JP2012517885A - Ecgデータの自動虚血分析 - Google Patents
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Abstract
ECG分析システムは、患者ECGデータに応じて、それを分析して急性心筋梗塞があるか判断する。本システムは、最初に標準ECG分析によりECGデータを分析して急性心筋梗塞があるか判断する。この分析の次に、第1の動作モードにおいて、ACI−TIPI分析を行い、患者の特徴とECGデータにより急性心筋梗塞の確率を推定する。第2の動作モードにおいて、急性心筋梗塞があることについて標準ECG分析が確実であれば、ACI−TIPI分析は行われず、ユーザには標準的解釈の結果のみを提示する。急性心筋梗塞があることについて標準ECG分析が明確でない場合、ACI−TIPI分析を行い、その結果をユーザに提示する。
Description
本発明は、急性虚血の分析において医師を支援する医療機器に関し、特にECGデータの自動虚血分析に関する。
マサチューセッツ州アンドーバーのフィリップスヘルスケアが販売しているフィリプスハートスタート(登録商標)MRxモニタ/除細動器は、心疾患に関する様々な身体機能をモニタし、必要に応じて除細動やぺーシングなどの電気療法を提供できるポータブル医療機器である。MRxモニタ/除細動器は、急性心虚血(ACI)の発生を示すことがある患者の症状を分析する際、医療担当者を支援することもできる。これは、Dr.H.P.Selkerにより最初に開発されたタイム・インセンシティブ・プレディクティブ・インストルメント(ACI−TIPI)として知られる、このモニタ/除細動器に含まれる分析パッケージにより行われる。Selker氏のホームページ「Sorting out chest pain. Identification of acute cardiac ischemia in the emergency room setting: An approach based on the acute ischemic heart disease predictive instrument」Emergency Decisions/Primary Care, 1:8-17 (1985)を参照されたい。Dr.SelkerのACI−TIPIに関する他の論文「J. Electrocardiography, 21:S11-S17 (1988)」および「Medical Care, 29:610:627 (1991)」も参照されたい。ACI−TIPI分析プロトコルは、患者のECGデータ、重症度、患者の年齢や性別を用いて、その患者が急性心虚血にかかっている予測確率を計算する。ACI−TIPI分析アルゴリズムは、以前から、Hewlett−Packard PageWriter(R) XLi心電計で実施されている。ACI−TIPI分析は、患者が病院に到着する前に12誘導ECG検査を受けている時に特に有用である。病院はこの分析結果により、事前に、患者にカテーテル処置その他の積極的な介入を施すべきか、単に入院させてさらに別のテストや診察をすればよいか分かる。
12誘導ECG検査は、従来、ECGストリップの終わりにレポートとしてプリントされる標準ECG分析を含む。この標準ECG分析は、急性心筋梗塞(MI)の徴候など、信頼のおける分析をすることができる。標準ECG分析を信頼できるとき、一般的にはそれ以上別のACI−TIPIを実行する必要はなく、患者はすぐに介入クリニックや同様の介護施設に送られる。標準ECG分析により通常のECGを示す結果も得られる。習慣的に、ACI−TIPI分析は、一般的に、ECGデータの標準的な解釈ステートメント分析に加えて、標準分析の結果の確認として行われる。
この典型的なシナリオでは、ACI−TIPI分析は標準的ECG分析の次に行われる。このアプローチの欠点は、ACI−TIPI分析により、標準ECG分析の結果と矛盾する急性心筋梗塞の予測確率を計算することがあるということである。患者を一般病院に送るか、または専門の心疾患治療施設に送るかについて、あいまいでなく信頼のおける決定を必要とする救急医療(EMS)応答者の場合、このような混乱が起こると、適切な治療が遅れることがある。したがって、ECGデバイスは、必要な治療をはっきりと表示し、コンフリクトする診断結果をださないように動作することが望ましい。
