JP2013010855A - ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度と耐衝撃性に優れ、かつ色調が良好なポリ乳酸樹脂組成物、該組成物を成形することにより得られるポリ乳酸樹脂成形体、及び該成形体の製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分を含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、結晶化度が50%未満であるセルロースが5〜350重量部、ガラス繊維が1〜25重量部、ゴム成分が1〜45重量部である、ポリ乳酸樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等として好適に使用し得るポリ乳酸樹脂組成物、該組成物を成形することにより得られるポリ乳酸樹脂成形体、及び該ポリ乳酸樹脂成形体の製造方法に関する。
ポリ乳酸樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために総酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また樹脂の特性として剛性が強く透明性が高いことが挙げられるため、現在その利用が期待されている。
しかし、ポリ乳酸樹脂は、前記特性に加えて、脆く、硬いことから、可撓性に欠けるという特性も有するため、その用途は限定されており、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等の分野における使用実績はほとんどない。また、射出成形体等に成形した場合も、可撓性や耐衝撃性のような機械的強度が不足したり、折り曲げたときの白化やヒンジ特性が劣る等の問題が生じたりするため、使用されていないのが現状である。
これに対して、ポリ乳酸樹脂を硬質分野に応用する技術として、種々の提案がされている。
例えば、特許文献1では、ポリ乳酸樹脂に結晶化度が50%未満のセルロースを含有させることで、該組成物を成形して得られる成形体が強度及び可撓性を両立するものとなり、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等の様々な用途への適用が可能になることが記載されている。
特許文献2には、有機ホスフィン酸金属塩系難燃剤を配合して得られる難燃性のポリ乳酸樹脂組成物が電気製品の筐体などに利用できると開示されている。かかる樹脂組成物については、堅牢性の向上にはガラス繊維を、耐衝撃性の向上にはゴム系耐衝撃改良剤をさらに配合することが好ましいことが開示されている。
また、特許文献3では、ポリ乳酸樹脂にポリブチレンテレフタレートを適量加えた樹脂成分に対して、コアシェルポリマーと繊維を特定量配合することで、従来のものより極めて優れた耐熱性を有するだけでなく、成形加工性、耐衝撃性にも満足するポリ乳酸系組成物が得られることが開示されている。コアシェルポリマーとしては、コア成分としての共役ジエン系化合物を含む重合体又はアクリル系ゴム粒子に、シェル成分としての芳香族ビニル化合物及び/又は(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体が好適例として挙げられており、これらは耐熱性の改善に特に寄与していることが記載されている。繊維の好適例としては、バサルト繊維、竹繊維、ケナフ繊維、炭素繊維、及びガラス繊維が挙げられている。
特開2010−270289号公報 WO2009/130904号パンフレット 特開2007−246694号公報
特許文献1〜3を参酌して、ポリ乳酸樹脂に結晶化度が50%未満であるセルロースを添加して可撓性を高めたものに、さらに耐衝撃吸収剤を配合する場合もあり得る。しかしながら、本件出願人は、耐衝撃吸収剤を配合した場合に、射出成形した樹脂組成物が着色するという課題を見出した。
本発明の課題は、強度と耐衝撃性に優れ、かつ色調が良好なポリ乳酸樹脂組成物、該組成物を成形することにより得られるポリ乳酸樹脂成形体、及び該成形体の製造方法を提供することにある。
そこで、本発明者らは、前記課題を解決する為に検討を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂に、特定量の結晶化度が50%未満のセルロース、特定量のゴム成分、さらには特定量のガラス繊維を配合させて得られた成形体が、強度、耐衝撃性、色調のいずれにも優れるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕 ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分を含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、結晶化度が50%未満であるセルロースが5〜350重量部、ガラス繊維が1〜25重量部、ゴム成分が1〜45重量部である、ポリ乳酸樹脂組成物、
〔2〕 前記〔1〕記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体、ならびに
〔3〕 前記〔1〕記載のポリ乳酸樹脂組成物を溶融混練機を用いて溶融混練する工程、及び射出成形機により成形する工程を有する、ポリ乳酸樹脂成形体の製造方法
に関する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、強度と耐衝撃性に優れ、かつ色調が良好であるという優れた効果を奏するものである。また、フィラーとしてバイオマス資源であるセルロースを含有するため、低コスト化、総酸化炭素の低排出量化が可能となる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分を含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、結晶化度が50%未満であるセルロースが5〜350重量部、ガラス繊維が1〜25重量部、ゴム成分が1〜45重量部であることに大きな特徴を有する。
一般的なセルロースは結晶化度が80%程度であり、必要に応じて、その結晶化度をさらに上げるなどして、無機フィラーの代わりに生分解性を有する補強材として生分解性樹脂組成物に使用されることがある。一方で、結晶化度を上げて強度を増強する技術とは相反し、その結晶化度を50%未満に低減したセルロースを配合することにより、該セルロースが可塑剤的な役割を担うため、強度と可撓性の両立が可能になったことが、これまでに明らかとなっている。よって、さらに耐衝撃吸収剤を配合することは推定される。しかしながら、ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満のセルロース、耐衝撃吸収剤としてのゴム成分を含有する樹脂組成物を射出成形した場合に、得られた成形体が着色して色調に劣るものになるという問題が見出された。そこで、本発明者らが検討した結果、驚くべきことに、ポリ乳酸樹脂に対して、結晶化度が50%未満のセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分をそれぞれ特定量配合することで、強度、耐衝撃性、色調のいずれにも優れるものとなることが判明した。その詳細な理由は不明であるが、ポリ乳酸樹脂及び結晶化度が50%未満のセルロースにゴム成分を配合すると、溶融混練時又は射出成形時の剪断発熱により、これら成分が相互作用を生じて着色が起きると考えられる。しかしながら、そこにガラス繊維を配合することで、ポリ乳酸樹脂、セルロース、ゴム成分が適度に分散されて凝集が緩和されることにより相互作用が弱まり、結果として着色が抑えられると考えられる。また、凝集が抑制されることで、ゴム成分が元来有する効果が発揮され易くなり、耐衝撃性が向上すると考えられる。なお、本明細書において、「強度」は後述の「曲げ弾性率」により評価される特性のことを意味する。
<ポリ乳酸樹脂組成物>
[ポリ乳酸樹脂]
ポリ乳酸樹脂は、原料モノマーとして乳酸成分のみを縮重合させて得られるポリ乳酸、及び/又は、原料モノマーとして乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分とを用い、それらを縮重合させて得られるポリ乳酸(コポリマー)を含有する。
乳酸には、L−乳酸(L体)、D−乳酸(D体)の光学異性体が存在する。本発明では、乳酸成分として、いずれかの光学異性体のみ、又は双方を含有してもよいが、成形性を向上させる観点から、いずれかの光学異性体を主成分とする光学純度が高い乳酸を用いることが好ましい。なお、本明細書において「主成分」とは、乳酸成分中の含有量が50モル%以上である成分のことをいう。
乳酸成分におけるL体又はD体の含有量、即ち、前記異性体のうちいずれか多い方の含有量は、乳酸成分のみ又は乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分とを縮重合させる場合のいずれにおいても、80〜100モル%が好ましく、85〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましく、98〜100モル%がさらに好ましい。なお、乳酸成分におけるL体及びD体の総含有量は、実質的に100モル%であることが好ましいことから、前記異性体のうちいずれか少ない方の含有量は、乳酸成分中、0〜20モル%が好ましく、0〜15モル%がより好ましく、0〜10モル%がさらに好ましく、0〜2モル%がさらに好ましい。
一方、ヒドロキシカルボン酸成分としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等のヒドロキシカルボン酸化合物が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて利用することができる。これらのなかでも、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と耐衝撃性を両立させ、かつ耐熱性及び透明性を向上させる観点から、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。
また、本発明においては、前記乳酸及びヒドロキシカルボン酸化合物の2量体が、それぞれの成分に含有されてもよい。乳酸の2量体としては、乳酸の環状二量体であるラクチドが例示され、ヒドロキシカルボン酸化合物の2量体としては、グリコール酸の環状二量体であるグリコリドが例示される。なお、ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド、及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがあり、本発明ではいずれのラクチドも用いることができるが、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と耐衝撃性を両立させ、かつ耐熱性及び透明性を向上させる観点から、D−ラクチド及びL−ラクチドが好ましい。なお、乳酸の2量体は、乳酸成分のみを縮重合させる場合、及び乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分とを縮重合させる場合、いずれの乳酸成分に含有されていてもよい。
乳酸の2量体の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と耐衝撃性を両立させる観点から、乳酸成分中、80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%がより好ましい。
ヒドロキシカルボン酸化合物の2量体の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させる観点から、ヒドロキシカルボン酸成分中、80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%がより好ましい。
