JP2012528250A - 蒸気相防止を含む熱試験液 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腐蝕の形態に対する保護を提供する溶液に関する。そのような溶液は、冷却システム部品が熱試験されるか又はエンジンが貯蔵されるか及び/若しくは最終的車両若しくはエンジン構成に組み立てられるのに先だってならし運転される用途における使用を意図される。本発明は、濃縮物並びに濃縮物から作製される希薄溶液を含む。モノカルボン酸又はジカルボン酸と組み合わせた無機アンモニウム誘導体の相乗的組合せは、保護期間を劇的に増大することが証明され、その結果、組み立てに先だってエンジン部分が出荷され又は貯蔵されるときに、より長い期間の貯蔵を可能にする。記載された発明の使用は、金属表面の前処理を示し、たとえ液体が殆ど完全に除去されても保護を提供する。トリアゾール、ナイトレート、ナイトライト、シリケート、ボレート、モリブデート、ホスフェートのような他の伝統的防止剤若しくは有機防止剤又は有機芳香族酸塩及び脂肪族酸塩のようなより最近の防止剤を、場合により添加することができる。凝固点降下剤も同様に添加することができて、凍結保護に加えて、向上した蒸気相保護レベルを提供する。

Description

本出願は、2009年4月22日出願の同時係属米国特許出願第12/428,249号の一部継続出願であり、その優先権を主張する。
本発明は、腐蝕の形態に対する保護を提供する溶液に関する。
ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン又はガスエンジンなどの燃焼機関、並びにより最近の燃料電池システムは、製造工程に従って、部品組み立てに先立つ「ならし運転」段階を経る。このならし運転段階は、エンジン及びそれが後に直面する運転のタイプに応じて、数分から2〜3時間まで様々である。「ならし運転」段階を通して、エンジン又はシステムの機能性が保障される。現行のならし運転液は非常に多種多様であり得る。それらは純水(over)冷却剤から油性エマルジョンの範囲にわたる。それらは全て、何らかの技術的短所を示す。ならし運転段階後に直ちに部品を組み入れるとき、全ての知られた運転方法が使用され得る。しかしながら、多くの場合、エンジン製造者はそれらの製造を集中させる。部品は世界中に出荷された後、最終的な運転構成に組み立てられる。この貯蔵及び輸送時中に、部品は腐蝕条件に接し得るので、貯蔵及び/又は輸送中にそれらが直面する不利な影響に対する保護が必要になる。コスト節減のために、エンジン部分を貯蔵に入れる前にならし運転液はほぼ完全に除去し、エンジンは所謂湿潤条件に放置される。
この作業方法は標準的冷却剤技術が最適の保護を提供しないことを意味する。大部分の現行技術は、それらが保護する必要がある表面と直接接触していないときに、持続する保護を提供しない。標準的冷却剤配合物を熱試験液として使用することは、部品が試験後に直ちに組み立てられる状況では確かに実現性がある。しかしながら、当今の経済情勢において、これは益々少なくなっている。貯蔵及び輸送を合わせた期間は、3から9カ月まで認められる。
特に現代の燃焼機関において、熱的負荷は、使用される材料に関して高い要求を課する。いかなる形態の腐蝕も、小さい形態でさえ、潜在的リスク因子になり、エンジン、それに対応して安全な車両運用の寿命の減少につながる可能性がある。それに加えて、増加した数の異なる金属及び異なる合金が使用され、異なる部品又は合金が直接又は間接的に互いに接触する場所において、システムは確実に腐蝕をより受け易くなっている。
他方、油性エマルジョンは、システムが殆ど排液されたときに保護を提供する。しかしながら、それらでは、冷却剤が後でシステムに添加されたときに、多少の不適合問題を示す。可溶性の油は若干の残留する腐蝕防止を提供するが、それは、保護するとはいえ断熱層を形成することにより、システムにおける伝熱を減少させるであろう。より最近の環境立法に合致するより強力なエンジンにおいては確実に、効率的な除熱が必須であるから、ならし運転液は部品から冷却システムへの伝熱に不利に影響するべきではない。
冷却剤はエンジンから熱を除去するために使用される。エンジンに最適効率を与えるために、過剰な熱は、全ての冷却システム部品の運転を損なわず又は低下させずに、可能な限り速やかに除去される必要がある。冷却システム材料の保護に向けて、特に高温における腐蝕に対する保護に向けて、多大な研究及び努力がなされてきた。実際、腐蝕の観点から高温は非常に危険であるが、低温領域もまたエンジン運転中に非常に重要である。低温においては、腐蝕防止ではなく、溶解性及び低温のポンプによる圧送し易さが主として重要である。
