JP2013053330A - 溶接部耐食性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接部の耐食性を兼ね備えた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】C :0.035%超0.055%以下、Si:0.2%以下、Mn:0.7%以下、P :0.03%以下、S :0.03%以下、Al:0.1%以下、N :0.01%以下、Ti:0.08%以上0.25%以下、B :0.0005%以上0.0040%以下を含有し、且つ、固溶B:0.0005%以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、面積率が95%超のフェライト相を含むマトリックスと、前記フェライト相のフェライト結晶粒内に平均粒子径が10nm未満のTi炭化物が微細析出し、該Ti炭化物の体積比が0.0015以上0.007以下である組織とを有し、引張強さが780MPa以上であり且つ溶接部の耐食性に優れた高強度熱延鋼板となる。
【選択図】 図1
Description
[1] 質量%で、
C :0.035%超0.055%以下、 Si:0.2%以下、
Mn:0.7%以下、 P :0.03%以下、
S :0.03%以下、 Al:0.1%以下、
N :0.01%以下、 Ti:0.08%以上0.25%以下、
B :0.0005%以上0.0040%以下
を含有し、且つ、固溶B:0.0005%以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、面積率が95%超のフェライト相を含むマトリックスと、前記フェライト相のフェライト結晶粒内に平均粒子径が10nm未満のTi炭化物が微細析出し、該Ti炭化物の体積比が0.0015以上0.007以下である組織とを有し、引張強さが780MPa以上であることを特徴とする、溶接部の耐食性に優れた高強度熱延鋼板。
前記鋼素材を、質量%で、
C :0.035%超0.055%以下、 Si:0.2%以下、
Mn:0.7%以下、 P :0.03%以下、
S :0.03%以下、 Al:0.1%以下、
N :0.01%以下、 Ti:0.08%以上0.25%以下、
B :0.0005%以上0.0040%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、
前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を850℃以上とし、前記冷却の平均冷却速度を150℃/s以下とし、前記巻取り温度を680℃超780℃以下とすることを特徴とする、溶接部の耐食性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
本発明の熱延鋼板は、実質的にフェライト単相組織とし、且つ、鋼板中のMn含有量およびSi含有量を低減化し、或いは更に、固溶Bをフェライト結晶粒界に偏析させ、かつ鋼板表面のフェライト粒径の下限値を規定することで、結晶粒界を介してのSi、Mnの拡散を抑制することができる。これにより、鋼板を溶接した場合における溶接熱影響部の化成処理性を改善し、溶接熱影響部の耐食性を向上させることができる。
本発明の熱延鋼板は、面積率が95%超のフェライト相を含むマトリックスと、前記フェライト相のフェライト結晶粒内に平均粒子径が10nm未満のTi炭化物が微細析出し、該Ti炭化物の体積比が0.0015以上0.007以下である組織を有する。また、前記フェライト相のフェライト結晶粒界に前記固溶Bの50%以上が偏析した組織を有することが好ましい。
本発明においては、熱延鋼板の溶接部耐食性を確保する上でフェライト相の形成が必須となる。熱延鋼板の溶接部耐食性の向上には、被溶接材である熱延鋼板のマトリックス組織を、転位密度の低い延性に優れたフェライト相とすることが有効である。
本発明において、熱延鋼板の伸びフランジ性に加えて溶接熱影響部の耐食性(化成処理性)を確保する上では、鋼板表面におけるフェライト結晶粒の平均粒径を1.5μm以上とすることが好ましい。