乳酸成分のみの縮重合反応、及び、乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分との縮重合反応は、特に限定はなく、公知の方法を用いて行うことができる。
かくして、原料モノマーを選択することにより、例えば、L−乳酸(L体)又はD−乳酸(D体)いずれかの単位80〜100モル%とその対掌体の乳酸単位0〜20モル%からなるポリ乳酸、あるいはL−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるポリ乳酸が得られるが、なかでも、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド、及びカプロラクトンを原料モノマーとして用いて得られるポリ乳酸が好ましい。
また、本発明において、ポリ乳酸として、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、かつ耐熱性及び透明性を向上させる観点から、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるステレオコンプレックスポリ乳酸を用いてもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸を構成する一方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(A)と記載する〕は、L体90〜100モル%、D体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。他方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(B)と記載する〕は、D体90〜100モル%、L体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。なお、L体及びD体以外のその他の成分としては、2個以上のエステル結合を形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられ、また、未反応の前記官能基を分子内に2つ以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等であってもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸における、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸(B)の重量比〔ポリ乳酸(A)/ポリ乳酸(B)〕は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
またさらに、本発明において、ポリ乳酸として、ポリ乳酸樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂を架橋剤で架橋させたポリ乳酸樹脂を用いるのが好ましい。
架橋剤としては、公知の架橋剤が使用できるが、ポリ乳酸樹脂との反応性の観点からポリカルボジイミド系架橋剤が好ましい。ポリカルボジイミド系架橋剤としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニルカルボジイミド)等の芳香族ポリカルボジイミド;ポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂環族ポリカルボジイミド、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミドが挙げられ、これらのポリカルボジイミド系架橋剤は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、芳香族ポリカルボジイミド及び脂環族ポリカルボジイミドが好ましく、ポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)及びポリ(ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。架橋剤の使用量は特に限定はなく、例えば、架橋されるポリ乳酸樹脂100重量部に対して、架橋剤を0.1〜5重量部使用することができる。
架橋方法としては、特に限定はなく、例えば、ポリ乳酸樹脂と架橋剤とを好ましくは190〜220℃で溶融混練して得ることができる。得られるペレットは、適宜乾燥してもよい。
ポリ乳酸樹脂における、ポリ乳酸の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは実質的に100重量%である。
なお、ポリ乳酸樹脂は、前記方法により合成することができるが、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、耐熱性を向上させる観点から、市販の製品としてはレイシアH−100、H−280、H−400、H−440(三井化学社製)、3001D、3051D、4032D、4042D、6201D、6251D、7000D、7032D(ネイチャーワークス社製)、エコプラスチックU’z S−09、S−12、S−17(トヨタ自動車社製)が好ましい。
また、本発明においては、前記ポリ乳酸樹脂以外に、他の生分解性樹脂が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。他の生分解性樹脂としては、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル樹脂、ポリヒドロキシアルカン酸等が挙げられる。また、前記ポリ乳酸樹脂は、前記他の生分解性樹脂やポリプロピレン等の非生分解性樹脂とポリ乳酸とのブレンドによるポリマーアロイとして含有されていてもよい。
ポリ乳酸樹脂の含有量は、組成物に含有される樹脂成分中、樹脂組成物の強度と耐衝撃性を両立させ、耐熱性及び生産性を向上させる観点から、50重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。
[セルロース]
本発明で用いられるセルロースは、結晶化度が50%未満のセルロースである。
本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度であり、下記計算式(A)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
ここで、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。従って、セルロースI型結晶化度が50%未満であるセルロースとは、結晶領域量が50%未満であるセルロース、即ち、非晶質部分が50%超えて存在するセルロースであることが分かる。本明細書においては、このように非晶質部分が50%超えて存在するセルロースを非晶質セルロース、結晶領域量が50%以上存在するセルロースを結晶性セルロースということもある。なお、セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度は、セルロースの物理的性質及び化学的性質とも関係し、その値が大きいほど硬度、密度等は増すが、伸びや柔軟性、化学反応性は低下する。
本発明で用いられるセルロースの結晶化度は、50%未満であり、ポリ乳酸樹脂組成物の強度及び可撓性を両立する観点から、45%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、10%以下がさらに好ましく、X線回折分析においてI型結晶が検出されない、実質的に0%であることがさらに好ましい。なお、計算式(A)で定義されたセルロースI型結晶化度では、計算上マイナスの値になる場合があるが、マイナスの値の場合はセルロースI型結晶化度は0%とする。また、本発明では、結晶化度が異なるセルロースを2種以上組み合わせて用いてもよいが、その場合のセルロースの結晶化度とは、用いられるセルロースの加重平均により求められる結晶化度を意味し、その値が前記範囲内であることが好ましい。
セルロースは、結晶化度が50%未満であれば特に限定はないが、例えば、セルロース含有原料に後述の機械的処理等を施すことにより得られるセルロースであることが好ましい。
セルロース含有原料としては、特に制限はなく、幹、枝、葉、茎、根、種子、果実等の植物の各部位、例えば、稲わら、トウモロコシ茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類等が使用できる。また、間伐材、剪定枝、各種木材チップ、木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類;新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等の紙類を使用してもよいが、着色の少ないポリ乳酸樹脂成形体を得る観点からは、パルプが好ましい。またさらに、新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等の紙類(古紙)を再生した再生パルプや再生紙を使用することもできる。
また、セルロース含有原料としては、市販の結晶性セルロースも使用できる。市販の結晶性セルロースとしては、例えばKCフロック(日本製紙ケミカル社製)、セオラス(旭化成ケミカルズ社製)等がある。
これらのセルロース含有原料の形態は、特に限定はなく、チップ状、シート状等各種形態のものが使用できる。なお、市販のパルプのセルロースI型結晶化度は、通常80%以上であり、市販の結晶性セルロースのセルロースI型結晶化度は、通常80%以上である。本発明で用いるセルロース含有原料のセルロースI型結晶化度は、少なくとも50%以上であることが好ましい。
前記セルロース含有原料は、該原料から水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量が好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上のものであることが望ましい。例えば、市販のパルプは、水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量が、通常75〜99重量%であり、他の成分としてはリグニン等を含有する。なお、原料から水を除く方法としては、特に限定はなく、例えば、真空乾燥やドライエアーによる乾燥により行なうことができる。本明細書において、前記セルロース含有量とはセルロース量及びヘミセルロース量の合計量を意味し、セルロース含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、セルロース含有原料としてパルプ類、再生紙等を使用する場合、ポリ乳酸樹脂成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、セルロース含有原料中のリグニン量は、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下であることが望ましい。なお、リグニンの構造単位としては、特に制限されるものではなく、公知のものが挙げられるが、ポリ乳酸樹脂成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、グアイアシル型、シリンギル型、p−ヒドロキシフェニル型であることが望ましい。
リグニンを低減する方法としては、例えば、特開2008−92910号公報記載のアルカリ蒸解法や特開2005−229821号公報記載の硫酸分解法等が挙げられる。
