JP2013037761A - 記憶媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】メモリ素子の情報を正常に読み出すことができる記憶媒体再生装置を提供すること。
【解決手段】電荷を保持可能な記憶素子であって、最小または最大の値を固定値とした3つの閾値に対する電荷量の大小で定まる4つの範囲に対し、隣接する符号間のハミング距離が1となるように関連付けられた2ビットの符号を表すための記憶素子を、複数備える記憶部110と、各記憶素子に対応する前記3つの閾値を用いて、各記憶素子が保持する電荷量により各2ビットの符号を読み出す比較部104と、読み出された各2ビットの符号の列に対し、1ビットごとに誤りが存在するか否かを検出する誤り検出部106と、あるビットに誤りが検出された場合に、誤りが検出されたビットに対応する閾値であって固定値以外の閾値を、正しいビットになるように変更する閾値生成部107と、を備えた。
【選択図】図1

Description

この発明は、電荷量に応じて情報を記憶する記憶媒体に関する。
近年、保持された電荷量に応じて情報を記憶するフラッシュメモリなどの半導体メモリ素子が広く知られている。また、電荷量の閾値を複数設定することにより2ビット以上の情報を記憶する多値メモリ技術も開発されている。
電荷を蓄積するタイプのメモリ素子は、メモリ素子に寄生する抵抗やセンスアンプの入力抵抗などを原因として、時間経過とともに、また、読出し操作のたびに放電する。自然放電による電荷蓄積量の低下は、読み書き操作を長時間行わない場合にも発生するため、特に不揮発メモリで長時間電源が投入されなかったときに情報の読出しが不能になる状況が発生しやすくなる。また、特に多値メモリでは放電によるメモリ素子の出力の低下の影響が大きく、読出し可能回数の制限の原因となっている。
そこで、情報の読出しが不能になる状況が生じる前に、メモリ素子の出力電圧を検知し、出力電圧が低下している場合に、再度情報の記憶をやり直すリフレッシュ動作を行うことにより、正しく情報を読み出せるように維持する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
米国特許第5909449号明細書
しかしながら、特許文献1の方法では、書き込みから長期間が経過して大きくメモリ素子の出力電圧が低下していると、リフレッシュ動作で書き込むための正常な情報をメモリ素子群から読み出すことができないという問題があった。このため、書き込みから長期間が経過したメモリ素子に対してリフレッシュ動作を行うことができず、結果として正常に情報を読み出すことができないという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、長期間の放電により出力電圧が低下した場合であっても情報を正常に読み出すことができる記憶媒体、記憶媒体再生装置、記憶媒体再生方法および記憶媒体再生プログラムを提供することを目的とする。
本発明は、記憶媒体において、電荷量の3つの閾値のうち、最小または最大の値の閾値である第1の閾値を挟む2つの符号に関連付ける電荷量の差を、前記第1の閾値以外の閾値を挟む2つの符号に関連付ける電荷量の差より大きくし、前記3つの閾値に対する電荷量の大小で定まる4つの範囲に対し、隣接する符号間のハミング距離が1となるように関連付けられた2ビットの符号を表すための記憶素子を、複数備えることを特徴とする。
本発明によれば、読出した情報に誤りが存在する場合に、メモリ素子に記憶された符号を判定するための閾値を変更して再度情報を読み出すことができる。このため、放電が進んだメモリ素子であっても、正常に情報を読み出すことができるという効果を奏する。
第1の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態における記憶部を構成するメモリ素子の等価回路の一例を示す説明図である。 第1の実施の形態におけるメモリ素子の電荷量分布の一例を示した説明図である。 閾値生成部の詳細な構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態における情報読出し処理の全体の流れを示すフローチャートである。 第2の実施の形態における記憶部を構成するメモリ素子の等価回路の一例を示す説明図である。 第2の実施の形態におけるメモリ素子の電荷量分布の一例を示した説明図である。 第2の実施の形態における情報書込み処理の全体の流れを示すフローチャートである。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる記憶媒体、記憶媒体再生装置、記憶媒体再生方法および記憶媒体再生プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置は、読出した2ビットの情報の誤りをビットごとに検出し、誤りが検出された場合に、メモリ素子に記憶された符号を判定するための閾値を変更して再度情報を読み出すものである。
