JP2012515335A - 線維症と肝硬変を識別する手段及び方法 - Google Patents

線維症と肝硬変を識別する手段及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、被験体のサンプル中の増殖分化因子15(GDF-15)、肝細胞増殖因子(HGF)及び/又はエンドグリンの測定、並びにこうして測定した量の参照量との比較に基づき、被験体において肝線維症と肝硬変を識別する方法に関する。本発明の方法を実施するのに適したキット及びデバイスが、本発明によりさらに想定される。
【選択図】なし

Description

本発明は、被験体のサンプル中の増殖分化因子15(GDF-15)、エンドグリン及び/又は肝細胞増殖因子(HGF)の測定、並びにこうして測定した量の参照量との比較に基づき、被験体において肝線維症と肝硬変を識別する方法に関する。本発明の方法を実施するのに適したキット及びデバイスが、本発明によりさらに想定される。
肝臓は、体内で最大の内臓であり、グリコーゲン貯蔵、赤血球の分解、血漿タンパク質合成、並びに薬物、アルコール及びその他の有害物質の血液からの除去に関与する。肝臓のない生命体は生きられず、被験体は肝機能なしでは数時間しか生存できない。
最も豊富な肝臓細胞は、肝臓質量の約70%を占める肝細胞(hepatocyte)である。肝臓のための血液供給は肝動脈から来て、酸素に富む血液を供給する。肝臓はまた、消化器系及びそれに付随する腺から血液を排出する門脈から血液を得る。
肝線維症(liver fibrosis)(肝線維症(hepatic fibrosis)としても知られる)は、ほとんどの種類の慢性肝疾患において生じる。それは、重大な肝組織損傷の結果として、線維性組織が肝臓に異常に蓄積する過剰増殖性創傷治癒である(概説として、例えばBataller and Brenner, 2006, Journal of Clinical Investigation, 115(2) 209-217を参照)。
肝線維症は、肝臓の血管周囲の星細胞の活性化によって開始すると考えられている。これらの星細胞(及びまた隣接細胞)は増殖し、筋線維芽細胞(及び、ひいては収縮性細胞)になる。筋線維芽細胞は、過剰量の異常なマトリックス(主にコラーゲンからなるが、他の糖タンパク質及びグリカンからもなる)並びにマトリックス細胞のタンパク質(matricellular protein)を産生する。その後、クッパー細胞、損傷肝細胞、血小板、及び白血球が凝集する。
発達中の筋線維芽細胞は、エンドセリンによって刺激され、門脈抵抗(portal vein resistance)及び異常マトリックスの密度を増加させる。線維性の管(fibrous tract)は、輸入性門脈及び輸出性肝静脈の枝を結合させ、肝細胞を迂回して肝細胞の血液供給を制限する。従って、線維症は、肝細胞虚血及び門脈圧亢進症をもたらしうる。
肝線維症は、様々な薬物及び障害によって引き起こされうる。例えば、肝線維症は、肝疾患、例えばB型肝炎、慢性C型肝炎、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、自己免疫性肝疾患(例えば自己免疫性肝炎及び原発性胆汁性肝硬変)、遺伝性代謝異常(例えばヘモクロマトーシス(hematochromatosis))、ウィルソン病、α1アンチトリプシン欠損症、及び薬物若しくは毒素誘導性肝疾患によって引き起こされる。
肝線維症の診断の究極の判断基準は、患者から肝組織の小サンプルを取り出し、顕微鏡下で解析する肝生検である。肝組織の組織学的検査は、肝線維症の病期分類及び根底にある障害(例えばウイルス性肝炎)の評価を可能にする。
肝線維症は、線維化の程度に応じて様々な病期に分類することができる。肝線維症の病期は、周知の基準、例えばMetavir(ステージI〜IV)及びIshakスコア(ステージI〜V)を用いて評価することができる。例えばTheinら, 2008, Hepatology Vol. 48, No. 2:418-431; 又はMorraら, 2007, Expert Rev. Mol. Diagn. 7(5) 481-490を参照。
細胞外マトリックスタンパク質の特異的染色を用いて、コンピュータ式形態学的解析を使用して線維化の程度を定量することができる(Bataller and Brenner, 前掲を参照)。しかし、肝組織の組織学的検査は、費用がかかり、訓練された人材を要する。さらに、肝生検は、痛み又は重大な合併症さえ引き起こしうる侵襲的方法によって得なければならない。また、肝組織の組織学的検査は、間違いが起こりやすいことが知られている(例えばサンプリングの間違い又は生検の誤った解釈のため)。生化学的マーカーは研究中であるが、通常の臨床用途には準備ができていない。
Adams(Clinical Chemistry, 2005;51:1867-1873)は、肝線維症の病期分類について、いわゆるヘパスコア(hepascore)(フィブロスコア(fibroscore)とも称される)に基づくモデルを提唱する。このモデルは、C型肝炎患者において、様々な線維症病期に関する臨床的に有用な情報を提供する。しかし、ヘパスコアの決定には、4つの血清マーカー(α2-マクログロブリン、ビリルビン、GGT、及びヒアルロン酸)の測定に加え、年齢及び性別が含まれる。
肝硬変は、肝線維症から進行しうる。それは、肝臓の正常な構造を破壊する、進行性、線維化性かつ結節性の状態である。肝硬変では、肝組織は、非生存瘢痕組織及び再生結節に置き換えられ、結果として肝機能の低下が生じる。肝硬変は、肝線維症と同じ障害及び薬物によって引き起こされうる。アルコール乱用は、肝硬変の最も一般的な原因である。新たに診断される肝硬変の症例の約60〜70%は、慢性アルコール依存症(アルコール性肝疾患)の結果であると考えられている。肝硬変の原因に関わらず、病因となる特徴は、密な線維性組織に囲まれた再生結節の形成を伴う構造上の歪みがあるまで、線維化が進行することからなる。
肝硬変は、様々な診断法によって診断することができる。肝線維症では、究極の判断基準は、患者から肝組織の小サンプルを取り出し、顕微鏡下で解析する肝生検である。肝硬変はまた、様々なイメージング技術、例えば超音波計算機トモグラフィー(CT)スキャン及び核磁気共鳴画像法(MRI)によって診断することができる。
さらに、肝硬変を診断するための様々な血液検査が、最近20年間に導入された(概説について、Heidelbauch and Bruderly, 2006, American Family Physican, 74(5):756-762を参照)。これらの血液検査は、肝硬変に存在又は不在の特定のポリペプチドの量の測定に基づいている。例えば、肝硬変は、血中アルブミンのレベルの低下及び血液凝固因子のレベルの低下をもたらし、これはこれらのタンパク質を生成する肝臓の能力の喪失の結果として起こる。さらに、血清酵素、すなわちアスパラギン酸トランスアミナーゼ、アラニントランスアミナーゼ、アルカリホスファターゼ及びγグルタミルトランスフェラーゼのレベルの増加が、肝硬変を示唆しうる。別の診断アッセイは、ビリルビン検査である。ビリルビンは、血液細胞の破壊の分解産物である。損傷した肝組織は、ビリルビンを十分に処理することができず、この色素の高い血中レベルをもたらす。
肝線維症は無症候性でありうる。大部分の関連する罹患率及び死亡率は、肝硬変への進行後に生じる。大部分の患者では、肝硬変への進行は、約15〜20年後に生じる。しかし、肝硬変も何年間も無症候性でありうる(30%の患者は症状が進行しない)。
肝硬変と肝線維症の治療は異なりうる。従って、肝硬変に罹患している患者と肝線維症に罹患している患者を識別する必要がある。しかし、肝硬変と肝線維症の識別は、間違いが起こりやすく、時間及び費用がかかることが知られている組織学的検査によって、大抵行われる(上を参照)。
Bataller and Brenner, 2006, Journal of Clinical Investigation, 115(2) 209-217 Theinら, 2008, Hepatology Vol. 48, No. 2:418-431 Morraら, 2007, Expert Rev. Mol. Diagn. 7(5) 481-490 Adams, Clinical Chemistry, 2005;51:1867-1873 Heidelbauch and Bruderly, 2006, American Family Physican, 74(5):756-762
従って、被験体において肝線維症と肝硬変の鑑別診断を可能にする手段及び方法に対して明らかな長年のニーズがある。この手段及び方法は、信頼でき効率のよい診断を可能にし、現在の技術の欠点を回避するものである。
従って、本発明の根底にある技術的課題は、上述のニーズを満たす手段及び方法の提供とみなされなければならない。
上記技術的課題は、特許請求の範囲及び本明細書中の以下で特徴付けられる実施形態により解決される。
従って、本発明は、被験体において肝線維症と肝硬変を識別する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、HGF(肝細胞増殖因子)及び/又はエンドグリンの量を測定するステップ、
b)GDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を参照量と比較するステップ、並びに
c)ステップb)の結果に基づいて、肝線維症と肝硬変を識別するステップ
を含む、前記方法に関する。
本発明はまた、被験体において肝線維症と肝硬変を識別する方法であって、以下のステップ:
a)サンプル中で測定されたGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を参照量と比較するステップ、並びに
b)肝線維症と肝硬変を識別するステップ
を含む、前記方法に関する。
肝線維症又は肝硬変を有する被験体におけるGDF-15レベルである(ボックスプロット図、実施例1も参照)。 肝線維症又は肝硬変を有する被験体におけるエンドグリンレベルである(ボックスプロット図、実施例1も参照)。