本出願は、2009年2月19日出願の米国仮出願第61/153,751号の利益を主張するものである。
本発明の原理によると、ECG分析システムは、標準ECG分析の結果を用いて、患者データの分析の順序を決める。標準的分析により、患者が急性心虚血を患っているか、ECGが正常であることが確実にしめされない場合にのみ、ACI−TIPI分析が行われる。ECG分析システムは、12誘導分析を条件付きACI−TIPI分析設定に設定するように構成されている。ECG分析システムが標準の12誘導ECG分析に続けて条件付きACI−TIPI分析を行うように構成されていると、ACI−TIPI分析を実行する前に標準的分析の出力をチェックする。標準分析が、ECGが正常なECGであると示している場合、または急性心筋梗塞があると明確にしめしている場合、ACI−TIPI分析は行わず、「急性心虚血の予測確率」は表示されない。どちらの条件も成り立たない場合、ACI−TIPI分析を実行して、曖昧さを除くことにより臨床医を支援し、急性心虚血の予測確率をECGシステムディスプレイの下部に表示する。ACI−TIPI分析を実行した場合、完全なACI−TIPIレポートは、12誘導ECGレポートの一部として印刷され、および患者データとともに格納および/または印刷される。ACIの確率の予測表示を生成し、患者の至急かつ適切な治療のためのガイダンスとして、EMS応答者に表示する。
図1を参照して、本発明の原理により構成された除細動器/モニタをブロック図に示した。図1に示した機器は、マサチューセッツ州アンドーバーのフィリップスヘルスケアから、MRx除細動器/モニタとして商業的に入手できるものであり、心室細動を起こしている患者の除細動を行うことができる。また、自動除細動分析と心筋梗塞に関する意思決定に必要な心臓モニタリングを含むECGモニタリングを行うことができる。図示したモニタは、SpO2酸素検出、非侵襲的血圧モニタリング、および呼気終末のCO2モニタリングもできる。かかる多機能機器には、その他の侵襲的血圧モニタリングや患者体温モニタリングなどの機能もある。このモニタ/除細動器は複数の患者フロントエンドを有する。これらは患者につけたセンサの入力回路である。この回路は、なかんずく、ECG電極、酸素センサ、圧力検出および二酸化炭素検出用の従来の検出・増幅回路を含む。患者センサ・フロントエンド回路10が受け取った情報は、まだデジタル形式でなければ、フロントエンドA/Dコンバータ12がデジタル化する。デジタル化した情報は、この機器の様々なモジュールの間でデータをやりとり(connect)する通信バス60により、この機器の処理回路に送られる。
本モニタ/除細動器は除細動器として動作するための高電圧回路16を含む。この高電圧回路は除細動に必要な高電圧パルスを発生する。この高電圧パルスは、切り替えロジック14により適切な回数だけ、患者に結合した除細動器電極に送られる。この回路は、心室細動を中断して心臓を通常のリズムに戻すのに必要な高電圧ショックを発生する。除細動のために与えるショックレベルと波形は、モニタ中のプロセッサにより自動的に計算でき、または経験を積んだ医療技術者や医師によりこの機器の制御部でマニュアル設定することもできる。
モニタ/除細動器内のモジュールに供給するパワーはパワー処理回路20により分配される。パワー処理回路20は、バッテリ22、AC電源24、またはDC電源26からのパワーを分配する。AC電源とDC電源は、このモニタがこれらの外部パワー源から供給を受けているとき、バッテリに充電する回路にも結合している。
本機器が取得する情報は、通信回路30により、他の機器や場所に送ることもできる。この通信回路30は、ネットワーク接続、RS232接続、および/またはワイヤレス接続(ブルートゥース、WiFi、赤外線など)を含み得る。
モニタ/除細動器はキーパッド・コントロール32により操作及び調整する。一構成実施形態では、キーパッドは、環境条件に対して完全性(integrity)を提供するメンブレンキーパッドである。オン/オフスイッチなどのコントロール、除細動のためのパワーレベルコントロールやショックデリバリコントロール、プリンタ、その他の機能を設けてもよい。
