発明の要旨
本発明は、構造式I:
これらの置換スピロ環式アミンは、SSTR5のアンタゴニストとして有効であり、かつ2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、アテローム性動脈硬化症、メタボリックシンドローム、うつ及び不安などのSSTR5の拮抗作用に応答する疾患の治療、管理又は予防に有用である。
本発明はまた、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、それらを要する患者において、SSTR5の拮抗作用に応答する障害、疾患又は症状を、治療、管理又は予防する方法にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物及び医薬組成物を、それらを要する患者に投与することによる、2型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームを、治療、管理又は予防する方法にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、それらを要する患者において、うつ及び不安を治療、管理又は予防する方法にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物及び医薬組成物を、それらを要する患者に投与することによる、GLP−1分泌を増強する方法にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物を、肥満の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、肥満を治療、管理又は予防する方法にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物を、2型糖尿病の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、2型糖尿病を治療、管理又は予防する方法にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物を、アテローム性動脈硬化症の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、アテローム性動脈硬化症を治療、管理又は予防する方法にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物を、脂質障害の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、脂質障害を治療、管理又は予防する方法にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物を、メタボリックシンドロームの治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、メタボリックシンドロームを治療する方法にも関する。
本発明はまた、本発明の化合物を、うつ又は不安の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、うつ及び不安を治療、管理又は予防する方法にも関する。
本発明はまた、SSTR5の拮抗作用に応答性の障害、疾患又は症状を治療、管理又は予防するための医薬の製造における本発明化合物の使用にも関する。
本発明はまた、2型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームを治療、管理又は予防するための医薬の製造における本発明化合物の使用にも関する。
本発明はまた、うつ及び不安を治療、管理又は予防するための医薬の製造における本発明化合物の使用にも関する。
本発明はまた、必要のある患者においてGLP−1分泌を抑制するための医薬の製造における本発明の化合物の使用にも関する。
本発明はまた、糖尿病の治療のための別の薬剤の治療有効量も包含する医薬の製造における本発明化合物の使用にも関する。
発明の詳細な説明
本発明は、SSTR5のアンタゴニストとして有用な置換スピロ環式アミンに関する。本発明の化合物は、構造式I:
[式中、
R
1は:
(1)水素、
(2)−C
1−10アルキル、
(3)−(CH
2)
sOH、
(4)−(CH
2)
sOR
e、
(5)−(CH
2)
sNR
cR
d、
(6)−(CH
2)
sOC
1−10アルキル、
(7)−(CH
2)
rCO
2H、
(8)−(CH
2)
rCO
2R
e、
(9)−(CH
2)
rCONR
cR
d、
(10)−(CH
2)
rCOR
e、
(11)−S(O)
qC
1−10アルキル、
(12)−S(O)
q(CH
2)
pアリール、
(13)−S(O)
q(CH
2)
pシクロアルキル、
(14)−S(O)
q(CH
2)
pシクロヘテロアルキル、
(15)−S(O)
q(CH
2)
pヘテロアリール、
(16)−(CH
2)
pC
3−10シクロアルキル、
(17)−(CH
2)
pC
2−10シクロヘテロアルキル、
(18)−(CH
2)
pアリール、及び
(19)−(CH
2)
pヘテロアリール、からなる群より選択され、
ここで、CH
2、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してR
aから選択される1、2又は3個の置換基で置換され;
R
2は:
(1)水素、
(2)C
1−6アルキル、及び
(3)−OC
1−6アルキル、
からなる群より選択され;
R
3は:
(1)水素、及び
(2)C
1−6アルキル、
からなる群より選択され;
R
4は:
(1)水素、及び
(2)−C
1−6アルキル、
からなる群より選択され;
R
5は:
(1)水素、及び
(2)−C
1−6アルキル、
からなる群より選択され、
或いは、R
4及びR
5は、それらが結合する原子と一緒になって、3ないし7個の炭素原子を有するシクロアルキル環を形成し;
R
6は:
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C
1−10アルキル、
(4)−OC
1−10アルキル、
(5)アリール、及び
(6)ヘテロアリール、
からなる群より選択され;
R
7は:
(1)水素、
(2)−C
1−10アルキル、
(3)−C
3−10シクロアルキル、
(4)−OH、
(5)−O−C
1−10アルキル、
(6)−O−C
3−10シクロアルキル、
(7)−O−C
2−10シクロヘテロアルキル、
(8)−O−アリール、
(9)−O−ヘテロアリール、
(10)−NR
cS(O)
tR
e、
(11)ハロゲン、
(12)−NR
cR
d、
(13)−CN、
(14)−NR
cC(O)R
e、
(15)−OCF
3、
(16)−OCHF
2、
(17)C
2−10シクロヘテロアルキル、
(18)アリール、及び
(19)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、
ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換され;
R
8は、
(1)−OC
1−6アルキル、
(2)−NR
cS(O)
uR
e、
(3)ハロゲン
(4)−S(O)
uR
e、
(5)−S(O)
uNR
cR
d、
(6)−NR
cR
d、
(7)−CN、
(8)−C(O)NR
cR
d、
(9)−NR
cC(O)R
e、
(10)−NR
cC(O)OR
e、
(11)−NR
cC(O)NR
cR
d、
(12)−OCF
3、
(13)−OCHF
2、
(14)C
3−10シクロヘテロアルキル、
(15)C
1−10アルキル、
(16)C
3−6シクロアルキル、
(17)アリール、及び
(18)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、
ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してR
bから選択される1、2又は3個の置換基で置換され;
各R
9は:
(1)水素、
(2)−C
1−10アルキル、
(3)−C
3−10シクロアルキル、
(4)−OH、
(5)−O−C
1−10アルキル、
(6)−O−C
3−10シクロアルキル、
(7)−O−C
2−10シクロヘテロアルキル、
(8)−O−アリール、
(9)−O−ヘテロアリール、
(10)−NR
cS(O)
tR
e、
(11)ハロゲン、
(12)−NR
cR
d、
(13)−CN、
(14)−NR
cC(O)R
e、
(15)−OCF
3、
(16)−OCHF
2、
(17)C
2−10シクロヘテロアルキル、
(18)アリール、及び
(19)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、
ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換され;
R
10は:
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)−C
1−10アルキル、及び
(4)−OC
1−10アルキル、
からなる群より選択され;
各R
aは、独立して:
(1)−C
1−6アルキル、
(2)−CF
3、
(3)−OH、
(4)−OC
1−6アルキル、
(5)−OCF
3、
(6)−OCHF
2、
(7)−OCH
2F、
(8)ハロゲン、
(9)−S(O)
vR
e、
(10)−S(O)
vNR
cR
d、
(11)−NR
cS(O)
vR
e、
(12)−NO
2、
(13)−NR
cR
d、
(14)−C(O)R
e、
(15)−CO
2H、
(16)−CO
2R
e、
(17)−OC(O)R
e、
(18)−CN、
(19)−C(O)NR
cR
d、
(20)−NR
cC(O)R
e、
(21)−NR
cC(O)OR
e、
(22)−NR
cC(O)NR
cR
d、
(23)C
3−10シクロアルキル、
(24)C
2−10シクロヘテロアルキル、
(25)アリール、及び
(26)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、
ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又はオキソ、C
1−6アルキル、−CO
2H、−NH
2、NH(C
1−6アルキル)及びNH(C
1−6アルキル)
2から選択される1又は2個の置換基で置換され;
各R
bは、独立して:
(1)−CN、
(2)ハロゲン、
(3)−CF
3、
(4)−OCF
3、
(5)−C
1−6アルキル、
(6)−OC
1−6アルキル、
(7)アリール、及び
(8)ヘテロアリール、
からなる群より選択され;
各R
cは、独立して:
(1)水素、及び
(2)C
1−6アルキル、
からなる群より選択され;
各R
dは、独立して:
(1)水素、及び
(2)C
1−6アルキル、
からなる群より選択され;
各R
eは、独立して、
(1)C
1−6アルキル、
(2)C
3−10シクロアルキル、
(3)C
2−10シクロヘテロアルキル、
(4)アリール、及び
(5)ヘテロアリール、
からなる群より選択され;
mは、0、1、2、3又は4であり;
nは、0、1又は2であり;
pは、0、1、2、3、4又は5であり;
q、t、u及びvは、1又は2であり;
rは、1、2、3、4又は5であり;そして
sは、2、3又は4である]、及び薬学的に許容されるその塩によって記載される。
本発明は、以下に要約される多数の実施態様を有する。本発明は、式Iの化合物を包含
し、これは式Ia、Ib、Ic及びIdの化合物を包含するものである。本発明はまた、該化合物の薬学的に許容される塩、及び該化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を包含する。該化合物は、2型糖尿病、2型糖尿病に付随する高血糖症、肥満及び脂質障害の治療に有用である。
本発明の1つの実施態様においては、R1は:水素、−C1−10アルキル、−(CH2)sORe、−(CH2)sNRcRd、−(CH2)sOC1−10アルキル、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2Re、−(CH2)rCONRcRd、−(CH2)rCORe、−S(O)qC1−10アルキル、−S(O)q(CH2)pアリール、−S(O)q(CH2)pシクロアルキル、−S(O)q(CH2)pシクロヘテロアルキル、−S(O)q(CH2)pヘテロアリール、−(CH2)pC3−10シクロアルキル、−(CH2)pC2−10シクロヘテロアルキル、−(CH2)pアリール、及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
本発明のこの実施態様の1つのクラスにおいては、R1は:水素、−C1−10アルキル、−(CH2)sORe、−(CH2)sNRcRd、−(CH2)sOC1−10アルキル、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2Re、−(CH2)rCONRcRd、−(CH2)rCORe、−S(O)qC1−10アルキル、−S(O)q(CH2)pアリール、−S(O)q(CH2)pシクロアルキル、−S(O)q(CH2)pシクロヘテロアルキル、−S(O)q(CH2)pヘテロアリール、−(CH2)pC3−10シクロアルキル、−(CH2)pC2−10シクロヘテロアルキル、−(CH2)pアリール、及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換され、かつここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
本発明のこの実施態様の別のクラスにおいては、R1は:−C1−10アルキル、−(CH2)sORe、−(CH2)sNRcRd、−(CH2)sOC1−10アルキル、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2Re、−(CH2)rCONRcRd、−(CH2)rCORe、−S(O)qC1−10アルキル、−S(O)q(CH2)pアリール、−S(O)q(CH2)pシクロアルキル、−S(O)q(CH2)pシクロヘテロアルキル、−S(O)q(CH2)pヘテロアリール、−(CH2)pC3−10シクロアルキル、−(CH2)pC2−10シクロヘテロアルキル、−(CH2)pアリール、及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換され、かつここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−C1−10アルキル、−(CH2)sOH、−(CH2)sNRcRd、−(CH2)sOC1−10アルキル、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2C1−10アルキル、−(CH2)rCONRcRd、−(CH2)rCO−シクロヘテロアルキル、−S(O)qC1−10アルキル、−S(O)q(CH2)pアリール、−S(O)q(CH2)pシクロアルキル、−S(O)q(CH2)pシクロヘテロアルキル、−S(O)q(CH2)pヘテロアリール、−(CH2)pC3−10シクロアルキル、−(CH2)pC2−10シクロヘテロアルキル、−(CH2)pアリール、及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の1つのクラスにおいては、R1は:−C1−10アルキル、−(CH2)sOH、−(CH2)sNRcRd、−(CH2)sOC1−10アルキル、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2C1−10アルキル、−(CH2)rCONRcRd、−(CH2)rCO−シクロヘテロアルキル、−S(O)qC1−10アルキル、−S(O)q(CH2)pアリール、−S(O)q(CH2)pシクロアルキル、−S(O)q(CH2)pシクロヘテロアルキル、−S(O)q(CH2)pヘテロアリール、−(CH2)pC3−10シクロアルキル、−(CH2)pC2−10シクロヘテロアルキル、−(CH2)pアリール、及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換され、かつここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−C1−10アルキル、−(CH2)sOH、−(CH2)sNRcRd、−(CH2)sOC1−10アルキル、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2C1−10アルキル、−(CH2)rCONRcRd、−(CH2)rCO−シクロヘテロアルキル、−S(O)qC1−10アルキル、−S(O)q(CH2)pアリール、−S(O)q(CH2)pシクロアルキル、−S(O)2シクロヘテロアルキル、−S(O)2ヘテロアリール、−(CH2)pC3−10シクロアルキル、−(CH2)pC2−10シクロヘテロアルキル、−(CH2)pアリール及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:−C1−10アルキル、−(CH2)sOH、−(CH2)sNRcRd、−(CH2)sOC1−10アルキル、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2C1−10アルキル、−(CH2)rCONRcRd、−(CH2)rCO−シクロヘテロアルキル、−S(O)qC1−10アルキル、−S(O)q(CH2)pアリール、−S(O)q(CH2)pシクロアルキル、−S(O)2シクロヘテロアルキル、−S(O)2ヘテロアリール、−(CH2)pC3−10シクロアルキル、−(CH2)pC2−10シクロヘテロアルキル、−(CH2)pアリール及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、シクロアルキル、及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換され、かつここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−(CH2)sOH、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2C1−10アルキル、−(CH2)rCONRcRd、−S(O)q(CH2)pアリール、−(CH2)pアリール、及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−(CH2)sOH、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2C1−10アルキル、−(CH2)rCONRcRd、−S(O)q(CH2)pアリール、−(CH2)pアリール、及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2及びアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換され、かつここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:−(CH2)sOH、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2C1−10アルキル、−(CH2)rCONRcRd、−S(O)q(CH2)pアリール、−(CH2)pアリール、及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2及びアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換され、かつここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2C1−10アルキル、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2アリール、−(CH2)0−1アリール、及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2C1−10アルキル、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2アリール、−(CH2)0−1アリール、及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2及びアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換され、かつここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2C1−2アルキル、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2フェニル、フェニル、−CH2フェニル、及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、フェニル及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2C1−2アルキル、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2フェニル、フェニル、−CH2フェニル、及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2及びアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換され、かつここで、フェニル及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2CH3、−(CH2)1−4CO2CH2CH3、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2フェニル、フェニル、−CH2フェニル、ピリジン、及びピリミジンからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、フェニル、ピリジン及びピリミジンは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2CH3、−(CH2)1−4CO2CH2CH3、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2フェニル、フェニル、−CH2フェニル、ピリジン、及びピリミジンからなる群より選択され、ここで、CH2及びアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換され、かつここで、フェニル、ピリジン及びピリミジンは、独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2CH3、−(CH2)1−4CO2CH2CH3、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2フェニル、フェニル、−CH2フェニル、ピリジン、及びピリミジンからなる群より選択され、ここで、CH2及びアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換され、かつここで、フェニル、ピリジン及びピリミジンは、独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2CH3、−(