JP2012522439A - 電子等化と電子偏波解消方法、受信側設備及び通信システム - Google Patents
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Abstract
電子等化と電子偏波解消の方法と、受信側設備と、通信システムが本発明の実施形態で提供される。本発明の実施形態では、受信信号中に同期系列を検出して電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが計算される。そのパラメータを利用して、周波数領域中の受信信号に電子等化と電子偏波解消が実行され、偏波分割多重のOFDMシステムにおける電子等化と電子偏波解消の問題が解決される。さらには、周波数領域内で電子等化と電子偏波解消を実現する困難さの度合いが、時間領域内で電子等化と電子偏波解消が実行される場合に比べて、大幅に低減される。
Description
本願は、2009年3月30日に中国特許庁へ出願された、“電子等化と電子偏波解消方法、受信側設備及び通信システム”という標題の中国特許出願第200910132346.6号の優先権を主張するものである。参照によりその内容全体がここに組み込まれる。
本発明は通信技術に関し、特に電子等化と電子偏波解消方法、受信側設備及び通信システムに関する。
直交周波数分割多重(OFDM)は高速伝送技術であり、この技術の基本原理は高速シリアルデータを比較的低速の並列データの多重パスに変換し、別のキャリアで変調するものである。並列伝送方式はシンボルのパルス幅を大幅に拡大し、アンチマルチパスフェージング性能を改善する。偏波分割多重(PDM)技術は、システムのボーレートを半減できる可能性を有し、高速電子装置上でのバンド幅要求を緩和し、既存の10Gb/s商用光伝送網の円滑なアップグレードを可能とする、非常に大きな潜在力を有する技術である。PDM技術と組み合わせたOFDMは、将来注目に値する高速光伝送開発の技術動向である。
PDM OFDMシステムにおいては、OFDM技術が採用され、信号期間は長くなり、サイクリック・プレフィックス(CP)が導入される。従って、分散によるシンボル間干渉の影響は抑えられる。ただしその一方で、チャネルも信号にひずみを与える。例えば、k番目のサブチャネルの送信信号はSt k=At k・ej・φtkとなる。ここで、At kは信号振幅であり、φt kは信号の位相である。そのサブチャネル中でのチャネルの周波数領域応答は、Hk=AH k・ej・φHkである。ここで、AH kはチャネルの振幅−周波数応答であり、φH kはチャネルの位相−周波数応答である。従って、受信した信号は、Sr k=Hk・St k=AH k・At k・ej・(φHk+φtk)であり、受信した信号の振幅は、Ar k=AH k・At kであり、位相はφr k=φH k+φt kであることがわかる。受信信号の振幅も位相もチャネルの影響を受け、信号のひずみを生じる。従って、電子等化処理をチャネル上で実行して、チャネルから生じる信号上の影響を取り除く必要がある。
別の側面では、光線は光ファイバで伝送される場合ランダムな複屈折を生じる。これにより、伝送処理中の送信信号の例えばX偏波状態とY偏波状態というような2つの偏波状態が連続的に回転する。しかし受信側においてはチャネル特性が未知であり、受信信号のX’偏波状態とY’偏波状態のような2つの偏波状態は、X偏波状態とY偏波状態の回転を実時間でトレースせずに、受信信号の2つのパスの間にクロストークを生じる。チャネル中での伝送の数学的モデルは以下のように行列で表現される。
これより、Xr k=Hxx k・Xt k+Hxy k・Yt kとYr k=Hyx k・Xt k+Hyy k・Yt kとが得られる。
[・]kはk番目のサブチャネルを表す。Xt kはX偏波状態での送信信号である。Xr kはX’偏波状態の受信信号、Yt kはY偏波状態の送信信号、Yr kはY’偏波状態の受信信号、Hxx kはX偏波状態の送信信号の直接チャネル、Hxy kはX偏波状態の送信信号に対するY偏波状態の送信信号クロストークチャネル、Hyx kはY偏波状態の送信信号に対するX偏波状態の送信信号クロストークチャネル、Hyy kはY偏波状態の送信信号の直接チャネル、を表す。上の式からXr kとYr kはそれぞれ、X偏波状態とY偏波状態の異成分を含むことがわかる。このクロストークはシステム性能に甚大なダメージを与えるので、この2つの受信信号に対して、電子偏波解消処理を実行する必要がある。
従来技術では、PDM OFDMシステム上で電子等化および電子偏波解消の実行が必要であるという課題に関する解決策を持っていなかった。これまでの電子偏波解消法は、主としてシングルキャリアシステムに関するものであり、従来技術においては電子偏波解消は時間領域で実行された。つまり、電子偏波解消は時間領域の信号に対して直接的に実行されており、その結果、計算及びハードウェアにおける複雑さが相対的に高くなっていた。
本発明の実施形態は、PDM OFDMシステムにおける電子等化および電子偏波解消の課題を簡単に解決できるような、電子等化および電子偏波解消の方法と装置と通信ステムを提供する。
電子等化および電子偏波解消の方法が、受信した時間領域信号を周波数領域信号に変換し、受信した時間領域信号の同期系列(SS)(または同期シンボル(Sync Symbol)と呼ぶ)を検出して対応する制御信号を取得し、その制御信号に従って電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算し、そのパラメータを利用して周波数領域で電子等化および電子偏波解消を実行することを含む。
受信側設備が、受信した時間領域信号を周波数領域信号へ変換するように構成された変換ユニットと、受信した時間領域信号のSSを検出して対応する制御信号を取得するように構成された検出ユニットと、検出ユニットで取得した制御信号に従って電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算するように構成されたパラメータ計算ユニットと、パラメータ計算ユニットで計算したパラメータを利用して変換ユニットで変換した周波数領域信号に電子等化および電子偏波解消を実行するように構成された処理ユニットと、を含む。
通信システムは、送信側設備と受信側設備とを含む。
送信側設備は、受信側設備へ時間領域信号を送信するように構成されている。
受信側設備は、送信側設備から送信された時間領域信号を受信し、受信した時間領域信号を周波数領域信号に変換し、受信した時間領域信号の同期系列(SS)を検出して対応する制御信号を取得し、制御信号に従って電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算し、そのパラメータを利用して変換した周波数領域信号に電子等化および電子偏波解消を実行するように構成されている。
本発明の実施形態によれば、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが受信した信号内にSSを検出して計算され、そのパラメータを利用して周波数領域における受信信号に電子等化と電子偏波解消が実行される。このようにして、PDM OFDMシステム中における電子等化と電子偏波解消の課題が解決される。さらには、周波数領域内で電子等化と電子偏波解消を実現する困難さの度合いが、時間領域内で電子等化と電子偏波解消が実行される場合に比べて、大幅に低減される。