モニタ/除細動器は中央処理ユニット(CPU)40の制御下で動作する。CPUは、読み出し専用メモリ(ROM)38に記憶された、標準的なECG、ACI−TIPI、及びTPIの分析ソフトウェアを含むソフトウェアを実行する。機能設定や波形情報などの新規または特別機能の制御のためにフラッシュROMも設けられている。患者の発症時に発生した情報を記憶する着脱可能メモリ36を設けている。除細動前後の心臓波形やECG分析レポートなどの患者情報も着脱可能メモリ36に記憶する。この着脱可能メモリ36は、見直し、記録、その後の診断のために、取り外して後継の介護人に渡される。着脱可能メモリ36は、介護者がマイクロホン48に向かってしゃべった音声情報も記録できる。
ビープ音発生器34を用いて、固体音源を駆動し、短い「チャーピング(chirping)」音を発生する。これらの音は、機器に組み込まれた自己診断機能が、バッテリ残量が少ないことや、患者診察回路群に故障があることを検知したことを示すものである。機器の前面には専用パネルがあり、バッテリ残量が少ないことを示すために大きな赤い×印を点滅したり、回路の故障を示すために大きな赤い×印を点灯したりする。
トーン46は、ソフトウェアにより生成され、スピーカ42を駆動するために用いられる。この機能は、各心臓周期に応じて短いトーンを発生するなどの、一定のモニタリング機能の際に用いられる。患者の生命維持に関する測定値が所定の警報限界をはずれると、複数のトーンの組み合わせを用いて警報を発する。スピーカ42は、ボイスアウト回路44に記憶され再生された、事前に録音された音声命令や情報を再生できる。生理的測定パラメータや波形などの患者情報を表示用にディスプレイ50が設けられている。表示画面については後で説明する。またディスプレイ50は、入力データと、本発明によるECG分析、予測ACI−TIPI虚血分析、及びTPI分析の結果とを表示する。ECGストリッププリンタ54は、取得したECGトレースと、ECG分析、ACI−TIPI分析、およびTPI分析の結果とを含むECG出力情報を印刷する。
本発明の一実施形態では、患者のECGデータは、MRx除細動器/モニタのフロントエンド回路10に結合した12誘導ECGシステムにより取得する。ECGデータは、入力データとして、標準ECG分析ソフトウェアプログラム、ACI−TIPI虚血分析ソフトウェアプログラム、およびTPI分析ソフトウェアプログラムに適用される。本発明では、標準ECG分析ソフトウェアは、急性心筋梗塞などの異常な状態を表示し、ACI−TIPIプログラムは、ECGデータから急性心虚血の予測確率を計算する。
従来のプラクティスでは、心臓分析システムは、急性心虚血の予測確率と、確率計算に用いた基準のリストとを含む完全なACI−TIPIレポートを提示している。このアプローチの不都合は、小型の病院前デバイスの場合、画面サイズにより完全なレポートを表示できず、またはユーザはレポートが印刷されるのを待たねばならない。本発明のさらに別の態様では、MRxシステムは、標準的なECG解釈レポートとともに、ACIの予測確率を表示するように構成できる。また、予測値がユーザにより予め設定された閾値以上であれば、その値を背景色に色を付けて強調し、その重要な発見に対して臨床医の注意を引く。このアプローチの優位性は、臨床医が結果をすぐに見て、すぐに介入が必要な患者を特定できる可能性が高いという点にある。
この特徴の一実施形態では、ACI−TIPIオプションを有するMRxシステムのユーザは、取得した12誘導ECGデータにACI−TIPI分析を実行するようにシステムを構成できる。また、ユーザは、それより上だとACI予測が強調される「ACI閾値」を設定できる。これらの設定はMRx除細動器/モニタの内部ファイルシステムに格納される。
MRxシステムは、12誘導ECGのACI−TIPI分析を実行し、レポートの印刷を完了する前に、急性心虚血の予測確率をMRxディスプレイの下部に表示する。予測確率の値が、ユーザが事前に設定したACI閾値より低ければ、黒い背景上に白いテキストで予測確率を表示する。予測確率がACI閾値より大きい場合、赤い背景に白いテキストで予測確率を強調する。これは、患者が緊急カテーテル法などの介入が速やかに必要であることを明確に示す。
レポートは、印刷でき、着脱可能メモリ36の搬送により後でレビューするためにデバイスからエクスポートでき、またはネットワークまたはブルートゥース通信部30と携帯電話により受け入れ先の介護施設に送信して、運び込まれる患者の治療に備えることができる。