本発明の方法は、好ましくはin vitro法である。さらに、本方法は、上で明示的に記載したステップに加えてさらなるステップを含んでもよい。例えば、さらなるステップは、サンプルの前処理又は本方法により得られた結果の評価に関連しうる。本方法は、手動で実施してもよいし、又は自動化により支援してもよい。好ましくは、ステップ(a)及び/又は(b)及び/又は(c)は、自動化により、例えばステップ(a)では測定に好適なロボット及びセンサー装置により、又はステップ(b)ではコンピュータにより実行される比較により、全体的又は部分的に支援可能である。
本明細書で用いる「識別する」という用語は、被験体において肝線維症と肝硬変を区別することを意味する。本明細書で用いるその用語は、好ましくは、被験体において肝線維症と肝硬変を鑑別診断することを含む。従って、本発明の方法により、被験体が肝硬変又は肝線維症に罹患しているかどうかを評価することが可能となる。本明細書で用いる「診断する」とは、被験体が本明細書に記載する疾患に罹患している可能性を評価することを意味する。当業者であれば理解されるように、そのような評価は通常、鑑別診断対象の被験体の100%について正確であることは意図されていない。しかし、その用語は、被験体の統計的に有意な一部を正確に診断できることを要する。診断が正確であるかどうかは、当技術分野において周知な方法によって確認することができる。さらに、当業者であれば、他に苦労なく種々の周知の統計学的評価ツールを用いて、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定などを行って、一部が統計学的に有意であるかどうかを決定することが可能である。詳細な内容は、Dowdy and Wearden、Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見い出される。好ましい信頼区間は、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%である。p値は、好ましくは、0.1、0.05、0.01、0.005、又は0.0001である。
本明細書で用いる「被験体」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに関する。しかし、本発明は、被験体が好ましくは肝疾患に罹患していることを想定する。より好ましくは、該被験体は、肝線維症又は肝硬変に罹患している。該被験体は、心疾患に罹患していないことが好ましく、該被験体は、右心疾患に罹患していないことがより好ましい。
本発明の方法において、「肝疾患」は、好ましくは、肝線維症及び肝硬変を引き起こす任意の肝臓の疾患であってよい。そのような疾患は、当技術分野において周知である(例えばBataller, 前掲を参照)。好ましくは、肝疾患は、慢性B型肝炎、慢性C型肝炎、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、自己免疫性肝疾患(例えば自己免疫性肝炎及び原発性胆汁性肝硬変)、遺伝性肝臓代謝異常(例えばヘモクロマトーシス(hematochromatosis))、ウィルソン病、α1アンチトリプシン欠損症、及び薬物若しくは毒素誘導性肝疾患の群から選択される。最も好ましい肝疾患は、慢性B型肝炎、慢性C型肝炎、アルコール性肝疾患及び非アルコール性脂肪肝疾患である。
線維化は、通常は炎症又は他の損傷の結果として、線維性の結合組織が器官に広がる病的状態である。「肝線維症」という用語は、当業者に知られている。肝線維症(liver fibrosis)(本明細書では肝線維症(hepatic fibrosis)とも称される)は、重大な肝組織損傷の結果として、肝臓に線維性組織が異常に蓄積される慢性肝疾患である。進行中の細胞外マトリックス(ECM)タンパク質(大部分はコラーゲン)の蓄積は、肝臓構造を歪める(概説について、例えばBataller and Brenner, 2006, Journal of Clinical Investigation, 115(2) 209-217を参照。これはその全開示内容に関して、参照により本明細書に援用される)。「肝線維症」という用語は、本明細書で用いる場合、好ましくは、「肝硬変」を含まないことが理解されるであろう。
肝線維症は、周知の方法によって診断することができる。さらに、肝線維症は、線維化の程度に応じて様々な病期に分類することができる。肝線維症の病期は、例えば周知の基準、例えばMetavir(ステージI〜IV)及びIshakスコア(ステージI〜V)を用いて評価することができる。Theinら, 2008, Hepatology Vol. 48, No. 2:418-431; 又はMorraら, 2007, Expert Rev. Mol. Diagn. 7(5) 481-490を参照。細胞外マトリックスタンパク質の特異的染色を用いて、コンピュータ式形態学的解析を使用して線維化の程度を定量することができる(Bataller and Brenner, 前掲を参照)。
「肝硬変」という用語は、当業者に理解されている。本明細書で用いる場合、その用語は、好ましくは、正常な微小循環、全体の血管構造、及び肝臓構造が、線維中隔が包囲している再生した又は再生中の実質性結節によって可変的に破壊され、改変されている肝疾患を意味する。肝硬変は、肝線維症の進行期に生じる。従って、肝硬変は、肝臓の正常な構造を破壊する、進行性、線維化性かつ結節性の状態である。肝硬変では、肝組織は、非生存瘢痕組織及び再生結節に置き換えられ、結果として肝機能の低下が生じる。従って、肝硬変は、肝臓が炎症を起こし、瘢痕組織及び再生結節が形成する場合に生じる。従って、肝硬変は、密な線維性組織に囲まれた再生結節の形成を伴う、肝臓における構造上の歪みがあるまで、病因となる線維化が進行する場合に生じる(Harrison's Principles of Internal Medicine, 第17版, A. Fauci編, Mcgraw-Hill Professional、特に第302章を参照)。
上に記載されるように、肝硬変は肝線維症から発達しうる。本発明の方法において、肝硬変は、好ましくは、再生した結節の存在の点で、及び正常な肝臓構造の歪みの点で、肝線維症とは異なる。
肝硬変は、Child-Pugh分類システム(Child-Pughスコア又はChild-Turcotte-Pughとも称される)によって等級付けすることができる。このシステムは、肝硬変の5つの変数、すなわち腹水、ビリルビンとアルブミンの血漿濃度、プロトロンビン時間、及び脳症の程度の評価に基づく。それにより、肝疾患を有する患者を、肝硬変の重症度に応じて、3つの群(Child A、B及びC)に割り当てることが可能となる(Pughら, Transection of the oesophagus for bleeding oesophageal varices. Br J Surg 1973; 60:646-649も参照)。従って、肝硬変に罹患している被験体は、好ましくは、Child-Pugh分類システムによってChild A、B又はCに等級付けされる肝疾患に罹患している。
「サンプル」という用語は、体液のサンプル、分離された細胞のサンプル、又は組織若しくは器官に由来するサンプルを意味する。体液のサンプルは周知技術によって得ることができ、好ましくは、血液、血漿、血清、又は尿のサンプルを含み、より好ましくは、血液、血漿又は血清のサンプルを含む。組織又は器官サンプルは、例えば生検によって、任意の組織又は器官から得ることができる。分離細胞は、遠心又はセルソーティング等の分離技術によって、体液又は組織若しくは器官から得ることができる。好ましくは、細胞、組織又は器官サンプルは、本明細書に記載するペプチドを発現又は産生する細胞、組織又は器官から得る。より好ましくは、細胞、組織又は器官サンプルは、肝細胞、肝組織又は肝臓から得る。最も好ましいサンプルは、本発明において、血液、血清、又は血漿サンプルである。
「増殖分化因子15」又は「GDF-15」という用語は、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-βサイトカインスーパーファミリーのメンバーであるポリペプチドに関する。ポリペプチド、ペプチド及びタンパク質という用語は、本明細書において、互換的に用いられる。 GDF-15は元々はマクロファージ阻害性サイトカイン-1としてクローニングされ、後に胎盤性トランスフォーミング増殖因子-β、胎盤性骨形成タンパク質、非ステロイド系抗炎症剤活性化遺伝子-1、及び前立腺由来因子としても同定された(Bootcov 前掲; Hromas, 1997 Biochim Biophys Acta 1354:40-44; Lawton 1997, Gene 203:17-26; Yokoyama-Kobayashi 1997, J Biochem (Tokyo), 122:622-626; Paralkar 1998, J Biol Chem 273:13760-13767)。他のTGF-β関連サイトカインと同様に、GDF-15は不活性の前駆体タンパク質として合成され、これはジスルフィド結合でホモ二量体となる。N末端プロペプチドがタンパク質分解切断されると、GDF-15は約28 kDaの二量体タンパク質として分泌される(Bauskin 2000, Embo J 19:2212-2220)。GDF-15についてのアミノ酸配列は、国際公開第99/06445号、同第00/70051号、同第2005/113585号、Bottner 1999, Gene 237: 105-111、Bootcov 前掲、Tan 前掲、Baek 2001, Mol Pharmacol 59: 901-908、Hromas 前掲、Paralkar 前掲、Morrish 1996, Placenta 17:431-441又はYokoyama-Kobayashi前掲に開示されている。本明細書で用いるGDF-15は上記の特定のGDF-15ポリペプチドの変異体も含む。そのような変異体は、特定のGDF-15ポリペプチドと少なくとも同一の本質的な生物学的性質及び免疫学的性質を有する。特に、それらは、本明細書に記載される同一の特定のアッセイ、例えば、該GDF-15ポリペプチドを特異的に認識するポリクローナル又はモノクローナル抗体を用いるELISAアッセイによって検出可能であるならば、同一の本質的な生物学的性質及び免疫学的性質を有する。