図1は、第1の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置100の構成を示すブロック図である。同図に示すように、記憶媒体再生装置100は、記憶部110と、誤り検出符号生成部101と、誤り訂正符号生成部102と、書込み制御部103a〜103eと、比較部104a〜eと、誤り訂正部105と、誤り検出部106と、閾値生成部107とを備えている。
記憶部110は、予め定められた電荷量の閾値に対する電荷量の大小により情報を記憶するメモリ素子であり、フラッシュメモリ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの一般的に利用されている半導体メモリにより構成することができる。記憶部110は、3つの閾値を有し、“00”、“01”、“11”、“10”の4値を記憶する4値のメモリ素子である。
記憶部110は、情報記憶部110aと、B0誤り検出符号記憶部110bと、B1誤り検出符号記憶部110cと、B0誤り訂正符号記憶部110dと、B1誤り訂正符号記憶部110eとを備えている。情報記憶部110aは、4値メモリ素子であるメモリセルを複数備えた記憶部であり、記憶部110に記憶する情報そのものを格納する記憶部である。
B0誤り検出符号記憶部110bおよびB1誤り検出符号記憶部110cは、4値メモリ素子であるメモリセルを備えた記憶部であり、記憶する情報に対応する誤り検出符号を格納する。
この際、B0誤り検出符号記憶部110bは、記憶する情報を表す2ビットの符号のうち、右のビット(以下、ビットB0という。)のみから算出した誤り検出符号を格納する。同様に、B1誤り検出符号記憶部110cは、記憶する情報を表す2ビットの符号のうち、左のビット(以下、ビットB1という。)のみから算出した誤り検出符号を格納する。
B0誤り訂正符号記憶部110dおよびB1誤り訂正符号記憶部110eは、4値メモリ素子であるメモリセルを備えた記憶部であり、記憶する情報に対応する誤り訂正符号を格納する。この際、B0誤り訂正符号記憶部110d、B1誤り訂正符号記憶部110eは、それぞれビットB0、ビットB1から算出した誤り訂正符号を格納する。
図2は、第1の実施の形態における記憶部110を構成するメモリ素子の等価回路の一例を示す説明図である。同図の(a)〜(c)は4値のメモリ素子の等価回路を表し、いずれの構成であっても本実施の形態の記憶部110に適用することができる。
同図に示すように、(a)〜(c)の等価回路は、いずれも異なる極性の電流を発生することができる2つの電源EpおよびEmを有しており、コンデンサCmに正負の電荷を蓄えることができる点で共通する。
なお、同図の右側の回路は、後述する比較部104a〜eの等価回路を示しており、同図の左側の回路が電荷を蓄積するメモリ素子の等価回路を示している。また、同図では、1つのメモリ素子だけを表しているが、実際の記憶部110は、このようなメモリ素子を複数並列に備えている。すなわち、複数のメモリ素子の一部が情報記憶部110aに相当し、それ以外の部分が、B0誤り検出符号記憶部110b、B1誤り検出符号記憶部110c、B0誤り訂正符号記憶部110d、およびB1誤り訂正符号記憶部110eに相当し、全体として記憶部110を構成している。
4値のメモリ素子の場合、蓄積した電荷量をコンパレータによって3つの閾値と比較することにより、ビットB0およびビットB1の2ビットの情報を出力することができ、これによって4値の情報(01、00、10、11)を格納している。
同図に示すような等価回路で表せるメモリ素子としては、EEP−ROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、DRAM等が存在する。このようなメモリ素子は、同図のコンデンサCmに蓄えた電荷の量で情報を表現する。抵抗Rdは比較的低抵抗であるが、抵抗RGはデバイス構成上生じる寄生的抵抗であり高い値の抵抗である。
このメモリ素子に対する情報の記憶は、スイッチSWmまたはスイッチSWpをオンにして規定量の電荷をコンデンサCmに充電することによって行う。例えば、4値(2ビット)を記憶する場合は、負の電荷を符号“10”に、正の電荷の満充電時の電圧を基準として、符号“11”が0%、符号“01”が50%、符号“00”が100%のように電荷量を規定する。そして、記憶する符号に応じてスイッチSWmまたはスイッチSWpをオンにする時間を調節することにより蓄積する電荷量を制御し、情報を記憶する。
