JP2012505387A - エストロゲンおよび抗エストロゲンマーカー遺伝子 - Google Patents
エストロゲンおよび抗エストロゲンマーカー遺伝子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012505387A JP2012505387A JP2011530390A JP2011530390A JP2012505387A JP 2012505387 A JP2012505387 A JP 2012505387A JP 2011530390 A JP2011530390 A JP 2011530390A JP 2011530390 A JP2011530390 A JP 2011530390A JP 2012505387 A JP2012505387 A JP 2012505387A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- genes
- gene
- expression
- compound
- estrogenic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/68—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
- C12Q1/6876—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
- C12Q1/6883—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
- C12Q1/6886—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/74—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving hormones or other non-cytokine intercellular protein regulatory factors such as growth factors, including receptors to hormones and growth factors
- G01N33/743—Steroid hormones
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q2600/00—Oligonucleotides characterized by their use
- C12Q2600/136—Screening for pharmacological compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q2600/00—Oligonucleotides characterized by their use
- C12Q2600/158—Expression markers
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N2333/00—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
- G01N2333/435—Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from animals; from humans
- G01N2333/705—Assays involving receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
- G01N2333/72—Assays involving receptors, cell surface antigens or cell surface determinants for hormones
- G01N2333/723—Steroid/thyroid hormone superfamily, e.g. GR, EcR, androgen receptor, oestrogen receptor
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Immunology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Pathology (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Urology & Nephrology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Zoology (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Hematology (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Oncology (AREA)
- Hospice & Palliative Care (AREA)
- Endocrinology (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
Abstract
Description
異なる構造を有する種々の化学物質クラスから生じるので、内分泌系に対するEACの作用が多様なメカニズムによって仲介されるということは驚くにあたらない。主要メカニズムは、核内レセプタースーパーファミリーに属し、遺伝子の転写を調節するステロイドホルモンレセプターと関連する。エストロゲンレセプターERαおよびERβは、多くの日常生活製品(例えば医薬、農薬または食品成分)を含むエストロゲン様化学物質の詳述されている標的である。全ての化合物はER依存遺伝子転写の仲介という類似性を共有するが、一般的な考え方では、植物エストロゲン(天然に存在する植物由来化合物の大きなファミリー)は一般に有益と考えられ、一方、合成EACは有害な作用を伴う。しかしながら、学術的研究はこの一般化された考えを支持しない。実験結果は多様な因子、例えば処置濃度、使用された種、組織または細胞タイプおよび内在エストロゲンの状態に左右される。それら生物学的作用の根幹に横たわるメカニズムのより深い理解のみがこの食い違いの理解に役立ち、ヒトおよび環境に対する関係の評価を助けることができる。
DESに関して見出されたエストロゲン性のための推定マーカー遺伝子の多くは、より低い程度でゲニステイン(GEN)、ジーラレノン(ZEA)、ビスフェノールA(BPA)、o.p’-ジクロルジフェニルトリクロルエタン(DDT)およびレスヴェラトール(RESV)によって調節され、このことは、これら化合物について報告されたエストロゲン様能力が低いことを裏付けている(Mueller et al. 2004 Toxicol Sci 80(1):14-25)。そのような低能力はリスク評価および実験動物からヒトへの低用量作用の外挿を複雑にし、エストロゲン性の評価および用量‐応答関係の概算のためにより感度の高い実験系が必要であることを示している。特に、BPAおよびDDTについての結果は熟慮の必要性に根拠を与える。なぜならば、GENおよびZEAよりも50から100倍高い用量においてさえ、マーカー遺伝子の調節は植物エストロゲンの場合よりもしばしば弱かったからである。
環境ホルモンの作用はエストロゲン様活性を有する化学物質を判定することによって検出できることが、最近になってUS2003/0008309A1で提唱された。遺伝子の部分または全体および/またはEST(発現配列タグ(Expressed Sequence Tag))(その発現はエストロゲン様活性を有する化学物質の影響を受ける)を含むDNAフラグメントがマイクロアレイの基板に固定される。しかしながら、従来技術は乳癌由来MCF-7細胞での発現レベルの変化に限定され、別個の発現プロファイルを編集することができない。
(a)表1の少なくとも1つの遺伝子を発現することができる細胞系またはそのサンプルを提供する工程であって、前記系が単細胞、細胞培養、組織、器官および哺乳動物の群から選択される、前記工程、
(b)前記系の少なくとも一部分をスクリーニングされるべき化合物とインキュベーションする工程、および
(c)前記表1 の少なくとも1つの遺伝子の前記系における発現をコントロールの細胞系における遺伝子発現と比較することによって活性を検出する工程。
(a)表1の少なくとも1つの遺伝子を発現することができる細胞系またはそのサンプルを提供する工程であって、前記系が単細胞、細胞培養、組織、器官および哺乳動物の群から選択される、前記工程、
(b)前記系の少なくとも一部分をスクリーニングされるべき化合物とインキュベーションする工程、および
(c)前記表1の少なくとも1つの遺伝子の前記系における発現をコントロールの細胞系における遺伝子発現と比較することによって活性を検出する工程。
本明細書で用いられる“複数の遺伝子”は、その発現が種々の組織、細胞または種々の条件下または生物学的状態下で変動する、同定されたまたは単離された遺伝子の群を指す。前記種々の条件は、一定の作用因子(外因性であれ内因性であれ)(ホルモン、レセプターリガンド、化合物などを含む)への暴露によって引き起こされ得る。複数の遺伝子の発現は一定のパターンを示す。すなわち、前記複数遺伝子の各遺伝子は、種々の条件下でまたは一定の内因性もしくは外因性物質に暴露されもしくは暴露されないで様々に発現される。各遺伝子の示差的発現の程度またはレベルは前記複数の遺伝子において多様であり得るが、本発明にしたがって定性的におよび/または定量的に決定することができる。本明細書で用いられる、遺伝子発現プロファイルは、種々のレベルで示差的に発現される複数の遺伝子を指し、遺伝子発現プロファイルは“パターン”または“プロファイル”を構成する。本明細書で用いられるように、“発現プロファイル”、“プロファイル”、“発現パターン”、“パターン”、“遺伝子発現プロファイル”および“遺伝子発現パターン”は相互に用いることができる。