好ましいアッセイを、下記実施例に記載する。さらに、本発明に関して記載する変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、及び/又は付加に起因して異なるアミノ酸配列を有し、この場合、変異体のアミノ酸配列は、依然として、好ましくは、特定のGDF-15ポリペプチドのアミノ酸配列と(好ましくは該GDF-15ポリペプチドの全長にわたって)少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%の同一性を有することが理解されるであろう。2つのアミノ酸配列間の同一性の程度は当技術分野で周知のアルゴリズムによって、決定できる。好ましくは、同一性の程度は2つの最適にアライメントした配列を比較ウインドウにわたって比較することにより決定され、その際、比較ウインドウ中のアミノ酸配列の断片は最適なアライメントのために、参照配列(付加又は欠失を含んでいない)と比較して付加又は欠失(例えば、ギャップ又はオーバーハング)を含んでいてもよい。パーセンテージは2つの配列の双方で同一のアミノ酸残基が存在する位置の数から一致している位置の数を求め、一致している位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数で除し、その解に100を乗じて、配列同一性のパーセンテージを得ることにより算出される。比較のための配列の最適なアライメントは、Smith及びWatermannのローカルホモロジーアルゴリズム(Add. APL. Math. 2:482(1981))によって、Needleman及びWunschのホモロジーアライメントアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:443(1970))によって、Pearson及びLipmanの類似性探索法(Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 85:2444(1988))によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実施(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group(GCG), 575 Science Dr., Madison, WI中のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、及びTFASTA)によって、又は目視による検討により行うことができる。比較のために2つの配列が同定されている場合は、GAP及びBESTFITを用いてそれらの最適なアライメントを決定することによって、同一性の程度を求めることが好ましい。好ましくは、ギャップウエイトについてのデフォルト値5.00及びギャップウエイトレングスについてのデフォルト値0.30を使用する。上記変異体は、アレル変異体、又は他の任意の生物種特異的なホモログ、パラログ若しくはオルソログであってもよい。さらに、本明細書において記載する変異体としては、特定のGDF-15ポリペプチド又は上述のタイプの変異体の断片が、上に記載した本質的な免疫学的性質及び生物学的性質を有するものである限り、含まれる。そのような断片は、例えば、GDF-15ポリペプチドの分解産物でありうる。さらには、リン酸化やミリスチル化のような翻訳後修飾に起因して異なる変異体が挙げられる。
本明細書で用いる「エンドグリン」という用語は、非還元で180kDa、還元後95kDa、及び還元かつN脱グリコシル化形態で66kDaの分子量を有するポリペプチドを意味する。このポリペプチドは、二量体を形成することができ、TGF-β及びTGF-βレセプターに結合する(以下参照)。エンドグリンはリン酸化されうる。好ましくは、エンドグリンはヒトエンドグリンを意味する。より好ましくは、ヒトエンドグリンは、GenBankアクセッション番号AAC63386.1, GI: 3201489に示されるアミノ酸配列を有する。本明細書で用いるエンドグリンは、好ましくは、上述の特定のエンドグリンポリペプチドの変異体も包含する。さらに、本発明に関して記載する変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の置換、欠失、及び/又は付加に起因して異なるアミノ酸配列を有し、この場合、変異体のアミノ酸配列は、依然として、好ましくは、特定のエンドグリンのアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、又は99%の同一性を有することが理解されるであろう(同一性の程度の決定方法は本明細書中に上に記載される)。変異体は、アレル変異体、スプライス変異体又は任意の他の生物種特異的なホモログ、パラログ若しくはオルソログであってよい。さらに、本明細書において記載する変異体としては、特定のエンドグリン又は上述のタイプの変異体の断片が、上に記載した本質的な免疫学的性質及び生物学的性質を有するものである限り、含まれる。そのような断片は、例えば、エンドグリンの分解産物でありうる。さらには、リン酸化やミリスチル化のような翻訳後修飾に起因して異なる変異体が挙げられる。
「肝細胞増殖因子」(略称「HGF」)という用語は、当業者に理解されている。この因子は、散乱因子(scatter factor)と称されることも多い。ヒトでは、HGFは、29アミノ酸のシグナル配列及び25アミノ酸のプロ配列を有する一本鎖728アミノ酸残基のプレプロペプチドとして合成される。成熟HGFは、プロ配列Arg-Val結合を細胞外で切断する固有のセリンプロテアーゼの活性によって形成され、この活性は、それ自体、組織損傷に応答して別のプロテアーゼによって活性化される。成熟HGFは、82kDa、674アミノ酸残基のヘテロ二量体糖タンパク質である。それは、ジスルフィド結合した69kDaのα鎖(約440アミノ酸長)及び34kDaのβ鎖(234アミノ酸長)からなる。
HGFは、パラクリンの細胞増殖、運動性及び形態形成の因子として知られ、従って、特定の組織及び細胞種に対する増殖因子として機能する。それは、当初、肝細胞に対する分裂促進因子(mitogen)として同定された(Michalopoulosら, Cancer Res., 44:4414-4419 (1984); Russelら, J. Cell. Physiol., 119:183-192 (1984); Nakamuraら, Biochem. Biophys. Res. Comm., 122:1450-1459 (1984)を参照)。ヒト血漿からのヒトHGFの精製は、Gohdaら, J. Clin. Invest., 81:414-419 (1988)に初めて記載された。
本明細書で用いる場合、HGFという用語は、好ましくはヒトHGFを意味する。好ましくは、その用語はHGFプレプロタンパク質及び成熟HGFを含む。より好ましくは、その用語は、HGFプレプロペプチドを意味し、最も好ましくは、成熟HGFを意味する。HGFのアミノ酸配列は当技術分野で周知である。ヒトHGF(プレプロタンパク質)のアミノ酸配列は、例えばGenBankアクセッション番号NP_000592.3 GI:33859835、又は米国特許第7390482号、同第7563768号、又は同第7578998号に開示されている。
本明細書で用いるHGFは、上述の特定のHGFポリペプチドの変異体も包含する。「変異体」という用語の説明については、上を参照のこと。
好ましくは、HGFの変異体は、特に、肝細胞においてDNA合成を刺激する能力をはじめとする、HGFの生物学的性質/活性を有するものである。好ましくは、該変異体は、HGFのDNA合成を刺激する能力の少なくとも99%、90%、80%、70%、60%又は50%を保持する。HGFの特定の変異体が肝細胞においてDNA合成を刺激するかどうかを評価する方法は、当技術分野で周知であり、例えばYanagitaら(Hepatocyte Growth Factor May Act as a Pulmotrophic Factor on Lung Regeneration after Acute Lung Injury (1993), J Biol Chem, Vol. 268, No. 28, pp. 21212-21217)に記載されている。HGF活性は、例えば以下の方法によって測定することができる。成体肝細胞をin situコラゲナーゼかん流法によって単離する。その後、単離した細胞を播種し、I型コラーゲンで覆い、5%子牛血清、10-9Mインスリン及び10-9Mデキサメタゾンを含有するウィリアムE培地中で3時間培養する。次いで、培地を、10-9Mインスリン、10-9Mデキサメタゾン及び0.1μg/mlアプロチニンを含有する血清非含有ウィリアムE培地に交換する。20時間後、試験対象のHGF変異体を添加し、細胞を20時間培養する。細胞を1μCiの125Iデオキシウリジンで6時間パルス標識し、核内の125Iデオキシウリジンをγカウンターで測定する。1単位のHGF活性は、10ng/mlのEGF(上皮増殖因子)を添加した場合における、肝細胞のDNA合成に対する刺激効果の最大値の半分を与える刺激活性に相当する。
本明細書に記載されるポリペプチド(特にエンドグリン、GDF-15及びHGF)の量の測定は、好ましくは半定量的又は定量的に、量又は濃度を測定することに関する。測定は、直接的又は間接的に実施可能である。直接的測定とは、ポリペプチド自体から得られ、かつその強度がサンプル中に存在するポリペプチドの分子数と直接的に相関するシグナルに基づいてポリペプチドの量又は濃度を測定することに関する。そのようなシグナル(本明細書中では強度シグナルと称されることもある)は、例えば、ポリペプチドの特定の物理的性質又は化学的性質の強度値を測定することにより取得可能である。間接的測定としては、二次成分(すなわち、ポリペプチド自体ではない成分)、又は生物学的読取り系、例えば、測定可能な細胞応答、リガンド、標識、若しくは酵素反応生成物から得られるシグナルを測定することが挙げられる。
