<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る運転支援システムの構成を示す図である。本実施の形態に係る運転支援システムによれば、車両91の運転者に対して、その周辺の鳥瞰画像を提供することが可能となっている。なお、本実施の形態で説明する構成要素に付される参照符号は、後の実施の形態において、当該構成要素と同一または類似する構成要素に対しても付されるものとする。
この図1に示すように、本実施の形態に係る運転支援システムは、複数のカメラ(第1〜第Nカメラ11−1〜11−N)と、複数の無線基地局(第1及び第2無線基地局21−1,21−2)と、設定部であるOpS(Operation System)26と、同期装置であるGPS(Global Positioning System)衛星141と、無線移動局51と、表示部52と、位置取得部53とを備えている。
このうち、無線移動局51、表示部52及び位置取得部53は、各車両91に搭載されている。車両91には、例えば、ガソリンエンジン車両、あるいは、EV(Electric Vehicle)車両が用いられる。なお、図1においては、便宜上、1つの車両91のみ示しているが、運転支援システムは車両91を複数備えており、後の実施の形態においても同様である。
図1に示すように、IPルータ網200は、第1〜第Nカメラ11−1〜11−Nと、それぞれ有線回線111−1〜111−Nを介して接続されている。なお、図1に示されている第mカメラ11−m、及び有線回線111−mにおけるmは、1からNまでの任意の整数値をとる。そして、第mカメラ11−mは、上述のカメラのうちの任意のカメラを意味しており、有線回線111−mは、上述の有線回線のうちの第mカメラ11−mと接続された有線回線を意味している。
以下、説明の便宜上、第1〜第Nカメラ11−1〜11−Nを区別しない場合には「複数のカメラ11」と記すこともあり、そのうちの任意の1つを「カメラ11」とのみ記すこともある。同様に、有線回線111−1〜111−Nを区別しない場合には「複数の有線回線111」と記すこともあり、そのうちの任意の1つを「有線回線111」とのみ記すこともある。
IPルータ網200は、カメラ11と有線回線111を介して接続されているだけでなく、第1及び第2無線基地局21−1,21−2とそれぞれ有線回線121−1,121−2を介して接続され、OpS26と有線回線126を介して接続されている。
以下、説明の便宜上、第1及び第2無線基地局21−1,21−2を区別しない場合には「複数の無線基地局21」と記すこともあり、そのうちの任意の1つを「無線基地局21」とのみ記すこともある。同様に、有線回線121−1,121−2を区別しない場合には「複数の有線回線121」と記すこともあり、そのうちの任意の1つを「有線回線121」とのみ記すこともある。
カメラ11は、車両が通行する道路(車両通行帯)を鳥瞰(俯瞰)した画像を撮像可能に、当該道路の上方、または、当該道路のわきの高所に設置されている。なお、各カメラ11には自身の位置を示すカメラ位置情報が付与されており、カメラ11が撮像した画像には、当該カメラ11のカメラ位置情報が付加されている。
また、本実施の形態に係るカメラ11には、自身が撮像した画像を、有線回線111を介して無線基地局21に送信可能な通信機能が設けられている。そして、ここでは、カメラ11が画像及びカメラ位置情報を送信すべき送信先(無線基地局21)の設定を、OpS26が予め行うものとなっている。
このOpS26の設定を、図2に示される、カメラ11及び無線基地局21等の配置を例に説明する。図2には、第1〜第6カメラ11−1〜11−6(つまりN=6)と第1及び第2無線基地局21−1,21−2とが示されている。このうち第1〜第3カメラ11−1〜11−3は第1無線基地局21−1の近くに配置され、第4カメラ11−4は第1及び第2無線基地局21−1,21−2のほぼ中間に配置され、第5及び第6カメラ11−5,11−6は第2無線基地局21−2の近くに配置されている。
ここで、OpS26は、カメラ11が、当該カメラ11の位置に近い無線基地局21に対して画像及びカメラ位置情報を送信するようにカメラ11の送信先を設定している。また、OpS26は、カメラ11の位置に近い無線基地局21が複数ある場合には、当該カメラ11が、それらの無線基地局21に対して画像及びカメラ位置情報を送信するようにカメラ11の送信先を設定している。したがって、図2に示す例においては、第1〜第3カメラ11−1〜11−3は第1無線基地局21−1に画像及びカメラ位置情報を送信し、第4カメラ11−4は第1及び第2無線基地局21−1,21−2の両方に画像及びカメラ位置情報を送信し、第5及び第6カメラ11−5,11−6は第2無線基地局21−2に画像及びカメラ位置情報を送信することになる。
次に複数の無線基地局21について説明する。図2に示すように、各無線基地局21(第1及び第2無線基地局21−1,21−2のそれぞれ)は、カメラ11により撮像される道路(車両通行帯)またはその周辺を含む通信エリア(通信エリア411,412)を有している。なお、本実施の形態では、第1及び第2無線基地局21−1,21−2の通信エリア411,412は、部分的に重なっている。
各無線基地局21は、上述したようにカメラ11から送信された画像及びカメラ位置情報を、有線回線111,121及びIPルータ網200を介して受信する。そして、各無線基地局21は、自身の通信エリア内に属している(侵入している)複数の無線移動局51に対して、自身が受信したカメラ11からの画像及びカメラ位置情報を無線回線41により同報通信(同報送信)する。つまり、各無線基地局21は、少なくとも1つ以上のカメラ11からの画像及びカメラ位置情報のセットを、自身の通信エリア内の複数の無線移動局51に対して同報通信することになる。
