JP2013024810A - 温度計測システムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】現場伝送技術を適用する温度計測システムの信頼性を向上させることができる温度計測システムを提供する。
【解決手段】複数の熱電対11a〜11dと、熱電対11a〜11dにより生成された熱起電力を伝送信号に変換して出力するA/D変換器16a〜16dと、A/D変換器16a〜16dより出力された伝送信号を送信するアダプタ17a〜17dとを備える。伝送ケーブル19b〜19dは、各アダプタ17a〜17d間を接続する。伝送ケーブル19aは、アダプタ17aと監視制御装置13とを接続する。伝送ケーブル19a〜19dは、筐体12により収容される。
【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、産業プラントの温度計測システムおよびその製造方法に関する。
産業プラントは、監視や制御に供するために種々の計器センサが設置される。これら計器センサと、計器センサで計測された計測値を監視する監視制御装置との間にはケーブルが布設される。電流信号や電圧信号は、このケーブルにより送信される。
産業プラントで監視・制御されるプロセス量には、主に圧力、流量、温度がある。このうち、圧力や流量の計測にはトランスミッタが使用される。温度の計測には熱電対が使用される。
熱電対は、産業プラント内の測定エリアに取り付けられる。この測定エリアは、産業プラント内においてポンプ、ファン、タービン、弁などの設備機器や配管などが配置されるエリア(以下、「機器設置現場エリア」という。)である。機器設置現場エリアには、産業プラントの中でも主要な設備機器が特に集中的に配置される。
一般的に、測定エリア(機器設置現場エリア)から監視制御装置までの距離は、200mから400m程度である。この距離を熱電対で接続しようとすると、長大な熱電対が必要となり、高コストを生じ、現実的ではない。
布設工事費や工事期間の合理化を目的として、熱電対が生成する熱起電力信号を伝送信号に変換して送信する現場伝送技術が実用化されつつある。現場伝送技術は、昨今のIT技術などの活用により、ケーブル物量を大幅に削減・合理化することができる。
特開平2−147927号公報 特開2008−21057号公報
上述したとおり、機器設置現場エリアは、産業プラントの設備機器や配管が最も輻輳するエリアである。このため、機器設置現場エリアには、熱水・蒸気・ガスがリークする可能性がある。伝送ケーブルは、物理的に脆弱な場合があり、このような機器設置現場エリアの周囲環境から保護される必要がある。
また、伝送ケーブルは、保守・巡回点検のための人間活動の支障とならないような措置が施される必要がある。伝送ケーブルは、人間活動を含めた周囲環境から保護されると供に、人間活動に対して邪魔にならないようにする必要がある。人間活動への支障は、設備機器にアクセスするための経路との干渉や、保守のために分解した設備機器との接触などである。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、現場伝送技術を適用する温度計測システムの信頼性を向上させることができる温度計測システムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の温度計測システムの実施形態は、上述した課題を解決するために、複数の熱電対と、前記熱電対により生成された熱起電力を伝送信号に変換して出力する伝送信号変換手段と、前記伝送信号変換手段より出力された前記伝送信号を送信する送信手段と、各前記送信手段間を接続する第1の接続手段と、少なくとも一の前記送信手段と前記伝送信号を処理する処理手段とを接続する少なくとも一の第2の接続手段と、少なくとも前記第1の接続手段を収容する収容手段とを備えたことを特徴とする。
本発明に係る温度計測システムの第1実施形態の構成図。 第1実施形態における温度計測システムの比較例としての温度計測システムの構成図。 第1実施形態における温度計測システムの参考例としての計測システムの構成図。 第1実施形態における温度計測システムの変形例の構成図。 本発明に係る温度計測システムの第2実施形態の構成図。 本発明に係る温度計測システムの第3実施形態の構成図。
[第1実施形態]
