JP2012508177A - 尿および組換えチャイニーズハムスター卵巣(cho)細胞から濃縮された好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(ngal)タンパク質アイソフォーム、ならびに関連する組成物、抗体、ならびに濃縮、分析および使用の方法 - Google Patents

尿および組換えチャイニーズハムスター卵巣(cho)細胞から濃縮された好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(ngal)タンパク質アイソフォーム、ならびに関連する組成物、抗体、ならびに濃縮、分析および使用の方法 Download PDF

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Abstract

尿から濃縮された好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)を含む組成物は、約24.9kDaから約25.9kDaの分子量を有し、約5.9から約9.1の範囲にわたる等電点(pI)を有する複数のアイソフォームを含み、組換えチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から濃縮されたNGALを含む組成物は、約25.9kDaから約27.9kDaの分子量を有し、約5.6から約9.1の範囲にわたるpIを有する複数のアイソフォームを含み、NGALの複数のアイソフォームを含む組成物を尿から得る方法は、電荷に基づいて分子を分離することなく尿中のNGALを濃縮することを含み、NGALの複数のアイソフォームを含む組成物を組換えCHO細胞から得る方法は、電荷に基づいて分子を分離することなく組成物中のNGALを濃縮することを含み、ならびに尿または組換えCHO細胞から濃縮されたNGALアイソフォームを分析する方法は、二次元電気泳動およびウエスタンブロットによってNGALアイソフォームを含む濃縮された組成物を分析することを含む。

Description

本開示は、とりわけ、尿中のおよびNGALを組換え産生するCHO細胞から得られた濃縮組成物中のNGALのアイソフォーム、NGALの1つ以上のアイソフォームを含む組成物、抗NGAL抗体、電荷に基づいて分子を分離することなくNGALアイソフォームを濃縮する方法、NGALアイソフォームを分析する方法、NGALの1つ以上のアイソフォームについて試験試料をアッセイする方法、ならびに予防的/治療的処置の方法に関する。
リポカリンは、細菌からヒトまで様々な生物において見出される細胞外リガンド結合タンパク質のファミリーである。リポカリンは、疎水性低分子の結合および輸送、栄養素の輸送、細胞成長の制御、ならびに免疫応答、炎症およびプロスタグランジン合成の調節等、多くの異なる機能を有する。更に、幾つかのリポカリンはまた、細胞制御プロセスにも関与しており、様々な疾患状況における診断および予測のマーカーとしての役割を果たす。例えば、α糖タンパク質の血漿レベルは、妊娠中に、ならびに癌(例えば、化学療法により処置される癌)、腎機能不全、心筋梗塞、関節炎および多発性硬化症等の状態の診断および予測においてモニタされる。
好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)は、ヒト好中球リポカリン(HNL)、N−ホルミルペプチド結合タンパク質および25kDa α2−ミクログロブリン関連タンパク質としても知られており、モノマーとして、ホモダイマーとしてまたはゼラチナーゼBやマトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)等のタンパク質とのヘテロダイマーとして存在し得る24kDaタンパク質である。また、NGALの三量体形態も同定されている。NGALは、活性化されたヒト好中球の特異顆粒から分泌される。相同タンパク質が、マウス(24p3/ウテロカリン)およびラット(α2−ミクログロブリン関連タンパク質/ν関連リポカリン)において同定されている。構造的データは、NGALがリポカインの特性である8本鎖のβバレル構造を有することを裏付けたが、NGALは、リポカリン中に通常見られるより極性が高く、正に帯電したアミノ酸残基に沿って並んでいる異常に大きな空洞を有する。NGALは、細菌由来リポ多糖およびホルミルペプチド等の小さな親油性物質と結合すると考えられ、炎症のモジュレータとして機能する可能性がある。
NGALは、急性腎傷害または腎疾患に対する早期マーカーである。活性化されたヒト好中球の特異顆粒によって分泌される他に、NGALは、尿細管上皮の損傷に応答してネフロンによっても産生され、尿細管間質性(TI)傷害のマーカーである。NGALレベルは、軽度の「無症候性」腎虚血の後でさえ、虚血または腎毒性由来の急性尿細管壊死(ATN)において上昇する。更に、NGALは、慢性腎疾患(CKD)および急性腎傷害((AKI)、例えば、Devarajanら、Amer.J.Kidney Diseases 52(3);395−399(2008年9月)およびBolignanoら、Amer.J.Kidney Diseases 52(3):595−605(2008年9月)を参照されたい)の場合に腎臓によって発現することが知られている。上昇した尿のNGALレベルは、進行性の腎不全の指標として示唆されている。NGALは、動物およびヒトの両モデルにおいて虚血傷害または腎毒性傷害の後の極めて早期に尿細管によって顕著に発現することが以前に示されている。NGALは、NGALが容易に検出および測定され得る尿中に迅速に分泌され、虚血傷害の他の任意の知られている尿マーカーまたは血清マーカーの出現に先行する。このタンパク質はプロテアーゼに対して耐性であり、このことは、このタンパク質が尿細管中のNGAL発現の忠実なマーカーとして尿において回収され得ることを示唆する。更に、例えば、血液から濾過された腎臓の外側に由来するNGALは、尿中に出現するのではなく、近位尿細管によって定量的に吸収される。NGALはまた、感染症に伴うもの等の炎症を含む、多くのその他の疾患(例えば、Xuら、Biochim.et Biophys.Acta1482:298−307(2000)を参照されたい)、障害および状態の診断および/または予測におけるマーカーである。NGALは、とりわけ、過敏性腸症候群(例えば、米国特許出願公開第2008/0166719号および米国特許出願公開第2008/0085524号を参照されたい)、腎障害、腎疾患および腎傷害(例えば、米国特許出願公開第2008/0090304号、米国特許出願公開第2008/0014644号、米国特許出願公開第2008/0014604号、米国特許出願公開第2007/0254370号および米国特許出願公開第2007/0037232号を参照されたい)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、重症の敗血症、敗血症性ショックおよび多臓器不全症候群(MODS)(例えば、米国特許出願公開第2008/0050832号および米国特許出願公開第2007/0092911号を参照、また、米国特許第6,136,526号も参照されたい)、歯周疾患(例えば、米国特許第5,866,432号を参照されたい)および静脈血栓塞栓性疾患(例えば、米国特許出願公開第2007/0269836号を参照されたい)に対するマーカーである。その遊離型、非複合体型形態において、NGALは、卵巣癌、浸潤性および非浸潤性乳癌、ならびに乳癌の主要なリスク因子である異型乳管過形成に対するマーカーである(例えば、米国特許出願公開第2007/0196876号を参照、また、癌の増殖状況を評価することに関して、米国特許第5,627,034号および米国特許第5,846,739号も参照されたい)。NGALはまた、結腸癌(Nielsenら、Gut 38:414−420(1996))、膵癌(Furutaniら、Cancer Lett.122:209−214(1998))および食道癌(例えば、Zhangら、J.Clin.Pathol.(2006)を参照されたい)に対するマーカーでもある。また、NGALは、MMP−9と複合体を形成する場合、組織再造に関連する状態に対するマーカーでもある(例えば、米国特許出願公開第2007/0105166号および米国特許第7,153,660号を参照されたい)。また、高レベルのNGAL(例えば、約350μg/L(Xuら、Scand.J.Clin.Lab.Invest.55:125−131(1995))は、ウイルス感染症と対立するものとして、細菌感染症の指標となることもできる(例えば、米国特許出願公開第2004/0115728号を参照されたい)。
米国特許出願公開第2008/0166719号明細書 米国特許出願公開第2008/0085524号明細書 米国特許出願公開第2008/0090304号明細書 米国特許出願公開第2008/0014644号明細書 米国特許出願公開第2008/0014604号明細書 米国特許出願公開第2007/0254370号明細書 米国特許出願公開第2007/0037232号明細書 米国特許出願公開第2008/0050832号明細書 米国特許出願公開第2007/0092911号明細書 米国特許第6,136,526号明細書 米国特許第5,866,432号明細書 米国特許出願公開第2007/0269836号明細書 米国特許出願公開第2007/0196876号明細書 米国特許第5,627,034号明細書 米国特許第5,846,739号明細書 米国特許出願公開第2007/0105166号明細書 米国特許第7,153,660号明細書 米国特許出願公開第2004/0115728号明細書
Devarajanら、Amer.J.Kidney Diseases 52(3);395−399(2008年9月) Bolignanoら、Amer.J.Kidney Diseases 52(3):595−605(2008年9月) Xuら、Biochim.et Biophys.Acta 1482:298−307(2000) Nielsenら、Gut 38:414−420(1996) Furutaniら、Cancer Lett.122:209−214(1998) Zhangら、J.Clin.Pathol.(2006) Xuら、Scand.J.Clin.Lab.Invest.55:125−131(1995)
NGALを検出するための様々なイムノアッセイが当技術分野において知られている。かかるイムノアッセイを用いて、例えば、上記において考察されたもの等の所与の状態、疾患または障害の予防的/治療的処置の有効性を診断、予測および/または評価することができる。しかし、本開示まで、NGALの異なるアイソフォームが尿中に存在することが理解されてこなかった。また、NGALの複数のアイソフォームがNGALを組換え発現するCHO細胞から濃縮され得ることも理解されてこなかった。本開示は、NGALの複数のアイソフォームを含む組成物を提供しようとするものであり、かかる組成物を尿および組換えCHO細胞から得る方法、尿および組換えCHO細胞から濃縮されたNGALアイソフォームを分析する方法を提供しようとするものである。本開示の更なる目的ならびに利点および発明の特徴は、本明細書において提供される発明を実施するための形態から明らかになる。
要旨
尿から濃縮された好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)を含む組成物が提供される。NGALは、約24.9kDaから約25.9kDaの分子量を有し、約5.9から約9.1の範囲にわたる等電点(pI)を有する複数のアイソフォームを含む。
また、NGALを組換え産生するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から得られた組成物から濃縮されたNGALを含む組成物も提供される。NGALは、(a)酸性化、ならびに(b)エタノールおよび酢酸亜鉛による抽出、ならびに(c)電荷に基づいた分子の分離を行わない限外濾過バッファー交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または硫安沈殿によって濃縮された。NGALは、約25.9kDaから約27.9kDaの分子量を有し、約5.6から約9.1の範囲にわたるpIを有する複数のアイソフォームを含む。
更に、NGALの複数のアイソフォームを含む組成物を尿から得る方法が提供される。この方法は、電荷に基づいて分子を分離することなく尿中のNGALを濃縮することを含む。
また更に、NGALを組換え産生するCHO細胞からNGALの複数のアイソフォームを含む組成物を得る方法が提供される。この方法は、組成物を酸性化すること、ならびにエタノールおよび酢酸亜鉛により組成物を抽出することによって、電荷に基づいて分子を分離することなくNGALを組換え産生するCHO細胞から得られた組成物中のNGALを濃縮することを含む。
尿から濃縮されたNGALアイソフォームを分析する方法が提供される。この方法は、二次元電気泳動およびウエスタンブロットによって尿から濃縮されたNGALアイソフォームを含む組成物を分析することを含む。
また、NGALを組換え産生するCHO細胞から濃縮されたNGALアイソフォームを分析する方法も提供される。この方法は、二次元電気泳動およびウエスタンブロットによってNGALを組換え産生するCHO細胞から濃縮されたNGALアイソフォームを含む組成物を分析することを含む。
詳細な記述
本開示は、ヒト尿および(NGALを組換え産生する)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における類似の好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)アイソフォームの驚くべき予想外の発見に少なくとも部分的に基づく。6.7から8.9の範囲にわたるpIを有するNGALアイソフォームは、中枢神経系由来の培養星状細胞の培地において見出されたが(例えば、Lafon−Cazolら、J.Biol.Chem.278(27):24438−24448(2003)を参照されたい)、尿および(NGALを組換え産生する)組換えCHO細胞におけるNGALアイソフォームの存在についてのはっきりとした先行する報告はない。急性腎傷害および慢性腎疾患を有する患者の尿から単離された腎臓NGALについて6.9、8.2および8.8−9.2のpI値が以前に報告されている(例えば、PCT国際出願第WO2007/047458号、段落0068を参照されたい)。
定義
(a)「好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)」は、ヒト好中球リポカリン(HNL)、N−ホルミルペプチド結合タンパク質および25kDa α2−ミクログロブリン関連タンパク質としても知られており、モノマーとして、ホモダイマーとしてまたはゼラチナーゼまたはマトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)等のタンパク質とのヘテロダイマーとして存在し得る24kDaタンパク質である。例示的なアミノ酸配列については、例えば、Kjeldsenら、J.Biol.Chem.268(14):15 10425−10432(1993)を参照されたい。シグナルペプチドは存在してもしなくてもよいが、一般に、存在する場合、シグナルペプチドはアミノ酸1−20を含む。故に、本明細書において、全てのアミノ酸配列は、存在するシグナルペプチドと共にN末端からC末端まで番号付与される。シグナルペプチドが存在しない場合、最初のアミノ酸は21と番号付与される。
NGALポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、例えば、Genbank受託番号Genpept CAA58127(配列番号1)、AAB26529、XP_862322、XP_548441、P80108、P11672、X83006.1、X99133.1、CAA67574.1、BC033089.1、AAH33089.1、S75256.1、AD14168.1、JC2339、1DFVA、1DFVB、1L6MA、1L6MB、1L6MC、1NGLA、1QQSA、1X71A、1X71B、1X71C、1X89A、1X89B、1X89C、1X8UA、1X8UBおよび1X8UCとして記載されているものを含む任意のNGAL配列であり得る。NGALポリヌクレオチドおよびポリペプチド(例えば、ポリアミノ酸)配列は、天然に見出されるもの、天然に見出された配列に基づくもの、単離されたもの、合成のもの、半合成のもの、組換えのものまたはその他である。一実施形態において、NGALは、ヒトNGAL(「hNGAL」としても知られている)である。NGALポリペプチド配列は、成熟ヒトNGAL配列(典型的には天然に見出される20残基のアミノ酸シグナルペプチドを含まない、および/または他のあらゆるシグナルペプチド配列を差し引いた配列)であり得る。シグナルペプチドが存在する場合、それは、例えば、残基1から20として番号付与され、同様の番号付与が、コードポリヌクレオチド配列について適用される。
同様に、NGALのN末端における開始Met残基は、原核生物(例えば、E.コリ(E.coli))において産生されたNGALまたは(半合成を含む)合成のもしくは誘導された配列中のみに存在し、真核生物(例えば、ヒトを含む哺乳動物細胞および酵母細胞)において産生されたNGAL中には存在しない。従って、開始Met残基は、存在する場合、典型的には負の数として、例えば、残基−1としてカウントされるが、原核生物および真核生物の両バックグラウンドにおいてポリヌクレオチド配列が同じように複製および転写され、翻訳のレベルにおいて差異があるので、真核生物に対して原核生物のバックグラウンドまたは発現系においてポリヌクレオチド配列について同様の番号付与の調整は為されない。
従って、本明細書における開示は、原核生物および/または真核生物バックグラウンドにおいて存在するおよび/または産生される多数の異なるNGALポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列(例えば、結果としての、コドン認識に対する最適化を伴って)を包含する。要するに、配列は、(a)シグナルペプチド、(b)成熟NGAL配列中のN末端において存在する開始Met残基、(c)成熟NGALタンパク質より前にあるシグナルペプチドの開始点に存在する開始Met残基、および(d)当業者にとって明らかなもの等の他の変形物を保有もしくはコードしてもよく、または保有もしくはコードしなくてもよい。
例示的な配列としては、本明細書において記載されているもの、すなわち、配列番号1(シグナルペプチドを含む野生型NGALポリペプチド)、配列番号2(原核生物において産生されMet開始コドンが存在する場合にはMet開始残基の後にあり得るが、Met開始コドンが存在するかどうかにかかわらず、真核生物において産生される場合にはMet開始残基が存在しない、シグナルペプチドを1つも含まない野生型NGALポリペプチド)および配列番号3(シグナルペプチドをコードするものを含む野生型NGALポリヌクレオチド配列)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な配列としては、全て2007年10月19日に出願された米国仮出願第60/981,470号、米国仮出願第60/981,471号および米国仮出願第60/981,473号、ならびに全て2008年4月16日に出願された米国特許出願第12/104,408号(2009年7月9日に公開された、米国特許出願公開第2009/0176274号参照)、米国特許出願第12/104,410号(2009年10月29日に公開された、米国特許出願公開第2009/0269777号参照)および米国特許出願第12/104,413号(2009年5月14日に公開された、米国特許出願公開第2009/0124022号参照)(それらの各々は、上記に関するそれらの教示について参照により完全に組み込まれている。)の内のいずれか1つ以上において記載されている任意の変異配列が更に挙げられる。
(b)「NGAL断片」は、本明細書において使用される場合、成熟NGAL(例えば、ヒトNGAL)またはシグナルペプチドを含むNGALの全体より少ない部分を含むポリペプチドを指す。特に、NGAL断片は、例えば配列番号1または2の約5個から約178個までまたは約179個までの連続したアミノ酸を含む。特に、NGAL断片は、配列番号1または2の約5個から約170個までの連続したアミノ酸残基を含む。特に、NGAL断片は、配列番号1もしくは2の少なくとも約5個の連続したアミノ酸、配列番号1もしくは2の少なくとも約10個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2のアミノ酸の少なくとも約15個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約20個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約25個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2のアミノ酸の少なくとも約30個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約35個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約40個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約45個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約50個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約55個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約60個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約65個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約70個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約75個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約80個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約85個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約90個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約95個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約100個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約105個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約110個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約115個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約120個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約125個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約130の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約135個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約140個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約145個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約150個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約160個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約165個の連続したアミノ酸残基、配列番号1もしくは2の少なくとも約170個の連続したアミノ酸残基または配列番号1もしくは2の少なくとも約175個の連続したアミノ酸残基を含む。配列番号1または2に対する参照は、例示のみのためにあり、「NGAL断片」は、配列番号1および2のみに由来する断片に限定されることが意図されるものではない。
NGALの断片は、NGALの少なくとも1つの連続または非直線状エピトープを含む。かかるエピトープの厳密な境界は、当技術分野における常法に従う技術を使用して確認され得る。エピトープは、少なくとも約5個の連続したアミノ酸、例えば約10個の連続したアミノ酸、約15個の連続したアミノ酸または約20個の連続したアミノ酸を含み得る。
(c)「タンパク質アイソフォーム」は、同じ遺伝子によってコードされるがそれらの分子量(MW)および/または等電点(pI)が異なるポリペプチドの変異体を指す。タンパク質アイソフォームは、(例えば、選択的mRNAまたはmRNA前駆体プロセシング(例えば、選択的スプライシングまたは限定的タンパク質分解)の結果として)それらのアミノ酸組成が異なり得る。更にはまたは代替として、タンパク質アイソフォームは、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、アシル化、リン酸化等)が異なり得る。本明細書における「タンパク質アイソフォーム」の使用は、野生型ポリペプチド、ならびに野生型ポリペプチドおよびこれらの変異体の任意の変異体および断片を包含することが意図される。