ここで図2を参照して、本発明の実施形態に用いるのに好適なECG信号取得システムをブロック図で示す。患者の皮膚に取り付ける複数の電極70が設けられている。通常、電極は、皮膚に貼り付く導電性接着ジェル面を有する使い捨て導体である。各導体は、ECGシステムの電極ワイヤに留め、または挟むスナップまたはクリップを有する。電極70は、電極で受け取った信号を前処理(precondition)する、取得システムのECG取得モジュール62に結合している。電極信号は、一般的に、患者をショックの危険から保護し、患者に除細動をするときにECGシステムを保護する絶縁構成64などにより、ECG処理モジュール66に結合される。一般的に絶縁には光アイソレータが使われる。処理したECG情報を画像ディスプレイに表示、または出力デバイス68によりECGレポートに印刷する。
図3は、典型的なECG分析システムの分析部分を示すブロック図である。ペースパルス検出器72は、ペースメーカを装着している患者のペースメーカが発生する電気的スパイクその他の電気的異常を識別して、除外する。QRS検出器74は、電気的トレースの主要パルスを検出する。図6aは、典型的な正常なECGトレースを示す。Q−R−Sセグメントがそのトレースの主要な電気的パルスを描いている(delineate)ことが分かる。これは左心室の収縮を刺激するパルスである。QRSコンプレックスの描出は、トレースのより小さい乱れを検出する基礎となる。これは波形セグメンタ76により行われる。波形セグメンタは、P波と、S−Tセグメントを含むECGトレースのQないしUセグメントを含む完全なトレースセグメントのシーケンスを描く。ビート分類器78は、各波形を完全に描いて、新しい各ビートを前のビートと比較して、個々の診断のため、正常(規則的)または異常(不規則的)に分類する。ビートの分類により、平均ビート分析器84は、正常な心拍の特徴を画定し、平均的ビートの振幅とセグメント長を86において測定する。ビート分類を用いて、88において、心拍リズムを決定する。
図4と5は、ECGトレース処理の機能を示す図である。図4の左側にあるのは、ECG誘導I、II、V1、V2、V5、およびV6からの一連のECGトレース90である。ビート分類器78は、様々なビートの特徴を比較して、いくつかのビートを正常(N*,0)と分類した。例えば、誘導V5とV6からのすべてのビートは正常と分類されている。この例では、他の4つの誘導(leads)は、心室性期外収縮(PVC,1)の特徴を示すビートを含む。ECGシステムは、92において、正常なビートの特徴を集計し、異常なビートの特徴を除外し、ビートを時間的に整列させて、平均をとって平均ビートを生成する。94におけるトレースは、この例に示した6誘導の場合の平均ビートのトレースを示す。図5において、6誘導の平均ビートトレース94を96において、Q波、R波、及びT波、並びにQRS、ST、及びQTなどの波間区間の振幅及び長さなど様々な特徴について測定する。この測定値は、本例の6誘導の測定値行列98に記録するように図示されている。ECG波及びその測定値を、患者のECG波形に関するレポートを作成するためのレポート作成パッケージを有するオフラインのワークステーションに送ってもよい。ここに記載した実施形態では、MRx除細動器/モニタはオンボードのECGレポーティングパッケージを有する。
本発明の実施形態では、ECG誘導信号(ECG lead signals)を分析してSTセグメントが高くなった、または低くなったパターンを探す。これらのパターンは、梗塞の原因となったかも知れない冠状動脈と支脈の狭窄に関係するものである。図6aの正常なECGトレースでは、STセグメント80の信号レベルはECGトレースの名目基準線であるか、これに非常に近い。冠動脈が完全に塞がると、動脈近傍のリードのSTセグメント82は図6bに示したように高くなる。点線はトレースの名目基準線を示している。STセグメントは100μV以上、上昇し得る。心臓の他の側に近いECGリードは、対応して低下する。この低下を検出して、トレースの上昇との相関を取れば、ST上昇を取って特定できる。STの上昇量は時間と狭窄の程度の関数として変化する。標準解釈レポートを作成するECG分析では、このことを考慮する。