ここで、本実施の形態において、複数の無線基地局21は、所定の周波数帯の無線信号を用いて同報通信を行う。そして、GPS衛星141は、複数の無線基地局21が当該同報通信(同報送信)するタイミングの同期を行う。これにより、複数の無線基地局21における、画像及びカメラ位置情報を含む無線信号を同報送信するための時間軸が合わせられる。
この状態で、複数の無線基地局21は、異なる画像及びカメラ位置情報を同報通信する場合には、上述の所定の周波数帯内において周波数軸及び時間軸で表される複数の無線リソースの中から互いに異なる無線リソースを使用する。
図2の例で言えば、第1無線基地局21−1から同報通信される第1〜第3カメラ11−1〜11−3の画像及びカメラ位置情報と、第2無線基地局21−2から同報通信される第5及び第6カメラ11−5,11−6の画像及びカメラ位置情報とは互いに異なることから、第1及び第2無線基地局21−1,21−2は、これらの同報通信に対して互いに異なる無線リソースを使用することになる。したがって、本実施の形態に係る運転支援システムによれば、複数の無線基地局21(第1及び第2無線基地局21−1,21−2)から同報通信される、異なる画像及びカメラ位置情報に係るリソースブロック及びシンボルがそれぞれ干渉するのを抑制することができる。つまり、複数の無線基地局21(第1及び第2無線基地局21−1,21−2)から同報通信される、異なる画像及びカメラ位置情報を含む無線信号が、互いに干渉して劣化するのを抑制することができる。
その一方で、複数の無線基地局21は、同一の画像及びカメラ位置情報を同報通信する場合には、上述の複数の無線リソースの中から互いに同一の無線リソースを使用する。なお、画像が同一とは、同一のカメラ11で同一時刻に撮像された画像を意味する。
図2の例で言えば、第4カメラ11−4の画像及びカメラ位置情報は、第1及び第2無線基地局21−1,21−2の両者から同報通信されることから、第1及び第2無線基地局21−1,21−2は、この同報通信に対して同一の無線リソースを使用することになる。つまり、第1及び第2無線基地局21−1,21−2は、通信エリア411,412のいずれにも属している第4カメラ11−4の画像及びカメラ位置情報の同報通信に対して互いに同一の無線リソースを使用することになる。したがって、本実施の形態に係る運転支援システムによれば、複数の無線基地局21(第1及び第2無線基地局21−1,21−2)から同報通信される、同一の画像及びカメラ位置情報を含む無線信号が強められることから、そのSINR(Signal to Interference plus Noise Ratio:信号対干渉プラスノイズ比)を改善することができる。
図3は、第1及び第2無線基地局21−1,21−2における無線リソースの割り当てを模式的に示す図である。ここでの割り当てには、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用い、例えば、3GPPにおいてLTE(Long Term Evolution)として規定されている方式を活用する。
また、ここでは、それぞれが15kHzのサブキャリア間隔を有する12個のサブキャリア(全体で180kHz)と0.5msの時間とからなるリソースが、図3の太枠に示される1リソースブロックと規定されている。そして、時間方向に隣接する2つのリソースブロック単位で、第1無線基地局21−1のみが同報送信するシンボル(図3において無地ハッチング)、第2無線基地局21−2のみが同報送信するシンボル(図3において淡い砂地ハッチング)、第1及び第2無線基地局21−1,21−2が同報送信するシンボル(図3において濃い砂地ハッチング)が、周波数軸上及び時間軸上においてスケジューリングされている。
つまり、本実施の形態では、2つのリソースブロックが、第1及び第2無線基地局21−1,21−2において同報送信を行うための1つの無線リソースに対応している。そして、複数の無線リソースが第1及び第2無線基地局21−1,21−2に使い分けられるものとなっている。なお、ここでは、図3に示されるように、複数の無線リソース全体にわたって、無線通信に係るチャネル推定及び同期を行うためのリファレンスシンボルが等間隔で割り当てられている。
以上のような割り当てにより、第1無線基地局21−1は、第2無線基地局21−2が送信しようとしている画像及びカメラ位置情報と異なるものを送信しようとする場合には、図3において無地ハッチングが施された無線リソースを同報通信に使用する。一方、第2無線基地局21−2は、第1無線基地局21−1が送信しようとしている画像及びカメラ位置情報と異なるものを送信しようとする場合には、図3において淡い砂地ハッチングが施された無線リソースを同報通信に使用する。また、第1及び第2無線基地局21−1,21−2は、互いに同一の画像及びカメラ位置情報を送信しようとする場合には、図3において濃い砂地ハッチングが施された無線リソースを同報通信に使用する。
なお、以上のような無線リソースの割り当ては、OpS26における設定に基づいて割り当てられる。つまり、本実施の形態では、OpS26が、各無線基地局21(第1及び第2無線基地局21−1,21−2のそれぞれ)が使用可能な無線リソースの設定を、各無線基地局21に対して予め行うものとなっている。
以上のように、本実施の形態では、通信エリアが一部重なっている複数の無線基地局21は、GPS衛星141により同期がとられた同報通信を行い、かつ、OpS26の設定により、異なる画像及びカメラ位置情報を同報通信する場合には互いに異なる無線リソースを使用し、同一の画像及びカメラ位置情報を同報通信する場合には互いに同一の無線リソースを使用する。したがって、異なる画像及びカメラ位置情報を含む無線信号については、それらが互いに干渉して劣化するのを抑制することができるとともに、同一の画像及びカメラ位置情報を含む無線信号については、それらが強めあうことによりそれらのSINRを改善することができる。よって、無線信号の復調性能を高めることができる。
