JP2012513062A - 脈絡補強型配信用作品生成方法及びシステム - Google Patents

脈絡補強型配信用作品生成方法及びシステム Download PDF

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Abstract

叙述情報ファイルの選定、管理、共有及び表示を担うシステムにて、叙述、制作者及び受信者に対しその叙述情報ファイルが呈する脈絡的な重要性を勘案してそれを実行する。叙述対象に対する重要性に絶対的及び相対的意義を置いていて、制作者及び受信者による回想を刺激するのに役立つシステムであるため、様々な出来事がより忘れがたいものになる。これは、本発明のシステムの使用で得られる結果の品質やその使い勝手が高いためである。

Description

本発明は配信用作品の制作、例えばその生成、共有及び編集に関し、特に作品の叙述節(ナラティブノード)、叙述情報(ナラティブデータ)及び脈絡情報(コンテキスチャルデータ)が互いに有している脈絡的な重要性(シグニフィカンス)、或いはその作品の制作者、視聴者、登場人物等との間に有している脈絡的な重要性に従い、叙述情報及び脈絡情報を選定、管理、共有及び表示するシステムに関する。
様々な種類の情報を様々な目的及び形態で配信したい、という切なる要求は不断且つ広範に存在している。配信できる情報の種類や配信の理由、目的、形態及び手段についてはほとんど制約がなくなってきているが、個々具体的な配信用作品の実効性がそのコンテンツ及び配信の構造で大きく左右されることも周知の通りである。
まず、配信一般について概論すると、その情報形態が文章、静止画、動画、音声、その組合せ等のいずれであれ、どういった配信用作品でも、伝達したい必要最低限の叙述情報(叙述コンテンツ)を含め幾種類かの情報を担う叙述節が形成されるものである。幾つかの叙述節が配列されることで形成される構造のことを叙述と呼ぶ。諸叙述節間の関係がその叙述によって規定されるため、それらの叙述節で担われる叙述情報は首尾一貫した表現へと体系化されることとなる。受信者には、こうして首尾一貫した表現となった作品が届けられる。受信者は、その作品内の諸叙述節をその作品の叙述によって構成、規定される筋書きに沿い縦貫的に参照することができる。
ただ、こうした裸の叙述構造が役立つ配信用作品は限られている。具体的には、叙述コンテンツに対する解釈の幅が非常に狭く、制作者・受信者間に誤解が生じようのない類の情報、例えばコンピュータシステム間でやりとりされる情報、制御信号、指令等のように機械間でやりとりされる情報に限られる。これに対し、一般社会では、配信可能な情報量を大きく増やし、曖昧さや誤解ができるだけ生じないようにし、そしてより役に立つ情報が配信されるようにすることが求められている。そのためには、配信される作品に相応の情報を付加し、制作者が意図した通りの意味や含みで受信者が叙述コンテンツを受けいられるようにする手だてが必要になる。
その種の付加情報は脈絡情報と通称されている。作品の脈絡情報(脈絡コンテンツ)は、作品の叙述コンテンツを伝達するのに必須ではないとはいえ、基本的な叙述を理解するのに役立ち、視聴者をより深い理解にいざなうものであり、また深みのある精緻なナレーションの生成にも役立つものである。脈絡コンテンツが適切に選定されていれば、付加的な情報や機微を視聴者に対し直接的にも間接的にも提供することができる。即ち、直截なナレーションで情報を伝達することも、暗喩、連想乃至示唆を通じ視聴者の感情、記憶、個人的知識、体験等に訴えることもできる。
米国特許出願公開第2007/0168315号明細書
しかも、今日ではインターネットや電子化データベースといった情報源に加え、検索エンジン等の現代的設備乃至ツールを利用することができる。その結果、作品に関する情報の探索、所在特定及び参照に関わる問題は既にかなりの程度軽減されている。とはいえ、脈絡コンテンツを適正に選定又は作成すること、また個別の作品をその脈絡コンテンツで狙い通りに補強することは、いまもなお難しい問題として残っている。却って、現代的情報検索・取得手段の使用で入手可能情報量が増えたことは、脈絡コンテンツとして利用できる情報の洪水で問題が複雑化する原因ともなっている。即ち、自分が入手できる情報の過多によって、どのような情報を脈絡コンテンツとして利用できるか、その情報がどの程度重要か、その情報と他の脈絡コンテンツ乃至叙述コンテンツとの間にどのような関係がありその関係がどの程度かすら、制作者が容易に見極められないことがある。
本発明は、従来技術におけるこうした問題点やそれに関連する問題点への解決策を提供するものである。
本発明は別紙特許請求の範囲に記載の通りの発明である。その主要特徴の一つは、社会交際網に連関するよう網状の叙述構造を作成し、重要性が一種の展望(パースペクティブ)として表現される三次元的な仮想風景を表示させることで、その叙述構造にて継起する諸関係を表示するようにした点にある。その好適な実施形態の一つは、幾つかのファイルに保存されている情報を叙述コンテンツとして使用し、個々の叙述節に相応の叙述コンテンツを関連付けることで、叙述節を幾つか有する配信用作品を制作する方法及びシステムである。叙述コンテンツとしては、原則として、対応する叙述節の主題に関連する様々な種類の情報を使用することができる。具体的には、ファイル内情報のうちその叙述節の主題に関する情報、例えば仕事、学校、休暇、結婚式、家族、幼児、子供時代、スポーツ、ゲーム、兵役等の主題に関する情報を使用する。叙述コンテンツの取得元となるファイル(以下「叙述情報ファイル」)としては、叙述コンテンツとして使用される情報が一種類保存されていて、更にその叙述コンテンツに密接に関連する情報が幾種類か保存されているものを使用するのが望ましい。例えば、分類「楽しみ」に属する叙述コンテンツが保存されていて、しかも演劇、スポーツ、音楽、パズル解き、ゲーム、狩猟等に関する情報が保存されているファイルを、叙述情報ファイル12Cとして採用するのが望ましい。
本発明のより具体的な実施形態の一つは、好きな主題又は話題に関する配信用又は表示用作品、特に非常に扱いやすくその叙述及び脈絡がしっかりとした作品を制作できるユニークな方法及びシステムである。本実施形態を便利なツールとして使用することで、作品の制作者や司会者は、主題や話題を選定、整頓する作業や作品を修正する作業を、それを参照する集団や自分の好みに適合するよう且つ簡便に行うことができる。こうした実施形態を理解する上で役立つ例としては、米国大統領史に関する歴史物の作品がある。その種の作品の類型としては、ある特定の大統領に関する作品、ある特定の時代に在位していた幾人かの大統領に関する作品、全大統領に亘る通史を米国史及び彼らの任期との関連で述べる作品等がありうる。
ここでは、一例として、全大統領に亘る長大な作品、例えば大学で歴史を学んでいる学生諸君を視聴者とする表示用作品を制作するものとしよう。そうした作品を制作する際には、まず、その任期をカバーするよう歴代大統領の任期毎に叙述節を設けることで、その作品の構成要素を準備、整頓する。次いで、その叙述節に対応する大統領に関する様々な情報を、叙述コンテンツとして相応の叙述節に関連付ける。関連付ける情報の形態は、写真でも動画でも新聞記事でも雑誌記事でもよい。その大統領の地盤、家庭事情、加入政党、議会経験、当選歴等に関するものであればよい。その他の情報、例えばその大統領の任期中に生じた歴史的重大事件の進行過程でその大統領にとり転機、成果又は失策になった事項に関するナレーション等も、叙述情報として使用することができる。また、叙述コンテンツを叙述節に関連付けることでその取得元たる叙述情報ファイルがその叙述節に関連付けられることとなる。そうした叙述節・叙述情報ファイル間関係は柔軟に変化させることができる。必要ならば、ある大統領の任期をカバーする叙述節に関連付けられている叙述情報ファイルを、別の大統領の任期をカバーする別の叙述節に関連付けることもできる。
その次は、作品に備わる重要な性質たる展望を設定するとよい。展望はこれまでビュー(眺望)とも呼ばれてきたものであり、これには制作者のもの、実演者のもの、視聴者のもの、人間集団のもの等がある。叙述節を原点とする多次元極座標空間(以下「仮想展望空間」)、例えば図14A〜図18を参照して後述するレーダビューを用い展望を規定、管理すれば、様々な展望を表現することができる。
いま採り上げている例の場合にも、レーダビューをその時代の主要政党に着目して描くことができる。例えば、エイブラハム・リンカーンの任期に対応する叙述節に関し、政治的な流れに沿いその時代を捉えて極座標形式のレーダビューを表示させた場合、そのレーダビューは4個の領域(以下「視野」)で割拠されることとなろう。ホイッグ党、不可知主義党、共和党及び民主党なる四大政党がその時代に存していたからである。もっとも、リンカーンの初選出前からその後にかけ早々に消えていったホイッグ党や不可知主義党に係る視野は際立って狭く、且つ重要な叙述対象をあまり含まないものとなるので、そのレーダビューで大きく表示されるのは民主党や共和党に係る視野となろう。また、米国内の地域別に異なる経済的又は政治的傾向に係る視野を、主要政党の視野と同じレーダビュー上に表示させることや、別のレーダビュー上に表示させることもできる。例えば、北部諸州、南部諸州及び西部諸州からリンカーンや彼が関わった政治及び戦争を見た視野である。それらの視野間の相互重複や、それらの視野と政党の視野との重複も生じうる。
レーダビューは、原点を占める叙述節からの距離の増大につれ重要性が比例的に低下することが複数個の径方向間隔円(同心円)で、また重要な叙述対象を巡る視点の違いがその叙述対象に対応するアイコンの位置の違いで、それぞれ表現される極座標図である。例えば、奴隷制を表すアイコンの位置は、民主党の視点に従い表した場合と共和党の視点に従い表した場合とで異なる位置になる。また、叙述対象に備わる絶対的重要性は、叙述対象を表すアイコン同士の大小関係で表現され、制作者個人にとっての重要性は、原点とその叙述対象を表すアイコンとの近接度で表現される。リンカーンの任期には奴隷制が決定的な問題であったので、重要な叙述対象のうち奴隷制に関する視点の違いを含むものを表すアイコンは、他のアイコンに比べかなり大きく、且つその重要性が非常に高いことを示す位置(原点のすぐ近く)に表示されることとなろう。他方、メアリ・トッド・リンカーンやその子供達に関する叙述対象等、米国史の流れから見てさほど重要でない家族事情関連の叙述対象は、絶対的重要性が低いことを示す小さなアイコンで表示されることとなろう。奴隷制問題についての叙述情報としては、写真、その当時奴隷制賛成又は反対の立場から記された記事、個人的な評価を述べるナレーション音声等を使用することができる。
リンカーン配下の共和党に係る視野と民主党に係る視野とでは、重要であると見なされその中央の叙述節付近に表示される叙述対象が異なってくる。例えば、共和党に係る視野では、同党にとり重要なリンカーン・ダグラス論戦や奴隷制西方蔓延阻止が中央付近に表示されるであろうし、民主党に係る視野ではドレッド・スコット事件のように州の権利及び奴隷制に関する民主党の立場を支持するものが中央付近に表示されるであろう。
その後は、個人的重要性ベクトルを用い所望の視野内で個別の視点を規定、配列し、摺動操作子を用い、そのベクトルに沿い重要な叙述対象の相対的重要性を範囲指定し重要な叙述対象のなかから特定のものを選択するとよい。例えば、共和党の視野における個人的重要性ベクトルが、南北戦争中の主要戦闘といった重要な叙述対象を過ぎっている場合、摺動操作子を使用することで、共和党や北軍の視点から見て転回点となった決定的な戦闘を好適に選定することができる。即ち、使用者は、摺動操作子の位置を適宜調整することで、ヴィクスバーグの戦闘やゲティスバーグの戦闘は含まれるが他の戦闘が含まれないように範囲を指定することができる。
なお、この例では、リンカーンに係る叙述節の次がアンドリュー・ジョンソンに係る叙述節、というように、叙述節から叙述節への遷移が全体として直線状になるが、遷移が常に直線状になるわけではない。リンカーンに係る叙述節から公民権に関わった後代の大統領に係る叙述節への遷移、例えばジョン・F・ケネディに係る叙述節への遷移もあり得る。
同一の叙述節にて複数通りの視野乃至展望を使用し、叙述の同一部分に備わる二側面を関連付けることもできる。言い換えれば、叙述対象の分類がどれかの展望によるものに限定されるわけではない。同じ叙述対象を二通りの展望から参照することが妥当な場合もある。例えば、リンカーン・ダグラス論戦に関しては、州の権利及び奴隷制にまつわる二通りの展望があろう。この場合、ダグラス側の展望及び叙述対象を民主党に係る視野内、リンカーン側の展望及び叙述対象を共和党に係る視野内に割り当てておけば、無論、互いに別の分類に属する民主党側視野と共和党側視野とを、その作品の制作者、実演者又は視聴者に割り当てられた展望から参照することができる。使用者がいずれかの視野からある叙述対象を指定したとき、それと同じ叙述対象を全ての視野内で強調表示させる等すれば、レーダビューで叙述対象・展望間関係を表現することができる。例えば、共和党に係る視野内にある奴隷制関連論説の上にマースカーソルが重なったときに、どの視野でもその論税の所在位置がわかるようその論税の表示を着色強調する、といった具合である。その場合、中心にある叙述節から個々の着色強調表示までの距離から、対応する視野におけるその論説の相対的重要性を読み取ることができる。即ち、共和党、民主党、ホイッグ党、不可知主義党のそれぞれに対するその論説の相対的重要性を読み取ることができる。
以上の例示から理解できるように、この叙述構造及び制作方式は、制作者にとっても視聴者にとっても非常に柔軟で使いやすいものである。制作者は、上述した広範囲の叙述節に留まらずより具体的な情報を伴う叙述節を設けることもできる。例えば、リンカーン配下の連合軍に関する仮説の検証を目的とした学問的研究のため、専ら自分の利益になるよう作品を制作することができる。リンカーンが兵士には好かれていたが指揮官としての能力に欠けていたため自軍の将校達にあまり尊敬されていなかった、という仮説を検証したいのであれば、様々な将校間で視野を切り替えたり、摺動操作子で相対的重要性の範囲を指定して興味ある重要な叙述対象、例えば兵士や将校が遺した日記、私信、対話等のうち適当なものを選定したりすればよい。
更に、上述の如く平面的なレーダビューに代え、個々の視野を制作者が縦貫的に眺めることが可能な別のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)乃至仮想展望空間を使用することもできる。例えば、ゲティスバーグ戦場を位相幾何学的に変形して表現するGUIを使用し、リンカーンの命令が将校達にどのような影響を及ぼしたかをそのGUI上での位置及び動きで表示させるようにしてもよい。自分なりの展望や視野に到達した将校達に混じり自在に移動させうるよう、且つ個々の将校の展望に期待される重要性に従い、アバタをそのGUI上に表示させるようにしてもよい。使用する仮想展望空間と叙述節との間に地理的な相関がなくてもよい。通常は、アバタを任意位置に表示させること及びその移動方向を任意に変化させることが可能で、アバタをある方向乃至ベクトルに沿い移動させるとその展望に係る重要性の範囲が一緒に変化するようにするのが望ましい。例えば、リンカーンの任期に係る展望を表示するための仮想眺望空間であれば、任意方向にアバタを動かすと別の政治的展望例えば民主党、共和党、ホイッグ党等に係る展望からの叙述になり、特定方向にアバタを動かすとその叙述における政治的展望の相対的重要性が変化するようにするのが望ましい。
このように、上述した方法及びシステムは柔軟性の高いものである。これは、何らかの主題に関する叙述を制作して表示させる際に、制作者・実演者間、制作者・視聴者間等、協働する人物の組合せを問わず、様々な協働的場面で有益なツールになりうることを意味している。例えば、制作者が最初に設定した叙述構造や、制作者が自分の知識や自分なりの視点に基づき叙述コンテンツとしてその作品に関連付けた情報は、決して不変なものではない。寧ろ、実演者や視聴者の視点から見てより高度な重要性を呈し或いは別様の重要性を有すると見られる情報を、叙述コンテンツとして採用してその叙述を変更することが可能であるし、それは難なく行える。変更の形態は、叙述コンテンツとして利用可能な情報と、その情報を含む作品の制作に対する制作者、実演者、視聴者等の人物の関わり方次第である。例えば、リンカーンの任期に関し制作者が初期設定した展望の枠内で、実演者が、データベース上にあるが制作者が考慮しなかった情報間の新たな連関乃至相関を見出すことがあり得る。作品に対する関わり方が制作者のそれとは違うためである。実演者は、制作者とは違い、心優しく平和的で家族を思いやるというリンカーンの人間性から、より強い感銘を受けるかもしれない。実演者の洞察が、リンカーンの政治的役割や軍事的役割よりも、リンカーンの人間性に向きやすいからである。そうした洞察はリンカーンの和解再生政策、即ち分裂的な戦争やリンカーンの暗殺に抗し南北両軍に政治的、社会的及び経済的な前進をもたらした政策に関する洞察及び解明につながるであろう。
より具体的には、本発明は、ディスプレイ上に情報を表示させる方法に関する発明である。本方法は、情報提供先たる視聴者を特定するステップと、その視聴者にとり相対的重要性がある第1の情報を保存媒体から取得するステップと、当該視聴者にとり相対的重要性があり且つその相対的重要性が第1の情報に備わるそれとは異なる第2の情報を保存媒体から取得するステップと、その視聴者が少なくとも第1及び第2の情報を眺めるであろう視点を特定するステップと、少なくとも第1の情報の相対的重要性に基づき当該第1の情報に係る視点からの距離たる第1の距離を求めるステップと、少なくとも第2の情報の相対的重要性に基づき当該第2の情報に係る視点からの距離たる第2の距離を求めるステップと、第1及び第2の距離が反映される形態で第1及び第2の情報をディスプレイ上に表示させるステップと、を有する。
また、本発明は、ディスプレイに可視表示させるための作品を構築する方法及びシステムで実行される方法に関する発明でもある。本方法は、複数個の叙述節、それに叙述情報として関連付けるべき情報、並びに保存媒体上にありその情報が保存されている1個又は複数個の叙述情報ファイルを特定するステップと、1個又は複数個の叙述節に相応の叙述情報をリンクさせることで、その作品に関する適切な主題をその叙述節に関連付けるステップと、それら叙述節を相応の順序で並べることでその作品に相応しい組織的構造を発生させるステップと、その作品を受信者用のディスプレイに表示させるステップと、を有する。なお、本願でいう受信者はディスプレイを用いその作品を視聴又は編集しうる人物乃至集団のことであり、その作品の制作者、実演者、視聴者その他を含んでいる。
そして、本発明は、ディスプレイに表示させるための作品を生成する方法及びシステムで実行される方法に関する発明でもある。本方法は、作品に含めるべき叙述情報を1個又は複数個特定するステップと、保存場所及びデータファイルのうち一方又は双方からその叙述情報を取得するステップと、取得した叙述情報を所定の条件に従いフィルタリングすることでその叙述情報からその作品に備わるべき枠組みに合致する範囲内のものを抽出するステップと、その作品の枠組みを規定する他の複数個の叙述節と共に順番に並んでいる叙述節のうち1個又は複数個にその叙述情報を関連付けることで当該相応範囲内の叙述情報をその作品に組み込むステップと、を有する。
作品の構造及び構成要素を示す模式図である。 一例システム構成を示す図である。 配信用作品の制作に使用されるスタジオ設置型入力システム及びディスプレイを示す模式図である。 配信用作品の制作に使用される実演場所設置型入力システム及びディスプレイを示す模式図である。 配信用作品制作方法を示すフローチャートである。 叙述情報ファイル表示中のディスプレイ画面を示す図である。 データベース構造を示す模式図である。 作品関係者に係る知識ベースを示す図である。 複数個の叙述情報ファイルそれぞれに係る条件エントリ及び情報フィールドを有する叙述情報ファイルデータベースを示す図である。 配信用作品向けに指定された複数個の叙述情報ファイルそれぞれに係る条件エントリ及び情報フィールドを有する指定叙述情報ファイルデータベースを示す図である。 複数個の配信用作品それぞれに係る条件及び情報フィールドを有する叙述構造データベースを示す図である。 リンクデータベースを示す図である。 叙述情報ファイル・叙述・作品関係者間の関係を示す図である。 それら基本構成要素間の相互作用形態を示す図である。 相互作用結果利用方法を示す図である。 相互作用を経たシステムの最終状態を示す図である。 仮想展望を示す概念図である。 叙述情報ファイル・関係者間に存する諸関係の関連付け方法を示すフローチャートである。 極座標形式の仮想展望空間における叙述情報ファイル・叙述節間関係の一例表現を示す模式図である。 叙述情報ファイル・叙述節間関係の諸例を示す模式図である。 叙述情報ファイル・叙述節間関係のうち、双方向的なものを示す模式図である。 叙述情報ファイル・叙述節間関係のうち、叙述節で叙述情報ファイルが規定される関係を示す模式図である。 叙述情報ファイル・叙述節間関係のうち、叙述情報ファイルで叙述節が規定される関係を示す模式図である。 仮想展望の画面表示形態を示す図である。 個人的重要性ベクトル及び叙述線の概念を示す模式図である。 叙述情報ファイル・叙述節間関係を調べる方法を示すフローチャートである。 その作品とのやりとりで粗筋を選択できるよう配信用作品の制作者等が叙述構造を貫くように設けた複数本の粗筋を示す図である。 脈絡情報ファイルを叙述節に仕立て直す際の仮想展望再計算方法を示す図である。 推論クエリの生成利用方法を示すフローチャートである。 配信用作品生成方法の一例を示すフローチャートである。 仮想展望サブシステムの構成を示すブロック図である。 システムの全体動作を示すフローチャートである。 仮想展望の利用に適したGUI上操作子群を示す図である。 相対的重要性ではなく絶対的重要性に基づく叙述対象の表示・選定を示す図である。 範囲ロック操作子730の使用で生じうる効果を示す図である。 レーダビュー型GUIを用いた叙述節間隔変更及び叙述節移動を示す図である。 レーダビューとカーソルCの併用を示す図である。 視点操作用のグラフィカルツール795を示す図である。 使用者によるカーソルCの移動に伴う叙述節コピー797の仮想風景内移動を示す図である。 叙述線245から叙述線352への移動を行えるGUIを示す図である。 種々の脈絡情報を様々に変化させうるGUIを示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態に関し図面に基づき説明する。各図中、同様の構成要素には同一の参照符号を付してある。
