以下、本発明の実施形態に係るLED照明装置11について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るLED照明装置11を斜め下方から見た外観図である。
以下では、本発明の実施形態に係るLED照明装置11として、例えば、家屋の天井面に設置されるLEDシーリングライトを例示して説明する。LED照明装置11は、家屋の天井面に設けられる引掛ローゼットや引掛シーリングなどの屋内配線器具(不図示)に係合する取付アダプタ(不図示)を介することによって、外部電源に接続されると共に天井面の所定位置に固定されて利用に供される。
なお、以下の説明において、特に断らない限り、LED照明装置11が天井面に取り付けられた状態を基準として、床側(LED素子24の光放射方向)を“表面側”と呼び、天井側を“背面側”と呼ぶ。
略円形状のLED照明装置11は、図1に示すように、略円形状のセード13、および、センサユニット101を備える。セード13は、透光性(透明、半透明、または、乳白色を含む)を有する樹脂製(例えばアクリルやポリスチレンなど)の部品である。セード13は、光源から放射された光束を拡散させて、使用者がLED照明装置11を直視した際のまぶしさを軽減したり、LED照明装置11が設置された空間の明るさを均一化する役割を果たす。
セード13は、後記する放熱板21の裾野部21aに固定されたセード取付具29によって、吊り下げ状態で係合保持される。具体的には、例えば、セード13を周方向反時計回りに回転させることによって、セード13に突設した図示しない係合部が外れるようになっている。
なお、センサユニット101について、詳しくは後記する。
(本実施形態に係るLED照明装置11の内部構造)
次に、本実施形態に係るLED照明装置11の内部構造について、図2A,図2B,図3〜図8を参照して説明する。図2Aは、本実施形態に係るLED照明装置11を斜め下方から視た分解斜視図である。図2Bは、同LED照明装置11を斜め上方から視た分解斜視図である。図3Aは、同LED照明装置11からセード13を外した状態を表す図である。図3Bは、図3Aの3B−3B線に沿う縦断面図である。図4は、同LED照明装置11からカバー部材25を外した状態を表す図である。図5は、LED素子実装基板23の周辺を拡大して表す図である。図6は、同LED照明装置11からLED素子実装基板23を外した状態を表す図である。図7は、同LED照明装置11から放熱板21を外した状態を表す図である。図8は、透光性を有するカバー部材25の拡大図である。
本実施形態に係るLED照明装置11は、図2Aおよび図2Bに示すように、セード13の背面側に、天井側に近い部材から、本体ベース15、絶縁板17、点灯回路基板19、放熱板21、LED素子実装基板23、透光性を有するカバー部材25、および、セード取付具29を備えて構成されている。
本体ベース15は、図2A,図2Bおよび図3に示すように、例えば金属板などを略円形状に加工成形した部品である。本体ベース15の中央には、略円形状の孔である器具取付部14が設けられている。器具取付部14には、前記した取付アダプタが引掛け部(不図示)を介して係合固定される。この取付アダプタは、天井側の屋内配線器具に係合固定される。これにより、本体ベース15を含むLED照明装置11は、取付アダプタ、器具取付部14、および、屋内配線器具をそれぞれ介して、天井面の所定位置に固定されるようになっている。
器具取付部14の近傍には、不図示の給電接続部が設けられている。給電接続部は、不図示の電線を介して、取付アダプタと点灯回路基板19との間を電気的に接続している。これにより、LED照明装置11は、屋内配線器具、取付アダプタ、給電接続部、および、点灯回路基板19をそれぞれ介して、給電を受けるようになっている。
絶縁板17は、図2A、図2B、および図7に示すように、本体ベース15と、放熱板21との間に介在させて設けられている。本体ベース15および放熱板21は、いずれも金属製である。これに対し、絶縁板17は、電気絶縁性および難燃性を有する例えばポリプロピレンなどの樹脂材料を用いて成形されている。
点灯回路基板19は、図7に示すように、絶縁板17の外縁に突設された基板係止部17a,17bを介して絶縁板17に保持されている。絶縁板17は、本体ベース15にねじ止め固定されている。これにより、点灯回路基板19は、本体ベース15および放熱板21によって囲まれた放熱空間内に、電気絶縁性を維持した状態で係止固定されている。
点灯回路基板19上には、図2Aおよび図7に示すように、リモコン信号受信部20が設けられている。リモコン信号受信部20は、使用者によって操作されるリモコンユニット(不図示)から発せられる例えば赤外線を伝送媒体としたリモコン信号を、筒状に形成された導光部20aを介して受信する機能を有する。リモコン信号受信部20で受信したリモコン信号は、点灯回路基板19の制御部(不図示)に渡される。これを受けて点灯回路基板19の制御部は、受信したリモコン信号に応じたLED素子24の点灯制御を行うように構成されている。
放熱板21は、点灯回路基板19、および、複数のLED素子24が実装されたLED素子実装基板23を含む両基板を冷却する役割を果たす。これら両基板19,23は、その作動時に発熱する。一般に、半導体素子であるLED素子24は、熱に弱い性質がある。また、使用時には低電圧の大電流を流して高輝度発光を行うため、この発光に伴う発熱によってLED素子24それ自体や周囲の部材が劣化してゆく。かかる劣化を抑制して長寿命・高信頼性を実現するには、適切な放熱を行うことが求められる。
さて、点灯回路基板19およびLED素子実装基板23が発熱すると、本体ベース15および放熱板21によって囲まれた放熱空間の雰囲気温度は上昇する。このとき、放熱空間の容積が小さいと、そこに収容される空気の量は少なくなる。その結果、空気の接触による放熱効果が低下してしまうため、放熱空間の容積はできるだけ大きい方が好ましい。また、熱伝導性を良好に維持する観点から、放熱板21は、継ぎ目なく一体に成形されることが好ましい。
そこで、略円錐台形状の放熱板21は、図2A、図2B、および図6に示すように、例えば亜鉛メッキ鋼板などの熱伝導性の良好な金属を素材として用いて、その縦断面がハット形状となるように一体成形されている。具体的には、放熱板21は、図6に示すように、略ドーナツ形状の裾野部21aと、表面側(床側)へ突出する略円形状の台形平坦部21bとの間を、周回状の傾斜面よりなるテーパ部21cを介して接続する構成を採用している。裾野部21aは、本体ベース15に対するねじ止め固定部となる。また、裾野部21aは、セード取付具29などの取り付け部でもある。台形平坦部21bは、詳しくは後記するが、LED素子実装基板23の取り付け部となる部分である。こうした放熱板21は、金属製の薄板をプレス成形することによって製造される。
これにより、放熱空間の容積を大きくし(放熱空間の空気の量を多くし)、放熱板21と空気との接触面積を広くとることによって、前記両基板19,23の放熱効率の向上を図っている。その結果、LED素子24の発光効率が高く、かつ、放熱板21の絞り成形性が良好で生産性の優れたLED照明装置11を実現することができる。
LED素子実装基板23は、図4および図5に示すように、それぞれが共通の略扇形状の4枚のLED素子実装基板23a〜23dを含んで構成される。これら4枚のLED素子実装基板23a〜23dを、放熱板21の所定位置に取り付けた状態において、LED素子実装基板23は、図4に示すように、全体として略ドーナツ形状を形成するようになっている。
具体的には、LED素子実装基板23は、図4および図5に示すように、点灯回路基板19に不図示の電線を介して接続される第1および第2の電源接続部31,33を有する第1の基板23aと、これら第1および第2の電源接続部31,33を有しない3枚の第2〜第4の基板23b〜23dとからなる。第1の電源接続部31は、照明光源として作動するLED素子24への電源供給に用い、第2の電源接続部33は、保安灯として作動するLED素子35への電源供給に用いる。
なお、第1および第2の電源接続部31,33に接続される各配線は、放熱板21に開設された配線孔37を通して、点灯回路基板19に接続される。また、各々のLED素子実装基板23a〜23d同士は、コネクタおよび電線の組み合わせからなる第3の電源接続部39をそれぞれ介して電気的に接続されている。
LED素子実装基板23には、複数の照明光源用のLED素子24および保安灯用のLED素子35が半田付けにより実装されている。これらのLED素子24,35は、作動時に光を放射すると共に発熱し、それら自体の温度が上昇する。LED素子24,35は、温度が高くなるにしたがって、その発光効率が低下してゆく。また、寿命も短くなってゆく。このため、温度上昇に見合った適切な放熱手段を別途設ける必要がある。
そこで、LED素子実装基板23としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の平板に絶縁層および銅箔パターンなどを形成したものや、熱伝導性の良好な樹脂(例えばポリイミド樹脂など)製の平板上に銅箔パターンおよびソルダーレジストなどを形成したものを用いるのがよい。要するに、LED素子実装基板23は、LED素子24の端子(不図示)や、LED素子24をLED素子実装基板23に対して密着させる目的でLED素子24の背面側に設けられる放熱パッド(不図示)などを介した熱伝導を受けて、複数のLED素子24の発光により生じた熱を、速やかに伝熱および放熱するようになっている。
このように構成されたLED素子実装基板23は、詳しくは後記するように、縦断面がハット形状である放熱板21の台形平坦部21bに密着状態を維持して取り付けられる。したがって、本実施形態によれば、LED素子実装基板23および放熱板21に関する伝熱および放熱に係る作用効果が相乗的に機能することによって、複数のLED素子24の発光により生じた熱を速やかに冷ますことができる。