次に、図1に示すように車両91に搭載されている、無線移動局51、表示部52及び位置取得部53について説明する。
無線移動局51は、自身が属する(自身が進入している)通信エリアを有する無線基地局21から同報通信された画像及びカメラ位置情報を受信する。このことを図2に示す例で説明すると、無線移動局51は、第1無線基地局21−1から同報通信された無線信号(電波)が届く領域、すなわち第1無線基地局21−1のサービスエリア(通信エリア411)内に入ると、第1無線基地局21−1から同報通信された第1〜第4カメラ11−1〜11−4の画像及びカメラ位置情報を無線回線41により受信する。同様に、無線移動局51は、第2無線基地局21−2から同報通信された無線信号が届く領域、すなわち第2無線基地局21−2のサービスエリア(通信エリア412)内に入ると、第2無線基地局21−2から同報通信された第4〜第6カメラ11−4〜11−6の画像及びカメラ位置情報を無線回線41により受信する。
また、無線移動局51は、第1及び第2無線基地局21−1,21−2から同報通信された無線信号が届く領域、すなわち第1及び第2無線基地局21−1,21−2の通信エリア411,412が互いにオーバーラップしているエリア内に入ると、第1及び第2無線基地局21−2,21−2全体から同報通信された第1〜第6カメラ11−1〜11−6の画像及びカメラ位置情報を無線回線41により受信する。
表示部52は、自身と同じ車両91に搭載されている無線移動局51で受信されたカメラ11の画像を表示する。位置取得部53は、自身と同じ車両91に搭載されている無線移動局51の位置を取得する。なお、位置取得部53には、無線移動局51の位置を取得可能なGPS装置が用いられてもよいし、当該GPS装置に推測航法及びマップマッチングを組み合わせたハイブリッド航法を行うことが可能な装置が用いられてもよい。
また、以上のような無線移動局51、表示部52及び位置取得部53は、車両91に搭載されているカーナビゲーション装置(図示せず)において機能的に実現されてもよい。あるいは、表示部52及び位置取得部53は、車両91に搭載されているスマートフォンなどの無線移動局51において機能的に実現されてもよい。
以上のように、本実施の形態に係る運転支援システムによれば、無線基地局21は、カメラ11で撮像された鳥瞰画像(俯瞰画像)の同報通信を行い、各車両91の無線移動局51はその画像を受信する。したがって、交通に関する情報を運転者に適切に提供することができる。また、本実施の形態によれば、無線基地局21は、特定の無線移動局51に対してカメラ11の画像を送信するのではなく、自身の通信エリア内に入った不特定多数の無線移動局51に対してカメラ11の鳥瞰画像を送信するものとなっている。したがって、車両通行帯の鳥瞰画像を、例えば、交差点に進入しようとしている対向車両、左側車両、右側車両及び後続車両の運転者に提供することができる。この結果、対向車の運転、左右の道路からの車両の交差点への進入、後続車両による追い越しなどの交通に関する様々な情報を、それら車両の運転者の間で共有することができることから、車両運転の安全性を高めることができる。
次に、各車両91における、無線移動局51、表示部52及び位置取得部53の動作について説明する。図4は、これらの動作を示すフローチャートである。
まず、上述したカーナビゲーション装置のアプリケーション・ソフトウェア、あるいはスマートフォン上で動作するカーナビゲーション機能を実現可能なアプリケーション・ソフトウェアが運転者により起動されると、ステップS1に示す動作開始となる。なお、本実施の形態では、当該アプリケーション・ソフトウェアが、カーナビゲーション装置やスマートフォン等において実行されることにより、以下の判定が行われるものとなっている。
ステップS1の開始直後のステップS2にて、上記アプリケーション・ソフトウェアにより探索された車両91が進むべきルートの案内が表示部52の画面に表示される。ステップS3にて、無線移動局51は、任意の無線基地局21から同報通信(同報送信)されるカメラ11の画像及びカメラ位置情報の受信待ちとなる。このステップS3で、無線移動局51が、無線基地局21から同報通信(同報送信)された画像及びカメラ位置情報を受信していない場合には、ステップS2に戻ることにより、ルート案内の表示が維持される。一方、同ステップS3で、無線移動局51が、無線基地局21から同報通信(同報送信)された画像及びカメラ位置情報を受信した場合には、ステップS4に進む。
ステップS4にて、ステップS3で受信されたカメラ位置情報のカメラ11が、所定範囲内(半径Xm以内)にあるかを判定する。つまり、無線移動局51で受信されたカメラ位置情報が示すカメラ11の位置が、位置取得部53で取得された無線移動局の位置から所定範囲内(半径Xm以内)にあるかを判定する。なお、Xの値には、予め上述のアプリケーション・ソフトウェア上で設定された値を用いる。このステップS4で、この条件を満たすカメラ11がないと判定された場合には、ステップS2に戻ることにより、ルート案内の表示が維持される。一方、同ステップS4で、この条件を満たすカメラ11があると判定された場合には、ステップS5に進む。
ステップS4の条件を満たすカメラ11が1つである場合には、ステップS5にて、当該カメラ11の画像を、無線移動局51に係る表示部52に表示する。一方、複数のカメラ11についてステップS4の条件が満たされた場合には、当該複数のカメラ11のうち無線移動局51の位置に最も近いカメラ11の画像を表示部52に表示する。なお、カメラ11の画像を表示する場合には、表示部52の画面を分割した分割画面に、カメラ11の画像と、すでに表示しているルート案内とをそれぞれ表示する。
