以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施の形態による通信システムの構成を示す図である。図1を参照すると、本発明の実施の形態による通信システムは、携帯電話加入者である移動局100−1〜100−3と、移動局がアクセスする基地局130と、移動局を収容するアクセスノード140及び150と、加入者データを管理するAAA/HSS200から構成されており、基地局130とアクセスノード140及び150がIPメッシュ網300で構成されている。
図1では、基地局130のカバーするエリアに移動局100−1〜100−3が移動した状況を示している。基地局とアクセスノードがIPメッシュ網で構成されている場合は、移動局の移動に伴ったアクセスノードの変更は基本的に行なわない。このことは、モビリティ管理信号を削減する上で有効なメカニズムである。一方、基地局とアクセスノードがIPメッシュ網で構成されていることの潜在的な能力として、各ノードの組み合わせを自由に設定できることにある。本実施形態では、このネットワークの柔軟性とAAA/HSS200から提供される様々なデータベースを連携することにより、ネットワークの効率的な運用及び網管理を可能とする。
図2は図1のAAA/HSS200が有するデータベースの一例を示す図であり、(a)は加入者データベースの一例を示す図であり、(b)はアクセスノードデータベースの一例を示す図である。AAA/HSS200は、図2に示すようなデータベースを用いて移動局を収容するアクセスノードを指定することができる。
次に、本発明の実施の形態による通信システムの動作について図面を用いて説明する。図3は移動局100が位置登録する際のアクセスノードを決定する動作を示すシーケンス図である。
図3において、移動局100は、基地局130のカバレッジに移動すると、位置登録を要求すべくネットワークに向けて位置登録信号を送信する(ステップS1)。その信号を受けた基地局130は、この移動局100について、独自の論理でアクセスノードの選択を行う(ステップS2)。例えば、基地局130は、位置登録信号に含まれる移動局100のIMSIの一定のビット配列を基に移動局100を収容するアクセスノードを決定する。
ステップS2において、アクセスノード140が選択されたとすると、基地局130は、このアクセスノード140を介して位置登録信号をAAA/HSS200に送信する(ステップS3及びS4)。ここまでは従来通りの動作であるが、本実施形態の特徴的な動作として、AAA/HSS200はステップS5において、AAA/HSS200が保持する様々なデータベースを利用しアクセスノード140が移動局100を収容することの妥当性を判断する。
図3では、移動局100はアクセスノード140ではなく、アクセスノード150で収容すべきと判断された場合の動作を示す。この判断は、位置登録失敗を意味する失敗通知としてアクセスノード140を介して基地局130に通知される(ステップS6及びS7)。この通知には移動局100を収容すべきアクセスノード(アクセスノード150)の情報が付加されるので、基地局130は、その情報を利用してアクセスノード150に向けて、再度位置登録を継続することが可能となる。
すなわち、基地局130は、アクセスノード150を介して位置登録信号をAAA/HSS200に送信する(ステップS8及びS9)。そして、AAA/HSS200は、アクセスノード150からの位置登録信号を受けて移動局100の位置登録をなすことになり、AAA/HSS200の要求どおり、移動局100を目的のアクセスノード150に収容することが可能となる。なお、AAA/HSS200が、位置登録の成功をアクセスノード150及び基地局130を介して移動局100に通知することにより、位置登録が完了する(ステップS10、S11及びS12)。
一方、ステップS5において、アクセスノード140が移動局100を収容すべきと判断された場合には、アクセスノード140からの位置登録信号を受けて移動局100の位置登録をなし、ステップS6〜S9の処理は行われない。
次に、既にアクセスノードに収容されている移動局100を別のアクセスノードに移動する動作について図4を用いて説明する。
図4は、携帯電話事業者がネットワーク起動により、移動局100を収容するアクセスノードを変更する場合の動作を示す。この動作を起動する例としては、アクセスノードの増設、減設による加入者の移動、通信頻度の高い通信相手と同一のアクセスノードへの収容、アクセスノードのロードバランスの調整などが考えられる。