なお、各符号に割り当てる電荷量は上記割合に限られるものではなく、メモリ素子の特性に応じて増減するように構成してもよい。また電荷量の調節方法は上記例に限られるものではなく、予め規定した電荷量を蓄えるように調整する方法であればどのような方法でもよい。
読出しの際には、スイッチSWrをオンにし、予め定められた閾値電圧と比較することによって各符号を判定する。判定が終了したらスイッチSWrをオフにする。なお、同図の(c)の構成の場合は、デコーダから必要な閾値を設定しコンパレータCmpにおける比較の際に使用する。また、後述するように3つの閾値のうち1つは、例えば“0”のように固定の値として比較に用いることができるため、これ以外の2つの閾値Eth0、Eth1を予め定めて比較に使用する。
第1の実施の形態では、多数のメモリ素子に対し並列に情報を記憶再生する。多数のメモリ素子に情報の記憶を行うと製造上の理由からメモリ素子同士の特性のばらつきが生ずる。
図3は、第1の実施の形態におけるメモリ素子の電荷量分布の一例を示した説明図である。同図の左側は、書き込み直後の電荷量分布を表し、同図の中央は、時間経過後の電荷量分布を表している。同図の右側は、さらに時間が経過した後の電荷量分布を示している。なお、Eth0、Eth1は電荷量の閾値を表している。
同図に示すように、情報記憶直後の各メモリ素子の電荷量はある程度の幅の範囲に分布するため、各符号を分離する閾値電圧はこの分布を勘案して決定すればよい。ところが、時間経過や情報の読出しに伴い、抵抗RGや抵抗RLにより徐々にコンデンサCmの電荷が放電され、同図の中央に示すように出力電圧が閾値電圧に接近するメモリ素子が生じる。仮に出力電圧が閾値を超えて低下した場合、そのメモリ素子の符号の値は誤って判別される。
第1の実施の形態では、情報の読出しの誤りが発生した場合、閾値電圧の値を変更して再度読出しを行い、正常に情報が読み出せるまでこれを繰り返す。これにより、時間経過による放電が発生した場合でも正常に情報を読み出すことが可能となる。
なお、同図の(a)および(b)は、閾値の1つを“0”に固定した場合の例を示している。これは、長期間が経過して電荷が放電された後の電荷量を閾値の1つとすれば、電荷が放電された場合であっても出力電圧が当該閾値を超えることがないためである。すなわち、当該閾値を挟む符号“10”と“11”とが判別できなくなる可能性を限りなく小さくすることができるためである。
同図では、長期間が経過して電荷が放電された後の電荷量が“0”である場合の例を示したが、長期間が経過して電荷が放電された後の電荷量が“0”以外の値である場合は、その値を閾値の1つとして設定すればよい。
同図の(a)は、3つの閾値のうち最小の値を有する閾値が“0”であり、その他の2つの閾値Eth0、Eth1が“0”より大きい値に設定された例を表している。また、同図の(b)は、3つの閾値のうち最大の値を有する閾値が“0”であり、その他の2つの閾値Eth0、Eth1が“0”より小さい値に設定された例を表している。
なお、同図(a)、(b)の右側の電荷量の分布では、閾値がEth0、Eth1からEth0’、Eth1’に変更されていることが示されている。これは、読み出した情報に誤りが存在する場合に、後述する閾値生成部107が情報読み出し時に用いた閾値であるEth0、Eth1と異なる値の閾値電圧を生成したことを示す例である。
また、同図に示すように、第1の実施の形態では、電荷量の大きさの順に並べたときに隣接する符号間のハミング距離が1となるように電荷量に対応する符号を設定する。これにより、例えば、ビットB1を判別するための閾値をEth0のみに限定することができる。同時に、ビットB0を判別するための閾値のうち、一方は“0”に固定されるため、もう一方の閾値であるEth1のみを変更することにより、正常に読み出せる閾値を検出することができる。
誤り検出符号生成部101は、情報の書込み処理時に、情報の誤り検出符号を生成するものである。誤り検出符号の生成方法は、記憶する情報が誤っているか否かを検出できる検出符号を生成する方法であれば、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号(CRC16、CRC32等)、チェックサムなどの従来から用いられているあらゆる方法を適用することができる。
なお、誤り検出符号生成部101は、情報を表す2ビットの符号を構成するビット(ビットB0およびビットB1)ごとに誤り検出符号を生成する。例えば、ビットB0の誤り検出符号を算出する場合は、情報記憶部110aに格納する複数の情報を表す2ビットの符号から、それぞれビットB0を取り出し、取り出した複数のビットから誤り検出符号を算出し、B0誤り検出符号記憶部110bに記憶する。これにより、ビットB1群とビットB0群で独立に誤りが含まれているかどうかの検査が可能になる。
