JP2013034725A - ダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】宝石としてのダイヤモンドを評価する際の4つのファクターのうちの1つでるカット(形状)を数値化・可視化し、カット評価に対する客観的な基準を出力するダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法を提供する。
【解決手段】本発明のダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法は、以下の各ステップを実行することによりなる。
(ア)ダイヤモンドの形状を3次元で計測し3次元形状データを取得するステップ
(イ)取得した3次元形状データから形状を復元し、復元した形状に対して模擬光線を照射させて光線の進路をシミュレーションするステップ
(ウ)模擬光線の進路のシミュレーションに基づいてダイヤモンドカットの善し悪しを評価するステップ
(エ)評価結果を出力するステップ
【選択図】図1

Description

本発明は、宝石としてのダイヤモンドを評価する際の4つのファクターのうちの1つであるカット(形状)を数値化・可視化するダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法に関する。
宝石としてのダイヤモンドの価値評価は、以下の4つの基準によって決定され、この評価により、価格が決定される。
(1) カラット(CARAT)…重さ
(2) カラー(COLOUR)…色
(3) クラリティ(CLARITY)…透明度、内包物の有無
(4) カット(CUT)…研磨した後の形
一般的にこの4つの評価基準をあわせて4Cと呼ぶ。上記4つの基準のそれぞれについて以下に簡単に説明する。なお、以下に説明する基準のうち、カラット以外の基準については全世界で統一された基準はないが、一般的に行われている評価基準の代表的なものである。
(1) カラット
カラットは、ダイヤモンドをはじめとする宝石の重さの計量単位であり、1.000ct(ctはカラットの略号)で、0.200gを示す。宝石として用いられるダイヤモンドの重量は0.01ct以下から100ct以上まで幅があるが、0.05ctから1.0ctまでのものが多い。
(2) カラー
カラーは、無色に近いほど、光を透過させるため、希少価値が高いと判断される。カラーの判断は、DからZまでアルファベット順に等級付けによって行う。この等級付けでは、DEFは無色透明のものをいい、GHIJはほぼ無色のものをいう。また、KLMはかすかな黄色のものをいい、N〜Rは非常に薄い黄色のものをいい、S〜Zは薄い黄色のものをいう。
(3) クラリティ
クラリティは、傷や内包物の大きさ、位置及び数によって判定される。最高は「FL(Flawless)」であり、以下「IF(Internally Flawless)」、「VVS(Very Very Slightly)1」「VVS2」「VS(Very Slightly)1」「VS2」「SI(Slightly Included)1」「SI2」「I(Imperfection)1」「I2」「I3」まで、全部で11段階の評価が行われる。
より具体的には、「FL」は10倍に拡大しても内部・外部ともに内包物が見つけられない程度をいい、「IF」は外部には微細なキズが見られるが内部には10倍に拡大しても内包物を見つけられない程度をいう。また、「VVS」は10倍の拡大では、内包物の発見が非常に困難な場合をいい、VSは10倍の拡大では、内包物の発見が困難な場合をいう。また、「SI」は10倍の拡大では内包物の発見が比較的容易だが、肉眼では困難な場合をいい、「I」は内包物が肉眼で容易に発見できる程度をいう。
(4) カット
カットについては、以下のような評価方法が一般的である。
[評価方法1]測定器でダイヤモンドの各部形状の寸法を測定し、理想的なカットの寸法割合にどの位近いかで評価する方法
[評価方法2]測定器でダイヤモンドの各部の寸法を測定し、理想的なブリリアントカットに再カットした場合、削り取られる部分の重さを減点する方法(図12参照)
ここで、ダイヤモンドのカットについてより詳細に説明する。現在、最も美しく輝く型を理論的に見出したカットとして、ブリリアントカットが最も良く知られている。ブリリアントカットが施されたダイヤモンドは、通常58面体(下面の面取りをしない場合は57面体)で構成され、図13に示すように、クラウン、ガードル、パビリオンの3つの部分から構成される。クラウンは、石の上部にあたり、ガードルより上側部分をいう。この部分は、通常ダイヤモンドを鑑賞する部分である。ガードルは、石の側面の部分にあたる上下を隔てる細い境界線をなす部分である。ダイヤモンドの直径の長さはガードルの円周の内側にあたる。パビリオンは、石の下部にあたり、ガードルより下側にあたる部分である。
このような構成のブリリアントカットは次のような特性を有する。すなわち、ブリリアントカットでは、ダイヤモンドのガードルより上の部分に注がれた光は、ダイヤモンド上部に戻っていくように設計されている。すなわち、(ア)ダイヤモンドの表面で反射した光(反射光線)が、上向きに進んでいき、(イ)ダイヤモンドの内部に入射した光(屈折光線)が、屈折や内部反射した後にダイヤモンド上方から放出され、上向きに進んでいくように設計されている。本明細書においては、このようなダイヤモンド上方に放出される光の量を「輝き」と定義する。
ダイヤモンドは基本的に上方から鑑賞するものであり、指輪などのアクセサリーとして用いられる場合も、ガードルより上部のクラウンを見えやすい部分としてデザインされる。従って、カットが悪いと上方から注がれた光が上方に戻らずに、下部に抜ける場合があり、その分、「輝き」が減ることになる。すなわち、ブリリアントカットの目的は、上方から注がれた光を、できるだけ多くダイヤモンド上方に進ませて、宝石としての輝きを最大にすることである。
上記4つの基準に基づく評価のうち、カラット、カラー、クラリティについては、基本的に、現状のダイヤモンドの重さ、色、透明度のそれぞれを評価するものである。これに対して、カットの評価については、評価方法1では、現状のダイヤモンドのカットで、どの程度輝くかを評価したものではなく、理想とされるカットを施した場合とどの程度の差があるかというものに過ぎず、便宜的なものであった。また、評価方法2においても、現状のダイヤモンドが理想的なカットになりうる可能性の評価であった。このように、いずれもダイヤモンドの「輝き」を決定づけるはずの大切な評価であるにもかかわらず、仮想的な評価に留まっていた。
一般の消費者は、通常ダイヤモンドを鑑賞する機会が多いとはいえないため、ダイヤモンドを購入する場合には、販売者の信用に基づいて購入するケースが多い。売買にあたっては、ブランドや販売店、宝石商個人への信用も、もちろん重要であるが、それに加えて誰もが納得できる客観的で標準化された評価方法が重要であることはいうまでもない。
そこで、出願人は、兼ねてよりダイヤモンドのカットの客観的な評価方法を検討しており、その成果として以下のような出願を行った(特許文献1参照)。この出願においては、ダイヤモンドの断面形状のガードルより上部に、コンピュータ内で生成された仮想の模擬光線を入射し、ダイヤモンド内部で屈折した後、ダイヤモンドのどの部分からその模擬光線が出ていくかをシミュレーションし、その結果により、ダイヤモンドのカットを評価する方法を提案した。
より具体的には、まず、ダイヤモンドの断面形状をプロポーション・スコープ等で測定する。次に、断面形状について、コンピュータで以下のシミュレーションを行う。
(1) 断面形状の上方より、ガードルに垂直に論理的な模擬光線を発生させる。
(2) 断面形状に入射後の模擬光線の進み方をシミュレーションする。
(3) 模擬光線のうち、断面形状の上方より出る場合を「輝き」の本数とし、下方に抜ける場合は「輝き」の本数としない。
続いて模擬光線を等間隔にN本発生させ、このうちN´本が輝きとなれば、N´/Nをカットの評価とする。最後に、ダイヤモンドの断面形状を複数方向から計測し、それぞれ模擬光線による上記シミュレーションを実施する。これにより、各結果を総合判断し、より合理的な評価を行う。
特公昭57−199944号公報
上記従来の評価方法では輝きの定量化を、ダイヤモンドの断面を2次元で計測して行うため、シミュレーションにおいて次のような課題があった。まず、光が、ダイヤモンドに入射してから出ていくまで、屈折と反射を同一断面の中(2次元)で進む前提でのシミュレーションとなる。しかしながら、実際の光は、ダイヤモンド内部で屈折・反射した場合、3次元方向のいずれかに進む。
また、ダイヤモンドは、完全な対称形にカットされているとは限らないため、断面形状を測定する際に、測定器への固定の仕方により断面形状が異なり、シミュレーションの結果が変わってしまう。さらに、実際の光線は3次元の全方向からダイヤモンドに入射するが、模擬光線はダイヤモンドの形状を測定した平面(2次元)の中でしか発生させられない。
別の視点として、ダイヤモンドは、常に全体が一様に輝いているのではなく、輝いている部分と輝いていない部分が共存している。その部分ごとの「輝きの変化」が全体として、人に美しさを感じさせる。仮に、人が固定した「輝き」に美しさを感じるのであれば、光を100%反射する鏡に宝石以上の美しさを感じるはずである。
つまり、ダイヤモンドは、ダイヤモンドを細かく動かして、その向きや位置を変えると、そのダイヤモンドから鑑賞者の眼(以下、単に眼と記述されている場合は、鑑賞者の眼である)に届く光の輝きが変化するとともに、光の色の変化も発生する。白色光(波長3800Å〜7800Å)がダイヤモンドに入射すると、屈折により、赤、橙、黄、緑、青、紫などの色に分散される。このような各部分の光の輝きの変化や、光の色の変化もダイヤモンドの価値を創出する要素となっている。ここでは、この輝き及び色の変化を「煌き」(きらめき)と表現する。
「煌き」に対する美しさの感じ方は、鑑賞者の感性によるところが大きく、他のダイヤモンドと比較して評価する場合が多い。ダイヤモンドに接する機会が多い宝石商なども、経験をもとに評価している。また「煌き」は、ダイヤモンドと、当該ダイヤモンドと鑑賞する人の眼の相対的な位置関係(3次元)の変化により発生するため、精確に復元することや定量化することは難しく、また上記従来の技術による2次元でのシミュレーションでは「煌き」の復元は困難であった。