(d)「抗体」および「複数の抗体」は、モノクローナル抗体(mAbs)、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体(完全または部分的ヒト化)、動物抗体(一態様では、トリ(例えば、カモまたはガチョウ)、別の態様では、サメ、クジラ、更に別の態様では、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウス等)および非ヒト霊長類(例えば、サル、例えば、カニクイザル、チンパンジー等)を含む哺乳動物、組換え抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(「scFv」)、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv(「sdFv」)および抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体、(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、ならびに上記のいずれかの機能的に活性なエピトープ結合断片を指す。特に、抗体としては、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片、すなわち分析物結合部位を含む分子が挙げられる。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgAおよびIgA)またはサブクラスのものであってもよい。簡素化のために、分析物に対する抗体は、しばしば「抗分析物抗体」(例えば、抗NGAL抗体)または単に「分析物抗体」(例えば、NGAL抗体)と称される。
本明細書において記載されているポリペプチドに対する抗体およびこのポリペプチドを使用してかかる抗体を作製する方法は、(上記に関するその教示に関して参照により組み込まれている)2007年10月19日に出願の米国仮特許出願第60/981,471号に記載されている。更に、例えば、イムノアッセイにおける、および/または、較正物質、対照および免疫診断剤としての、かかる抗体(およびこれらの断片)ならびにポリペプチド(およびこれらの断片)の使用は、(上記に関するその教示に関して参照により組み込まれている)2007年10月19日に出願された米国仮特許出願第60/981,473号に記載されている。
(e)「組換え抗体」および「複数の組換え抗体」は、組換え技術によって1つ以上のmAbの全てまたは一部をコードする核酸配列を適切な発現ベクター内にクローニングすること、および続いて適切な宿主細胞内において抗体を発現させることを含む1つ以上の段階によって調製された抗体を指す。この用語は、限定されないが、組換え産生されたmAb、キメラ抗体、ヒト化抗体(完全または部分的ヒト化)、抗体断片から形成された多特異的または多価構造、二価抗体および本明細書において(d)において記載されている他の抗体を包含する。
(f)「抗体断片」および「複数の抗体断片」は、抗原結合部位または可変領域を含む完全抗体の部分を指す。この部分は、完全抗体のFc領域の一定の重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じてC2、C3またはC4)を含まない。抗体断片の例としては、Fab断片、Fab’断片、Fab’−SH断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖Fv(scFv)分子、1つの軽鎖可変ドメインのみを含有する一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチド、1つの重鎖可変領域のみを含有する一本鎖ポリペプチドおよび重鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。かかる断片は、(d)で上記に更に記載されている。
(g)「特異的結合パートナー」は、特異的結合ペアのメンバーである。特異的結合ペアは、化学的手段または物理的手段を通じて互いに特異的に結合する2個の異なる分子を含む。故に、一般的なイムノアッセイの抗原および抗体特異的結合ペアの他に、他の特異的結合ペアは、ビオチンおよびアビジン(またはストレプトアビジン)、炭水化物およびレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクターおよび受容体分子、補因子および酵素、酵素および酵素阻害剤、ならびに酵素等を含むことができる。更に、特異的結合ペアは、元の特異的結合メンバーの類似体(例えば、分析物−類似体)であるメンバーを含むことができる。免疫反応性特異的結合メンバーとしては、単離されたものであっても、組換えにより作製されたものであっても、抗原、抗原断片および(モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を含む)抗体、ならびにこれらの複合体および断片が挙げられる。
(h)「エピトープ」、「複数のエピトープ」または「対象となるエピトープ」は、認識される、その特異的結合パートナー上の相補的部位(複数可)と結合することができる任意の分子上の部位(複数可)を指す。分子および特異的結合パートナーは、特異的結合対の部分である。例えば、エピトープは、ポリペプチド、タンパク質、ハプテン、炭水化物抗原(例えば、限定されないが、糖脂質、糖タンパク質もしくはリポ多糖)または多糖上に存在することができる。その特異的結合パートナーは、限定されないが、抗体であり得る。
(i)特異的結合対(例えば、抗原(またはこの断片)と抗体(または抗原に反応するこの断片))のメンバー間の相互作用に関する「特異的」および「特異性」は、相互作用の選択的反応性を指す。「特異的に結合する」という句および類似の句は、NGAL(またはこの断片)の特定のアイソフォーム等の抗原に特異的に結合し、NGAL(またはこれらの断片)の他のアイソフォーム等の他の抗原に特異的に結合しない抗体(またはこれらの抗原に反応する断片)の能力を指す。
(j)「免疫診断試薬」は、本明細書において記載されているNGALタンパク質の領域に特異的に結合する1種以上の抗体を含む。免疫診断剤は、(上記に関するその教示に関して参照により組み込まれている)2007年10月19日に出願の米国仮特許出願第60/981,473号に記載されている。
(k)「成分」および「複数の成分」は、一般に、本明細書において記載された方法および当技術分野において知られている他の方法に従って患者の尿試料のアッセイのためのキット中に含まれ得る捕捉抗体、検出抗体、較正物質、対照、感受性パネル、容器、緩衝液、希釈剤、塩、酵素、酵素用補助因子、検出試薬、前処理試薬/溶液、(例えば、溶液としての)基質、停止液等を指す。幾つかの成分は、溶液中にあってよく、またはアッセイにおける使用のために再構成するために凍結乾燥されてもよい。
(l)「試料」、「尿試料」および「患者の尿試料」は、尿の試料を参照するために本明細書において交換可能に使用され得る。試料は、患者から得られた状態のまま直接使用することができ、または本明細書において考察される何らかの方法もしくはそれ以外の場合当技術分野において知られている何らかの方法において試料の特性を改変するために、例えば、濾過、蒸留、抽出、濃縮、遠心分離、干渉成分の不活性化および試薬の添加等によって前処理することができる。
(m)「尿成分」および「複数の尿成分」は、一般に、尿において出現し得る(タンパク質、核酸、脂肪酸、細胞、細菌、ウイルス、化学化合物および薬物を包含するが、これらに限定されない)任意の生物学的または化学的成分(複数可)を指す。
(n)「対照」は、NGALを含まないことが分かっている組成物(「陰性対照」)またはNGALを含むことが分かっている組成物(「陽性対照」)を指す。陽性対照は、NGAL(またはこれらの断片)の1つ以上のアイソフォーム等、既知濃度のNGALを含むことができる。「対照」および「陽性対照」は、既知濃度のNGALを含む組成物を指すために、本明細書において交換可能に使用され得る。「陽性対照」は、アッセイの実施の特性を確立するために使用され得、試薬(例えば、分析物)の完全性の有用な指標である。
(o)「一連の較正組成物」は、NGAL(またはこれらの断片)の1つ以上のアイソフォーム等、既知濃度のNGALを含む複数種の組成物を指し、これらの組成物の各々は、NGALの濃度が一連の較正組成物における他の組成物と異なる)。各一連の較正組成物がNGALの単一の(または全てより少ない)アイソフォームのみを含有する程度まで、較正組成物の複数の一連の較正組成物、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは7つの一連の較正組成物が使用され得る。
(p)「前処置試薬」(例えば、溶解、沈殿および/または可溶化試薬)は、任意の細胞を溶解し、および/または試験試料中に存在する任意の分析物を可溶化する。更に本明細書において記載されているように、前処置は全ての試料のために必要であるというわけではない。とりわけ、分析物を可溶化することは、試料中に存在する任意の内在性結合タンパク質からの分析物の放出を伴う。前処置試薬は、均一(分離段階を必要としない)または不均一(分離段階を必要とする)であってよい。不均一前処置試薬を用いて、アッセイの次の段階へ進む前に沈殿した分析物結合タンパク質が試験試料から除去される。前処置試薬は、(a)1種以上の溶媒および塩、(b)1種以上の溶媒、塩および洗浄剤、(c)洗浄剤、(d)洗浄剤および塩、または(e)細胞溶解および/もしくは分析物の可溶化に適切な任意の試薬または試薬の組合せを必要に応じて含むことができる。また、プロテアーゼは、単独でまたは任意の他の前処置剤(例えば、溶媒、洗浄剤、塩等)と組み合わせて用いられ得る。
(q)「標識」は、抗体と分析物の間の反応を検出可能にするために抗体または分析物に結合された部分を意味する。標識は、視覚的手段または機器的手段によって検出可能なシグナルを生成することができる。各種標識は、シグナル生成物質、例えば、色素原、蛍光化合物、化学発光化合物、放射性化合物等を含む。標識の代表例としては、光を生成する部分(例えば、アクリジニウム化合物)および蛍光を生成する部分(例えば、フルオレセイン)が挙げられる。他の標識は、本明細書において記載されている。
(r)「トレーサー」は、標識にコンジュゲートした分析物または分析物断片、例えば、フルオレセイン部分にコンジュゲートしたNGALのアイソフォームを意味し、ここで標識にコンジュゲートした分析物は、分析物に特異的な抗体上の部位に対して分析物と効果的に競合することができる。
(s)「固相」は、不溶であり、または後続反応によって不溶となり得るあらゆる材料を指す。固相は、捕捉剤を誘引および固定するその固有の能力について選択され得る。代替として、固相は、これに、捕捉剤を誘引および固定する能力を有する連結剤を付着することができる。連結剤は、例えば、捕捉剤自体または捕捉剤にコンジュゲートした帯電物質に関して逆帯電した帯電物質を含むことができる。一般に、連結剤は、固相上に固定された(固相に結合した)および結合反応を通じて捕捉剤を固定する能力を有するあらゆる(好ましくは特異的な)結合パートナーであり得る。連結剤によって、アッセイの実施の前またはアッセイの実施の間に、捕捉剤が固相材料に間接的に結合することが可能になる。固相は、例えば、プラスチック、誘導体化されたプラスチック、磁性金属もしくは非磁性金属、ガラスまたはケイ素であり得、例えば、試験管、マイクロタイターウェル、シート、ビーズ、微粒子、チップおよび当業者に知られている他の構成等であり得る。
(t)「対象」および「患者」は、対象が何らかの形の処置を受けたかまたは現在受けているかにかかわりなく交換可能に用いられる。本明細書において使用される「対象」および「複数の対象」という用語は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラットおよびマウス)、非ヒト霊長類(例えば、サル、例えば、カニクイザル、チンパンジー等)およびヒトを含む哺乳動物を指す。好ましくは、対象はヒトである。
(u)「腎尿細管細胞傷害」は、多くの疾患プロセスまたは障害プロセスによって誘発され得る、突然の(急性の)または時間とともにゆっくりと減少する(慢性の)腎性または腎臓の不全または機能不全を意味する。腎尿細管細胞傷害の急性および慢性の両方の形は、生命を脅かす代謝障害をもたらし得る。
(v)「急性腎尿細管細胞傷害」は、急性虚血性腎傷害(IRI)または急性腎毒性腎傷害(NRI)を意味する。IRIとしては、虚血傷害および慢性虚血傷害、急性腎不全、急性糸球体腎炎ならびに急性尿細管間質性腎症が挙げられるが、これらに限定されない。NRI毒性としては、敗血症(感染症)、ショック、外傷、腎結石、腎臓感染症、薬物毒性、毒物毒性、毒素毒性および造影剤染料の注射から生じる毒性が挙げられるが、これらに限定されない。
(w)「慢性腎尿細管細胞傷害」、「進行性腎疾患」、「慢性腎疾患(CRD)」および「慢性腎疾患(CKD)」は、本明細書において交換可能に用いられ、突然の事象と対照的に、ある期間にわたって出現する、腎尿細管細胞機能の漸減または腎尿細管細胞傷害の増悪を引き起こすあらゆる腎臓の状態または機能不全を包含する。慢性腎疾患が継続した場合の1つのエンドポイントは「慢性腎不全(CRF)」である。例えば、本明細書において交換可能に用いられる慢性腎疾患または慢性腎傷害としては、慢性感染症、慢性炎症、糸球体腎炎、血管疾患、間質性腎炎、薬物、毒素、外傷、腎結石、長期の高血圧、糖尿病、うっ血性心不全、鎌状赤血球貧血および他の血液疾患に由来する腎症、肝炎に関連した腎症、HIV、パルボウイルスおよびBKウイルス(ヒトポリオーマウイルス)、嚢胞性腎疾患、先天性奇形、閉塞症、悪性腫瘍、判定不能の原因の腎疾患、ループス腎炎、膜性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、巣状糸球体硬化症、微小変化群、クリオグロブリン血症、抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎、ANCA陰性血管炎、アミロイドーシス、多発性骨髄腫、軽鎖沈着症、腎臓移植の合併症、腎臓移植の慢性拒絶反応、慢性同種移植腎症、ならびに免疫抑制薬の慢性的な効果によって引き起こされる状態または機能不全が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、慢性腎疾患または慢性腎傷害は、慢性腎不全または慢性糸球体腎炎を指す。
(x)「所定のレベル」は、一般に、所定のレベルに対してアッセイ結果を比較することによって診断/予測/治療(または予防)効果の結果を評価するために使用されるアッセイカットオフ値を指し、ここで所定のレベルは、既に各種臨床パラメータ(例えば、疾患の重症度、進行/非進行/改善等)と結びつけられているまたは関連付けられている。本発明の開示は、例示的な所定のレベルを提供することができるが、カットオフ値がイムノアッセイの性質(例えば、用いられる抗体等)に応じて変化し得ることは、周知である。更に、この開示に基づいてそれらの他のイムノアッセイについてのイムノアッセイ特異的カットオフ値を得るために本明細書における開示を他のイムノアッセイに対して適合させることは、当技術分野における通常の技術の十分な範囲内である。所定のレベル(カットオフ)の厳密な値はアッセイ間において変化する可能性があるが、本明細書において記載されている相関は一般に適用可能であるべきである。
(y)「リスク」は、現在出現しているまたは将来のいずれかの時点で出現する特定の事象の可能性または蓋然性を指す。「リスク層別化」は、医師が患者を特定の疾患、障害または状態を発生する低度、中等度、高度または最高度のリスクに分類することを可能にする既知の臨床的リスク因子のアレイを指す。
(z)「約」は、示された値からのおよそ±10%の変動を指す。特定の参照が為されるか否かにかかわらず、かかる変動は、本明細書において提供されているいかなる任意の値にも常に含まれると理解されるべきである。
(aa)「調節する」は、タンパク質アイソフォーム(またはこの変異体、この断片、もしくはこの変異体の断片)の発現(例えば、上方制御または下方制御)または活性(例えば、刺激または阻害)の任意の変化を指すために本明細書において用いられる。発現または活性の調節は、当技術分野において知られている通常のアッセイに従って決定され得る。
(ab)「濃縮された」は、タンパク質(本開示の状況において、例えばNGAL)等の特定の成分の量が、所定の組成物における他のタンパク質および非タンパク質成分の量に対して増加したことを意味する。
(ac)「二次元電気泳動」(2DE)は、等電点電気泳動の後、電気泳動を変性することを含む技術である。それらの電気泳動移動度およびpIに従って分離された、複数の分離されたタンパク質(例えば、NGALのアイソフォーム)を含有する二次元のゲル(2D−ゲル)が生成される。好ましくは、電気泳動を変性する間にポリアクリルアミドおよびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が使用される。複数の分離されたタンパク質の同一性、見かけの分子量、pIおよび相対存在量を表し、それによって多数の試料からのプロファイルのコンピュータによる比較ならびに対象となる分離されたタンパク質(例えば、NGALのアイソフォーム)のコンピュータに支援される切り出しを可能にするアレイのコンピュータ生成デジタルプロファイルが生成される。
(ad)「特徴」は、2D−ゲルにおいて検出されたスポットを指す。「タンパク質アイソフォームに関連付けられた特徴」、更に具体的には「NGALアイソフォームに関連付けられた特徴」は、状態、疾患または障害を有する対象由来の試料(例えば、尿の試料)において、同じ状態、疾患または障害を有さない対象由来の試料と比較して異なって存在する特徴を指す。特徴またはNGALアイソフォームの検出方法が他方の試料に対して一方の試料に適用される場合に異なるシグナルを提供する場合、特徴は、他方の試料と比較して一方の試料中に「示差的に存在」する。特徴またはアイソフォームは、一方の試料においてより多い場合、または一方の試料において検出可能であるが他方の試料において検出可能でない場合、他方の試料と比較して一方の試料において増加する。特徴またはアイソフォームは、一方の試料においてより少ない場合、または一方の試料において検出可能でないが他方の試料において検出可能である場合、他方の試料と比較して一方の試料において減少する。2つ以上の試料における特徴の相対存在量は、正規化されたシグナルを参照することによって(すなわち、分析されている試料における総タンパク質(例えば、ゲル上にロードされた総タンパク質またはその試料における全てのタンパク質の合計として検出された総シグナル)を参照することによって、および他方の試料に対して一方の試料中に「示差的に存在」する特徴を同定するように一方の試料または試料セットにおける特徴についての正規化されたシグナルを他方の試料または試料セットにおける同じ特徴についての正規化されたシグナルと比較することによって決定される。
(ae)2つ以上のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の文脈において本明細書で用いられる「同一の」または「同一性」は、配列が、特定の領域にわたって同一である特定の割合の残基を有することを意味することができる。その割合は、2つの配列を最適にアラインメントし、特定の領域にわたる2つの配列を比較し、同一の残基が両配列において出現する位置の数を決定してマッチした位置の数を得て、特定の領域内の位置の総数でマッチした位置の数を割り、その結果に100を乗算して配列同一性の割合を得ることによって算出され得る。2つの配列が異なる長さである、またはアラインメントが1つ以上のジグザグ状の末端を生じる場合、および比較の特定の領域が単一の配列のみを含む場合、単一の配列の残基は、算出の分母に含まれるが、分子に含まれない。
(af)本明細書において使用される「実質的に同一の」は、第1の配列および第2の配列が、(特に、約8個から約100個の残基の中の任意の範囲を含む)約8個から約100個以上の残基の領域にわたって少なくとも約50%から約99%同一であることを意味することができる。
(ag)本明細書において使用される「変異体」は、アミノ酸の挿入、欠失または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持するペプチドまたはポリペプチドを意味することができる。本開示の目的のため、「生物学的活性」は、特異抗体が結合する能力を包含する。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を類似の特性(例えば、荷電領域の親水性、程度および分布)の異なるアミノ酸に置き換えることは、典型的には軽微な変更を含むと当技術分野において認識される。これらの軽微な変更は、当技術分野において理解されるようにアミノ酸の疎水性親水性指標を考慮することによって部分的に同定され得る(Kyteら、J.Mol.Biol.157:105−132(1982))。アミノ酸の疎水性親水性指標は、その疎水性および電荷の考慮に基づく。類似の疎水性親水性指標のアミノ酸が置換され得、依然としてタンパク質機能を保持することができることが、当技術分野において知られている。一態様において、±2の疎水性親水性指標を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性によって、生物学的機能を保持しているタンパク質をもたらす置換を明らかにすることもできる。ペプチドに関するアミノ酸の親水性を考慮することによって、そのペプチドの最大局所的平均親水性(抗原性および免疫原性と十分に相関することが報告されている有用な尺度)の算出が可能になる(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,554,101号)。当技術分野において理解されているように、類似の親水性値を有するアミノ酸の置換は、生物学的活性、例えば免疫原性を保持しているペプチドをもたらすことができる。一態様において、置換は、互いに±2の中の親水性値を有するアミノ酸によって行われる。アミノ酸の疎水性(hyrophobicity)指標および親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響される。その見解と一致して、生物学的機能に適合するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズおよび他の特性によって明らかにされるように、アミノ酸、特にそれらのアミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存すると理解される。
変異体は、(i)(特に、約8個から約100個の残基の中の任意の範囲を含む)約8個から約100個以上のアミノ酸であり得る参照されたタンパク質の部分であるタンパク質または(ii)参照されたタンパク質と実質的に同一であるタンパク質を指すこともできる。変異体は、例えば、タンパク質分解、リン酸化または他の翻訳後修飾によって異なってプロセシングされたタンパク質であってもよい。
(ah)一態様において、本明細書において使用される「NGALを組換え産生するチャイニーズハムスター卵巣(またはCHO)細胞」は、グリコシル化突然変異体ヒトNGALを産生するCHO細胞系を包含する。好ましくは、グリコシル化突然変異体ヒトNGALは、野生型ヒトNGALのアミノ酸配列(例えば、配列番号1)のアミノ酸87に対応するアミノ酸におけるアミノ酸置換を含む。より好ましくは、アミノ酸置換は、セリンとのシステインの置き換えである(例えば、配列番号4、5または6を参照)。最も好ましくは、CHO細胞系は、2007年1月23日に10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209におけるAmerican Type Culture Collection(ATCC)によって寄託され、ATCC受託番号PTA−8168を受けたCHO細胞系である。ATCC受託番号PTA−8168を有するCHO細胞系(「突然変異体C87S NGAL rAg CHO 734」および「突然変異体NGAL rAg CHO C87S細胞系」としても知られているCHO細胞クローン#734)は、配列番号5または6のアミノ酸配列を含むグリコシル化突然変異体ヒトNGALを産生する。更なる細胞系は、2007年10月19日に出願の米国仮出願第60/981,470号および2008年4月16日に出願の米国特許出願第12/104,408号(2009年7月9日に公開された米国特許出願公開第2009/0176274号を参照されたい)において記載されており、それらの両方は、上記に関するそれらの教示に関して参照により本明細書に完全に組み込まれている。
本明細書において用いられている用語法は、特定の実施形態を記載する目的のために過ぎず、それ以外では、限定することを意図するものではない。
NGALアイソフォームを含む濃縮された組成物
濃縮されたNGALを含む組成物が提供される。NGALは、約24.9キロダルトン(kDa)から約25.9kDaの分子量を有する。組成物は、約5.9から約9.1の範囲にわたる等電点(pI)を有するNGALの複数のアイソフォームを含む。望ましくは、組成物は濃縮方法によって得られる。特に電荷分離が用いられる場合、精製方法は、アイソフォームの選択的喪失につながり得る。例えば、ネイティブのポリペプチドについて予測されたpI(すなわちpI=9.02)に基づいてNGALを精製する試みは、より低いpIを有するNGALのアイソフォームの喪失につながり得る。好ましくは、組成物は、NGALの少なくとも約5つのアイソフォームを含む。NGALの少なくとも約5つのアイソフォームは、約5.9のpIを有するアイソフォーム、約6.7のpIを有するアイソフォーム、約8.3のpIを有するアイソフォーム、約8.8のpIを有するアイソフォームおよび約9.1のpIを有するアイソフォームを含む。好ましくは、組成物は尿から濃縮される。
濃縮されたNGALを含む別の組成物が提供される。NGALは、約25.9kDaから約27.9kDaの分子量を有する。組成物は、約5.6から約9.1の範囲にわたるpIを有するNGALの複数のアイソフォームを含む。望ましくは、組成物は濃縮方法によって得られる。好ましくは、組成物は、NGALの少なくとも約7つのアイソフォームを含む。NGALの少なくとも約7つアイソフォームは、約5.6のpIを有するアイソフォーム、約5.9のpIを有するアイソフォーム、約6.3のpIを有するアイソフォーム、約6.5のpIを有するアイソフォーム、約6.8のpIを有するアイソフォーム、約7.5のpIを有するアイソフォームおよび約9.1のpIを有するアイソフォームを含む。好ましくは、組成物は、酸性化、エタノールおよび酢酸亜鉛による抽出、ならびに電荷に基づいた分子の分離を行わない限外濾過バッファー交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または硫安沈殿によって、NGALを組換え産生するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から得られた組成物から濃縮される。
NGALアイソフォームを含む組成物を濃縮する方法
