3の中心軸に向かって延在する水平部20と、から構成される。
生花保持部16の水平部20は、蓋体フランジ部4bより上方の位置に配置され、水平部20の内側は生花Fを挿すことができる開口部24とする。水平部20は、この内側に収容された生花Fの茎を保持する。水平部20はさらに、生花Fを収容し、ダンボール箱Bに収納された生花用容器1が振動、傾斜・転倒したときに、外側壁部17、内側壁部18および上面壁部19とで内側空間部分を形成し、容器本体1に貯留された貯溜水を保持し、貯留水が生花用容器外に漏れるのを防ぐように機能する。
外側壁部17および内側壁部18が蓋体3の中心軸に向かって傾斜させていることによって、複数の蓋体3を嵩張ることなく重ねることができ、重ねたときの体積を減らすことがでる。また、蓋体使用時には複数個積み重ねた状態のものから、上から一個ずつ抜き取る操作も容易になり、保管や輸送するのに便利である。さらに、上底が四角形で開口部が円形の場合は、外側壁部17および内側壁部18には、強度やデザイン性を向上させるためのリブを設けることができる。
生花保持部16は、容器本体2の高さをHとし、生花保持部16の高さをHとし、生花保持部内側壁部18の寸法をHとし、生花保持部の上面壁部の幅をWとするとき、HをHの0.5〜2.0とし、HをHの2/3〜4/5とし、かつ、WをHの0.1〜0.4とする。HをHの0.5〜2.0、HをHの2/3〜4/5、WをHの0.1〜0.4とすると、生花保持部の外側壁部17と内側壁部18とが容器本体と蓋体の嵌合したフランジ部の位置から十分に高く、かつ、上面壁部の幅Wが十分に広くされ、これら三つの壁によって構成される生花保持部16は、十分に高くされ、空間容量も大きくされている。上面壁部19の幅Wを広くすると、ダンボール箱Bに収容した時にダンボール箱内側部と上面壁部19とで形成される空間も広くなり、起立状態で収容した生花の束がダンボール箱B内側と接触し難くすることができる。従って、生花用容器1を収納した状態のダンボール箱Bを梱包する際または梱包した後に振動し、どの方向に傾斜・転倒しても、生花がダンボール箱内側に接触して品質が劣化するのを防ぐことができる。
また、生花保持部16は、容器本体2に生花Fが収容された時、葉の比較的多い茎の中ほどを保持するように機能する。生花用容器1は、水平部20が蓋体フランジ部4bより上方に配置されていることにより、特許文献1ないし特許文献3に記載の生花用容器の場合に比べて、生花Fを茎切断部から比較的高い位置で保持することができる。生花Fを茎切断部の高い位置で保持することにより、生花Fの上部側の揺れは格段に抑えられて、生花Fの上部側が揺れてダンボール箱Bの内側面と擦れ、生花Fが傷むのを防ぐことができる。水平部20は、生花用容器1に収容された生花の茎と、水平部20との接触部を傷めないように薄くするのが好ましい。
生花保持部16の内側壁部の開口部に、容器本体2の多角形の筒状体の最大径部を嵌合可能にされた凹壁部21を設け、対向する凹壁部21の最上部の間隔をrとするとき、r≧rとするのが好ましい。rとrを上のような関係にすると、凹壁部21に筒状部の最大径部(上で定義した意味に同じ)を嵌合させ、積み重ねることができる。生花用容器1に生花Fを収容する作業では、容器本体2に蓋体3を嵌合させる前または嵌合させた後に、容器本体2に貯留水を入れた状態でベルトコンベア横に複数個積み重ねて配置し、移動するベルトコンベアに個別に載置して生花を収納することがある。生花保持部16の内側壁部の開口部24に設けた凹壁部21に、容器本体2の下底5の筒状部の最大径部、筒状部6の平面視形状が四角形の場合は四隅部を嵌合させると、貯留水を入れた生花用容器1を複数個、安定的に積み重ねることができる。
本発明に係る生花用容器1を使用する際には、容器本体フランジ部4aと蓋体フランジ部4bを嵌合させて容器本体2と蓋体3で水密構造を形成し、貯留用の水は開口部24または開口部9から、生花Fを容器本体2に収容する前に給水し、開口部24から生花Fを起立状態で収容するのが好ましいが、生花Fを容器本体2に収容した後に給水することもできる。水には、少量の生花Fの栄養剤を含ませることもできる。
次に、容器本体2の容量と生花保持部16の空間部容量との関係について説明する。容器本体は平面視四角形を呈し、高さ(H)が80mm、開口部径が190mmであり、その下側の筒状体は高さ40mm高さ、最大径(r)145mmにされている。生花保持部16は、高さ(H)が80mm、上面壁部19の幅(W)が20mm、内側壁部18の寸法(H)が55mm、内側壁部18の先端と外側壁部17の対応部分との間隔が32mmとされている。容器本体2の貯水容量は約1320cc、このうち筒状体の容量は約450ccであり、生花保持部16の外側壁部17、内側壁部18および上面壁部19とで囲まれ多空間部分の容量は約1000ccである。容器本体2と蓋体3とを嵌合させて水を注入し、90度回転させ横転させた状態での貯水容量は約490ccである。よって、上の大きさの生花用容器1に生花Fを起立状態で収容した後に注水できる水量は、490cc以下とするのが好ましい。