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、宝石としてのダイヤモンドを評価する際の4つのファクターのうちの1つであるカット(形状)を数値化・可視化し、カット評価に対する客観的な基準を出力するダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、ダイヤモンドの3次元形状において光がどのように屈折又は反射するかを、コンピュータを用いて仮想的にシミュレーションしてダイヤモンドのカットの善し悪しを評価するダイヤモンドカットの評価プログラムにおいて、このプログラムは、前記コンピュータに、評価対象となるダイヤモンドの3次元形状をメモリに復元する3次元形状復元機能と、前記復元したダイヤモンド形状のクラウン部分に対して、複数の模擬光線を照射する模擬光線発生機能と、前記複数の模擬光線のそれぞれの進路を、反射及び屈折の法則によりシミュレーションするシミュレーション機能と、シミュレーションした前記模擬光線のうち、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分より上部に向けて放出される模擬光線の数をカウントする模擬光線カウント機能と、照射した全模擬光線数に対する前記カウントした模擬光線の数の割合を算出するシミュレーション結果解析機能と、を実現させることを特徴とする。また、この発明は、請求項9に記載の通り、ダイヤモンドカットの評価方法の発明として捉えることも可能である。
以上の態様では、ダイヤモンドのカットの善し悪しを、ダイヤモンドの3次元形状を元に、これに模擬光線を照射し、輝きのシミュレーションを行うことができるので、従来の2次元でのシミュレーションでは不可能であった、よりダイヤモンド形状に合った合理的で的確なシミュレーションが可能となる。
また、カットの善し悪しを、輝きという観点で、数値化して出力することで、ユーザに対して客観的で合理的なカット評価の方法を提供することができる。特に、シミュレーション結果解析機能により、所定のパターンで放たれる複数本の模擬光線のうち、それぞれ何本がガードル上部に戻るかを算出し、これを割合であらわすことで、客観的でさらに分かり易い結果を出力することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記プログラムは、前記コンピュータに、評価対象となるダイヤモンドの3次元形状を、3次元形状測定器により測定して取得する3次元形状取得機能を実現させることを特徴とする。また、この発明は、請求項10に記載の通り、ダイヤモンドカットの評価方法の発明として捉えることも可能である。
以上の態様では、ダイヤモンドのカットの善し悪しを、3次元デジタイザ等の3次元形状測定器によって読み込み、3次元形状を元に輝きのシミュレーションを行うことができるので、従来の2次元でのシミュレーションに比較して、よりダイヤモンド形状に合った的確なシミュレーションが可能となる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記シミュレーション機能は、照射される模擬光線における、前記復元したダイヤモンドの内部に進む割合と、前記復元したダイヤモンド表面で反射する割合とが、模擬光線の入射角に応じて逆転する角度を逆転角とした場合に、前記複数の模擬光線のそれぞれの進路について、前記復元したダイヤモンド形状の面に対する入射角が前記逆転角以上の場合には前記復元したダイヤモンド表面で反射すると判断し、前記入射角が前記逆転角より小さい場合には前記復元したダイヤモンド内部に進入すると判断し、進入すると判断した場合には、スネルの法則を用いて、当該模擬光線の進行する向きを決定し、さらに、この内部に入射した模擬光線の次に当接する面に対する入射角が臨界角より大きい場合には内部で全反射すると判断し、再びスネルの法則を用いて、当該模擬光線の進行する向きを決定するとともに、次に当接する面に対する入射角と臨界角の大小判断する処理を繰り返し、当該入射角が臨界角以下の場合には、全反射せず前記復元したダイヤモンド内部から外部へ放出されると判断するものであることを特徴とする。また、この発明は、請求項11に記載の通り、ダイヤモンドカットの評価方法の発明として捉えることも可能である。
以上の態様では、模擬光線の進路について、逆転角を境に、ダイヤモンド表面で反射する場合と屈折してダイヤモンド内部に入射する場合との解析方法を変更し、各々についてダイヤモンドから放出されるまで進路シミュレーションを行うことで、模擬光線の進路の的確なシミュレーションが可能となる。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項の発明において、前記プログラムは、前記コンピュータに、前記シミュレーション結果解析機能において算出した割合が大きいほど、評価対象となるダイヤモンドの輝きが大きいと評価する評価機能を実現させることを特徴とする。また、この発明は、請求項12に記載の通り、ダイヤモンドカットの評価方法の発明として捉えることも可能である。
以上の態様では、カットの善し悪しを、放出される模擬光線の数を出力することで、ユーザに対して客観的で合理的なカット評価の方法を提供することができる。特に、シミュレーション結果解析機能により、所定のパターンで放たれる複数本の模擬光線のうち、それぞれ何本がガードル上部に戻るかを算出し、これを割合であらわすことで、客観的でさらに分かり易い結果を出力することができる。
請求項5の発明は、ダイヤモンドの3次元形状において光がどのように屈折又は反射するかを、コンピュータを用いて仮想的にシミュレーションしてダイヤモンドのカットの善し悪しを評価するダイヤモンドカットの評価プログラムにおいて、このプログラムは、前記コンピュータに、評価対象となるダイヤモンドの3次元形状をメモリに復元する3次元形状復元機能と、仮想領域内で、前記復元したダイヤモンドに対して鑑賞者の眼の位置を仮想した視点を設定し、これらの相対的な位置関係を決定する相対位置設定機能と、設定された位置関係において、前記仮想した視点から見た前記復元したダイヤモンドのクラウン部分の形状を2次元で投影し、当該2次元形状を投影クラウン形状として特定するクラウン形状作成手段と、前記投影クラウン形状に対して、前記視点から複数の模擬光線を照射する逆模擬光線発生機能と、前記複数の模擬光線のそれぞれの進路を、反射及び屈折の法則によりシミュレーションするシミュレーション機能と、シミュレーションした前記模擬光線のうち、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分より上部に向けて放出される模擬光線を、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分から入射した光線が前記視点に届く光線であるとして記憶する到達模擬光線記憶機能と、を実現させることを特徴とする。また、この発明は、請求項13に記載の通り、ダイヤモンドカットの評価方法の発明として捉えることも可能である。
以上の態様では、ダイヤモンドと、鑑賞者の視点位置を特定し、これらの相対的位置関係を決定し、鑑賞者の視点から投影されるダイヤモンドのクラウン部分の形状、すなわち投影クラウン形状に向けて模擬光線を照射する。ここで、光線は、放出側から入射側に向かって、逆の光を入射させると、入射側から放出側に向かう光線の進路と同一の進路を進む。すなわち、視点側からダイヤモンドに向けて模擬光線を照射した場合の進路の逆を辿れば、クラウン上部から入射した光が眼(視点側)に到達しうる進路と同一の進路となる。したがって、視点から発射した模擬光線が、ダイヤモンドのクラウン部分から放出されれば、その模擬光線は、外部からダイヤモンドに入射し、視点に向かって出射されることとなる。これにより、ダイヤモンドと鑑賞者の視点との相対的位置関係を複数設定し、それらについて、模擬光線でのシミュレーションを行うことで、所定の視点から見て、どの部分が光り、どの部分が光らないかを判別することができる。したがって、これを例えば、表示手段のディスプレイなどでダイヤモンドに対する視点を変更可能な態様で表示すれば、視点ごとのダイヤモンドの輝き方(明度・色彩)の違いにより、「煌めき」の度合を把握することができる。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記相対位置設定機能は、前記復元したダイヤモンドと前記仮想した視点との相対的な位置を、所定の間隔で複数設定するものであり、記複数の位置の各々について、前記逆模擬光線発生機能、シミュレーション機能及び到達模擬光線記憶機能が実行されることを特徴とする。また、この発明は、請求項14に記載の通り、ダイヤモンドカットの評価方法の発明として捉えることも可能である。
以上の態様では、ダイヤモンドと鑑賞者の視点との相対的位置関係を複数設定し、それらについて、模擬光線でのシミュレーションを行うことで、例えば、表示手段のディスプレイなどでダイヤモンドに対する視点を変更可能な態様で表示すれば、ダイヤモンドの輝き方(明度・色彩)の違いにより、「煌めき」の度合を把握することができる。
請求項7の発明は、請求項5又は6の発明において、前記逆模擬光線発生機能は、発生させる模擬光線の波長を変更する波長変更機能を含み、この波長変更機能は、可視光の範囲で、模擬光線の波長を複数設定するものであり、前記模擬光線の複数の波長の各々について、前記シミュレーション機能及び前記到達模擬光線記憶機能が実行されることを特徴とする。また、この発明は、請求項15に記載の通り、ダイヤモンドカットの評価方法の発明として捉えることも可能である。
以上の態様では、3800Å〜7800Åで構成される可視光は、当然のことながら、波長によりその色や屈折率が異なるため、視点側から入射した光が波長によっては、ダイヤモンドのクラウンの下側から放出されることもある。そこで、所定の範囲で、複数の波長について、シミュレーションを行うことで、視点側から見た場合の輝きだけでなく、色も再現でき、色の変化による煌めきを再現することができるようになる。
請求項8の発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記プログラムは、前記コンピュータに、前記相対位置設定機能における仮想の視点から見た、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分の領域を複数のエリアに分割するクラウン領域分割機能を実現させるものであり、前記複数の各エリアについて前記逆模擬光線発生機能、シミュレーション機能及び到達模擬光線記憶機能が実行されることを特徴とする。また、この発明は、請求項16に記載の通り、ダイヤモンドカットの評価方法の発明として捉えることも可能である。
以上の態様では、ダイヤモンドと鑑賞者の視点から投影されるダイヤモンドのクラウン部分の形状全体を複数のエリアに分け、エリアごとに、模擬光線の進路シミュレーションを行うことで、ダイヤモンドから放出される光の分布がより細かく判明し、ダイヤモンドの煌めきをより詳細に表現することができるようになる。