図4において、移動局100は、既に位置登録が完了しアクセスノード140に収容されているものとする(ステップS21)。携帯電話事業者が移動局100を収容するアクセスノードを変更すべくAAA/HSS200に指示すると、AAA/HSS200は、図3のステップS5と同様にして移動局100を収容すべきアクセスノードを決定する(ステップS22)。
ここで、移動局100をアクセスノード150に収容することが判断された場合、AAA/HSS200は、そのアクセスノード情報が付加された変更指示信号(位置登録指示信号)をアクセスノード140を介して基地局130に送信する(ステップS23及びS24)。基地局130は、移動局100にアクセスノード情報を含まない変更指示信号を送信する(ステップS25)。
変更指示信号を受けた移動局100は、ネットワークに向けて位置登録信号を送信するが(ステップS26)、その信号を受けた基地局130は、ステップS24にて受信された変更指示信号に含まれるアクセスノード情報を基に位置登録信号をアクセスノード150に向けて送信する(ステップS27)。AAA/HSS200は、アクセスノード150から位置登録信号を受けて(ステップS28)、移動局100の位置登録をなすことになり、AAA/HSS200の要求どおり、移動局100を目的のアクセスノード150に収容することが可能となる。なお、AAA/HSS200が、位置登録の成功をアクセスノード150及び基地局130を介して移動局100に通知することにより、位置登録が完了する(ステップS29、S30及びS31)。
次に、本発明の実施の形態による通信システムの第1の実施例について説明する。図5及び図6を用いて、本発明の実施の形態による通信システムにおいて移動局を収容するアクセスノードを再配置した例を説明する。図5は移動局100−1及び100−2が共に家族割引などのサービスに加入しており頻繁に通話するが、それぞれの移動局100−1,100−2は異なるアクセスノード140,150に収容されている場合が示されている。
その場合の通信経路は、それぞれの移動局100−1,100−2を収容するアクセスノード140,150間に通信経路を設定する必要がある。この状況から図3または図4の手順により、それぞれの移動局100−1,100−2を同一のアクセスノード(ここではアクセスノード140)に収容変更した状態が図6である。図6では、それぞれの移動局100−1,100−2が同一アクセスノード140に収容されるため、図5で必要となったアクセスノード140,150間に設定する通信経路が不要となり、効率的な通信経路の設定が可能となる。
なお、この場合、AAA/HSS200は、図3のステップS5または図4のステップS22において、図2(a)の加入者データベースに記憶されている移動局100の情報を基に移動局100を収容すべきアクセスノードを決定する。具体的には、図2(a)に示すように加入者データベースには移動局ごとに「 特定加入者向け電話割引加入の有無(例:家族割)」 についての情報、また加入している場合には「特定加入者を収容するAGW」についての情報が記憶されているので、AAA/HSS200は、加入者データベースを参照し、移動局100が家族割引サービスに加入している場合には、特定加入者(移動局100と共に家族割引サービスに加入する移動局)を収容しているアクセスノードを移動局100を収容すべきアクセスノードと決定することになる。
次に、本発明の実施の形態による通信システムの第2の実施例について説明する。移動局が加入するサービスを基準に収容するアクセスノードを決定する例として、第1の実施例では、移動局が家族割引サービスに加入している例が説明されたが、第2の実施例では、移動局がCAMEL(Customized Applications for Mobile network Enhanced Logic)サービスに加入している例が図7を用いて説明される。図7において、移動局100−1,100−3及び100−4は、CAMELサービスに加入している。また、アクセスノード150のみが、CAMEL網400と接続されているため、CAMELのサービスを提供することが可能である。
