JP2013019100A - 庭構造 - Google Patents

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Satoko Oshida
聡子 押田
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Abstract

【課題】狭小敷地の庭に屋外床部を設置した場合であっても、この庭に面した居室から庭を眺めたときの庭の奥行感を、この屋外床部ができるだけ損なうことのないようにする。
【解決手段】狭小敷地における庭Gを中心とした庭構造である。庭Gに面した開口部1aを介して居室1の床面1bに床面2bを連続させるように設置される屋外床部2と、この屋外床部2の前方において、この屋外床部2の床面2bに植栽地盤面4aを連続させるように前記庭Gに形成された盛り上げ植栽領域4とを備えてなる。
【選択図】図1

Description

この発明は、狭小敷地における庭構造に関する。
現在、戸建て住宅においては、庭にウッドデッキなどの屋外床部を設置することが好まれる傾向にある。しかるに、30坪以下の狭小敷地においては、庭面積は確保し難く(敷地面積30坪の場合では典型的には5坪程度となる)、このような敷地において屋外床部を設置すると庭の植栽面積がさらに減少し、庭に面した居室内から庭を眺めた場合には多くの場合屋外床部に隠されて植えた樹木の根元や庭の地盤面が見えなくなってしまう。このような庭は居室内から眺めた場合、奥行が少なく感じられ易い。
この発明が解決しようとする主たる問題点は、狭小敷地の庭に屋外床部を設置した場合であっても、この庭に面した居室から庭を眺めたときの庭の奥行感を、この屋外床部ができるだけ損なうことのないようにする点にある。
前記課題を達成するために、この発明にあっては、狭小敷地における庭構造を、庭に面した開口部を介して居室の床面に床面を連続させるように設置される屋外床部と、
この屋外床部の前方において、この屋外床部の床面に植栽地盤面を連続させるように前記庭に形成された盛り上げ植栽領域とを備えてなるものとした。
この発明によれば、盛り上げ植栽領域によって、庭に面した居室から庭を眺めたときに、植えた樹木の根元や地盤面が屋外床部に隠されないようにでき、これにより居室から庭を眺めたときの庭の奥行感がかかる屋外床部によってできるだけ損なわれないようにすることができる。かかる盛り上げ植栽領域を備えた庭はこの庭に面した居室における温熱環境の向上に物理的のみならず心理的にも寄与するものとなる。
図1は実施の形態にかかる庭構造の一例(実施例1)を示した断面構成図である。 図2は図1に示される居室からの庭の眺めの様子を示した構成図である。 図3は実施の形態にかかる庭構造の他の一例(実施例4)を示した断面構成図である。 図4は図3に示される居室からの庭の眺めの様子を示した構成図である。 図5は比較例にかかる庭構造の一例を示した断面構成図である。 図6は図5に示される居室からの庭の眺めの様子を示した構成図である。
以下、図1〜図6に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかる庭構造は、狭小敷地における庭Gを中心とした外構であって、この庭Gに面した居室1における温熱環境の向上(冬期に暖かく夏期に涼しく過ごせるようにする)にも心理面から寄与し得るものである。かかる庭構造は、典型的には、30坪以下の狭小敷地の庭Gに適用するのに適している。
かかる庭構造は、庭Gに面した開口部1a(掃き出し窓)を介して居室1の床面1bに床面2bを連続させるように設置される屋外床部2と、
この屋外床部2の前方において、この屋外床部2の床面2bに植栽地盤面4aを連続させるように前記庭Gに形成された盛り上げ植栽領域4とを備えてなる。
図1にかかる庭構造の概要構成を示す。図中符号2aはこの屋外床部2を庭Gの地盤面上に支持する脚部、符号3は庇である。また、図中符号Hは隣接する敷地に立てられている別の建物の外壁であり、符号Haはこの別の建物の窓である。
前記居室1の開口部1aはこの開口部1aを利用して成人が屋外床部2と居室1との間を出入りできる大きさ(高さと幅)を持っている。また、屋外床部2は、かかる居室1の開口部1aの開口下端と略同じレベルにその床面2bを位置させるようにして設けられると共に、かかる開口部1aのどの位置から庭Gに出る場合でもその動線上にこの屋外床部2が位置される左右寸法を持つようになっている。
前記盛り上げ植栽領域4は、屋外床部2との間に盛り上げ植栽領域4を挟むように敷地境界線に沿って設置される壁部5と、この屋外床部2の前端2cとの間に形成される。図示の例では、盛り上げ植栽領域4は、前記壁部5と屋外床部2の前端2c側を支持する脚部2aの近傍に形成された土留め7との間に盛られた土壌によって形成されている。
敷地が狭小であるために、庭Gに面した居室1の開口部1aの前方に屋外床部2を形成した場合に庭Gに植えた樹木Pの根元が居室1の中央に着座した状態において屋外床部2に隠されて見えなくなると、居室1内から庭Gを見たときの奥行感が低下することが認められた。(図5、図6/両図は図1と同様に屋外床部2は設けてあるが盛り上げ植栽領域4を設けない状態を示している。)これと同じ条件でも、屋外床部2の前方に前記盛り上げ植栽領域4を設けると、樹木Pの根元や植栽地盤面4aが居室1の中央に着座した状態において視認でき、(図2)居室1内から庭Gを見たときの庭Gの奥行感が向上することが認められた。盛り上げ植栽領域4の先に更に前記壁部5を設けると、居室1内から庭Gを見たときの安心感が向上することが認められた。