以上のような本発明によれば、宝石としてのダイヤモンドを評価する際の4つのファクターのうちの1つであるカット(形状)を数値化・可視化し、カット評価に対する客観的な基準を出力するダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法に係るブロック図。 本発明の第1の実施の形態に係る模擬光線パターンを示す模式図。 本発明の第1の実施の形態に係る模擬光線の出射ケースを示す模式図。 本発明の第1の実施の形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法に係るブロック構成図。 本発明の第1の実施の形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法に係る処理の概要を示すフローチャート図。 本発明の第1の実施の形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法に係るシミュレーション処理を示すフローチャート図。 本発明の第2の実施の形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法の概念を示す模式図。 本発明の第2の実施の形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法に係るブロック構成図。 本発明の第2の実施の形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法に係るシミュレーション結果の出力画面例を示す図。 本発明の第2の実施の形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法に係るシミュレーション処理を示すフローチャート図。 本発明の第2の実施の形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法に係る色計算処理を示すフローチャート図。 従来のダイヤモンドにおけるカットの評価のイメージを示す図。 ダイヤモンドのブリリアントカットにおける各部の名称を示す図。 ダイヤモンドの入射角に対する反射光と屈折光の関係を示す図。
以下、本発明の実施の形態(以下、本実施形態という。)について、図面を参照しながら説明する。なお、図1に示す図は、本実施形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法をコンピュータに実行させて、所定の機能を発揮させるための仮想的ブロック構成及びその周辺のハードウェア構成を示すものである。また、従来と同様の構成については、適宜説明を省略する場合がある。
[1.第1実施形態]
(1)第1実施形態の概要
本実施形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法は、概略すると、以下の(ア)〜(エ)の各ステップを実行することによりなるものである。
(ア)ダイヤモンドの形状を3次元で計測し3次元形状データを取得するステップ
(イ)取得した3次元形状データから形状を復元し、復元した形状に対して模擬光線を照射させて光線の進路をシミュレーションするステップ
(ウ)模擬光線の進路のシミュレーションに基づいてダイヤモンドカットの善し悪しを評価するステップ
(エ)評価結果を出力するステップ
なお、ここでいう評価とは、主として、ダイヤモンドカットに関するシミュレーションの結果を、数値化又は定量化して客観的なデータとして提示することをいう。
本実施形態のダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法では、上記の通り、形状の測定及び形状データの形状取得ステップ、形状に模擬光線をシミュレーションするシミュレーションステップ、シミュレーション結果に基づいてカットを評価する評価ステップ、これを客観的データとして出力する出力ステップの4つのステップから構成される。そこで、以下、それぞれのステップについて、いかなる構成によってコンピュータを機能させ、評価方法を実行するかについて、図1のブロック図等を参照して具体的に説明する。
(2)各ステップの構成
(2−1)ダイヤモンドの形状データ取得ステップ
本実施形態に係るダイヤモンドカットの評価方法を実施するためには、評価対象のダイヤモンドの3次元形状を実測して数値化することが必要である。このステップでは、3次元形状計測器1を用いて3次元形状取得手段21により、ダイヤモンドの形状についてカットを構成する各面(ブリリアントカットであれば58面)の位置情報を3次元データとして取得するものである。
ここで、物体の3次元形状を計測する方法には、一般的に接触方式と非接触方式が知られている。本実施形態の計測対象であるダイヤモンドは、大抵の場合は0.05ctから1.0ctまでのものが一般的で、その体積が1立方cm以下で小さいため、非接触方式が適している。
非接触方式の計測器として、レーザ光線を使った3次元デジタイザ(3Dスキャナともいう)が普及しており、これを用いることができる。3次元デジタイザとしては、例えば、コニカミノルタセンシング株式会社の「非接触3次元デジタイザ KONICA MINOLTA RANGE7」や株式会社キーエンスの「高精度形状測定システムKS−1100シリーズ」などを用いることができる。また、宝石の形状測定に特化したデジタイザ(すなわち、専用品)の製品化も可能である。
ただし、ダイヤモンドは透明度が高いため、レーザ光が表面で反射せずに透過してしまい、そのままでは計測困難である。そこで、レーザ光線を使った3次元デジタイザで、透過性のあるダイヤモンドを計測する方法として、次の2つがある。
一つは、測定対象のダイヤモンド表面に、レーザ光を反射させるパウダー(厚さ数ミクロン)を塗布して計測する方法である。この方法は、透過性物体を計測する際に行われている。なお、ダイヤモンドをパウダーで被うと、数ミクロンの皮膜分の誤差が生じるが、現在使われている宝石用ノギス(寸法測定器)の測定誤差は20〜30ミクロンであり、それと比較した場合、この程度の誤差は許容範囲といえる。
もう一つは、測定対象のダイヤモンドの型をとり、その凹形部分を測定する方法である。これは透過性の大きい物体の計測において有効な手法である。型取りには、公知の宝石型取用シリコンゴム等を利用することができる。
以上のような3次元計測器及び計測方法を用いて、読み込まれるダイヤモンドの3次元形状データについて、3次元形状取得手段21は、3次元形状計測器1から入力される3次元データを取得し、記憶手段3に記憶する。なお、この記憶手段3は、ハードディスク等の補助記憶手段を構成するストレージと、情報を一時的に取り出して記憶するメインメモリとの両方の意義を含むものである。したがって、3次元形状取得手段21は、メインメモリに3次元形状を一時的に記憶して、CPUによってそれを読み出して処理を実行してもよいし、補助記憶装置からキャッシュメモリ24に読み出して処理を実行してもよい。以下、メモリといった場合は、これらを区別せずに用いるものとする。
(2−2)模擬光線によるシミュレーションステップ
3次元形状取得手段21により、計測対象のダイヤモンドの3次元形状が取得されると、続いて、この取得した形状に対して、シミュレーション手段22により、模擬光線を発生して照射し、模擬光線の3次元形状における進路をシミュレーションする。
具体的には、シミュレーション手段22は、記憶手段3から3次元形状を読み出し、メモリ内で形状を復元する3次元形状復元手段221と、シミュレーションの条件を設定するシミュレーション条件指定手段222と、復元した3次元形状に対して模擬光線を発生させる模擬光線発生手段223と、発生させた模擬光線の進路に応じて、模擬光線の進路シミュレーションを実行するシミュレーション実行手段224と、シミュレーション結果を解析するシミュレーション結果解析手段225と、を備える。
以下、3次元形状復元手段221、シミュレーション条件指定手段222、模擬光線発生手段223、シミュレーション実行手段224及びシミュレーション結果解析手段225の各々の手段について、個別に説明する。
(2−2−1)ダイヤモンド形状の復元
3次元形状復元手段221は、3次元形状取得手段21により得たダイヤモンドの3次元形状データから、メモリ内に当該ダイヤモンドの形状を復元するものである。なお、以下の記述において、ダイヤモンドと記述されているものは、このメモリ内に復元されたダイヤモンドのことを指す。
3次元形状復元手段221は、形状の復元に際して、後述の模擬光線発生手段223における模擬光線の発生及び照射に当たって、ダイヤモンドのテーブル面がガードルより上に位置するように、ダイヤモンドをガードルで固定した状態で復元を行うものである。
ここでの形状の復元は説明の便宜上やイメージの容易さから、ダイヤモンド全体の形状を読み出し、メモリ上で全体の形状を復元する旨示しているが、本実施形態並びに発明では、必ずしもダイヤモンド全体について行う必要はなく、後述するシミュレーションの各光線の進路にしたがって必要とされる面を、都度読み出して復元する方法も採用することができる。
(2−2−2)シミュレーション条件の指定
シミュレーション条件指定手段222は、模擬光線を発生するに当たり、模擬光線の条件として、以下の4つを定義する。
(1)模擬光線発生パターン
(2)模擬光線特性(波長)
(3)模擬光線生成数(N)
(4)最大内部全反射回数(M)
(1)の模擬光線発生パターンについては、後述するシミュレーションパターン1〜3のいずれかを選択する。(2)の模擬光線特性については、光線の波長に応じて屈曲率が異なるので、本実施形態では選択可能としているが、ここでは、模擬光線として、現在、一般的に宝石鑑定に用いられている波長5893ÅのナトリウムD線を用いて説明する。模擬光線としてナトリウムD線を用いるのは、ナトリウムD線は橙黄色の光で、人間が最も視認し易い555nmの波長に近く、視感度はすべての光源中で最も良いからである。なお、これは最適な実施例を示すもので、いうまでもなく他の波長によってシミュレーションすることも可能である。
(3)の模擬光線生成数については任意の数を設定する。すなわち、ダイヤモンドは、その大きさがまちまちであるが、本実施形態では、後に詳しく述べるように、模擬光線の照射は、パターン1〜3のいずれにおいても、大きさに関わらず所定の均等な密度で行う。そのため、パターン1〜3のいずれかを選択し、これを照射するダイヤモンドの大きさと比較することで、照射される模擬光線の数を算出する。例えば、1平方ミリメートル当たり100本の光線密度とし、これをダイヤモンドの当接する面に対して同一の密度で照射する。
(4)では、光線がダイヤモンドの内部に進入した後、内部で反射しダイヤモンド内部に留まってしまう場合を想定し、シミュレーションにおいてこれを無限に繰り返すのは適切でないため、内部反射回数を所定数に決定し、反射回数がその所定数に達した場合には、当該光線はダイヤモンド内部に留まると判断するものである。例えば、この反射回数を1000回と設定し、ダイヤモンド内部で1000回以上反射する光線を内部に留まるものとして処理する。