本発明において、ポリペプチドの量の測定は、サンプル中のポリペプチドの量を測定するためのすべての公知の手段により達成可能である。該手段は、種々のサンドイッチアッセイ方式、競合アッセイ方式、又は他のアッセイ方式で標識分子を利用しうるイムノアッセイのデバイス及び方法を含む。該アッセイでは、ポリペプチドの存在又は不在の指標となるシグナルが発生するであろう。さらに、シグナル強度は、好ましくは、サンプル中に存在するポリペプチドの量に直接的又は間接的に相関する(例えば反比例する)ものもある。さらなる好適な方法は、ポリペプチドに特異的な物理的性質又は化学的性質、例えば、その正確な分子質量又はNMRスペクトルを測定することを含む。該方法としては、好ましくは、バイオセンサー、イムノアッセイに連結された光学デバイス、バイオチップ、分析装置、例えば、質量分析計、NMR分析器、又はクロマトグラフィー装置が含まれる。さらに、方法としては、マイクロプレートELISAに基づく方法、完全自動化若しくはロボット化イムノアッセイ(例えば、ElecsysTM分析器を用いて実施可能)、CBA(酵素的コバルト結合アッセイ、例えば、Roche-HitachiTM分析器を用いて実施可能)、及びラテックス凝集アッセイ(例えば、Roche-HitachiTM分析器を用いて実施可能)が挙げられる。
好ましくは、ポリペプチドの量の測定は、(a)その強度がポリペプチドの量の指標となる細胞応答を引き起こすことができる細胞を、適切な時間にわたり、該ポリペプチドと接触させるステップ、及び(b)細胞応答を測定するステップを含む。細胞応答を測定するために、好ましくは、サンプル又は処理済サンプルを細胞培養物に添加して、内部又は外部の細胞応答を測定する。細胞応答としては、レポーター遺伝子の測定可能な発現、又はペプチド、ポリペプチド若しくは小分子などの物質の分泌が挙げられる。発現又は物質は、ポリペプチドの量と相関する強度シグナルを生成するものとする。
また好ましくは、ポリペプチドの量の測定は、サンプル中のポリペプチドから取得可能な特異的強度シグナルを測定するステップを含む。以上に記載したように、そのようなシグナルは、質量スペクトルで観測されるポリペプチドに特異的な質量対電荷(m/z)変量又はポリペプチドに特異的なNMRスペクトルで観察されるシグナル強度でありうる。
ポリペプチドの量の測定は、好ましくは、(a)ポリペプチドを特異的リガンドに接触させるステップ、(b)(場合により)非結合リガンドを除去するステップ、及び(c)結合リガンドの量を測定するステップを含む。結合リガンドは、強度シグナルを生成するであろう。本発明において、結合は、共有結合及び非共有結合の両方を包含する。本発明において、リガンドは、本明細書に記載のポリペプチドに結合する任意の化合物、例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸又は小分子でありうる。好ましいリガンドとしては、抗体、核酸、ペプチド又はポリペプチド、例えば、ポリペプチドに対するレセプター又は結合性パートナー、及びペプチドに対する結合ドメインを含むそれらの断片、並びにアプタマー、例えば、核酸アプタマー又はペプチドアプタマーが挙げられる。そのようなリガンドの調製方法は、当技術分野で周知である。例えば、好適な抗体又はアプタマーの同定及び作製もまた、供給業者により提供される。当業者は、より高いアフィニティ又は特異性を有するそのようなリガンドの誘導体の開発方法に精通している。例えば、ランダム突然変異を核酸、ペプチド又はポリペプチドに導入することが可能である。次に、当技術分野で公知のスクリーニング手順、例えば、ファージディスプレイにより、これらの誘導体を結合に関して試験することが可能である。本明細書において記載する抗体には、ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体の両方、並びにそれらのフラグメント、例えば、抗原又はハプテンに結合可能なFv、Fab、及びF(ab)2フラグメントが含まれる。本発明はまた、一本鎖抗体、及び所望の抗原特異性を呈する非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列とヒトアクセプター抗体の配列とが組み合わされたヒト化ハイブリッド抗体を包含する。ドナー配列は、通常、ドナーの少なくとも抗原結合性アミノ酸残基を含むであろうが、ドナー抗体の他の構造上及び/又は機能上関連するアミノ酸残基を含んでもよい。そのようなハイブリッドは、当技術分野で周知のいくつかの方法により調製可能である。好ましくは、リガンド又は作用剤は、ポリペプチドに特異的に結合する。本発明において、特異的結合は、リガンド又は作用剤が分析対象のサンプル中に存在する他のペプチド、ポリペプチド又は物質に実質的に結合する(それらと「交差反応する」)ものであってはならないことを意味する。特異的に結合するポリペプチドは、任意の他の関連するペプチド又はポリペプチドのアフィニティの好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも10倍、さらにより好ましくは少なくとも50倍高いアフィニティで結合する必要がある。非特異的結合は、それが、例えば、ウェスタンブロット上のサイズにより又はサンプル中の比較的高い存在量により、依然として識別可能でありかつ明確に測定可能である場合には、許容できる。リガンドの結合は、当技術分野で公知の任意の方法により測定可能である。好ましくは、該方法は、半定量的又は定量的である。好適な方法について、以下で説明する。
第1に、リガンドの結合は、例えば、NMR又は表面プラズモン共鳴により、直接測定することができる。
第2に、リガンドが対象ポリペプチドの酵素活性の基質としても機能する場合には、酵素反応生成物を測定することが可能である(例えば、切断された基質の量を、例えばウェスタンブロットにおいて、測定することにより、プロテアーゼの量を測定することが可能である)。あるいは、リガンドが酵素の性質自体を呈するものであってよく、「リガンド/ポリペプチド」複合体又はそれぞれポリペプチドと結合したリガンドを好適な基質と接触させて、強度シグナルの生成により検出を行うことが可能である。酵素反応生成物の測定では、好ましくは、基質の量は飽和状態である。また、反応前に、検出可能な標識で基質を標識することも可能である。好ましくは、サンプルを適切な時間にわたり基質と接触させる。適切な時間とは、検出可能な(好ましくは測定可能な)量の生成物が生成するのに必要な時間を意味する。生成物の量を測定する代わりに、所与の(例えば検出可能な)量の生成物が出現するのに必要な時間を測定することも可能である。
第3に、リガンドを共有結合又は非共有結合で標識に結合させることにより、リガンドの検出及び測定を行うことが可能である。標識は、直接的又は間接的な方法により実施可能である。直接的標識は、標識をリガンドに(共有結合又は非共有結合で)直接結合させることを含む。間接的標識は、一次リガンドに二次リガンドを(共有結合又は非共有結合で)結合させることを含む。二次リガンドは、一次リガンドに特異的に結合するものでなければならない。該二次リガンドは、好適な標識に結合させてもよいし、かつ/又は二次リガンドに結合する三次リガンドの標的(レセプター)であってもよい。シグナルを増大させるために、二次、三次又はより高次のリガンドが用いられることもある。好適な二次及びより高次のリガンドとしては、抗体、二次抗体、及び周知のストレプトアビジン-ビオチン系(Vector Laboratories, Inc.)が挙げられる。当技術分野で公知のように、リガンド又は基質を1種以上のタグで「タグ標識」することも可能である。その場合、そのようなタグは、より高次のリガンドの標的でありうる。好適なタグとしては、ビオチン、ジゴキシゲニン、Hisタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、FLAG、GFP、mycタグ、A型インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)、マルトース結合タンパク質などが挙げられる。ペプチド又はポリペプチドの場合、タグは、好ましくはN末端及び/又はC末端に存在する。好適な標識は、適切な検出方法により検出可能な任意の標識である。典型的な標識としては、金粒子、ラテックスビーズ、アクリダンエステル、ルミノール、ルテニウム、酵素活性標識、放射性標識、磁性標識(例えば「磁性ビーズ」、常磁性標識及び超常磁性標識など)、及び蛍光標識が挙げられる。酵素活性標識としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、及びそれらの誘導体が挙げられる。検出に好適な基質としては、ジ-アミノ-ベンジジン(DAB)、3,3'-5,5'-テトラメチルベンジジン、NBT-BCIP(4-ニトロブルーテトラゾリウムクロリド及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスフェート、Roche Diagnosticsから既製のストック溶液として入手可能)、CDP-StarTM(Amersham Biosciences)、ECFTM(Amersham Biosciences)が挙げられる。好適な酵素-基質の組み合わせを用いれば、当技術分野で公知の方法(例えば、感光性フィルム又は好適なカメラシステムを用いる方法)により測定できる呈色反応生成物、蛍光又は化学発光を生成させることが可能である。酵素反応の測定に関しては、上に示した判定基準が同じように適用される。典型的な蛍光標識としては、蛍光タンパク質(例えば、GFP及びその誘導体)、Cy3、Cy5、テキサスレッド、フルオレセイン、及びAlexa色素(例えば、Alexa 568)が挙げられる。さらなる蛍光標識は、例えば、Molecular Probes(Oregon)から入手可能である。さらに、蛍光標識として量子ドットの使用も想定される。典型的な放射性標識としては、35S、125I、32P、33Pなどが挙げられる。放射性標識は、任意の公知の適切な方法、例えば、感光性フィルム又はホスファーイメージャーにより、検出可能である。本発明において好適な測定方法としては、この他に、沈降(特に免疫沈降)、電気化学発光(電解発生化学発光)、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)、シンチレーション近接アッセイ(SPA)、比濁法、比朧法、ラテックス増強比濁法若しくはラテックス増強比朧法、又は固相免疫試験が挙げられる。当技術分野で公知のさらなる方法(例えば、ゲル電気泳動、2次元ゲル電気泳動、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、ウェスタンブロッティング、及び質量分析)を、単独で、又は標識化若しくは上に記載の他の検出方法と組み合わせて、使用することが可能である。