誤り訂正符号生成部102は、情報の書込み処理時に、記憶する情報と、誤り検出符号生成部101が生成した誤り検出符号とを合わせた情報から、誤り訂正符号を生成するものである。誤り訂正符号の生成方法は、即時誤り訂正が可能な方法であれば、BCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号、RS(Reed-Solomon)符号などの従来から用いられているあらゆる方法を適用することができる。
なお、誤り訂正符号生成部102は、情報を表す2ビットの符号を構成するビット(ビットB0およびビットB1)ごとに誤り訂正符号を生成する。例えば、ビットB0の誤り訂正符号を算出する場合は、記憶する情報と、誤り検出符号生成部101が生成した誤り検出符号とを合わせた情報を表す2ビットの符号から、それぞれビットB0を取り出し、取り出した複数のビットから誤り訂正符号を算出し、B0誤り検出訂正記憶部110dに記憶する。
また、記憶媒体再生装置100は、誤り訂正を行わず、誤り検出だけを行うように構成してもよい。この場合は、誤り訂正符号生成部102、誤り訂正符号記憶部110d、後述する誤り訂正部105は不要となる。
誤り検出符号生成部101および誤り訂正符号生成部102が生成した誤り検出符号および誤り訂正符号は、記憶する情報とともに記憶部110を構成するメモリ素子群に記憶される。なお、例えば、誤り検出にCRC16を用い、BCH符号を用いて訂正符号を含めて4ビットまでの誤りの訂正を行うとすると、誤り検出に16ビット、誤り訂正に48ビットが必要となる。すなわち、誤り検出符号記憶部110bに必要な記憶容量は16ビットであり、誤り訂正符号記憶部110dに必要な記憶容量は48ビットとなる。
情報記憶部110aに2048ビットの情報を記憶する場合は、記憶部110を構成するメモリ素子群は、記憶する情報、誤り検出符号および誤り訂正符号を記憶する容量として2112ビット(=2048+16+48)が必要となる。
なお、このような記憶部110を並列に並べ、記憶部110以外の構成を共通で使用することにより、大容量の記憶装置を実現するように構成してもよい。すなわち、記憶する情報と誤り検出符号と誤り訂正符号とを1単位(例えば2112ビット)としたメモリ素子群を複数個並列に配置し、書込み処理および読出し処理時には、書き込み制御部103a〜103eや比較部104a〜eを切替えて接続するように構成する。
書込み制御部103a〜103eは、記憶部110に対する情報、誤り検出符号、誤り訂正符号の書込み処理を制御するものである。なお、書込み制御部103a、103b、103c、103d、103eは、それぞれ情報記憶部110a、B0誤り検出符号記憶部110b、B1誤り検出符号記憶部110c、B0誤り訂正符号記憶部110d、B1誤り訂正符号記憶部110eに対して書込み処理を行う。
比較部104a〜eは、3つの閾値電圧と、記憶部110に記憶された電荷量とを比較することにより記憶部110から情報を読み出すものである。以下では、3つの閾値をまとめて閾値群と呼ぶ。閾値電圧の初期値は、書き込み直後に正常に符号が判別できる値を用いる。
なお、比較部104a、104b、104c、104d、104eは、それぞれ情報記憶部110a、B0誤り検出符号記憶部110b、B1誤り検出符号記憶部110c、B0誤り訂正符号記憶部110d、B1誤り訂正符号記憶部110eから情報を読み出す。
後述する誤り検出部106により読み出した情報に誤りが存在することが検出された場合、比較部104a〜eは、後述する閾値生成部107により生成された新たな閾値電圧を用いて、再度記憶部110に記憶された電荷量と比較して情報を読み出す。
誤り訂正部105は、比較部104dまたは比較部104eが読み出した誤り訂正符号を用いて、情報記憶部110aから読み出した情報と、B0誤り検出符号記憶部110bおよびB1誤り検出符号記憶部110cから読み出した誤り検出符号とを合わせた情報に対する誤り訂正処理を行うものである。誤り訂正では、BCH符号、RS符号を用いた誤り訂正などの従来から用いられているあらゆる誤り訂正技術を適用することができる。
誤り検出部106は、比較部104bおよび比較部104cが読み出して誤り訂正部105が訂正した誤り検出符号を用いて、比較部104aが読み出して誤り訂正部105が訂正した情報に誤りが含まれているか否かを判断するものである。