CH2)2CO2CH2CH3、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2フェニル、フェニル、−CH2フェニル、ピリジン、及びピリミジンからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、フェニル、ピリジン及びピリミジンは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2CH3、−(CH2)2CO2CH2CH3、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2フェニル、フェニル、−CH2フェニル、ピリジン、及びピリミジンからなる群より選択され、ここで、CH2及びアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換され、かつここで、フェニル、ピリジン及びピリミジンは、独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:−(CH2)2−3OH、−(CH2)1−4CO2H、−(CH2)1−4CO2CH3、−(CH2)2CO2CH2CH3、−(CH2)1−3CONH2、−S(O)2フェニル、フェニル、−CH2フェニル、ピリジン、及びピリミジンからなる群より選択され、ここで、CH2及びアルキルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換され、かつここで、フェニル、ピリジン及びピリミジンは、独立してRaから選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R1は:水素、フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R1は:水素、フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R1は:水素、フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、独立して:−CO2H及びテトラゾールから選択される1個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R1は:フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R1は:フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、独立して:−CO2H及びテトラゾールから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R1は:フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、1個の−CO2H置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は:水素及びアリールからなる群より選択され、ここで、アリールは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R1は:水素及びフェニルからなる群より選択され、ここで、フェニルは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R1は、アリールであり、ここで、アリールは、独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R1は、フェニルであり、ここでフェニルは、独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R1は、フェニルであり、ここで、フェニルは、独立して:−CO2H及びテトラゾールから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R1は、フェニルであり、ここで、フェニルは、1個の−CO2H置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R1は、ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R1は、ピリジンであり、ここで、ピリジンは、独立してRaから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R1は、ピリジンであり、ここで、ピリジンは独立して:−CO2H及びテトラゾールから選択される1個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R1は、ピリジンであり、ここで、ピリジンは、1個の−CO2H置換基で置換される。
本発明の別の実施態様においては、R2は:水素、−C1−6アルキル及び−OC1−6アルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R2は、水素である。
本発明の別の実施態様においては、R3は:水素及び−C1−6アルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R3は、水素である。
本発明の別の実施態様においては、R4は:水素及び−C1−6アルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R4は、水素である。
本発明の別の実施態様においては、R5は:水素及び−C1−6アルキルからなる群より選択され、或いはR4及びR5は、それらが結合する原子と一緒になって、3ないし7個の炭素原子を有するシクロアルキル環を形成する。この実施態様の1つのクラスにおいては、R5は:水素及び−C1−6アルキルからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R5は、水素である。
本発明の別の実施態様においては、R6は:水素、ハロゲン、−C1−10アルキル、−OC1−10アルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R6は:水素、ハロゲン、−C1−10アルキル、−OC1−10アルキル、フェニル及びヘテロアリールからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R6は:水素及びハロゲンからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R6は、水素である。この実施態様の別のクラスにおいては、R6は、ハロゲンである。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R6は、Brである。
本発明の別の実施態様においては、各R7は:水素、−C1−10アルキル、−C3−10シクロアルキル、−OH、−O−C1−10アルキル、−O−C3−10シクロアルキル、−O−C2−10シクロヘテロアルキル、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−NRcS(O)tRe、ハロゲン、−NRcRd、−CN、−NRcC(O)Re、−OCF3、−OCHF2、−C2−10シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R7は、−O−C1−10アルキル及び−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、R7は:−O−CH2CH3及び−O−シクロプロピルからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、R7は:−O−C1−10アルキル及び−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、R7は:−O−CH2CH3及び−O−シクロプロピルからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R7は、−O−C1−10アルキルであり、ここでアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、R7は、−O−C1−10アルキルである。この実施態様のこのクラスの別のサブクラスにおいては、R7は、−O−CH2CH3である。この実施態様の別のクラスにおいては、R7は:−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択され、ここで、シクロアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、R7は:−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R7は、−O−シクロプロピルである。
本発明の別の実施態様においては、R8は:−OC1−6アルキル、−NRcS(O)uRe、ハロゲン、−S(O)uRe、−S(O)uNRcRd、−NRcRd、−CN、−C(O)NRcRd、−NRcC(O)Re、−NRcC(O)ORe、−NRcC(O)NRcRd、−OCF3、−OCHF2、−C3−10シクロヘテロアルキル、−C1−10アルキル、−C3−6シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
この実施態様の1つのクラスにおいては、R8は:−OC1−6アルキル、ハロゲン、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R8は:−OC1−6アルキル、ハロゲン、フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、アルキル、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1又は2個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R8は:−OC1−6アルキル、Br、F、フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、アルキル、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、R8は:ハロゲン、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R8は:ハロゲン、フェニル及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、フェニル及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R8は:ハロゲン、フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、R8は:Br、F、フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1、2又は3個の置換基で置換される。
本発明の別の実施態様においては、R8は:アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1又は2個の置換基で置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R8は:フェニル及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、フェニル及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1又は2個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、R8は:フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1又は2個の置換基で置換される。
本発明の別の実施態様においては、R9は:水素、−C1−10アルキル、−C3−10シクロアルキル、−OH、−O−C1−10アルキル、−O−C3−10シクロアルキル、−O−C2−10シクロヘテロアルキル、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−NRcS(O)tRe、ハロゲン、−NRcRd、−CN、−NRcC(O)Re、−OCF3、−OCHF2、−C2−10シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリール、からなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R9は:−O−C1−10アルキル及び−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、R9は:−O−CH2CH3及び−O−シクロプロピルからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、R9は:−O−C1−10アルキル及び−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、R9は:−O−CH2CH3及び−O−シクロプロピルからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R9は、−O−C1−10アルキルであり、ここで、アルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、R9は、−O−C1−10アルキルである。この実施態様のこのクラスの別のサブクラスにおいては、R9は、−O−CH2CH3である。この実施態様の別のクラスにおいては、R9は:−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択され、ここで、シクロアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、R9は:−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R9は、−O−シクロプロピルである。
本発明の別の実施態様においては、R10は:水素、ハロゲン、−C1−10アルキル及び−OC1−10アルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R10は:水素及びハロゲンからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R10は、水素である。この実施態様の別のクラスにおいては、R10は、ハロゲンである。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R10は、Brである。
本発明の別の実施態様においては、各Raは、独立して:−C1−6アルキル、−CF3、−OH、−OC1−6アルキル、−OCF3、−OCHF2、−OCH2F、ハロゲン、−S(O)vRe、−S(O)vNRcRd、−NRcS(O)vRe、−NO2、−NRcRd、−C(O)Re、−CO2H、−CO2Re、−OC(O)Re、−CN、−C(O)NRcRd、−NRcC(O)Re、−NRcC(O)ORe、−NRcC(O)NRcRd、−C3−10シクロアルキル、−C2−10シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又はオキソ、C1−6アルキル、−CO2H、−NH2、NH(C1−6アルキル)及びNH(C1−6アルキル)2から選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の1つのクラスにおいては、各Raは、独立して:−C1−6アルキル、−CF3、−OH、−OC1−6アルキル、−OCF3、−OCHF2、−OCH2F、ハロゲン、−S(O)vRe、−S(O)vNRcRd、−NRcS(O)vRe、−NO2、−NRcRd、−C(O)Re、−CO2H、−CO2Re、−OC(O)Re、−CN、−C(O)NRcRd、−NRcC(O)Re、−NRcC(O)ORe及び−NRcC(O)NRcRdからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又はオキソ、C1−6アルキル、−CO2H、−NH2、NH(C1−6アルキル)及びNH(C1−6アルキル)2から選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−C1−6アルキル、−CF3、−OH、−OC1−6アルキル、−OCF3、−OCHF2、−OCH2F、ハロゲン、−S(O)vC1−6アルキル、−S(O)vNRcRd、−NRcS(O)vRe、−NO2、−NRcRd、−C(O)C1−6アルキル、−CO2H、−CO2C1−6アルキル、−OC(O)C1−6アルキル、−CN、−C(O)NRcRd、−NRcC(O)Re、−NRcC(O)ORe、−NRcC(O)NRcRd、−C3−10シクロアルキル、−C2−10シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又はオキソ、C1−6アルキル、−CO2H、−NH2、NH(C1−6アルキル)及びNH(C1−6アルキル)2から選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−C1−6アルキル、−CF3、−OH、−OC1−6アルキル、−OCF3、−OCHF2、−OCH2F、ハロゲン、−S(O)vC1−6アルキル、−S(O)vNRcRd、−NRcS(O)vRe、−NO2、−NRcRd、−C(O)C1−6アルキル、−CO2H、−CO2C1−6アルキル、−OC(O)C1−6アルキル、−CN、−C(O)NRcRd、−NRcC(O)Re、−NRcC(O)ORe及び−NRcC(O)NRcRdからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又はオキソ、C1−6アルキル、−CO2H、−NH2、NH(C1−6アルキル)及びNH(C1−6アルキル)2から選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−CN、−OC1−6アルキル、ハロゲン、−S(O)2C1−6アルキル、−CO2H、−CO2C1−6アルキル、−C(O)NRcRd及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル及びヘテロアリールは、未置換であるか又はオキソ、C1−6アルキル、−CO2H、−NH2、NH(C1−6アルキル)及びNH(C1−6アルキル)2から選択される1又は2個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−CN、−OC1−6アルキル、ハロゲン、−S(O)2C1−6アルキル、−CO2H、−CO2C1−6アルキル、−C(O)NRcRd及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、ヘテロアリールは、未置換であるか又はオキソから選択される1又は2個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−CN、−OC1−6アルキル、ハロゲン、−SO2CH3、−CO2H、−CO2C1−6アルキル、−C(O)NH2、テトラゾール及びオキソ−ジヒドロ−オキサジアゾールからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−CN、−OCH3、F、−SO2CH3、−CO2H、−CO2CH3、−C(O)NH2、テトラゾール及びオキソ−ジヒドロ−オキサジアゾールからなる群より選択される。
この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−CN、−OC1−6アルキル、ハロゲン、−S(O)2C1−6アルキル、−CO2H、−CO2C1−6アルキル及び−C(O)NRcRdからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又はオキソ、C1−6アルキル、−CO2H、−NH2、NH(C1−6アルキル)及びNH(C1−6アルキル)2から選択される1又は2個の置換基で置換される。
この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−OC1−6アルキル、ハロゲン、−S(O)2C1−6アルキル、−CO2H、−CO2C1−6アルキル、−C(O)NRcRd及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、ヘテロアリールは、未置換であるか又はオキソから選択される1又は2個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−OC1−6アルキル、ハロゲン、−SO2CH3、−CO2H、−CO2C1−6アルキル、−C(O)NH2、テトラゾール及びオキソ−ジヒドロ−オキサジアゾールからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−OCH3、F、−SO2CH3、−CO2H、−CO2CH3、−C(O)NH2、テトラゾール及びオキソ−ジヒドロ−オキサジアゾールからなる群より選択される。
この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−OC1−6アルキル、ハロゲン、−S(O)2CH3、−CO2H、−CO2C1−6アルキル及び−C(O)NH2からなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−OH、−OCH3、F、−SO2CH3、−CO2H、−CO2CH3及び−C(O)NH2からなる群より選択される。
この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−CO2H、−C(O)NRcRd及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、ヘテロアリールは、未置換であるか又はオキソから選択される1又は2個の置換基で置換される。この実施態様のこのクラスの別のサブクラスにおいては、各Raは、独立して:−CO2H、−C(O)NH2、テトラゾール及びオキソ−ジヒドロ−オキサジアゾールからなる群より選択される。この実施態様のこのクラスの別のサブクラスにおいては、各Raは、独立して:−CO2H、−C(O)NH2、テトラゾール及び5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾールからなる群より選択される。
この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−CO2H、テトラゾール及び−C(O)NRcRdからなる群より選択される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、各Raは、独立して:−CO2H、テトラゾール及び−C(O)NH2からなる群より選択される。このクラスの別のサブクラスにおいては、各Raは、独立して:−CO2H及びテトラゾールからなる群より選択される。このクラスの別のサブクラスにおいては、各Raは、−CO2Hである。このクラスの別のサブクラスにおいては、各Raは、テトラゾールである。
