JP2012526970A - 表面の手触り感を特性評価する方法 - Google Patents

表面の手触り感を特性評価する方法 Download PDF

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Abstract

表面の手触り感を特性評価する方法は、力センサが特性評価を行う表面に対して相対的に変位している間に、この力センサが感知する少なくとも1種類の力を測定するステップ(211)と、このセンサが出力する、先に測定した力を表す出力信号の1つまたは複数の時間および/または周波数のパラメータを計算するステップ(213)と、計算された伝達関数を適用することにより、複数の触感的記述子の1つの値を求めるステップ(215)と、を少なくとも含み、伝達関数は、各記述子ごとに、対象とする触感的記述子のいくつかの値を、対象とする触感的記述子の値を表すいくつかの試験表面から力センサが求めた測定値から計算される1つまたは複数の時間および/または周波数のパラメータのいくつかの値に関連させる学習データベースからの回帰によって予め決定される。

Description

本発明は、表面の手触り感を特性評価する方法に関する。この方法により、機械的記述子または触感的記述子を用いて、平坦であるか否かといった表面の触感的特徴を定義することができる。本発明は、触感的特徴が重要な製品の製造に関するあらゆる分野に適用し得る。本発明は、例えば、紙製品産業、繊維産業、車両製造産業、食品製造産業、さらには化粧品産業の分野に適用して、
新製品に対して顧客が知覚する感覚を推定する、
製造後の製品の触感的特性を検定する(品質管理)、
組成が異なったり、製品を製造する方法が異なったりすることによる触感的知覚の変化を評価することができる。
本発明をロボット分野に適用してロボットに触覚を与えることもできる。さらに、本発明を生体情報科学に適用して、例えば、能動的な人工装具を製造することもできる。さらに、本発明を遠隔的な医療手術に適用して遠隔手術中の外科医の知覚を触感的なものにすることもできる。
F. de Boissieuらによる「Texture Exploration with an Artificial Finger」、Materials & Sensations 2008、Pau、France、2008年10月22-24日の文献には、3軸力センサを使用して様々な手触りを識別することが記載されている。解析した手触りについて測定したスペクトルと、様々な試験表面の平均スペクトルとのユークリッド距離を計算することによって、表面の手触りを解析している。こうして解析した表面は、その平均スペクトルまでのユークリッド距離が最小の平均スペクトルを有する試験表面と同じ分類に属すると考えられる。
上記の方法により、手触りを任意のクラスに細かく分類することができる。しかし、この方法では、柔らかさや粘着性の値などの所与の試料の触感的特徴を定量的に特性評価することはできない。さらに、この方法では、異なるクラス間の関係(特徴の類似性)は得られない。
F. de Boissieuら、「Texture Exploration with an Artificial Finger」、Materials & Sensations 2008、Pau、France、2008年10月22-24日
本発明の1つの目的は、先行技術の欠点がなく、表面の手触りの精細な機械的特徴を推定することができる表面の手触り感を特性評価する方法を提供することである。本発明のもう1つの目的は、1つまたは複数の触感的記述子または機械的記述子の値を用いて人間の触感の基準に従った表面解析を行う、表面の手触り感を特性評価する方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、表面の手触り感を特性評価する方法を提供する。この方法は、
力センサが特性評価を行う表面に対して相対的に移動している間に、この力センサが感知する少なくとも1種類の力を測定するステップと、
このセンサが出力する、先に測定した力を表す出力信号の1つまたは複数の時間および/または周波数のパラメータを計算するステップと、
先に計算したパラメータに連続的な伝達関数を適用することにより、複数の触感的記述子の1つの値を求めるステップと、を少なくとも含み、
伝達関数は、各記述子ごとに、対象とする触感的記述子のいくつかの値を、対象とする触感的記述子の値を表す複数の試験表面から力センサが求めた測定値から計算される1つまたは複数の時間および/または周波数のパラメータのいくつかの値に関連させる学習データベースからの回帰によって予め決定される。
表面の手触り感を特性評価する別の方法も提供される。この方法は、
