JP2012502058A - β細胞機能の改善のための方法 - Google Patents

β細胞機能の改善のための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2012502058A
JP2012502058A JP2011526240A JP2011526240A JP2012502058A JP 2012502058 A JP2012502058 A JP 2012502058A JP 2011526240 A JP2011526240 A JP 2011526240A JP 2011526240 A JP2011526240 A JP 2011526240A JP 2012502058 A JP2012502058 A JP 2012502058A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
fragment
dose
insulin
administered
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011526240A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012502058A5 (ja
Inventor
パトリック ジェイ. スキャノン
アラン エム. ソリンジャー
ロバート ジェイ. バウアー
Original Assignee
ゾーマ テクノロジー リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ゾーマ テクノロジー リミテッド filed Critical ゾーマ テクノロジー リミテッド
Publication of JP2012502058A publication Critical patent/JP2012502058A/ja
Publication of JP2012502058A5 publication Critical patent/JP2012502058A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/24Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against cytokines, lymphokines or interferons
    • C07K16/244Interleukins [IL]
    • C07K16/245IL-1
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/395Antibodies; Immunoglobulins; Immune serum, e.g. antilymphocytic serum
    • A61K39/39533Antibodies; Immunoglobulins; Immune serum, e.g. antilymphocytic serum against materials from animals
    • A61K39/3955Antibodies; Immunoglobulins; Immune serum, e.g. antilymphocytic serum against materials from animals against proteinaceous materials, e.g. enzymes, hormones, lymphokines
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K45/00Medicinal preparations containing active ingredients not provided for in groups A61K31/00 - A61K41/00
    • A61K45/06Mixtures of active ingredients without chemical characterisation, e.g. antiphlogistics and cardiaca
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/04Anorexiants; Antiobesity agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/06Antihyperlipidemics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P3/00Drugs for disorders of the metabolism
    • A61P3/08Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
    • A61P3/10Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis for hyperglycaemia, e.g. antidiabetics
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P5/00Drugs for disorders of the endocrine system
    • A61P5/48Drugs for disorders of the endocrine system of the pancreatic hormones
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06QINFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES; SYSTEMS OR METHODS SPECIALLY ADAPTED FOR ADMINISTRATIVE, COMMERCIAL, FINANCIAL, MANAGERIAL OR SUPERVISORY PURPOSES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G06Q99/00Subject matter not provided for in other groups of this subclass
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/70Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
    • C07K2317/76Antagonist effect on antigen, e.g. neutralization or inhibition of binding

Abstract

本開示は、抗IL-1抗体またはその断片を使った、対象におけるβ細胞の機能を改善するための方法である。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2008年9月5日付で出願された米国仮特許出願第61/094,842号; 2008年9月5日付で出願された同第61/094,857号; 2008年12月10日付で出願された同第61/121,451号; および2008年12月10日付で出願された同第61/121,486号の米国特許法第119条の下での恩典を主張するものであり、これらの開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法に関する。そのような方法は、β細胞生存度の保全もしくはβ細胞代謝回転の低減、β細胞増殖の増大、またはインスリン分泌の増強のために用いることができる。
発明の背景
本発明は、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法に関する。そのような方法は、β細胞生存度の保全もしくはβ細胞代謝回転の低減、β細胞増殖の増大、またはインスリン分泌の増強のために用いることができる。
ランゲルハンス島のβ細胞はインスリン、つまり血中グルコースのレベルを制御するホルモンを作出および放出する。膵臓によって維持されるインスリンにはベースラインレベルが存在するものの、貯蔵されているインスリンを放出し、その間にさらに多くのインスリンを同時に産生することによって血中グルコースの急上昇に素早く反応することができる。この反応時間はかなり短い。インスリンのほかに、β細胞はCペプチド、つまりインスリン産生の副産物を等モル量で血流へ放出する。
膵臓のβ細胞の機能の進行性の破壊は、糖尿病を含む、複数の疾患や症状に多大な影響を与える。糖尿病はヒトの代謝障害であり、有病率は一般人口の約1パーセントである(Foster, D. W., Harrison’s Principles of Internal Medicine, Chap. 114, pp. 661-678, 10th Ed., McGraw-Hill, New York/非特許文献1)。本疾患は、眼、腎臓、神経、および血管を含むいくつかの器官系に影響する重篤な長期の衰弱性合併症を最終的に引き起こす、一連のホルモン誘発性代謝異常として現れる。病理学的には、本疾患は、電子顕微鏡下で確認できる基底膜の病変を特徴とする。糖尿病は、2つの臨床症候群、1型糖尿病と2型糖尿病に分類することができる。1型またはインスリン依存性糖尿病(IDDM)は、若年発症型とも称され、インスリンを産生する膵ランゲルハンス島β細胞の広範な喪失を特徴とする慢性自己免疫疾患である。これらの細胞が徐々に破壊されていくにつれて、分泌されるインスリンの量も減少し、分泌インスリン量が通常必要とされる血糖値よりも下回ると、最終的に高血糖(血糖値が異常に高いこと)に至る。この免疫応答の正確な誘因は不明であるが、IDDM患者では、膵β細胞で発現するタンパク質に対する抗体のレベルが高い。しかし、これらの抗体のレベルが高い患者のすべてがIDDMを発症するわけではない。
1型糖尿病は、特徴として、グルカゴンの上昇と共に、非常に低いかまたは測定不能な血漿インスリンを示す。正確な原因が何であれ、大部分の1型患者は、インスリン、ランゲルハンス島細胞質、および酵素グルタミン酸デカルボキシラーゼに対する抗体を含む、自身の膵細胞に対して産生された循環抗体を有する。β細胞(インスリン産生細胞)に対して特異的に指向された免疫応答が、1型糖尿病を引き起こす。1型糖尿病患者に対する現在の治療はインスリン注射であり、またβ細胞の損傷の結果である天然インスリンの欠乏によって起こる高血糖を最小限に抑えるために、食事の改善も含み得る。食事は、ホルモンの血糖低下作用に対抗するために、インスリン投与についても改善される。
2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、成人発症型(maturity onset form)、成人発症型(adult onset form)とも称される)は、筋肉、脂肪、および肝臓細胞がインスリンに対して正常に応答できない場合に発症する。この応答不全(インスリン抵抗性と称される)は、これらの細胞上のインスリン受容体数の減少、もしくは細胞内のシグナル伝達経路の機能障害、またはその両方に起因すると考えられる。β細胞は最初のうちは、インスリン産生量を増加させることによってこのインスリン抵抗性を補う。時間の経過に伴い、これらの細胞は正常な血糖値を維持するのに十分なインスリンを産生できなくなり、これは2型糖尿病への進行を意味する。2型糖尿病は、遺伝的リスク因子と、高脂肪食、運動不足、および加齢を含む後天性リスク因子の組み合わせによって生じる。糖尿病人口の90%超が2型糖尿病に罹患しており、発生率は上昇し続け、世界中の死亡率、罹患率、および医療費の主たる原因となりつつある(Amos et al., Diabetic Med. 14:S1-85, 1997/非特許文献2)。
2型糖尿病は、グルコース代謝および脂質代謝の欠陥を特徴とする複合疾患である。典型的に、空腹時血漿グルコースレベル、遊離脂肪酸レベル、およびトリグリセリドレベルの上昇、ならびにHDL/LDL比の低下を含む、多くの代謝パラメータの撹乱が認められる。上記したように、糖尿病の主な根本原因の1つは、末梢組織、主に筋肉および脂肪におけるインスリン抵抗性の増大であると考えられている。2型糖尿病の原因は十分に理解されていない。インスリンの作用に対する標的組織の抵抗性およびインスリン分泌の減少(「β細胞不全」)の両方が起こると考えられている。グルコース恒常性のための主要なインスリン応答組織は、肝臓(インスリンはグリコーゲン合成を促進し、糖新生を抑制する);筋肉(インスリンはグルコース取り込みを促進し、またグリコーゲンはグルコース取り込みを促進し、脂肪分解を抑制する)である。したがって、糖尿病状態の結果として血糖値が上昇し、これによってグルコース媒介性細胞毒性およびその後の病的状態(腎症、神経障害、網膜症等)が生じ得る。インスリン抵抗性は、2型糖尿病の発症と強く相関している。
2型糖尿病の病態生理に対するインスリン抵抗性およびβ細胞機能不全の相対的な寄与が広く議論されてきた。フィードバックループがインスリン感受性組織とβ細胞の相互作用を左右するという概念も、インスリン感受性とインスリン分泌の双曲線的関係の解明も同様に、インスリン抵抗性対象が著しく増大したインスリン反応を示すのに対し、インスリン感受性である者が低い反応を有するという理由を説明するものである。この双曲線的関係の考慮は、2型糖尿病の発症におけるβ細胞機能不全の決定的役割および高リスク対象におけるβ細胞の機能低減の実証を同一視するのに役立った。さらに、いくつかの民族における評価は、耐糖能が正常なおよび低下した対象ではβ細胞機能が経口耐糖能の主要な決定因子であること、ならびにどの集団でも正常耐糖能から耐糖能異常への進行およびその後の2型糖尿病への進行は、インスリン感受性およびβ細胞機能の低下と関連していることを強調するものである。(Kahn, S.E., 2003, Diabetologia 46(1):3-19/非特許文献3)。
インスリン抵抗性はいくつかの疾患状態および病態と関連しており、非糖尿病個体の約30〜40%にも存在する。これらの疾患状態および病態には、これらに限定されないが、糖尿病前症およびメタボリック症候群(インスリン抵抗性症候群とも称される)が含まれる。糖尿病前症とは、耐糖能異常(IGT)または空腹時血糖異常(IFG)のいずれかを特徴とする、耐糖能が異常な状態である。糖尿病前症患者はインスリン抵抗性であり、将来明白な2型糖尿病に進行するリスクが高い。メタボリック症候群とは、これらに限定されないが、高インスリン血症、耐糖能異常、肥満、脂肪の腹部または上半身区画への再分布、高血圧、異常フィブリノゲン血症(dysfibrinolysis)、ならびに高トリグリセリド、低HDL-コレステロール、および小型の比重が重いLDL粒子を特徴とする脂質代謝異常を含む特徴が関連して集合したものである。インスリン抵抗性はこれらの特徴のそれぞれと関連づけられており、メタボリック症候群とインスリン抵抗性が互いに密接に関連していることが示唆される。メタボリック症候群の診断は、2型糖尿病、ならびに心臓発作、卒中発作、および末梢血管疾患を引き起こす加速性アテローム性動脈硬化症を将来発症する強力なリスク因子である。IL-1を含む炎症性サイトカインは、脂肪細胞のインスリン抵抗性に関与すると考えられる脂肪組織内の炎症を媒介することが示されている(Trayhurn et al., Br. J. Nutr. 92:347-355, 2004/非特許文献4;Wisse, J. Am. Soc. Nephrol. 15:2792-2800, 2004/非特許文献5;Fantuzzi, J. Allergy Clin. Immunol. 115:911-919, 2005/非特許文献6;Matsuzawa, FEBS Lett. 580:2917-2921, 2006/非特許文献7;Greenberg et al., Eur J. Clin. Invest. 32 Suppl.3:24-34, 2002/非特許文献8;Jager et al., Endocrinology 148:241-251, 2007/非特許文献9)。脂肪細胞は、脂肪を貯蔵しアディポカイン(すなわち、サイトカインのサブセット)を分泌する細胞であり、脂肪組織の主要な成分である。炎症細胞であり、炎症性サイトカイン、IL-1、TNF-α、およびIL-6の主な産生細胞であるマクロファージも、脂肪組織、特に肥満を伴う炎症脂肪内に存在する(Kern et al., Diabetes 52: 1779-1785, 2003/非特許文献10)。TNF-αおよびIL-6は、脂肪細胞をインスリン刺激に対して脱感作すること(すなわち、インスリン抵抗性)が以前から知られていた。