本発明に係る温度計測システムおよびその製造方法の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る温度計測システムの第1実施形態の構成図である。
本実施形態における温度計測システム1は、例えば火力発電プラント、原子力発電プラント、化学プラント、各種工場などの産業プラントに設けられる。
温度計測システム1は、主に産業プラント2内に設けられ、産業プラント2外に設けられる監視制御装置3に伝送ケーブル19aで接続される。
監視制御装置3は、熱電対11a〜11dで計測され、現場伝送により送信される伝送信号に基づいて計測値を監視する。監視制御装置3は、伝送信号(計測信号)を入力するハードウェア部である入力装置を有する。この入力装置は、リモートI/O装置として分離されて、より温度計測システム1近くの産業プラント2内外に設置されてもよい。この場合、リモートI/O装置と熱電対11a〜11dの間およびリモートI/O装置と監視制御装置3との間にケーブルが布設される。
熱電対11a〜11dは、産業プラント2内に例えば200〜300体(例えば全計器センサが500体設けられる場合)設けられる。第1実施形態においては、説明の便宜上4体の熱電対11a〜11dを図示して説明する。熱電対11a〜11dは、機器設置現場エリアである測定エリア14に設けられる。
測定エリア14は、ポンプ、ファン、タービン、弁などの設備機器や配管などが配置される産業プラント2内のエリアである。測定エリア14は、産業プラント2の中でも主要な設備機器が特に集中的に配置されるエリアである。なお、測定エリア14は、他のエリアと明確な区切りや線引きされるわけではなく、他のエリアにおいても一部の設備機器などは設置される。
熱電対11a〜11dは、熱電対の先端部に計測箇所であるホットジャンクション、計測箇所とは逆の終端部にコールドジャンクション(ヘッド部)を有する。熱電対11a〜11dは、コールドジャンクションにA/D変換器16a〜16dおよびアダプタ17a〜17dを順次有する。
A/D変換器16a〜16d(伝送信号変換手段)は、熱電対11a〜11dが生成した熱起電力を伝送信号にA/D変換して出力する。アダプタ17a〜17d(送信手段)は、A/D変換器16a〜16dより送信される伝送信号を伝送ケーブル19a〜19dに送信する。
なお、熱電対11a〜11dは、A/D変換器16a〜16dとアダプタ17a〜17dとを一体にした機器をコールドジャンクションなどに内蔵してもよい。伝送信号は、監視制御装置3とアダプタ17a〜17dの間に設けられる中継機器を介して監視制御装置3に送信されてもよい。
伝送ケーブル19a〜19dは、例えば光ケーブルであり、アダプタ17a〜17dより送信された伝送信号を監視制御装置3に送信する。
伝送ケーブル19a(第2の接続手段)は、アダプタ17aと監視制御装置3とを接続する。伝送ケーブル19b(第1の接続手段)は、アダプタ17aとアダプタ17bとを接続する。伝送ケーブル19c(第1の接続手段)は、アダプタ17bとアダプタ17cとを接続する。伝送ケーブル19d(第1の接続手段)は、アダプタ17cとアダプタ17dとを接続する。
伝送ケーブル19a〜19dは、数珠繋ぎにつないでいく配線方式である、いわゆるDaisy Chain(デイジーチェイン)方式で接続される。各アダプタ17b〜17dより送信される各伝送信号は、所要の伝送ケーブル19b〜19dを順次通り、アダプタ17aへ送信される。各伝送信号は、最終的には伝送ケーブル19aを通り監視制御装置3へ送信される。
Daisy Chain方式においては、監視制御装置3と接続する長い距離(一般的には200mから400mの長さ)に布設される伝送ケーブルは、伝送ケーブル19aの1本だけである。伝送ケーブル19a以外の伝送ケーブル19b〜19dは、隣同士のアダプタ17a〜17dが接続できればよく、ケーブル長は極短いもの(一般的には10mから20m程度)でよい。
熱電対11a〜11dの台数が増加した場合であっても、隣同士のアダプタ間で短い伝送ケーブル19b〜19dを布設すればよいので、ケーブル物量の削減の観点からDaisy Chain方式は有利である。
なお、伝送ケーブル19a〜19dは、1芯のケーブルまたは2芯のケーブルのいずれであってもよい。2芯のケーブルを適用した場合、伝送ケーブル19a〜19dは伝送信号の送信に加え、監視制御装置3からA/D変換器16a〜16dやアダプタ17a〜17dへの電源供給を兼ねる。この伝送ケーブル19a〜19dは、プラス電圧を供給する1芯とマイナス電源を与える1芯とがペアとなり、所定の機能が満たされて1本のケーブルを構成する。