力センサが特性評価を行う表面に対して相対的に移動している間に、この力センサが感知する少なくとも1種類の力を測定するステップと、
このセンサが出力する、先に測定した力を表す出力信号の1つまたは複数の時間および/または周波数のパラメータを計算するステップと、
先に計算したパラメータに伝達関数を適用することにより、複数の触感的記述子の少なくとも1つの少なくとも1つの値を求めるステップと、を少なくとも含み、
伝達関数は、1組の触感的記述子のそれぞれの値を、これら触感的記述子の値を表す試験表面から力センサが求めた測定値から計算される1つまたは複数の時間および/または周波数のパラメータの値に関連させる学習データベースからの回帰によって予め決定される。
この表面の手触り感を特性評価する方法では、例えば3軸力センサなどの、柔らかい被覆で保護された力センサを使用する。この方法は、
連続的な伝達関数を構築するために、試料データベースを調べることによって得られる信号を用いて表面の触感的特徴を推定することができる計算アルゴリズムを学習するステップであって、データベース中の試料の手触りは、予め触感的に特性評価されており、すなわち、これらの試料の触感的特性は予め既知であるステップと、
このようにして得られた計算アルゴリズム、すなわち、伝達関数を使用して、新しい手触り感の特徴を導き出すステップと、
の2つのステップに分割し得る。
そのため、本発明による特性評価する方法によれば、任意のタイプの表面を特性評価することができる。さらに、本発明による特性評価する方法によれば、この方法によって決定される連続的な伝達関数を用いて、異なる触感的記述子の1つまたは複数に関連する1つまたは複数の値、すなわち、触感的記述子の値によって、表面の様々な特徴を「連続的に」特性評価することができる。したがって、触感的記述子の値は連続的な伝達関数によって求められ、このため、触感的記述子の値の間隔は、力センサによって測定される力を表す1つまたは複数のパラメータの値の間隔に対して相対的に定義される。
この方法では、先行技術の方法と異なり、人間の触感にかなり近い評価を行うことができる。先行技術の方法では、解析対象表面は必ず単一の表面分類にのみ属すると決められており、かつ/または、離散的な値を用いて表面を特性評価していた。そこで、本発明は、連続的な関数を用いることによって各記述子ごとに無限個の組の値を得ることが潜在的に可能なことを考慮して、対象とする表面の特性評価における精度を実質的に改善する。
したがって、本発明では、先行技術の方法と異なり、触感的記述子のレベルを連続的に決定することができる。先行技術の方法では、いくつかの可能な記述子間で試料を離散的に分類していた。
評価対象の触感的特徴は、触感の1つまたは複数の機械的記述子または触感的記述子によって定義し得る。これらの記述子はそれぞれ、本方法で計算される表面を表す信号の1つまたは複数のパラメータのある範囲の値に対応し得るある範囲の値を含む。
このような方法には特に、かさばらない測定システム、すなわち、潜在的に安価なシステムで使用することができるという利点がある。特に、既存の触感的記述子、例えば、特定の応用例で提供されるものを使用することが可能である。
この方法によれば、特に、いくつかの触感的記述子の値によって、例えば、接線方向に、かつ表面に垂直にセンサを移動させることによって、表面を特性評価することができる。それによって特に、表面の粗さと、さらには表面の硬さまたは生命感(liveliness)とを定義することができる。したがって、各触感的記述子は、表面を最適に特性評価することができる連続的な伝達関数に関連付けられる。
センサはグリッパ装置の一部を形成し得るので、本発明により、特性評価を行う物体(例えば、皮膚、織物、車の内装)の厚さに関わらず、平坦でない表面を特性評価することができる。
本発明による方法により、流体を特性評価することもできる。この場合、センサを流体上または流体中を移動させることによって特性評価を行う。この場合、センサおよびその電気コネクタが密閉されていることが前提である。こうすれば、食品(例えば、ヨーグルトの口当たりの良さの測定)や化粧品(例えば、クリームの手触りの評価)などに応用し得る。
学習データベースは、
力センサが触感的記述子のいくつかの値を示すいくつかの異なる表面に対して相対的に移動している間に、この力センサが感知する少なくとも1種類の力を測定するステップと、
このセンサが出力する、先に測定した力を表す出力信号のいくつかの時間および/または周波数のパラメータを計算するステップと、
このセンサが出力した各出力信号ごとに、先に計算したパラメータの値を列記することと、これら列記した値を触感的記述子の値に関連付けることによって、前記学習データベースを生成するステップと、
を、各触感的記述子ごとに実施することによって得られうる。