IL-1βは、単球およびマクロファージを含むいくつかの異なる細胞型によって分泌される炎症誘発性サイトカインである。IL-1βは炎症反応の一部として放出されると、主にコルチコトロピン、血小板第4因子、プロスタグランジンE2(PGE2)、IL-6、およびIL-8などの他の炎症性メディエータの誘導を通して媒介される一連の生物学的作用を引き起こす。IL-1βは、ほぼすべての細胞型に見出されるIL-1受容体の活性化を通して、局所的および全身的炎症作用の両方を誘導する。インターロイキン-1(IL-1)ファミリーのサイトカインは、いくつかの疾患状態に関連づけられている。IL-1ファミリーメンバーには、IL-1α、IL-1β、およびIL-1Raが含まれる。IL-1受容体(IL-1R1およびIL-1R2)に結合する能力によって関連しているが、これらのサイトカインはそれぞれ異なり、異なる遺伝子によって発現され、異なる一次アミノ酸配列を有する。さらに、これらのサイトカインの生理的活性も互いに区別され得る。糖尿病にIL-1βが明白に関与していることを示す実験が公表されている。
Maedler et al, J Clin Invest (2002) 110:851-860(非特許文献11)は、2型糖尿病では慢性高血糖が膵β細胞にとって有害であり、インスリン分泌障害を引き起こし得ることを示唆し、またIL-1βが1型糖尿病の自己免疫過程において作用する炎症誘発性サイトカインであり、β細胞機能を抑制することを記載した。特に、彼らは、IL-1βが高グルコースレベルの悪影響を媒介し得るという仮説を試験した。フロリジンで糖尿病動物を処置すると、血漿グルコースが正常化し、β細胞のIL-1β発現が妨げられた。これは2型糖尿病における糖毒性の病因に炎症過程を結びつけるとされ、彼らは、この状態におけるβ細胞の質量および機能を保存するための標的として、IL-1β/NF-KB経路を同定した。
Donath et al, J Mol med (2003) 81:455-470(非特許文献12)は、インスリン欠乏および糖尿病を招く膵島β細胞死のアポトーシスに至る経路におけるIL-1βの明白な重要性を記載し、1型および2型糖尿病におけるβ細胞アポトーシスを阻止するように設計された抗炎症治療アプローチを提唱した。
WO 2004/002512(特許文献1)は、2型糖尿病の治療または予防のための、IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)および/またはピロリジンジチオカルバミン酸(PDTC)の使用に関する。しかし、2型糖尿病の治療におけるIL-Raポリペプチドの治療的使用に提案された頻繁な投薬は(24時間ごとの注射)、患者の服薬遵守に関する問題を引き起こし、それによってこの治療様式の有効性が低下し、および/またはその望ましさが限定される恐れがある。したがって、2型糖尿病を治療するための有効な手段、特に毎日の注射を必要としない手段の必要性が依然として残る。
Larsen et al, New England Journal of Medicine (2007) 356:1517-1526(非特許文献13)は、2型糖尿病を治療するための組換えIL-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra、アナキンラ)の使用を記載している。しかし、13週間にわたるアナキンラ100 mgの1日1回の投薬は、患者の服薬遵守に関する問題を引き起こし、それによってこの治療様式の有効性が低下し、/またはその望ましさが限定される恐れがある。したがって、2型糖尿病を治療するための有効な手段、特に頻繁な(例えば、毎日の)注射を必要としない治療手段の必要性が依然として残る。
US 2005/0256197(特許文献2)およびUS 2005/0152850(特許文献3)は、特に抗炎症性ケトロラク含嗽液などの抗炎症薬を使用することにより、循環TNFのレベルを低下させるように、対象の歯肉溝滲出液中のIL-1βのレベルを低下させる段階を含む、対象(例えば、糖尿病を有する対象)における代謝調節(例えば、グルコース)を容易にする方法に関する。
WO 2008/077145(特許文献4)は、2型糖尿病およびある種の他の疾患または病態の処置または予防のためのIL-1β特異抗体の使用を対象としている。IL-1β抗体の投与のための投薬パラメータが開示される。
WO 2004/002512 US 2005/0256197 US 2005/0152850 WO 2008/077145
Foster, D. W., Harrison’s Principles of Internal Medicine, Chap. 114, pp. 661-678, 10th Ed., McGraw-Hill, New York Amos et al., Diabetic Med. 14:S1-85, 1997 Kahn, S.E., 2003, Diabetologia 46(1):3-19 Trayhurn et al., Br. J. Nutr. 92:347-355, 2004 Wisse, J. Am. Soc. Nephrol. 15:2792-2800, 2004 Fantuzzi, J. Allergy Clin. Immunol. 115:911-919, 2005 Matsuzawa, FEBS Lett. 580:2917-2921, 2006 Greenberg et al., Eur J. Clin. Invest. 32 Suppl.3:24-34, 2002 Jager et al., Endocrinology 148:241-251, 2007 Kern et al., Diabetes 52: 1779-1785, 2003 Maedler et al, J Clin Invest (2002) 110:851-860 Donath et al, J Mol med (2003) 81:455-470 Larsen et al, New England Journal of Medicine (2007) 356:1517-1526
本開示は、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法を対象とする。そのような方法は、例えば、β細胞生存度の保全もしくはβ細胞代謝回転の低減、β細胞増殖の増大、またはインスリン分泌の増強のために用いることができる。1つの態様において、インスリン分泌の増強はグルコース依存性インスリン分泌の増強である。インスリン分泌の測定は、例えば、グルコース/インスリンCペプチド濃度曲線下面積(AUC)試験またはグルカゴン-アルギニン-グルカゴン刺激試験(GAGST)における測定を含め、当技術分野において公知の種々の方法によって行うことができる。GAGSTはインスリン産生β細胞の健全性に関する標準的手段であり、この試験では、これらの細胞が複数の食事成分を含む食事の実生活条件にいかに反応するかを模倣して、インスリンを作出するうえでβ細胞がどれだけうまく反応するかを見る。いくつかの態様において、インスリン分泌の増強は、ベースラインと比べて少なくとも25%、ベースラインと比べて少なくとも50%、ベースラインと比べて少なくとも75%、またはベースラインと比べて少なくとも90%の増加である。
本開示の1つの局面において、2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン抵抗性、インスリン産生低下、高血糖、代謝症候群および肥満からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。
本開示の別の局面において、低インスリン血症、糖尿病の二次的原因、薬物誘発性(例えば、コルチコステロイド誘発性)糖尿病および妊娠誘発性糖尿病からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。
本開示の1つの局面において、対象が2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン抵抗性、インスリン産生低下、高血糖、代謝症候群および肥満からなる群より選択される疾患または病態と診断されていないという条件で、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。
本開示の別の局面において、上記の方法における抗体または断片の投与は、1 mg/kgまたはそれ以下の抗体または断片、0.75 mg/kgまたはそれ以下の抗体または断片、0.5 mg/kgまたはそれ以下の抗体または断片、0.3 mg/kgまたはそれ以下の抗体または断片、0.1 mg/kgまたはそれ以下の抗体または断片、0.03 mg/kgまたはそれ以下の抗体または断片、0.01 mg/kgまたはそれ以下の抗体または断片、0.005 mg/kgまたはそれ以下の抗体または断片、0.001 mg/kgまたはそれ以下の抗体または断片の用量でのものである。好ましくは、上記の態様のそれぞれにおいて、抗体または断片は少なくとも0.0005 mg/kgの抗体もしくは断片または少なくとも0.001 mg/kgの抗体もしくは断片の1回または複数回用量において投与される。上記の投与量はmg (抗体または断片)/kg (処置される個体の体重)をいう。
本開示の別の局面において、抗体または断片は用量/対象体重比とは無関係に、固定された用量として上記の方法で投与される。いくつかの態様において、抗体またはその断片は約250 mgもしくはそれ以下、約100 mgもしくはそれ以下、約50 mgもしくはそれ以下、約25 mgもしくはそれ以下、約5 mgもしくはそれ以下、約1 mgもしくはそれ以下、約0.5 mgもしくはそれ以下または約0.1 mgもしくはそれ以下の固定された用量で投与される。好ましくは、抗体またはその断片は少なくとも約0.05 mgまたは少なくとも約0.1 mgの固定された用量で投与される。
別の局面において、本開示は、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための上記の方法において、抗体またはその断片の初回用量の投与の後に抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われることを提供する。好ましい態様において、初回用量および1回または複数回のその後の用量は、2週ごとに1度から12ヶ月ごとに1度、1ヶ月ごとに1度から6ヶ月ごとに1度、3ヶ月ごとに1度から6ヶ月ごとに1度、1ヶ月ごとに1度から3ヶ月ごとに1度、1ヶ月ごとに1度から2ヶ月ごとに1度の間隔で投与される。特に好ましい態様において、初回用量および1回または複数回のその後の用量は、1ヶ月ごとに1度から6ヶ月ごとに1度の間隔で投与される。1つの態様において、1回または複数回のその後の用量は、初回用量とほぼ同一のまたは初回用量未満の量でのものである。別の態様において、1回または複数回のその後の用量は、初回用量を超えた量でのものである。
本発明の方法において用いられる抗IL-1β抗体またはその断片は通例、IL-1βに高い親和性で結合する。好ましい態様において、抗体またはその断片は、IL-1βに約10 nMもしくはそれ以下、約5 nMもしくはそれ以下、約1 nMもしくはそれ以下、約500 pMもしくはそれ以下、約250 pMもしくはそれ以下、約100 pMもしくはそれ以下、約50 pMもしくはそれ以下、または約25 pMもしくはそれ以下の解離定数で結合する。特に好ましい態様において、抗体または抗体断片は、ヒトIL-1βに約100 pMもしくはそれ以下、約50 pMもしくはそれ以下、約10 pMもしくはそれ以下、約5 pMもしくはそれ以下、約3 pMもしくはそれ以下、約1 pMもしくはそれ以下、約0.75 pMもしくはそれ以下、約0.5 pMもしくはそれ以下、約0.3 pMもしくはそれ以下、約0.2 pMもしくはそれ以下、または約0.1 pMもしくはそれ以下の解離定数で結合する。特に好ましい態様において、抗体または抗体断片は、ヒトIL-1βに約10 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する。
本開示の別の局面において、抗IL-1β抗体または抗体断片は中和抗体である。別の局面において、抗IL-1β抗体または抗体断片は、結合抗体または断片がIL-1βのIL-1受容体I (IL-1RI)への結合を実質的に可能にするようなIL-1βエピトープに結合する。別の局面において、抗IL-1β抗体または抗体断片はIL-1βに結合するが、結合IL-1βがIL-1受容体I (IL-1RI)に結合するのを実質的に妨げない。別の局面において、抗体または抗体断片は、IL-1α、IL-1RまたはIL-1Raに検出可能に結合しない。別の局面において、抗体またはその断片は、SEQ ID NO:1の軽鎖可変領域およびSEQ ID NO:2の重鎖可変領域を有する抗体の結合と競合する。本発明の別の局面において、抗体または抗体断片は、配列
Figure 2012502058
に含まれるエピトープに結合する。本発明の別の局面において、抗体または抗体断片は、IL-1βのGlu64を組み入れたエピトープに結合する。本発明の別の局面において、抗体または抗体断片は、IL-1βのN末端のアミノ酸番号1-34に結合する。好ましくは、抗体または抗体断片は、ヒト遺伝子操作されたもの、ヒト化されたものまたはヒトのものである。
本開示の1つの局面において、抗体または断片が0.0005 mg/kg〜1 mg/kgの用量で投与され、かつ抗体またはその断片の初回用量の投与の後に抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われ、初回用量および1回または複数回のその後の用量が2週ごとに1度から12ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。1つの態様において、抗体または断片はヒトIL-1βに約100 pMもしくはそれ以下、約10 pMもしくはそれ以下、約1 pMもしくはそれ以下、約0.5 pMもしくはそれ以下、または約0.3 pMもしくはそれ以下の解離定数で結合する。
本開示の1つの局面において、抗体または断片が0.001 mg/kg〜1 mg/kgの用量で投与され、かつ抗体またはその断片の初回用量の投与の後に抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われ、初回用量および1回または複数回のその後の用量が1ヶ月ごとに1度から6ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。1つの態様において、抗体または断片はヒトIL-1βに約100 pMもしくはそれ以下、約10 pMもしくはそれ以下、約1 pMもしくはそれ以下、約0.5 pMもしくはそれ以下、または約0.3 pMもしくはそれ以下の解離定数で結合する。