図7は、MRx除細動器/モニタによる、標準ECG分析、ACI−TIPI分析、血栓溶解予測機器(TPI)分析およびレポーティングを示すデータフロー図である。システムは、100において、ECGデータを取得し、102において、前述のように、このECGデータから測定をする。ECG信号のこれらの測定値は測定行列に格納され、104において、標準ECG解釈ステートメントの生成に用いられる。標準解釈ステートメントの場合の、患者の性別や年齢などの入力を示した。110において、これらのステートメントを用いてECGレポートを構成する。また、106において、ECG測定値を他の入力、例えば患者の性別、年齢、胸痛症状情報などと共に用いて、ECGレポート用のACI−TIPIステートメントを生成する。108において、ECG測定値を、患者の性別、年齢、体重データ、及びその他のユーザ入力、例えば発症してからの時間、血圧、高血圧歴、及び糖尿病歴と用いて、TPIステートメントを生成する。これらのステートメントの一部または全部は、110において、レポートに組み込まれ、印刷、電子的に記憶、または送信される。
図8は、条件付きACI−TIPI分析を含む様々なECG分析のシーケンスを示すフローチャートである。ECG分析システムは、112において、患者のECGデータのうち10秒間を取得する。114において、このデータを用いて、上記の通りECG測定をする。システムは、116において、標準的解釈の生成を含む標準ECG分析を行う。標準的ECG分析アルゴリズムは、例えば、マサチューセッツ州アンドーバーのフィリップスヘルスケアが出版したフィリップスDXL ECGアルゴリズム医師用ガイドに記載されている。これは様々なECGの特徴に基づく診断を説明している。システムは、高度分析測定モードを実行するようにユーザが該システムに設定しているかチェックする。高度モードが設定されていなければ、126から156に進み、ECGレポートを表示および印刷する。他の可能性として、ECG分析システムがACI−TIPI分析を常に実行すると設定されていることもある。その場合、システムは、130においてACI−TIPI解釈ステートメントを作成する。ACI−TIPI分析は、0−100%パーセンテージスコアの形式で、急性心筋梗塞の予測確率を計算することにより、狭心症と急性心筋梗塞の徴候を医師が診断できるように支援する。このスコアは、患者の年齢、性別、胸痛状態、および選択されたECG測定値(重大なQ波、STセグメント上昇または下降、及びT波の上昇または反転)の値に重み付けしたものに基づく式により、求められる。式においてこれらの測定値と特徴を用いて、急性心筋梗塞の予測確率を計算する。この式とその計算についてのさらに詳細な事項は、マサチューセッツ州アンドーバーのフィリップスヘルスケアが出版した予測機器の医師用ガイドに記載されている。
ユーザは、システムがACI−TIPIを実行するように設定するのに加えて、TPI分析を実行するようにシステムを設定することもできる。システムは、この設定が選択されると、140において、ACI−TIPI解釈ステートメントを作成し、142において、TPIスクリーニング分析を実行して、提示したECGがTPI分析の候補であるか評価する。システムは、132において、この評価が肯定的であれば、134において、図7を参照して上記したように、TPI入力値を入力するようユーザに促す。本発明のさらに別の一態様では、システムは、136において、ユーザに血栓溶解療法の禁忌を求めてもよい。138において、TPI分析により、TPI解釈ステートメントを作成する。ACI−TIPI分析と同様に、TPI分析においても、0−100%パーセンテージスコアの形式で、患者の発症の予測可能性と、血栓溶解療法に伴うリスクとを計算する。このスコアは、患者の年齢、性別、体重、血圧、虚血症状の発生からの時間、病歴、およびECG波形測定値を重み付けしたものに基づく式を用いて生成する。TPI分析に関する詳細は、上記の予測機器医師用ガイドに記載されている。本発明の原理では、ユーザがシステムに条件付きACI−TIPI分析を設定すると、システムは、120において、標準的ECG分析によりECGが正常であるか調べる。システムは、その答えが「NO」であると、122において、標準分析の結果が急性心筋梗塞を示しているかチェックする。これに対する答えも「NO」であれば、124において、ACI−TIPI分析を実行する。