図7には、図3または図4の手順により、AAA/HSS200が移動局のCAMELサービスの加入状況を判断条件として収容するゲートノードを決定した例が示されており、CAMELサービスに加入している移動局100−1,100−3及び100−4がCAMELサービスを提供することが可能なアクセスノード150に収容される。これにより、各アクセスノードが提供する機能に差異を与えることや、各アクセスノードが接続する外部網を限定することなどが可能となり、ネットワーク設備コストの削減が可能となる。
なお、この場合、AAA/HSS200は、図3のステップS5または図4のステップS22において、図2(a)の加入者データベースに記憶されている移動局100の情報と、図2(b)のアクセスノードデータベースに記憶されている各アクセスノードの情報とを基に移動局100を収容すべきアクセスノードを決定する。具体的には、図2(a)に示すように加入者データベースには移動局ごとに「 特有サービス加入状況」 についての情報が記憶されており、また、図2(b)に示すようにアクセスノードデータベースにはアクセスノードごとに「AGWが特定サービスを提供する能力情報」が記憶されているので、AAA/HSS200は、加入者データベース及びアクセスノードデータベースを参照し、移動局100がCAMELサービスに加入している場合には、CAMELサービスを提供することができるアクセスノードを移動局100を収容すべきアクセスノードと決定することになる。
また、本発明の実施の形態による通信システムの第3の実施例として、移動局が実装するコーデックを基にアクセスノードを決定するようにしてもよい。例えば、TV電話を行うにはTV電話専用のコーデックがアクセスノードに必要となるので、TV電話サービスに加入するTV電話能力のある移動局はTV電話コーデックを実装するアクセスノードに収容するようにする。これにより、TV電話能力のない移動局のみを収容するアクセスノードには、TV電話コーデックを実装する必要がないので、設備投資を軽減することができる。
なお、この場合、AAA/HSS200は、図3のステップS5または図4のステップS22において、図2(a)の加入者データベースに記憶されている移動局100の情報と、図2(b)のアクセスノードデータベースに記憶されている各アクセスノードの情報とを基に移動局100を収容すべきアクセスノードを決定する。具体的には、図2(a)に示すように加入者データベースには移動局ごとに「 特有サービス加入状況」 についての情報が記憶されており、また、図2(b)に示すようにアクセスノードデータベースにはアクセスノードごとに「AGWが特定サービスを提供する能力情報」が記憶されているので、AAA/HSS200は、加入者データベース及びアクセスノードデータベースを参照し、移動局100がTV電話サービスに加入している場合には、TV電話サービスを提供することができるアクセスノードを移動局100を収容すべきアクセスノードと決定することになる。
次に、本発明の実施の形態による通信システムの第4の実施例について説明する。移動局が加入する中継網提供通信事業者を基準に収容するアクセスノードを決定する例が図8を用いて説明される。図8において、移動局100−1及び100−3はA社網510を提供するA事業者と契約、移動局100−2はB社網520を提供するB事業者と契約、更に移動局100−4はC社網530を提供するC事業者とそれぞれ契約している。また、アクセスノード140のみがA社網510と接続、アクセスノード150のみがB社網520と接続、更にアクセスノード160のみがC社網530とそれぞれ接続されている。
図8には、図3または図4の手順により、移動局が加入する中継網提供通信事業者を判断条件として収容するゲートノードを決定した例が示されており、移動局100−1及び100−3はアクセスノード140に収容され、移動局100−2はアクセスノード150に収容され、移動局100−4はアクセスノード160に収容される。これにより、各アクセスノードが接続する外部ネットワークを限定し効率的なネットワークを構築できることや、外部ネットワークとの接続に際し効率的な伝送路の設定が可能となる。
なお、この場合、AAA/HSS200は、図3のステップS5または図4のステップS22において、図2(a)の加入者データベースに記憶されている移動局100の情報と、図2(b)のアクセスノードデータベースに記憶されている各アクセスノードの情報とを基に移動局100を収容すべきアクセスノードを決定する。具体的には、図2(a)に示すように加入者データベースには移動局ごとに「 中継網オペレータの加入状況」 についての情報が記憶されており、また、図2(b)に示すようにアクセスノードデータベースにはアクセスノードごとに「AGWが特定サービスを提供する能力情報」が記憶されているので、AAA/HSS200は、加入者データベース及びアクセスノードデータベースを参照し、移動局100がある中継網提供通信事業者と契約している場合には、当該ある中継網提供通信事業者が提供する中継網と接続されたアクセスノードを移動局100を収容すべきアクセスノードと決定することになる。