本開示の1つの局面において、抗体または断片が0.001 mg/kg〜0.3 mg/kgの用量で投与され、かつ抗体またはその断片の初回用量の投与の後に抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われ、初回用量および1回または複数回のその後の用量が1ヶ月ごとに1度から3ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。1つの態様において、抗体または断片はヒトIL-1βに約100 pMもしくはそれ以下、約10 pMもしくはそれ以下、約1 pMもしくはそれ以下、約0.5 pMもしくはそれ以下、または約0.3 pMもしくはそれ以下の解離定数で結合する。
本開示の1つの局面において、抗体または断片が用量/対象体重比とは無関係に、0.05 mg〜200 mgの固定された用量として投与され、かつ抗体またはその断片の初回用量の投与の後に抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われ、初回用量および1回または複数回のその後の用量が2週ごとに1度から12ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。1つの態様において、抗体または断片はヒトIL-1βに約100 pMもしくはそれ以下、約10 pMもしくはそれ以下、約1 pMもしくはそれ以下、約0.5 pMもしくはそれ以下、または約0.3 pMもしくはそれ以下の解離定数で結合する。
本開示の1つの局面において、抗体または断片が用量/対象体重比とは無関係に、0.05 mg〜100 mgの固定された用量として投与され、かつ抗体またはその断片の初回用量の投与の後に抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われ、初回用量および1回または複数回のその後の用量が1ヶ月ごとに1度から6ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。1つの態様において、抗体または断片はヒトIL-1βに約100 pMもしくはそれ以下、約10 pMもしくはそれ以下、約1 pMもしくはそれ以下、約0.5 pMもしくはそれ以下、または約0.3 pMもしくはそれ以下の解離定数で結合する。
本開示の1つの局面において、抗体または断片が用量/対象体重比とは無関係に、0.1 mg〜100 mgの固定された用量として投与され、かつ抗体またはその断片の初回用量の投与の後に抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われ、初回用量および1回または複数回のその後の用量が1ヶ月ごとに1度から3ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。1つの態様において、抗体または断片はヒトIL-1βに約100 pMもしくはそれ以下、約10 pMもしくはそれ以下、約1 pMもしくはそれ以下、約0.5 pMもしくはそれ以下、または約0.3 pMもしくはそれ以下の解離定数で結合する。
上記の方法の1つの態様において、抗IL-1β抗体またはその断片は皮下経路、静脈内経路または筋肉内経路によって投与される。
本開示の別の局面において、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法であって、対象における血糖管理の改善をさらにもたらす該方法が提供される。1つの態様において、血糖管理の改善はヘモグロビンA1cの改善によって測定される。別の態様において、血糖管理の改善は空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される。別の態様において、血糖管理の改善は経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される。好ましい態様において、ヘモグロビンA1cの改善はヘモグロビンA1cの少なくとも0.5パーセントポイントの減少、ヘモグロビンA1cの少なくとも0.7パーセントポイントの減少、ヘモグロビンA1cの少なくとも1パーセントポイントの改善、ヘモグロビンA1cの少なくとも1.5パーセントポイントの改善、ヘモグロビンA1cの少なくとも2パーセントポイントの改善である。
好ましい態様において、ヘモグロビンA1cの改善は、2型糖尿病処置における治療薬の承認に関する規制ガイドラインを満たすのに十分である。ヘモグロビンA1cの決定のためのアッセイ法は、当技術分野において公知である。本発明は、ヘモグロビンA1cの改善を達成するのに十分な抗体または断片の用量が、上記の用量、その後の投与回数、および投与間の投薬間隔のいずれか、ならびにその後の投与の用量数、および本明細書において記述される抗体または断片の投与間の投薬間隔のいずれかの組み合わせを含みうることを企図する。さらに、ヘモグロビンA1cの改善は、抗体または断片の1回または複数回用量の初期投与後、少なくとも約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、または約5ヶ月、および好ましくは約6ヶ月もしくはそれ以上、約7ヶ月もしくはそれ以上、約8ヶ月もしくはそれ以上、約9ヶ月もしくはそれ以上、約10ヶ月もしくはそれ以上、約11ヶ月もしくはそれ以上、または約12ヶ月もしくはそれ以上の時点でのものであってもよい。
本開示の別の局面において、2型糖尿病と診断されている、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、かつ網膜症、腎不全、心血管疾患および創傷治癒からなる群より選択される2型糖尿病と関連している合併症または病態をさらに低減または予防する、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法が提供される。別の局面において、抗体または断片はまた、CRPのレベル上昇を示す対象においてC反応性タンパク質(CRP)のレベルを低減する。好ましい態様において、上記の方法は心血管疾患または病態を増進または悪化させない。
同様に開示されるのは、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含み、抗体または断片が0.0005 mg/kg〜1 mg/kgの用量で、または用量/対象体重比とは無関係に、0.05 mg〜200 mgの固定された用量として投与され、抗体またはその断片の初回用量の投与の後に抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われ、かつヒトにおける該抗体または断片の血漿濃度が該初回用量および1回または複数回のその後の用量での処置経過中の投与間約1週超および約6ヶ月未満の期間にわたって約0.1 ug/mLのレベルより下まで減少するようにされる、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法である。別の態様において、抗体または抗体断片の血漿濃度は、投与間約1週超および約5ヶ月、約4ヶ月、約3ヶ月、約2ヶ月、約1ヶ月、約3週、または約2週未満の期間にわたって約0.07 ug/mL、約0.05 ug/mL、約0.03 ug/mLまたは約0.01 ug/mLのレベルより下まで減少するようにされる。1つの態様において、これらの血漿値は、本発明による抗体または断片で処置される個体に対して得られた値をいう。
本発明は、本明細書における方法によって用いられる抗IL-1β抗体または断片を上記の用量、その後の投与回数、および投与間の投薬間隔のいずれかで投与できること、ならびに開示の用量、その後の投与回数、および投与間の投薬間隔のいずれかを代替計画において相互に組み合わせて治療効果を調節できることを企図する。ある種の態様において、1回または複数回のその後の用量は、投与される、初期用量とほぼ同一のまたは初期用量未満の量でのものである。別の態様において、1回または複数回のその後の用量は、投与される初期用量にほぼ満たない量でのものである。好ましくは、抗IL-1β抗体または断片は皮下注射、筋肉内注射または静脈内注射によって投与される。本発明は、抗体または断片の各用量を1つまたは複数の部位に投与できることを企図する。
本開示の別の局面において、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための上記の方法は、以下の変化の少なくとも1つを対象において達成するのに十分である: 空腹時血糖レベルの低減、インスリン抵抗性の減少、低インスリン血症の低減、耐糖能の改善、全身性炎症の低減、C反応性ペプチド(CRP)の低減、超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減、IL-6レベルの低減、インスリン産生の増加、β細胞機能の改善、高血糖の低減、糖尿病薬物療法の必要性の低減、BMIの低減、体重増加の速度の低減、体重の安定化、体重の低減、グルコース/インスリンCペプチドAUCの改善、尿中グルコースレベルの低減、急性期反応物質の低減、心血管リスク指標の減少、脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少(例えば、心血管リスクに関して、コレステロールの減少、総コレステロールの減少、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の減少、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL)の減少、トリグリセリドの減少、遊離脂肪酸の減少、アポリポタンパク質B (アポB)の減少、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の増加、処置前レベルと比べて高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)のレベルを維持すること(例えば、低減しないこと)、および/またはアポリポタンパク質A (アポA)の増加)。好ましくは、この方法は以下の変化の少なくとも1つを達成するのに十分である: 全身性炎症の低減、C反応性ペプチド(CRP)の低減、超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減、IL-6レベルの低減。好ましくは、この方法は以下の変化の少なくとも1つを達成するのに十分である: BMIの低減、体重増加の速度の低減、体重の安定化、体重の低減。好ましくは、この方法は以下の変化の少なくとも1つを達成するのに十分である: 総コレステロールの減少、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の減少、トリグリセリドの減少、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の増加。
上記の方法の1つの態様において、HDLのLDLに対する比率が増加しうる。別の態様において、HDLの総コレステロールに対する比率が増加しうる。別の態様において、LDLの総コレステロールに対する比率が増加しうる。1つの好ましい態様において、上記の方法はβ細胞機能の改善も血糖管理の改善も提供する。別の好ましい態様において、上記の方法はβ細胞機能の改善も血糖管理の改善も提供し、かつ以下の少なくとも1つを提供する: コレステロールの低減、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の低減、トリグリセリドの低減、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の増加およびC反応性ペプチド(CRP)の低減。
あるいはまたはさらに、上記の方法はインスリン抵抗性の減少を提供する。1つの態様において、インスリン抵抗性の減少は恒常性モデル評価(HOMA)またはインスリン抵抗性試験における改善によって測定される。本開示の別の局面において、上記の方法は低血糖を誘導しない。
例えば、Chernecky CC, Berger BJ, eds. (2004). Laboratory Tests and Diagnostic Procedures, 4th ed. Philadelphia: Saunders; Fischbach FT, Dunning MB III, eds. (2004). Manual of Laboratory and Diagnostic Tests, 7th ed. Philadelphia: Lippincott Williams and Wilkins; Genest J, et al. (2003). Recommendations for the management of dyslipidemia and the prevention of cardiovascular disease: Summary of the 2003 update. Canadian Medical Association Journal, 169(9): 921-924におけるような、上記の変化のいずれかを判定するためのアッセイ方法が当技術分野において周知である。同様にオンラインで利用可能である: http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/169/9/921/DC1; Handbook of Diagnostic Tests (2003). 3rd ed. Philadelphia: Lippincott Williams and Wilkins; Pagana KD, Pagana TJ (2002). Mosby’s Manual of Diagnostic and Laboratory Tests, 2nd ed. St. Louis: Mosby。さらに、本発明は、上記の変化の1つの達成が抗体または断片の1回または複数回用量の初期投与後、少なくとも約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、または約5ヶ月、および好ましくは少なくとも約6ヶ月もしくはそれ以上、約7ヶ月もしくはそれ以上、約8ヶ月もしくはそれ以上、約9ヶ月もしくはそれ以上、約10ヶ月もしくはそれ以上、約11ヶ月もしくはそれ以上、または約12ヶ月もしくはそれ以上の時点でのものでありうることを企図する。
別の局面において、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法であって、IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物を投与する段階を含む、少なくとも1つのさらなる処置方法との組み合わせでのものである該方法が開示される。別の局面において、本明細書において提供される方法は、IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物を投与する段階を含む、少なくとも1つのさらなる処置方法の必要性をなくすまたは先延ばしする。別の局面において、本明細書において提供される方法は、IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物を投与する段階を含む、少なくとも1つのさらなる処置方法の量、頻度または継続期間を減らす。
1つの態様において、IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物は、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、αグルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、DPP-IV阻害剤、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1類似体、アミリン類似体、PTP1阻害剤、SGLT阻害剤、RXRアゴニスト、11-β HSD-1阻害剤、グルカゴン-シンセターゼ-キナーゼ-3阻害剤、β-3アドレナリン受容体アンタゴニストおよびインスリンからなる群より選択される。別の態様において、活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物は、2つの活性薬剤を含む。1つの態様において、2つの活性薬剤はスルホニル尿素およびビグアニドである。別の態様において、2つの活性薬剤はチアゾリジンジオンおよびビグアニドである。別の態様において、少なくとも1つの活性薬剤での処置が継続される。