仮に貯留水量を460ccとすると、筒状部6の容量(450cc)を超えるが、容器本体2の貯水容量に充分余裕があり、筒状部6に生花Fの茎切断部を収容して貯留水面が上昇しても水漏れすることはなく、生花用容器1がどの方向に傾斜・転倒しても、生花保持部16からの水漏れを少なくできる。なお、図6では一束の生花を、総ての茎切断部を下底5に接触させて生花用容器1に収納した例を示したが、本発明はこの例に限定されるものではない。一束が数本からなる生花束の場合は、葉同士や花同士が干渉し合うので、茎の切断面が揃え難い場合や意図的に揃えない場合があり、また、同時に複数束を収容する場合もまた、各束の葉同士や花同士が干渉し合うので、茎の切断面が揃え難い場合や意図的に揃えない場合がある。貯留水の水位は、場合に応じて容易に筒状部6の下底5から十分に高くすることができ、総ての茎切断面を水に浸すことができる。
上記の様にして、水を貯溜し生花Fを起立状態で収容した生花用容器1は、コンベアベルトに載置して連続的に移送しつつ、ダンボール箱Bに収納し、紐やテープなどで結束することができる。図7は、図1に示した生花用容器1に生花Fを収容した状態でダンボール箱Bに収容した状態を示す斜視略図である。ダンボール箱Bが大きい場合は1個で、小さい場合は2個〜3個ずつ紐やテープなどで結束して1個とし、結束した荷物1個あたりの底面積を広くして倒れ難くし、輸送効率と安定性を高めることもできる。上記結束作業の際、段ボール箱Bを転倒させても、容器本体2と蓋体3で水密構造を形成しており、貯留水は十分大きな生花保持部16の空間部分容量に貯水されるので水は漏れ難く、効率的に作業ができる。
本発明に係る生花用容器1において、容器本体2および蓋体3は、いずれもプラスチックにより形成されるのが好ましい。プラスチックには、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリスチレン、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、ポリカーボネートなどが含まれる。また、容器本体2および蓋体3はいずれもシート状のプラスチックを差圧成形する方法、またはペレットを射出成形する方法などにより製造することができる。中でもシート状のものを、差圧成形法によって目的の形状にする製造法が好適である。
1:生花用容器、2:容器本体、3:蓋体、4a:容器本体フランジ部、4b:蓋体フランジ部、5:下底、6:筒状部、7:側壁、8:上底、9,24:開口部、10a,10b:段部、11a,11b:垂下部、12a,12b:段部、13:蓋体の下底、13a,13b:凹環部、14a,14b:外平面部、16:生花保持部、17:外側壁部、18:内側壁部、19:上面壁部、20:水平部、21:凹壁部、22:貯留水、23:水面、F:生花、B:ダンボール箱、C:空間部分、H:容器本体の高さ、H:生花保持部の高さ、H:生花保持部内側壁部の寸法、W:生花保持部の上面壁部の幅、r:容器開口部の最大径、r:筒状部の水平断面の最大径、r:対向する凹壁部21の最上部の間隔

Claims (3)

  1. 開口部に容器本体フランジ部が設けられた容器本体と、この容器本体フランジ部と嵌合して水密状態を形成する蓋体フランジ部が設けられた蓋体と、からなる生花用容器において、
    前記容器本体は、上底に開口部が設けられ、この開口部と連接して容器本体の下底と略平行に容器本体フランジ部が設けられ、容器本体中央部を含む垂直断面は上底が下底より長くされた略台形状とされ、
    前記蓋体は、前記容器本体フランジ部と嵌合する蓋体フランジ部と、この蓋体フランジ部に連接された生花保持部とから構成され、この生花保持部は、前記蓋体フランジ部と連接し蓋体の中心軸に向かって傾斜して上方へ延在する外側壁部と、この外側壁部と連接し蓋体フランジ部と略平行に蓋の中心軸方向へ延在する上面壁部と、この上面壁部と連接し蓋体の中心軸に向かって傾斜して下方へ延在する内側壁部と、この内側壁部下端と連接し前記蓋体フランジ部と略平行に蓋体の中心軸方向へ延在する水平部とから構成され、容器本体の高さをHとし、生花保持部の高さをHとし、生花保持部内側壁部の寸法をHとし、生花保持部の上面壁部の幅をWとするとき、HがHの0.5〜2.0、HがHの2/3〜4/5、かつ、WがHの0.1〜0.4とされてなり、
    前記水平部が前記蓋体フランジ部より上方に配置されたことを特徴とする、生花用容器。
  2. 容器本体の下底の底壁面側が、容器本体高さ(H)の1/3〜2/3の高さの筒状とした部分(筒状部)とされ、この筒状部の水平断面の最大径をrとし、容器本体開口部の最大径をrとしたときr>rとされてなる、請求項1に記載の生花用容器。
  3. 生花保持部の内側壁部の開口部に、容器本体の多角形の筒状部の最大径部を嵌合可能にされた凹壁部を設け、筒状部の水平断面の最大径をrとし、生花保持部の内側壁部の対向する凹壁部の間隔をrとするとき、r≧rとされてなる、請求項1または請求項2に記載の生花用容器。
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