本発明における技術的解決策を明らかにするために、実施形態の説明に必要な添付図を以下に簡単に説明する。添付図面は本発明の実施形態を単に説明するためのものであり、当業者であれば創造的努力を要さずに添付図から別の図面を描くことが可能であろうことは明らかである。
以下において添付の図面を参照して、本発明の実施形態における技術的解決策を明快かつ完全に説明する。説明する実施形態は、本発明の実施形態のすべてというよりその一部分に過ぎないことは明らかである。本発明の実施形態に基づき当業者が創造的効果なしに取得し得る他のすべての実施形態は、本発明の保護の範囲内に含まれる。
本発明の実施形態は、電子等化および電子偏波解消の方法、および対応する受信側設備と対応する通信システムを提供し、そのそれぞれを以下で詳細に説明する。
実施形態1
実施形態1
電子等化と電子偏波解消の方法における1つの態様では、受信した時間領域の信号が周波数領域の信号に変換される。別の態様では、受信された時間領域の信号中のSSが検出されて検出状況に応じた制御信号が取得される。そして、その制御信号に従って電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータが計算され、このパラメータを利用して、変換された周波数領域の信号上で電子等化および電子偏波解消が実行される。つまり、電子等化と電子偏波解消が、周波数領域における受信信号上で実行される。受信信号とは、本明細書では一般的に時間領域信号と周波数領域信号を指す。時間領域にある場合には、受信信号を時間領域信号と呼ぶ。周波数領域にある場合には、受信信号を周波数領域信号と呼ぶ。またあるSSが送信側から送信され、チャネルを介して伝送された後に受信された信号のシーケンスをSSと呼ぶ。図1を参照すると、このプロセスは以下のようになっている。
ステップ101において、受信した時間領域信号が高速フーリエ変換(FFT)を介して周波数領域信号に変換される。
ステップ102において、受信した時間領域信号の中のSSが検出され、対応する制御信号が取得されてステップ103が実行される。例えば以下の方法を採用することができる。
受信した時間領域信号のシーケンスが、移動ウィンドウを通してインタセプトされる。時間領域信号のインタセプトされたシーケンスとSSとの間の相互相関が評価される。相互相関値が得られ、その相互相関値が事前に設定された閾値と比較される。相互相関値が閾値より小さい場合には、インタセプトされた時間領域信号は必要なシーケンスではないと判定されて、SSは検出されなかったことが示される。そして、受信した時間領域信号はSSではないことを表す制御信号が出力される。一方、相互相関値が閾値より大きい場合には、インタセプトされた時間領域信号は必要なシーケンスであると判定されて、SSが検出されたことを表し、受信した時間領域信号がSSであることを示す制御信号が出力される。
移動ウィンドウの長さはSSのシーケンス長に等しく、閾値は運用者のポリシに従って設定されるが、一般的には1以下に設定されるということに留意されたい。さらに、相互相関値は2つの信号パスの類似性レベルを表し、相互相関値が高いほど類似性が高いことになる。
ステップ103において、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが制御信号に従って計算されて、ステップ104が実行される。
例えば、受信した時間領域信号がSSであることを制御信号が示せば、周波数領域の伝送チャネル行列の推定によって電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータを得ることができる。例えば、周波数領域の直接チャネルとクロストークチャネルが先ず推定され、次いで、その推定された周波数波数領域の直接チャネルとクロストークチャネルで形成されるチャネル行列に従って電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが取得される。あるいはこの時、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが、トレーニングに基づく適応アルゴリズムを用いて算出されてもよい。しかし、制御信号が、受信した時間領域信号がSSではない、すなわちSSは検出されないということを示す場合には、チャネルは判定帰還適応型アルゴリズムによってトレースされ、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが更新される、すなわち電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが計算されて、等化器と偏波解消器の元のパラメータが更新されるか、等化・偏波解消装置の元のパラメータが更新される。
ステップ104において、ステップ103で算出されたパラメータを利用して、周波数領域信号に対する電子等化と電子偏波解消を実行する。すなわち、周波数領域の受信信号に対して、電子等化と電子偏波解消が実行される。
電子等化と電子偏波解消が実行される場合、電子等化と電子偏波解消は別々に実行されてもよいし、電子等化と電子偏波解消が同時に実行されてもよい。例えば、パラメータを利用して独立した等化器を介して周波数領域信号に電子等化が実行されている間に、パラメータを利用して独立した偏波解消器を介して周波数領域信号に電子偏波解消が実行される。また、パラメータを利用してMOMOフィルタ等のような等化・偏波解消装置を介して電子等化と電子偏波解消が同時に実行されてもよい。
ステップ101と他のステップ、例えばステップ102、103、および/または104は、同時に実行されてもよい。
前述の説明から本発明の実施形態によれば、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータは受信信号中にSSを検出することにより算出され、次いで、そのパラメータを利用して周波数領域において受信信号に電子等化と電子偏波解消が実行されて、PDM OFDMシステムにおける電子等化と電子偏波解消の課題が解決される、ということが理解される。さらには、周波数領域内で実行される電子等化と電子偏波解消の実現の複雑さの度合い、例えば、計算の複雑さやハードウェア実現の複雑さなどは、時間領域内で実行される電子等化と電子偏波解消に比べて大幅に低減される。
実施形態2
実施形態2
実施形態1による方法は、以下で詳細を更に例示する。
本発明の実施形態をよりよく説明するために、図2に本発明の実施形態の受信側設備による信号処理の概略図が示されている。(理解を助けるために、図2には従来技術におけるその他の部分の処理も示されていることに留意されたい。)プロセスは以下の通りである。
受信した光信号は、偏波ビームスプリッタ(PBS)を介して2つのパスの光学信号に分割される。2つのパスの光学信号は、コヒーレントな復調と光電子変換を通して、それぞれがアナログの電気信号に変換される。2つのパスのアナログ電気信号は、サンプリングされ、量子化されて、アナログ−デジタル変換器(図2のADC)を通してデジタルのベースバンド信号に変換される。De−CPおよび直並列変換処理を、2つのパスのデジタル信号に対して実行し、時間領域信号がFFTを介して周波数領域信号に変換される。周波数領域信号に対して電子等化と電子偏波解消を実行し、最後に、偏波解消された2つのパスの信号が復号される。