筐体12(収容手段)は、例えば鉄製やFRP(Fiber Reinforced Plastics)製の閉鎖性を有する筐体である。筐体12は、高所に設置される場合などには、FRP製にすることで軽量化されるのが好ましい。筐体12は、筐体12に収容される熱電対数に応じた寸法を有する。
筐体12は、伝送ケーブル19a〜19d(伝送ケーブル19aの一部)、A/D変換器16a〜16d、アダプタ17a〜17d、および熱電対11a〜11dがA/D変換器16a〜16dと接続するコールドジャンクションを収容する。
筐体12は、伝送ケーブル19a、熱電対11a〜11dを貫通させる。筐体12は、産業プラント2内、特に測定エリア14である機器設置現場エリアの周囲環境からの熱水・蒸気・ガスや人間活動から、内部に設置された機器を充分保護し得る、所要の防護性を有する。
なお、筐体12は伝送ケーブルを周囲環境から保護することを目的とするため、少なくとも伝送ケーブル19a〜19dを収容すればよい。
筐体12は、人間活動などの影響を受けない、測定エリア14である機器設置現場エリアから所要距離離れた位置であって、熱電対11a〜11dのコールドジャンクションと接続し得る適切な場所に設置されるのが好ましい。
ここで、第1実施形態における温度計測システム1の比較例としての温度計測システムについて説明する。
図2は、第1実施形態における温度計測システム1の比較例としての温度計測システム21の構成図である。
温度計測システム21は、産業プラント22内に主に設けられ、産業プラント22外に設けられる監視制御装置23に伝送ケーブル39aで接続される。
温度計測システム21は、第1実施形態における温度計測システム1の熱電対11a〜11d、A/D変換器16a〜16d、アダプタ17a〜17d、および伝送ケーブル19a〜19dとほぼ同様の熱電対31a〜31d、A/D変換器36a〜36d、アダプタ37a〜37d、および伝送ケーブル39a〜39dを有する。
温度計測システム21は、第1実施形態における温度計測システム1と異なり、伝送ケーブル39a〜39dが筐体に収容されていない。また、熱電対31a〜31d、A/D変換器36a〜36d、アダプタ37a〜37dおよび伝送ケーブル39a〜39dが測定エリア34としての機器設置現場エリアに設置される。
このような温度計測システム21に設けられる伝送ケーブル39a〜39dは、設備機器や配管が最も輻輳する機器設置現場エリアである測定エリア34の周囲環境や人間活動の影響により損傷を受けたり切断されたりしないように、保護される必要がある。そこで、伝送ケーブル39a〜39dは、保護鞘として鉄製の配管40a〜40c(いわゆるコンジット配管)により保護される。
この温度計測システム21は、余分なコンジット配管40a〜40cを設ける必要があり、コンジット配管40a〜40cの材料分のコスト上昇を生じさせる。また、コンジット配管40a〜40cは、設備機器や配管が最も輻輳する機器設置現場エリアである測定エリア34に、設備機器などとの配置関係を配慮しながら敷設・工事されるため、多大な設計と手間が必要となる。
よって、この比較例としての温度計測システム21は、Daisy Chain方式によるケーブル合理化のメリットをコンジット配管40a〜40cにより目減り・相殺させてしまうという欠点があった。
次に、第1実施形態における温度計測システム1の参考例としての、圧力や流量を計測するトランスミッタに現場伝送を適用した計測システム51を説明する。
図3は、第1実施形態における温度計測システム1の参考例としての計測システム51の構成図である。
計測システム51は、産業プラント52内に主に設けられ、産業プラント52外に設けられる監視制御装置53に伝送ケーブル69aで接続される。
この計測システム51は、トランスミッタから得られる信号をDaisy Chain方式で接続された伝送ケーブル69a〜69dで伝送する。計測システム51は、計器センサの計測原理の違いに起因して、第1実施形態における温度計測システム1とは異なる構成となっている。すなわち、トランスミッタ61a〜61dは、計装現場盤62a、62bの盤内(または計装現場ラック)に設置される。