伝達関数は、学習データベースのすべての時間および/または周波数のパラメータから予め選択した、学習データベースの時間および/または周波数のパラメータの一部により決定することができる。
時間および/または周波数のパラメータは、グラムシュミットアルゴリズムを実施することによって選択することができる。
伝達関数は、最小自乗法による線形回帰によって、または、多層パーセプトロンタイプのニューラルネットワークモデルを適用することによって計算することができる。
センサによって測定される力は、表面に対するセンサの相対的な移動に正接する力または平行な剪断力とし得る。
前記力センサが出力する出力信号は、このセンサによって測定される力に比例する電圧とすることができ、この電圧は、時間および/または周波数のパラメータの計算に先だってサンプリングされデジタル化される。
前記信号の1つまたは複数の時間パラメータは、信号の平均値、標準偏差、または所与のタイプの積率、あるいは信号の原点における傾きから選択することができ、前記信号の1つまたは複数の周波数パラメータは、信号のスペクトルの傾きまたは平均値、あるいは信号のスペクトルの特定の周波数帯のスペクトル線またはスペクトルパターンを求めることから選択することができる。
特性評価を行う表面に対する力センサの相対的な移動は、力センサを表面上で移動させ、かつ/または表面を力センサに対して相対的に移動させる自動化手段によってなすことができる。
力センサは3軸力センサとすることができ、力センサが出力する出力信号は3つの成分を含むことができ、これら3成分はそれぞれ1次元の力、すなわち、正規直交座標のそれぞれの軸に沿った力の測定値に対応する。
力センサは、少なくとも1つの変形可能な膜と、この変形可能な膜に機械的に結合され、被覆構造内に少なくとも部分的に位置決めされる1つのロッドとを備えることができる。
力センサは、表面の手触り感を特性評価する装置のグリッパ本体の一端に位置決めすることができる。
所与の実施形態の例の説明を読めば、本発明がよりよく理解されよう。実施形態の例は単なる例示であり、いかなる点でも限定なものではない。実施形態の説明は添付の図面を参照して行う。
特定の実施形態による、本発明の主題を構成する表面の手触り感を特性評価する方法で使用する表面の手触り感を特性評価する装置を示す図である。 特定の実施形態による、本発明の主題を構成する表面の手触り感を特性評価する方法で使用する表面の手触り感を特性評価する装置の3軸センサを示す図である。 特定の実施形態による、本発明の主題を構成する表面の手触り感を特性評価する方法のステップをブロック図の形式で示す図である。
以下で説明する様々な図に示す同じ、類似の、または等価な部品は、容易に別の図を用いた説明に移れるよう同じ参照番号を有するものとする。
図に示す様々な部品は、図を見やすくするために必ずしも縮尺を統一していない。
様々な可能性(変形例および実施形態)は相互に排他的ではなく、また、互いに組み合わせることができることを理解されたい。
まず図1を参照する。図1には、特定の実施形態による表面の手触り感を特性評価する方法で使用する表面の手触り感を特性評価する装置100を示す。この方法の様々なステップを図3のブロック図に示し、以下に詳細に説明する。
ここで、装置100は人工指であり、グリッパ本体102を備える。装置100は、例えばシリコンからなるMEMS型3軸力センサ104も備える。図2に詳細に示すセンサ104は、変形可能な膜124と、変形可能な膜124の中心に機械的に結合され、センサ104を覆う被覆構造108に埋め込まれたロッドまたはシャフト126を含む。ロッド126に力が作用したときに、ロッド126による膜124の変形を変換手段128によって測定する。変換手段128は、ピエゾ抵抗式歪ゲージまたは容量変化検出器などであり、膜124上に位置決めされている。この実施形態では、センサ104は、エポキシなどの硬質材料からなる平坦な支持部106の一表面に埋め込まれている。
この方法では、検査する表面上で装置100を移動させる手段も使用する。この手段により、法線方向の力を利用し、特性評価を行う表面上を接線方向に(1次元または2次元で)センサを移動させながら、装置100を解析対象の表面にあてがうことができる。
この移動中に得られる信号の解釈を簡単にするために、法線方向の力を一定に保つとよい。法線方向の力は、ばねを用いて一定に維持することができる。こうすると、検査対象表面のトポロジー的な変化を和らげることができる。変形例として、この手段により、特性評価を行う表面を装置100に対して相対的に移動させることも可能である。