本発明の実施形態は主に、周波数領域での電子等化および電子偏波解消の仕方に関するものであることに留意されたい。他の部分に関しては、すべてよく知られた技術であるので、ここでは説明しない。また、説明の都合上、本発明の実施形態によれば、FFT前の信号(前述のデジタルベースバンド信号など)、すなわち時間領域にあるすべての信号は時間領域信号と呼び、FFT後の信号を周波数領域信号と呼ぶ。
OFDMシステムにおいては通常、送信される時間領域信号の中に同期を取るためのSSが周期的に挿入される。図3に示すように、M個のSSがN個のデータシーケンス(すなわちデータシンボル(DS))ごとに挿入される。ここで、M>=1でありN>>Mである。SSが送信するのはトレーニングシーケンス、つまり、受信側と送信側との双方で既知のシーケンスである。時間領域信号を受信した後、一態様においては図2に示すように、受信側設備は受信した時間領域信号中のSSを検出し、対応する制御信号を取得して、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータを制御信号に従って計算する。別の態様においては、受信した時間領域信号を周波数領域信号に変換し、最終的にその変換された周波数領域信号上で、計算されたパラメータを利用して電子等化と電子偏波解消を実行する。その例を以下で詳細に述べる。
この実施形態において、電子等化と電子偏波解消とは別々に実行される。そして図4は、等化器と偏波解消器とによる信号処理の概略図を示す。本発明によれば、電子等化と電子偏波解消とは周波数領域において実行される。従って図4は、1つだけのサブチャネルの等化器と偏波解消器による信号処理の概略図を示す。もう一方のサブチャネル構造の等化器と偏波解消器による信号処理の概略図は図4に示すものと同一である。
時間領域信号が周波数領域信号に変換された後、先ず第一に周波数領域信号に対する電子等化が等化器を利用して実行される。そうしてチャネルの影響を排除する。そして、電子等化の次に周波数領域信号に対して電子偏波解消が偏波解消器を利用して実行され、2つのパスの信号間のクロストークが排除される。等化器と偏波解消器とはチャネル行列に従って計算、取得される。等化器は行列で次のように表される。
Weq kは等化器を表し、Wcmp kは偏波解消器を表す。行列内のWxx k、Wyy k、Wxy k、Wyx kはそれぞれ図4のタップ係数である。すなわち、本発明の実施形態における電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータである。
この電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータの求め方を以下で説明する。
図2を参照すると、時間領域信号上でde−CPが実行された後、先ずSS検出が行なわれ、次に対応する制御信号が出力され、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが、制御信号に従って計算される。それは具体的に以下の様であってもよい。
受信した時間領域信号に対して、移動ウィンドウを通して移動ウィンドウインタセプション(移動インタセプション)が実行され、移動ウィンドウを介してインタセプトされた時間領域信号とSSとの間の相互相関が評価される。相互相関値が得られ、その相互相関値が事前に設定された閾値と比較される。相互相関値が閾値より小さい場合には、インタセプトされた時間領域信号は必要なシーケンスではないと判定されて、受信した時間領域信号はSSではないことを表す制御信号が出力される。相互相関値が閾値より大きい場合には、インタセプトされた時間領域信号は必要なシーケンスであると判定されて、受信した時間領域信号がSSであることを示す制御信号が出力される。そうして電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが、制御信号に従って計算される。移動ウィンドウの長さはSSの長さに等しい。例えば、移動ウィンドウの長さをLとすると、長さLの時間領域信号がインタセプトされる。時刻0において、受信した時間領域信号0〜L−1がインタセプトされ、時刻1において、受信した時間領域信号1〜Lがインタセプトされる、等である。
ここで、Hxx kはX偏波状態で送信された信号の直接チャネルを示し、Hxy kはX偏波状態で送信された信号に対する、Y偏波状態で送信された信号のクロストークチャネルを示し、Hyx kはY偏波状態で送信された信号に対する、X偏波状態で送信された信号のクロストークチャネルを示し、Hyy kはY偏波状態で送信された信号の直接チャネルを示す。これらは発明の背景に述べた通りである。
(1)受信した時間領域信号がSSであることを制御信号が示す場合、つまり、SSが検出される場合には、例えば最小二乗法などのアルゴリズムを採用して2つの偏波状態における直接チャネルと2つの偏波状態間のクロストークチャネルを推定することができる。すなわち、推定されたチャネル行列H^kは次のようになる。
H^kはHkの推定値を表し、H^xx kはHxx kの推定値を表す。H^xy kはHxy kの推定値を表し、H^yx kはHyx kの推定値を表す。H^yy kはHyy kの推定値を表す。
直接チャネルとクロストークチャネル、すなわちH^xx k、H^xy k、H^yx k、H^yy kが計算(推定)されると、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータ、すなわち等化器と偏波解消器のタップ係数が、計算された直接チャネルとクロストークチャネルに従って取得される。等化器は直接チャネルの影響を排除するように構成されていて、推定された直接チャネルの逆数である。1/(H^xx k)と1/(H^yy k)を等化器を表す前出の行列に代入すると、等化器は次のように表される。
こうして、電子等化と電子偏波解消を、等化器と偏波解消器を介して周波数領域信号に対して実行することができる。
(2)制御信号が、受信した時間領域信号がSSではないことを示す場合、すなわち、検出されたのはデータシーケンスなどであって、SSが検出されない場合には、判定帰還適応型アルゴリズムを用いて、チャネルをトレースし、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータ、すなわち等化器と偏波解消器におけるタップ係数Wxx k、Wyx k、Wxy k、Wyx kが更新される。判定帰還適応型アルゴリズムは以下の様である。
電子等化と電子偏波解消の後の周波数領域の信号がXk’(n)とYk’(n)であるとする。ここでnは時刻nを表す。判定処理がXk’(n)とYk’(n)に対して実行され、判定後の信号がX^k’(n)とY^k’(n)として得られ、誤差が次のようになる。
繰り返し更新が次式で表される。
Wxx k(n+1)=Wxx k(n)+μ・Xr k(n)・ex k
Wxy k(n+1)=Wxy k(n)+μ・Yr k(n)・ex k
Wyx k(n+1)=Wyx k(n)+μ・Xr k(n)・ey k
Wyy k(n+1)=Wyy k(n)+μ・Yr k(n)・ey k
Wxx k(n+1)=Wxx k(n)+μ・Xr k(n)・ex k
Wxy k(n+1)=Wxy k(n)+μ・Yr k(n)・ex k