冷却剤は透明で且つ不溶物がないことが理想的である。濁り、沈殿又は極端な場合はゲル形成が、エンジン冷却剤の性能に対して有害と考えられる。不安定性から生じる問題は、水ポンプ封止、エンジンヘッド封止、ホース又は軟質材料が使用されている任意の他の部分において見られ得る。一方、ゲル形成は、粘度に対して不利な影響を有し、結果として、冷却剤液の主要な要件である液の伝熱特性の不利な変化が生じる。冷却剤不安定性のリスクは低温で最大であるから、大部分の問題は冷始動条件下で生じる。
本発明は、一実施形態において、水を溶媒として使用する。本発明は、冷却剤及び油性エマルジョンの両方の好ましい特性を組み合わせる。それは、後で加えられる冷却剤との優れた相溶性を組み合わせ、油性エマルジョンが使用されるときに生じるので、伝熱特性に不利に影響することがない。それは、ならし運転期間中、及び大部分の製品が排出された貯蔵中に、持続可能な腐蝕防止も提供する。最良の結果は、部品が封止されるか又は空気の流れが完全に自由ではないときに観察される。これは、添加剤を平衡にし且つ雰囲気を調整して、貯蔵又は輸送中、腐蝕防止が保障される。
本発明の一実施形態は、ならし運転液又は熱試験液を調製するために使用される濃縮物であってよい。それは希釈して第2の実施形態とすることができる。或いは、貯蔵又は輸送中に凍結保護が必要になるような状況のために、アルコール又は短鎖有機酸のような凍結保護基剤液も添加することができる。
凍結保護を提供するための、水と比較して粘度が増大した液体の添加は、貯蔵及び又は輸送中の保護レベルをさらに改善する。これらの凍結抑制剤液はより高い粘度を有し、且つ潤滑性であると考えられるので、それらは、凍結保護が本当に必要でない限り好ましくない。凝固点降下剤は、10から60体積%の範囲で存在することができて、一実施形態においては30から50体積%の範囲内である。これらの基剤液の好ましい効果は、本発明を使用するときには、最早基本的要件ではないことが観察された。液体アルコール又は有機塩の凝固点降下剤成分は、凍結保護を提供するために添加することができる。凝固点降下剤は、エチレングリコール、ジ−エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ−プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、及びエチレングリコール、ジ−エチレングリコール、プロピレングリコール及びジ−プロピレングリコールのメチル、エチル、プロピル及びブチルエーテルなどのグリコールモノエーテルを含有することができる。エチレングリコール及びプロピレングリコールは、凝固点降下剤成分として特に好ましい。凝固点降下剤としての有機酸塩の限定するものではない例は、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、アジピン酸塩又はコハク酸塩又はそれらの組合せを含むカルボン酸塩である。
或いは、シリケート、ナイトライト、ナイトレート、ホスフェート、モリブデートのような追加の冷却剤添加剤、抗酸化剤、チアゾール誘導体、トリアゾール、ポリアクリレート、ホスホネート及びボレートを水相中における保護を提供するために使用することができる。
無機アンモニウム塩との相乗的組合せにおける有機酸の安定性効果は新規であると思われる。ならし運転サイクル後の蒸気相保護を提供するために試みる場合に、多くの特許が凝固点降下剤の使用を明示的に記載している。本発明は、凝固点降下剤を添加しなくても、蒸気相と同様に液体中において十分な保護を提供する。凝固点降下剤が必要とされる場合、いうまでもなく、それは添加することができて、さらに改善された性能は注目に値するであろう。これは比較例1及び2において強調される。
(例1)(比較例)
ならし運転液は、主要量のエチレングリコール、1.6重量パーセントの2−エチルヘキサン酸、0.1重量パーセントのセバシン酸及び0.1%のトリルトリアゾールを含んで調製され、pHを8.3にした。
(例2)(比較例)
ならし運転液は、主要量の水、1.6重量パーセントの2−エチルヘキサン酸、0.1重量パーセントのセバシン酸及び0.1%のトリルトリアゾールを含んで調製され、pHを8.3にした。
カルボン酸を炭酸アンモニウムのような無機アンモニウム化合物、又は他の無機アンモニウム製品と組み合わせることにより、良好な腐蝕防止が液相中に存在するだけでなく、良好な腐蝕防止は液体レベルより上の金属に対しても存在することが観察された。無機アンモニウム化合物は5重量パーセント未満の量で存在する。一実施形態においては、0.03から2重量パーセントの範囲内である。
(例3)(比較例)
ならし運転液は、主要量の水、1.4重量パーセントのイソノナン酸、0.1重量パーセントのセバシン酸及び0.1%のトリルトリアゾールを含んで調製され、pHを8.3にした。
(例4)(本発明の実施例)
ならし運転液は、主要量の水、1.4重量パーセントのイソノナン酸、0.1重量パーセントのセバシン酸、0.1%のトリルトリアゾール及び0.1重量パーセントの重炭酸アンモニウムを含んで調製され、pHを8.8にした。