装置100を、より詳細にはセンサ104を、特性評価を行う表面に対して相対的にどのように移動させるかは、推定したい触感的特徴の性質によって決まる。例えば、解析対象表面のトポロジー的な変化を特性評価したい場合、検査対象の表面内で表面に押しつけながらセンサを移動させて、この移動中にセンサが感知する力のうち、少なくとも接線方向の力を測定する。表面に垂直な方向にセンサを移動させながら測定を行うこともできる。このようにして、材料の硬さや生命感などの特性を評価することが可能である。
特性評価を行う表面に対して装置100を相対的に移動させる手段は人間が提供することもできる。この場合、手で装置100を表面上で移動させる。この変形例は、解析対象表面が平坦でない場合、例えば、顔の皮膚を解析する場合に特に有利である。
センサに接触力が作用する場合、センサは電圧の形で信号を送信する。この信号は、次いで、電子的な処理ユニットによって処理されて、測定された力に比例する電圧が得られる。次いで、この電圧はサンプリングされ、デジタル化され、例えば取得アダプタを用いて記録される。時間信号がs(t)={s(t0),…, s(ti),…, s(tn)}として得られ、この場合、時間信号はn個のサンプルからなる。なされる測定のタイプ(特長付けを行う表面に対する相対的なセンサの接線方向および/または法線方向の移動)に応じて、時間信号s(t)は、1つ、2つ、または3つの成分(sX, sY, sZ)からなり得る。各成分は、一方向の、すなわち、直交座標の1つの軸に沿ったセンサの測定値を表す。これら3つの成分を用いて、表面の所望の触感的特徴を評価することが可能である。例えば、sX成分およびsY成分(センサが感知する接線方向の力の測定値に対応する、解析対象表面の面内成分)を用いて表面の粗さを測定することができ、sZ成分(センサが感知する法線方向の力の測定値に対応する、解析対象表面に垂直な成分)を用いて特性評価を行う表面の材料の生命感や硬さを測定することができる。
ここで実施する表面の手触り感を特性評価する方法では、指を使って表面を調べている被験者が感じる触感に等価なものを定量化することによって表面の手触りを特性評価しようとしている。この方法では、触感的特徴(しなやかさ、粗さ、柔らかさ、ざらざらさなど)を指定するいくつかの機械的記述子または触感的記述子を用いる。ここで実施する方法により、センサによって得られる測定値に応じて、解析対象表面を記述するのに最適な1つまたは複数の触感的記述子の値を求めることができる。
表面の手触り感を特性評価する本方法は、まず学習段階を含む。各触感的記述子ごとに、その程度を表す値が様々であるいくつかの表面試料を選択する(ステップ201)。例えば、精神物理学的な試験に使用する予め段階分けされた試料を用いることが可能である。学習データベースを得るために用いる触感的記述子は、例えば、
表面に直交する動きについては、生命感、粘着性、硬さ、メモリ効果、
表面に正接する動きについては、抵抗感(blocking)、でこぼこ、繊維感(fibrous)、粗さ、滑りやすさ、
といった触感的記述子を含む触感参照システムのものである。
そのため、deと記載する各触感的記述子ごとに、E個の試料を使用することが可能である。これらの試料はそれぞれ、記述子deの値に関連しており、eは1とEの間の値であり、Eは2以上の整数である。
これらE個の試料それぞれについて、装置100は、装置100が試料上を移動する間にセンサが感知する接線方向の力および/または法線方向の力を表す信号を取得する(ステップ203)。これを行うために、装置100を1回または複数回、例えばP回(Pは1以上の整数)、各試料上を移動させる。被覆が摩耗したり、断裂したりしないように、複数回の移動を行う場合には、各試料上で行うこれらP回の移動を続けて行わない(第1の試料上をP回移動させ、次いで、第2の試料上をP回移動させるなどしない)ようにする。好ましくは、1回目の移動を各試料について行い、次いで、2回目の移動を各試料について行い、以下同様に行う。変形例では、各試料上でのセンサの移動の順序を無作為にすることも可能である。
こうして、各触感的記述子ごとに、A(A=P×E)個の時間信号sa={sa(t0),…, sa(tn)}が得られる。各信号は、n個のサンプルを含み、aは1とAの間の値である。得られた信号はそれぞれ、信号の取得に用いた試料を表している。言い換えれば、得られた各信号ごとに、試料番号eおよび触感的記述子deは得られた信号に関連している。
得られた時間信号ごとに、いくつかの予め定義したパラメータを計算する。各パラメータは、所与の測定期間にわたる信号の時間または周波数の変化を反映している(ステップ205)。時間的な挙動を反映するパラメータは、例えば、この信号の様々な積率(平均値、標準偏差など、N次の積率)、原点における傾き、または他の任意の適切なパラメータとし得る。周波数の挙動を反映するスペクトルパラメータは、例えば、dBで表すスペクトルの傾き、dBで表すスペクトルの平均値、あるいはまた、特定の周波数帯(共鳴)のスペクトル線またはスペクトルパターンを求めることとし得る。