トランスミッタ61a〜61dは、計測対象のプロセス(水、蒸気、油など)の物理的圧力をキャピュラリチューブ(計装配管)65a〜65dを経由して計装現場盤62a、62bに伝える。トランスミッタ61a〜61dは、熱電対11a〜11dと同様にA/D変換器66a〜66dおよびアダプタ67a〜67dを有する。各アダプタ67a〜67dは、A/D変換器66a〜66dより送信される伝送信号を伝送ケーブル69a〜69dに送信する。
計装現場盤62a、62bは、設備機器が最も輻輳する測定エリア64としての機器設置現場エリアから離れた箇所に設置される。計装現場盤62aは、トランスミッタ61a、61b、A/D変換器66a、66b、アダプタ67a、67bおよび伝送ケーブル69a〜69cを収容する。計装現場盤62bは、トランスミッタ61c、61d、A/D変換器66c、66d、アダプタ67c、67dおよび伝送ケーブル69c、69dを収容する。
伝送ケーブル69cは、計装現場盤62a内のアダプタ67bと計装現場盤62b内のアダプタ67cとを接続する。伝送ケーブル69cは、比較例としての温度計測システム21と同様に、コンジット配管70により保護される。計装現場盤62a、62bの内部は、熱水、蒸気、保守・巡回業務員の影響を配慮する必要がないため、計装現場盤62a、62bに収容される伝送ケーブル69b、69dは、コンジット配管による保護は不要である。
すなわち、計装現場盤62a、62b間を接続する伝送ケーブル69cに限りコンジット配管70を必要とし、コンジット配管の必要量は比較的少量である。
ここで、Daisy Chain方式を適用可能なトランスミッタ台数には技術的限界があり、無限台数のトランスミッタに対して本方式が適用され得るわけではない。監視制御装置53と接続される1本の伝送ケーブル69aにより許容される伝送容量やその他の技術要素に起因する制約条件により、Daisy Chain方式で接続できるトランスミッタの個数は、上限がある。
この上限個数を、説明の便宜上20体とする。例えば20体のトランスミッタがある場合、20体全てが同じ計装現場盤62(62a、62b)に収納されれば、全ての伝送ケーブル69(69a〜69d)が計装現場盤62内で接続されるため、コンジット配管70は全く不要になる。しかし、キャピュラリチューブ65(65a〜65d)の長さは、限界を有する。このため、ひとつの計装現場盤62には計測箇所が比較的近傍のトランスミッタ61(61a〜61d)しか設置することができず、現実的には多くても5体程度しか収納できない。
そこで、20体のトランスミッタ間にDaisy Chain方式を適用する場合、20体のトランスミッタは、例えば5体―4体―4体―3体―4体に分割・グループ化され、5つの計装現場盤62に収納される。従って、計装現場盤62間を接続する4本の伝送ケーブル69は、コンジット配管70が施工され、保護される必要がある。
これに対し、第1実施形態における温度計測システム1は、設置場所や設置数に影響されることなく、伝送ケーブル19a〜19dを収容可能な筐体12を有する。これにより、温度計測システム1は、苛酷な周囲環境から伝送ケーブル19a〜19dを個別に保護するための手段を設ける必要がなく、Daisy Chain方式で接続された伝送ケーブル19a〜19dで伝送信号を伝送する現場伝送のメリットを最大限に生かすことができる。
また、産業プラント2内においては、プラントの性能を測る指標である熱電対11(11a〜11d)の設置数はトランスミッタ61より多く、計測センサの過半数(例えば200〜300体)を占める。このような熱電対11に対して温度計測システム1を適用することにより、ケーブル合理化の観点から大きなメリットを享受できる。
なお、第1実施形態の温度計測システム1は、1本の伝送ケーブル19aにより各熱電対11a〜11dの計測結果を監視制御装置3に伝送したが、2本以上の伝送ケーブルにより伝送してもよい。
図4は、第1実施形態における温度計測システム1の変形例の構成図である。
変形例としての温度計測システム81において、第1実施形態の温度計測システム1と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
変形例としての温度計測システム81は、監視制御装置83とアダプタ17dとの間に、伝送ケーブル19e(第2の接続手段)を新たに設けた。