以下の説明では、まず、個々の叙述節に叙述情報及びそれに関連する脈絡情報を関連付けて叙述構造を形成することで、組織だった構造を有する作品を制作する方法及びシステムについて説明する。次いで、叙述情報が叙述構造に対し呈する相対的重要性や脈絡情報が叙述情報及び叙述構造に対し呈する相対的重要性を制作者特性や想定視聴者特性に適合させることで、その作品の実効性が高まることについて説明する。そして、作品で叙述情報や脈絡情報として使用したい情報を探し、見つけ、参照して入手するシステムや、その作品に脈絡情報として組み込むべき情報を作品の狙いや制作者、想定視聴者等の特性に従い選定するシステムについて説明する。
A.序論及び作品構成要素 … 図1
(a)叙述節、叙述コンテンツ及び叙述情報ファイル
図1に作品10の構成要素及び構造を示す。この作品10では、複数個の叙述節12Aそれぞれに叙述コンテンツ12B及びその取得元たる叙述情報ファイル12Cが1個又は複数個関連付けられているが、節12Aが1個の作品もあり得る。ファイル12Cには、通常、対応する節12Aによって届けられるべき必要最低限情報たるコンテンツ12Bに加え、その節12Aで叙述すべき事項たる叙述対象に関連する情報が幾種類か保存されている。例えば、仕事、学校、休暇、結婚式、家族、幼児、子供時代、スポーツ、ゲーム、兵役等に関する情報である。更に、ファイル12C内コンテンツ12Bの種類を示す叙述コンテンツ種別識別子12Dもそのファイル12Cに保存されている。1個のファイル12Cに複数種類のコンテンツ12B、複数個の識別子12Dを容れておくこともできるが、本発明の好適な実施形態に係る方法及びシステム(以下「本実施形態」)では、同じファイル12Cに保存されており互いに密接な関係を有している情報のうち一種類をコンテンツ12Bとして用いるようにしている。そうしたファイルの例は、分類「楽しみ」に属する叙述コンテンツと、演劇、スポーツ、音楽、パズル解き、ゲーム、狩猟等に関する情報とが、併せて保存されているファイルである。
そして、各叙述情報ファイル12Cには図示の通り脈絡指示子12Eも保存されている。この指示子12Eは後述する脈絡コンテンツ16Aの種類を示すものであり、1個のファイル12Cに複数個の指示子12Eが保存されることもある。指示子12Eは、同じファイル12C内のコンテンツ12Bに備わる重要性を、明示又は暗示する形態を採っている。例えば、コンテンツ12Bの事前解析結果をファイル12C内情報フィールドに保存等することで、そのファイル12Cに、明示的な形態の指示子12Eを保存させることができる。逆に、本実施形態のように、ファイル12C内コンテンツ12Bに予め組み込んでおくことで、暗示的な形態の指示子12Eをファイル12Cに保存させるようにしてもよい。本実施形態では、作品10にコンテンツ12Bとして含めたい情報及びその取得元ファイル12Cを選定する過程で、諸種脈絡コンテンツ16Aを規定するルールに従いそのコンテンツ12Bを解析することで、そのファイル12Cに保存させる指示子12Eを決定するようにしている。
(b)叙述構造
上述の通り、ある作品10のコンテンツはある決まった順序で受信者向けに表示される。受信者とは、その順序に従い幾つかの叙述情報ファイル12Cを縦貫的に処置、受領等しそれに含まれる情報を表示させる人物、例えばその作品10の制作者、視聴者、使用者等のことである。言い換えれば、作品10を構成する諸叙述節12Aは、その作品10における節12A間関係を規定する組織的構造たる叙述構造14Aに従い並んでいる。同じ構造14A内の諸節12Aは、作品10のコンテンツが受信者に届く順序即ちその作品10の粗筋12Pに沿って受領されるので、諸節12Aに係る叙述コンテンツ12Bを適正な順序、即ちその作品10の趣旨及び目的に適合した整合性ある順序で表示させることができる。
叙述構造14Aは多種多様な叙述節12A間関係を表現できる概念である。これを用いることで、作品10における節12A間関係ひいては叙述コンテンツ12B間関係を表現、規定することができる。例えば科学技術論文、小説、歴史書等といった種類の作品10では、様々な情報が直線的に並ぶことが多い。そうした作品10では諸節12Aを縦貫する粗筋12Pが1本形成され、諸節12Aの関連付け及び表示が主としてその作品10の叙述条件に従い、即ちその作品10の叙述条件で規定される構造14Aに従い行われることとなろう。これに対し、構造14A内の諸節12Aが、叙述に備わる複数の側面に従い配列されることもある。例えば、時間軸に沿った粗筋12Pを幾本か有していて、その粗筋12Pが時間的に細分されているような構造14Aもあり得る。旅行記に散見されるように、時間軸に沿った粗筋12Pを幾本か有していて、その粗筋12Pが地理的な関係に従い細分されているような構造14Aもあり得る。
叙述節12A間諸関係言い換えれば叙述構造14Aは、それらの節12Aに係る叙述コンテンツ12Bによっても左右される。例えば、同じ節12Aに係る複数個のコンテンツ12B間に、出来事の発生順序等といった時間的関係、ボストンとマサチューセッツ州東部の諸都市の位置関係等といった地理的関係、或いは美術、薬品等といった題材的関係がある場合、構造14Aは、明示はなくともそれらの関係で左右される。また、互いに別の節12Aに係るコンテンツ12B同士の関係が構造14Aに影響を及ぼすこともある。その例は、ある節12Aに係るコンテンツ12Bで述べられている出来事が、別の節12Aに係るコンテンツ12Bで述べられている出来事に対し時間的に密接な関係を有していて、更に別の節12Aに係るコンテンツ12Bで述べられている出来事に対してはそうでもない、という場合である。構造14Aにおける節12A間関係は、明示はなくともそうした時間的関係で左右される。そして、複数の要因でコンテンツ12B間に生じる関係で、構造14Aが明示的又は暗黙的に左右されることもある。例えば、歴史についての叙述を含む作品10では、互いに別の節12Aに係るコンテンツ12B同士を関連付けて叙述情報群を形成させる地理的な関係と、それら叙述情報群同士を関連付ける時間的な順序関係とにより、それら節12A間の関係が左右される。
(c)脈絡コンテンツ及び脈絡情報ファイル
作品10は、上述の如く幾つかの叙述節12Aで形成される叙述構造14Aや、その節12Aに係る叙述コンテンツ12Bに加え、そのコンテンツ12Bに関連した脈絡コンテンツ16Aを有していることが多い。脈絡コンテンツ16Aは、先に説明した通り、付加的な情報や詳細な情報を受信者に届ける役に立つものである。しかも、それを、直接的な形態でも間接的な形態でも行える。即ち、情報をそのままナレーションで流す形態でも、情報を暗示、示唆又は間接参照する形態でも、その情報を提供することができ、ひいては視聴者の感慨、記憶、知識、思い出等を好適に喚起することができる。従って、作品10の叙述コンテンツ12Bに脈絡コンテンツ16Aとして関連付けるに相応しい情報を選定すること、即ちその作品10の制作者や視聴者の知識、体験及び個性を踏まえ選定することで、その作品10の訴求力をかなり強めることができる。
脈絡コンテンツ16Aの取得元ファイル(以下「脈絡情報ファイル」)16Bとなるのは、図1に示すように、同一又は別々の分類に属していてコンテンツ16Aとして使用できる1個又は複数個の情報に加え、その情報の種類を示す脈絡種別識別子16Cが保存されているファイルである。或いは、その作品10でコンテンツ16Aとして使用するに相応しい情報が見つかったときに、諸種コンテンツ16Aを規定するルールに従いその情報を解析することで、そのファイル16Bに係る識別子16Cを定めるようにしてもよい。
この点に関して述べると、本実施形態では、脈絡コンテンツ16A及びその取得元ファイル16Bを構成要素とする脈絡骨格16Dが幾通りか形成されており、またその骨格16Dがそれぞれある種類の脈絡に関連付けられている。形成されうる骨格16Dとしては、例えば、対応する叙述情報ファイル12C内の叙述コンテンツ12Bに対し年代的な関連を有する脈絡コンテンツ16A及びその取得元ファイル16Bで形成される年代的脈絡関連の骨格16Dや、場所等の地理的要因で叙述コンテンツ12Bに関係している脈絡コンテンツ16A及びその取得元ファイル16Bで形成される地理的脈絡関連の骨格16Dがある。形成されうる骨格16Dとしては、このほか、日付、時刻、日時、家族関係、業務関係、趣味、学歴、病歴、様々な形態の主題等、様々な脈絡関係に係るものがあり得る。過渡的な脈絡関係でも長期的な脈絡関係でもかまわない。更には、様々な階層の人間、様々な地域等、様々な種類のコンテンツ12B乃至16Aに適用できる大域的な骨格16Dや、ごく限られた人間集、ごく限られた場所等、狭い範囲のコンテンツ12B乃至16Aにしか適用できない局所的な骨格16Dもあり得る。
どのような内容の脈絡コンテンツ16Aをその脈絡骨格16Dに加入させるか、即ちどのような種類の脈絡情報をその骨格16Dに含めるかは、その骨格16D向けの脈絡ルール群、即ちコンテンツ16Aの種類を指定するルール群に従い決定される。脈絡情報の種類を調べ特定種類の脈絡情報に加入権を与える脈絡ルールとしては、例えば、イエス/ノーの二値ルール、確率的乃至統計的なルール等を使用することができる。個々の脈絡骨格で使用される脈絡ルールを経験的に定めることも、本件技術分野で習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)にとり周知の自動分類法、例えば遺伝的アルゴリズムに則り定めることも可能である。
上述の通り、叙述情報ファイル12C内脈絡指示子12Eは、そのファイル12C内の叙述コンテンツ12Bに関連付けうる脈絡コンテンツ16Aの種類を示すものである。後により詳示するが、これによって、各叙述情報ファイル12C内叙述コンテンツ12Bが、それに相応しい種類に属する幾通りかの脈絡コンテンツ16A及びそれに対応する脈絡骨格16Dに関連付けられることとなる。こうした指示子12Eは、上述の通り、叙述情報ファイル12C内叙述コンテンツ12Bを事前解析しその結果を同じファイル12Cの情報フィールドのうち相応のものに保存することで、明示的な形態を採り作成することができる。本実施形態のように、その叙述情報ファイル12C内叙述コンテンツ12B又はその一部分として生来的且つ暗黙的に保存するようにしてもよい。生来的な指示子12Eは、その作品10に含めるべき叙述コンテンツ12B及びその取得元ファイル12Cを特定する過程で、諸種脈絡コンテンツ16Aを規定するルールに従いその叙述コンテンツ12Bを解析することで、生成することができる。
(d)叙述構造内リンク
叙述構造14A内叙述節12Aは、いずれも、何らかのリンク14Bを介し、同じ構造14A内の他の要素、例えば他の節12A、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16B、それらの保存用レポジトリ等につながっている。1個の節12Aが他の複数個の要素につながることもあり得る。また、どのリンク14Bも何らかの機能状態を呈する。機能状態には必須、随時、アクティブ、非アクティブ等といった複数の種類がある。リンク14Bの機能状態が変化することもある。作品10を表示させながらリンク14Aの機能状態を修正することもできる。機能状態の自動修正や、制作者や実演者による操作に応じた修正により、視聴者向けに表示される情報をその視聴者からの反応に適合させることができる。
叙述節12A以外では、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16B、それらの格納用のレポジトリ等に至るリンクや、それらからのリンクを様々な形態で設けることができる。例えば、1955年のシカゴ湖畔でよく見られた光景が表示されるよう、制作者や実演者がファイル12C及び16Bに至る付加的なリンクを指定することができる。その指定により、必須、随時、非アクティブ等の機能状態を有する他の幾通りかのリンクが生じることもある。このように、本実施形態には、目下指定されている節12Aの先を読む能力が備わっている。即ち、指定された節12Aに続く幾つかの節12Aにて、制作者、実演者、登場人物又は視聴者にとり重要と見られるファイル12C乃至16Bを、リンクの連鎖を辿り識別、特定及びソートすることができる。
(e)作品10の構成要素に備わる絶対的重要性、相対的重要性及び展望
(i)絶対的重要性及び相対的重要性
周知の通り、また記録的文書、創作的文書、音楽、映画等の別を問わずあらゆる配信形態で認められるように、作品10のコンテンツ12B乃至16Aがその作品10やその作品10の視聴者に現実的又は潜在的に及ぼす影響は、その作品10の叙述、叙述コンテンツ12B及び脈絡コンテンツ16Aが、その作品10の他の叙述、コンテンツ12B乃至16A、制作者、想定視聴者等にとりどの程度重要かにより左右されまた決定づけられる。大雑把にいえば、作品10のコンテンツ12B乃至16Aが作品10や視聴者に及ぼす現実的又は潜在的な影響は、影響を受ける視聴者の人数、影響の強さ乃至厳しさ、影響の継続時間、作品10及び視聴者にとっての影響の強さ乃至重要性等によって左右される。
この点との関連では、作品10内要素に備わる重要性を絶対的な物差しで、即ちその作品10又は作品一般に対する構成要素の総合的且つ全般的な重要性として測ることが可能である点に留意すべきである。本実施形態では、作品10内個別構成要素に備わる重要性を、そうした絶対的重要性ではなく、より便利な計測指標である相対的重要性で測るようにしている。相対的重要性とは、その構成要素例えば叙述節12A、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16B等の重要性を、その作品10の他の構成要素や、その作品10に関わる人物乃至集団、例えば制作者、実演者、視聴者、実在登場人物、架空登場人物、擬人的表現等(以下「作品関係者」)を規準にして、測ったもののことである。
後に詳示する通り、本実施形態によれば、作品10内要素に備わる相対的重要性、即ち同じ作品10の他の構成要素、制作者、想定視聴者等を規準とした重要性を、その作品10の意図、目的、制作者特性、視聴者特性等に従い選定乃至管理し、作品10の実効性を最適化することができる。同じく後に詳示する通り、本実施形態によれば、制作者や視聴者の特性や反応を手がかりとして脈絡情報選定動作を調整乃至最適化し、その作品10の実効性を更に高めることができる。しかも、それを、作品10の表示中にも行える。例えば、制作者の狙いが、視聴者の感傷的反応なり気分的反応なりを誘うことにあるとする。この場合、制作者は、狙いとする反応が喚起されるよう脈絡コンテンツ16Aを選定すればよい。例えば、相応の音楽やそれへの参照を作中に組み込めばよい。これを実現したい場合、制作者は、平均的な視聴者の世代、一般的関心事項、背景、文化特性、その一端をなす音楽的体験や指向等を踏まえ、叙述コンテンツ12Bに対しても視聴者の個人的特性に対しても適切な関係を有する音楽を選定する必要がある。例えば音楽演奏、講演等といった生実演の作品10なら、制作者は、視聴者の反応を自分の目なり適切なセンサシステムなりを用いて観察し、後続する叙述節12Aに係る脈絡コンテンツ16Aをその結果に基づき調整することで、狙いとする反応を喚起させることができる。
従って、作品10の叙述、叙述構造14A及び叙述コンテンツ12Bに対する脈絡コンテンツ16Aの影響力を踏まえると、その作品10に備わる個々の脈絡コンテンツ16Aが発揮する影響力は、そのコンテンツ16Aがその作品10の視聴者及び構成要素に対し呈する関係及び及ぼす影響に、部分的に依存するといえる。個々の脈絡コンテンツ16Aが視聴者や作品10に対し呈する関係は、例えば、作品10で想定している叙述対象、そのコンテンツ16Aが関連付けられている叙述節12A、即ち構造14A内でそのコンテンツ16Aが現出する部位、並びにそのコンテンツ16Aに関連付けられるべき個別の叙述コンテンツ12Bに依存している。例えば、伝記的な作品10の制作者は、主人公が若年時に居住していた住宅の写真を脈絡コンテンツ16Aとして使用したがるはずである。そうしたコンテンツ16Aは、構造14A内で若年期に位置する節12Aに関連付けるのが最適である。主人公が幼年学校時代の出来事を回想しているシーンに関する節12Aに関連付けるのもよい。いずれにしても、主人公の若年時代に存在していた住宅の姿をそのままに捉えた写真は、最近撮影された写真に比べ格段に重要なものとなる。また、想定視聴者から特定の反応、例えばその層に共通する感傷的反応、知的反応、記憶、思い出等を引き出せるように作品10を制作したい場合、その制作者は、それらの視聴者の気分上、狙いとする反応に結び付いている音楽か、その反応を喚起させるような音楽を、脈絡コンテンツ16Aとして使用することで、自分の狙いを達成することができる。但し、それには、視聴者の世代、視聴者が共有しているであろう思い出、視聴者の文化的、教育的及び音楽的な背景及び体験、そして無論、狙っている感傷的乃至知的反応に対し強い関連性を呈することとなるよう、適切な音楽を選定する必要がある。
(ii)展望
個別コンテンツの重要性は展望によっても左右される。展望とは、その重要性が定義、計測又は観測される叙述上の脈絡のことである。例えば、特定の人物、集団乃至階層にとっての個別コンテンツの重要性は個人的重要性と呼ぶことができ、特定の人物、集団乃至階層を成員とするより大規模な集団に対する個別コンテンツの重要性は一般的重要性又は大域的重要性と呼ぶことができる。前者における脈絡乃至重要性の展望が個人的乃至局所的であるといえるのは、それが、例えば、割合に少人数の影響先集団や割合に短期間な出来事を対象にして測られているからである。他方、後者における展望が大域的、即ちより広範乃至迂遠であるといえるのは、その重要性が例えばより大勢の集団やより長期間な出来事を対象にして測られているからである。
個別の人物乃至集団にとっての個別コンテンツの展望は様々な要因、例えば、そのコンテンツに対するその人物乃至集団の時空間的遠近度、個人的関連度、個人的影響度等で左右されうる。例えば、ある人物がある出来事に対し呈する個人的な関係に係る展望は、その出来事にその人物本人や近親者が関わっているか、その出来事にその人物の知人が関わっているか、その出来事がその人物にとり縁遠い学問的対象に過ぎないのか等の事情で左右される。同様に、時空間的な展望、即ち人物乃至集団に対する重要性は、例えば、その出来事がその人物から見て遠い過去で生じた歴史的な出来事やその人物があまり知らない遠地で生じた遠隔的な出来事なのか、それともより現代的又は局所的な出来事なのかの別等で左右される。但し、人物乃至集団に対する個別コンテンツの重要性乃至展望を決定するに当たり個々の要因に付与される相対的荷重は、その人物乃至集団とコンテンツとの関係で左右されるものである。例えば、ある特定の集団にとって、ある種の歴史的な出来事が他の多くの現代的な出来事に比べ重要性が高いこともあるので、その点を理解されたい。
また、個々の人物乃至集団にとってのコンテンツの重要性は、そのコンテンツが知覚される叙述中の個所即ちその叙述展望によっても左右される。例えば、前段の叙述節12Aに係る個別コンテンツの重要性がより後段の節12Aにて初めて明らかになること、例えば後段の節12Aに至って初めて大きな影響をもたらすことがある。そのコンテンツが一種の布石として使用されている場合等である。
そして、本実施形態では、作品10における構成要素間関係、例えば叙述節12A、叙述コンテンツ12B、脈絡コンテンツ、作品関係者等の間の関係に方向性があることが多い。即ち、本実施形態では、その構成要素が他の構成要素に対しどのように影響しどのように依存するかを示す方向性が、作品10における構成要素間関係乃至その重要性に発生しうる。例えば、ある叙述情報ファイル12C内の叙述コンテンツ12Bによってある節12Aの一部又は全体が規定乃至構成されているなら、そのファイル12Cからその節12Aに向かう方向の関係乃至重要性がある、ということである。逆に、ある叙述情報ファイル12C内の叙述コンテンツ12B又はその一部がある節12Aによって規定されているなら、その節12Aからそのファイル12Cに向かう方向の関係がある、ということである。そして、作品10の構成要素間に双方向的な影響乃至関係が生じることもある。即ち、上掲の例でいえば、ある叙述情報ファイル12C内の叙述コンテンツ12Bによってある節12Aのある一面が規定される一方、そのファイル12C内の叙述コンテンツ12Bが部分的にその節12Aによって規定される、といった関係である。
(iii)仮想展望
上述の通り、個別コンテンツの重要性は展望によって左右される。展望はその作品10に体現されている特定の叙述環境下で定義されるものであり、またそのコンテンツと特定の人物、集団乃至階層との関係で定義されるものである。本願でいうところの展望を左右する要因としては、まず、コンテンツに対する人物、集団等の時空間的遠近度、即ちそのコンテンツに係る出来事が時間的又は空間的に身近なものであるか否か、という要因がある。次に、個人的遠近度、即ちそのコンテンツに対する個人的な関わりやそのコンテンツから受けた個人的な影響の度合いがどの程度であるか、という要因がある。そして、叙述展望、即ちその叙述上のどの個所からそのコンテンツを知覚乃至観察できるのか、という要因がある。
本実施形態では更に仮想展望なる概念も導入している。これは、叙述構造14A内の諸叙述節12Aを縦貫するかたちでその作品10のコンテンツ12B及び16Aが提供されるよう、叙述情報ファイル12C・節12A間の関係を粗筋12Pとの関わりで表記乃至体現するものである。本実施形態では、その作品10のコンテンツ12B及び16Aで表現される世界や相対的重要性が、その人物乃至集団によって実際に知覚される形態となるよう、ファイル12C及び16Bを整頓、配列する手段として仮想展望を使用することができる。
(iv)方向性
後に詳示する通り、叙述節12A、ファイル12C及び16B、そこに保存されているコンテンツ12B乃至16A、作品関係者等の間の関係は、それらの間の絶対的重要性や相対的重要性に留まるものではない。本実施形態で作品10における構成要素間関係に現れうる特性としては、更に、作品10の構成要素から他の構成要素への影響や従属性を表す有向的な関係即ち方向性がある。例えば、ある節12Aにとりある叙述情報ファイル12Cが重要であり、そのファイル12C内の叙述コンテンツ12Bによってその節12Aの一部又は全体が規定乃至構成されている場合、その節12Aとそのファイル12C間の関係にそのファイル12Cからその節12Aへと向かう方向性があるといえる。この場合、ファイル12Cから節12Aへと影響するのみで節12Aからファイル12Cには影響しない。即ち、ファイル12Cが節12Aから独立しているため、そのファイル12C内のコンテンツ12Bはその節12Aによって全く規定されない。その逆に、例えば、あるファイル12C内のコンテンツ12Bのうち一部又は全部がある節12Aによって規定されている場合、その節12Aとそのファイル12Cとの間の関係に、その節12Aからそのファイル12Cに向かう方向性があるといえる。更に、節12A・ファイル12C間の影響が双方向的な場合もあり得る。即ち、あるファイル12C内のコンテンツ12Bによってある節12Aのある一面が規定される一方、そのファイル12C内のコンテンツ12Bが部分的にその節12Aによって規定される場合もあり得る。