尿からNGALの複数のアイソフォームを含む組成物を得る方法が提供される。尿の試料は、任意の適切なチューブ、容器、バッグ等において提供され得る。かかる回収手段は、非反応性であり、試験試料と干渉しない適切な塑性材料を含む当技術分野において知られている任意の適切な材料(例えば、シリコン処理され得る可塑物またはガラス)によって作製され得る。好ましい塑性材料としては、任意の型のポリエチレンテレフタレート(terepththlate)(PET)またはポリプロピレンが挙げられる。様々な型の回収手段が商業的に入手可能である。
方法は、電荷に基づいて分子を分離することなく尿中のNGALを濃縮することを含む。必要に応じて、粒子状物質、例えば、細胞(例えば、赤血球、白血球および上皮細胞)、細菌、尿円柱(例えば、腎細管の上皮細胞円柱、赤血球円柱、白血球円柱、ヒアリンまたはムコタンパク質円柱、顆粒円柱、蝋様円柱および脂肪円柱)ならびに尿結晶(例えば、シュウ酸カルシウム結晶、三リン酸塩結晶、尿酸結晶およびシステイン結晶)を、NGALを濃縮する前に除去する。粒子状物質は、遠心分離によって除去され得る。代替として、方法は、NGALを組換え産生するCHO細胞から得られた組成物中のNGALを濃縮することを含む。
電荷分離を含まない任意の適切な方法が使用され得るが、好ましい方法は、本明細書において例示されているものである。簡潔に述べると、尿の遠心分離または組換えCHO細胞から得られた組成物の遠心分離の後、上清を、例えば、約6.0未満、約5.0未満または約4.0未満等の約7.0未満のpHに酸性化させる。好ましくは、上清を、約2.9から約3.1等の約3.0のpHに酸性化させる。上清を酸性化させた後、エタノールを上清に加え、十分に上清と混合する。その後、混合物を遠心分離し、酢酸亜鉛を上清に加え、十分に上清と混合する。その後、混合物を遠心分離する。次いで、ペレットを再懸濁し、限外濾過バッファー交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または硫安沈殿を含むがこれらに限定されない任意の適切な方法によってNGALについて濃縮する。
濃縮されたNGALを含む組成物を分析する方法
濃縮されたNGALを含む組成物は、二次元電気泳動(2DE)等の任意の適切な方法によって分析され得る。2DEは、例えば内部較正標準に対する2つの次元における移動の相関によるNGAL活性タンパク質アイソフォームの電荷(等電点、pI)およびサイズ(分子量、MW)の特性の決定を可能にする。2DEにおける全てのスポット中のNGAL活性タンパク質は、組換えヒトNGALタンパク質等の精製NGALタンパク質に対して増加させたモノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を使用してウエスタンブロットによって同定される。
従って、組換えCHO細胞から得られた尿または組成物から濃縮されたNGALアイソフォームを分析する方法も提供される。方法は、2DEおよびウエスタンブロットによって尿または組成物を分析することを含む。好ましくは、NGALは、電荷に基づいて分子を分離することなく組換えCHO細胞から得られた尿または組成物中に濃縮された。また、好ましくは、組換えCHO細胞から得られた尿または組成物中の粒子状物質も除去された。好ましくは、組換えCHO細胞から得られた尿または組成物を酸性化させ、次いでエタノールおよび酢酸亜鉛によって抽出した。その後、組換えCHO細胞から得られた尿または組成物を、好ましくは限外濾過バッファー交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または硫安沈殿に供した。
また、NGALのアイソフォームは、質量分析によって決定される質量電荷比によって、飛行時間質量分析におけるそれらのスペクトルピークの形状によっておよび吸着剤表面へのそれらの結合特性によって特徴付けられ得る。かかる特徴によって、当業者は、アイソフォームのアミノ酸配列を知ることなくNGALの特定のアイソフォームが状態、疾患または障害のエンドポイントに関連付けられるかどうかを決定することが可能になる。例えば、特定の状態、疾患または障害(例えば、腎疾患)を有する対象由来の尿の試料、および特定の状態、疾患または障害(例えば、腎疾患)を有さない対象由来の尿の試料を、NGALについて濃縮させ、SELDI(表面増強レーザ脱離/イオン化)バイオチップに適用することができ、試料中に存在するNGALアイソフォームのスペクトルを飛行時間質量分析によって生成することができる。スペクトルは、適切なソフトウェアを使用して分析され得る。対象の2つの群の間のスペクトルを比較することによって、NGALの1つ以上のアイソフォームの存在、量または濃度が腎疾患等の特定の状態、疾患または障害を有する群の特徴であるのかを決定することができる。一旦NGALの1つ以上のアイソフォームと特定の状態、疾患または障害との間の相関が確立されると、アフィニティーキャプチャーおよび質量分析、1つもしくは複数のアイソフォームを対象とするイムノアッセイ、または他のかかる方法のいずれによるかにかかわらず、1つ以上のアイソフォームが、特定の状態、疾患または障害を評価するための本明細書において記載されている方法の内のいずれかにおいて使用され得る。当然ながら、当業者に知られている他の方法を用いることもできる。
特定の状態、疾患または障害のエンドポイントに関連付けられたNGALのアイソフォームは、単離され、配列決定され得る。例えば、アイソフォームは、このアイソフォームに対応するゲルにおけるバンドがそのゲルから切り離される場合、ゲル電気泳動による等の任意の適切な方法によって単離され得、タンパク質は、トリプシンまたはV8プロテアーゼ等のプロテアーゼによって消化される。消化断片の分子量を用いて、様々な酵素によって生成された消化断片の分子量にマッチしている配列についてデータベースを検索することができる。代替として、消化断片は、質量分析によって分離され得、衝突誘発冷却によって更に断片化され得、その場合、ポリペプチドラダーが生成され、質量分析(すなわち「タンデム質量分析」または「タンデムMS」)によって分析される。アミノ酸は、ポリペプチドラダーのメンバーの質量の差によって同定される。
アイソフォーム上の任意の固有のエピトープ、すなわち、特定のアイソフォームをNGALの他のアイソフォームと区別するエピトープを用いて、各々が対象となるNGALのその特定のアイソフォームに特異的に結合するモノクローナル抗体を生成することができる。NGALの複数のアイソフォームが対象となる場合、かかるアイソフォームに特異的に結合するモノクローナル抗体は、本明細書において記載されている方法(例えば、予防的/治療的処置の有効性の診断、予測および評価)に従って一緒に使用され得る。また、かかるアイソフォームおよび/またはこれらに対するモノクローナル抗体を薬物開発において用いることもできる(例えば、タンパク質アイソフォームに関するその教示に関して参照により完全に組み込まれている米国特許出願公開第2007/0166765号を参照されたい)。
合成による作製
一旦配列決定されると、ポリペプチド、例えばNGALの1つ以上のアイソフォーム(またはこの断片、この変異体、もしくはこの変異体の断片)または各々がNGALの特定のアイソフォームに特異的に結合する1つ以上のmAb(またはこの断片)は、当技術分野において知られている方法、例えば、排他的固相合成、部分的固相合成、断片縮合および古典的溶液合成等を用いて合成され得る。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149(1963)を参照されたい。固相において、その合成は、典型的には、アルファ−アミノ保護樹脂を使用して、そのペプチドのC末端から開始する。適切な出発材料は、例えば、所要のアルファ−アミノ酸をクロロメチル化樹脂、ヒドロキシメチル樹脂またはベンズヒドリルアミン樹脂に付着させることによって調製され得る。かかるクロロメチル化樹脂の1つは、Bio Rad Laboratories(Richmond、CA)によって商品名BIO−BEADS SX−1の下で販売されており、ヒドロキシメチル樹脂の調製は、Bodonszkyら、Chem.Ind.(London)38:1597(1966)に記載されている。ベンズヒドリルアミン(BHA)樹脂は、PiettaおよびMarshall、Chem.Comm.650(1970)に記載されており、塩酸塩の形においてBeckman Instruments,Inc.(Palo Alto、CA)から商業的に入手可能である。自動ペプチド合成機は商業的に入手可能であり、注文に応じてペプチドを作製するサービスも同様である。
従って、ポリペプチドは、例えば、Gisin、Helv.Chim.Acta.56:1467(1973)に記載されている方法に従って、炭酸水素セシウム触媒の補助で、アルファ−アミノ保護アミノ酸をクロロメチル化樹脂にカップリングさせることによって調製され得る。最初のカップリングの後、室温で、トリフルオロ酢酸(TFA)または塩酸(HCl)の有機溶媒中溶液を含む試薬の選択によって、アルファ−アミノ保護基を除去する。
適切なアルファ−アミノ保護基としては、ペプチドの段階的合成の技術分野において有用であることが知られているものが挙げられる。アルファ−アミノ保護基の例は、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチルおよびアセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換Cbz)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニルおよびシクロヘキシルオキシカルボニル)ならびにアルキル型保護基(例えば、ベンジルおよびトリフェニルメチル)である。BocおよびFmocは、好ましい保護基である。側鎖保護基は、カップリングの間無損傷のままであり、アミノ末端保護基の脱保護の間またはカップリングの間、解離しない。側鎖保護基は、最終的ペプチドの合成の完了後すぐに、標的ペプチドを変化させない反応条件下で除去可能でなければならない。
アルファ−アミノ保護基の除去後、残りの保護されたアミノ酸を、所望の順番で段階的にカップリングさせる。一般に、溶液中、例えば、塩化メチレンおよびジメチルホルムアミド(DMF)混合物において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の適切なカルボキシル基活性剤と共に過剰量の各保護アミノ酸が使用される。
所望のアミノ酸配列が完成した後、樹脂からペプチドを切断するだけでなく全ての残りの側鎖保護基も切断するトリフルオロ酢酸またはフッ化水素(HF)等の試薬による処置によって所望のペプチドを樹脂支持体から分離させる。クロロメチル化樹脂を使用する場合、HF処置は、遊離ペプチド酸の形成をもたらす。ベンズヒドリルアミン樹脂を使用する場合、HF処置は、遊離ペプチドアミドを直接的にもたらす。代替として、クロロメチル化樹脂を用いる場合、側鎖保護ペプチドは、ペプチド樹脂をアンモニアにより処置することにより分離させて所望の側鎖保護アミドを得ることができ、またはペプチド樹脂をアルキルアミンにより処置することにより分離させて側鎖保護アルキルアミドもしくは側鎖保護ジアルキルアミドを得ることができる。次いで、側鎖保護を、フッ化水素による処置によって通常の様式において除去し、遊離アミド、遊離アルキルアミドまたは遊離ジアルキルアミドを得る。
これらのおよび他の固相ペプチド合成手法は当技術分野において周知である。かかる手法は、Solid Phase Peptide Syntheses(第2版、Pierce Chemical Company、1984)におけるStewartおよびYoungによるものでもある。
組換え産生
NGALの特定のアイソフォームに特異的に結合するNGALのアイソフォーム(またはこの断片、この変異体、もしくはこの変異体の断片)またはモノクローナル抗体等の対象となるポリペプチド/タンパク質形態をコードするポリヌクレオチド配列は、オリゴヌクレオチド合成機を使用して調製され得る。オリゴヌクレオチドは、ポリペプチド/タンパク質のアミノ酸配列(完全長、この断片、この変異体、またはこの変異体の断片)に基づいて設計される。好ましくは、対象となる組換えタンパク質/ポリペプチド形態が産生される宿主細胞において好ましいコドンが選択される。例えば、対象となる所望のポリペプチド/タンパク質形態の部分をコードする幾つかの小さなオリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ライゲーションまたはライゲーション連鎖反応(LCR)によって合成され、アセンブリされ得る。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には、相補的アセンブリのための5’または3’オーバーハングを含有する。
(合成、部位特異的変異誘発または別の方法による等)一旦アセンブリされたら、対象となるポリペプチド/タンパク質形態をコードするポリヌクレオチド配列は、組換えベクター中に挿入され得、所望の特徴転換された宿主細胞におけるその発現のために必要ないずれかの制御配列へ作動可能に連結され得る。
全てのベクターおよび発現制御配列が、対象となるポリヌクレオチド配列を発現するために等しく良好に機能し得るわけではなく、全ての宿主が同じ発現系と共に等しく良好に機能するわけではないが、当業者は、いかなる過度の実験もなしに、本開示において使用するためのベクター、発現制御配列、最適化されたコドンおよび宿主の中で容易に選択を行い得ると考えられる。ベクターは、宿主中で複製可能でなければならず、または染色体中に組込み可能でなければならないので、例えば、ベクターを選択する際、宿主を考慮しなければならない。ベクターのコピー数、そのコピー数を制御する能力およびベクターによってコードされた任意の他のタンパク質の発現(例えば、抗生物質マーカー)も考慮すべきである。発現制御配列を選択する際、様々な要因も検討され得る。これらとしては、配列の相対的な強さ、その制御可能性、および特に潜在的な二次構造に関して対象となるポリペプチド/タンパク質形態をコードするポリヌクレオチド配列とのその適合性が挙げられるが、これらに限定されない。宿主は、選択されたベクターとのそれらの適合性、それらのコドンの使用、それらの分泌特性、ポリペプチドを正確に折り畳むそれらの能力、それらの発酵または培養要件、タンパク質をグリコシル化するそれらの能力(または能力の欠如)およびヌクレオチド配列によってコードされる産物の精製の容易さ等を考慮することによって選択されるべきである。
組換えベクターは、自己複製するベクター、すなわち、染色体外実体として存在し、その複製が染色体の複製から独立しているベクター(プラスミド等)であり得る。代替として、ベクターは、宿主細胞中に導入された場合、宿主細胞ゲノム中に組み込まれ、ベクターがその中に組み込まれている染色体(複数可)と一緒に複製されるベクターであり得る。
ベクターは、好ましくは、対象となるポリペプチド/タンパク質形態をコードするポリヌクレオチド配列がポリヌクレオチド配列の転写のために必要とされる更なるセグメントに作動可能に連結されている発現ベクターである。ベクターは、典型的には、プラスミドまたはウイルスDNAに由来する。本明細書に挙げられている宿主細胞における発現に適切な多数の発現ベクターが商業的に入手可能であり、または文献に記載されている。真核生物宿主に対する有用な発現ベクターとしては、SV40、ウシ乳頭腫ウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルス由来の発現制御配列を含むベクターが挙げられるが、これらに限定されない。具体的なベクターとしては、pCDNA3.1(+)\Hyg(Invitrogen Corp.、Carlsbad、CA)およびpCI−neo(Stratagene、La Jolla、CA)が挙げられる。酵母細胞における使用のための発現ベクターの例としては、2μプラスミドおよびこの誘導体、POT1ベクター(米国特許第4,931,373号を参照されたい)、(Okkels、Ann.New York Acad.Sci.782:202−207(1996)において記載されている)pJSO37ベクターおよびpPICZ A、BまたはC(Invitrogen Corp.)が挙げられるが、これらに限定されない。昆虫細胞中のおける使用のための発現ベクターの例としては、pVL941、pBG311(Cateら、Cell 45:685−698(1986))、pBluebac4.5およびpMelbac(それらの両方は、Invitrogen Corp.から入手可能である。)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明における使用のための好ましいベクターは、(Abbott Laboratories、Abbott Bioresearch Center、Worcester、MAから入手可能な)pJVである。
使用可能な他のベクターは、対象となるポリペプチド/タンパク質形態をコードするポリヌクレオチド配列のコピー数を増幅させることができる。かかる増幅可能なベクターは、当技術分野において周知である。これらのベクターとしては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)増幅(例えば、Kaufinan、米国特許第4,470,461号、Kaufinanら、Mol.Cell.Biol.2:1304−1319(1982)を参照されたい)およびグルタミン合成酵素(GS)増幅(例えば、米国特許第5,122,464号および欧州特許出願公開第0338841号を参照されたい)によって増幅され得るそれらのベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
組換えベクターは、当該の宿主細胞におけるベクターの複製を可能にするDNA配列を更に含むことができる。(宿主細胞が哺乳動物細胞である場合)かかる配列の例は、SV40の複製開始点である。宿主細胞が酵母細胞である場合、ベクターの複製を可能にする適切な配列は、酵母プラスミド2μ複製遺伝子REP1−3および複製開始点である。
ベクターは、選択可能なマーカー、すなわち、その産物が宿主細胞中の欠損を相補する遺伝子もしくはポリヌクレオチド、例えば、DHFRまたはシゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)TPI遺伝子をコードする遺伝子(Russell、Gene 40:125−130(1985)を参照されたい)、またはアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシンもしくはメトトレキサート等の薬物に対する耐性を与えるものも含むことができる。糸状真菌の場合、選択可能なマーカーとしては、amdS、pryG、arcB、niaDおよびsCが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される「制御配列」という句は、対象となるポリペプチド/タンパク質形態の発現に必要なまたは有利な任意の成分を指す。各制御配列は、対象となるポリペプチド/タンパク質形態をコードする核酸配列に対してネイティブであっても外来性であってもよい。かかる制御配列としては、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、エンハンサーまたは上流活性化配列、シグナルペプチド配列および転写ターミネーターが挙げられるが、これらに限定されない。少なくとも、制御配列は、対象となるポリペプチド/タンパク質形態をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された少なくとも1つのプロモーターを含む。
本明細書において使用される「作動可能に連結された」という句は、配列の正常な機能が行われ得るような互いに対する配置における、酵素的ライゲーションまたは他の手段による2つ以上のポリヌクレオチド配列の共有結合を指す。例えば、プレ配列または分泌リーダーをコードするポリヌクレオチド配列は、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質としてこのポリヌクレオチドが発現される場合、ポリペプチドに対するポリヌクレオチド配列に作動可能に連結され、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結され、リボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置される場合、コード配列に作動可能に連結されている。一般に、「作動可能に連結された」は、連結されているポリヌクレオチド配列が連続しており、分泌性リーダーの場合、連続しておりおよび読取り相にあることを意味する。連結は、都合のよい制限部位におけるライゲーションによって達成される。かかる部位が存在しない場合、標準的な組換えDNA方法と組み合わせて、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが使用される。
本開示において、多様な発現制御配列が使用され得る。かかる有用な発現制御配列としては、発現ベクターの構造遺伝子に関連付けられた発現制御配列および原核もしくは真核細胞またはこれらのウイルスの遺伝子の発現を制御することが知られている任意の配列ならびにこれらの様々な組合せが挙げられる。哺乳動物細胞における転写を誘導するための適切な制御配列の例としては、SV40およびアデノウイルスの初期および後期プロモーター、例えば、アデノウイルス2主要後期プロモーター、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス前初期遺伝子プロモーター(CMV)、ヒト延長因子1α(EF−1α)プロモーター、ドロソフィラ最小熱ショックタンパク質70プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ヒトユビキチンC(UbC)プロモーター、ヒト成長ホルモンターミネーター、SV40またはアデノウイルスE1b領域ポリアデニル化シグナルおよびKozakコンセンサス配列(Kozak、J.Mol.Biol.196:947−50(1987))が挙げられる。
哺乳動物細胞における発現を改善するために、合成イントロンが、対象となるポリペプチド/タンパク質形態をコードするポリヌクレオチド配列の5’非翻訳領域中に挿入され得る。合成イントロンの一例は、(Promega Corporation、Madison、WIから入手可能な)プラスミドpCI−Neo由来の合成イントロンである。
昆虫細胞における転写を誘導するための適切な制御配列の例としては、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーター、バキュロウイルス前初期遺伝子1プロモーターおよびバキュロウイルス39K後初期遺伝子プロモーター、ならびにSV40ポリアデニル化配列が挙げられるが、これらに限定されない。
酵母宿主細胞における使用のための適切な制御配列の例としては、酵母α接合系のプロモーター、酵母トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)プロモーター、酵母解糖系遺伝子またはアルコール脱水素酵素(dehydogenase)遺伝子由来のプロモーター、ADH2−4cプロモーターおよび誘導性GALプロモーターが挙げられる。
糸状真菌宿主細胞における使用のための適切な制御配列の例としては、ADH3プロモーターおよびターミネーター、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼトリオースリン酸イソメラーゼまたはアルカリプロテアーゼをコードする遺伝子に由来するプロモーター、A.ニガー(A.niger)α−アミラーゼ、A.ニガーまたはA.ニジュラス(A.nidulas)グルコアミラーゼ、A.ニジュランス(A.nidulans)アセトアミダーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼまたはリパーゼ、TPI1ターミネーターおよびADH3ターミネーターが挙げられる。
対象となるポリペプチド/タンパク質形態をコードするポリヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含んでもよく、または含まなくてもよい。対象となるポリペプチド/タンパク質形態がその中で発現される細胞から分泌される場合、シグナルペプチドが存在する。かかるシグナルペプチドは、存在する場合、ポリペプチドの発現のために選択された細胞によって認識されるものであるべきである。シグナルペプチドは、対象となるポリペプチド/タンパク質形態に対して相同(例えば、対象となるポリペプチド/タンパク質形態に通常関連付けられるシグナルペプチドであり得る。)もしくは異種(すなわち、対象となるポリペプチド/タンパク質形態とは別の源に由来する。)であり得、または宿主細胞に対して相同もしくは異種であり得る(すなわち、宿主細胞から通常発現するシグナルペプチドであり得、または宿主細胞から通常発現しないシグナルペプチドであり得る。)。従って、シグナルペプチドは、(例えば、細菌に由来する)原核生物性であり、または(例えば、哺乳動物、昆虫、糸状真菌もしくは酵母細胞に由来する)真核生物性であり得る。
シグナルペプチドの存在または非存在は、例えば、対象となるポリペプチド/タンパク質形態の産生のために使用された発現宿主細胞に依存する。糸状真菌における使用のために、シグナルペプチドは、アスペルギルス属種(Aspergillus sp.)のアミラーゼまたはグルコアミラーゼをコードする遺伝子、リゾムコール・ミエヘイリパーゼもしくはプロテアーゼまたはフミコーラ・ラヌギノーサ(Humicola lanuginosa)リパーゼをコードする遺伝子から都合よく由来し得る。昆虫細胞における使用の場合、シグナルペプチドは、鱗翅目のマンジュカ・セクスタ(Manduca sexta)脂質動員ホルモン前駆体(米国特許第5,023,328号を参照されたい)、ミツバチのメリチン(Invitrogen)、エクジステロイドUDPグルコシルトランスフェラーゼ(egt)(Murphyら、Protein Expression and Purification 4:349−357(1993))等の昆虫遺伝子(国際特許出願公開第WO90/05783号を参照されたい)またはヒト膵臓リパーゼ(hpl)(Methods in Enzymology 284:262−272(1997))に由来し得る。
