<冷蔵庫本体1の全体構成>
図1は、本実施形態の冷蔵庫の正面外形図である。図2は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるA−A縦断面図である。図3は、冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図であり、図4は、図2の要部拡大説明図であり、冷気ダクトや吹出し口と自動製氷機の配置などを示す図である。
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫本体1は、上方から、冷蔵室2、製氷室3及び上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6を有する。一例として、冷蔵室2及び野菜室6は、およそ3〜5℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a、2bを備えている。製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。以下では、冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを、単に扉2a、2b、3a、4a、5a、6aと称する場合がある。
また、冷蔵庫本体1は、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示なし)と、各扉が開放していると判定された状態が所定時間、例えば、1分間以上継続された場合に、使用者に報知するアラーム(図示なし)と、冷蔵室2の温度設定や上段冷凍室4や下段冷凍室5の温度設定をする温度設定器(図示なし)等を備えている。
図2に示すように、冷蔵庫本体1の庫外と庫内は、内箱10aと外箱10bとの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。また、冷蔵庫本体1の断熱箱体10は複数の真空断熱材18を実装している。
庫内は、断熱仕切壁12aにより冷蔵室2と、上段冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で上段冷凍室4は図示されていない)とが隔てられ、断熱仕切壁12bにより、下段冷凍室5と野菜室6とが隔てられている。
扉2a、2bの庫内側には複数の扉ポケット14が備えられている(図1、図2参照)。また、冷蔵室2は複数の棚13により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
図2に示すように、製氷室3、下段冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉3a、5a、6aの後方に、収納容器3b、5b、6bがそれぞれ設けられている。そして、扉3a、5a、6aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器3b、5b、6bが引き出せるようになっている。図1に示す上段冷凍室4にも同様に、扉4aと一体に、収納容器(図2中(4b)で表示)が設けられ、扉4aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより収納容器4bが引き出せるようになっている。
製氷室3内には、給水された水を凍らせて製氷する製氷皿25と、製氷皿25の下方の貯氷容器内の氷の多少を判定するためのレバーである検氷レバー24と、製氷皿25と検氷レバー24とを駆動する駆動手段である駆動ユニット23と、を備えた自動製氷機22が設けられている。
また、冷蔵室2内には、取り外して給水できる給水タンク26と、給水タンク26内部から水を汲み上げる給水ポンプ28と、給水ポンプ28から製氷皿25に給水する給水経路29が設けられている。
図2に示すように(適宜図3参照)、冷却器7は下段冷凍室5の略背部に備えられた冷却器収納室8内に設けられている。冷却器7の上方には、送風機9が設けられている。冷却器7で熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器7で熱交換した低温の空気を「冷気」という)は、送風機9によって冷蔵室送風ダクト11、野菜室送風ダクト17、製氷室送風ダクト40、下段冷凍室送風ダクト41及び図示しない上段冷凍室送風ダクトを介して、冷蔵室2、野菜室6、上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3の各貯蔵室へ送られる。
各貯蔵室への送風は冷蔵室冷却ダンパ20と冷凍室冷却ダンパ21の開閉により制御される。
ここで、冷蔵室冷却ダンパ20は2つの開口部を備えた所謂ツインダンパであり、第一の開口20aは冷蔵室送風ダクト11への送風を制御し、第二の開口20bは野菜室送風ダクト17への送風を制御する構成である。
ちなみに、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5及び野菜室6への各送風ダクトは、図3に破線で示すように冷蔵庫本体1の各貯蔵室の背面側に設けられている。
具体的には、冷蔵室冷却ダンパ20の第一の開口20aが開状態、冷凍室冷却ダンパ21が閉状態のときには、冷気は、冷蔵室送風ダクト11を経て多段に設けられた吹出口2cから冷蔵室2に送られる。冷蔵室冷却ダンパ20の第二の開口20bが開状態、冷凍室冷却ダンパ21が閉状態のときには、冷気は、野菜室送風ダクト17を経て、吹出口6cから野菜室6に送られる。
なお、冷蔵室2を冷却した冷気は、例えば、冷蔵室2の下面に設けられた戻り口2dから冷蔵室戻りダクト16を経て、冷却器収納室8の正面から見て、例えば、右側下部に戻る。また、野菜室6からの戻り空気は、戻り口6dを経て、冷却器収納室8の下部に戻る。
冷凍室冷却ダンパ21が開状態のとき、冷却器7で熱交換された冷気が庫内送風機9により製氷室送風ダクト40や図示省略の上段冷凍室送風ダクトを経て吹出口3c、4cからそれぞれ製氷室3、上段冷凍室4へ送風される。また、下段冷凍室送風ダクト13を経て吹出口5cから下段冷凍室5へ送風される。このため、冷凍室冷却ダンパ21は、後述する送風機カバー56の上方に取り付けられ、製氷室3への送風を容易にしている。
また、上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3を冷却した冷気は、下段冷凍室5の奥下方に設けられた冷凍室戻り口42を介して、冷却器収納室8に戻る。
図4において、吹出口3c、4c、5cが形成されているのが仕切54である。この仕切54は上段冷凍室4、製氷室3及び下段冷凍室5と、冷却器収納室8との間を区画する。
送風機9は、送風機取り付け部55に取り付けられている。送風機取り付け部55は冷却器収納室8と仕切54間を区画している。
56は送風機カバーで、送風機9の前面を覆っている。送風機カバー56と仕切54との間には、下段冷凍室送風ダクト41が形成されている。また、送風機カバー56の上部には、冷凍室冷却ダンパ21が設けられており、吹出口56aを形成している。
また、送風機カバー56は、送風機9の前面に整流部56bを備える。これによって、吹き出す冷気が引き起こす乱流を整流して、騒音等の発生を防止する。
また、送風機カバー56は、仕切54との間に送風機9によって送風された冷気を吹出口3c、4c、5c等に導くための、製氷室送風ダクト40、図示しない上段冷凍室送風ダクト、及び下段冷凍室送風ダクト41を形成している。
さらに、送風機カバー56は、送風機9によって送風された冷気を冷蔵室冷却ダンパ20側に送風する役目も果たしている。すなわち、送風機カバー56に設けられた冷凍室冷却ダンパ21側に流れない冷気は、図4に示すように、冷蔵室ダクト15を経由して冷蔵室冷却ダンパ20側に導かれる。
そして、冷凍温度帯室(上段冷凍室4、下段冷凍室5及び製氷室3)と、冷蔵温度帯室(冷蔵室2及び野菜室6)との両方異なる温度帯の貯蔵室に冷却器7を経た冷気を送る時には、大部分が冷凍室冷却ダンパ21側に送られて、残りの他の冷気はこの冷蔵室冷却ダンパ20側に導くように構成されている。
さらに、冷蔵室ダクト15に導かれた冷気は、冷蔵室冷却ダンパ20の第一の開口20aのみが開口している場合には冷蔵室送風ダクト11に導かれ、第二の開口20bのみが開口されている場合には野菜室送風ダクト17に導かれ、第一の開口20aと第二の開口20bの両方が開口されている場合には冷蔵室送風ダクト11と野菜室送風ダクト17の両方に導かれる。
なお、上記の冷蔵室冷却ダンパ20は、図4にも示す如く冷蔵室2の後方に取り付けられているものである。
また、冷却器7の下方には除霜手段である除霜ヒータ46が設置されており、除霜ヒータ46の上方には、除霜水が除霜ヒータ46に滴下することを防止するために、上部カバー47が設けられている。