本実施形態では、このように、作品10における構成要素間関係に、強さに加え方向性という特性があることを利用する。その方向性は、例えば位置や向きを指し示す矢印部分が付いた一方向矢印線、双方向矢印線等の矢印線で視覚的且つ概念的に表現することができる。
後に詳示する通り、本実施形態によれば、個別の叙述コンテンツ乃至脈絡コンテンツがもたらす影響を、展望という観点からだけでなくより一般的な概念である重要性の見地からも検討することができる。
B.作品生成システムの例
図2に、上述の如き作品10を生成する電子的なシステムの一例構成20を示す。図示の通り、このシステム20は、ファイル12C及び16Bを供給するコンテンツ入力システム24、使用者向けの入力システム26及び出力システム28等を、プロセッサ34に接続した構成を有している。これら、システム24、26、28及びプロセッサ34を含め、システム20内諸要素は、ローカルに配置することも、分散配置しローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク等の通信システム54経由で相互結合することも可能である。この点は本件技術分野で周知の通りである。
コンテンツ入力システム24は、テキスト、静止画、静止画列、動画、音声データ等を示すディジタル乃至アナログ信号といった形態を採っていてコンテンツ12B又は16Aとして使用しうる情報をプロセッサ34に供給するシステム、装置又はデバイスである。例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のコンピュータシステムや、コンテンツ12B乃至16Aを取得すべくローカル、リモート又はその双方に設けられたセンサ38や、コンテンツ12B乃至16Aの保存先及び供給元とすべくローカル、リモート又はその双方に設けられた格納装置40や、センサ38・格納装置40とプロセッサ34との間でのコンテンツ12B乃至16Aのやりとりを媒介する通信システム54等で、このシステム24を実現することができる。
それらのうちセンサ38は、コンテンツ12B乃至16Aとして使用可能な情報を取得するためのものである。環境条件を検出可能な環境センサ、音声、静止画又は動画を相応の帯域で捕捉可能な音声センサ、画像センサ、カメラ又はそれに類する装置、音声抑揚、身体運動、眼球運動、瞳孔散大、体温又はp4000波を初めとする身体的又は心理的反応を検出可能なバイオメトリックセンサ等がその例である。
格納装置40は、コンテンツ12B乃至16Aとなりうるディジタル又はアナログの信号を格納乃至提供するためのデバイス、システム又は装置である。ローカルでもリモートでもかまわない。種々のハードディスクドライブや、磁気保存媒体、光保存媒体等を使用するリムーバブル媒体ディスクドライブや、磁気メモリ、光メモリ等で構成されたメモリデバイス乃至カードを始め、種々の固体、磁気又は光メモリ乃至格納装置を、格納装置40として使用することができる。
コンテンツ入力システム24では、このほか、画像、文書、三次元物体等からの読取で情報を取得する二次元又は三次元走査/読取装置等の装置乃至システムを、コンテンツ12B乃至16Aの取得に使用することができる。
通信システム54は、メモリシステム52、ディスプレイ56等のリモートデバイス乃至システムへと、コンテンツ12B乃至16Aを送信し、また、そこからコンテンツ12B乃至16Aを受信するためのものである。従って、このシステム54を構成する際、光、無線周波数等のトランスデューサ回路が幾つか使用されることがある。インターネット、携帯電話網、ピアトゥピア通信網等のモバイル通信網や有線ローカルエリアネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク等のローカル通信網を初めとする任意且つ既存の有線又は無線データ伝送システムへの結合手段が、このシステム54に設けられることもある。
入力システム26は、システム20の動作を管理する際に制作者が操作するシステムである。制作者がその操作により諸機能を稼働させること、例えば作品10に含めるべきファイル12C及び16Bを指定する機能、それらのファイル12C又は16Bを配置、整頓及び編集する機能、制作者や受信者についての情報を表示させる機能等を稼働させることができるよう、このシステム26は、タッチスクリーン、キーボード、トラックボール、マウス、音声認識システム、ジェスチャ認識システム、ディスプレイ等、ローカル接続又はリモート接続された任意種類の装置、システム又はその組合せで構成されている。図2に示した例では、入力システム26として、キーボード58a、マウス58b及びリモートコントローラ58cからなるリモート入力部58や、キーボード68a及びマウス68bからなるローカル入力部68が設けられている。
ローカル入力部68は、例えば、図3Aに示すように編集場所70、即ち編集用スタジオ内や編集用キオスク内に設けることができる。この例では、制作者72の座席の前に、キーボード68a及びマウス68bからなるローカルコンソールと、マルチメディアコンテンツ等を表示可能なディスプレイ66とが配置されている。また、この場所70には、制作乃至作業に従事している制作者72の様子を見守ることができるよう、カメラ、音声センサ39、マルチスペクトラルセンサ等のセンサ38も設けられている。
ローカル入力部68は、また、図3Bに示すように実演場所71に設けることもできる。この例でも、制作者72の座席の前に、キーボード68a及びマウス68bからなるローカルコンソールと、マルチメディアコンテンツ等を表示可能なディスプレイ66とが配置されている。同じくこの例でも、制作乃至作業に従事している制作者72の様子を見守ることができるよう、その場所71にカメラ、音声センサ39、マルチスペクトラルセンサ等のセンサ38が設けられている。更に、図中の場所71には、視聴者75向けにコンテンツ12B乃至16Aを提供する共有システム35乃至提供システムが設けられているほか、視聴者75の反応に応じ提供するコンテンツを変更可能とすべく幾つかのセンサ38が設けられている。また、視聴者75に提供される情報と同じものを、後述の如く共有出力部32を介し在リモートの受信者にも提供することができる。
出力システム28は、システム20の使用者からの指示、即ち通常はその作品10の制作者からの指示に応じ、作品10の格納、提供、配信、共有等を実行するシステムであり、従来からその種の目的で使用されている様々なシステム、装置又はその組合せで構成することができる。従って、例えばディスプレイ、プロジェクタ、音声付画像プロジェクタ、プリンタ、各種通信システム、通信網乃至通信装置、記録装置、記憶装置、媒体書込装置、その一種であるCD/DVDプレス機/レコーダ等を、このシステム28として使用することができる。
そして、プロセッサ34は、使用者からの入力による制御を受けつつコンテンツ12B乃至16Aを選定、参照、取得及び操作し作品10に組み込む動作を実行するものであり、プログラムに従い稼働する汎用プロセッサ、互いにリンクされておりプログラムに従い制御されつつ稼働するプロセッサ群、専用のシステム乃至サブシステム、それらの任意の組合せ等で構成することができる。こうしたシステムは一般なものであり、それ自体いわゆる当業者にとり周知且つ自明なものであるので、このシステム及びそれを構成する装置の一般的な仕組み及び動作については、本願ではこれ以上説明しないこととする。
C.作品生成方法
図4に、コンテンツ12B及び16Aを併含する作品10を本実施形態に従い制作する方法を示す。本方法によれば、作品10の制作者や想定受信者に備わる特性に相応する相対的重要性をコンテンツ12B及び16Aの構造に持たせ、その特性に見合った効果をコンテンツ12B及び16Aで発生させることができる。また、本方法は、上述したシステム20のほか、それに対し大略等価なシステムでも実行することができる。これは、いわゆる当業者ならば、本方法に関する以下の説明の熟読で理解できることである。
(a)ステップ130
ここでは、作品10の制作を始めるため、制作者に、その作品10に含めたい叙述コンテンツ12Bを幾つか指定させ、またその作品10が最終的に採るべき形態を指定させる。コンテンツ12Bに代えそれを代理乃至代表する情報を指定させるようにしてもよい。コンテンツ12Bの指定方法としては様々な方法を採用することができる。例えば、叙述情報ファイル12C又はそのリストを指定させる方法でもよい。格納装置、システムその他の叙述コンテンツダウンロード元情報源を指定させる等、コンテンツ12Bを直接入力させる方法でもよい。或いは、コンテンツ12Bの種類を幾通りか特定乃至指定させる方法でもよい。
(b)ステップ132
ここでは、指定された叙述コンテンツ12Bが得られる叙述情報ファイル12Cの所在を特定し、そのファイル12Cを参照することで、指定されたコンテンツ12Bをそのファイル12Cから取得する。指定されたコンテンツ12Bが得られるファイル12Cは、制作者にファイル12Cを指定させる等して直接的に特定することができる。指定された格納装置乃至システムからのダウンロード等を通じ自動的に特定することもできる。そのファイル12C内の叙述コンテンツ種別識別子12Dに基づく検索等を通じ、参照可能なファイル12Cのなかから、指定された種類のコンテンツ12Bが得られるものを間接的に特定することもできる。
(c)ステップ134
このステップ134では、ステップ132にて叙述情報ファイル12Cから得られた叙述コンテンツ12Bを、ある種の作品条件に従いフィルタリングする。例えば、その作品10に関し制作者が指定している最終形態に従いフィルタリングすることで、テキスト形態、静止画乃至動画形態、音楽その他の音声データ形態、それらを併含した形態等、その作品10の想定形態に適合する形態のコンテンツ12Bだけを、その作品10の構成要素候補として存置させる。また、ステップ132及び134の実行でコンテンツ12Bを絞りきることができず、その作品10における上限量乃至所要量を上回る量のコンテンツ12Bが残ってしまうこともある。そうした場合、制作者は、コンテンツ12Bの範囲乃至量が削減されるよう作品条件134Cを厳しくし、その上でステップ132及び134を再実行させればよい。そうすれば、その作品10の趣旨に特に関連のあるコンテンツ12Bのみを存置させることができる。また、この時点で、制作者が直に手を下すこともできる。例えば、ステップ132及び134の実行後に残ったコンテンツ12Bを自ら個別に検討し、ステップ132及び134の実行で絞られたコンテンツ12Bの範囲を更に狭めることができる。
(d)ステップ136〜142
本方法では、ステップ136〜142にて、指定された叙述コンテンツ12Bに関連する脈絡コンテンツ16Aの所在を特定して対応する脈絡情報ファイル16Bから取得する。これから説明する手順では、叙述構造14Aを構成している叙述情報ファイル12C内のコンテンツ12Bに対応する脈絡コンテンツ16Aを取得するため、次に示す諸ステップを実行する。
即ち、
叙述情報ファイル12C内脈絡指示子12Eを判別するステップ136、
そのファイル12C内脈絡指示子12E、並びにその作品10の主体即ち作品関係者に関する主体情報18Bに基づき、演繹的又は帰納的な推論クエリ18Aを幾つか生成するステップ138、
そのクエリ18Aに対する回答18Rとして、そのクエリ18Aに見合った脈絡情報ファイル16Bひいてはそこに保存されている脈絡コンテンツ16Aを取得するステップ140、並びに
そのクエリ18Aにて指定した人物、例えばその作品10の制作者や受信者に対する重要性を調べ、その結果とその作品10の叙述及び叙述構造14Aとに従い、取得済ファイル16B内の脈絡コンテンツ16Aに優先度を割り当てるステップ140、
である。
次に、これらのステップ136〜142にて実行される動作及びその構成要素に関しより詳細に説明する。なお、以下の説明では、既述の事項であっても諸情報間の関係を理解するのに役立つ事項は繰返しを厭わず採り上げている。
ステップ136 … 脈絡指示子12Eの特定
上述の通り、叙述情報ファイル12Cには脈絡指示子12Eが保存されている。その役割は、そのファイル12C内の叙述コンテンツ12Bに関連すると覚しき脈絡コンテンツ16Aの種類を指し示すことである。同じく上述の通り、本実施形態における指示子12Eは、叙述コンテンツ12Bの一部となるよう生来的且つ暗黙的な形態でファイル12Cに組み込まれている。従って、本実施形態における指示子12Eは、目下処理中のファイル12C内の叙述コンテンツ12Bを解析することで特定することができる。その解析は、個々の脈絡骨格16Dひいてはそれに属する脈絡コンテンツ16Aを規定する脈絡骨格ルール16Eに従い、実行することができる。
そこで、ここでは、叙述情報ファイル12C内脈絡指示子12Eを、多様な叙述コンテンツ12Bの生起を識別可能なルール群で規定乃至構成されている幾つかの脈絡骨格16Dに従い特定する。本実施形態によれば、そうして特定された指示子12Eを使用することで、多様な叙述コンテンツ12Bのうちファイル12Cの解析で特定可能なものを特定することができ、また、一群のファイル12Cに関わる脈絡コンテンツ16Aを何らかのかたちで明示乃至暗示する有用な情報片を幾つか得ることができる。なお、以下の説明で示す骨格16D及び指示子12Eは作品10に備わる骨格16Dが単一の例でのそれである。こうしたのは説明の簡明化を図るためであり、以下の説明を拡張し、複数個の骨格16Dを有する作品10に適用可能にするのは容易なことである。
本実施形態では、脈絡骨格16Dを規定乃至構成する種々のルールで叙述情報ファイル12C内脈絡指示子12Eが特定されるので、個々の骨格16D及びそれを構成するルール群を、対応する指示子12Eの種類及びその特定に使用可能なルール群に従い、整頓乃至グループ分けしておくのが望ましい。
また、本実施形態では、叙述情報ファイル12C内叙述コンテンツ12Bの構成要素乃至構成要素群が解析され、その結果に基づき脈絡指示子12Eが特定されるので、特定される指示子12Eは意味論的情報の構成要素となる。本願でいう「意味論的情報」とは、それを参照することで人間が何らかの意味を捉えることが可能な情報のことである。例えば、それに含まれる語や句の意味がわかるテキスト文書、それに含まれる特定の明暗パターンから何らかの印象例えば一対の目が描かれているとの印象を受ける画像等はそうした意味論的情報の一種である。脈絡骨格16Dにて指示子12Eが一種の意味論的情報となるのは、関連するルール群によって、ある特定の脈絡に関連するものと識別されるからである。骨格16Dを構成しているルール群によって、どういった意味論的情報がその骨格16Dに包括されどういった意味論的情報がその骨格16Dから排除されるかが決まるので、個々の骨格16Dは、全体として、ファイル12Cから取得可能な意味論的情報のうち少なくとも一部分を包括し他部分を排除するものとなる。
脈絡骨格16Dの一例としては、年代や時期に関連するルール群によって規定乃至構成され、幾つかの叙述情報ファイル12Cに係る編年的な脈絡を特定する編年的骨格がある。編年的骨格を規定乃至構成するルールの例としては、まず、そのルールに従いファイル12Cを解析することで、その又はそれらのファイル12Cの取得日時乃至取得時刻を範囲特定することができるルールがある。次に、そのルールに従いファイル12Cを調べることで、その又はそれらのファイル12Cをある時刻に関連付けること、ある特定の出来事が発生した時刻又は年を判別すること、或いはその又はそれらのファイル12Cが単一の出来事、一連の出来事及び幾組かの出来事のうちいずれを表しているのかを判別することができるルールがある。こうした編年的骨格に係る脈絡指示子12Eは、指定されたファイル12Cに付随するメタデータ例えばそれに含まれる日時情報から特定することができる。また、画像、テキスト乃至音声を構成する要素のうち、年代関係乃至年代特性を暗に示すことがわかっているもの等を年代指示子として使用し、ファイル12Cに保存されている叙述コンテンツ12Bを解析することでも、編年的骨格に係る指示子12Eを特定することができる。
脈絡骨格16Dの別例としては、叙述情報ファイル12C内脈絡指示子12Eのうち環境的なものに係る環境的骨格がある。この種の骨格を規定乃至構成するルール群としては、その叙述の背景にある周囲条件、例えば天候条件、日照条件、屋内外の別等を判別可能なものを使用する。こうした環境的骨格に係る指示子12Eも、編年的骨格に係るものと同様、メタデータやコンテンツ解析の結果から特定することができる。その際、画像白バランスに関するメタデータ即ち屋内外の別や屋外における明暗度を示す情報等、付加的な外部情報を利用することもできる。
脈絡骨格16Dの更なる例としては、叙述情報ファイル内脈絡指示子のうち社会的なもの、例えばそのファイルに基づく叙述に登場する人物の集団を、その場所毎に特定可能なルール群で規定乃至構成される社会的骨格もある。適切なルールを使用することで、家族的集団、学校内集団、職場内集団等を特定することができる。
政治的骨格、技術的骨格等の脈絡骨格16Dを形成することもできる。例えば、政治家、技術開発水準、競技、教育、地理等の脈絡を示す脈絡指示子を特定可能なものである。
そして、脈絡骨格16Dを規定乃至構成する脈絡ルールは、上述の通り、イエス/ノーの二値ルールでもよいし、確率的乃至統計的なルールでもよい。骨格16Dの種類によっては、経験的に定めた脈絡ルールや、遺伝的アルゴリズムを用いるもの等、いわゆる当業者にとり周知の自動分類法に則り定められた脈絡ルールが使用されることもある。
ステップ138 … 推論クエリ18Aの生成
ここでは、主に検索条件及び主体情報18Bからなる推論クエリ18Aを演繹的又は帰納的な論理に従い生成する。検索条件は、ステップ136にて特定した脈絡指示子12Eに従い対応する脈絡コンテンツ16Aを特定し、そのコンテンツ16Aの項目間に存在すると見られる脈絡的関係を調べることで導出された条件であり、これを適用することでそうした関係を特定することができる。主体情報18Bは、作品関係者を特徴付ける情報や作品関係者に関係する情報からなるデータである。こうしたクエリ18Aを発すると、回答18Rとして、何らかのかたちで作品関係者間に存しうる関係、関連乃至相関を示す情報や、その作品10の叙述コンテンツ12Bに帰属乃至関連する脈絡コンテンツ16Aを示す情報が得られる。なお、以下の説明で作品関係者数を一人、クエリ個数を1個にしているが、これは説明の簡明化を図るためである。以下の説明を拡張し、作品関係者数やクエリ個数が2以上の例に適用可能にするのは容易なことである。
主体情報18Bは幾つかの知識ベース(PKB)18Cから得ることができる。知識ベース18Cは作品関係者即ち主体に関する情報が得られるデータベースであり、家族史、学歴、職歴、社交歴、病歴、成長歴その他の伝記的情報や、個人的な性格、嗜好及び習癖を含め、作品関係者についての様々な種類、様々な形態の情報をそこから得ることができる。また、脈絡指示子12Eは、上述の通り、種々の脈絡コンテンツ16Aを特定し、その作品10の叙述コンテンツ12B及びその取得元ファイル12Cそれぞれに関連付けている。
推論クエリ18Aの生成は、ステップ136の実行により特定された脈絡指示子12Eと作品関係者に関するデータである主体情報18Bとを比較し、その指示子12Eと主体情報構成項目との間の一致、相関乃至関係を識別することで実行する。こうして得られるクエリ18Aは、いずれも、その作品10の叙述コンテンツ12Bから得られた指示子12Eと主体との間に存しうる一致、相関乃至関係を表すと同時に、対応する指示子12E及びそれに関連する主体情報構成項目を特定するものとなる。例えば、ある作品関係者に関する主体情報18Bにその人物の学歴を示すデータが含まれている場合、そのデータから、その人物が通っていた学校や期間を指定するクエリ18Aを得ることができる。即ち、ある作品10の叙述情報ファイル12C内指示子12Eから、それらのファイル12Cがある特定の年に得られたものであることがわかり、且つ知識ベース18C上の情報から、その作品10に関連する人物がその年にある学校に通っていたことがわかる場合、その又はそれらのファイル12Cについては、その学校やその年にその学校に通っていた人物達に関するクエリ18Aが生成されることとなろう。
ステップ140 … 該当する脈絡コンテンツ16Aの取得
ここでは、ステップ138で生成した推論クエリ18Aを用い、該当する脈絡コンテンツ16Aの検索、所在特定及び取得を実行する。これを実行することで、脈絡指示子12Eに対応するコンテンツ16A、そのクエリ18Aで指定した人物に係る主体情報18B等、関連する情報を得ることができる。
ステップ142 … 重要性に基づく脈絡コンテンツ16Aへの優先度割当
ここでは、上述の通り、その作品10の叙述及び叙述構造14Aや、推論クエリ18Aにて指定した人物乃至主体に対する脈絡コンテンツ16Aの重要性に従い、取得した脈絡情報ファイル16Bに保存されているコンテンツ16Aに優先度を割り当てる。
取得した脈絡コンテンツ16Aの構成諸項目それぞれに備わる重要性は、推論クエリ18Aを用いた検索乃至その繰返しを通じ発見した脈絡情報ファイル16B及びそれに保存されているコンテンツ16Aの性質や、それらと対応する人物乃至主体との間に存する関係によって左右される。例えば、ファイル16B及びそれに保存されているコンテンツ16Aのうち、作品関係者に対し直接的乃至密接な関係を呈するものには高い優先度が割り当てられる。即ち、ファイル16Bに関わる学校を検索する上掲の例であれば、作品関係者が通っていた頃の学校の姿がわかるコンテンツ16A及びその取得元ファイル16Bに付与される優先度の方が、その学校の現在の姿を捉えたコンテンツ16A及びその取得元ファイル16Bに付与される優先度に比べて高くなる可能性が高い。同様に、その頃その学校にその作品関係者が実際に通っていたことを示しているコンテンツ16A及びその取得元ファイル16Bには、より高い重要性が認められて更に高い優先度が付与されることとなろう。