図3は、前記壁部5上にさらにフェンス部6を備えた例を示している。このようにした場合、居室1内から庭Gを見たときの開放感を損なうことなく、居室1内から庭Gを見たときの安心感を向上できることが認められた。(図4)
この実施の形態にかかる庭構造は、前記居室1の開口部1aからの屋外床部2の突き出し寸法を450mm〜1800mmの範囲として、前記屋外床部2の前端2cから敷地境界線までの距離を900mm〜3000mmの範囲とする場合に、必要性が認められると共に適用可能で且つ有効である。
また、前記壁部5は、低すぎると前記安心感が損なわれ、また、高すぎると前記開放感が損なわれることから、その高さは500mm〜1500mmの範囲とすることが好適である。
さらに、庭Gに植える樹木Pとしては、樹高が3mまでで、樹冠の水平投影面の輪郭形状を楕円形や略円形として葉張りがあまり広くならないもの、例えば、ヒメシャラ、ソヨゴ、ハイノキなどが好ましい。
以下の前提条件を備えた実験棟を用意し、これを比較例とすると共に、これに付加条件を付加した実施例1〜実施例4を用意し、被験者の受けた印象を以下の手法で数値化した。
(前提条件)
図5に示される構成を備えた実験棟。(比較例)
居室1の寸法及び面積:5460mm×3640mm/19.87m2
庭Gの寸法及び面積:2700mm×3600mm/9.72m2
屋外床部2(ウッドデッキ)寸法及び面積:1800mm(突き出し寸法)×3600mm (左右寸法)/6.48m2
庭Gに占める屋外床部2の割合:66%
庭Gに植えた樹木P:ヒメシャラ(樹高2.5m×葉張り1.2m)
ソヨゴ(樹高1.5m×葉張り0.9m)
居室1の照明は消灯させておく。
(実施例1)
図1に示される構成を備えた実験棟。
屋外床部2の前方に盛り上げ植栽領域4を形成し、前記樹木Pをこの盛り上げ植栽領域4に植え、その前方にほとんど視界を遮らない高さの壁部5を形成。
(実施例2)
図1に示される構成を備えた実験棟の庭Gの植栽領域の前方に視界を遮ぎる高さの壁部(図示は省略する。)を設置。
(実施例3)
屋外床部2の前方に盛り上げ植栽領域4を形成し、前記樹木Pをこの盛り上げ植栽領域4に植え、その前方にほとんど視界を遮らない高さの壁部5を形成すると共に、この壁部5上に視界を遮る高さの金網状のフェンス部(図示は省略する。)を設置。
(実施例4)
図3に示される構成を備えた実験棟。
実施例3の金網状のフェンス部に代えて、上下に隣り合う板材間にスリットを形成させるようにして複数の板材を垂直方向に並設させてなる木製のフェンス部6を設置。
(被験者)
比較例及び実施例1
被験者数19名
女性(20代1名、30代8名)
男性(20代1名、30代1名、40代4名、50代4名)
実施例1〜4
被験者数20名
女性(20代1名、30代7名、40代2名、50代1名)
男性(20代1名、30代2名、40代4名、50代1名、60代1名)
(被験者の受けた印象の数値化手法)
実施例1〜4、比較例のそれぞれにおいて、居室1の中央に設置されたソファーに被験者を二名づつ着座させ、掃き出し窓を通じて庭Gを眺めた印象を、開放感、快適感、爽快感、明るさ感、奥行感、安心感の6項目について、6段階で評価させた。(開放感の場合、非常に開放的に感じた場合は6点、かなり開放的と感じた場合5点、すこし開放的と感じた場合4点、すこし閉鎖的と感じた場合3点、かなり閉鎖的と感じた場合2点、非常に閉鎖的と感じた場合1点として評価させた。他の項目についてもこれを準用した。)前記6項目についてそれぞれ、前記被験者の評価点の全員分についての合算数を被験者数で除し、前記6項目について被験者が受けた印象をそれぞれを数値化した。その結果を以下にグラフにより示す。
(実施例1及び比較例の試験結果)
Figure 2013019100
グラフ中、実線が実施例1、破線が比較例の結果をそれぞれ示す。
(実施例1〜4の試験結果)
Figure 2013019100
グラフ中、一点鎖線は実施例1、二点鎖線は実施例2、実線は実施例3、点線は実施例4の結果をそれぞれ示す。
G 庭
1 居室
1a 開口部
1b 床面
2 屋外床部
2b 床面
4 盛り上げ植栽領域
4a 植栽地盤面

Claims (5)

  1. 庭に面した開口部を介して居室の床面に床面を連続させるように設置される屋外床部と、
    この屋外床部の前方において、この屋外床部の床面に植栽地盤面を連続させるように前記庭に形成された盛り上げ植栽領域とを備えてなることを特徴とする狭小敷地における庭構造。
  2. 屋外床部との間に盛り上げ植栽領域を挟むように敷地境界線に沿った壁部を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の狭小敷地における庭構造。
  3. 壁部上にフェンス部が備えられていることを特徴とする請求項2に記載の狭小敷地における庭構造。
  4. 居室の開口部からの屋外床部の突き出し寸法が、450mm〜1800mmの範囲であり、
    前記屋外床部の前端から敷地境界線までの距離が、900mm〜3000mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の狭小敷地における庭構造。
  5. 壁部の高さが、500mm〜1500mmの範囲であることを特徴とする請求項4に記載の狭小敷地における庭構造。
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