1組のパラメータpaは各信号saに関連しており、したがって各組はベクトルである。このベクトルの大きさは、各信号について計算したパラメータの数に相当する。
次いで、学習データベースを生成して、各試料ごとに、計算したパラメータの値と、それに対応する触感的記述子の既知の評価値とを列記する(ステップ207)。この学習データベースは、各信号ごとの、触感的記述子に関連するすべてのパラメータpaからなる。
次いで、適切なパラメータを選択し、伝達関数を求める。こうして、触感的記述子の値をパラメータの値に関連付けることができる(ステップ209)。
適切なパラメータを選択する一方法は、例えば、グラムシュミット(Gram-Schmidt)アルゴリズムを適用することである。このアルゴリズムは、推定した触感的記述子と最もよく相関するパラメータを選択するものである。
このことの理解を容易にするために、以下の命名規則を適用する。
X:(学習データベースの試料から取得した)パラメータの値の行列である。この行列の大きさはM×Nであり、Mは観察回数、Nはパラメータの数である。
yは、ある触感的記述子のM個の対応する値のベクトルである。
このアルゴリズムは再帰的アルゴリズムなので、Xおよびyの通常の値をそれぞれXtおよびytと呼ぶ。この処理のいくつかのステップを以下に記す。
1.Xt=Xおよびyt=yとする。
2.XtのN個のベクトルxt,iとytの相関を以下のように推定する。
Figure 2012526970
であり、ここで、
Figure 2012526970
は、xt,iとytのスカラー積を表し、‖‖は対象とする変数のノルムを表す。
3.この記述子と最もよく相関するパラメータcを選択する。
4.パラメータおよび記述子を、選択したパラメータに直交する空間に以下のように投影する。
Figure 2012526970
および
Figure 2012526970
したがってこの空間では、選択したパラメータcの値はゼロになる。xt,c=0
5.ステップ2から4を、所要の最小相関値が得られるまで、または、選択したパラメータの数が最大値Ncになるまで繰り返す。
次いで、この記述子に最も相関するパラメータを選択する。Nc個の選択したパラメータの行列M×NcをXcと呼ぶ。
選択したパラメータと推定した記述子の間の伝達関数を計算するために、最小自乗法による線形回帰アルゴリズムを適用し得る。このアルゴリズムは、y=Z・β+εタイプの線形モデルの最適パラメータを評価するものである。ここで、Z=[Xc 1](M×(Nc+1)次元),βは、この線形モデルのパラメータからなる(Nc+1)×1次元のベクトルであり、εはこのモデルからの偏差である。この最小自乗アルゴリズムの目標は、観察を行うたびに2次方程式の和を最小限に抑えることである。この和は以下の式で与えられる。
Figure 2012526970
この問題の解は、以下のように記述し得る。
Figure 2012526970
非線形モデル(多項式モデル、または多層パーセプトロンタイプのニューラルネットワークモデル)の場合、パラメータは、平均2次誤差の最小値を求めることによっても導き出すことができる。
一変形例では、検証法を用いることができる。この場合、学習データベースの一部は実際の学習のためにとっておき、他の部分をこのシステムの予測力の検証に用いることができる。
この学習段階を実施した後で、解析したい表面の特性評価を行うことができる。そのために、力センサが特性評価を行う表面上を移動している間にセンサが感知する接線方向の力および/または法線方向の力の1つまたは複数の測定値を求める(ステップ211)。
次いで、センサの出力信号の1つまたは複数の時間および/または周波数のパラメータを計算する(ステップ213)。ここで計算した1つまたは複数のパラメータに対して伝達関数を適用することによって、上記特性評価を行う表面の少なくとも1つの触感的記述子の値を求めることが可能である(ステップ215)。こうして、特性評価を行う表面について、1つまたは複数の触感的記述子が得られる。
100 装置
102 グリッパ本体
104 3軸力センサ
106 支持部
108 被覆構造
124 変形可能な膜
126 ロッドまたはシャフト
128 変換手段

Claims (12)

  1. 表面の手触り感を特性評価する方法であって、
    力センサ(104)が特性評価を行う表面に対して相対的に移動している間に、前記力センサ(104)が感知する少なくとも1種類の力を測定するステップ(211)と、
    前記センサ(104)が出力する、先に測定した前記力を表す出力信号の1つまたは複数の時間および/または周波数のパラメータを計算するステップ(213)と、