本明細書で用いられるように、“エストロゲン様活性を有する化合物”はエストロゲンの生物学的作用の少なくともいくつかを示す物質であり、由来が内因性であれ外因性であれ、任意の因子、物質、化合物が該当し、前記はエストロゲンレセプターと結合および相互作用することができ、それによってエストロゲンの一定の生物学的作用を誘引することができる。当業者は、エストロゲンの生物学的作用の1つは例えばメスの生殖系の発生促進であることを理解していよう。エストロゲンの他の生物学的作用も書物に詳しく記載され考察されている。例えば、エストロゲンは、組織、例えば脳、肝臓、筋肉、骨細胞および胃(これらはエストロゲンレセプター遺伝子を発現する)に影響を及ぼすと考えられる。本発明の趣旨では、“抗エストロゲン様活性を有する化合物”は、上記に記載したエストロゲン様作用を逆方向に動かすことができる化合物を含む。
“エストロゲン”は、卵胞、胎盤などから分泌されるステロイド性化学物質であって、メスの生殖器官(例えば卵胞および乳腺)または他の器官の発生を誘発するホルモンに対する一般的用語である。
特に、細胞サンプルは試験される哺乳動物からin-vivoまたはin-situで採取される。前記細胞サンプルの回収は推奨医療実務(good medical practice)に従う。生物学的サンプルは任意の種類の生物種から採取することができるが、前記サンプルは特にヒト、ラットまたはマウスから採取され、より好ましくはヒトから採取される。そのような哺乳動物は、エストロゲン様活性を有する化合物をスクリーニングする場合はほとんどまたは全くエストロゲンを生成するべきではない。例えばアロマターゼノックアウト動物はエストロゲンを生成できない。循環エストロゲンの主要供給源は卵巣であるので、卵巣摘出は循環エストロゲンレベルを劇的に低下させる。したがって、ある実施態様では、卵巣摘出動物が用いられる。これとは反対に、抗エストロゲン様活性を有する化合物をスクリーニングする場合は、エストロゲン刺激細胞系が提供される。
細胞サンプルは、表1の少なくとも1つの遺伝子を発現することができる限り、単離された状態にあろうが培養中であろうが細胞株であろうが、任意のタイプの初代細胞または遺伝的に操作された細胞をいう。同じ機能を有する変種、変異体、または相同遺伝子配列の部分も保護範囲および定義の範囲に含まれることは理解されよう。本来の配列とその誘導体との間の変化の程度は、EACによって変化した遺伝子発現の要件によって必然的に制限される。好ましくは、相同性は少なくとも85%になる。可能な変化には、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、挿入、置換、改変および付加、または別の核酸との融合が含まれる。操作された細胞は、これらの遺伝子またはその部分を保有する適切なベクターを用いたトランスフェクションによってこれらの遺伝子を発現することができる。好ましくは、組換え細胞は真核細胞起源である。
細胞サンプルは、保存されるか(例えば凍結)、一定期間培養されるか、または直ちに工程(b)に付される。細胞サンプルをスクリーニングされるべき化合物とインキュベーションする前に、細胞サンプルを多数の部分に分割する。少なくとも2つの部分が提供される:1つをスクリーニングに用い、他方をコントロールとして供する。好ましくは、スクリーニング用部分の数はコントロール部分の数より多い。通常は、多数の部分が高処理スクリーニングに付される。
化合物は、標的分子と相互作用することができる生物学的および/または化学的構造物から構成される。ここでは、エストロゲンシグナリングのいずれの構成要素も“標的分子”と考えられるであろう。標的分子はエストロゲンレセプター標的に限定されないが、選択した遺伝子自体、または調節タンパク質もしくはその遺伝子産物、または前記遺伝子もしくはその遺伝子産物を含むシグナルトランスダクション経路の成分を含むことができる。結果として、化合物の特異的な相互作用は単なる標的到達または細胞機能の変化の誘発のどちらかを伴うか、または両方の作用を同時に含むこともできる。
“インキュベーション”という用語は、化合物を一定の期間細胞と接触させることを意味し、前記期間は化合物の種類および/または標的に左右される。インキュベーションプロセスはまた多様な他のパラメータ(例えば細胞タイプおよび検出の感度)に左右され、その最適化は当業者に公知の日常的手順にしたがう。インキュベーションの手順は化学的変換がなくても達成され得るが、生化学的反応を伴うこともできる。化学的溶液の添加および/または物理的手順(例えば熱衝撃)の適用によって、サンプル中での標的構造物の接近能力を改善できる。インキュベーションの結果として特異的なインキュベーション生成物が形成される。
結果として、本発明は、以下の工程によって、エストロゲン様活性を有する化合物の細胞性作用を予想する方法に関する:評価されるべき細胞から核酸サンプルを調製する工程、前記核酸サンプルをマイクロアレイと接触させる工程、マイクロアレイとハイブリダイゼーションする核酸を検出する工程、および工程(c)で検出された結果をコントロール細胞から調製された核酸サンプルを用いて検出された結果と比較する工程。
全RNAを用い、本発明の方法にしたがって当業界で周知の検出可能な標識を使用して標識標的を作製する。例えば、RNAをビオチンで標識し、アッセイで使用するcRNA標的を生成する。次に、鋳型として抽出したmRNAを用い、逆転写酵素(例えばSuperScript Reverse Transcriptase(GibcoBRL))および標識dNPT(例えばCy3-dUTPおよびCy5-dUTP(Amersham Pharmacia Biotech))を用いてcDNAを生成し、評価されるべき細胞内で発現された遺伝子の量を反映するcDNAサンプルを調製する。これによって標識cDNAがcDNAサンプルに含まれるようになる。標識として蛍光標識または放射能標識のどちらでも用いることができる。このようにして調製したcDNAサンプルを、その一本鎖変性形として下記で述べるマイクロアレイに適用し、cDNAサンプルに含まれるcDNAを基板に固定した遺伝子とハイブリダイズさせる。
核酸またはアナローグを固相または基板に結合させる。固相または基板という用語は本明細書では互換的に用いることができ、それらはガラス、プラスチック(例えばポリプロピレンまたはナイロン)、ポリアクリルアミド、ニトロセルロースまたは他の材料から作製できる。DNAフラグメントおよび陰性コントロール遺伝子を基板に固定するとき、一般的に知られている技術を用いることができる。例えば、基板の表面を多価陽イオン(例えばポリリジン)で処理し、基板の表面でそれらの荷電により静電気的にDNAフラグメントと結合させることができる。さらにまた、DNAフラグメントの5’末端を基板と共有結合させる技術も用いることができる。或いは、その表面にリンカーを有する基板を作製し、前記リンカーと共有結合を形成することができる官能基をDNAフラグメントの末端に導入する。リンカーと官能基との間で共有結合を形成することによって、DNAフラグメントを固定する。核酸を表面に結合させる好ましい方法はガラスプレートにプリントすることによる方法である。
最後に、マイクロアレイ上のDNAフラグメントとハイブリダイズしたcDNAを検出する。ハイブリダイズしたcDNAが蛍光標識されている場合には、蛍光は例えば蛍光レーザー顕微鏡およびCCDカメラを用いて検出され、蛍光強度はコンピュータにより解析される。同様に、ハイブリダイズしたcDNAが放射能標識されている場合には、検出はRI画像スキャナーなどを用いて実施でき、放射線の強度はコンピュータにより解析できる。
リアルタイムの定量的PCR(例えばRNA用)のための詳細なプロトコルが提供される。生物学的サンプル中の“mRNAレベル”は、細胞または生物学的サンプル中に存在するある遺伝子から転写されたmRNAの量に該当する。本発明の測定で有用な生物学的サンプル(例えば細胞または細胞培養)の生物学的状態のある局面はその転写の状態である。生物学的サンプルの転写の状態には、ある設定条件下での細胞内の構成RNA種(特にmRNA)の実体および豊富さが含まれる。好ましくは、生物学的サンプル中の全構成RNA種の相当な部分が測定されるが、問題の化合物を特徴付けるために少なくとも十分な部分が測定される。
プライマーは、増幅されるべき部位にフランキングする領域のヌクレオチド配列情報に基づいて設計される。プライマーは、長さが100から200塩基対の領域を増幅させるように設計することができる。核酸増幅方法には、PCR、好ましくはリアルタイムPCRが含まれるが、ただし前記に限定されない。mRNAレベルはまた本明細書に記載の他の方法によっても定量することができる。
TaqManプローブを用いる“リアルタイム定量PCR”の方法もまた当業界では周知である。TaqMan系アッセイはポリヌクレオチドの定量に適用できる。TaqMan系アッセイは、5’-蛍光色素および3’-消光物質を含む蛍光発生オリゴヌクレオチドプローブを用いる。このプローブはPCR生成物とハイブリダイズするが、それ自体は3’-末端の妨害物質のために伸長することができない。PCR生成物がその後のサイクルで増幅されるとき、ポリメラーゼ(例えばAmpliTaq)の5’-ヌクレアーゼ活性はTaqManプローブの切断をもたらす。この切断は5’-蛍光色素と3’-消光物質を分離させ、それにより増幅の関数として蛍光の増加がもたらされる。
他の適切な増幅方法には、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅、セルフサステイン配列複製、ドットPCRおよびリンカーアダプターPCRが含まれるが、ただしこれらに限定されない。
増幅核酸フラグメントの有無はまた、反応溶液を例えば一本鎖構造多形性(SSCP)解析のために電気泳動に付すことによってチェックすることができる。前記はキャピラリー電気泳動によって実施できる。しかしながら、他の方法の電気泳動、例えばゲル電気泳動もまた適用可能であり、当業者には公知である。