ポリペプチドの量は、また好ましくは、以下のように測定することができる。(a)上に記載するようなポリペプチドに対するリガンドを含む固体支持体を、ポリペプチドを含むサンプルと接触させ、(b)支持体に結合しているポリペプチドの量を測定する。リガンド(好ましくは、核酸、ペプチド、ポリペプチド、抗体、及びアプタマーからなる群より選択される)は、好ましくは、固相化形態で固体支持体上に存在する。固体支持体を製造するための材料は、当技術分野で周知であり、特に、市販のカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、コロイド金属粒子、ガラス及び/又はシリコンのチップ及び表面、ニトロセルロースストリップ、膜、シート、デュラサイト(duracyte)、反応トレーのウェル及び壁、プラスチックチューブなどが挙げられる。リガンド又は作用剤は、多種多様な担体に結合可能である。周知の担体の例としては、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然セルロース及び変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、並びにマグネタイトが挙げられる。担体の性質は、本発明の目的では、可溶性又は不溶性のいずれも可能である。該リガンドの固定化/固相化に好適な方法は、周知であり、例えば限定されるものではないが、イオン性相互作用、疎水性相互作用、共有結合相互作用などが挙げられる。本発明ではアレイとして「懸濁アレイ」を使用することも想定される(Nolan 2002, Trends Biotechnol. 20(1):9-12)。そのような懸濁アレイでは、マイクロビーズやマイクロスフェアなどの担体は、懸濁状態で存在する。アレイは、標識化されていてもよい、様々なリガンドを担持する様々なマイクロビーズ又はマイクロスフェアで構成される。そのようなアレイ、例えば、固相化学及び光感受性保護基に基づくアレイの製造方法は、広く知られている(米国特許第5,744,305号)。
本明細書で用いる「量」という用語は、ポリペプチドの絶対量、該ポリペプチドの相対量若しくは相対濃度、さらにはそれらと相関する若しくはそれから導くことのできる任意の値若しくはパラメータを包含する。そのような値又はパラメータは、直接的測定により該ポリペプチドから得られるいずれも特異的な物理的性質又は化学的性質に由来する強度シグナル値、例えば、質量スペクトル又はNMRスペクトルの強度値を含む。さらに、本明細書中の他の箇所に記載された間接的測定により得られるすべての値又はパラメータ、例えば、ペプチドに応答する生物学的読取り系から決定される応答レベル、又は特異的に結合したリガンドから得られる強度シグナルが含まれる。上述の量又はパラメータと相関する値もまた、いずれも標準的な数学演算により取得可能であることが理解されるであろう。
本明細書で用いる比較は、分析対象のサンプルに含まれる本明細書に記載するポリペプチドの量の、本明細書中で以下に記載するように好適な参照サンプル中の該ポリペプチドの量との比較を包含する。本明細書で用いる比較は、対応するパラメータ又は値の比較を意味すると理解されるであろう。例えば、絶対量は絶対参照量と比較され、濃度は参照濃度と比較され、又は被験サンプルから得られた強度シグナルは、参照サンプルの同一タイプの強度シグナルと比較される。本発明の方法のステップ(b)で参照される比較は、手動で実施してもよいし又はコンピュータにより支援してもよい。コンピュータにより支援される比較では、測定量の値をデータベース中に格納された好適な参照に対応する値とコンピュータプログラムにより比較することが可能である。コンピュータプログラムは、専門のシステムによって比較の結果をさらに評価することができる。従って、本明細書に記載する肝硬変と肝線維症についての鑑別診断は、好適な出力形式で自動的に提供されうる。
本明細書で用いる「参照量」という用語は、上に記載したように、肝硬変と肝線維症の識別を可能にする量を意味する。好適な参照量を決定する方法は、当技術分野で周知である。参照は、肝硬変に罹患していることがわかっている被験体に由来しても、又は肝線維症に罹患していることがわかっている被験体に由来してもよい。肝硬変に罹患している被験体由来の参照サンプルを使用する場合、検査被験体のサンプル中のポリペプチドの量が該参照サンプル中で測定された量(すなわち参照量)と本質的に同一であることは、肝硬変を示すものであることが理解されるであろう。同様に、肝線維症に罹患している被験体由来の参照サンプルを使用する場合、検査被験体のサンプル中のポリペプチドの量が該参照サンプル中で測定された量(すなわち参照量)と本質的に同一であることは、肝線維症を示すものである。個々の被験体に適用される参照量は、様々な生理的パラメータ、例えば年齢、性別又は下位集団(subpopulation)に応じて、並びに量を評価するのに使用する技術に応じて変化しうる。従って、好適な参照量は、分析対象の参照サンプルから、検査サンプルとともに、すなわち同時に又は続いて、本発明の方法によって決定することができる。
さらに、閾値量を、好ましくは参照量として使用することができる。閾値量を上回る又は閾値量を下回るポリペプチドの量は、肝硬変又は肝線維症のいずれかを示すものである。好ましくは、閾値量を上回るポリペプチドの量は、肝硬変を示すものである。好ましくは、閾値量を下回るポリペプチドの量は、肝線維症を示すものである。
本発明において記載するようにGDF-15についての閾値量を規定する本発明におけるGDF-15についての好ましい参照量は、好ましくは1500〜2500pg/mlの範囲内、より好ましくは1500〜2000pg/mlの範囲内である。特に好ましい参照量は、約1500pg/ml、約2000pg/ml、又は約2500pg/mlである。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15の量がGDF-15についての参照量(GDF-15についての閾値量を規定する)より多いことは、肝硬変を示すものである。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15の量がGDF-15についての参照量(GDF-15についての閾値量を規定する)より少ないことは、肝線維症を示すものである。
好ましくは、本明細書で用いる「約」という用語は、特定の値、量、濃度、レベルなどに対して+及び−20%の範囲を包含し、例えば「約100」の値の表示は、100+/−20%の数値範囲の値、すなわち80〜120の範囲の値を包含することを意味する。好ましくは、その用語は、特定の値、量、濃度、レベルなどに対して+及び−10%の範囲を包含し、より好ましくは、特定の値、量、濃度、レベルなどに対して+及び−10%の範囲を包含する。最も好ましくは、「約」という用語は、正確な値、量、濃度、レベルなどを意味する。
本発明において記載するようにHGFについての閾値量を規定する本発明におけるHGFについての好ましい参照量は、好ましくは2000〜3500pg/mlの範囲内、より好ましくは2500〜3000pg/mlの範囲内である。特に好ましい参照量は、約3000pg/ml、約2500pg/ml、約2300pg/ml又は約2000pg/mlである。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のHGFの量がHGFについての参照量(HGFについての閾値量を規定する)より多いことは、肝硬変を示すものである。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のHGFの量がHGFについての参照量(HGFについての閾値量を規定する)より少ないことは、肝線維症を示すものである。
本発明において記載するようにエンドグリンについての閾値量を規定する本発明におけるエンドグリンについての好ましい参照量は、好ましくは5.5〜8ng/mlの範囲内、より好ましくは6〜7ng/mlの範囲内である。特に好ましい参照量は、約6ng/ml、約7ng/ml、又は約8ng/mlである。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のエンドグリンの量がエンドグリンについての参照量(エンドグリンについての閾値量を規定する)より多いことは、肝硬変を示すものである。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のエンドグリンの量がエンドグリンについての参照量(エンドグリンについての閾値量を規定する)より少ないことは、肝線維症を示すものである。
本発明におけるバイオマーカーの参照量(従ってGDF-15、HGF又はエンドグリンの参照量)は、容易に確立することができ、患者サンプル中のマーカーのレベルは、参照量と簡単に比較することができる。診断検査の感度及び特異度は、単なる検査の分析上の「質」以上のものに左右される。それらは、異常な結果を構成するものの定義にも左右される。実際には、受診者動作特性曲線(Receiver Operating Characteristic curve)、すなわち「ROC」曲線は、典型的には、肝線維症に罹患している集団及び肝硬変に罹患している集団における相対頻度に対する変数の値をプロットすることによって計算される。任意の特定のマーカーについて、被験体に対するマーカーレベルの分布は重複する可能性が高い。そのような条件下で、検査は、肝硬変を有する患者から肝線維症を有する患者を100%正確には絶対的に区別せず、重複する領域は、検査が肝硬変を有する患者から肝線維症を有する患者を区別できない場合を示す。閾値が選択され、それを上回ると検査が肝硬変を示すとみなされ、それを下回ると検査が線維症を示すとみなされる。ROC曲線下の面積は、受けた測定が、被験体の正しい診断を可能にする確率の尺度である。検査結果が必ずしも正確な数を与えない場合でさえ、ROC曲線を使用することができる。結果をランク付けできる限りは、ROC曲線を作成することができる。例えば、肝硬変に罹患している患者由来のサンプルに対する検査の結果を、程度に応じてランク付けすることができる(例えば1=低い、2=正常、及び3=高い)。このランク付けは、線維症を有する被験体の集団における結果と相関させることができ、ROC曲線が作成される。これらの方法は、当技術分野で周知である。例えば、Hanleyら, Radiology 143: 29-36 (1982)を参照。