冷却器7及びその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜の除霜(融解)によって生じた除霜水は、冷却器収納室8の下部に備えられた樋43に流入した後に、排水管27を介して後記する機械室19に配された蒸発皿44に達し、後記する圧縮機45や凝縮器(図示せず)の熱により蒸発させられる。
また、冷却器7の正面から見て右上部には冷却器に取り付けられた冷却器温度センサ35、冷蔵室2には冷蔵室温度センサ33、下段冷凍室5には冷凍室温度センサ34、製氷室3には製氷室温度センサ39がそれぞれ備えられており、それぞれ冷却器7の温度(以下、「冷却器温度」という)、冷蔵室2の温度(以下、「冷蔵室温度」という)、下段冷凍室5の温度(以下、「冷凍室温度」という)、製氷皿25近傍の温度(以下、「製氷温度」という)を検知できるようになっている。
さらに、冷蔵庫本体1は、庫外の温湿度環境(外気温度、外気湿度)を検知する図示しない外気温度センサと外気湿度センサを備えている。なお、野菜室6にも野菜室温度センサ33aを配置してもよく、各貯蔵室の温度制御をより細かく行うことができる。
断熱箱体10の下部背面側には、機械室19が設けられており、機械室19には、圧縮機45及び図示しない凝縮器が収納されており、図示しない庫外送風機により凝縮器の熱が除熱される。ちなみに、本実施形態では、イソブタンを冷媒として用い、冷媒封入量は約80gと少量にしている。
冷蔵庫本体1の天井壁上面側には、制御手段として、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31が配置されている。制御基板31は、前述した外気温度センサ、外気湿度センサ、冷却器温度センサ35、冷蔵室温度センサ33、冷凍室温度センサ34、製氷室温度センサ39、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ、冷蔵室2内壁に設けられた図示しない温度設定器、下段冷凍室5内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続する。そして、前述のROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機45のON/OFFや回転数の制御、冷蔵室冷却ダンパ20及び冷凍室冷却ダンパ21を個別に駆動するそれぞれの駆動モータの制御、庫内送風機9のON/OFFや回転速度の制御、前記庫外送風機のON/OFFや回転速度等の制御、前述の扉開放状態を報知するアラームのON/OFF、自動製氷機22の検氷動作や離氷動作、給水ポンプ28のON/OFF等の制御を行う。
次に、冷蔵室冷却ダンパ20が閉状態で、且つ冷凍室冷却ダンパ21が開状態で、冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4及び下段冷凍室5)のみの冷却が行われている場合、製氷室3に製氷室送風ダクト40を介して送風された冷気及び上段冷凍室4に図示しない上段冷凍室送風ダクトを介して送風された冷気は、下段冷凍室5に下降する。そして、下段冷凍室5に下段冷凍室送風ダクト41(図2参照)を介して送風された冷気とともに、図4中に矢印Cで示す冷凍室戻り空気のように流れる。すなわち、下段冷凍室5の背面下部に配された冷凍室戻り口42を経由して冷却器収納室8の下部前方から冷却器収納室8に流入し、冷却器配管7aに多数のフィンが取り付けられて構成された冷却器7と熱交換する。
ちなみに、冷凍室戻り口42の横幅寸法は、冷却器7の幅寸法とほぼ等しい横幅である。
一方、冷蔵室冷却ダンパ20が開状態で、且つ冷凍室冷却ダンパ21が閉状態で、冷蔵温度帯室(冷蔵室ないし野菜室6)のみの冷却が行われている場合、冷蔵室2からの戻り冷気は、図3中に矢印Dで示す冷蔵室戻り空気のように、冷蔵室戻りダクト16を介して、冷却器収納室8の側方下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換する。
なお、冷蔵室冷却ダンパ20の第二の開口20bを経由して野菜室6を冷却した冷気は、図4に示す如く、野菜室戻り口6dを介して、冷却器収納室8の下部に流入するが、風量は冷凍温度帯室を循環する風量や冷蔵室2を循環する風量に比べて少ない。
以上説明したように、冷蔵庫本体1の各貯蔵室へ送風する冷気の切り替えは、冷蔵室冷却ダンパ20および冷凍室冷却ダンパ21それぞれを適宜に開閉することにより行う構成である。
<自動製氷機の構成>
次に、本発明の実施形態の自動製氷機22について説明する。
製氷皿25は、取り外し式として清掃可能な構成とすることで、清潔さを維持できる。
製氷皿25を取り外し可能な構成とするには、製氷皿25が製氷室3の手前側、製氷皿25を駆動する駆動ユニット23を製氷室3の奥側に配置する。すなわち、製氷皿25の後方(冷蔵庫本体1の背面側)に駆動手段(駆動ユニット23)を配置するのが好適である。
ここで、製氷室送風ダクト40と、製氷室へ冷気を供給する吐出口(吹出口3c)の好適な構成について説明する。製氷速度を向上して短時間に製氷できることが望ましいことは言うまでもない。そのためには、大量の冷気を製氷皿25に向けて流し、急速に冷却することが望ましい。そこで、製氷室送風ダクト40の断面積を拡大して送風抵抗を低減するとともに、吹出口3cの面積を拡大することが好適である。
図3に示すように、送風機9は概ね冷蔵庫本体1の背面中央近傍に設けられているので、吹出口3cに至るまでの製氷室送風ダクト40の断面積を拡大するために、まず、吹出口3cを自動製氷機22の図示右側の冷蔵庫本体1の中央寄りに設ける。さらに、収納容器3b(貯氷容器)の氷の多少を判定する検氷レバー24は、製氷室送風ダクト40及び吹出口3cとは反対側の図示左側、すなわち冷蔵庫本体1の側壁側に配置する。検氷レバー24、製氷室送風ダクト40及び吹出口3cが製氷皿25に対して左右方向の同じ側にある場合、製氷室送風ダクト40及び吹出口3cは、検氷レバー24を回避した複雑な形状及び配置とする必要がある。そのため、断面積を拡大するには限界があり、屈曲した形状となることで、通風抵抗が大きくなる。
本実施形態では、駆動手段23の左右方向の一側に検氷レバー24を配置して、駆動手段23を隔てて検氷レバー24とは左右方向の反対側に製氷室3へ冷気を供給する吐出口(吹出口3c)を配置している。これにより、製氷皿25内の水の冷却効率が向上して、製氷完了までの時間を短縮することができる。
図5、図6により、自動製氷機22の一実施例の概略構成と概略動作について説明する。図5と図6は自動製氷機22の概要を示す斜視図であり、図5においては動作の原点である製氷時を実線で、氷の多少を判定する検氷動作時を破線で図示している。図6は製氷された氷53を製氷室3の収納容器3bに落下させる、離氷動作時を図示している。
図5と図6において、駆動ユニット23の前面には駆動軸85が設けられており、製氷皿25の駆動端60と接続されている。先に説明したように製氷皿25が冷蔵庫本体1内の手前側、駆動ユニット23が奥側に配置される。製氷皿25の駆動端60とは反対側の面には、支軸49が設けられている。すなわち、製氷皿25は支軸49と駆動端60によって回動自在に支持されて、駆動ユニット23は製氷皿25を駆動軸85のまわりに回動する。
駆動ユニット23の側面には、検氷軸50が設けられている。検氷軸50には検氷レバー24が接続され、検氷レバー24は製氷室3内に上方から下降する構成である。検氷レバー24は、収納容器3b内に蓄積された氷が十分にある満氷の場合、下降角度が小さい。一方、収納容器3b内の氷が無いか不足している氷不足状態の場合、下降角度が大きくなる。すなわち、この下降角度の変化によって氷の多少を判定する構成である。その詳細は後述するが、満氷と判定した時は離氷せずに製氷位置に戻り、氷不足と判定した時は離氷して収納容器3bに氷を落下してから製氷位置に戻り、製氷皿25に給水して自動的に次回の製氷を行う。
<検氷動作>
図5の実線で示す製氷皿25は、略水平であって検氷レバー24が上昇している状態であり、給水して製氷する製氷位置の状態を示している。製氷中は製氷室送風ダクト40を通って吹出口3cから冷気を製氷皿25周囲に吹き出して、製氷皿25内の水を凍結させる。
図5の破線で示す製氷皿25は、前述したとおり、氷の多少を判定する検氷動作を示している。製氷皿25と検氷レバー24とを連動して図示の破線矢印方向(検氷方向)に回動させ、検氷レバー24の下降角度に応じて氷の多少を判定する。
検氷レバー24の下降角度が所定の角度より小さくて収納容器3b内に氷が十分にあって満氷と判定した場合、製氷皿25と検氷レバー24とを連動して図示実線矢印の方向(離氷方向)に回動して製氷位置に戻して待機する。
<離氷動作>
図6は、離氷する際の動作を示す。検氷動作の際に、検氷レバー24の下降角度が所定の角度より大きく、氷不足と判定した場合、製氷皿25と検氷レバー24とを連動して離氷方向に回動して製氷位置に戻す。その後、図6に示すように、製氷皿25と検氷レバー24とは連動せず製氷皿25のみを離氷方向に回動させて反転させる。換言すると、検氷レバー24は停止した状態で製氷位置から製氷皿25を離氷方向に回動させる。