(2−2−2)模擬光線の発生
模擬光線発生手段223は、3次元形状復元手段221によってメモリ内に復元されたダイヤモンドに対して、仮想の模擬光線を発生させる手段である。ここで、模擬光線としては、上述の発生条件で設定したとおり、波長5893ÅのナトリウムD線を用いる。
模擬光線発生手段223では、上述のとおり、ダイヤモンドのテーブル面がガードルより上に位置するように、ダイヤモンドをガードルで固定した状態とし、模擬光線はガードルより上の部分(クラウン部分)から入射することを前提とする(図2参照)。
上記を前提として、模擬光線発生手段223における代表的な模擬光線の発生例として、図2(a)〜(c)に示す3つのパターンが考えられる。なお、図2では、便宜上2次元で表しているが、実際には3次元にて実行する。
[パターン1]ダイヤモンドの固定部(ガードル)に対して上方より垂直に、ダイヤモンドをはみ出さない範囲に、均等な密度で発生させる(図2(a)参照)。
[パターン2]ダイヤモンドのガードルより上部の各面に対して外側より各面に垂直に、各面をはみ出さない範囲に、均等な密度で発生させる(図2(b)参照)。
[パターン3]ダイヤモンドのテーブル面に対して上方より垂直に、ダイヤモンドをはみ出さない範囲に、均等な密度で発生させる(図2(c)参照)。
以下、これらの3つのパターンのいずれか1、2又はすべてについて、それぞれ以下の「ダイヤモンド表面」、「ダイヤモンド内部」、「ダイヤモンド外部」の3つの場合において、シミュレーション実行手段224がシミュレーションを実行する。
[模擬光線進路シミュレーション1](ダイヤモンド表面での反射)
シミュレーション実行手段224は、まず、ダイヤモンド外部で発生させた模擬光線が、ダイヤモンド表面に到達してからの進路について、次の2つのルールに基づいて、模擬光線がダイヤモンド表面で反射するか(反射光)、内部に入射するか(屈折光)で場合分けを行う。
(1) ダイヤモンド表面に対する模擬光線の入射角が所定の角度(82°)以上の場合に、ダイヤモンドに向けて発射した光は、ダイヤモンド内部に進まず、反射するものとして扱う。
(2) ダイヤモンド表面に対する模擬光線の入射角が所定の角度(82°)より小さい場合に、模擬光線はダイヤモンド内部に進む。その時に模擬光線が進む向きは、次の入射角rと屈折角sの関係を表す以下のSnellの公式による。
[数1] sin r /sin s =屈折率(≒2.42)
上記(1) について、ダイヤモンド表面に対して照射される光は、2つに分かれる。すなわち、1つはダイヤモンド内部に進み、もう1つはダイヤモンド表面で反射する。この内部に進入する光の量と反射光の量は、入射角によって変化する。すなわち、入射角が垂直に近くなってくると、照射される光の大部分はダイヤモンドの表面を通過して内部に進む。このようにダイヤモンドに照射される光について、ダイヤモンドの内部に進む割合とダイヤモンド表面で反射する割合とが模擬光線の入射角に応じて逆転する角度を「逆転角」として定義し、これを82°と設定する。そして、模擬光線のダイヤモンド表面に対する入射角が逆転角以上の場合は、反射するものと判断する。同様に、(2) について、模擬光線のダイヤモンド表面に対する入射角が逆転角より小さい場合は、当該模擬光線はダイヤモンド内部に入射すると判断する。
ここで、この逆転角を82°と設定したのは、図14に「ダイヤモンドの入射角に対する反射光と屈折光の関係」(ベレーナ パーゲル=タイゼン著、依田光弘訳「ダイヤモンドハンドブック その評価と鑑別法」、発行者:全国宝石協会、発売所:(株)同友館、発行日:昭和52年5月30日、112,113頁より)を示すように、入射角に対する反射光と屈折光との割合が、入射光80°のときに反射光が43.44%、屈折光が56.67%で、入射角89°のときに反射光が89.97%、屈折光が10.03%であり80°と89°との間で、入射光と屈折光の割合が逆転しており(図14(a)参照)、図14(b)に示すように、その角度が大凡82°であることによる。
上記(2) の場合は、ダイヤモンド表面で反射せず、内部に入射する。そこで、上記(2) の場合には、さらに以下のシミュレーション2を行うこととなる。
[模擬光線進路シミュレーション2](ダイヤモンド内部)
シミュレーション実行手段224は、上記シミュレーション1の(2) の場合、ダイヤモンドに入射した模擬光線が、内部で反射し、屈折して進む向きをシミュレーション1の上記2つのルール(1) (2) に基づいてシミュレーションする。
そして、それぞれの模擬光線がダイヤモンド内部から外部に放出されるケースについて、図3に示すとおり、以下の4つのいずれであるかを特定する。
[ケース1]ダイヤモンドのガードルより上部から、水平面に対して上に向かって出て行く。
[ケース2]ダイヤモンドのガードルより上部から、水平面に対して下に向かって出て行く。
[ケース3]ガードルより下部から出て行く。
[ケース4]シミュレーションの結果、模擬光線がダイヤモンド内部で全反射を繰り返し、ダイヤモンド外部に出て行かない。
ここで、ケース1〜4について説明すると、ダイヤモンドのカットは「上方から注がれた光を、できるだけ多くダイヤモンド上方に進ませて、宝石としての輝きを最大にする」という目的に基づいてなされるものであるから、ガードルより上部へ戻らない光は、輝きを構成する要素とならない。これは、ダイヤモンドは、通常ガードル面の上方から鑑賞するのであり、上方に向かうケース1のn1を鑑賞者の眼に届く有効な輝きとすれば良いからである。そこで、以下のステップにおいて輝きを評価する上で、輝き要素として必要なのは、水平面に対して上方に向かって放出されるケース1のみであるとする。
[模擬光線の集計]
シミュレーション結果解析手段225は、ダイヤモンド表面で全反射した模擬光線と、ダイヤモンド内部に入射した後に、外部に放出された模擬光線の数を集計する。すなわち、以下の数N、n1〜n4を算出し、集計する。
発生させた模擬光線の総数:N
ケース1の模擬光線の数をn1
ケース2の模擬光線の数をn2
ケース3の模擬光線の数をn3
ケース4の模擬光線の数をn4
として、それぞれの数を集計する。
なお、N=n1+n2+n3+n4である。
(2−3)輝きの評価ステップ
評価手段23は、前述のシミュレーション結果解析手段225によって出力されたN,n1〜n4の数に基づいて、輝き評価を実行する手段である。この評価手段23は、シミュレーション結果解析手段231と、評価結果出力手段232とを備える。
(2−3−1)輝きの評価
シミュレーション結果解析手段231は、シミュレーション結果解析手段225において解析した模擬光線数Nの数と、輝きとして有効なn1との割合で、輝き評価する手段であり、具体的には、n1/Nの数値が大きいほど輝きが大きいと評価する手段である。
シミュレーション結果解析手段231におけるこの評価は、上述のように、「上方から注がれた光を、できるだけ多くダイヤモンド上方に進ませて、宝石としての輝きを最大にする」という本来のカットの目的に合致するものである。
(2−3−2)輝き特性(ばらつき)を可視化
評価結果出力手段232は、上記のようにしてシミュレーション結果解析手段231により算出された輝き評価の結果を、ディスプレイなどの表示手段4又はプリンタなどの出力手段5に対して出力して可視化する手段である。
宝石としてのダイヤモンドは採掘した原石を一つ一つ研磨して宝石にするため、精確な対象形とは限らず、個々に輝き方のクセがある。すなわち、輝きが明るい部分と暗い部分とが存在する。評価結果出力手段232は、その輝きの特性を可視化する手段である。
出力の具体的な形式として、評価結果出力手段232は、ダイヤモンド表面で全反射した全ての模擬光線と、ダイヤモンド内部に進んだ後にダイヤモンドから放出された全ての模擬光線の進路(3次元)を、平面画像(2次元)にプロットする。
また、評価結果出力手段232の手法として、例えば、図4に示すように、平面画像として、地図の「円筒図法」(図4(a))や「舟形多円錐図法」(図4(b))などの図法を模擬して、平面画像上に輝きの濃淡を表現する。平面上においてプロットが密な部分は輝きが大きく、疎の部分は小さく表現することが可能である。それにより固有の輝きの特性が可視化される。また、同時に、模擬光線数Nの数に対する輝きとして有効なn(図中では「放出模擬光線」又は「放出数」として表現)の数の割合を表示することで、数値で輝き具合を把握できるようにしている。
(3)第1実施形態の作用
以上の構成からなる本実施形態のダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法を実行する手順について説明する。
(3−1)作用の概要
まず、図5のフローチャートに、本実施形態のダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法の作用の概要を示す。3次元形状取得手段21は、3次元形状計測器1によって計測されたダイヤモンドの3次元形状を読み込み、記憶手段3に記憶する(S501)。
続いて、シミュレーション手段22が、3次元形状取得手段21で取得したダイヤモンドの3次元データを復元し、これに模擬光線を照射して当該模擬光線の進路をシミュレーションし、その結果をまとめる(S502)。
このシミュレーション結果に基づき、評価手段23は、シミュレーション結果の評価を行う(S503)。さらに、評価手段23は、この評価結果を、ディスプレイ等の表示手段4や印刷機等の出力手段5に対して出力する(S504)。
(3−2)各作用の詳細
上記の各処理のうち、シミュレーション手段22における模擬光線シミュレーションの処理と、その後のダイヤモンドカットの評価手段23における処理について、より詳しく説明する。
シミュレーション手段22は、図6のフローチャートに示すように、まず、3次元形状復元手段221が、3次元形状取得手段21により得たダイヤモンドの3次元形状データから、メモリ内に当該ダイヤモンドの形状を復元する(S601)。3次元形状復元手段221は、このとき、次工程の模擬光線発生手段223におけるシミュレーションに当たって、ダイヤモンドのテーブル面がガードルより上に位置するように、ダイヤモンドをガードルで固定した状態で復元を行う。
続いて、シミュレーション手段22は、復元した3次元形状に対して、模擬光線を照射し、模擬光線の進路に関するシミュレーションを実行する(S602〜S620)。
すなわち、まず、シミュレーション条件指定手段222が、模擬光線を発生するに当たり、模擬光線の条件指定として、以下の4つを定義する(S602)。
(1)模擬光線発生パターン
(2)模擬光線特性(波長)
(3)模擬光線生成数(N)
(4)最大内部全反射回数(M)
なお、上記(1)〜(4)は構成の項において説明した内容を援用する。