この実施態様の別のクラスにおいては、各Raは、独立して:−CO2H及び−C(O)NRcRdからなる群より選択される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、各Raは、−CO2Hである。この実施態様のこのクラスの別のサブクラスにおいては、各Raは、−C(O)NRcRdである。この実施態様のこのクラスの別のサブクラスにおいては、各Raは、−C(O)NH2である。
本発明の別の実施態様においては、各Rbは、独立して:−CN、ハロゲン、−CF3、−OCF3、−C1−6アルキル、−OC1−6アルキル、−C(O)NRcRd、アリール及びヘテロアリール、からなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rbは、独立して:−CN、ハロゲン、−CF3、−OCF3、−C1−6アルキル、−OC1−6アルキル及び−C(O)NRcRdからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rbは、独立して:−CN、ハロゲン、−CF3、−OCF3、−C1−6アルキル、−OC1−6アルキル及び−C(O)NH2からなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rbは、独立して:−CN、F、Cl、−CF3、−OCF3、−C1−6アルキル、−OC1−6アルキル及び−C(O)NH2からなる群より選択される。
本発明の別の実施態様においては、各Rbは、独立して:−CN、ハロゲン、−CF3、−OCF3、−C1−6アルキル及び−C(O)NRcRdからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rbは、独立して:−CN、ハロゲン、−CF3、−OCF3、−C1−6アルキル及び−C(O)NRcRdからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rbは、独立して:−CN、ハロゲン、−CF3、−OCF3、−C1−6アルキル及び−C(O)NH2からなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rbは、独立して:−CN、F、Cl、−CF3、−OCF3、−C1−6アルキル及び−C(O)NH2からなる群より選択される。
この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rbは、独立して:ハロゲン、−CF3及び−OCF3からなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rbは、独立して:ハロゲンからなる群より選択される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、各Rbは、独立して:Cl及びFからなる群より選択される。このクラスの別のサブクラスにおいては、各Rbは、Cl及びFである。このクラスのなお別のサブクラスにおいては、各Rbは、Fである。
本発明の別の実施態様においては、各Rcは、独立して:水素及びC1−6アルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rcは、水素である。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rcは、C1−6アルキルである。
本発明の別の実施態様においては、各Rdは、独立して:水素及びC1−6アルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rdは、水素である。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rdは、C1−6アルキルである。
本発明の別の実施態様においては、各Reは、独立して、:C1−6アルキル、C3−10シクロアルキル、C2−10シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Reは、独立して、:C1−6アルキル及びアリールからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、Reは、C1−6アルキルである。この実施態様の別のクラスにおいては、Reは、アリールである。
別の実施態様においては、R2、R3、R4、R5、R6及びR10は、それぞれ水素である。別の実施態様においては、R2、R3、R4、R5及びR10は、それぞれ水素である。別の実施態様においては、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ水素である。別の実施態様においては、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ水素である。別の実施態様においては、R2及びR3は、それぞれ水素である。別の実施態様においては、R4及びR5は、それぞれ水素である。
本発明の別の実施態様においては、R7及びR9は、独立して:−O−C1−10アルキル及び−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、R7及びR9は、独立して:−O−CH2CH3及び−O−シクロプロピルからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、R7及びR9は、独立して:−O−C1−10アルキル及び−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、R7及びR9は、独立して:−O−CH2CH3及び−O−シクロプロピルからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R7及びR9は、独立して、−O−C1−10アルキからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様のこのクラスの1つのサブクラスにおいては、R7及びR9は、独立して、−O−C1−10アルキルからなる群より選択される。この実施態様のこのクラスの別のサブクラスにおいては、R7及びR9は、−O−CH2CH3である。この実施態様の別のクラスにおいては、R7及びR9は、独立して、−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択され、ここで、シクロアルキルは、未置換であるか又は1、2又は3個のハロゲンで置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、R7及びR9は、独立して、−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R7及びR9は、−O−シクロプロピルである。
本発明の別の実施態様においては、mは、0、1、2、3又は4である。この実施態様の1つのクラスにおいては、mは、0、1、2又は3である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、0、1又は2である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、0又は1である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、0である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、1である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、2である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、3である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、4である。
本発明の別の実施態様においては、nは、0、1又は2ある。この実施態様の1つのクラスにおいては、nは、0である。この実施態様の1つのクラスにおいては、nは、1である。この実施態様の1つのクラスにおいては、nは、2である。
本発明の別の実施態様においては、pは、0、1、2、3、4又は5である。この実施態様の1つのクラスにおいては、pは、0、1、2、3又は4である。この実施態様の別のクラスにおいては、pは、0、1、2又は3である。この実施態様の別のクラスにおいては、pは、1、2又は3である。この実施態様の別のクラスにおいては、pは、0又は1である。この実施態様の別のクラスにおいては、pは、0である。この実施態様の別のクラスにおいては、pは、1である。この実施態様の別のクラスにおいては、pは、2である。この実施態様の別のクラスにおいては、pは、3である。この実施態様の別のクラスにおいては、pは、4である。この実施態様の別のクラスにおいては、pは、5である。
本発明の別の実施態様においては、qは、1又は2である。この実施態様の1つのクラスにおいては、qは、1である。この実施態様の別のクラスにおいては、qは、2である。
本発明の別の実施態様においては、rは、1、2、3、4又は5である。この実施態様の1つのクラスにおいては、rは、1、2、3又は4である。この実施態様の別のクラスにおいては、rは、1、2又は3である。この実施態様の1つのクラスにおいては、rは、1又は2である。この実施態様の別のクラスにおいては、rは、1又は3である。この実施態様の別のクラスにおいては、rは、2又は3である。この実施態様の別のクラスにおいては、rは、1である。この実施態様の別のクラスにおいては、rは、2である。この実施態様の別のクラスにおいては、rは、3である。この実施態様の別のクラスにおいては、rは、4である。この実施態様の別のクラスにおいては、rは、5である。
本発明の別の実施態様においては、sは、2、3又は4である。この実施態様の1つのクラスにおいては、sは、2又は3である。この実施態様の別のクラスにおいては、sは、2又は4である。この実施態様の別のクラスにおいては、sは、2である。この実施態様の別のクラスにおいては、sは、3である。この実施態様の別のクラスにおいては、sは、4である。
本発明の別の実施態様においては、tは、1又は2である。この実施態様の1つのクラスにおいては、tは、1である。この実施態様の別のクラスにおいては、tは、2である。
本発明の別の実施態様においては、uは、1又は2である。この実施態様の1つのクラスにおいては、uは、1である。この実施態様の別のクラスにおいては、uは、2である。
本発明の別の実施態様においては、vは、1又は2である。この実施態様の1つのクラスにおいては、vは、1である。この実施態様の別のクラスにおいては、vは、2である。
本発明の別の実施態様においては、式I[式中、R1は:水素、−(CH2)sOH、−(CH2)rCO2H、−(CH2)rCO2C1−10アルキル、−(CH2)rCONRcRd、−S(O)q(CH2)pアリール、−(CH2)pアリール及び−(CH2)pヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、CH2、アルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1、2又は3個の置換基で置換され;R2、R3、R4、R5、R6及びR10は、それぞれ水素であり;R7及びR9は、独立して:−O−C1−10アルキル及び−O−C3−10シクロアルキルからなる群より選択され;R8は:ハロゲン、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1、2又は3個の置換基で置換され;各Raは、独立して:−OH、−CN、−OC1−6アルキル、ハロゲン、−S(O)2C1−6アルキル、−CO2H、−CO2C1−6アルキル、−C(O)NRcRd及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル及びヘテロアリールは、未置換であるか又はオキソ、C1−6アルキル、−CO2H、−NH2、NH(C1−6アルキル)及びNH(C1−6アルキル)2から選択される1又は2個の置換基で置換され;かつ、各Rbは、独立して:−CN、ハロゲン、−CF3、−OCF3、−C1−6アルキル、−OC1−6アルキル及び−C(O)NRcRdからなる群より選択される]の化合物;又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
本発明の別の実施態様においては、式I[式中、R1は:水素、フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRaから選択される1個の置換基で置換され;R2、R3、R4、R5、R6及びR10は、それぞれ水素であり;R7及びR9は、独立して:−O−CH2CH3及び−O−シクロプロピルからなる群より選択され;R8は:フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRbから選択される1又は2個の置換基で置換され;各Raは、独立して:−CO2H、−C(O)NH2、テトラゾール及びオキソ−ジヒドロ−オキサジアゾールからなる群より選択され;各Rbは、独立して、ハロゲンからなる群より選択される]の化合物;又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
本発明の別の実施態様においては、本発明は、構造式Ia:
本発明の別の実施態様においては、本発明は、構造式Ib:
本発明の別の実施態様においては、本発明は、構造式Ic:
本発明の別の実施態様においては、本発明は、構造式Id:
SSTR5のアンタゴニストとして有用な本発明の化合物の例示的であるが非限定的な例は、以下の置換スピロ環式アミン:
定義
「アルキル」、並びに接頭語「alk」をもつ他の基、例えばアルコキシ、アルカノイルは、直鎖若しくは分枝鎖又はそれらの組合せであってもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどを包含する。用語「Et」は、エチル又は−CH2CH3を意味する。用語「OEt」は、エトキシ又は−OCH2CH3を意味する。
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有し、かつ直鎖若しくは分枝鎖又はそれらの組合せであってもよい炭素鎖を意味する。アルケニルの例は、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどを包含する。
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し、かつ直鎖若しくは分枝鎖又はそれらの組合せであってもよい炭素鎖を意味する。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどを包含する。
「カルボン酸」又は「カルボン酸基」は、−CO2Hを意味する。
「シクロアルキル」は、その各々が3ないし10個の炭素原子を有する、単環若しくは二環式、又は架橋された飽和炭素環式環を意味する。この用語はまた、アリール基に縮合した単環式環を包含し、その結合点は非芳香族部分上にある。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどを包含する。
「アリール」は、炭素原子のみを含有する単環−又は二環式の芳香族環を意味する。この用語はまた、単環式シクロアルキル又は単環式シクロヘテロアルキル基に縮合したアリール基も包含し、その結合点は芳香族部分上にある。アリールの例は、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4−ベンゾジオキサニルなどを包含する。
「ヘテロアリール」は、O、S及びNから選択される少なくとも1つの環ヘテロ原子を含有する芳香族又は部分芳香族複素環を意味する。それ故「ヘテロアリール」は、他種の環、例えばアリール、シクロアルキル及び芳香族ではない複素環へ縮合されたヘテロアリールを包含する。ヘテロアリール基の例は、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル(ピリジニル)、オキサゾリル、オキサジアゾリル(特に、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)、オキソ−ジヒドロ−ジアゾール、オキサジアゾロン、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾ−1,4−ジオキサニル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニルなどを包含する。シクロヘテロアルキル及びヘテロアリール基については、3ないし15個の原子を含有する環及び環系が含まれ、1ないし3個の環を形成する。
「シクロヘテロアルキル」は、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、単環若しくは二環式の又は架橋された飽和環を意味し、前記環の各々は、3ないし10個の原子を有し、その結合点は炭素又は窒素であってよい。この用語はまた、アリール又はヘテロアリール基へ縮合された、単環式複素環も包含し、その結合点は、非芳香族部分上にある。「シクロヘテロアルキル」の例は、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリニル、2−H−フタラジニル、イソインドリニル、ベンゾオキサゼピニル、5,6−ジヒドロイミダゾ[2,1−b]チアゾリル、テトラヒドロキノリニル、モルホリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリルなどを包含する。この用語はまた、芳香族ではない部分不飽和単環式環、例えば、窒素を介して結合した2−若しくは4−ピリドン、又はN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N−置換ウラシル)も包含する。この用語はまた、架橋環、例えば、5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル、2−アザビシクロ[2.2.2]オクチル及び3−アザビシクロ[3.2.2]ノニル及びアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルも包含する。シクロヘテロアルキル環は、環炭素及び/又は環窒素上で置換されていてもよい。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を包含する。
「オキソ」により、官能基「=O」が意味され、これは、二重結合によって分子へ結合された酸素原子であり、例えば、(1)「C=(O)」、すなわち、カルボニル基;(2)「S=(O)」、すなわち、スルホキシド基;及び(3)「N=(O)」、すなわち、N−オキシド基、例えば、ピリジル−N−オキシドである。
「任意の変数(例えば、R1、Raなど)が任意の構成成分又は式Iにおいて2回以上出現する場合、その出現ごとの定義は、他の全ての出現におけるその定義とは無関係である。また、置換基及び/又は変数の組合せは、かかる組合せが結果として安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
本開示全体を通して用いられる標準的な命名法のもとでは、指定された側鎖の末端部分が最初に記載され、続いて隣接する官能基が結合点に向けて記載される。例えば、C1−5アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル置換基は、
本発明の化合物を選択する際、当業者は、様々な置換基、すなわち、R1、R2などを、化学構造の結合性及び安定性についての周知の法則に準拠して選ぶべきであることを認識するであろう。
用語「置換された」は、指名された置換基による複数の置換度を包含するものとする。多数の置換基成分が開示又はクレームされている場合、置換化合物は、独立して、1つ以上の開示又はクレームされた置換基成分により、単独又は複数で置換されていてもよい。独立して置換された、により、(2つ以上の)置換基が、同じか又は異なってもよいことが意味される。
光学異性体−ジアステレオ異性体−幾何異性体−互変異性体
構造式Iの化合物は、1つ以上の不斉中心を含有してもよく、したがって、ラセミ体及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体混合物及び個々のジアステレオ異性体として存在してもよい。本発明は、構造式Iの化合物のかかる異性体型の全てを包含するものとする。
構造式Iの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール若しくは酢酸エチル又はそれらの混合物からの分別結晶により、或いは光学活性固定相を用いたキラルクロマトグラフィーにより、個々のジアステレオ異性体へ分離してもよい。絶対立体化学は、必要に応じて、絶対立体配置が既知である不斉中心を含有する試薬を用いて誘導体化された結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶解析によって測定してもよい。
別法として、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体又は異性体を、絶対立体配置が既知である光学的に純粋な出発原料又は試薬を使用して立体特異的に合成することによって得てもよい。
所望であれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーが単離されるようにしてもよい。分離は、当該技術分野において周知の方法によって行なってよく、例えば、化合物のラセミ混合物を、エナンチオマー的に純粋な化合物とカップリングさせてジアステレオ異性体混合物を生成した後、個々のジアステレオ異性体を、分別結晶又はクロマトグラフィーなどの標準的な方法により分離してもよい。カップリング反応は、しばしば、エナンチオマー的に純粋な酸又は塩基を使用した塩の生成である。ジアステレオマー誘導体を、次に、付加されたキラル残基を切断することにより、純粋なエナンチオマーに変換してもよい。化合物のラセミ混合物はまた、キラル固定相を利用したクロマトグラフ法によって直接分離してもよく、この方法は当該技術分野において周知である。
本明細書に記載された化合物のあるものは、オレフィン二重結合を含有しており、別段の指定がない限り、E及びZの双方の幾何異性体を含むことが意図されている。
本明細書に記載された化合物のあるものは、1つ以上の二重結合のシフトに付随して異なる水素の結合点をもつ互変異性体として存在してもよい。例えば、ケトン及びそのエノール型は、ケト−エノール互変異性体である。個々の互変異性体並びにそれらの混合物は、本発明の化合物に包含される。
構造式Iの化合物において、原子はそれらの天然同位体存在度を呈してもよく、或いは1つ以上の原子を、同じ原子番号をもつが原子質量又は質量数が自然界で主として見られる原子質量又は質量数とは異なる特定の同位体中で人工的に富化してもよい。本発明は、構造式Iの化合物の全ての適切な同位体変形物を包含するものとする。例えば、水素(H)の異なる同位体型には、プロチウム(1H)及びデュウテリウム(2H)が含まれる。プロチウムは、自然界で見られる主な水素同位体である。デュウテリウムを富化することで、インビボの半減期が増加されるか、又は必要投与量が低減されるといった、ある種の治療上の利点が得られることがあり、或いは生物試料のキャラクタリゼーションのための標準として有用な化合物を提供し得る。構造式Iの範囲内で同位体を富化された化合物は、当業者に周知の通常の技術によるか又は本明細書のスキーム及び実施例に記載されたものに類似のプロセスにより、適切に同位体富化された試薬及び/又は中間体を用いることで過度の実験を伴わずに調製し得る。
