JP2013022521A - 純水製造施設及びイオン交換樹脂の延命方法 - Google Patents

純水製造施設及びイオン交換樹脂の延命方法 Download PDF

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【課題】長期間イオン交換樹脂の取替えを行うことなく高純度の純水を製造できる純水製造施設、及び、イオン交換樹脂の延命方法を提供することにある。
【解決手段】原水中に含有される不純物を除去するろ過装置10と、該ろ過装置10を通過したろ過水中に含有される溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減するRO膜装置20と、該RO膜装置20を通過した処理水を、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させることで純水を精製するイオン交換装置30と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、長期間イオン交換樹脂の取替えを行うことなく、高純度の純水を製造できる純水製造施設、及び、イオン交換樹脂の延命方法に関する。
近年、半導体製造工場や液晶製造工場において、洗浄用に多くの純水や超純水が用いられている。そのため、種々の製造方法により、純水が製造されている。
純水の製造方法として、ろ過によって不純物を除去する技術や、イオン交換樹脂等を用いることで不純物イオンの除去を行う技術、逆浸透を利用することで不純物の除去を行う技術が挙げられる。
例えば特許文献1では、少なくとも懸濁物質を除去する前処理装置と、アニオン及びカチオンの少なくとも一つを除去するイオン交換装置と、少なくとも微粒子及びコロイド物質を除去する逆浸透装置と、溶解性有機物を分解除去する有機物分解装置と、溶存気体を除去する脱気装置と、イオン化された物質を除去するイオン吸着装置と、少なくとも微粒子を除去する限外ろ過装置とを備えた超純水製造装置が開示されている。
また、特許文献2では、被処理水を精製して得られる第1処理水を貯水する貯水タンクと、前記貯水タンクから供給される第1処理水を精製して第2処理水を得るイオン交換体を利用した精製部と、所定の外部機器に接続され、前記所定の外部機器に前記第1処理水及び/又は前記第2処理水を供給させる供給ポンプと、前記精製部と前記供給ポンプとを接続させる接続ラインと、前記接続ラインと前記貯水タンクとを接続させる補助ラインとを備える水処理装置が開示されている。
さらに特許献3では、吸着装置と、逆浸透装置、イオン交換装置、紫外線酸化装置、アニオン交換装置、ポリッシャー装置又は限外濾過装置のうちの少なくとも1つの処理装置とからなる超純水製造装置において、前記吸着装置に分子量50〜1000の有機物を選択的に除去できる能力を持つ吸着剤を充填してなる超純水製造装置が開示されている。
しかしながら、上記の技術では、いずれもイオン交換樹脂を用いたイオン交換処理を行っており、原水中に含有される溶存イオン成分(有機物や残留塩素等のイオン性を有する物質)が該イオン交換樹脂に付着し、該イオン交換樹脂の体積を増加させる結果、不可逆膨潤を引き起こし、イオン交換の阻害要因となるという問題があった。上記不可逆膨潤の状態が続いた場合、イオン交換樹脂が汚染され、純水の正常な精製を行えないおそれがあるため、改善することが望まれている。
特開2010−22936号公報 特開2009−285574号公報 特開平6−126271号公報
本発明は、イオン交換樹脂と接触する水に所定の処理を行うことで、長期間イオン交換樹脂の取替えを行うことなく高純度の純水を製造できる純水製造施設、及び、イオン交換樹脂の延命方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、被処理水をカチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させるのに先立って、RO膜を用いて、前記被処理水の溶存イオン成分を、合計20mg/L以下まで低減させることで、上述したイオン交換樹脂の不可逆膨潤を引き起こす原因を取り除き、イオン交換樹脂の汚染を抑制できるため、長期間取替えを行うことなく、高純度の純水を製造できることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)原水中に含有される不純物を除去するろ過装置と、該ろ過装置を通過したろ過水中に含有される溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減するRO膜装置と、該RO膜装置を通過した処理水を、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させることで純水を精製するイオン交換装置と、を備えることを特徴とする純水製造施設。
(2)前記RO膜装置は、前記ろ過水に0.4〜0.8MPaの範囲の圧力を負荷することを特徴とする上記(1)に記載の純水製造施設。
(3)前記RO膜は、スパイラル膜又はチューブラー膜であることを特徴とする上記(1)に記載の純水製造施設。
(4)前記溶存イオン成分は、残留塩素、カルシウム、マグネシウム、シリカ及び有機物のうちから選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の純水製造施設。
(5)前記ろ過装置の前段階又は後段階に、前記原水中に含有される不純物を除去する活性炭装置をさらに備えることを特徴とする上記(1)に記載の純水製造施設。
(6)被処理物を、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させてイオン交換を行う前処理として、RO膜を用いて溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減することを特徴とするイオン交換樹脂の延命方法。
本発明によれば、長期間イオン交換樹脂の取替えを行うことなく高純度の純水を製造できる純水製造施設、及び、イオン交換樹脂の延命方法を提供することが可能となる。
本発明に従う純水製造施設の構成を模式的に示した図である。 従来の純水製造施設の構成を模式的に示した図である。