まとめるなら、これは、コンテンツ12B乃至16Aの諸項目に備わる相対的重要性の度合いが出来事乃至事物の種類毎に異なりうるということである。従って、一般には、重要性の種類及び度合いを弁別することで、個別の作品10の狙いや目的から見て有用な情報が得られる。例えば、その出来事乃至事物の影響を受ける集団の規模やその影響の強度及び継続期間で重要性の度合いが大きく左右されるので、大きな集団に強い影響を短期間に限り及ぼす叙述コンテンツ12Bと、大きな集団に弱い影響を長期間に亘り及ぼす叙述コンテンツ12Bとを区別し、その間に様々な中間水準の重要性を設定することが、作品10における叙述上の狙い及び目的を達成する上で、有益なことになる場合がある。同様に、共有される脈絡コンテンツ16A、例えばある集団に属する人物達の年代が同じで経歴が似ているといったことは、その作品10の関係者にとり際立った重要性を呈しそうなコンテンツ12B乃至16Aの特定に助けとなりうる。
なお、出来事や事物の重要性を測る手段が多数ありその多くが本件技術分野で周知であることや、上述した結果を得るための重要性計測システムを発明実施上の要請、条件及び目的に従い任意に構成できることに、留意されたい。
また、関連、重要性及び優先度に関する判別乃至計測条件に実質的に範囲制限がないことや、出来事、人物その他の要因間の関係を評価乃至表現しうる条件であればどのような条件でもその範囲に含めうることや、出来事及び人物以外の要因として社会、経済、歴史、政治等に関する要因を採用できることにも、留意されたい。
ステップ144 … 脈絡コンテンツ16Aの選定及び組込
ここでは、特定及び取得され更にステップ142にて優先度別に序列化された脈絡情報ファイル16B及びそれに保存されている脈絡コンテンツ16Aを、対応する叙述情報ファイル12C及びそれに保存されている叙述コンテンツ12Bに関連付けつつ作品10に組み込む。
このとき、ステップ142までに特定されたものであればどの脈絡情報ファイル16B、どの脈絡コンテンツ16Aも作品10に組み込むことができるが、それらのファイル16Bの個数やコンテンツ16Aの量が多すぎ、その作品10で想定している規模乃至範囲を上回ってしまうことや、さほど重要でないコンテンツ16Aによって比較的重要なコンテンツ16Aの影響が希釈されてしまうこともある。そのため、その作品10で想定されている限度内に収まるよう、或いは適切な影響がもたらされるよう、ファイル16Bの個数やコンテンツ16Aの量を抑え又は制限した方がよい。作品10に組み込まれるファイル16Bの個数やコンテンツ16Aの量を抑え又は制限するに当たっては、様々な方法を使用すること及び様々な条件を適用することが可能である。例えば、作品条件134C、ステップ144にて割り当てた優先度、ファイル16Bの個数、ファイル16Bに保存されているコンテンツ16Aの規模、形態例えば脈絡骨格16D、作品関係者、作品10の叙述対象や種類、それらの任意の組合せ等、所定の指標に従いファイル16Bやコンテンツ16Aを選定乃至制限することができる。コンテンツ16Aの選定を経験的に実行させることや、事前又は事後に定められた条件乃至条件群に従い自動実行させることや、その作品10の制作者がファイル16B乃至コンテンツ16Aを個別に精査することで実行すること等も可能である。
また、本実施形態によれば、前もって取得しておいたファイル12C乃至16Bからコンテンツ12B乃至16Aを組み込むことだけでなく、コンテンツ12B乃至16Aをリアルタイム取得して組み込むことも可能であるので留意されたい。そうしたリアルタイム取得は、例えばその作品10を受信者の面前で制作、実演、表示等する際に行うことができる。例えば、図3Aに示したシステムのように、連続的に稼働させうるよう編集場所70に個人用の画像モニタ装置及び音声センサをセンサやモニタと併設したシステムならば、個人向けに出来事や叙述対象を表示させる際にそのなかから重要なものを選定し、選定された出来事や叙述対象を撮影なり記録なりすることができる。
また、図3Bに示した例では、制作者72が図示の如く実演場所71に赴き、自分の身に起こった出来事を詳しく語っている。制作者72が語るとその声が音声センサ39で検知、信号変換され、音声信号として叙述情報ファイル12Cに保存される。システム側では、そのファイル12Cに保存されている叙述コンテンツ12Bを調べ、幾つかの脈絡骨格16Dを規定又は構成するルール群に照らし解析することで、そのファイル12Cに保存されている脈絡指示子12Eを調べる。次いで、判明した指示子12Eを制作者72用の知識ベース18Cに適用して推論クエリ18Aを生成し、それらのクエリ18Aを実行して作品関係者例えば制作者72にとり重要な脈絡情報ファイル16Bを取得する。こうした形態で取得されるため、そのファイル16Bは、その語り聞かせの叙述コンテンツ12Bに対しても重要なものとなる。そのため、そのファイル16Bは、叙述対象としてその作品10に自動組入される。図示例ではその実演場所71にて制作者72が自分のことを語っているので、ファイル12C及び16Bについての情報をローカルディスプレイ66の画面上に表示させ、制作者72に伝えることで、これを実行することができる。制作者72は、表示されているファイル16Bのうちいずれかを選んで視聴者75との共有を図ることも、ファイル16Bに関する表示に従い物語の粗筋を追加乃至修正することもできる。自分の体験を語り続けている制作者72に向け、ファイル16B内にある地図、写真、文書、音声等の情報を表示させることもできる。その際、制作者72がクエリ18Aを作成する必要はない。制作者72は、表示されているファイル12C及び16Bを、記憶や更なる情報を呼び起こす刺激や契機として用いナレーションを追加することができる。同じ内容を視聴者向けに表示させることもできる。ファイル12C及び16Bに関する表示を無視することもできる。これらを一回の実演中の様々な時点で実行することができる。同一又は類似の物語が詳かに語られるたび、ファイル12C及び16Bに基づく叙述はその姿形を変えていく。その姿形変化により、制作者72、実演者、視聴者75等の意向が汲まれ、制作者72や実演者の語りに必要な事柄をより好適に処理、充足することができるようになる。
D.データベース構造 … 図6
本実施形態では、作品10を制作するに当たりシステム20が複数のデータベース構造を利用し上述の諸機能及び諸機構を稼働させる。
本実施形態で使用されうるデータベースのうち、図7を参照して後に詳述する知識ベース(PKB)200は、対応する作品10の主体即ち作品関係者に関する情報で構成されている。図8に示す叙述情報ファイルデータベース(CDF−DB)210は、叙述情報ファイル12Cに保存されている情報を特徴付ける情報で構成されている。図9に示す指定叙述情報ファイルデータベース(指定CDF−DB)220は、作品10への組込対象として指定されたファイル12Cに保存されている情報を特徴付ける情報で構成されている。後により詳細に説明する通り、指定叙述情報ファイルデータベース220に登録されているファイル12Cは、叙述情報ファイルデータベース210に登録されているファイル12Cのうち作品10への組込対象として特別に指定されたもの、即ち叙述情報ファイルデータベース210上である特別なまとまりを形成するものである。
また、図10に例示する叙述構造データベース(プロダクトDB)230は、作品10の叙述構造14Aを規定し特徴付ける情報で構成されている。
そして、図11に例示するリンクデータベース240は、作品10内の叙述節12A、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16B、叙述構造14A等を互いに関連付けるリンク14Bについての情報で構成されている。
(a)知識ベース200 …図7
次に、これらのデータベース構造について個別且つ詳細に説明する。まず、知識ベース200は、上述の通り、主体たる作品関係者に関係乃至関連する主体情報18Bを保存する機構となっている。図7に示す通り、知識ベース200は幾つかのエントリ200Eを有しており、そのエントリ200Eはそれぞれ一連の情報フィールド202を有している。個々のフィールド202に保存されるのは、対応する人物乃至集団に関する伝記的、社会的、行動論的乃至心理学的情報である。個々のフィールド202への情報保存は、そのフィールド202にその情報自体を保存する形態で行ってもよいし、その情報が保存されているレポジトリへのロジカルリンク204を保存する形態で行ってもよい。保存されるリンク204は、一部、ヌルリンクになることがある。
伝記的、社会的、行動論的乃至心理学的情報を発生させ知識ベース200内情報フィールド202に保存する方法は、直接的な方法でも間接的な方法でもかまわない。直接的な方法としては、例えば、質問への回答や質問書への記入を相応の人物乃至集団に求める方法がある。間接的な方法としては、その人物乃至集団の公的記録を調べる、挙動を監視する、ある種の刺激に対する随意的乃至不随意的反応を記録する、何らかの手法で集めた情報に基づきその人物乃至集団についての情報を演繹的乃至帰納的推論で導出する、等の方法がある。
(b)叙述情報ファイルデータベース210 … 図8
叙述情報ファイルデータベース210は、叙述情報ファイル12Cに保存されている情報を特徴付ける情報の登録機構を構成している。作品10の叙述構造14Aによって個々の叙述節12Aに叙述情報ファイル12Cが関連付けられているので、このデータベース210を参照することで、そのファイル12Cが個々の節12Aに対し呈する全般的な重要性及び妥当性や、そのファイル12Cが作品10の種別に対し呈する全般的な重要性及び妥当性に従い、ファイル12Cを特定、評価、分類、ソート、整頓等することができる。例えば、制作者、想定視聴者等に関する情報を参照できるのであれば、叙述コンテンツ12Bが呈する重要性に従い対応するファイル12Cを分類、ソート及び整頓して対応する節12Aに関連付けることができる。更に、本実施形態によれば、重要なことに、作品関係者の変化や想定視聴者からの反応の変化を、対応するデータベース210ひいてはその作品10の叙述へと容易に反映させることができる。こうした変化はリアルタイムに組み込んで発動させることができる。例えば、作品10の表示中に視聴者からの生の反応を直接フィードバックさせればよい。従って、制作者・視聴者間の双方向的な協働で作品10を修正することが可能となる。また、データベース210を利用することで、そうした変化を作品10に直に組み込み、その作品10の次のバージョンに伝えることができるので、環境や視聴者の変化に合わせ作品10を修正すること、世間の話題から外れないよう作品10を更新すること等も可能となる。
図8に示すように、叙述情報ファイルデータベース210はそれぞれ幾つかの叙述情報ファイルエントリ210Eを有しており、そのエントリ210Eはそれぞれ叙述情報ファイル12Cに対応付け及び関連付けされている。データベース210内エントリ210Eはそれぞれ複数個の条件フィールド212を有しており、そのフィールド212はそれぞれ所与の条件、即ちそのエントリ210Eに係るファイル12Cの特定側面を特徴付ける条件に関連付けられている。図示例では、更に、エントリ210Eを構成し且つ個々の条件フィールド212に対応するフィールドとして、その条件フィールド212に係る特徴的情報が保存される条件値フィールド214も設けられている。
叙述情報ファイルエントリ210Eに頻出する条件フィールド212としては、まず、どの叙述情報ファイルデータベース210にも備わっていなければならないファイル識別子フィールド216がある。これは、一意に特定できるよう叙述情報ファイル12Cに一意に対応付けられている。データベース210内フィールド212としては、更に、分類識別子フィールド214や小分類識別子フィールドを幾つか設けることができる。これらを参照することで、対応するファイル12Cの帰属先分類乃至小分類、例えば分類「誕生日」や小分類「二月の誕生日」を特定することができる。こういった分類乃至小分類及びそれに対応する識別子は、例えば、トップダウン方式やボトムアップ方式で規定乃至付与することができ、また作品10の脈絡や脈絡骨格16Dを規定する際等に使用することができる。注記すべきことに、個々のファイル12Cに関連付けうる分類乃至小分類の個数には事実上限界がない。
その他の条件フィールド212としては、叙述情報ファイル12C内コンテンツ12B又はそれに対応する脈絡情報ファイル16B内コンテンツ16Aの種類に関する出来事/種別識別子フィールドがある。このフィールドには、対応する節に係るコンテンツがスポーツ、宗教、政治、文化及び学校のいずれにおける出来事乃至事物に関するものか、そのコンテンツはどのような種類か、そのコンテンツはどのような人物、集団、対象物、条件乃至環境に係るものか等を示す情報が保存される。
叙述情報ファイルエントリ210E内条件フィールド212に保存されうる情報としては、更に、個々の叙述節12Aに係る叙述コンテンツ12Bに備わる重要性の度合いを示す情報、その作品10の叙述コンテンツ12Bに対しその作品10の他の叙述コンテンツ12B、脈絡コンテンツ16A又は作品関係者が呈する関連性の度合いを示す情報等がある。上述の通り、個別のコンテンツ12B乃至16Aに備わる重要性は、総じて、そのコンテンツ12Bが対応する節12Aにどのような影響を及ぼすか、その影響の作用先人数・厳しさ・継続期間が如何ほどか、その影響に起因する変化の質・量がどのようなものかによって表現、規定乃至左右されるほか、その影響がどのような空間乃至個所で発生するのか、そのコンテンツの影響が及ぶ叙述乃至脈絡コンテンツ構成項目がいくつあるか等によっても左右されうる。
叙述情報ファイルエントリ210Eの更に他の条件フィールド212に保存されうる情報としては、図8に示す通り、対応する叙述コンテンツ12Bが存する媒体の種別例えば画像用・音声用・テキスト用の別、そのコンテンツ12Bの物理的側面例えばサイズや分解能、そのコンテンツ12Bが存する媒体の種別細目例えば関係的・時代的・象徴的の別、そのコンテンツ12Bを取得した日付や場所、そのコンテンツ12Bの所有権に関する情報等がある。
なお、分類の手法及び形態としては、目下処理中の作品10に相応しい条件フィールド212を選定乃至生成するのに適するものである限りどのようなものを適用してもよい。これまでの説明から明らかな通り、得られた脈絡ルールのうち対応するものがフィールド212に適用されるので、使用した分類法に従いその作品10における脈絡骨格16D及び脈絡指示子12Eが生成、規定されることとなる。更に、フィールド212も、例えばトップダウン方式やボトムアップ方式で規定乃至付与することができ、また構造化されているかされていないかを問わずコンテンツ12B乃至16Aに適用することができる。
(c)指定叙述情報ファイルデータベース220 … 図9
図9に、叙述情報ファイル12Cのうち作品10への組込対象として指定されたものを特徴付ける情報が保存される指定叙述情報ファイルデータベース220の一例を示す。先にそのあらましを述べた通り、このデータベース220はそれぞれ幾つかのエントリ220Eを有しており、そのエントリ220Eはそれぞれ幾つかの条件フィールド222及びそれに対応する条件値保存用フィールド224を有している。個々のエントリ220Eに設けるフィールド222及び224の種類は、図8を参照して説明した叙述情報ファイルエントリ210E内フィールド212及び214のそれと一部又は全部共通するものでかまわない。エントリ220Eは叙述情報ファイルエントリ210Eの特殊な形態であり、その用途は一群のファイル12Cの選定、指定乃至整頓に限られる。
指定叙述情報ファイルデータベース220及びそのエントリ220Eは、例えば個人的な形態にすることも局所的な形態にすることもできる。図9に示した例では、作品関係者に対する相対的重要性に従い叙述情報ファイル12Cをソートすることで、個人的なエントリ220Eからなるデータベース220が形成されている。そのエントリ220Eは、制作者が個人的なファイル12C乃至16Bの集合から作成乃至選定した素材を含んでいる。個人的なファイル12C乃至16Bとは、作品関係者に対し個人的な遠近度、重要性乃至関係を有するコンテンツ12B乃至16Aが保存されているファイル12C乃至16Bのことである。制作者所縁の街を捉えた画像がその例であるといえよう。何故なら、そうした画像は制作者にとり重要で、その作品10の一部登場人物にとってもやはり重要で、制作者と同じ地域出身の実演者及び視聴者、特に同じ時期に居住していた人達にとっても恐らくは重要であるからである。従って、その人の写真、映画、家族の功績を讃える地方新聞の記事、その人が生み出した芸術作品、その人や家族の業績に関する文書その他の記録物等といったコンテンツが保存されているファイル12Cは、いずれも、個人的なエントリ220Eに係るものであるといえよう。
他方、局所的な指定叙述情報ファイルデータベース220及びそのエントリ220Eに登録される叙述情報ファイル12C及びそれに保存されている叙述コンテンツ12Bは、作品関係者にとっての重要性が、作品関係者にとって割合に迂遠であり個人的とはいえない関係に基づいているため割合に低いもの、作品関係者にとっての重要性が他の作品関係者との関係に基づいているもの、或いはより狭い範囲乃至種類の関係に基づいているものである。例えば、その作品関係者にとっての重要性が、低又は中水準に留まってはいるもののその他大勢にとっての重要性よりも高いものである。局所的なエントリ220Eに係るコンテンツ12Bの例としては、このほか同世代人に係るものがある。同世代人は、同じ場所にいたわけではないが少なくともある程度の知覚的経験を広く共有しているので、事実上又は知覚上共有している経験の度合い乃至範囲に基づく局所的且つ相互的な相対的重要性の度合いが、全体として有用な水準に達することがある。
そして、指定叙述情報ファイルデータベース220の機能を他のデータベース構造にて実現することもできる。フィールド、ビュー、メタタグ等、データベース分野で周知のツールを使用すればよい。
(d)叙述構造データベース230 … 図10
上述の通り、作品10の構造乃至組織は叙述を土台にしているのが普通である。叙述は、その叙述を構成する叙述情報ファイル12C及びそこに保存されている叙述コンテンツ12Bで形成又は表現される概念間の時空間的関係を規定する。また、これも上述の通り、作品10のコンテンツは、その叙述構造14Aを形成している諸叙述節12Aを縦貫するよう粗筋12Pに沿って受信者に届けられる。諸節12Aに係るコンテンツ12B及び16Aは、首尾一貫した表現となるようその作品10の構造14Aに従い配列される。
図10に、作品10の叙述構造14Aを規定する叙述構造データベース230の一例を示す。図示の通り、このデータベース230は幾つかのエントリ230Eを有しており、そのエントリ230Eはそれぞれ幾つかの条件フィールド232を有しており、そのフィールド232はそれぞれ記述子フィールド例えば234及び236を有している。図示例では、そのフィールド234及び236に、作品10の構造14Aを規定する情報、その構造14Aにおける叙述節12A間関係を規定する情報、それらの節12Aに係る叙述情報ファイル12Cの素性、その一種たるファイル12Cの状態を特定する情報等が保存されている。
叙述構造エントリ230E内条件フィールドは、そこに通常はどのような叙述構造情報が保存されるかにより細分することができる。第1の例は、作品10を一意に特定可能な作品識別子238がその記述子フィールド234に保存されるものである。第2の例は、叙述構造14A内叙述節12Aのうち対応するものを一意に特定可能な識別子が保存される幾つかのフィールドである。
条件フィールド232並びにその記述子フィールド234及び236の例としては、対応する叙述節12Aが占める場所を特定する情報が保存されるものがある。叙述構造14A自体で占める場所でもよいし、作品10による叙述のなかで占める場所でもよいし、実世界のなかで占める場所でもよい。実世界のなかで占める場所は、例えば、「1993年春〜1994年秋のシカゴ」、「11月11日水曜日午前1時のニューヨーク」等と表すことができる。「夏の日の小都市」等といった一般的な表現を使用してもよい。
条件フィールド232並びにその記述子フィールド234及び236の例としては、対応する叙述節12Aが叙述構造14Aにて担う役割を特定する情報が保存されるものがある。節12Aが演じうる役割には、脈絡を設定する役割、序破急を演出する役割等がある。こうした役割を特定することによって、対応する叙述情報ファイル12Cをより華麗に特定してソートし、その作品10における叙述の流れ及びパターンをより速やかに特定することが可能となる。脈絡を設定する役割に係るファイル12Cは、重要性は低水準だがその継続時間が長いため広範な露出を伴う図式により記述することができる。序破急を演出する役割に係るファイル12Cは、継続時間は短いが重要性が高水準で近接性を呈する関係、例えば作品関係者との密接な関係に依拠したものとなろう。
叙述構造エントリ230E内条件フィールド232並びにその記述子フィールド234及び236の例としては、更に、叙述情報ファイルデータベース210でのそれと同様の情報が保存されるものがある。例えば、大団円及び演出に期待される特性や媒体種別に従い節を記述した情報が保存されるものである。これがあれば、システム20側では、制作者や実演者の狙いに生じた変化や視聴者からの反応に対し、配信用作品を速やかに適合させることができる。
叙述構造データベース230内条件フィールド232及びその記述子フィールドとしては、このほか、その配信用作品を構成することとなる叙述情報ファイルの収集、編集及び提供を管制する総合的ルールが保存されるものを設けることができる。
(e)リンクデータベース240 … 図11
叙述構造14A内叙述節12Aは、それぞれ、同じ構造14Aに属する他の要素のうち幾つかに至るリンク14B、例えば節12A、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16B、ファイル12C乃至16B保存用レポジトリ等に至るものを有している。それらのリンク14Bは、それぞれ、必須、随時、アクティブ、非アクティブ等、複数通りある機能状態のうち幾通りかの機能状態を採りうる。その機能状態は、例えば、その作品10の提供中に修正することができる。自動修正でも制作者や実演者による操作を受けた修正でもかまわない。それにより、視聴者に提供される情報をその視聴者からの反応に適合させることができる。