熱延鋼板に所望の強度(引張強さ:780MPa以上)を付与するうえではTi炭化物の平均粒子径が極めて重要であり、本発明においてはTi炭化物の平均粒子径を10nm未満とする。上記フェライト相の結晶粒内にTi炭化物が微細析出すると、Ti炭化物が、鋼板に変形が加わった際に生じる転位の移動に対する抵抗として作用することにより熱延鋼板が強化される。しかしながら、Ti炭化物の粗大化に伴いTi炭化物による析出強化能は低下し、Ti炭化物の平均粒子径が10nm以上になると、固溶強化元素であるMn、Si含有量の低減化に起因する鋼板強度の低下量を補うに十分な鋼板強化能が得られない。また、Ti炭化物の粗大化に伴い、鋼板の化成処理性が低下し、鋼板表面における化成皮膜の形成を阻害する。したがって、Ti炭化物の平均粒子径は10nm未満とする。より好ましくは6nm以下である。更に、鋼板の化成処理性の観点からは、Ti炭化物の平均粒子径を5nm以下とすることが好ましい。
熱延鋼板に所望の強度(引張強さ:780MPa以上)を付与するうえではTi炭化物の分散析出状態も極めて重要であり、本発明においては、上記フェライト相のフェライト結晶粒内に、平均粒子径が10nm未満のTi炭化物を、鋼板組織全体に対する体積比で0.0015以上0.007以下、すなわち、0.15%以上0.7%以下、となるように微細析出させる。上記体積比が0.0015未満では、たとえTi炭化物の平均粒子径が10nm未満であっても、析出物量が少ないため熱延鋼板に所望の強度(引張強さ:780MPa以上)を付与することができない。一方、上記体積比が0.007を超えると、C添加量が多くなり、パーライトやセメンタイトの生成が容易となり、溶接部耐食性が劣化する。したがって、上記体積比は0.0015以上0.007以下とする。好ましくは0.003以上0.006以下である。
C :0.035%超0.055%以下、
Cは、鋼板中でTi炭化物を形成し、熱延鋼板を強化する上で必須の元素である。C含有量が0.035%以下であると所望の体積比のTi炭化物を確保することができず、780MPa以上の引張強さが得られなくなる。一方、C含有量が0.055%を超えると、セメンタイトやパーライトが生成し易くなり、溶接部耐食性が劣化する。したがって、C含有量は0.035%超0.055%以下とする。好ましくは、0.04%以上0.05%以下である。
Siは、延性(伸び)低下をもたらすことなく鋼板強度を向上させる有効な元素として、通常、高強度鋼板に積極的に含有されている。しかしながら、Siは、本発明の熱延鋼板において回避すべき表面拡散を生じる元素である。Siは鋼板溶接時、溶接熱影響部表面に濃化し、溶接熱影響部における化成皮膜の形成を阻害する元素である。したがって、溶接熱影響部の化成処理性を改善する目的で、Si含有量を0.2%以下に限定する。好ましくは0.1%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。
Mnは、固溶強化元素であり、Siと同様、通常の高強度鋼板には積極的に含有されている。しかしながら、鋼板にMnを積極的に含有させると、Siと同様に鋼板溶接時、溶接熱影響部表面に濃化し、溶接熱影響部における化成皮膜の形成を阻害する元素でもある。したがって、本発明では、溶接熱影響部の化成処理性を改善する目的で、Mn含有量を0.7%以下に限定する。好ましくは0.5%未満であり、より好ましくは0.35%未満である。
Pは、鋼板の表面および粒界に偏析して化成処理性を劣化させる有害な元素である。したがって、P含有量は0.03%以下とする。好ましくは0.020%以下、さらに好ましくは0.010%以下である。
Sは、鋼中にMnSやTiSとして存在して化成処理においてむらの原因となり、溶接部耐食性を劣化させる。そのため、本発明ではSを極力低減することが好ましく、0.03%以下とする。好ましくは0.01%以下、さらに好ましくは0.004%以下である。
Alは、脱酸剤として作用する元素である。このような効果を得るためには0.01%以上含有することが望ましいが、Alが0.1%を超えると、鋼板中にAl酸化物として残存し、該Al酸化物が凝集粗大化し易くなり、溶接部の耐食性を劣化させる要因になる。したがって、Al含有量は0.1%以下とする。好ましくは0.065%以下である。
Nは、本発明においては有害な元素であり、極力低減することが好ましい。NはTiと結合してTiNを形成するが、N含有量が0.01%を超えると、形成されるTiN量が多くなることに起因して化成処理皮膜に欠陥が生じ易くなり、溶接部の耐食性を劣化させる。したがって、N含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.006%以下である。
Tiは、Ti炭化物を形成して鋼板の高強度化を図るうえで必要不可欠な元素である。また、Nと結合してTiNを形成することによりBNの析出を抑制し、後述の固溶Bを確保するうえで重要な元素でもある。Ti含有量が0.08%未満では、所望の熱延鋼板強度(引張強さ:780MPa以上)を確保することが困難となる。一方、Ti含有量が0.25%を超えると、Ti炭化物が粗大化する傾向が見られ、所望の熱延鋼板強度(引張強さ:780MPa以上)を確保することが困難となる。したがって、Ti含有量は0.08%以上0.25%以下とする。好ましくは0.15%以上0.20%以下である。