別の態様において、少なくとも1つの活性薬剤での処置は低減または中断されるが、抗IL-1β抗体または断片での処置は一定の投薬計画で維持される。別の態様において、少なくとも1つの活性薬剤での処置は低減または中断され、かつ抗IL-1β抗体または断片での処置は低減される。別の態様において、少なくとも1つの活性薬剤での処置は低減または中断され、かつ抗IL-1β抗体または断片での処置は増大される。別の態様において、少なくとも1つの活性薬剤での処置は維持され、かつ抗IL-1β抗体または断片での処置は低減または中断される。別の態様において、少なくとも1つの活性薬剤での処置および抗IL-1β抗体または断片での処置は低減または中断される。
別の局面において、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法であって、抗体またはその断片が、IL-1β誘発性のIL-8産生を測定するヒト全血中IL-1β阻害アッセイ法においてIL-1β受容体アンタゴニストよりも低いIC50を有する該方法が開示される。1つの態様において、抗体または断片は、IL-1β誘発性のIL-8産生を測定するヒト全血中IL-1β阻害アッセイ法においてIL-1β受容体アンタゴニストのIC50の約90%、80%、70%、60%、50%未満であるIC50を有する。さらなる態様において、抗体または断片は、IL-1β誘発性のIL-8産生を測定するヒト全血中IL-1β阻害アッセイ法においてIL-1β受容体アンタゴニストのIC50の約40%、30%、20%、10%未満であるIC50を有する。好ましい態様において、抗体または断片は、IL-1β誘発性のIL-8産生を測定するヒト全血中IL-1β阻害アッセイ法においてIL-1β受容体アンタゴニストのIC50の約8%、5%、4%、3%、2%、1%未満であるIC50を有する。1つの態様において、IL-1β受容体アンタゴニストはアナキンラ(すなわち、Kineret(登録商標))である。
別の局面において、本開示は、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善で用いる組成物の製造での、IL-1β誘発性のIL-8産生を測定するヒト全血中IL-1β阻害アッセイ法においてIL-1β受容体アンタゴニストよりも低いIC50を有する抗IL-1β抗体またはその断片の使用を提供する。1つの態様において、対象は、2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン抵抗性、インスリン産生低下、高血糖、代謝症候群および肥満からなる群より選択される疾患または病態と診断されている。別の態様において、β細胞機能の改善を必要としている対象は、低インスリン血症、糖尿病の二次的原因、薬物誘発性糖尿病および妊娠誘発性糖尿病からなる群より選択される疾患または病態と診断されている。1つの態様において、IL-1β受容体アンタゴニストはアナキンラである。
別の局面において、本発明は、IL-1β抗体またはその断片を含む、および任意で、本明細書において開示のβ細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善で用いる少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい、薬学的組成物を提供する。
本発明の別の局面では、治療を必要とする被検体のβ細胞機能を改善する医薬品の製造における、IL-1β抗体または結合断片の使用を意図する。あらゆる使用において、医薬品は、第2活性薬剤を使用する治療と調和させることができる。本発明の別の態様では、本明細書に開示するような疾患または病態の症状を示しているか、またはそれを発症するリスクのある患者を治療する医薬品を調製するための、本発明の抗体の相乗的組み合わせの使用であって、医薬品を、第2活性薬剤を使用する治療と調和させる使用を意図する。さらに別の関連態様では、第2活性薬剤が別の抗体、増殖因子、サイトカイン、またはインスリンである組成物を提供する。医薬品におけるIL-1β結合抗体または断片の量が、治療効果を達成するために必要な第2活性薬剤の投与量を減少させるのに効果的な用量である、上記の使用のいずれかの態様を意図する。
本発明のさらに別の局面では、容器、抗IL-1β抗体またはその断片を含む容器内の組成物、および本発明の上記の方法に従って、治療を必要とする対象に抗体または断片を投与するための使用説明書を含む添付文書を含む製品を提供する。1つの態様において、容器は、薬学的に適切な担体、賦形剤、または希釈剤をさらに含む。関連態様において、容器内の組成物は第2活性薬剤をさらに含む。さらに別の関連態様では、第2活性薬剤が別の抗体、増殖因子、サイトカイン、またはインスリンである組成物を提供する。
キットも本発明によって意図される。1つの態様において、キットは、バイアルまたは瓶などの容器中に封入された治療有効量または予防有効量の抗IL-1β抗体または断片を含み、また容器に貼付されるかまたは容器と共に封入されたラベルをさらに含み、ラベルは容器の内容物を記載し、また本発明の上記の方法に従って治療を必要とする対象のβ細胞機能を改善するための容器の内容物の使用に関する指示および/または使用説明書を提供する。1つの態様において、容器は、薬学的に適切な担体、賦形剤、または希釈剤をさらに含む。関連態様において、容器は第2活性薬剤をさらに含む。さらに別の関連態様において、第2活性薬剤は別の抗体、増殖因子、サイトカイン、またはインスリンを含む。
1つの態様において、製品、キット、または医薬品は治療を必要とする対象のβ細胞機能を改善するためである。別の態様において、製品の添付文書またはキットのラベルの使用説明書は、上記した用量、その後の投与回数、および投与間の投薬間隔のいずれか、ならびに本明細書に記載する用量、その後の投与回数、および投与間の投薬間隔の任意の組み合わせに従って、抗体または断片を投与するための使用説明書を含む。さらに別の態様において、キットまたは製品の容器は予め充填されたシリンジである。
本発明は、抗体またはその断片がβ細胞機能を改善することを宣伝する段階を含む、抗IL-1β抗体またはその断片を含んだ製品を売るための方法を提供する。いくつかの態様において、宣伝する段階は、抗体またはその断片が血糖管理を改善することをさらに含む。いくつかの態様において、宣伝する段階は、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む。いくつかの態様において、宣伝する段階は、抗体またはその断片が血糖管理を改善するかつC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む。他の態様において、宣伝する段階は、抗体またはその断片がコレステロールを低減する、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減する、トリグリセリドを低減する、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大する、低血糖を誘導しない、および/またはインスリン抵抗性を減少させることをさらに含む。1つの態様において、インスリン抵抗性の減少は恒常性モデル評価(HOMA)における改善によって測定される。別の態様において、インスリン抵抗性の減少はインスリン抵抗性試験における改善によって測定される。
いくつかの態様において、抗IL-1β抗体またはその断片は、紙上、テレビ上、ラジオ上、およびインターネット上からなる群より選択される媒体によって宣伝されることができる。いくつかの態様において、本発明の方法は、抗体またはその断片を用いて2型糖尿病を処置できることを宣伝する段階を含むことができる。いくつかの態様において、本発明の方法は、ヒトにおいてβ細胞機能を改善すること、インスリンのレベルを増大すること、コレステロールを低減すること、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減すること、トリグリセリドを低減すること、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大すること、低血糖を誘導しないことおよび/またはインスリン抵抗性を減少させることの利点を消費者に宣伝する段階を含むことができる。いくつかの態様において、宣伝は、抗体またはその断片とともに収納されているラベル上にある。いくつかの態様において、ラベルは、抗体またはその断片を収納している容器中にある。
別の局面において、本発明は、抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善することを述べる段階を含む、抗IL-1β抗体またはその断片を含む製品の利点を宣伝するための方法を提供する。いくつかの態様において、述べる段階は、抗体またはその断片が血糖管理を改善することを述べる段階をさらに含む。いくつかの態様において、述べる段階は、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することを述べる段階をさらに含む。いくつかの態様において、述べる段階は、抗体またはその断片が血糖管理を改善する、かつC反応性タンパク質レベルを低減することを述べる段階をさらに含む。他の態様において、述べる段階は、抗体またはその断片がコレステロールを低減する、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減する、トリグリセリドを低減する、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大する、低血糖を誘導しない、および/またはインスリン抵抗性を減少させることを述べる段階をさらに含む。
本発明はまた、薬学的製品がヒトにおいてβ細胞機能を改善する抗IL-1β抗体またはその断片を含むことを注記する段階を含む、薬学的製品を宣伝するための方法を提供する。いくつかの態様において、注記する段階は添付文書の使用を含む。いくつかの態様において、注記する段階は、抗体またはその断片が血糖管理を改善することを注記する段階をさらに含む。いくつかの態様において、注記する段階は、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することを注記する段階をさらに含む。いくつかの態様において、注記する段階は、抗体またはその断片が血糖管理を改善する、かつC反応性タンパク質レベルを低減することを注記する段階をさらに含む。他の態様において、注記する段階は、抗体またはその断片がコレステロールを低減する、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減する、トリグリセリドを低減する、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大する、低血糖を誘導しない、および/またはインスリン抵抗性を減少させることを注記する段階をさらに含む。
これらの方法のいくつかの態様において、改善されたβ細胞機能はインスリンのレベルの増大によって測定される。
これらの方法のいくつかの態様において、血糖管理はヘモグロビンA1cの改善によって測定される。いくつかの態様において、血糖管理は空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される。これらの方法のいくつかの態様において、血糖管理は経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される。いくつかの態様において、C反応性タンパク質レベルの低減は超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減によって測定される。
本発明はまた、抗IL-1β抗体またはその断片である製品を含む、ならびに任意で、抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善するおよび/またはインスリンのレベルを増大するという記載を含んだラベルを含んでもよい、包装を提供する。いくつかの態様において、記載は、抗体またはその断片が血糖管理を改善することをさらに含む。いくつかの態様において、記載は、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む。いくつかの態様において、記載は、抗体またはその断片がコレステロールを低減する、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減する、トリグリセリドを低減する、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大する、低血糖を誘導しない、および/またはインスリン抵抗性を減少させることをさらに含む。
本発明はまた、抗IL-1β抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能の改善、血糖管理の改善および/またはC反応性タンパク質のレベルの低減をもたらすことを実証するデータの利用に基づく広告活動を提供する。
本発明はまた、抗IL-1β抗体またはその断片を含む、かつ任意で、製品がヒトにおいてβ細胞機能を改善する、血糖管理の改善および/またはC反応性タンパク質のレベルの低減をもたらすというラベル宣伝文句を含んでもよい、薬学的製品を提供する。
本明細書が、ある種の特性(Kd値またはIC50値のような)を有する抗体またはその断片を使用する処置方法に言及する場合、これはまた、これらの方法で用いる薬物の製造でのこのような抗体またはその断片の使用を具体化するよう意図されることが理解されるべきである。さらに、本発明はまた、これらの特性を有する抗体またはその断片、および以下に論じる処置の方法で用いるこれらの抗体またはその断片を含む薬学的組成物も包含する。
別の局面において、本開示は、抗IL-1β抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能の改善、血糖管理の改善、C反応性タンパク質のレベルの低減、コレステロールの低減、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の低減、トリグリセリドの低減、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の増大、低血糖の誘導の欠如、および/またはインスリン抵抗性の減少をもたらすことを実証するデータの利用に基づく広告活動を提供する。
別の局面において、本開示は、抗IL-1β抗体またはその断片を含む、かつ製品がヒトにおいてβ細胞機能を改善する、血糖管理を改善するおよび/またはC反応性タンパク質のレベルを低減する、コレステロールを低減する、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減する、トリグリセリドを低減する、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大する、低血糖を誘導しない、ならびに/あるいはインスリン抵抗性を減少させるというラベル宣伝文句を含む、薬学的製品を提供する。