叙述節12A以外では、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16B、それらの保存用レポジトリ等に対するリンク14Bや、それらに発するリンク14Bを、様々な相互結合度で設けることができる。制作者や実演者は、ファイル12C及び16Bのうち適切なものに至るリンク14Bを指定することで、例えば、1955年のシカゴ湖畔でよく見られた光景を表示させることができる。その指定により、必須、随時、非アクティブ等の機能状態を有する他の幾通りかのリンク14Bが生じることもある。このように、本実施形態には、目下指定されている節12Aの先を読む能力が備わっている。即ち、指定された節12Aに続く幾つかの節12Aまでリンク14Bの連鎖を辿り、作品関係者にとり重要が高いと見られるファイル12C乃至16Bを識別、所在特定及びソートすることができる。
本実施形態では、叙述節12A、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16B、ファイル12C乃至16B保存用レポジトリ等の間を叙述構造14A内で様々な強度にて結合するリンク14Bを示す情報が、幾つかのリンクデータベース240、例えば図11に例示するものに保存される。上述したデータベース構造では、この図に示す通り、そのデータベース240がそれぞれリンク14Bに対応するエントリ240Eを幾つか有しており、そのエントリ240Eがそれぞれ幾つかの条件フィールド232を有しており、更にその条件フィールド232がそれぞれ記述子フィールド例えば234及び236を有している。そのフィールド234及び236には、構造14A内リンク14Bのうち対応するものや、そのリンク14Bで関連付けられている節12A、ファイル12C乃至16B、ファイル12C乃至16B保存用レポジトリ等や、そのリンク14Bによる結合の強度といったものを、特定、構成乃至規定する情報が保存されている。
条件フィールド232並びにその記述子フィールド234及び236の例としては、作品10を一意に特定可能な作品識別子238が保存されるものがある。また、叙述構造14A内叙述節12Aのうち対応するものを一意に特定可能な識別子が、その記述子フィールド234に保存される条件フィールド232もある。
条件フィールド232並びにその記述子フィールド234及び236の例としては、更に、叙述構造14A内リンク14Bのうち対応するものを一意に特定可能な識別子が保存されるものがある。また、そのリンク14Bで関連付けられている要素例えば他の叙述節12A、ファイル12C乃至16B又はその保存用レポジトリの素性、種別又はそれに対する結合の強度を特定する情報が保存されるものもある。更に、そのリンク14Bの保存場所を特定する情報が保存されるものがある。リンクで形成される分類又は小分類のうちそのリンク14Bが属するものを幾つか特定する情報が保存されるものもある。対応する節12Aが構造14A自体のなかで占める場所を特定する情報が保存されるものもある。
条件フィールド232並びにその記述子フィールド234及び236の例としては、また、そのリンク14Bを介し関連付けられている要素の種別が保存されるものがある。その要素に対する関係を示す情報が保存されるものもある。そのリンク14Bで表されている関係の重要性を示す情報が保存されるものがある。そのリンク14Bで関連付けられている要素の特性例えば大団円、演出、媒体種別、取得日又は所有権に関しそのリンク先要素に期待される特性に関する情報が保存されるものもある。
E.データベース構造の生成及び使用 … 図12A〜図12E及び図13
本発明の構成要素に関し縷々説明した通り、作品10の主体即ち作品関係者とその作品10の叙述コンテンツとの間の関係は、その作品10に組み込むべき脈絡コンテンツの特定乃至選定に当たり特に重要なものである。図12Aに、叙述コンテンツ12Bとそのコンテンツ12Bとを含む作品10の関係者との間に生じる関係や、その関係の成り立ちを示す。
この図に示す通り、作品関係者とその作品10の叙述情報ファイル12Cとを関連付ける処理は、初期的な個人知識ベース200、初期的な叙述構造データベース230並びに初期的な指定叙述情報ファイルデータベース220を以て始まる。
それらのうち初期的な個人知識ベース200には、自明な通り個人情報が保存されている。これを参照することで、その情報に係る人物にとって重要そうなコンテンツ12B乃至16Aの種類及びその細目を発見、特定、演繹乃至推論することができる。初期的な知識ベース200に保存されており参照可能な情報の例としては、その人物の個人的な経歴、関心事項、経験及び性格についての情報、例えば心理学的性向、趣味、物品購入履歴、本業、副業、交友関係、金回り、文化的指向、家族関係等に関する情報を挙げることができる。他方、初期的な指定叙述情報ファイルデータベース220には叙述コンテンツ12Bが保存されている。これを参照することで、その作品10に体現されている叙述のうち、本質的且つ基本的に明白、自明乃至演繹可能な側面及び要素を知ることができる。即ち、そのコンテンツ12Bを参照することで、場面設定/変遷、描写、性格設定、環境及び演技の基本構成要素、いわゆる「いつ誰がどこで何をどうするか」を知ることができる。
図12Bに、これら初期的な個人知識ベース200、初期的な叙述構造データベース230及び初期的な指定叙述情報ファイルデータベース220の相互作用を通じ、作品関係者とその作品10の叙述コンテンツとの間に生じている又は生じうる関係を特定する処理を示す。図示の通り、本実施形態では、それらのデータベース200、230及び220に保存されている情報間に生じうる組合せ及び当該情報間に生じうる相関を特定することができるよう、データベース200、230及び220から得られる情報を組み合わせることで、組合せクエリ241を幾つか生成する。
同図に示したのは組合せクエリ241が1個の例である。叙述情報ファイルデータベース210、指定叙述情報ファイルデータベース220及び叙述構造データベース230を含め、システム20から参照可能でコンテンツ12B乃至16Aをもたらしうる情報源は、いずれも、生成されたクエリ241それぞれによる質問乃至検索を受ける。次いで、その検索で得られたもの全て、即ちその検索で特定された情報242の識別子全てを検討に回付する。この検討では、それらの情報242のうちその作品10への組入に相応しく且つ適切なものを、作品10への組入候補素材として特定する。
組合せクエリ241による情報242の特定が済んだら、図12Cに示す如く、それらの情報242のコピーのうち必要なものを参照乃至取得し、個別のコンテンツ12B乃至16Aに対するリンク14Bをそれらのコピーから検出し、検出したリンク14Bを保持データベース、叙述情報ファイルデータベース210及びリンクデータベース240のうち幾つかに保存する。特定された情報242は、次いで、その作品10に含めるべきか否かの検討に供される。これは、例えば制作者、実演者又はその代理人が実行する。或いは、システム自体が所定の条件に従い実行する。
次いで、適切で関連性のあるコンテンツ12B乃至16Aを含んでいて作品10に含めうると認められた情報242を、図12Dに示す如く、個人知識ベース200、叙述構造データベース230及び指定叙述情報ファイルデータベース220のうち幾つかに保存する。そうした情報242が保存されることで、そこに保存されているコンテンツ12B及び16Aや、個人的興味が、更にはっきりと且つ更に細かく規定されることとなる。
F.仮想展望 … 図12E
個別コンテンツの重要性は上述の展望により左右される。その展望は、作品10に体現されている叙述に現れる具体的な状況下で、そのコンテンツが特定の人物、集団乃至階層に対し呈する重要性として、定義することができる。展望は、そのコンテンツに対するその人物乃至集団の関係、例えば、その出来事との時間的又は空間的な遠さ乃至近さを指す時空間的遠近度や、そのコンテンツに対する個人的な関わり方の程度を指す個人的遠近度乃至個人的影響度や、そのコンテンツが知覚される叙述上のポイントを指す叙述展望で左右される。
この点との関連でいえば、上述の通り、ファイル12C及び16Bの重要性を絶対的な物差しで、即ちその作品10の構成要素が全体として呈する一般的な重要性として測ることが可能である。こうした絶対的重要性は、従来から使用されているものであるが、重要性を測る物差し及び方法としてはあまり役立たないものである。それは、ファイル12C及び16Bの絶対的重要性が、そのファイル12C乃至16Bが作品10中の他のファイル12C乃至16Bに対し呈する関係が変化しても、或いはその作品10を貫く粗筋12P上でそのファイル12C及び16Bが導入されるポイントが変化しても、変化しないからである。そのため、ファイル12C乃至16Bの絶対的重要性自体、特定の作品10においてしか役立たない。しかも、その値域が非常に限られるものとなる。具体的には、その重要性の値乃至度合いを「低」「中」「高」といった少数通りの値乃至度合いでしか表し得ない値域となるのが普通である。これでは、作品10の制作に対する支援に際しさほど役に立つものとならない。
これに対し、本実施形態では、作品10の個別構成要素に備わる重要性、即ちファイル12C乃至16Bに備わる重要性を、相対的重要性という物差しでより有効に計測し規定するようにしている。相対的重要性とは、その作品10の構成要素たる叙述節12A、ファイル12C乃至16B、作品関係者等が、その作品10の他の構成要素に対し、或いはその作品10を貫く粗筋12P沿いのポイントに対し呈する展望のことである。従って、図12Eに示すように、ファイル12C及び16Bの相対的重要性乃至展望は、絶対的重要性に比べ、そのスペクトラム即ちその値乃至度合いが採りうる範囲が広く且つ連続的なものとなり、またその粒度即ち増分の細かさが非常に高くなるのが普通である。このように、節12A、ファイル12C乃至ファイル16B、作品関係者、作品10を貫く粗筋12Pに沿ったポイント等に対する相対的重要性乃至展望は、絶対的重要性に比べ、かなり強力で柔軟性の高い作品制作ツール乃至仕組みであるといえる。
本実施形態における相対的重要性乃至展望の概念及び仕組みは、例えば、仮想展望なる概念及び仕組みで具現化することができる。図12Eに模式的に示したのはその一例である。この例では、仮想展望243によって、叙述線245に沿った叙述情報ファイル12C・叙述節12A間関係が表現及び具現化されている。線245としては、叙述構造14A内諸節12Aを縦貫する粗筋12Pが使用されている。作品10のコンテンツ12B及び16Aはこの線245に従い提供される。同図から読み取れるように、こうした形態でコンテンツ12B及び16Aの展望乃至相対的重要性を表現、具現化することで、作品10が実際に人物乃至集団に知覚される形態が表現されるよう、ファイル12C及び16Bを整頓することができる。
また、本実施形態では、ファイル12C乃至16B間の重要性関係をより速やかに特定できるよう、ファイル12C及び16Bをある共通の基準で分類し、幾つかのリレーショナルグループを形成するようにしている。図12Eに示す通り本願ではこれを叙述対象(オブジェクト)と称している。同図に示す例では、コンテンツ12B及び16Aを知覚する人物乃至集団に対する時空間的、個人的乃至叙述的な相対的重要性乃至展望に従い、ファイル12C乃至16Bが個人的叙述対象246、局所的叙述対象247及び一般的叙述対象248に分類されている。ファイル12C及び16Bをこれらの叙述対象246〜248に分類することで、叙述節12Aに対する叙述コンテンツ又は脈絡コンテンツの一般的重要性を一般的な形態で表現することができる。但し、あくまで一般的な表現であり、実際に生じる状況を反映するものではないので、その点に留意する必要がある。例えば、叙述対象246、247及び248の範囲が互いに重なることがあり得る。場合によっては、コンテンツ12B乃至16Aの構成項目のうち一般的叙述対象248に分類されているものが、コンテンツ12B乃至16Aの構成項目のうち例えば個人的叙述対象246に分類されているものに比べ、節12Aに対し高い水準の重要性を呈することもあり得る。
更に、作品関係者とその作品10に係るファイル12C乃至16B内コンテンツ12B乃至16Aとの間の関係についても、後述の通り、同じ要領で重要性上の関係や個人的、局所的乃至一般的といった分類を特定することができる。
G.方向性及び重要性 … 図14D
図14Dに、作品10の構成要素間関係の別側面たる方向性並びにその方向性を提供乃至表示する方法の例を示す。この例では、叙述構造14Aにおける叙述節12A・叙述情報ファイル12C間関係を、仮想展望243の三次元空間を使用し表現している。いわゆる当業者には自明なことながら、作品10の他の構成要素間に存する関係も同様の方法で表示させることができる。例えば、構造14A、節12A、ファイル12C及び16B、コンテンツ12B及び16A並びに作品関係者の間に存する重要性上の関係等を、同様の方法で表示させることができる。
こうした方法に従い作品10の構成要素間、例えば叙述節12A、ファイル12C及び16B、コンテンツ12B及び16A並びに作品関係者の間の関係を表示させることで、その作品10にてその構成要素間関係に生じる様々な性質を表示させることができる。即ち、本実施形態によれば、作品10にてその構成要素間関係に生じうる様々な性質、例えばその関係の種別、ベクトルパラメタ、方向性等を表示させることができる。それらのうち、作品10を構成する二要素間の影響性乃至従属性を表す方向性は役に立つものである。例えば、ある叙述情報ファイル12Cがある節12Aにとり重要であるとする。また、そうした重要性が、そのファイル12C内のコンテンツ12Bによってその節12Aに係るコンテンツの一部又は全部が規定乃至構成されることで生じているとする。この場合には、節12A・ファイル12C間関係に、そのファイル12Cからその節12Aへと向かう方向性、即ちファイル12Cが節12Aに影響を及ぼすのみで節12Aがファイル12Cに影響を及ぼすことはない、という性質が見られる。この関係では節12Aによってファイル12C内コンテンツ12Bがなんら規定されず、そのファイル12Cの存在が節12Aから独立している。逆に、ファイル12C内コンテンツ12Bのうち一部又は全部が節12Aによって規定される場合には、その節12Aからそのファイル12Cへと向かう方向性が見られる。そして、節12A・ファイル12C間で双方向的に影響しあう場合もある。即ち、ファイル12C内コンテンツ12Bによって節12Aのある側面が規定される一方、節12Aによってファイル12C内コンテンツ12Bのうち一部が規定される場合である。
従って、本実施形態では、作品10における構成要素間関係に備わる性質、例えばその方向性をその関係の種別及びベクトルパラメタ例えば強度と併せ提供させることができる。即ち、図14Cに示すように、片方向矢印線、双方向矢印線等を使用し場所、向き又はその双方を指し示す形態にて、方向性を視覚的且つ概念的に表示させることができる。
図14E及び図14Fに、作品10における構成要素間関係に備わる方向性並びにその方向性を受信者向けに可視表示する方法を示す。まず、図14Eに示す例では、叙述情報ファイル12C・叙述節12A間関係が、節12Aからファイル12Cへと延びる向き、即ちファイル12Cに関し節12Aが規定的役割を有することを示す向きの矢印277で表されている。この例の場合、ファイル12C内コンテンツ12Bについて大筋を示しそれを決定づける脈絡が節12Aによって提供される一方、節12Aにより特定される脈絡がファイル12C内コンテンツ12Bによって調整されている。他方、図14Fに例示したのはそれとは逆の状況である。この例の場合、叙述上不可欠な人物の画像等といった重要なコンテンツがファイル12Cに保存される一方、広範に亘るがファイル12C内コンテンツ12Bをさほど決定づけない脈絡、例えばそのファイル12C内の画像が撮影されたときの大まかな設定を捉えたマップ乃至写真が節12Aによって提供されている。そして、やはり注記すべきことに、作品10を構成する二要素間、例えばある節12Aとあるファイル12Cとの間に影響上の優劣関係がなく、前者から見た後者の重要性と後者から見た前者の重要性とが同程度である場合、両者可換を結ぶリンクは双方向性となろう。
H.重要性関係並びに関連する叙述コンテンツ及び脈絡コンテンツの特定 … 図13
上述の通り、叙述節12A、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16B、作品関係者、その作品10を貫く粗筋12P等の間にはある種の重要性関係が存しうる。
次に、叙述情報ファイル12C・脈絡情報ファイル16B・作品関係者間に存する静的乃至動的な関係を利用し、作品関係者・作品10内諸叙述節12A間重要性関係を特定する方法や、推論クエリを生成して作品10の潜在的コンテンツを指定する方法や、叙述構造14Aを貫く別の粗筋12Pを提供する方法について説明する。
(i)重要性関係の特定 … 図13
図13に、叙述情報ファイル12C・脈絡情報ファイル16B・作品関係者間に存する静的乃至動的な関係を利用し、作品関係者とその作品10に係るファイル12C及び16Bとの間の重要性関係を特定する方法を示す。
次に、この図に示す方法で実行される種々のステップについて説明する。
ステップ250 ここでは、作品関係者のうちいずれかを指定し、その人物についての知識ベース200を取得又は生成する。
ステップ252 ここでは、知識ベース200から得られるデータを、多次元展望座標空間における展望座標252C、例えば時空間的パラメタ、個人的パラメタ、叙述関係パラメタ等に変換する。この座標252Cによって、対応する人物が展望座標空間内で占める場所即ち展望基準点252Pが規定乃至画定される。
ステップ254 幾つかのファイル12C乃至16Bについて同様の展望座標が求まったら、ここで、ファイル12C乃至16Bと展望基準点252Pとの間の展望空間内距離をそのファイル毎に導出する。次いで、ファイル12C乃至16Bを個人的叙述対象246、局所的叙述対象247及び一般的叙述対象248のうちいずれかへと分類することで、作品関係者に対する個々のファイル12C乃至16Bの重要性を判別する。
ステップ256 ここでは、叙述情報ファイル12C内脈絡指示子12Eのうち幾つかをその人物と関連付けるための推論クエリ18Aを、演繹的且つ帰納的な論理を用い且つ先に概述した展望座標252Cを与える仮想展望243の空間内で幾つか生成する。このクエリ18Aは、作品関係者に対し最も広範且つ高水準な相対的重要性を呈する一般的な叙述コンテンツ及び脈絡コンテンツ構成項目を探すためのものである。本実施形態では、推論クエリ関連処理を二段階にわけ、第1段階であるステップ256で幾つかのクエリ18Aを生成する手順としている。
ステップ258 これは推論クエリ関連処理の第2段階である。ここでは、ステップ256で生成した推論クエリ18Aそれぞれに補助推論クエリ18ASを組み合わせて組合せ推論クエリ18ACを幾つか生成する。補助推論クエリ18ASは、叙述節12Aに対するファイル12C乃至16Bの相対的重要性を問うものであり、やはり、演繹的且つ帰納的な論理を用い且つ先に概述した展望座標252Cを与える仮想展望243の空間内で生成することができる。クエリ18A・補助推論クエリ18AS間結合による組合せ推論クエリ18ACの生成は反復的且つ再帰的に実行される。
ステップ260 ここでは、組合せ推論クエリ18ACを幾つか実行することで、個々のクエリ18ACで指定した条件を満たすファイル12C乃至16Bの所在を特定する。
ステップ262 ここでは、ステップ260で実行した組合せ推論クエリ18ACそれぞれへの回答18Rを、幾通りかの作品条件134C、例えば相対的重要性の下限水準、脈絡コンテンツ16Aが保存されている媒体の種別等の検証条件に照らして検証する。留意すべきことに、これらの回答18Rはステップ258で生成したクエリ18ACに対するものであるので、作品関係者・作品10内叙述節12A間には、そのクエリ18AC内で規定されているクエリ条件に応じた重複、相関乃至一致が現れる。従って、作品関係者にとってもその作品10内叙述節12Aにとっても重要なコンテンツ12B乃至16Aが保存されているファイル12C乃至16Bを、クエリ18ACへの回答18Rに基づき特定することができる。例えば、ある特定の人物が書籍を読んだことを示す性質の推論クエリ18Aと、その節12Aに表されている時刻を挟みある狭い時期を指定する性質の補助推論クエリ18ASとを組み合わせることで、その組合せ推論クエリ18ACが生成されているとする。この場合、その人物がその時期に書籍を読んだことを示す回答18Rが得られるので、それに基づき後続する何個かのクエリを生成することで、その書籍に現れる場所及び登場人物のうちその叙述中の出来事に関連しているものを推定乃至特定することも可能となる。
ステップ263 得られた回答18Rのなかに検証条件を満たすものがなかった場合、ここで、ステップ258に戻って組合せ推論クエリ18ACの生成及び実行を反復する。
ステップ264 得られた回答18Rが検証条件を満たしていた場合、ここで、それに対応するリンク14Bをリンクデータベース240に登録する。登録されるリンク14Bは、例えば、それに対応する適切なファイル12C乃至16Bの識別子又は所在を示す情報を含むものとなる。
ステップ266 ここでは、組合せ推論クエリ18ACに関する処理を反復することで、作品関係者に対しさほど重要でないものや作品関係者からの離隔度が小さいものを含めファイル12C及び16Bを順次特定する。即ち、一般的叙述対象248ではなく局所的叙述対象247又は個人的叙述対象246に分類されるであろうファイル12C乃至16Bを探し出す。
ステップ267 ここでは、回答18Rを監視することで、作品関係者に対しあまり重要でないものや作品関係者からの離隔度が小さいものを含めファイル12C乃至16Bをこれ以上探す必要があるか否か、即ち組合せ推論クエリ18ACの生成を更に反復する必要があるか否かを判別する。
ステップ268 ステップ267にてこれ以上の反復は不要であると判別されたら、ここで、作品関係者についての反復的推論クエリ処理を終了する。必要なら、他の作品関係者について上掲の処理を反復する。
ステップ269 ここでは、作品関係者全てについて処理を終えたのか、それとも別の作品関係者について処理を継続すべきなのかを判別する。作品関係者と叙述線上の諸叙述節の組合せのうち処理が済んでいるものについては、叙述構造データベースへの登録に役立てることができる形態にて、ファイル12C乃至16B及びそれに至るリンクの保存に必要な容量を求める。
ステップ270 ここでは、上述の通り、特定したファイル12C乃至16Bを、作品関係者及び検討中の叙述節12Aに対する相対的重要性に従い順位付けする。その節12Aに関連付けるべきファイル12C乃至16Bを然るべく選定する。
ステップ272 ここで処理を終了する。