哺乳動物細胞における使用のためのシグナルペプチドの具体例としては、マウスIgカッパ軽鎖シグナルペプチドが挙げられる(Coloma、J.Imm.Methods 152:89−104(1992))。酵母細胞における使用の場合、適切なシグナルペプチドとしては、S.セレビシエ(S.cerevisiae)由来のα−因子シグナルペプチド(米国特許第4,870,008号を参照されたい)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(Hagenbuchleら、Nature 289:643−646(1981)を参照されたい)、修飾されたカルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(Vallsら、Cell 48:887−897(1987)を参照されたい)、酵母BAR1シグナルペプチド(国際特許出願公開第WO87/02670号を参照されたい)および酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(Egel−Mitaniら、Yeast 6:127−137(1990)を参照されたい)が挙げられる。
本開示の対象となるポリペプチド/タンパク質形態(例えば、完全長、断片、変異体または変異体の断片)を産生するために、細菌、(酵母を含む)真菌、植物、昆虫哺乳動物または他の適切な動物細胞もしくは細胞系ならびにトランスジェニック動物または植物を含む任意の適切な宿主が使用され得る。E.コリ(E.coli)等の非グリコシル化生物を使用して対象となるグリコシル化されたポリペプチド/タンパク質形態を発現する場合、対象となるグリコシル化されたポリペプチド/タンパク質形態を産生するために、好ましくは、その発現の後、適切なインビトログリコシル化が行われる。
細菌宿主細胞の例としては、バシラス(Bacillus)、例えば、B.ブレビス(B.brevis)もしくはB.スブチリス(B.subtilis)、シュードモナス(Pseudomonas)またはストレプトマイセス(Streptomyces)の株等のグラム陽性細菌、またはE.コリの株等のグラム陰性細菌が挙げられるが、これらに限定されない。細菌宿主細胞中へのベクターの導入は、例えば、コンピテント細胞(例えば、Youngら、J.of Bacteriology 81:823−829(1961))またはDubnauら、J.Molec.Biol.56:209−221(1971)を参照されたい)を用いたプロトプラスト形質転換(例えば、Changら、Molecular General Genetics 168:111−115(1979)を参照されたい)、エレクトロポレーション(例えば、Shigekawaら、Biotechniques 6:742−751(1988)を参照されたい)またはコンジュゲーション(例えば、Koehlerら、J.of Bacteriology 169:5771−5278(1987)を参照されたい)によって実施され得る。
適切な糸状真菌宿主細胞の例としては、アスペルギルス、例えば、A.オリザエ、A.ニガーまたはA.ニジュランス、フザリウム(Fusarium)またはトリコデルマ(Trichoderma)の株が挙げられるが、これらに限定されない。真菌細胞は、当業者に知られている技術を用いて、プロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換および細胞壁の再生を含む方法によって形質転換され得る。アスペルギルス宿主細胞の形質転換のための適切な手法は、欧州特許出願第0238023号および米国特許第5,679,543号に記載されている。フザリウム属種を形質転換するための適切な方法は、Malardierら、Gene 78:147−156(1989)および国際特許出願公開第WO96/00787号によって記載されている。酵母は、BeckerおよびGuarente、In AbelsonおよびSimon(編)、Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology、Methods in Enzymology194:182−187、Academic Press,Inc.、New York、Itoら、J.of Bacteriology 153:163(1983)、およびHinnenら、PNAS USA 75:1920(1978)によって記載されている手法を用いて形質転換され得る。
好ましくは、対象となるグリコシル化ポリペプチド/タンパク質形態は、所望のグリコシル化を生成し得る宿主細胞においてインビボでグリコシル化される。従って、宿主細胞は、酵母細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞から選択され得る。
適切な酵母宿主細胞の例としては、サッカロマイセス(Saccharomyces)の株、例えば、S.セレビシエ、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)、クリベロマイセス(Klyveromyces)、P.パストリス(P.pastoris)またはP.メタノリカ(P.methanolica)等のピキア(Pichia)、H.ポリモルファ(H.polymorpha)またはヤロウィア(yarrowia)等のハンセニュラ(Hansenula)の株が挙げられる。異種のポリヌクレオチドで酵母細胞を形質転換し、酵母細胞から異種のポリペプチドを産生する方法は、Clontech Laboratories,Inc、Palo Alto、CA(Yeastmaker(商標)Yeast Tranformation System Kitの製品プロトコール中)によって、およびReevesら、FEMS Microbiol.Letters 99:193−198(1992)、Manivasakamら、Nucleic Acids Research 21:4414−4415(1993)およびGanevaら、FEMS Microbiol.Letters 121:159−164(1994)によって開示されている。
適切な昆虫宿主細胞の例としては、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf9もしくはSf21)またはトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)細胞(High Five)等の鱗翅目(Lepidoptora)細胞系が挙げられるが、これらに限定されない(米国特許第5,077,214号を参照されたい)。昆虫細胞の形質転換および異種のポリペプチドの産生は、当業者に周知である。
適切な哺乳動物宿主細胞の例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系、ミドリザル細胞系(COS)、マウス細胞(例えば、NS/O)、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞系、ヒト細胞(例えば、ヒト胚性腎臓細胞(例えば、HEK293(American Type Culture Collection(ATCC)受託番号CRL−1573、ATCC、Manassas、VA))および組織培養における植物細胞が挙げられる。好ましくは、哺乳動物宿主細胞は、CHO細胞系およびHEK293細胞系である。別の好ましい宿主細胞は、B3.2細胞系(例えば、Abbott Laboratories、Abbott Bioresearch Center)または(例えば、Invitrogenから入手可能な)別のDHFR欠損(DHFR)CHO細胞系である。
哺乳動物宿主細胞中に外来性ポリヌクレオチドを導入する方法としては、リン酸カルシウムによって媒介されるトランスフェクション、エレクトロポレーション、DEAE−デキストランによって媒介されるトランスフェクション、リポソームによって媒介されるトランスフェクション、Lipofectamine(商標)2000を用いる、Life Technologies Ltd.、Paisley、UKによって記載されているウイルスベクターおよびトランスフェクション方法が挙げられる。これらの方法は、当技術分野において周知であり、例えば、Ausbelら(編)Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、New York(1996)によって記載されている。哺乳動物細胞の培養は、例えば、Jenkins(編)Animal Cell Biotechnology、Methods and Protocols、Human Press Inc.、Totowa、NJ(1999)ならびにHarrisonおよびRae、General Techniques of Cell Culture、Cambridge University Press(1997)に開示されている確立された方法に従って実施される。
製造方法において、細胞は、当技術分野において知られている方法を用いて、対象となるポリペプチド/タンパク質形態の産生に適切な栄養培地中で培養される。例えば、細胞は、振盪フラスコ培養、適切な培地中ならびに対象となるグリコシル化ポリペプチド/タンパク質形態を発現および/または単離させる条件下で行われる研究室用または産業用発酵槽における(連続、バッチ、フェドバッチまたは固体状発酵を含む)小規模もしくは大規模発酵によって培養される。培養は、当技術分野において知られている手法を用いて、炭素および窒素源ならびに無機塩を含む適切な栄養培地中で行われる。適切な培地は、商業的供給業者から入手可能であり、または(例えば、ATCCのカタログ中の)公開された組成に従って調製され得る。対象となるグリコシル化ポリペプチド/タンパク質形態が栄養培地中に分泌される場合、対象となるポリペプチド/タンパク質形態は、培地から直接回収され得る。対象となるポリペプチド/タンパク質形態が分泌されない場合、それは細胞溶解物から回収され得る。
対象となる得られたポリペプチド/タンパク質形態は、当技術分野において知られている方法によって回収され得る。例えば、対象となるポリペプチド/タンパク質形態は、(遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発または沈殿が挙げられるが、これらに限定されない)慣用の手法によって栄養培地から回収され得る。
対象となるポリペプチド/タンパク質形態は、クロマトグラフィー(例えば、限定されないが、イオン交換、アフィニティー、疎水性、等電点電気泳動およびサイズ排除)、電気泳動手法(例えば、限定されないが、調製用等電点電気泳動)、溶解度の差(例えば、限定されないが、硫安沈殿)、SDS−PAGEまたは抽出(例えば、JansonおよびRyden(編)Protein Purification、VCH Publishers、New York(1989)を参照されたい)が挙げられるがこれらに限定されない当技術分野において知られている様々な手法によって精製され得る。
対象となるグリコシル化ポリペプチド/タンパク質形態は、必要に応じて、当技術分野における常法に従う技術を用いて脱グリコシル化され得る。N結合型脱グリコシル化、O結合型脱グリコシル化またはN結合型およびO結合型の両方の脱グリコシル化は、例えばかかるポリペプチド/タンパク質を1種以上の酵素によって処置することによって、当技術分野において知られている常法に従う技術を用いて実施され得る。
脱グリコシル化のために使用され得る酵素の例としては、N結合型脱グリコシル化(Asn)のためのPNGase FおよびO結合型部位(SerおよびThr)から炭水化物を除去するためのO−グリカナーゼが挙げられる。また、特別な連結から炭水化物を切断するシアリダーゼ、β(1−4)−ガラクトシダーゼおよびβ−N−アセチル−グルコサミニダーゼ等の他の酵素を使用することもできる。これらの酵素およびその他は、例えばProzyme(San Leandro、CA)およびSigma−Aldrich(St.Louis、MO)から入手可能であり、更に混合物または「カクテル」の形態で購入され得る。例えば、Sigma−AldrichのE−DEGLYキットは、PNGase F、α−2(2,6,8,9)ノイラミニダーゼ、O−グリコシダーゼ、β(1−4)−ガラクトシダーゼおよびβ−N−アセチル−グルコサミニダーゼのカクテルを含み、Prozyme製のEnzymatic Deglycosylation Kitは、PNGase F、O−グリコシダーゼおよびシアリダーゼを含む。
組換え産生のための細胞としては、限定されないが、本明細書において更に記載されているNGALを組換え産生するCHO細胞が挙げられる。また、幾つかの例において、CHO細胞系が2006年11月21日に10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209におけるAmerican Type Culture Collection(ATCC)によって寄託され、ATCC受託番号PTA−8020を受けたグリコシル化ヒト野生型NGAL(すなわち、配列番号1のアミノ酸配列を有するもの)を産生するCHO細胞系を使用することは、望ましくあり得る。好ましくは、(「野生型NGAL rAg CHO662細胞系」としても知られている)ATCC受託番号PTA−8020を有するCHO細胞系によって産生された野生型ヒトNGALは、約25キロダルトン(kDa)の分子量を有する。更なる細胞系は、2007年10月19日に出願の米国仮出願第60/981,470号および2008年4月16日に出願の米国特許出願第12/104,408号(2009年7月9日に公開された米国特許出願公開第2009/0176274号を参照されたい)に記載されており、それらの文献の両方は、上記に関するそれらの教示に関して参照によりそれらの全体が組み込まれている。
抗体産生
NGAL(またはこの断片)の特定のアイソフォームに特異的に結合する抗体(またはこの断片)は、当技術分野において知られている様々な異なる技術を用いて作製され得る。例えば、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、適切な免疫原を含有する免疫原性調製物によって適切な対象(例えば、限定されないが、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)を免疫化することによって増加させることができる。当技術分野において周知のアフィニティークロマトグラフィー、免疫沈降法または他の技術を用いて、免疫原を、それを産生する細胞から濃縮/精製し、単離することができる。代替として、免疫原は、当技術分野において知られている常法に従う技術(例えば、限定されないが、合成機)を用いる化学合成を用いて調製され得る。次いで、抗体が免疫原(またはこの断片)に結合するかどうかを決定するために、対象において増加させた抗体をスクリーニングすることができる。
免疫原(すなわち、精製されたタンパク質、そのタンパク質を発現する腫瘍細胞または組換え発現させた免疫原(またはこの断片もしくは変異体(もしくはこの断片))の単位用量および免疫化レジメンは、免疫化されるべき対象、その免疫状態およびその対象の体重に依存する。対象における免疫応答を増強させるために、免疫原は、フロイントの完全または不完全アジュバント等のアジュバントと共に投与され得る。
上記されている免疫原による対象の免疫化は、ポリクローナル抗体応答を誘導する。免疫化された対象における抗体力価は、固定化された抗原を用いるELISA等の標準的な技術によって経時的にモニタされ得る。
抗体を増加させる他の方法は、ヒト免疫グロビン遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを使用することを含む(例えば、国際特許出願公開第WO91/00906号、国際特許出願公開第WO 91/10741号または国際特許出願公開第WO92/03918号を参照されたい)。代替として、ヒトモノクローナル抗体は、ヒト抗体産生細胞または組織(例えば、ヒト骨髄細胞、末梢血リンパ球(PBL)、ヒト胎児リンパ節組織または造血性幹細胞)が移植された免疫欠損マウス中に抗原を導入することによって産生され得る。かかる方法は、SCID−huマウス(例えば、国際特許出願公開第WO93/05796号、米国特許第5,411,749号もしくはMcCuneら、Science 241:1632−1639(1988)を参照されたい)またはRag−1/Rag−2欠損マウスにおける抗体を増加させることを含む。また、ヒト抗体免疫欠損マウスも商業的に入手可能である。例えば、Rag−2欠損マウスは、Taconic Farms(Germantown、NY)から入手可能である。
モノクローナル抗体は、対象を免疫原によって免疫化することによって生成され得る。免疫化後の適切な時点で、例えば、抗体力価が十分に高いレベルになった時点で、標準的な技術を用いてモノクローナル抗体を調製するために、抗体産生細胞を免疫化された動物から採取し、使用することができる。例えば、抗体産生細胞は、標準的な体細胞融合手法によって、ハイブリドーマ細胞を産生するために、骨髄腫細胞等の不死化細胞と融合させることができる。かかる技術は当技術分野において周知であり、かかる技術としては、例えば、KohlerおよびMilstein、Nature 256:495−497(1975))によって最初に開発されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbarら、Immunology Today 4:72(1983))、ならびにヒトモノクローナル抗体を作製するためのエプスタイン−バーウイルス(EBV)−ハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss、Inc.77−96頁(1985))が挙げられる。モノクローナル抗体ハイブリドーマを作製するための技術は、当業者に周知である。
また、モノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現し、免疫原によって免疫化されたトランスジェニックマウスから抗体産生細胞、例えば、脾細胞を採取することによっても作製され得る。脾細胞は、ヒト骨髄腫との融合を通じて、またはEBVによる形質転換を通じて不死化させることができる。これらのハイブリドーマは、当技術分野において記載されているヒトB細胞−ハイブリドーマ技術またはEBV−ハイブリドーマ技術を用いて作製され得る(例えば、Boyleら、欧州特許公開第0614984号を参照されたい)。
免疫原に特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、ハイブリドーマ培養上清をスクリーニングすることによって、例えば、固定化された免疫原(またはこの断片)に特異的に結合する抗体を選択するためにスクリーニングすることによって、または抗体が所望の特徴、すなわち、免疫原(またはこの断片)に結合する能力を有するかどうかを決定するために本明細書に記載されている抗体を試験することによって検出される。所望の特異性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、例えば、限界希釈手法、例えば、Wandsら(Gastroenterology 80:225−232(1981))によって記載されている手法によってクローンがサブクリーニングされ、標準的な方法によって増殖させることができる。
本明細書に記載されているスクリーニングアッセイにおいて陽性試験結果を示すモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、ハイブリドーマ細胞が培地中にモノクローナル抗体を分泌させ、これによって完全抗体を産生させるのに十分な条件下および時間で、栄養培地中で培養され得る。ハイブリドーマ細胞に適切な組織培養技術および培地は、当技術分野において全般に記載されている(例えば、R.H.Kenneth、in Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses、Plenum Publishing Corp.、New York、N.Y.(1980)を参照されたい)。次いで、抗体を含有する馴化されたハイブリドーマ培養上清を回収することができる。サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインAクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティークロマトグラフィー等の慣用の免疫グロブリン精製手法によって、必要に応じて培地から単離され得る。
モノクローナル抗体は、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリを構築し、免疫原またはこの断片によってそのライブラリをスクリーニングすることによって設計され得る。ファージディスプレイライブラリを作製およびスクリーニングするためのキットは、商業的に入手可能である(例えば、the Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、Catalog No.27−9400−01、およびthe Stratagene SurfZAP Phage Display Kit、Catalog No.240612を参照されたい)。同様に、酵母ディスプレイベクターは当技術分野において知られており、商業的に入手可能である(例えば、Invitrogenから入手可能なpYD1)。簡潔に述べると、免疫原またはこの断片に特異的に結合する抗体を発現するファージまたは酵母細胞を同定および単離するために、抗体ライブラリがスクリーニングされる。好ましくは、ライブラリの一次スクリーニングは、固定化された免疫原またはこの断片によるスクリーニングを含む。
スクリーニング後に、ディスプレイファージまたは酵母が単離され、選択された抗体をコードするポリヌクレオチドをディスプレイファージまたは酵母から(例えば、ファージまたは酵母ゲノムから)回収し、周知の組換えDNA技術によって他の発現ベクター中に(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ細胞、例えば、EBY100細胞(Invitrogen)中に)サブクローニングすることができる。ポリヌクレオチドは、宿主細胞中で更に操作し(例えば、更なる定常領域等の更なる免疫グロブリンドメインをコードする核酸に連結させ)および/または発現させることができる。
更に、本開示の幾つかの態様において、文献中に記載されているように、商業的に入手可能な抗NGAL抗体または抗NGAL抗体の作製方法を用いることが可能であり得る。これらとしては、Santa Cruz Biotechnology,Inc.(Santa Cruz、CA)およびR&D Systems(Minneapolis、MN)から入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。
一旦NGALの特定のアイソフォームに特異的に結合するモノクローナル抗体が上記の方法に従って得られると、それは当技術分野において知られている方法に従って配列決定され得、次いで、組換えDNA技術、化学合成、または化学合成および組換えDNA技術の組合せを用いて作製され得る。具体的には、抗体をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸が合成され得る。オリゴヌクレオチド合成機が使用され得る。当業者は、遺伝コードの縮退により、複数のヌクレオチド配列が所定のアミノ酸配列をコードすることができることを容易に理解する。この点に関して、発現された変異体抗体が元の抗体と競合する場合、実質的に同一のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を使用することができる。好ましくは、所定の宿主細胞に好都合なコドンが組換え産生のために選択される。ヌクレオチド配列は、抗NGAL抗体または抗原に反応するその断片をコードするためにPCR、ライゲーションまたはLCRを用いて他のヌクレオチド配列と組み合わせられ得る。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的には、相補的アセンブリのための5’または3’オーバーハングを含有する。一旦アセンブリされたら、抗NGAL抗体または抗原に反応するその断片をコードするヌクレオチド配列は、ベクター内に挿入され得、所定の宿主細胞における発現に必要な制御配列に作動可能に連結され得、(例えば、形質転換またはトランスフェクションによって)宿主細胞内に導入され得る。ヌクレオチド配列は、更に操作することができ(例えば、更なる定常領域等の更なる免疫グロブリンドメインをコードする核酸に連結させることができ)および/または宿主細胞において発現させることができる。
また、抗NGAL抗体(およびこれらの変異体)の断片を本開示の状況において使用することもできる。例えば、抗体断片としては、Fab、Fab’、Fab’−SH断片、ジスルフィド結合されたFv、一本鎖Fv(scFv)およびF(ab’)断片を挙げることができるが、これらに限定されない。抗体断片を作製するために、様々な技術が当業者に知られている。かかる断片は、完全抗体のタンパク分解を介して誘導され得る(例えば、Morimotoら、J.Biochem.Biophys.Methods 24:107−117 (1992)およびBrennanら、Science 229:81(1985)を参照されたい)。例えば、Fab断片は、パパイン消化によって完全抗体から調製され得るが、一方でF(ab’)断片は、ペプシン消化によって完全抗体から調製され得る。また、かかる断片を組換え宿主細胞によって直接産生させることもできる。例えば、Fab’−SH断片は、E.コリから直接回収し、F(ab’)断片を形成するために化学的に連結することができる(例えば、Carterら、Bio/Technology 10:163−167(1992)を参照されたい)。別の一実施形態において、F(ab’)は、F(ab’)分子のアセンブリを促進するために、ロイシンジッパーGCN4を用いて形成される。代替として、Fv、FabまたはF(ab’)断片は、組換え宿主細胞培養物から直接単離され得る。一本鎖可変領域断片(scFv)は、短い連結ペプチドまたは配列を使用することにより軽および/または重鎖可変領域を連結することによって作製される(例えば、Birdら、Science 242:423−426(1998)を参照されたい)。一本鎖変異体は、組換えによりにまたは合成により作製され得る。scFvの合成による作製のために、自動化された合成機を使用することができる。scFvの組換え産生のために、scFvをコードするポリヌクレオチドを含有する適切なプラスミドは、適切な宿主細胞(酵母、植物、昆虫もしくは哺乳動物細胞等の真核生物またはE.コリ等の原核生物のいずれか)の中に導入することができる。対象となるscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのライゲーション等の通常の操作によって作製され得る。当技術分野において知られている標準的タンパク質精製技術を用いて、得られたscFvを単離することができる。更に、ダイアボディ等の一本鎖抗体の他の形態も、本開示によって想定される。ダイアボディは、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現しているが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合が不可能なほど短く、これにより、ドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させ、2つの抗原結合部位を作製するリンカーを用いて発現する二価の二重特異的抗体である(例えば、Holligerら、PNAS USA 90:6444−6448(1993)およびPoljakら、Structure 2:1121−1123(1994)を参照されたい)。