次に、本発明の実施の形態による通信システムの第5の実施例について説明する。第5の実施例では、AAA/HSS200は、各アクセスノードの移動局収容状況を基に移動局を収容するアクセスノードを決定する。すなわち、AAA/HSS200は、図3のステップS5または図4のステップS22において、図2(b)のアクセスノードデータベースに記憶されている各アクセスノードの情報を基に移動局100を収容すべきアクセスノードを決定する。
具体的には、図2(b)に示すようにアクセスノードデータベースにはアクセスノードごとに「AGWの能力(収容可能加入者数)と現在の収容加入者数」についての情報が記憶されているので、AAA/HSS200は、アクセスノードデータベースを参照し、各アクセスノードのロードバランスを均等に保つことを目的に、図3のステップS4にて位置登録要求をなしたアクセスノード(または移動局100を現在収容しているアクセスノード)と異なるアクセスノードに移動局100を収容すべきと判断すると、当該異なるアクセスノードを移動局100を収容すべきアクセスノードと決定することになる。
次に、本発明の実施の形態による通信システムの第6の実施例について説明する。第6の実施例では、AAA/HSS200は、図3のステップS3にて位置登録要求をなした基地局とアクセスノードの通信経路が最短となるアクセスノードを移動局100を収容するアクセスノードと決定する。すなわち、AAA/HSS200は、図3のステップS5または図4のステップS22において、図2(b)のアクセスノードデータベースに記憶されている各アクセスノードの情報を基に移動局100を収容すべきアクセスノードを決定する。
具体的には、図2(b)に示すようにアクセスノードデータベースにはアクセスノードごとに「AGWがネットワーク上最短経路で収容できる基地局位置情報」についての情報が記憶されているので、すなわちアクセスノードデータベースにはアクセスノード毎に当該アクセスノードがネットワーク上最短経路で収容できる基地局が当該アクセスノードと対応付けて示されているので、AAA/HSS200は、図3のステップS3にて位置登録要求をなした基地局と対応付けられたアクセスノードを移動局100を収容すべきアクセスノードと決定することになる。
次に、本発明の実施の形態による通信システムの第7の実施例について説明する。上記第1〜第6の実施例では、移動局が加入するサービスやアクセスノードの移動局収容状況など一つの判断条件を用いて移動局を収容するアクセスノードを決定するようにしていたが、第7の実施例では、複数の判断条件を組み合わせて移動局を収容するアクセスノードを決定するようにする。
図9は複数の判断条件を組み合わせて移動局を収容するアクセスノードを決定する本発明の第7の実施例の動作を示すフローチャートであり、この図9の手順は図3のステップS5または図4のステップS22において行われる。まず、AAA/HSS200は、図2(a)の加入者データベースに記憶されている移動局100の「加入者位置登録履歴」を基に、過去に移動局100が位置登録をなした回数が多い、例えば上位10位までの基地局を求め、図2(b)のアクセスノードデータベースに記憶されているアクセスノードごとの「基地局位置情報」を基に、これら上位10位までの基地局にそれぞれ対応付けられたアクセスノードを求める(ステップS41)。
次に、AAA/HSS200は、図2(b)のアクセスノードデータベースに記憶されているアクセスノードごとの「AGWの能力(収容可能加入者数)と現在の収容加入者数」を基に、ステップS41にて求められたアクセスノードの中から移動局100を収容可能なアクセスノードを限定する(ステップS42)。