    先に計算した前記パラメータに連続的な伝達関数を適用することにより、複数の触感的記述子の1つの値を求めるステップ(215)と、を少なくとも含み、
    前記伝達関数は、各記述子ごとに、前記触感的記述子のいくつかの値を、前記対象とする触感的記述子の値を表す複数の試験表面から前記力センサ(104)が求めた測定値から計算される1つまたは複数の時間および/または周波数のパラメータのいくつかの値に関連させる学習データベースからの回帰によって予め決定される、方法。
  2. 前記学習データベースは、
    前記力センサ(104)が前記触感的記述子のいくつかの値を示すいくつかの異なる表面に対して相対的に移動している間に、前記力センサ(104)が感知する少なくとも1種類の力を測定するステップ(203)と、
    前記センサが出力する、先に測定した前記力を表す前記出力信号のいくつかの時間および/または周波数のパラメータを計算するステップ(205)と、
    前記センサ(104)が出力した前記各出力信号ごとに、先に計算した前記パラメータの値を列記することと、前記列記した値を前記触感的記述子の値に関連付けることによって、前記学習データベースを生成するステップ(207)と、
    を、各触感的記述子ごとに実施することによって得られる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記伝達関数は、前記学習データベースのすべての前記時間および/または周波数のパラメータから予め選択した、前記学習データベースの前記時間および/または周波数のパラメータの一部により決定される(209)、請求項2に記載の方法。
  4. 前記時間および/または周波数のパラメータは、グラムシュミットアルゴリズムを実施することによって選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記伝達関数は、最小自乗法による線形回帰によって、または、多層パーセプトロンタイプのニューラルネットワークモデルを適用することによって計算される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記センサによって測定される前記力は、前記表面に対する前記力センサ(104)の相対的な移動に正接する力である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記力センサ(104)が出力する前記出力信号は、前記センサによって測定される前記力に比例する電圧であり、前記電圧は、前記時間および/または周波数のパラメータの計算に先だってサンプリングされデジタル化される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記信号の1つまたは複数の前記時間パラメータは、前記信号の平均値、標準偏差、または所与のタイプの積率、あるいは前記信号の原点における傾きから選択され、前記信号の1つまたは複数の前記周波数パラメータは、前記信号のスペクトルの傾きまたは平均値、あるいは前記信号のスペクトルの特定の周波数帯のスペクトル線またはスペクトルパターンを求めることから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 特性評価を行う前記表面に対する前記力センサ(104)の前記相対的な移動は、前記力センサ(104)を前記表面上で移動させ、かつ/または前記表面を前記力センサ(104)に対して相対的に移動させる自動化手段によってなされる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記力センサ(104)は3軸力センサであり、前記力センサが出力する前記出力信号は3つの成分を含み、前記3成分はそれぞれ1次元の力の測定値である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記力センサ(104)は、少なくとも1つの変形可能な膜(124)と、前記変形可能な膜(124)に機械的に結合され、被覆構造(108)内に少なくとも部分的に位置決めされる1つのロッド(126)とを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記力センサ(104)は、表面の手触り感を特性評価する装置(100)のグリッパ本体(102)の一端に位置決めされる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
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