以下、図面を参照しながら本発明の純水製造施設について説明する。図1は、本発明の純水製造施設を用いて純水を製造する流れ模式的に示した図である。図2は、従来の純水製造施設を用いて純水を製造する流れ模式的に示した図である。
≪純粋製造施設≫
本発明による純水製造施設は、図1に示すように、原水中に含有される不純物を除去するろ過装置10と、該ろ過装置10を通過したろ過水中に含有される溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減するRO膜装置20と、該RO膜装置20を通過した処理水を、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させることで純水を精製するイオン交換装置30と、を備えることを特徴とする。
上記構成を備えることで、前記カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させる被処理水が、イオン交換樹脂の不可逆膨潤を引き起こす主要因となる溶存イオン成分をほとんど含んでいない状態となるため、該溶存イオン成分と前記イオン交換樹脂とが結合することによる不可逆膨潤の発生が抑制され、イオン交換樹脂の汚染を抑制できる結果、長期間イオン交換樹脂の取替えを行うことなく、高純度の純水を製造できる。
なお、従来の純水製造施設については、図2に示すように、前記イオン交換装置30の前に前記RO膜装置20が設けられていないため、処理される原水は、ろ過装置10を通過した後、高い濃度で前記溶存イオン成分を含んだまま、前記イオン交換装置30へと送られる場合がある。そのため、本発明による純水製造施設に比べて、イオン交換樹脂の不可逆膨潤が発生することが多く、イオン交換樹脂の寿命が短い。また、従来の純水製造設備においても、RO膜装置を備えるものもあるが、いずれの設備についても溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減するものはなく、本発明による施設に比べて前記イオン交換樹脂の寿命は短くなると考えられる。
以下に、本発明の純水製造施設を構成する各装置について説明する。
(ろ過装置)
本発明による純水製造装置は、図1に示すように、原水中に含有される不純物を除去するためのろ過装置10を備える。ここで、前記不純物とは、前記原水中に含まれる固体状(粒子状)の物質のことであり、例えば、残留塩素、汚泥、有機物等が挙げられる。
前記ろ過装置の具体的な構成については、上述の不純物を除去できるものであれば特に限定はされない。例えば、自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過を行うろ過装置を用いることができる。また、ろ材についても、原水に含有される前記不純物の成分によって適宜選択すればよく、例えば、ガラス繊維フィルター、メンブランフィルター、セルロースやグラスファイバーなどを圧縮成型して強度を高めた板状のろ板等を用いることができる。
(活性炭装置)
本発明による純水製造装置は、図1に示すように、前記ろ過装置10の前段階又は後段階に、前記原水中に含有される不純物を除去する活性炭装置11をさらに備えることが好ましい。該活性炭の吸着作用によって、前記ろ過装置10だけの場合と比べて、含有不純物成分をさらに除去できるため、より高純度な純水を得ることができるからである。
前記活性炭装置については、前記不純物を吸着除去できるものであれば特に限定はされない。例えば、粉末活性炭スラリー注入方式や、粒状活性炭吸着方式などを採用することができる。
(RO膜装置)
本発明による純水製造施設は、図1に示すように、ろ過装置10を通過したろ過水中に含有される溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減するRO膜装置20を備える。ここで、前記溶存イオン成分の「mg/L」とは、前記ろ過水の単位体積(1L)あたりの前記溶存イオン成分の含有量(mg)のことである。
前記溶存イオン成分を合計20mg/L以下とすることで、前記不可逆膨潤が発生しないレベルまで、前記溶存イオン成分が低減されるからである。前記溶存イオン成分が合計20mg/Lを超えると、該イオン成分の低減が十分ではないため、イオン交換樹脂の不可逆膨潤が発生しやすくなる。
なお、前記溶存イオン成分とは、前記ろ過装置や、前記活性炭装置によって取り除かれなかった不純物のうち、水中でイオンとなって前記イオン交換装置のカチオン交換樹脂又はアニオン交換樹脂と結合する成分のことであり、具体的には、残留塩素、カルシウム、マグネシウム、シリカ及び有機物のうちから選択される少なくとも1種が挙げられる。ここで、前記有機物とは、例えば、トリクロロエタン、ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン等のことをいう。
前記RO膜装置については、前記溶存イオン成分を、合計20mg/L以下まで低減できるものであれば特に限定はしない。上記レベルまでイオン成分を低減できるように、RO膜装置の、RO膜や圧力の調整を行えばよい。
例えば、前記RO膜装置は、前記ろ過水に0.4〜0.8MPaの範囲の圧力を負荷することが好ましい。これらの圧力範囲とすることで、前記溶存イオン成分を、合計20mg/L以下まで低減できるからである。前記負荷する圧力が0.4MPa未満の場合、通水量が低下するため、十分な処理量を得ることができないおそれがあり、一方、前記負荷する圧力が0.8MPaを超えると、圧力が高すぎるため、前記RO膜が損傷するおそれがある。
また、前記RO膜装置のRO膜は、スパイラル膜又はチューブラー膜からなることが好ましい。これら以外のRO膜を用いた場合、前記溶存イオン成分を、合計20mg/L以下まで低減できないおそれがあるからである。さらに、前記RO膜の材質としては、例えば、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホン等が挙げられる。
(イオン交換装置)