また、セルロース含有原料として再生パルプや再生紙等を使用する場合、ポリ乳酸樹脂の結晶性と、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させる観点から、セルロース含有原料の灰分含量は、好ましくは35重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
また、セルロース含有原料の水分含量は、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。セルロース含有原料の水分含量が20重量%以下であれば、容易に粉砕できるとともに機械的処理により結晶化度を容易に低下させることができる。なお、本明細書において、セルロース含有原料の水分含量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
機械的処理とは、セルロース含有原料を粉砕処理することであり、かかる処理により、セルロースの結晶化度を低下させ、効率的に非晶化させることができる。なお、効率的に結晶化度を低下させる観点から、嵩密度と平均粒径が調整されたセルロース含有原料を粉砕処理に供してもよいし、ポリ乳酸樹脂成形体の耐久性を向上させる観点から、水分含量が調整されたセルロース含有原料を粉砕処理に供してもよい。また、嵩密度、平均粒径や水分含量の調整を行なわずにそのまま非晶化させる粉砕処理に供してもよい。
(嵩密度と平均粒径が調整されたセルロース含有原料の調製方法)
セルロース含有原料の嵩密度と平均粒径の調整方法としては、特に限定されないが、セルロースの結晶構造を破壊して粉末化させる観点から、例えば、特開2010−270289号公報に記載の圧縮せん断力を作用させて粉砕する方法が好ましい。なお、以降、圧縮せん断力を作用させてセルロース含有原料の嵩密度と平均粒径を調整するために行う粉砕を1次粉砕、1次粉砕により得られたセルロース含有原料又は水分含量が調整されたセルロース含有原料を非晶化するために行う粉砕を2次粉砕ということもある。
1次粉砕の前には、セルロース含有原料をチップ状又は直方体状に粗粉砕しておくことが好ましい。チップ状にしたセルロース含有原料の大きさとしては、好ましくは1〜50mm角、より好ましくは1〜30mm角である。1〜50mm角のチップ状に粗粉砕することにより、1次粉砕を効率良く容易に行うことができる。なお、粗粉砕後のセルロース含有原料の大きさは、ノギスを用いて測定することができる。
粗粉砕方法としては、例えば、特開2010−270289号公報に記載の方法、即ち、シュレッダー、ロータリーカッター、又はスリッターカッター等の裁断機を使用する方法が挙げられる。
また、シート状のセルロース含有原料を用いる場合、シュレッダー又はスリッターカッターを使用することが好ましい。
圧縮せん断力を作用させてセルロース含有原料を機械的に粉砕する方法、即ち、1次粉砕する方法としては、従来よく用いられる衝撃式の粉砕機、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル等や押出機を用いて粉砕する方法が挙げられるが、セルロース含有原料が綿状化して嵩高くなりにくく、所望の嵩密度及び平均粒径を有するセルロース含有原料が得られ、取扱い性が向上することから、押出機を用いる方法が好ましい。
押出機を用いた粉砕処理(1次粉砕)は、公知の方法に従って行なうことができる。
前記1次粉砕により嵩密度と平均粒径が調整されたセルロース含有原料(以降、1次粉砕により得られたセルロース含有原料、又は1次粉砕後のセルロース含有原料ともいう)が得られる。なお、1次粉砕によってセルロース含有量は変動することなく、1次粉砕後の原料から水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。また、1次粉砕によってセルロース結晶化度は低減するものの、1次粉砕後のセルロース含有原料のセルロース結晶化度は好ましくは60%以上である。
1次粉砕後のセルロース含有原料の嵩密度は、100kg/m以上が好ましく、120kg/m以上がより好ましく、150kg/m以上がさらに好ましい。この嵩密度が100kg/m以上であれば、セルロース含有原料が適度な容積を有するために取扱い性が向上する。また、2次粉砕に用いる粉砕機へ原料仕込み量を多くすることができるので、処理能力が向上する。一方、この嵩密度の上限としては、取扱い性及び生産性を向上させる観点から、500kg/m以下が好ましく、400kg/m以下がより好ましく、350kg/m以下がさらに好ましい。これらの観点から、嵩密度としては、100〜500kg/mが好ましく、120〜400kg/mがより好ましく、150〜350kg/mがさらに好ましい。なお、本明細書において、セルロース含有原料の嵩密度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、1次粉砕後のセルロース含有原料の平均粒径は、1.0mm以下が好ましく、0.7mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。平均粒径が1.0mm以下であれば、2次粉砕に用いる粉砕機に供給する際に、粉砕機においてセルロース含有原料を効率的に分散させることができ、長時間を要することなく所定の粒径に到達することができる。一方、平均粒径の下限としては、生産性を向上させる観点から、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましい。これらの観点から、平均粒径としては、0.01〜1.0mmが好ましく、0.01〜0.7mmがより好ましく、0.05〜0.5mmがさらに好ましい。また、1次粉砕後のセルロース含有原料の水分含量は、4.5重量%超が好ましく、10重量%以下が好ましい。
(水分含量が調整されたセルロース含有原料の調製方法)
一方、セルロース含有原料の水分含量の調整方法としては、乾燥処理を行う工程を含む方法であれば、その処理方法としては限定されず公知の乾燥方法を適宜選択すればよい。乾燥方法としては、例えば、熱風受熱乾燥法、伝導受熱乾燥法、除湿空気乾燥法、冷風乾燥法、マイクロ波乾燥法、赤外線乾燥法、天日乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法等が挙げられる。これらの乾燥方法は、単独でも又は2種以上組み合わせて行ってもよく、乾燥方法における条件(温度、乾燥手段、乾燥時間、圧力等)は適宜設定することができる。また、乾燥処理はバッチ処理、連続処理のいずれでも可能であり、乾燥処理の前に、セルロース含有原料の1次粉砕の前に行う粗粉砕処理と同様の処理を行ってもよい。
前記乾燥処理により水分含量が調整されたセルロース含有原料が得られる。乾燥処理したセルロース含有原料の水分含量は、容易に2次粉砕できるとともに、ポリ乳酸樹脂成形体の耐久性を向上させる観点から、4.5重量%以下が好ましく、0.2〜4.3重量%がより好ましく、0.4〜3.5重量%がさらに好ましく、0.6〜3.0重量%がよりさらに好ましい。なお、市販のパルプ類、バイオマス資源として利用される紙類、木材類、植物茎・葉類、植物穀類等の一般に利用可能なセルロース含有原料は、5重量%以上、通常5〜30重量%程度の水分を含有している。
また、水分含量が調整されたセルロース含有原料の嵩密度は、前記1次粉砕後のセルロース原料の嵩密度と同様の値を有することが好ましい。なお、乾燥処理によってセルロース含有量は変動することなく、乾燥処理後の原料から水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。また、乾燥処理によってセルロース結晶化度も変動せず、乾燥処理後のセルロース結晶化度は、通常、80%以上である。
さらに前記水分含量が調整されたセルロース含有原料の平均粒径は、1.0mm超50.0mm以下が好ましく、2.0mm超50.0mm以下がより好ましい。
次に、前記1次粉砕又は前記乾燥処理により得られたセルロース含有原料、あるいは、前記1次粉砕又は前記乾燥処理を行わなかったセルロース含有原料をそのまま、必要により、前記1次粉砕の前に行なう粗粉砕処理のみ行ったセルロース含有原料を、非晶化するために2次粉砕に供する。
2次粉砕に用いる粉砕機としては、媒体式粉砕機が好ましい。媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と媒体攪拌式粉砕機とがある。容器駆動式粉砕機としては転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性を向上させる観点から、振動ミルが好ましい。媒体攪拌式粉砕機としてはタワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の攪拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性を向上させる観点から、攪拌槽型粉砕機が好ましい。媒体攪拌式粉砕機を用いる場合の攪拌翼の先端の周速は、好ましくは0.5〜20m/s、より好ましくは1〜15m/sである。なお、粉砕機の種類は「化学工学の進歩 第30集 微粒子制御」(社団法人 化学工学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書店)を参照することができる。また、処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでも良い。
粉砕機の媒体の材質としては、特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられる。媒体の形状としては、特に制限はなく、ボール、ロッド、チューブ等が挙げられる。なお、ロッドとは棒状の媒体であり、ロッドの断面が四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等のものを用いることができる。
粉砕機が振動ミルであって、媒体がロッドの場合には、ロッドの外径としては、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1.0〜100mm、さらに好ましくは5〜50mmである。ロッドの大きさが前記の範囲内であれば、所望の粉砕力が得られるとともに、ロッドのかけら等が混入してセルロース含有原料が汚染されることなく効率的にセルロースを非晶化させることができる。また、セルロース含有原料とロッドとの接触頻度を高め粉砕効率を向上させる観点から、ロッドは複数本使用することが好ましい。
処理時間としては、粉砕機の種類、媒体の種類、大きさ及び充填率等により一概に決定できないが、結晶化度を低下させる観点から、好ましくは0.01〜50hr、より好ましくは0.05〜20hr、さらに好ましくは0.10〜10hrであり、さらにより好ましくは0.10〜5hrである。処理温度は、特に制限はないが、熱による劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃である。
かくして、結晶化度が50%未満のセルロースが得られる。
このようにして得られたセルロースは、結晶化度が50%未満に非晶化されているが、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、取扱性を向上させる観点から、平均粒径が150μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させる観点から、90nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。従って、前記2次粉砕により得られたセルロースは、適宜、分級工程、篩工程等を行って、粒径を調整してもよい。また、非晶化させたセルロースを公知の方法に従って乾燥させてもよい。なお、セルロースの平均粒径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明においては、得られるポリ乳酸樹脂成形体の強度や可撓性を維持しながら耐衝撃性をさらに向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂組成物に含有させるセルロースは、50%未満の結晶化度を有するセルロースに平均粒径が30μm以下となるよう小粒径化処理して得られたものであることが好ましい。
