JP2013031810A - 亜鉛含有排水の排水処理方法及び亜鉛含有排水の排水処理設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 亜鉛を含む亜鉛含有排水に凝集剤を加えることにより亜鉛を含む懸濁粒子を生じさせる懸濁粒子生成工程と、前記懸濁粒子を含む亜鉛含有排水をpH8.0〜11.0に調整するpH調整工程と、該pH調整工程によりpH調整された前記亜鉛含有排水と加圧溶解された気体成分を含む加圧水の減圧により生じた気泡とを接触させ、該気泡を前記懸濁粒子に付着させることにより前記懸濁粒子を前記気泡とともに浮上させる加圧浮上工程と、浮上した前記懸濁粒子を除去する除去工程とを実施する亜鉛含有排水の排水処理方法等を提供する。
【選択図】 図1
Description
具体的には、例えば、亜鉛含有排水に塩化第二鉄などの凝集剤を加え、凝集剤により生じた凝集物を沈殿させた沈殿物を除去することにより、亜鉛含有排水中の亜鉛を減少させる方法が知られている(特許文献1)。
また、前記加圧浮上工程においては、加圧水に溶解した気体成分から減圧により気泡が生じる。該気泡が比較的小径であることから、該気泡が前記懸濁粒子に付着しやすい。そして、気泡が付着した懸濁粒子は、気泡とともに浮上するため、排水中の亜鉛を亜鉛含有排水の液面側へ比較的短時間で移動させることができる。
さらに、前記除去工程において、気泡が付着し浮上した懸濁粒子を除去することにより、亜鉛濃度が低減された処理水を得ることができる。
具体的には、前記排水処理設備1は、図1(a)に示すように、排水処理される亜鉛含有排水Zを一時的に貯留するように構成された排水混合タンク2を備えている。また、該排水混合タンク2から排水が供給されるように構成された前記加圧浮上手段としての加圧浮上槽5aを備えている。
前記排水混合タンク2は、亜鉛含有排水Zを一時的に貯留すべく、外部から亜鉛含有排水Zが供給されるように構成されている。また、前記排水混合タンク2は、モータMによってタンク内で回転することにより排水を撹拌する撹拌装置2aを備えている。
なお、亜鉛濃度を減少させるべく排水処理する亜鉛含有排水Zの量は、特に限定されず、処理前の排水中における亜鉛濃度や前記排水混合タンク2の容量などに応じて、適宜変えることができる。
また、前記懸濁粒子生成手段は、異なる凝集剤をそれぞれ前記排水混合タンク2に供給すべく、上記の凝集剤貯留部3a及び凝集剤供給配管3bをそれぞれ複数備えていてもよい。
前記高分子凝集剤としては、例えば、アクリルアミド・アクリル酸Na共重合体などのアニオン系高分子凝集剤、アクリルアミド・2−(アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム−クロリド共重合体などのカチオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤などが挙げられる。前記高分子凝集剤としては、凝集能に優れているという点で、アニオン系高分子凝集剤が好ましい。
前記凝集剤としては、例えば、市販されているものを用いることができる。
なお、亜鉛含有排水Zに加える前記凝集剤の量としては、特に限定されず、適宜適量が採用される。
前記pH調整手段は、具体的には、例えば、前記亜鉛含有排水ZのpHを変えるpH調整剤を前記排水混合タンク2に供給し、排水のpHを8.0〜11.0に調整するように構成されている。
なお、前記pH調整手段は、pH調整剤貯留部4aから直接的に加圧浮上槽5aへpH調整剤を送るべく、前記pH調整剤供給配管4bの下流側が加圧浮上槽5aにつながるように構成されていてもよい(図示せず)。
具体的には、前記加圧浮上手段は、例えば、加圧により水に溶解させた気体成分を含む加圧水を大気圧に減圧して気泡を生じさせ、該気泡を含む気泡含有水とpH調整された亜鉛含有排水Zとを接触させることにより、亜鉛を含む懸濁粒子に気泡を付着させ、懸濁粒子を気泡とともに浮上させるように構成されている。
そして、前記加圧浮上手段は、処理水取出用配管5cを経て加圧水製造機5dに取り入れた処理水と気体成分(空気A)とを用いて加圧水を製造し、加圧水の減圧により生じた気泡含有水を、気泡含有水供給配管5e及び前記排水供給配管5bを通して加圧浮上槽5aへ送りつつ、pH調整された排水Zを加圧浮上槽5aへ送り、加圧浮上槽5a内において気泡を前記懸濁粒子に付着させて、亜鉛を含む懸濁粒子を気泡とともに浮上させるように構成されている。