この際、誤り検出部106は、符号のビットごとに誤りを検出することができる。すなわち、ビットB0に対しては、B0誤り検出符号記憶部110bに記憶されている誤り検出符号を用いて、情報を表す符号のうちビットB0に存在する誤りを検出することができる。また、ビットB1に対しては、B1誤り検出符号記憶部110cに記憶されている誤り検出符号を用いて、情報を表す符号のうちビットB1に存在する誤りを検出することができる。
誤り検出では、CRC符号、チェックサムなどを用いた誤り検出などの従来から用いられているあらゆる誤り検出技術を適用することができる。なお、誤り訂正を行わない構成の場合は、誤り検出部106は、比較部104aが読み出した情報に誤りが含まれているか否かを判断する。
閾値生成部107は、誤り検出部106が読み出した情報を表す符号の任意のビットに誤りが存在することを検出した場合に、誤りが存在するビットに対応する閾値を、読み出す際に用いた閾値群における値と異なる値に変更して、3つの閾値の値を含む新たな閾値群を生成するものである。
例えば、図3(a)に示すように電荷と符号が対応づけられているとすると、ビットB1の判定に用いる閾値はEth0のみであるので、ビットB1に誤りが検出された場合、Eth0のみを変更して新たな閾値群を生成する。一方ビットB0の判定に用いる閾値は2つ存在するが、このうち1つは固定値“0”であるので、ビットB0に誤りが検出された場合、もう一方の閾値であるEth1のみを変更して新たな閾値群を生成する。このように、誤りの存在するビットに対応する1つの閾値のみを変更するため、正しく情報を読み出すことのできる閾値の検出処理を高速に行うことができる。
なお、閾値生成部107は、初回の読み出し時には書き込み直後に正常に符号が判別できる閾値電圧の初期値を生成する。
図4は、閾値生成部107の詳細な構成を示すブロック図である。同図に示すように、閾値生成部107は、閾値生成制御部401と、レジスタ402と、ROM(Read Only Memory)403と、D/A(Digital/Analog)コンバータ404と、を備えている。
閾値生成制御部401は、閾値生成処理を制御する制御部である。レジスタ402は、現在使用している閾値電圧の値を記憶する記憶部である。ROM403は、予め定められた閾値電圧の初期値を記憶する記憶部である。なお、閾値電圧の初期値を記憶する記憶部は、閾値生成部107の外部に備えるように構成してもよい。D/Aコンバータ404は、ROM403に記憶された閾値電圧の値を比較部104a〜104cが比較に用いることができるようにアナログ信号に変換して出力するものである。
閾値生成制御部401は、誤りが検出された場合に、レジスタ402に記憶された現在の閾値電圧の設定値を参照し、この設定値と異なる値を生成してレジスタ402に記憶する。
閾値生成制御部401が閾値電圧を生成する方法としては、誤りを検出したときに用いた閾値電圧と異なる値の閾値電圧を生成するものであれば、あらゆる方法を適用することができる。
例えば、図3(a)に示す例では、閾値Eth0、Eth1は、電荷量の最小値0と最大値Epとの間の値を取るため、この間の値であって、誤りを検出したときに用いた閾値電圧と異なる値を生成するように構成することができる。
また、例えば、閾値Eth0は閾値Eth1より小さい値であるため、電荷量の最小値0と閾値Eth1との間の値であって、誤りを検出したときに用いた閾値電圧と異なる値を生成するように構成してもよい。
一方、閾値Eth1は、閾値Eth0より大きい値であるため、閾値Eth0と電荷量の最大値Epとの間の値であって、誤りを検出したときに用いた閾値電圧と異なる値を生成するように構成してもよい。
また、閾値生成制御部401が、上述のような区間の値から新たな閾値電圧を決定する方法としては、例えば、無作為に抽出する方法や、一定の値を加算または減算して算出する方法などのあらゆる方法を適用することができる。
さらに、電荷の放電により電荷量の絶対値が小さくなっていく特性を考慮し、例えば図3(a)の例では、誤りを検出したときに用いた閾値電圧より小さい値を算出するように構成してもよい。この際、経過時間と電荷の放電特性に応じて適切な値を減算するように構成してもよい。
図3(b)の例の場合は、電圧の極性が(a)と異なるため、誤りを検出したときに用いた閾値電圧より大きい値を算出するように構成すればよい。また、(a)の例と同様に、経過時間と電荷の放電特性に応じて適切な値を加算するように構成してもよい。
なお、誤り検出や誤り訂正を適用する関係上、これらのメモリ素子群に含まれる各メモリ素子の読出し回数は同一となる。そのため、蓄積電荷の放電量はメモリ素子群内のメモリ素子内ではほとんど差がないと考えてよいので、同一のメモリ素子群内のメモリ素子に対しては同一の閾値電圧を用いる。