Wyx k(n+1)=Wyx k(n)+μ・Xr k(n)・ey k
Wyy k(n+1)=Wyy k(n)+μ・Yr k(n)・ey k
μはステップを表し、Wxx k(n+1)は時刻(n+1)におけるWxx kを表し、Wyy k(n+1)は時刻(n+1)におけるWyy kを表し、Wxy k(n+1)は時刻(n+1)におけるWxy kを表し、Wyx k(n+1)は時刻(n+1)におけるWyx kを表す。計算された誤差ex kとey kを繰り返し更新の式に代入してそれぞれWxx k(n+1)、Wyy k(n+1)、Wxy k(n+1)、Wyx k(n+1)を得る。Wxx k(n+1)、Wyy k(n+1)、Wxy k(n+1)、Wyx k(n+1)を等化器と偏波解消器に代入して、等化器と偏波解消器のパラメータの更新を完了する。そうして、更新後のパラメータを利用して、周波数領域信号上で電子等化と電子偏波解消が実行される。
本実施形態においてはクロストークチャネルを推定する必要があり、図5に示すように、X偏波状態で送信された信号のSSはY偏波状態で送信された信号のSSと同期を取る必要があることに留意されたい。
本発明の実施形態によれば、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが、受信した信号内にSSを検出して最小二乗法などのアルゴリズムで計算され、その後に、パラメータを利用して周波数領域における受信信号に電子等化と電子偏波解消を実行することによって、PDM OFDMシステム中における電子等化と電子偏波解消の課題が解決される、ということが以上の説明で理解されるであろう。さらには、周波数領域内で電子等化と電子偏波解消を実現する困難さの度合いが、時間領域内で電子等化と電子偏波解消が実行される場合に比べて、大幅に低減される。
実施形態3
実施形態3
この実施形態では、等化器、偏波解消器、及び時間領域信号でのSSの検出は、実施形態2の場合と同じであるが、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが違う方法で計算される。以下にそれを示す。
(1)制御信号が、受信した時間領域信号がSSであること、すなわちSSが検出されたことを示す場合には、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータは、トレーニングに基づく適応アルゴリズムを採用することにより算出される。
トレーニングに基づく適応アルゴリズムの繰り返し式は、判定帰還適応型アルゴリズムの式と同様であり、唯一の違いは誤差の計算方法である。SSは送信側と受信側の双方で既知である。X偏波状態で送信された信号をXt kとし、Y偏波状態で送信された信号をYt kとし、電子等化と電子偏波解消の後の信号をそれぞれXk’(n)、Yk’(n)とし、nは時刻nを表すものとすると、誤差は次のようになる。
ex k(n)=Xt k(n)-Xk’(n)
ey k(n)=Yt k(n)-Yk’(n)
ex k(n)=Xt k(n)-Xk’(n)
ey k(n)=Yt k(n)-Yk’(n)
実施形態2と同様に繰り返し更新の式は次のようにある。
Wxx k(n+1)=Wxx k(n)+μ・Xr k(n)・ex k
Wxy k(n+1)=Wxy k(n)+μ・Yr k(n)・ex k
Wyx k(n+1)=Wyx k(n)+μ・Xr k(n)・ey k
Wyy k(n+1)=Wyy k(n)+μ・Yr k(n)・ey k
Wxx k(n+1)=Wxx k(n)+μ・Xr k(n)・ex k
Wxy k(n+1)=Wxy k(n)+μ・Yr k(n)・ex k
Wyx k(n+1)=Wyx k(n)+μ・Xr k(n)・ey k
Wyy k(n+1)=Wyy k(n)+μ・Yr k(n)・ey k
実施形態2と同様に、μはステップを表し、Wxx k(n+1)は時刻(n+1)におけるWxx kを表し、Wyy k(n+1)は時刻(n+1)におけるWyy kを表し、Wxy k(n+1)は時刻(n+1)におけるWxy kを表し、Wyx k(n+1)は時刻(n+1)におけるWyx kを表す。計算された誤差ex kとey kを繰り返し更新の式に代入してそれぞれWxx k(n+1)、Wyy k(n+1)、Wxy k(n+1)、Wyx k(n+1)を得る。Wxx k(n+1)、Wyy k(n+1)、Wxy k(n+1)、Wyx k(n+1)を等化器と偏波解消器に代入する。そうして、パラメータを利用して、周波数領域信号上で電子等化と電子偏波解消が実行される。
(2)制御信号が、受信した時間領域信号がSSではないことを示す場合、すなわちSSが検出されない場合には、チャネルは判定帰還適応型アルゴリズムを用いてトレースされ、等化器と偏波解消器の各パラメータが更新される。これは実施形態2と同様であり、ここでは説明を繰り返さない。
この実施形態において、クロストークチャネルは推定する必要がなく、従って図6に示すように、X偏波状態で送信された信号のSSはY偏波状態で送信された信号のSSと同期を取る必要はない。
本発明の実施形態によれば、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが、受信した信号内にSSを検出してトレーニングに基づく適応アルゴリズム等のアルゴリズムで計算され、その後に、パラメータを利用して周波数領域における受信信号に電子等化と電子偏波解消を実行することによって、PDM OFDMシステム中における電子等化と電子偏波解消の課題が解決される、ということが以上の説明で理解されるであろう。さらには、周波数領域内で電子等化と電子偏波解消を実現する困難さの度合いが、時間領域内で電子等化と電子偏波解消が実行される場合に比べて、大幅に低減される。
実施形態4
実施形態4
この実施形態は、SSの検出と、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータの計算に、実施形態2と同じ方法を採用する。実施形態2と異なるのは、本実施形態においては電子等化と電子偏波解消が周波数領域の信号上で同時に実行されることである。説明を簡単にするために、周波数領域の信号に対して、電子等化と電子偏波解消を同時に実行するモジュールを、図7に示すように、等化・偏波解消装置(フィルタ)と称す。本発明によれば、電子等化と電子偏波解消とは周波数領域において実行される。従って図7は、1つのサブチャネルのみの等化・偏波解消装置による信号処理の概略図を示す。もう一方のサブチャネル構造の等化・偏波解消装置による信号処理の概略図は図7に示すものと同一であることに留意されたい。
行列内のWxx k、Wyy k、Wxy k、Wyx kはそれぞれ図7のタップ係数である。すなわち、本発明の実施形態における電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータである。電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータの計算には、実施形態2による方法を用いる。詳細は実施形態2を参照されたい。
(1)受信した時間領域信号がSSであることを制御信号が示す場合、つまり、SSが検出される場合には、例えば最小二乗法などのアルゴリズムを採用して2つの偏波状態における直接チャネルと2つの偏波状態間のクロストークチャネルを推定することができる。すなわち、推定されたチャネル行列H^kは次のようになる。