いくつかの実施形態において、マーカーは、少なくとも約70%の特異度、より好ましくは少なくとも約80%の特異度、さらにより好ましくは少なくとも約85%の特異度、はるかにより好ましくは少なくとも約90%の特異度、最も好ましくは少なくとも約95%の特異度と組み合わせて、少なくとも約70%の感度、より好ましくは少なくとも約80%の感度、さらにより好ましくは少なくとも約85%の感度、はるかにより好ましくは少なくとも約90%の感度、最も好ましくは少なくとも約95%の感度を示すように選択される。特に好ましい実施形態において、感度及び特異度の両方が、少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、はるかにより好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%である。
上に記載したように、参照は、好ましくは、肝硬変に罹患していることがわかっている被験体又は肝線維症に罹患していることがわかっている被験体由来のサンプルから得ることができる。参照は、そのようなサンプルの群から得られる平均値又は中間でもありうる。参照結果は、本発明の方法を適用することによって得てもよい。集団の該個体のバイオマーカーの絶対量又は相対量は、本明細書の他の箇所に記載するように決定することができる。好適な参照値、好ましくは平均値又は中央値を計算する方法は、当技術分野で周知である。以前に記載した被験体の集団は、複数の被験体、好ましくは少なくとも5、10、50、100、1,000又は10,000の被験体を含むものとする。本発明の方法によって評価される被験体及び該複数の被験体の被験体は、同じ種であることが理解されるであろう。
「参照」は、参照被験体の群、すなわち肝硬変に罹患していることがわかっている被験体の群、又は肝線維症に罹患していることがわかっている被験体の群においてバイオマーカーの量を測定し、本明細書の他の箇所に記載されるものをはじめとする適切な統計的方法、例えば中央値、平均値、変位値、PLS-DA、ロジスティック回帰法、ランダムフォレスト分類(random forest classification)又は閾値を与える他の方法によって参照を計算することによって得られることがさらに想定される。閾値は、検査の感度及び特異度の所望の臨床設定を考慮に入れるべきである。
被験体が肝硬変又は肝線維症に罹患しているかどうかの評価は、検査サンプルから得られた検査結果と上述の参照結果との同一性又は類似性の程度に基づいて、すなわちバイオマーカーに関して同一又は類似の量に基づいて、行うことができることも想定される。例えば、参照サンプルを肝線維症に罹患している被験体から得ている場合で、かつ検査サンプル中のバイオマーカーの量が参照サンプル中の該バイオマーカーの量と類似又は同一である場合、肝線維症の存在を診断することができる。特徴的特性についての値、及び、定量的測定の場合には、強度値が同一であるならば、検査サンプルの結果及び参照結果は同一である。特徴的特性の値が同一であるが、強度値が異なるならば、該結果は類似している。そのような差異は、好ましくは有意ではなく、強度についての値が、参照値の少なくとも1〜99パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、40〜60パーセンタイルの区間内であり、参照値の50、60、70、80、90又は95パーセンタイルであることを特徴とする。
本発明の方法において、評価が、検査サンプルから得られる検査結果と上述の参照結果との差異に基づきうることも想定される。上に記載するように計算した参照値を使用する場合に、同じことが当てはまる。差異は、好ましくは、本発明における診断マーカーの絶対量又は相対量における増加であるものとする。好ましくは、相対量又は絶対量における増加は有意であり、すなわち参照値の45〜55パーセンタイル、40〜60パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、1〜99パーセンタイルの区間外である。
エンドグリンとGDF-15の両方を測定する場合、以下を適用する。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15及びエンドグリンの量がそれぞれGDF-15及びエンドグリンについての参照量より多いことは、肝硬変を示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15及びエンドグリンの量がそれぞれGDF-15及びエンドグリンについての参照量より少ないことは、肝線維症を示す。
有利には、本発明の根底にある研究において、被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量の測定、並びにこうして測定した量の参照量との比較により、肝線維症と肝硬変の信頼できる識別が可能となることが見出された。具体的には、GDF-15、HGF及びエンドグリンの量を、64人の患者における血清サンプル中で測定した。これらの患者のうち、31人の患者は肝硬変に罹患し、34人は肝線維症に罹患していた。肝線維症を有する被験体は、Ishakスコアに応じて病期分類した(Ishakら, Histological grading and staging of chronic hepatitis. J Hepatol 1995; 22:696-699)。肝硬変を有する被験体は、Child-Pughスコアを決定することによって病期分類した(Child A: 11人の被験体、Child B: 11人の被験体、Child C: 9人の被験体)。エンドグリン、HGF及びGDF-15の量は、肝硬変を有する被験体では、肝線維症を有する被験体と比べて有意に増加したことが示された(実施例を参照)。
エンドグリン、HGF又はGDF-15のいずれか単独、あるいはこれらのバイオマーカーの組み合わせ(エンドグリン及びGDF-15;エンドグリン及びHGF;HGF及びGDF-15;エンドグリン、HGF及びGDF-15)を、肝硬変と肝線維症を識別するために測定できることは理解されるであろう。
被験体が肝硬変又は肝線維症に罹患しているかどうかに基づいて、適切な治療を選択できることが理解されるであろう。本発明のおかげで、該鑑別診断の結果に従って、被験体をより容易かつ確実に診断し、続いて正しく治療することができる。
上述のマーカーの2つの量を測定する場合(すなわちa)GDF-15及びエンドグリン;b)GDF-15及びHGF;又はc)HGF及びエンドグリンの組み合わせ)、以下を適用する。
好ましくは、被験体由来のサンプル中の両マーカーの量、すなわちa)GDF-15及びエンドグリン;b)GDF-15及びHGF;又はc)HGF及びエンドグリンの量、が対応する参照量より多いことは、該被験体が肝硬変に罹患していることを示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中の両マーカーの量、すなわちa)GDF-15及びエンドグリン;b)GDF-15及びHGF;又はc)HGF及びエンドグリンの量、が対応する参照量より少ないことは、該被験体が肝線維症に罹患していることを示す。
GDF-15、HGF及びエンドグリンの量を測定する場合、以下を適用する。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15、HGF及びエンドグリンの量が対応する参照量より多いことは、該被験体が肝硬変に罹患していることを示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15、HGF及びエンドグリンの量が対応する参照量より少ないことは、該被験体が肝線維症に罹患していることを示す。
本明細書中で上に与えられる説明は、変更すべきところは変更して、以下に適用する。
さらに、本発明は、肝疾患を有する被験体において肝硬変を診断する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、HGF(肝細胞増殖因子)及び/又はエンドグリンの量を測定するステップ、
b)GDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を参照量と比較するステップ、並びに
c)ステップb)の結果に基づいて、肝硬変を診断するステップ
を含む、前記方法に関する。
GDF-15、HGF及びエンドグリンについての好ましい参照量は、本明細書の他の箇所に開示されている。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15の量がGDF-15についての参照量(本明細書の他の箇所に記載するようにGDF-15についての閾値量を規定する)より多いことは、該被験体が肝硬変に罹患していることを示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15の量がGDF-15についての参照量(GDF-15についての閾値量を規定する)より少ないことは、該被験体が肝硬変に罹患していないことを示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のエンドグリンの量がエンドグリンについての参照量(エンドグリンについての閾値量を規定する)より多いことは、該被験体が肝硬変に罹患していることを示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のエンドグリンの量がGDF-15についての参照量(エンドグリンについての閾値量を規定する)より少ないことは、該被験体が肝硬変に罹患していないことを示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のHGFの量がHGFについての参照量(本明細書の他の箇所に記載するようにHGFについての閾値量を規定する)より多いことは、該被験体が肝硬変に罹患していることを示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のHGFの量がHGFについての参照量(HGFについての閾値量を規定する)より少ないことは、該被験体が肝硬変に罹患していないことを示す。