次に、このように構成された第1の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置100による情報読出し処理について説明する。図5は、第1の実施の形態における情報読出し処理の全体の流れを示すフローチャートである。
まず、閾値生成部107が、比較部104a〜eが比較に用いる閾値電圧の初期値をROM403から取得して生成する(ステップS501)。
次に、閾値生成部107は、閾値電圧が生成できたか否かを判断し(ステップS502)、生成できなかった場合は(ステップS502:NO)、比較部104a〜eが、エラーが発生したことを出力し(ステップS503)、情報読出し処理を終了する。
ここで、閾値電圧が生成できないとは、例えば、閾値電圧を減算して新たな閾値電圧を生成したが、閾値電圧が0に達したためこれ以上新たな閾値電圧を生成できない場合などが該当する。
閾値電圧が生成できた場合は(ステップS502:YES)、比較部104a〜eが、閾値生成部107により生成された閾値と比較することにより、記憶部110から符号を読み出す(ステップS504)。
次に、誤り訂正部105が、比較部104dが読み出したビットB0の誤り訂正符号を用いて、ビットB0の誤り訂正処理を実行する(ステップS505)。次に、誤り訂正部105が、比較部104eが読み出したビットB1の誤り訂正符号を用いて、ビットB1の誤り訂正処理を実行する(ステップS506)。
なお、誤り訂正部105は、比較部104aが情報記憶部110aから読み出した情報、および、比較部104b、比較部104cがB0誤り検出符号記憶部110b、B1誤り検出符号記憶部110cから読み出した誤り検出符号を合わせた情報を誤り訂正の対象とする。
次に、誤り検出部106が、誤り訂正部105による誤り訂正処理の結果に対し、ビットB0の誤り検出符号を用いてB0ビットの誤りを検出する(ステップS507)。次に、誤り検出部106が、誤り訂正部105による誤り訂正処理の結果に対し、ビットB1の誤り検出符号を用いてB1ビットの誤りを検出する(ステップS508)。
具体的には、誤り検出部106は、比較部104aが読み出して誤り訂正部105が訂正した情報に対して、比較部104b、比較部104cが読み出して誤り訂正部105が訂正した誤り検出符号を用いて、誤りが存在するか否かを判断する。
次に、誤り検出部106が、ビットB0またはビットB1に誤りが存在するか否かを判断し(ステップS509)、誤りが存在する場合は(ステップS509:YES)、閾値生成部107は、誤りの存在するビットごとに現在の閾値電圧と異なる値の閾値電圧を生成し(ステップS510)、ステップS502以降の処理を繰り返す。
上述のように、ビットB1群とビットB0群とは独立して誤り検出を行うため、ビットごとに対応する閾値を変更して再度読み出しを行っても他方のビットに対応する閾値の変化による影響を排除することができる。
ステップS509で、閾値生成部107が、誤りが存在しないと判断した場合は(ステップS509:NO)、正常に情報を読み出せているため、情報読出し処理を終了する。
このように、第1の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置では、読出した2ビットの情報の誤りをビットごとに検出し、誤りが検出された場合にメモリ素子に記憶された符号を判定するための閾値であって、各ビットに対応する1つの閾値を変更して再度情報を読み出すことができる。このため、放電が進んだメモリ素子であっても、正常に情報を読み出すことができる。これにより、正常に情報を読出し可能な期間と回数を増大させることが可能となる。
また、1つの閾値のみを変更して正常に情報を読み出せる閾値を検出することができるため、すべての閾値を変更して妥当な閾値を検出する場合に比べて、高速に妥当な閾値を検出することができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、正負の電荷を蓄積することのできるメモリ素子を用い、閾値の1つを“0”に固定することにより、読み出し時に誤りが検出されたときの正常な閾値の判別処理を高速化していた。正負のうち一方の電荷のみを蓄積することのできるメモリ素子であっても、閾値の1つを固定にすることができれば、同様の効果を得ることができる。
第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置は、最小または最大の値の閾値について、放電により電荷量の値が当該閾値を超えて読み出し時に誤りが発生するまでの時間が、その他の閾値を超えて誤りが発生するまでの時間より大きくなるようにメモリ素子に電荷を蓄積し、読み出し時に誤りが検出された場合には、最小または最大の値の閾値を固定として新たな閾値を生成して再度情報を読み出すものである。