直接チャネルとクロストークチャネル、すなわちH^xx k、H^xy k、H^yx k、H^yy kが計算(推定)されると、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータ、すなわち等化・偏波解消装置のタップ係数は、計算された直接チャネルとクロストークチャネルに従って取得できる。等化・偏波解消装置のタップ係数の計算方法を以下に解析する。
[・]kはk番目のサブチャネルを表す。Xt kはX偏波状態での送信信号である。Xr kはX’偏波状態での受信信号、Yt kはY偏波状態での送信信号、Yr kはY’偏波状態での受信信号、Hxx kはX偏波状態の送信信号の直接チャネル、Hxy kはX偏波状態の送信信号に対するY偏波状態の送信信号のクロストークチャネル、Hyx kはY偏波状態の送信信号に対するX偏波状態の送信信号のクロストークチャネル、Hyy kはY偏波状態の送信信号の直接チャネルを表す。実施形態2から次のことがわかる。
受信された信号Xr kとYr kはチャネルとクロストークの影響を受けないものとする。すなわち、Xr k=Xt k、Yr k=Yt kである。Xr k=Hxx k・Xt k+Hxy k・Yt kとYr k=Hyx k・Xt k+Hyy k・Yt kとから、Xr kとYr kは、直接チャネル(前式のHxx kとHyy k)とクロストーク(前式のHxy k・Yt kとHyx k・Xt k)とによって影響を受けることがわかる。従って、受信された信号Xr kとYr kが等化・偏波解消モジュールでの処理を受けると、影響が亡くなるように意図されている。図7からわかるように、等化・偏波解消装置での電子等化および電子偏波解消を受けた後の信号Xk’とYk’はそれぞれ以下のようになる。
Xk’=Wxx k・Xr k+Wxy k・Yr k
Yk’=Wyx k・Xr k+Wyy k・Yr k
これは行列により以下の様に表現される。
Xk’=Wxx k・Xr k+Wxy k・Yr k
Yk’=Wyx k・Xr k+Wyy k・Yr k
これは行列により以下の様に表現される。
すなわち、等化・偏波解消装置のタップ係数は、
Wk=(H^k)−1
となる。
Wk=(H^k)−1
となる。
タップ係数が等化・偏波解消装置に代入されて、電子等化および電子偏波解消が、周波数領域の信号に実行される。
(2)制御信号が、受信した時間領域信号がSSではないことを示す場合、すなわちSSが検出されない場合には、チャネルは判定帰還適応型アルゴリズムを用いてトレースされ、等化・偏波解消装置の各パラメータが更新される。これは実施形態2と同様であり、ここでは説明を繰り返さない。
本実施形態においては、実施形態2と同様に、クロストークチャネルを推定する必要があり、従って図5に示すように、X偏波状態で送信された信号のSSはY偏波状態で送信された信号のSSと同期を取る必要があることに留意されたい。
本発明の実施形態によれば、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが、受信した信号内にSSを検出して最小二乗アルゴリズム等のアルゴリズムで計算され、その後に、パラメータを利用して周波数領域における受信信号に電子等化と電子偏波解消を同時に実行することによって、PDM OFDMシステム中における電子等化と電子偏波解消の課題が解決される、ということが以上の説明で理解されるであろう。さらには、周波数領域内で電子等化と電子偏波解消を実現する困難さの度合いが、時間領域内で電子等化と電子偏波解消が実行される場合に比べて、大幅に低減される。
実施形態5
実施形態5
この実施形態においては、電子等化及び電子偏波解消の方法は、実施形態4において用いられたものと同じである。すなわち、電子等化及び電子偏波解消は周波数領域の信号に対して同時に実行され、時間領域の信号中にSSを検出することも実施形態3と一致している。ただし、実施形態3との違う点は、本実施形態では電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータは別の方法で計算されることである。
(1)制御信号が、受信した時間領域信号がSSであること、すなわちSSが検出されたことを示す場合には、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータは、トレーニングに基づく適応アルゴリズムを用いて算出される。
トレーニングに基づく適応アルゴリズムの繰り返し式は、判定帰還適応型アルゴリズムの式と同様であり、唯一の違いは誤差の計算方法である。SSは送信側と受信側の双方で既知である。X偏波状態で送信された信号をXt kとし、Y偏波状態で送信された信号をYt kとすると、電子等化と電子偏波解消の後の信号はそれぞれXk’(n)、Yk’(n)であり、nは時刻nを表すものとすると、誤差は次のようになる。
繰り返し更新の式は次のようになる。
Wxx k(n+1)=Wxx k(n)+μ・Xr k(n)・ex k
Wxy k(n+1)=Wxy k(n)+μ・Yr k(n)・ex k
Wyx k(n+1)=Wyx k(n)+μ・Xr k(n)・ey k
Wyy k(n+1)=Wyy k(n)+μ・Yr k(n)・ey k
Wxx k(n+1)=Wxx k(n)+μ・Xr k(n)・ex k
Wxy k(n+1)=Wxy k(n)+μ・Yr k(n)・ex k
Wyx k(n+1)=Wyx k(n)+μ・Xr k(n)・ey k
Wyy k(n+1)=Wyy k(n)+μ・Yr k(n)・ey k
μはステップを表し、Wxx k(n+1)は時刻(n+1)におけるWxx kを表し、Wyy k(n+1)は時刻(n+1)におけるWyy kを表し、Wxy k(n+1)は時刻(n+1)におけるWxy kを表し、Wyx k(n+1)は時刻(n+1)におけるWyx kを表す。計算された誤差ex kとey kを繰り返し更新の式に代入してそれぞれWxx k(n+1)、Wyy k(n+1)、Wxy k(n+1)、Wyx k(n+1)を得る。Wxx k(n+1)、Wyy k(n+1)、Wxy k(n+1)、Wyx k(n+1)を等化器と偏波解消器に代入する。そうして、パラメータを利用して、周波数領域信号上で電子等化と電子偏波解消が実行される。
(2)制御信号が、受信した時間領域信号がSSではないことを示す場合、すなわちSSが検出されない場合には、チャネルは判定帰還適応型アルゴリズムを用いてトレースされ、等化・偏波解消装置の各パラメータが更新される。これは実施形態2と同様であり、ここでは説明を繰り返さない。
この実施形態において、クロストークチャネルは推定する必要がなく、従って図6に示すように、X偏波状態で送信された信号のSSはY偏波状態で送信された信号のSSと同期を取る必要はない。
本発明の実施形態によれば、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが、受信した信号内にSSを検出して、訓練に基づく適応論理等のアルゴリズムで計算され、その後に、パラメータを利用して周波数領域における受信信号に電子等化と電子偏波解消を同時に実行することによって、PDM OFDMシステム中における電子等化と電子偏波解消の課題が解決される、ということが以上の説明で理解されるであろう。さらには、周波数領域内で電子等化と電子偏波解消を実現する困難さの度合いが、時間領域内で電子等化と電子偏波解消が実行される場合に比べて、大幅に低減される。