抗体および抗原に反応するその断片は、様々な使用を有する。一態様において、抗体(またはこの断片)は、1種以上の免疫診断試薬として使用され得る。例えば、本開示の抗体は、試験試料におけるNGALの存在、量または濃度を検出するための1つ以上の方法において1種以上の免疫診断試薬として使用され得る。更に具体的には、NGALの特定のアイソフォームに特異的に結合する抗体(または抗原に反応するその断片)は、試験試料中に存在し得るそのアイソフォームのいずれかを捕捉するために使用され得る。検出可能であるように標識された抗NGAL抗体、NGALアイソフォームに結合し得る抗NGAL抗体の検出可能であるように標識された断片またはNGALアイソフォームに結合し得る抗NGAL抗体の検出可能であるように標識された変異体(もしくはこの断片)は、試験試料中に存在し得るNGALアイソフォームのいずれかを検出するために使用され得る。代替として、捕捉されているアイソフォームと同じアイソフォームであるNGALの検出可能であるように標識されたアイソフォーム(またはこの断片、この変異体、もしくはこの変異体の断片)は、試験試料におけるNGALアイソフォームの存在、量または濃度の決定において試験試料におけるNGALアイソフォームと競合する競合的アッセイフォーマットにおいて使用され得る。
本開示の状況における使用のための好ましい抗体としては、2008年4月16日に出願された米国特許出願第12/104,413号に記載されている抗体が挙げられる。
試験試料におけるNGAL(またはこの断片)の少なくとも1つのアイソフォームの存在、量または濃度を決定するための方法
本開示は、試験試料におけるNGAL(またはこの断片)の少なくとも1つのアイソフォームの存在、量または濃度を決定するための方法を提供するものである。当技術分野において知られている任意の適切なアッセイがその方法において使用され得る。例としては、サンドイッチイムノアッセイ(例えば、放射性同位体検出(ラジオイムノアッセイ(RIA))および酵素検出(エンザイムイムノアッセイ(EIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(例えば、Quantikine ELISAアッセイ、R&D Systems、Minneapolis、MN))等のモノクローナル−ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ、競合的阻害イムノアッセイ(例えば、フォワードおよびリバース)、ならびに蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)等のイムノアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。SELDIに基づくイムノアッセイにおいて、対象となるNGALアイソフォーム(またはこの断片)に特異的に結合する捕捉試薬を、予め活性化されたタンパク質チップアレイ等の質量分析プローブの表面に付着させる。次いで、NGALアイソフォームをバイオチップ上に特異的に捕捉し、捕捉されたアイソフォームを質量分析によって検出する。代替として、アイソフォームは、捕捉試薬から溶離され得、伝統的なMALDI(マトリックス支援レーザ脱離/イオン化)によって、またはSELDIによって検出され得る。化学発光微粒子イムノアッセイ、特にARCHITECT(登録商標)自動分析器(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)を用いるものは、好ましいイムノアッセイの例である。
方法は、均一フォーマットまたは不均一フォーマットにおいて行うことができる。2つのフォーマットの間に本質的な差異が存在することは、当業者によって認識される。例えば、均一フォーマットは、複合体化していない結合パートナーおよび試験試料の他の成分から、試験試料中の対象となる分析物と対象となる分析物に対する特異的結合パートナーとの複合体を分離する1つ以上の段階を欠く。更に、均一アッセイは、検出可能な標識を用いる。検出可能な標識から生成されるシグナルの1つ以上の特徴は、試験試料中の対象となる分析物(すなわち、NGALのアイソフォーム(またはこの断片))と対象となる分析物に対する特異的結合パートナー(例えば、対象となるNGALの特定のアイソフォーム(またはこの断片)に特異的に結合する抗体またはその断片)との複合体の形成によって調節される。用いることができるかかる均一なアッセイの例としては、FPIA、酵素増幅イムノアッセイ法(EMIT)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、均一化学発光アッセイ等が挙げられるが、これらに限定されない。均一フォーマットにおいて、試験試料が対象から得られた後、第1の混合物が調製される。混合物は、1種以上のNGALのアイソフォーム(またはこの断片)について評価される試験試料、および検出可能な標識によって標識された第1の特異的結合パートナーを含む。第1の特異的結合パートナーは、抗NGAL抗体(またはこの断片)であり得る。
当技術分野において知られている任意の適切な検出可能な標識が使用され得る。例えば、FPIAにおいて、蛍光標識が使用され得る(例えば、(参照により完全に本明細書に組み込まれる)米国特許第5,593,896号、米国特許第5,573,904号、米国特許第5,496,925号、米国特許第5,359,093号および米国特許第5352803号を参照されたい)。均一化学発光アッセイにおいて、検出可能な標識としてアクリジニウム化合物が使用され得る(例えば、Adamczykら、Bioorg.Med.Chem.Lett.16:1324−1328(2006)、Adamczykら、Bioorg.Med.Chem.Lett.4:2313−2317(2004)、Adamczykら、Biorg.Med.Chem.Lett.14:3917−3921(2004)およびAdamczykら、Org.Lett.5:3779−3782(2003)を参照されたい)。好ましくは、アクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボキサミドである。アクリジニウム−9−カルボキサミドの調製方法は、Mattingly、J.Biolumin.Chemilumin.6:107−114(1991)、Adamczykら、J.Org.Chem.63:5636−5639(1998)、Adamczykら、Tetrahedron 55:10899−10914(1999)、Adamczykら、Org.Lett.1:779−781(1999)、Adamczykら、Bioconjugate Chem.11:714−724(2000)、Mattinglyら、In Luminescence Biotechnology、Instruments and Applications、Dyke,K.V.編、CRC Press、Boca Raton、77−105(2002)、Adamczykら、Org.Lett.5:3779−3782(2003)、ならびに米国特許第5,468,646号、米国特許第5,543,524号および米国特許第5,783,699号(それらの各々は、上記に関するそれらの教示に関して参照により本明細書に完全に組み込まれている。)において記載されている。
あるいは、アクリジニウム化合物は、好ましくは、アクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルである。式IIのアクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルの例は、10−メチル−9−(フェノキシカルボニル)アクリジニウムフルオロスルホネート(Cayman Chemical、Ann Arbor、MIから入手可能)である。アクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルの調製方法は、McCapraら、Photochem.Photobiol.4:1111−21(1965)、Razaviら、Luminescence 15:245−249(2000)、Razaviら、Luminescence 15:239−244(2000)および米国特許第5,241,070号(各々は、上記に関するそれらの教示に関して参照により本明細書に完全に組み込まれている。)に記載されている。かかるアクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルは、シグナルの強度および/またはシグナルの速度に関して、少なくとも1種のオキシダーゼによる分析物の酸化において生成された過酸化水素の効率的な化学発光指標である。アクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルについての化学発光の経過は迅速に、すなわち1秒未満で完了するが、一方でアクリジニウム−9−カルボキサミドの化学発光は2秒を超えて継続する。しかし、アクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルは、タンパク質の存在下でその化学発光性を喪失する。故に、その使用は、シグナルの生成および検出の間にタンパク質が存在しないことを必要とする。試料中のタンパク質を分離するまたは除去するための方法は、当業者に周知であり、それらの方法としては、限外濾過、抽出、沈殿、透析、クロマトグラフィーおよび/または消化が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Wells、High Throughput Bioanalytical Sample Preparation.Methods and Automation Strategies、Elsevier(2003)を参照されたい)。試験試料から除去されるまたは分離されるタンパク質の量は、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%または約95%とすることができる。アクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルに関する更なる詳細およびその使用は、2007年4月9日に出願の米国特許出願第11/697,835号に記載されている。アクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルは、脱気無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)または水性コール酸ナトリウム等の任意の適切な溶媒中において溶解され得る。
化学発光アッセイは、Adamczykら、Anal.Chim.Acta 579(1):61−67(2006)において記載されている方法に従って行うことができる。 任意の適切なアッセイフォーマットを用いることができるが、マイクロプレートケミルミノメータ(Mithras LB−940、Berthold Technologies U.S.A.、LLC、Oak Ridge、TN)は、小体積の多数の試料のアッセイを迅速に可能にする。ケミルミノメータは、96ウェル黒色ポリスチレンマイクロプレート(Costar #3792)を用いて多数の試薬注入器を備えることができる。各試料を別々のウェルに加え、その後、用いられるアッセイの種類によって決定される他の試薬の同時/連続の添加を行うことができる。望ましくは、アクリジニウムアリールエステルを用いる中性溶液または塩基性溶液中の擬似塩基の形成は、例えば酸性化によって回避される。次いで、化学発光応答がウェル毎に記録される。この点に関して、化学発光応答を記録するための時間は、用いられた試薬と特定のアクリジニウムの添加の間の遅延に一部依存する。
混合物を形成するために試験試料および検出可能な標識によって標識された第1の特異的結合パートナーを加える順序は重要でない。検出可能な標識によって標識された第1の特異的な結合パートナーおよび試験試料を加えて第1の混合物を形成した後、第1の特異的結合パートナー−NGALアイソフォーム複合体が形成する。
過酸化水素は、上記のアクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物によって標識された第1の特異的結合パートナー)の添加の前に、同時に、またはその後で、混合物においてインサイチュで生成され得る、または混合物に提供もしくは供給され得る。過酸化水素は、当業者によって容易に明らかになるような多くの方法においてインサイチュで生成され得る。
代替として、過酸化水素の供給源が単に混合物に加えられてもよい。例えば、過酸化水素の供給源は、過酸化水素を含むことが知られている1種もしくは複数種の緩衝液または他の溶液であり得る。この点に関して、過酸化水素の溶液は単純に加えることができる。
試料への、アクリジニウム、例えばアクリジニウム−9−カルボキサミドまたはアクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルの添加、および少なくとも1種の塩基性溶液の同時またはその後の添加の際、NGALのアイソフォームの存在を示す検出可能シグナル、すなわち化学発光シグナルが生成される。塩基性溶液は、少なくとも1種の塩基を含有し、10以上、好ましくは12以上のpHを有する。塩基性溶液の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび重炭酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。試料に加えられる塩基性溶液の量は、塩基性溶液の濃度に依存する。使用される塩基性溶液の濃度に基づいて、当業者は、試料に加える塩基性溶液の量を容易に決定することができる。
生成された化学発光シグナルは、当業者に知られている通常の技術を用いて検出され得る。生成されたシグナルの強度に基づいて、試料中のNGALのアイソフォームの量が定量され得る。具体的には、試料中のNGALのアイソフォームの量は、生成されたシグナルの強度に比例する。存在しているNGALのアイソフォームの量は、生成された光の量をNGALについての標準曲線と比較することによって、または参照標準との比較によって定量することができる。標準曲線は、質量分析、重量法および当技術分野において知られている他の技術によって、既知濃度のNGALの連続希釈物または溶液を用いて作成され得る。
不均一フォーマットにおいて、対象から試験試料が得られた後、第1の混合物が調製される。混合物は、1種以上のNGALアイソフォーム(またはこの断片)について評価される試験試料および第1の特異的結合パートナーを含み、第1の特異的結合パートナーおよび試験試料中に含まれている全てのNGALは、第1の特異的結合パートナー−NGAL複合体を形成する。好ましくは、第1の特異的結合パートナーは、抗NGAL抗体またはこの断片である。混合物を形成するために試験試料および第1の特異的結合パートナーを加える順序は重要でない。好ましくは、第1の特異的結合パートナーは固相上に固定される。(第1の特異的結合パートナーについての、および、必要に応じて、第2の特異的結合パートナーについての)イムノアッセイにおいて使用される固相は、当技術分野において知られているあらゆる固相、例えば、限定されないが、磁性粒子、ビーズ、試験管、マイクロタイタープレート、キュベット、膜、足場分子、フィルム、濾紙、ディスクおよびチップであってもよい。
第1の特異的結合パートナー−NGAL複合体を含有する混合物が形成された後、全ての非結合NGALは、当技術分野において知られている任意の技術を用いて複合体から除去される。例えば、非結合NGALは、洗浄によって除去され得る。
全ての非結合NGALが除去された後、第2の特異的結合パートナーを混合物に加えて、第1の特異的結合パートナー−NGAL−第2の特異的結合パートナー複合体を形成する。第2の特異的結合パートナーは、好ましくは抗NGAL抗体である。更に、また好ましくは、第2の特異的結合パートナーは、検出可能な標識によって標識されている、または検出可能な標識を含有する。検出可能な標識に関して、当技術分野において知られている任意の検出可能な標識が使用され得る。例えば、検出可能な標識は、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、32Pおよび33P)、酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリ性ペルオキシダーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ等)、化学発光標識(例えば、アクリジニウムエステル、チオエステルまたはスルホンアミド、ルミノール、イソルミノール、フェナントリジニウムエステル等)、蛍光標識(例えば、フルオレセイン(例えば、5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3’6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロ−フルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート等))、ローダミン、フィコビリタンパク質、R−フィコエリトリン、量子ドット(例えば、硫化亜鉛でキャップされたセレン化カドミウム)、温度測定標識またはイムノポリメラーゼ連鎖反応標識であり得る。標識への導入、標識化手法および標識の検出は、Polak and Van Noorden、Introduction to Immunocytochemistry、第2版、Springer Verlag、N.Y.(1997)および(Molecular Probes,Inc.、Eugene、Oregonによって出版されたハンドブックとカタログの組み合わせである)Haugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1996)において見出される。しかし、好ましくは、検出可能な標識は、化学発光アッセイにおいて使用され得るアクリジニウム化合物である。
第1の特異的結合パートナー−NGAL−第2の特異的結合複合体の形成の後、当技術分野において知られている任意の技術を用いて、(標識されているか標識されていないかにかかわらず)全ての非結合の第2の特異的結合パートナーが複合体から除去される。例えば、非結合の第2の特異的結合パートナーは、洗浄によって除去され得る。
過酸化水素は、上記のアクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物によって標識された第2の特異的結合パートナー)の添加の前に、同時に、またはその後で、混合物においてインサイチュで生成され得る、または混合物に提供もしくは供給され得る。
アクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物によって標識された第2の特異的結合パートナー)および過酸化水素の、混合物において提供される、または供給される、またはインサイチュで生成されるタイミングおよび順序は重要でない。検出可能な標識によって標識された第2の特異的結合パートナーおよび試験試料を加えて第2の混合物を形成した後、第1の特異的な結合パートナー−自己抗体−第2の特異的結合パートナー複合体が形成する。
(上記の)試料への、アクリジニウム、例えばアクリジニウム−9−カルボキサミドまたはアクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルの添加、および少なくとも1種の塩基性溶液の同時またはその後の添加の際、自己抗体の存在を示す検出可能シグナル、すなわち化学発光シグナルが生成される。生成された化学発光シグナルは、当業者に知られている常法に従う技術を用いて検出され得る。
検出可能な標識によって標識された全ての非結合の第2の特異的結合パートナーが除去された後、検出可能な標識から検出可能シグナルが生成または放出され、次いで測定される。検出可能な標識からシグナルを生成させ、得られた生成シグナルを測定するための方法は、当業者に周知である。例えば、化学発光シグナルは、塩基性溶液の添加の後に生成され得る。生成されたシグナルの強度に基づいて、試験試料中のNGALのアイソフォームの量が定量され得る。具体的には、試験試料中に含まれているNGALのアイソフォームの量は、生成されたシグナルの強度に比例する。具体的には、存在しているNGALのアイソフォームの量は、生成された光の量をNGAL(もしくはこの断片)についての標準曲線と比較することに基づいて、または参照標準との比較によって定量され得る。標準曲線は、質量分析によって、重量測定によって、および当技術分野において知られている他の技術によって、既知濃度のNGAL(またはこの断片)の連続希釈物または溶液を用いて生成され得る。
任意の適切な対照組成物がNGALイムノアッセイにおいて使用され得る。一般に、対照組成物は、アッセイされる少なくとも1つのNGALアイソフォームおよび任意の所望の添加物を含む。NGALの複数のアイソフォームがアッセイされる場合、NGALアイソフォームは単一の対照組成物において組み合わせられ得、または必要に応じて別々に保持され得る。成熟した組換え産生ヒトNGAL(rhNGAL)は、Medical&Biological Laboratories Co.,Ltd.(MBL;Japan)から商業的に入手可能である。hNGALは、E.コリにおいて組換え発現させる。
従って、試験試料中の抗NGAL抗体(またはこの断片)と反応する少なくとも1種のNGALアイソフォーム(またはこの断片)の存在、量または濃度を決定する方法が提供される。この方法は、抗NGAL抗体((またはこの断片)と反応する少なくとも1種のNGALのアイソフォーム(またはこの断片)について試験試料をアッセイすることを含む。このアッセイは、抗NGAL抗体(またはこの断片)および少なくとも1種の検出可能な標識を用いる。このアッセイは、試験試料中の抗NGAL抗体(またはこの断片)と反応する少なくとも1種のNGALのアイソフォームの存在、量または濃度の直接的もしくは間接的な指標として検出可能な標識によって生成されたシグナルを、対照または較正物質中の、NGALのアイソフォーム(またはこの断片)の存在、量または濃度の直接的もしくは間接的な指標として生成されたシグナルと比較することを含む。較正物質は、必要に応じて、較正物質の各々の抗NGAL抗体(またはこの断片)と反応するNGALのアイソフォームの濃度が一連の較正物質中の他の較正物質と異なる、一連の較正物質の一部である。各一連の較正組成物がNGALの単一の(または全てより少ない)アイソフォームのみを含有する程度まで、較正組成物の複数の一連の較正組成物、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは7つの一連の較正組成物が使用され得る。
この方法は、自動化システムまたは半自動化システムにおける使用に適合させることが可能である。
方法は、(i)検出可能な標識を含み、NGALのアイソフォーム(またはこの断片)に結合している抗NGAL抗体(またはこの断片)に試験試料を接触させて、抗NGAL抗体(またはこの断片)/NGAL複合体を形成させること、および
(ii)(i)において形成された抗NGAL抗体(またはこの断片)/NGAL複合体中において検出可能な標識によって生成されたシグナルを検出または測定することによって、試験試料中の、抗NGAL抗体(またはこの断片)と反応する少なくとも1種のNGALアイソフォームの存在、量または濃度を決定することを含むことができる。好ましくは、検出可能な標識は、アクリジニウム化合物、例えば、アクリジニウム−9−カルボキサミドまたはアクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルである。
方法は、(i)抗NGAL抗体(またはこの断片)/NGAL複合体を形成するように、少なくとも1種のNGALのアイソフォームに結合し、固相上に必要に応じて固定された抗NGAL抗体(またはこの断片)に試験試料を接触させること、(ii)検出可能な標識を含み、NGALに結合する少なくとも1種の検出抗体に抗NGAL抗体(またはこの断片)/NGAL複合体を接触させて、抗NGAL抗体(またはこの断片)/NGAL/検出抗体複合体を形成させること、および(iii)(ii)において形成された抗NGAL抗体(またはこの断片)/NGAL/検出抗体複合体において検出可能な標識によって生成されたシグナルを検出または測定することによって、試験試料中の、NGALのアイソフォームの存在、量または濃度を決定することを含むことができる。必要に応じて、方法は、段階(i)の後で非結合のNGALを除去すること、および段階(ii)の後で非結合の少なくとも1種の検出抗体を除去することを更に含む。