図6において、製氷皿25の支軸49側には、突起51が設けられている。また、製氷室3側には、ストッパ52が設けられている。この構成において、製氷皿25を所定の角度まで反転すると、突起51がストッパ52と当接する。駆動軸85はその後も離氷方向に回転するので、製氷皿25は駆動ユニット23側のみが回転して破線のようにひねられ、製氷された氷53を製氷皿25から分離して製氷室3内に落下させる。その後、製氷皿25を反転して検氷方向に回転して図5に示したように製氷位置になるまで戻す。その後、給水ポンプ28を駆動して給水タンク26内の水を製氷皿25内に供給して次回の製氷を行う。
上記の動作を繰り返すことで、給水タンク26内の水を製氷皿25に給水して製氷した後、収納容器3b内に蓄積する、自動製氷を行う。
<駆動ユニット構成>
図7から図10を用いて駆動ユニット23の構成について説明する。
図7は駆動ユニット23の構成を示す図5の矢印C方向から見た斜視図である。図8は図7の矢印D方向から見た背面図であり、図9は図7の矢印E方向、すなわち製氷皿25側から見た正面図であり、図10は図8のF−F断面図である。
図7から図10において、製氷皿25の駆動端60は、駆動トルクを出力する第一の歯車61に駆動軸85を介して接続されている。第一の歯車61は、製氷皿25側の第一のケース62の軸孔63と、反対側の第二のケース64から突出した回転支軸65との間に回転自在に軸支されている。第一のケース62と第二のケース64とで囲まれた空間には、駆動源であるモータ66、減速歯車群、及び第一の歯車61を配置している。
モータ66の回転軸にはウォーム67が接続され、第一の減速歯車である回転自在に軸支されたウォームホイール68と減速するよう噛み合わされる。ウォームホイール68には第一のピニオン69が一体に回転するように設けられている。第一のピニオン69は、回転自在に軸支された第二の減速歯車70と減速するよう噛み合っており、第二の減速歯車70には第二のピニオン71が一体に回転するように設けられている。第二のピニオン71は回転自在に軸支された第三の減速歯車72と減速するよう噛み合っており、第三の減速歯車72には第三のピニオン73が一体に回転するように設けられている。第三のピニオン73は第一の歯車61と噛み合っており、モータ66の回転を3段階に減速して第一の歯車61に伝達する構成である。
なお、ウォームホイール68と第一のピニオン69は、一例として樹脂で一体に成形することにより、互いに一体に回転する構成となる。同様に、第二の減速歯車70と第二のピニオン71、第三の減速歯車72と第三のピニオン73を、それぞれ樹脂で一体に成形することで、互いに一体に回転する構成となる。
ここで、ウォームホイール68と第三の減速歯車72との回転中心を一致させるように、同軸又は同軸になるように配置する。さらに、第二の減速歯車70を第一の歯車61に対してウォームホイール68の反対側でかつウォーム67と重なるように配置する。換言すると、第一のケース62又は第二のケース64の一面から見て、第一の歯車61、第一の減速歯車(ウォームホイール68)、第二の減速歯車70の順に、それぞれの回転軸が並ぶように配置して、さらにモータ66の回転軸と第二の減速歯車70の回転軸を、交差するないし互いに食い違うように配置する。すなわち、モータ66(駆動源)の回転軸に直交した平面と、第二の減速歯車70の回転軸に直交した平面とが交差するように、モータ66及び第二の減速歯車70を配置する。これにより、3段階の減速歯車で減速を行う構成であっても、駆動ユニット23全体として小型化することができる。すなわち、図7から図10に示すように、減速歯車2つ分の投影面積内(各減速歯車の回転軸方向の投影面積内)に3段階の減速歯車を配置することで、駆動ユニット23を小型化できる、という効果を有する。
ウォームホイール68は、回転軸が第一のケース62及び第二のケース64で直接又は間接に両端が支持される。具体的には、ウォームホイール68の回転軸の両端をそれぞれ第二のケース64と、後述するブラケット82との間で軸支される構成であり、片持ちではなく両端支持とする。これにより、軸の支持精度や剛性が高く、かつウォーム67とウォームホイール68の噛み合いによって生じる軸方向の力を第二のケース64または後述するブラケット82で支持できるので、ウォームホイール68の位置精度が高い、という効果を得ることができる。
第一の歯車61は、製氷皿25の反対側が回転軸に沿って略円筒状に延伸されて、中央部は外周の歯車と同心になるように、回転軸周りに形成された回転支持凹部116となっている。回転支持凹部116は、回転支軸65と回転自在に嵌合する。
第一の歯車61の回転軸に沿って略円筒状に延伸された部分の外周には、部分的に半径の大きい円弧形状の第一のカム74を有する。第一の歯車61が回転することで第一のカム74が作用して、第一のカム74に接したスイッチレバー75が揺動中心76のまわりに揺動し、タクトスイッチ77をオンする。スイッチレバー75は、スイッチレバースプリング78により第一のカム74に向けて付勢されている。スイッチレバー75の構成と動作の詳細については後述する。
第一の歯車61の背面側には凹部である第二のカム79が設けられており、第二のカム79には揺動支点80を中心にして揺動するカムフォロワ81の一端が嵌合されており、カムフォロワ81は第一の歯車61の回転に従って揺動する構成である。
駆動ユニット23の側面の第一の歯車61と直交する側面には、検氷レバー24と連結され、第一のケース62と第二のケース64との間で揺動自在に軸支された検氷軸50が設けられており、検氷軸50はカムフォロワ81の揺動に従って揺動する構成である。
第二のカム79の形状とカムフォロワ81の動作および検氷軸50の構成と動作の詳細については後述する。
図10において、第一の歯車61は第一のケース62に設けられた軸孔63と第二のケース64に設けられた回転支軸65とにより回転自在に軸支されている。ウォームホイール68は第二のケース64と、第一のケース62と第二のケース64の間に設けられた支持部材である後述するブラケット82とによって回転自在に軸支されている。第二の減速歯車70は第一のケース62とブラケット82との間で回転自在に軸支されている。第三の減速歯車72は第一のケース62とブラケット82との間で回転自在に軸支され、第二の減速歯車70と一体に設けられた第二のピニオン71と第三の減速歯車72が互いに噛み合って減速する構成である。なお、図7から図9においては、ブラケット82は省略して図示している。
第一の歯車61の製氷皿25の側である正面側には、所定の角度範囲に扇形の凹部83が設けられている。扇形の凹部83の両端は、第一のケース62の一部を第一の歯車61の側に突起形状に設けたストッパ84と当接して、第一の歯車の回転範囲を所定の角度範囲内に制限している。
図11により、第一の歯車61の構成について説明する。図11は第一の歯車61を示す斜視図であり、図11(A)は第一のケース62の側より見た斜視図であり第一の歯車61の正面側を示している。図11(B)はその対面の第二のケース64の側から見た斜視図であり第一の歯車61の背面側を示している。
図11(A)の正面側において、回転軸部は略円筒状に延伸された駆動軸85となっており、製氷皿25が取り付けられる。駆動軸85の先端近傍には平面カット部86を有し、断面が平面部と円弧部とを組み合わせた形状をなしている。この平面カット部86が製氷皿25の駆動端60と嵌合することで、製氷皿25に回転トルクを伝達しやすくなる。
先に説明したように、第一の歯車61の回転軸から歯底の間における所定距離には、扇形に凹部83が設けられ、ストッパ84と当接して第一の歯車61の回転範囲を所定の角度範囲内に制限している。さらに位置決め凹部87が設けられ、詳細は後述するが組み立ての際の目安として用いられる。
図11(B)に示す第一の歯車61の背面側は略円筒状に延伸され、その周囲には凸部74aおよび凸部74bを設けた第一のカム74としている。第一のカム74の外側の第一の歯車61の側面には、凹部である第二のカム79が設けられている。第二のカム79のおよそ3/4周は、第一の歯車61の内周側に同心に設けられた内周溝88であり、その一端は斜面89を介して第一の歯車61の外周側の一部に同心に設けられた外周溝90と滑らかに接続されている。
<第一の歯車とカムフォロワ>
図12により、第一の歯車61とカムフォロワ81の構成について説明する。図12(A)は第二のケース64側の斜め下方からみた斜視図であり、図12(B)は斜め上方からみた斜視図である。