第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置の構成は、第1の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置の構成を示すブロック図である図1と同様であるので、その説明を省略する。第2の実施の形態では、記憶部110を構成するメモリ素子の構成が、第1の実施の形態と異なっている。
図6は、第2の実施の形態における記憶部110を構成するメモリ素子の等価回路の一例を示す説明図である。
第1の実施の形態と同様に、右側の回路は、比較部104a〜eの等価回路を示しており、左側の回路が電荷を蓄積するメモリ素子の等価回路を示している。
同図に示すように、第2の実施の形態におけるメモリ素子は、1つの電源Epのみを有している。このメモリ素子に対する情報の記憶は、例えば、満充電時のコンデンサCmの両端の電圧を基準として、符号“11”が0%、符号“10”が33%、符号“00”が67%、符号“01”が100%のように電荷量を規定する。そして、記憶する符号に応じてスイッチSWcをオンにする時間を調節することにより蓄積する電荷量を制御し、情報を記憶する。
このように蓄積された電荷量をコンパレータによって3つの閾値(Eth0、Eth1、Eth2)と比較することにより、ビットB0およびビットB1の2ビットの情報を出力することができ、これによって4値の情報(01、00、10、11)を格納している。
図7は、第2の実施の形態におけるメモリ素子の電荷量分布の一例を示した説明図である。同図の左側は、書き込み直後の電荷量分布を表し、同図の中央は、時間経過後の電荷量分布を表している。同図の右側は、さらに時間が経過した後の電荷量分布を示している。なお、Eth0、Eth1、Eth2は電荷量の閾値を表している。
第2の実施の形態では、ビットB0を判別するための閾値の1つであるEth0を固定として符号の読み出しを行うことができるようにするため、Eth0を挟む2つの符号“10”および“11”に対応する電荷量の差が大きくなるように電荷を蓄積する。
これにより、符号“11”に対応する電荷量がEth0を超えて誤って符号“10”と判定する誤りが発生するまでの時間が、符号“01”または符号“00”に対応する電荷量が閾値であるEth1またはEth2を超えて読み出し時に誤りが発生するまでの時間より大きくなる。
すなわち、長期間が経過して電荷が放電された場合であっても、出力電圧がEth0を超える可能性を低くすることができる。従って、ビットB0に誤りが検出された場合に、ビットB0に対応するもう一方の閾値であるEth2のみを変更して正しい閾値を検出することが可能となる。
Eth0を挟む2つの符号“10”および“11”に対応する電荷量の差が大きくなるように電荷を蓄積するためには、情報書込み時にスイッチSWcをオンにする時間を適切に調整する必要がある。
以下に、このように構成された第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置における情報書込み処理について説明する。図8は、第2の実施の形態における情報書込み処理の全体の流れを示すフローチャートである。
まず、誤り検出符号生成部101が、書込む情報に対する誤り検出符号を生成する(ステップS801)。誤り検出符号生成部101は、例えば、CRC16などの誤り検出符号を生成する。
次に、誤り訂正符号生成部102が、書込む情報、および誤り検出符号生成部101が生成した誤り検出符号を合わせた情報から、誤り訂正符号を生成する(ステップS802)。誤り訂正符号生成部102は、例えば、BCH符号またはRS符号などの誤り停止絵符号を生成する。
次に、書込み制御部103a〜103eが、書込む符号に応じて予め定められた電荷量となるように印加電圧と印加時間を決定する(ステップS803)。例えば、印加電圧を一定とした場合、閾値Eth0を挟む符号“10”に対応する電荷量と、符号“11”に対応する電荷量の差が、他の閾値(Eth1、Eth2)を挟む符号間の電荷量の差よりも大きくなるように印加時間、すなわち、スイッチSWcをオンにする時間を決定する。
次に、書込み制御部103a〜103eが、決定した印加電圧、印加時間で情報、誤り検出符号、誤り訂正符号を記憶部110に書込み(ステップS804)、情報書込み処理を終了する。
次に、このように構成された第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置における情報読出し処理について説明する。