また、本実施形態に係るLED素子実装基板23では、LED照明装置11の中央部付近まで面積を広げてLED素子24を配置する構成を採用することができる。このように構成すれば、LED照明装置11の中央部から周縁部に至るまで、その明るさを均一にすることができる。
カバー部材25は、複数のLED素子24より発せれた光束を表面側(床側)へ導く機能、複数のLED素子24に係る給電線への接触を物理的に妨げる機能、および、LED素子実装基板23を放熱板21に対して密着させるように押し付ける機能を有している。
こうした諸機能を実現するために、カバー部材25は、例えばポリカーボネートやアクリル、ポリスチレンなどの、透光性および電気絶縁性を有する樹脂を用いて一体成形される。この樹脂を用いた一体成形と、ドーム形状部26などの凹凸形状とが相まって、カバー部材25の剛性を確保すると共に、放熱板21に対するLED素子実装基板23の密着性を向上するようにしている。
カバー部材25には、図3A、および図8に示すように、複数のドーム形状部26、第1および第2の電源接続部を覆う4つの第1の電源接続部カバー部27、第3の電源接続部を覆う4つの第2の電源接続部カバー部28、および、放熱板21に形成された受光孔20bを覆う4つの受光孔カバー部25bがそれぞれ一体に形成されている。
カバー部材25は、図3Aに示すように、放熱板21における台形平坦部21bの大きさと比べてわずかに小さいサイズに設定されている。本実施形態に係るカバー部材25の寸法を例示すると、外径寸法:395mm、樹脂の肉厚:1.5mm、ドーム形状部26の高さ寸法:12mmである。
略ドーナツ形状のカバー部材25に形成された前記各部27,28,25bのそれぞれは、図3A、および図8に示すように、カバー部材25の中心に対して点対称に配置されている。カバー部材25の形状を、略ドーナツ形状に代えて、正偶数角形状に構成してもよい。本実施形態では、4通りあるカバー部材25の取付位置のいずれもが正当な取付位置となる。このため、4通りあるカバー部材25の取付位置さえ考慮すれば、それ以上の余計な配慮を要することなしに、放熱板21における台形平坦部21bに対してカバー部材25を取り付け固定することができる。その結果、前記取り付け固定に係る作業時間を大幅に短縮するとともに、カバー部材25の取付位置を誤ることによる工程時間の損失を未然に回避することができる。
また、カバー部材25の前記各部27,28,25bをカバー部材25の中心に対して点対称に配置する構成を採用したので、カバー部材25の成形加工時における歪みを少なくすることができると共に、生産性の向上に寄与することができる。
また、放熱板21とカバー部材25との間にLED素子実装基板23を介在させて放熱板21に対してカバー部材25をねじ止め固定する構成を採用したので、放熱板21に対するLED素子実装基板23の密着性が高くなり、放熱性を向上することができる。このため、発光面の密度が均一で、かつ、LED素子24の発光効率に優れたLED照明装置11を実現することができる。
さらに、カバー部材25に対する適正な位置にLED素子24の配置を矯正すると共に、LED素子実装基板23の反りや変形を軽減するといった効果もある。
第1および第2の電源接続部カバー部27,28は、それぞれの電源接続部31,33,39を覆うように、矩形状に形成されている。受光孔カバー部25b、および、複数のドーム形状部26について、詳しくは後記する。
カバー部材25は、図3Aに示すように、受光孔20b(図3B参照)、複数のLED素子24,35、第1および第2の電源接続部31,33、並びに、第3の電源接続部39を一体に覆った状態で、放熱板21における台形平坦部21bに対してねじ止め固定されている。このねじ止め固定によって、LED素子実装基板23は、放熱板21に対して強く押し付けられる。これにより、放熱板21における台形平坦部21bに対してLED素子実装基板23を密着させて、放熱性を向上するようにしている。
本実施形態では、図3Bに示すように、カバー部材25の外周側に位置する受光孔カバー部25bのそれぞれには、背面側(天井側)へ突出した円筒状の嵌合突出部25cが、カバー部材25の周方向にそれぞれ等しい間隔を置いて4つ形成されている。
なお、受光孔カバー部25bの構成としては、嵌合突出部25cの数を、1〜3のうちいずれかだけ設けてもよい。また、嵌合突出部25cを設けることなく、単なる平面として構成してもよい。さらに、受光孔カバー部25bの形状を例えば半球形状などのレンズ状に構成することにより、赤外線リモコン信号を積極的に集めるようにしたり、または、受光孔カバー部25bに係る表面に、例えばシボ加工を施して同表面での赤外線リモコン信号の反射を抑えるなどの、受信性能を向上させるための任意の構成を採用してもよい。
一方、放熱板21における台形平坦部21bの外周側には、図6に示すように、4つの円形状の受光孔20bが、周方向にそれぞれ等しい間隔を置いて開設されている。放熱板21に対してカバー部材25を正しい位置に置いた状態において、4つの嵌合突出部25cは、図3Aに示すように、放熱板21における台形平坦部21bに開設された4つの受光孔20bのそれぞれにちょうど嵌り合うようになっている。要するに、嵌合突出部25cは、放熱板21における台形平坦部21bに対するカバー部材25の周回方向の取り付け可能位置を所定の数(本実施形態では4つであり、好ましくは偶数)に規制する機能を有している。
リモコン信号受信部20の導光部20aに係る表面側(床側)の先端部は、図3Bに示すように、放熱板21に形成された4つの受光孔20bのうちいずれかひとつを望むように位置している。具体的には、リモコン信号受信部20の導光部20aに係る表面側(床側)の先端部は、図3Bに示すように、カバー部材25の嵌合突出部25cに嵌り合うようになっている。したがって、リモコンユニットから発せられる赤外線リモコン信号は、セード13、カバー部材25の受光孔カバー部25b、受光孔20b、および、導光部20aをそれぞれ通過して、リモコン信号受信部20へと到達するようになっている。
受光孔20bは、図5に示すように、LED素子実装基板23を放熱板21上の所定位置に載置した場合に、隣り合うLED素子実装基板23の外周端部に形成される略C字形状の切り欠き部23a1,23d1によって露出した放熱板21上の位置に設けられている。詳しく述べると、受光孔20bは、図3Bに示すように、LED素子24の発光面に対し、LED素子24の高さとLED素子実装基板23の厚さの和だけ背面側(天井側)に後退した放熱板21上の面に開口している。
換言すれば、受光孔20bは、LED素子24から発せられる光束の放射領域(例えば、LED素子24の中心から鉛直方向に放射線を描いた場合、この放射線に対して60度傾いた周回領域)の外に位置している。したがって、リモコン信号受信部20は、LED素子24からの光束の影響(いわゆる混信)を受けることのない良好な環境下においてリモコン信号を正常に受信することができる。
なお、受光孔20bの配置については、前記した切り欠き部23a1,23d1の位置以外の、LED素子実装基板23上の任意の位置に設けてもよい。ただし、LED素子実装基板23上に実装されるLED素子24の配置位置に係る自由度を確保する観点からは、前記した切り欠き部23a1,23d1の位置に設けるのが好ましい。また、例えば、放熱板21におけるテーパ部21cに受光孔20bを設定することができる。この場合、テーパ部21cに設けた受光孔20bを覆うためのカバー部材を、別途設ければよい。
(カバー部材25周辺の具体的構成に係る実施例および変形例について)
次に、カバー部材25周辺の具体的構成に係る実施例および変形例について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図9Aは、セードを外した状態のLED照明装置11のうち、第1実施例に係るカバー部材25Aを下方から視た外観図である。図9B(a)は、図9Aの9B−9B線に沿うLED照明装置11の断面図、図9B(b)は、図9B(a)の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。また、図12Aは、第1実施例に係るドーム形状部26a内に、一対のLED素子24a,24bを収容した状態を表す図である。
図9Aに示す第1実施例に係るカバー部材25Aに形成されるドーム形状部26aでは、図9B(a)および図9B(b)、並びに、図12Aに示すように、一対のLED素子24の組を、ひとつの第1実施例に係るドーム形状部26a内に収容している。前記一対のLED素子24の組のうち、例えば、一方は白色系統の光束を放射する白色系統LED素子24aであり、他方は暖色系統の光束を放射する暖色系統LED素子24bである。これらのLED素子24a,24bとしては、例えば、青色の光束を放射する青色LEDと黄色の蛍光体とを組み合わせることによって、青色発光と黄色発光とが合成されて白色光や暖色光(例えばオレンジ色など)を放射するものなどを適宜採用すればよい。
第1実施例に係る複数のドーム形状部26aは、図9Aに示すように、同心円を複数(図9Aに示す例では三重)描くように設けられている。第1実施例に係る複数のドーム形状部26aのサイズは、保安灯用のLED35を覆うものを除き、すべて共通サイズに設定されている。また、共通の同心円グループに属して相互に隣接する前記ふたつのLED素子24の組同士は、図9B(a)および図9B(b)に示すように、各組の重心CGを基準として、相互に均等の間隔を置いて配設されている。さらに、第1実施例に係る複数のドーム形状部26aのうち、外側の同心円に属するドーム形状部26aの数は、内周側の同心円に属するドーム形状部26aの数と比べて多く設定されている。これにより、LED照明装置11の内周側および外周側間における明るさを均一にすることができる。