カムフォロワ81は第二のケース64の揺動支点80のまわりに揺動自在に軸支されており、カムフォロワ81の他端である先端部91は第一の歯車61の第二のカム79の溝に摺動自在に嵌合されている。第二のカム79は内周溝88と斜面89と外周溝90とが滑らかに接続されているので、第一の歯車61が回動するとカムフォロワ81の先端部91が内周溝88に嵌合している間は第一の歯車61の回転軸に近接した位置にある。外周溝90に嵌合している間は第一の歯車61の回転軸から最も離反した位置にある。斜面89に嵌合している間は第一の歯車61の回転軸からの距離が変化する。
カムフォロワ81の一部には、後述する検氷軸50の検氷回動突起92が当接する検氷駆動部93が設けられている。検氷軸50を駆動する詳細については後述する。
<検氷軸>
図13と図14とを用いて検氷軸50の構成について説明する。図13は検氷軸50を図7の矢印L方向からみた斜視図であり、図14は図13のM−M断面図である。検氷軸50の一端は検氷レバー24を固定する検氷軸端部94であり、他端は第二のケース64に対して揺動自在に支持された回転軸95となる。回転軸95の部分の外径は、検氷軸50の他の部分よりも拡大されており、回転軸95の周囲に円筒状の溝121が形成されている。
回転軸95の周囲の円筒状の溝121部分には、ねじりバネ96が設けられている。ねじりバネ96の一端96aは、検氷軸端部94の側を向いて検氷軸50に形成された取付孔97に挿入されて検氷軸50と同期して回転する。他端96bは回転軸95の側を向いて回転軸95のまわりに回転自在に支持され、図示しない第二のケース64に押し付けられて支持される。すなわち、第二のケース64がねじりバネ96の回転範囲を規制する。
このように構成することで、検氷軸50にはねじりバネ96によって図13中の矢印方向の回転トルクが常時生じる。その回転トルクにより検氷軸50に設けられた検氷回動突起92が、カムフォロワ81に設けられた検氷駆動部93(図12参照)に対して押し付ける方向に付勢される。
検氷軸50から突出した回転ストッパ50aは、図4中に破線で示した検氷レバー24が、最大角度下降した場合、第二のケース64に設けられた図示しない段差やリブ等の突起に当接して、検氷軸50の動作を規制する。
検氷軸50から突出した阻止レバー98は、氷不足で検氷レバー24が所定の角度より大きく下降した場合、スイッチレバー75(図8参照)の動作を阻害する構成であり、その詳細は後述する。
図15と図16は、図7におけるJ−J方向の断面図である。図15と図16において、検氷軸50には図示矢印方向の回転トルクがそれぞれ作用している。
図15は、検氷時以外の状態であって、カムフォロワ81の先端部91は第二のカム79の内周溝88と嵌合している。検氷軸50の検氷回動突起92は、図示上方に移動して検氷レバー24を上昇位置に保っている。
図16は、検氷時の状態であって、カムフォロワ81の先端部91は第二のカム79の外周溝90に嵌合している。検氷軸50の検氷回動突起92は、図示下方に移動して検氷レバー24を下降させる。
<スイッチレバー>
図17はスイッチレバー75の構成を示す斜視図である。スイッチレバー75は、略U字型の溝である揺動中心76を備え、駆動ユニット23に固定して設けられた揺動支点99(詳細は後述する)に載置される。図示上方である一端には、タクトスイッチ77をオン/オフする第一の突起100が設けられる。揺動中心76に対して第一の突起100の反対側には、スイッチレバースプリング78により付勢されるスプリング座101が設けられている。揺動中心76からスプリング座101よりさらに遠方には、第一の歯車61に設けられた第一のカム74によって動作される第二の突起102を備える。第二の突起102よりさらに遠方には、氷不足の際に検氷軸50の阻止レバー98との間でスイッチレバー75の動作を阻害する阻止突起103が設けられている。
すなわち、図17における図示上方より、第一の突起100、揺動中心76、スプリング座101、第二の突起102、阻止突起103、の順に設けられている。第二の突起102は、対称な形状となるように第二の突起102a,102bの2か所設けられている。第二の突起102a,102bは、第一の突起100、スプリング座101、阻止突起103よりも外側に配置される構成である。
揺動中心76の略U字型の溝の内側には仮止め突起125,126が溝幅を狭める向きに設けられ、詳細は後述するがブラケット82の揺動支点99にスイッチレバー75をスナップフィットして仮止めするのに用いられる。
図18は、スイッチレバー75と第一の歯車61との位置関係を示す図であって、図8の矢印K方向からみた側面図である。第二の突起102a,102bは、第一の歯車61に設けられた第一のカム74と互いに離れた2点で接するので、スイッチレバー75の姿勢は安定する。阻止突起103の少なくとも一辺103aは、第一の突起100とスプリング座101とを結んだ直線上又は直線上付近に位置するようにあり、他辺は第一の歯車61の側に延伸して配置される。
<検氷動作>
図19から図22を用いて、スイッチレバー75の動作と、タクトスイッチ77のオン/オフによって氷の多少を判定する検氷動作について説明する。図19から図22は、第一のカム74と、スイッチレバー75と、スイッチレバースプリング78と、阻止レバー98との主な関係を示す。
図19は、図5の実線で示したように、製氷皿25が原点である製氷位置の状態にあり、スイッチレバー75の第二の突起102は、第一のカム74の凹部(凸部74aと凸部74bの間)に嵌合している。スイッチレバースプリング78による付勢力f2は、スイッチレバー75の第二の突起102と揺動中心76によって支持されて、それぞれ矢印f3と矢印f1の反力を受ける。第一の突起100はタクトスイッチ77から離反して、タクトスイッチ77はオフの状態である。
図20は、第一の歯車61を検氷方向、すなわち図5の破線矢印の方向に回動しつつある状態を示す。スイッチレバー75の第二の突起102は、第一のカム74の凸部74aによって押し上げられ、図示反時計方向に揺動し、第一の突起100がタクトスイッチ77を押し込んでオン状態とする。このとき、スイッチレバー75の揺動中心76は固定された揺動支点99から浮上り、スイッチレバー75は第二の突起102とタクトスイッチ77により支持される。スイッチレバースプリング78による付勢力f2は、スイッチレバー75の第二の突起102とタクトスイッチ77において、それぞれ矢印f3と矢印f4の反力を受ける。このとき、前述したように検氷軸50が回動して検氷レバー24が製氷室3内に下降する。
<氷不足時>
製氷室3内に氷が不足しており検氷レバー24が所定の角度以上に下降した場合、検氷軸50に設けられた阻止レバー98がスイッチレバー75の阻止突起103と第二の突起102との間に入り込む。さらに第一の歯車61が回転すると、第二の突起102が第二のカム79の凸部74aから離れるものの、阻止レバー98が阻止突起103の移動を阻害する。すなわち、図21に示すように、スイッチレバー75はタクトスイッチ77と阻止突起103とにより支持されて、タクトスイッチ77はオン状態のままとなる。スイッチレバースプリング78による付勢力f2は、スイッチレバー75の阻止突起103とタクトスイッチ77において、それぞれ矢印f5と矢印f4の反力を受ける。
<満氷時>
製氷室3内に氷が十分にあって検氷レバー24が所定の角度まで降りない場合、検氷軸50に設けられた阻止レバー98はスイッチレバー75の阻止突起103と第二の突起102との間に入り込まない。さらに第一の歯車61が回転すると、図22に示すように第二の突起102は第二のカム79の凹部に嵌合して、図19に示した原点と同じ状態になってタクトスイッチ77はオフとなる。
図21に示したオン状態と、図22に示したオフ状態とによって、検氷レバー24の下降角度が所定角度以上か否かをタクトスイッチ77で判別して、製氷室3内の氷の多少を判定できる。
<検氷軸とスイッチレバー動作>
図23から図25を用いて、氷の多少を判定する際の検氷軸50とスイッチレバー75の動作について説明する。図23から図25は、スイッチレバー75と検氷軸50とカムフォロワ81の動作を示す概略図であって、図18と同様な側面図である。
図23は検氷動作以外の状態を示している。カムフォロワ81は第一の歯車61の第二のカム79によって図12に示す内周溝88に沿った状態である。検氷回動突起92が押し上げられて検氷軸50は回動して、検氷レバー24は図5実線で示すような上昇位置となる。
図24と図25は、検氷動作時の状態を示しており、カムフォロワ81は第一の歯車61の第二のカム79によって図12に示す外周溝90に沿っており、検氷回動突起92が下降して検氷軸50は回動して検氷レバー24は下降する。
図24は、図21と同様に氷不足で検氷レバー24は所定の角度より大きく下降した場合である。阻止レバー98が阻止突起103を介してスイッチレバー75の動作を阻害して、タクトスイッチ77をオンして氷不足と判定する。
図25は、満氷であって検氷レバー24が所定の角度まで下降せず、検氷回動突起92は検氷駆動部93から浮き上り、阻止レバー98が阻止突起103と当接しない。この場合、スイッチレバー75の動作を阻害することなく、タクトスイッチ77は図22と同様にオフとなって満氷と判定する。
