より新しい設計及び製造技術は、電子部品の寸法を小さくするとともに、多くの通信装置及びシステムを小型化してきた。あいにく、アンテナは、比較レベルでサイズが小さくされておらず、しばしば、小型の通信装置で使用される大きめの部品の1つとなる。
アンテナサイズは周波数増大により波長を縮小化することによって低減され得るが、波の伝播、増大した受信開口、ビーム幅、又は、簡単に配置のために、周波数が低い方が有利である。サイズが小さくなるにつれて放射抵抗が無限大に近づくスロットタイプのアンテナでさえ、近接効果による導体損失によって制限される。従って、周波数を下げることなくアンテナサイズを小さくすることが望まれるが、最小面積で最大利得を有しながらサイズが低減されたアンテナを設計及び製造することは困難である。
現在の日常的な通信装置においては、装荷ホイップ(loaded whips)アンテナ、銅バネアンテナ(copper springs)(コイル及びパンケーキ)を含む多種態様な構成がアンテナとして使用されており、それらは多種多様な方法で使用されている。パッチ(patch)アンテナは、製造の容易さのためにプリント回路基板(PCB)構成を利用してよく、チップ(chip)アンテナは、PWBに実装される部品であってよい。
アンテナは、電流のカール及びダイバージェンスに対応する2つの種類(ループ及びダイポール)に分けられ得る。カノニカル(canonical)アンテナは、ループ及びダイポールの円及び直線実施形態である。ループとダイポールとの間の複合型アンテナは螺旋形及び弦巻線を有してよい。広く知られているユークリッド配置は、2つの点(線)の間の最短距離や、周囲(円)の最大面積等の利点を有し、それらは、より低い導体損失、より高い放射抵抗、増大した指向性等のために優先的なアンテナ形状でありうる。
ループアンテナは、インダクタよりもむしろキャパシタとの共振にロードされ得る場合、電気的に小さいアンテナ要件のために特別の有用性を有してよい。現在、アンテナ設計者は、室温で導体よりも絶縁体をより良く提供されるので、キャパシタはインダクタよりも低い損失を有することができる。従って、ループアンテナは、最も効率的なサイズでアンテナ構成において必要なインダクタを有する。また、ループアンテナは、装着式の用途のために、誘電加熱を引き起こさない磁気放射近接場により、又は低周波での低減された電磁気干渉(EMI)ピックアップのために、利点に恵まれうる。
携帯電話機等の携帯通信に関し、アンテナは、金属シャーシ又はバッテリの近くに配されることがある。その場合、グランドプレーン(ground plane)動作が有利でありうる。グランドプレーン・アンテナの一例は携帯型無線機のためのモノポール又はホイップであり、ホイップ及び無線シャーシはともにアンテナシステムを形成してよい。ホイップアンテナはより良く知られる、ループアンテナのイメージプレーン(image plane)フォームは、導電アーチ、すなわちハーフループを有してよい。ハーフループアンテナは、グランドプレーン動作を可能にしながら、ループアンテナの利点を共有する。
従来技術のアンテナの例には、米国特許第6252561号明細書(特許文献1)がある。特許文献1は、第1の面及び第2の面を有する誘電体基板を有する無線LANアンテナを対象とする。誘電体基板の第1の面は矩形ループを有する。矩形接地銅フォイル(foil)は、矩形ループ内に取り付けられている。信号供給銅フォイルが更に含まれる。信号供給銅フォイルの一方の端部は、矩形ループ及び接地銅フォイルに接続されており、一方、信号供給銅フォイルのもう一方の端部は、矩形ループの他の端部を横切って通っている。更に、背面銅フォイルの層は、プリント回路基板の裏側にめっきされている。この裏側銅フォイルは、前面部におけるループの半分を覆う。接地銅フォイルの横寸法の調整は、アンテナの給電構成に対するアンテナのインピーダンス整合を達成する。
また、米国特許第6590541号明細書(特許文献2)は、接地面の上に位置付けられたアンテナハーフループを有するハーフループアンテナを対象とし、アンテナハーフループは、凸状の閉曲線を形成する外縁を有する領域を形成する。導体ハーフループは、その端部にある点に向かって次第に細くなる楕円の形状を有し、導体ハーフループのフィードイン点では、バネとして形成されたインダクタンスが挿入されてよい。