塩
本明細書で用いるとき、構造式Iの化合物についての記載はまた、薬学的に許容される塩も包含し、また薬学的に許容されない塩も、それらが遊離化合物若しくは薬学的に許容される塩の前駆物質として又は他の合成操作において使用される場合には包含することが理解されるであろう。
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与し得る。用語「薬学的に許容される塩」は、無機又は有機塩基及び無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を指す。用語「薬学的に許容される塩」の範囲に含まれる塩基性化合物の塩は、一般に遊離塩基を適切な有機又は無機酸と反応させることにより調製される本発明の化合物の非毒性の塩を指す。本発明の塩基性化合物の代表的な塩は、これに限定されないが、以下を包含する:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド及び吉草酸塩を包含する。さらに、本発明の化合物が酸性基をもつ場合、適切な薬学的に許容されるその塩は、これに限定されないが、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む、無機塩基から誘導される塩を包含する。特に好適であるのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムの塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級及び第三級のアミンの塩、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を包含する。
本発明の化合物中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、カルボン酸誘導体の薬学的に許容されるエステル、例えばメチル、エチル又はピバロイルオキシメチル、或いはアルコールのアシル誘導体、例えば、O−アセチル、O−ピバロイル、O−ベンゾイル及びO−アミノアシルを使用してもよい。含まれるのは、徐放又はプロドラッグ製剤としての使用に向けて溶解性又は加水分解特性を修飾するための当該技術において公知のエステル及びアシル基である。
溶媒和物、及び特に構造式Iの化合物の水和物も同様に本発明に包含される。
本発明を例示するのは、実施例及び本明細書において開示された化合物の使用である。
有用性
本発明は、SSTR5の拮抗作用に応答性の疾患を、治療、管理又は予防するための方法に関する。本明細書に開示された化合物は、SSTR5の強力かつ選択的なアンタゴニストである。該化合物は、一般にはアンタゴニストであるSSTR5リガンドにより調節される疾患の治療において有効である。
以下の疾患の1つ以上は、治療有効量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩を、その必要のある患者へ投与することにより治療し得る:(1)2型糖尿病(非インスリン依存型糖尿病、又はNIDDMとしても知られる)、(2)高血糖症、(3)グルコース耐性異常、(4)インスリン抵抗性、(5)肥満、(6)脂質障害、(7)脂質異常症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)腹部肥満、(16)網膜症、(17)メタボリックシンドローム、(18)高い血圧(高血圧)、(19)混合型又は糖尿病性の脂質異常症、及び(20)高アポBリポタンパク質血症。
本発明はまた、本明細書に記載された化合物及び医薬組成物を患者に投与することによる、これに限定されないが、糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームを包含する疾患を、治療、管理、又は予防するための方法に関する。式Iの化合物はまた、これらの疾患の1つ以上を治療するための医薬の製造に使用し得る。
本化合物の使用の1つの実施態様は、治療を要する患者へ治療有効量を投与することによる、以下の疾患の1つ以上を治療することに関する:2型糖尿病;インスリン抵抗性;高血糖症;脂質障害;メタボリックシンドローム;肥満;及びアテローム性動脈硬化症。
構造式(I)の化合物、3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イルは、別のスピロ環式コアをもつ化合物に比較して、hSSTR5受容体に対する増大された結合能(低いKi)という予想外の利益を有する。さらに、構造式(I)の化合物は、hERG補助イオンチャンネルに対する有意に低減された能力という予想外の利益を有し、かつhERGの遮断に関するこの低い能力が、トルサデポアンとして知られる時として致命的な心室性不整脈を引き起こすことにつながるQT間隔の延長の可能性を低減する。最後に、構造式(I)の化合物は、Cav1.2カルシウムチャンネルの阻害能によって測定される、L型カルシウムチャンネルに対する低い遮断活性を維持し、それによりいかなる望ましくない動脈血圧の低下も低減するという予想外の利益を有する。
本化合物は、これらの疾患の1つ以上の治療において使用するための医薬の製造に使用し得る。
本化合物は、糖尿病患者において、及び、グルコース耐性異常である及び/又は前糖尿病状態にある非糖尿病患者において、グルコース及び脂質の低下に有効であることが予想される。該化合物は、糖尿病又は前糖尿病患者においてしばしば発生する高インスリン血症を、これらの患者においてしばしば発生する血清グルコースレベルの揺れを調節することによって改善し得る。該化合物はまた、インスリン抵抗性の治療又は低減に有用であり得る。該化合物は、妊娠性糖尿病の治療又は予防に有用であり得る。
本明細書に記載された化合物、組成物及び薬剤はまた、メタボリックシンドロームに付随する有害な後遺症のリスクを低減すること、またアテローム性動脈硬化症を発症するリスクを低減すること、アテローム性動脈硬化症の発現を遅らせること及び/又はアテローム性動脈硬化症の後遺症のリスクを低減することにおいても有用であり得る。アテローム性動脈硬化症の後遺症は、アンギナ、跛行、心臓発作、卒中などを包含する。
高血糖症を管理下で維持することにより、該化合物はまた血管再狭窄及び糖尿病性網膜症の遅延又は予防にも有効であり得る。
本発明の化合物はまた、β−細胞機能を改善又は回復させることにおいても有用であり得ることから、1型糖尿病の治療において、又は2型糖尿病患者がインスリン療法を必要とするのを遅らせるか又は予防する上でも有用であり得る。
本発明の1つの態様は、混合型又は糖尿病性脂質異常症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症及び/又は高トリグリセリド血症の治療及び管理のための方法であって、式Iを有する化合物の治療有効量をかかる処置を要する患者に投与することを含んでなる該方法を提供する。該化合物は、単独で用いてもよく、又は有利には、コレステロール生合成阻害剤、特にHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、又はZD−4522と共に投与してもよい。該化合物はまた、有利には、他の脂質低下薬、例えばコレステロール吸収阻害(例えば、スタノールエステル、ステロールグリコシド(例えばチクエシド)及びアゼチジノン(例えばエゼチミブ))、ACAT阻害剤(例えばアバシミベ)、CETP阻害剤(例えばトルセトラピブ及び出願公開WO2005/100298、WO2006/014413及びWO2006/014357に記載されたもの)、ナイアシン及びナイアシン受容体アゴニスト、胆汁酸封鎖剤、ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤及び胆汁酸再取り込み阻害剤と組合せて使用してもよい。これらの併用治療は:高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症、高LDL及び低HDLからなる群より選択される1つ以上の関連症状の治療又は管理に有用であり得る。
用語「糖尿病」は、本明細書で用いるとき、インスリン依存型糖尿病(すなわち、IDDM、1型糖尿病としても知られる)及びインスリン非依存型糖尿病(すなわち、NIDDM、2型糖尿病としても知られる)の双方を包含する。
糖尿病は、126mg/dl以上の空腹時血漿グルコースレベルによって特徴づけられる。糖尿病患者は、126mg/dl以上の空腹時血漿グルコースレベルを有する。前糖尿病は、110mg/dl以上かつ126mg/dl未満の空腹時血漿グルコース(FPG)レベル障害;又はグルコース耐性異常;又はインスリン抵抗性により特徴づけられる。前糖尿病患者は、空腹時グルコース障害(110mg/dl以上かつ126mg/dl未満の空腹時血漿グルコース(FPG)レベル);又はグルコース耐性異常(≧140mg/dlかつ<200mg/dlの、2時間血漿グルコースレベル);又はインスリン抵抗性をもつ患者であり、結果として糖尿病を発症するリスクが増大する。
本明細書に記載された化合物及び組成物は、1型糖尿病及び2型糖尿病の双方の治療に有用である。該化合物及び組成物は、特に2型糖尿病の治療に有用である。本明細書に記載された化合物及び組成物は、特に前糖尿病の治療及び/又は予防に有用である。また本明細書に記載された化合物及び組成物は、特に妊娠性糖尿病の治療及び/又は予防に有用である。
糖尿病の治療とは、本明細書に記載された化合物及び組合せを投与して、糖尿病患者を治療することを指す。糖尿病の治療の成果は、増大した血漿グルコース濃度を低減することである。糖尿病の治療の別の成果は、増大したインスリン濃度を低減することである。糖尿病の治療のなお別の成果は、増大した血中トリグリセリド濃度を低減することである。糖尿病の治療のなお別の成果は、インスリン感受性を増大することである。糖尿病の治療のなお別の成果は、グルコース不耐性のある患者において、グルコース耐性を増大することである。糖尿病の治療のなお別の成果は、インスリン抵抗性を低減することである。糖尿病の治療の別の成果は、血漿インスリンレベルを低減することである。糖尿病の治療のなお別の成果は、特に2型糖尿病における血糖コントロールの改善である。治療のなお別の成果は、肝臓のインスリン感受性を増大することである。
糖尿病、特に肥満に付随した糖尿病の予防は、本明細書に記載された化合物及び組合せを投与して、その必要のある患者における糖尿病の発現を予防又は治療することを指す。糖尿病を予防する必要のある患者は、前糖尿病患者である。ある実施態様においては、本明細書に記載の化合物は、2型糖尿病の治療、管理又は予防において、またメタボリックシンドロームX、反応性低血糖症及び糖尿病性脂質異常症を含む2型糖尿病にしばしば随伴する多くの症状の治療、管理及び予防において有用であり得る。以下に議論される肥満は、本明細書に記載された化合物による治療に応答する2型糖尿病にしばしば見られる別の症状である。
以下の疾患、障害及び症状は、2型糖尿病に関連するものであり、それ故本明細書に記載された化合物を用いた処置により、治療、管理又はある場合には予防され得る:(1)高血糖症、(2)低いグルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性腸症候群、(15)クーロン病及び潰瘍性大腸炎を含む、炎症性腸疾患、(16)他の炎症性症状、(17)膵臓炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経症、(23)シンドロームX、(24)卵巣性高アンドロゲン血症(多嚢胞性卵巣症候群)、及びインスリン抵抗性が1つの構成要素である他の障害。
脂質異常症又は脂質代謝の障害は、1つ以上の脂質(すなわち、コレステロール及びトリグリセリド)及び/又はアポリポタンパク質(すなわち、アポリポタンパク質A、B、C及びE)及び/又はリポタンパク質(すなわち、脂質を血中に循環させる、脂質とアポリポタンパク質とにより形成される高分子複合体、例えばLDL、VLDL及びHDL)の異常な濃度によって特徴づけられる様々な症状を包含する。脂質異常症は、アテローム性脂質異常症を包含する。高脂血症は、異常に高いレベルの脂質、LDL、VLDLコレステロール及び/又はトリグリセリドに関連する。高脂血症を含めた脂質異常症の治療の成果は、増大したLDLコレステロール濃度を低減することである。治療の別の成果は、低濃度のHDLコレステロールを増大することである。治療の別の成果は超低密度リポタンパク質(VLDL)及び/又は低密度LDLを低減することである。
用語「メタボリックシンドローム」は、シンドロームXとしても知られ、成人高血中コレステロールの検出、評価及び治療に関する全米コレステロール教育プログラム専門委員会の第3報告(The Third Report of the National Choresterol Education Program Expert Panel on Detection,Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults)(ATP−III)において定義されている。フォード(E.S.Ford)ら、「JAMA」、2002年1月16日、第287巻、p.356−359.簡潔に述べれば、以下の症候: 腹部肥満、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高血圧及び高い空腹時血漿グルコースのうちの3つ以上を有する場合、その人はメタボリックシンドロームを有するものと定義される。これらのための基準は、ATP−IIIに定義されている。
用語「肥満」は、本明細書で用いるとき、体脂肪の過剰が存在する症状であり、内臓肥満を包含する。肥満の操作的定義は、m単位での身長の2乗当たりの体重(kg/m2)として計算される肥満指数(BMI)に基づいている。「肥満」は、他の点では健康な患者が30kg/m2以上の肥満指数(BMI)を有する状態、又は少なくとも1つの併存疾患を有する患者が27kg/m2以上のBMIを有する状態を指す。「肥満患者」は、肥満指数(BMI)が30kg/m2以上であり、他の点では健康な患者、又はBMIが27kg/m2以上であり、少なくとも1つの併存疾患を有する患者である。「肥満のリスクがある患者」は、BMIが25kg/m2から30kg/m2未満までであり、他の点では健康な患者、又はBMIが25kg/m2から27kg/m2未満までであり、少なくとも1つの併存疾患を有する患者である。
肥満に付随するリスク増大は、アジア人では、ヨーロッパ人及びアメリカ人よりも低い肥満指数(BMI)で発生する。アジア諸国では、日本を含め、「肥満」は、体重の減少を要するか又は体重の減少により改善される、少なくとも1つの肥満誘発性又は肥満関連性の併存疾患を有する患者が、25kg/m2以上のBMIを有する状態を指す。アジア−太平洋では、「肥満のリスクがある患者」は、23kg/m2より大きく25kg/m2未満のBMIを有する患者である。
本明細書で用いるとき、用語「肥満」は、上記の肥満の定義の全てを包含することを意味する。
肥満誘発性又は肥満関連性の併存疾患は、これに限定されないが、糖尿病、グルコース耐性異常、インスリン抵抗性症候群、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、痛風、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、ピックウィック症候群、脂肪肝、脳梗塞、脳血栓、一過性脳虚血発作、整形外科的障害、変形性関節炎、腰痛、月経異常及び不妊症を包含する。特に、併存疾患は:高血圧、高脂血症、脂質異常症、グルコース不耐性、心臓血管疾患、睡眠時無呼吸症、糖尿病及び他の肥満関連症状を包含する。
肥満及び肥満関連疾患の治療は、本明細書に記載の化合物又は組合せを投与して、肥満患者の体重を低減又は維持することを指す。治療の1つの成果は、肥満患者の体重を、本明細書に記載の化合物又は組合せを投与する直前の該患者の体重に比較して低減することであってもよい。治療の別の成果は、内臓体脂肪を含む体脂肪を低減することであってもよい。治療の別の成果は、体重増加を防止することであってもよい。治療の別の成果は、食餌療法、運動又は薬物療法の結果として以前に減少した体重の、体重再増加を防止することであってもよい。治療の別の成果は、肥満関連疾患の発生及び/又は重症度を低減することであってもよい。治療は、適宜に結果として、総摂食量の低減を含む患者による食物又はカロリー摂取量の低減、又は炭水化物若しくは脂肪などの食物の特定の成分の摂取量の低減;及び/又は栄養吸収の阻害;及び/又は代謝率の低減の阻害をもたらし得る。治療はまた、代謝率の低減の阻害よりもむしろ、又はそれに加えて、代謝率の増大などの代謝率の変更;及び/又は、通常は体重減少の結果として生じる代謝抵抗性の最小化をもたらし得る。
肥満及び肥満関連疾患の予防は、本明細書に記載の化合物又は組合せを投与して、肥満のリスクのある患者の体重を低減又は維持することを指す。予防の1つの成果は、肥満のリスクのある患者の体重を、本明細書に記載の化合物又は組合せを投与する直前の該患者の体重に比較して低減することであってよい。予防の別の成果は、食餌療法、運動、又は薬物療法の結果として以前に減少した体重の、体重再増加を防止することであってもよい。予防の別の成果は、肥満のリスクのある患者に肥満の発現前に処置が施された場合、肥満の発生を防止することであってもよい。予防の別の成果は、肥満のリスクのある患者に肥満の発現前に処置が施された場合、肥満関連疾患の発生及び/又は重症度を低減することであってもよい。さらに、既に肥満である患者において処置が開始される場合、かかる処置は、これに限定されないが、アテローム性動脈硬化症、2型糖尿病、多嚢胞性卵巣疾患、心臓血管疾患、骨関節炎、皮膚疾患、高血圧、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び胆石症などの肥満関連疾患の発生、進行又は重症度を防止し得る。
用語「患者」は、これに限定されないが、ヒト、ネコ及びイヌを含む哺乳類である。
ある実施態様においては、本明細書に記載された医薬製剤は、肥満及び肥満に付随する症状の治療、管理又は予防に有用である。肥満は、遺伝性であろうと環境性であろうと、任意の原因によるものであってよい。肥満に付随する他の症状は、妊娠糖尿病及び前糖尿病症状、例えば、上昇した血漿インスリン濃度、グルコース耐性異常、空腹時グルコース障害及びインスリン抵抗性症候群を包含する。前糖尿病は、110mg/dl以上かつ126mg/dl未満の空腹時血漿グルコース(FPG)レベル異常;又はグルコース耐性異常;又はインスリン抵抗性によって特徴づけられる。前糖尿病患者は、空腹時グルコース障害(110mg/dl以上かつ126mg/dl未満の空腹時血漿グルコース(FPG)レベル);又はグルコース耐性異常(>140mg/dlかつ<200mg/dlの、2時間血漿グルコースレベル);又はインスリン抵抗性をもつ患者であり、結果として糖尿病発症のリスクが増大する。
また本明細書に記載されるのは、本明細書に記載された化合物及び医薬組成物を患者に投与することによる、患者のGLP−1分泌を増強する方法である。インクレチンホルモンGLP−1は、糖尿病及び肥満の治療のためのいくつかの薬効を有すると考えられている。GLP−1は、グルコース依存性のインスリン生合成及び分泌を刺激し、グルカゴン分泌を抑制し、胃内容排出を遅らせる。グルカゴンは、肝臓での糖新生の阻害におけるインスリンの効果を弱める主要な調節ホルモンとしての役割を果たし、通常は血糖値の低下に応答して膵島のアルファ細胞により分泌される。該ホルモンは、肝臓細胞の特異的受容体に結合し、そのことがグリコーゲン分解を開始させ、cAMPに仲介される事象による糖新生を増大する。これらの応答がグルコースを生成し(例えば、肝臓グルコース産生)、血糖値が有意に低下するのを防止することにより正常血糖の維持を助ける。循環中のインスリンレベルの上昇に加えて、2型糖尿病は、血漿グルカゴンレベルの上昇及び肝臓のグルコース産生速度の増加を有する。GLP−1分泌を増強し得る化合物は、肝臓におけるインスリン応答性の改善において有用であり、糖新生及びグリコーゲン分解の速度を低減し、肝臓のグルコース排出速度を低減し、結果として血漿グルコースのレベルを低下させる。
投与及び用量範囲
任意の適切な投与経路を用いて、本明細書に記載の化合物の有効量を、患者、特にヒトへ与えてよい。例えば、経口、経直腸、局所、非経口、経眼、経肺、経鼻などを用いてもよい。剤形は、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁剤、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどを包含する。好ましくは、本明細書に記載の化合物は、経口投与される。
使用される活性成分の有効薬量は、用いる特定の化合物、投与の様式、治療される症状及び治療される症状の重症度に依存して変更し得る。かかる薬用量は、当業者により容易に確認し得る。
糖尿病及び/又は高血糖症又は高トリグリセリド血症、又は本明細書に記載の化合物が指示される他の疾患を治療又は管理する場合、一般的に満足の行く結果は、本明細書に記載の化合物を、動物の体重キログラム当たり、約0.1ミリグラムないし約100ミリグラムの一日用量で、好ましくは、単回の日用量として又は1日2ないし6回の分割用量で、或いは徐放性の形態で投与される場合に得られる。ほとんどの大型の患者では、合計一日用量は、約1.0ミリグラムないし約1000ミリグラムである。70kgの成人の場合、合計一日用量は、一般に約1ミリグラムないし約500ミリグラムであろう。特に強力な化合物では、成人への投薬量は、0.1mgほどの低さでもよい。ある場合には、日用量は1グラムほどの高さでもよい。投薬レジメは、この範囲内で調整されるか、又は最適な治療応答を得るためには、この範囲外であってもよい。
経口投与は、通常錠剤又はカプセルを用いて行なう。錠剤又はカプセル中の薬量の例は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、100mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg及び750mgである。他の経口製剤もまた、同じか又は同様の薬用量でよい。
医薬組成物
本発明の別の態様は、式Iの化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、式Iの化合物又は薬学的に許容される塩を活性成分として、並びに、薬学的に許容される担体及び未置換の又は他の治療成分を含んでなる。用語「薬学的に許容される塩」は、無機塩基又は酸及び有機塩基又は酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を指す。プロドラッグが投与される場合、医薬組成物はまた、プロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩を含んでもよい。
組成物は、経口、経直腸、局所、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、経眼(眼内)、経肺(経鼻又はバッカル吸入)、又は経鼻投与に適した組成物を包含するが、いかなる所与の場合においても最適な経路は、治療される症状の性質及び重症度、及び活性成分の性質に依存するであろう。それらは、単位剤形の形態で便利に提供してもよく、調剤の分野で周知の任意の方法によって調製してもよい。