<検氷・離氷動作>
図26から図32を用いて、製氷完了を確認した後、原点である製氷位置から検氷動作を行い、満氷と判定した場合には離氷せずに原点に戻り、氷不足と判定した場合には離氷を行う一連の動作について説明する。製氷皿25又は製氷皿25の近傍には温度センサ39があり(図4参照)、所定の温度、例えば−18℃まで温度が低下してから所定の時間が経過したことで製氷が完了したと判定する。
図26から図32は、第一の歯車61の第一のカム74と、第二のカム79と、スイッチレバー75と、カムフォロワ81と、タクトスイッチ77のオンオフの関係を示す概略図である。なお、製氷皿25の一部を併せて図示している。
図26は、原点位置、すなわち製氷位置であって、このとき製氷皿25はほぼ水平な状態である。スイッチレバー75は、図19と同様に、揺動支点99と第一のカム74の凹部によって支持されており、タクトスイッチ77はオフの状態である。また、図15と同様に、カムフォロワ81は第二のカムの内周溝88と嵌合しており、検氷レバー24は上昇位置にある。
図27は、検氷動作を開始してモータ66が検氷方向に回転し、製氷皿25は検氷方向に回転した状態である。スイッチレバー75の第二の突起102は、第一のカム74の凸部74aによって押し上げられつつあり、第一の突起100がタクトスイッチ77を押してオンする。タクトスイッチ77がオンしたことで、製氷皿25が回転して原点から離れたことがわかる。
図28は、さらに検氷動作を継続して、製氷皿25は検氷方向(図示時計まわり)にさらに回転した状態である。スイッチレバー75の第二の突起102は、第一のカム74の凸部74aに乗り上げて、図20に示したと同様に第一の突起100と第二の突起102によって支持された状態を維持して、タクトスイッチ77はオンの状態である。カムフォロワ81は、第二のカム79の内周溝88と外周溝90との間の斜面上にあって、検氷レバー24は所定角度まで下降する途中である。
ここで、もし製氷室3内が氷不足で検氷レバー24が所定の角度よりも下降すれば、図20と同様に、阻止レバー98が阻止突起103の第一のカム74側に入り込む。一方、もし製氷室3内が満氷で検氷レバー24が所定の角度まで下降しなければ、阻止レバー98が阻止突起103の第一のカム74側に入り込まない。
図29は、検氷位置において氷不足と判定した場合を示している。カムフォロワ81は、第二のカム79の外周溝90と嵌合して、検氷レバー24は所定の角度よりも下降して図24と同様な状態となる。阻止レバー98は、阻止突起103を介してスイッチレバー75の動作を阻害して、タクトスイッチ77をオンのままとして氷不足を判定する。
<満氷判定>
図30は、検氷位置において満氷と判定した場合を示している。カムフォロワ81は、第二のカム79の外周溝90と嵌合しているものの、検氷レバー24は所定の角度までは下降しない図25の状態となる。阻止レバー98は、阻止突起103と当接しないのでスイッチレバー75の動作を阻害することなく、タクトスイッチ77はオンから図22と同様にオフとなって満氷と判定する。
図29,図30に示した検氷位置において、製氷室3内の氷の多少を判定した後、モータ66を反転して離氷方向(図示反時計まわり)に回転させる。満氷と判断した場合には、図28,図27の状態を経由して図26に示した原点位置まで回転する。タクトスイッチ77がオンからオフになったところで製氷皿25を停止させて、次回の検氷動作までそのまま原点で待機する。
<氷不足判定>
氷不足と判定した場合には、モータ66は原点で停止させることなくそのままさらに離氷方向(図示反時計まわり)に回転させる。原点から離氷位置に至るまでは、図31に示すようにカムフォロワ81は第二のカム79の内周溝88に嵌合しており、検氷レバー24は上昇位置にある。スイッチレバー75の第二の突起102は第一のカム74の凸部により押し上げられて、図20と同様に支持されてタクトスイッチ77をオンした状態となる。
<離氷位置>
図32は離氷位置を示しており、図6に示すように製氷皿25はおよそ160゜回転して反転して、さらに製氷皿25をひねり、氷を製氷室3に落下させる。検氷レバー24は上昇位置のままであり、スイッチレバー75の第二の突起102は第一のカム74の凹部と嵌合することで、タクトスイッチ77はオンからオフになり、離氷位置を検知する。
図10と図11により説明したように、扇形の凹部83と回転ストッパ84とを当接して、第一の歯車の回転範囲を所定の角度範囲内に制限している。その回転角度範囲は、図29,図30に示した検氷位置よりも、例えば15゜ほど検氷方向にさらに余計に回転した第一のメカストップ位置から、図32に示した離氷位置よりも、例えば15゜ほど離氷方向にさらに余計に回転した第二のメカストップ位置までとしている。これらの位置は機構的な停止位置であることから、メカストップと称する。
<検氷・離氷動作>
図33は、図26から図32により説明した一連の動作を説明するチャート図である。
図33(A)は製氷皿25の回転動作を図示しており、横軸が回転角度を示している。原点位置に対して図示左側が検氷方向、図示右側が離氷方向である。(A1)は満氷時の動作、(A2)は氷不足時の動作、(A3)は電源が投入された際の初期化時の動作を示す。図32(B)はタクトスイッチ77のオン/オフ状態を示す。図33(C)は検氷レバー24の下降動作を示している。
製氷時は製氷皿25が原点位置(d)にある。製氷が完了したと判定したら、まず検氷方向に回転する。原点でオフであったタクトスイッチ77は例えば10゜程度回転した(c)点でオンし、さらに検氷方向に回転する。第一の歯車61の第二のカム79とカムフォロワ81の作用によって検氷レバー24は(k)点から下降し始め、満氷の場合には氷の多少を判定する(j)点よりも下降せず、破線で示したようにほぼ一定の角度下降した状態となる。なお、例えばこの角度は30゜程度である。このときはスイッチレバー75の動作は阻害されない。(b)点を過ぎてさらに検氷方向に所定角度回転すると、タクトスイッチ77はオンからオフとなって、満氷であると判定する。このとき、第一のメカストップに当接する以前に検氷方向への回転を停止することで、扇形の凹部83と回転ストッパ84とに加わる応力を低減できるので好適である。
その後(A1)に示すようにモータ66を反転して離氷方向に回転し、原点近傍の(c)点に至ると、タクトスイッチ77はオンからオフに変化する。その後所定角度、たとえば10゜程度回転して停止すると原点(d)点に戻り、検氷レバー24は上昇位置となる。製氷皿25内の氷は離氷されずに残ったままなので、そのまま次回の検氷を行うまで所定の時間待機する。
次に、図33(A2)により氷不足時の動作について説明する。氷不足の場合、検氷レバー24は(h)点にて最大下降角度まで下降する。このとき、スイッチレバー75の動作は阻害されるので、さらに製氷皿25が検氷方向に回転して(b)点に至ってもタクトスイッチ77がオンのまま変化しないので、氷不足と判定して、反転して離氷方向に回転する。(m)点を過ぎてさらに離氷方向に回転すると図5で説明したように。製氷皿25の突起51がストッパ52に当接してひねられる。さらに離氷方向に回転して(f)点に至ると、タクトスイッチ77がオンからオフに変化するので、離氷位置に至ったと判定してモータ66を反転して製氷皿25を検氷方向に回転する。原点近傍の(e)点に至ると、タクトスイッチ77はオンからオフに変化するので、その後所定角度、たとえば10゜程度回転して停止すると原点(d)点に戻る。製氷皿25はほぼ水平となる製氷位置であり、離氷は完了して空の状態であるため、再度給水ポンプ28を駆動し給水して次回の製氷を行う。
<初期化動作>
次に、図33(A3)により初期化時の動作について説明する。冷蔵庫本体1の電源が投入された際には、製氷皿25の位置は原点(製氷位置)から外れている場合があるので、原点に確実に戻す初期化動作を行う。本実施例では、初期化の際には製氷皿25を離氷方向に所定時間回転して、離氷側に設けられた第二のメカストップに当接させる。電源投入時、製氷皿25は検氷方向に回転した状態であるかもしれないので、初期化の際、第一のメカストップから第二のメカストップに至るまでの動作時間よりも長い時間、離氷方向に回転するのが望ましい。
本実施例においては、離氷側の第二のメカストップが当接してモータ66を強制的に停止した際には、製氷皿25は(m)点を過ぎてひねられているため、第二のメカストップに加わるトルクは、モータ66による出力トルクから製氷皿25をひねるトルクを減じたトルクであり、モータ66による出力トルクより小さい。そのため、第一の歯車の凹部83と第一のケース62の回転ストッパ84に加わる応力が小さいので、信頼性の高い自動製氷機を提供できる。
すなわち、製氷皿25をひねる方向とは反対方向に設けたメカストップ(本実施例においては検氷側の第一のメカストップ)に当接させてモータ66を強制的に停止した場合、製氷皿25をひねるトルクが生じないか、極めて小さくなる。メカストップにはモータ66から生じるトルクが全て加わるものであるが、本実施例では、離氷側のメカストップを用いて初期化動作を行うことによる応力低減の効果が得られる。