以下、本発明について、本発明の好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照して、より完全に記載する。なお、本発明は、多種多様な形態で具現されてよく、ここで記載される実施形態に限定されると解されるべきではない。むしろ、それらの実施形態は、本開示が詳細且つ完全であり、本発明の適用範囲を当業者に十分に伝えるように、提供される。同じ参照符号は、代替の実施形態で同じ要素を示すよう、初めから終わりまで同じ要素を表す。
本発明は、パーソナルコンピュータ若しくはパーソナルデジタルアシスタント(PDA)における無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)アンテナ又はパーソナル通信装置用のチップアンテナとして使用されるような、小さい面積に対して所望の利得を有する薄パッチアンテナ又はチップアンテナを対象とする。アンテナの様々な実施形態は、セキュリティ、追跡又は識別タグ、携帯電話機、及び小型プリントアンテナを必要とするその他装置においても使用され得る。アンテナは、平面形状を有するインダクタタイプのアンテナとして考えることができる。アンテナ素子は、低減された又は最小のサイズで最適な利得を得るよう、形状が弓状又は半円状であってよい。本発明は、整合変圧器、バラン、負荷キャパシタ、及び1又はそれ以上の弓状の要素による放射素子を含む複合設計アンテナを構成する方法を提供してよい。
最初に、図1〜3を参照して、本発明に従うアンテナ10の第1の実施形態が記載されている。アンテナ10は、単一の弓状の要素を利用してよい。アンテナ10は誘電体基板12を有し、誘電体基板12は、第1及び第2の相対する側面14、16と、誘電体基板12の複数の導電トレース18とを有する。トレース18は、相隔たった第1及び第2の端部22、24を有し、誘電体基板12の第1の側面で弓状経路に沿って延在するハーフループアンテナ素子20を定義するよう構成される。ハーフループアンテナ素子20は、動作周波数で外周において電気的に小さい(例えば、0.02から0.2)波長であってよい。
第1及び第2のベースストリップ26、28は、例えば導電ビア30を介して、互いに電気的に接続されており、ハーフループアンテナ素子20の相隔たった第1及び第2の端部22、24に隣接して誘電体基板12の第1及び第2の相対する側面14、16の夫々で整列されている。フィードストリップ32は、誘電体基板12の第2の側面16にあり、ハーフループアンテナ素子20の第1の端部24と整列されて、駆動点ビア40によって第1の端部24に電気的に接続されている。
表されている実施形態では、一対の容量素子34、36がハーフループアンテナ素子20に付随する。容量素子34、36又は同調機能は、導電性ハーフループアンテナ素子20を共振させるよう動作する。容量素子34、36の夫々は、容量結合を有して、導電性ハーフループアンテナ素子20において、トリマーキャパシタ等のディスクリート受動素子であっても、又はプリントキャパシタ若しくはギャップであってもよい。かかるギャップは、当業者に明らかなように、所望のキャパシタンスを与え且つ所望の抵抗を確立するよう比較的小さい。例示的に、容量素子34、36は、夫々、第1のベースストリップ26とハーフループアンテナ素子20の第1及び第2の端部22、24との間に結合されている。他の実施形態では、1つの、又は2よりも多い容量素子が使用されてよい。
複数の第1の導電ビア30は、第1及び第2のベースストリップ26、28を電気的に接続し、1つの第2の導電ビア40は、フィードストリップ32とハーフループアンテナ素子20の第1の端部24とを電気的に接続する。導電ビア30、40はめっき穴であり、第1及び第2のベースストリップ26、28、フィードストリップ32、及びハーフループアンテナ素子20を定義する夫々の導電トレース18から誘電体基板12を通って延在してよい。当然、他の同様のコネクタが使用されてよい。