第1実施形態の温度計測システム1の場合、例えば伝送ケーブル19bが切断されると熱電対11a以外の熱電対11b〜11dから得られる計測結果を監視制御装置3に送信することができない。
これに対し、変形例としての温度計測システム81は、伝送ケーブル19eを有することにより熱電対11a〜11dの計測結果を確実に監視制御装置83に送信することができる。
すなわち、例えば伝送ケーブル19bが切断した場合であっても、熱電対11aの計測結果は伝送ケーブル19aを介して監視制御装置83に送信され、熱電対11b〜11dの計測結果はそれぞれ所要の伝送ケーブル19c〜19eを介して監視制御装置83に送信することができる。
この温度計測システム81は、伝送ケーブルの接続にDaisy Chain方式を採用する場合において、温度計測システム81の信頼性をさらに向上させることができる。
[第2実施形態]
本発明の温度計測システムおよびその製造方法の第2実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図5は、本発明に係る温度計測システムの第2実施形態の構成図である。
第1実施形態の温度計測システム1と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第2実施形態における温度計測システム101が第1実施形態と異なる主な点は、熱電対による測定エリア114が広く、n体(第2実施形態においては20体(n=20))の熱電対が1つの筐体112に収容された点である。「多数」は、例えばDaisy chain方式により接続可能な熱電対の上限数である。
温度計測システム101は、産業プラント2内に主に設けられ、産業プラント2外に設けられる監視制御装置103に伝送ケーブル119aで接続される。
第1の方式で熱起電力を伝える熱電対である熱電対111a、111bは、コールドジャンクションにA/D変換器116a、116bおよびアダプタ117a、117bをそれぞれ有する。A/D変換器116a、116b(伝送信号変換手段)は、熱電対111a、111bが生成した熱起電力をA/D変換して伝送信号を出力する。アダプタ117a、117b(伝送信号変換手段)は、A/D変換器116a、116bより送信される伝送信号を伝送ケーブル119a、119bにそれぞれ送信する。
第2の方式で熱起電力を伝える熱電対である熱電対111cは、コールドジャンクションに端子ボックス121c、A/D変換器116c、およびアダプタ117cを順次有する。端子ボックス121cは、補償導線122cによりA/D変換器116cと接続される。
端子ボックス121c(中継装置)は、熱電対111cと補償導線122cとを接続する。端子ボックス121cは、熱電対111cが生成した熱起電力(小さい熱起電力)を補償導線122c(第3の接続手段)に供給する。A/D変換器116c(伝送信号変換手段)は、補償導線122cを介して送信された熱起電力をA/D変換して伝送信号を出力する。アダプタ117c(伝送信号変換手段)は、A/D変換器116cより送信される伝送信号を伝送ケーブル119cに送信する。
第3の方式で熱起電力を伝える熱電対である熱電対111nは、コールドジャンクションに変換器123n、A/D変換器116nおよびアダプタ117nを順次有する。変換器123nは、ハードケーブル124nによりA/D変換器116nと接続される。
変換器123n(電流信号変換手段)は、熱電対111nが生成した熱起電力(小さい熱起電力)を4−20mAの電流信号(または1−5Vの電圧信号)に変換して出力する。電流信号(電圧信号)は、ハードケーブル124n(第3の接続手段)を介してA/D変換器116nに送信される。A/D変換器116n(伝送信号変換手段)は、送信された熱起電力をA/D変換して伝送信号を出力する。アダプタ117n(伝送信号変換手段)は、A/D変換器116nより送信される伝送信号を伝送ケーブル119nに送信する。
なお、補償導線122cは、同一の長さの熱電対と比べて安価である。このため、筐体112と熱電対111a〜111dのホットジャンクション(測定エリア114)との距離が大きい場合には、第1の方式により熱電対111a、111bのコールドジャンクションとA/D変換器116a、116bとを接続する場合より、第2の方式により補償導線122cを介してコールドジャンクションとA/D変換器116cとを接続する方が、設備費用を低減できる。