ここで、一対のLED素子24(24a,24b)の組の重心と、ドーム形状部26aの中心軸とを一致させた状態で、第1実施例に係るドーム形状部26a内に一対のLED素子24の組を収容する場合、個々のLED素子24間の中心間距離は、ドーム形状部26aの径方向サイズに対してじゅうぶんに小さいことが好ましい。一対のLED素子24のそれぞれから発せられる光束の配光特性を良好に維持することができるからである。しかし、ドーム形状部26aの径方向サイズの制約や、各組同士の間隔(重心間距離)を狭くすると放熱性が低下するといった現実的な制約がある。そこで、こうした制約条件を踏まえて、ドーム形状部26aの径方向サイズ、個々のLED素子24間の中心間距離、および、各組のLED素子24同士の間隔(重心間距離)を適宜設定するようにする。
なお、第1実施例に係るドーム形状部26aにおいて、一対のLED素子24の発光色を異ならせると共に、相互に離して配した一対のLED素子24の組の重心とドーム形状部26aの中心軸とを一致させた状態で、第1実施例に係るドーム形状部26a内に一対のLED素子24の組を収容する構成を採用した場合、一対のLED素子24の各々は、ドーム形状部26aの中心軸からそれぞれ離れて位置しているため、前記異なる色の混色効果を高めることができる。
第1実施例に係るドーム形状部26aに収容されるLED素子の数は、ふたつに限定されない。3つ、または、3つを超える任意の数のLED素子24を、ドーム形状部26aおよびLED素子24に係るサイズの制約が許す限りにおいて、第1実施例に係るドーム形状部26a内に収容してもよい。ただし、複数のLED素子24間の中心間距離(間隔)が近すぎると、複数のLED素子24の各々は、相互に熱の影響を強く受ける。図12Bは、第1実施例に係るドーム形状部26a内に、直線状に整列した三つのLED素子24c,24d,24eを収容した状態を表す図である。
図12Bに示すように、第1実施例に係るドーム形状部26a内に、三つのLED素子24c,24d,24eを直線状に等しい間隔を置いて配設した場合、これらLED素子24c,24d,24eの重心CGは、中央に位置するLED素子24dの中心(重心)に一致する。
そこで、共通の同心円グループに属して相互に隣接する前記三つのLED素子24c,24d,24eの組同士をLED素子実装基板23上に配設するに際しては、各組の重心CG(中央に位置するLED素子24dの中心)間の距離が、相互に均等となることを考慮すればよい。その他の技術的事項については、第1実施例に係るドーム形状部26a内に一対のLED素子24の組を収容した場合と同じである。
図12Cは、第1実施例に係るドーム形状部26a内に、正三角形の頂点部分にそれぞれ位置付けた三つのLED素子24c,24d,24eを収容した状態を表す図である。図12Cに示すように、三つのLED素子24c,24d,24eを正三角形の頂点部分にそれぞれ位置付けて設けた場合、これらLED素子24c,24d,24eの重心CGは、前記正三角形の重心に一致する。また、LED素子24c,24d,24eの重心CGと、そのLED素子24c,24d,24eを収容するドーム形状部26aの中心軸とは、ぴったりと重なるように設定される。
そこで、共通の同心円グループに属して相互に隣接する前記三つのLED素子24c,24d,24eの組同士をLED素子実装基板23上に配設するに際しては、各組の重心(中央に位置するLED素子24dの中心)を、これら三つのLED素子24c,24d,24eの組を収容するドーム形状部26aの中心軸と一致させると共に、各組の重心間の距離が、相互に均等となるように配慮する。その他の技術的事項については、第1実施例に係るドーム形状部26a内に一対のLED素子24の組を収容した場合と同じである。
このように、正三角形の頂点部分にそれぞれ三つのLED素子24c,24d,24eを位置付けて第1実施例に係るドーム形状部26a内に収容した場合、三つのLED素子24c,24d,24eを直線状に位置付けて第1実施例に係るドーム形状部26a内に収容した場合と比べて、第1実施例に係るドーム形状部26aの径方向サイズを小さく設定することができる。
また、正三角形の頂点部分にそれぞれ配された三つのLED素子24c,24d,24eの発光色を二色または三色に異ならせると共に、三つのLED素子24c,24d,24eの組の重心と、ドーム形状部26aの中心軸とを一致させた状態で、第1実施例に係るドーム形状部26a内に、三つのLED素子24c,24d,24eの組を収容する構成を採用した場合、三つのLED素子24c,24d,24eの各々は、ドーム形状部26aの中心軸からそれぞれ離れて位置しているため、前記異なる色の混色効果を高めることができる。このことは、次に述べる正多角形の頂点部分にそれぞれLED素子24を配する構成を採用した場合であっても同様である。
なお、3つを超える任意の数のLED素子を組として、第1実施例に係るドーム形状部26a内に収容する場合も、前記と同様の考え方を適用することができる。すなわち、3つを超える任意の数のLED素子24を組として、LED素子実装基板23上に配設するに際しては、次の手順に従えばよい。すなわち、まず、それぞれのLED素子24を、その素子数と同じ正多角形の頂点部分にそれぞれ位置付ける。次に、その正多角形の重心と、ドーム形状部26の中心軸とを一致させる。
このように構成すれば、3つを超える任意の数のLED素子24を組として、第1実施例に係るドーム形状部26a内に収容することができる。また、共通の同心円グループに属して相互に隣接する前記三つのLED素子24c,24d,24eの組同士をLED素子実装基板23上に配設するに際しても、各組の重心間の距離が、相互に均等となることを考慮しさえすればよい。
図10Aは、セードを外した状態のLED照明装置11のうち、第2実施例に係るカバー部材25Bを下方から視た外観図である。図10B(a)は、図10Aの10B−10B線に沿うLED照明装置11の断面図、図10B(b)は、図10B(a)の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。また、図12Dは、第2実施例に係るドーム形状部26b内に、ひとつのLED素子24を収容した状態を表す図である。
図10Aに示す第2実施例に係るカバー部材25Bに形成されるドーム形状部26bでは、図10B(a)および図10B(b)、並びに、図12Dに示すように、ひとつのLED素子24を、ひとつのドーム形状部26b内に収容している。第2実施例に係るドーム形状部26bのサイズは、第1実施例に係るドーム形状部26aのサイズと比べて小さい、すべて共通のサイズに設定されている。ただし、第1実施例および第2実施例間におけるLED素子24の数は同じ(異なっていてもよい)である。第2実施例に係るドーム形状部26bに収容されるLED素子24としては、例えば、白色系統LED素子、暖色系統LED素子、これらの組み合わせ、または、前記とは異なる色のLED素子のなかから、適宜のものを採用すればよい。
第2実施例に係る複数のドーム形状部26bは、図10Aに示し、かつ、第1実施例と同様に、同心円を複数(図10Aに示す例では三重)描くように設けられている。第2実施例に係る複数のドーム形状部26bのサイズは、すべて共通サイズに設定されている。また、共通の同心円グループに属して隣接するひとつのLED素子24同士は、図10B(a)および図10B(b)に示すように、各LED素子24の重心CGを基準として、相互に均等の間隔を置いて配設されている。この場合、各LED素子24の重心CGと、そのLED素子24を収容するドーム形状部26bの中心軸とは、ぴったりと重なるように設定される。
さらに、第2実施例に係る複数のドーム形状部26aのうち、外側の同心円に属するドーム形状部26aの数は、内周側の同心円に属するドーム形状部26aの数と比べて多く設定されている。これにより、LED照明装置11の内周側および外周側間における明るさを均一にすることができる。
図11Aは、セードを外した状態のLED照明装置11のうち、第3実施例に係るカバー部材25Cを下方から視た外観図である。図11B(a)は、図11Aの11B−11B線に沿うLED照明装置11の断面図、図11B(b)は、図11B(a)の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。また、図12Eは、第3実施例に係るドーム形状部26c内に、一対のLED素子24a,24bを収容した状態を表す図である。
図11Aに示す第3実施例に係るカバー部材25Cに形成されるドーム形状部26cでは、図11B(a)および図11B(b)、並びに、図12Eに示すように、一対のLED素子24a,24bを、ひとつのドーム形状部26c内に収容している。第3実施例に係るドーム形状部26cは、LED素子実装基板23と接する基端部が楕円形状となるドーム形状に形成されている。第3実施例に係るドーム形状部26cのサイズは、第1実施例に係るドーム形状部26aのサイズと比べて長手方向に大きいサイズに設定されている。また、第3実施例に係るLED素子24の数は、第1実施例に係るそれと同じである(異なっていてもよい)。第3実施例に係るドーム形状部26cに収容される一対のLED素子24a,24bとしては、例えば、白色系統LED素子、暖色系統LED素子、これらの組み合わせ、または、前記とは異なる色のLED素子のなかから、適宜のものをそれぞれ採用すればよい。