以上のように、本実施の形態に係る運転支援システムによれば、カメラ11の位置が無線移動局51から所定範囲内にあるという条件が満たされた場合に、当該カメラ11の画像を表示する。したがって、適切なカメラ11の画像を運転者に提供することができる。
また、本実施の形態では、複数のカメラ11について上述の条件が満たされた場合には、無線移動局51に最も近いカメラ11の画像を表示する。したがって、より適切なカメラ11の画像を運転者に提供することができる。
図5は、本実施の形態において、無線移動局51と無線基地局21との間の通信、及び、無線基地局21とカメラ11との間の通信で用いられるプロトコルスタックを示す図である。
図5に示すように、無線移動局51及び無線基地局21の間の通信には、L1(Layer1)、MAC(Media Access Control)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、及び、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、その上位のレイヤであってカメラ11の画像及びカメラ位置情報をデータ転送するためのIPレイヤ、UDPレイヤ若しくはTCP(Transmission Control Protocol)レイヤ、並びに、Applicationレイヤとが用いられる。
ここで、L1は、下りリンクOFDM、上りリンクSC−FDMAの無線アクセス方式を用いた無線の物理レイヤである。MACレイヤは、スケジューリングや多重、分離、及び誤り訂正符号化と自動再送要求とを組み合わせた誤り制御であるHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)を担うレイヤである。RLCレイヤは、フロー制御や再送制御であるARQ(Automatic Repeat Request)を担うレイヤである。PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮機能であるROHC(Robust Header Compression)、及び暗号化機能を担うレイヤである。IPレイヤは、PDN(Packet Data Network)にアクセスするためのレイヤである。UDPレイヤ,TCPレイヤ及びApplicationレイヤは、以上の下位レイヤをサポートする上位レイヤである。
また、図5に示すように、無線基地局21及びカメラ11の間の通信には、IP伝送に供するL1、L2(Layer2)、UDP(User Datagram Protocol)/IPレイヤ、及び、GTP−U(GPRS Tunneling Protocol for User Plane)レイヤと、その上位のレイヤであって、カメラ11から画像及びカメラ位置情報を受信し、OpS26から設定されたリソース割り当てに基づいて、カメラ11の画像をデータ転送するためのIPレイヤ、UDPレイヤ若しくはTCP(Transmission Control Protocol)レイヤ、並びに、Applicationレイヤとが用いられる。
以上のような本実施の形態に係る運転支援システムによれば、無線基地局21のカメラ11側において、無線基地局21の無線移動局51側と同等の下位プロトコルがサポートされていることから、カメラ11と無線基地局21とが直接データ通信することが可能なプロトコルスタック構成が実現される。したがって、データ通信における遅延を抑制することができる。
なお、データ通信における遅延が十分に抑制されているのであれば、カメラ11が、無線基地局21の上位装置として3GPP上のLTEで規定されている、U−Planeデータパケットのルーティング機能を担うS−GW(Serving Gateway)や、外部のIPサービスネットワークと接続するための接続点となるP−GW(Packet Data Network Gateway)を介して、画像及びカメラ位置情報を無線基地局21にデータ通信する構成としてもよい。
<実施の形態2>
図6は、本発明の実施の形態2に係る運転支援システムの構成を示す図である。本実施の形態に係る運転支援システムによれば、車両91を制御支援するための情報を適切に提供することが可能となっている。
上述の実施の形態1の運転支援システムは第1〜第Nカメラ11−1〜11−Nを備えていたが、本実施の形態に係る運転支援システムでは、その代わりに、第1〜第N道路情報供給機31−1〜31−Nを備えている。以下、説明の便宜上、第1〜第N道路情報供給機31−1〜31−Nを区別しない場合には「複数の道路情報供給機31」と記すこともあり、そのうちの任意の1つを「道路情報供給機31」とのみ記すこともある。図6に示すように、複数の道路情報供給機31は、複数の有線回線131(有線回線131−1〜131−N)を介してIPルータ網200と接続されている。
また、本実施の形態に係る運転支援システムでは、表示部52の代わりに、車両内無線機61、ECU(Electronic Control Unit)71、及びモータ部81を備えている。つまり、本実施の形態では、無線移動局51、位置取得部53、車両内無線機61、ECU71及びモータ部81が、モータ(ここではモータ部81内部のモータ)を動力源とする各車両91に搭載されている。なお、車両91には、例えばEV車両が用いられる。
次に、以上のような本実施の形態に係る運転支援システムの構成要素について詳細に説明する。