こうした処理を通じファイル12C及び16Bや作品関係者や作品10内叙述節12Aの間をリンクさせる点に関し留意すべき点としては、まず、上述したエントリ200E、210E及び230E内の情報フィールドのうち特定のものに、作品10内要素のうち対応するものの一般的重要性に関する情報が保存される点がある。この情報を利用することで、作品関係者に対し十分に高い重要性及び十分に普遍的乃至一般的な関係を有する個人的、叙述的乃至叙述構造的要素に関し、少なくともある程度の水準の関連付けを発現させることができる。
この点との関連で留意すべき点としては、コンテンツ12B乃至16Aの重要性は先に述べた通り幾つかの要因によって左右される点がある。例えば、問題となっている人物乃至集団に対する脈絡コンテンツの叙述上の近さ、コンテンツ12B乃至16Aから影響を受ける人数、その影響の度合い、厳しさ乃至継続時間、その作品10に及ぶ最終的な影響の度合い及び重要性等の要因である。
更に留意すべき点としては、上述の処理が反復的処理を含んでいるため、個人的な叙述コンテンツ及び脈絡コンテンツのうち潜在的に重要なものの力強さと深みを増し、また非常に弱いことが多い潜在的な関係を起点とし叙述節間に非常に強い関係及びリンクが形成される点がある。即ち、より具体的にいうと、推論クエリ18Aの実行が反復されるたびに更なるコンテンツ12B乃至16Aがもたらされ、その追加により重要性関係の多様性が増し、ひいては後続のクエリ18A向けの領域乃至叙述対象が暗示されることとなる。
そして、叙述情報ファイル12C・脈絡情報ファイル16B・作品関係者間に存する静的及び動的関係に基づき、作品関係者や作品10内叙述節12Aの間に存する重要性関係を特定するため、上述の処理では推論クエリを生成している。次に、推論クエリを生成し、潜在的な叙述コンテンツ乃至脈絡コンテンツの特定や、潜在的な作品関係者の特定に役立てる方法について説明する。
(ii)叙述コンテンツ及び脈絡コンテンツの特定に使用する推論クエリの追加生成 … 図16
図16に、叙述情報ファイル・叙述節間関係を調べ推論クエリを繰返し生成する方法の流れを示す。上述の通り、制作者72による操作、或いは叙述情報ファイル内コンテンツの自動解析を通じ、叙述毎に叙述節が幾つか規定されているので、その規定が十分に詳細であれば、上述した相対的表現による展望に基づく計算を行うことができる。
本方法では、最初のステップ300にて、叙述節12Cが順序だって並び制作したい作品の脊柱となる叙述線245及びそれに関わりのある叙述情報ファイルを特定することで、その線245に関わりのある叙述情報ファイルについてのデータベース210を入手する。
ステップ302では、その叙述情報ファイルデータベース210から得られる情報を時間的乃至局所的なガイドライン、即ち指定叙述情報ファイルの離隔度を計測する際の絶対的な基準点を与えるガイドラインへと変換する。続くステップ304では、ステップ252における処理の結果と、指定叙述情報ファイルの離隔度及び絶対的重要性とを、諸叙述情報ファイルを個人的、局所的、一般的等々に分類する基準として用い、その叙述節に対する相対的重要性を算出する。
ステップ306では、演繹的且つ帰納的な論理及び上述した仮想展望243の原理に従い推論クエリを生成する。この動作は、最も広範且つ最も高水準な相対的重要性を呈する一般的な項目についての検索から始める。
ステップ308では、作品関係者に対する相対的重要性を求める際の計算(図13)と同様の計算によって求めた同様のクエリを、反復的且つ再帰的に結合させることで、推論クエリを生成する。
ステップ310では、ステップ308で生成した新たな推論クエリを実行することで、その作品の制作者にとっても叙述節にとっても脈絡的に重要な回答を取得する。
ステップ312では、ステップ310で得られた回答を、相対的重要性の下限水準設定値、検索対象となる叙述情報ファイル等といった制約条件を含めとして何らかの作品生成条件に照らして検証する。このステップでは、作品生成条件が満たされなかった場合はステップ308へと処理を移行させる。そこでは、より満足のいく回答が得られるようクエリを再度生成する。他方、作品生成条件が満たされた場合はステップ314へと処理を移行させ、得られた回答によって示される適切な脈絡情報ファイル16Bの在処に基づき、制作したい作品に係るリンクデータベースへの登録を行う。続くステップ315では、ステップ308〜314を反復させるか否かを判別する。
ステップ316では、別の粗筋12P乃至叙述線245をもたらしうる叙述節向けに生成された別の推論クエリを対象に、それらのステップを反復する。対話版やカスタム版の作品を制作する際には、これを何回か繰り返して線245を複数本設けるのが望ましい。
ステップ319では、それ以上反復する必要があるか否かを判別する。必要無しと判別した場合は、ステップ320にて全回答に最終フィルタリングを施す。このフィルタリングは、推論クエリの反復実行で得られる回答の順位付けを管理するルール群に従い実行する。例えば、全ての叙述節又は特定範囲に属する一部の叙述節のなかで、最も高い相対値を呈する脈絡情報ファイルを選別的に採用するルール等である。ステップ321ではほかに叙述節があるかか否かを判別し、ある場合はステップ308の処理へ移行する。
ほかに叙述節がない場合はステップ322にて処理を終了する。
(iii)別の粗筋 … 図17
図17に、その作品を貫くよう、且つその作品との対話型やりとりを通じ粗筋の選択等を行えるよう、配信用作品の制作者によって複数本の粗筋12Pが設けられた叙述構造14Aを示す。この構造14Aでは、幾つかの叙述節Nxを通る叙述線245に加え、他の幾つかの叙述節Nyを通る別の叙述線352が設けられているので、表示や実演の際に後者の線352を選択することが可能である。配信用作品が適宜構成されていれば、例えば、ある線245に沿い到達した叙述節にて他の幾本かの線352のうちいずれかを選択し、それまでとは別の線352に沿い他の叙述節に進むこともできる。別の叙述線の選択形態としては、使用者や視聴者の意志のみに基づく無条件的選択や、ある種の条件が成り立っているときだけある種の選択肢を選べるようになる条件的選択を採りうる。
I.仮想展望空間における叙述構造及び重要性関係 … 図14A〜図14C
上述の通り、本実施形態では、重要性関係の原理や、展望特に仮想展望の原理を使用し、作品10の構成要素、例えば叙述構造14A、叙述節12A、ファイル12C及び16B、コンテンツ12B及び16A等の間や、それらと作品関係者との関係を、整頓及び構築するようにしている。この点もご理解、ご推察頂けるように、本実施形態では、その作品10の制作者や使用者にとり使い勝手のよい形態でその重要性関係や展望を表示させることができ、従って上述した多様な形態で作品10を制作することができる。これから説明するのは、それらの関係及び展望を制作者や使用者に向けて提供乃至表示する方法の例である。更に、本実施形態における重要性関係の原理や仮想展望の原理の利用形態についても説明することとする。
(i)多次元仮想展望空間における重要性関係 … 図14A
まず、図14Aに、仮想展望空間における叙述節12A・叙述情報ファイル12C間関係の一例表現を示す。この例では、仮想展望243を表すのに多次元座標空間を使用しており、目下検討中の叙述節12AOがその空間の座標原点に置かれている。これまでの説明からもご理解頂けるように、図14Aに示した仮想展望空間は、本実施形態に従い極座標空間で重要性関係を構築する手段としてだけでなく、そうした関係を好適に表示可能な手段として後述の通り本実施形態にて採用されている。更に、以下の説明からご理解頂けるように、図14A及び図14Bに示した例では仮想展望空間として二次元座標空間を使用しているが、実際には任意の次元数の空間を使用することができる。使用する空間の次元数は、実施の仕方、例えば重要性関係に係る要因が何種類あるかによって左右される。同様に、仮想展望空間の座標系を他の種類の座標系、例えば矩形座標系や球面座標系にすることもできる。
また、この例では、在原点の叙述節12AOに対する人物、脈絡情報ファイル16B、脈絡コンテンツ16A、他の叙述節12A等の相対的重要性の強弱が、前者から後者までの放射方向距離を物差しとして表されている。即ち、図示の通り、その節12AOに対する相対的重要性の変化がわかるよう在原点の節12AOを取り巻く同心円273が描かれ、節12AOからの放射方向距離に比例しその節12AOに対する重要性が低下することが表されている。上述の通り、本実施形態では、ファイル12C乃至16B内の情報が個人的叙述対象246、局所的叙述対象247及び一般的叙述対象248に分類され、その重要性が最も高い分類が個人的叙述対象246、最も低い分類が一般的叙述対象248とされるので、図14Aに示した仮想座標空間を使用する場合、個人的叙述対象246、局所的叙述対象247及び一般的叙述対象248がそれぞれ対応する領域内に収まるよう、三重の円273によって放射方向領域を三分するのが望ましい。
そうした構成では、仮想展望243の空間で原点に位置する叙述節12AOに対しファイル12C及び16B、それに保存されている情報等が呈する相対的重要性を、その空間におけるファイル12C及び16Bの放射方向位置がどこか、即ち同心円273で括られた個人的叙述対象246の領域、局所的叙述対象247の領域及び一般的叙述対象248の領域のうちいずれに収まるか、から読み取ることができる。更に、ファイル12C及び16Bの分類間に存する関係のうち、コンテンツの類似性といった特性や、そのファイルに当初から保存されていたのかそれとも条件判別処理や選択処理で事後的に組み込まれたのかの別を、その仮想展望空間内でそれらファイル12C及び16Bが占める周方向位置から読み取ることができる。そして、表される叙述対象の種別、例えば人物、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16Bのいずれであるかを仮想展望空間内に表すこと、例えばその叙述対象に応じアイコンやシンボルの形状や色を違えてディスプレイ画面に表示させることができる。
(ii)三次元極座標仮想展望空間における重要性関係 … 図14A
在原点の叙述節12AOに対し人物、集団、叙述節12A、叙述情報ファイル12C等が呈する重要性の強弱や、人物、集団、節12A、ファイル12C等の間に存する重要性その他の関係は、極座標展望空間内に重要性ベクトル249で表すことができる。図14Aから読み取れるように、対応する叙述対象が節12AOに対し呈する相対的重要性や、仮想展望243の空間内に存する他の叙述対象に対し呈する相対的重要性を、そのベクトル249の径方向長で明示することができる。同様に、その仮想展望空間に表されている他の叙述対象との分類上の関係等を、ベクトル249の周方向位置で表すことができる。また、対応する叙述対象間に存する関係の強弱によってベクトル249同士の角度差が変化するので、包括される角度範囲又は排除される角度範囲を指定することで、叙述対象の範囲をその関係に基づき記述乃至指定することができる。
また、人物、ファイル12C乃至16B、叙述節12A等といった要素の絶対的重要性は、その要素が在原点の節12Aに対し呈する相対的重要性等、展望243の空間に存する他の要素に対し呈する相対的重要性と違い、その要素のみの関数となる。従って、適切な性質を有するアイコン又はシンボルをその要素に対応付け、そのアイコン乃至シンボルでその要素を表すことで、その要素の絶対的重要性を明示的乃至暗示的に表すことができる。
更に、本実施形態では、後述の通り、在原点の叙述節12AOと、重要性ベクトル249で表される人物乃至集団と、の間に存する個人的重要性関係を導出、表示させるようにしている。この点との関連では、知識ベース200内知識エントリ200Eから個人情報を取得し、個人的重要性ベクトル249を構築することが可能である点にも、留意すべきである。
(iii)仮想展望の再計算 … 図18
その構成要素間の展望即ち相対的重要性に変化が生じうる場合、制作される作品10の構成中に様々な分岐点が発生する。本実施形態では、対話型やりとりの最中に視聴者がある脈絡情報ファイル16Bに強い関心乃至反応を示したことを受け、そのファイル16Bを今後は強調すべきであると司会者が判断した場合等に、システム側で、視聴者向けに提供乃至表示される作品10を改組すること、例えば新たな叙述節12Aを幾つか組み入れ別の粗筋12Pに沿った提供乃至表示に変えることができる。また、別の粗筋12Pに沿う叙述に変わるよう、或いは幾つかの節12A、ファイル12C乃至16Bの役割乃至分類が変わるよう、いずれかのファイル12C乃至16Bを別のものに入れ替えることもできる。
図18に、先に図8、図12E等を参照して説明した仮想展望243について、脈絡情報ファイル16Bを叙述節12Aに仕立て直す場合を例にその再計算方法を示す。このようにファイル16Bを改組し別の役割を担わせる際には、その操作で新たに画定される節12Aに対する関係や脈絡的な重要性を再計算する必要があるので、図18中の枠内に視覚的に示した要領で仮想展望243及び362に基づきその再計算を実行する。即ち、作品10の諸構成要素がその相対的重要性に応じファイル16Bのリンク先節12Aに従前から関連付けられていることを利用し、展望362に係る枠内の処理を実行する。この処理では、節12Aの構成要素にすべきファイル16Bの指定を受けて境界条件を再計算し、その境界条件に従い、そのファイル16Bに関連付けるべき叙述情報ファイル12Cを特定する。制作者は、その結果に基づき広範な知識ベース364を拡張し、対話型ガイダンスを伴う実演乃至提供に役立てることができる。また、こうして更新された節12Aを用いることで、新たな粗筋12P即ち新たな叙述線352を生成することや、新たな脈絡コンテンツ16Aを提供して新たな叙述節群を生成することができる
J.作品10を制作するためのシステム20及びその仮想展望生成器の例 … 図21A及び図21B
次に、作品10の構成要素及び制作方法に関するこれまでの説明を踏まえ、作品10を制作するためのシステム20、そのサブシステムたる仮想展望生成器の一例構成、並びにそれらの動作の流れをより詳細に説明する。
(i)仮想展望生成器 … 図21A
図21Aに、システム20で使用される仮想展望生成器500のブロック構成を示す。本実施形態では、作品制作の好適実行のため生成器500をシステム20の他の構成要素と協働させるようにしている。
また、この図の仮想展望生成器500では、作品関係者に関する一群の情報源520から得られる情報を、個人知識ベース200に登録する系統と叙述構造データベース230に登録する系統とが、高度に並列的な関係を呈している。こうした並列性のある構成では、図13及び図16に示した方法に従い且つ推論エンジン530を用い、複合的な推論クエリ18Aを好適に反復生成することができる。本実施形態におけるエンジン530は、知識ベース200に登録されている情報に叙述情報を組み合わせること、例えば叙述情報ファイルに保存されているテキスト、音声、画像等の情報を図12Aに示した要領で組み合わせることでクエリ18Aを生成する。次いで、そのクエリ18Aを、図8、図12E、図13、図16、図19等に示した相対的重要性オントロギに従い調整した上で実行し、それに対する回答で示されるファイル12C乃至16Bの相対的重要性に基づき仮想展望243を導出、取得する。そして、こうして生成した展望243を、システム他部位から参照できるよう表示兼保存サブシステム540に保存する。
(ii)仮想展望生成器500を有するシステム20の例 … 図21B
次に、システム20を使用し作品10を制作する手順のあらましを踏まえつつ、図21Bを参照し、本実施形態におけるシステム20及びそれに備わる上述の仮想展望生成器500の概略動作を説明する。
説明の便宜上、叙述情報ファイル12Cたる音声ファイル、画像ファイル及び生伝送ファイルがリモートのメモリシステム52に保存されること、脈絡情報ファイル16Bが印刷物その他の有形媒体の集まりであること、またそれらのファイル12C及び16Bが原則としてディジタル又はアナログの電子ファイル形態をとることを仮定する。更に、脈絡情報ファイル16B内の脈絡コンテンツ16Aとして、生実演で生成され電子的な伝送を経て検知乃至記録されたコンテンツ、データベース上に保存しておいた私製のコンテンツ、許諾を受けたコンテンツ、他者又はパブリックドメインから提供されたコンテンツ等が保存されるものとする。即ち、仮想展望生成器500内推論エンジン530によって生成される推論クエリで指定される情報又はそのコピーへのリンクを介し参照可能なあらゆる情報が、コンテンツ12B及び16Aに含まれるものとする。
また、このシステムでは、既存又は修正版の脈絡情報ファイル16Bを使用することが可能であるほか、自システム内又はそこから参照可能な場所にあるサブシステム580でファイル16Bを生成し、それを随時取得して使用することも可能である。このサブシステム580は、手動操作による生成要求に応じ又は自動的に判別を行い、より望ましいと見られるファイル16Bを生成する。例えば、推論クエリ18Aを実行したけれども、そのクエリ18Aで指定していたファイル16B即ちその作品10にとり重要そうなファイル16Bの在処がわからなかった場合に、そのクエリ18Aを要求として受けとめ新たなファイル16Bを生成する。
更に、図21Bに示したシステム20では、一部の処理機能がそのサブシステムたる入力システム26で担われている。発見、修正乃至生成したファイル12C及び16Bを取り込みリモートのメモリシステム52等に保存する機能である。保存されたファイル12C及び16Bは出力システム28用のリソースとなるので、制作対象作品10で使用する叙述情報ファイル12Cをそこから得ることができる。本実施形態では、それらのファイル12Cをその相対的重要性に従い分類して保存するので、先に仮想展望に係るルール群との関連で説明した通り、出力システム28用のリソースを例えば個人的脈絡コンテンツ16A、局所的脈絡コンテンツ16A及び一般的脈絡コンテンツ16Aに分類して利用することができる。
即ち、システム20では、それら出力システム28用のリソースを、図14A〜図14Fに示した仮想展望表現等で表示させる一方、作品組立サブシステム30にも供給する。図20に示す通り、このサブシステム30は、対話型の操作を踏まえ又は全自動で作動し、叙述節12A、ファイル12C及び16Bの選定及びそれを使用した作品10の組立を精緻に実行する。ステップ590では、その作品10を生実演で提供しようとしているのか、それとも人間、コンピュータゲーム、生実演等による後日の再演に備え保存しようとしているのかを判別する。このステップ590で生実演と判別されなかった場合、システム20では、その作品10が生提供されているか否か、結果を保存するか否かを尋ねるステップ610を実行する。生の作品10ならばシステム20に備わる入力システム26経由で記録、保存できることから、ここでは生でない作品10の保存要否を尋ねるようにしている。このステップ610にて、その作品10が現在提供されておらずその保存が必要であると判別された場合は、ステップ620にてリモートメモリシステム52への長期保存を実行する。その後は、別の作業を開始できる状態に移行するか、さもなければ保存要否判別ステップ610へと戻る。ステップ610にて保存不要との結果になったら終了要否判別ステップ630へと移行し、システム20をシャットダウンさせるか否かをそこで判別する。シャットダウンさせよとの判別結果にならないうちは、終了要否判別ステップ630の実行や新たな入力を待ちつつシステム20を稼働させ続ける。
使用者の意向が生提供600であるとステップ590にて判明した場合、システム20はその意向に沿い図19に示す反復処理を実行する。その後、ステップ630にて提供終了との判別結果が得られるまでは、システム20による作品10の連続的ループ提供が継続される。
K.作品10の制作に関する詳細な説明 … 図7、図8、図10、図16及び図20
次に、作品10制作用システム20の一般的動作及び用法に関するこれまでの説明を踏まえ、そのシステム10の動作及び用法についてより詳細に説明する。
(i)作品10の制作モードに関する説明
システム20の使用に当たっては、まず、作品10の骨組みとなる叙述節12Aを幾つか指定する必要がある。叙述構造14A内要素のうち粗筋12Pはそれらの節12Aの配列によって形成される。構造14内他要素、即ちファイル12C乃至16Bやコンテンツ12B乃至16Aを該当する節12Aに関連付ける幾本かのリンク14Bを画定するため、次に、システム20は図16に示した処理を実行する。即ち、叙述情報ファイル12C・節12A間関係を調べつつ推論クエリ18Aを反復的に実行する処理を実行することで、ファイル12C乃至16Bとなるべきファイルを探し該当する節12Aに関連付ける。従って、作品10内諸節12Aを特定することは、ファイル12C乃至16Bとして使用できるファイルの所在を特定し、それらをファイル12C乃至16Bとして選定する上で、要諦となる事柄である。
例えば、一般的な従来システムでは、ファイル12C乃至16Bの候補を検索するとなるとあらゆる情報源に当たる必要があり、しかもヌル回答や不適切回答を含め往々にして多大な個数に上る回答を手動操作で保存する必要がある。これに対し、本実施形態では、上述の通り作品関係者に対する重要性に基づきファイル12C及び16Bを予備選抜する。ある叙述節12Aに係るキーワード、キー画像又はキー音声として魚に係るそれが使用されている場合でいうなら、システム20では、制作者が様々なデータベースを検索して適切な魚情報を見つけ出す必要がない。これは、作品関係者及び節12Aの所在場所乃至時刻やその節12Aで登場する人物に関する知識に基づき、且つ自システム20の設計者から与えられるルール群に則り、制作者の選択が予測されるからである。その節12Aの舞台が日本であるとの知識に基づき、日本産の鯉に関する叙述コンテンツ12Bが保存されている叙述情報ファイル12Cが高度に重要なものとして認識される、といった具合である。また、上述の通り、推論やファイル12C及び16Bの選択に使用されるルール群の設定により、全自動、補助更には全手動に至る様々なやりとりスタイルを設定可能である。ルール群の設定により、ファイル12C及び16Bの選択に関わる様々な要因の管理、例えば作品10の前景に現れるファイル12C及び16Bの自動比率設定も行える。
本システムは、次に、個々の叙述節12Aに係る叙述コンテンツ12Bと結び付きがあり、その結び付きで制作者や受信者による回想や交際が刺激されるようなファイルを、その節12Aに関連付けるべき脈絡情報ファイル16Bの候補として選定する。例えば、ある叙述情報ファイル12C内の情報のうち対応する節12A、制作者乃至受信者の所在場所乃至時刻に関する情報に基づき、鯉池の写真、芸術的な画像、その出来事があった日本の市街等の情報を含むファイルを、脈絡情報ファイル16Bの候補として選定する。