また、ハードケーブル124nは、同一長さの補償導線122cと比べて安価である。このため、上記と同様の趣旨から、第2の方式より第3の方式を採用する方が設備費用を低減できる。
第2および第3の方式は、ホットジャンクション(測定エリア114)と筐体112との距離が大きく(例えば10mから30m程度)、例えば熱電対11c、111nのコールドジャンクションを筐体112に収容することが非現実的となる程度の距離である場合に効果的である。
伝送ケーブル119a〜119nは、例えば光ケーブルであり、アダプタ117a〜117nより伝送された伝送信号を監視制御装置103に送信する。伝送ケーブル119b〜119n(第1の接続手段)は、隣接するアダプタ117a〜117n間を接続する。各アダプタ117b〜117nより送信される伝送信号は、所要の伝送ケーブル119b〜119nを通りアダプタ117a〜117(n−1)へ順次送信され、最終的には伝送ケーブル119a(第2の接続手段)を介して監視制御装置103へ送信される。伝送ケーブル119a〜119nは、数珠繋ぎにつないでいく配線方式であるDaisy Chain方式で接続される。
筐体112(収容手段)は、伝送ケーブル119a〜119n(伝送ケーブル119aの一部)、A/D変換器116a〜116n、アダプタ117a〜117n、および熱電対111a〜111nがA/D変換器116a、116bと接続するコールドジャンクション、補償導線122cまたはハードケーブル124nを収容する。
このような第2実施形態における温度計測システム101は、多数(第2実施形態においては20体)の熱電対111a〜111nに対しても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
すなわち、多数の熱電対111a〜111nを設置する場合には、筐体112と一部の熱電対との距離は大きくなるが、補償導線122cやハードケーブル124nを用いて熱起電力を送信することにより、筐体112と熱電対との距離によらずに、伝送ケーブル119a〜119nを筐体112に収容することができる。
よって、温度計測システム101は、多数の熱電対111a〜111nが設けられた場合であっても、数の影響を受けずに筐体112にまとめて伝送ケーブル119a〜119nを収容することができる。特に、多数の熱電対111a〜111nが設けられた場合には、伝送ケーブル119b〜119nを保護するためのコンジット配管などの設備コストや施工作業を大きく削減することができる。
さらに、補償導線122cやハードケーブル124nは、その一部は機器設置現場エリアである測定エリア114を通って布設されるが、その布設ルートは熱電対111a〜111nのコールドジャンクションとその近傍だけの極短い区間であり、その工事設計と施工の負担は小さいものである。また、機器設置現場エリアである測定エリア114を離れると、補償導線122cやハードケーブル124nの敷設ルートは、周囲環境が整理されたエリア(機器設置現場エリア外)となるので、工事設計と施工は容易である。
なお、20体設けた例を説明したが、1つの筐体112に収容される熱電対数はこれに限らない。また、多数の熱電対111a〜111nが設置される大規模な産業プラントにおいては、複数の筐体112を設け、各筐体112に所定数ごとの熱電対111a〜111nを収容するようにしてもよい。
[第3実施形態]
本発明の温度計測システムおよびその製造方法の第3実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図6は、本発明に係る温度計測システムの第3実施形態の構成図である。
第1および第2実施形態の温度計測システム1、101と対応する構成および部分については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、上述した第1および第2実施形態の温度計測システムに対して考え得る課題について説明する。
測定エリア(機器設置現場エリア)も含む産業プラントの初期計画時より、機器配置、建屋構造を含めた詳細な計画が立案される場合には、筐体の設置場所も初期段階で計画し、その設置場所も確保することができる。
しかし、実際には、筐体の設置場所は主要計画・配置がなされた後に、周囲の設備機器などとの関係を調整しながら決定される。このため、筐体の設置場所がないという状況も蓋然性を伴って充分に発生し得る。