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体(それぞれmAbおよびpAb)は、当技術分野において知られている方法に従ってイムノアッセイにおける使用のために作製することができる。例えばアジュバントを含む組成物中の、NGALのアイソフォーム(またはこの断片)、例えば、組換えにより作製されたNGALのアイソフォーム(またはこの断片)、特に、組換えにより作製されたヒトNGALのアイソフォーム(またはこの断片)は、宿主動物、例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、モルモットまたはウマの、1つ以上の部位に注射され得る。更なる注射を規則的または不規則な間隔で同一または他の部位に行い、その後放血を行って、抗体力価を、最適な力価が達されたと判定されるまで評価する。抗体は、宿主動物を放血させて大量の抗血清を得ることによって、または体細胞ハイブリダイゼーション技術もしくは当技術分野において知られている他の技術によって得られる。例えば、不死化細胞、例えば骨髄腫細胞による標準体細胞融合手法によって抗体産生細胞を融合してハイブリドーマ細胞を得ることができる。かかる技術は当技術分野において周知であり、それらの技術としては、例えば、Kohler and Milstein、Nature 256:495−497(1975))によって最初に開発されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbarら、Immunology Today 4:72(1983))およびヒトmAbsを作製するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R.Liss,Inc.77−96頁(1985))が挙げられる。モノクローナル抗体ハイブリドーマを作製するための技術は、当業者に周知である(例えば、Kenneth,in Monoclonal Antibodies:A New Dimension in Biological Analyses、Plenum Pub.Corp.、New York(1980)を参照されたい)。代替として、抗NGAL抗体は、多くの供給源の内のいずれか1つ、例えば、とりわけR&D Systems(Minneapolis、MN)から商業的に得ることができる。
サンドイッチイムノアッセイフォーマットにおいて、典型的には少なくとも2種の抗体を用いて、対象となる分析物、この場合はNGALのアイソフォーム(またはこの断片)を分離し、定量する。更に具体的には、2種の抗体は、対象となる分析物上の異なるエピトープと結合し、それによって「サンドイッチ」と呼ばれるもの、すなわち、抗体−分析物−抗体を形成する。対象となる分析物に結合し、対象となる分析物との接触の前または後に典型的には基質に結合する1種以上の抗体は、「捕捉抗体」または「複数種の捕捉抗体」と呼ばれ、一方、標識され、捕捉抗体が結合した分析物と結合する1種以上の他の抗体は、「検出抗体」、「複数種の検出抗体」、「コンジュゲート」または「複数種のコンジュゲート」と呼ばれる。好ましくは、分析物への1つの抗体の結合は、分析物へのいずれの他の抗体の結合とも干渉しない。また、好ましくは、少なくとも捕捉抗体は、試料中に存在すると思われる分析物、すなわちNGALのアイソフォーム(またはこの断片)の最大量のモル過剰量で存在する。検出抗体は、典型的には分析物−捕捉抗体複合体との接触の前に標識されるが、検出抗体は、分析物−捕捉抗体複合体の形成と同時に、またはその後に続いて標識され得る。
一般的に言って、NGALのアイソフォーム(またはこの断片)についてアッセイされる(例えば、NGALまたはこの断片を含有することが推測される)試験試料に、少なくとも1種の捕捉抗体(または抗体)および(第2の検出抗体または第3の検出抗体のいずれかである)少なくとも1種の検出抗体を、同時または逐次的に、任意の順序で接触させることができる。例えば、試験試料に、最初に少なくとも1種の捕捉抗体を接触させ、次いで少なくとも1種の検出抗体を(逐次的に)接触させることができる。代替として、試験試料に、最初に少なくとも1種の検出抗体を接触させ、次いで少なくとも1種の捕捉抗体を(逐次的に)接触させることができる。更に別の代替において、試験試料を捕捉抗体および検出抗体に同時に接触させることができる。
サンドイッチアッセイフォーマットにおいて、NGALのアイソフォーム(またはこの断片)を含有することが推測される試験試料を、第1の抗体/NGAL(またはこの断片)複合体の形成を可能にする条件下で少なくとも1種の第1の捕捉抗体に最初に接触させる。複数の捕捉抗体が用いられる場合、第1の多重捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)複合体が形成される。サンドイッチアッセイにおいて、抗体、好ましくは少なくとも1種の捕捉抗体は、試験試料中において予想されるNGAL(またはこの断片)の最大量のモル過剰量で使用される。例えば、緩衝液(例えば、微粒子コーティング緩衝液)1mL当たり約5μg/mLから約1mg/mLの抗体が使用され得る。
1種の抗体のみによる結合が必要とされるという理由から小さい分析物を測定するために用いられる競合的阻害イムノアッセイは、逐次的および古典的なフォーマットを含む。逐次的な競合的阻害イムノアッセイにおいて、対象となる分析物に対する捕捉モノクローナル抗体は、マイクロタイタープレートのウェル上に被覆される。対象となる分析物を含有する試料がウェルに加えられる場合、対象となる分析物は捕捉モノクローナル抗体に結合する。洗浄後、既知量の標識された(例えば、ビオチンまたはホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP))分析物は、ウェルに加えられる。酵素標識のための基質は、シグナルを生成するために必要である。HRPのための適切な基質の例は、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)である。洗浄後、標識された分析物によって生成されたシグナルが測定され、試料中の分析物の量に反比例する。古典的な競合的阻害イムノアッセイにおいて、対象となる分析物に対するモノクローナル抗体は、マイクロタイタープレートのウェル上に被覆される。しかし、逐次的な競合的阻害イムノアッセイと異なり、試料および標識された分析物は、同時にウェルに加えられる。試料中のいかなる分析物も、捕捉モノクローナル抗体への結合について、標識された分析物と競合する。洗浄後、標識された分析物によって生成されたシグナルが測定され、試料中の分析物の量に反比例する。
必要に応じて、試験試料に少なくとも1種の捕捉抗体(例えば、第1の捕捉抗体)を接触させる前に、少なくとも1種の捕捉抗体を、試験試料からの第1の抗体/NGAL(またはこの断片)複合体の分離を容易にする固体支持体に結合させることができる。捕捉抗体が結合する基質は、試料からの捕捉抗体−分析物複合体の分離を容易にする任意の適切な固体支持体または固相であってもよい。例としては、プレートのウェル、例えばマイクロタイタープレート、試験管、多孔性ゲル(例えば、シリカゲル、アガロース、デキストランもしくはゼラチン)、ポリマーフィルム(例えば、ポリアクリルアミド)、ビーズ(例えば、ポリスチレンビーズもしくは磁気ビーズ)、フィルタ/膜片(例えば、ニトロセルロースもしくはナイロン)、微粒子(例えば、ラテックス粒子、磁化可能微粒子(例えば、酸化第二鉄コアもしくは酸化クロムコアを有し、ホモポリマーコートもしくはヘテロポリマーコートを有し、約1−10ミクロンの半径を有する微粒子)が挙げられる。基質は、抗原に結合するための適切な表面親和性を有し、検出抗体による接触を可能にする十分な多孔性を有する適切な多孔性材料を含むことができる。微孔性材料が一般に好ましいが、水和状態のゼラチン状材料が使用されてもよい。好ましくは、かかる多孔性基質は、約0.01から約0.5mm、好ましくは約0.1mmの厚みを有するシートの形態である。細孔径は非常に様々であってよいが、好ましくは、細孔径は約0.025から約15ミクロン、より好ましくは約0.15から約15ミクロンである。かかる基質の表面は、基質との抗体の共有結合を引き起こす化学プロセスによって活性化され得る。一般に疎水性力を通じた吸着による基質への抗原または抗体の非可逆的結合が起こるが、かかる結合がNGALのアイソフォームに結合する抗体の能力に干渉しないという条件で、代わりに化学カップリング剤または他の手段を用いて抗体を基質に共有結合させることができる。代替として、抗体は、(例えば、Power−Bind(商標)−SA−MPストレプトアビジンによって被覆された微粒子(Seradyn、Indianapolis、IN)を用いて)ストレプトアビジンもしくはビオチンによってまたは抗種特異的mAbsによって予め被覆された微粒子と結合させることができる。必要に応じて、基質を誘導体化させて、抗体上の様々な官能基との反応性を可能にすることができる。かかる誘導体化は、ある種のカップリング剤の使用を必要とするが、それらのカップリング剤の例としては、無水マレイン酸、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドが挙げられるが、これらに限定されない。所望により、各々がNGALの特定のアイソフォームに特異的である抗体(またはこれらの断片)等の1種以上の捕捉試薬を異なる物理的またはアドレス指定可能な位置の中(例えば、バイオチップ構成(例えば、米国特許第6,225,047号、国際特許出願公開第WO99/51773号、米国特許第6,329,209号、国際特許出願公開第WO00/56934号および米国特許第5,242,828号を参照されたい)のにおける等の固相に付着させることができる。捕捉試薬を固体支持体としての質量分析プローブに付着させる場合、プローブに結合したNGALアイソフォームの量はレーザ脱離イオン化質量分析によって検出され得る。代替として、単一のカラムに異なるビーズを詰めることができ、これらのビーズを1種以上の捕捉試薬によって誘導体化させ、それによって単一の場所においてNGALの1つ以上のアイソフォームを捕捉する(抗体誘導体化ビーズベースの技術、例えば、Luminex(Austin、TX)のxMAP技術を参照されたい。)。
NGALのアイソフォーム(またはこの断片)についてアッセイされる試験試料を少なくとも1種の捕捉抗体(例えば、第1の捕捉抗体)に接触させた後、混合物は、第1の抗体(または多重抗体)−NGAL(またはこの断片)複合体の形成を可能にするために温置される。温置は、約4.5から約10.0のpH、約2℃から約45℃の温度で、約一(1)分間から約十八(18)時間、好ましくは約1から約24分間、最も好ましくは約4から約18分間の期間実施され得る。本明細書において記載されているイムノアッセイは、1つの段階で(試験試料、少なくとも1種の捕捉抗体および少なくとも1種の検出抗体が全て、逐次的にもしくは同時に反応容器に加えられることを意味する)または1つを超える段階、例えば2つの段階、3つの段階等で実施され得る。
(第1のまたは多重)捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)複合体の形成後、次いで、((第1のまたは多重)捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)/第2の抗体検出複合体の形成を可能にする条件下で)複合体を少なくとも1種の検出抗体に接触させる。少なくとも1種の検出抗体は、イムノアッセイにおいて使用される第2、第3、第4等の抗体であり得る。捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)複合体に複数の検出抗体を接触させる場合、次いで、(第1のまたは多重)捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)/(多重)検出抗体複合体が形成される。捕捉抗体(例えば、第1の捕捉抗体)と同様に、少なくとも第2の(および後続の)検出抗体を捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)複合体と接触させる場合、(第1のまたは多重)捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)/(第2のまたは多重)検出抗体複合体の形成のために、上記の条件と類似の条件下での温置の期間が必要とされる。好ましくは、少なくとも1種の検出抗体は、検出可能な標識を含有する。検出可能な標識は、(第1のまたは多重)捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)/(第2のまたは多重)検出抗体複合体の形成の前に、同時にまたはその後に、少なくとも1種の検出抗体(例えば、第2の検出抗体)に結合させることができる。当技術分野において知られているあらゆる検出可能な標識が使用され得る(Polak and Van Noorden(1997)およびHaugland(1996)を含む上記考察を参照されたい)。
検出可能な標識は、直接またはカップリング剤を介して抗体に結合させることができる。使用され得るカップリング剤の例は、Sigma−Aldrich、St.Louis、MOから商業的に入手可能なEDAC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、塩酸塩)である。使用され得る他のカップリング剤は、当技術分野において知られている。検出可能な標識を抗体に結合するための方法は、当技術分野において知られている。更に、CPSP−アクリジニウムエステル(すなわち、9−[N−トシル−N−(3−カルボキシプロピル)]−10−(3−スルホプロピル)アクリジニウムカルボキサミド)またはSPSP−アクリジニウムエステル(すなわち、N10−(3−スルホプロピル)−N−(3−スルホプロピル−アクリジニウム−9−カルボキサミド)等、抗体への検出可能な標識のカップリングを容易にする末端基を既に含有する多くの検出可能な標識を購入または合成することができる。
(第1のまたは多重)捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)/(第2のまたは多重)検出抗体複合体は、標識の定量の前に試験試料の残部から分離され得るが、そうしなければならないというわけではない。例えば、少なくとも1種の捕捉抗体(例えば、第1の捕捉抗体)を固体支持体、例えばウェルまたはビーズに結合させる場合、固体支持体との接触から(試験試料の)液体を除去することによって分離が達成され得る。代替として、少なくとも第1の捕捉抗体を固体支持体に結合させる場合、それにNGALアイソフォーム(またはこの断片)含有試料および少なくとも1種の第2の検出抗体を同時に接触させて、第1の(多重)抗体/NGAL(またはこの断片)/第2の(多重)抗体複合体を形成し、その後、固体支持体との接触からの液体(試験試料)の除去を行うことができる。少なくとも1種の第1の捕捉抗体を固体支持体に結合させない場合、(第1のまたは多重)捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)/(第2のまたは多重)検出抗体複合体は、標識の量の定量のために試験試料から除去する必要はない。
標識捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)/検出抗体複合体(例えば、第1の捕捉抗体/NGAL(またはこの断片)/第2の検出抗体複合体)の形成の後、複合体の標識の量は、当技術分野において知られている技術を用いて定量される。例えば、酵素標識を用いる場合、標識複合体を、発色等の定量可能な反応を与えるその標識用の基質と反応させる。標識が放射性標識である場合、その標識は、シンチレーションカウンタを用いて定量される。標識が蛍光標識である場合、その標識は、(「励起波長」として知られている)1つの色の光によって標識を刺激し、その刺激に応答して標識によって放出された(「発光波長」として知られている)別の色を検出することによって定量される。その標識が化学発光標識である場合、その標識は、視覚的にまたはルミノメータ、X線用フィルム、高速写真フィルム、CCDカメラ等を用いることによって、放出された光を検出して定量される。一旦、複合体中の標識の量が定量化されると、試験試料中のNGALアイソフォーム(またはこの断片)の濃度は、既知濃度のNGAL(またはこの断片)の連続希釈物を用いて生成された標準曲線を用いることによって決定される。アッセイされるNGALのアイソフォーム(またはこの断片)等の、NGAL(またはこの断片)の連続希釈物を用いる以外に、標準曲線は、重量測定によって、質量分析によって、および当技術分野において知られている他の技術によって生成され得る。
NGALアッセイは、遊離NGALアイソフォームに優先的に結合し、メタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)またはゼラチナーゼBに結合したNGAL等の結合したNGALアイソフォームを含まない捕捉抗体を利用するモノクローナル抗体サンドイッチを用いることができる。捕捉された遊離NGALの量は、アクリジニル化抗NGALモノクローナル抗体によって検出され得る。
FPIAは、競合的結合イムノアッセイの原理に基づく。蛍光標識された化合物は、直線偏光によって励起される際、その回転速度に反比例した偏光度を有する蛍光を放出する。蛍光標識トレーサー−抗体複合体が直線偏光によって励起する場合、発蛍光団は、光を吸収する時間および光を放出する時間の間に回転を余儀なくされるので、放出光は高度に偏光したままである。「遊離」トレーサー化合物(すなわち、抗体に結合していない化合物)が、直線偏光によって励起する場合、その回転は、競合的結合イムノアッセイにおいて生成された対応するトレーサー−抗体コンジュゲートよりずっと速い。FPIAは、特別な操作および廃棄を必要とする放射性物質がないので、RIAより有利である。更に、FPIAは、容易におよび迅速に実施され得る均一アッセイである。
方法は、試験試料を得た患者の治療的/予防的処置の有効性を診断、予測または評価することを更に含むことができる。方法が、試験試料を得た患者の治療的/予防的処置の有効性を評価することを更に含む場合、方法は、必要に応じて有効性を向上させるために患者の治療的/予防的処置を改変することを必要に応じて更に含む。
一般に、所定のレベルは、少なくとも1種のNGALのアイソフォームまたはこの断片ついて試験試料をアッセイした際に得られた結果を評価するための基準として用いられ得る。一般に、かかる比較を行う際、所定のレベルは、疾患、障害もしくは状態(例えば、心臓血管疾患または腎疾患)の特定のステージもしくはエンドポイントと、または特定の臨床的徴候と、分析物(例えば、自己抗体)の存在、量もしくは濃度との連関または関連が為され得るように十分な数の回数および適切な条件下で特定のアッセイを行うことによって得られる。典型的には、所定のレベルは、参照対象(または対象の集団)のアッセイによって得られる。
特に、疾患の進行および/または処置をモニタするために用いられる所定のレベルに関して、NGALのアイソフォームまたはこの断片の濃度または量は、「不変である」、「好ましい」(または「好ましく変更される」)または「好ましくない」(または「不利に変更される」)。
本明細書において使用されている「上昇」または「増加」という用語は、典型的なもしくは正常なレベルもしくは範囲(例えば、所定のレベル)より高い、または別の参照レベルもしくは範囲(例えば、以前のまたはベースライン時の試料)より高い試験試料中の濃度または量を指す。「下降」または「低下」という用語は、典型的なもしくは正常なレベルもしくは範囲(例えば、所定のレベル)より高い、または別の参照レベルもしくは範囲(例えば、以前のまたはベースライン時の試料)より高い試験試料中の濃度または量を指す。「変更」という用語は、典型的なもしくは正常なレベルもしくは範囲(例えば、所定のレベル)を超えて、または別の参照レベルもしくは範囲(例えば、以前のもしくはベースライン時の試料)を超えて変更(増加または減少)された試料の濃度または量を指す。
NGALのアイソフォームのための典型的なまたは正常なレベルまたは範囲は、標準的技法に従って定義される。幾つかの例におけるNGALアイソフォームのレベルが非常に低いので、実験誤差または標本分散によって説明することができない、典型的なもしくは正常なレベルもしくは範囲または参照レベルもしくは範囲と比較した何らかの正味の変化がある場合、いわゆる変更されたレベルまたは変更が生じたと考えることができる。従って、特定の試料中において測定されたレベルは、いわゆる正常な対象の類似の試料中において決定されたレベルまたはレベルの範囲と比較される。この状況において、「正常な対象」は、例えば、検出可能な腎臓の病状のない個体であり、(「対照」と称されることもある)「正常な」患者または集団は、例えば、検出可能な腎臓の病状を示さない患者または集団(複数可)である。更に、1種以上のNGALのアイソフォームが、ヒト集団の大部分において高いレベルで通常見出されない場合、「正常な対象」は、実質的な検出可能な増加または上昇した濃度または量の1種以上のNGALのアイソフォームのない個体であると考えることができ、(「対照」と称されることもある)「正常な」患者または集団は、1種以上のNGALアイソフォームの実質的な検出可能な増加または上昇した濃度または量を示さない患者または集団(複数可)である。「見かけ上正常な対象」は、NGALアイソフォームが評価されなかった、または評価されないでいる対象である。分析物が一般に検知されない(例えば、正常レベルがゼロであり、または正規母集団の約25から約75パーセント点の範囲内である。)が、試験試料中において検出される場合、ならびに分析物が正常レベルより高く試験試料中において存在する場合、分析物のレベルは「上昇する」と言われる。従って、とりわけ、本開示は、例えば、本明細書において定義されている腎疾患を有する、または心臓血管疾患もしくは腎疾患を有するリスクがある対象についてのスクリーニングの方法を提供するものである。
本明細書において記載されている試験方法の内のいずれかは、理学的検査を含むが限定されない1つ以上の他の試験および/または腎疾患の鑑別診断を可能にするための病歴の取得と共に実施され得る。これらの障害を診断する際に用いられる様々な試験およびパラメータは、当業者に周知である。更に、上記方法の内のいずれかは、無症状の対象、または腎疾患に関連する1つもしくは複数のリスク因子を有する、またはそれらの疾患の症状を有する対象の試料において実施され得る。
特定の実施形態において、対象が、好ましくないレベルの1種以上のNGALアイソフォームを有すると判定される場合、対象は、腎疾患の1つ以上の更なる指標、例えば、蛋白尿、血尿、血清クレアチン、シスタチンC、S−アデノシルホモシステイン、ホモシステイン、異常に高度なボディマスインデックス(BMI)、肥満および当技術分野において知られている他の指標について必要に応じて評価される。しかし、NGAL(またはこの断片)に対する好ましくないレベルの1種以上の自己抗体の以前の検出がなかった場合でも、かかる試験は必要に応じて実施され得る。
従って、対象が、心臓血管疾患もしくは腎疾患を有するか否か、または腎疾患を発生するリスクがあるか否かを決定するために、本明細書において記載されている方法を用いることもできる。具体的には、かかる方法は、
(a)(例えば、本明細書において記載されている方法または当技術分野において知られている方法を用いて)少なくとも1種のNGALのアイソフォーム(またはこの断片)の、対象の試験試料中の濃度または量を決定する段階、および
(b)段階(a)において決定された1種もしくは複数種のNGALのアイソフォームの濃度もしくは量が所定のレベルに対して好ましい場合、対象が、心臓血管疾患もしくは腎疾患を有さない、または心臓血管疾患もしくは腎疾患のリスクがないと判定される、段階(a)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォーム(もしくはこの断片)の濃度もしくは量を所定のレベルと比較する段階
を含むことができる。しかし、段階(a)において決定された1種もしくは複数種のNGALのアイソフォームの濃度もしくは量が所定のレベルに対して好ましくない場合、対象は、心臓血管疾患もしくは腎疾患を有する、または腎疾患のリスクがあると判定される。
更に、対象における疾患の進行をモニタする方法が、本明細書において提供される。最適には、方法は、
(a)少なくとも1種のNGALのアイソフォームの、対象の試験試料中の濃度または量を決定する段階、
(b)少なくとも1種のNGALのアイソフォームの、対象の後の試験試料中の濃度または量を決定する段階、および
(c)段階(a)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度もしくは量と比較した際に段階(b)において決定された濃度もしくは量が変化しない、または好ましくない場合、対象における疾患が継続した、進行したもしくは悪化したと判定される、段階(b)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度もしくは量を、段階(a)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度もしくは量と比較する段階
を含む。比較によって、段階(a)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量と比較した際に、段階(b)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量が好ましい場合、対象における疾患は、中断した、消退したまたは改善したと決定される。
必要に応じて、方法は、段階(b)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量を、例えば所定のレベルと比較することを更に含む。更に、必要に応じて、方法は、比較が、段階(b)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量が例えば所定のレベルに対して不利に変更されることを示す場合、ある期間にわたって1種以上の医薬組成物によって対象を処置することを含む。
なお更に、方法を用いて、1種以上の医薬組成物による処置を受けている対象における処置をモニタすることができる。具体的には、かかる方法は、1種以上の医薬組成物を対象に投与する前に対象から第1の試験試料を提供することを含む。次に、(例えば、本明細書において記載されている方法または当技術分野において知られている方法を用いて)少なくとも1種のNGALのアイソフォームの、対象の第1の試験試料中の濃度または量が決定される。少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量が決定された後、次いで、必要に応じて、少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量が所定のレベルと比較される。第1の試験試料中において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量が所定のレベルより低い場合、対象は、1種以上の医薬組成物で処置されない。しかし、第1の試験試料中において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量が所定のレベルより高い場合、対象は、ある期間にわたって1種以上の医薬組成物で処置される。対象が1種以上の医薬組成物で処置される期間は、当業者によって決定され得る(例えば、この期間は、約七(7)日間から約二年間、好ましくは約十四(14)日間から約一(1)年間であり得る。)。