したがって、本発明は、上記で説明したアッセイによって遺伝子発現の変調を判定または測定することに関する。そのような変調は遺伝子発現の誘発または阻害に該当する。典型的には、遺伝子発現の変調は内因性または外因性因子もしくは物質によって引き起こされ得る。ある化合物の作用は当業者に公知の任意の手段によって測定することができる。例えば、発現レベルは、PCR、ノザンブロッティング、プライマー伸長、弁別表示技術などによって測定できる。発現の誘発(すなわちアップレギュレーション)は、個々の遺伝子の発現レベルにおける定性的または定量的に認知可能なまたは測定可能ないずれの増加も該当する。前記と反対に、発現の阻害(すなわちダウンレギュレーション)は、個々の遺伝子の発現レベルにおける定性的または定量的に認知可能なまたは測定可能ないずれの低下も該当する。発現レベルの測定は、生物学的サンプル中のRNA転写物を測定することができる任意の技術を用いて実施できる。これらの技術の例には、上記で考察したようにとりわけPCR、TaqMan、プライマー伸長、弁別表示およびヌクレオチドアレイが含まれる。調節の事例では、遺伝子産物濃度は、コントロール系における遺伝子産物濃度の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも25倍、もっとも好ましくは少なくとも40倍それぞれ過剰または過少であるということは、本発明のまた別の実施態様である。
本発明の各バイオマーカー遺伝子は本スクリーニング方法の範囲内で1つの単一マーカー遺伝子の使用を可能にする感度を示すが、エストロゲン性を検出するために2つ以上のマーカー遺伝子を適用することが好ましい。本発明の実施態様では、したがって工程(a)で提供される細胞系は、表1の少なくとも2つの遺伝子、好ましくは少なくとも10遺伝子、より好ましくは少なくとも25遺伝子、もっとも好ましくは少なくとも40遺伝子、極めて好ましくは72遺伝子を含む完全なパネルを発現することができる。したがって、表1の少なくとも2つの遺伝子、好ましくは少なくとも10遺伝子、より好ましくは少なくとも25遺伝子、もっとも好ましくは少なくとも40遺伝子、極めて好ましくは72遺伝子を含む完全なパネルの発現が工程(c)でコントロールの系における遺伝子の発現と比較される。本発明者らは、多数のエストロゲン性応答遺伝子の解析はスクリーニングの安定性を高め、単一遺伝子レポーターアッセイよりも広いエストロゲン様応答スペクトルをカバーすることによって誤りの割合を減少させることを示した。複数の遺伝子に関する先の教示は有効であり、表2および表3(表1のサブセットを表す)に限定されることなく適用できるが、ただし対応する好ましい複数の遺伝子は、“3個”ルールにしたがって計算しなおされることを条件とする。
本発明の別の好ましい実施態様では、表4の複数の遺伝子、より好ましくは少なくとも2つの遺伝子、もっとも好ましくは少なくとも10遺伝子、極めて好ましくは15遺伝子を含む完全なパネルが工程(a)および(c)の両方で適用される。もう一度繰り返せば、複数の遺伝子に関する先の教示は有効であり、表5および表6(表4のサブセットを表す)に限定されることなく適用できるが、ただし対応する好ましい複数の遺伝子は、“3個”ルールにしたがって計算しなおされることを条件とする。
本発明のより好ましい実施態様では、選択したマーカー遺伝子ALPP2、CEBPD、FOXD1、G0S2、NRIP1、PGRおよびPIM1の発現がコントロール系における遺伝子発現と比較される。本発明のもっとも好ましい実施態様では、表1および表4の全ての遺伝子の発現がコントロール系における遺伝子発現と比較される。同定した87遺伝子は全てのEAC処理に応答してイシカワプラスで類似の発現パターンを示し、一方、ICIはこれら遺伝子の発現規模を低下させるかまたは逆行させ、ER依存性調節を示唆した。エストロゲン様遺伝子調節はさておき、ビスフェノールA、o,p’-DDT、レスヴェラトロール、ジーラレノンおよびゲニステインはそれらの発現パターンについてICIとの類似性を示した。
本発明はまたスクリーニング方法の以下の実施態様を開示する:工程(a)で哺乳動物(好ましくは実験室用哺乳動物)が提供され、工程(b)でスクリーニングされるべき化合物が前記哺乳動物に提供され、さらに工程(c)で治療効果が、前記哺乳動物から回収した生物学的サンプルにおけるエストロゲン様または抗エストロゲン様活性レベルにより、非内分泌破壊作用および/または内分泌破壊作用を示す哺乳動物との比較で検出される。治療効果に関しては、定性的レベルが工程(c)に取り入れられる。“治療として適切な効果”は、疾患の1つまたは2つ以上の症状のある程度の緩和、または正常性への部分的もしくは完全な復帰、疾患もしくは病的状態に付随するまたはその原因である生理学的もしくは生化学的パラメータの復帰である。さらにまた、“治療的に有効な量”という表現は、この量を与えられていない対応する対象者と比較して、以下の結果を有する量を指す:治療の改善;疾患、症状、状態、不快、異常または副作用の治癒、予防または排除;または疾患、不快もしくは異常の進行の緩和。“治療的に有効な量”という表現はまた、正常な生理学的機能の増進に有効な量を包含する。いくつかの化合物の試験は、哺乳動物対象の治療に最適な化合物の選別を可能にする。選択化合物のin-vivoの投与割合は、便利にはそれら化合物のin-vitroデータに関する特異的細胞のエストロゲン性に対して前もって調節される。したがって治療有効性は飛躍的に増強される。
ある異常または状態に付随する遺伝子の発現を誘導または抑制する化合物の同定は、そのような異常または状態を予防、治療または管理するために治療的に有効な量で患者に投与できる医薬の開発をもたらすことができる。したがって、本発明はさらにまた、本発明の少なくとも1つの化合物および場合によって賦形剤および/またはアジュバントを含む医薬に関する。本発明の趣旨では、“アジュバント”は、同時に、同時期にまたは連続して投与されるならば本発明の活性成分に対する特異的応答を可能にし、強化しまたは改変する全ての物質を意味する。注射溶液のために公知のアジュバントは、例えばアルミニウム組成物(例えば水酸化アルミニウムまたはリン酸化アルミニウム)、サポニン(例えばQS21)、ムラミルジペプチドまたはムラミルトリペプチド、タンパク質(例えばガンマ-インターフェロンまたはTNF)、M59、スクォレンまたはポリオールである。結果として、本発明はまた、活性成分として本発明にしたがってスクリーニングされた少なくとも1つの化合物および/または生理学的に許容されるその塩の有効量を医薬的に耐え得るアジュバントと一緒に含む医薬組成物に関する。
さらにまた、活性成分は単独で、または他の処置と組み合わせて投与することができる。相乗作用は、医薬組成物で2つ以上の化合物を用いることによって達成できる。すなわち本発明のEACは活性成分として少なくとももう1つの物質と組み合わされる。活性成分は同時にまたは連続的に用いることができる。
医薬組成物は、所望される任意の適切な方法による、例えば経口(頬側または舌下を含む)、直腸、鼻内、局所的(頬側、舌下または経皮を含む)、膣または非経口的(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)方法による投与のために利用することができる。そのような処方物は、製薬業界で公知の全てのプロセスを用いて、例えば活性成分を賦形剤またはアジュバントと混合することによって製造することができる。
経口投与用に適合させた医薬処方物は、独立したユニット(例えばカプセルまたは錠剤);散剤または顆粒;水性または非水性の液体中の溶液または懸濁物;食用泡沫または泡沫食品;または水中油の液状エマルジョンまたは油中水の液状エマルジョンとして投与することができる。
カプセルは、上記に記載した散剤混合物を調製し、成形したゼラチンシェルに前記を充填することによって製造される。潤滑剤および滑沢剤、例えば薄く分散させたケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形のポリエチレングリコールを充填操作の前に散剤混合物に添加することができる。カプセル摂取後の医薬の利用性を高めるために、崩壊剤または可溶化剤、例えば寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムを同様に添加することができる。
経口投与のための投薬ユニット処方物は、所望の場合は、マイクロカプセルに被包化することができる。前記処方物はまた、例えばポリマー、ロウなどで粒状物質をコーティングまたは前記に包埋することによって、放出を引き延ばしまたは遅らせるように製造することができる。
本発明の化合物およびその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体をリポソームデリバリー系の形態、例えば小さな単層小胞、大きな単層小胞および多層小胞として投与してもよい。リポソームは種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンから形成することができる。
本発明の化合物およびその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体はまた、前記化合物分子を結合させたモノクローナル抗体を個々の担体として用いてデリバ−することができる。化合物はまた、標的誘導医薬の担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。そのようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリジン(パルミトイルラジカルによって置換)を含むことができる。化合物はさらにまた、医薬の制御放出を達成するために適切なあるクラスの生物分解性ポリマーと結合させることができる。前記生物分解性ポリマーは、例えばポリ酢酸、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーである。
経皮投与に適合させた医薬処方物は、レシピエントの表皮との長期の緊密な接触のために別個の膏薬として投与できる。したがって、例えば活性成分は、文献(Pharmaceutical Research, 1986, 3(6):318)に一般的に記載されているようにイオン泳動によって膏薬からデリバ−され得る。
局所投与に適合させた医薬化合物は、軟膏、クリーム、懸濁物、ローション、パウダー、溶液、ペースト、ジェル、スプレー、エーロゾルまたはオイルとして処方することができる。
眼への局所適用のために適合させた医薬処方物には、活性成分が適切な担体(特に水性溶媒)中に溶解または懸濁された眼薬が含まれる。
口への局所適用のために適合させた医薬処方物には、ロゼンジ、トローチおよび口内洗浄液が含まれる。
直腸投与のために適合させた医薬処方物は、座薬または浣腸の形で投与することができる。