任意選択の凝固点降下剤の例は、グリコール、短鎖有機酸及び低分子量アルコールである。これらは、限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン及びギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、アジピン酸塩及びグリセロールを含む。冷却システムに使用するためには、凍結保護に加えて良好な伝熱を確保するためにそれらを水と混合する。しかしながら、これらの水を主成分とする混合物は、目的とする用途において通常見出される運転条件下で腐蝕性である。それ故、冷却システム中に存在する異なった金属及び対応する合金は、孔食、割れ目腐蝕、浸食又は空洞現象のような異なる腐蝕過程から十分に保護される必要がある。
任意選択の追加の冷却剤の例は、典型的な冷却剤添加剤である。これらとしては、限定されないが、水相中で保護を提供するために使用することができるシリケート、ナイトライト、ナイトレート、ホスフェート、モリブデート、抗酸化剤、チアゾール誘導体、ポリアクリレート、ホスホネート及びボレートが挙げられる。
試験方法
ならし運転液の評価を可能にするために、以下のスクリーニング方法を使用した。100mlの目的の液体を、冷却剤のASTM D−1384ガラス製品腐蝕試験で使用される鋳鉄合金試片を入れたガラスバイアル中に入れた。内容物を含むバイアルを90℃で1時間オーブン中に置く。オーブンから除去後、バイアルを8時間放置して室温に冷却する。液体の70パーセントを除去すると、その結果、金属試験片が一部浸漬している。一部浸漬した金属部分は室温で1時間そのままにした後、50℃のオーブン中に入れる。この後で、バイアルを4℃で1時間冷蔵する。バイアルを取り出して室温に置く。50℃から4℃にして室温に戻すサイクルを再び繰り返す。その後、金属試料を腐蝕について検査する。それらは、蒸気中の位置についてと同じく液体中の位置についても検査する。表1に結果を示し、本発明の実施例が液体相及び蒸気相両方における最良の腐蝕防止を提供することを示す。
使用した基準
1 新品同様
2 表面が腐蝕
3 重度の腐蝕
Figure 2012528250

Claims (15)

  1. 少なくとも1種の無機アンモニウム化合物を少なくとも1種のカルボン酸との相乗的組合せで含む、溶媒による希釈に適した、耐蝕性を提供する濃縮物。
  2. 無機アンモニウム化合物が、重炭酸アンモニウム、重リン酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、及び水酸化アンモニウムの群から選択される、請求項1に記載の濃縮物。
  3. カルボン酸が、モノカルボン酸、ジカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、分岐カルボン酸又は芳香族非分岐及び分岐カルボン酸の群から選択される、請求項1に記載の濃縮物。
  4. 少なくとも1種の無機アンモニウム化合物を少なくとも1種のカルボン酸との相乗的組合せで含み、主要量で溶媒をさらに含む、エンジンの「熱試験」又は「ならし運転」段階において耐蝕性を提供するすぐに使える「ならし運転」液。
  5. 無機アンモニウム化合物が5wt%未満の量で存在する、請求項4に記載の液。
  6. カルボン酸が15wt%未満の量で存在する、請求項4に記載の液。
  7. カルボン酸が0.01から5wt%の間の範囲内の量で存在する、請求項6に記載の液。
  8. 8.0から11.0までの範囲内のpHを有する、請求項4に記載の液。
  9. 凝固点降下剤をさらに含む、請求項4に記載の液。
  10. 溶媒が、水、グリコール又は両者の組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の液。
  11. 凝固点降下剤が液体アルコール又は有機塩である、請求項9に記載の液。
  12. 液体アルコールが多価アルコールである、請求項11に記載の液。
  13. 有機塩が、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、アジピン酸塩、コハク酸塩、又はそれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の液。
  14. シリケート、ナイトライト、ナイトレート、ホスフェート、モリブデート、抗酸化剤、チアゾール誘導体、トリアゾール、ポリアクリレート、ホスホネート及びボレートからなる群から選択される少なくとも1種の冷却剤添加剤をさらに含む、請求項4に記載の液。
  15. 少なくとも1種の無機アンモニウム化合物を少なくとも1種のカルボン酸塩との相乗的組合せで含む濃縮物で前処理することにより、金属表面を腐蝕から保護する方法。
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