実施形態6
実施形態6
前述の方法をよりよく実装するために、本発明の実施形態ではさらに対応する受信側設備を提供する。図8に示すように、受信側設備には、変換ユニット601、検出ユニット602、パラメータ計算ユニット603、および処理ユニット604が含まれる。
変換ユニット601は、受信した時間領域信号を周波数領域信号へ変換するように構成されている。例えば、変換ユニット601はFFTモジュールであってよい。これはFFTを通して、受信した時間領域信号を周波数領域信号に変換する。FFTモジュールの大きさは、サブチャネル数に応じて決定される。
検出ユニット602は、受信した時間領域信号中のSSを検出し、対応する制御信号を取得するように構成されている。
パラメータ計算ユニット603は、検出ユニットで取得した制御信号に従って、電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算(または推定)するように構成されている。例えば、最小二乗法アルゴリズムを用いて、チャネル行列を推定し、電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを、推定したチャネル行列に従って計算する。または、電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを、トレーニングに基づく適応アルゴリズムなどのアルゴリズムを用いて推定する。
処理ユニット604は、パラメータ計算ユニット603により計算されたパラメータを利用して、変換ユニット601により変換された周波数領域信号に電子等化および電子偏波解消を実行するように構成されている。
図8に示すように、検出ユニット602は、インタセプションユニット6021と、相互相関値計算ユニット6022と比較ユニット6023とを含んでもよい。
インタセプションユニット6021は、受信した時間領域信号を移動ウィンドウを通してインタセプトするように構成されている。
相互相関値計算ユニット6022は、インタセプションユニット6021によりインタセプトされた時間領域信号とSSとの間の相互相関を評価し、相互相関値を取得するように構成されている。
比較ユニット6023は、相互相関値計算ユニット6022で得られた相互相関値を事前設定された閾値と比較し、相互相関値が閾値より小さい場合、これはSSが検出されないことを表しているが、インタセプトされた時間領域の信号は所要のシーケンスではないことを判定して、受信した時間領域の信号はSSではないことを示す制御信号を出力する。また、相互相関値が閾値より大きい場合、これはSSが検出されることを表しているが、インタセプトされた時間領域の信号が所要のシーケンスであることを判定して、受信した時間領域の信号はSSであることを示す制御信号を出力する。
図8に示すように、パラメータ計算ユニット603は、第1のパラメータ計算ユニット6031と、第2のパラメータ計算ユニット6032を含んでよい。
第1のパラメータ計算ユニット6031は、受信した時間領域信号がSSであることを検出ユニット602で取得した制御信号が示す場合に、チャネル行列を推定(計算)して電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを取得するように構成されている。例えば、先ず第1に周波数領域の直接チャネルとクロストークチャネルが推定され、次いで、周波数領域の推定された直接チャネルと推定されたクロストークチャネルで形成されるチャネル行列に従って、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータが得られる。チャネル行列が計算される場合、例えば最小二乗法アルゴリズム等のアルゴリズムが計算に用いられる。この詳細は実施形態2及び実施形態4を参照されたい。
第2のパラメータ計算ユニット6032は、受信した時間領域信号がSSでないことを検出ユニット602で取得した制御信号が示す場合に、判定帰還適応アルゴリズムを通して、電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算するように構成されている。詳細は実施形態2を参照されたい。
それとは別に図9に示すように、パラメータ計算ユニット603は、第3のパラメータ計算ユニット6033と、第4のパラメータ計算ユニット6034を含んでもよい。
第3のパラメータ計算ユニット6033は、受信した時間領域信号がSSであることを検出ユニット602で取得した制御信号が示す場合に、トレーニングに基づく適応アルゴリズムを用いて、電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算するように構成されている。詳細は実施形態3および実施形態5を参照されたい。
第4のパラメータ計算ユニット6034は、受信した時間領域信号がSSでないことを検出ユニット602で取得した制御信号が示す場合に、判定帰還適応型アルゴリズムを通して、電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算するように構成されている。詳細は実施形態2を参照されたい。
処理ユニット604は、MOMOフィルタ構造をしたいくつかのモジュールなどのような、幾つかの等化・偏波解消装置であってよい。またいくつかの独立した偏波解消器と等化器とを含んでいてもよい。ここで、偏波解消器と等化器の数、すなわち等化・偏波解消装置の数は、サブチャネルの数に応じて決定される。
偏波解消器は、パラメータ計算ユニット603で計算したパラメータを利用して、変換ユニット601で変換した周波数領域信号に電子偏波解消を実行するように構成されている。
等化器は、パラメータ計算ユニット603で計算したパラメータを利用して、変換ユニット601で変換した周波数領域信号に電子等化を実行するように構成されている。
本発明の実施形態によれば、受信側設備において、検出ユニット602がより受信信号中にSSを検出することによって、パラメータ計算ユニット603が電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータを計算し、そして、処理ユニット604がそのパラメータを利用して周波数領域の受信信号に対して電子等化および電子偏波解消を実行して、PDM OFDMシステムにおける電子等化および電子偏波解消の課題が解決される、ということが以上の説明で理解されるであろう。さらには、周波数領域内で電子等化と電子偏波解消を実現する困難さの度合いが、時間領域内で電子等化と電子偏波解消が実行される場合に比べて、大幅に低減される。
実施形態7
実施形態7
前述の方法をよりよく実装するために、本発明の実施形態ではさらに通信システムを対応して提供する。図10に示すように、この通信システムは送信側設備701と受信側設備702とを含む。
送信側設備701は、受信側設備へ時間領域信号を送信するように構成されている。
受信側設備702は、送信側設備701から送信された時間領域信号を受信し、受信した時間領域信号を周波数領域信号に変換し、受信した時間領域信号の同期系列(SS)を検出し、対応する制御信号を取得し、制御信号に従って電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算し、そのパラメータを利用して変換した周波数領域信号に電子等化および電子偏波解消を実行するように構成されている。