小粒径化処理の方法としては、結晶化度が50%未満になるよう調整されたセルロースに、粉砕助剤を添加して粉砕機にて粉砕処理(以降、3次粉砕ともいう)を行う方法が挙げられる。3次粉砕に供するセルロースとしては、結晶化度が50%未満になるよう調整されたものであれば特に限定はないが、前記機械的処理により結晶化度が50%未満になるよう調整されたセルロースであることが好ましい。従って、本発明の組成物に含有される結晶化度が50%未満であるセルロースは、前記機械的処理により得られたセルロース、即ち、粉砕機で処理して得られたセルロースに、さらに、粉砕助剤を添加して粉砕処理することにより得られたものであることが好ましい。
3次粉砕に用いる粉砕機としては、媒体式粉砕機が好ましく、2次粉砕に好適な粉砕機と同様のものが例示される。なお、2次粉砕に用いる粉砕機と3次粉砕に用いる粉砕機は同一のものを用いても、異なるものを用いてもよい。
粉砕機の媒体の材質としては、特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられる。媒体の形状としては、特に制限はなく、ボール、ロッド、チューブ等が挙げられるが、セルロースの微粒化効率を向上させる観点から、3次粉砕に用いる粉砕機としては、ロッドを充填した振動ミルが好ましい。
ロッドの外径は、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1〜100mm、さらに好ましくは5〜50mmであり、ロッドの長さは、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されない。ロッドの大きさが前記の範囲内にあれば、所望の粉砕力が得られ、効率的にセルロースの平均粒径を低減させることができる。
3次粉砕に用いられる粉砕助剤としては、セルロース中の水酸基との相互作用によりセルロースへの吸着を促進する観点から、例えば、特開2010−270289号公報に記載の粉砕助剤、即ち、アルコール、脂肪族アミド、芳香族カルボン酸アミド、ロジン酸アミド、脂肪酸の金属塩、芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩、フェニルホスホン酸金属塩、リン酸エステルの金属塩、ロジン酸類の金属塩、脂肪酸エステル類、カルボヒドラジド類、N−置換尿素類、メラミン化合物の塩、ウラシル類及びポリエーテルが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。なかでも、ポリ乳酸樹脂組成物の熱安定性を向上させる観点から、アルコール、脂肪族アミド、芳香族カルボン酸アミド、脂肪酸の金属塩、フェニルホスホン酸金属塩、リン酸エステルの金属塩、脂肪酸エステル類及びポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、セルロースの粉砕効率及びポリ乳酸樹脂成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、アルコール、脂肪族アミド、脂肪酸の金属塩、フェニルホスホン酸金属塩、脂肪酸エステル類及びポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。また、後述する可塑剤を粉砕助剤として予めセルロースの分散時に用いることもできる。
本発明において、粉砕助剤の添加量は、3次粉砕に供されるセルロース100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは1.0〜30重量部であり、さらにより好ましくは2〜20重量部である。粉砕助剤の添加量が、3次粉砕に供されるセルロース100重量部に対して、0.1重量部以上であれば、セルロースの平均粒径の低減が可能となり、100重量部以下であれば、平均粒径が30μm以下のセルロースを効率良く得ることができる。
3次粉砕の処理時間は、粉砕機の種類や、粉砕機に充填する媒体の種類、大きさ、及び充填率等により適宜調整しうるが、効率的にセルロースの平均粒径を低減させる観点から、好ましくは0.01〜50hr、より好ましくは0.05〜20hr、さらに好ましくは0.10〜10hr、さらに好ましくは0.10〜5hr、さらに好ましくは0.10〜3.5hrである。粉砕処理温度は、特に制限はないが、熱劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃、さらに好ましくは15〜150℃である。
かくして、3次粉砕により、セルロース粒子同士の強い凝集が抑制された微粒化セルロースが得られる。微粒化セルロースの平均粒径は、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.1〜20μmである。
なお、2次粉砕により得られた50%未満の結晶化度を有するセルロースや、前記2次粉砕及び3次粉砕を経て得られた、50%未満の結晶化度を有し、かつ30μm以下の平均粒径を有するセルロースは、粉砕時に粉砕機やその媒体から鉄分が混入することがある。よって、本願発明では、耐衝撃性や色調を向上させる観点から、本願発明に用いるセルロースの鉄分含量は、好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下、よりさらに好ましくは20ppm以下である。また、生産性を向上させる観点から、0ppm以上が好ましく、1ppm以上がより好ましい。
また、本発明においては、ポリ乳酸樹脂組成物の可撓性をさらに向上させる観点から、前記2次粉砕により得られた50%未満の結晶化度を有するセルロースや、前記2次粉砕及び3次粉砕を経て得られた、50%未満の結晶化度を有し、かつ30μm以下の平均粒径を有するセルロースの表面を、シランカップリング剤やチタンカップリング剤の表面処理剤等で処理することができる。
表面処理剤としては、特に限定はなく公知のものを用いることができ、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
表面処理剤の処理量としては、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させる観点から、表面処理されるセルロース100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜3重量部がより好ましく、0.5〜2重量部がさらに好ましい。
表面処理の方法としては特に限定はなく、公知の方法に従って行うことができる。
結晶化度が50%未満であるセルロースの含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、ポリ乳酸樹脂成形体の強度と耐衝撃性を向上させる観点から、5〜350重量部であり、5〜300重量部が好ましく、5〜200重量部がより好ましく、5〜100重量部がさらに好ましく、5〜50重量部がさらに好ましく、10〜40重量部がよりさらに好ましい。
[ガラス繊維]
本発明の組成物は、射出成形品の色調を改善し、曲げ弾性率を向上させる観点から、ガラス繊維を含有する。
ガラス繊維としては、公知のガラスを溶融紡糸してフィラメント状の繊維にしたものであれば特に限定なく用いることができる。
ガラス繊維の平均繊維径は、好ましくは6〜23μm、より好ましくは6〜13μmである。平均繊維長は、好ましくは1.5〜13mmであり、より好ましくは2.5〜7mmである。ガラス繊維の平均繊維長は、任意の100本の繊維を光学顕微鏡で観察してその数平均を算出することにより求めることができる。平均繊維径は、ガラス繊維を切断した断面積を上記と同じ方法で求めることができる。繊維径に長径と短径がある場合は長径を用いて算出する。
本発明では、ガラス繊維には、好ましくは集束剤が付着されていることが好ましい。ガラス繊維に付着させる集束剤としては、シランカップリング剤、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ乳酸系樹脂等を用いることができ、例えば、エポキシ基を有するシラン系カップリング剤として、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等を好適に用いることができる。集束剤の付着は、公知の方法に従って行なうことができる。また、付着量も適宜設定することができる。
ガラス繊維の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の色調及び曲げ弾性率を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、1〜25重量部であり、2〜20重量部が好ましく、3〜20重量部がより好ましく、4〜18重量部がさらに好ましく、5〜15重量部がさらに好ましい。また、結晶化度が50%未満であるセルロース100重量部に対して、ポリ乳酸樹脂組成物の色調及び曲げ弾性率を向上させる観点から、2〜100重量部が好ましく、2〜80重量部がより好ましく、5〜70重量部がさらに好ましく、10〜50重量部がさらに好ましい。
[ゴム成分]
本発明の組成物は、衝撃を吸収して耐衝撃性を向上させる観点から、ゴム成分を含有する。なお、本明細書において、「ゴム成分」は、衝撃を吸収して耐衝撃性を向上する耐衝撃吸収剤のことであり、単に衝撃吸収剤、あるいは耐衝撃改良剤でもある。
ゴムの種類は、特に限定されるものではなく、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されるものであればよい。例えば、天然ゴム、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分又はエチレンプロピレン成分等を重合させたものから構成されるゴムが挙げられる。好ましいゴムとしては、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位等のアクリル成分、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位等のシリコーン成分、スチレン単位やα−メチルスチレン単位等のスチレン成分、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位等のニトリル成分又はブタンジエン単位やイソプレン単位等の共役ジエン成分を重合させたものから構成されるゴムである。また、これらの成分を2種以上組み合わせて共重合させたものから構成されるゴムも好ましく、例えば、
(1)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位等のアクリル成分及びジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位等のシリコーン成分を共重合した成分から構成されるゴム、
(2)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位等のアクリル成分及びスチレン単位やα−メチルスチレン単位等のスチレン成分を共重合した成分から構成されるゴム、
(3)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位等のアクリル成分及びブタンジエン単位やイソプレン単位等の共役ジエン成分を共重合した成分から構成されるゴム、
(4)アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位等のアクリル成分及びジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位等のシリコーン成分及びスチレン単位やα−メチルスチレン単位等のスチレン成分を共重合した成分から構成されるゴム