第3実施例に係る複数のドーム形状部26cは、図11Aに示し、かつ、第1実施例と同様に、同心円を複数(図11Aに示す例では三重)描くように設けられている。第3実施例に係る複数のドーム形状部26cのサイズは、図11Aに示すように、すべて共通サイズに設定されている。また、共通の同心円グループに属して隣接する一対のLED素子24a,24bに係る組同士は、図11B(a)および図11B(b)、並びに、図12Eに示すように、各組の重心CGを基準として、相互に均等の間隔を置いて配設されている。この場合、各組の重心CGと、その組に係るLED素子24a,24bを収容するドーム形状部26cの中心軸とは、ぴったりと重なるように設定される。
さらに、第3実施例に係る複数のドーム形状部26cのうち、外側の同心円に属するドーム形状部26cの数は、内周側の同心円に属するドーム形状部26cの数と比べて多く設定されている。これにより、LED照明装置11の内周側および外周側間における明るさを均一にすることができる。
図12Fは、第3実施例に係るドーム形状部26c内に、直線状に整列した三つのLED素子24c,24d,24eを収容した状態を表す図である。
図12Fに示すように、第3実施例に係るドーム形状部26c内に、三つのLED素子24c,24d,24eを直線状に等しい間隔を置いて配設した場合、これらLED素子24c,24d,24eの重心CGは、中央に位置するLED素子24dの中心(重心)およびドーム形状部26cの中心軸に一致する。
そこで、共通の同心円グループに属して相互に隣接する前記三つのLED素子24c,24d,24eの組同士をLED素子実装基板23上に配設するに際しては、各組の重心CG(中央に位置するLED素子24dの中心)間の距離が、相互に均等となることを考慮すればよい。その他の技術的事項については、第1実施例に係るドーム形状部26a内に、直線状に整列した三つのLED素子24c,24d,24eを収容した場合と同じである。
第3実施例に係るドーム形状部26c内に、三つのLED素子24c,24d,24eを直線状に等しい間隔を置いて配設する例において、楕円形状の基端部が長手方向に長尺の場合、例えば、中心から偏った一側に設けられたLED素子24cが放射する光束の、他側のドーム壁部へ入射する角度θiが大きくなる。そのため、出射角度θoが臨界角θcを超えて全反射するようになり、光束の取り出し効率が低下してしまう。
なお、入射角度θi、出射角度θo、および臨界角θcについて、詳しくは後記する。
そこで、光束の取り出し効率低下を未然に回避するために、前記した第3実施例では、楕円形状の基端部の長手方向長さを短く設定する、複数のLED素子24の中心間距離を短く設定する、ドーム壁部の径を大きく設定するなどの考慮を適宜行えばよい。
(LED素子24から放射される光束の進行を妨げる要因について)
次に、LED素子24から放射される光束の進行を妨げる要因について、図13Aおよび図13Bを参照して説明する。図13Aは、隣接するドーム形状部26同士の基端部が重ならない別個のドーム形状部26に、一対のLED素子をそれぞれ独立して収容した状態を表す説明図である。図13Bは、図13Aに表す状態において、一対のLED素子24から放射される光束の進行状態を表す説明図である。
一対のLED素子24は、図13Aおよび図13Bに示すように、ドーム形状部26の中心軸と、一対のLED素子24の重心とが略一致するように配されて、ドーム形状部26内に収容されている。LED素子24は、その特性に従う所定の放射角α(光束線LL1とLL2がなす角度であり、例えば120度などの角度)をもって光束を放射する。LED素子24から放射された光束は、図13Aおよび図13Bに示すように、放射角αだけ拡散しながらドーム形状部26のドーム壁部26wへとそれぞれ入射する。
ここで、ドーム形状部26のドーム壁部26wは、樹脂で成形されている。このため、空気の屈折率(約1程度)よりも大きい所定の屈折率を有する。そのため、LED素子24から放射された光束が、ドーム壁部26wの法線NL1(図13B参照)に対するある入射角度θi(図13B参照)をもってドーム壁部26wの内側界面へと入射した場合、その光束がドーム壁部26wの外側界面から出射する際の出射角度θo(図13B参照)は、ある臨界角θcをもつ。
臨界角θcとは、ドーム形状部26のドーム壁部26wと空気との外側界面から光束が出射できるか否かを決するしきい値となる光束の出射角度θoである。臨界角θcは、ドーム壁部26wに係る樹脂の種類によって異なる。例えば、ポリカーボネートで約1.59程度、アクリルで約1.49程度の屈折率をもつ。ここで挙げた例では、臨界角θcは、およそ39度〜42度程度となる。
さて、隣接するドーム形状部26同士が干渉している場合(隣接するドーム形状部26同士がくっついていて、各ドーム壁部26w同士の重なりが生じている場合)は、図13Aに示すように、ドーム形状部26同士が干渉する部分(隣接するドーム形状部26における各ドーム壁部26w同士の重なりが生じている半円状の部分)の外縁26otが、各々のLED素子24の放射角αの外側(光束の放射領域外)に位置していることが好ましい。LED素子24から放射される光束の進行を妨げることがないからである。
図14Aは、隣接するドーム形状部26同士の基端部の重なり部分を切り欠いて内部で連通させたドーム形状部26に、都合4つのLED素子24を収容した状態を表す説明図である。図14Bは、図14Aに表す状態において、一対のLED素子から放射される光束の進行状態を表す説明図である。
図14Aおよび図14Bに示す例では、隣接するドーム形状部26同士が干渉する部分の外縁26otが、各々のLED素子24の放射角αの内側(光束の放射領域内)に位置している。この場合、LED素子24から放射された光束が、隣接するドーム形状部26同士の干渉形状部分を超えて、隣接するドーム形状部26に大きな角度で入射する。このため、光束の出射角度θo(図14Bの、法線NL2と光束線LL2とのなす角度を参照)が臨界角θcを越えて、ドーム壁部26wの外側界面において光束が全反射する(ドーム壁部26wの外側へ光束が出てこない)。その結果、光束の取出し効率が低下するものと考えられる。
(第4実施例〜第7実施例に係るドーム形状部26d〜26gの構成について)
次に、ドーム壁部26wの肉厚を均一とした第4実施例に係るドーム形状部26dの構成について、図15Aを参照して説明する。図15Aは、ドーム壁部26wの肉厚を均一とした第4実施例に係るドーム形状部26dを表す説明図である。第4実施例に係るドーム形状部26d内には、ひとつのLED素子24が、ドーム形状部26dの中心軸とLED素子24の中心軸とを一致させた状態で収容されている。第4実施例に係るドーム形状部26dでは、図15Aに示すように、ドーム壁部26wにおける頂点部付近の肉厚tVが、赤道部付近の肉厚tEと等しくなるように(tV=tE)、ドーム壁部26wの肉厚は均一に設定されている。
要するに、第4実施例に係るドーム形状部26dでは、図15Aに示すように、ドーム壁部26wにおける内側界面の曲率半径Riの中心点と、外側界面の曲率半径Roの中心点とが一致している。
第4実施例に係るドーム形状部26dでは、図15Aに示すように、LED素子24から放射された光束は、ドーム形状部26dにおけるドーム壁部26wの内側界面に対して略法線方向から入射する。このため、出射角度θoは、臨界角θc(およそ39度〜42度程度)と比べてじゅうぶんに小さな値(例えば、10度以下など)となる。その結果、第4実施例に係るドーム形状部26dにおけるドーム壁部26wの外側界面での全反射による光束の取り出し効率の低下を未然に回避することができる。
なお、第4実施例に係るドーム形状部26dにおいて、ドーム壁部26wの内側には、空気層がある。このため、LED素子24から放射された光束は、その屈折率が約1程度と小さい空気層から、空気層と比べて大きい屈折率を有するドーム壁部26wへと進む。その結果、LED素子24から放射された光束を、ドーム壁部26wの内側面で全反射させることなく、ドーム壁部26wの外側へと効率よく導くことができる。ただし、ドーム形状部26d内に、窒素ガスなどの気体や、適当な樹脂を充填してもよい。また、ドーム形状部26d内の空間を真空にしてもよい。
したがって、第4実施例によれば、LED素子24から放射された光束の取り出し効率を高い水準に維持することができる。
図15Bは、ドーム壁部26wの肉厚を不均一とした第5実施例に係るドーム形状部26eを表す説明図である。第5実施例に係るドーム形状部26e内には、第4実施例と同様に、ひとつのLED素子24が、ドーム形状部26eの中心軸とLED素子24の中心軸とを一致させた状態で収容されている。第5実施例に係るドーム形状部26eでは、図15Bに示すように、ドーム壁部26wの頂点部付近の肉厚tVが、赤道部付近の肉厚tEと比べて薄くなるように(tV<tE)、ドーム壁部26wの肉厚は不均一に設定されている。
要するに、第5実施例に係るドーム形状部26eでは、図15Bに示すように、ドーム形状部26eにおけるドーム壁部26wの内側界面の曲率半径Riの中心点と、外側界面の曲率半径Roの中心点とが相互にずらしてある。
第5実施例に係るドーム形状部26eでは、LED素子24から放射された光束のドーム形状部26eにおけるドーム壁部26wの外側界面への入射角θoは、標準の第4実施例と比べて大きくなる。このため、LED素子24から放射された光束の放射領域を、より広範囲に広げることができる。
なお、第5実施例では、出射角度θoが臨界角θcよりも小さくなることを考慮して、ドーム壁部26wの内側界面の曲率半径Riおよび外側界面の曲率半径Roを設計すればよい。
第5実施例によれば、ドーム壁部26wの肉厚として、ドーム壁部26wの頂点部付近では薄く、赤道部に近づくにしたがって徐々に厚くなる構成を採用したので、第4実施例の前記作用効果に加えて、広い配光角性能を発揮するLED照明装置11を実現することができる。
図15Cは、ドーム壁部26wの肉厚を不均一とした第6実施例に係るドーム形状部26fを表す説明図である。第6実施例に係るドーム形状部26f内には、第4および第5実施例と同様に、ひとつのLED素子24が、ドーム形状部26fの中心軸とLED素子24の中心軸とを一致させた状態で収容されている。第6実施例に係るドーム形状部26fでは、図15Cに示すように、ドーム壁部26wの頂点部付近の肉厚tVが、赤道部付近の肉厚tEと比べて厚くなるように(tV>tE)、ドーム壁部26wの肉厚は不均一に設定されている。
要するに、第6実施例に係るドーム形状部26fでは、図15Cに示すように、ドーム形状部26fにおけるドーム壁部26wの内側界面の曲率半径Riの中心点と、外側界面の曲率半径Roの中心点とが相互にずらしてある。
第6実施例に係るドーム形状部26fでは、LED素子24から放射された光束のドーム形状部26fにおけるドーム壁部26wの外側界面への入射角θoは、標準の第4実施例と比べて小さくなる。このため、LED素子24から放射された光束の放射領域を、第5実施例とは逆に、より狭い範囲に集めることができる。
第6実施例によれば、ドーム壁部26wの肉厚として、ドーム壁部26wの頂点部付近では厚く、赤道部に近づくにしたがって徐々に薄くなる構成を採用したので、第4実施例の前記作用効果に加えて、狭い配光角性能を発揮するLED照明装置11を実現することができる。
図15Dは、ドーム壁部26wの肉厚を不均一とした第7実施例に係るドーム形状部26gを表す説明図である。第7実施例に係るドーム形状部26g内には、第4〜第6実施例と同様に、ひとつのLED素子24が、ドーム形状部26fの中心軸とLED素子24の中心軸とを一致させた状態で収容されている。第7実施例に係るドーム形状部26gでは、図15Dに示すように、ドーム壁部26wの頂点部付近の肉厚tVが、赤道部付近の肉厚tEと比べて薄くなるように(tV<tE)、ドーム壁部26wの肉厚は不均一に設定されている。具体的には、第7実施例に係るドーム形状部26gでは、図15Dに示すように、ドーム壁部26wの内周側面を半球形状に形成する一方、ドーム壁部26wの外周側面を、放物面あるいは楕円の回転体で作られる面の一部などの3次曲面として形成している。
要するに、第7実施例に係るドーム形状部26gでは、図15Dに示すように、ドーム形状部26gにおけるドーム壁部26wの内側界面の曲率半径Riの中心点と、外側界面の曲率半径Roの中心点とが相互にずらしてある。
第7実施例に係るドーム形状部26gでは、ドーム壁部26wの頂点付近の肉厚tVと赤道部付近の肉厚tEとの関係を適宜調整することにより、第5または第6実施例と同様に、光束の拡散または集光を適切に制御することができる。第7実施例に係るドーム形状部26gの構成は、第5または第6実施例で説明した通り、ドーム形状部26の内側界面の曲率半径Riの中心と、外側界面の曲率半径Roの中心とをずらすことと同じだからである。
また、前記とは逆に、ドーム壁部26wの内周側面を、放物面あるいは楕円の回転体で作られる面の一部などの3次曲面として形成する一方、ドーム壁部26wの外周側面を半球形状に形成してもよい。この場合においても、光束の拡散または集光を適切に制御することができる。
第7実施例によれば、ドーム形状部26におけるドーム壁部26wの肉厚を適宜変化させる構成を採用することにより、第4実施例の前記作用効果に加えて、ドーム壁部26wの外側界面への出射角θoを制御して、LED照明装置11の目的に応じた配光特性を得ることができる。
(保安灯用のLED素子35から発せられた光束のセード投影像の見え方改善について)
次に、保安灯用のLED素子35から発せられた光束のセード投影像の見え方改善について、図16,図17A,図17Bを参照して説明する。図16は、LED素子実装基板23に実装された保安灯用のLED素子35の周辺を拡大して表す図である。図17Aは、図16の17−17線で示す矢視断面図であり、保安灯用のLED素子35に係るセード投影像の見え方を改善するための第8実施例に係る構成を表す図である。図17Bは、図16の17−17線で示す矢視断面図であり、保安灯用のLED素子35に係るセード投影像の見え方を改善するための第9実施例に係る構成を表す図である。
LED素子実装基板23に実装された保安灯用のLED素子35は、図16および図17Aに示すように、保安灯LED素子用ドーム形状部35aに収容されている。保安灯LED素子用ドーム形状部35aは、光源用のLED素子24を収容するドーム形状部26と同様に、カバー部材25に一体形成されている。保安灯LED素子用ドーム形状部35aは、ドーム形状部26と比べて、その径方向サイズが小さく設定されている。
保安灯LED素子用ドーム形状部35aは、図16および図17Aに示すように、このドーム形状部35aと比べて径方向サイズの大きい、ドーム形状部26に囲まれている。そのため、何らの改善案も施さないと、保安灯用のLED35から発せられた光束のセード投影像には、保安灯LED素子用ドーム形状部35aの周囲に存するドーム形状部26の頂点部付近が影として写り込む。その結果、保安灯用のLED35から発せられた光束のセード投影像は、ゆがんだ円形状となり、利用者からの見え方が悪いという問題があった。
そこで、保安灯LED素子用ドーム形状部35aは、図17Aに示すように、そのドーム壁部35a1の内周側面における下部の周囲にわたり、遮光性を付与する第8実施例に係る構成を採用した。前記内周側面における下部の位置を決定するに当たっては、保安灯用のLED35から発せられた光束のセード投影像に、周囲のドーム形状部26の頂点部付近が影として写り込まないことを考慮する。
遮光性を付与する手段としては、例えば、前記内周側面における下部の該当位置に、濃色(例えば、黒、または、灰色など)の塗料を塗るか、濃色のシート部材を貼り込むか、濃色の樹脂(例えば、白色の樹脂に濃色の塗料を混ぜ込んだものを含む)により一体または別体に形成するなどによって、遮光部35b(図17A参照)を形成すればよい。
なお、保安灯LED素子用ドーム形状部35aは、図17Bに示すように、そのドーム壁部35a1の内周側面に代えて、外周側面における下部の周囲にわたり、遮光性を付与する第9実施例に係る構成を採用してよい。遮光性を付与する手段としては、第8実施例と同様に、前記外周側面における下部の該当位置に、遮光部35c(図17B参照)を形成すればよい。
第8および第9実施例によれば、図17Aおよび図17Bに示すように、保安灯用のLED35から発せられた光束は、遮光部35b,35cによって遮られる。その結果、保安灯用のLED35から発せられた光束のセード投影像に、周囲のドーム形状部26の頂点部付近が影として写り込むことはなくなる。
したがって、第8および第9実施例によれば、保安灯用のLED35から発せられた光束のセード投影像をきれいな円形状にすることができる結果、利用者からの見え方を改善することができる。
(LED素子実装基板23の放熱板21への取付手順)
次に、LED素子実装基板23の放熱板21への取付手順について、図18A,図18B,図19A,図19Bを参照して説明する。図18A,図18B,図19A,図19Bは、放熱板21の台形平坦部21bに対してLED素子実装基板23を取り付ける際の手順を表す説明図である。
なお、本実施形態では、基板案内部51は、一対の基板案内部をそれぞれ組として、都合4組だけ用いられている。これら4組の基板案内部51a,51b,51c,51dを個別に参照して説明を行う場合は、枝番号付きの個別符号を用いる一方、全体としての基板案内部を参照して説明を行う場合は、枝番号のない総称符号“51”を用いることとする。
LED素子実装基板23は、図3Aに示すように、放熱板21の台形平坦部21bとカバー部材25との間に位置させた状態で、放熱板21の台形平坦部21bに対してカバー部材25を複数のねじで締結することによって本固定される。この本固定の前に、それぞれのLED素子実装基板23a〜23dは、1つ(複数でもよい)のねじ53(図18B,図19B参照)を用いて、放熱板21の台形平坦部21bに直接仮止めされる。この仮止め作業手順は次の通りである。
なお、以下の仮止め作業手順は、4枚のLED素子実装基板23a〜23dについて共通である。そこで、LED素子実装基板23aに係る仮止め作業手順を代表的に説明することにより、それ以外の個々のLED素子実装基板23b〜23dに係る仮止め作業手順の説明に代えることとする。
まず、放熱板21の台形平坦部21bに複数設けた基板案内部51の位置を目安として、台形平坦部21b上にLED素子実装基板23aを載置する(図19A参照)。
基板案内部51は、LED素子実装基板23を、台形平坦部21b上の所定の取り付け位置に案内する役割を果たす部材である。複数の基板案内部51は、LED素子実装基板23が台形平坦部21b上の所定の取り付け位置にすべて存する状態で、LED素子実装基板23の略扇形に係る一対の直線状辺縁部23a1,23a2に沿う台形平坦部21b上の位置に、それぞれ一対ずつ設けられている。
基板案内部51は、隣接するLED素子実装基板23の相互に対面する直線状辺縁部間のすき間に、ぴったりと嵌り合うように設けられている。これにより、基板案内部51は、隣接するLED素子実装基板23の相互に対面する直線状辺縁部の両方に接して、隣接する前記両LED素子実装基板23の間隔を規制する役割を果たす。
なお、基板案内部51の設け方について、詳しくは後記する。
次に、放熱板21の台形平坦部21b上に載置したLED素子実装基板23を、図19Aの矢印55で示す方向へ寄せるようにゆっくりとずらしてゆく。すると、図19Bに示すように、LED素子実装基板23aの一方の直線状辺縁部23a1は、一対の基板案内部51a1,51a2に案内されつつぴったりと接触して動きをとめる。これと同時に、LED素子実装基板23aの他方の直線状辺縁部23a2も、図19Bに示すように、一対の基板案内部51b1,51b2に案内されつつぴったりと接触して動きをとめる。こうしてLED素子実装基板23aの動きがとまった段階で、同基板23aの台形平坦部21bに対する位置決めが完了する。