本発明のさらに別の一態様では、上記の分析が終わって、ACI−TIPI分析により急性心筋梗塞の予測確率が計算され、150において、所定の閾値より大きいことが分かると、154において、ACIメッセージの背景を赤色に設定し、医師の注意を引くように強調する。予測確率が閾値より低ければ、152において、ACIメッセージの背景を黒色に設定する。156において、レポート画面がECG分析システムのディスプレイ上に表示され、必要に応じて、160において12誘導ECGレポートが印刷される。
以下の図面は、本発明により作成される、レポート画面と印刷レポートの例を示す。図9は、標準ECG解釈の結果、急性心筋梗塞が明確に診断された場合に作成されるレポート画面170を示す。この結果が作成されるのは、適切に診断されたECGに標準的解釈を行い(図8のボックス126)、または図8において条件付きACI−TIPI分析経路を実行し、ECGに異常があることが分かり(120において「NO」)、標準的解釈により急性心筋梗塞が診断された(122で「YES」)場合のみである。標準的分析により患者が急性心筋梗塞であると判断されたので、ACI−TIPI分析は実行されない。レポート画面170には、画面の左側に関連する患者のECG測定値が示され、画面の上部中央に具体的な診断が示され、その結果の判断「異常ECG」が画面の下部中央に示され、最終的な診断である「急性心筋梗塞」が画面の下部に示されている。図10に示すように、ECGトレース(図示せず)の印刷に次いで、対応するレポートがECGストリップ172に印刷される。
図11は、条件付きACI−TIPI分析経路を通った場合のレポート画面174を示している。この場合、標準的分析によりECGに異常がある(120で「NO」)ことが分かっているが、データが十分でなく、標準分析では急性心筋梗塞の判断が明確にできない(122で「NO」)。図では、標準分析により、画面の上部に「ボーダーライン上のST上昇」であり、「ボーダーライン上のECG」であるとの最終判断が報告されている。これらの条件の下、124において、ACI−TIPI分析が実行され、この場合、ACI−TIPI分析により、画面の下部に示されているように、「急性虚血の予測確率60%」ことが分かる。臨床医には、急性虚血があるとの明確な表示が為される。図13aと13bは、この患者の印刷レポートの一部を示した。図13aのセグメント180は、標準ECG分析による印刷レポートを示す。図13bのセグメント182は、ACI−TIPI分析の印刷レポートを示す。これは、確率を決定する際に重み付けした患者の特徴も含む。
図12は、図8のACI−TIPI分析経路のどれかを辿った結果であるレポート画面176を示す。この例では、ユーザは予測確率の閾値を75%に設定し、これを超えると、ECG分析システムは確率を強調して表示する。図から、レポート画面176は、急性虚血の予測確率が82%であると報告しており、これは所定閾値を超えている。この場合、ボックス150と154により、最終的な診断が医師の注意を引くようになっている。予測確率と急性心筋梗塞の診断の両方が、背景178が強調されて表示される。
図14は、ACI−TIPI分析がシーケンスにより強制的に実行される場合に生じ得る問題を示すレポート画面182を示す。この場合、標準ECG分析によりECGに異常があると分かり、画面下部に示したように「急性心筋梗塞」であると判断されている。ACI−TIPIも実行され、急性虚血の予測確率は37%である。臨床医は患者をいかにトリアージするか、急性心筋梗塞なのか否か、困惑してしまう。条件付きACI−TIPI分析経路は、標準的分析で結論が出ないときのみACI−TIPI分析を実行するものであり、この問題の発生を防ぐ。