Bは、固溶状態で鋼板中に存在することにより、溶接熱影響部表面におけるSi、Mnの濃化を抑制する元素である。B含有量が0.0005%未満では、後述する所望の固溶B量を確保することができない。一方、B含有量が0.0040%を超えると、鋼に焼きが入り易くなり、鋼板のマトリックスを実質的にフェライト単相組織とすることが困難となる。また、B含有量が0.0040%を超えると、鋼板表面でBの酸化物が形成され易くなり、鋼板の化成処理性に悪影響を及ぼす。したがって、B含有量は0.0005%以上0.0040%以下とする。これにより、鋼板中のBは、ほぼ全量が固溶状態となる。好ましくは0.0010%以上0.0025%以下であり、より好ましくは0.0010%以上0.0020%以下である。
固溶Bは、溶接熱影響部の化成処理性を改善して溶接部耐食性の向上を図るうえで極めて重要である。溶接熱影響部の化成処理性に悪影響を及ぼすSi、Mnの濃化は、溶接時の加熱に伴い、Si、Mnが結晶粒界に沿って溶接熱影響部表面へ拡散することにより生じる。そこで、本発明では、Si、Mnの拡散パスとなるフェライト結晶粒界に固溶Bを偏析させることにより、Si、Mnの粒界拡散を阻止する。固溶Bが0.0005%未満では、フェライト結晶粒界での固溶Bの偏析が不十分となり、Si、Mnの溶接熱影響部表面への拡散を抑制することができず、溶接熱影響部における化成処理性の改善効果を期待することはできない。よって、溶接部の耐食性の観点から、固溶Bを0.0005%以上とすることが好ましい。但し、固溶Bの含有量が過剰になると、鋼板表面にBの酸化物が形成され易くなり、化成皮膜が生成し難くなるという問題を招来するため、固溶Bは0.0030%以下とすることが好ましい。
本発明は、鋼素材をオーステナイト単相域に加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延鋼板とする。この際、仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を850℃以上とし、巻き取りまでの平均冷却速度を150℃/s以下とし、巻取り温度を680℃超780℃以下とすることを特徴とする。なお、仕上げ圧延後の冷却では、100℃/s以下の平均冷却速度で冷却することが好ましい。
仕上げ圧延終了温度の適正化は、熱延鋼板のフェライト粒径を調整するうえで重要となる。仕上げ圧延終了温度が850℃未満であると、最終的に得られる熱延鋼板のフェライト粒が圧延方向に展伸し、板厚方向の粒界長さが短くなり、拡散パスが短いため溶接部の耐食性が劣化する。したがって、仕上げ圧延終了温度は850℃以上とする。好ましくは880℃以上である。なお、表面の二次スケールによる疵や荒れを防止するという観点からは、仕上げ圧延終了温度を1000℃以下とすることが好ましい。
溶接部耐食性の観点から鋼板表面におけるフェライト相の平均粒径を1.5μm以上とする場合には、上記仕上げ圧延の全圧下率を規定する必要がある。仕上げ圧延の全圧下率が95%超では、フェライト変態前のオーステナイトに転位が集積し、鋼板表面におけるフェライト相の平均粒径を1.5μm以上とすることが困難となる。また、仕上げ圧延の全圧下率が過剰に高くなると、展伸したフェライト粒が生成し易くなるとともに圧延安定性(板厚精度)が低下する問題などを招来する。したがって、本発明では、溶接部の耐食性向上を図る目的で、仕上げ圧延の全圧下率を95%以下とする。好ましくは90%以下である。但し、仕上げ圧延の全圧下率を極度に低めると、フェライト粒径の大きなものが発生し、いわゆる混粒組織の生成等の問題を招来するため、仕上げ圧延の全圧下率は75%以上とすることが好ましい。
先述のとおり、本発明においては、フェライト相のフェライト結晶粒界に固溶Bを偏析させて、溶接時のSi、Mnの拡散を抑制し、溶接部の耐食性を向上させる。仕上げ圧延から巻取り温度までの平均冷却速度を小さくすることは、固溶Bをフェライト結晶粒界に偏析させるうえでも重要となる。本発明では、Si、Mnの拡散パスとなるフェライト結晶粒界に固溶Bを偏析させることにより、Si、Mnの粒界拡散を阻止する。そのため、Si、Mnがフェライト粒界に拡散する前に固溶Bをフェライト粒界に偏析させることを要するが、仕上げ圧延終了後、850℃以上の仕上げ圧延終了温度から780℃までの温度域を急冷すると、固溶Bがフェライト粒界に十分に拡散できない。すなわち、上記温度域を急冷すると、Si、Mn粒界拡散の抑制効果が発現し難くなる。