ここで、一対の基板案内部51a1,51a2は、図19Bに示すように、LED素子実装基板23aが台形平坦部21b上の所定の取り付け位置に存する状態で、LED素子実装基板23aの略扇形に係る一対の直線状辺縁部23a1,23a2に沿う台形平坦部21b上の位置に、それぞれ設けられている。したがって、LED素子実装基板23aの動きがとまるとは、同基板23aの台形平坦部21bに対する位置決めの完了を意味することがわかる。
次に、台形平坦部21b上の所定の取り付け位置に位置決められたLED素子実装基板23aを、ねじ53を用いて台形平坦部21bに仮止めする。この仮止めは、LED素子実装基板23aのほぼ中央付近に設けられたねじ挿通孔23a3にねじ53を挿通して、台形平坦部21b側に設けられた不図示のねじ固定部にねじ53を締結することによって行われる。
前記の仮止め作業が、4枚のLED素子実装基板23a〜23dについて完了すると、隣接するLED素子実装基板23同士を第3の電源接続部39を介して接続すると共に、第1および第2の電源接続部31,33を点灯回路基板19に接続する作業を行う。その後、LED素子実装基板23を、放熱板21の台形平坦部21bに、カバー部材25と共に複数のねじを用いて本固定する。
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、放熱板21の台形平坦部21bは、LED素子実装基板23を所定の取り付け位置に案内する基板案内部51を有し、基板案内部51は、LED素子実装基板23が放熱板21の台形平坦部21b上の所定の取り付け位置に存する状態で、LED素子実装基板23の略扇形に係る一対の直線状辺縁部23a1,23a2に沿う放熱板21の台形平坦部21b上の位置に設けられている構成を採用したので、放熱板21の台形平坦部21bに対するLED素子実装基板23の取り付け作業を簡易に行うことができる。
また、本発明の実施形態によれば、LED素子実装基板23を、本固定の前に仮止め固定する構成を採用したので、例えば、第1〜第3の電源接続部31,33,39の配線接続作業中に、配線材の剛性等に起因してLED素子実装基板23の位置がずれる事態をなくすことができる。
したがって、本発明の実施形態によれば、放熱板21の台形平坦部21bに、カバー部材25と共にLED素子実装基板23をねじ止め固定する作業を円滑に行うことができる結果として、生産性を格段に向上させることができる。
(第10〜第13実施例に係る基板案内部51s〜51v)
次に、第10〜第13実施例に係る基板案内部51s〜51vについて、図20A〜図20Dを参照して説明する。図20A〜図20Dは、第10〜第13実施例に係る基板案内部51s〜51vをそれぞれ表す説明図である。
第10実施例に係る基板案内部51sは、図20Aに示すように、放熱板21の台形平坦部21bにおける所定の位置に対し、略台形状の雄型を用いて押し出し加工を行うことによって台形状に成形される。
第10実施例に係る基板案内部51sの高さ方向寸法hは、LED素子実装基板23の厚みと同等か、またはそれ以下に設定される。これにより、LED素子実装基板23を覆うように取り付けられるカバー部材25の背面と干渉しないようにしている。ただし、カバー部材25の背面のうち該当部分に、第1実施例に係る基板案内部51sとの干渉から逃げる凹部(不図示)を設ければ、前記した基板案内部51sの高さ方向寸法hに係る設定は不要となる。
第11実施例に係る基板案内部51tは、図20Bに示すように、放熱板21の台形平坦部21bにおける所定の位置に対し、略円筒形状の雄型を用いて押し出し加工を行うことによってアーチ状に成形される。
第11実施例に係る基板案内部51tの高さ方向寸法hに係る設定については、第10実施例と同じである。また、カバー部材25の背面のうち該当部分に、第11実施例に係る基板案内部51tとの干渉から逃げる凹部を設ければ、基板案内部51tの高さ方向寸法hに係る設定が不要となる点も、第10実施例と同じである。
第12実施例に係る基板案内部51uは、図20Cに示すように、放熱板21の台形平坦部21bにおける所定の位置に対し、略矩形状の雄型を用いて切り起こし加工を行うことによって矩形状に成形される。
第12実施例に係る基板案内部51uの高さ方向寸法hに係る設定については、第10実施例と同じである。また、カバー部材25の背面のうち該当部分に、第12実施例に係る基板案内部51uとの干渉から逃げる凹部を設ければ、基板案内部51uの高さ方向寸法hに係る設定が不要となる点も、第10実施例と同じである。
第13実施例に係る基板案内部51vは、図20Dに示すように、放熱板21の台形平坦部21bにおける所定の位置に対し、略矩形状の雄型を用いて切り起こし加工を行った後、切り起こし片の先端側を直角に折り曲げる加工を行うことによって成形される。
第13実施例に係る基板案内部51vは、図20Dに示すように、台形平坦部21bから垂直に立ち上がる起立部51v1と、起立部51v1から水平方向に延びる折り曲げ部51v2とを有して構成される。第13実施例に係る基板案内部51vは、これを側方から視ると、倒立したL字形状に形成されている。台形平坦部21bの一般面と、折り曲げ部51v2における前記一般面と対面する側の面との間の距離は、LED素子実装基板23の厚さと比べてわずかに大きく設定されている。
第13実施例に係る基板案内部51vの高さ方向寸法hに係る設定については、第10実施例と同じである。また、カバー部材25の背面のうち該当部分に、第13実施例に係る基板案内部51vとの干渉から逃げる凹部を設ければ、基板案内部51vの高さ方向寸法hに係る設定が不要となる点も、第10実施例と同じである。
(第10〜第13実施例に係る基板案内部51s〜51vの作用効果)
第10〜第13実施例によれば、LED素子実装基板23を、台形平坦部21b上の所定の取り付け位置に案内する基板案内部51s〜51vを、簡素な加工手順をもって形成することができる。
また、第10〜第13実施例によれば、台形平坦部21bからの起立部(不図示)における基端部にR形状が現れる絞り加工によって基板案内部51を形成する場合と比較して、R形状部分へのLED素子実装基板23の乗り上がりを生じることなく、より正確なLED素子実装基板23の位置決めを行うことができる。
特に、第13実施例によれば、図20Dに示すように、折り曲げ部51v2によって、LED素子実装基板23の直線状辺縁部23a1の浮き上がりを抑えることができるため、LED素子実装基板23と放熱板21の台形平坦部21bとの密着性を向上することができる。その結果、LED素子実装基板23の放熱性を向上させ、ひいては、LED素子24の発光効率に優れたLED照明装置11を実現することができる。
[その他の実施形態]
以上説明した複数の実施形態は、本発明の具現化例を示したものである。したがって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならない。本発明はその要旨またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形態で実施することができるからである。
例えば、本実施形態の説明において、LED素子実装基板23は、それぞれが共通の略扇形状の4枚のLED素子実装基板23a〜23dを含んで構成される例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明に係るLED素子実装基板23の分割数は、3以上の任意の数に適宜設定することができる。この場合、本発明に係る基板案内部51の数は、本発明に係るLED素子実装基板23の分割数に応じて適宜変更すればよい。
また、本実施形態の説明において、基板案内部51は、LED素子実装基板23が台形平坦部21b上の所定の取り付け位置にすべて存する状態で、LED素子実装基板23の略扇形に係る一対の直線状辺縁部に沿う台形平坦部21b上の位置に、それぞれ一対ずつ設けられる例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明に係る基板案内部51は、LED素子実装基板23の略扇形に係る一対の直線状辺縁部に沿う台形平坦部21b上の位置に、それぞれひとつずつ設けてもよいし、前記一対の直線状辺縁部のうち、一方にひとつ、他方に複数設けてもよい。
また、本実施形態の説明において、本発明に係るLED照明装置11の適用例として、LEDシーリングライトを例示して説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明に係るLED照明装置11の適用例としては、例えば、シャンデリア、ペンダントライト、ブラケットライト、バスルームライト、キッチンライトなどとして用いてもよい。
また、本実施形態の説明において、本発明に係る基板案内部51を、放熱板21の台形平坦部21bにおける所定の位置に対し、押し出し加工または切り起こし加工などを行って形成する例をあげて説明したが、本発明はこの例に限定されない。本発明は、放熱板21の台形平坦部21bにおける所定の位置に対し、台形平坦部21bとは別物の基板案内部51を設ける構成を採用してもよい。この場合における基板案内部51の設置箇所は、押し出し加工または切り起こし加工に係る基板案内部51と同じである。
次に、本実施形態に係るセンサユニット101について図21ないし図27を参照して詳述する。