さらに、シミュレーション条件指定手段222は、模擬光線生成数を初期値として「0」にし(S603)、さらに、以降のシミュレーション処理を実行するため、模擬光線生成数を現在の数(「0」)に「+1」として設定する(S604)。続いて、シミュレーション条件指定手段222は、最大内部全反射回数のカウント数Mを、初期値の0として設定する(S605)。
次に、模擬光線発生手段223が、まず、模擬光線生成数Nが、シミュレーション条件指定手段222により定められた所定値になっていないかを確認する(S606)。処理開始時は、上述のように、模擬光線生成数Nは1に設定されているので、ここでは、S606のNOの処理に進む。
これに基づき、模擬光線発生手段223は、シミュレーション条件指定手段222によって指定されたパターン1〜3のいずれかに従って、模擬光線を発生させる(S607)。
続いて、シミュレーション実行手段224が、S608〜S610において、シミュレーション処理を実行する。具体的には、S608〜610では、上述の模擬光線進路シミュレーション1を実行し、S614〜S616では、上述の模擬光線進路シミュレーション2を実行する。
[模擬光線進路シミュレーション1]
シミュレーション実行手段224は、まず、模擬光線発生手段223によって発生させた模擬光線のダイヤモンド表面における入射角から、当該模擬光線がダイヤモンド表面で反射するか、内部に入射するかを判断する(S608)。すなわち、シミュレーション実行手段224は、ダイヤモンド表面に対する模擬光線の入射角が逆転角(82°)以上かを判断し、模擬光線の角度が逆転角以上であれば(YES)、模擬光線は、ダイヤモンド表面で反射すると判断し、S609へ進む。一方、模擬光線の入射角が逆転角より小さければ(NO)、当該模擬光線は、ダイヤモンド内部に入射すると判断し、シミュレーション2を実行するS614へ進む。
シミュレーション実行手段224は、S609において、ダイヤモンドから放出される模擬光線の放出される位置及び向きを判断するため、模擬光線の放出が、ガードルより上部か否かを判断する(S609、図3参照)。
模擬光線の放出先が、ガードルより上部方向である場合(YES)には、S610へ進み、さらに、模擬光線が、ガードルより上部において上向きに放出されているかを判断する(S610)。ここで、模擬光線が上向きに放出されているのであれば(YES)、当該模擬光線は、ケース1としてその数をn1としてカウントする(S611、図3参照)。一方、模擬光線が下向きに放出されているのであれば(NO)、当該模擬光線は、ケース2としてその数をn2としてカウントする(S612、図3参照)。S611,S612,S613においてケースカウントを行った後は、S604に処理を返し、これを模擬光線生成数Nが所定値になるまで繰り返す。
[模擬光線進路シミュレーション2]
一方、S608において、模擬光線の入射角が逆転角より小さい場合(NO)には、S614において、シミュレーション実行手段224により模擬光線進路シミュレーション2を実行する。
すなわち、模擬光線進路シミュレーション2では、ダイヤモンド内部に入射した模擬光線が、さらに、内部において如何なる進路を辿るかをシミュレーションするものである。ここでは、内部に入射した模擬光線が、次に当接する面に対して、模擬光線進路シミュレーション1と同様に、ダイヤモンド内側表面に対する模擬光線の入射角と臨界角(≒24°26′)との大小を比較し判断する(S614)。ダイヤモンド内側表面に対する模擬光線の入射角が臨界角より大きい場合には、今度は、内部で全反射するので、光線が内部を行き来することとなり、当該角度が臨界角以下の場合には、全反射せずダイヤモンド内部から外部へ放出されることとなる。
したがって、模擬光線の入射角が、臨界角より大きければ(S614のYES)、当該模擬光線は、ダイヤモンド内部の入射した面に対して全反射し、再び内部のいずれかの面に当接するので、最大内部全反射回数Mを「+1」カウントする(S615)。続いて、内部全反射回数Mが所定の最大値に到達したかを判断し(S616)、到達していれば、その模擬光線は、ダイヤモンド内部において無限に反射して留まる光線であるとして、ケース4としてカウントする(S617、図3参照)。
一方、S616において、内部全反射回数Mが最大値に到達していない場合には(S16のNO)、S614に戻って、模擬光線が次に当接するダイヤモンド内部の面に対する反射の態様をシミュレーションする。
S614において、模擬光線の入射角が、臨界角以下の場合(S614におけるNO)、模擬光線は、ダイヤモンド内部からダイヤモンド外部へ放出されるため、この放出される模擬光線に対して、S609へ移行して、当該模擬光線がガードル上部から放出されるか(S609)、ガードル上部から放出された場合に、上向きに放出されるか(S610)を検討し、S611〜S613のケース1〜3(図3参照)へ分類する。
模擬光線が、ガードルより下部から外部へ放出される場合(S609のNO)には、当該模擬光線は、ケース3としてその数をn3としてカウントする(S613)。一方、模擬光線がガードル上部より放出される場合に(S609のYES)、さらにその光線が上向きに放出される場合には(S610のYES)、ケース1としてその数をn1としてカウントし、その光線が下向きに放出される場合には、ケースn2としてカウントする(S612、図3参照)。
S11,S12,S13,S17におけるケース1〜4の模擬光線の進路態様に関するカウントを行った後は、S104に戻って、模擬光線発生手段223が、模擬光線生成数Nを「+1」とし、上述したS105〜S117の処理を繰り返し、S106において模擬光線の生成数Nが所定の上限値になった時点で、S118においてケース1〜4のカウント数を出力して、処理を終了する(END)。
[シミュレーション結果の解析]
以上のようなシミュレーション実行手段224の処理によってカウントされたケース1〜ケース4のカウント数について、シミュレーション結果解析手段225が以下の数N,n1〜n4を算出する。
発生させた模擬光線の総数:N
ケース1の模擬光線の数をn1
ケース2の模擬光線の数をn2
ケース3の模擬光線の数をn3
ケース4の模擬光線の数をn4
なお、N=n1+n2+n3+n4である。
これにより、ダイヤモンド表面で全反射した模擬光線と、ダイヤモンド内部に入射した後に、外部に放出された模擬光線の数を集計する。
評価手段23は、前述のシミュレーション結果解析手段225によって出力されたN,n1〜n4の数に基づいて、輝き評価を実行する。具体的には、シミュレーション結果解析手段231が、シミュレーション結果解析手段225において解析した模擬光線数Nの数と、輝きとして有効なn1との割合について、n1/Nの数値が大きいほど輝きが大きいと評価する。
続いて、評価結果出力手段232は、上記のようにしてシミュレーション結果解析手段231により算出された輝き評価の結果を、ディスプレイなどの表示手段4又はプリンタなどの出力手段5に対して出力して可視化する。
以上のような本実施形態のダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法によれば、次のような効果を奏する。
ダイヤモンドのカットの善し悪しを、3次元デジタイザ等の3次元形状計測器1によって読み込み、3次元形状を元に輝きのシミュレーションを行うことができるので、従来の2次元でのシミュレーションに比較して、よりダイヤモンド形状に合った的確なシミュレーションが可能となる。
また、カットの善し悪しを、輝きという観点で、数値化して出力することで、ユーザに対して客観的で合理的なカット評価の方法を提供することができるようになる。特に、シミュレーション結果解析手段231は、所定のパターンで放たれる複数本の模擬光線のうち、それぞれ何本がガードル上部に戻るかを算出し、これを割合であらわすことで、客観的でさらに分かり易い結果を出力することができる。
さらに、輝きの評価結果を、ディスプレイ等の表示手段4に可視化して表示することで、画面上で、ダイヤモンドを動かした場合、輝きの色を、画面上で確認できる。これにより、輝きを可視化して、輝き具合の判断が容易なインタフェースが提供できる。
このようなダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法を用いれば、ダイヤモンドの輝きの絶対値での比較が可能となる。例えば、1000dpiの等密度の模擬光線をダイヤモンド上方から垂直に注いだ場合に、何本を上方に返せるかを、1カラットのダイヤモンドと0.5カラットのダイヤモンドによって絶対値比較が可能となる。なお、絶対値の比較が可能なのは、上記の通り、模擬光線をダイヤモンド上方から垂直に照射する、模擬光線発生パターン1又はパターン3の場合である。
この場合、
(1)1カラットで5000本の模擬光線を上方に返すダイヤモンド
(2)0.5カラットで6000本の模擬光線を上方に返すダイヤモンド
の2つを比較すると、(2)は、カラットは小さいが宝石から発する全体の輝きは(1)より大きい。この場合、(1)と(2)との選択は、カラットを重視するか、輝きを重視するかによって変わる。したがって、カラットに頼らない、ダイヤモンドの選択が可能となる。
また、ダイヤモンドの輝き方の特徴を知ることにより、指輪などの装飾品に、当該ダイヤモンドを、どの向きに取付けると効果的か判断が容易になる。これによれば、例えば、宝石デザイナー(制作者側)に対して自らの経験的判断に評価担保を与えることができる。
[2.第2実施形態]
第2実施形態に係るダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法は、第1実施形態に改良を加えたもので、第1実施形態における「輝きシミュレーション」に代えて、又は「輝きシミュレーション」に追加して、「煌めきシミュレーション」を実行するものである。なお、この「煌めきシミュレーション」において、3次元形状を測定するステップ及びそれを復元するステップにおける処理は、上述の「輝きシミュレーション」と共通するので、本項では説明を省略する場合がある。
[煌めきステップの考え方]
上述のとおり、ダイヤモンドは、ダイヤモンドを細かく動かして、その向きや位置を変えると、そのダイヤモンドから鑑賞者の眼に届く光の輝きが変化するとともに、光の色の変化も発生する。白色光(波長3800Å〜7800Å)がダイヤモンドに入射すると、屈折により、赤、橙、黄、緑、青、紫などの色に分散される。
このような箇所による光の輝きの変化や、光の色の変化もダイヤモンドの価値を創出する要素となっている。そこで、本実施形態では、この輝き及び色の変化を「煌き」(きらめき)として定量化し、出力することで、ダイヤモンドの客観的評価基準を提示するものである。
[煌めきステップの処理の概要]
煌めきステップにおいては、まず、3次元形状の測定データに基づいて、形状の復元を行う。続いて、鑑賞者の眼の位置を模擬して、視点の設定を行う。例えば、図7に模式的に示すように、鑑賞者が、ダイヤモンドを眺める角度を、ダイヤモンドのガードル面に対して30度とし、この位置に、鑑賞者の視点を設定する。
次に設定した視点から、模擬光線を発生させる。この模擬光線の進路をシミュレーションし、その光線の放出先が、ガードル面より上方に放出されるものを採用し、ガードル面より下方又はダイヤモンド内部に留まるものは除外する。すなわち、ガードル面より上方に放出される光線は、逆を辿れば、ガードル面より上方から照射された光線ということになり、鑑賞者の眼に届く光線だということができるからである。
この模擬光線は、波長3800Å〜7800Åの間で、所定の間隔を決定し、この所定間隔で所定数について進路シミュレーションを繰り返す。これは、光の波長により屈折率が異なり、同じ視点においても波長により眼から逆に追った光が、ダイヤモンドに適正に(ダイヤモンドのガードル上部から)入射されているか否かを波長ごとに確認する必要があるからである。
以上のように、設定した所定の視点から模擬光線を発射し、その進路を、複数の波長についてシミュレーションすることで、視点に対して如何なる波長の光がダイヤモンドに適正に入射されたか判明する。これに従い、視点に届く光を波長ごとにダイヤモンドの面に模式的にそれぞれのプロットに、該当する上記の色をつけ、これをディスプレイ等の出力器において回転させながら復元することにより、光の分散によるダイヤモンドの煌きがシミュレーションできる。
[煌めきステップを実行する手段]
本実施形態における煌めきステップは、図8に示すように、煌めきシミュレーション手段25により実行される。具体的には、煌めきシミュレーション手段25は、記憶手段3から3次元形状を読み出し、メモリ内で形状を復元する3次元形状復元手段251と、鑑賞者の眼とダイヤモンドの相対的位置関係を決定する条件を設定する条件設定手段252と、条件設定手段252によって設定された条件に基づいて鑑賞者の視点とダイヤモンドの相対位置を設定する相対位置設定手段253と、を備える。
また、煌めきシミュレーション手段25は、鑑賞者の視点からダイヤモンドのクラウン部分を見た場合の2次元形状を作成するクラウン形状作成手段254と、そのクラウン部分の2次元形状の領域をドット割りするクラウン領域分割手段255と、を備える。
煌めきシミュレーション手段25は、また、クラウン形状作成手段254によってドット分けされた領域に順番を付し、シミュレーションする領域の数と順序を管理する領域設定手段256と、領域設定手段256において、クラウン形状bとして入力されたクラウン形状の所定領域に対して、色の計算を実行する色計算実行手段257と、色計算実行手段257によって決定されたエリアの色を表示器において出力する色出力手段258と、を備える。
3次元形状復元手段221は、第1実施形態と同様、3次元形状取得手段21により得たダイヤモンドの3次元形状データから、メモリ内に当該ダイヤモンドの形状を復元するものである。
条件設定手段252は、鑑賞者の眼とダイヤモンドの相対的位置関係を決定する条件を設定する手段である。相対的位置関係としては、以下の(1)〜(4)が想定される。なお、以下に示す数字は、すべて任意に決定し得るものであり、以下では例を示すに過ぎない。
(1)位置関係変化パターン(ダイヤモンド回転量等)
(2)位置関係変化量
(3)波長間隔:D(Å)
(4)クラウン形状分割数B(=0〜b〜B)
(1)及び(2)の位置関係変化パターンと、位置関係変化量とにより、鑑賞者の眼とダイヤモンドの相対的位置関係が決定される。この相対的位置関係は、位置関係1,位置関係2,…,位置関係a,…位置関係Aとして複数個設ける。
例えば、位置関係変化パターンをダイヤモンドの回転とし、1周360°について、0.5°ごとに回転させるとすると、位置関係変化量は1周で720通り存在する。また、位置関係変化パターンを、ダイヤモンドに対して視点の位置がガードルと水平位置0°からガードルに対して垂直位置90°までとし、これを1°ごとに変化させるとすると、位置関係変化量は、90通り存在する。この場合、位置関係変化パターンAは、720×90=64800通りとなる。したがって、位置関係変化パターンAは1〜64800となる。
(3)の波長間隔D(Å)については、3800Å(紫)〜7800Å(赤色)の間で設定されるものである。そこで、波長Cを3800Å〜7800Åの変化量をc個に分け、最小値[波長0]=3800Åとし、最大値[波長C]=7800Åとして、波長0、波長1、波長2、…、波長cとする(cは波長パターンの個数を表す。)。
[波長c]−[波長c−1]=[一定値D]として、このDに任意の変数を設定すると、任意の[波長c]=(3800+Dc)Åとして決定しうる。この変数Dは、設計的に変更可能であり、本実施形態では、D=10とすると、波長cは、0〜400となる。
(4)のクラウン形状分割数Bは、上述した鑑賞者の視点から見たガードル上部のダイヤモンドの形状を二次元に投影して捉えた場合に、その平面をドットに分けた場合の個数をいう。この場合、図9に示すように、ダイヤモンドのガードルを中心として、略楕円形に投影される。従って、この分割数Bは、表示手段4に用いられるディスプレイの画素数に応じて可変にすることも可能で、例えば、1280×1024ピクセルの画面であれば、ダイヤモンドの平面形状を、横方向に3分の1、縦方向に、この横方向の2分の1程度の範囲に投影するとして、640×320=204800ピクセル、すなわち、分割数Bは、204800個となる。
相対位置設定手段253は、鑑賞者の視点となる位置の設定を行うとともに、ダイヤモンドと鑑賞者の視点との相対的位置関係のパターン数Aの進捗を管理する手段である。すなわち、相対位置設定手段253は、煌めきステップの処理の開始とともに、位置関係パターン数Aをリセットした後、上述した64800通り位置関係について、後述する色計算処理が実行されるたびに、位置関係を一つ更新し、最終的に、位置関係パターン数であるaの数が、最大値64800に達したかどうかを判断する手段である。
クラウン形状作成手段254は、ダイヤモンドと鑑賞者の視点との相対的な位置関係であるaにおいて、鑑賞者の視点から見えるダイヤモンドのクラウン部分の形状を2次元で投影し、これを模式的にあらわす手段である。すなわち、図9の模式図に示すように、位置関係aとして特定した位置から、ダイヤモンドを見た二次元形状(これを「投影クラウン形状」という。)を作成する。
クラウン領域分割手段255は、クラウン形状作成手段254によって作成された二次元の投影クラウン形状を、上述したクラウン形状分割数Bに応じて、B個のエリアに分割する手段である。ここで上述のように、クラウン形状分割数Bは、鑑賞者の視点から見たガードル上部のダイヤモンドの形状を2次元(平面)上に投影クラウン形状として捉えた場合に、その平面を所定数のエリアに分けた場合の個数をいう。
領域設定手段256は、クラウン形状作成手段254によってドット分けされたエリアの各々に順を付し、シミュレーションするエリアの数と順序を管理する手段である。すなわち、領域設定手段256は、具体的な処理として、シミュレーションが開始される当初に、シミュレーションされるクラウンのエリア数の管理のため、クラウン形状パターン数Bの数を初期化し、その後は、数Bを+1として、所定個目のエリアbを色計算実行手段257に入力する。領域設定手段256は、エリアbについて順番にシミュレーションを実行し、エリアbの個数が最大値に到達したか、すなわち、すべての投影クラウン形状のすべてについて色計算が終了したかを判断し、終了している場合には、色出力手段258にその旨入力するものである。
色計算実行手段257は、領域設定手段256において、エリアbとして入力されたクラウン形状の複数の所定領域の各々に対して、色の計算を実行する手段である。すなわち、色計算実行手段257は、可視光の波長域である3800Åから7800Åの範囲において、複数パターンの波長cについて、設定した視点からダイヤモンドに照射して如何なる方向に進むかについてのシミュレーションを実行する手段である。
この波長cの複数のパターンの決定方法については上述のとおりであり、色計算実行手段257は、波長cを、基準値である3800Åに、設定した波長間隔Dに対して波長cの個数を掛け合わせて足した(3800+Dc)Åとして設定する。D=10とすると、cは、0〜400となり、色計算実行手段257は、この波長cを400回実行するものである。
また、色計算実行手段257は、波長cにおける光線が、シミュレーションの結果、ガードル上部より放出したかを判断し、ガードルより上部に放出している場合には、これを記憶手段5に格納されるテーブルに記憶するものである。
色計算実行手段257は、さらに、各エリアにおける波長cが、0個の場合は、外部からガードル面より上方に入射して、当該クラウン形状の領域bに対して放出される光線はなかったと判断するものである。また、波長cの数が1個であると判断すると、エリアbの色は波長cの単色であると判断する。さらに、1個ではないと判断した場合には、エリアbの色は、テーブル内の複数色であると判断し、その光線の色を、色出力手段258に対して入力するものである。
色出力手段258は、エリアbの色の出力を、複数色の合成とするか、単色とするか、又は無色とするかを決定し、図9に画面例を示すように、表示手段4や出力手段5において出力するものである。
[煌めきステップの処理の詳細]
次に、煌めきステップの処理の流れについて図10のフローチャートを用いて詳細に説明する。
煌めきステップにおいては、まず、3次元形状復元手段221により、3次元形状取得手段21が取得した3次元形状データから、メモリ内に当該ダイヤモンドの形状を復元する(S1001)。
続いて、条件設定手段252が、(1)位置関係変化パターン、(2)位置関係変化量、(3)波長間隔:D(Å)及び(4)クラウン形状分割数B(=0〜b〜B)の4つを設定する(S1002)。
続いて、相対位置設定手段253が、条件設定手段252によって設定される(1)及び(2)の基準に基づいて、鑑賞者の視点となる位置を設定(S1003〜S1005)。具体的には、相対位置設定手段253は、まず、位置関係aをリセットするため、初期値のa=0とする(S1003)。次に、位置関係を一つ更新するため、位置関係a=a+1とする(S1004)。その上で、位置関係aの数が、所定の最大値(本実施形態では、64800)に達したかどうかを判断する(S1005)。
相対位置設定手段253は、位置関係aが最大値に達していない場合には(S1005のNO)、位置関係aをメモリ上に設定する(S1006)。
次に、クラウン形状作成手段254は、位置関係aにおける投影クラウン形状を作成する(S1007)。すなわち、図9の模式図に示すように、位置関係aとして特定した位置から、ダイヤモンドを見た二次元形状を作成する。そして、クラウン領域分割手段255は、この二次元の投影クラウン形状を、上述したクラウン形状分割数Bに応じて、B個のエリアに分割する。
続いて、領域設定手段256は、この投影クラウン形状の一つ一つに対して、模擬光線を照射してシミュレーションを行うため、クラウン形状の個数bを初期化し、b=0とする(S1009)。そして、領域設定手段256は、次のステップにおいて、クラウン形状bを順番に実施するため、bを一つ足して、b=b+1とする(S1010)。この段階で、クラウン形状bの数が最大値Bに到達したかどうかを判断する(S1011)。
色計算実行手段257は、領域設定手段256において、複数個目の領域bが最大値まで到達していないと判断された場合(NO)には、現在のエリアbにおける色の計算を実行する(S1013)。この色計算については、フローチャートを使って後述する。
色計算実行手段257において、エリアbにおける色が算出されると、このエリアbの色を、記憶手段3に記憶する(S1014)。煌めきシミュレーション手段25では、エリアbの色を記憶すると、S110に戻り、再び領域設定手段256が、クラウン形状bをb+1とし(S1010)、このクラウン形状bが、最大値Bに到達したか否かを判断する(S1011)。領域設定手段256において、クラウン形状bが最大値に達していないと判断された場合には、+1されたエリアbの色を計算し記憶し(S1013,S1014)、S1010に戻る。
一方、領域設定手段256において、クラウン形状bが最大値に到達した場合には、位置関係aにおける彩色済のクラウンの形状を記憶し(S1012)、S105に戻り、位置関係a=Aになっていないかを判断し、位置関係a=Aになっていなければ(NO)、S1006以降の処理を実行し、位置関係a=Aになっている場合には(S1005のYES)S1015に進み、位置関係1〜Aにおける彩色済のクラウン形状を出力手段5又は表示手段4に出力して処理を終了する(END)。
ここで、図11を参照して、色計算実行手段257における色計算の処理の流れを説明する。色計算は、クラウン形状bにおいて、図10のS1002において設定した波長間隔D(Å)にて順次光線を発生させ、シミュレーションを行うものである。
図11に示すように、まず、色計算実行手段257は、波長cの回数を初期化するために、波長c=−1であると定義する(S1101)。続いて、色計算実行手段257は、波長cの回数を更新して、波長c=c+1とする(S1102)。なお、色計算処理開始時は、波長cの回数は0となる。
次に、色計算実行手段257は、波長cの波長を決定する。すなわち、波長cを、基準値である3800Åに、設定した波長間隔Dに対して波長cの個数を掛け合わせて足した(3800+Dc)Åとして設定する。
続いて、色計算実行手段257は、この波長c=(3800+Dc)Åが、最大値である7800Åに達しているかを判断し(S1104)、達していない場合には、S1105に進んで、波長cにおけるダイヤモンドの屈折率を計算して、光線シミュレーションを行う。そして、色計算実行手段257は、波長cにおける光線が、シミュレーションの結果、ガードル上部より放出したかを判断する(S1106)。ガードルより上部に放出している場合には、これをテーブルに記憶し(S1107)、S1102に進んで、上記の処理を繰り返す。
一方、色計算実行手段257は、S1104において、波長cが7800Åに到達し、すべての波長について、色計算を終了している場合には(YES)、S1107においてテーブルに記憶された波長cの数が0個か否か判断し、0個の場合は、当該クラウン形状の領域bには、外部からガードル面より上方に入射して、当該クラウン形状の領域bに対して放出される光線はなかったと判断し、S1112においてエリアbは発色なしとして処理する。
S1108において、色計算実行手段257は、波長cの数が0でないと判断されると(NO)、続いて波長cの数は1個であるかを判断し、1個ではないと判断した場合には(NO)、エリアbの色は、テーブル内の複数色であると判断する(S1110)。一方、色計算実行手段257は、波長cの数が1個である場合には、S1111においてエリアbの色は波長cの単色であると判断する(S1111)。
以上のような処理に基づいて、色出力手段258は、エリアbの色の出力を、複数色の合成によるか、単独によるか、又は無色か、について、図9に表示器において出力して(S1113)、処理を終了する(END)。
以上のような本実施形態のダイヤモンドカットの評価プログラム及び評価方法によれば、次のような効果を奏する。
ダイヤモンドと、鑑賞者の視点位置を特定し、これらの相対的位置関係を決定し、視点側からダイヤモンドに向けて模擬光線を照射する。この場合、視点から発した模擬光線が、ダイヤモンドのクラウン部分から出射されれば、その模擬光線は、外部からダイヤモンドに入射し、視点に向かって出射されることとなる。これにより、ダイヤモンドと鑑賞者の視点との相対的位置関係を複数設定し、それらについて、模擬光線でのシミュレーションを行うことで、所定の視点から見て、どの部分が光り、どの部分が光らないかを判別することができる。したがって、これを例えば、表示手段のディスプレイなどでダイヤモンドに対する視点を変更可能な態様で表示すれば、ダイヤモンドの輝き方(明度・色彩)の違いにより、「煌めき」の度合を把握することができる。
3800Å〜7800Åで構成される可視光は、当然のことながら、波長によりその色や屈折率が異なるため、視点側から入射した光が波長によっては、ダイヤモンドのクラウンの下側から放出されることもある。そこで、所定の範囲で、複数の波長について、シミュレーションを行うことで、視点側から見た場合の輝きだけでなく、色も再現でき、色の変化による煌めきを再現することができるようになる。
ダイヤモンドと鑑賞者の視点から見たダイヤモンドのクラウン部分の形状全体を複数のエリアに分け、エリアごとに、模擬光線の進路シミュレーションを行うことで、ダイヤモンドから放出される光の分布がより細かく判明し、ダイヤモンドの煌めきをより詳細に表現することができるようになる。
[3.他の実施形態]
本発明は、上記の実施形態で示した内容に限られるものではなく、例えば、以下のような態様も包含するものである。例えば、本発明では、応用的な使用例として、カット済ダイヤモンドの最適なリカット方法をシミュレーションすることも可能である。画面上で出力したダイヤモンドのカット模式的に加工や修正を行うことができるようにすることで、どこを、どの位削れば、輝き具合がどう変化するかを把握することができる。また、場合によっては削る部分の体積も計算できるなど、応用幅が広い。さらには、新規カットをデザインする際に、そのカットの良し悪しの判断ができる。
また、第1実施形態において、[模擬光線進路シミュレーション1]として、ダイヤモンド外部で発生させた模擬光線がダイヤモンド表面で反射するか(反射光)、内部に入射するか(屈折光)について、このダイヤモンドの内部に進む割合と、ダイヤモンド表面で反射する割合とが、模擬光線の入射角に応じて逆転する角度を「逆転角」(82°)として、この逆転角以上の場合と、逆転角より小さい場合とに分けて、反射するか入射するかの判断を行った。
この点、上述の通り、ダイヤモンド表面に対して照射される模擬光線において、反射光の量と屈折光の量とは、入射角によって徐々に変化するものである。そこで、本発明では、上記実施形態のように、模擬光線が反射するか入射するか、といった二者択一にせず、1本の照射した光に対して、反射光の割合と屈折光の割合とを掛け、それぞれの割合ごとの光が、その後どのように進むかをシミュレーションすることも可能である。
より具体的には、図6に示したフローチャートでいえば、第1実施形態では、S608において、ダイヤモンド表面に照射される模擬光線の入射角が、逆転角以上か(YES)、逆転角より小さいか(NO)の2者択一の選択を行っていた。これを、例えば、ダイヤモンド表面に照射される模擬光線の角度が、40°の場合、図14に示すように、反射光の割合は17.73%で、屈折光の割合は82.27%であるから、図6のS608において、S609側には、17.73%分の光を入力し、S614側には82.27%分の光を入力し、以下の処理をそれぞれこの割合の光として行うことで、より正確なシミュレーションを行うことができるようになる。
また、第1実施形態において、[模擬光線進路シミュレーション2]として、内部に入射した模擬光線が、次に当接する面に対して、ダイヤモンド内側表面に対する模擬光線の入射角と臨界角(≒24°26′)との大小を判断し、ダイヤモンド内側表面に対する模擬光線の入射角が臨界角より大きい場合には、全反射とし、当該角度が臨界角以下の場合には、全反射せずダイヤモンド内部から外部へ放出されることと判断した。
この点、上記[模擬光線進路シミュレーション1]の場合と同様、全反射の場合であっても、屈折光はゼロではなく、反射と屈折は同時に起こっている。そこで、本発明では、[模擬光線進路シミュレーション2]においても、模擬光線が全反射するか全反射せずダイヤモンド内部から外部へ放出される、といった二者択一にせず、1本の照射した光に対して、反射光の割合と屈折光の割合とを掛け、それぞれの割合ごとの光が、その後どのように進むかをシミュレーションすることも可能である。
1…3次元形状計測器
2…メインCPU及びその周辺回路
21…3次元形状取得手段
22…シミュレーション手段
221…3次元形状復元手段
222…シミュレーション条件指定手段
223…模擬光線発生手段
224…シミュレーション実行手段
225…シミュレーション結果解析手段
23…評価手段
231…シミュレーション結果評価手段
232…評価結果出力手段
24…キャッシュメモリ
25…煌めきシミュレーション手段
251…3次元形状復元手段
252…条件設定手段
253…相対位置設定手段
254…クラウン形状作成手段
255…クラウン領域分割手段
256…領域設定手段
257…色計算実行手段
258…色出力手段
3…記憶手段
4…表示手段
5…出力手段

Claims (16)

  1. ダイヤモンドの3次元形状において光がどのように屈折又は反射するかを、コンピュータを用いて仮想的にシミュレーションしてダイヤモンドのカットの善し悪しを評価するダイヤモンドカットの評価プログラムにおいて、
    このプログラムは、前記コンピュータに、
    評価対象となるダイヤモンドの3次元形状をメモリに復元する3次元形状復元機能と、
    前記復元したダイヤモンド形状のクラウン部分に対して、複数の模擬光線を照射する模擬光線発生機能と、
    前記複数の模擬光線のそれぞれの進路を、反射及び屈折の法則によりシミュレーションするシミュレーション機能と、
    シミュレーションした前記模擬光線のうち、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分より上部に向けて放出される模擬光線の数をカウントする模擬光線カウント機能と、
    照射した全模擬光線数に対する前記カウントした模擬光線の数の割合を算出するシミュレーション結果解析機能と、