1種以上の医薬組成物による処置中に、次いで第2のおよび後続の試験試料が対象から得られる。試験試料の数および前記試験試料が対象から得られた時間は、重要でない。例えば、対象に1種以上の医薬組成物を最初に投与した七(7)日後に第2の試験試料を得ることができ、対象に1種以上の医薬組成物を最初に投与した二(2)週間後に第3の試験試料を得ることができ、対象に1種以上の医薬組成物を最初に投与した三(3)週間後に第4の試験試料を得ることができ、対象に1種以上の医薬組成物を最初に投与した四(4)週間後に第5の試験試料を得ることができる、等である。
各第2のまたは後続の試験試料が対象から得られた後、少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量が、(例えば、本明細書において記載されている方法または当技術分野において知られている方法を用いて)第2のまたは後続の試験試料において決定される。次いで、第2のおよび後続の試験試料の内の各々において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量が、第1の試験試料(例えば、最初に、必要に応じて所定のレベルと比較された試験試料)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量と比較される。段階(a)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量と比較した際に段階(c)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量が好ましい場合、対象における疾患は、中断した、消退したまたは改善したと判定され、対象に段階(b)の1種以上の医薬組成物を投与することを継続するべきである。しかし、段階(a)において決定された少なくとも1種のNGALのアイソフォームの濃度または量と比較した際に段階(c)において決定された濃度もしくは量が変化しない、または好ましくない場合、対象における疾患は、継続した、進行したもしくは悪化したと決定され、より高濃度の、段階(b)において対象に投与された1種もしくは複数種の医薬組成物によって対象を処置するべきであり、または段階(b)において対象に投与された1種もしくは複数種の医薬組成物と異なる1種もしくは複数種の医薬組成物によって対象を処置するべきである。具体的には、対象は、対象がその対象のNGALアイソフォームレベルを低下または下降させるために事前に受けた1種以上の医薬組成物と異なる1種以上の医薬組成物によって処置され得る。
一般に、反復試験(例えば、疾患進行および/または処置に対する応答のモニタリング)を行うことができるアッセイのために、第2のまたは後続の試験試料は、対象から第1の試験試料を得た後の適時において得られる。具体的には、対象の第2の試験試料は、対象から第1の試験試料を得た数分後、数時間後、数日後、数週間後または数年後に得ることができる。例えば、第2の試験試料は、対象から第1の試験試料を得た約1分後、約5分後、約10分後、約15分後、約30分後、約45分後、約60分後、約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後、約7時間後、約8時間後、約9時間後、約10時間後、約11時間後、約12時間後、約13時間後、約14時間後、約15時間後、約16時間後、約17時間後、約18時間後、19時間後、約20時間後、約21時間後、約22時間後、約23時間後、約24時間後、約2日後、約3日後、約4日後、約5日後、約6日後、約7日後、約2週間後、約3週間後、約4週間後、約5週間後、約6週間後、約7週間後、約8週間後、約9週間後、約10週間後、約11週間後、約12週間後、約13週間後、約14週間後、約15週間後、約16週間後、約17週間後、約18週間後、約19週間後、約20週間後、約21週間後、約22週間後、約23週間後、約24週間後、約25週間後、約26週間後、約27週間後、約28週間後、約29週間後、約30週間後、約31週間後、約32週間後、約33週間後、約34週間後、約35週間後、約36週間後、約37週間後、約38週間後、約39週間後、約40週間後、約41週間後、約42週間後、約43週間後、約44週間後、約45週間後、約46週間後、約47週間後、約48週間後、約49週間後、約50週間後、約51週間後、約52週間後、約1.5年後、約2年後、約2.5年後、約3.0年後、約3.5年後、約4.0年後、約4.5年後、約5.0年後、約5.5年後、約6.0年後、約6.5年後、約7.0年後、約7.5年後、約8.0年後、約8.5年後、約9.0年後、約9.5年後または約10.0年後の時点において対象から得ることができる。上記のアッセイは、疾患進行をモニタするために用いられる場合、急性状態を患っている対象における疾患の進行をモニタするために用いられ得る。救急状態としても知られている急性状態は、例えば心臓血管系または排出系を含む急性の生命を脅かす疾患または他の危険な医学的状態を指す。典型的には、救急状態は、(救急室、集中治療部、外傷センターまたは他の緊急治療環境を含むが、これらに限定されない)病院をベースとする環境における緊急の医学的介入または医療補助者もしくは他の分野をベースとする医療従事者による管理を必要とするそれらの状態を指す。救急状態に対して、反復モニタリングが、一般に、より短い時間枠、すなわち、数分間、数時間または数日間(例えば、約1分間、約5分間、約10分間、約15分間、約30分間、約45分間、約60分間、約2時間、約3時間、約4時間、4約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間または約7日間)の中で行われ、同様の最初のアッセイが、一般に、より短い時間枠、例えば、疾患または状態の発症の約数分間、数時間または数日間の中で行われる。
また、アッセイは、慢性状態または非急性状態を患っている対象における疾患の進行をモニタするために用いることもできる。非救急状態または非急性状態は、例えば心臓血管系および/または排出系を含む急性の生命を脅かす疾患または他の危険な医学的状態以外の状態を指す。典型的には、非急性状態としては、より長期のまたは慢性の状態が挙げられる。非急性状態に対して、反復モニタリングが、一般に、より長い時間枠、例えば、数時間、数日間、数週間、数カ月間または数年間(例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約25週間、約26週間、約27週間、約28週間、約29週間、約30週間、約31週間、約32週間、約33週間、約34週間、約35週間、約36週間、約37週間、約38週間、約39週間、約40週間、約41週間、約42週間、約43週間、約44週間、約45週間、約46週間、約47週間、約48週間、約49週間、約50週間、約51週間、約52週間、約1.5年間、約2年間、約2.5年間、約3.0年間、約3.5年間、約4.0年間、約4.5年間、約5.0年間、約5.5年間、約6.0年間、約6.5年間、約7.0年間、約7.5年間、約8.0年間、約8.5年間、約9.0年間、約9.5年間または約10.0年間)で行われ、同様の最初のアッセイが、一般に、より長い時間枠、例えば、疾患または状態の発症の約数時間、数日間、数カ月間または数年間の中で行われる。
更に、上記のアッセイは、尿である、対象から得られた第1の試験試料を用いて実施され得る。次いで、必要に応じて、上記のアッセイは、血清または血漿等の尿以外のものである対象から得られた第2の試験試料を用いて反復され得る。第1の試験試料および第2の試験試料を用いたアッセイから得られた結果が比較され得る。その比較を用いて、対象における疾患または状態の状況を評価することができる。
更に、本発明の開示は、疾患(例えば、腎疾患)に罹患しやすい、または疾患を患っている対象にとって処置が有利であり得るかどうかを決定する方法にも関する。特に、本開示は、NGALコンパニオン診断方法および製品に関する。従って、本明細書において記載されている「対象における疾患の処置をモニタする」方法は、更に最適には、治療のための候補を選択または同定することを包含することもできる。
従って、特定の実施形態において、本開示はまた、腎疾患を有する、または心臓血管疾患もしくは腎疾患のリスクがある対象が治療のための候補であるかどうかを決定する方法をも提供する。一般に、その対象は、腎疾患の何らかの症状を経験している対象、ならびに腎疾患を有するまたは腎疾患のリスクがあると実際に診断されている対象、および/または本明細書において記載されている少なくとも1種のNGALのアイソフォームの好ましくない濃度もしくは量を示す対象である。
方法は、本明細書において記載されているアッセイを必要に応じて含み、分析物は1種もしくは複数種の医薬組成物による(例えば、特にNGALを含む作用機序に関連した医薬品による)、免疫抑制療法を用いるまたは免疫吸着療法による対象の処置の前および後に評価され、または分析物はかかる処置の後に評価され、分析物の濃度または量は所定のレベルに対して比較される。処置の後に認められた分析物の量の好ましくない濃度によって、更なるまたは継続した処置を受けることが対象に有利ではないことが確認され、一方、処置の後で認められた分析物の好ましい濃度または量によって、更なるまたは継続した処置を受けることが対象に有利であることが確認される。この確認は、臨床試験の管理および改善された患者ケアの提供の助けとなる。
本明細書におけるある種の実施形態は、腎疾患を評価するために用いられる際に有利であるが、一方でアッセイおよびキットを、他の疾患、障害および状態、例えば、癌、敗血症、ならびにNGALの評価を伴う可能性があるあらゆる疾患、障害または状態におけるNGALアイソフォームを評価するために必要に応じて用いることもできることは、言うまでもない。
より詳しくは、腎障害、腎疾患および腎傷害の評価(例えば、米国特許出願公開第2008/0090304号、米国特許出願公開第2008/0014644号、米国特許出願公開第2008/0014604号、米国特許出願公開第2007/0254370号および米国特許出願公開第2007/0037232号を参照されたい)の他に、本明細書において記載されているアッセイおよびアッセイ成分を、任意の他のNGALアッセイまたは1種以上のNGALアイソフォームの存在、量、または濃度の評価が有益であることを証明することができる任意の他の状況、とりわけ、例えば、癌関連アッセイ(例えば、一般に、またはより具体的には、膵癌、乳癌、卵巣/子宮癌、白血病、大腸癌および脳癌が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、米国特許出願公開第2007/0196876号を参照、また、米国特許第5,627,034号および米国特許第5,846,739号も参照されたい。)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、重症敗血症、敗血症性ショックおよび多臓器不全症候群(MODS)の診断(例えば、米国特許出願公開第2008/0050832号および米国特許出願公開第2007/0092911号参照、また、米国特許第6,136,526号を参照されたい)、血液学的適用(例えば、細胞型の推定)、子癇前症、肥満(代謝症候群)、インスリン抵抗性、高血糖、組織リモデリング((MMP−9と複合体を形成する場合)、例えば、米国特許出願公開第2007/0105166号および米国特許第7,153,660号を参照されたい。)、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症)、過敏性腸症候群(例えば、米国特許出願公開第2008/0166719号および米国特許出願公開第2008/0085524号を参照されたい。)、神経変性疾患、呼吸器疾患、炎症、感染症、歯周疾患(例えば、米国特許第5,866,432号を参照されたい。)および静脈血栓塞栓性疾患等の心臓血管疾患(例えば、米国特許出願公開第2007/0269836を参照されたい。)の評価において、必要に応じて用いることもできる。
更に、アッセイ希少試薬NGAL抗原、抗NGAL抗体およびNGALアッセイに関する、全て2007年10月19日に出願された米国仮特許出願第60/981,470号、米国仮特許出願第60/981,471号および米国仮特許出願第60/981,473号、ならびに全て2008年4月16日に出願された米国特許出願第12/104,408号(2009年7月9日に公開された、米国特許出願公開第2009/0176274号参照)、米国特許出願第12/104,410号(2009年10月29日に公開された、米国特許出願公開第2009/0269777号参照)および米国特許出願第12/104,413号(2009年5月14日に公開された、米国特許出願公開第2009/0124022号参照)の教示の内のいずれも、本明細書において記載されている方法およびキットにおいて適用することができ、上記に関するそれらの教示に関して参照により完全に各々組み込まれている。
キット
NGAL(またはこれらの断片)の1つ以上のアイソフォームについて患者尿試料をアッセイするためのキットもまた提供される。キットはNGALアイソフォーム(またはこれらの断片)について患者尿試料をアッセイするための1つ以上の成分およびNGALアイソフォーム(またはこれらの断片)について患者尿試料をアッセイするための説明書を含む。キットはNGALアイソフォーム(またはこれらの断片)についてイムノアッセイ、例えば、化学発光微粒子イムノアッセイにより患者尿試料をアッセイするための1つ以上の成分を含むことができる。例えば、キットは少なくとも1つの捕捉抗体および/または少なくとも1つの検出抗体を含むことができる。代替としてまたは更には、キットは、較正物質もしくは対照、例えば、精製されたもしくは必要に応じて凍結乾燥されたNGALアイソフォームおよび/またはアッセイを行うための少なくとも1つの容器(例えば、既に抗NGALモノクローナル抗体で被覆されていてもよいチューブ、マイクロタイタープレートもしくはストリップ)および/または緩衝液、例えば、アッセイ緩衝液または洗浄緩衝液(それらの内のいずれか1つは、濃縮溶液、検出可能な標識(例えば、酵素標識)用基質溶液または停止液として提供され得る。)を含むことができる。好ましくは、キットは、アッセイを実施するために必要な全ての成分、すなわち、試薬、標準、緩衝液、希釈剤等を含む。また、指示書は、1種以上のNGALアイソフォームを定量するための標準曲線または参照標準を作製するための指示書を含むこともできる。かかる指示書は、必要に応じて、印刷形態であることができ、またはCD、DVDもしくは他のフォーマットの記録媒体であることができる。
キット中において提供されるあらゆる抗体、例えばNGALに特異的な抗体は、検出可能な標識、例えば、発蛍光団、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色団、化学発光標識等を組み込むことができ、またはキットは、抗体を標識するための試薬もしくは抗体を検出するための試薬(例えば、検出抗体)および/または分析物を検出するための試薬もしくは分析物を標識するための試薬を含むことができる。抗体、較正物質および/または対照は、別々の容器中において提供され得、または適切なアッセイフォーマット中に、例えばマイクロタイタープレート中に予め分注され得る。
必要に応じて、キットは、品質管理成分(例えば、感受性パネル、較正物質および陽性対照)を含む。品質管理試薬の調製は、当技術分野において周知であり、種々の免疫診断製品のための添付文書上において記載される。感受性パネルのメンバーは、アッセイ性能特性を確立するために必要に応じて使用され、更に必要に応じて、イムノアッセイキット試薬の完全性およびアッセイの標準化の有用な指標である。
また、キットは、診断アッセイを行うためまたは品質管理評価を容易にするために必要とされる他の試薬、例えば、緩衝液、塩、酵素、酵素補助因子、基質、検出試薬等を必要に応じて含むこともできる。また、他の成分、例えば、試験試料の単離および/または処置のための緩衝液および溶液(例えば、前処置試薬)をキット中に含むこともできる。キットは、1種以上の他の対照を更に含むことができる。キットの成分の内の1種以上を凍結乾燥することができ、その場合、キットは、凍結乾燥された成分の再構成に適切な試薬を更に含むことができる。
キットの様々な成分は、必要に応じて、必要に応じて適切な容器、例えばマイクロタイタープレート中において提供される。キットは、試料を保持するまたは保存するための容器(例えば、尿試料のための容器またはカートリッジ)を更に含むことができる。適切な場合、キットは、必要に応じて、反応容器、混合容器および試薬または試験試料の調製を容易にする他の成分を含むこともできる。キットは、試験試料を得ることを助けるための1つ以上の器具、例えば、カップを含むこともできる。
好ましくは、検出可能な標識は、本明細書において記載されている少なくとも1種のアクリジニウム化合物である。キットは、少なくとも1種のアクリジニウム−9−カルボキサミド、少なくとも1種のアクリジニウム−9−カルボン酸アリールエステルまたは任意のそれらの組み合わせを含むことができる。検出可能な標識が少なくとも1種のアクリジニウム化合物である場合、キットはまた、過酸化水素の源、例えば、緩衝液、溶液、および/または少なくとも1種の塩基性溶液を含むこともできる。所望により、キットは、固相、例えば、磁性粒子、ビーズ、試験管、マイクロタイタープレート、キュベット、膜、足場分子、フィルム、濾紙、ディスクまたはチップを含むことができる。
方法およびアッセイキットの適合
キット(またはこの成分)、ならびに上記のアッセイによって試験試料中の1種以上のNGALのアイソフォーム(またはこの断片)の存在、量または濃度を決定する方法は、例えば米国特許第5,089,424号および米国特許第5,006,309号において記載されている、ならびに例えばARCHITECT(登録商標)としてAbbott Laboratories(Abbott Park、IL)により商業的に販売されている(固相が微粒子を含むものを含む)種々の自動化系および半自動化系における使用のために適合させることができる。
非自動化系(例えば、ELISA)と比較した自動化系または半自動化系間との間の差異の一部としては、(サンドイッチ形成および分析物の反応性に影響を及ぼし得る)第1の特異的結合パートナー(例えば抗NGAL抗体またはこの断片)が結合する基質、ならびに捕捉段階、検出段階および/または任意の場合による洗浄段階の長さおよびタイミングが挙げられる。ELISA等の非自動化フォーマットが、試料および捕捉試薬による相対的に長い温置時間(例えば、約2時間)を必要とする可能性があるのに対して、自動化フォーマットまたは半自動化フォーマット(例えば、ARCHITECT(登録商標)、Abbott Laboratories)は、相対的に短い温置時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)についてはおよそ18分間)を有する可能性がある。同様に、ELISA等の非自動化フォーマットは、コンジュゲート試薬等の検出抗体を相対的に長い温置時間(例えば、約2時間)温置する可能性があるのに対して、自動化フォーマットまたは半自動化フォーマット(例えば、ARCHITECT(登録商標))は、相対的に短い温置時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)についておよそ4分間)を有する可能性がある。
Abbott Laboratoriesから入手可能な他のプラットフォームとしては、限定されないが、AxSYM(登録商標)、IMx(登録商標)(例えば、参照により本明細書に完全に組み込まれている米国特許第5,294,404号を参照されたい)、PRISM(登録商標)、EIA(ビーズ)およびQuantum(商標)II、ならびに他のプラットフォームが挙げられる。更に、アッセイ、キットおよびキット成分は、他のフォーマット中において、例えば、電気化学的アッセイ系または他のハンドヘルドアッセイ系もしくはポイントオブケアアッセイ系において用いられ得る。本発明の開示は、例えば、サンドイッチイムノアッセイを行う商業的なAbbott Point of Care(i−STAT(登録商標)、Abbott Laboratories)電気化学的イムノアッセイ系に適用可能である。免疫センサ、ならびに使い捨て試験器具におけるそれらの製造方法および操作方法は、例えば、米国特許第5,063,081号、米国特許出願公開第2003/0170881号、米国特許出願公開第2004/0018577号、米国特許出願公開第2005/0054078号および米国特許出願公開第2006/0160164号(それらは、同じことに関するそれらの教示のための参照により完全に組み込まれている。)において記載されている。
特に、I−STAT(登録商標)系に対するNGALアイソフォームアッセイの適合に関して、以下の構成が好ましい。微小加工されたシリコンチップは、一対の金電流測定作用電極および銀−塩化銀参照電極を用いて製造される。作用電極の内の1つにおいて、固定化された捕捉抗体を有するポリスチレンビーズ(直径0.2mm)が、その電極の上にパターン化されたポリビニルアルコールのポリマーコーティングに接着される。このチップは、イムノアッセイに適切なフルイディクスフォーマットを有するI−STAT(登録商標)カートリッジ中に組み立てられる。カートリッジの試料保持チャンバの壁の一部に、アルカリホスファターゼ(または他の標識)によって標識された第2の検出抗体を含む層が存在する。カートリッジの液ポーチ内に、p−アミノフェノールリン酸塩を含む水性試薬がある。
操作時に、NGALアイソフォームを含有すると推測された試料は、試験カートリッジの保持チャンバに加えられ、カートリッジは、I−STAT(登録商標)リーダ中に挿入される。第2の抗体(検出抗体)が試料中に溶解した後、カートリッジ内のポンプ要素が、チップを含有する管路内に試料を押し出す。ここで、ポンプ要素が振動して、捕捉抗体、NGALアイソフォームおよび標識された検出抗体の間でのサンドイッチの形成を促進する。アッセイの最後から2番目の段階において、液体はポーチから管路の中に押し出されて、試料をチップから廃物チャンバの中に洗浄する。アッセイの最後の段階において、アルカリホスファターゼ標識は、p−アミノフェノールリン酸塩と反応してリン酸基を切断し、遊離したp−アミノフェノールを作用電極において電気化学的に酸化させる。測定された電流に基づいて、リーダは、埋め込まれたアルゴリズムおよび工場で決定された較正曲線によって試料中の少なくとも1種のNGALのアイソフォームの量または濃度を計算することができる。
更に、本明細書において記載されている方法およびキットは、イムノアッセイを実施するための他の試薬および方法を必ず包含することは言うまでもない。例えば、コンジュゲート希釈剤および/または較正物質希釈剤として、例えば洗浄のために、当技術分野において知られている緩衝液および/または用いるために容易に調製され得るもしくは最適化され得る緩衝液等の様々な緩衝液が包含される。例示的なコンジュゲート希釈剤は、ある種のキット(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)において用いられ、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩、タンパク質遮断剤、抗微生物剤および洗浄剤を含有するARCHITECT(登録商標)コンジュゲート希釈剤である。例示的な較正物質希釈剤は、MES、他の塩、タンパク質遮断剤および抗微生物剤を含有する緩衝液を含む、ある種のキット(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)において用いられているARCHITECT(登録商標)ヒト較正物質希釈剤である。
抗NGAL抗体医薬組成物
NGAL(またはこの断片)の特定のアイソフォームに特異的に結合する単離された抗体またはこの断片を含む医薬組成物も提供される。組成物は、各抗体がNGALの同じまたは異なるアイソフォームに結合する複数の抗体(またはこの断片)を含むことができる。組成物は、医薬的に許容し得る担体、希釈剤および/または賦形剤を含むこともできる。適切な担体、希釈剤および/または賦形剤は、当技術分野において周知である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、Gennaro(編)、Lippincott、Williams&Wilkins、Philadelphia、PA、2000を参照されたい)。必要に応じて、組成物は、更に、別の活性薬剤および/またはアジュバントを含む。医薬組成物は、必要に応じて、抗体、別の活性薬剤および/またはアジュバントが同じまたは異なる容器中に存在し得る1つ以上の容器を含むキットの部分である。
抗体に対するヒト患者による応答を最小化するために、キメラおよびヒト化抗体等の抗体の組換え形態を医薬組成物において使用することができる。非ヒト対象において産生される抗体または非ヒト抗体遺伝子の発現に由来する抗体がヒトにおいて治療的に使用される場合、これらは、外来物として様々な程度で認識され、免疫応答が患者において生じ得る。この免疫反応を最小化または排除するためのあるアプローチは、キメラ抗体誘導体、すなわち非ヒト動物可変領域およびヒト定常領域を組み合わせる抗体分子を作製することである。かかる抗体は、元のモノクローナル抗体のエピトープ結合特異性を保持するが、ヒトに投与される場合、免疫原性がより低くなることがあり、従って、患者にとって忍容性である可能性がより高い。
当技術分野において知られている組換えDNA技術によって、キメラモノクローナル抗体が作製され得る。例えば、ヒト定常領域をコードする遺伝子によって非ヒト抗体分子の定常領域をコードする遺伝子が置換される(例えば、国際特許出願公開第PCT/US86/02269号、欧州特許出願第184,187号または欧州特許出願第171,496号を参照されたい)。
キメラ抗体は、抗原結合に関与しない可変領域の部分を、ヒト可変領域由来の同等部分で置き換えることにより、更に「ヒト化」され得る。「ヒト化」キメラ抗体の一般的な概説は、Morrison、Science 229:1202−1207(1985)およびOiら、BioTechniques 4:214(1986)において見出され得る。かかる方法は、重鎖または軽鎖の内の少なくとも1つから免疫グロブリン可変領域の全てまたは一部をコードする核酸配列を単離すること、操作することおよび発現させることを含む。次いで、ヒト化キメラ抗体をコードするcDNAまたはこの断片を適切な発現ベクターにクローニングすることができる。適切な「ヒト化」抗体は、代わりに、相補性決定領域(CDR)置換により作製され得る(例えば、米国特許第5,225,539号、Jonesら、Nature 321:552−525(1986)、Verhoeyenら、Science 239(4847):1534−1536(1988)およびBeidlerら、J.Immunol.141:4053−4060(1988)を参照されたい)。