そして、AAA/HSS200は、図2(a)の加入者データベースに記憶されている移動局100の「加入者発信履歴」を基に、過去に移動局100が発信した回数が多い、例えば上位10位までの発信ダイヤル番号にそれぞれ対応する発信トランク群を求める、すなわち上位10位までの移動局100からの発信で使用された発信トランク群を求める(ステップS43)。また、AAA/HSS200は、図2(a)の加入者データベースに記憶されている移動局100の「加入者着信履歴」を基に、過去に移動局100に着信した回数が多い、例えば上位10位までの着信ダイヤル番号にそれぞれ対応する着信トランク群を求める、すなわち上位10位までの移動局100への着信で使用された着信トランク群を求める(ステップS44)。
次に、AAA/HSS200は、図2(b)のアクセスノードデータベースに記憶されているアクセスノードごとの「AGWがインターフェースするトランク群情報」を基に、ステップS42にて求められたアクセスノードの中から、ステップS43にて求められた発信トランク群及びステップS44にて求められた着信トランク群を多く収容するアクセスノードを限定する(ステップS45)。
次に、AAA/HSS200は、図2(a)の加入者データベースに記憶されている移動局100の「サービス起動履歴」を基に、例えばCAMELサービスが頻繁に起動されているかを判断し、CAMELサービスが起動された回数が所定回数以上である場合、図2(b)のアクセスノードデータベースに記憶されているアクセスノードごとの「AGWが特定サービスを提供する能力情報」を基に、ステップS45にて求められたアクセスノードの中から、CAMELサービスを提供することができるアクセスノードを限定する(ステップS46)。
さらに、AAA/HSS200は、図2(a)の加入者データベースに記憶されている移動局100の「特定加入者向け電話割引加入の有無(例:家族割)」 、「特定加入者を収容するAGW」を基に、移動局100が家族割引サービスに加入している場合にはその相手を収容するアクセスノードとの間の通信路の最適化効果を考慮しながら、ステップS46にて求められたアクセスノードの中から更にアクセスノードを限定して、移動局100を収容するアクセスノードを決定する(ステップS47)。なお、ステップS46にて求められたアクセスノードの中に移動局100と共に家族割引サービスに加入する相手を収容するアクセスノードがあれば、通信路の最適化の観点から、ステップS47において、このアクセスノードを移動局100を収容するアクセスノードと決定し、移動局100とその相手を同一アクセスノードに収容することが望ましい。
以下、本発明の他の実施例について図面を参照して説明する。
アクセスノードに相当するMME(Mobility Management Entity)/UPE(User Plane Entity)選択手順を導入する。
現在のTR(Technical Report) 23.882では、MME/UPEにより開始される再アタッチ手順はセクション7.13.2に記述されている。この手順は、MME/UPE負荷再分配を目的として、さらに現在のユーザ位置に基づいて最適な接続形態を構成するためにも設計されている。
SAE(System Architecture Evolution)アーキテクチャにおけるS1フレックスが導入されたために、オペレータのネットワーク内でeNodeB(Enhanced Node B)から接続形態的に到達可能であればどのMME/UPEであっても選択することができる。UE(User Equipment)がそのネットワ−ク内にとどまる限り、UEは同じMME/UPEに長時間とどまることができるので、このネットワーク接続形態には移動管理の観点から大きな利点がある。しかし、SAEアーキテクチャのために最初から設計された高度なMME/UPE負荷分配機構がなければ、この柔軟性のために偏ったMME/UPE負荷分配が生じる怖れがある。
HSS(Home Subscriber Server)によるMME/UPE選択機構は以下の通りである。
現在、TR 23.882は再アタッチ手順のみ規定している。この機構は、特定のMME/UPEについてのメンテナンス目的の負荷再分配機能を供給する。しかし、この機構はネットワーク全体の負荷を考慮して動的にMME/UPEの負荷のバランスを保つには十分でない。したがって、MME/UPE選択は、UEがネットワークにアタッチする時に機能することができるべきである。
MME/UPE選択をするにあたっては、HSSがそれをすべき適任のノードである。一般に、HSSはオペレーションとメンテナンスインタフェースを有し、オペレータが容易にユーザごとに動的にMME/UPEを指定することができるようにするために、どの位置更新信号もつねにHSSに向かう。この機能(ユーザごとにMME/UPEを指定する)には、現在のユーザ位置及び過去のユーザ位置の双方に基づいて最適な接続形態を構成するためにも大きな利点がある。
図10はHSSのデータベースと連動して位置更新手順がどのように働くかを説明する例である。この例では、HSSは加入者の位置更新に関係する2つの要因を把握している。一方の要因は、UEは通常は東京エリアにとどまるということである。この要因は、位置更新履歴を参照することによって把握することができる。他方の要因は、成田のMME1はMME2で置換される予定であるということである。この状況のため、USがMME3にアタッチすることができるよう、HSSは位置更新信号に対して応答してMME3を代替MMEとして指定する。
上に説明したように、この小さな強化により自ネットワークを動的に維持することができるというオペレータにとっての大きな利益が得られる。
登録を必要とするサービスを受けるためにはUE/ユーザはネットワークに登録する必要がある。この登録はネットワークアタッチメントとして記述される。SAEシステムのUE/ユーザのための常時IP(Internet Protocol)接続はネットワークアタッチメントの間の基本的なIPベアラを確立することによって可能になる。
ネットワークはUE/ユーザ登録情報を保持する。UE/ユーザ登録情報(例えば、一時的なユーザアイデンティティと永続的なユーザアイデンティティとの間のマッピング、及び、過去に登録されたトラッキングエリア)はネットワークに保持される。
図11の情報フローはUEのネットワークアタッチメントを示す。(点線の構成要素は任意に含まれる。)MME及びUPEは一体として示されているが、これらは分離されていてもよい(この場合、追加のインタフェースが存在する)。
この情報フローに示される工程は、個々の工程を記述している。このことは複数の工程を一つのメッセージに結合すること又は一つの工程を一連のメッセージシーケンスに分離することを除外するものではない。この情報フローに示される一連の工程は、関係する主要な課題に対する解によって変更してもよい。
1)UEはSAE/LTE(Long Term Evolution)アクセスシステムを発見し、アクセスシステムとネットワーク選択を実行する。もしネットワーク共有が存在する場合、共有されたネットワークが選択されてもよい。
2)UEはその旧登録情報(例えば一時的なアイデンティティ)を含めたアタッチ要求をMME/UPEに送信する。もしUEが旧登録情報を持っていない場合には、その永続的なアイデンティティを含める。
ネットワーク共有が適用されている場合には、アタッチ要求はネットワーク又はMME/UPEを選択するための情報を含む。
Evolved RAN(Radio Access Network)はMME/UPEを選択する。
アタッチ要求は既定のIPアクセスベアラに関する情報(例えばユーザにとって好ましいIPアドレスとAPN(Access Point Name))を含んでもよい。
3)もし旧登録情報がUEにより送信された場合、MME/UPEは旧登録情報を送信することにより、旧MME/UPEからユーザ情報を取り出すことを試みる。
4)旧MME/UPEはユーザ情報(例えば永続的なユーザアイデンティティ)をMME/UPEに送信する。
5)ユーザ/UEは新MME/UPEで認証される。
6)MME/UPEは自分自身をそのUEのために動作するものとしてHSSに登録する。HSSはEvolved RANにより選択されたものの代わりに他のMME/UPEを指定してもよい。新MME/UPEはネガティブレスポンスとしてUEに通知される。
7)旧MME/UPEにおけるユーザ/UE情報が削除される。或いは、そのユーザ/UEは存在しないとしてマークされる。
8)HSSは新MME/UPEの登録を確認する。既定のIPアクセスベアラを許可するサブスクリプションデータが転送される。ポリシー及び既定のIPアクセスベアラのチャージング制御のための情報がMME/UPEに送信される。
9)内部AS(Access Stratum)アンカーが選択される。IPアドレス構成はUEから受信したユーザ設定、サブスクリプションデータ、或いはHPLMN(Home Public Land Mobile Network)又はVPLMN(Visited Public Land Mobile Network)ポリシーにより決定される。
10)内部ASアンカーは決定されたユーザIPアドレスでIP層を構成する。ユーザプレーンが確立され、既定のポリシーとチャージング規則が適用される。ユーザプレーンの確立はUEにより又はMME/UPEにより開始される。