実際の使用では、式Iの化合物を、通常の製薬調剤技術に従い、均質混合物中の活性成分として、薬学的に許容される担体と組合せ得る。担体は、例えば、経口又は非経口(静脈内を含む)投与のために所望される製剤形態に依存して、広く多様な形態をとってよい。経口剤形としての組成物の調製においては、任意の通常の薬学的媒体を用いてよく、例えば、懸濁液、エリキシル及び溶液といった経口用液体製剤の場合では、例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存剤、着色剤などを;又は、例えば、粉末、硬及び軟カプセル及び錠剤といった経口用固形製剤の場合では、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの担体を用いてもよく、液体製剤よりも固形経口製剤が好ましい。
投与しやすさという理由から、錠剤及びカプセルが最も有利な経口用の単位剤形であり、この場合、明らかに固体の薬学的担体が使用される。所望であれば、錠剤を標準的な水性又は非水性の技術によってコートしてもよい。かかる組成物及び製剤は、少なくとも0.1パーセントの活性化合物を含有するべきである。これらの組成物中の活性化合物のパーセントは、当然のことながら変化してもよく、単位重量の約2パーセントないし約60パーセントが便利であろう。かかる治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効な薬量が得られるようにする量である。活性化合物はまた、例えば、点鼻液又はスプレーとして鼻腔内に投与し得る。
錠剤、ピル、カプセルなどはまた、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチンなどの結合剤;リン酸水素カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;及びスクロース、ラクトース又はサッカリンなどの甘味剤を含有してもよい。単位剤形がカプセルである場合には、上記のタイプの物質に加えて、脂肪油などの液体担体を含有してもよい。
ある例では、投与される化合物又は塩の溶解性に依存して、化合物又は塩を、1つ以上の中鎖脂肪酸のトリグリセリドなどの油、トリアセチンなどの親油性溶媒、親水性溶媒(例えば、プロピレングリコール)、又はこれらの2つ以上の混合物中の溶液として、並びに、置換しないか又は1つ以上のイオン性若しくは非イオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリエトキシル化トリグリセリド、及び1つ以上の中鎖脂肪酸のモノ及び/又はジグリセリドを含む溶液として処方することも有利であろう。界面活性剤(特に2つ以上の界面活性剤)を含有する溶液は、水と接触してエマルジョン又はマイクロエマルジョンを生成する。化合物はまた、水溶性ポリマー中に製剤されてもよく、ここで化合物は、ホットメルトエクストルージョン及び噴霧乾燥といった方法により、アモルファス相として分散され、かかるポリマーは、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースアセタート(HPMCAS)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMCS)及びポリビニルピロリジノンを、ホモポリマー及びコポリマーを含めて包含する。
様々な他の物質が、コーティングとして又は単位剤形の物理的形態を修飾するため存在し得る。例えば、錠剤を、セラック、糖又はその双方でコートしてもよい。シロップ又はエリキシルは、活性成分に加えて、甘味剤としてスクロースを、保存剤としてメチル及びプロピルパラベンを、色素及び着香剤、例えばチェリー又はオレンジフレーバーを含有してもよい。
式Iの化合物はまた非経口的に投与してもよい。これらの活性化合物の溶液又は懸濁液は、水中で、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリソルベート80及び中鎖及び長鎖脂肪酸のモノ及びジグリセリドなどの界面活性剤又は界面活性剤の混合物と適宜混合して調製し得る。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの油中混合物中に調製してもよい。通常の貯蔵及び使用条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防止するため、保存剤を含有する。
注射用の用途に適した薬剤形態は、無菌の注射用溶液又は分散剤を即時調製するための無菌の水溶液又は分散剤と無菌の粉末とを包含する。あらゆる場合に、形状は無菌でなければならず、注射容易性(easy syringability)が存在する程度に流体でなければならない。それは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対抗して保存されねばならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であってよい。
併用療法
式Iの化合物を、式Iの化合物が有用である疾患又は症状の治療又は改善にも有用であり得る他の薬剤と組合せて使用してもよい。かかる他の薬剤は、それらについて一般に使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時又は逐次に投与し得る。2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、メタボリックシンドローム及びこれらの疾患に伴う併存疾患をもつ患者の治療では、一般に1つ以上の薬剤が投与される。本発明の化合物は、一般に、これらの症状のために既に1つ以上の他の薬剤を取り入れている患者に投与し得る。化合物はしばしば、既に1つ以上の抗糖尿病化合物、例えばメトホルミン、スルホニル尿素類及び/又はPPARアゴニスト類で治療されている患者に、患者の血糖レベルが治療に対し適切に応答しない場合に投与される。
式Iの化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、かかる他の薬剤と式Iの化合物とを含有する単位剤形の形態の医薬組成物が好ましい。しかしながら、併用療法はまた、式Iの化合物と1つ以上の他の薬剤とが重複する別々のスケジュールで投与される療法も包含する。また、1つ以上の他の活性成分と組合せて使用する場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれが単独で使用される場合よりも低い用量で使用し得ることが予想される。したがって、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含有するものを包含する。
式Iの化合物と組合せて投与してもよく、また別々か又は同じ医薬組成物中のいずれかで投与される他の活性成分の例は、これに限定されないが:
(a)グリタゾン及び非グリタゾン双方を含むPPARガンマアゴニスト類及び部分アゴニスト類(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾン、T−131、LY−300512、LY−818及びWO02/08188、WO2004/020408及びWO2004/020409に開示された化合物、
(b)ビグアニド類、例えばメトホルミン及びフェンホルミン;
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(d)ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害剤、例えば、シタグリプチン、サキサグリプチン、ビルダグリプチン及びアログリプチン;
(e)インスリン又はインスリン疑似物質;
(f)スルホニル尿素類、例えば、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド及び関連物質;
(g)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース);
(h)患者の脂質プロフィールを改善する薬剤、例えば(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及び他のスタチン類)(ii)胆汁酸封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール、架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体);(iii)ナイアシン受容体アゴニスト類、ニコチニルアルコール、ニコチン酸、又はその塩、(iv)PPARαアゴニスト類、例えばフェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベンザフィブラート)、(v)コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブ、(vi)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、例えばアバシミブ、(vii)CETP阻害剤、例えばトルセトラピブ及び(viii)フェノール系酸化防止剤、例えばプロブコール;
(i)二重PPARα/γアゴニスト類、例えば、ムラグリタザール、テサグリタザール、ファルグリタザール及びJT−501;
(j)PPARδアゴニスト類、例えば、WO97/28149に開示されたもの;
(k)抗肥満化合物、例えば、フェンフルラミン、デキシフェンフルラミン、フェニラミン(phentiramine)、スビトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY Y5阻害剤、MC4Rアゴニスト、カンナビノイド受容体1(CB−1)アンタゴニスト/インバースアゴニスト(例えば、リモナバント及びタラナバント)及びβ3アドレナリン受容体アゴニスト;
(l)回腸胆汁酸輸送阻害剤;
(m)炎症性症状における使用を意図した薬剤、例えば、アスピリン、非ステロイド抗炎症剤、グルココルチコイド、アズルフィジン及びシクロオキシゲナーゼ(COX−2)選択的阻害剤;
(n)グルカゴン受容体アンタゴニスト類;
(o)GLP−1;
(p)GIP−1;
(q)GLP−1類似体及び誘導体、例えばエキセンジン(例えば、エキセナチド及びリラグリチド(liruglatide));
(r)11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1(HSD−1)阻害剤、
(s)コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)の阻害剤、例えばトルセトラピブ;
(t)SSTR3アンタゴニスト類;
(u)他のSSTR5アンタゴニスト類;
(v)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1及び/又は−2阻害剤;
(w)AMPK活性化剤;
(x)GPR−119のアゴニスト類;
(y)グルコキナーゼアゴニスト類、及び
(z)FGF−21アゴニスト類、
を包含する。
上記の組合せは、本発明の化合物と他の1つの活性化合物のみならず、2つ以上の他の活性化合物との組合せも包含する。限定されない例は、式Iを有する化合物と、ビグアニド類、スルホニル尿素類、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、他のPPARアゴニスト類、PTP−1B阻害剤、DPP−4阻害剤及びカンナビノイド受容体1(CB1)インバースアゴニスト類/アンタゴニスト類から選択される2つ以上の活性化合物との組合せを包含する。
本明細書に記載の化合物と組合せ得る抗肥満化合物は、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY1又はY5アンタゴニスト類、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト類又はインバースアゴニスト類、メラノコルチン受容体アゴニスト類、特に、メラノコルチン−4受容体アゴニスト類、グレリンアンタゴニスト類、ボンベシン受容体アゴニスト類及びメラニン−濃縮ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト類を包含する。本明細書に記載の化合物と組合せ得る抗肥満化合物の総説については、チャキ(S.Chaki)ら、「Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity(摂食抑制剤の最近の進歩:肥満治療のための可能な治療戦略),Expert Opin.Ther.Patents」、2001年、第11巻、p.1677−1692;スパンズウィック(D.Spanswick)及びリー(K.Lee)、「Emerging antiobesity drugs(新生抗肥満薬),Expert Opin.Emerging Drugs」、2003年、第8巻、p.217−237及びフェルナンデス−ロペス(J.A.Fernandez−Lopez)ら、「Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity(肥満治療の薬学的アプローチ),Drugs」、2002年、第62巻、p.915−944を参照のこと。
本明細書に記載の化合物と組合せ得る神経ペプチドY5アンタゴニスト類は、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及びWO01/14376(2001年3月1日)に開示されたもの;及びGW 59884A;GW 569180A;LY366377;及びCGP−71683Aとして特定された具体的な化合物を包含する。
本明細書に記載の化合物と組合せ得るカンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト類は、PCT公開WO03/007887;米国特許第5,624,941号、例えばリモナバント;PCT公開WO02/076949、例えばSLV−319;米国特許第6,028,084号;PCT公開WO98/41519;PCT公開WO00/10968;PCT公開WO99/02499;米国特許第5,532,237号;米国特許第5,292,736号;PCT公開WO03/086288;PCT公開WO03/087037;PCT公開WO04/048317;PCT公開WO03/007887;PCT公開WO03/063781;PCT公開WO03/075660;PCT公開WO03/077847;PCT公開WO03/082190;PCT公開WO03/082191;PCT公開WO03/087037;PCT公開WO03/086288;PCT公開WO04/012671;PCT公開WO04/029204;PCT公開WO04/040040;PCT公開WO01/64632;PCT公開WO01/64633;PCT公開WO01/64634に開示されたものを包含する。
適切なメラノコルチン−4受容体(MC4R)アゴニスト類は、これに限定されないが、US6,294,534、US6,350,760、6,376,509、6,410,548、6,458,790、US6,472,398、US5837521、US6699873(これらはその記載全体が本明細書に採用される);米国特許出願公開番号US2002/0004512、US2002/0019523、US2002/0137664、US2003/0236262、US2003/0225060、US2003/0092732、US2003/109556、US2002/0177151、US2002/187932、US2003/0113263(これらはその記載全体が本明細書に採用される);及びWO99/64002、WO00/74679、WO02/15909、WO01/70708、WO01/70337、WO01/91752、WO02/068387、WO02/068388、WO02/067869、WO03/007949、WO2004/024720、WO2004/089307、WO2004/078716、WO2004/078717、WO2004/037797、WO01/58891、WO02/070511、WO02/079146、WO03/009847、WO03/057671、WO03/068738、WO03/092690、WO02/059095、WO02/059107、WO02/059108、WO02/059117、WO02/085925、WO03/004480、WO03/009850、WO03/013571、WO03/031410、WO03/053927、WO03/061660、WO03/066597、WO03/094918、WO03/099818、WO04/037797、WO04/048345、WO02/018327、WO02/080896、WO02/081443、WO03/066587、WO03/066597、WO03/099818、WO02/062766、WO03/000663、WO03/000666、WO03/003977、WO03/040107、WO03/040117、WO03/040118、WO03/013509、WO03/057671、WO02/079753、WO02/092566、WO03/093234、WO03/095474及びWO03/104761に記載されたものを包含する。
本発明の構造式Iの化合物は、以下のスキーム、中間体及び実施例の方法に従い、適切な材料を用いて調製可能であり、以下の具体的な実施例によってさらに例示される。加えて、本明細書に含まれる開示において記載された方法を利用することにより、当業者は、本明細書にクレームされた本発明のさらなる化合物を容易に調製し得る。実施例において例示された化合物は、しかしながら、発明とみなされる唯一の種をなすものとして解釈されるべきではない。実施例はさらに、本発明の化合物の調製について詳細に例証する。当業者は、以下の調製法の条件及びプロセスの既知のバリエーションを使用して、これらの化合物を調製し得ることを容易に理解するであろう。本化合物は一般に、例えばすでに本明細書に記載されたものなどの、薬学的に許容されるその塩の形態で単離される。アミン及びカルボン酸の官能性のために保護基を使用して、所望の反応を促進し、かつ不要の反応を最小化することが充分に記録されている。保護基を除去するのに必要な条件は、グリーン(Greene,T)及びウーツ(Wuts,P.G.M.)著、「Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)」、John Wiley & Sons,Inc.、New York、NY、1991年、などの標準的な教科書に見出される。CBZ及びBocは、有機合成において一般に使用される保護基であり、その除去条件は当業者に知られている。
湿気及び空気に敏感な反応は、窒素又はアルゴン下、無水溶媒又は試薬を使用して実施した。反応の進行は、分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)又は液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)のいずれかによって測定した。溶液の濃縮は、減圧下でロータリーエバポレーターで行なった。1H NMRスペクトルは、他に示さない限り、CDCl3溶液中で、500 MHz バリアン・ユニティ(Varian Unity)イノバ(INOVA)NMR分光計で得られた。化学シフトは、パーツ・パー・ミリオン(ppm)で記録した。テトラメチルシラン(TMS)をCD3Cl溶液中の内部標準として使用し、残留するCH3OHピーク又はTMSをCD3OD溶液中の内部標準として使用した。結合定数(J)は、ヘルツ(Hz)で記録した。他に示さない限り、温度は全て摂氏度である。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレーイオン質量分光計により測定した。
以下のスキーム及び実施例において使用される略語:
aq:水性;API−ES:大気圧イオン化−エレクトロスプレー(質量スペクトル用語);Ac:アセタート;AcCN:アセトニトリル;Bop試薬:(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート;Boc:tert−ブトキシカルボニル;B(OTMS)3:トリス(トリメチルシリル)ボラート;CeliteTM:珪藻土;CDI:カルボニルジイミダゾール;d:日;dは、ダブレット(NMR);DCM:ジクロロメタン;デス−マーチン試薬:1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードオキソール−3(1H)−オン;DIBAL:水素化ジイソブチルアルミニウム;DIEA及びDIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基);DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;DTBPFは、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−フェロセン;eq:当量;Etは、エチル;OEtは、エトキシ;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;g:グラム;h又はhr:時間;HPLC:高圧液体クロマトグラフィー;HPLC/MS:高圧液体クロマトグラフィー/質量スペクトル;in vacuo:減圧下でのロータリーエバポレーション;iPrOH又はIPA:イソプロピルアルコール;IPAC又はIPAc:酢酸イソプロピル;[Ir(COD)Cl]2:クロロ−1,5−シクロオクタジエンイリジウム(I)二量体;L:リットル;LC:液体クロマトグラフィー;LC−MS:液体クロマトグラフィー−質量スペクトル;mは、マルチプレット(NMR);M:モル濃度;Me:メチル;MeCN:シアン化メチル;MeI:ヨウ化メチル;MeOH:メタノール;Ms:メタンスルホニル;MsCl:塩化メタンスルホニル;MHz:メガヘルツ;mg:ミリグラム;min:分;ml又はmL:ミリリットル;mmol:ミリモル;MPLC:中圧液体クロマトグラフィー;MS又はms:質量スペクトル;N:規定:nM:ナノモル;NMR:核磁気共鳴;NMM:N−メチルモルホリン;Pd2(dba)3:トリスジベンジリデンアセトン((dibenzyldeneacetone))ジパラジウム(0);qは、クアドラプレット(NMR);Rt:保持時間;rt又はRT:室温;sは、シングレット(NMR);satd:飽和した;SRIFは、ソマトトロピン放出抑制因子又はソマトスタチン;tは、トリプレット(NMR);TBAFは、フッ化テトラブチルアンモニウム;TBS:tert−ブチルジメチルシリル;TBSClは、塩化tert−ブチルジメチルシリル;TEA:トリエチルアミン;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフラン;TLC又はtlc:薄層クロマトグラフィー;Tfは、トリフルオロメタンスルホナート;及びTsは、トルエンスルホニルである。
本発明の化合物は、以下に提供した一般的なスキーム並びに実施例に提供した方法に従って調製し得る。以下のスキーム及び実施例をさらに記載するが、範囲を限定するものではない。
スキーム1は、塩化物4の合成を例示する。市販の4−ブロモ−3,5−ジヒドロキシ安息香酸を、過剰のヨードエタン及びK2CO3で処理して、臭化物1を得る。臭化物1は、適切なアリール及びヘテロアリールボロン酸を用いた鈴木カップリング反応を受け、エチルエステル2を与える。
スキーム1
Arは、未置換であるか又はR
6、R
7、R
8、R
9及びR
10から選択される1ないし5個の置換基で置換されたアリール又はヘテロアリールである。