鼻内投与のために適合させた、担体物質が固体である医薬処方物は、粒子サイズが粗い(例えば20−500ミクロンの範囲)粉末を含み、前記処方物は鼻で吸って、すなわち鼻の近くに保持した前記粉末を含む容器から鼻道を経由する急速吸入によって投与される。担体として液体を含む鼻道スプレーまたは鼻点滴としての投与に適切な処方物は、水または油に活性成分を含む。
吸入による投与のために適合させた医薬処方物は、微細粒状ダストまたは霧状物を含み、前記ダストまたは霧状物は、エーロゾル、ネブライザーまたは散布器を有する多様なタイプの加圧ディスペンサーによって生成される。
非経口投与のために適合させた医薬処方物には、抗酸化剤、緩衝剤、制菌剤および溶質(処方物を処置されるレシピエントの血液と等張にする)を含む水性および非水性無菌的注射溶液;並びに水性および非水性無菌的懸濁液(前記は懸濁媒体および膨張剤を含むことができる)が含まれる。前記処方物は、シングルドースまたはマルチドース容器(例えば封入アンプルおよびバイアル)で投与でき、さらに無菌的な担体液(例えば注射用水)の添加のみが使用直前に必要とされるように凍結乾燥状態で保存できる。本レシピにしたがって調製される注射溶液および懸濁液は、無菌的散剤、顆粒および錠剤から調製することができる。
上記に具体的に記述した成分の他に、処方物はまた、個々の処方物タイプに関して当業界で通常的な他の物質を含むことができることは言うまでもない。したがって、例えば経口投与に適した処方物は香料を含むことができる。
本発明の好ましい実施態様では、医薬組成物は経口的にまたは非経口的に、より好ましくは経口的に投与される。特に、活性成分は、水溶形(例えば医薬的に許容できる塩(酸および塩基付加塩の両方を含むことを意味する))で提供される。さらにまた、本発明の化合物およびその塩は凍結乾燥させることができ、生じた凍結乾燥物を用いて、例えば注射用調製物が製造される。表示の調製物は滅菌可能で、および/または補助物質、例えば担体タンパク質(例えば血清アルブミン)、滑沢剤、保存料、安定化剤、充填剤、キレート剤、抗酸化剤、溶媒、結合剤、懸濁剤、湿潤化剤、乳化剤、塩(浸透圧に影響を与えるため)、緩衝物質、着色剤、香料およびさらに別の1つ以上の活性物質、例えば1つ以上のビタミンを含むことができる。添加剤は当業界で周知であり、それらは多様な処方物で用いられる。
上記に記載した複数の遺伝子の同定は、状態の進行、症状または処置の判定のために強力なツールを提供する。特に、複数の遺伝子は、ある事象(例えば閉経、外科手術、治療スケジュールの開始、または治療スケジュールの完了)の前に患者で同定し、基準線の結果を提供することができる。続いてこの基準線をそのような事象中または事象後に同一方法を用いて得られた結果と比較することができる。この情報を診断および予後判定の両方の目的に用いることができる。
前述の医薬生成物の本発明の使用は特に治療的処置に用いられる。モニターするということは治療の一種と考えられ、化合物は、例えば応答の後押しおよびエストロゲン関連疾患の病因および/または症状の完全な根絶のために、好ましくは明瞭に間隔を空けて投与される。同一化合物または異なる化合物を適用することができる。本医薬はまた、発症の蓋然性を低下させるため、またはエストロゲンレセプターシグナリング関連疾患の開始を前もって防ぐためにさえも、または生じた症状および持続する症状を治療するためにも用いることができる。本発明の趣旨では、対象者が前述の生理学的または病理学的状態の必須条件のいずれか、例えば家族性傾向、遺伝的欠陥または既往症を有する場合には、予防的処置が推奨される。
本発明の目的はまた、エストロゲン様または抗エストロゲン様活性をもつ化合物をスクリーニングするためにマーカー遺伝子として表1の少なくとも1つの遺伝子を使用することである。本発明の別の目的はまた、化合物特異的にエストロゲン性を特徴付けるためにマーカー遺伝子として表1および場合によって表4の複数の遺伝子を使用することである。先のスクリーニング方法に関する本明細書の教示は有効であり、都合がよい場合には前記使用に関係なく適用できる。
特異的物質は、認識、結合および相互作用を可能にする態様で標的分子と相互作用することができる生物学的および/または化学的構造を含む。特に、前記物質は、核酸、ペプチド、炭水化物、ポリマー、50から1,000Daの分子量を有する小分子およびタンパク質の群から選択され、好ましくは核酸である。特異的物質は、信頼できる検出を担保するために十分な感度および特異性を示す。
“核酸”という用語は、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAの天然または合成ポリマーでそれぞれ合成、非天然または改変ヌクレオチドを含む(DNAまたはRNAポリマーに取り込まれ得る)ものを指す。各ヌクレオチドは、糖部分、リン酸基部分およびプリンまたはピリミジン残基のどちらかから成る。核酸は、好ましくは一本鎖もしくは二本鎖DNAまたはRNA、プライマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、DNA酵素、アプタマーおよび/またはsiRNA、またはその部分である。核酸は、場合によってホスホロチオエートDNA、ロックされた核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)またはスピーゲルマーとして改変され得る。
エストロゲン性特異的物質として用いられる特に好ましい核酸プローブはオリゴヌクレオチドプローブである。
特異的物質は標識することができ、標識する場合、その実施はそれら物質の固有の特色および適用される検出方法に左右される。特異的なインキュベーション生成物の検出のために、適用される方法は、モニターされる特異的なインキュベーション生成物に左右され、それらは当業者によく知られている。本発明の適切な検出方法の例は、蛍光、ルミネッセンス、VIS着色、放射線放出、電気化学的プロセス、磁気または質量分析である。
さらにまた、本発明はキットとして実施することができ、前記キットは、特にエストロゲン様または抗エストロゲン様活性を検出する本発明の方法を実施するために、表1の遺伝子によってコードされる少なくとも1つの遺伝子産物と特異的に相互作用する物質を含む。本発明のキットは、本発明の方法の実施の仕方について書かれた指示を含む物品、またはそのような書かれた指示に使用者を誘導する物品を含むことができる。ある実施態様では、キットはさらにまた、レポーター部分またはレポーター装置、好ましくは蛍光発光団または電場効果トランジスターを含む。さらにまた、キットは、核酸(好ましくはmRNA)を単離するための抽出試薬を含むことができる。先きのスクリーニング方法に関する本明細書の教示は有効であると考えられ、都合がよい場合には当該キットに関係なく適用することができる。
本発明のさらに別の目的は、表1から12のいずれかの複数の遺伝子のいずれか1つまたは2つ以上または前記の組合せを含む遺伝子チップに関する。
本発明は、本明細書に記載した具体的な方法、特定の物質、使用およびキットに限定されないことは理解されよう。なぜならば、そのような事柄はもちろん変動し得るからである。本明細書で用いられる専門用語は単に具体的な実施態様を記述する目的ためであり、本発明の範囲を限定しようとするものではないこともまた理解されよう(前記範囲は添付の請求の範囲によってのみ規定される)。本明細書(添付の請求の範囲を含む)で用いられるように、単語の単数形(例えば“a”、“an”および“the”)は、文脈が明らかに別の形を指定していないかぎり、それら単語の対応する複数形を含む。したがって、“a substance(「物質」)”といえば、1つまたはいくつかの別個の物質が含まれ、“a method(「方法」)”といえば、当業者に公知の等価の工程および方法を指し、以下同様である。特段の指定がないかぎり、本明細書で用いられる全ての技術用語および学術用語は、本発明が属する業界の業者が一般的に理解する同じ意味を有する。
本明細書に記載した方法および材料と等価のものを本発明の実施または試験で用いることができるが、適切な例を下記に記載する。以下の実施例は例示として提供し、限定として提供するものではない。これらの例では、夾雑活性を含まない標準的な試薬および緩衝物質が(実際的である場合は常に)用いられる。特に、これらの実施例は、明示された特色の組合せに限定されないが、それら具体化された特色は本発明の技術的問題が解決されるならば制限なく組み合わせることができると解釈されるべきである。
BPA: ビスフェノールA
DES: ジエチルスチルベストロール
DDT: o,p’-ジクロルジフェニルトリクロルエタン
EAC: 内分泌活性化合物
ER: エストロゲンレセプター
GEN: ゲニステイン
GO: 遺伝子オントロジー
hd: 高用量
ICI: ICI182,780
ld: 低用量
RESV:レスヴェラトロール
TLDA:TaqMan(商標)低密度アレイ
ZEA: ジーラレノン
DES(純度≧99%)、GEN(純度≧98%)、ZEA(純度≧99%)、RESV(純度>99%)、BPA(純度≧99%)およびペニシリン/ストレプトマイシン溶液はSigma-Aldrich(Taufkirchen, Germany)から購入し、o,p’-DDT(純度≧99%)はChem Service(West Chester, USA)から入手し、ICI182,780はTocris(Ellisville, USA)から入手し、DMEM/F12、ゲンタマイシンおよびピルビン酸ナトリウムはInvitrogen Corp.(Karlsruhe, Germany)から購入した。ウシ胎児血清(FBS)はBiochrome KG(Berlin, Germany)によりデリバ−され、デキストラン被覆木炭処理FBS(DCC/FBS)はHyclone(Lot AKD11642A, Perbio Science, Bonn, Germany)から入手した。