ヒトNGALまたは抗原に反応するその断片に特異的な抗体(例えば、ハムスター抗体)の結合特異性を保持する「ヒト」抗体ポリペプチドダイマーを作製するために、エピトープインプリンティングを使用することもできる。簡潔に述べると、抗原に対する特異的結合がある非ヒト可変領域(VH)およびヒト定常領域(CH1)をコードする遺伝子をE.コリにおいて発現させ、ヒトVλ.Cλ遺伝子のファージライブラリを感染させる。次いで、ヒトNGALタンパク質への結合について、抗体断片を提示するファージをスクリーニングする。選択されたヒトVλ遺伝子をVλ.Cλ.鎖の発現のために再クローニングし、これらの鎖を有するE.コリにヒトVHCH1遺伝子のファージライブラリを感染させ、抗原で被覆したチューブによる一連のスクリーニングにこのライブラリを供する(例えば、国際特許出願公開第WO93/06213号を参照されたい)。
動物への投与のために、医薬組成物は、様々な経路による投与のために処方され得る。例えば、組成物は、経口、局所、直腸もしくは非経口投与のため、または吸入もしくは噴霧による投与のために処方され得る。本明細書において使用される「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内および胸骨内注射および注入技術を包含する。異なる投与経路に適切な様々な診断組成物および医薬組成物、ならびに医薬組成物の調製方法は当技術分野において知られており、例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」(以前は「Remington’s Pharmaceutical Sciences」);Gennaro,A.、Lippincott、Williams&Wilkins、Philadelphia、PA(2000)に記載されている。医薬組成物は、ヒト等の動物における様々な状態の処置において使用され得る。
医薬組成物は、好ましくは、治療的または予防的有効量の1種以上の抗NGAL抗体(またはこれらの断片)を含む。本明細書において使用される「治療的または予防的有効量」という用語は、標的とされた疾患もしくは状態を処置する、軽減する、発症を阻害する、進行を遅延させるもしくは遅らせる、または予防するために、または検出可能な治療または予防効果を示すために必要な抗NGAL抗体の量を指す。抗NGAL抗体の場合、治療的または予防的有効量は、例えば、細胞培養アッセイまたは動物モデル、通常、齧歯類、ウサギ、イヌ、ブタもしくは霊長類において、初期に推定され得る。動物モデルを使用して、適切な濃度範囲および投与経路を決定することもできる。次いで、かかる情報を使用して、ヒトを含めて、治療すべき動物における投与のための有用な用量および経路を決定することができる。
医薬組成物中に含まれ得る他の活性薬剤の例としては、インターロイキン−18(IL−18)、腎臓傷害分子−1(KIM−1)、シスタチンC、ならびに急性腎臓傷害の処置のための肝臓型脂肪酸結合タンパク質1(L−FABP1)および敗血症の処置のためのプロカルシトニンが挙げられるが、これらに限定されない。
NGAL(またはこの断片)の特定のアイソフォームに特異的に結合する少なくとも1種の抗体(またはこの断片)を含む医薬組成物は、治療用キットまたはパックとして提供され得る。キットの個々の成分は、別々の容器において包装され得、この容器に、適用可能な場合、医薬品もしくは生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形式における通知を添付することができ、この通知は、ヒトまたは動物投与のための製造、使用または販売の機関による承認を示す。キットは、少なくとも1種の抗体(またはこの断片)を含む医薬組成物と併用するための1種以上の他の活性薬剤を必要に応じて更に含有することができる。キットは、少なくとも1種の抗体(またはこの断片)および/または更なる活性薬剤もしくはアジュバントを含む医薬組成物のための使用方法または投与レジメンを概説する指示書または説明書を必要に応じて含むことができる。
キットの1つ以上の成分が溶液、例えば水溶液または滅菌水溶液として提供される場合、容器手段は、それ自体で吸入器、注射器、ピペット、点眼器または他の同様の装置であってよく、容器手段から溶液を対象に投与することができ、またはキットの他の成分に適用し、混合することができる。
また、キットの成分は、乾燥または凍結乾燥形態において提供することもでき、キットは、凍結乾燥成分の再構成に適切な溶媒を更に含有することができる。容器の数または型と無関係に、キットは、患者への組成物の投与を助ける器具を含むこともできる。かかる器具は、吸入器、注射器、ピペット、鉗子、計量匙、点眼器または類似の医学的に承認された送達ビヒクルであり得る。従って、医薬組成物は、必要に応じて、抗体(またはこの断片)、別の活性薬剤および/またはアジュバントが同一でありまたは異なる容器中に存在し得る1つ以上の容器を含むキットの部分であり得る。
予防的または治療的処置方法
また、NGALの1つ以上のアイソフォームのアンタゴニストを治療的または予防的に必要とする患者を処置する方法も提供される。方法は、NGALの特定のアイソフォーム(またはこの断片)に特異的に結合する抗体(またはこの断片)等のNGALの1つ以上のアイソフォームの治療的または予防的有効量のアンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与することを含む。組成物は、医薬的に許容し得る担体、希釈剤および/または賦形剤を更に含む。必要に応じて、組成物は、別の活性薬剤および/またはアジュバントを更に含む。方法は、本明細書における「背景技術」において考察された通り、とりわけ、腎傷害または腎疾患、例えば、急性(例えば、IL−18、KIM−1、シスタチンCまたはL−FABP1と組み合わせて)または慢性腎傷害もしくは腎疾患、進行性腎不全、過敏性腸症候群、炎症、敗血症(例えば、プロカルシトニンと組み合わせて)および癌の処置において有用であることが分かり得る。適切な投与量、投与経路および投与の頻度は、当技術分野において知られている、および上記の用量設定等の常法通りの方法に従って決定され得る。
(実施例)
以下の実施例は、本開示を例示する役目をするものである。実施例は、決して、主張された本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本実施例は、集中治療におけるヒト患者から得られ、高レベルのNGALを含有した尿試料のプールにおけるNGALの濃縮について記載したものである。1つ以上の集中治療室からの試料を、Bioreclamation,Inc.、290 Duffy Ave、Hicksville、New York 11801(Catalog Number HMURINE−ICU)から収集および入手した。
尿試料の内の7つをプールし(約30mL)、10分間の回転によって混合した。混合物を2,400rpmで15分間遠心分離した。上清をデカントし、800μLの試料を除去し、2−8℃で終夜保存した。
試料を室温にし、pHを3.0に調整した。試料の初期pHが7.66であったので、2.92の最終pHを得るまで混合しながら試料に335μLの6N HClを滴下添加した。
次いで、試料を氷上に置き、試料の温度が5℃未満になるまで氷上で保持した。次いで、43.36mLのエタノール(EtOH、60%)を15分間にわたって試料に滴下添加した。試料をかき混ぜ、氷上に戻して30分間配置した。氷から取り除いた後、試料をかき混ぜて混合し、2つの50mLポリプロピレン遠心分離管内に注いだ。管を3,500rpmで30分間遠心分離した。
両管からの上清(尿/EtOH)をポリプロピレン瓶内にデカントした。酢酸亜鉛溶液(ZnOAc、1M)を酸性化された尿/EtOH上清に加えて20mMの終濃度とし、試料を30分間回転させて混合した。その後、試料を3,500rpmで30分間遠心分離した。上清をデカントした。再生緩衝液(50mM EDTA、pH5.0、2mL)をペレットに加え、管を回転させてペレットを溶解させた。
本実施例は、実施例1の「濃縮された試料」の更なる濃縮について記載する。
実施例1の濃縮された試料を、限外濾過バッファー交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび硫安沈殿を用いる様々な更なる濃縮戦略に供した。濃縮された試料の一部をサイズ排除クロマトグラフィーに供して、ARCHITECT(登録商標)(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)アッセイによって、この抽出物におけるNGAL活性がモノマーNGALタンパク質のサイズに相関する溶出性を有する単一サイズ集団として存在したことを確認した。
濃縮された試料の一部を限外濾過バッファー交換によって処理し、その後、サイズ排除クロマトグラフィーを行って、2DEによる分析のための更に濃縮した試料を得た。具体的には、これらのプロセスは、Millipore Ultra−4 10kDa限外濾過遠心装置(Millipore Biosciences、Temecula、CA)によるリン酸塩緩衝食塩水(PBS)バッファーマトリックスへの交換およびGE Healthcare Akta Purifierシステム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)上におけるGE Healthcare Superdex75カラムを通じたサイジングクロマトグラフィーを含んでいた。
濃縮された試料の別の一部を硫安沈殿によって処理し、その後、限外濾過バッファー交換を行った。NGALタンパク質を60%wt./volの濃度の硫酸アンモニウムの添加によって沈殿させ、2−8℃で16時間温置した。NGAL含有沈殿物を遠心分離し、得られたペレットを最小量のPBSに溶解させた。次いで、NGALタンパク質を含有するPBS再構成硫酸アンモニウム沈殿物を、Millipore Ultra−4 10kDa限外濾過遠心装置を使用してPBSの多くの交換によって処置し、2DEによる分析のための試料を得た。濃縮された試料の一部を、Millipore Ultra−4 10kDa 限外濾過遠心装置のみによるバッファー交換の後に2DEによって分析した。
本実施例は、実施例2の方法に従って更に濃縮されたNGALの試料の2DEについて記載する。
二次元電気泳動を用いて、実施例2の試料におけるNGALの電荷およびサイズの特性を決定した。NGAL活性のタンパク質アイソフォームの電荷(pI)およびサイズ(MW)の特性を、各試料に加えた内部較正標準に対する両次元における移動の相関によって決定した。2DEにおける全てのスポットの中のNGAL活性タンパク質を、精製された組換えヒトNGALタンパク質に対して増加させたモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の両方を使用してウエスタンブロットによって同定した。濃縮された試料に適用した濃縮プロセスに関係なく、NGAL活性のタンパク質アイソフォームの得られた電荷および粒度分布は同等であった。非NGAL活性タンパク質の量および型は、異なる濃縮プロセスの試料において変化したが、NGAL活性アイソフォーム分布は、全ての記載された濃縮方法にわたって一定のままだった。2DEゲルの分析への逐次的二重ブロット検出法の適用によって、濃縮されたタンパク質混合物におけるNGALの同一性が確認された。
NGALの5つのアイソフォームについて決定された、得られたpI値は、5.9、6.9、8.3、8.8および9.1であり、全て25−26kDaのMW範囲であった。NGAL活性アイソフォームについて決定された分子量値は、ヒトNGAL遺伝子によって翻訳されたモノマーポリペプチドの予測分子量に十分に相関した。しかし、ヒト尿から濃縮されたNGAL活性アイソフォームの電荷分布は、翻訳されたヒトNGALポリペプチドのポリペプチド配列または単純な翻訳後修飾形態について予測されたものよりはるかに酸性の範囲内に達した。
また、E.コリおよびマウス骨髄腫細胞培養物において産生させた組換えタンパク質等の非尿源由来のヒトNGALならびにヒト好中球から単離されたネイティブNGALの精製試料も同じ2DE方法によって分析した。これらの源の全てに由来するNGALタンパク質は、ヒト尿から濃縮されたNGALについて見られたNGALアイソフォームの同等の電荷分布を生じなかった。これらの代替の源に由来するNGALアイソフォームについての電荷測定値は、全てのpI=8.0を超えていた。
CHO細胞(すなわち、2007年1月23日に10801 University Boulevard、Manassas、VA 20110−2209におけるAmerican Type Culture Collection(ATCC)によって寄託され、ATCC受託番号PTA−8168を受けたCHO細胞系)において産生され、付けられたHis−タグ配列に対する金属イオン親和性を用いて精製された組換えヒトNGALの精製試料も同じ2DE方法によって分析した。この組換え試料のNGALアイソフォーム分布は、25.9−27.4kDaのMW範囲および5.6から9.1のpI範囲を有する7つの検出された種を示した。このCHO組換え源由来のNGALの他の調製物は類似のMW範囲を示したが、検出されたアイソフォームについてのpI値の幅および分布は調製物間において有意に変化した。
本実施例は、想定された健康なヒト患者から得られた尿試料のプールの前処置について記載したものである。
抽出、濃縮および2DE分析のための類似のプロセスを用いて、想定された健康なヒト対象から得られた尿試料のプール由来のNGALアイソフォームの電荷およびサイズの特性を明らかにする。この場合、総NGAL濃度は、実施例1の尿試料のプールにおいて明らかにされた濃度より有意に低いと予想されるので、大規模バッファー交換およびクロスフロー透析濾過系によるタンパク質濃縮を含む前処理段階は5kDaに適合し、0.6m縫工筋膜カセット(Sartorius AG、Goettingen、Germany)を抽出プロセスおよび濃縮プロセスの前に適用する。
本実施例は、NGALアイソフォームの単離、アミノ酸配列決定およびグリカン含有量について記載する。
より大規模な抽出、濃縮および2DE分離を用いて、アミノ酸配列およびグリカン含有量の決定のための十分な量の個々のNGALアイソフォームを得る。十分に確立したゲル内タンパク質分解および抽出法を用いて、その後LC/MS/MSまたは自動化されたN末端配列決定(エドマン分解)分析を行って、個々のNGALアイソフォームを表す2DEスポットからアミノ酸配列情報を直接得る。ゲル内グリコシダーゼ消化および抽出法を用いて、その後LC/MS/MSまたはグリカンプロファイリングおよび総単糖LC分析を行って、個々のNGALアイソフォームからグリカン構造情報も得る。2DEの分解された個々のNGALアイソフォームの量がアミノ酸またはグリカン組成分析に不十分である場合、より大きい量のNGALアイソフォームを分解するために、イオン交換または等電点電気泳動等の電荷に基づく分離を用いる調製用クロマトグラフィー方法を適用する。
この実施例は、NGALアイソフォームに特異的に結合するモノクローナル抗体の産生および配列決定について記載する。
NGALアイソフォームを尿から単離する。これらのアイソフォームを、SDS−PAGE、IEF、2DE、カラム等電点電気泳動またはこれらおよび他の方法の組合せによって相互に分離する。各アイソフォームの単離は、モノクローナル抗体の産生を確保するために完全である必要はない。
単離したら、分離されたアイソフォームをBALB/cマウスに筋肉内または腹腔内注射する。注射材料は、単離されたNGALアイソフォームまたは切り刻まれ、微粉砕されたゲルスライスの溶液であってよい。免疫化に応答するマウスを、ELISA、マイクロタイター、ウエスタンブロット、2次元ウエスタンブロットまたはドットブロットが挙げられるがこれらに限定されない多くの可能な試験のいずれかによって反応性について試験する。これらのマウスから脾臓を単離し、KohlerおよびMilsteinの方法の様々な変形を用いてB細胞をSp2/0Ag14マウス骨髄腫細胞に融合させる。2次元ウエスタンブロットを用いて、適切な抗体を産生する融合物をスクリーニングして、アイソフォームの内の1つまたはサブセットに特異的に結合する抗体を同定する。
適切な抗体を分泌する融合物が同定されたら、これらの融合物を、単一のモノクローナル抗体を分泌するクローンを作製するために限界希釈によってサブクローニングする。2次元ウエスタンブロットを用いてこれらのクローンを再度スクリーニングし、アイソフォームの単一のまたは限定されたサブセットに対する抗体を分泌するクローンの選択を確実にする。
最終的な選択されたクローンを、幾つかの商業的に入手可能なアイソタイプ同定アッセイの内のいずれかを用いてアイソタイプについて更にスクリーニングすることができる。特異的な亜型を有するモノクローナル抗体、例えばIgG1を、特定の目的のために、例えばF(ab’)2コンジュゲートとしての使用のために良好に適するように更に特異的に選択することができる。
任意の特定のモノクローナル抗体のアイソタイプが分かれば、そのモノクローナルの配列決定は、RT−PCR配列決定を介して達成される。抗体は、一般的な、一定の配列を有するので、抗体、ならびにコード配列の上流側および下流側の中の一般的なDNA配列は知られている。これらの配列は、PCR増幅およびDNA配列決定プライマーの情報源として役立ち得る。任意のモノクローナル抗体の配列を決定するための第1の段階は、モノクローナル抗体を分泌するクローン細胞からのメッセンジャーRNAの単離である。一旦RNAが単離されると、適切な下流の定常領域に相同な短いDNAまたはRNAプライマーを逆転写酵素と共に用いてRNAの特異的一本鎖DNAコピーを生成することができる。次いで、一般的な上流側プライマーと共にDNAポリメラーゼを用いて、モノクローナル抗体に特異的な特異的二本鎖cDNA(コピーDNA)を作製する。次いで、元の下流側および上流側プライマーまたは他の内部定常領域プライマーを、cDNAおよび耐熱性DNAポリメラーゼ、例えば、Taq DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼの組換え変異体、パイロコッカス(Pyrococcus)DNAポリメラーゼまたはパイロコッカスDNAポリメラーゼの組換え変異体と共に用いて、モノクローナル抗体に特異的な大量のcDNAを作製することができる。次いで、このcDNAを多くの商業的に入手可能なDNA配列決定キットの内のいずれかおよび適切な配列決定装置によって鋳型として用いて、モノクローナル抗体のDNA配列を決定することができる。モノクローナル抗体のアミノ酸配列、具体的には、モノクローナル抗体の可変領域は、普遍遺伝暗号を用いてDNA配列から推測することができる。
代替として、タンパク質分子のLC/MS/MSおよび衝突分解を用いてモノクローナル抗体のアミノ酸配列を決定することができる。この方法において、精製されたモノクローナル抗体をSDS−PAGEにおいて更に分離する。単離したバンドを、ゲルにおいてインサイチュで消化させ、またはゲルから溶離させ、トリプシン等の多くのプロテアーゼの内のいずれかによって消化させる。消化により、LCによって分離され、質量分析によって質量について分析され、質量分析装置内における衝突によって断片化され得るペプチドを作製する。次いで、既知の分解産物により、ペプチドおよびそれらのアミノ酸配列を同定することができる。複数のプロテアーゼを用いることによって、これらのペプチドを順序づけ、完全なまたはほとんど完全なアミノ酸配列を決定することができる。
明細書中において挙げられた全ての特許、特許出願刊行物、雑誌論文、教科書および他の刊行物は、本開示が関係する当業者の熟練度を示す。全てのかかる刊行物は、各個別の刊行物が具体的におよび個別に参照により組み込まれていることが示されているのと同じように、同程度に参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書において例示的に記載されている本発明は、本明細書において具体的に開示されていない任意の要素(複数可)または限定(複数可)の非存在下で、適切に実施され得る。従って、例えば、「含む」、「から実質的に成る」および「から成る」という用語のいずれかの本明細書における各例は、他の2つの用語のいずれかと置き換えることができる。同様に、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈によって明らかに表されない限り、複数の参照を含む。従って、例えば、「方法(the method)」に対する参照は、(本明細書において記載され、および/または、本開示を読んだ際に当業者に明らかとなる)その型の1つもしくは複数の方法および/または段階を含む。
用いられた用語および表現は、説明の用語として用いられるものであって、限定の用語として用いられるものではない。この点に関して、ある種の用語は、「定義」の下で定義され、それ以外の場合、「詳細な説明」における他の場所で定義、記載または考察され、全てのかかる定義、記載および考察は、かかる用語に帰することが意図される。また、かかる用語および表現の使用において、示されたおよび記載された特徴またはそれらの一部のいかなる均等物も除外することを意図するものでもない。更に、小見出し、例えば「定義」が「詳細な説明」において使用されているが、かかる使用は、参照を容易にするためのものに過ぎず、ある見出し内において行われた任意の開示をその見出しのみに限定することを意図するものではなく、1つの小見出しの下に為された任意の開示は、それぞれの全ての他の小見出し下における開示を構成することが意図される。
主張された本発明の範囲内で、様々な修飾が可能であることが認識される。従って、本発明は好ましい実施形態および任意の特徴の状況において具体的に開示されているが、本明細書に開示されている概念の修飾および変更を当業者が行使し得ることを理解すべきである。かかる修飾および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲内にあると考えられる。

Claims (13)

  1. 尿から濃縮され、約24.9kDaから約25.9kDaの分子量を有し、ならびに
    約5.9から約9.1の範囲にわたる等電点(pI)を有する複数のアイソフォームを含む濃縮好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)を含む組成物。
  2. NGALの少なくとも約5つのアイソフォームを含む、請求項1の組成物。
  3. NGALの少なくとも約5つのアイソフォームが、約5.9のpIを有するアイソフォーム、約6.7のpIを有するアイソフォーム、約8.3のpIを有するアイソフォーム、約8.8のpIを有するアイソフォームおよび約9.1のpIを有するアイソフォームを含む、請求項2の組成物。
  4. (i)(a)酸性化、(b)エタノールおよび酢酸亜鉛による抽出、および(c)電荷に基づいた分子の分離を行わない限外濾過バッファー交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または硫安沈殿によって、NGALを組換え産生するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から得られた組成物から濃縮され、(ii)約25.9kDaから約27.9kDaの分子量を有し、ならびに(iii)約5.6から約9.1の範囲にわたるpIを有する複数のアイソフォームを含む濃縮NGALを含む組成物。
  5. NGALの少なくとも約7つのアイソフォームを含む、請求項4の組成物。
  6. NGALの少なくとも約7つのアイソフォームが、約5.6のpIを有するアイソフォーム、約5.9のpIを有するアイソフォーム、約6.3のpIを有するアイソフォーム、約6.5のpIを有するアイソフォーム、約6.8のpIを有するアイソフォーム、約7.5のpIを有するアイソフォームおよび約9.1のpIを有するアイソフォームを含む、請求項5の組成物。
  7. NGALの複数のアイソフォームを含む組成物が得られる、電荷に基づいて分子を分離することなく尿中のNGALを濃縮することを含む、NGALの複数のアイソフォームを含む組成物を尿から得る方法。
  8. 尿から粒子状物質を除去すること、尿を酸性化すること、ならびにエタノールおよび酢酸亜鉛によって尿を抽出することを含む、請求項7の方法。
  9. 限外濾過バッファー交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または硫安沈殿によって、エタノールおよび酢酸亜鉛による抽出の後に尿を処置することを更に含む、請求項8の方法。
  10. NGALの複数のアイソフォームを含む組成物がNGALを組換え産生するCHO細胞から得られる、組成物を酸性化すること、およびエタノールおよび酢酸亜鉛により組成物を抽出することによって、電荷に基づいて分子を分離することなくNGALを組換え産生するCHO細胞から得られる組成物中のNGALを濃縮することを含む、NGALを組換え産生するCHO細胞からNGALの複数のアイソフォームを含む組成物を得る方法。
  11. 限外濾過バッファー交換、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または硫安沈殿によって、エタノールおよび酢酸亜鉛による抽出の後に組成物を処置することを更に含む、請求項10の方法。
  12. 尿から濃縮されたNGALアイソフォームが分析される、二次元電気泳動およびウエスタンブロットによって尿から濃縮されたNGALアイソフォームを含む組成物を分析することを含む、尿から濃縮されたNGALアイソフォームを分析する方法。
  13. NGALを組換え産生するCHO細胞から濃縮されたNGALアイソフォームが分析される、二次元電気泳動およびウエスタンブロットによってNGALを組換え産生するCHO細胞から濃縮されたNGALアイソフォームを含む組成物を分析することを含む、NGALを組換え産生するCHO細胞から濃縮されたNGALアイソフォームを分析する方法。
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