その後、反転して検氷方向に回転して原点近傍の(e)点に至ると、タクトスイッチ77はオンからオフに変化する。その後所定角度、たとえば10゜程度回転して停止すると原点(d)点に戻る。このような初期化動作により、確実に原点に復帰することができる。
<ブロック図>
図34は、本発明の実施形態における自動製氷機を備えた冷蔵庫の構成を示すブロック図である。制御基板31は、商用電源から所定の電圧の直流などを生成する電源104と接続される。さらに、例えば温度調整を行う押しボタンスイッチなどの操作手段37と、例えば点滅するLEDなどの表示手段38とを備えた操作パネル36と接続される。また、温度センサ33、34、35、冷蔵室冷却ダンパ20と冷凍室冷却ダンパ21、給水ポンプ28、自動製氷機22、圧縮機45などと接続されて、それらの駆動と制御を行う構成である。
なお、操作パネル36は図1において、冷蔵庫本体1の前面、一例として冷蔵室扉2aの前面に配置されており、使用者が諸機能を変更したり、確認したりする場合に使い勝手を向上させている。
<初期化動作フロー>
図35は、本発明の実施形態における自動製氷機22において、電源を投入した際の初期化動作の制御を示すフローチャートである。制御基板31は、電源が投入されると起動し、図35に示す初期化プログラムを実行する。
(ステップS101)タクトスイッチ77や温度センサ33、34、35の状態を確認して初期設定を開始する。
(ステップS102)モータ66に通電して、製氷皿25を離氷側に回転する。
(ステップS103)所定時間経過したか否かを判定する。
(ステップS104)離氷側の第二のメカストップに至ったと判断する。
(ステップS105)モータ66を反転して検氷方向に製氷皿25を回転して、原点位置(製氷位置)への戻り動作を行う。
(ステップS106)タクトスイッチ77は離氷位置のオフ状態から、オンする。
(ステップS107)タクトスイッチ77がオンからオフに変化したか否かを判定する。
(ステップS108)タクトスイッチ77がオンからオフに変化したら原点である製氷位置近傍なので、その後規定時間が経過したか否かを判定する。
(ステップS109)規定時間が経過したら原点位置と判定してモータ66を停止する。
以上により、初期化動作が完了する。
<自動製氷動作フロー>
図36と図37は、本発明の実施形態の自動製氷機における、図26から図32により説明した一連の動作の制御を示すフローチャートである。
温度センサ39によって、製氷皿25又は製氷皿25近傍が所定の温度、例えば−18℃まで温度が低下してから所定の時間が経過したことで製氷が完了したと判定して、その後動作を開始する。図36は満氷と判定した場合の動作を示す。
(ステップS201)製氷完了を確認した後、検氷動作を開始する。
(ステップS202)モータ66を検氷方向に回転する。
(ステップS203)タクトスイッチ77がオフからオンに変化する。
(ステップS204)第二のカム79とカムフォロワ81と検氷軸50の動作によって検氷レバー24が下降する。
(ステップS205)所定時間経過後、タクトスイッチ77がオンからオフに変化したか否かを判定する。タクトスイッチ77がオフに変化しない場合はAに分岐して、氷不足時の処理(図37)を行う。
(ステップS206)タクトスイッチ77がオフに変化したら満氷と判定する。
(ステップS207)モータ66を反転して、離氷方向に回転する。
(ステップS208)タクトスイッチ77がオフからオンに変化する。
(ステップS209)タクトスイッチ77がオンからオフに変化するか否かを判定する。
(ステップS210)原点近傍でタクトスイッチ77がオンからオフに変化するので、その後所定時間が経過したか否かを判定する。
(ステップS211)所定時間が経過したら原点位置なので、モータ66を停止する。
満氷と判定したので、製氷皿には氷が残ったままであり次回の検氷動作までそのまま待機する。
<氷不足判定時フロー>
図37は氷不足と判定した際の動作を示す。
(ステップS212)図36のAから分岐して、タクトスイッチ77がオンのまま所定時間が経過したか否かを判定する。タクトスイッチ77がオンのままの場合は、氷不足のため検氷レバー24が所定の角度よりも下降しており、スイッチレバー75の動作が阻害される。
(ステップS213)所定時間が経過したので氷不足と判定する。
(ステップS214)モータ66の回転方向を反転して離氷方向に回転する。
(ステップS215)タクトスイッチ77は一旦オンからオフとなり、製氷皿25が原点位置を通過した後、タクトスイッチ77はオフから再びオンになり、離氷位置に向かって回転を継続する。
(ステップS216)タクトスイッチ77がオンからオフに変化したか否かを判定する。
(ステップS217)タクトスイッチ77がオンからオフに変化したら離氷位置であり、製氷皿25は反転するとともにひねられており、氷は製氷室3内に落下する。
(ステップS218)離氷が完了したので、モータ66の回転方向を反転して検氷方向に回転する。
(ステップS219)離氷位置から離れることでタクトスイッチ77がオフからオンに反転する。
(ステップS220)タクトスイッチ77がオンからオフに変化したか否かを判定する。タクトスイッチ77がオフに変化したら、原点である製氷位置の近傍である。
(ステップS221)原点である製氷位置近傍でタクトスイッチ77がオンからオフに変化するので、その後所定時間が経過したか否かを判定する。
(ステップS222)所定時間が経過したら原点である製氷位置なので、モータ66を停止する。製氷皿25は水平であり、既に離氷されているので製氷皿25は空である。
(ステップS223)次回の製氷のために給水ポンプ28を起動して給水する。
(ステップS224)所定時間が経過したか否かを判定する。
(ステップS225)所定時間が経過したら所定量の給水が完了したので、給水ポンプ28を停止する。以上のステップを繰り返すことにより、一連の自動製氷動作を行う。
<ブラケット構成部品>
図38と図39は、本発明の実施形態の自動製氷機における、第一のケース62と第二のケース64の間に設けられた支持部材であるブラケット82と、モータ66と、ウォーム67と、タクトスイッチ77と、スイッチレバー75の部分組立状態を示す斜視図である。この状態をブラケット構成部品105と称する。
図38は図7の矢印G方向から見た斜視図であり、図39は図7の矢印H方向から見た斜視図である。図42は図38のP−P断面図であり、タクトスイッチ77の取り付けを示す断面図である。図43は図39のN−N断面図であり、スイッチレバー75をブラケット82の揺動支点99にスナップフィットして仮止めした状態を示す。図44は図39のQ−Q断面図であり、モータ66とウォーム67の取付状態を示す断面図である。
図38と図39において、モータ66の回転軸にはウォーム67が圧入され、ウォーム67の先端はブラケット82に設けられたウォーム軸受孔部106に回転自在に嵌合されている。モータ66のウォーム67側の面は、ブラケット82の一部を突出させて形成した円筒状ボス107が、モータ66に設けられた孔と嵌合してモータ66を回転方向に固定する。
ブラケット82の一部をモータ66に沿って両側からモータ66の背面まで延伸した延伸部108を設け、延伸部108の両端を接続部122によりモータ66の背面で一体に接続する。モータ66を軸方向に両側から挟んで嵌める構成とすることで、モータ66をブラケット82に固定する。
<ウォーム支持>
図44により、モータ66とウォーム67とブラケット82との配置について詳細に説明する。ブラケット82の一部はモータ位置決め穴138であって、モータ軸134と同軸にモータ66から突出した円筒部と精度よく嵌合する。ウォーム67にはウォーム軸穴137が設けられ、モータ軸134と嵌合する。モータ軸134には例えば四角形をなした回転ストッパ135は、かしめて固く密着するように固定されており、ウォーム67には回転ストッパ135と嵌合する例えば四角形の穴が開けられており、回転ストッパ135はウォーム67に設けられた付き当て面136に押し当てられて軸方向の位置が定められる。
<ウォーム先端支持>
また、ブラケット82は、モータ66を支持するとともに、ウォーム67の先端であるウォーム先端部139をウォーム軸受孔部106で支持する構成である。ウォーム先端部139は先端を半球形となし、ブラケット構成部品105を第二のケース64に組み込んだ際にはその先端と下ケース内壁とがウォーム67の軸方向の微小なガタ分だけの隙間となるよう近接して配置される。ウォーム先端部139の先端を半球形とすることで、ウォーム67が回転中に第二のケース64と接したとしてもその接点は回転中心の略1点のみなので、摩擦により生じる負荷トルクが少なくてモータ66の回転が安定する。