道路情報供給機31は、車両が通行する道路(車両通行帯)に付設されている。例えば、道路情報供給機31は、当該道路の上方、当該道路のわき、または当該道路の信号機内に設けられている。ここでは、図2に示されるように、大部分の道路情報供給機31は、当該道路の信号機内に設けられているものとして説明する。
この道路情報供給機31は、道路(車両通行帯)での規制速度を示す規制速度情報と、当該道路の信号機に関する信号機情報(例えば、赤、青、黄色といった信号状態、次の信号状態に変化するのに要する時間、及び停止線位置情報)とを含む道路情報を送信可能となっている。なお、本実施の形態では、道路情報供給機31は、これら規制速度情報及び信号機情報に加えて、道路情報供給機31が設けられた位置を示す供給機位置情報をさらに含む道路情報を送信可能となっている。
道路情報供給機31は、自身の道路情報を、有線回線131を介して無線基地局21に送信する。なお、ここでは、道路情報供給機31が道路情報を送信すべき送信先(無線基地局21)の設定を、OpS26が予め行うものとなっている。
このOpS26の設定を、図2に示される、道路情報供給機31及び無線基地局21等の配置を例に説明する。図2には、第1〜第6道路情報供給機31−1〜31−6(つまりN=6)と第1及び第2無線基地局21−1,21−2とが示されている。このうち第1〜第3道路情報供給機31−1〜31−3は第1無線基地局21−1の近くに配置され、第4道路情報供給機31−4は第1及び第2無線基地局21−1,21−2のほぼ中間に配置され、第5及び第6道路情報供給機31−5,31−6は第2無線基地局21−2の近くに配置されている。
ここで、OpS26は、道路情報供給機31が、当該道路情報供給機31の位置に近い無線基地局21に対して道路情報を送信するように道路情報供給機31の送信先を設定している。また、OpS26は、道路情報供給機31の位置に近い無線基地局21が複数ある場合には、当該道路情報供給機31が、それらの無線基地局21に対して道路情報を送信するように道路情報供給機31の送信先を設定している。したがって、図2に示す例においては、第1〜第3道路情報供給機31−1〜31−3は第1無線基地局21−1に道路情報を送信し、第4道路情報供給機31−4は第1及び第2無線基地局21−1,21−2の両方に道路情報を送信し、第5及び第6道路情報供給機31−5,31−6は第2無線基地局21−2に道路情報を送信することになる。
次に複数の無線基地局21について説明する。図2に示すように、各無線基地局21(第1及び第2無線基地局21−1,21−2のそれぞれ)は、道路情報供給機31が設けられた道路(車両通行帯)またはその周辺を含む通信エリア(通信エリア411,412)を有している。なお、本実施の形態では、第1及び第2無線基地局21−1,21−2の通信エリア411,412は、部分的に重なっている。
各無線基地局21は、上述したように道路情報供給機31から送信された道路情報を、有線回線131,121及びIPルータ網200を介して受信する。そして、各無線基地局21は、自身の通信エリア内に属している(侵入している)複数の無線移動局51に対して、自身が受信した道路情報を無線回線41により同報通信(同報送信)する。つまり、各無線基地局21は、少なくとも1つ以上の道路情報供給機31からの規制速度情報、信号機情報及び供給機位置情報のセットを、自身の通信エリア内の複数の無線移動局51に対して同報通信することになる。なお、本実施の形態に係る複数の無線基地局21は、実施の形態1と同様に、所定の周波数帯の無線信号を用いて同報通信を行う。そして、GPS衛星141は、実施の形態1と同様に、複数の無線基地局21が当該同報通信(同報送信)するタイミングの同期を行う。これにより、複数の無線基地局21における、道路情報を含む無線信号を同報送信するための時間軸が合わせられる。
この状態で、複数の無線基地局21は、異なる道路情報(規制速度情報、信号機情報及び供給機位置情報)を同報通信する場合には、上述の所定の周波数帯内において周波数軸及び時間軸で表される複数の無線リソースの中から互いに異なる無線リソースを使用する。
図2の例で言えば、第1無線基地局21−1から同報通信される第1〜第3道路情報供給機31−1〜31−3の道路情報と、第2無線基地局21−2から同報通信される第5及び第6道路情報供給機31−5,31−6の道路情報とは互いに異なることから、第1及び第2無線基地局21−1,21−2は、これらの同報通信に対して互いに異なる無線リソースを使用することになる。したがって、本実施の形態に係る運転支援システムによれば、複数の無線基地局21(第1及び第2無線基地局21−1,21−2)から同報通信される、異なる道路情報を含む無線信号が、互いに干渉して劣化するのを抑制することができる。
その一方で、複数の無線基地局21は、同一の道路情報(規制速度情報、信号機情報及び供給機位置情報)を同報通信する場合には、上述の複数の無線リソースの中から互いに同一の無線リソースを使用する。なお、道路情報が同一とは、同一の道路情報供給機31での同一時刻に関する道路情報を意味する。
図2の例で言えば、第4道路情報供給機31−4の道路情報は、第1及び第2無線基地局21−1,21−2の両者から同報通信されることから、第1及び第2無線基地局21−1,21−2は、この同報通信に対して同一の無線リソースを使用することになる。つまり、第1及び第2無線基地局21−1,21−2は、通信エリア411,412のいずれにも属している第4道路情報供給機31−4の道路情報の同報通信に対して互いに同一の無線リソースを使用することになる。したがって、本実施の形態に係る運転支援システムによれば、複数の無線基地局21(第1及び第2無線基地局21−1,21−2)から同報通信される、同一の道路情報を含む無線信号が強められることから、そのSINRを改善することができる。