    を実現させることを特徴とするダイヤモンドカットの評価プログラム。
  2. 前記プログラムは、前記コンピュータに、
    評価対象となるダイヤモンドの3次元形状を、3次元形状測定器により測定して取得する3次元形状取得機能を実現させることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドカットの評価プログラム。
  3. 前記シミュレーション機能は、
    照射される模擬光線における、前記復元したダイヤモンドの内部に進む割合と、前記復元したダイヤモンド表面で反射する割合とが、模擬光線の入射角に応じて逆転する角度を逆転角とした場合に、
    前記複数の模擬光線のそれぞれの進路について、前記復元したダイヤモンド形状の面に対する入射角が前記逆転角以上の場合には前記復元したダイヤモンド表面で反射すると判断し、前記入射角が前記逆転角より小さい場合には前記復元したダイヤモンド内部に進入すると判断し、
    進入すると判断した場合には、スネルの法則を用いて、当該模擬光線の進行する向きを決定し、
    さらに、この内部に入射した模擬光線の次に当接する面に対する入射角が臨界角より大きい場合には内部で全反射すると判断し、再びスネルの法則を用いて、当該模擬光線の進行する向きを決定するとともに、次に当接する面に対する入射角と臨界角の大小判断する処理を繰り返し、当該入射角が臨界角以下の場合には、全反射せず前記復元したダイヤモンド内部から外部へ放出されると判断するものであることを特徴とする請求項1又は2記載のダイヤモンドカットの評価プログラム。
  4. 前記プログラムは、前記コンピュータに、
    前記シミュレーション結果解析機能において算出した割合が大きいほど、評価対象となるダイヤモンドの輝きが大きいと評価する評価機能を実現させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイヤモンドカットの評価プログラム。
  5. ダイヤモンドの3次元形状において光がどのように屈折又は反射するかを、コンピュータを用いて仮想的にシミュレーションしてダイヤモンドのカットの善し悪しを評価するダイヤモンドカットの評価プログラムにおいて、
    このプログラムは、前記コンピュータに、
    評価対象となるダイヤモンドの3次元形状をメモリに復元する3次元形状復元機能と、
    仮想領域内で、前記復元したダイヤモンドに対して鑑賞者の眼の位置を仮想した視点を設定し、これらの相対的な位置関係を決定する相対位置設定機能と、
    設定された位置関係において、前記仮想した視点から見た前記復元したダイヤモンドのクラウン部分の形状を2次元で投影し、当該2次元形状を投影クラウン形状として特定するクラウン形状作成機能と、
    前記投影クラウン形状に対して、前記視点から複数の模擬光線を照射する逆模擬光線発生機能と、
    前記複数の模擬光線のそれぞれの進路を、反射及び屈折の法則によりシミュレーションするシミュレーション機能と、
    シミュレーションした前記模擬光線のうち、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分より上部に向けて放出される模擬光線を、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分から入射した光線が前記視点に届く光線であるとして記憶する到達模擬光線記憶機能と、
    を実現させることを特徴とするダイヤモンドカットの評価プログラム。
  6. 前記相対位置設定機能は、前記復元したダイヤモンドと前記仮想した視点との相対的な位置を、所定の間隔で複数設定するものであり、
    前記複数の位置の各々について、前記逆模擬光線発生機能、シミュレーション機能及び到達模擬光線記憶機能が実行されることを特徴とする請求項5記載のダイヤモンドカットの評価プログラム。
  7. 前記逆模擬光線発生機能は、発生させる模擬光線の波長を変更する波長変更機能を含み、
    この波長変更機能は、可視光の範囲で、模擬光線の波長を複数設定するものであり、
    前記模擬光線の複数の波長の各々について、前記シミュレーション機能及び前記到達模擬光線記憶機能が実行されることを特徴とする請求項5又は6記載のダイヤモンドカットの評価プログラム。
  8. 前記プログラムは、前記コンピュータに、
    前記相対位置設定機能における仮想の視点から見た、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分の領域を複数のエリアに分割するクラウン領域分割機能を実現させるものであり、
    前記複数の各エリアについて前記逆模擬光線発生機能、シミュレーション機能及び到達模擬光線記憶機能が実行されることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のダイヤモンドカットの評価プログラム。
  9. ダイヤモンドの3次元形状において光がどのように屈折又は反射するかを、コンピュータを用いて仮想的にシミュレーションしてダイヤモンドのカットの善し悪しを評価するダイヤモンドカットの評価方法において、
    前記コンピュータは、
    評価対象となるダイヤモンドの3次元形状をメモリに復元する3次元形状復元ステップと、
    前記復元したダイヤモンド形状のクラウン部分に対して、複数の模擬光線を照射する模擬光線発生ステップと、
    前記複数の模擬光線のそれぞれの進路を、反射及び屈折の法則によりシミュレーションするシミュレーションステップと、
    シミュレーションした前記模擬光線のうち、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分より上部に向けて放出される模擬光線の数をカウントする模擬光線カウントステップと、
    照射した全模擬光線数に対する前記カウントした模擬光線の数の割合を算出するシミュレーション結果解析ステップと、
    を順次実行することを特徴とするダイヤモンドカットの評価方法。
  10. 評価対象となるダイヤモンドの3次元形状を、3次元形状測定器により測定して取得する3次元形状取得ステップを含むことを特徴とする請求項9記載のダイヤモンドカットの評価方法。
  11. 前記シミュレーションステップでは、
    照射される模擬光線における、前記復元したダイヤモンドの内部に進む割合と、前記復元したダイヤモンド表面で反射する割合とが、模擬光線の入射角に応じて逆転する角度を逆転角とした場合に、
    前記複数の模擬光線のそれぞれの進路について、前記復元したダイヤモンド形状の面に対する入射角が前記逆転角以上の場合には前記復元したダイヤモンド表面で反射すると判断し、前記入射角が前記逆転角より小さい場合には前記復元したダイヤモンド内部に進入すると判断し、
    進入すると判断した場合には、スネルの法則を用いて、当該模擬光線の進行する向きを決定し、
    さらに、この内部に入射した模擬光線の次に当接する面に対する入射角が臨界角より大きい場合には内部で全反射すると判断し、再びスネルの法則を用いて、当該模擬光線の進行する向きを決定するとともに、次に当接する面に対する入射角と臨界角の大小判断する処理を繰り返し、当該入射角が臨界角以下の場合には、全反射せず前記復元したダイヤモンド内部から外部へ放出されると判断することを特徴とする請求項9又は10記載のダイヤモンドカットの評価方法。
  12. 前記シミュレーション結果解析ステップにおいて算出した割合が大きいほど、評価対象となるダイヤモンドの輝きが大きいと評価する評価ステップを含むことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載のダイヤモンドカットの評価方法。
  13. ダイヤモンドの3次元形状において光がどのように屈折又は反射するかを、コンピュータを用いて仮想的にシミュレーションしてダイヤモンドのカットの善し悪しを評価するダイヤモンドカットの評価方法において、
    前記コンピュータは、
    評価対象となるダイヤモンドの3次元形状をメモリに復元する3次元形状復元ステップと、
    仮想領域内で、前記復元したダイヤモンドに対して鑑賞者の眼の位置を仮想した視点を設定し、これらの相対的な位置関係を決定する相対位置設定ステップと、
    設定された位置関係において、前記仮想した視点から見た前記復元したダイヤモンドのクラウン部分の形状を2次元で投影し、当該2次元形状を投影クラウン形状として特定するクラウン形状作成ステップと、
    前記投影クラウン形状に対して、前記視点から複数の模擬光線を照射する逆模擬光線発生ステップと、
    前記複数の模擬光線のそれぞれの進路を、反射及び屈折の法則によりシミュレーションするシミュレーションステップと、
    シミュレーションした前記模擬光線のうち、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分より上部に向けて放出される模擬光線を、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分から入射した光線が前記視点に届く光線であるとして記憶する到達模擬光線記憶ステップと、
    を順次実行することを特徴とするダイヤモンドカットの評価方法。
  14. 前記相対位置設定ステップは、前記復元したダイヤモンドと前記仮想した視点との相対的な位置を、所定の間隔で複数設定するものであり、
    前記コンピュータは、前記複数の位置の各々について、前記逆模擬光線発生ステップ、シミュレーションステップ及び到達模擬光線記憶ステップを実行することを特徴とする請求項13記載のダイヤモンドカットの評価方法。
  15. 前記逆模擬光線発生ステップは、発生させる模擬光線の波長を変更する波長変更ステップを含み、
    この波長変更ステップは、可視光の範囲で、模擬光線の波長を複数設定するものであり、
    前記コンピュータは、前記模擬光線の複数の波長の各々について、前記シミュレーションステップ及び前記到達模擬光線記憶ステップを実行することを特徴とする請求項13又は14記載のダイヤモンドカットの評価方法。
  16. 前記相対位置設定ステップにおける仮想の視点から見た、前記復元したダイヤモンドのクラウン部分の領域を複数のエリアに分割するクラウン領域分割ステップを含み、
    前記コンピュータは、前記複数の各エリアについて前記逆模擬光線発生ステップ、シミュレーションステップ及び到達模擬光線記憶ステップを実行することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載のダイヤモンドカットの評価方法。
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