エチルエステル2を、LAHで還元して対応するアルコール3を得る。アルコール3を、MsCl及びTEAで処理して、対応するメシラートを得る。しかしながら、メシラート中間体は単離されなかった。反応条件下で、メシル基を塩化物で置き換えて、より安定な塩化物4を得た。
中間体1
4−(クロロメチル)−2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル
工程A:エチル4−ブロモ−3,5−ジエトキシベンゾアートの合成
ヨードエタン(17.3mL、215mmol)を、4−ブロモ−3,5−ジヒドロキシ安息香酸(10g、42.9mmol)及び炭酸カリウム(26.7g、193mmol)の攪拌された混合物に添加した。混合物を室温で18時間攪拌し、次にEtOAcと水との間で分配した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、水(2x)、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮して、標題化合物を得た。
H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):1.4(t,3H),1.5(t,6H),4.2(q,4H),4.4(q,2H),7.2(s,2H)。
工程B:エチル2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−カルボキシラートの合成
ジオキサン(120mL)を、トリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(0.73g、2.5mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(11.8g、84mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.77g、0.84mmol)、CsF(23.7g、156mmol)及びエチル4−ブロモ−3,5−ジエトキシベンゾアート(工程A、13.4g、42mmol)の脱気された混合物に添加した。混合物を、窒素下、90℃で20時間攪拌し、次にEtOAcと水との間で分配した。水層を濾過し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、水、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラム上で、EtOAc/ヘキサンで溶出することによりクロマトグラフ処理した。生成物分画を合わせ、濃縮して、標題化合物を得た。
LC−MS,M+1=333.1;H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):1.3(t,6H),1.45(t,3H),4.1(q,4H),4.4(q,2H),7.1(m,2H),7.2(s,2H),7.4(m,2H)。
工程C:(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メタノールの合成
水素化リチウムアルミニウム(34ml、34mmol)のTHF中の溶液を、エチル2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−カルボキシラート(工程B、14g、42mmol)のTHF(120mL)中の攪拌された溶液に、室温で30分間かけて滴下添加した。室温で2時間後、反応混合物を一晩冷蔵し、次いで水(4mL)、NaOH水溶液(0.5M、4mL)及び水(4mL)を連続的に添加することによりクエンチした。混合物を、セライト(CeliteTM)を通して濾過し、EtOAcで完全に洗浄し、濃縮して、標題化合物を白色固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):1.3(t,6H),1.8(t,1H),4.0(q,4H),4.7(d,2H),6.7(s,2H),7.1(m,2H),7.4(m,2H)。
工程D.4−(クロロメチル)−2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニルの合成
塩化メタンスルホニル(1.6mL、20.7mmol)を、(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メタノール(工程C、5g、17.2mmol)及びトリエチルアミン(3.6mL、25.8mmol)の攪拌された溶液に滴下添加した。混合物を室温で18時間攪拌し、次にEtOAcと水との間で分配した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を、水、食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラム上で、EtOAc/ヘキサンで溶出することによりクロマトグラフ処理した。生成物分画を合わせ、濃縮して、標題化合物を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):1.3(t,6H),4.0(q,4H),4.6(s,2H),6.7(s,2H),7.1(m,2H),7.4(m,2H).LC−MS,m+1=309.1。
スキーム2は、アルデヒド12の合成を例示する。市販の4−ブロモ−3,5−ジヒドロキシ安息香酸は、酢酸ビニルを用いた、[Ir(COD)Cl]2により触媒されるビニル交換反応(オキモト(Okimoto)ら、「Journal of the American Chemical Society」、2002年、第124巻、p.1590−1591)を受け、ビニルエーテル6を得た。ビニルエーテル6を、標準的なシクロプロパン化の条件下で(シー(Shi)ら、「Tetrahedron Letters」、1998年、第39巻、p.8621−8624)、対応するシクロプロピルエーテル化合物7に変換した。化合物7のエステル基を還元して、アルコール8を得て、得られたアルコールをTBSClで処理することでTBSエーテルとして保護し、TBSエーテル9を得た。
スキーム2
Arは、未置換であるか又はR
6、R
7、R
8、R
9及びR
10から選択される1ないし5個の置換基で置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Xは、Cl、Br、I、MsO、TsO又はTfOなどの脱離基である。
鈴木カップリング反応の基質範囲を広げるため(その基質のためのアリールボロン酸が市販されていないか又は安定ではない基質に関して)、TBSエーテル9を、ボロン酸誘導体10に変換した。ボロン酸誘導体10は、適切なハロゲン化アリールを用いた鈴木カップリングを受け、続いてTBS保護基を除去してアルコール11を得た。アルコール11を、デス−マーチンペルヨージナン試薬で処理して対応するアルデヒド12を得た。
中間体2
3,5−ビス(シクロプロピルオキシ)−4−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)ベンズアルデヒド
工程A:メチル4−ブロモ−3,5−ビス(エテニルオキシ)ベンゾアートの合成
窒素フラッシュした丸底フラスコに、メチル−4−ブロモ−3,5−ジヒドロキシ−ベンゾアート(5g、20.2mmol)、酢酸ビニル(7.0g、81mmol)、炭酸ナトリウム(2.6g、24.3mmol)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)二量体(0.136g、0.20mmol)及びトルエン(20ml)を添加した。得られた反応混合物を、窒素雰囲気下、105℃で16時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をエーテル50mLで希釈し、KOH(5%)50mLで洗浄した。有機層を分離し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより、ヘキサンから1:9ヘキサン/酢酸エチルへの勾配で溶出することにより精製し、標題化合物を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.47(s,2H),6.67(dd,J=13.6,6.1Hz,1H),4.92(dd,J=13.7,2.0Hz,1H),4.65(dd,J=6.1,2.1Hz,1H),3.95(s,3H)。
工程B:メチル4−ブロモ−3,5−ビス(シクロプロピルオキシ)ベンゾアートの合成
窒素フラッシュした250mLの丸底フラスコに、塩化メチレン120mL及びジエチル亜鉛(13ml、CH2Cl2中1M溶液)を添加した。次いでTFA(0.97ml、12.5mmol)を、0℃でシリンジにより徐々に添加した。得られた反応混合物を0℃で10分間攪拌し、続いてジヨードメタン(1.09ml、13.5mmol)を添加した。得られた透明な溶液を、0℃でさらに10分間攪拌し、次にメチル4−ブロモ−3,5−ビス(エテニルオキシ)ベンゾアート(0.75g、2.5mmol)の塩化メチレン(10mL)中の溶液を添加した。反応混合物を室温に温め、室温で一晩攪拌した。次いで反応混合物を飽和NH4Cl100mLの添加によりクエンチした。有機層を分離し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより、ヘキサンから1:10ヘキサン/酢酸エチルへの勾配で溶出して精製し、標題化合物を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.60(s,2H),3.96(s,3H),3.90(m,2H),0.88(m,8H)。
工程C:{[4−ブロモ−3,5−ビス(シクロプロピルオキシ)ベンジル]オキシ}(tert−ブチル)ジメチルシランの合成
丸底フラスコに、メチル4−ブロモ−3,5−ビス(シクロプロピルオキシ)ベンゾアート及びエーテル10mLを添加し、続いてDIBALを0℃で添加した。得られた反応混合物を0℃で10分間攪拌し、次にEtOAc20mLを添加し、続いて1N HCl 30mLを添加した。有機層を分離し、食塩水10mLで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗生成物を、EtOAc10mL中に溶解した。次に、イミダゾール(205mg、3.0mmol)及びTBSCl(302mg、2.0mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温で一晩攪拌し、次いでエーテル20mLで希釈し、飽和NH4Cl 2x30mLで洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによりヘキサンから1:9ヘキサン/酢酸エチルへの勾配で溶出して精製し、標題化合物を無色の油として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:6.95(s,2H),4.76(s,2H),3.81(m,2H),0.98(m,9H),0.8(m,8H),0.14(s,6H)。
工程D:2−[4−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−2,6−ビス(シクロプロピルオキシ)フェニル]−3,5−ジフルオロピリジンの合成
窒素フラッシュしたバイアルに、{[4−ブロモ−3,5−ビス(シクロプロピルオキシ)ベンジル]オキシ}(tert−ブチル)ジメチルシラン(170mg、0.41mmol)及びTHF2mLを添加し、続いてnBuLi(0.18ml、ヘキサン中2.5M)を−78℃で添加した。得られた反応混合物を−78℃で5分間攪拌し、次いでホウ酸トリス(トリメチルシリル)(147mg、0.49mmol)を、シリンジにより添加した。反応混合物を室温に温め、Na2CO3 5mLの添加によりクエンチした。得られた混合物をEtOAc20mLで希釈し、3N HClでpH1に酸性化した。有機層を分離し、食塩水15mLで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗生成物(120mg、0.32mmol)を、マイクロ波チューブに添加し、続いて2−ブロモ−3,5−ジフルオロピリジン(74mg、0.38mmol)、K3PO4(202mg、0.95mmol)、PdOAc2(7.1mg、0.032mmol)、DTBPF(15mg、0.032mmol)及びTHF2mLを添加した。マイクロ波チューブを密閉し、反応混合物を窒素でフラッシュし、80℃で一晩加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAcで希釈した。水性ワークアップの後、粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによりヘキサンから1:9ヘキサン/酢酸エチルへの勾配を溶出液として溶出して精製し、標題化合物を明褐色の粘性物質として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:8.47(m,1H),7.3(m,1H),7.03(s,1H),4.84(s,1H),3.75(m,2H),1.10(s,9H),0.7(m,8H),0.174(s,6H)。
工程E:3,5−ビス(シクロプロピルオキシ)−4−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)ベンズアルデヒドの合成
2−[4−({[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−2,6−ビス(シクロプロピルオキシ)−フェニル]−3,5−ジフルオロピリジン(82mg、0.18mmol)のEtOAc2mL中の溶液に、TBAF(0.55ml、1M THF溶液)を添加した。得られた透明な溶液を、室温で1時間攪拌し、次にEtOAcで希釈した。水性ワークアップの後、得られた粗生成物をprep(分取用)−TLCにより、1:1 EtOAc/ヘキサンで溶出して精製し、所望のアルコール化合物を得た。アルコール化合物を、次にCH2Cl2 3mL中に溶解し、続いてデス−マーチン試薬を添加した。得られた反応混合物を室温で1時間攪拌し、次いでエーテル15mLで希釈し、Na2CO3 2×20mLで洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、標題化合物を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:10.1(s,1H),8.44(d,J=2.4Hz,1H),7.53(s,2H),7.25(m,1H),3.83(m,2H),0.75(m,8H).MS(m/e):332(M+1)。
本出願において記載された一般構造17の化合物を、スキーム3に従って合成した。市販のtert−ブチル3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラートを、適切なアリール又はヘテロアリールハロゲン化物を用いたブッフバルト−ハートウィッグ(Buchwald−Hartwig)C−Nカップリング反応に供するか、或いは塩基促進性のアルキル化又はスルホニル化に供して、化合物13を得た。
スキーム3
Arは、未置換であるか又はR6、R7、R8、R9及びR10から選択される1ないし5個の置換基で置換されたアリール又はヘテロアリールであり、Xは、Cl、Br、I、MsO、TsO又はTfOなどの脱離基である。
化合物13のBoc保護基を、強酸条件下で除去して、アミン14をHCl又はTFA塩として得てもよい。アミン14を、次に適切な試薬を用いたアルキル化に供するか、又は適切なアルデヒド若しくはケトンを用いた還元的アミノ化に供し、当業者に周知の方法を用いて所望の化合物17を得る。別法として、tert−ブチル3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラートを、まず強酸で処理して、アミン15をHCl又はTFA塩として得て、これは適切なハロゲン化物を用いたアルキル化を受けるか、又は適切なアルデヒド若しくはケトンを用いた還元的アミノ化に供され、化合物16を得る。化合物16は、適切なアリール又はヘテロアリールハロゲン化物を用いたブッフバルト−ハートウィッグ(Buchwald−Hartwig)C−Nカップリング反応に供するか、或いは塩基促進性の直接的なアルキル化を受けて、所望の化合物17を得る。
中間体3
メチル4−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル)ベンゾアートヒドロクロリド
工程A:tert−ブチル−2−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラートの合成
丸底フラスコに、tert−ブチル3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(3g、11.8mmol、Pharmaron);メチル4−ブロモベンゾアート(3.8g、17.7mmol);K3PO4(7.5g、35.4mmol);Pd2(dba)3(0.108g、0.118mmol);9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−キサントフォス(0.137g、0.236mmol);及びジオキサン15mLを添加した。反応混合物を窒素で徹底的に脱気し、100℃で一晩加熱した。室温に冷却後、反応混合物を、EtOAc75mL/エーテル75mLの混合物で希釈し、水120mLで洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィーにより1:3から2:1までの酢酸エチル/ヘキサンの勾配で溶出して精製し、標題化合物を明黄色の固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:8.06(d,J=7Hz,2H),7.73(d,J=8.9Hz,2H),3.93(s,3H),3.71(s,2H),3.64(b,2H),3.35(m,2H),2.59(s,2H),1.71(m,4H),1.49(s,9H).質量スペクトル(m/e):389(M+1)。
工程B:メチル4−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル)ベンゾアートヒドロクロリドの合成
tert−ブチル−2−[4−(メトキシカルボニル)フェニル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(2.4g、6.2mmol)のEtOAc10mL中の溶液に、塩酸(ジオキサン中)(9.3ml、4M)を添加した。得られた反応混合物を、室温で一晩攪拌し、ヘキサン100mLで希釈し、濾過し、空気乾燥して、標題化合物を明黄色の固体として得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:8.04(d,J=7Hz,2H),7.79(d,J=8.9Hz,2H),3.90(s,3H),3.89(s,2H),3.3(m,4H),3.35(m,2H),2.69(s,2H),1.9(m,4H).質量スペクトル(m/e):289(M+1)。
中間体4
4’−フルオロ−2,6−ジヒドロキシビフェニル−4−カルバルデヒド
工程A:ベンジル3,5−ビス(ベンジルオキシ)−4−ブロモベンゾアートの合成
丸底フラスコに、4−ブロモ−3,5−ジヒドロキシ安息香酸(2g、8.6mmol)、K2CO3(7.12g、51.5mmol)、臭化ベンジル(4.1ml、34.3mmol)及びDMF15mlを添加した。得られた反応混合物を、50℃で一晩攪拌した。室温に冷却後、反応混合物を水100ml及びEtOAc60mlで希釈した。層を分離した。有機物質を食塩水30mlで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、EtOAc及びヘキサンから再結晶化して、所望の生成物を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.3−7.5(m,17H),5.36(s,2H)5.23(s,4H)。
工程B:ベンジル2,6−ビス(ベンジルオキシ)−4’−フルオロビフェニル−4−カルボキシラートの合成
還流凝縮器を具備した100mlの丸底フラスコに、ベンジル2,6−ビス(ベンジルオキシ)−4’−ブロモビフェニル−4−カルボキシラート(1g、1.99mmol)、4−フルオロ−フェニルボロン酸(0.42g、2.98mmol)、K3PO4(1.27g、5.96mmol)、Pd(dppf)Cl2(0.081g、0.10mmol)及びTHF10mlを添加した。得られた反応混合物をN2でフラッシュし、85℃で一晩加熱した。室温に冷却後、反応混合物を水60ml及びEtOAc60mlで希釈した。層を分離した。有機物質をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラム上、100%ヘキサンから1:4 E/Hへの勾配溶媒で溶出して精製し、0.85gの所望の生成物を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.1−7.5(m,21H),5.41(s,2H)5.10(s,4H)
工程C:2,6−ビス(ベンジルオキシ)−4’−フルオロ−N−メトキシ−N−メチルビフェニル−4−カルボキサミドの合成
100mlの丸底フラスコに、ベンジル2,6−ビス(ベンジルオキシ)−4’−フルオロビフェニル−4−カルボキシラート(1.14g、2.2mmol)、N−メトキシメタンアミンヒドロクロリド(0.28g、2.86mmol)及びTHF10mlを添加した。イソプロピルマグネシウムクロリド(THF中)(2.75ml、2M)を、−10℃で、シリンジにより反応混合物に添加した。得られた反応混合物を、室温に温めた。反応混合物をNH4Cl(飽和)30ml、水30ml及びEtOAc50mlで希釈した。層を分離した。有機物質をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラム上、1:10から1:1へのE/H勾配溶媒で溶出して精製して、所望の生成物を無色の固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.1−7.5(m,16H),5.08(s,4H)3.46(s,3H),3.34(s,3H)。
工程D:4’−フルオロ−2,6−ジヒドロキシ−N−メトキシ−N−メチルビフェニル−4−カルボキサミドの合成
100mlの丸底フラスコに、2,6−ビス(ベンジルオキシ)−4’−フルオロ−N−メトキシ−N−メチルビフェニル−4−カルボキサミド(0.64g、1.36mmol)、Pd/C(0.072g、10%、0.068mmol)及びEtOH5mlを添加した。得られた反応混合物を、バルーンH2雰囲気下、50℃で1時間攪拌した。反応混合物をEtOAc20mlで希釈し、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を濃縮した。粗生成物をEtOAc/ヘキサンから再結晶化して、所望の生成物を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.42(m,2H),7.26(m,2H),6.94(s,2H),3.68(s,3H)3.39(s,3H)。
工程E:4’−フルオロ−2,6−ジヒドロキシ−ビフェニル−4−カルバルデヒドの合成