本発明による純水製造施設は、図1に示すように、前記RO膜装置20を通過した処理水を、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させることで純水を精製するイオン交換装置30を備える。前記イオン交換樹脂中の固定イオンと、前記被処理水中の対立イオン(交換されるイオン)との吸着の差を利用することによって、被処理水に含まれた各イオンを分離し、純水を精製することができる。
前記イオン交換装置30の構成については、前記処理水を、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させる装置であれば、特に限定はされない。例えば、図1に示すように、イオン交換を行うためのイオン交換樹脂が充填されたカチオン塔31及びアニオン塔32と、該イオン交換樹脂を再生するための酸33及びアルカリ34とを備えるイオン交換装置30を用いることができる。イオン交換の結果、イオン交換装置30から排出された廃液については、図1に示すように、廃液中和槽36へと送られ、中和処理された後に排出される。
また、イオン交換樹脂についても、前記被処理水のイオン交換が行える樹脂であれば特に限定はされない。例えば形状については、環状形式や繊維状形式が挙げられ、樹脂の種類としては、例えば弱酸性及び弱塩基性の樹脂を用いることが可能である。
前記イオン交換装置30によって精製された純水については、図1に示すように、その後、純水タンクへと送られる。
≪イオン交換樹脂の延命方法≫
本発明によるイオン交換樹脂の延命方法は、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させてイオン交換を行う前処理として、RO膜を用いて溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減することを特徴とする。
上記構成を備えることで、前記カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触する被処理水が、イオン交換樹脂の不可逆膨潤を引き起こす主要因となる溶存イオン成分をほとんど含んでいない状態となるため、該溶存イオン成分と前記イオン交換樹脂とが結合することによる不可逆膨潤の発生が抑制され、該イオン交換樹脂の汚染を抑制できる結果、従来の使用に比べて、延命化が可能となる。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、特許請求の範囲の記載内容に応じて種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例)
図1に示すように、原水中に含有される不純物を除去する砂式のろ過装置10及び活性炭装置11と、該ろ過装置を通過したろ過水中に含有される溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減する、RO膜装置20(RO膜の種類:チューブラー膜、RO膜の材質:ポリビニルアルコール、圧力:0.5MPa)と、該RO膜装置20を通過した処理水を、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させることで純水を精製するイオン交換装置30と、を備える純水製造施設によって、純水の製造(5000L/時間)を行った。
なお、原水については、不純物として、残留塩素、シリカ、カルシウム、マグネシウム及び有機物を含有しており、前記不純物の含有量の指標となる電気伝導度は、およそ200μs/cmであった。
(比較例)
図2に示すように、前記活性炭装置11及びRO膜装置20を備えていないこ純水製造設備を使用したこと以外は、全て同じ条件で、純水の製造(5000L/時間)を行った。
(評価)
実施例及び比較例のそれぞれについて、純水の製造を続けたときの、イオン交換装置30中のイオン交換樹脂(カチオン交換樹脂)が、汚染され、使用できなくなるまでの日数、つまりカチオン交換樹脂の寿命について測定した。
結果を表1に示す。なお、カチオン交換樹脂の寿命については、比較例1の寿命を100としたときの相対値として表示しており、大きいほど寿命が長く良好な結果であることを示す。
Figure 2013022521
本発明によれば、長期間イオン交換樹脂の取替えを行うことなく高純度の純水を製造できる純水製造施設、及び、イオン交換樹脂の延命方法を提供することが可能である。その結果、より低コストに純水の製造を行えることから、産業上極めて有用である。
10 ろ過装置
11 活性炭装置
20 RO膜装置
30 イオン交換装置
31 カチオン塔
32 アニオン塔
33 酸
34 アルカリ
35 廃液中和槽
40 純水タンク

Claims (6)

  1. 原水中に含有される不純物を除去するろ過装置と、該ろ過装置を通過したろ過水中に含有される溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減するRO膜装置と、該RO膜装置を通過した処理水を、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させることで純水を精製するイオン交換装置と、を備えることを特徴とする純水製造施設。
  2. 前記RO膜装置は、前記ろ過水に0.4〜0.8MPaの範囲の圧力を負荷することを特徴とする請求項1に記載の純水製造施設。
  3. 前記RO膜は、スパイラル膜又はチューブラー膜であることを特徴とする請求項1に記載の純水製造施設。
  4. 前記溶存イオン成分は、残留塩素、カルシウム、マグネシウム、シリカ及び有機物のうちから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の純水製造施設。
  5. 前記ろ過装置の前段階又は後段階に、前記原水中に含有される不純物を除去する活性炭装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の純水製造施設。
  6. 被処理物を、カチオン交換樹脂及びアニオン交換樹脂に順次接触させてイオン交換を行う前処理として、RO膜を用いて溶存イオン成分を合計20mg/L以下まで低減することを特徴とするイオン交換樹脂の延命方法。

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