ヒトイシカワプラス細胞株(ECACC Order No. 99040201)はヒト子宮内膜腺癌由来で、内因性ERαを発現する。ER-欠損イシカワマイナス細胞株はK.Korach(NIEHS, NC, USA)から入手した(Ignar-Trowbridge et al. 1993, Mol Endocrinol 7(8):992-998)。細胞は、L-グルタミンおよび15mMのHepesを含むDMEM/F12(10%(v/v)FBS、1%(v/v)のペニシリン(10kU/mL)‐ストレプトマイシン(10mg/mL)溶液、0.1%(v/v)ゲンタマイシン(50mg/mL)および1mMピルビン酸ナトリウムを補充)で37℃および5%CO2にて培養フラスコで日常的に維持した。5x105の細胞を、L-グルタミンおよび15mMのHepesを含む無フェノールレッドDMEM/F12(10%(v/v)デキストラン被覆木炭処理FBS、ピルビン酸ナトリウムおよび抗生物質を含む)中、6ウェルプレートに播種した。担体コントロールとして0.5%(v/v)エタノールまたは2用量レベルの化合物による処理の前24時間、細胞を37℃および5%CO2で培養した(前記2用量は、レポーターとしてコンセンサスEREを用いてERαトランスアクチベーション実験からから選択した)(Mueller et al. 2004, Toxicol Sci 80(1):14-25)。
低用量(ld)レベルはレポーター遺伝子の最大活性化の半分を引き起こす化合物濃度(EC50)に一致し、一方、高用量(hd)は飽和活性における用量に該当する。以下の用量を実験のために選んだ:DES 0.05nM(ld)/1nM(hd)、GEN 200nM(ld)/1μM(hd)、ZEA 2.5nM(ld)/100nM(hd)、RESV 7.5μM(ld)/50μM(hd)、BPA 2μM(ld)/5μM(hd)、o,p’-DDT 4μM(ld)/10μM(hd)。細胞はまた、抗エストロゲンICI182,780(100nM)で、さらに高用量の試験化合物との組合せでも処理された。全ての実験は、3−25継代の細胞を用いて3回実施した。
24時間の処理時間後、細胞をPBS(Gibco Invitrogen, Karlsruhe, Germany)で洗浄して採集し、さらにRNeasyミニキット(QIAGEN, Hilden, Germany)を製造業者の記載のように用いて全RNAを抽出した(製造業者の記載にはQIAshredderスピンカラムの手順およびカラム上でのRNaseフリーDNase消化が含まれていた)。RNAを40μLのRNA保存溶液(Ambion, Darmstadt, Germany)で溶出させた。RNAの品質管理および定量は、NanoDrop(商標) 分光高度計(Kisker, Steinfurt, Germany)および2100 Agilent Bio-Analyzer(Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)を用いて実施した。1.9から2.1の品質比(A260/A280)を有し、ピーク分解(18s/28s)の形跡のないRNAのみを用いた。
遺伝子発現解析は、約23,000の転写物の解析を可能にする、Illumina Sentrix(商標) HumanRef-8 V2 ビーズチップアレイ(Illumina Inc., San Diego, CA, USA)を用いて実施した。ビオチン標識cRNAの合成は、Theonyx Liquid Performer(Aviso GmbH, Greiz, Germany)およびMessageAmpTM II RNA増幅キット(Ambion, Daemstadt, Germany)を用い、プロセスを最適化するためにIllumina社が要求するいくつかの改変を加えた自動化工程で実施した(Zidek et al. 2007, Toxicol Sci 99(1):289-302)。カラム洗浄の代わりに、ビーズをベースにしたAgencourt(商標) RNAcleanTMシステム(Beckman Coulter, Krefeld, Germany)を用いてcDNAおよびcRNAを精製した。cRNAの品質は分光高度計(NanoDrop(商標))により測定し、2100 Agilent Bio-Analyzerを品質判定に用いた。
750ナノグラムの増幅させたビオチニル化cRNAを、ハイブリダイゼーションカートリッジ内のIllumina Sentrix(商標) BeadChipで、湿潤状態にて20時間58℃(ハイブリダイゼーションオーブン、Illumina Inc., San Diego, CA, USA)でハイブリダイズさせた。続いて、このチップを洗浄し、1μg/mLのストレプトアビジン結合Cy3(Amersham Biosciences, Buckinghamshire, UK)で10分間染色し、さらに提供されたプロトコルにしたがって最後に遠心により乾燥させた。蛍光の検出は、Illumina(商標) ビーズアレイリーダー(Illumina, Inc., San Diego, CA, USA)を用い538nmおよび0.8μmの解像度で共焦点レーザースキャンによって実施した。
アレイデータの解析は、アレイ表面におけるマイクロビーズのランダムアッセンブリーのために画像スポットの解読で始まる多段プロセスである(Gunderson et al. 2004, Genome Res 14(5):870-877;Kuhn et al. 2004, Genome Res 14:2347-2356)。各ビーズタイプはアレイ当たり平均30倍となり、内部複製物を提供する(Steemers and Gunderson, 2005, Pharmacogenomics 6(7):777-782)。Illumina(商標) BeadStudioソフトを用いてこれらのデータを圧縮し、さらに種々のコントロールビーズパラメータを基にしてアレイの品質を確認した。
データの正規化および統計解析のために、データをGenedata’s Expressionist(商標) Analystソフト(Genedata AG, Basel, Switzerland)にアップロードした。Lowess(局部荷重直線回帰、Locally Weighted Linear Regression)を用いてデータを正規化し、サンプルとアレイ間の非生物学的相違(体系的変動)を相殺した。正規化の後で、それぞれ個々の化合物処理に対する倍数表示調節を算出した。200を超える(バックグラウンドレベル)任意のシグナル強度によるフィルタリングによって包括的遺伝子セットを減少させて、更なる解析時の多重試験の誤りの割合を減じた。
化合物特異的な弁別発現遺伝子の解明およびER依存性調節を示す遺伝子の選別のために、各化合物の遺伝子発現プロファイルを、個々におよび抗エストロゲンICIと組み合わせて担体コントロールに対して分散分析法(ANOVA)によって比較した。BH-Q-値(Benjamini and Hochbergの偽の発見率)をp-値に加えて有意さの測定として用いた(Benjamini and Hochberg 1995, JR Statist Soc 57(1):289-300)。したがって、0.01未満のp-値およびBH-Q-値を有する遺伝子のみを有意として受け入れた。Genedata’s Expressionist(商標)の非管理K-Meansクラスターアルゴリズムを用いて、選択した遺伝子をランダムに決定した種々の区分(クラスター)にグループ分けし、(抗)エストロゲン様遺伝子発現プロファイルの同定を容易にした(図2)。さらにまた、各化合物の有意に脱調節される遺伝子(p-値/BH-Q-値が0.01未満)による化合物間比較(cross-compound comparison)を、種々の処理実験についてのPearson相関係数を計算することによって実施した(図1B)。
特徴的なエストロゲン性マーカー遺伝子の選択のために、担体コントロールに対して試験したEACにANOVAを適用した。p-値およびBH-Q-値が0.01未満である遺伝子のみを有意として受け入れた。前記遺伝子群をDESのhdサンプルで1.5倍の調節を示す遺伝子を選択することによってさらに圧縮した(これは潜在的マーカー遺伝子の選別を改善した)。
全てのデータをMIAME(マイクロアレイ実験に関する最小情報、Minimum Information About a Microarray Experiment)の推奨にしたがって記録した。
Illuminaの結果を立証するために、Transcripor First Strand cDNA合成キット(Roche, Mannheim, Germany)を製造業者のプロトコルにしたがって用い、ランダムな6量体プライマーにより2μgの精製全RNAをcDNAに逆転写した。定性および定量は、2100 Agilent Bio-Analyzer(Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)を用いmRNA Picoチップアッセイによって実施した。
平行して8サンプルの解析を可能にする384ウェルのTaqMan(商標)低密度アレイ(Appplied Biosystems, Darmstadt, Germany)を用い、選択した遺伝子およびサンプルについてリアルタイムPCRを実施した(Tuschl and Mueller 2006, Toxicology 218(2-3):205-215)。効率値は、イシカワプラスの全RNAから調製した一連の希釈のcDNA(デュープリケートで各サンプルウェルにつき500ng、50ng、5ng、0.5ng、0.05ng)を用いて実施したPCR反応から算出した。遺伝子発現解析は、Livak and Schmittgenの効率修正ΔΔCt法(18S rRNAに対する標的遺伝子発現(ハウスキーピングコントロール)および担体コントロールに対する遺伝子発現を決定する(Livak and Schmittgen 2001, Methods 25(4):402-408))によって実施した。T検定は、有意さの試験のためにGenedata’s Expressionist(商標)解析ソフトを用いて実施し、それによりp-値が0.05未満の遺伝子のみを有意であると受け入れた。
表2は、EAC暴露後にアップレギュレートされる新規なエストロゲン/エストロゲンレセプター標的遺伝子のリストである。
表3は、EAC暴露後にダウンレギュレートされる新規なエストロゲン/エストロゲンレセプター標的遺伝子のリストである。
表4は、EAC暴露後に示差的に発現される公知のエストロゲン/エストロゲンレセプター標的遺伝子のリストである。
表5は、EAC暴露後にアップレギュレートされる公知のエストロゲン/エストロゲンレセプター標的遺伝子のリストである。
表6は、EAC暴露後にダウンレギュレートされる新規なエストロゲン/エストロゲンレセプター標的遺伝子のリストである。