IL-8のIL-1誘導性産生を伴う、AB7と命名された抗体およびKineret(登録商標)のインビトロIL-1β阻害実験の結果を示すグラフである。 IL-6のIL-1刺激性放出を伴う、AB5およびAB7と命名された抗体のインビボIL-1β阻害実験の結果を示すグラフである。 IL-6のIL-1刺激性放出を伴う、AB7と命名された抗体のインビボIL-1β阻害実験、およびヒト(パネルA)対マウス(パネルB) IL-1βの阻害の比較の結果を示すグラフである。 2型糖尿病を有するヒト対象における0.01、0.03、0.1、0.3、または1.0 mg/kgの抗IL-1β抗体の投与後の血清中濃度を示すグラフである。 2型糖尿病を有するヒト対象への0.01、0.03、0.1、0.3、または1.0 mg/kgの抗IL-1β抗体の投与後28日の時点でのHbA1cの変化率中央値を示すグラフである。 グルコース-アルギニン-グルカゴンストレス試験を用いた静脈内刺激後のインスリン分泌の増強によって測定したときの、0.01および0.03用量のコホートにおけるβ細胞機能の改善を示すグラフである。 グルコース-アルギニン-グルカゴンストレス試験を用いた静脈内刺激後のインスリン分泌の増強および濃度曲線下面積(AUC)の計算によって測定したときの、0.01および0.03用量のコホートにおけるβ細胞機能の改善を示すグラフである。 2型糖尿病を有するヒト対象への0.01、0.03、0.1、0.3、または1.0 mg/kgの抗IL-1β抗体の投与後28日の時点でのCRPの変化率中央値を示すグラフである。 2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスでのIL-1β抗体を介したインスリン分泌刺激の改善を示すグラフである。 2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスでのIL-1β抗体を介したβ細胞の保護を示すグラフである。 2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスでのIL-1β抗体を介したβ細胞増殖の増大を示すグラフである。 食餌誘導性肥満(DIO)モデルにおける高脂肪食(HFD)投与マウスでの耐糖能異常を示すグラフである。 2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスでの空腹時血中グルコースレベルとしてのIL-1β抗体を介した高血糖低減を示すグラフである。 2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスでのIL-1β抗体を介した耐糖能異常からの保護を示すグラフである。 2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスでのIL-1β抗体を介したインスリン抵抗性の減少を示すグラフである。 2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスでのIL-1β抗体を介したインスリン抵抗性の減少を示すグラフである。 IL-1β抗体またはIL-1Ra (アナキンラ)による処置後の、2型糖尿病の食餌誘導性肥満(DIO)モデルにおける総コレステロールの低減を示すグラフである。 IL-1β抗体またはIL-1Ra (アナキンラ)による処置後の、2型糖尿病の食餌誘導性肥満(DIO)モデルにおける総コレステロールの低減を示すグラフである。 高密度リポタンパク質コレステロールレベルが2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスで維持され、IL-1β抗体で処置されることを示すグラフである。 2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスでのIL-1β抗体を介したトリグリセリドの低減を示すグラフである。 2型糖尿病のDIOモデルにおける高脂肪食投与マウスでのIL-1β抗体を介した遊離脂肪酸の低減を示すグラフである。
詳細な説明
IL-1βは、単球およびマクロファージを含むいくつかの異なる細胞型によって分泌される炎症誘発性サイトカインである。IL-1βは炎症反応の一部として放出されると、主にコルチコトロピン、血小板第4因子、プロスタグランジンE2(PGE2)、IL-6、およびIL-8などの他の炎症性メディエータの誘導を通して媒介される一連の生物学的作用を引き起こす。IL-1βは、ほぼすべての細胞型に見出されるIL-1受容体の活性化を通して、局所的および全身的炎症作用の両方を誘導する。
インターロイキン-1(IL-1)ファミリーのサイトカインは、1型糖尿病、2型糖尿病、関節リウマチ(RA)、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎(UC)、敗血症性ショック、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、移植片対宿主病、アテローム性動脈硬化、成人T細胞白血病、多発性骨髄腫、多発性硬化症、卒中発作、およびアルツハイマー病などのいくつかの疾患状態に関連づけられている。IL-1ファミリーメンバーには、IL-1α、IL-1β、およびIL-1Raが含まれる。IL-1受容体(IL-1R1、IL-1R2)に結合する能力によって関連しているが、これらのサイトカインはそれぞれ異なる遺伝子によって発現され、異なる一次アミノ酸配列を有する。さらに、これらのサイトカインの生理的活性も互いに区別され得る。
IL-1受容体シグナル伝達を破壊する化合物が、例えば上記の疾患のいくつかなどのIL-1介在性疾患を治療する治療薬として検討されてきた。これらの化合物には、組換えIL-1Ra(Amgen Inc.、カリフォルニア州、サウザンドオークス)、IL-1受容体「捕捉」ペプチド(Regeneron Inc.、ニューヨーク州、タリタウン)に加えて、動物由来IL-1β抗体および組換えIL-1β抗体ならびにそれらの断片が含まれる。
上記したように、IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1Ra)ポリペプチドが、2型糖尿病患者におけるβ細胞機能の改善において活性を有することが示されたが、より有効な治療手段、特に毎日の反復注射を必要としない手段の必要性が依然として残る。IL-1受容体アンタゴニストに基づく治療薬のさらなる課題は、そのような治療薬が多数の受容体を占有する必要性であり、これらの受容体は赤血球を除くすべての細胞で広く発現されていることから、これは厄介な課題である(Dinarello, Curr. Opin. Pharmacol. 4:378-385, 2004)。体液中で測定可能な、または活性化細胞と会合しているIL-1βサイトカインの量は比較的少ない。したがって、IL-1βリガンドを直接標的化する治療および/または予防方法は、特に高親和性を有するIL-1β抗体を投与する場合、優れた戦略である。
本開示は、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法および関連製品を対象とする。そのような方法は、β細胞生存度の保全もしくはβ細胞代謝回転の低減、β細胞増殖の増大、またはインスリン分泌の増強のために用いることができる。以下の実施例に示されるように、本発明者らは驚くべきことに、そのような抗体を用いて、非常に低い用量でなど、広範囲の活動にわたって所望の活性を達成できることを見出した。
本発明のIL-1(例えばIL-1β)結合抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、組換え抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、完全なヒト抗体、一本鎖抗体、および/または二重特異性抗体、ならびに酵素的切断、ペプチド合成、もしくは組換え技法を含むがこれらに限定されない公知の技法によって提供されるそれらの変種および誘導体を含む断片として提供され得る。
抗体は一般に重鎖ポリペプチド2本および軽鎖ポリペプチド2本を含むが、重鎖1本および軽鎖1本を有する単一ドメイン抗体、ならびに軽鎖を欠く重鎖抗体もまた意図される。重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと称される5種類の重鎖が存在する。これらの異なる種類の重鎖により、IgGの4つのサブクラス、すなわちIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む5つのクラスの抗体、それぞれIgA(IgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG、およびIgMが生じる。同様に、定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)またはラムダ(λ)と称される2種類の軽鎖が存在する。全長抗体は、定常ドメインおよび可変ドメインを含む。抗体の抗原結合断片に、定常領域が存在する必要はない。本明細書に開示する抗体の抗原結合断片には、Fab、Fab'、F(ab')2、およびF(v)抗体断片が含まれ得る。以下にさらに詳述するように、IL-1β結合断片は、IL-1βと結合する抗体断片および抗原結合ポリペプチドを包含する。
抗体またはその抗原結合断片の重鎖および軽鎖配列はそれぞれ、3つの相補性決定領域(CDR)および非CDRフレームワーク領域(FR)を有する可変領域を含む。本明細書で使用する「重鎖」および「軽鎖」という用語は、特記しない限り、それぞれ重鎖可変領域および軽鎖可変領域を意味する。重鎖CDRは、本明細書においてCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3と称する。軽鎖CDRは、本明細書においてCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3と称する。抗体配列中の可変領域およびCDRは、(i) 当技術分野において開発された一般規則に従って、または(ii) 公知の可変領域のデータベースに対して配列を整列させることによって同定することができる。これらの領域を同定する方法は、Kontermann and Dubel, eds., Antibody Engineering, Springer, New York, NY, 2001、およびDinarello et al., Current Protocols in Immunology, John Wiley and Sons Inc., Hoboken, NJ, 2000に記載されている。抗体配列のデータベースは、www.bioinf.org.uk/absの「Kabatman」データベース(ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ、生化学&分子生物学学科、英国、ロンドンのA.C. Martinによって維持されている)、およびRetter et al., Nucl. Acids Res., 33(Database issue): D671-D674 (2005)に記載されているwww.vbase2.orgのVBASE2に記載されており、これらを通じてアクセスすることができる。「Kabatman」データベースウェブサイトはまた、CDRを同定するための一般的経験則も含んでいる。本明細書で使用する「CDR」という用語は、特記しない限り、Kabat et al., Sequences of Immunological Interest, 5th ed., U.S. Department of Health and Human Services, 1991において定義されるものと同様である。
ポリクローナル抗体は好ましくは、関連抗原およびアジュバントを複数回皮下(sc)または腹腔内(ip)注射することによって動物で産生される。二官能性剤または誘導体化剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基による結合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基による)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、または当技術分野で公知の他の薬剤を用いて、免疫する種において免疫原性であるタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、またはダイズトリプシンインヒビターに関連抗原を結合させることによって、向上した抗体応答を得ることができる。
例えばタンパク質またはコンジュゲート100μgまたは5μg(それぞれ、ウサギまたはマウスの場合)を3倍量のフロイント完全アジュバントと混合し、この溶液を複数部位に皮内注射することによって、動物を抗原、免疫原性コンジュゲート、または誘導体に対して免疫する。1カ月後、フロイント完全アジュバント中の初回量の1/5〜{割合(1/10)}のペプチドまたはコンジュゲートを複数部位に皮下注射することにより、動物を追加免疫する。追加免疫注射の7〜14日後に、動物から採血し、血清を抗体価についてアッセイする。力価がプラトーに達するまで、動物を追加免疫する。好ましくは、同じ抗原のコンジュゲートであるが、異なるタンパク質に、および/または異なる架橋試薬によって結合させたコンジュゲートで、動物を追加免疫する。コンジュゲートは、タンパク質融合物として組換え細胞培養で作製することもできる。また、免疫応答を増強させるために、ミョウバンなどの凝集剤も適切に用いられる。
モノクローナル抗体とは、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指す。モノクローナル抗体は一般的に高度に特異的であり、典型的に異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、単一の抗原性部位に対して指向され得る。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、均一な培養により合成され、異なる特異性および特徴を有するその他の免疫グロブリンが混入していないという点で有利である。
本発明に従って使用するモノクローナル抗体は、Kohler et al., (Nature, 256:495-7, 1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製することもできるし、または組換えDNA法によって作製することもできる(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)。モノクローナル抗体は、例えばClackson et al., (Nature 352:624-628, 1991)およびMarks et al., (J. Mol. Biol. 222:581-597, 1991)に記載されている技法を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
ハイブリドーマ法では、マウスまたはその他の適切な宿主動物、例えばハムスターもしくはマカクザルなどを本明細書に記載する通りに免疫して、免疫化に使用したタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生し得るリンパ球を誘発する。または、リンパ球をインビトロで免疫してもよい。次いで、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を用いて、リンパ球を骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。
このようにして調製したハイブリドーマ細胞を、好ましくは融合していない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含む適切な培養液に播種し、増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合には、ハイブリドーマ用の培養液は典型的に、HGPRT欠損細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含む(HAT培地)。