等が挙げられる。なかでも、耐衝撃性を向上させる観点から、(1)及び(4)が好ましく、(1)がより好ましい。また、これらの成分の他に、ジビニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位又はブチレングリコールジアクリレート単位等の架橋性成分を共重合し架橋させたゴムも好ましい。
ゴムは多層構造重合体であってもよい。ゴム以外の層の種類は、熱可塑性を有する重合体成分から構成されるものであれば特に限定されるものではないが、ゴム層よりもガラス転移温度が高い重合体成分が好ましい。熱可塑性を有する重合体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、グリシジル基含有ビニル系単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位又はその他のビニル系単位等から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体が挙げられ、中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和グリシジル基含有単位又は不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体が好ましく、さらに不飽和グリシジル基含有単位又は不飽和ジカルボン酸無水物系単位から選ばれる少なくとも1種以上の単位を含有する重合体がより好ましい。
これらの中でも、耐衝撃性及び色調を向上させる観点から、コア層に前記のゴム成分を含み、シェル層に上記の熱可塑性を有する重合体成分を含むコア−シェル型ゴムが好ましい。コア層のゴム成分のガラス転移温度は20℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましく、シェル層の重合体成分のガラス転移温度は、コア層のゴム成分のガラス転移温度よりも高いことが好ましい。
具体的には、コア層がアクリル酸ブチル重合体でシェル層がメタクリル酸メチル重合体、コア層がアクリル酸ブチル/スチレン共重合体でシェル層がメタクリル酸メチル重合体等のアクリル系コア−シェル型ゴム;コア層がスチレン/ブタジエン重合体でシェル層がメタクリル酸メチル重合体等のスチレン/ブタジエン系コア−シェル型ゴム;コア層がシリコーン/アクリル重合体でシェル層がメタクリル酸メチル重合体、コア層がシリコーン/アクリル共重合体でシェル層がメタクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体等のシリコーン/アクリル系コア−シェル型ゴムが挙げられ、三菱レイヨン社製「メタブレンS−2001」(コアシェル型シリコーン・アクリルゴム)、「メタブレンS−2006」(コアシェル型シリコーン・アクリルゴム)、「メタブレンW−450A」(コアシェル型アクリル系ゴム)、「メタブレンC−223A」(コアシェル型MBSゴム、MMA/ブタジエン/スチレン)、クラレ社製「LA−2140E」(アクリル系熱可塑性樹脂)等を好適に用いることができる。
ゴム成分の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の耐衝撃性及び成形性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、1〜45重量部であり、2〜40重量部が好ましく、3〜35重量部がより好ましく、5〜30重量部がさらに好ましく、10〜30重量部がさらに好ましい。
また、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、耐衝撃性、色調、及び曲げ弾性率を向上させる観点から、ガラス繊維とゴム成分の合計量(合計含有量)は2〜50重量部が好ましく、5〜40重量部がより好ましく、10〜40重量がさらに好ましい。
ゴム成分とガラス繊維の重量比(ゴム成分/ガラス繊維)は、耐衝撃性、色調、及び曲げ弾性率を向上させる観点から、0.1〜10が好ましく、0.2〜9がより好ましく、0.3〜8がさらに好ましく、0.3〜6がさらに好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、前記ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分以外に、さらに、可塑剤を含有することが好ましい。
[可塑剤]
本発明のポリ乳酸樹脂組成物に含有される結晶化度が50%未満であるセルロースは、従来の樹脂組成物に用いられるセルロースに比べて結晶化度が著しく低減されている。そのため、それ自体で可塑剤的な役割を果たすものであるが、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性のさらなる向上及び耐衝撃性の向上の観点から、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、特に限定はなく公知のものが挙げられ、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル、ジオクチルイソフタレート等のイソフタル酸エステル、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸エステル、ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸エステル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸エステル、モノブチルイタコネート等のイタコン酸エステル、ブチルオレート等のオレイン酸エステル、ジアセチルカプリル酸モノグリセライド、ジアセチルラウリン酸モノグリセライド、リシノール酸モノグリセライド、デカグリセリンモノオレエート等のカルボン酸エステル;トリクレジルホスフェート、トリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート等のリン酸エステル;ポリエチレングリコール(以下PEG)、PEGジアセテート、ポリプロピレングリコール(以下PPG)、PEG−PPG−PEGブロックポリマー、PPG−PEG−PPGブロックポリマー等のポリアルキレングリコール類;トリエチレングリコールモノメチルエーテル乳酸オリゴマーエステル等の乳酸オリゴマーエステル類;ジエチレングリコールロジンエステルアセテート等のロジン酸エステル類が使用できる。なかでも、可撓性を向上させる観点から、カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルが好ましく、その中でも、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させる観点から、分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したエステル化合物(以下、「AO付加エステル化合物)という)を含有することが好ましい。
前記カルボン酸エステルとしては、強度と可撓性を向上させる観点から、下記式(I)で表されるオリゴエステルが好ましい。
O−CO−R−CO−〔(OR−OCO−R7−CO−〕OR (I)
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜6のアルキレン基であり、aは1〜6の数、bは1〜6の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
式(I)におけるRは、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、1分子中に2個存在して、分子の両末端に存在する。Rは炭素数が1〜4であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、メチル基が好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
式(I)におけるRは、炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、直鎖のアルキレン基が好適例として挙げられる。具体的には、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましく、可塑化効果を発現させる観点及び経済性を向上させる観点から、エチレン基、1,4−ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
式(I)におけるRは、炭素数が2〜6のアルキレン基を示し、ORはオキシアルキレン基を示す。Rは炭素数が2〜6であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。具体的には、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、1,2−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−ヘキシレン基、1,5−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、2,5−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基が好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
aはオキシアルキレン基の平均の繰り返し数を示し、1〜6の数である。aが大きくなると、式(I)で表されるエステル化合物のエーテル基価が上がり、酸化されやすくなり安定性が低下する。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、1〜4の数が好ましく、1〜3の数がより好ましい。
bは平均重合度を示し、1〜6の数である。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果及び可塑化効率を向上させる観点から、1〜4の数が好ましい。
式(I)で表される化合物の具体例としては、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rがエチレン基であって、aが2、bが1.5のエステル、Rがエチル基、Rが1,4−ブチレン基、Rが1,3−プロピレン基であって、aが1、bが2のエステル、Rがブチル基、Rが1,3−プロピレン基、Rがエチレン基であって、aが3、bが1.5のエステル、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rが1,6−ヘキシレン基であって、aが1、bが3のエステル等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上含有されていてもよい。これらのなかでも、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、aが1〜3の数、bが1〜4の数である化合物が好ましく、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、aが1〜3の数、bが1〜3の数である化合物がより好ましい。
また、耐揮発性を向上させる観点から、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1つの二塩基酸と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンンジオールから選ばれる少なくとも1つの2価アルコールのオリゴエステル〔式(I)中、b=1.2〜3〕が好ましい。