図8のECG分析シーケンスでは、血栓溶解予測機器(TPI)分析も実行して、抗凝血剤などの血栓溶解療法で治療した場合の患者のリスクと結果を評価する際に、医師を支援する。図7に示し、図8を参照して上記したように、TPI分析では、患者に関する一定の情報を用いる。この患者情報は、図8のボックス134に記載し、図15の表示画面19により示したように、ユーザによりECG分析システムに入力される。すなわち、この患者データがシステムに入力される。本発明のさらに別の一態様では、ユーザは、血栓溶解療法を受ける前に考慮すべき、血栓溶解療法の禁忌を提示される。これは、図16のディスプレイ画面192に示されている。これにおいて、この例では、ユーザは、「YES」、「NO」、または「分からない」で回答できる、考慮すべき要素のリストを提示される。図16は、9個の要素のリストを示しており、そのうちの1つはユーザによる応答のため強調されている。禁忌の要素のリストは、最初にユーザに提示されたとき、すべての回答が「分からない」と表示されている。このように、その情報を有している場合、リスト中のどの質問に「YES」または「NO」で答えるべきか、ユーザには一目で分かる。
本発明のさらに別の一態様では、禁忌のリストはユーザがプログラムできる。医療機関は、所属する医師に、例えば、一定の禁忌のみを検討して欲しいと考え、または特定の禁忌を常に検討して欲しいと考えるかも知れない。これらの禁忌は、所属する医師にその禁忌が常に提示され、検討されるように、図16のECG分析システムリストに選択的にプログラムできる。例えば、一実施形態では、デフォルトの禁忌リストを有するシステムが製造者から納入される。デフォルトの禁忌リストは次の通りであるとする:
1.右腕と左腕のシステム血圧差>15mmHg
2.構造的中枢神経系疾患歴
3.過去3ヶ月以内の重大な閉鎖性頭部/顔面外傷
4.過去6ヶ月以内の重大な外傷、手術、GI/GU出血
5.抗凝血剤による出血や凝固問題
6.10分より長いCPR
7.妊娠中の女性
8.重大な全身性疾患
9.肺水腫
10.ショックの徴候
リストを編集したいユーザは、図16に示したように、現在の禁忌のリストを表示して、画面上の編集ボタンをクリックし、特殊な設定モードに入る。ユーザは、リストを編集して所望の禁忌を含めた後、編集したリストを保存して設定モードを出る。その後、ユーザには、禁忌画面を用いるたびに、カスタマイズした禁忌が提示される。ユーザは、デフォルトの禁忌を、変更、削除、所望の禁忌要素での置き換え、または補充をできる。所望の禁忌要素は、例えば、次のものである:
−心臓発作や脳手術歴
−何らかの激しい外傷
−抗凝固剤療法(クマディン、ワルファリン、ヘパリン)
−既知の出血問題
−最近12ヶ月間のGI出血
−最近2ヶ月間の手術
−末期癌
−重大な肝臓病または腎臓病
このように、医師や医療機関は、禁忌のリストをカスタマイズして、患者に対する最良かつ最適なケアのために検討したい要素(factors)に合わせることができる。
1.右腕と左腕のシステム血圧差>15mmHg
2.構造的中枢神経系疾患歴
3.過去3ヶ月以内の重大な閉鎖性頭部/顔面外傷
4.過去6ヶ月以内の重大な外傷、手術、GI/GU出血
5.抗凝血剤による出血や凝固問題
6.10分より長いCPR
7.妊娠中の女性
8.重大な全身性疾患
9.肺水腫
10.ショックの徴候
リストを編集したいユーザは、図16に示したように、現在の禁忌のリストを表示して、画面上の編集ボタンをクリックし、特殊な設定モードに入る。ユーザは、リストを編集して所望の禁忌を含めた後、編集したリストを保存して設定モードを出る。その後、ユーザには、禁忌画面を用いるたびに、カスタマイズした禁忌が提示される。ユーザは、デフォルトの禁忌を、変更、削除、所望の禁忌要素での置き換え、または補充をできる。所望の禁忌要素は、例えば、次のものである:
−心臓発作や脳手術歴
−何らかの激しい外傷
−抗凝固剤療法(クマディン、ワルファリン、ヘパリン)
−既知の出血問題
−最近12ヶ月間のGI出血
−最近2ヶ月間の手術
−末期癌
−重大な肝臓病または腎臓病
このように、医師や医療機関は、禁忌のリストをカスタマイズして、患者に対する最良かつ最適なケアのために検討したい要素(factors)に合わせることができる。
図17a、17b、および17bは、TPIの結果が印刷された3つのECGストリップセグメントを示す。図17aのセグメント194は、TPI分析のために入力された患者データを示す。図17bのセグメント196は、TPIステートメントとしてTPI分析の結果、すなわち抗凝血剤でこの患者を治療したときの予測される結果を示す。図17cのセグメント198は、医師が考えた禁忌要素と、禁忌に関する質問に対してシステムに入力された答えとを示している。