フィードストリップ32及び第2のベースストリップ28の隣接する部分は、例示的に、誘電体基板12の第2の側面16で、それらの間にギャップ42を定める。また、誘電体基板12は、例示的に、平面誘電体基板を有する。
ここで、単一の弓状の要素から成る図1の実施形態に係る動作の理論について記載する。図3は、図1及び図2のアンテナ10の実施形態に従う等価回路モジュール50の概略図である。この図を参照して、容量素子36はC2に対応し、容量素子34はC1に対応する。望ましくは、ハーフループアンテナ素子20は、波長に関して比較的小さく、例えば、固有振動を下回り、低い放射抵抗及び誘導的な駆動点共振を示す(例えば、Z=0.2+j100Ω)。キャパシタ34、36は、当業者に認識されうるように、例えば50オームに対するインピーダンス整合を提供するよう構成される。
ハーフループアンテナ素子20の電気的長さの短さは、C1、C2の組み合わせが、駆動点においてC1が直列でありC2が並列であるキャパシタL回路網として近似されることを可能にする。共振式F=1/2π√(L1Ctotal)は、動作周波数を計算するために使用されてよい。ここで、L1は、ハーフループアンテナ素子20のインダクタンスであり、Ctotalは、直列キャパシタンス式Ctotal=1/[(1/C1)+(1/C2)]に従って、直列なC1、C2(容量素子34、36)により求められる正味のキャパシタンスである。得られる抵抗はC1/C2の比に応じて変化する。当業者には知られているように、C1、C2の値を計算するために、スミスチャートも使用されてよい。
再び図3を参照して、Rrは、ループアンテナ素子20の放射抵抗を表し、RIは、導体損失抵抗を表す。アンテナ効率は、実際にはキャパシタC1、C2での損失は小さく無視可能であるから、η=Rr/(Rr+RI)によって推定され得る。その場合に、アンテナ利得は、G=10log101.5η=10log10[(1.5Rr)/(Rr+RI)]dBiによって近似されてよい。ここで、ηは効率であり、小さなループアンテナの指向性は約1.5であり、利得は指向性Dと効率ηとの積である。大きなグランドプレーン又は無線機シャーシに対する動作は、当然に、実現される利得に影響を及ぼしうる。無限なグランドプレーンは、指向性及び利得において3dBの増大をもたらすが、一般に、グランドプレーンのサイズが小さくなるほど増大量は小さくなる。
本発明の図1の実施形態は、周波数調整がC1及びC2の両方の値を変更して再整合させることを必要とするデュアル制御チューニングに係る。図1を参照して、最良の効率及び利得は、a=0.78bであるときに、試作品において得られた。これは、ハーフループアンテナ素子20の導電トレースが狭くなり過ぎる場合には導体抵抗損失が過剰となり、ハーフループアンテナ素子20の導体トレースが広くなり過ぎる場合には導体近接効果が起こるためである。導体近接効果は、最大の効率及びQのために巻線間に間隔を必要とするコイルインダクタに関して当業者によって十分に理解され得る。
図4〜6を参照して、アンテナ100の他の実施形態について記載する。アンテナ100は、2つの弓状の要素を使用してよい。これは、広い帯域幅にわたる単一制御同調のために特に好ましい。アンテナ100は、第1及び第2の相対する側面104、106を有する誘電体基板102を有し、更に、誘電体基板12の上に複数の導電トレース108を有する。トレース108は、相隔たった第1及び第2の端部122、124を有し、誘電体基板102の第1の側面104で弓状の経路に沿って延在するハーフループアンテナ素子120を定義するよう構成される。
第1及び第2のベースストリップ126、128が、例えば導電ビア130を介して、互いに電気的に接続されており、また、それらは、ハーフループアンテナ素子120の相隔たった第1及び第2の端部122、124に隣接して誘電体基板102の第1及び第2の相対する側面104、106で整列されている。フィードストリップ132は、誘電体基板102の第2の側面106にあり、ハーフループアンテナ素子の第1の端部124と整列され、第1の端部124と、例えば導電ビア140を介して、電気的に接続されている。フィードストリップ132は、当業者によって理解されるように、その遠位端部で、例えばマイクロストリップトレース又は同軸フィード等の外部伝送(図示せず。)と接続されてよい。