上述のマーカーの2つの量を測定する場合(すなわちa)GDF-15及びエンドグリン;b)GDF-15及びHGF;又はc)HGF及びエンドグリンの組み合わせ)、以下を適用する。
好ましくは、被験体由来のサンプル中の両マーカーの量、すなわちa)GDF-15及びエンドグリン;b)GDF-15及びHGF;又はc)HGF及びエンドグリンの量、が対応する参照量より多いことは、該被験体が肝硬変に罹患していることを示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中の両マーカーの量、すなわちa)GDF-15及びエンドグリン;b)GDF-15及びHGF;又はc)HGF及びエンドグリンの量、が対応する参照量より少ないことは、該被験体が肝硬変に罹患していないことを示す。
GDF-15、HGF及びエンドグリンの量を測定する場合、以下を適用する。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15、HGF及びエンドグリンの量が対応する参照量より多いことは、該被験体が肝硬変に罹患していることを示す。
好ましくは、被験体由来のサンプル中のGDF-15、HGF及びエンドグリンの量が対応する参照量より少ないことは、該被験体が肝硬変に罹患していないことを示す。
本方法において、バイオマーカーの量を、肝硬変と決定する(rule in)及び肝硬変を除外する(rule out)ための参照量と比較することも想定される。マーカーの量を、肝硬変を決定及び除外するための参照量と比較することにより、本発明における方法の感度及び特異度が増進される。
好ましくは、被験体のサンプル中のマーカーの量が肝硬変と決定するための参照量より多いことは、該被験体が肝硬変に罹患していることを示す。
好ましくは、被験体のサンプル中のマーカーの量が肝硬変を除外するための参照量より少ないことは、該被験体が肝硬変に罹患していないことを示す。
肝硬変と決定するためのHGFについての特に好ましい参照量は2300pg/mlである。肝硬変を除外するためのHGFについての特に好ましい参照量は1850pg/mlである。
さらに、本発明は、肝線維症と肝硬変を識別するためのデバイスであって、
a)被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を測定する手段、並びに
b)手段a)によって測定された量を参照量と比較する手段、それにより肝線維症と肝硬変を識別する
を含む、前記デバイスに関する。
さらに、本発明は、肝疾患を有する被験体において肝硬変を診断するためのデバイスであって、
a)被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を測定する手段、並びに
b)手段a)によって測定された量を参照量と比較する手段、それにより肝硬変を診断する
を含む、前記デバイスに関する。
本明細書で用いる「デバイス」という用語は、予測が可能となるように互いに動作可能なように連結された少なくとも上述の手段を含む手段のシステムに関する。該ポリペプチドの量を測定する好ましい手段及び比較を実施する好ましい手段は、本発明の方法と関連して上に開示されている。手段を動作可能に連結する方法は、デバイスに組み込まれる手段の種類に応じて異なる。例えば、ペプチドの量を自動的に測定する手段を適用する場合、自動的に動作する手段によって得られるデータは、例えば本明細書に記載される疾患を診断又は識別するためのコンピュータプログラムによって処理することができる。好ましくは、そのような場合、手段は、単一のデバイス内に含まれる。従って、該デバイスは、サンプル中のペプチドの量を測定するための分析ユニット、及び鑑別診断を行うべく得られたデータを処理するためのコンピュータユニットを備えることができる。あるいは、ポリペプチドの量を測定するための検査ストリップなどの手段を使用する場合、診断のための手段は、測定した量を、肝硬変又は線維症に伴うことがわかっている量に割り当てる対照ストリップ又は表を含んでよい。検査ストリップは、好ましくは、本明細書の他の箇所に規定されるように、ポリペプチドに特異的に結合するリガンドと結合している。ストリップ又はデバイスは、好ましくは、該リガンドへの該ペプチドの結合を検出する手段を含む。検出のための好ましい手段については、本発明の方法に関する実施形態に関連して上に開示されている。そのような場合、マニュアルに定められる指示及び解釈に基づいてシステムの利用者がその量の測定結果とその診断値とを結びつけるという意味で、手段は動作可能に連結されている。手段は、そのような実施形態では、別個のデバイスとして存在してもよいが、好ましくは、キットとして一緒にパッケージングされる。当業者は、さらなる苦労なく手段を連結する方法を理解している。好ましいデバイスは、専門臨床医の特別な知識がなくても適用可能なものであり、例えば、単にサンプルを充填すればよい検査ストリップ又は電子デバイスである。結果は、パラメータの診断生データの出力として、好ましくは絶対量又は相対量として与えることができる。これらのデータが、臨床医による解釈を必要とすることは理解されるであろう。しかし、出力が、その解釈に専門臨床医を要しない処理された診断生データを含む、専門システムデバイスも想定される。さらなる好ましいデバイスは、分析ユニット/デバイス(例えば、バイオセンサー、アレイ、ポリペプチドを特異的に認識するリガンドに結合された固体支持体、表面プラズモン共鳴デバイス、NMR分光計、質量分析計など)、又は本発明の方法に適合する上で参照した評価ユニット/デバイスを備える。
さらに、本発明は、肝線維症と肝硬変を識別するためのキットであって、該識別を実施するための説明書を含み、かつ
a)被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を測定する手段、並びに
b)手段a)によって測定された量を参照量と比較する手段、それにより肝線維症と肝硬変を識別する
を含む、前記キットに関する。
さらに、本発明は、肝疾患を有する被験体において肝硬変を診断するためのキットであって、該診断を実施するための説明書を含み、かつ
a)被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を測定する手段、並びに
b)手段a)によって測定された量を参照量と比較する手段、それにより肝硬変を診断する
を含む、前記キットに関する。
本明細書で用いる「キット」という用語は、上述の手段の集合を意味し、別々に又は単一容器内で提供されることが好ましい。また好ましくは、容器は本発明の方法を実施するための説明書も含む。従って、本発明は、本明細書に記載するポリペプチドを測定するための手段又は作用剤を含むキットに関する。そのような手段又は作用剤並びにそれらの使用方法の例は、本明細書に記載されている。キットは、好ましくは、上述の手段又は作用剤をすぐに使える様式で含有する。好ましくは、キットは、説明書、例えば、本発明の方法によって提供される診断に関する任意の測定結果を解釈するためのユーザーズマニュアルをさらに含みうる。特に、そのようなマニュアルは、測定されたポリペプチドの量を診断の種類に割り当てるための情報を含んでよい。詳細は、本明細書中の他の箇所に見出される。さらに、そのようなユーザーズマニュアルは、各バイオマーカーの量を測定するためのキットの構成要素を正しく使用することについての説明書を提供しうる。ユーザーズマニュアルは、紙又は電子形式で、例えばCD又はCD ROMに保存されて提供されてよい。本発明はまた、本発明における方法のいずれかにおける該キットの使用にも関する。
さらに、本発明は、肝線維症と肝硬変を識別するための、被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの使用に関する。
また、本発明は、被験体由来のサンプル中の、肝線維症と肝硬変を識別するための、GDF-15、HGF及び/又はエンドグリンのリガンドの使用に関する。「リガンド」という用語は、本明細書の他の箇所に記載されている。
さらに、本発明は、肝硬変を診断するための、被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの使用に関する。
本発明はまた、被験体由来のサンプル中の、肝硬変を診断するための、GDF-15、HGF及び/又はエンドグリンのリガンドの使用に関する。
さらに、本発明は、肝硬変と肝線維症を識別する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプル中のビリルビンの量を測定するステップ、
b)上記ビリルビンの量を参照量と比較するステップ、並びに
c)ステップb)の結果に基づいて、肝線維症と肝硬変を識別するステップ
を含む、前記方法に関する。
さらに、本発明は、肝硬変と肝線維症を識別する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプル中のヘパスコアを決定するステップ、
b)上記ヘパスコアを参照ヘパスコアと比較するステップ、並びに
c)ステップb)の結果に基づいて、肝線維症と肝硬変を識別するステップ
を含む、前記方法に関する。
さらに、本発明は、被験体において肝硬変を診断する方法であって、以下のステップ:
a)該被験体のサンプル中のヒアルロン酸の量を測定するステップ、