巻取り温度の適正化は、固溶Bのフェライト粒界への偏析を更に促進するうえで重要である。巻取り温度が680℃以下であると、固溶Bのフェライト粒界偏析が十分ではなく、溶接部耐食性が優れたものとはならない。一方、巻取り温度が780℃を超えると、Si、Mnが鋼板表面に拡散して溶接部耐食性が劣化し易くなるとともに、パーライトも生じ易くなり、鋼板強度が低下する。したがって、巻取り温度は680℃超780℃以下とする。好ましくは、680℃超730℃以下である。また、前記フェライト相の結晶粒界に前記固溶Bの50%以上が偏析した組織とするうえでは、巻取り温度を680℃超とすることが好ましい。また、粗大なFe23(CB)6が析出すると耐食性が劣化し易くなることから、Fe23(CB)6の析出を抑制するために730℃以下の巻き取り温度とすることが好ましい。
表1、表2に示す組成の溶鋼を通常公知の手法により溶製、連続鋳造して肉厚260mmのスラブ(鋼素材)とした。これらのスラブを、表3に示す温度に加熱し、粗圧延し、表3に示す仕上げ圧延終了温度とする仕上げ圧延を施し、仕上げ圧延終了後、仕上げ圧延終了温度から780℃までの温度域を、表3の平均冷却速度で冷却し、表3に示す巻取り温度で巻き取り、板厚:2.6mmの熱延鋼板とした。なお、巻き取りまでの冷却中にオーステナイトからフェライトへの変態は生じていないことを、別途確認している。
得られた熱延鋼板から試験片を採取し、試験片の圧延方向と平行な断面(L断面)を研磨し、ナイタールで腐食した後、光学顕微鏡(倍率:400倍)および走査型電子顕微鏡(倍率:5000倍)にて撮影した組織写真を用い、画像解析装置によりフェライト相、フェライト相以外の組織の種類、および、それらの面積率を求めた。
Ti炭化物の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(倍率:340000倍)にて撮影した写真を用い、5視野合計で100個のTi炭化物について、その最大径d(ディスク上下面での最も大きい部分の直径)と、ディスク上下面に直交する方向におけるディスク状析出物の径(厚さ)tとを測定し、前記した算術平均値(平均粒径ddef)として求めた。
Ti炭化物の体積比は、AA系電解液(アセチルアセトンテトラメチルアンモニウムクロライドのエタノール溶液)を電解液として用い、抽出残渣分析によりTi炭化物の重量を求め、これをTi炭化物の密度で割ることによりTi炭化物の体積を求めた。なお、Ti炭化物の密度としては、TiCの密度を用いた。続いて、求めたTi炭化物の体積を、上記抽出残渣分析で溶解したマトリックスの体積で割ることにより算出した。
更に、フェライト粒界に偏析した固溶B量は、3次元アトムプローブ装置を用い、フェライト粒内に存在するBとフェライト粒界に存在するBを分け、それぞれの個数を数え、その数の割合を%で求めた。測定視野に粒界を含むようにし、粒界近傍の50nm角の体積を対象とした。粒界の厚さは、粒界の片側3原子層とした。
得られた熱延鋼板から、圧延方向に対して直角方向を引張方向とするJIS 5号引張試験片(JIS Z 2201)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行い、引張強さ(TS)、伸び (EL)を測定した。
(iii) 化成処理試験
得られた熱延鋼板を2枚に切断し、突き合わせてアーク溶接した。溶接条件は、溶接電圧20V、溶接電流200A、溶接速度1m/min、ガス流量20L/minのMAGアーク溶接とした。使用したガスは、CO2ガス20vol%を含むArガスとした。なお、溶接ワイヤーは市販のワイヤー((株)神戸製鋼所製、商品名:MG50)を用いた。得られた溶接継手から、溶接部を含む試験片(溶接線平行方向の長さ150mm、溶接線垂直方向の長さ70mm)を切り出し、この試験片をリン酸亜鉛系化成処理液(日本ペイント(株)製、商品名:サーフダインSD2500)に浸漬することにより試験片に化成皮膜を形成させた。溶接部から母材部の間の溶接熱影響部における化成皮膜付着量を蛍光X線により、溶接熱影響部における化成皮膜の外観を走査型電子顕微鏡(倍率:1500倍)により、溶接熱影響部における化成皮膜のP比(ホパイト(Zn3(PO4)2・4H2O)とホスホフィライト(Zn2Fe(PO4)2・4H2O)の量比)をX線回折によりそれぞれ求めた。