好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高レベル産生を支持し、培地に対して感受性のある細胞である。ヒト骨髄腫細胞株およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞系もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生に関して記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133: 3001 (1984);Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。例示的なマウス骨髄腫株には、Salk Institute Cell Distribution Center、米国、カリフォルニア州、サンディエゴから入手可能なMOP-21およびM,C.-11マウス腫瘍に由来する株、ならびにアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、米国、メリーランド州、ロックビルから入手可能なSP-2またはX63-Ag8-653細胞が含まれる。
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養液を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されたモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降により、または放射性免疫測定法(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などのインビトロ結合アッセイ法により決定する。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばスキャッチャード解析により決定することができる(Munson et al., Anal. Biochem., 107:220 (1980))。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、限界希釈手順によりクローンをサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。この目的に適した培養液には、例えばDMEMまたはRPMI-1640培地が含まれる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させることもできる。サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順により、培養液、腹水、または血清から適切に分離する。
本発明の抗体を、当技術分野で周知であり、本明細書に記載される抗体のより小さな抗原結合断片として使用できることがさらに意図される。
本発明は、全長重鎖2本および全長軽鎖2本を含むIL-1(例えばIL-1β)結合抗体を包含する。あるいは、IL-1β結合抗体は、IL-1βに対する結合活性を保持する一本鎖抗体または「ミニ」抗体のような構築物であってよい。そのような構築物は、例えば、大腸菌(E. coli)で発現させるための一本鎖抗体のPCRによるクローニングおよび組み立てなど、当技術分野において公知の方法により調製することができる(Antibody Engineering, The practical approach series, J. McCafferty, H. R. Hoogenboom, and D. J. Chiswell, editors, Oxford University Press, 1996に記載されている)。この種の構築物では、抗体分子の重鎖および軽鎖の可変部分をcDNAからPCR増幅する。次いで、得られた単位複製配列を、例えば第2PCR段階において、アミノ酸GlyおよびSerから構成される可動性のタンパク質リンカーをコードするリンカーDNAを介して組み立てる。このリンカーによって、抗原結合ポケットが再生されて、多くの場合に親の全長二量体免疫グロブリン分子に匹敵する親和性で抗原に結合するように、重鎖および軽鎖の可変部分が折りたたまれる。
本発明のIL-1(例えばIL-1β)結合抗体および断片は、本明細書に開示する例示的な抗体、断片、および配列の変種を包含する。変種には、本明細書に開示する例示的な抗体、断片、および配列の1つまたは複数と同じまたは実質的に同じ親和性およびエピトープ結合の特異性を有する、1つまたは複数のアミノ酸配列置換、欠失、および/または付加を含むペプチドおよびポリペプチドが含まれる。したがって、変種には、本明細書に開示する例示的な抗体、断片、および配列に対する、親和性およびエピトープ結合の特異性に実質的な変化をもたらさない1つまたは複数のアミノ酸配列置換、欠失、および/または付加を含むペプチドおよびポリペプチドが含まれる。例えば、抗体または断片の変種は、抗体または断片に対する1つまたは複数の変化に由来してよく、この場合、変化した抗体または断片は開始配列と同じまたは実質的に同じ親和性およびエピトープ結合の特異性を有する。変種は、対立遺伝子変種もしくはスプライス変種のように天然に生じるものであってよく、または人為的に構築することもできる。変種は、そのような変種をコードする対応する核酸分子から調製することができる。本抗体およびIL-1β結合断片の変種は、軽鎖および/または重鎖アミノ酸配列中に、天然に生じた、または組換えDNA技法を用いる天然配列のインビトロ操作によって導入された変化を有し得る。天然に生じる変種には、外来抗原に対する抗体応答の生成中に、対応する生殖系列ヌクレオチド配列においてインビボで生成される「体細胞」変種が含まれる。
IL-1(例えばIL-1β)結合抗体および結合断片の変種はまた、突然変異誘発技法によって調製することも可能である。例えば、抗体コード領域の至るところにアミノ酸変化を無作為に導入することができ、得られた変種をIL-1βに対する結合親和性または別の特性に関してスクリーニングすることができる。あるいは、軽鎖および/もしくは重鎖CDR、ならびに/またはフレームワーク領域などの、IL-1β抗体の選択される領域にアミノ酸変化を導入することができ、得られた抗体をIL-1βに対する結合または他の何らかの活性に関してスクリーニングすることができる。アミノ酸変化は、単一のアミノ酸相違から、CDR3のような所与のCDR内へのアミノ酸の複数置換の導入に及ぶ、CDRにおける1つまたは複数のアミノ酸置換を包含する。別の方法では、CDR内の少なくとも1つの残基をアラニンで置換することによって、CDR内の各残基のIL-1β結合に対する寄与を評価することができる。Lewis et al. (1995), Mol. Immunol. 32: 1065-72。次いで、より最適な配列を決定するために、IL-1βに対する結合に最適でない残基を変化させることができる。CDR3などのCDRの大きさを増加させるために、アミノ酸を挿入することによって作製された変種もまた包含する。例えば、大部分の軽鎖CDR3配列は9アミノ酸長である。9残基より短い抗体中の軽鎖配列は、CDRの長さを増加させるために適切なアミノ酸を挿入することによって、IL-1βに対する結合に関して最適化することができる。
軽鎖または重鎖の「鎖シャフリング」によって変種を調製することも可能である。Marks et al. (1992), Biotechnology 10: 779-83。単一の軽鎖(または重鎖)を、重鎖(または軽鎖)のレパートリーを有するライブラリーと組み合わせることができ、得られた集団を、IL-1βに対する結合などの所望の活性に関してスクリーニングする。これによって、重鎖および軽鎖両方のレパートリーを含むライブラリーで可能であるよりも、単一の軽鎖(または重鎖)と組み合わせた異なる重鎖(または軽鎖)のより多くの試料をスクリーニングすることが可能になる。
本発明のIL-1(例えばIL-1β)結合抗体および断片は、本明細書に開示する例示的な抗体、断片、および配列の誘導体を包含する。誘導体には、化学的に修飾されたポリペプチドもしくはペプチド、またはその変種、断片、もしくは誘導体が含まれる。例には、1つもしくは複数のポリマー(水溶性ポリマーなど)、N結合型もしくはO結合型糖鎖、糖類、リン酸、および/または他のこのような分子の共有結合が含まれる。誘導体は、結合する分子の種類または位置が天然のまたは開始のペプチドまたはポリペプチドと異なるように修飾される。誘導体は、ペプチドまたはポリペプチド上に天然に存在する1つまたは複数の化学基の欠失をさらに含む。
本発明のIL-1β結合抗体および断片は二重特異性であってよい。二重特異性抗体または断片は、いくつかの立体配置のものであってよい。例えば、二重特異性抗体は、単一の抗体(または抗体断片)に似ているが、2つの異なる抗原結合部位(可変領域)を有し得る。二重特異性抗体は、化学的技法によって(Kranz et al. (1981), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78: 5807)、「ポリドーマ(polydoma)」技法によって(米国特許第4,474,893号)、または組換えDNA技法によって作製することができる。本発明の二重特異性抗体は、その少なくとも1つがIL-1βのエピトープである、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有し得る。IL-1β結合抗体および断片はまた、ヘテロ抗体であってもよい。ヘテロ抗体とは、互いに連結された、それぞれ異なる特異性を有する2つまたはそれ以上の抗体または抗体結合断片(Fab)である。
モノクローナル抗体の作製を回避して、抗体分子の抗原結合領域の組換えDNA型を作製する技法が、本IL-1(例えばIL-1β)結合抗体および断片に関して意図される。DNAを細菌発現系にクローニングする。本発明の実施に適したこのような技法の一例では、発現されたFabタンパク質を細胞膜周辺腔(細菌細胞膜と細胞壁の間)に移行させるかまたは分泌させるリーダー配列を有するバクテリオファージλベクター系を用いる。IL-1βと結合するものに関して、多数の機能的Fab断片を迅速に作製し、スクリーニングすることができる。このようなIL-1β結合剤(IL-1βポリペプチドに対する特異性を有するFab断片)は、本明細書のIL-1β結合抗体および断片の範囲内に明確に包含される。
本IL-1(例えばIL-1β)結合抗体および断片は、ヒト化抗体またはヒト型に設計された抗体であってよい。本明細書で使用するヒト化抗体またはその抗原結合断片とは、非ヒト抗体に由来する抗原結合部位の部分、ならびにヒト抗体のフレームワークおよび/または定常領域の部分を含む組換えポリペプチドである。ヒト型に設計された抗体または抗体断片とは、ヒトにおける改変抗体の検出可能な免疫原性を減少させるまたは除去するために、特定の位置のアミノ酸を改変する(例えば、欠失、挿入、または置換する)ことによって操作された非ヒト(例えば、マウス)抗体である。
ヒト化抗体には、キメラ抗体およびCDR移植抗体が含まれる。キメラ抗体とは、ヒト定常領域に連結された非ヒト抗体可変領域を含む抗体である。したがってキメラ抗体では、可変領域は主に非ヒトであり、定常領域はヒトである。キメラ抗体およびそれらを作製する方法は、Morrison, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6841-6855 (1984)、Boulianne et al., Nature, 312: 643-646 (1984)、および国際公開公報 WO 86/01533に記載されている。キメラ抗体はマウスモノクローナル抗体よりも免疫原性が低いと考えられるが、キメラ抗体の投与は、抗体の非ヒト部分に対するヒト抗マウス抗体応答(HAMA)と関連している。キメラ抗体はまた、適切な抗原結合特異性を有するマウス抗体分子由来の遺伝子と、ヒト補体を活性化するおよびADCCを媒介する能力などの適切な生物活性を有するヒト抗体分子由来の遺伝子をつなぎ合わせることによって作製することもできる。Morrison et al. (1984), Proc. Natl. Acad. Sci., 81: 6851;Neuberger et al. (1984), Nature, 312: 604。一例として、Fc領域の、異なるアイソタイプのFc領域との置換が挙げられる。
CDR移植抗体とは、ヒト「レシピエント」抗体のフレームワーク領域に連結された、非ヒト「ドナー」抗体由来のCDRを含む抗体である。一般に、CDR移植抗体は、ヒト抗体に由来する定常領域配列および可変領域(フレームワーク)配列の両方を含むため、キメラ抗体よりも多くのヒト抗体配列を含む。したがって、例えば、本発明のCDR移植ヒト化抗体は、ヒト抗体のフレームワーク領域(例えば、ヒト抗体のFR-1、FR-2、またはFR-3)に由来する連続したアミノ酸配列(例えば、約5個もしくはそれ以上、10個もしくはそれ以上、またはさらには15個もしくはそれ以上の連続したアミノ酸残基)を含んでよく、任意には、ヒト抗体の全フレームワーク領域の大部分またはすべてを含み得る。CDR移植抗体およびそれらを作製する方法は、Jones et al., Nature, 321: 522-525 (1986)、Riechmann et al., Nature, 332: 323-327 (1988)、およびVerhoeyen et al., Science, 239: 1534-1536 (1988)に記載されている。ヒト化抗体を作製するために使用できる方法はまた、米国特許第4,816,567号、第5,721,367号、第5,837,243号、および第6,180,377号に記載されている。CDR移植抗体は、非ヒト抗体部分に対する免疫応答を誘導する可能性がキメラ抗体よりも低いと考えられる。しかし、おそらくはこれらのフレームワーク配列がドナー抗体の抗原結合部分の折りたたみに影響するために、ドナー抗体の結合親和性および/または特異性にはドナー抗体のフレームワーク配列が必要であることが報告されている。したがって、ドナーの非ヒトCDR配列を未改変のヒトフレームワーク配列に移植すると、得られたCDR移植抗体は、場合によって元の非ヒトドナー抗体と比較して結合親和性の減少を示し得る。例えば、Riechmann et al., Nature, 332: 323-327 (1988)、およびVerhoeyen et al., Science, 239: 1534-1536 (1988)を参照されたい。
ヒト型に設計された抗体には、例えば「張り合わせ(veneered)」抗体およびHUMAN ENGINEERING(商標)技術(U.S. Patent 5,869,619)を用いて調製された抗体が含まれる。HUMAN ENGINEERING(商標)技術は市販されており、これは、ヒトにおける免疫原性が低減されるが、それでもなお元の非ヒト抗体の所望の結合特性を保持する改変抗体を生じるように、抗体のアミノ酸配列に対して特定の変化をもたらすことによって、マウスもしくはキメラ抗体または抗体断片などの非ヒト抗体または抗体断片を改変する段階を含む。一般に、この技法は、非ヒト(例えば、マウス)抗体のアミノ酸残基を「低リスク」、「中程度リスク」、または「高リスク」残基に分類する段階を含む。分類は、置換が、得られた抗体の折りたたみおよび/または抗原結合特性に影響するリスクに対して、特定の置換を作製することの予測される利点(例えば、ヒトにおける免疫原性に関して)を評価する全体的なリスク/恩恵算出を用いて行う。したがって、低リスク位置とは、抗原結合特性に有意に影響することなく免疫原性が低減されることが予測されるために、置換が有利であると予測される位置である。中程度リスク位置とは、置換によって免疫原性が低減されると予測されるが、タンパク質折りたたみおよび/または抗原結合に影響する可能性がより高い位置である。高リスク位置は、適切な折りたたみまたは抗原結合に関与する可能性が最も高い残基を含む。一般に、非ヒト抗体における低リスク位置をヒト残基で置換し、高リスク位置はめったに置換することなく、中程度リスク位置におけるヒト化置換は、無差別ではないにしても行う場合もある。非ヒト抗体可変領域配列内のプロリンを有する位置は通常、少なくとも中程度リスク位置として分類される。
非ヒト(例えば、マウス)抗体配列の所与の低リスクまたは中程度リスク位置において置換する特定のヒトアミノ酸残基は、非ヒト抗体の可変領域に由来するアミノ酸配列を、特定のまたは共通のヒト抗体配列の対応する領域と整列させることによって選択することができる。非ヒト配列における低リスクまたは中程度リスク位置におけるアミノ酸残基は、整列化に従ってヒト抗体配列中の対応する残基と置換することができる。ヒト型に設計されたタンパク質を作製する技法は、Studnicka et al., Protein Engineering, 7: 805-814 (1994)、米国特許第5,766,886号、第5,770,196号、第5,821,123号、および第5,869,619号、ならびに国際公開公報 WO 93/11794にさらに詳述されている。
「張り合わせ(ベニア;veneered)」抗体とは、免疫原性をさらに減少させるまたは機能を増強するために、特定の溶媒露出アミノ酸残基を置換するよう操作された非ヒトまたはヒト化(例えば、キメラまたはCDR移植抗体)抗体である。キメラ抗体の表面残基は正確な抗体折りたたみに影響する可能性が低く、免疫応答を誘発する可能性が高いと推定されるため、キメラ抗体の張り合わせは、例えば、キメラ抗体の非ヒトフレームワーク領域における溶媒露出残基を同定する段階、およびそれらのうちの少なくとも1つをヒトフレームワーク領域に由来する対応する表面残基で置換する段階を含み得る。張り合わせは、上記のHUMAN ENGINEERING(商標)技術の使用を含む、任意の適切な操作技法によって達成することができる。
異なるアプローチでは、CDR移植抗体を「脱ヒト化(de-humanizing)」することによって、結合親和性の回復を達成することができる。脱ヒト化は、ドナー抗体のフレームワーク領域に由来する残基をCDR移植抗体に復帰させる段階を含み、それによって正確な折りたたみが復元され得る。同様の「脱ヒト化」は、(i) 「レシピエント」抗体中に「ドナー」フレームワーク領域の一部を含めるか、または(ii) レシピエント抗体に「ドナー」抗体フレームワーク領域の一部を移植する(移植するドナーCDRと共に)ことによって達成することができる。
抗体、ヒト化抗体、ヒト型に設計された、およびそれらを調製する方法のさらなる考察に関しては、Kontermann and Dubel, eds., Antibody Engineering, Springer, New York, NY, 2001を参照されたい。
例示的なヒト化抗体またはヒト型に設計された抗体には、IgG、IgM、IgE、IgA、およびIgD抗体が含まれる。本抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなど)またはアイソタイプのものであってよく、カッパまたはラムダ軽鎖を含み得る。例えば、ヒト抗体は、アイソタイプ、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のうちの少なくとも1つのような、IgG重鎖または既定の断片を含み得る、さらなる例として、本抗体または断片はIgG1重鎖およびIgG1軽鎖を含み得る。
本抗体および断片は、IL-1βポリペプチドと結合し、かつヒト生殖系列免疫グロブリン核酸配列の天然体細胞変種である核酸配列によってコードされる抗体のようなヒト抗体、ならびにその断片、合成変種、誘導体、および融合物であってよい。このような抗体は、哺乳動物染色体において天然免疫グロブリンレパートリーがヒトV-遺伝子で置換されているトランスジェニック哺乳動物(トランスジェニックマウスなど)を使用するなど、当技術分野において公知である任意の方法によって産生され得る。このような哺乳動物は、正常な様式でヒト生殖系列抗体遺伝子のVDJ組換えおよび体細胞超変異を起こすと考えられ、よって完全なヒト配列を有する高親和性抗体が産生される。
標的タンパク質に対するヒト抗体は、内因性免疫グロブリン産生を有さず、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むように操作されたトランスジェニック動物を用いて産生させることもできる。例えば、WO 98/24893はヒトIg遺伝子座を有するトランスジェニック動物を開示しており、この動物は内因性の重鎖および軽鎖遺伝子座の不活化のために機能的な内因性免疫グロブリンを産生しない。WO 91/00906もまた、免疫原に対する免疫応答を開始することができるトランスジェニック非霊長類哺乳動物宿主を開示しており、この場合、抗体は霊長類定常領域および/または可変領域を有し、内因性免疫グロブリンをコードする遺伝子座は置換されるかまたは不活化されている。WO 96/30498および米国特許第6,091,001号は、定常領域または可変領域のすべてまたは一部を置換して改変抗体分子を形成するためなど、哺乳動物における免疫グロブリン遺伝子座を改変するためのCre/Lox系の使用を開示している。WO 94/02602号は、不活化内因性Ig遺伝子座および機能的ヒトIg遺伝子座を有する非ヒト哺乳動物宿主を開示している。米国特許第5,939,598号は、内因性重鎖を欠き、1つまたは複数の異種定常領域を含む外因性免疫グロブリン遺伝子座を発現するトランスジェニックマウスを作製する方法を開示している。米国特許第6,114,598号、同第6,657,103号、および同第6,833,268号も参照されたい。
上記のトランスジェニック動物を使用して、選択された抗原性分子に対して免疫応答を生じさせることができ、抗体産生細胞を動物から取り出して、ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製するために使用することができる。免疫化プロトコール、アジュバント等は当技術分野で公知であり、例えばWO 96/33735に記載されているようにトランスジェニックマウスの免疫化において使用される。この公開は、IL-6、IL-8、TNFa、ヒトCD4、Lセレクチン、gp39、および破傷風毒素を含む様々な抗原性分子に対するモノクローナル抗体を開示している。モノクローナル抗体は、対応するタンパク質の生物活性または生理的効果を阻害または中和する能力について試験することができる。WO 96/33735は、IL-8で免疫したトランスジェニックマウスの免疫細胞に由来するIL-8に対するモノクローナル抗体が、好中球のIL-8誘導性機能を阻止したことを開示している。トランスジェニック動物を免疫するために使用した抗原に対する特異性を有するヒトモノクローナル抗体は、WO 96/34096および米国特許出願第20030194404号;ならびに米国特許出願第20030031667号にも開示されている。
モノクローナル抗体を作製するために有用なさらなるトランスジェニック動物には、米国特許第5,770,429号およびFishwild, et al. (Nat. Biotechnol. 14:845-851, 1996)に記載されている、ヒト抗体の重鎖および軽鎖をコードする非再編成ヒト抗体遺伝子に由来する遺伝子配列を含むMedarex HuMAb-MOUSE(登録商標)が含まれる。HuMAb-MOUSE(登録商標)の免疫化により、標的タンパク質に対する完全ヒトモノクローナル抗体の産生が可能になる。
また、Ishida et al. (Cloning Stem Cells. 4:91-102, 2002)は、ヒトDNAのメガ塩基サイズのセグメントを含み、ヒト免疫グロブリン(hIg)遺伝子座全体を組み入れたTransChromo Mouse((TCMOUSE(商標))を記載している。TCMOUSE(商標)は、IgGのすべてのサブクラス(IgG1〜G4)を含む、hIgの十分に多様なレパートリーを有する。種々のヒト抗原でTCMOUSE(商標)を免疫すると、ヒト抗体を含む抗体応答が生じる。
Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993);Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993);Bruggermann et al., Year in Immunol., 7:33 (1993);および米国特許第5,591,669号、米国特許第5,589,369号、米国特許第5,545,807号;および米国特許出願公開第20020199213号も参照されたい。米国特許出願公開第20030092125号は、所望のエピトープに対する動物の免疫応答にバイアスをかける方法を記載している。ヒト抗体はまた、インビトロ活性化B細胞により作製してもよい(米国特許第5,567,610号および同第5,229,275号を参照されたい)。
ヒト抗体はまた、抗体ディスプレイライブラリーのインビトロスクリーニングにより作製することもできる。Hoogenboom et al. (1991), J. Mol. Biol. 227: 381;およびMarks et al. (1991), J. Mol. Biol. 222: 581を参照されたい。種々の抗体含有ファージディスプレイライブラリーが記載されており、容易に調製することができる。ライブラリーは、適切な標的に対してスクリーニングすることができる、ヒトFab、Fv、およびscFv断片などの多様なヒト抗体配列を含み得る。ファージディスプレイライブラリーは、IL-1βの選択的結合剤を同定するためにスクリーニングすることができる抗体以外のペプチドまたはタンパク質を含んでもよい。
組換えヒト抗体遺伝子のレパートリーを作製する技術の開発、およびコードされる抗体断片の糸状バクテリオファージの表面上での提示により、ヒト抗体を直接作製するための手段が提供された。ファージ技術によって作製される抗体は、細菌において抗原結合断片‐通常はFvまたはFab断片‐として産生され、したがってエフェクター機能を欠いている。エフェクター機能は、2つの戦略のうちの1つによって導入することができる:哺乳動物細胞における発現のために、断片を完全抗体になるよう操作するか、またはエフェクター機能を誘発できる第2の結合部位を用いて二重特異性抗体断片に操作することができる。
本発明は、ヒト抗体のライブラリーをファージ上で合成する段階、標的タンパク質またはその部分を用いてライブラリーをスクリーニングする段階、標的に結合するファージを単離する段階、およびファージから抗体を獲得する段階を含む、標的特異的抗体またはその抗原結合部分を作製する方法を意図する。一例として、ファージディスプレイ技法で使用するための抗体ライブラリーを調製する1つの方法は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含む非ヒト動物を標的抗原またはその抗原性部分で免疫して免疫応答を生じさせる段階、免疫した動物から抗体産生細胞を採取する段階;採取した細胞からRNAを単離する段階、RNAを逆転写してcDNAを作製する段階、プライマーを用いてcDNAを増幅する段階、および抗体がファージ上で発現されるようにcDNAをファージディスプレイベクターに挿入する段階を含む。本発明の組換え標的特異的抗体は、このようにして得ることができる。
ファージディスプレイ過程は、糸状バクテリオファージの表面上に抗体レパートリーを提示し、続いて選択された抗原に対するその結合によってファージを選択することにより、免疫選択を模倣する。1つのそのような技法はWO 99/10494に記載されており、これは、そのようなアプローチを使用した、MPLおよびmsk受容体に対する高親和性かつ機能的アゴニスト抗体の単離を記載している。本発明の抗体は、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリー、好ましくは、ヒトリンパ球由来のmRNAから調製されたヒトVLおよびVHのcDNAを用いて調製したscFvファージディスプレイライブラリーをスクリーニングすることにより単離することができる。このようなライブラリーを調製およびスクリーニングするための方法論は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,969,108号を参照されたい。ファージディスプレイライブラリーを作製するためのキットが市販されている(例えば、Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、カタログ番号27-9400-01;およびStratagene SurfZAP(商標)ファージディスプレイキット、カタログ番号240612)。抗体ディスプレイライブラリーを作製およびスクリーニングする際に使用することができる他の方法および試薬も存在する(例えば、Ladner et al. 米国特許第5,223,409号;Kang et al. WO 92/18619;Dower et al. WO 91/17271;Winter et al. WO 92/20791;Markland et al. WO 92/15679;Breitling et al. WO 93/01288;McCafferty et al. WO 92/01047;Garrard et al. WO 92/09690;Fuchs et al. (1991) Bio/Technology 9:1370-1372;Hay et al. (1992) Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85;Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281;McCafferty et al., Nature (1990) 348:552-554;Griffiths et al. (1993) EMBO J 12:725-734;Hawkins et al. (1992) J. Mol. Biol. 226:889-896;Clackson et al. (1991) Nature 352:624-628;Gram et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576-3580;Garrad et al. (1991) Bio/Technology 9:1373-1377;Hoogenboom et al.(1991) Nuc Acid Res 19:4133-4137;およびBarbas et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7978-7982を参照されたい)。
1つの態様では、所望の特徴を有する標的抗原に特異的なヒト抗体を単離するために、ヒトVHおよびVLライブラリーをスクリーニングして、所望の特異性を有する抗体断片を選択する。この方法で使用する抗体ライブラリーは、好ましくは、本明細書および当技術分野で記載される通りに調製およびスクリーニングされるscFvライブラリーである(McCafferty et al.、WO 92/01047、McCafferty et al., (Nature 348:552-554, 1990);およびGriffiths et al., (EMBO J 12:725-734, 1993))。scFv抗体ライブラリーは、好ましくは標的タンパク質を抗原として用いてスクリーニングする。