受信側設備702は更に、移動ウィンドウを通して受信した時間領域信号をインタセプトし、インタセプトした時間領域信号とSSとの間の相互相関を評価して相互相関値を取得し、相互相関値を事前設定された閾値と比較し、相互相関値が閾値より小さい場合には、これはSSが検出されないことを表しているが、インタセプトした時間領域の信号が所望のシーケンスではないことを判定して、受信した時間領域の信号はSSではないことを示す制御信号を出力し、また、相互相関値が閾値より大きい場合には、これはSSが検出されることを表しているが、インタセプトした時間領域の信号が所望のシーケンスであることを判定して、受信した時間領域の信号がSSであることを示す制御信号を出力するように構成されている。
さらに、受信側装置702は、制御信号が受信した時間領域信号がSSであることを示す場合に、チャネル行列を推定(計算)して電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを取得するように構成されている。例えば、先ず第1に周波数領域の直接チャネルとクロストークチャネルを推定し、次いで、その推定した周波数領域の直接チャネルとクロストークチャネルが形成するチャネル行列に従って、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータを得る。チャネル行列を計算する場合、最小二乗法アルゴリズムなどのアルゴリズムが用いられる。
受信側設備702は更に、制御信号が受信した時間領域信号がSSであることを示す場合には、トレーニングに基づく適応アルゴリズムの採用により電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算するように構成されている。
受信側設備702は更に、制御信号が受信した時間領域信号がSSではないことを示す場合には、判定帰還適応型アルゴリズムによって、電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算するように構成されている。
特に電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータの計算の詳細に関しては、実施形態2、3、4、5を参照されたい。従ってここでは説明を繰り返さない。
通信システムの受信側設備702は、変換ユニット601と検出ユニット602とパラメータ計算ユニット603と処理ユニット604を含んでよい。変換ユニット601はFFTモジュールを含んでもよく(FFTモジュールの大きさはサブチャネル数に応じて決定される)、決定ユニット602はインタセプションユニット6021と相互相関値計算ユニット6022と比較ユニット6023とを含んでもよい。パラメータ計算ユニット603は、第1のパラメータ計算ユニット6031と第2のパラメータ計算ユニット6032を含んでもよいし、あるいは、パラメータ計算ユニット603は、第3のパラメータ計算ユニット6033と第4のパラメータ計算ユニット6034も含んでもよい。処理ユニット604は、等化・偏波解消装置をいくつか含んでもよいし、またはいくつかの独立した等化器と偏波解消器とを含んでもよい(等化器・偏波解消装置の数、または等化器と偏波解消器の数は、サブチャネルの数に応じて決定される)。
本発明の実施形態による方法を具現化することで、従来技術に比較して実現の複雑さを大幅に低減することが可能である。以下で、本発明の実施形態に従った“周波数領域における電子等化と電子偏波解消の実行”方法と、従来技術による“時間領域における電子偏波解消の実行”方法の解析および比較を簡単に行う。
時間領域における電子偏波解消の実行方法に関しては、サンプル期間がTsであると仮定する。図11に示すように、偏波解消器は4つのFIRフィルタ、すなわちWxx、Wxy、Wyx、Wyyを含んでいる。図12は、FIRフィルタによる信号処理の概略図を示す。各フィルタのタップ係数をMとすると、各フィルタの複素数の乗算がM回実行され、複素数の加算がM−1回実行される。その結果、4つのフィルタの複素数の乗算は合計で4M回実行され、複素数の加算は合計で4×(M−1)回実行される。図11に示すように、出力端にさらに2つの加算器が存在し、従って各サンプル周期、すなわち各Tsに実行される複素数の乗算は4Mであり、複素数の加算計算は、4×(M−1)+2=4M−2回行われる。
周波数領域における電子等化と電子偏波解消の実行方法に関しては、サブチャネルの数をNと仮定すると(すなわち、FFTサイズ=Nとすると)、CPを考慮しない場合には、OFDMシンボル期間は、N・Tsとなる。図4と図7に示すように、各シンボル期間すなわち各N・Tsにおいて、実行される乗算計算は4N回であり、加算計算は2N回である。
比較のために規格化を行なう。時間領域法においては、必要な乗算計算は毎秒4M/Tsであり、加算計算は毎秒(4M−2)/Tsである。周波数領域法においては、必要な乗算計算は毎秒4N/NTs=4/Tsであり、加算計算は毎秒2N/NTs=2/Tsである。
電子等化と電子偏波解消を周波数領域で行う方法が、時間領域で行なう方法に比べて複雑さがはるかに低いことがわかる。
本発明の実施形態によれば、電子等化と電子偏波解消に必要なパラメータを、受信した信号中にSSを検出することにより、最小二乗法アルゴリズムまたはトレーニングに基づく適応アルゴリズム等のアルゴリズムで計算し、その後にそのパラメータを利用して周波数領域の受信信号に対して電子等化と電子偏波解消を実行して、PDM OFDMシステム中における電子等化と電子偏波解消の課題を解決する、ということが以上の説明で理解されるであろう。さらには、計算の複雑さとハードウェア実現の複雑さも含めて、周波数領域で電子等化と電子偏波解消を実現する複雑さは、時間領域で電子等化と電子偏波解消を実行する場合に比べてはるかに小さくなることが前述の解析で分かるであろう。このことはまた、信号処理に要する時間が大幅に低減され、ネットワークアーキテクチャを構築するコストもまた低減可能となることを示している。
当業者であれば、本発明の実施形態による方法のすべてまたは一部のステップは、関連するハードウェアに命令するプログラムで実装されうることは理解されるであろう。プログラムはコンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、読み出し専用メモリ(ROM)またはランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスクまたは光ディスクを含んでもよい。
以上、本発明の実施形態により提供される、電子等化と電子偏波解消の方法と、受信側設備と、通信システムとを詳細に紹介し、特定の実施例をここに適用して本発明の原理と実装を説明した。前述の実施形態の説明は、本発明の方法および中核となる思想の理解の一助とするためのものである。一方で、当業者であれば、本発明の思想に従って特定の実装及び適用範囲に関する本発明の変形及び修正を行うことは可能であろう。従って、本明細書は本発明を制限するものと見なされるべきではない。