化成皮膜の外観については、化成皮膜表面を走査型電子顕微鏡(倍率:1500倍)により観察し、化成結晶が地鋼板に均一に付着していた場合を良好(○)、化成結晶が付着していない部分が認められたものや化成結晶が粗大なものが散在する場合を不良(×)として評価した。
以上の結果を、表4〜表6に示す。
Claims (10)
- 質量%で、
C :0.035%超0.055%以下、 Si:0.2%以下、
Mn:0.7%以下、 P :0.03%以下、
S :0.03%以下、 Al:0.1%以下、
N :0.01%以下、 Ti:0.08%以上0.25%以下、
B :0.0005%以上0.0040%以下
を含有し、且つ、固溶B:0.0005%以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、面積率が95%超のフェライト相を含むマトリックスと、前記フェライト相のフェライト結晶粒内に平均粒子径が10nm未満のTi炭化物が微細析出し、該Ti炭化物の体積比が0.0015以上0.007以下である組織とを有し、引張強さが780MPa以上であることを特徴とする、溶接部の耐食性に優れた高強度熱延鋼板。 - 鋼板表面におけるフェライト結晶粒の平均粒径が1.5μm以上であり、前記Ti炭化物の平均粒子径が5nm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の高強度熱延鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu、Ni、Sn、As、Sb、Ca、Mg、Cr、Pb、Co、Ta、W 、Mo、REM、Zn、Sr、Cs、Hfのいずれか1種以上を合計で1%以下含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の高強度熱延鋼板。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Zr:0.5%以下、Nb:0.4%以下、V :0.2%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度熱延鋼板。
- 前記フェライト相のフェライト結晶粒界に前記固溶Bの50%以上が偏析した組織を有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の高強度熱延鋼板。
- 鋼板表面にめっき層を有することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の高強度熱延鋼板。
- 鋼素材をオーステナイト単相域に加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延鋼板とするにあたり、
前記鋼素材を、質量%で、
C :0.035%超0.055%以下、 Si:0.2%以下、
Mn:0.7%以下、 P :0.03%以下、
S :0.03%以下、 Al:0.1%以下、
N :0.01%以下、 Ti:0.08%以上0.25%以下、
B :0.0005%以上0.0040%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、
前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を850℃以上とし、前記冷却の平均冷却速度を150℃/s以下とし、前記巻取り温度を680℃超780℃以下とすることを特徴とする、溶接部の耐食性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。 - 前記仕上げ圧延の全圧下率が95%以下であることを特徴とする、請求項7に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu、Ni、Sn、As、Sb、Ca、Mg、Cr、Pb、Co、Ta、W 、Mo、REM、Zn、Sr、Cs、Hfのいずれか1種以上を合計で1%以下含有することを特徴とする、請求項7または8に記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
- 前記組成に加えてさらに、質量%で、Zr:0.5%以下、Nb:0.4%以下、V :0.2%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項7ないし9のいずれかに記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
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