なお、第1及び第2無線基地局21−1,21−2における無線リソースの割り当ては、実施の形態1と同様に行われる。その結果、第1無線基地局21−1は、第2無線基地局21−2が送信しようとしている道路情報と異なるものを送信しようとする場合には、図3において無地ハッチングが施された無線リソースを同報通信に使用する。一方、第2無線基地局21−2は、第1無線基地局21−1が送信しようとしている道路情報と異なるものを送信しようとする場合には、図3において淡い砂地ハッチングが施された無線リソースを同報通信に使用する。また、第1及び第2無線基地局21−1,21−2は、互いに同一の道路情報を送信しようとする場合には、図3において濃い砂地ハッチングが施された無線リソースを同報通信に使用する。
なお、以上のような無線リソースの割り当ては、OpS26における設定に基づいて割り当てられる。つまり、本実施の形態では、OpS26が、各無線基地局21(第1及び第2無線基地局21−1,21−2のそれぞれ)が使用可能な無線リソースの設定を、各無線基地局21に対して予め行うものとなっている。
以上のように、本実施の形態では、通信エリアが一部重なっている複数の無線基地局21は、GPS衛星141により同期がとられた同報通信を行い、かつ、OpS26の設定により、異なる道路情報を同報通信する場合には互いに異なる無線リソースを使用し、同一の道路情報を同報通信する場合には互いに同一の無線リソースを使用する。したがって、異なる道路情報を含む無線信号については、それらが互いに干渉して劣化するのを抑制することができるとともに、同一の道路情報を含む無線信号については、それらが強めあうことによりそれらのSINRを改善することができる。よって、無線信号の復調性能を高めることができる。
次に、図6に示すように車両91に搭載されている、無線移動局51、位置取得部53、車両内無線機61、ECU71及びモータ部81について説明する。
無線移動局51は、自身が属する(自身が進入している)通信エリアを有する無線基地局21から同報通信された道路情報(規制速度情報、信号機情報及び供給機位置情報)を受信する。このことを図2に示す例で説明すると、無線移動局51は、第1無線基地局21−1から同報通信された無線信号(電波)が届く領域、すなわち第1無線基地局21−1のサービスエリア(通信エリア411)内に入ると、第1無線基地局21−1から同報通信された第1〜第4道路情報供給機31−1〜31−4の道路情報を無線回線41により受信する。同様に、無線移動局51は、第2無線基地局21−2から同報通信された無線信号が届く領域、すなわち第2無線基地局21−2のサービスエリア(通信エリア412)内に入ると、第2無線基地局21−2から同報通信された第4〜第6道路情報供給機31−4〜31−6の道路情報を無線回線41により受信する。
また、無線移動局51は、第1及び第2無線基地局21−1,21−2から同報通信された無線信号が届く領域、すなわち第1及び第2無線基地局21−1,21−2の通信エリア411,412が互いにオーバーラップしているエリア内に入ると、第1及び第2無線基地局21−2,21−2全体から同報通信された第1〜第6道路情報供給機31−1〜31−6の道路情報を無線回線41により受信する。
位置取得部53は、実施の形態1と同様に、自身と同じ車両91に搭載されている無線移動局51の位置を取得する。なお、位置取得部53には、無線移動局51の位置を取得可能なGPS装置が用いられてもよいし、当該GPS装置に推測航法及びマップマッチングを組み合わせたハイブリッド航法を行うことが可能な装置が用いられてもよい。無線移動局51は、自身が受信した道路情報(規制速度情報、信号機情報及び供給機位置情報)と、位置取得部53で取得された無線移動局51の位置とを、無線回線41と異なるBluetooth(登録商標)等の無線回線43を用いて、車両内無線機61に送信する。
なお、以上のような無線移動局51及び位置取得部53は、車両91に搭載されているカーナビゲーション装置(図示せず)において機能的に実現されてもよい。あるいは、位置取得部53は、車両91に搭載されているスマートフォンなどの無線移動局51において機能的に実現されてもよい。
図7は、車両91に搭載されている車両内無線機61、ECU71、モータ部81、及びそれらと関係する構成要素を示す図である。
図7に示すように、車両内無線機61とECU71とは有線回線44を介して接続されている。車両内無線機61は、自身が受信した道路情報(規制速度情報、信号機情報及び供給機位置情報)及び無線移動局51の位置を、有線回線44を介してECU71に出力する。
また、本実施の形態に係る運転支援システムは、車両91でのアクセル開度を出力するアクセルペダルセンサ92と、車両91でのブレーキ信号を出力するブレーキスイッチ93と、車両91でのシフト位置を出力するシフトスイッチ94と、車両91の速度を示す速度情報を取得し、それを出力する速度取得部95と、車両91の充電信号を出力する充電端子96と、メータ・ランプ97とを備える。そして、これらは、各車両91に搭載され、ECU71に接続されている。
ECU71とモータ部81とは制御信号線45を介して接続されている。ECU71は、車両制御部72とモータ制御部73とを備えており、モータ部81は、主電池82とシステムメインリレー83とインバータ84とモータ85とを備える。
車両制御部72は、車両内無線機61、アクセルペダルセンサ92、ブレーキスイッチ93、シフトスイッチ94、速度取得部95、及び充電端子96からの出力に基づいて、システムメインリレー83に入力すべき制御信号と、インバータ84に入力すべき停止信号と、モータ制御部73に入力すべきトルク指令と、メータ・ランプ97に入力すべき制御信号とを生成する。モータ制御部73は、車両制御部72からのトルク指令に応じて、制御信号線45を介してモータ部81のインバータ84にPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。インバータ84は、モータ制御部73から入力されたPWM信号に基づいて三相交流を生成し、当該生成した三相交流によりモータ85を制御する。つまり、モータ制御部73は、車両制御部72からのトルク指令に応じて、モータ85を制御している。