このような場合、例えばフロア面に設置される筐体以外にも、産業プラントの建屋構造物(例えば壁、柱、梁や天井面)に取り付けることで、3次元的な高さも利用することができる。
取り付けられる壁や柱が産業プラント建設の初期段階で決定され得る場合には、柱などの構造物に、筐体を考慮した荷重設計を反映させることもできる。しかし、上述のように設置場所の決定時期は初期段階ではないので、高所に設置される設備は重量を軽くすることが要件となる。
そこで、第3実施形態における温度計測システムは、架台を用いて高所に伝送ケーブルなどを設置することにより、伝送ケーブルは輻輳する機器設置現場エリアから隔離され、熱水・蒸気・ガスなどの周囲環境や人間活動との干渉を低減することができる。
以下、第3実施形態における温度計測システム131を具体的に説明する。
温度計測システム131は、産業プラント2内に主に設けられ、産業プラント2外に設けられる監視制御装置133に伝送ケーブル149a(第2の接続手段)で接続される。
熱電対141a〜141fは、コールドジャンクションに端子ボックス153a〜153f、A/D変換器146a、146bおよびアダプタ147a、147bを順次有する。端子ボックス153a〜153fは、補償導線154a〜154fによりA/D変換器146a、146bと接続される。
端子ボックス153a〜153fは、中継手段であり、熱電対141a〜141fが生成した熱起電力(小さい熱起電力)を補償導線154a〜154fを介してA/D変換器146a、146bにそれぞれ送信する。A/D変換器146a、146b(伝送信号変換手段)は、送信された熱起電力をA/D変換して伝送信号を出力する。アダプタ147a、147b(伝送信号変換手段)は、A/D変換器146a、146bより送信される伝送信号を伝送ケーブル149a、149bにそれぞれ送信する。A/D変換器146aおよびアダプタ147aは、補償導線154a〜154cに対して共通に設けられる。A/D変換器146bおよびアダプタ147bは、補償導線154d〜154fに対して共通に設けられる。
筐体142(収容手段)は、伝送ケーブル149b(伝送ケーブル149a、149cの一部)、A/D変換器146a、146b、アダプタ147a、147b、および熱電対141a〜141fとA/D変換器146a、146bとを接続する補償導線154a〜154fを収容する。筐体142は、例えば産業プラント2のフロア面に設置される。
熱電対141g〜141iは、コールドジャンクションに端子ボックス153g〜153i、A/D変換器146g〜146i、およびアダプタ147g〜147iを順次有する。端子ボックス153g〜153iは、補償導線154g〜154iによりA/D変換器146g〜146iとそれぞれ接続される。
端子ボックス153g〜153iは、中継手段であり、熱電対141g〜141iが生成した熱起電力(小さい熱起電力)を補償導線154g〜154iを介してA/D変換器146g〜146iに送信する。A/D変換器146g〜146i(伝送信号変換手段)は、送信された熱起電力をA/D変換して伝送信号を出力する。アダプタ147g〜147i(伝送信号変換手段)は、A/D変換器146g〜146iより送信される伝送信号を伝送ケーブル149c〜149e(第1の接続手段)に送信する。
なお、熱電対141a〜141iは、端子ボックス153a〜153iおよび補償導線154a〜154iに代えて、変換器およびハードケーブルを備えてもよい(第2実施形態参照)。
各A/D変換器146g〜146iおよびアダプタ147g〜147iは、留め具などの固定手段により支持パイプ157に固定されることにより架台156に収容される。
架台156(収容手段)は、産業プラント2の建屋構造物に所定の高さを持って支持される。図6においては、架台156は、産業プラント2の建屋構造物である柱158から水平に伸びるサポート159aにより支持される。架台156は、筐体142のような閉鎖型の箱ではなく、例えば金属製、FRP製の支持パイプ157を組み合わせたオープンラックである。
アダプタ147gに接続される伝送ケーブル149cは、筐体142に収容されるアダプタ147bに接続される。伝送ケーブル149cは、熱水・蒸気・ガスなどの周囲環境や人間活動の影響が無視できない箇所を通ってアダプタ147bに接続される。このため、伝送ケーブル149cは、コンジット配管160中を通り、コンジット配管160により保護される。コンジット配管160は、サポート159b、159cに支持され、柱158に沿って上下方向に設けられる。