上記説明したように、ブラケット構成部品105は、同一の構成部品であるブラケット82によりモータ66のウォーム側、ウォーム67とは反対側の接続部122側、及びウォーム67の先端であるウォーム先端部139とを保持するために、同軸度の精度が得やすい。よって、ウォーム67の芯がずれにくくなってウォームホイール68との噛み合いが安定し、振動が少なく低騒音な減速歯車を備えた自動製氷機が得られる。
<ウォームスラスト方向支持>
次に、ウォーム67の回転方向と軸方向のスラスト負荷の関係について説明する。図45は図7と同じ斜視図に、製氷皿25の一部分の図象と、各歯車の回転方向を示す矢印を描き加えた図である。
図45において、製氷位置から図6に示すように離氷方向に回転させる際には、第一の歯車61は矢印W1方向に回転する。第一の歯車61と噛み合っている第三の減速歯車72は矢印W2方向に回転し、第二の歯車は矢印W3方向、ウォームホイール68は矢印W4方向に回転する。W1とW3は図示反時計まわりであり、W2とW4は図示時計まわりとなる。ウォームホイール68と噛み合うウォーム67はウォームホイール68をW4方向に回転させるために、矢印W5方向すなわちモータ66側から先端に向けて歯を送る向きに回転する。
ここで図6に示すように、製氷皿25内の氷を離氷するために製氷皿25を反転させて突起51をストッパ52に押し当てて製氷皿25を捻ると、離氷に要する負荷トルクが図45の矢印とは反対向きの反力として各歯車とウォーム67とに加わる。ウォーム67は歯を先端側に送る向きに回転しようとするが、ウォームホイール68は負荷トルクによって停止しようとするので、ウォーム67がウォームホイール68から受ける力はウォーム67をモータ66側に押し付ける方向となる。
ウォーム67をモータ66側に押し付けると、先に図44により説明したように、ウォーム67の付き当て面136が回転ストッパ135に押し付けられるので、ウォーム67はモータ軸134に対して軸方向にガタなく安定して固定されることとなり、ウォーム67とモータ軸134との同心度が得やすく、高精度で振動や騒音が低減できる。
ブラケット82は、ウォームホイール68を回転自在に支持する第一の支軸110、第二の減速歯車70を回転自在に支持する第二の支軸111、第三の減速歯車72を回転自在に支持する第三の支軸112が設けられる。第一の支軸110と第三の支軸112とは、ブラケット82を挟んで同心となるように、互いに反対側に凸となる形状である。
<タクトスイッチ固定>
図42に示すように、タクトスイッチ77は、ブラケット82に設けられたスイッチ基準面132(スイッチ支持部)と接するように、第一の爪109と第二の爪129で挟むようスナップフィットで固定される。第二の爪129は第二の爪支点130、131によって両端を支持された所謂両持ちの梁の一部を第一の爪109に対向して突出するよう設けられる。第二の爪129は両持ち梁に設けられているので、片持ち梁の場合と比べてより大きな反力を生じることができ、スナップフィットが確実で好適である。
さらに、第二のケース64の一部をタクトスイッチ77に近接するよう突出させたスイッチストッパ133となし、ブラケット構成部品105を第二のケース64に載置した際にはスイッチストッパ133は第二の爪129の変形を防止するよう配置することで、タクトスイッチ77を確実に固定できる。
なお、スナップフィットとは、接着剤等で接着することなく部材の組み合わせで固定する接合方式であり、主に弾性的に部材同士を係止するものである。
<スイッチレバー固定>
ブラケット82のタクトスイッチ77の近傍には、半円筒形状をなしたスイッチレバー75の揺動支点99が一体に構成されている。
図43に示すように、ブラケット82に設けられた揺動支点99の図示右側は、略半円形の断面をしておりスイッチレバー75の揺動中心76が載置される。揺動支点99の図示左側には段差127、128が設けられ、その段差127、128にスイッチレバー75に設けられた仮止め突起125、126が緩く嵌合する。この嵌合の程度は、ブラケット構成部品105として仮組みした状態でスイッチレバー75がブラケット82から外れない程度には噛み合っているものの、図19から図20に示すようなスイッチレバー75の揺動と図20に示すような揺動中心76の揺動支点99からの浮上りが可能な程度に隙間をもたせている。
ブラケット82のウォーム67に沿った面とウォーム軸受孔部106に直交した第一のケース62又は第二のケース64に向いた外側の面には、モータ66からの配線117を通す配線溝113が設けられている。さらに、配線溝113に配線117を仮止めするための配線ストッパ114が複数個所設けられる。タクトスイッチ77からの配線123は、タクトスイッチ77の接点に半田付けやかしめなどの手段により接続され、モータ66からの配線117とともにブラケット構成部品105の外部に引き出される。
配線溝113は、全周にわたって壁面を設けることで、モータ66からの配線117が回転部材であるウォーム67や減速歯車と接触することを防止でき、信頼性の高い自動製氷機が得られる。
ウォーム67とウォームホイール68の周囲のウォーム収納空間118は、ブラケット82と第二のケース64とによって全周が壁で囲われる構成である。これにより、ウォーム67に塗布された潤滑グリースがウォームの遠心力によって飛散することがなく、潤滑性が長期にわたって維持される構成となり好適である。
また、ブラケット82には、スイッチレバー75の揺動中心である揺動支点99の中心軸を通って第二のケース64側に凸となる形状の位置決めボス119を設けている。第二のケース64には、位置決めボス119と嵌合する凹部を設けることで、第二のケース64と揺動支点99とを精度よく位置合わせできるので好適である。
またさらに、揺動支点99と、円筒状ボス107(モータ66の位置決め部である)との略中間位置には、ネジボス120を設けている。ブラケット構成部品105と第二のケース64との間は、ネジボス120を介してネジで締結するようにしたので、スイッチレバー75の揺動支点99と駆動源であるモータ66の取り付けが強固である。
また、ブラケット82はタクトスイッチ77のスナップフィット部(第一の爪109と第二の爪129)と、スイッチレバー75の揺動支点99とを一体に構成しているので、タクトスイッチ77とスイッチレバー75との寸法精度が確保し易く、スイッチレバー75によるタクトスイッチ77のオン/オフが確実であり、信頼性の高い自動製氷機が得られる。
<仮組み状態>
図40と図41は、第一の歯車61を組み付ける際の組み立て途中状態を示す斜視図である。図40は、本発明の実施形態における自動製氷機22の組み立て途中の状態を示す斜視図であって、第一の歯車61と第一のケース62以外の部品が第二のケース64に組み込まれた状態を示している。ここで、第二のケース64の外形は一点鎖線で示している。
まず、第二のケース64にウォームホイール68を取り付け、図38及び図39に図示した、ブラケット構成部品105を第二のケースに取り付ける。その後、第二の減速歯車70、第三の減速歯車72をブラケット構成部品105に載置する。そして、図13及び図14に示すように、検氷軸50にねじりバネ96を装着した状態で、検氷軸50の回転軸95を第二のケース64から突出した検氷軸支持部115に嵌め込む。そして、カムフォロワ81を第二のケース64の揺動支点80に嵌合して、検氷軸50の一部である検氷回動突起92をカムフォロワ81の検氷駆動部93に載置する。ねじりバネ96の回転トルクによって検氷回動突起92はカムフォロワ81の検氷駆動部93に押し付けられ、カムフォロワ81の先端部91は第一の歯車61の回転中心から離れる方向、すなわち図40の図示右上方向に寄って、概ね第一の歯車61に設けられた第二のカム79の外周溝90の位置と合致する。この状態は第一の歯車61の有無を除けば、図16又は図29と同様である。
このとき、検氷軸50は最も回動した位置、すなわち氷不足の際に検氷レバー24が最大角度まで下降した位置となる。
次に、スイッチレバースプリング78をスイッチレバー75と第二のケース64の側壁との間に付勢しながら嵌め込む。さらに、阻止突起103を検氷軸50に設けられた阻止レバー98にひっかけると、スイッチレバー75はスイッチレバースプリング78の付勢力によって、図21又は図29に示したと同様にタクトスイッチ77と検氷軸50の阻止突起103とによって支持される形態となる。
以上説明したように、図40に示した組立途中の状態においては、図29に図示したと同様に、カムフォロワ81の先端部91は第一の歯車61に設けられた第二のカム79の外周溝90の位置と合致している。スイッチレバー75は、スイッチレバースプリング78の付勢力によってタクトスイッチ77と検氷軸50の阻止突起103とによって支持された状態である。
ここで、図40に示すよう第一の歯車61を図29に示したと同様な角度位置に保持したまま、上方から第二のケース64に設けられた第一の歯車61の回転支点である回転支軸65に向けて下降して取り付ける。