表7は、EAC暴露後に示差的に発現される新規なエストロゲン/エストロゲンレセプター標的遺伝子のリストである(表1のサブセット)。
表8は、EAC暴露後にアップレギュレートされる新規なエストロゲン/エストロゲンレセプター標的遺伝子のリストである(表2のサブセット)。
表9は、EAC暴露後にダウンレギュレートされる新規なエストロゲン/エストロゲンレセプター標的遺伝子のリストである(表3のサブセット)。
表10は、EAC暴露後に示差的に発現されるエストロゲンシグナリングの遺伝子のリストである。
表11は、EAC暴露後にアップレギュレートされるエストロゲンシグナリングの遺伝子のリストである。
表12は、EAC暴露後にダウンレギュレートされるエストロゲンシグナリングの遺伝子のリストである。
主要目的は、エストロゲン様活性を有することが判明しているかまたは疑われる化学物質の遺伝子発現パターンを解明することであった。DESを参照化合物として供した。RESVおよびGEN(代表的な2つの植物エストロゲン)、マイコトキシンZEA、並びに化学物質BPAおよびo,p’-DDT(図1A)を、ゲノムの広範囲転写物のレベル変化を測定することによってイシカワ細胞における分子応答を解析するために選択した。ER依存応答を明らかにするため、および細胞のストレスから生じる一般的な非特異的変化を区別するために、純粋な抗エストロゲンICIによる(単独またはEACと組み合わせて)追加処理も加えた。分子レベルにおけるエストロゲン様作用の大半はエストロゲンレセプターによって仲介され、このことは、これら実験のためにERα陽性イシカワプラス細胞を選択し、さらに結果をエストロゲン非応答性であるERα陰性イシカワマイナス細胞株と比較することを促した。
相関性の解析を1682の遺伝子(イシカワプラス)および1265の遺伝子(イシカワマイナス)のセットで実施した(前記遺伝子セットは、いずれもANOVAによって選択された各化合物処理について有意に脱調節される遺伝子を加えて作製された)(図1B)。相関性の結果を用いて、抗エストロゲンICI と同様にDES参照物質との(非)類似性を概算した。ICIはリガンド結合部位に対して他のERリガンドと競合し、したがって下流のシグナルトランスダクション事象を阻害することができる。したがって、被検化合物とICIとの遺伝子発現プロファイルにおける類似性は抗エストロゲン様遺伝子調節を表示する。
イシカワプラス細胞における遺伝子発現の解析は、DESと比較してBPA、DDT、並びに低用量のGENおよびZEAについて低い正の相関性を明らかにし、一方、高用量のGENおよびZEAは中等度から高い相関性があることを明らかにした。対照的に、RESV処理とDESとの間には相関関係は見出されなかった。興味深いことに、RESVはICIと高い正の相関関係を示し、これはBPA、DDT並びに低用量のGENおよびZEAについて同様であった。DESに対するGENおよび高用量ZEAとの高い相関関係に一致して、ICIとの類似性はほとんど認められなかった。DES誘導発現はICI誘導発現と負の相関関係を示した。総合すれば、化合物間比較は、GENおよびZEAの低用量、BPA、DDT並びにRESVについて、同様にGENおよびZEAの高用量処理と比較してDESについて高度に類似する遺伝子発現プロファイルを示した(図1B)。
イシカワプラスにおける結果とは対照的に、ER欠損イシカワマイナスにおける遺伝子発現パターンはランダムであり、EACとICIとの間に注目すべき相関傾向は認めることができなかった(図1B)。実際、イシカワマイナスでは有意に脱調節される遺伝子は極めてわずかで、より低い変化倍数が観察された。このことは、ERは、被検EACの転写作用の主要な調節因子であることをさらに立証した。
イシカワプラス細胞を用いたK-Meansクラスター形成は、遺伝子発現パターンおよび有意に調節される遺伝子に対するICIの潜在的作用についてより詳細な洞察を提供する(図2)。K-Meansクラスター形成は、類似の発現パターンを有する遺伝子を一緒に分類し、さらに他の非類似遺伝子群からそれらを分離する能力を有する。その転写がエストロゲンレセプターによって調節され得る遺伝子を同定することに焦点を置いた。クラスター1および2はそのような潜在的ER-依存調節遺伝子を表す。なぜならばICI処理またはICI/高用量化合物の組合せ処理は、化合物のみの処理と比較して弱いかまたは反対の調節を示したからである。DES解析はER依存性発現プロファイルを示す遺伝子のみを明らかにしたが(193のアップレギュレーションおよび62のダウンレギュレーション)、さらに別のクラスターが他の試験化合物について発見され、別個の作用態様が示唆された。本発明者らは、ICI並びにGENおよびZEAの低用量処理によって同様に調節される一組の遺伝子を見出した(クラスター5および6)。それらは、GEN低用量およびZEA低用量脱調節遺伝子のそれぞれほぼ86%および91%になる。ほんのわずかの遺伝子のみがER依存性態様で調節されるように思われる。対照的に、GENおよびZEAの高用量レベルでは、ER依存性調節遺伝子だけが同定された。したがって、GENおよびZEAは、低用量と高用量で別個の発現パターンを示し、EACの二相性の用量-応答関係を示唆する。GENおよびZEAによって調節されるこれらER依存性遺伝子のほぼ66%がまたDES処理後同じ向きに脱調節され、GENおよびZEAのDES類似エストロゲン様活性を示唆する。さらにまた、低用量のGENおよびZEAの遺伝子発現パターンの抗エストロゲン様部分を比較した。両方が、抗エストロゲン様アップレギュレートおよびダウンレギュレート遺伝子の50%を超える遺伝子で同様な発現を示した(クラスター5および6)。
RESV、BPAおよびDDT処理後に有意に調節される遺伝子のK-Means解析は4つの異なるクラスタータイプをもたらした(図2)。それらは、クラスター1および2(ER依存性調節遺伝子)並びに2つの他の特異的遺伝子群(化合物、ICIまたはその両方による処理に応答してアップレギュレート(クラスター3)またはダウンレギュレート(クラスター4)される遺伝子を含む)である。したがって、クラスター3および4は抗エストロゲン様(ICI様)発現パターンを示し、RESV、BPAおよびDDTによって有意に調節される遺伝子の大半を含む。RESV処理については、エストロゲン様(48%)および抗エストロゲン様(52%)遺伝子発現の両方が観察された。推定的エストロゲン様応答内のいくつかの脱調節にもかかわらず、これら遺伝子の6%のみがDES処理後に一方向性に調節されることがまた見出された。これらの結果は、RESVはER依存性調節遺伝子の発現パターンに顕著な変化を誘発し得るがDESとは異なる態様で変化を誘発することを示唆している。BPAおよびDDTによって誘発される発現変化は、BPAおよびDDTによって有意に調節される遺伝子のそれぞれ86%および85%に一致する抗エストロゲン様遺伝子調節によってもっぱら特徴づけられた。しかしながら、より少数の遺伝子が潜在的にER依存的に調節されたが、DESとの一致は顕著であった。BPAおよびDDT調節クラスター1および2遺伝子のそれぞれ80%および72%がまたDES暴露後に同じ向きに示差的に発現された。さらにまた、BPAおよびDDTの多くのICI様調節遺伝子(クラスター3および4)がRESVによって一方向性に調節されることが見出された。同じことが低用量のGENおよびZEA処理後にも事実であり(クラスターおよび6)、これら全てのEACによって誘引される抗エストロゲン様応答の高度な類似性が示唆された。
結局、これらの発見は相関性解析の結果を支持している。なぜならばICIと比較してBPA、DDT、低用量のZEAおよびGENについて高い相関関係が推定され、エストロゲン様活性よりは強い抗エストロゲン様活性が示唆されたからである。ER依存性調節プロファイルを有する遺伝子のみがDES、高用量のZEAおよびGENに応答することが見出され、これら処理条件間における高い相関関係を説明する。
包括的遺伝子発現プロファイリングを用いて同様に発現される遺伝子を同定した(これら遺伝子はエストロゲン様活性のための推定的マーカーとして供することができよう)。これら6つの化合物は種々の規模でイシカワプラスにおいて遺伝子の発現を変化させたが、87の遺伝子(61がアップレギュレートで26がダウンレギュレート)が全化合物について同様に調節されることが見出され(図3)、下記でより詳細に考察するRESVを除いて同様なエストロゲン様作用メカニズムが示唆された。大半の遺伝子が、ICIまたはICI/化合物組合せ処理によってより弱い調節スコアを示すか、または正反対に調節され、これら遺伝子のER依存性調節を提供した。これらマーカー遺伝子の機能注釈は、細胞増殖および分化、転写調節、免疫応答、細胞シグナリング、並びに細胞内輸送に関する遺伝子を明らかにした。
我々のIlluminaの結果を立証するために、選択したエストロゲン様マーカー遺伝子ALPP2、CEBPD、FOXD1、G0S2、NRIP1、PGRおよびPIM1の発現レベルをリアルタイムPCRによって定量した(図4)。遺伝子発現は様々な規模で変化したが、リアルタイムPCR発現パターンはIllumina遺伝子発現実験の結果を確認した。
EACの判定では、抗エストロゲン様化合物ICIに対して発現パターンにおける特異的な類似性もまた観察された。BPA、DDT、ZEAおよびGENはICIに対して良好な相関関係を示し、これら化合物の抗エストロゲン様特性の提唱を支持する。対照的に、RESVはその有意に調節される遺伝子の52%をICIと同じ向きに調節するだけでなく、推定的エストロゲン様マーカー遺伝子の1/3をICIに対し一方向性に調節することもまた示された。この作用は高用量のRESVでより甚大でさえあった。したがって、RESVおよびGENは癌予防性および心臓保護作用を示すので、前記の特別なエストロゲン様/抗エストロゲン様混合活性パターンはこれら化合物の提唱されている有益な作用を説明できるかもしれない。しかしながら、これらデータは、GENおよびZEAについて観察されたように(GENおよびZEAは低用量でのみ抗エストロゲン様遺伝子調節を示した)、用量が重要な役割を果たすことを示した。
Claims (15)
- 以下の工程を含む、エストロゲン様または抗エストロゲン様活性を有する化合物をスクリーニングする方法:
(a)表1の少なくとも1つの遺伝子を発現することができる細胞系またはそのサンプルを提供する工程であって、前記系が単細胞、細胞培養、組織、器官および哺乳動物の群から選択される、前記工程、
(b)前記系の少なくとも一部分をスクリーニングされるべき化合物とインキュベーションする工程、および
(c)前記表1の少なくとも1つの遺伝子の前記系における発現をコントロールの細胞系における遺伝子発現と比較することによって前記活性を検出する工程。 - 工程(a)でヒトイシカワプラス細胞株が提供される、請求項1に記載の方法。
- 工程(c)で遺伝子発現が、表1の遺伝子によってコードされる少なくとも1つの遺伝子産物を検出し、シグナルの量またはシグナルの変化を前記系における遺伝子発現と相関させることによって決定される、請求項1または2に記載の方法。
- 発現が表2の遺伝子のアップレギュレーションおよび/または表3の遺伝子のダウンレギュレーションを伴うならば、工程(c)で化合物のエストロゲン様活性が陽性と検出される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 工程(a)で細胞系またはそのサンプルがさらに表4の少なくとも1つの遺伝子を発現することができ、さらに工程(c)で表4の少なくとも1つの遺伝子の発現がコントロール系における遺伝子発現と比較される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
- 発現が表5の遺伝子のアップレギュレーションおよび/または表6の遺伝子のダウンレギュレーションを伴うならば、工程(c)で化合物のエストロゲン様活性が陽性と検出される、請求項5に記載の方法。
- 工程(a)で細胞系またはそのサンプルが表1の複数の遺伝子を発現することができ、および/または、表4の複数の遺伝子をさらに発現することができ、さらに工程(c)で表1および/または表4の複数の遺伝子の発現パターンがコントロール系における発現パターンと比較され、それによってエストロゲン性を化合物特異的に特徴付ける、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
- 工程(c)で表7の全ての遺伝子の発現が、コントロール系における遺伝子発現、好ましくは表1および表4の全ての遺伝子の発現と比較される、請求項7に記載の方法。
- 発現パターンが、複数遺伝子の相関関係および/または変化した調節の規模によって決定される、請求項7または8に記載の方法。
- エストロゲン依存性疾患のための治療用化合物をスクリーニングする、請求項1に記載の方法であって、工程(a)で哺乳動物、好ましくは実験室用哺乳動物が提供され、工程(b)でスクリーニングされるべき化合物が前記哺乳動物に投与され、さらに工程(c)で治療効果が、前記哺乳動物から回収した生物学的サンプルにおけるエストロゲン様活性レベルまたは抗エストロゲン様活性レベルにより、非内分泌破壊作用および/または内分泌破壊作用を示す哺乳動物との比較で検出される、前記方法。
- エストロゲンレセプターシグナリングによって惹起され、仲介され、および/または伝播される生理学的および/または病理学的状態をモニターする方法であって、少なくとも1つの化合物または生理学的に許容できるその塩の有効量がそのような処置を必要とする哺乳動物に投与され、さらに前記哺乳動物から回収した生物学的サンプルで表1の少なくとも1つの遺伝子の発現が決定される、前記方法。
- 表1の少なくとも1つの遺伝子の、エストロゲン様または抗エストロゲン様活性を有する化合物をスクリーニングするためのマーカー遺伝子としての使用。
- 表1および場合によって表4の複数の遺伝子の、エストロゲン性を化合物特異的に特徴付けるためのマーカー遺伝子としての使用。
- 表1の遺伝子によってコードされる少なくとも1つの遺伝子産物と特異的に相互作用する物質の、エストロゲン様または抗エストロゲン様活性を検出するための使用。
- 表1の遺伝子によってコードされる少なくとも1つの遺伝子産物と特異的に相互作用する物質を含む、エストロゲン様または抗エストロゲン様活性の検出および/または特徴付けにおいて使用されるキット。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP08017754 | 2008-10-09 | ||
EP08017754.6 | 2008-10-09 | ||
PCT/EP2009/006749 WO2010040446A1 (en) | 2008-10-09 | 2009-09-18 | Estrogen and anti-estrogen marker genes |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012505387A true JP2012505387A (ja) | 2012-03-01 |
JP5628181B2 JP5628181B2 (ja) | 2014-11-19 |
Family
ID=41228088
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011530390A Expired - Fee Related JP5628181B2 (ja) | 2008-10-09 | 2009-09-18 | エストロゲンおよび抗エストロゲンマーカー遺伝子 |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20110195420A1 (ja) |
EP (1) | EP2331971A1 (ja) |
JP (1) | JP5628181B2 (ja) |
AU (1) | AU2009301457B2 (ja) |
CA (1) | CA2739867A1 (ja) |
IL (1) | IL212159A0 (ja) |
WO (1) | WO2010040446A1 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB201012420D0 (en) * | 2010-07-23 | 2010-09-08 | Univ Erasmus Medical Ct | Foetal heamoglobin inhibitor |
AU2019240770A1 (en) * | 2018-03-29 | 2020-11-19 | The University Of Newcastle | Diagnostic and prognostic methods for estrogen-induced cancers |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09502345A (ja) * | 1993-09-01 | 1997-03-11 | ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア | 抗エストロゲン化合物をスクリーニングする方法 |
JPH11503312A (ja) * | 1995-03-27 | 1999-03-26 | ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア | エストロゲン活性の化合物をスクリーニングする方法 |
JP2000504107A (ja) * | 1996-01-24 | 2000-04-04 | シナプティック・ファーマスーティカル・コーポレーション | ガラニンgalr2受容体をコードするdnaおよびその使用 |
JP2002533098A (ja) * | 1998-12-18 | 2002-10-08 | ワイス | エストロゲン受容体−β/α選択的モジュレーターを同定するためのバイオアッセイ |
JP2007319051A (ja) * | 2006-05-31 | 2007-12-13 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 遺伝子発現プロファイルを用いた漢方薬の評価法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20030008309A1 (en) * | 2000-10-13 | 2003-01-09 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | Microarrays and methods for evaluating activity of compounds having estrogen-like activity |
US20030054332A1 (en) * | 2001-05-10 | 2003-03-20 | Barbosa Miguel S. | Markers for evaluating estrogenic activity |
AU2003228503A1 (en) | 2002-04-12 | 2003-10-27 | Wyeth | Estrogen receptor alpha regulated gene expression, related assays and therapeutics |
EP2289500A1 (en) | 2004-12-08 | 2011-03-02 | ReVision Therapeutics, Inc. | Retinol binding protein and transthyretin modulators for treating hypertosis, Alzheimer's disease or idiopathic intracranial hypertension |
-
2009
- 2009-09-18 AU AU2009301457A patent/AU2009301457B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2009-09-18 JP JP2011530390A patent/JP5628181B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 2009-09-18 CA CA2739867A patent/CA2739867A1/en not_active Abandoned