このセンサユニット101は、例えば、LED照明装置11(照明装置)が設置された環境(空間)の明るさに応じてLED素子24への供給電力を変化させ、LED照明装置11下で一定の照度が得られるようにする機能を提供するため、LED照明装置11下の照度を検知するためのものである。なお、以下では、LED照明装置11からセンサユニット101を除いた部分を照明器具本体200(図21,図23,図24参照)と称して説明する。
図21に示すように、センサユニット101は、センサケース110、センサ基板120、センサカバー130、LEDカバー140、遮光シート150などで構成され、照明器具本体200に取り付けられるように構成されている。
センサケース110は、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂やポリプロピレン(polypropylene)樹脂などの不透明な材料で成形された、上ケース111と下ケース112とで略クランク状となるように構成されている。なお、センサケース110は、例えば、照明器具本体200のセード13(図1など参照)に一般に適用されている半透明または乳白色と違和感が生じないように、白色や薄い灰色に形成することが好ましい。また、センサケース110を構成する板厚は、照明器具本体200からの光が透過する程度に薄く形成されており、軽量化が図られている。
上ケース111は、照明器具本体200に固定される略矩形状の基部111aと、この基部111aに対して下方に傾斜して延びる略矩形状の傾斜部111bと、この傾斜部111bに対して外側に延びる略矩形状のセンサ収容部111cとで構成されている。
下ケース112は、下側(図示しない床面側)に位置し、上ケース111に対応して組み合わされるように、基部112aと傾斜部112bとセンサ収容部112cとで構成されている。なお、センサ収容部112cは、基部112aおよび傾斜部112bよりも凹部が深く形成されている。
これら上ケース111と下ケース112とが組み付けられ、周縁部において嵌合することで、内部に中空部Rが形成されたセンサケース110が構成される。
上ケース111の基部111aには、センサユニット101を照明器具本体200に取り付けるための取付用のねじ113が挿通されるねじ挿入部111dが形成されている。このねじ挿入部111dは、ねじ113を取り付けたときに基部111aの表面からねじ113の頭部が突出しないように凹み形状となっている。また、基部111aの側面部には、照明器具本体200の本体ベース15(第2部材)に向けて突出する連通部111eが基部111aと一体に形成されている。また、傾斜部111bには、ねじ114が挿通されるねじ挿通部111fが形成されている。
下ケース112の基部112aには、ねじ113が挿通され、前記ねじ挿入部111dと嵌合するねじ挿通部112dが形成されている。また、基部112aの側面部には、前記連通部111eと対応する位置に連通部112eが一体に形成されている。また、傾斜部112bには、ねじ114が螺合されるねじボス112fが形成されている。
なお、本実施形態では、連通部111eと連通部112eとが組み合わされることにより口出し部115(筒部)が構成されている。この口出し部115の中空部を介して、センサケース110の内部(中空部R:図25参照)と外部とが連通するようになっている。
また、下ケース112のセンサ収容部112cには、底面に照度センサ121(センサ)が臨む大径の検出用孔112gと、照度センサ121によって自動調光機能が作動中であることを示す作動表示用のLED122(作動表示用素子)が臨む作動表示用孔112hが並んで形成されている。
照度センサ121およびLED122は、センサ基板120上(図21において破線で示す部分)に実装されている。なお、照度センサ121は、例えば、フォトダイオードなどの受光素子で構成され、受光素子に入射した光を電流に変換して明るさ(照度)を検知するものである。LED122は、緑、赤、青など各色の素子を適用することができ、後記する遮光シート150の色などに応じて適宜選択することができる。
このように、センサ基板120上には、検出用孔112gに対向する位置に照度センサ121が位置し、作動表示用孔112hに対向する位置にLED122が位置している。また、センサ基板120には、照明器具本体200側の点灯回路基板19(図2A参照)と電気的に接続するためのコネクタ部123が設けられている。
また、検出用孔112gは、センサ収容部112c内の幅方向の端側に位置し、作動表示用孔112hは、幅方向の中央寄りに位置している。なお、幅方向とは、LED照明装置11の径方向に対して直交する方向である。
また、センサ収容部112c内には、検出用孔112gと作動表示用孔112hとの間に、LED122の光が、照度センサ121側に漏れないようにするための遮光リブ112iが形成されている。この遮光リブ112iは、センサ収容部112c内を完全に区画するように板状に形成され、遮光リブ112iの上縁部112jがセンサ収容部112cの開口縁部よりも上方に突出して形成されている。つまり、遮光リブ112iは、上ケース111と下ケース112とを組み付けたときに、遮光リブ112iの上端部分が前記センサ収容部111c内に入り込み、センサ基板120の天井面に当接するようになっている。よって、LED122の光が、センサ基板120と遮光リブ112iとの間から照度センサ121側に漏れるのを確実に防止できる。これにより、LED照明装置11下の照度をより精度よく検知することができる。
また、センサ収容部112c内には、センサ基板120を支持する一対の基板受けリブ112k(逆側は図示省略)、112m,112mが形成されている。なお、基板受けリブ112k、112mは、その個数や形状は特に限定されるものではなく適宜変更することができる。
センサカバー130は、例えば、透光性を有する材料で形成され、略矩形状のベース部131と、照度センサ121と対向する位置において前記ベース部131から検出用孔112gに向けて突出する円筒部132と、センサ基板120に係止される鉤状の爪部133と、を有している。
LEDカバー140は、センサカバー130と同様に、透光性を有する材料で形成され、略矩形状のベース部141と、LED122と対向する位置において前記ベース部141から作動表示用孔112hに向けて突出する円筒部142と、相互に対向しセンサ基板120を係止する一対の鉤状の爪部143,143と、を有している。
なお、センサカバー130の検出用孔112gが位置する円筒部132、およびLEDカバー140の作動表示用孔112hが位置する円筒部142には、例えばショットブラスト加工やシボ加工を施して、照度センサ121側から見た照度センサ121の検知範囲の明るさを平均化して作動の感度を調整したり、LED122の見え方を調整したりするようにしてもよい。
このように構成されたセンサユニット101では、センサ基板120を、照度センサ121およびLED122を下向きにした状態で、図21の矢印の方向からLEDカバー140の爪部143,143に係止させ、そしてセンサカバー130の爪部133に係止させる。そして、センサカバー130とLEDカバー140が係止された状態のセンサ基板120をセンサ収容部112c内に収容する際に、コネクタ部123を、基板受けリブ112m,112mと、この基板受けリブ112m,112mに近接して設けられたリブ112n,112nとの間に挿入することで、センサ基板120がセンサ収容部112c内に位置ずれすることなく収容される。
また、センサ基板120のコネクタ部123には、前記点灯回路基板19と接続するためのケーブル124(配線、図23参照)の一端に設けられたコネクタ部(不図示)と接続される。またこのとき、ケーブル124は、下ケース112内に複数突設された配線案内ピン112pに保持される。よって、ケーブル124は、センサケース110内の中空部R、口出し部115を介して前記点灯回路基板19と接続されるように構成されている。
なお、図示していないが、上ケース111のセンサ収容部111c内には、センサ基板120の裏面(上面)を押し当てるための押圧部が形成されている。この押圧部により、上ケース111と下ケース112との組み込み時に、センサ基板120がセンサケース110内においてガタツキなく保持されるようになっている。
また、上ケース111と下ケース112とは、ねじ114をねじ挿通部111fに挿通し、ねじボス112fにねじ込むことで互いに固定される。また、組み付けられたセンサユニット101に対して、ねじ113をねじ挿入部111dから挿入し、ねじ挿通部112dに挿通して、照明器具本体200側の放熱板21(第1部材)に形成されたねじ孔21sにねじ込むことで、センサユニット101が照明器具本体200に固定される。また、このとき、センサユニット101の口出し部115が本体ベース15に形成された開口部15aに挿入される。なお、開口部15aは、口出し部115の外形よりも大きな開口面積を有するように形成され、口出し部115の両側部と上部とが開口部15aに当接するように構成されている(図27参照)。
遮光シート150は、照明器具本体200からの光がセンサケース110の壁を通してセンサケース110内に漏れるのを防止するものであり、検出用孔112gおよび作動表示用孔112hが形成されたセンサ収容部112cの外面(床面側の面)に貼着される。なお、本実施形態では、照明器具本体200からの光の影響を受け易い前記外面(床面側の面)のみに遮光シート150を設けることで、照度センサ121の検出精度が低下するのを防止できるが、照明器具本体200からのセンサケース110内への光の漏れ具合に応じて、センサ収容部112cの底面(前記外面)だけではなく、前記底面と略直交する側面に遮光シートを貼着してもよい。