b)上記ヒアルロン酸の量を参照量と比較するステップ、並びに
c)ステップb)の結果に基づいて、肝線維症と肝硬変を識別するステップ
を含む、前記方法に関する。
本明細書中で引用された参考文献はすべて、それらの全開示内容に関して参照により本明細書に援用されるものとし、かつ該開示内容は本明細書中に具体的に述べられているものとする。
以下の実施例は、本発明を説明するだけのものである。決して本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
GDF-15及びエンドグリンの量を、確認された肝疾患を有する64人の患者の血清サンプル中で測定した。
患者集団は、Raedle-Hurstら(Europoean Journal of Gastroenterology & Hepatology 2008, Vol 20 No 9)に記載されているのと同じである。
平均年齢は48.1 +/- 6.5歳(範囲31〜65)であった。26人の患者が女性で、38人が男性であった。
肝硬変の明らかな兆候を有する患者を除いて、全ての患者で肝生検を行った(Raedle-Hurstら, 前掲を参照)。肝生検の検体を、患者の臨床及び生化学データを知らない経験豊富な病理学者が評価した。肝臓の線維化を、Ishakスコア(Ishakら, Histological grading and staging of chronic hepatitis. J Hepatol 1995; 22:696-699)に従って病期分類した。軽度の線維化はステージF1〜2に属し、中程度の線維化はF3〜4に属し、重度の線維化/肝硬変はF5〜6に属する。重度の線維化/肝硬変を、Child-Turcotte-Pugh基準(Pughら, Transection of the oesophagus for bleeding oesophageal varices. Br J Surg 1973; 60:646-649)に従って分類した。
肝疾患の病期分類は、64人の患者中25人(39.1%)で軽度の線維化(F1〜2)、64人の患者中8人(12.5%)で中程度の線維化(F3〜4)、64人の患者中31人(48.4%)で重度の線維化/肝硬変(F5〜6)を示した。重度の線維化/肝硬変を有する患者の下位群において、肝機能障害の程度を、11人の患者でChild-Turcotte-PughクラスA、11人の患者でB、9人の患者でCと分類した。
結果を図1及び図2に示す。
結果からわかるように、エンドグリン及びGDF-15の量は、線維症を有する患者由来のサンプル中より、肝硬変を有する患者由来のサンプル中で多い。従って、これらのマーカーの測定により、肝硬変と肝線維症の識別が可能となる。
59歳のワイン生産者は、定期健診のためにかかりつけの医者のところにいる。過去において、肥満(ボディマスインデックス:27)の結果起こったと考えられた、血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)及びγグルタミルトランスペプチダーゼ(γGT)のレベルの上昇を除いて、病的状態の兆候はなかった。さらなる検査において、GDF-15(2530pg/ml)及びエンドグリン(6ng/ml)を患者から得られた血清サンプル中で測定する。続く超音波検査によって肝疾患の存在が示される。肝生検を行い、肝硬変が診断される(小さな不活性結節の存在のため)。血清サンプルを凍結し、-20℃に保存する。該サンプル中で、後にHGFを測定する(3156pg/ml)。
慢性C型肝炎(遺伝子型1)を有する49歳の男性患者由来の血清サンプル中でエンドグリン、GDF-15及びHGFを測定する:エンドグリン4.2ng/ml、GDF-15 1320pg/ml、HGF 1780pg/ml。患者をインターフェロンα及びリバビリンで治療する。治療はHCV RNA(ウイルス負荷)の量を減少させるが、治療の6ヶ月後でHCVの除去は達成されない。その後、インターフェロンを用いる治療を停止する。さらに2年後、血清サンプル中でエンドグリン、GDF-15及びHGFを再び測定する(エンドグリン6.1ng/ml、GDF-15 1810pg/ml、HGF 2762pg/ml)。治療開始時及び治療停止2年後に得られた肝生検の検査は、最近2年以内での肝線維症から肝硬変への進行を示す。
電気化学発光イムノアッセイElecsysTM装置(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)によってGDF-15を測定した。アッセイは電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ原理に従って機能する。第一段階では、ビオチン標識IgG(1-21)捕捉抗体、ルテニウム標識F(ab')2(39-50)シグナル抗体及び20μlのサンプルを37℃で9分間インキュベートする。その後、ストレプトアビジン被覆磁性微粒子を添加し、混合物をさらに9分間インキュベートする。2回目のインキュベーション後、電極の表面にビーズが磁気的に捕捉されるシステムの測定セルに反応混合物を移す。測定セルを緩衝液で洗浄することによって、非結合標識を除去する。
最後の段階では、電圧を、トリプロピルアミン含有緩衝液の存在下で電極に印加し、結果として生じる電気化学発光シグナルを光電子増倍管によって記録する。全ての試薬及びサンプルをElecsysTM装置によって完全に自動的に扱う。結果を、2点キャリブレーションによって生成した装置特異的な検量線及び試薬バーコードを介して与えられるマスター曲線によって測定する。検査を製造業者の説明書に従って行う。
エンドグリンの血漿レベルを、R & D Systems, USAから市販のイムノアッセイ「Quantikine」(カタログ番号DNDG00)を用いて測定した。
実施例1に記載した患者由来の血清サンプル中の肝細胞増殖因子を測定した。HGFを、Quantikine(登録商標)ヒトHGFイムノアッセイ, R&D Systems, Inc., MN, Minneapolis, USAを用いて検査した。
HGFについての中央値を以下の表に示す。
Figure 2012515335
上の表からわかるように、HGFのレベルは、肝線維症を有する患者より、肝硬変を有する患者において有意に高い。従って、肝疾患を有する患者由来のサンプル中のHGFの測定により、患者が肝線維症又は肝硬変に罹患しているかどうかを評価することが可能となる。

Claims (16)

  1. 被験体において肝線維症と肝硬変を識別する方法であって、以下のステップ:
    a)該被験体のサンプル中のGDF-15(増殖分化因子15)、HGF(肝細胞増殖因子)及び/又はエンドグリンの量を測定するステップ、
    b)GDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を参照量と比較するステップ、並びに
    c)ステップb)の結果に基づいて、肝線維症と肝硬変を識別するステップ
    を含む、前記方法。
  2. 該被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
  3. 該サンプルが、血液、血清又は血漿サンプルである、請求項1又は2に記載の方法。
  4. GDF-15の量を測定し、GDF-15の量が参照量より多いことは肝硬変を示すものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. GDF-15の量を測定し、GDF-15の量が参照量より少ないことは肝線維症を示すものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. GDF-15の参照量が約2000pg/mlである、請求項4又は5に記載の方法。
  7. エンドグリンを測定し、エンドグリンの量が参照量より多いことは肝硬変を示すものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  8. エンドグリンを測定し、エンドグリンの量が参照量より少ないことは肝線維症を示すものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  9. エンドグリンの参照量が約6ng/mlである、請求項7又は8に記載の方法。
  10. GDF-15の量及びエンドグリンの量を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  11. GDF-15の量、HGFの量及びエンドグリンの量を測定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  12. GDF-15の代わりに、ビリルビンの量を測定する、請求項4に記載の方法。
  13. 肝線維症と肝硬変を識別するためのデバイスであって、
    a)被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を測定する手段、並びに
    b)手段a)によって測定された量を参照量と比較する手段、それにより肝線維症と肝硬変を識別する
    を含む、前記デバイス。
  14. 肝線維症と肝硬変を識別するためのキットであって、該識別を実施するための説明書を含み、かつ
    a)被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの量を測定する手段、並びに
    b)手段a)によって測定された量を参照量と比較する手段、それにより肝線維症と肝硬変を識別する
    を含む、前記キット。
  15. 肝線維症と肝硬変を識別するための、被験体のサンプル中のGDF-15、HGF及び/又はエンドグリンの使用。
  16. 被験体由来のサンプル中の、肝線維症と肝硬変を識別するための、GDF-15のリガンド、HGFのリガンド及び/又はエンドグリンのリガンドの使用。
JP2011545690A 2009-01-16 2010-01-18 線維症と肝硬変を識別する手段及び方法 Pending JP2012515335A (ja)

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