カムフォロワ81の先端部91は、第一の歯車61に設けられた第二のカム79の外周溝90の位置と合致しており、スムーズに嵌合する。スイッチレバー75はタクトスイッチ77と検氷軸50の阻止突起103とによって支持されており、第二の突起102は第一のカム74の凹部よりも浮いた状態なので、干渉することなく第一の歯車61はスムーズに嵌合する。第一の歯車61取り付け後、さらに第一のケース62を取り付けた後の状態を図41に示す。ここで、第一の歯車61には取り付け時の角度位置決めの目印となる位置決め凹部87を予め設けておき、その位置決め凹部87を第二のケース64の一辺64aに向けるように構成すれば、第一の歯車61を取り付ける際の位置決めが容易である。
ブラケット構成部品105から引き出された配線117、123は、第一のケース62と第二のケース64とに設けられた配線出口140から駆動ユニット23の外部に引き出される。
<圧縮バネ安定化>
上記説明したように、スイッチレバースプリング78はスイッチレバー75と第二のケース64との間に付勢して取り付ける構成なので、図40に示した組立途中の状態で両端を支持されて安定であり、第一のケース62を取り付ける以前に目視でその状態を確認でき、スイッチレバースプリング78が外れたり位置ずれしたりしたまま組み立てられることがない。
<スイッチオン確認>
またさらに、図41に示した組み立て途中の状態では、タクトスイッチ77はスイッチレバー75の第一の突起100に押されてオンの状態であり、第一のケース62を取り付ける以前の状態でタクトスイッチ77の通電を確認できるので、量産時の検査や必要に応じての部品交換が容易である。
次に、本発明に係わる自動製氷機と冷蔵庫の別の実施例について図46により説明する。図46は図5と同様に自動製氷機22の概要を示す斜視図であり、動作の原点である製氷時を実線で、氷の多少を判定する検氷動作時を破線で図示している。図5と異なるところは検氷動作時に製氷皿25のストッパ52と当接する検氷側突起141を設け、検氷動作の際の最大回動角度となる以前にスイッパ52が検氷側突起141に当接されて製氷皿25が捻られる構成としたことである。
検氷動作時の捻り角度は、図6に示した離氷動作時の捻り角度よりも小さくてよい。氷不足で離氷動作を行う直前には必ず検氷動作を行う。したがって離氷する際には製氷皿25を一端逆方向に捻った後に離氷動作を行うことになるので、氷53が製氷皿25の内壁から確実に剥がれやすく、離氷時の製氷室3内への氷落下が確実となる。
以上説明したように、本発明の実施形態における自動製氷機および自動製氷機を備えた冷蔵庫は、以下の効果を有する。
給水されて製氷する製氷皿と、この製氷皿の後方に配置されて製氷後にこの製氷皿を回転させることで下方に氷を落下させる駆動手段と、この駆動手段によって駆動して上方から下降させることで落下させた氷の量を検知する検氷レバーと、を備え、この製氷皿へ給水して製氷する製氷位置から、該製氷皿を回転させて氷を落下させる方向とは反対側に前記検氷レバーを配置する。これにより、検氷レバーは冷蔵庫本体の左側側面寄りに配置されるので、製氷室への冷気吹出し口は検氷レバーを回避する必要がなく、冷気吹出し口の面積を拡大できるとともに、風路の形状も屈曲する必要がないために送風抵抗が低く、製氷室の冷却性能を向上できる。
また、駆動手段は、第一のケースと第二のケースとで囲まれた空間に駆動源及び該駆動源にて回転駆動する減速歯車群を有し、この減速歯車群は、駆動手段によって回転する第一の減速歯車と、該第一の減速歯車によって回転する第二の減速歯車と、該第二の減速歯車によって回転する第三の減速歯車と、を有し、前記第一の減速歯車と前記第三の減速歯車は、それぞれの回転軸が同軸で該回転軸方向に重なるように配置する。これにより、減速段数を3段としても減速歯車の占める投影面積が拡大することなく2段減速と同等な寸法なので、自動製氷機のケースの小型化に適した構成となる。
また、第一の減速歯車(ウォームホイール)の回転軸は、第一のケース及び第二のケースで直接又は間接に両端が支持する。これにより、ウォームからの駆動力や軸方向負荷、および次段の減速歯車から受ける反力によりウォームホイールの支軸に生じる応力を小さくできるとともに、支軸の剛性を増加して軸精度を向上できる。
また、製氷皿から製氷室内に氷を落下させるために製氷皿を反転させてさらに捻りを加えた際に、ウォームにはモータの側に押し付ける向きの力がかかるように減速歯車を構成したので、ウォームがモータ軸に対してガタなく安定して支持されるので精度が良く、振動や騒音を抑制できる。
また、製氷皿の氷を落下させるか判断するためのオン又はオフの信号を発するタクトスイッチと、このタクトスイッチを押すスイッチレバーと、このタクトスイッチ及びスイッチレバーを収納する第一のケース及び第二のケースと、を備え、この第二のケースとスイッチレバーとの間に圧縮状態で配置されたスプリングを備え、第一のケースと第二のケースを組み立てる前の状態の場合、スイッチレバーはタクトスイッチを押した状態として、第一のケースと第二のケースを組み立てて製氷皿が製氷位置の状態の場合、スイッチレバーをタクトスイッチから離れた状態となるように、スプリングの弾性力がスイッチレバーに付与される。すなわち、製氷中にタクトスイッチをオン/オフするスイッチレバーは、コイルスプリングの付勢力で常時オフであり、第一の歯車に設けられたカムが作用した場合にのみコイルスプリングの付勢力で押してオンする構成として、コイルスプリングの一端はスイッチレバーに、他端は第二のケースに付勢される。これにより、第一のケースを取り付ける以前に、最終的に作用する位置に各構成部品がセットされるので、コイルスプリングが正しくスイッチレバーの所定の位置にセットされたか否かを容易に確認できる。
また、前記タクトスイッチはスナップフィットによって爪で挟まれて取り付けられ、かつスナップフィットされる爪は両端を支持された所謂両持ちの梁の一辺に設けられた突起としたので、片持ち梁の場合と比べてより安定して固定される。
また、駆動手段によって駆動する検氷軸と接続して、上方から下降させることで落下させた氷の量を検知する検氷レバーを備え、検氷軸の一端は検氷レバーを固定する検氷軸端部であって、検氷軸の他端は第二のケースに対して揺動自在に支持された回転軸であって、この回転軸の周囲にねじりバネを備え、該ねじりバネの一端は検氷軸と同期して回転して、該ねじりバネの他端は第二のケースに回転自在に支持されて、検氷軸に回転トルクを与える。また、製氷皿を回転させる第一の歯車に設けられた第二のカムと、この第二のカムに嵌合して第一の歯車の回転に従って揺動するカムフォロワと、検氷軸に設けられた検氷回動突起と、を備え、この検氷回動突起は回転トルクによってカムフォロワに押し付ける方向に付勢される。これにより、検氷軸をねじりバネによって回転トルクを与えて、摺動部をカム面に当接する構成となり、検氷軸にはねじりトルクのみが加わる構成である。よって、圧縮バネによる付勢力が検氷軸の回転支点やばね座に加わることがないので摩擦が少なく、さらに検氷軸が回転してもねじりバネから受ける力の掛かり方が変わらないので回動がスムーズとなる。
また、駆動手段の回転軸に設けられて該駆動手段から第一の減速歯車へ動力を伝達するウォームを備え、前記駆動手段及び前記ウォーム先端は一体の構成部品で支持する。さらに、ウォームの先端とケース内側との間に微小な隙間を設けて配置したので、ウォームの軸方向のガタが低減できる。これにより、ウォームの先端と駆動軸との同軸精度や位置精度を高めることができ、振動が少なく低騒音となる。
また、落下させた氷の量を検知する場合、製氷位置から該製氷皿を第一の方向に回転させて検氷レバーを下降させて、製氷皿から氷を落下させる場合、製氷位置から第一の方向とは反対の第二の方向に製氷皿を回転させる。これにより、検氷時には検氷方向に確実に氷の多少を判定できるまでの所定時間回動することができる。そのため、モータの回転速度が変動した場合でも氷の多少の判定が確実にできる。
また、駆動手段の電源をオンにした場合、製氷皿を第二の方向の回転限界位置まで回転させてから製氷位置に戻す。これにより、回転限界位置まで回転した際に第一の歯車とケースとの間に設けられたストッパ部に加わる力は、モータによる回転トルクから離氷のために製氷皿に加わるひねりトルクを減じた反力のみとなるため、ストッパ部に加わる応力を低減できる。
また、検氷動作の時に製氷皿を捻ることで製氷皿と氷とを予め剥がれやすくし、しかる後に離氷動作を行うことで製氷皿から氷を確実に落下させることができる。
なお、本実施例においては、冷蔵庫本体1を正面からみて左側に製氷室3がある構成について説明したが、右側に製氷室3がある構成については左右対称に配置して、吹出口3cを自動製氷機22の図示左側の冷蔵庫本体1の中央寄りに設け、製氷室3内の氷の多少を判定する検氷レバーは製氷室送風ダクトないし吹出口3cとは反対側の図示右側、すなわち冷蔵庫本体1の側壁側に配置することで、同様な効果が得られる。