架台156は、測定エリア144である機器設置現場エリアから隔離された熱水・蒸気・ガスなどの周囲環境や人間活動の影響を無視できるエリアに設置される。このため、アダプタ147g〜147iに接続される伝送ケーブル149c〜149eは、筐体142のように閉鎖された空間に収容されたり、保護されたりする必要がない。
すなわち、第3実施形態における温度計測システム131は、伝送ケーブル149a〜149eを保護するための設備の重量軽減とともに、設備費用を低減させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1、81、101、131 温度計測システム
2 産業プラント
3、83、103 監視制御装置
11a〜11d、111a〜111n、141a〜141i 熱電対
12、112、142 筐体
14、114、144 測定エリア
16a〜16d、116a〜116n、146a、146b、146g〜146i A/D変換器
17a〜17d、117a〜117n、147a、147b、147g〜147i アダプタ
19a〜19e、119a〜119n、149a〜149e 伝送ケーブル
121c、153a〜153i 端子ボックス
122c、154a〜154i 補償導線
123n 変換器
124n ハードケーブル
156 架台
158 柱
160 コンジット配管

Claims (10)

  1. 複数の熱電対と、
    前記熱電対により生成された熱起電力を伝送信号に変換して出力する伝送信号変換手段と、
    前記伝送信号変換手段より出力された前記伝送信号を送信する送信手段と、
    各前記送信手段間を接続する第1の接続手段と、
    少なくとも一の前記送信手段と前記伝送信号を処理する処理手段とを接続する少なくとも一の第2の接続手段と、
    少なくとも前記第1の接続手段を収容する収容手段とを備えたことを特徴とする温度計測システム。
  2. 前記収容手段は、筐体である請求項1記載の温度計測システム。
  3. 前記第1の接続手段は、各前記送信手段間を数珠つなぎに接続し、
    前記送信手段は、前記伝送信号が前記第2の接続手段を介して前記処理手段に送信されるように前記伝送信号を前記第1の接続手段を介して送信する請求項2記載の温度計測システム。
  4. 前記収容手段は、前記伝送信号変換手段および前記送信手段をさらに収容し、
    各前記熱電対は、前記収容手段内で前記伝送信号変換手段と接続される請求項3記載の温度計測システム。
  5. 前記熱電対と接続される中継手段と、
    前記中継手段と前記伝送信号変換手段とを接続する第3の接続手段とをさらに備えた請求項1または2記載の温度計測システム。
  6. 前記第3の接続手段は、補償導線であり、
    前記中継手段は、前記熱起電力を前記補償導線に供給する中継装置である請求項5記載の温度計測システム。
  7. 前記中継手段は、前記熱電対が生成した熱起電力を電流信号または電圧信号に変換する電流信号変換手段であり、
    前記第3の接続手段は、前記電流信号または前記電圧信号を前記伝送信号変換手段に送信するケーブルである請求項5記載の温度計測システム。
  8. 前記第2の接続手段は、二以上設けられる請求項1または2記載の温度計測システム。
  9. 前記収容手段は、前記温度計測システムが設けられる建屋構造物に支持される架台である請求項1記載の温度計測システム。
  10. 複数の熱電対を測定エリアに設置する工程と、
    前記熱電対により生成された熱起電力を伝送信号に変換して出力する伝送信号変換手段を前記熱電対に接続する工程と、
    前記伝送信号変換手段より出力された前記伝送信号を送信する送信手段を前記伝送信号変換手段に接続する工程と、
    各前記送信手段間を第1の接続手段で接続する工程と、
    少なくとも一の前記送信手段と前記伝送信号を処理する処理手段とを第2の接続手段で接続する工程と、
    少なくとも前記第1の接続手段を収容手段に収容する工程とを備えたことを特徴とする温度計測システムの製造方法。
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