複数の導電トレース108は、更に、第1のベースストリップ126と電気的に接続されている相隔たった第1及び第2の端部152、154を有し、誘電体基板102の第1の側面104でハーフループアンテナ素子120から隔たってハーフループアンテナ素子120を囲む第2の弓状経路に沿って延在する外部アンテナ放射素子150を定義するよう構成される。アンテナ放射素子150は、優先的に、電気的に小さく、例えば、動作周波数でその外周に沿って0.02及び0.20波長である。容量素子156は、例えば外部アンテナ放射素子150のギャップにわたって、外部アンテナ放射素子150の中心部に位置付けられている。容量素子156は、固定キャパシタ、機械的に可変なキャパシタ、又はバラクタダイオードであってよい。ハーフループアンテナ結合120の第2の端部124は、誘電体基板102の第1の側面104で第1のベースストリップ126と電気的に接続されている。
この実施形態では、ハーフループアンテナ結合素子120は、内部磁気結合フィードリングを定め、広帯域カプラーの機能を果たし、非共振である。外部アンテナ放射素子150は、アンテナ100の動作の間、共振して放射する。ハーフループアンテナ結合素子120は、非共振であり且つ放射体である。また、フィードライン共通モードの低減のためのバラン機能が、ハーフループアンテナ結合素子120によって提供されてもよい。この効果は、低周波実施から当業者によって理解される絶縁変圧器と同様である。
図6は、図4及び図5の2つの弓状要素に係る対応する回路160の概略図であり、この回路160に関し、以下、動作の理論を記載する。図4を参照して、外部アンテナ放射素子150は、電気的に小さく、誘導的であり、容量素子156によって共振させられる。それは、電気的に小さいループアンテナ(すなわち、グランドプレーンが用いられる場合はハーフループアンテナ)として放射する。電気的に小さいサイズに起因して、外部アンテナ放射素子150の放射抵抗は、例えば、実際上約0.01から0.3Ωの間と、ほとんどの目的のために低くてよい。従って、ハーフループ結合素子120は、低い放射抵抗をより高い値(例えば、50Ω)とするために、アンテナ放射素子150のための広帯域カプラーとして機能するよう含まれてよい。外部アンテナ放射素子150及びハーフループ結合素子120は、それらの重なり合う開口と、共通する放射磁気近接場とにより結合し、例えば、ハーフループ結合素子120は、変圧器の一次巻線と同様であり、アンテナ放射素子150は、変圧器の二次巻線である。
50Ω又は他の所望の駆動抵抗は、アンテナ放射素子150に対してハーフループ結合素子120のサイズを変えることによって、実際上、容易に達成される。変圧器は事実上広帯域であるから、アンテナ100は広帯域単一制御チューニングを提供し、10から1のチューニング範囲が、実際上、単に容量素子156の値の変化によって、2から1を下回るVSWRを有して、本アプローチにより達成されている。チューニング範囲(ΔF)は、容量素子156での容量変化(ΔC)の平方根であり、例えば、ΔF=√(ΔC)である。これは、コモン共振式F=1/2π√(LC)から得られる。ハーフループ結合素子120における金属導体損失は、ハーフループアンテナ素子120が、例えば50Ωの比較的高い回路インピーダンスで動作しうるので、ほとんどの場合に小さい。
引き続き図4を参照して、試作品において、外部アンテナ放射素子150から最良の放射効率及び利得性能を提供するトレース幅は、d=0.78cであるときであってよい。50Ω駆動インピーダンスを得るためのハーフループ結合素子の半径寸法は、e=0.35c及びf=0.31cである。ハーフループ結合素子120のトレース幅は、アンテナ放射素子150の近接場をシェーディングすること及び放射抵抗を下げることを回避するよう、優先的に、むしろ狭い。
表1は、本発明の図4及び図5の実施形態の例及び試作品の動作パラメータを提供する。