なお、本実施の形態では、インバータ84は、モータ制御部73に電流をフィードバックし、モータ85は、モータ制御部73に回転信号をフィードバックするものとなっている。そして、システムメインリレー83は、主電池82とインバータ84との間に設けられ、これらの間での電力の受け渡しを車両制御部72からの制御信号に基づいて行う。
次に、各車両91における、無線移動局51、位置取得部53、車両内無線機61、ECU71及びモータ部81の動作について説明する。図8は、これらの動作を示すフローチャートである。
まず、上述したカーナビゲーション装置のアプリケーション・ソフトウェア、若しくはスマートフォン上で動作するカーナビゲーション機能を実現可能なアプリケーション・ソフトウェア、並びに車両内無線機61、ECU71及びモータ部81が運転者により起動されると、ステップS11に示す動作開始となる。なお、本実施の形態では、当該アプリケーション・ソフトウェアにおいて、以下の判定が主に行われるものとなっている。
ステップS11の後、ステップS12にて、無線移動局51は、任意の無線基地局21から同報通信(同報送信)される道路情報(規制速度情報、信号機情報及び供給機位置情報)の受信待ちとなる。このステップS12で、無線移動局51が、無線基地局21から同報通信(同報送信)された道路情報を受信していない場合には、ステップS12に戻ることにより、道路情報の受信待ちが維持される。一方、同ステップS12で、無線移動局51が、無線基地局21から同報通信(同報送信)された道路情報を受信した場合には、ステップS13に進む。
ステップS13にて、上記アプリケーションにおいて、無線移動局51で受信された道路情報に含まれる供給機位置情報が示す道路情報供給機31の位置が、位置取得部53で取得された移動局位置情報が示す無線移動局51から車両91(自車両)の進行方向にあるかが判定される。このステップS13で、この条件を満たす道路情報供給機31がないと判定された場合には、ステップS12に戻ることにより、道路情報の受信待ちが維持される。一方、同ステップS13で、この条件を満たす道路情報供給機31があると判定された場合には、ステップS14に進む。
ステップS13の条件を満たす道路情報供給機31が1つである場合には、ステップS14にて、無線移動局51は、当該道路情報供給機31の道路情報と、位置取得部53が取得した無線移動局51の位置とを、無線回線43を用いて車両内無線機61に転送する。これにより、以下のステップにおいて、当該道路情報供給機31の道路情報は、上記トルク指令の生成に用いられることになる。一方、複数の道路情報供給機31についてステップS13の条件が満たされた場合には、当該複数の道路情報供給機31のうち無線移動局51に最も近い道路情報供給機31の道路情報と、位置取得部53が取得した無線移動局51の位置とを、無線回線43を用いて車両内無線機61に転送する。これにより、以下のステップにおいて、当該道路情報供給機31の道路情報は、上記トルク指令の生成に用いられることになる。
ステップS15にて、車両内無線機61は、転送された道路情報を、図7に示した有線回線44を介してECU71の車両制御部72にデータ転送する。
ステップS16にて、車両制御部72(ECU71)は、データ転送された道路情報に信号機情報が含まれているかどうかを、有効フラグ表示がされているかどうか等により判定する。道路情報に信号機情報が含まれていない場合にはステップS18に進み、道路情報に信号機情報が含まれている場合にはステップS17に進む。
ステップS17に進んだ場合、つまり道路情報に信号機情報が含まれていない場合には、データ転送された道路情報に含まれる規制速度情報が有効であることを意味する。そこで、ステップS17にて、車両制御部72は、データ転送された道路情報に含まれる規制速度情報と、速度取得部95(図7)で取得された速度情報とに基づいてトルク指令を生成する。ここでは、車両制御部72は、当該規制速度情報と、当該速度情報が示す速度との比較に基づきトルク指令を生成する。同ステップS17にて、モータ制御部73は、当該トルク指令に応じてモータ85を制御し、車両91の速度制御を行う。
一方、ステップS18に進んだ場合には、車両制御部72は、データ転送された道路情報に含まれる信号機情報と、データ転送された無線移動局51の位置と、速度取得部95(図7)で取得された速度情報とに基づいてトルク指令を生成する。そして、同ステップS18にて、モータ制御部73は、当該トルク指令に応じてモータ85を制御し、車両91の速度制御を行う。これにより、例えば、車両制御部72は、車両91が信号機手前の停止線に到達するときに信号状態が黄信号あるいは赤信号である場合には、当該車両91の減速支援を行い、車両91が信号機手前の停止線に到達するときに信号状態が青信号である場合には、当該車両91の速度制御は行わないといった運転支援を行うことができる。
さて、従来であれば、図7に示すアクセルペダルセンサ92からのアクセル開度、ブレーキスイッチ93からのブレーキ信号、及び、シフトスイッチ94によるシフト位置によってしか、車両の速度制御は行われなかった。それに対し、本実施の形態では、例えば、インフラ側情報と車両情報とを用いることによって、任意の車両91においてその道路の規制速度が守られることになることから、交通の安全性を高めることができる。つまり、道路情報供給機31、無線基地局21といった交通インフラ機器と、無線移動局51等とから構成された運転支援システムによって適切な速度制御を行うことができる。このように、本実施の形態によれば、交通に関する情報を車両91に適切に提供することができる。