システム20は、次いで、上述した再帰的な処理を通じファイル12C及び16Bの選定を最適化する。例えば、制作者が個人的な写真を指定した場合、システム20は、その制作者に関する付加的な知識例えば通学先についての知識に基づきその写真を解析する。その結果、その写真に写っている人物達がチームユニフォームを身につけていることが判明した場合、システム20では、その写真に写っているのが大学時代のチームメイトであるとの推論を検証した上で、チームメイト達の写真を検索する。そうして得られた写真は、多くの場合、制作者が指定した写真に写っている人物達の特定に役立つものとなる。
システム20は、更に、図8に示す形態で叙述情報ファイル12Cのデータベース210及び220を構築し、図7に示す個人知識ベース200及び図10に示す叙述構造データベース230を併用して諸データベースを改訂する。これによって、作品10、叙述節12A及び作品関係者に対する重要性が最適化される。即ち、システム20は、所与のルール群に従い且つ対応するデータベース210から抽出される情報に基づきファイル12Cを改訂すること等で、叙述コンテンツ12Bを個人知識ベース200上の作品制作者情報に整合させ、或いは所在不明媒体に関する脈絡コンテンツ16Aを生成する。
この原理は、図7に示した知識ベース200、図8に示した叙述情報ファイルデータベース210、並びに図10に示した叙述構造データベース230を含め、叙述情報ファイル12Cの組合せ一般に適用される。制作者は、適用するルール群を指定するだけでよい。その指定に応じ、本システムは、例えば、別のデータベースに登録されているファイル12Cのうち所在不明なものに代わり機能するよう、あるデータベースに登録されているファイル12Cを改訂する。指定されるルール群によっては、図10に示した叙述構造データベース230に登録されている叙述節12Aに対しあるルール群を優先適用させることや、ルール群の適用でファイル12Cを改訂して節12Aに対応乃至一致させることもあり得る。
システム20は、重要そうだが所在不明又は未発見のファイル12C又は16Bがある場合、そのファイル12C乃至16Bに代わり必要を満たすような新たなファイル12C乃至16Bを生成する。例えば、システム20で参照可能なファイル12C及び16Bのいずれにも、特定日におけるシャルトル大聖堂の画像が保存されていないとする。しかし、参照可能なファイル12C及び16Bのうちあるものに、その日の条件と似た日照及び天候で撮られたシャルトル大聖堂の画像等、当該特定日画像の代わりとなりうる情報が保存されているとする。この場合、システム20は、その代替情報への日照条件及び天候条件の挿入でシャルトル大聖堂の想像画像を生成する。即ち、叙述節12Aや制作者、視聴者、登場人物等から見て必要となる条件を踏まえつつ、作品関係者例えば制作者や視聴者にとり役に立つであろう想像画像を生成する。
本実施形態では、更に、図10に示した叙述構造データベース230等に登録されているルール群に従い、且つ制作者側要求/希望書式に合致するよう、ファイル12C及び16Bを修正することができる。例えば、選定済脈絡情報ファイル16Bの形式乃至様式を、制作者からの指示に応じ且つデータベース230に登録されているルール群に従い修正することで、制作者や受信者の嗜好や反応に相応しくなるよう脈絡コンテンツ16Aを要約化乃至戯画化することができる。
ファイル12C乃至16Bを修正する処理をより詳しく見ると次のようになる。まず、最初に行われるのは、叙述対象となる話題例えばパリ休暇を指定するステップである。その次に行われるのは、叙述を構成する叙述節12Aや表現モードを指定するステップである。制作者は、必要なら、ほかの登場人物を指定するステップを実行することもできる。それらの指定が済むと、システム20は、話題、場所、時期及び期間や、個人的、局所的、一般的又は偏在的といった分類に基づき、制作者の記憶力や創造力が喚起されるように叙述情報ファイル12Cを表示させる。実演を目的とした配信用作品の場合は、制作者や実演者や視聴者の記憶力や創造力が喚起されるように表示させることもある。この表示を受け、制作者は、叙述に含めたいファイル12Cを幾つか選んで相互に関係づけることで、骨組みとなる叙述構造14Aが形成されるよう節12Aを画定する。
叙述節12Aを画定する際には、上述の通り、叙述情報ファイル12Cが使用され、或いは幾つかのファイル12Cからなる別の叙述が使用される。例えば、パリ休暇に関する節12Aは、エッフェル塔を示す情報が保存されているファイル12Cでも、複数個のファイル12Cからなる叙述でも画定されうる。後者なら、エッフェル塔に関する様々な出来事、対象物、状況、登場人物等を順繰りに提示することができる。制作者は、核心をなす一組の節12Aを作成しそれを適当な順序、例えば単純な時間順、場所別、個人史順、地史順等、自分が納得できる順序で並べればよい。
本システムは、次に、どのような形態で叙述を出力するかを質問する。使用する選定条件や組立原理が出力形態次第で異なるからである。制作者は、その質問への回答として、印刷物、人間による対話型実演、コンピュータを利用した対話型実演、フィルム、画像、音声等、現在利用可能な出力形態や今後利用可能となる出力形態を任意に指定することができる。これは、従来の方法及びシステムではある特定の媒体を使用する作品の制作しか支援できないことと大きく相違している。例えば、QuarkExpress(商標)等のパブリッシングソフトウェアは印刷物の制作にしか利用することができない。同様に、Adobe(登録商標)Premier(商標)は画像作品、Macromedia(登録商標)Director(商標)はコンピュータ利用対話型オブジェクト、Soundforge(商標)は音声作品の制作にしか使用することができない。
システム20は、次いで、叙述情報ファイル12Cにまつわる関係に基づき組立原理を推定する。この推定には、本実施形態に備わる上述の機能のうち、作品関係者に対するファイル12C及び16Bの関係を特定乃至操作する機能を使用することができる。推定のもとになるのは、そのファイル12Cがその配信用作品10の叙述、制作者、視聴者、登場人物、環境的重要側面等に対し呈する関係である。環境的重要側面にはその作品10にまつわる様々な環境的要素、例えばその作品10の上演地、その作品10の送信又は実行に使用される装置の種類等が含まれる。また、この推定に当たり、システム20は制作者を促し、使用する出力形態に相応しいツール及びその自動化水準を指定させる。自動化水準としては、全手動から全自動に至る様々な水準を指定することができる。また、ここでいうツールは、作品10の組立に役立つハードウェアやソフトウェアのことである。テンプレート、編集/変換/組立/修正ハードウェア/ソフトウェア等、適切なツールを指定することで、制作者は、自分の意図を作品に対する処置、例えば走査、改訂、制作等に反映させることができる。
システム20は、更に、制作者が指定した幾通りかの出力形態に基づき叙述及び叙述節12Aを解析し、それによってファイル12C及び16Bの選定条件を外挿する。システム20は、次いで、指定された自動化水準又は自システム20の構成に組み込まれている自動化水準に基づき新たなファイル12C乃至16Bを推奨する。即ち、システム20は、上述の通り、叙述、制作者、視聴者、既存の節12A及びそれに対応する叙述情報ファイル12C、並びにその他のファイル12Cの間に実在又は潜在している重要性関係を調べることで、その作品10にファイル12として組み込みうる新たなファイルを特定する。
例えば、制作者からの指示で基本的な骨組みに組み込まれた叙述節12Aのなかに、簡単な説明だけで放置されているものがある場合、システム20は、そうした簡単な説明例えば日付、場所等の情報に基づきその節12Aが例えば「路上パントマイム」に関するものであると解釈し、その結果に基づき推論クエリ18Aを生成することで、制作者が定めた条件を満たす素材を検索する。また、システム20は、制作者からの指示を受けた場合、それに含まれる情報が作品関係者、叙述構成要素、出力形態等に関する知識であると解釈及び推定し、更にその作品10で使用される媒体に見合った作品制作用ルール群を適用して叙述に見合った新たな節12Aを選定する。
以上説明したのは制作者から学ぶだけの作品制作モードである。システム20は、更に、制作者を支援、教育するモードで動作させることもできる。このモードでは、制作者がシステム20側から様々な提案を受けることができる。その一例は、美術館に関する叙述節12Aの代わりにレストランや名所旧跡に関する節12Aを設けて受信者の注意を引きつけたらどうでしょう、といった提案である。こうした提案は、受信者プロファイルから芸術ではなく食品に金をかける受信者であるとわかるのに、美術館に関する節12Aの連続個数が多すぎる場合に行われる。別例としては、これまでの人物を引っ込めて代わりに新たな人物を叙述に加えてはどうでしょう、といった提案がある。こうした提案は、受信者にとり見分けが付きにくそうな登場人物がいる場合に行われる。更なる例としては、ほかの熟練話者が作品製作時にとった振る舞いや仕事の進め方を記録しておいたのでその記録から学んでください、と伝達、教示する提案がある。
更に、本システムには、制作者が最初に指定した叙述節12Aに符合してはいるが幾分ずれている検索でファイルを探し、見つかったファイルを叙述情報ファイル12Cの候補として制作者に示すモードもある。このモードでは、制作者は、システム側に然るべく指示することで、誰かほかの制作者の許にあるデータベース、作品10に登場する人物のデータベース、或いは視聴者の許にあるデータベースからファイル12Cにしうるものを探させ、見つかったもので作品を組み立てさせることができる。制作者は、ランダム性の程度を指定することで、候補として見つかるファイルの意外性を高めることができる。
システム20には、更に、制作者・システム間共同制作と呼べるまた別の作品制作モードがある。このモードでは、制作者は、システム20側に、自分が指定したものとは異なる叙述節12A又はその連なりを探して提案するよう求めることができる。この場合、システム20は、制作者が指定した幾つかの話題又は節12Aを始点とし、他の制作者による叙述でよく採用されている関連付け形態及びパターンに基づき推論クエリ18Aを生成し、更にそのクエリ18Aを使用し検索を行う。システム20は、その検索の結果に基づき、節12A又はその連なり並びにそれに対応するファイル12C及び16Bについての提案を行う。
この制作者・システム間共同制作モード、即ちシステム20側からの支援を受け制作者が制作するモードに関し大切なことの一つは、制作者にとり価値がありそうな叙述節12A並びにファイル12C及び16Bをシステム20側で見つけ出す動作が、作品10に関する上述のデータベースの脈絡に沿い、且つシステム20向けに規定されている関連付けルール群及び重要性関係に従い、関連付け形態及びパターンを検索することで実行されることである。もう一つは、システム20における検索の動作及び結果が、その検索に使用される検索機構の中身に基本的に依存しないことである。即ち、システム20の動作は検索技術に左右されにくく、人工知能法、パターン認識法、過去の行為乃至選択を調べ制作者や視聴者が好む行為を推定するシステム等、様々な技術で同等に検索を実行することができる。
制作者・システム間共同制作モードでの作品10の制作は、より詳しくは次のように行われる。この制作では、まず、制作者が初期的な叙述節12Aや叙述上の話題を幾つか指定又は示唆する。これに応じ、システム20は、その作品10にとり制約となるその他の情報の入力を求める。その例は上限費用や最終出力関連情報である。最終出力関連情報とは、例えば、その出力は個人用かそれとも商用か、どの程度の受信者数が予測されるか、上演地はどこか、その出力が知的財産権付の営利頒布用作品10なのかそれとも家族や身内に向けた無料作品10なのか、等といった事項に関する情報のことである。
これらの情報が全て入力されると、本システムは、それらに基づき制作者の意向に沿った叙述構造14Aを幾通りか示し、指定された叙述節12A並びにそれに対応するファイル12C及び16Bをそれらの構造14Aに沿い並べて示す。その形態としては、示されている構造14A、叙述情報ファイル12C及び脈絡情報ファイル16Bのなかから必要なものを制作者が容易に選択できる形態を使用する。
制作者・システム間共同制作モードには上述のものとは別の形態もある。即ち、叙述上の話題、叙述節12A、ファイル12C及び16B等の選定条件を制作者が指定する形態である。システム20は、これを受け、制作者が指定した条件を満たす一群の構成要素、例えば叙述上の話題、節12A、ファイル12C及び16B等を選定する。次いで、システム20は、自ら構築した動的な叙述構造14Aに従い、それら選定済の構成要素を配列する。その上で、システム20は得られた作品10を表示させる。表示される作品10には、選定した構成要素全てが、その構造14Aに従い且つ順に入れ替わりつつ現れる。即ち、表示される作品10では、その作品10の叙述から外れないながらも、制作者の嗜好、登場人物の性質を示すコンテンツ12B乃至16A、実演者の嗜好、視聴者の嗜好等が縦貫的に示されるような形態で、様々な節12Aやファイル12C乃至16Bが一定周期で入れ替わる。
(ii)作品10を生成する方法の例 … 図20
次に、本実施形態で使用可能な諸作品制作モードに関するこれまでの説明を踏まえ、またフローチャートたる図20を参照しつつ、作品10を生成する方法について例示説明する。
図20に、本実施形態における作品生成方法の例を示す。本方法では、その冒頭にあるステップ450にて、制作者に個人的な叙述コンテンツ12Bの入力を求める。システム20は、入力されたコンテンツ12Bによって明示又は暗示されている事項を踏まえ、作品10を縦貫する粗筋12Pに沿って並ぶ幾つかの叙述節12Aを推定乃至画定する。この処理は上述の方法に従い実行される。即ち、システム20が、推論クエリ18Aを生成、実行して回答を取得し、その回答で示されたファイル12Cに基づき相応する脈絡コンテンツ16A及び脈絡情報ファイル16Bを個々の節12Aに関連付けることで、個々の節12A毎に脈絡を設定する。
こうした処理が行われるので、最初のステップ450で制作者が供給する必要があるのは、作品10の種別乃至種類が写真アルバムであるといった情報のみである。
ステップ452では、編集ツールを使用して作業を行うか否かについて制作者の判断を求める。否と判断された場合、ステップ454にて、制作者が与えた個人的な叙述コンテンツに基づく推論クエリ18Aへの回答18Rそのもの、或いは全自動システムによる生成動作の産物を、最終的な作品10として扱うことにする。
編集ツール使用と判断された場合は、判別ステップ456にて、手動編集ツールを使用するのかそれとも全自動編集ツールを使用するのかを制作者に選択させる。
判別ステップ456にて全自動ツールが選択されるのは、通常、互いに競合する様々なバージョンの叙述節12Aのなかから手動操作又はツールの併用で最終バージョンを選定することで編集を行いたい、という意図を制作者が持っている場合である。そこで、ステップ458から判別ステップ460へと移行する。
判別ステップ460では、ステップ462のルールベース法かそれともステップ464のランダム法かの選択を求める。本実施形態で重要なことは、上述した幾つかのシステム内ルール、作品10の制作原理、手動操作及びランダム法を叙述節12Aにどの程度の度合いで反映させるか、選択肢を設けうることである。
ステップ466では、そこで、前段落で述べた度合いをどの程度にし、その度合いまでどのツールを適用するかを制作者に判断してもらう。
ツール追加と判断された場合は、ステップ456に戻り、制作者に追加希望ツールの指定を求める。ツールが指定された場合は、ステップ470、474又は478の実行要否に関し、ステップ468、472又は474にて制作者に判断を求める。ステップ470では、叙述節12Aに係るコンテンツを種々のサンプルレイアウトに従い表示させる。ステップ474では、システム20が従来型プレゼンテーション作成ソフトウェア類似の形態でテンプレートを表示させる。ステップ478ではヒントや提案を提示する。
ステップ466にて制作者が諸種ツール選定終了と判断した場合は、ステップ480にて、システム20がその叙述節12Aに係る叙述コンテンツ12Bを表示させる。この表示は、制作者がそのコンテンツ12Bを対話的に操作できるよう行われる。ここで、叙述対象の表示を移動、削除、サイズ変更等することで、レイアウトを適正化することができる。
判別ステップ482では、更に、叙述節12Aに係る叙述コンテンツ12Bの改訂要否、即ちコンテンツ12Bを改訂するステップ484への移行要否に関しシステム20が判断を求める。本実施形態のステップ484では、重要性関係、クエリ18A乃至18ACに対する回答18R等に基づき、システム20がコンテンツ12B乃至16Aの修正に関する提案を行う。
この点に関し留意すべきことに、制作者は、随意時点で叙述節12Aに関する最新変更結果の取り込みを求めることができる。それを受けステップ486では最新変更結果を原案の一つとして取り込み、ステップ488ではその原案を他の諸原案と比較する。
競合する原案同士の比較が済んだら、ステップ490にて、編集処理の終了可否に関し制作者の判断を求める。原案を更に作成してみたいと判断されたらステップ480に戻り、終了と判断されたらステップ492にて最終的な作品を提供する。
例えば、与えられている粗筋12Pの舞台がパリである場合、システム20は、作品構築に当たり、まず一般的な脈絡を示す情報をまとめる。例えば、パリの地図、著名な美術工芸作品、有名なパリ音楽、エッフェル塔の歴史、エッフェル塔の高さや重さがわかるリアルな画像、エッフェル塔の頂上から撮影した写真、歴代パリ市長の描像、現パリ市長の写真、その頃その地域で起きた大ニュースの画像等についての情報である。システム20は、更に、歴史的な価値や個人的な価値はないがその普遍性に価値があり、叙述情報ファイル12Cとして使用できるファイルの所在を特定する。例えば、その頃その地域でよく見られた看板やコマーシャル、流行っている衣類、紙マッチ乃至たばこ、その季節のワイン、自動車、特徴のある窓格子や鉄柵、食品や人気のある音楽等の情報に関するファイルである。
システム20は、次いで、それらの情報と制作者の個人的な画像とを同時に提示する。これは、例えば動的なコントラストをもたらすために行う。叙述中に登場する人物から見た一般的且つ個人的な脈絡に関するこうした対比によって、さもなければ発見も認識もできなかったような面白い関係が明らかになることがある。更に、システム20が新たに発見、提示したファイル12C及び16Bによって、制作者の記憶、気分、感情等が刺激されることもある。制作者は、そうした場合、新たな叙述節12Aやファイル12C乃至16Bをその作品10に追加することができる。
更に、本方法では、データベース200〜240上の情報や叙述情報ファイル12C内の情報に基づき、システム20が、上掲の「局所的」なる分類に該当している情報のうち、未取得や事後喪失が原因でその制作者が利用できないファイルを、脈絡情報ファイル16Bの候補として制作者に提案することができる。例えば、回想を通じその核心的な叙述を何らかの種の含蓄や機微に結び付けるファイルや、一般的なファイル16Bを個人的な叙述に結び付けるファイルである。更に、システム20は、局所的な脈絡コンテンツ16Aが利用できない場合、上述の通り、利用できる他の脈絡コンテンツ16Aに基づき当該局所的なコンテンツ16Aに見合うコンテンツ16Aを生成することができる。
L.仮想展望空間における叙述構造及び重要性関係の表示
ここまでそのあらましを説明してきた通り、本実施形態では、重要性関係、展望及びその一例たる仮想展望の概念を導入し、叙述構造14A、叙述節12A、叙述情報ファイル12C、脈絡情報ファイル16B、叙述コンテンツ12B、脈絡コンテンツ16A、作品関係者等といった要素を作品10へと組織化乃至構造化するのに使用している。ただ、こうした仕組みで本実施形態を用い作品10を生成するには、使用者や作品10の制作者が参照できるようそれらの関係乃至展望を表示させる必要がある。そこで、以下の説明では、それらの関係及び展望を制作者乃至使用者向けに提示乃至表示する方法の一例について述べ、また本実施形態における重要性関係や仮想展望の役割に関しより詳細に述べることとする。
まず、図12E及び図14A〜図14Dを参照して既に説明した通り、叙述節12A・叙述情報ファイル12C間関係をシステム20の使用者向けに表示させるには仮想展望空間、例えば検討中の叙述節12AOを原点として仮想展望243を表す多次元極座標空間を使用するとよい。この重要性関係表示手法を拡張し、節12A、ファイル12C、脈絡情報ファイル16B、作品関係者、並びに節12Aの関係者の間の関係を表示可能な手法とすることもできる。
例えば、図14Bに示したのは、本実施形態の発想、原理及び方法に従い相対的重要性や仮想展望を表示させた例である。この図では、相対的重要性や仮想展望が、図12Eに基づき説明した通り、作品10によくある叙述節12Aの連なりとの関わりで示されている。
その次の図14Cに模式的に示す通り、こうした仮想展望243の空間では、叙述情報ファイル12C・叙述節12A間に存しうる様々な関係を表示乃至提示することができる。システムの使用者等は、それを受け、そうした要素や関係を操作することができる。
図14A及び図14Bを参照して説明した通り、極座標原点から叙述対象の位置までの距離でその叙述対象の相対的重要性を表すことができる。座標原点の近くにある叙述対象はその相対的重要性が高い。また、この例では、個々の叙述対象の絶対的重要性が、その叙述対象を表すアイコンやシンボルの大きさで表されている。叙述情報ファイル12C・在原点叙述節12AO間関係も、ファイル12C・節12AO間を結ぶ線の種類の違いを示す画像で表されている。具体的には、ファイル12C・人物間の直接的な関係が実線、ファイル12C・人物間の間接的な関係例えば影響は及ぼすが相互関係はない人物に係る関係が破線、ファイル12C乃至16B・場所間の関係が二重線で表されている。更に、叙述対象間を結ぶ線の太さで関係の強さや性質、例えばその関係の全体的且つ相対的重要性、結び付きの種類等を表すこともできる。コンピュータインタフェース分野で広く使用されているその方法や表現を使用し、コンピュータ画面上に表示されている情報をルーチン的に修正していくこともできる。