100mlの丸底フラスコに、4’−フルオロ−2,6−ジヒドロキシ−N−メトキシ−N−メチルビフェニル−4−カルボキサミド(100mg、0.343mmol)及びTHF 5mlを添加した。DIBAL(トルエン中)(1.37ml、1M)を、−78℃で反応混合物に添加した。得られた反応混合物を、室温に温めた。EtOAc(20ml)及び湿潤シリカゲル(シリカゲル10g及び水0.5ml)を添加した。得られた反応混合物を10分間攪拌した。これを濾過した。濾液を濃縮した。残渣を、シリカゲルカラム上で、1:9から1:1へのE/H勾配溶媒で溶出して精製し、所望の生成物を無色の固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:9.86(s,1H),7.43(m,2H),7.22(m,2H),7.09(s,2H),6.41(s,2H)。
中間体5
4−エトキシ−2’,3’,4’−トリフルオロビフェニル−2−カルバルデヒド
工程A:2−ブロモ−5−エトキシベンズアルデヒドの合成
2−ブロモ−5−ヒドロキシベンズアルデヒド(5g、24.87mmol)のDMF(20mL)中の溶液に、K2CO3(6.88g、49.7mmol)を分割添加した。これに、ヨードエタン(5.82g、37.3mmol)を徐々に添加し、得られた反応混合物を50℃で一晩攪拌した。室温に冷却後、反応混合物をエーテル/ヘキサン(1:1)100mL及び水100mLで希釈した。層を分離した。有機層を食塩水100mLで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、所望の生成物を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:10.3(s,1H),7.51(d,J=9.0Hz,1H),7.39(d,J=3.0Hz,1H)7.02(dd,J=3.5Hz,J=8.5Hz,1H),4.06(q,2H),1.42(t,J=6.5Hz,3H)。
工程B:4−エトキシ−2’,3’,4’−トリフルオロビフェニル−2−カルバルデヒドの合成
2−ブロモ−5−エトキシベンズアルデヒド(300mg、1.31mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル(53.8mg、0.131mmol;S−Phosリガンド)、酢酸パラジウム(II)(14.7mg、0.065mmol)の、THF(8ml)中の脱気された溶液に、K3PO4(834mg、3.93mmol)及び2,3,4−トリフルオロフェニルボロン酸(276mg、1.57mmol)を添加した。反応混合物をN2雰囲気、70℃で16時間攪拌した。室温に冷却後、反応混合物を濾過し、濾液を減圧下での蒸発により濃縮した。粗物質を、コンビフラッシュカラム上、5%から10%へのEtOAc(ヘキサン中)で溶出して精製し、4−エトキシ−2’,3’,4’−トリフルオロビフェニル−2−カルバルデヒドを白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:9.88(s,1H),7.53(s,1H),7.30(m,1H),7.24(dd,J=3.0Hz,J=8.5Hz,1H),7.08(m,2H),4.17(q,2H),1.49(t,J=7.0Hz,3H)。
中間体6
1−ブロモ−3−(クロロメチル)−5−エトキシベンゼン
工程A:エチル3−ブロモ−5−エトキシベンゾアートの合成
3−ブロモ−5−ヒドロキシ安息香酸(3g、13.82mmol)のDMF中の溶液に、K2CO3(5.73g、41.5mmol)を分割添加した。これに、ヨードエタン(5.39g、34.6mmol)を徐々に添加し、反応混合物を50℃で一晩攪拌した。これを、エーテル:ヘキサン(1:1)約100mL及び水100mLで希釈した。層を分離し、有機層を食塩水100mLで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、所望の生成物を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.73(s,1H),7.47(s,1H),7.20(bs,1H),4.36(q,2H),4.05(q,2H),1.40(m,6H)。
中間体7
4,4−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−カルバルデヒド
工程A:4−ブロモフェニル3−メチルブタ−3−エン−1−イルエーテルの合成
250mlの丸底フラスコに、4−ブロモフェノール(4.08g、23.6mmol)、3−メチルブタ−3−エン−1−イルジフェニルホスファート(5.0g、15.7mmol、US5006550(1991年4月9日)の方法に従って合成)、Cs2CO3(15.4g、47.1mmol)及びDMF25mlを添加した。得られた反応混合物を、130℃で15分間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水100ml及びEtOAc/ヘキサン(1:2)100mLで希釈した。層を分離した。有機物質を食塩水30mlで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラム上、100%ヘキサンから1:9 E/Hへの勾配溶媒で溶出して精製し、所望の生成物を明黄色の油として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.39(d,J=8.8Hz,2H),6.80(d,J=8.8Hz,2H),4.87(s,1H),4.81(s,1H),4.06(t,J=6.9Hz,2H),2.51(t,J=6.9Hz,2H),1.82(s,3H)。
工程B:4−ブロモフェニル3−メチルブタ−3−エン−1−イルエーテルの合成
100mlの丸底フラスコに、AlCl3及びCH2Cl2 10mlを添加した。4−ブロモフェニル3−メチルブタ−3−エン−1−イルエーテルのCH2Cl2 10ml中の溶液を、0℃で添加した。得られた反応混合物を、0℃で30分間攪拌した。これを、10%KOH100ml及び砕いた氷を含有するエレンマイヤーフラスコに注入した。得られた混合物を、ヘキサン75mlで抽出した。有機物質を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラム上、100%ヘキサンから1:9 E/Hへの勾配溶媒で溶出して精製し、所望の生成物を無色の油として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.37(s,1H),7.18(d,J=8.7Hz,1H),6.70(d,J=8.7Hz,1H),4.21(m,2H),1.85(m,2H),1.36(s,6H)。
工程C:4,4−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−6−カルバルデヒドの合成
N2フラッシュした100mlの丸底フラスコに、4−ブロモフェニル3−メチルブタ−3−エン−1−イルエーテル(1g、4.15mmol)及びTHF10mlを添加した。n−BuLiの溶液(1.76ml、2.6Mヘキサン溶液)を、−78℃でシリンジにより添加した。得られた反応混合物を、−78℃で10分間攪拌した。DMF(0.48ml、6.22mmol)を添加した。反応混合物を室温に温めた。EtOAc(25ml)及び湿潤シリカゲル(シリカゲル10g/水0.5ml)を添加した。得られた混合物を室温で10分間攪拌し、濾過した。得られた固体を、EtOAcですすいだ。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム上、100%ヘキサンから1:4 E/Hへの勾配溶媒で溶出して精製し、所望の生成物を無色の油として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:9.87(s,1H),7.85(s,1H),7.62(d,J=8.4Hz,1H),6.91(d,J=8.5Hz,1H),4.30(t,J=5.5Hz,2H),1.89(t,J=5.5Hz,2H),1.40(s,6H)。
実施例1
8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
工程A:2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オンヒドロクロリドの合成
tert−ブチル3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(1.2g、4.7mmol、Pharmaron)のEtOAc10mL中の溶液に、HCl(23.7ml、2M)(エーテル中)を添加した。得られた反応混合物を室温で48時間攪拌し、次にヘキサン60mLで希釈し、濾過し、空気乾燥して、標題化合物を明褐色の固体として得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:3.2(b,6H),2.22(s,2H),1.89(b,4H)。
工程B:8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オンの合成
丸底フラスコに、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オンヒドロクロリド(0.50g、2.62mmol);4−(クロロメチル)−2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル(0.81g、2.62mmol);Cs2CO3(2.1g、6.6mmol);及びDMF 8mLを添加した。得られた反応混合物を、60℃で一晩攪拌した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAc50mLで希釈し、水60mL及び食塩水20mLで洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより、1:30から1:15へのMeOH中の2M NH3/CH2Cl2の勾配で溶出して精製し、標題化合物を得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:7.28(m,2H),7.05(m,2H),6.69(s,2H),3.97(q,J=7Hz,4H),3.53(s,2H),3.22(s,2H),2.5(b,4H),2.24(s,2H),1.73(m,4H),1.22(t,J=7Hz,6H).質量スペクトル(m/e):427(M+1)。
実施例2
4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}安息香酸
工程A:メチル4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}ベンゾアートトリフルオロメチルアセタートの合成
バイアルに、8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(95mg、0.223mmol、実施例1)、メチル4−ブロモベンゾアート(72mg、0.334mmol);Cs2CO3(145mg、0.445mmol);CuI(12.7mg、0.067mmol);N,N’−ジメチルエタン−1,2−ジアミン(14.7mg、0.167mmol);及びジオキサン 1mLを添加した。反応混合物を窒素で徹底的に脱気し、110℃で一晩加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAc7mLで希釈し、水7mL及びNH3(飽和)1mLで洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗物質を、逆相カラムを用いたHPLCにより、90/10から10/90への水/アセトニトリル(0.1%TFAを含有)の勾配を溶出液として溶出して精製し、標題化合物を無色の固体として得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:8.04(b,2H),7.8(b,2H),7.28(m,2H),7.09(m,2H),6.84(s,2H),4.35(s,2H),4.0(m,4H),3.9(s,3H),3.2−3.6(b,4H),2.2−2.6(b,2H),1.9−2.2(b,4H),1.25(t,J=7Hz,6H).質量スペクトル(m/e):561(M+1)。
工程B:4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}安息香酸トリフルオロメチルアセタートの合成
バイアルに、メチル4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}ベンゾアートトリフルオロメチル酢酸塩(95mg、0.141mmol、工程Aから);LiOH(20.2mg、0.85mmol);2mLMeOH;及び0.2mL水を添加した。得られた反応混合物を50℃で一晩加熱し、次に揮発性物質を除去した。得られた残渣を、TFAで酸性化し、逆相カラムを用いたHPLCにより90/10から10/90までの水/アセトニトリル(0.1%TFAを含有)の勾配を溶出液として溶出して精製し、標題化合物を得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:8.05(d,J=8.8Hz,2H),7.77(d,J=8.8Hz,2H),7.27(m,2H),7.08(m,2H),6.84(s,2H),4.3(s,2H),4.03(q,J=7.0Hz,4H),3.9(b,2H),3.3(b,4H),2.7(b,2H),2.04(b,4H),1.25(t,J=7Hz,6H).質量スペクトル(m/e):547(M+1)。
実施例3
4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}ベンズアミドトリフルオロメチルアセタート
バイアルに、4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}安息香酸トリフルオロメチル酢酸塩(46mg、70mmol、実施例2);BOP試薬(37mg、84mmol);及びTHF1mLを添加した。得られた反応混合物を、室温で15分間攪拌した。アンモニアガスを、反応混合物中に1分間通気した。反応混合物を濃縮し、得られた残渣をTFAで酸性化し、逆相カラムを用いたHPLCにより90/10から10/90への水/アセトニトリル(0.1%TFAを含有)の勾配を溶出液として溶出して精製し、CH3CN/水からの凍結乾燥の後に、標題化合物を白色の綿毛状固体として得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:7.9(m,2H),7.75(m,2H),7.27(m,2H),7.08(m,2H),6.82(m,2H),4.34(s,2H),4.03(m,4H),3.8(s,2H),3.2−3.6(m,4H),2.6−2.8(m,2H),1.9−2.2(m,4H),1.25(m,6H).スペクトルは複雑であり、一対の回転異性体からなる。
MS(m/e):546(M+1)。
実施例4
メチル4−{8−[3,5−ビス(シクロプロピルオキシ)−4−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)ベンジル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}ベンゾアートトリフルオロメチル酢酸塩
バイアルに、メチル4−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル)ベンゾアートトリフルロメチルアセタート(58mg、0.145mmol、中間体2);3,5−ビス(シクロプロピルオキシ)−4−(3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)ベンズアルデヒド(40mg、0.121mmol、中間体3);ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(77mg、0.362mmol);TEA(0.05ml、0.36mmol);AcOH(0.048ml、0.85mmol);及びTHF2mLを添加した。得られた反応混合物を30℃で一晩加熱し、揮発性物質を除去した。得られた残渣をTFAで酸性化し、逆相カラムを用いたHPLCにより90/10から10/90への水/アセトニトリル(0.1%TFAを含有)の勾配を溶出液として溶出して精製し、標題化合物を得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:8.4(s,1H)8.05(m,2H),7.8(m,2H),7.65(m,1H),7.25(m,2H),4.44(s,2H),3.2−4.0(m,8H),2.6−2.8(m,2H),1.9−2.2(m,4H),1.6−1.8(m,8H).
スペクトルは複雑であり、一対の回転異性体からなる。
質量スペクトル(m/e):590(M+1)
実施例5
4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4−ブロモフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}安息香酸トリフルオロメチルアセタート
工程A:メチル4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4−ブロモフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}ベンゾアートの合成
メチル4−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル)ベンゾアートヒドロクロリド(0.85g、2.95mmol、中間体3)のDMF(20mL)中の溶液に、DIPEA(1.52gm、11.79mmol)を、続いて4−ブロモ−3,5−ジエトキシベンジルブロミド(1.21g、4.13mmol)を添加した。反応混合物を60℃に加熱し、次いで2時間攪拌した。反応混合物を、次にEtOAc 50mL及び10%KOH 50mLで希釈し、2分間攪拌した。得られた層を分離し、水層をEtOAc 50mLで抽出した。有機層を合わせ、食塩水50mLで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣を、コンビフラッシュ(CombiFlashTM)カラム上で、1:1 酢酸エチル/ヘキサンで、次に100%酢酸エチルで、そして次に10%MeOH(DCM中)で溶出して精製し、標題化合物を白色固体として得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:8.06(d,J=9.0Hz,2H),7.73(d,J=8.0Hz,2H),6.56(s,2H),4.12(q,4H),3.9(s,3H),3.69(s,2H),3.47(s,2H),2.46(m,6H),1.76(m,4H),1.48(t,6H).質量スペクトル(m/e):545(M+1)。
工程B:4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4−ブロモフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}安息香酸トリフルオロメチルアセタートの合成
メチル4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4−ブロモフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}ベンゾアート(工程A、1.3g、2.38mmol)の、メタノール(10mL)及び水(2mL)中の溶液に、KOH(0.70g、11.9mmol)を添加した。得られた反応混合物を、60℃で2時間加熱し、次に揮発性物質を除去した。得られた残渣に水(10ml)を添加し、1N 塩酸でpHを6.5に調整した。得られた固体を濾過により収集し、空気乾燥して、標題化合物を白色固体として得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:8.04(d,J=9.0Hz,2H),7.76(d,J=8.5Hz,2H),6.81(s,2H),4.26(s,2H),4.17(q,4H),3.89(bs,2H),3.31(m,4H,溶媒ピークと混合),2.69(bs,2H),2.02(bs,4H),1.46(t,6H).質量スペクトル(m/e):531(M+1)。
実施例6
8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−2−[4−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン
工程A:4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−イル}ベンゾニトリルの合成
バイアルに、8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(150mg、0.35mmol、中間体3)、4−ブロモベンゾニトリル(128mg、0.70mmol)、K3PO4(224mg、1.05mmol)、Pd2(dba)3(9.7mg、10.6μmol)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−キサンテン(10.2 10.6μmol)及びジオキサン1.5mLを添加した。反応混合物を窒素で徹底的に脱気し、110℃で一晩加熱した。室温に冷却後、反応混合物をEtOAc10mLで希釈し、水 10mLで洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗物質を、シリカゲルクロマトグラフィーにより1:1 酢酸エチル/ヘキサンで、続いて10%MeOH(DCM中)で溶出して精製し、標題化合物を得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:7.88(d,J=8.9Hz,2H),7.74(d,J=8.8Hz,2H),7.26(m,2H),7.04(m,2H),6.71(s,2H),3.97(q,J=7.0Hz,4H),3.79(s,2H),3.57(s,2H),2.62(b,2H),2.59(s,2H),2.5(b,2H),1.8(b,4H),1.22(t,J=7.0Hz,6H).質量スペクトル(m/e):528(M+1)。
工程B:8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−2−[4−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オンの合成
丸底フラスコに、4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}ベンゾニトリル(工程A、30mg、0.057mmol)、ヒドロキシルアミン(37mg、50%水溶液、0.57mmol)及びEtOH2mLを添加した。反応混合物を80℃で1時間加熱し、次に揮発性物質を除去した。得られた残渣を、ジオキサン0.5mL中に溶解し、次にホスゲン(0.89ml、1Mトルエン溶液)をシリンジにより添加した。反応混合物を80℃で1時間加熱し、続いて揮発性物質を除去した。得られた残渣をTFAで酸性化し、逆相カラムを用いたHPLCにより90/10から10/90への水/アセトニトリル(0.1%TFAを含有)の勾配を溶出液として溶出して精製し、CH3CN/水からの凍結乾燥の後に、標題化合物を白色の綿毛状固体として得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:7.87(d,J=8.9Hz,2H),7.83(d,J=8.8Hz,2H),7.27(m,2H),7.08(m,2H),6.84(s,2H),4.32(s,2H),4.03(q,J=7.0Hz,4H),3.9(b,2H),3.3(b,4H,溶媒ピークとオーバーラップ),2.7(b,2H),2.05(b,4H),1.25(t,J=7.0Hz,6H).質量スペクトル(m/e):587(M+1)。