第1の実施の形態では、ビットB0に誤りが検出された場合、ビットB0を判別するための閾値の一方が“0”で固定であるため、もう一方の閾値であるEth1を変更して(ステップS510)、再度読み出しを行っていた。また、ビットB1に誤りが検出された場合、ビットB1を判別するための閾値であるEth0を変更して再度読み出しを行っていた。
これに対し、第2の実施の形態では、ビットB0に誤りが検出された場合、ビットB0を判別するための閾値の一方であるEth0を固定値として扱うことができるため、もう一方の閾値であるEth2を変更して再度読み出しを行う点が、第1の実施の形態と異なっている。
これ以外の点では、第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置による情報読出し処理は、第1の実施の形態と同様である。すなわち、第2の実施の形態における情報読出し処理の全体の流れは、第1の実施の形態における情報読出し処理の全体の流れを示すフローチャートである図5と同様であるので、その説明を省略する。
このように、第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置では、情報書込み時に電圧を印加する時間等を調整することにより、閾値を挟む符号に対応する電荷量の差が大きい閾値、すなわち、放電により読み出し時に誤りが発生するまでの時間が大きい閾値を設け、当該閾値を固定として正しく情報を読み出せる閾値を検出することができる。このため、すべての閾値を変更して妥当な閾値を検出する場合に比べて、高速に妥当な閾値を検出することができる。
なお、第1または第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置で実行される記憶媒体再生プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
第1または第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置で実行される記憶媒体再生プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(Compact Disk Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、第1または第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置で実行される記憶媒体再生プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、第1または第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置で実行される記憶媒体再生プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
第1または第2の実施の形態にかかる記憶媒体再生装置で実行される記憶媒体再生プログラムは、上述した各部(誤り検出符号生成部、誤り訂正符号生成部、書込み制御部、比較部、誤り訂正部、誤り検出部、閾値生成部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)が上記ROMから記憶媒体再生プログラムを読出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
100 記憶媒体再生装置
101 誤り検出符号生成部
102 誤り訂正符号生成部
103a、103b、103c、103d、103e 書込み制御部
104a、104b、104c、104d、104e 比較部
105 誤り訂正部
106 誤り検出部
107 閾値生成部
110 記憶部
110a 情報記憶部
110b B0誤り検出符号記憶部
110c B1誤り検出符号記憶部
110d B0誤り訂正符号記憶部
110e B1誤り訂正符号記憶部
401 閾値生成制御部
402 レジスタ
403 ROM
404 D/Aコンバータ

Claims (1)

  1. 電荷量の3つの閾値のうち、最小または最大の値の閾値である第1の閾値を挟む2つの符号に関連付ける電荷量の差を、前記第1の閾値以外の閾値を挟む2つの符号に関連付ける電荷量の差より大きくし、前記3つの閾値に対する電荷量の大小で定まる4つの範囲に対し、隣接する符号間のハミング距離が1となるように関連付けられた2ビットの符号を表すための記憶素子を、複数備えることを特徴とする記憶媒体。
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