ここで図7〜9を参照して、アンテナ200の他の実施形態について記載される。アンテナ200は、3よりも多い弓状の要素を用いてよく、ディスクリート部品キャパシタを用いない動作を可能にする。従って、実施形態200は、非常に薄く且つ平面であり、実際上厚さが約0.003インチ(7.6×10
−5メートル)であってよい。アンテナ200は、第1及び第2の相対する側面204、206を有する誘電体基板202を有し、更に、誘電体基板202の上に複数の導電トレース208を有する。トレース208は、相隔たった第1及び第2の端部222、224を有し、誘電体基板202の第1の側面204で弓状の経路に沿って延在するハーフループアンテナ素子220を定義するよう構成される。
第1及び第2のベースストリップ226、228が、例えば導電ビア230を介して、互いに電気的に接続されており、また、それらは、ハーフループアンテナ素子220の相隔たった第1及び第2の端部222、224に隣接して誘電体基板202の第1及び第2の側面204、206の夫々で整列されている。フィードストリップ232は、誘電体基板202の第2の側面206にあり、ハーフループアンテナ素子220の第1の端部224と整列され、第1の端部224へ、例えば他の導電ビア240を介して、電気的に接続されている。
複数の導電トレース208は、更に、相隔たった第1及び第2の端部276、278、280、282を夫々有し、誘電体基板202の第1の側面204でハーフループアンテナ素子220から隔たってハーフループアンテナ素子220を囲む第2の弓状経路に沿って延在する内部及び外部アンテナ結合素子272、274を定義するよう構成される。内部アンテナ結合素子272の第1の端部276及び外部アンテナ結合素子274の第2の端部282は、第1のベースストリップ226に、その相対する端部に隣接して電気的に接続されている。
内部及び外部アンテナ結合素子272、274はともに容量素子を定める。例えば、両方の素子は、互いに対するキャパシタプレートとして働き、結合される電気的に小さいアンテナ構成を共振させる。内部及び外部アンテナ結合素子272、274は両方とも同時に同相で放射し、単一の電気的に小さいハーフループアンテナを有効に形成する。また、内部及び外部アンテナ結合素子272、274の間の分布キャパシタンスは、当業者によって理解されるように、隣接する誘電体、人、構成等に対しチューニングを安定させることができる。更に、更なるアンテナ結合素子が、望まれるようにアンテナサイズを低減し又は動作周波数を低めるために加えられてよい。
図9は、図7及び図8のアンテナ200の実施形態に係る対応する回路260の概略図である。これらの図を参照して、3つの弓状の要素を用いる実施形態に係る動作の理論は、ディスクリートチップキャパシタ(容量素子156)が削除され、外部アンテナ結合素子274によって置換されている点を除いて、2つの要素を用いる図4の実施形態と同様である。内部及び外部アンテナ結合素子272、274の間の分布キャパシタンスは、そのままで容量素子156を形成する。数的電磁気ソフトウェアモデル(例えば、ペンシルバニア州ピッツバーグにあるアンソフト・コーポレーションによるAnsoft High Frequency Structure Simulator(HFSS))が、この実施形態のために動作周波数を予測し且つスケーリングするために使用されてよい。カリフォルニア州サンタクララにあるアジレント・ラボラトリによるMomentum planar EM structure simulatorも使用されてよい。網掛け密度(meshing density)の考え方は、小型のアンテナにおいて効率予測を問題があるものとし、このパラメータに関しては、回路等価計算が好ましい。