前記リン酸エステルとしては、可撓性を向上させる観点から、下記式(II):
Figure 2013010855
(式中、R、R10、R11はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、A、A、Aはそれぞれ独立して炭素数2又は3のアルキレン基を示し、d、e、fはそれぞれ独立してオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す正の数であって、d+e+fが4〜12を満足する数である)
で表される化合物が好ましい。
式(II)で表される化合物は、ポリエーテル型リン酸トリエステルであり、対称構造でも非対称構造でも構わないが、製造上の簡便さからは、対称構造のリン酸トリエステルが好ましい。
、R10、R11は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が挙げられるが、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
、A、Aは、それぞれ独立して炭素数2又は3のアルキレン基を示し、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。具体的には、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。また、A、A、Aは、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基(アルキレンオキサイド)を形成し、式(II)で表される化合物における繰り返し構造を形成する。
d、e、fは、それぞれ独立してオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す正の数であって、d+e+fが4〜12であり、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ、可塑化効果を向上させる観点から、好ましくは5〜10を満足する数である。可塑化効果が向上することで、少ない添加量でも十分な可塑化効果をポリ乳酸樹脂に付与できる。
式(II)で表される化合物の具体例としては、式(III):
Figure 2013010855
で表されるトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート〔式(II)中、R、R10、R11はいずれもエチル基、A、A、Aはいずれもエチレン基、d、e、fはいずれも2で、d+e+f=6〕の他に、トリス(メトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(プロポキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(ブトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(メトキシエトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(エトキシエトキシエトキシエチル)ホスフェート等の対称ポリエーテル型リン酸トリエステルやビス(エトキシエトキシエチル)メトキシエトキシエトキシエチルホスフェート、ビス(メトキシエトキシエトキシエチル)エトキシエトキシエチルホスフェート等の非対称ポリエーテル型リン酸トリエステル、あるいは炭素数1〜4のアルコールのポリオキシエチレン付加物又はポリオキシプロピレン付加物の混合物を式(II)を満たすようにリン酸トリエステル化した非対称ポリエーテル型リン酸エステルが挙げられるが、可撓性を向上させる観点から、トリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェートが好ましい。
また、前記AO付加エステル化合物としては、特開2008−115372号公報や特開2008−174718号公報に記載の可塑剤、即ち、分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したエステル化合物が挙げられ、例えば、水酸基1個当たり炭素数2又は3のアルキレンオキシ基が平均0.5〜5モル付加したアルコールのアルキレンオキサイド付加物等のアルコール成分と公知のカルボン酸成分との縮重合により得られる化合物が好ましい。
前記アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、公知の方法、例えば、特開2008−174735号公報等に記載の方法に従って行うことができる。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、成形性、可塑性、及び可塑剤の耐ブリード性を向上させる観点から、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物、及び酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がより好ましい。
また、耐揮発性を向上させる観点からは、アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール混合物(重量比:1/1)とのエステル化合物が好ましい。
なお、前記AO付加エステル化合物は、可塑剤としての機能を十分発揮させる観点から、全てエステル化された飽和エステルであることが好ましい。
前記AO付加エステル化合物の平均分子量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、ならびに可塑剤の耐ブリード性及び耐揮発性を向上させる観点から、好ましくは250〜700であり、より好ましくは300〜600であり、さらに好ましくは350〜550であり、さらに好ましくは400〜500である。なお、平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求めることができる。
平均分子量=56,108×(エステル基の数)/鹸化価
可塑剤が前記AO付加エステル化合物を含有する場合、ポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性、ならびにポリ乳酸樹脂及び結晶化度が50%未満であるセルロースに対する相溶性が良好となる。そのため耐ブリード性が向上するとともに、前記樹脂の軟質化効果も向上する。この樹脂の軟質化向上により、該樹脂が結晶化するときはその成長速度も向上すると考えられる。その結果、低い金型温度でもポリ乳酸樹脂が柔軟性を保持しているため、短い金型保持時間でポリ乳酸樹脂の結晶化が進み良好な成形性を示すものと考えられる。また、結晶化度が50%未満であるセルロースとの相溶性が向上する結果、両者の相互作用によりポリ乳酸樹脂組成物の優れた強度と可撓性の両立が達成できるものと考えられる。
可塑剤として、前記エステル化合物、即ち、カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルとそれ以外の可塑剤を使用することができる。前記AO付加エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立し、かつ可塑剤の耐ブリード性を向上させる観点から、可塑剤中、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることがさらにより好ましい。
可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、及び耐衝撃性を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、7〜30重量部がより好ましく、8〜30重量部がさらに好ましく、8〜20重量部がさらにより好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、前記以外に、さらに、結晶核剤、加水分解抑制剤等が適宜含有されていてもよい。
[結晶核剤]
結晶核剤としては、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、成形性、耐熱性、耐衝撃性及び結晶核剤の耐ブルーム性を向上させる観点から、特開2008−115372号公報や特開2008−174718号公報に記載の結晶核剤、即ち、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物及びヒドロキシ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、これらの少なくとも1種とフェニルホスホン酸金属塩とを併用することがより好ましく、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物とフェニルホスホン酸金属塩を併用することがさらに好ましい。
分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立を図る観点から、水酸基を2つ以上有し、アミド基を2つ以上有する脂肪酸ビスアミドが好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性、耐熱性、耐衝撃性、及び結晶核剤の耐ブルーム性を向上させる観点から、メチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアルキレンビスヒドロキシステアリン酸アミドがより好ましく、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドがさらに好ましい。
分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物の融点は、混練時の有機結晶核剤の分散性を向上させ、またポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度を向上させる観点から、65℃以上が好ましく、70〜220℃がより好ましく、80〜190℃がさら好ましい。
ヒドロキシ脂肪酸エステルの具体例としては、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、12−ヒドロキシステアリン酸ジグリセライド、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセライド等のヒドロキシ脂肪酸エステルが挙げられる。ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、成形性、耐熱性、耐衝撃性、及び有機結晶核剤の耐ブルーム性を向上させる観点から、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが好ましい。
フェニルホスホン酸金属塩としては、置換基を有しても良いフェニル基とホスホン基〔−PO(OH)〕を有するフェニルホスホン酸の金属塩であり、フェニル基の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基の炭素数が1〜10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。フェニルホスホン酸の具体例としては、無置換のフェニルホスホン酸、メチルフェニルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸、ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸等が挙げられ、無置換のフェニルホスホン酸が好ましい。
フェニルホスホン酸の金属塩としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル等の塩が挙げられ、ポリ乳酸樹脂成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、亜鉛塩が好ましい。