- 2009-09-18 WO PCT/EP2009/006749 patent/WO2010040446A1/en active Application Filing
- 2009-09-18 US US13/122,987 patent/US20110195420A1/en not_active Abandoned
- 2009-09-18 EP EP09778602A patent/EP2331971A1/en not_active Withdrawn
-
2011
- 2011-04-05 IL IL212159A patent/IL212159A0/en unknown
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09502345A (ja) * | 1993-09-01 | 1997-03-11 | ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア | 抗エストロゲン化合物をスクリーニングする方法 |
JPH11503312A (ja) * | 1995-03-27 | 1999-03-26 | ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア | エストロゲン活性の化合物をスクリーニングする方法 |
JP2000504107A (ja) * | 1996-01-24 | 2000-04-04 | シナプティック・ファーマスーティカル・コーポレーション | ガラニンgalr2受容体をコードするdnaおよびその使用 |
JP2002533098A (ja) * | 1998-12-18 | 2002-10-08 | ワイス | エストロゲン受容体−β/α選択的モジュレーターを同定するためのバイオアッセイ |
JP2007319051A (ja) * | 2006-05-31 | 2007-12-13 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 遺伝子発現プロファイルを用いた漢方薬の評価法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2010040446A1 (en) | 2010-04-15 |
AU2009301457A1 (en) | 2010-04-15 |
JP5628181B2 (ja) | 2014-11-19 |
AU2009301457B2 (en) | 2015-08-13 |
EP2331971A1 (en) | 2011-06-15 |
IL212159A0 (en) | 2011-06-30 |
US20110195420A1 (en) | 2011-08-11 |
CA2739867A1 (en) | 2010-04-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Wang et al. | Distinctive proliferative phase differences in gene expression in human myometrium and leiomyomata | |
Zhou et al. | Local injury to the endometrium in controlled ovarian hyperstimulation cycles improves implantation rates | |
Crabtree et al. | Comparison of human and rat uterine leiomyomata: identification of a dysregulated mammalian target of rapamycin pathway | |
Grøndahl et al. | Differences in gene expression of granulosa cells from women undergoing controlled ovarian hyperstimulation with either recombinant follicle-stimulating hormone or highly purified human menopausal gonadotropin | |
Ji et al. | Follicle stimulating hormone‐induced growth promotion and gene expression profiles on ovarian surface epithelial cells | |
Evans et al. | Gene and protein expression signature of endometrial glandular and stromal compartments during the window of implantation | |
WO2010056931A1 (en) | Methods for identification of tumor phenotype and treatment | |
JP2015527870A (ja) | 推定出生児が状態を発症する危険性を評価するための方法およびデバイス | |
US20140011206A1 (en) | Determination of oocyte quality | |
Stute et al. | Life stage differences in mammary gland gene expression profile in non-human primates | |
EP2744917A2 (en) | Methods and compositions for the treatment and diagnosis of breast cancer | |
Cui et al. | Regulation of gene expression in ovarian cancer cells by luteinizing hormone receptor expression and activation | |
US20100210612A1 (en) | Detection of esr1 amplification in endometrium cancer and ovary cancer | |
Dip et al. | Global gene expression profiles induced by phytoestrogens in human breast cancer cells | |
Xue et al. | Increased METTL3-mediated m 6 A methylation inhibits embryo implantation by repressing HOXA10 expression in recurrent implantation failure | |
CA2729554A1 (en) | Molecular signature of liver tumor grade and use to evaluate prognosis and therapeutic regimen | |
JP5628181B2 (ja) | エストロゲンおよび抗エストロゲンマーカー遺伝子 | |
Jiang et al. | Analysis of differential gene expression in plurihormonal pituitary adenomas using bead-based fiber-optic arrays | |
EP2585612B1 (en) | Gene expression analyses for characterizing and identifying genotoxic compounds | |
CN116457473A (zh) | 用于监测乳腺癌的内分泌疗法中的er调节基因组套 | |
Gielen et al. | Genomic and nongenomic effects of estrogen signaling in human endometrial cells: involvement of the growth factor receptor signaling downstream AKT pathway | |
US7371207B2 (en) | Estrogen receptor α regulated gene expression, related assays and therapeutics | |
Meixell et al. | Methylation of microribonucleic acid let-7b regulatory regions in endometriosis | |
US20240002950A1 (en) | Panel of ER Regulated Genes for Use in Monitoring Endocrine Therapy in Breast Cancer | |
CN108085383B (zh) | 基因检测组合物及其应用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120914 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130124 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130416 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140120 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140225 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140901 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141001 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5628181 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |