JP2013055021A - コバルト酸リチウムの製造方法、コバルト酸リチウム、リチウムイオン二次電池の正極材及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

コバルト酸リチウムの製造方法、コバルト酸リチウム、リチウムイオン二次電池の正極材及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高い電流レートに対して優れた出力性能を発揮できるリチウムイオン二次電池の正極材用コバルト酸リチウムの製造方法を提供することが可能となることに加え、この方法によって製造されたコバルト酸リチウム、該コバルト酸リチウムからなる正極材、及び、該正極材を用いたリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】塩化コバルト水酸化物を焼成してなる酸化コバルトを前駆体として用いることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、コバルト酸リチウムの製造方法、コバルト酸リチウム、リチウムイオン二次電池の正極材及びリチウムイオン二次電池、特に、高い電流レートに対して優れた出力性能を有するコバルト酸リチウムの製造方法、コバルト酸リチウム、リチウムイオン二次電池の正極材及びリチウムイオン二次電池に関する。
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話やPHS(簡易型携帯電話)などの携帯型機器の需要が急速に伸びており、それに伴って、ニッケルカドミウム電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの二次電池の需要が急速に増加している。
これらの中でも、近年、体積エネルギー密度及び重量エネルギー密度が大きく、高い出力性能を有する点から、特にリチウムイオン二次電池の需要が増加している。このリチウムイオン二次電池については、既に携帯電話やノートパソコン等の電源として実用化されているだけでなく、自動車用途や電力貯蔵用途などの中・大型用途においても、適用が試みられている。
リチウムイオン二次電池の正極材としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)などのリチウム遷移金属酸化物が最も一般的に用いられ、技術開発が行われている。
例えば特許文献1には、二次電池用正極材料として好適なコバルト酸リチウムを得ることを目的として、コバルト化合物を、リチウム系融剤の存在下、酸素雰囲気中、400〜800℃の温度において加熱し、溶融反応させることを特徴とする二次電池用コバルト酸リチウムの製造方法が開示されている。
特開平11−106984号公報
しかしながら、特許文献1のコバルト酸リチウムを含めた従来の正極用材料は、リチウムイオン二次電池に用いた場合、いずれも放電容量については問題がないものの、電流の放電量が大きく(電流レートが高く)、高出力要求される用途(例えば、自動車や電動工具など)において、十分に要求を満たすことができないという問題があった。
そのため、本発明の目的は、前駆体について適正化を図ることで、高い電流レートに対して優れた出力性能を発揮できるリチウムイオン二次電池の正極材用コバルト酸リチウムの製造方法を提供することであり、さらに、この方法によって製造されたコバルト酸リチウム、該コバルト酸リチウムからなる正極材、及び、該正極材を用いたリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明者らは、リチウムイオン二次電池の正極材として用いられるコバルト酸リチウムの製造方法について、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、コバルト酸リチウムの前駆体として塩化コバルト水酸化物を焼成してなる酸化コバルトを用いることによって、得られたコバルト酸リチウムは、その粒子表面だけでなく粒子内部にも充放電が可能な反応表面を形成することが可能となるため、従来の正極材に比べて出力性能を向上できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)リチウムイオン二次電池の正極材として用いられるコバルト酸リチウムの製造方法であって、塩化コバルト水酸化物を焼成してなる酸化コバルトを前駆体として用いることを特徴とするコバルト酸リチウムの製造方法。
(2)前記塩化コバルト水酸化物は、塩化コバルト6水和物と、弱塩基とを混合し、水熱反応させて得られることを特徴とする上記(1)に記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
(3)前記弱塩基は、炭酸水素アンモニウムであることを特徴とする上記(2)に記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
(4)前記水熱反応は、100〜200℃の範囲で行われることを特徴とする上記(2)に記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
(5)前記酸化コバルト前駆体の粒子は8面体であり、内部の空隙率が5%以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法によって製造されることを特徴とするコバルト酸リチウム。
(7)前記コバルト酸リチウムの粒子は、一定方向へ規則的に配向した複数の微結晶が連結して構成することを特徴とする上記(6)に記載のコバルト酸リチウム。
(8)前記コバルト酸リチウムの粒子は、内部で連結してなる空孔を有することを特徴とする上記(6)又は(7)に記載のコバルト酸リチウム。
(9)前記微結晶は、その一部が多角形の形状を有することを特徴とする上記(7)又は(8)に記載のコバルト酸リチウム。
(10)前記微結晶のサイズが、50〜500nmの範囲であることを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれかに記載のコバルト酸リチウム。
(11)上記(6)〜(10)のいずれかに記載のコバルト酸リチウム用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池の正極材。
(12)上記(11)に記載の正極材を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、高い電流レートに対して優れた出力性能を発揮できるリチウムイオン二次電池の正極材用コバルト酸リチウムの製造方法を提供することが可能となることに加え、この方法によって製造されたコバルト酸リチウム、該コバルト酸リチウムからなる正極材、及び、該正極材を用いたリチウムイオン二次電池を提供することが可能となる。
本発明に従うコバルト酸リチウムの粒子を走査型電子顕微鏡によって観察した図である。 図1のコバルト酸リチウム粒子の一部を拡大して示した図である。 本発明に従う酸化コバルトの粒子を走査型電子顕微鏡によって観察した図である。 本発明に従う塩化コバルト水酸化物の粒子を走査型電子顕微鏡によって観察した図である。 実施例に用いた塩化コバルト水酸化物及び酸化コバルトのXRDパターンを示した図である。 実施例に用いたコバルト酸リチウムのXRDパターンを示した図である。 実施例に用いた3極セルの構成を模式的に示した図である。 実施例及び比較例のコバルト酸リチウムについて、粒子内部構造強度試験の結果を示した図である。 実施例のリチウムイオン二次電池及び一般品のリチウムイオン二次電池についての出力性能評価の結果を示した図である。 実施例のリチウムイオン二次電池及び一般品のリチウムイオン二次電池について、電流レート容量保持率の結果を示した図である。
(コバルト酸リチウムの製造方法)
以下、図面を参照しながら本発明について説明する。
本発明は、リチウムイオン二次電池の正極材として用いられるコバルト酸リチウム(LiCoO2)の製造方法であって、塩化コバルト水酸化物を焼成してなる酸化コバルト(Co3O4)を前駆体として用いることを特徴とする。
上記構成を具備することで、得られたコバルト酸リチウムは、その粒子表面だけでなく粒子内部にも充放電が可能な反応表面を形成することが可能となり、従来の正極材に比べて電解液との接触面積が大幅に増加する結果、正極の反応による充放電量が増加し、出力性能の向上が可能となるのである。
ここで、図1は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて本発明に従うコバルト酸リチウムの粒子を観察したときの状態を示したものである。
図1に示されているように、本発明の製造方法によって得られたコバルト酸リチウム粒子は、8面体の形状であり、内部に多くの空孔を有することがわかる。そして、本発明によるコバルト酸リチウムがリチウムイオン二次電池の正極材料として用いられた場合、この空孔内部に電極液が浸入する。
なお、前記酸化コバルトから本発明のコバルト酸リチウムを得る方法については、特に限定はされない。例えば、前駆体である酸化コバルトと、所定のリチウム化合物を反応させることによって得ることができる。前記リチウム化合物については、特に限定はされず、例えば、リチウムの塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物等が挙げられる。前記酸化コバルトとリチウム化合物との反応方法については、例えば、コバルトとリチウム比がモル比で1:1となるように両者を秤量、物理混合した後、600〜900℃にて6時間以上焼成する方法が挙げられる。
本発明のコバルト酸リチウムの前駆体化合物は、特定の構造を有する酸化コバルト(Co3O4)である。図3は、前記酸化コバルトの粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行ったものであるが、酸化コバルトの粒子形状は8面体であり、本発明のコバルト酸リチウムと同様に、内部に多数の空孔(空隙)が形成されていることがわかる。
また、前記酸化コバルト粒子内部の空隙率は、5%以上であることが好ましく、10%以上50%未満であることがより好ましい。空隙率が3%未満の場合、内部に空孔が十分に形成されておらず、焼成して得られるコバルト酸リチウムの出力性能が低下するおそれがあるからである。なお、一定の内部強度を得る点からは、前記空隙率の上限は60%である。
前記酸化コバルトは、塩化コバルト水酸化物を焼成して得られる。
前記塩化コバルト水酸化物を焼成する条件については、特に限定はされない。好ましくは、400〜800℃にて1〜24時間焼成し、より好ましくは、500〜600℃にて1〜6時間焼成することで所望の酸化コバルトを得ることができる。
前記塩化コバルト水酸化物(Co2(OH)3Cl)は、前記酸化コバルトの材料となる化合物である。図4は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて前記塩化コバルト水酸化物を観察したものであるが、8面体の形状を有するものの、前記酸化コバルトやコバルト酸リチウムのような空孔は見られない。
前記塩化コバルト水酸化物を得る方法については特に限定されない。例えば、塩化コバルト6水和物(CoCl2・6H2O)と、弱塩基とを混合し、水熱反応させることによって、所望の塩化コバルト水酸化物を得ることができる。
なお、前記弱塩基とは、pHが7以上の塩基性物質のことをいう。前記弱塩基の具体的な種類については、特に限定はされないが、前記塩化コバルト6水和物と反応して所望の塩化コバルト水酸化物を確実に得ることができる点から、炭酸水素アンモニウムであることが好ましい。その他の塩基性物質を用いた場合、特に強塩基性物質では水酸化コバルトが生成してしまうため、塩化コバルト水酸化物が得られないおそれがある。
また、前記水熱反応の温度については、100〜200℃であることが好ましく、120〜180℃であることがより好ましい。前記温度が100℃未満の場合や、200℃を超える場合には、 いずれも塩化コバルト6水和物と弱塩基とが十分に反応せず、所望の塩化コバルト水酸化物が得られないおそれがある。
(コバルト酸リチウム)
本発明によるコバルト酸リチウムは、上述した製造方法によって製造されることを特徴とする。
本発明の製造方法によって得られたコバルト酸リチウムは、図1に示されているように、内部に多くの空孔を有することから、リチウムイオン二次電池の正極材料として用いられた場合、この空孔内部に電極液が浸入し、正極での反応による充放電量が増加するため、優れた出力性能を実現できる。
本発明のコバルト酸リチウムの粒子は、一定方向へ規則的に配向した複数の微結晶が連結して構成することが好ましい。コバルト酸リチウム粒子が複数の微結晶から構成されることで、前記粒子中に多数の空孔を形成することが可能となり、粒子内部へ電極液を浸入させることができるからである。
ここで、図2は、図1のコバルト酸リチウム粒子の一部について拡大して示したものである。図2を見ると、前記コバルト酸リチウムの粒子は、複数の微結晶が連結して構成していることがわかり、図中に破線で示しているように、微結晶は一定方向への規則的な配向性を有することがわかる。
また、図2に示すように、前記コバルト酸リチウムの粒子中に形成された空孔は、内部で連結していることが好ましい。前記空孔が内部で連結することで、前記電解液がより浸入しやすくなるからである。
そして、前記コバルト酸リチウム粒子の空隙率については、5%〜60%が好ましく、より好ましくは、10%〜50%である。空隙率が5%未満の場合、前記コバルト酸リチウム粒子中に十分に空孔が形成されておらず、粒子内部へ電極液が浸入できず、所望の出力性能を得ることができないおそれがあるからである。
さらに、前記コバルト酸リチウム粒子を構成する微結晶は、図2に示すように、その一部が多角形の形状を有することが好ましい。これによって、前記粒子を構成する微結晶の結晶性が高く、電解液との反応性が高く優れた電池の出力性能実現できることがわかる。
また、前記コバルト酸リチウムを構成する微結晶のサイズについては、50〜500nmの範囲であることが好ましい。ここで、前記微結晶のサイズとは、微結晶の長径の長さのことをいう。前記微結晶のサイズが50nm未満の場合、形成される空孔も小さくなることから、前記コバルト酸リチウム粒子内部に前記電解液が十分に浸入しないおそれがあり、一方、前記微結晶のサイズが500nmを超えると、前記コバルト酸リチウム粒子内部における前記電解液との接触面積が小さくなり、電池の出力性能を十分に得ることができないおそれがあるからである。
また、前記コバルト酸リチウムの粒子は、圧縮応力を加えたときに、段階的に粒子が崩壊する構造を持つ。ここで、圧縮応力を加えたときに、段階的に粒子が崩壊する構造とは、粒子内部の階層のうち弱い部分から徐々に崩壊するという意味であり、前記コバルト酸リチウム粒子内部に空隙が存在することによって実現される。また、前記粒子の段階的な崩壊としては、例えば3段階以上の崩壊がある。
(正極材)
本発明によるリチウムイオン二次電池の正極材は、上述したコバルト酸リチウムを用いることを特徴とする。
上述したコバルト酸リチウムを用いることで、一定の内部強度を有しつつ、従来の正極材に比べてリチウムイオン二次電池の出力性能に優れるという効果を奏する。
(リチウムイオン二次電池)
本発明によるリチウムイオン二次電池は、上述した正極材を用いることを特徴とする。上述した正極材を用いることで、従来のリチウムイオン二次電池に比べて、高電流レートに対する出力性能に優れるという効果を奏する。
本発明によるリチウムイオン二次電池の、その他の構成、例えば負極材や、電解液などについては特に限定はされず、従来用いられているものと同じ物を使用することができる。
例えば、前記負極材としては、黒鉛(LiC6)、ハードカーボン、ソフトカーボンなどのカーボン系材料、チタネイト(Li4Ti5O12)、ケイ素系材料、又は、チタン酸リチウムなどが挙げられる。
また、前記電解液については、水溶液系電解液は高電位において水が電気分解することから用いることができず、非水溶液系電解液が用いられる。具体的には、電解質であるLiPF6、LiBF4又はLiClO4のようなリチウム塩とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートのような有機溶媒によって構成することができる。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、特許請求の範囲の記載内容に応じて、種々の変更を加えることができる。
(本発明例)
以下の工程にしたがって、コバルト酸リチウムを得た。
(1) 塩化コバルト水酸化物(Co2(OH)3Cl)の合成
塩化コバルト6水和物(CoCl2・6H2O)1.904g(8mmol)を純水10mLに溶解し、塩化コバルト水溶液を調製した後、炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3)0.79g(10mmol)を純水12.5mLに溶解した水溶液を塩化コバルト水溶液に加え、1時間攪拌した。攪拌後、得られた赤紫色の懸濁液を100mLのテフロン(登録商標)容器に封入し、オートクレーブ中160℃にて24時間水熱反応を行った。得られた沈殿物を遠心分離により回収し、純水で洗浄後、恒温槽中60℃で乾燥させることで、塩化コバルト水酸化物(Co2(OH)3Cl)の粉末を得た。
得られた塩化コバルト水酸化物については、X線回折(XRD)を用いて構造を同定した。回折パターンを図5に示す。また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行い、八面体構造を有する粒子が存在することを確認した(図4)。
(2)酸化コバルト(Co3O4)の合成
先に合成した塩化コバルト水酸化物を600℃で5時間焼成することにより、酸化コバルト(Co3O4)を合成した。
得られた酸化コバルトについては、X線回折(XRD)を用いて構造を同定した。回折パターンを図5に示す。また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行い、合成した酸化コバルトの1粒子は、複数の微結晶が連結することにより構成され、外部から観測可能な粒子表面だけでなく、その内部にも空隙を有する構造体であることを確認した(図3)。
(3)コバルト酸リチウム(LiCoO2)の合成
先に合成した酸化コバルトと、炭酸リチウム(Li2CO3)を、モル比1:1で混合した後、800℃で焼成することにより、コバルト酸リチウム(LiCoO2)のサンプルを合成した。
得られたコバルト酸リチウムについては、X線回折(XRD)を用いて構造を同定した。回折パターンを図6に示す。また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を行い、得られたコバルト酸リチウムの1粒子が複数の微結晶が連結することにより構成され、外部から観測可能な粒子表面だけでなく、その内部にも充放電反応が可能な反応表面を有する構造体であることを確認した(図1)。また、粒子を構成する微結晶同士の結晶方位が揃っていることも確認した(図2)。
(比較例)
炭酸リチウムと酸化コバルトをLi/Co原子比が1となるように秤量し、乳鉢で十分混合して均一な混合物を調製した。ついで、混合物の一定量をアルミナ坩堝に詰めて電気加熱炉に入れ、最高温度900℃において10時間焼成した。得られた各焼成物を粉砕して、比較例のコバルト酸リチウムを作製した。
(評価)
上記の発明例及び比較例のサンプルについて、以下の項目についてそれぞれ評価を行った。
(1)粒子内部構造強度試験
圧縮試験機を用いて、コバルト酸リチウム粒子の各サンプルについて内部構造強度試験を実施した。本発明例のサンプルについては、平均粒径5.8μmの粒子を用い、比較例のサンプルについては、平均粒径7.6μmの粒子を用いた。また装置の最大負荷、および用いた負荷速度はそれぞれ、10mN、0.45mN/secである。測定により得られた負荷とサンプルの平均径より、粒子の単位面積当たりの強度を算出し、結果を図8に示す。
図8から、比較例のサンプルでは、大部分が一度に崩壊することが確認されたのに対して、本発明によるサンプルでは、粒子が段階的に少しずつ崩壊していくことがわかった。以上の結果より、本発明によるサンプルは、一般的なコバルト酸リチウムとは異なり、内部に空隙を有すると考えられる。
(2)出力性能試験
以下の手順に従って、図7に示すような試験用の3極セルを作製した。
対極、参照極には、金属LiをNiメッシュに圧着したものを用いた。作用極は、各サンプルのコバルト酸リチウムの比率を85質量%、導電補助材としてアセチレンブラックを10質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを5質量%となるように秤量し、1−メチル−2−ピロリドンを溶媒として加えて均一に混合したのち、Niメッシュに滴下し、真空下にて加熱乾燥して溶媒を除去することで作製した。なお、電極、3極セルの作製は全て、Ar雰囲気で満たされたグローブボックス内で行った。その後、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比1対1で混合した溶媒に、LiClO4を1mol/Lの割合で溶解させた電解液で満たし、図7に示すビーカー中に、上述のように作製した各電極を浸すことで試験用セルを作製した。
出力性能試験については、以下の手順で行った。
電流値1C(0.16A/g)にて50回充放電を行った後、2C、5C、8C、10Cと各レートにてそれぞれ10回ずつ充放電を行うごとに電流値を上昇させ、最後に再び1Cに戻し20回のサイクル行い、そのときの放電容量(mAh/g)の変化を観察した。なお、充電、及び放電時のカットオフ電圧をそれぞれ4.2V、3.0Vとした。測定は、Ar雰囲気で満たされたグローブボックス内で行われた。
本発明例及び比較例のサンプルを用いた試験用セルについて、サイクル数と放電容量との関係を示したグラフを図9に示す。また、本発明例及び比較例のサンプルを用いた試験用セルについて、電流レートと容量保持率との関係を示したグラフを図10に示す。
図9及び図10から、電流レートが増加するにつれて、本発明例及び比較例のサンプルを用いた試験用セルのいずれも放電容量が低下した。ただし、比較例のサンプルを用いた試験用セルでは、8Cレート時にその放電容量がほぼ0となったのに対して、本発明例のサンプルを用いた試験用セルでは、8Cレート時では1Cレート時の約60%、10Cレート時においても1Cレート時の約20%の放電容量が得られ、高電流レートでの出力性能が向上したことがわかった。
本発明によれば、高い電流レートに対して優れた出力性能を発揮できるリチウムイオン二次電池の正極材用コバルト酸リチウムの製造方法を提供することが可能となることに加え、この方法によって製造されたコバルト酸リチウム、該コバルト酸リチウムからなる正極材、及び、該正極材を用いたリチウムイオン二次電池を提供することが可能となる。

Claims (12)

  1. リチウムイオン二次電池の正極材として用いられるコバルト酸リチウムの製造方法であって、
    塩化コバルト水酸化物を焼成してなる酸化コバルトを前駆体として用いることを特徴とするコバルト酸リチウムの製造方法。
  2. 前記塩化コバルト水酸化物は、塩化コバルト6水和物と、弱塩基とを混合し、水熱反応させて得られることを特徴とする請求項1に記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
  3. 前記弱塩基は、炭酸水素アンモニウムであることを特徴とする請求項2に記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
  4. 前記水熱反応は、100〜200℃の範囲で行われることを特徴とする請求項2に記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
  5. 前記酸化コバルト前駆体の粒子は8面体であり、内部の空隙率が5%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコバルト酸リチウムの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法によって製造されることを特徴とするコバルト酸リチウム。
  7. 前記コバルト酸リチウムの粒子は、一定方向へ規則的に配向した複数の微結晶が連結して構成することを特徴とする請求項6に記載のコバルト酸リチウム。
  8. 前記コバルト酸リチウムの粒子は、内部で連結してなる空孔を有することを特徴とする請求項6又は7に記載のコバルト酸リチウム。
  9. 前記微結晶は、その一部が多角形の形状を有することを特徴とする請求項7又は8に記載のコバルト酸リチウム。
  10. 前記微結晶のサイズが、50〜500nmの範囲であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のコバルト酸リチウム。
  11. 請求項6〜10のいずれかに記載のコバルト酸リチウム用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池の正極材。
  12. 請求項11に記載の正極材を用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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