本発明において結晶核剤として、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物及びヒドロキシ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、フェニルホスホン酸金属塩とを併用する場合、これらの割合は、本発明の効果を発現する観点から、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物及びヒドロキシ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種/フェニルホスホン酸金属塩(重量比)=20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
結晶核剤の総含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立を図り、耐衝撃性を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、0.10〜3重量部がより好ましく、0.20〜2重量部がさらに好ましく、0.20〜1重量部がさらにより好ましい。
[加水分解抑制剤]
加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物が挙げられ、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性を両立させ、及び成形性を向上させる観点からポリカルボジイミド化合物が好ましく、ポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性及び加水分解抑制剤の耐ブルーム性を向上させる観点から、モノカルボジイミド化合物が好ましい。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等が挙げられ、モノカルボジイミド化合物としては、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。
前記カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び加水分解抑制剤の耐ブルーム性を満たすために、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)はカルボジライトLA−1(日清紡績社製)を、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドはスタバクゾール1、スタバクゾール1−LF(Rhein Chemie社製)をそれぞれ購入して使用することができる。
加水分解抑制剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.10〜2重量部がより好ましく、0.20〜1重量部がさらに好ましい。
また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物には、前記以外に、さらにヒンダードフェノール又はフォスファイト系の酸化防止剤、又は炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤等の他の成分を含有することができる。酸化防止剤、及び滑剤のそれぞれの含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.10〜2重量部がより好ましい。
さらに、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、難燃剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分を含有するものであれば特に限定なく調製することができるが、結晶化度が50%未満であるセルロースをポリ乳酸樹脂やガラス繊維、ゴム成分へ混合する際に、例えば、あらかじめ所定の粒径を有する結晶化度が50%未満であるセルロースを二軸押出機や溶融ミキサーを用いて、ポリ乳酸樹脂やガラス繊維、ゴム成分に練り込んでコンパウンドを作製する方法を用いてもよい。かかる方法においては、結晶化度が50%未満であるセルロースを押出機にフィードするにあたり、まずポリ乳酸樹脂、ガラス繊維、及びゴム成分を溶融させた後、サイドフィーダー等で二軸押出機の半ばから結晶化度が50%未満であるセルロースをフィードしてもよい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、加工性が良好で、例えば200℃以下の低温で加工することができるため、可塑剤を使用した場合でも可塑剤の分解が起こり難い利点があり、フィルムやシートに成形して、各種用途に用いることができる。
<ポリ乳酸樹脂成形体及びその製造方法>
本発明のポリ乳酸樹脂成形体は、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を成形することにより得られる。具体的には、例えば、押出機等を用いて、ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分を溶融させながら、必要により、可塑剤、結晶核剤、加水分解抑制剤等を混合し、次に得られた溶融物を射出成形機等により金型に充填して成形する。溶融の際にポリ乳酸樹脂の可塑性を促進させるため、超臨界ガスを存在させて溶融混合させてもよい。
本発明のポリ乳酸樹脂成形体は、結晶化度が50%未満であるセルロースを含有しながらも強度と可撓性の両立が可能である。
本発明のポリ乳酸樹脂成形体の好ましい製造方法は、ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分を含有するポリ乳酸樹脂組成物を溶融混練する工程〔以下工程(1)という〕と、工程(1)で得られた溶融物を射出成形機により成形する工程〔以下工程(2)という〕を含む方法である。
工程(1)の具体例としては、例えば、ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分を、溶融混練機を用いて溶融混練する工程等が挙げられる。溶融混練機としては、特に限定はなく、二軸押出機等が例示される。また、溶融混練温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性を向上させ、かつ劣化を防止する観点から、160〜250℃が好ましく、165〜230℃がより好ましく、170〜210℃がさらに好ましい。
本発明においては、工程(1)を経た後、冷却して非晶状態(すなわち高角X線回折法で測定される結晶化度が1%以下となる条件)とした後、工程(2)を行う方法や、工程(1)を経た後、冷却して直ちに工程(2)を行う方法が好ましく、結晶化速度向上効果を発現させる観点から、工程(1)を経た後、冷却して直ちに工程(2)を行う方法がより好ましい。
工程(2)の具体例としては、例えば、射出成形機によりポリ乳酸樹脂組成物を金型内に充填し、成形する工程等が挙げられる。工程(2)における金型温度は、結晶化速度向上及び作業性向上の観点から、110℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。また30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。かかる観点から、金型温度は30〜110℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、60〜80℃がさらに好ましい。
工程(2)における金型内での保持時間は、相対結晶化度60%以上を達成し、かつ生産性向上の観点から、5〜120秒が好ましく、8〜60秒がより好ましく、10〜60秒がさらに好ましい。なお、本明細書において、相対結晶化度とは、以下の式で表される結晶化度を言う。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHcc)/ΔHm×100}
具体的には、相対結晶化度は、DSC装置(パーキンエルマー社製ダイアモンドDSC)を用い、1stRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度−20℃/分で200℃から20℃まで降温し、20℃で1分間保持した後、さらに2ndRUNとして、昇温速度20℃/分で20℃から200℃まで昇温し、1stRUNに観測されるポリ乳酸樹脂の冷結晶化エンタルピーの絶対値ΔHcc、2ndRUNに観測される結晶融解エンタルピーΔHmを用いて求めることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
〔樹脂の融点〕
樹脂の融点は、DSC装置(パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)を用いて、JIS−K7121に基づく示差走査熱量測定の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる。融点の測定は、昇温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温して行う。
〔非晶質セルロース及び結晶性セルロースの平均粒径〕
非晶質セルロース及び結晶性セルロースの平均粒径とは、体積中位粒径(D50)のことを意味し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いて測定する。測定条件は、粒径測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体としてエタノールを用い、体積中位粒径(D50)を温度25℃にて測定する。
〔セルロース含有原料の嵩密度〕
嵩密度は、ホソカワミクロン社製の「パウダーテスター」を用いて測定する。測定は、ふるいを振動させて、サンプルをシュートを通じ落下させ、規定の容器(容量100mL)に受け、該容器中のサンプルの重量を測定することにより算出する。ただし綿状化したサンプルについては、ふるいを通さずにシュートを通じ落下させ、規定の容器(容量100mL)に受け、該容器中のサンプルの重量を測定することにより算出する。
〔セルロースI型結晶化度〕
セルロースI型結晶化度は、サンプルのX線回折強度を、リガク社製の「Rigaku RINT 2500VC X−RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定し、前記計算式に基づいて算出する。なお、測定用サンプルは、面積320mm×厚さ1mmのペレットを圧縮して作製する。
X線源:Cu/Kα−radiation
管電圧:40kv
管電流:120mA
測定範囲:回折角2θ=5〜45°
スキャンスピード:10°/min
〔セルロース含有原料の水分含量〕
水分含量は、赤外線水分計(ケット科学研究所社製、「FD−610」)を使用し、150℃にて測定を行う。
〔セルロース含有量〕
セルロース含有量は、社団法人日本分析化学会編、分析化学便覧(改訂四版、平成3年11月30日、丸善社発行)の1081頁〜1082頁に記載のホロセルロース定量法に準拠して測定する。
〔非晶質セルロース及び結晶性セルロースの鉄分含量〕
鉄分含量はICP発光分析装置(島津製作所製、「ICPS−7510」)を使用し、測定を行う。
〔可塑剤の平均分子量〕
平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求める。
平均分子量=56,108×(エステル基の数)/鹸化価
ポリ乳酸樹脂の製造例1(架橋ポリ乳酸樹脂)