また、本実施の形態によれば、道路情報供給機31の位置が無線移動局51の位置から車両91の進行方向にあるという条件が満たされた場合に、当該道路情報供給機31の道路情報を用いてトルク指令が生成される。したがって、適切な道路情報を車両91に提供することができる。
また、本実施の形態では、複数の道路情報供給機31について上述の条件が満たされた場合には、無線移動局51に最も近い道路情報供給機31の道路情報が用いられる。したがって、より適切な道路情報を車両91に提供することができる。
図9は、本実施の形態において、無線移動局51と無線基地局21との間の通信、及び、無線基地局21と道路情報供給機31との間の通信で用いられるプロトコルスタックを示す図である。
図9に示すように、無線移動局51及び無線基地局21の間の通信には、L1(Layer1)、MAC(Media Access Control)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、及び、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、その上位のレイヤであって道路情報供給機31の道路情報をデータ転送するためのIPレイヤ、UDPレイヤ若しくはTCP(Transmission Control Protocol)レイヤ、並びに、Applicationレイヤとが用いられる。
ここで、L1は、下りリンクOFDM、上りリンクSC−FDMAの無線アクセス方式を用いた無線の物理レイヤである。MACレイヤは、スケジューリングや多重、分離、及び誤り訂正符号化と自動再送要求とを組み合わせた誤り制御であるHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)を担うレイヤである。RLCレイヤは、フロー制御や再送制御であるARQ(Automatic Repeat Request)を担うレイヤである。PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮機能であるROHC(Robust Header Compression)、及び暗号化機能を担うレイヤである。IPレイヤは、PDN(Packet Data Network)にアクセスするためのレイヤである。UDPレイヤ,TCPレイヤ及びApplicationレイヤは、以上の下位レイヤをサポートする上位レイヤである。
また、図9に示すように、無線基地局21及び道路情報供給機31の間の通信には、IP伝送に供するL1、L2(Layer2)、UDP(User Datagram Protocol)/IPレイヤ、及び、GTP−U(GPRS Tunneling Protocol for User Plane)レイヤと、その上位のレイヤであって、道路情報供給機31から道路情報を受信し、OpS26から設定されたリソース割り当てに基づいて、道路情報供給機31の道路情報をデータ転送するためのIPレイヤ、UDPレイヤ若しくはTCP(Transmission Control Protocol)レイヤ、並びに、Applicationレイヤとが用いられる。
以上のような本実施の形態に係る運転支援システムによれば、無線基地局21の道路情報供給機31側において、無線基地局21の無線移動局51側と同等の下位プロトコルがサポートされていることから、道路情報供給機31と無線基地局21とが直接データ通信することが可能なプロトコルスタック構成が実現される。したがって、データ通信における遅延を抑制することができる。
なお、データ通信における遅延が十分に抑制されているのであれば、道路情報供給機31が、無線基地局21の上位装置として3GPP上のLTEで規定されている、U−Planeデータパケットのルーティング機能を担うS−GW(Serving Gateway)や、外部のIPサービスネットワークと接続するための接続点となるP−GW(Packet Data Network Gateway)を介して、道路情報を無線基地局21にデータ通信する構成としてもよい。
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3に係る運転支援システムは、実施の形態1で説明した運転支援システムの構成と、実施の形態2で説明した運転支援システムの構成との両方の構成を備えている。具体的には、本実施の形態に係る運転支援システムは、実施の形態1で説明したカメラ11、表示部52及び位置取得部53と、実施の形態2で説明した道路情報供給機31、モータ制御部73、速度取得部95などを備えている。
そして、本実施の形態に係る運転支援システムは、無線基地局21及び無線移動局51を備えている。ここで、本実施の形態に係る無線基地局21は、実施の形態1で説明した無線基地局21の機能と、実施の形態2で説明した無線基地局21の機能とを有している。また、本実施の形態に係る無線移動局51は、実施の形態1で説明した無線移動局51の機能と、実施の形態2で説明した無線移動局51の機能とを有している。そして、IPルータ網200においては、カメラ11の画像及びカメラ位置情報だけでなく、道路情報供給機31の道路情報も送信される。なお、車両91は、実施の形態2と同様、例えばEVが用いられる。
以上のような本実施の形態に係る運転支援システムによれば、実施の形態1及び実施の形態2で得られた効果の両方を得ることができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。