PWBパターン/アンテナ設計がアンテナ200のために確立されると、アンテナのための全体的なPWMアートワークは、他の周波数のための設計を達成するよう、線形にスケーリングされてよい(例えば、全体的にリサイズされる。)。アンテナサイズは周波数の逆数であるから、アンテナ200のサイズを2倍にすると、周波数は1/2だけ下がり、他の全てのパラメータは一定に保たれる。周波数に対する微調整は、特に自由端での、内部及び外部アンテナ結合素子272、274の部分のアブレーションによって達成されてよい。内部及び外部アンテナ結合素子272、274は、最大負荷効果のために試作品において近くに配置されており、多数の弓状の素子を用いて、相互嵌合された負荷キャパシタがそのままで有効に形成される。例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は液晶ポリマー(LCP)等の低損失PWB材料が、3よりも多い弓状の要素を用いる実施形態のために好ましい。本発明の単一の及び複数の弓状の要素を用いる実施形態は、損失の多いPWM材料における使用に関して利点に恵まれている。一般に、銅が内部及び外部アンテナ結合素子272、274のための好ましい材料である。銀は最良の室温導体であるが、銅に対する利得の利点は実際上無視可能である。共振放射弓状要素における如何なる接続も適切にはんだ付けされるべきである。電気的に小さい実施形態において、Δη=√(Δσ)であり、例えば、放射効率は導体の導電率の平方根により変化する。
ここで、本発明の放射パターンについて考える。図10は、IEEE標準規格145−1973の放射パターン座標系において本発明の図4の(2つの弓状要素を用いる)実施形態を表す。図11は、本発明の図4の例及び試作品の測定されたXY切断放射パターンの極座標プロットである。図12は、本発明の図4の例及び試作品の測定されたYZ切断放射パターンの極座標プロットである。いずれの放射パターンもEφ場成分に関し、利得単位はdBi、すなわち、仮想的な等方性アンテナに関するデシベルである。
明らかなように、XY平面パターンは、おおよそ円形であり、全方向性であり、YZ平面パターン形状は、おおよそcos2(θ+90°)であり、例えば、2花弁ローズである。ZY平面放射パターン(図示せず。)は、同様に、cos2(θ+90°)であり、例えば、2花弁ローズである。このように、本発明の放射パターンの例の形状は、小ダイポールと同様であり、それらは、多くの目的にとって十分でありうる。本発明の極性は実質的に線形であり、Eφ、例えば、放射平面波の電界は、実質的に、図10の座標系のφ方向にある。放射パターン測定は図4の(2つの要素を用いる)実施形態に係るが、他の実施形態(単一の弓状要素、3つの弓状要素、等)のための放射パターン形状は同じか又はほぼ同じである。
サイズに対して良好な利得を提供することに加えて、本発明は、利得トレードを有して、サイズ及び周波数のほぼあらゆる組み合わせを実施されるという利点を有する。図13は、近似値として異なったサイズ及び周波数における本発明の利得トレードに係るグラフである。サイズパラメータは、インチでのアンテナ外径(例えば、外部の弓状放射要素がある虚円の直径)であり、図1を参照して、アンテナ外径dは大きさbの2倍に等しい(d=2b)。−50dBiトレードは、周辺ノイズレベルが高い場合に、低周波受信のみの要求に有用でありうる。最小サイズにおける利得トレードは、銅の室温導体抵抗から生じ、先に述べたような小型のアンテナに対する本質的限界である。
当然、本発明は、概して、電気的に小さいアンテナ要求を対象としている。小さいサイズは、プラスの利得値にとって望ましい。実現される利得は、グランドプレーン又は自由空間環境、PWB材料、導体被覆、キャパシタQ等により、図13の値の僅かに上下に変化する。本発明の利得は、最大サイズで漸近的に1.7dBiに近づく。引き続き図13を参照して、点310は、サイズ及び周波数に関して表1の例及び試作品の測定された利得を表す。
例えば、記載される実施形態で説明されるような、この小さく且つ効率的なチップアンテナ設計は、携帯電話機、ページャー、ワイドローカルエリアネットワークカード、GSM/地上モバイル通信、TVアンテナ、及び高周波無線システムといった一般的な消費家電用途を含む無線周波数通信を含め、多種多様な無線製品で使用可能である。アンテナは、隣接する金属面、グランドプレーン等の有無にかかわらず動作する。
方法態様は、図1〜9の上記実施形態を参照して記載される。方法は、相隔たった第1及び第2の端部22/24、122/124、222/224を有し且つ誘電体基板12、102、202の第1の側面14、104、204で弓状の経路に沿って延在するハーフループアンテナ素子20、120、220を定義するよう誘電体基板の第1及び第2の相対する側面14/16、104/106。204/206で複数の導電トレース18、108、208を形成するステップを有するアンテナ製造方法を対象とする。