ポリ乳酸樹脂(Nature Works社製、NW4032D)100重量部及び架橋剤(日清紡社製、カルボジライトLA−1)1重量部を2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−45)にて210℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、架橋ポリ乳酸樹脂のペレットを得た。なお、得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分含量を1重量%以下とした。
可塑剤の製造例1(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル)
攪拌機、温度計、脱水管を備えた3Lフラスコに、無水コハク酸500g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル2463g、パラトルエンスルホン酸一水和物9.5gを仕込み、空間部に窒素(500mL/分)を吹き込みながら、減圧下(4〜10.7kPa)、110℃で15時間反応させた。反応液の酸価は1.6(KOHmg/g)であった。反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学工業社製)27gを添加して80℃、2.7kPaで45分間攪拌してろ過した後、液温115〜200℃、圧力0.03kPaでトリエチレングリコールモノメチルエーテルを留去し、80℃に冷却後、残液を減圧ろ過して、ろ液として、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステルを得た。得られたジエステルは、酸価0.2(KOHmg/g)、鹸化価276(KOHmg/g)、水酸基価1以下(KOHmg/g)、色相APHA200であった。
次に、結晶化度が50%未満であるセルロースの製造例を示す。なお、本実施例において、結晶化度が50%未満であるセルロースのことを「非晶質セルロース」、結晶化度が50%以上であるセルロースのことを「結晶性セルロース」と記載する。
非晶質セルロースの製造例1(非晶質セルロースA)
〔粗粉砕処理〕
セルロース含有原料として、シート状木材パルプ〔Borregard社製「Blue Bear Ultra Ether」、800mm×600mm×1.5mm、セルロース含有量96重量%(セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中の含有量)、セルロースI型結晶化度81%、水分含量7.0重量%、嵩密度200kg/m〕をシュレッダー(明光商会社製、「MSX2000−IVP440F」)にかけ、約10mm×5mm×1.5mmのチップ状パルプにした。
〔非晶化のための粉砕処理(2次粉砕)〕
得られたチップ状パルプ200gを振動ミル(中央化工機社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)13本を振動ミルに充填して、振幅8mm、回転数1200回転/分の条件で、60分間処理を行った。操作の際の温度は、30℃であった。
処理終了後、棚乾燥機〔アドバンテック(ADVANTEC)社製 真空定温乾燥機「DRV320DA」〕を用いて、乾燥後の非晶質セルロースの水分含量が0.8重量%になるように乾燥した。得られた非晶質セルロースAは、セルロースI型結晶化度0%、平均粒径30μm、鉄分含量10ppmであった。
非晶質セルロースの製造例2(非晶質セルロースB)
〔小粒径化のための粉砕処理(3次粉砕)〕
非晶質セルロースA60gと、粉砕助剤として(MeEOSA(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、前述の可塑剤の製造例1により調製されたもの)10gとを混合し、その混合物の全量を、振動ミル(中央化工機社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、外径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)13本を振動ミルに充填して、振幅8mm、回転数1200回転/分の条件で15分間粉砕処理を行って、非晶質セルロースBを得た。得られた非晶質セルロースBは、セルロースI型結晶化度0%、平均粒径10μm、鉄分含量10ppmであった。
非晶質セルロースの製造例3(非晶質セルロースC)
粉砕助剤の種類を、DOA〔ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、大八化学社製、「DOA」〕に変更した以外は、製造例2と同様にして、非晶質セルロースCを得た。得られた非晶質セルロースCは、セルロースI型結晶化度0%、平均粒径10μm、鉄分含量10ppmであった。
非晶質セルロースの製造例4(非晶質セルロースD)
非晶化のための粉砕に供するチップ状パルプの投入量を150gに変更した以外は、製造例1と同様にして非晶質セルロースを製造後、製造例2と同様にして、小粒径化のための粉砕を行なって非晶質セルロースDを得た。得られた非晶質セルロースDは、セルロースI型結晶化度0%、平均粒径10μm、鉄分含量30ppmであった。
非晶質セルロースの製造例5(非晶質セルロースE)
非晶化のための粉砕に供するチップ状パルプの投入量を50gに変更した以外は、製造例1と同様にして非晶質セルロースを製造後、製造例2と同様にして、小粒径化のための粉砕を行なって非晶質セルロースEを得た。得られた非晶質セルロースEは、セルロースI型結晶化度0%、平均粒径10μm、鉄分含量300ppmであった。
実施例1〜18及び比較例1〜10
原料として、表1〜5に示すポリ乳酸樹脂、可塑剤、結晶核剤、加水分解抑制剤、耐衝撃吸収剤(ゴム成分)、及び充填剤(非晶質セルロース、結晶性セルロース、ガラス繊維、カーボン繊維)を用いて、これらを二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−45)にて190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。なお、得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分含量を1重量%以下とした。
得られたペレットを、シリンダー温度を200℃とした射出成形機(日本製鋼所社製、J75E−D)を用いて射出成形し、金型温度80℃、成形時間60秒でテストピース〔角柱状試験片(125mm×12mm×6mm、及び63mm×12mm×5mm)、平板状試験片(40mm×60mm×3mm)〕を成形し、以下の試験例1〜3の方法に従って特性を調べた。結果を表1〜5に示す。
<試験例1>〔強度(曲げ弾性率)〕
角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)について、JIS K7203に基づいて、テンシロン(オリエンテック社製テンシロン万能試験機 RTC−1210A)を用いて、クロスヘッド速度を3mm/minに設定して曲げ試験を行い、曲げ弾性率を求めた。数値が高いほど、強度が優れていることを示す。
<試験例2>〔耐衝撃性〕
角柱状試験片(63mm×12mm×5mm)について、JIS K7110に基づいて、衝撃試験機(上島製作所社製 863型)を使用して、Izod衝撃強度(J/m)を測定した。Izod衝撃強度(J/m)が高いほど耐衝撃性に優れることを示す。
<試験例3>〔色調〕
平板状試験片(40mm×60mm×3mm)について、色差計(日本電色工業社製 SE2000)を使用して、L値を測定した。L値が高いほど色調が良いことを示す。
なお、表1〜5における原料は以下の通りである。
〔ポリ乳酸樹脂〕
NW4032D:Nature Works社製、融点160℃、L体純度98.6%
PLA−K:ポリ乳酸樹脂の製造例1により調製された架橋ポリ乳酸樹脂
〔可塑剤〕
(MeEOSA:可塑剤の製造例1により調製されたコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、平均分子量410
DOA:ビス(2−エチルヘキシル)アジペート(大八化学社製、DOA)
〔結晶核剤〕
PPA−Zn:無置換のフェニルホスホン酸亜鉛塩(日産化学工業社製、融点無し)
〔加水分解抑制剤〕
スタバクゾール1−LF:モノカルボジイミド化合物(ラインケミー社製)
〔充填剤〕
非晶質セルロースA〜E:非晶質セルロースの製造例1〜5により調製された非晶質セルロース
結晶性セルロース:「セオラスTG−101」(旭化成ケミカルズ社製)、セルロースI型結晶化度82%、セルロース平均粒径30μm、鉄分含量5ppm以下
ガラス繊維:「T−187(3)」(日本電気硝子社製)、平均繊維径12μm、平均繊維長3mm
カーボン繊維:「HTA−C6−S」(東邦テナックス社製)、平均繊維径7μm、平均繊維長3mm
〔耐衝撃吸収剤〕
メタブレンS−2006:コアシェル型シリコーン・アクリルゴム(三菱レイヨン社製)
クラレ2140E:アクリル系熱可塑性樹脂(クラレ社製、LA−2140E)
Figure 2013010855
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表1〜5の結果から明らかなように、本発明のポリ乳酸樹脂組成物の成形体(実施例1〜18)は、結晶化度が50%未満である非晶質セルロースを含有しても、ガラス繊維とゴム成分を特定量配合させることで、強度と耐衝撃性の向上が可能となり、また色調にも優れるものであることが分かる。また、表3より、非晶質セルロースの種類が異なる場合でもその効果が発揮されている一方で、ガラス繊維の代わりに、同じ無機充填剤であるカーボン繊維を配合した比較例10は色調が極めて劣るものであることから、非晶質セルロースとガラス繊維とゴム成分という特定の組み合わせにより、強度と耐衝撃性の向上に加えて、色調にも優れるという効果が奏されることが示唆される。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、ガラス繊維、及びゴム成分を含有するポリ乳酸樹脂組成物であって、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、結晶化度が50%未満であるセルロースが5〜350重量部、ガラス繊維が1〜25重量部、ゴム成分が1〜45重量部である、ポリ乳酸樹脂組成物。
  2. ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、ガラス繊維とゴム成分との合計量が2〜50重量部である、請求項1記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. ゴム成分とガラス繊維の重量比(ゴム成分/ガラス繊維)が0.1〜10である、請求項1又は2記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. ポリ乳酸樹脂が架橋されたポリ乳酸を含有する、請求項1〜3いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  5. さらに、可塑剤を含有する、請求項1〜4いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  6. 可塑剤が分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したエステル化合物である、請求項5記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体。
  8. 請求項1〜6いずれか記載のポリ乳酸樹脂組成物を溶融混練機を用いて溶融混練する工程、及び射出成形機により成形する工程を有する、ポリ乳酸樹脂成形体の製造方法。
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