電子等化と電子偏波解消が実行される場合、電子等化と電子偏波解消は別々に実行されてもよいし、電子等化と電子偏波解消が同時に実行されてもよい。例えば、パラメータを利用して独立した等化器を介して周波数領域信号に電子等化が実行されている間に、パラメータを利用して独立した偏波解消器を介して周波数領域信号に電子偏波解消が実行される。また、パラメータを利用してMIMOフィルタ等のような等化・偏波解消装置を介して電子等化と電子偏波解消が同時に実行されてもよい。
処理ユニット604は、MIMOフィルタ構造をしたいくつかのモジュールなどのような、幾つかの等化・偏波解消装置であってよい。またいくつかの独立した偏波解消器と等化器とを含んでいてもよい。ここで、偏波解消器と等化器の数、すなわち等化・偏波解消装置の数は、サブチャネルの数に応じて決定される。
Claims (12)
- 電子等化および電子偏波解消の方法であって、
受信した時間領域信号を周波数領域信号に変換し、
前記受信した時間領域信号の同期系列(SS)を検出して、対応する制御信号を取得し、
前記制御信号に従って電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算し、
前記パラメータを利用して前記周波数領域で電子等化および電子偏波解消を実行する、
ことを含む方法。 - 前記受信した時間領域信号の前記SSを検出して、対応する前記制御信号を取得することが、
前記受信した時間領域信号を移動ウィンドウを通してインタセプトし、
前記インタセプトした時間領域信号と前記SSとの間の相互相関を評価して、相互相関値を取得し、
前記相互相関値を事前設定した閾値と比較して、前記相互相関値が前記閾値より大きい場合には前記受信した時間領域信号が前記SSであることを示す制御信号を出力し、前記相互相関値が前記閾値より小さい場合には前記受信した時間領域信号が前記SSではないことを示す制御信号を出力する、
ことを含む、請求項1に記載の方法。 - 前記制御信号に従って前記電子等化および前記電子偏波解消に必要な前記パラメータを計算することが、
前記制御信号が、前記受信した時間領域信号が前記SSであることを示す場合には、チャンネル行列を推定して前記電子等化および前記電子偏波解消に必要なパラメータを計算することを含む、請求項1または2に記載の方法。 - 前記制御信号に従って前記電子等化および前記電子偏波解消に必要な前記パラメータを計算することが、
前記制御信号が、前記受信した時間領域信号が前記SSであることを示す場合には、トレーニングに基づく適応アルゴリズムの採用により前記電子等化および前記電子偏波解消に必要な前記パラメータを計算することを含む、請求項1または2に記載の方法。 - 前記制御信号に従って前記電子等化および前記電子偏波解消に必要な前記パラメータを計算することが、
前記制御信号が、前記受信した時間領域信号が前記SSでないことを示す場合には、判定帰還適応アルゴリズムによって前記電子等化および前記電子偏波解消に必要な前記パラメータを計算することを含む、請求項1または2に記載の方法。 - 前記パラメータを利用して前記周波数領域信号に前記電子等化および前記電子偏波解消を実行することが、
前記パラメータを利用して前記周波数領域信号に前記電子等化と前記電子偏波解消とを個別に実行すること、もしくは
前記パラメータを利用して前記周波数領域信号に前記電子等化と前記電子偏波解消を同時に実行すること、
を含む、請求項1または2に記載の方法。 - 受信した時間領域信号を周波数領域信号へ変換するように構成された変換ユニットと、
前記受信した時間領域信号の同期系列(SS)を検出して、対応する制御信号を取得するように構成された検出ユニットと、
前記検出ユニットで取得した前記制御信号に従って、電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算するように構成されたパラメータ計算ユニットと、
前記パラメータ計算ユニットで計算した前記パラメータを利用して、前記変換ユニットで変換した前記周波数領域信号に前記電子等化および前記電子偏波解消を実行するように構成された処理ユニットと、
を含む受信側設備。 - 前記検出ユニットは、
前記受信した時間領域信号を移動ウィンドウを介してインタセプトするように構成されたインタセプションユニットと、
前記インタセプションユニットでインタセプトした前記時間領域信号と前記SSとの間の相互相関を評価して、相互相関値を取得するように構成された、相互相関値計算ユニットと、
前記相互相関値計算ユニットで取得した前記相互相関値を事前設定した閾値と比較し、前記相互相関値が前記閾値より大きい場合には前記受信した時間領域信号が前記SSであることを示す制御信号を出力し、前記相互相関値が前記閾値より小さい場合には前記受信した時間領域信号が前記SSではないことを示す制御信号を出力するように構成された、比較ユニットと、
を備える、請求項7に記載の受信側設備。 - 前記パラメータ計算ユニットは、
前記検出ユニットで取得した前記制御信号が、前記受信した時間領域信号が前記SSであることを示す場合に、チャネル行列を推定することにより前記電子等化および前記電子偏波解消に必要な前記パラメータを計算するように構成された、第1のパラメータ計算ユニットと、
前記検出ユニットで取得した前記制御信号が、前記受信した時間領域信号が前記SSではないことを示す場合に、前記判定帰還適応アルゴリズムを通して、前記電子等化および前記電子偏波解消に必要な前記パラメータを計算するように構成された、第2のパラメータ計算ユニットと、
を備える、請求項7または8に記載の受信側設備。 - 前記パラメータ計算ユニットは、
前記検出ユニットで取得した前記制御信号が、前記受信した時間領域信号が前記SSであることを示す場合に、トレーニングに基づく適応アルゴリズムの採用により前記電子等化および前記電子偏波解消に必要な前記パラメータを計算するように構成された、第3のパラメータ計算ユニットと、
前記検出ユニットで取得した前記制御信号が、前記受信した時間領域信号がSSではないことを示す場合に、前記判定帰還適応アルゴリズムを通して、前記電子等化および前記電子偏波解消に必要な前記パラメータを計算するように構成された、第4のパラメータ計算ユニットと、
を含む、請求項7または8に記載の受信側設備。 - 前記処理ユニットは、
前記パラメータ計算ユニットで計算した前記パラメータを利用して、前記変換ユニットで変換した前記周波数領域信号に前記電子等化を実行するように構成された等化器と、
前記パラメータ計算ユニットで計算した前記パラメータを利用して、前記変換ユニットで変換した前記周波数領域信号に前記電子偏波解消を実行するように構成された偏波解消器と、
を含む、請求項7または8に記載の受信側設備。 - 送信側設備と受信側設備とを含む通信システムであって、
前記送信側設備は、前記受信側設備へ時間領域信号を送信するように構成され、
前記受信側設備は、前記送信側設備から送信された前記時間領域信号を受信し、前記受信した時間領域信号を周波数領域信号に変換し、前記受信した時間領域信号の同期系列(SS)を検出し、対応する制御信号を取得し、前記制御信号に従って電子等化および電子偏波解消に必要なパラメータを計算し、前記パラメータを利用して前記変換した周波数領域信号に前記電子等化および前記電子偏波解消を実行するように構成された、通信システム。
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