斯かる加圧浮上手段によれば、pH調整された排水と加圧水由来の気泡含有水とが排水供給配管5bを経て流入ボックス5gの内側に供給されて、気泡が前記懸濁粒子に付着することにより、亜鉛を含む懸濁粒子が気泡とともに浮上できる。
斯かる除去手段によれば、前記パイプ6eの孔6fを経て(図1(a)中の矢印で示す)、加圧浮上槽5a内の水が底部側から上向きに処理水ボックス6dの内側へ供給され得る。しかも、前記パイプ6eの孔6fが下方を向いているため、懸濁粒子の一部が凝集して沈降したとしても凝集した懸濁粒子がパイプ6e中に入り込むことを防止できる。そして、亜鉛濃度が低減された処理水を前記処理水ボックス6dの内側から処理水連通管6gを経て処理水槽6iに取り入れ、処理水槽6iに取り入れた処理水をさらに取出用配管6hを通じて取り出すことにより、浮上した亜鉛含有懸濁粒子を除去した処理水を得ることができる。
なお、前記流入ボックス5gと前記処理水ボックス6dとの間には、隔壁があり、流入ボックス5gの内側の水と処理水ボックス6dの内側の水とは、互いに直接混ざることはない。
本実施形態の亜鉛含有排水の排水処理方法において用いる装置類の概略図は、図1に示す通りである。
まず、前記排水処理方法においては、図1に示すように、亜鉛を含む亜鉛含有排水Zを外部から前記排水混合タンク2に供給する。
前記懸濁粒子生成工程では、少なくとも懸濁粒子が生成する量の凝集剤を亜鉛含有排水Zと混合する。また、懸濁粒子の凝集物が沈殿することを抑制すべく、過剰量の凝集剤を用いる必要はない。
具体的には、前記懸濁粒子生成工程では、例えば、前記亜鉛含有排水Z中で凝集剤が1〜500mg/L(固形分)の濃度となるように、前記凝集剤と亜鉛含有排水Zとを混合することができる。より具体的には、前記懸濁粒子生成工程では、例えば、前記亜鉛含有排水Z中で凝集剤が1〜100mg/L(Fe分)の濃度となるように、前記無機鉄塩と亜鉛含有排水Zとを混合することができる。
また、前記pH調整工程では、前記排水混合タンク2に供給された亜鉛含有排水Zに、直接pH調整剤を添加し、前記撹拌装置2aの撹拌によって亜鉛含有排水ZとpH調整剤とを混合することにより、排水混合タンク2内にある亜鉛含有排水ZのpHを8.0〜11.0に調整することができる。
前記pH調整工程においては、亜鉛含有排水のpHを8.0〜11.0に調整することにより、亜鉛の溶解度が比較的低い状態になる。斯かる状態の亜鉛は、溶解しているより安定な状態となるべく懸濁粒子から排水中へ溶解することが抑制されている。従って、亜鉛が懸濁粒子に含まれた状態で維持され得る。
前記pH調整工程においては、処理後の水中における亜鉛濃度をより低くできるという点で、亜鉛含有排水のpHを9.0以上に調整することが好ましく、また、pHを10.5以下に調整することが好ましい。
前記凝集工程では、前記懸濁粒子が連なるように凝集して大きくなり得る。このように凝集することにより、続く加圧浮上工程において発生した気泡をより多く抱え込むことができ、凝集した懸濁粒子が気泡とともに浮上しやすくなると考えられる。
該高分子凝集剤としては、アニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤等を用いることができ、好ましくは、アニオン系高分子凝集剤を用いる。
なお、前記凝集工程は、前記懸濁粒子生成工程で用いる凝集剤貯留部3a及び凝集剤供給配管3bとは別の凝集剤貯留部及び凝集剤供給配管を用いて、前記懸濁粒子生成工程と同様の方法により実施することができる。
また、一般の亜鉛含有排水の排水処理方法および亜鉛含有排水の排水処理設備において用いられる種々の態様を、本発明の効果を損ねない範囲において、採用することができる。
中空円筒状に形成され一端に底面を有し他端が開口しているカラムを筒軸方向が上下方向となるように配置し、下方部の側面にサンプリングコックを取り付けた。また、加圧により空気が水道水中に溶解している加圧水を貯留した加圧タンクを用意した。上記のカラムの下方底面に圧力開放コックを介して加圧タンクを取り付け、圧力開放コックの開閉により加圧水がカラムに供給されるように構成された装置を組み立てた。
一方、0.631gの塩化亜鉛(ZnCl2)を純水10Lに溶解させて、人工的な亜鉛含有排水を調製した。
pH:5.8
亜鉛含量:30.8(mg/L)
上記の亜鉛含有排水(1L)をカラムに入れ、凝集剤として無機凝集剤(ポリ硫酸第二鉄含有製品 製品名「ポリテツ」日鉄鉱業社製)を100mg/L濃度(固形分40mg/L濃度 Feとして11mg/L濃度)となるように加え、カラム内にてプロペラミキサーにより500rpmで撹拌を行い、懸濁粒子を生じさせて懸濁粒子生成工程を実施した。1分間撹拌した後のpHは3.6であった。