図14Fに、レーダビューたる図12E及び図14A〜図14Eに示した仮想展望243の情報がどのように画面表示されるかを示す。この例では、仮想展望243の案内に役立つ常套的な操作子279、具体的には上下左右操作子280や内外操作子281が表示されている。叙述情報ファイル群における方向付けに役立つ案内情報、具体的にはレーダビューマップ282も、その方向付けに役立つ象徴的表現、例えば叙述情報ファイルを示す表示同士の関係を示唆する可視表現を用い表示されている。距離、高度及びベクトル方向といった座標283も表示されている。ポップアップ表示284の形態で、絶対的重要性を暗喩的に示すサイズ指標や、相対的重要性を暗喩的に示す対看者距離指標や、局所的、個人的、一般的、象徴的等の叙述情報ファイル種別情報が表示されている。場合によっては、ポップアップ表示284にその叙述情報ファイルの価格、販売者、販売者とのつながり、使用条件等といった情報が組み込まれることもある。なお、ここでいうポップアップ表示284とは、ある条件が満たされるまでの間、意に沿わなくてもディスプレイ画面上に現れ続ける表示のことである。従来から、ポップアップ表示は媒体上の叙述対象例えば広告や商品カタログの提示を目的として使用されているが、本実施形態の様な目的で行うようにすれば、他の動作が済み関連する条件が満たされるまで、例えば必要な情報が入力されるまで、次の処理ステップへの移行等の操作を抑えておくことができる。
媒体上の叙述対象を複数個、同じ個所に交番的に表示させることで、それら叙述対象間の区別を示すこともできる。例えば、同じベクトル上にある、同じ大きさである、同じ距離である等、共通する特性を有する複数個の叙述対象を共存的に表示させる場合である。こうした場合、同じ個所での交番表示が行われるのは、それらの叙述対象のうちいずれかが選択されるまでである。具体的には、マウスクリック、音声コマンド、キー押下等の入力選択でいずれかの叙述対象が選択されたらカーソル表示を反転させ、それ以後の叙述対象交番表示を停止させる。世間でよく用いられているシフトアンドクリック等の操作で、複数枚の画像等、条件を満たしている叙述対象を、順不同で選択することもできる。叙述対象の表示を時間的に交番させることに加え、時空間的に交番させることもできる。
また、図14Fに示したのは、高度=45に位置する極座標図の中央にある叙述節(即ち距離=0)から方向=220のベクトルに沿って叙述情報ファイル12Cを眺めた場合に、そのファイル220がどのように見えるかを示す例である。こうした二次元的ユーザインタフェースに代え、三次元的ユーザインタフェースを用いることもできる。三次元的ユーザインタフェースでは高度座標も提供される。眺める先のファイル12C乃至16Bと看者との間に別のファイル12C乃至16Bがあっても、前者のコンテンツのうち後者で遮られている分を補償できるようにするためである。更に、ファイル12C及び16Bに保存されている画像を看者が鳥瞰できるよう高度座標を制御することで、ファイル12C及び16Bに保存されている画像全体を、仮想展望243に沿いより鮮明に看者に見せることができる。付随するズーム制御機能を使用しより詳細にその画像を調べることもできる。拡縮操作子285を使用することで、使用者は、画像を画面いっぱいに拡大させることや、前掲の図の如くアイコンレベルまで縮小させることができる。同様に、透明度操作子286を使用することで、使用者は、見たいものの手前にあり邪魔になっている画像を透視することができる。
使用者は、また、操作子287を用い視野の広さを調整することで、問題に関わるファイル12C及び16Bの個数を増減させることができる。図14Aを参照して説明した通り、視野の広さを変えると図示例の表示は双曲線空間での表示となる。また、倍率を高めながら視野を狭めると、仮想展望上で互いに同じ場所を占めるように見えていた複数個の叙述対象が、互いに別の場所を占めるように見えてくる。
更に、仮想展望243を用い表したファイル12C及び16Bの相対位置が指示子289付の対数スケール288で表され、そのスケール288上に存する線状の指示子289の長さで仮想的な距離と共に水平方向の変位が表されているので、それらを利用し、ファイル12C及び16Bのより精細な相対位置を読み取ることができる。
また、媒体コンテンツ種別指示子290を参照することで、見た目には時変的コンテンツであることがわかりにくいコンテンツでも、そのコンテンツが音声、動画等の時変的コンテンツであることを明察することができる。図14B〜図14Dに示した矢印277付の線を、ここでも、視覚的な関係指示子として参照することができる。
そして、ホーム操作子292を操作することで、設定をデフォルトの状態及び視点にリセットすることができる。これを、コンピュータ用オペレーティングシステムの使用者にとり自明な種々の機能、例えばバックトラックコマンド、操作子カスタマイズ、画像移動・画像操作等と併せ活用することで、このインタフェースの使用者は、ファイル12C及び16Bの重要性に対するシステム評価を正すことができる。
図22Aに、仮想展望の利用に適する操作子付GUIの別例を示す。これらを使用することで、仮想風景の表示やその表示を用いた案内を好適に実行することができる。
これらの操作子は、どの叙述対象を選定しどの叙述対象を表示させるかを管理する手段である。図示例のように摺動操作子状であれば、それを使用し、個人的重要性ベクトル249に沿った線上である一点、ある長さの区画等を選定することができる。図示例における摺動操作子は対数スケール288沿いに表示されており、もたらされる仮想展望をその操作で直に変化させることができる。それらのうち相対的重要性の程度を指し示す第1の摺動操作子700はグレー、スケール288に沿い相対的重要性の上限を指し示す第2の摺動操作子710はブラック、同じスケール288に沿い相対的重要性の下限を指し示す第3の摺動操作子720はホワイトで表示される。第1の摺動操作子たる相対的重要性摺動操作子700は、付される数字が昇順か降順かを問わず、その最強値(ここでは100)から最弱値(ここでは0)に至る範囲内で相対的重要性を例えば73等と指し示すことができるものであれば、どのような物差しによるものでもよい。範囲ロック操作子730は例えばグリーンの発光ボタンとして表示される。制御動作が行われているときには、摺動操作子710、720及び730で指定した範囲全体が画面上に表示される。
図22Bに、相対的重要性ではなく絶対的重要性に基づき叙述対象を表示・選定する操作を示す。この図に示す操作子には、絶対的重要性の表示対象に関し上限を設定できるように上限操作領域740が付加されており、またどのような上限が設定されているのかを指し示す上限表示領域750が付加されている。これに対応し、同様の下限操作領域760及び下限表示領域770も付加されている。領域750及び770で使用する指標は任意に定めることができる。0〜10、0〜100等、使用可能な領域を指し示しうるものであればよい。図示例で使用している指標は0〜10の範囲を値域としているので、上限を10より低い値に設定することで、大きすぎる叙述対象があればそれを除外することができる。更に、その上限近くの高い値に下限を設定することで、叙述対象のうち大きめのもののみを表示させ小さめのものを省くことができる。
図22Cに、範囲ロック操作子730の使用で生じうる効果を示す。図示通り操作子730を設定すると、対数スケール288沿いの可読範囲が0〜100から0〜55に狭まる。それと共に、上限を指し示す摺動操作子710及び下限を指し示す摺動操作子720の表示位置が、その狭められた可読範囲の端部へと移動し、また叙述対象を示す画像が、その可読範囲内の対応する個所に移動する。
図23Aに、図22A〜図22Cに示したものと同様のレーダビューマップ282を用い叙述対象を選択し表示させる操作を示す。この例では、表示されている要素上にカーソルCを位置決めすると、システムがそれに反応してグラフィカルツール780を表示させるので、位置決め先の要素例えば円273の周を操作することができる。即ち、使用者がカーソルCを円273のうち最外周のものの上に置くと、同心をなす円273の位置及び個数に基づき、個人的、局所的乃至一般的重要性が備わる広い領域や、個人的重要性ベクトルに沿った相対的重要性の度合いが、使用者の望み通りに特定されることとなる。より具体的には、円273の直径やその内側における円間隔785が増減するよう、図22Bに示したスケール操作等によって円273を内側又は外側に動かすことができる。重要性ベクトル沿いに表示される画像の個数が増減するよう、円273の中心を移動させることもできる。
図23Bに、最外周の円273上に置いたカーソルCを動かし、円273の周を以前の周790から新たな周に変化させて円間隔785を拡げる操作を示す。この操作により、システム側でそれまであまり重要でないと見なしていた要素が、新たに画面上に表示されるようになる。
図23Cに、グラフィカルツール795を用い視点を変える操作を示す。視点の変更には、視点の原点となるべき叙述節12AをカーソルCで指定し、キー押下、マウスクリック又はそれに類する操作を行えばよい。なお、この図では十字状のツール795が使用されているが、それ以外のグラフィカルな指示子を用いることもできる。
図23Dに、使用者によるカーソルCの移動に応じ叙述節のコピー797を仮想展望空間内の別の位置に動かす操作を示す。こうして仮想風景内の別の場所にコピー797を動かすことで、例えば、実際の節12Aに対する叙述対象のリンクや相対的関係を保持しつつ、日付に関し別の視点を導入することができる。この移動は、脈絡を別の視点から眺めてより正しく理解するのに役立つことがある。
そして、図24に、仮想風景を生成すべく移動・選択が行われているGUIを示す。まず、このGUI上では移動が動線800によって表示される。動線800は便利なものであり、その線800と叙述対象やそのアイコンのどちらが手前にあるのかを見ることで、ファイル12C乃至16B間の遠近関係を知ることができる。次いで、上から降るように移動してきた叙述対象又はそのアイコン810にカーソルCを重ね、マウスクリック、キー押下等の選択操作を行うと、その叙述対象が選択されるとともに、その選択が行われたことを示す指示子例えば鍵アイコン820が表示される。その鍵アイコン820は、少なくともその叙述対象に係るファイル12C乃至16Bがこの仮想風景に統合されるまでは表示され続ける。なお、この例では、仮想風景平面に対する視点高度座標283の値が小さいため、叙述対象やそのアイコンが互いに重なり合いやすくなっており、また対数スケール288の長さが短くなっている。
移動及び選択で仮想風景を生成する処理に関し理解すべき点としては、更に、仮想展望空間での移動という考え方が、作品10の構成要素に備わる相対的重要性を表示させる上で重要な特徴である、という点がある。これは、視点からの距離及びベクトル方向が有意な座標値であるため、作品10の構成要素に備わる相対的重要性やその構成要素の分類を変化させたときに生じる移動が、その土台となっている情報の変化を反映したかたちで表示される、ということである。例えば、新たな情報が得られた結果、システム側で算出される相対的重要性の程度に変化が生じると、その結果に応じ叙述対象かそのアイコンが動かされ、それらの間の遠近関係が変化する。
二次元表示の場合、例えば、そうした叙述対象乃至アイコンを画面表示に徐々に組み込ませるようにする。雨だれのように上から降らせるとよい。降ってきた叙述対象乃至アイコンは、使用者がその意義を認めるであろう鉛直方向位置、即ちその叙述対象に備わるある特定の側面を表現しうる位置で停止させる。仮に、鉛直ベクトルを用いその叙述対象に備わる有意な側面を表し、極座標ベクトルに対し東西南北の各方向を割り当てたとすると、一般に無矛盾とされているユークリッド規約によれば、その鉛直ベクトルによって叙述節12Aの視点に対する高度乃至深度が示されることとなろう。こうした表示であれば、ファイル12C乃至16Bをオンザフライ的に選択することが可能である。例えば、ファイル12C乃至16Bを表す画像やアイコンが降ってきたときそれをクリックすることで、そのファイル12C乃至16Bを仮想風景への組入対象として選択することができる。クリックされなかった画像乃至アイコンは床を突き抜けるかのように画面から消えていき、それに係るファイル12C乃至16Bは選択されないままとなる。また、これとは逆の効果をデフォルト設定しておくこともできる。即ち、クリックにより選択されるまでは、ファイル12C乃至16Bの表示を画面の下縁上に残しておく、といった設定である。
ファイル12C乃至16Bを示す画像乃至アイコンを上から降らせる際、下降速度、下降速度変化率、下降経路等を変化させてその動きに角度や揺らぎを持たせることもできる。その動き方で、ファイル12C乃至16B内コンテンツに備わる特性を好適に表現することができる。
これらの動かし方は、三次元表示にも同等に適用することができる。その際、叙述対象やそのアイコンが配置される仮想空間が特定の面に固定されないので、より多数の擬似空間ベクトルを使用し叙述対象を組織化することができる。また、三次元表示では叙述対象やそのアイコンの集まりで一種の雲が形成され、その雲のなかを視点が浮遊することとなる。その雲のなかでは、叙述対象やそのアイコンが単層的周回運動、複層的周回運動等の相対運動を呈する。
また、視点も移動させることができる。例えば、使用者が指定した速度で回転させることができる。視点を移動させると全ての叙述対象が見かけ上移動するので、時間をかけて様々なベクトル沿いに様々な叙述対象乃至アイコンを観察することができる。
そして、叙述対象を表す画像乃至アイコン自体に動的側面を持たせること、例えば何か特定の運動をさせることもできる。振動させてもよいし、自転や公転をさせてもよい。幾本かの軸に沿い屈曲運動させてもよい。手や足を振る、唇を動かす等、その一部が動いて見えるようにアニメーションを加えてもよい。形状、色調、強度、彩度、透明度等、質的に変化させてもよい。
図25に、仮想展望243からある叙述節12Aを巡り仮想展望362へと別の叙述節12Aに基づき移動させる際に使用されるGUIを示す。その節表示部850には、鉄道に沿いに幾つかの駅舎が並ぶのと同様の形態で、粗筋12P沿いに複数個の節12Aが順に表示されている。また、この表示部850には、現在どの節12Aに係る仮想風景が表示されているのかを指し示す現在節指示子860や、次にどの節12Aに係る仮想風景が表示されのかを指し示すプリビュー節指示子870も表示されている。
こうした節表示部850による表示は案内に役立つものである。この例では、更に、単純に次節へ移動させるための操作子880や前節に移動させるための操作子890のほか、叙述節12Aを見つけるための操作子も追加されている。例えば、操作子870でプリビュー節を指定すると、或いは現在節指示子860及び操作子870の双方で同一の節12Aを指定すると、その節12Aに関する基本的な情報が表示されることとなる。また、仮想風景が上述の如くその核心をなす節12Aを中心にして構築される。図中のウィンドウ900には、現在核心となっている節12Aやその節12Aに係るファイル12C乃至16Bであって他媒体上に存するものが表示される。同様に、図中のウィンドウ910にはその節12Aを構成するテキスト情報、ウィンドウ920には音楽情報が表示される。ウィンドウ930には、表示乃至プリビューしようとしている節12Aを示す画像乃至アイコンが表示される。これら、テキスト情報や音楽情報をプリビューするためのウィンドウは更に増やすことができる。台本を表示するウィンドウを設けることもできる。素材種別毎のウィンドウ個数に理論的限界はないので、核心となっている節12Aに関し、テキスト用、画像用、音声用、台本用等のウィンドウを各複数個設けることもできる。その形態としては、Macromedia(登録商標)Director(商標)と同様の形態を使用することができる。
また、指示乃至指定先を別の叙述節12Aへと変更中であることを、表示させることも表示させないようにすることも可能である。前者の場合、指示乃至指定先が瞬間的に変化することとなる。後者の場合、新たな叙述対象が視野内に下降する一方で適切でなくなった叙述対象が視野外に下降する。例えば、前者がフェードインする一方で後者がフェードアウトする。更に、指示乃至指定される節12Aの変更を、急峻な動きを伴う形態で表示させてもよいし、ファイル12C乃至16Bの位置が連続的に補間される形態で表示させてもよい。
同様に、レーダビュー表示においては、要に位置する視点を示す叙述節12Aをその表示の中央に留めつつ、その周りにある諸叙述対象のうち、使用者が注意を払っている叙述節12Aにリンクしているものを視野に流入乃至フェードインさせ、リンクしていないものをその視野からフェードアウトさせることができる。移動先の節を前節や次節とすることも、現在の叙述線から分かれた叙述線上にある節とすることもできる。特定の節からその視点を見たとき中間にある節をスキップする選択肢を設けることもできる。
また、GUIを用いた視点の移動先を叙述対象の内部とし、その叙述対象の内部構成要素例えば一区画を表示させることもできる。内部構成要素といえるのは、その叙述対象が静止画や動画なら特定人物、場所、物体等の画像であり、文書通信や音声通話なら特定の一節、段落、文章、言い回し等であり、楽曲ならその旋律、楽章等である。叙述対象それ自体が書籍、映画、音楽作品等のように叙述構造14Aを有するものである場合や、現在の検索・表示条件に関し同等な価値を有する叙述対象の集まりである場合には、互いに等価な構成要素の配列もその叙述対象の内部構成要素に該当しうる。
そして、叙述節12A・ファイル12C及び16B間リンクをディスプレイに表示させることや、節12Aやファイル12C乃至16Bのうちカーソルで指定されたものについての情報をポップアップボックス内に表示させることもできる。同様に、対応する画像乃至アイコンの外観を変化させることで、節12A又はファイル12C乃至16Bについての情報を届けることもできる。例えば、その画像乃至アイコンの色変化、歪み、移動、画像乃至音声特性例えば色調、彩度乃至強度等を変化させればよい。

Claims (16)

  1. ディスプレイ上に情報を表示させる方法であって、
    情報提供先となる受信者を特定するステップと、
    その受信者にとり相対的重要性がある第1の情報を保存媒体から取得するステップと、
    当該受信者にとり相対的重要性があり且つその相対的重要性が第1の情報に備わるそれとは異なる第2の情報を保存媒体から取得するステップと、
    その受信者が少なくとも第1及び第2の情報を眺めるであろう視点を特定するステップと、
    少なくとも第1の情報の相対的重要性に基づき当該第1の情報に係る視点からの距離たる第1の距離を求めるステップと、
    少なくとも第2の情報の相対的重要性に基づき当該第2の情報に係る視点からの距離たる第2の距離を求めるステップと、
    第1及び第2の距離が反映される形態で第1及び第2の情報をディスプレイ上に表示させるステップと、
    を有する方法。
  2. 請求項1記載の方法であって、節を特定しその節に係る叙述情報に基づき第1及び第2の情報の相対的重要性を求めるステップを有する方法。
  3. 請求項1記載の方法であって、表示させる情報をある節の情報から別節の情報へと遷移させる際に後者の節を特定して遷移情報を表示させるステップを有する方法。
  4. 請求項3記載の方法であって、その遷移情報が遷移先の節に係る脈絡情報を含む方法。
  5. ディスプレイに可視表示させるための作品を構築する方法及びシステムで実行され、
    複数個の叙述節、それに叙述情報として関連付けるべき情報、並びに保存媒体上にありその情報が保存されている1個又は複数個の叙述情報ファイルを特定するステップと、
    1個又は複数個の叙述節に相応の叙述情報をリンクさせることで、その作品に関する適切な主題をその叙述節に関連付けるステップと、
    それら叙述節を相応の順序で並べることでその作品に相応しい組織的構造を発生させるステップと、
    その作品を受信者用のディスプレイに表示させるステップと、
    を有する方法。
  6. 請求項5記載の方法であって、個々のリンクの機能状態を、少なくともアクティブ状態及び非アクティブ状態を含む複数通りの機能状態間で且つ使用者又は受信者の意向に応じ変化させるステップを有する方法。
  7. 請求項6記載の方法であって、使用者又は受信者からの指示に従い少なくとも1個の叙述情報ファイルを叙述節にリンクさせるステップと、その叙述情報ファイル内の情報から見てその使用者又は受信者に対し重要性を呈しそうな別の叙述情報ファイルに対するリンクをシステム側で1個又は複数個付加するステップと、を有する方法。
  8. 請求項7記載の方法であって、叙述情報ファイルが作品に対し呈する相対的重要性を指定された展望とその作品に体現されている叙述との関係に従い求めるステップと、作品を構成する叙述情報ファイル内の情報をその相対的重要性に従い並べるステップと、を有する方法。
  9. ディスプレイに表示させるための作品を生成する方法及びシステムで実行され、
    作品に含めるべき叙述情報を1個又は複数個特定するステップと、
    保存場所及びデータファイルのうち一方又は双方からその叙述情報を取得するステップと、
    取得した叙述情報を所定の条件に従いフィルタリングすることでその叙述情報からその作品に備わるべき枠組みに合致する範囲内のものを抽出するステップと、
    その作品の枠組みを規定する他の複数個の叙述節と共に順番に並んでいる叙述節のうち1個又は複数個にその叙述情報を関連付けることで当該相応範囲内の叙述情報をその作品に組み込むステップと、
    を有する方法。
  10. 請求項9記載の方法であって、取得した叙述情報をフィルタリングするステップが、制作者が叙述情報若しくはその一部を選定する手動状態又はそのシステムに組み込まれている所定の条件に従いシステム側で相応の叙述コンテンツを選定する自動状態を有する方法。
  11. 請求項10記載の方法であって、自動状態ではシステム側でルールベース法又はランダム法に則り相応の叙述情報を選定する方法。
  12. 請求項9記載の方法であって、選定された叙述情報の一部を捉える第1の視野及び当該叙述情報の他の一部を捉える第2の視野を定めるステップを有する方法。
  13. 請求項12記載の方法であって、叙述情報のうち第1の視野で捉えられる部分と第2の視野で捉えられる部分とが全く別の部分である方法。
  14. 請求項12記載の方法であって、叙述情報のうち第1の視野で捉えられる部分と第2の視野で捉えられる部分とが一部又は全部重複する方法。
  15. 請求項9記載の方法であって、第1の視野を定めるステップと、選定された叙述情報が収まるよう第1の視野のサイズを変化させる操作子を提供するステップと、を有する方法。
  16. 請求項14記載の方法であって、選定された叙述情報のうち第1及び第2の視野で共通して捉えられる部分に対し割り当てられる視覚的な重要性が第1の視野と第2の視野とで異なる方法。
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