11)MME/UPEはEvolved RANに既定のIPアクセスベアラのためのQoS(Quality Of Service)構成(例えば転送データレートの上限)を供給する。このQoS構成の供給は、追加のトリガ(例えば上り回線又は下り回線のユーザデータを転送する必要)を必要としてもよい。
12)MME/UPEはUEのネットワークアタッチメントを受け入れ、一時的なアイデンティティをUEに割り当てる。また、決定されたユーザIPアドレスが転送される。
13)ローミング制限がチェックされ、もし違反していた場合にはネットワークアタッチメントは拒否される。
14)UEはネットワークアタッチメントの成功を通知する。
HSSがUEにトリガをかけて再アタッチさせることも可能である(負荷再分配、又は、現在のユーザ位置に基づく接続形態的に最適なMME/UPEへのアタッチメント、等のような理由による)。この場合、図12の手順が適用される。
0)HSSはUEに対して他のMME/UPEに再アタッチするように要求する。新MME/UPE情報は再アタッチメント要求メッセージにセットされる。
1)旧MME/UPEは再アタッチ要求をUEに中継する。
2)UEはSAE/LTE(Long Term Evolution)アクセスシステムを発見し、アクセスシステムとネットワーク選択を実行する。しかし、この工程はUEを接続形態的に最適なMME/UPEに移動させるために要求された再アタッチメントの場合にはスキップしてもよい。
3)UEはその旧登録情報(例えば一時的なアイデンティティ)を含めたアタッチ要求をMME/UPEに送信する。もしUEが旧登録情報を持っていない場合には、その永続的なアイデンティティを含める。
ネットワーク共有が適用されている場合には、アタッチ要求はネットワーク又はMME/UPEを選択するための情報を含む。
Evolved RANはMME/UPEを選択する。
アタッチ要求は既定のIPアクセスベアラに関する情報(例えばユーザにとって好ましいIPアドレスとAPN(Access Point Name))を含んでもよい。
4)もし旧登録情報がUEにより送信された場合、MME/UPEは旧登録情報を送信することにより、旧MME/UPEからユーザ情報を取り出すことを試みる。
5)旧MME/UPEはユーザ情報(例えば永続的なユーザアイデンティティ)をMME/UPEに送信する。
6)ユーザ/UEは新MME/UPEで認証される。
7)MME/UPEは自分自身をそのUEのために動作するものとしてHSSに登録する。
8)旧MME/UPEにおけるユーザ/UE情報が削除される。或いは、そのユーザ/UEは存在しないとしてマークされる。
9)HSSは新MME/UPEの登録を確認する。既定のIPアクセスベアラを許可するサブスクリプションデータが転送される。ポリシー及び既定のIPアクセスベアラのチャージング制御のための情報がMME/UPEに送信される。
10)内部ASアンカーが選択される。
11)内部ASアンカーは決定されたユーザIPアドレスでIP層を構成する。ユーザプレーンが確立され、既定のポリシーとチャージング規則が適用される。ユーザプレーンの確立はUEにより又はMME/UPEにより開始される。
12)MME/UPEはEvolved RANに既定のIPアクセスベアラのためのQoS構成(例えば転送データレートの上限)を供給する。このQoS構成の供給は、追加のトリガ(例えば上り回線又は下り回線のユーザデータを転送する必要)を必要としてもよい。
13)MME/UPEはUEのネットワークアタッチメントを受け入れ、一時的なアイデンティティをUEに割り当てる。また、決定されたユーザIPアドレスが転送される。
ローミング制限がチェックされ、もし違反していた場合にはネットワークアタッチメントは拒否される。
14)UEはネットワークアタッチメントの成功を通知する。
再アタッチ手順はIPアドレス再配置及び内部ASアンカー再選択を含んでもよい。また、UEは再アタッチ手順の間にIPアドレス及び内部ASアンカーを変更しなくともよい。
なお、図3、図4、図11及び図12に示した各シーケンスチャートに従ったHSSの処理動作、また図9のフローチャートに従ったHSSの処理動作は、該装置において、予めROM等の記憶媒体に格納されたプログラムを、CPU(制御部)となるコンピュータに読み取らせて実行せしめることにより、実現できることは勿論である。