実施例7
8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−2−[4−(1−H−テトラゾール−5−イル)フェニル]−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オントリフルオロメチルアセタート
丸底フラスコに、4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}ベンゾニトリル(60mg、0.094mmol、実施例6)、TMSN3(58mg、0.28mmol)及びトルエン2mLを添加した。反応混合物を一晩加熱還流し、続いて揮発性物質を除去した。得られた残渣をTFAで酸性化し、逆相カラムを用いたHPLCにより90/10から10/90への水/アセトニトリル(0.1%TFAを含有)勾配を溶出液として溶出して精製し、CH3CN/水からの凍結乾燥の後に標題化合物を白色の綿毛状固体として得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:8.05(b,2H),7.9(b,2H),7.27(m,2H),7.07(m,2H),6.84(s,2H),4.35(s,2H),4.03(q,J=7.0Hz,4H),3.85(b,2H),3.55(b,3H),3.25(b,2H),2.6−2.8(b,2H),1.9−2.2(b,4H),1.25(t,J=7.0Hz,6H).質量スペクトル(m/e):571(M+1)。
実施例8
{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}酢酸トリフルオロメチルアセタート
工程A:tert−ブチル−2−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラートの合成
窒素フラッシュしたバイアルに、tert−ブチル−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(240mg、0.944mmol、Pharmaron)、NaH(113mg、60%、2.83mmol)及びDMF3mLを添加した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。次に、ブロモ酢酸メチル(433mg、2.83mmol)を0℃で添加し、得られた反応混合物を0℃で1時間攪拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた粗生成物を、さらに精製することなく次の工程の反応に使用した。
質量スペクトル(m/e):327(M+1)。
工程B:メチル(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル)アセタートトリフルオロメチル酢酸塩の合成
バイアルに、tert−ブチル−2−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシラート(工程A、300mg、0.919mmol)、TFA(0.35ml、4.6mmol)及びCH2Cl23mLを添加した。反応を室温で30分間攪拌し、続いて揮発性物質を除去した。粗生成物を、さらに精製することなく直接次の工程の反応に使用した。
質量スペクトル(m/e):227(M+1)。
工程C:メチル{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}アセタートトリフルオロメチル酢酸塩の合成
バイアルに、メチル(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル)アセタートトリフルオロメチル酢酸塩(工程B、200mg、前の工程から)、4−(クロロメチル)−2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル(328mg、1.06mmol)、DIEA(0.31ml、1.8mmol)及びDMF2mLを添加した。反応混合物を50℃で一晩加熱した。粗混合物をTFAで酸性化し、逆相カラムを用いたHPLCにより、90/10から10/90への水/アセトニトリル(0.1%TFAを含有)の勾配を溶出液として溶出して精製し、標題化合物を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.29(m,2H),7.09(t,J=7.0Hz,2H),6.83(s,2H),4.32(s,2H),4.11(s,3H),4.05(q,J=7Hz,4H),3.40−3.60(b,2H),3.33−3.40(b,4H),2.20−2.60(b,2H),1.85−2.20(b,4H)1.23(t,J=7.0Hz,6H).質量スペクトル(m/e):499(M+1)。
工程D:{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}酢酸トリフルオロメチル酢酸塩の合成
バイアルに、メチル{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}アセタートトリフルオロメチル酢酸塩(工程C、60mg、0.12mmol);LiOH(11.5mg、0.481mmol);水1mL;及びMeOH1mLを添加した。反応を50℃で1時間加熱し、続いて揮発性物質を除去した。得られた残渣をTFAで酸性化し、逆相カラムを用いたHPLCにより、90/10から10/90への水/アセトニトリル(0.1%TFAを含有)の勾配を溶出液として溶出して精製し、標題化合物を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.29(m,2H),7.09(t,J=7.0Hz,2H),6.83(s,2H),4.32(s,2H),4.05(q,J=7Hz,4H),3.40−3.60(b,2H),3.33−3.40(b,4H),2.20−2.60(b,2H),1.85−2.20(b,4H)1.23(t,J=7.0Hz,6H).質量スペクトル(m/e):485(M+1)。
実施例9
8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−2−(2−ヒドロキシエチル)−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オントリフルオロメチルアセタート
バイアルに、{8−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}酢酸トリフルオロメチル酢酸塩(11mg、0.020mmol、実施例8)、BOP試薬(50mg、0.114mmol)、DIEA(0.02ml、0.114mmol)及びDMF2mLを添加した。得られた反応混合物を室温で15分間攪拌し、次にNaBH4(4.3mg、0.114mmol)を添加した。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次にTFAで酸性化し、逆相カラムを用いたHPLCにより90/10から10/90への水/アセトニトリル(0.1%TFAを含有)の勾配を溶出液として溶出して精製し、標題化合物を得た。
1H−NMR(CDCl3):δ:7.29(m,2H),7.09(m,2H),6.83(s,2H),4.32(s,2H),3.90−4.05(m,6H),3.60−3.75(b,2H),3.15−3.20(b,2H),3.33−3.40(b,4H),2.20−2.60(b,2H),1.85−2.20(b,4H)1.23(t,J=7.0Hz,6H).質量スペクトル(m/e):471(M+1)。
実施例10
4−{8−[4−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,5−ジエトキシベンジル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}安息香酸トリフルオロメチルアセタート
4−{8−[(2,6−ジエトキシ−4−ブロモフェニル−4−イル)メチル]−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−2−イル}安息香酸(実施例5、工程B、25mg、0.047mmol)のエタノール中の攪拌された溶液に、パイレックス(PYREX(登録商標))ビスタ(VISTATM)培養管内で、K3PO4(30mg、0.141mmol)、Pd(OAc)2(1.06mg、4.70μmol)、DTBPF(2.32mg、4.70μmol)を、次に2,4−ジフルオロフェニルボロン酸(14.86mg、0.094mmol)を添加した。反応混合物を窒素で脱気し、密閉し、70℃で2時間加熱した。反応混合物を濾過し、次に逆相HPLCによりアセトニトリル/水の勾配を用いて精製し、標題化合物を白色固体として得た。
1H−NMR(CD3OD):δ:7.9(d,J=9.0Hz,2H),7.5(d,J=10.0Hz,2H),7.1(m,1H),6.7(m,2H),6.5(s,2H),3.8(q,4H,溶媒ピークと混合),3.6(s,2H),3.4(s,2H),2.4(m,6H),1.7(m,4H),1.1(t,6H).質量スペクトル(m/e):565(M+1)。
表1に示した実施例は、適切な出発原料から、実施例1−9に記載の方法に従って調製した。
生物学的アッセイ
SSTR5アンタゴニストは、SSTR5及びSSTR5をコードしている核酸を用いて同定し得る。適切なアッセイは、SSTR5への結合についてSSTR5アゴニストと競合する化合物を検出し、そしてSSTR5の細胞活性又は生理関連活性に対する化合物の機能効果を測定することを包含する。SSTR5の細胞活性は、cAMP阻害、ホスホリパーゼC増大、チロシンホスファターゼ増大、内皮酸化窒素シンターゼ(eNOS)低減、K+チャンネル増大、Na+/H+交換低減及びERK低減を包含する(ラーロウ(Lahlou)ら、「Ann.N.Y.Acad.Sci.」、2004年、第1014巻、p.121−131)。機能上の活性は、SSTR5を発現する細胞系を使用すること、及び1つ以上のSSTR5活性に対する化合物の効果を測定することで測定し得る(例えば、ポワトゥ(Poitout)ら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.29900−3000;ホカート(Hocart)ら、「J.Med.Chem.」、1998年、第41巻、p.1146−1154;「J.Med.Chem.」、2007年、第50巻、p.6292−6295;及び「J.Med.Chem.」、2007年、第50巻、p.6295−6298)。
SSTR5結合アッセイは、ソマトスタチンを標識し、そして化合物のソマトスタチン結合阻害能を測定することにより実施し得る(Poitoutら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.29900−3000;Hocartら、「J.Med.Chem.」、1998年、第41巻、p.1146−1154;「J.Med.Chem.」、2007年、第50巻、p.6292−6295;及び「J.Med.Chem.」、2007年、第50巻、p.6295−6298)。化合物の受容体への結合を測定するためのさらなるフォーマットは、当該技術分野において周知である。
SSTR5阻害についての生理関連活性は、インスリン分泌を刺激することである。インスリン分泌の刺激は、インビトロ又はインビボで評価し得る。
アンタゴニストは、SSTR5への結合能(Ki)及びSSTR5活性に影響を及ぼす能力(IC50)、並びにSSTR5への選択的結合能及びSSTR5活性に選択的に影響を及ぼす能力に基づき特徴づけし得る。好適なアンタゴニストは、強力かつ選択的にSSTR5に結合し、かつSSTR5活性を阻害する。Kiは、Poitoutら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.29900−3000によって記載されたように、また本明細書に記載された通りに測定し得る。
選択的SSTR5アンタゴニストは、SSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4に結合するよりも少なくとも10倍強くSSTR5に結合する。選択的SSTR5結合に関する様々な実施態様において、該アンタゴニストは、SSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4の各々に対し、1000nMより大きく、好ましくは2000nMより大きいKiで結合し、及び/又はSSTR5に対し、SSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4に結合するよりも少なくとも40倍、さらに好ましくは少なくとも100倍、又はさらに好ましくは少なくとも500倍結合する。
IC50は、Poitoutら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.29900−3000によって記載されたように、SSTR5を発現するCHO−K1細胞において、フォルスコリン(1μM)によるcAMP蓄積のソマトスタチン−14又はソマトスタチン−28誘導性の低減の阻害を測定することにより定量し得る。
SSTR結合アッセイ:
SSTRの全5種のサブタイプについての受容体−リガンド結合アッセイは、クローンされたヒトソマトスタチン受容体を安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)−K1細胞から単離した膜を用いて、96ウェルフォーマットにおいて、先に報告されたように実施した(ヤング(Yang)ら、「PNAS」、1998年、第95巻、p.10836−10841、ビルジン(Birzin)ら、「Anal.Biochem.」、2002年、第307巻、p.159−166)。
SSTR1−SSTR5用の安定な細胞系は、全5種のSSTRのDNAで、リポフェクタミンを用いて安定にトランスフェクトすることにより発生させた。ネオマイシン抵抗性クローンを選択し、400μg/mLのG418を含有する培地中に維持した(ローラー(Rohrer)ら、「Science」、1998年、第282巻、p.737−740)。結合アッセイは、(3−125I−Tyr11)−SRIF−14又は(3−125I−Tyr11)−SRIF−28を、放射性リガンド(0.1nMで使用)として、またPackard Unifilterアッセイプレートを使用して実施した。アッセイバッファは、1mM EGTA、5mM MgCl2、ロイペプチン(10μg/mL)、ペプスタチン(10μg/mL)、バシトラシン(200μg/mL)及びアプロチニン(0.5μg/mL)を加えた50mM トリスHCl(pH7.8)で構成された。CHO−K1細胞膜、放射標識されたソマトスタチン及び未標識の試験化合物を、このアッセイバッファ中に再懸濁又は希釈した。未標識の試験化合物は、0.01から10,000nMまでの濃度範囲にわたって調べた。化合物のKi値は、チャン(Cheng)及びプルソフ(Prusoff)、「Biochem Pharmacol.」、1973年、第22巻、p.3099−3108によって記載された通り測定した。
本発明の化合物、特に実施例1−90の化合物を、SSTR5結合アッセイにおいて試験し、表2に示したようにSSTR5に対し0.1nMないし1μMの範囲のKi値をもつことが判明し、そして、SSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4受容体に対しては100nMより大きいKi値をもつことが判明した。本発明の好適な化合物は、SSTR5に対し0.1nMないし100nMの範囲のKi値をもち、そしてSSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4受容体に対し100nMより大きいKi値をもつことが判明した。本発明のさらに好ましい化合物は、SSTR5に対し0.1nMないし10nMの範囲のKi値をもち、そしてSSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4受容体に対し100nMより大きいKi値をもつことが判明した。
SSTR5媒介サイクリックAMP産生の阻害を評価するための機能アッセイ
様々な親和性をもってヒト及びマウスSSTR5に結合する化合物の受容体の機能活性に対する効果を、SSTR5発現性のCHO細胞においてフォルスコリン(FSK)単独で、又はFSKプラスSS−28の存在下でcAMP産生を測定することにより評価した。FSKは、アデニル酸シクラーゼを活性化することによりこれらの細胞においてcAMP産生を誘導するべく作用するのに対し、SS−28は、SSTR5に結合すること、及びそれに続きGTP結合タンパク質のαサブユニット(Gαi)を介してアデニル酸シクラーゼを阻害することによりSSTR5安定細胞においてcAMP産生を抑制する。
化合物のアゴニズム活性を測定するため、ヒト又はマウスのSSTR5安定CHO細胞を化合物と共に15分間プレインキュベートし、続いて5μM FSKと共に細胞を1時間インキュベートした(化合物は継続して存在)。インキュベーションの間に産生されたcAMPの量を、Lance cAMPアッセイキット(PerkinElmer,CA)により、製造業者の指示に従って定量し、同様にIC50値を8つのポイントでの力価測定によって得た。
本発明の化合物、特に実施例1−90の化合物をSSTR5結合アッセイにおいて試験し、表2に示したように、SSTR5に対し0.1nMないし1μMの範囲のcAMP IC50値をもつことが判明し、かつSSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4受容体に対し100nMより大きいcAMP IC50値をもつことが判明した。本発明の好ましい化合物は、SSTR5に対し0.1nMないし100nMの範囲のcAMP IC50値を、かつSSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4受容体に対し100nMより大きいcAMP IC50値をもつことが判明した。本発明のさらに好ましい化合物は、SSTR5に対し0.1nMないし10nMの範囲のcAMP IC50値を、かつSSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4受容体に対し100nMより大きいcAMP IC50値をもつことが判明した。
単離されたマウス島細胞におけるSSTR3アンタゴニストによるグルコース依存性インスリン分泌(GDIS)の増強:
膵臓のランゲルハンス島を、正常なC57BL/6Jマウス(Jakson Laboratory,Maine)の膵臓からコラゲナーゼ消化及び不連続フィコール勾配での分離、すなわちラシー(Lacy)及びコスチアノフスキー(Kostianovsky)の方法(Lacyら、「Diabetes」、1967年、第16巻、p.35−39)の原法の修飾法によって単離した。島は、GDISアッセイに先立ち、RPMI1640培地(11mM グルコース)中で一晩培養した。
GDISを測定するためには、島をまず2mM グルコースを加えたクレブス−リンガー重炭酸(KLB)バッファ中で30分間プレインキュベートした(ペトリ皿で)。KRB培地は、143.5mM Na+、5.8mM K+、2.5mM Ca2+、1.2mM Mg2+、124.1mM Cl−、1.2mM PO4 3−、1.2mM SO4 2+、25mM CO3 2−、2mg/mL ウシ血清アルブミン(pH7.4)を含有する。次に、島を96ウェルプレートに移し(1島/ウェル)、2又は16mM グルコース及び検査するべき他の薬剤、例えばオクトレオチド及びSSTR3アンタゴニストを加えたKRBバッファ 200μl中で、37℃で60分間インキュベートした(シュウ(Zhou)ら、「J.Biol.Chem.」、2003年、第278巻、p.51316−51323)。インスリンは、インキュベーションバッファのアリコート中で、ELISAにより市販のキット(ALPCO Diagnostics,Windham,NH)を用いて測定した。
マウスにおけるグルコース耐性試験:
オスのC57BL/6Nマウス(7−12週齢)を、ケージ当たり10匹収容し、通常のげっ歯類用固形試料及び水は自由摂取とする。マウスを無作為に処理群に振り分け、4ないし6時間絶食させる。ベースライン血中グルコース濃度を、尾の切り傷の血液から、グルコメータにより測定する。次に動物を、ビヒクル(0.25% メチルセルロース)又は試験化合物で経口的に処理する。血中グルコース濃度を、処理(t=0分)後の設定された時間に測定し、次いでマウスにデキストロースを、腹腔内(2−3g/kg)、又は経口的(3−5g/kg)に負荷する。ビヒクル処理マウスの1群には、ネガティブコントロールとして食塩水を負荷する。血中グルコースレベルは、デキストロース負荷の20、40、60分後の尾出血から測定する。t=0からt=60分までの血中グルコース排出プロフィールを用いて、曲線下面積(AUC)を各処理について積分する。各処理についてのパーセント阻害値を、食塩水を負荷したコントロールに対し標準化したAUCデータから作成する。同様のアッセイを、ラットにおいて行ない得る。本発明の化合物は、0.1ないし100mg/kgの範囲内の経口投与の後に活性がある。
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医薬製剤の実施例
本発明の化合物の経口用組成物の具体的な実施態様として、任意の実施例の化合物50mgを、サイズOの硬ゼラチンカプセルを充填するのに充分な微粒子状のラクトースと共に製剤して、総量を580ないし590mgとする。
本発明の化合物の経口用組成物の第2の具体的な実施態様としては、任意の実施例の化合物100mgを、微結晶セルロース(124mg)、クロスカルメロースナトリウム(8mg)及び未粉砕の無水第2リン酸カルシウム(124mg)をブレンダー内で完全に混合し;次にステアリン酸マグネシウム(4mg)及びフマル酸ステアリルナトリウム(12mg)をブレンダーに添加し、混合し、混合物を直接圧縮用の回転式錠剤圧縮機へ移す。得られた錠剤は、置換しないか又は味マスキング用にOpadry(登録商標)IIでフィルムコートする。
本発明を、その具体的な実施態様について記載及び例示してきたが、当業者は、本発明の精神及び範囲から離れることなく、種々の変更、修飾及び置換を行ない得ることを理解するであろう。例えば、上記に示した好適な用量以外の有効薬用量を、特定の症状について治療されているヒトの応答性の変動の結果として適用してもよい。同様に、観察される薬理応答は、選択された特定の活性化合物、又は薬学的担体が存在するか否か、並びに、用いる製剤のタイプ及び投与様式に従いかつ依存して変動してもよく、結果におけるそのような予想される変動又は差異は、本発明の目的及び実施に合わせて意図される。それ故本発明は、以下のクレームの範囲によってのみ限定され、及びかかるクレームが合理的である限り広く解釈されることが意図される。