第1及び第2のベースストリップ26/28、126/128。226/228は、互いに電気的に接続され、ハーフループアンテナ素子20、120、220の相隔たった第1及び第2の端部に隣接して誘電体基板の第1及び第2の相対する側面の夫々で整列される。フィードストリップ32、132,232は、誘電体基板の第2の側面にあり、ハーフループアンテナ素子の第1の端部と整列され、該第1の端部に電気的に接続される。方法は、ハーフループアンテナ素子20、120、220に付随する少なくとも1つの容量素子34/36、156、272/274を定めるステップを有する。
方法は、少なくとも1つの第1の導電ビア30、130、230により第1及び第2のベースストリップを電気的に接続するステップと、少なくとも1つの第2の導電ビア40、140、240によりハーフループアンテナ素子の第1の端部とフィードストリップとを電気的に接続するステップとを更に有してよい。フィードストリップ及び第2のベースストリップの隣接する部分は、誘電体基板の第2の側面で、それらの間に少なくとも1つのギャップ42、142、242を定義してよい。
少なくとも1つの容量素子を定めるステップは、(例えば、図1に示されるように)ハーフループアンテナ素子20の第1及び第2の端部22、24の夫々と第1のベースストリップ26との間に第1及び第2の容量素子24、26を夫々結合することを含んでよい。また、複数の導電トレースを形成するステップは、(図4に示されるように)第1のベースストリップ126に電気的に接続されている相隔たった第1及び第2の端部122、124を有し且つ誘電体基板102の第1の側面104でハーフループアンテナ素子120から隔たって該ハーフループアンテナ素子120を囲む第2の弓状の経路に沿って延在する外部アンテナ放射素子150を定めることを含んでよい。
少なくとも1つの容量素子を定めるステップは、外部アンテナ放射要素150の中心部分又はギャップ158に容量素子156を位置付けることを含んでよい。複数の導電トレース108を形成するステップは、誘電体基板102の第1の側面14で第1のベースストリップ126にハーフループアンテナ素子120の第2の端部124を電気的に接続することを含んでよい。
複数の導電トレース208は、更に、相隔たった第1及び第2の端部276/280、278/282を夫々有し、誘電体基板202の第1の側面204でハーフループアンテナ素子220から隔たってハーフループアンテナ素子220を囲む第2の弓状の経路に沿って延在する内部及び外部アンテナ結合素子272、274を定義するよう構成されてよい。内部アンテナ結合素子272の第1の端部276及び外部アンテナ結合素子274の第2の端部282は、第1のベースストリップ226に、該第1のベースストリップ226の相対する端部に隣接して電気的に接続される。上述されたように、内部及び外部アンテナ結合素子272、274は容量素子を定義する。
本発明のようなループアンテナは、それらの放射近接場が電気的にというよりむしろ磁気的であるので、ダイポールに対して利点に恵まれている。磁場からの渦電流加熱損失は周波数に伴って一定であり、周波数の二乗により増大する誘電加熱損失ほど顕著でない。従って、本発明は、装着又は携帯要求にとって優先的でありうる。試作品試験において、本発明のチューニング安定性は、携帯される場合に、平面反転(planar inverted)F(PIFA)スロットタイプよりもずっと良かった。これは、本発明の、放射電気ではなく、放射磁気近接場による。
要約すると、本発明は、放射素子、負荷キャパシタ、整合カプラー、及びバランが弓状又は半円状の要素のシステムから実現されるところの複合設計のハーフループアンテナを提供する。本発明は、小さく、サイズに関して良好な利得を提供し、スケーリング可能であり、グランドプレーンの有無に関わらず動作可能であり、携帯電話又はページャー等の携帯通信要求に適している。