次に、pH3.6となった排水に苛性ソーダ(NaOH)を54mg/L濃度となるように加え、カラム内にてプロペラミキサーにより500rpmで撹拌を行い、pH調整工程を実施した。8分間撹拌した後のpHは、8.0であった。
続いて、凝集剤としてのアニオン系高分子凝集剤(製品名「シンコーフロックA−2721」 アクリルアミド・アクリル酸Na共重合体含有 神鋼環境ソリューション社製)を1.0mg/L濃度(固形分0.9mg/L濃度)となるように加え、カラム内にてプロペラミキサーにより150rpmで1分間の撹拌を行い、懸濁粒子の凝集物を生じさせて凝集工程を実施した。凝集工程後の排水においては、懸濁物質(SS)濃度計によりSS濃度を測定した。
さらに、加圧圧力0.40MPaの加圧水を上記工程後の排水に供給し、大気圧に減圧させることにより気泡を発生させた。該気泡が付着した懸濁粒子を気泡とともに浮上させ、加圧浮上工程を実施した。該加圧浮上工程において加圧水を排水に送る時間は、1.5秒間であった。なお、加圧浮上工程においては、循環水としての水道水の循環率を30%とした。加圧浮上工程を実施した後の結果から、浮上速度は、20(m/時)未満であり、懸濁粒子に気泡が付着してなるもの(亜鉛スカム)の容量は、1.5(%)であった。
そして、浮上した懸濁粒子を除去すべく、カラム側面のサンプリングコックから処理水を取り出し、除去工程を実施した。
pH調整工程において、pHを9.0に調整した点以外は、実施例1と同様にして排水処理を行った。
pH調整工程において、pHを9.5に調整した点以外は、実施例1と同様にして排水処理を行った。
pH調整工程において、pHを10.0に調整した点以外は、実施例1と同様にして排水処理を行った。
pH調整工程において、pHを10.5に調整した点以外は、実施例1と同様にして排水処理を行った。
pH調整工程において、pHを11.0に調整した点以外は、実施例1と同様にして排水処理を行った。
pH調整工程において、pHを7.0に調整した点以外は、実施例1と同様にして排水処理を行った。
なお、水道水の循環率を30%とし、亜鉛濃度が減少した処理水が希釈された分、亜鉛濃度の分析値は、希釈前の値に相当するように補正した。
また、各実施例及び比較例において処理した後の排水(処理水)の亜鉛濃度をグラフ化したものを図2に示す。なお、図2(b)は、図2(a)の一部を拡大したものである。
2:排水混合タンク 2a:撹拌装置
3a:凝集剤貯留部 3b:凝集剤供給配管
4a:pH調整剤貯留部 4b:pH調整剤供給配管
5a:加圧浮上槽 5b:排水供給配管 5c:処理水取出用配管
5d:加圧水製造機 5e:気泡含有水供給配管
5f:底部掻寄機 5g:流入ボックス
6a:スカムレーキ 6b:スカムボックス
6c:スカム排出管 6d:処理水ボックス
Z:亜鉛含有排水 S:亜鉛スカム A:空気
Claims (3)
- 亜鉛を含む亜鉛含有排水に凝集剤を加えることにより亜鉛を含む懸濁粒子を生じさせる懸濁粒子生成工程と、前記懸濁粒子を含む亜鉛含有排水をpH8.0〜11.0に調整するpH調整工程と、該pH調整工程によりpH調整された前記亜鉛含有排水と加圧溶解された気体成分を含む加圧水の減圧により生じた気泡とを接触させ、該気泡を前記懸濁粒子に付着させることにより前記懸濁粒子を前記気泡とともに浮上させる加圧浮上工程と、浮上した前記懸濁粒子を除去する除去工程とを実施することを特徴とする亜鉛含有排水の排水処理方法。
- 前記pH調整工程の後、且つ、前記加圧浮上工程の前に、前記亜鉛含有排水に凝集剤を加えることにより前記懸濁粒子を凝集させる凝集工程を実施する請求項1記載の亜鉛含有排水の排水処理方法。
- 亜鉛を含む亜鉛含有排水に凝集剤を加えることにより亜鉛を含む懸濁粒子を生じさせる懸濁粒子生成手段と、前記懸濁粒子を含む亜鉛含有排水をpH8.0〜11.0に調整するpH調整手段と、該pH調整手段によりpH調整された前記亜鉛含有排水と加圧溶解された気体成分を含む加圧水の減圧により生じた気泡とを接触させ、該気泡を前記懸濁粒子に付着させることにより前記懸濁粒子を前記気泡とともに浮上させる加圧浮上手段と、浮上した前記懸濁粒子を除去する除去手段とを備えていることを特徴とする亜鉛含有排水の排水処理設備。
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