また、遮光シート150は、例えば、ポリエステルフィルムなどに裏面印刷(単色または多色)を施して遮光層を形成することができる。また、単なる印刷に限定されるものではなく、外観の意匠性が向上するように各種デザイン(模様、文字、記号、図形など)を盛り込むような印刷を行ってもよい。このように各種のデザインを施したとしても、単なる印刷と印刷の点で変わりがないため、同等の遮光性を得ることができる。
図22に示すように、遮光シート150には、略楕円形状の開口孔151が形成され、この開口孔151から検出用孔112gおよび作動表示用孔112hが露出するように構成されている。なお、開口孔151の形状は、本実施形態に限定されるものではなく、検出用孔112gおよび作動表示用孔112hの開口縁部に沿う円形の貫通孔をそれぞれ形成して、それぞれの貫通孔から検出用孔112g、作動表示用孔112hが露出するようにしてもよい。
下ケース112の基部112aには、ねじ挿通部112dの幅方向の両側に、長手方向に沿って延びる一対の突条部112q,112q(突部)が形成されている。この突条部112qの長さの詳細については後記する。
上ケース111には、本体ベース15(図21参照)に向けて突出する第1リブ111r、第2リブ111s,111sが形成されている。また、下ケース112には、本体ベース15に向けて突出する第3リブ112s,112sが形成されている。
第1リブ111rは、口出し部115の基端から先端に向けて突出し、縁部110aが本体ベース15の傾斜曲面部15c(図21参照)に沿う形状となるように中央部が凹むように湾曲して形成されている。第2リブ111sは、第1リブ111rの両端部に形成され、第1リブ111rに対して直交する面を有している。第3リブ112sは、第2リブ111sと連続する面となるように構成されている。
図23に示すように、第1リブ111rは、上ケース111の上面と面一になるように突出して形成され、その一部において口出し部115(連通部111e:図21参照)と一体となっている。これにより、第1リブ111rの強度が確保されている。
第2リブ111sは、側面視において略台形状に形成され、前記傾斜曲面部15c(図21参照)に沿う形状となっている。第3リブ112sは、側面視において略三角形状に形成され、前記傾斜曲面部15cに沿う形状となっている。また、第2リブ111sの先端と第3リブ112sの先端とは、連続した縁部110b(図22参照)となるように構成されている。
図24に示すように、本実施形態に係るセンサユニット101は、センサケース110の基部111a,112aが、照明器具本体200の本体ベース15と放熱板21に跨るように配設されている。また、センサユニット101の傾斜部111b,112bによって、セード13(図1参照)を避けてセンサ収容部111c,112cを配置することができる。また、下方に延びる傾斜部111b,112bを介してセンサ収容部111c,112cを配置したので、照度センサ121(図21参照)の位置を床面により近づけることができ、より精度よく照度(明るさ)を検知することが可能になる。
図25に示すように、照明器具本体200は、断面視において、放熱板21の外周に形成された平坦部21t上に、本体ベース15の外周の平坦部15dが接するようにして図示しないねじを介して固定される。また、本体ベース15は、前記したように傾斜曲面部15cを有している。
このような形状の照明器具本体200にセンサユニット101が取り付けられると、センサケース110に形成された突条部112qの先端Qが、放熱板21上に固定された本体ベース15の平坦部15dを重ねることによって形成される段差部つまり本体ベース15の外周縁部15eに当接するように構成されている。なお、もう一方の突条部112qについても、同様にして、先端Qが外周縁部15eに当接するように構成されている。
また、センサケース110に第1リブ111r、第2リブ111sおよび第3リブ112sを設けて、第1リブ111rによって形成される縁部110a(図26参照)、および、第2リブ111sと第3リブ112sによって形成される縁部110b(図24参照)が、それぞれ本体ベース15の傾斜曲面部15cに当接するように構成されているので、センサユニット101の照明器具本体200への取付作業時のガタツキを防止することができ、また、ねじ113によりねじ止め固定時のセンサユニット101の回転を防止することもできる。
また、第1リブ111r、第2リブ111s,111sおよび第3リブ112sが本体ベース15に形成された開口部15aを囲むように傾斜曲面部15cに当接するので、開口部15aを介して照明器具本体200内に虫が侵入するのを防止することができる。なお、口出し部115が開口部15aに挿入されたときに形成される隙間(図27参照)は、下ケース112t(図23参照)によって閉塞されるようになっている。
以上説明したように、本実施形態に係るLED照明装置11では以下に示す作用効果を得ることができる。なお、適宜図25ないし図27を参照して説明する。
ところで、センサケース110は、軽量化の観点から肉厚を薄くすることが好ましい。しかしながら、LED照明装置11では外観の大部分を占めるセード13が透明または半透明または乳白色で形成されており、センサユニット101(センサケース110)はセード13の色相と違和感がないように、例えば白色や薄い灰色といった色相の樹脂で成形する。このため、照明器具本体200のLED素子24(図5参照)からの光がセンサケース110の壁を透過し、照度センサ121が本来検出するべき照度に対して大きな値が検出、換言すると実際の照度よりも高い照度が検出されて、照度センサ121の検知精度が低下する懸念がある。
そこで、本実施形態では、センサユニット101の軽量化のために、センサケース110をLED素子24の光が透過する程度まで壁の厚みを薄く形成したとしても、センサ基板120が対向するセンサケース110の下ケース112の面の外観側に遮光シート150を配設することでセンサユニット101の外部からの光が検出用孔112g以外からセンサユニット101内部に漏れるのを防止できる。このような漏れを防止できることにより、LED照明装置11が設置される空間(部屋)の照度の検出精度が低下するのを防止することが可能になる。
また、本実施形態では、センサカバー130とLEDカバー140とが別体で構成され、センサケース110内には、センサカバー130とLEDカバー140との間に遮光リブ112iが設けられている。これによれば、センサカバー130とLEDカバー140とを別体で構成して、これらの間に遮光リブ112iを設けることにより、LED122からの光が照度センサ121側に漏れて、検知精度が低下するのを確実に防止することができる。つまり、例えば、センサカバー130とLEDカバー140とを一部においてつなげて一体に構成した場合、遮光リブを間に配置したとしても、センサカバー130とLED140とがつながった部分に、遮光リブを避けるための切り欠きを設ける必要性が生じるため、その、切り欠きを介してLED122の光が照度センサ121側に漏れることになり、LED照明装置11が設置される空間(部屋)の照度の検出精度が低下するおそれがある。本実施形態では、センサカバー130とLEDカバー140とを完全に別個になるように構成したので、遮光リブ112iに、前記した切り欠きを設ける必要がなくなり、よってその切り欠きを介してLED122の光の漏れを防止することができる。
また、本実施形態では、図25に示したように、センサユニット101の突条部112q,112qの各先端Qが、本体ベース15の外周縁部15eに当接するようになっている。これによれば、センサユニット101を照明器具本体200に位置決めした状態でねじ止めすることができるので、組立作業が容易になる。また、突条部112qの出っ張り高さHが、本体ベース15の平坦部15dの厚みDと同程度に形成されているので、センサユニット101が上下にがたつくのを防止することができる。
また、本実施形態によれば、図26に示すように、センサユニット101を照明器具本体200にねじ113(図21参照)を介して取り付ける際に、センサユニット101に対して矢印W方向の回転力が作用したとしても、突条部112qの先端Q(図示上側)が本体ベース15の外周縁部15eに当接しているので、センサユニット101が矢印W方向に回転するのが規制される。このように、突条部112qが外周縁部15eに当接するように構成することでねじ止め作業時のセンサユニット101の回転を防止できる。
また、本実施形態では、図27に示すように、センサケース110が照明器具本体200(点灯回路基板19)と電気的に接続されるケーブル124(配線)が通る中空部Rと、中空部Rと連通してケーブル124を外部に取り出す口出し部115(筒部)と、を有し、口出し部115は、センサケース110から突出して形成され、照明器具本体200(本体ベース15)に形成された開口部15aに挿入されている。これによれば、プレス成形された本体ベース15の開口部15aのエッジ部15sにケーブル124(例えば、金属線が被覆された部分)が直接接触するのを防止できるため、ケーブル124が損傷するのを防止できる。また、本実施形態によれば、口出し部115が開口部15aに挿入されることで、センサユニット101をねじ止め固定する際に、口出し部115が開口部15aの縁部に当接するので、センサユニット101が回転するのを防止することができる。
なお、本発明は、LED照明装置11を例に挙げて説明したが、LEDタイプの照明に限定されるものではなく、蛍光管タイプ、電球タイプの照明装置にも適用することができる。また、円形の照明装置を例に挙げて説明したが、角形など他の形状の照明装置にも適用できる。また、天井面に取り付けられる照明装置に限定されるものではなく、シャンデリア、ペンダントライトなどの他の種類の照明装置にも適用できる。
また、センサケース110を黒色など光を透過しにくい色の樹脂で成形した後、塗装により、所望の外観とすることも可能である。