本発明のMRxシステムの実施形態では、上記の印刷レポートの情報はすべて、図1のボックス30に示したブルートゥース通信により、他のコンピュータベースの機器に電子的に送信することもできる。
Claims (15)
- 患者のECGデータを分析するECG分析システムであって、
ECGデータを分析して、心筋梗塞の徴候があるか示す結果出力を生成するように構成された標準ECG分析プロセッサと、
患者特徴データに応じ、患者特徴データとECGデータとを分析して、心筋梗塞の確率を示す結果出力を生成するように構成された虚血予測インジケータプロセッサと、
前記ECG分析プロセッサの結果出力により前記虚血予測インジケータプロセッサの動作を調整するプロセッサシーケンス設定とを有するECG分析システム。 - 前記プロセッサシーケンス設定は、前記標準ECG分析プロセッサの結果出力が、急性心筋梗塞があること、またはECGが正常であることを示すとき、前記虚血予測インジケータプロセッサの結果出力をユーザに提示させない、
請求項1に記載のECG分析システム。 - 前記標準ECG分析プロセッサの結果出力と、前記虚血予測インジケータプロセッサの結果出力とを表示するディスプレイをさらに有する、
請求項2に記載のECG分析システム。 - 前記標準ECG分析プロセッサの結果出力と前記虚血予測インジケータプロセッサの結果出力とを含むECG出力データを印刷するように構成されたECGストリッププリンタをさらに有する、
請求項2に記載のECG分析システム。 - 前記ディスプレイ上で前記虚血予測インジケータプロセッサの結果出力を強調表示する閾値をユーザが設定できる確率閾値設定をさらに含む、
請求項3に記載のECG分析システム。 - 前記標準ECG分析プロセッサの結果出力にかかわらず、前記虚血予測インジケータプロセッサの結果出力をユーザに提示させる第2のプロセッサシーケンス設定をさらに有する、
請求項1に記載のECG分析システム。 - 血栓溶解療法のあり得る結果を示す結果出力を生成する血栓溶解療法予測インジケータプロセッサをさらに有し、
前記血栓溶解療法予測インジケータプロセッサが、前記患者ECGデータが血栓溶解療法予測分析に適していることを示すとき、前記虚血予測インジケータプロセッサの結果出力と前記血栓溶解療法予測インジケータプロセッサの結果出力とをユーザに提示させない第3のプロセッサシーケンス設定をさらに有する、
請求項1に記載のECG分析システム。 - 前記プロセッサシーケンス設定は、前記標準ECG分析プロセッサの結果出力が、急性心筋梗塞があることを示さないとき、前記血栓溶解療法予測インジケータプロセッサの結果出力をユーザに提示させない、
請求項1に記載のECG分析システム。 - 前記ディスプレイは、さらに、前記ECG分析システムに患者特徴データを入力するユーザ制御に応じる、
請求項3に記載のECG分析システム。 - 患者ECGデータを分析する方法であって、
標準ECG分析プロセッサでECGデータを分析して、心筋梗塞の徴候があるか示す結果出力を生成する段階と、
前記標準ECG分析プロセッサにより分析した前記ECGデータの結果出力に基づき調整して、虚血予測インジケータプロセッサで患者特徴データとECGデータとを分析して、心筋梗塞の確率を示す結果出力を生成する段階と、
1つ以上の結果出力を表示する段階とを有する、方法。 - 前記虚血予測インジケータプロセッサが使用する患者特徴データを入力する段階をさらに有する、
請求項10に記載の方法。 - 急性心筋梗塞があることを前記標準ECGプロセッサの結果出力が示すとき、前記虚血予測インジケータプロセッサで分析する段階を抑止する、
請求項10に記載の方法。 - 急性心筋梗塞があることを前記標準ECGプロセッサが示すとき、表示する段階は前記標準ECGプロセッサの結果出力のみを表示する、
請求項10に記載の方法。 - 急性心筋梗塞があるか前記標準ECGプロセッサの結果出力が確実ではないとき、表示する段階は、前記標準ECGプロセッサの結果出力と前記虚血予測インジケータプロセッサの結果出力とを両方とも表示する、
請求項10に記載の方法。 - 表示する段階は、ビデオディスプレイと印刷ECGストリップとの少なくとも一方に1つ以上の結果出力を表示する、
請求項10に記載の方法。
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