または、抗体のFd断片(VH-CH1)および軽鎖(VL-CL)をPCRにより別々にクローニングし、コンビナトリアルファージディスプレイライブラリーにおいてランダムに組換え、その後特定の抗原に対する結合について選択することができる。Fab断片をファージ表面上で発現させ、すなわちそれらをコードする遺伝子に物理的に関連づける。したがって、抗原結合によりFabを選択すると、Fabコード配列も同時に選択され、続いてこれを増幅することができる。パニングと称される手順である抗原結合および再増幅を数ラウンド行うことにより、抗原に特異的なFabが濃縮され、最終的に単離される。
1994年に、「誘導選択(guided selection)」と称される、抗体をヒト化するためのアプローチが記載された。誘導選択は、マウスモノクローナル抗体をヒト化するためにファージディスプレイ技法の威力を利用する(Jespers, L. S., et al. Bio/Technology 12, 899-903 (1994)を参照されたい)。このために、マウスモノクローナル抗体のFd断片をヒト軽鎖ライブラリーと組み合わせて提示することができ、次いで生じたハイブリッドFabライブラリーを抗原で選択することができる。こうして、マウスFd断片は、選択を誘導するための鋳型を提供する。その後、選択されたヒト軽鎖をヒトFd断片ライブラリーと組み合わせる。生じたライブラリーを選択することにより、完全なヒトFabが得られる。
ファージディスプレイライブラリーからヒト抗体を導出するための様々な手順が記載されている(例えば、Hoogenboom et al., J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol, 222:581-597 (1991);米国特許第5,565,332号および同第5,573,905号;Clackson, T., and Wells, J. A., TIBTECH 12, 173-184 (1994)を参照されたい)。特に、ファージディスプレイライブラリーに由来する抗体のインビトロでの選択および進化は、強力な手段となっている(Burton, D. R., and Barbas III, C. F., Adv. Immunol. 57, 191-280 (1994);Winter, G., et al., Annu. Rev. Immunol. 12, 433-455 (1994);米国特許出願公開第20020004215号およびWO 92/01047;米国特許出願公開第20030190317号;ならびに米国特許第6,054,287号および同第5,877,293号を参照されたい)。
Watkins, 「Screening of Phage-Expressed Antibody Libraries by Capture Lift,」 Methods in Molecular Biology, Antibody Phage Display: Methods and Protocols 178: 187-193、および2003年3月6日に公開された米国特許出願公開第20030044772号は、固体支持体への候補結合分子の固定化を含む方法である捕獲リフト(capture lift)により、ファージ発現抗体ライブラリーまたは他の結合分子をスクリーニングする方法を記載している。
Fv断片は、ファージタンパク質融合物(例えば、M13遺伝子IIIとの)として発現される1本鎖と、可溶性断片として発現される相補鎖の会合により、ファージの表面上に提示される。ファージは、クラスIファージ:fd、M13、f1、If1、1ke、ZJ/Z、Ffのうちの1つ、ならびにクラスIIファージXf、Pf1、およびPf3のうちの1つなどの糸状ファージであってよいことが意図される。ファージは、M13、またはfdもしくはその誘導体であってもよい。
最初のヒトVLおよびVHセグメントが選択されたならば、「混合および適合(mix and match)」実験を行い、最初に選択されたVLおよびVHセグメントの様々な対を標的結合についてスクリーニングして、好ましいVL/VH対の組み合わせを選択する。加えて、抗体の質をさらに改善するために、天然の免疫応答において抗体の親和性成熟を担うインビボ体細胞変異過程に類似した過程で、好ましいVL/VH対のVLおよびVHセグメントを、好ましくはVHおよび/またはVLのCDR1、CDR2、またはCDR3領域のいずれかの内部でランダムに変異させることができる。このインビトロ親和性成熟は、それぞれVH CDR1、CDR2、およびCDR3またはVL CDR1、CDR2、およびCDR3に相補的なPCRプライマーを用いて、VLおよびVH領域を増幅することによって達成することができる。これらのプライマーには、結果として生じるPCR産物が、VHおよび/またはVL CDR3領域中にランダムな変異が導入されたVLおよびVHセグメントをコードするように、特定の位置に4種のヌクレオチド塩基のランダムな混合物が添加してある。これらのランダムに変異させたVLおよびVHセグメントを、標的抗原への結合について再度スクリーニングすることができる。
組換え免疫グロブリンディスプレイライブラリーから標的特異的抗体をスクリーニングおよび単離した後、選択された抗体をコードしている核酸をディスプレイパッケージから(例えば、ファージゲノムから)回収し、標準的な組換えDNA技法により他の発現ベクターにサブクローニングすることができる。必要に応じて、後述するように核酸をさらに操作して、本発明の他の抗体形態を創出することもできる。コンビナトリアルライブラリーのスクリーニングにより単離した組換えヒト抗体を発現させるには、本明細書に記載するように、抗体をコードするDNAを組換え発現ベクターにクローニングし、哺乳動物宿主細胞に導入する。
細菌または宿主細胞の突然変異誘発株でファージディスプレイ法を実施できることが意図される。突然変異誘発株は、その内部で複製されるDNAをその親DNAに関して変異させる遺伝子欠陥を有する宿主細胞である。例示的な突然変異誘発株は、NR9046mutD5およびNR9046 mut T1である。
ヘルパーファージを用いてファージディスプレイ法を実施できることも意図される。これは、欠陥ファージゲノムを含む細胞に感染させるために用いられ、欠陥を補足するように機能するファージである。欠陥ファージゲノムは、何らかの機能をコードする遺伝子配が除去されているファージミドまたはファージであってよい。ヘルパーファージの例は、M13K07、M13K07遺伝子III no. 3;およびキャプシドタンパク質に融合された結合分子を提示またはコードするファージである。
抗体はまた、WO 92/01047に開示されているような階層的二重組み合わせアプローチを使用するファージディスプレイスクリーニング法により作製される。この方法では、H鎖またはL鎖クローンのいずれかを含む個々のコロニーを使用して、他方の鎖(LまたはH)をコードするクローンの完全なライブラリーを感染させ、結果として生じた2鎖の特異的結合メンバーを、その文献に記載されているようなファージディスプレイ技法に従って選択する。この技法は、Marks et al, (Bio/Technology, 10:779-783, 1992)にも記載されている。
抗原特異的抗体を同定するために、酵母および微生物細胞の表面上にペプチドを提示させる方法も用いられている。例えば、米国特許第6,699,658号を参照されたい。抗体ライブラリーを凝集素などの酵母タンパク質に結合させて、免疫系におけるB細胞による抗体の細胞表面提示を効果的に模倣することができる。
ファージディスプレイ法に加えて、抗体は、リボソームmRNAディスプレイ法および微生物細胞ディスプレイ法を用いて単離することもできる。リボソームディスプレイを使用するポリペプチドの選択は、Hanes et al., (Proc. Natl Acad Sci USA, 94:4937-4942, 1997)、ならびにKawasakiに発行された米国特許第5,643,768号および同第5,658,754号に記載されている。リボソームディスプレイは、抗体の迅速大規模突然変異解析にも有用である。選択的突然変異誘発アプローチもまた、リボソームディスプレイ技法を用いて選択することができる活性が向上した抗体を作製する方法を提供する。
IL-1(例えばIL-1β)結合抗体および断片は、IL-1βと結合しないが、代わりに循環半減期、直接的細胞毒性効果、検出可能な標識、またはレシピエントの内因性補体カスケードもしくは内因性細胞傷害性の活性化などのその他の機能に関与する1つまたは複数の部分を含み得る。抗体または断片は、抗体の定常領域のすべてまたは一部を含んでよく、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)、またはIgMを含む任意のアイソタイプのものであってよい。定常領域を含むことに加えてまたはその代わりに、本発明の抗原結合化合物は、エピトープタグ、サルベージ受容体エピトープ、診断もしくは精製目的のための標識部分、または放射性核種もしくは毒素などの細胞毒性部分を含み得る。
本抗体および断片の定常領域(存在する場合)は、γ1、γ2、γ3、γ4、μ、β2、またはδ、またはε型のもであってよく、好ましくはγ型、より好ましくはy型のものであってよく、ヒト軽鎖の定常部分はκまたはλ型(λ1、λ2、およびλ3サブタイプを含む)のものであってよいが、好ましくはκ型のものである。
変種には、野生型Fc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸改変を含む改変されたFc領域を含む抗体または断片もまた含まれる。変種Fc領域は、野生型Fc領域を含む匹敵する分子と比較して、より高いまたはより低い親和性でFc受容体に結合するように設計することができる。
例えば、本IL-1β結合抗体および断片は、改変Fc領域を含み得る。Fc領域とは、IgGのパパイン消化によって生成される、IgG C末端ドメインと相同的な天然または合成ポリペプチドを指す。IgG Fcは、約50 kDの分子量を有する。本抗体および断片では、全Fc領域を用いることもできるし、または半減期延長部分のみを用いることもできる。さらに、天然の活性がすべての場合において必要であるとも望ましいとも限らないため、アミノ酸配列中の多くの改変も許容される。
Fc領域は、必要に応じて、補体を結合する能力およびFc受容体と高親和性で結合する能力を阻害するために、変異させることができる。マウスIgG Fcでは、Glu 318、Lys 320、およびLys 322をAla残基と置換すると、このタンパク質はADCCを引き起こすことができなくなる。Leu 235をGluに置換すると、高親和性でFc受容体に結合するこのタンパク質の能力は阻害される。ヒトIgGに関する種々の変異もまた知られている(例えば、Morrison et al., 1994, The Immunologist 2: 119 124、およびBrekke et al., 1994, The Immunologist 2: 125を参照されたい)。
いくつかの態様においては、例えば血清半減期またはインビトロアッセイによって測定される半減期といった、生物環境における抗体または断片の半減期が延長されるように天然Fc領域が改変された改変Fc領域を有する本抗体または断片が提供される。IgGのFc領域の元の形態を改変する方法もまた、米国特許第6,998,253号に記載されている。
特定の態様では、例えば、半減期を延長するためにPEGまたは多糖ポリマーを含むその他の水溶性ポリマーなどの分子を抗体断片に付加するなど、血清半減期を延長するために抗体または断片を改変することが望ましい場合がある。これはまた、例えば抗体断片にサルベージ受容体結合エピトープを組み入れることによって(例えば、抗体断片中の適切な領域の変異により、またはペプチドタグにエピトープを組み入れ、次いでこれを抗体断片のいずれかの末端または中央に融合させることにより(例えば、DNAまたはペプチド合成により))達成することができる(WO96/32478を参照されたい)。サルベージ受容体結合エピトープとは、IgG分子のインビボ血清半減期の延長に関与する、IgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
サルベージ受容体結合エピトープは、Fcドメインの1つまたは2つのループに由来する任意の1つまたは複数のアミノ酸残基が、抗体断片の類似の位置に移行される領域を含み得る。さらにより好ましくは、Fcドメインの1つまたは2つのループに由来する3つまたはそれ以上の残基を移行させる。さらにより好ましくは、Fc領域(例えばIgGの)のCH2ドメインからエピトープを得て、抗体のCH1、CH3、もしくはVH領域、または2つ以上のそのような領域に移行させる。あるいは、Fc領域のCH2ドメインからエピトープを得て、抗体断片のCL領域もしくはVL領域またはその両方に移行させる。Fc変種およびそれらのサルベージ受容体との相互作用について記載しているWO 97/34631およびWO 96/32478もまた参照されたい。
Fc受容体結合部位内の残基の変異は、ADCCもしくはCDC活性の変化または半減期の変化など、エフェクター機能の変化をもたらし得る。可能な変異には、アラニンとの置換、保存的置換、非保存的置換、または異なるIgGサブクラスに由来する同じ位置の対応するアミノ酸残基との置換(例えば、IgG1残基を、その位置の対応するIgG2残基で置換する)を含む、1つまたは複数の残基の挿入、欠失、または置換が含まれる。例えば、IgG4のアミノ酸241位におけるセリンをプロリン(IgG1およびIgG2のその位置に見出される)に変異させることによって、均一な抗体が産生され、元のキメラIgG4と比較して血清半減期が延長され、組織分布が改善されることが報告されている(Angal et al., Mol Immunol. 30:105-8, 1993)。
抗体断片とは、無傷の抗体の抗原結合領域または可変領域などの、無傷の全長抗体の一部である。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFv断片;ダイアボディ(diabody);直鎖状抗体:一本鎖抗体分子(例えば、scFv);二重特異性、三重特異性、および多特異性抗体などの多特異性抗体断片(例えば、ダイアボディ、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody));ミニボディ(minibody);キレート化組換え抗体;トリボディ(tribody)またはバイボディ(bibody);イントラボディ(intrabody);ナノボディ(nanobody);小モジュール免疫薬剤(SMIP)、アドネクチン、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質;ラクダ化抗体;VHH含有抗体;および抗体断片から形成される任意の他のポリペプチドが含まれる。
本発明は、上記の重鎖または軽鎖配列のいずれかを含み、かつIL-1βと結合するIL-1β結合抗体断片を包含する。本明細書で使用する断片という用語は、抗体の任意の3個またはそれ以上の連続したアミノ酸(例えば、4個もしくはそれ以上、5個もしくはそれ以上、6個もしくはそれ以上、8個もしくはそれ以上、またはさらには10個もしくはそれ以上の連続したアミノ酸)を指し、Fab、Fab'、F(ab')2、およびF(v)断片、または個々の軽鎖もしくは重鎖可変領域またはその一部を包含する。IL-1β結合断片には、例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、およびscFvが含まれる。これらの断片は無傷の抗体のFc断片を欠いており、無傷の抗体よりも迅速に循環から除去され、非特異的組織結合が低い可能性がある。Wahl et al. (1983), J. Nucl. Med., 24: 316-25を参照されたい。これらの断片は、例えば、パパイン(Fab断片を生成するため)またはペプシン(F(ab')2断片を生成するため)などの酵素でタンパク質切断するなど、周知の方法を用いて無傷の抗体から生成することができる。
I型IL-1受容体(IL-1R1)に対するIL-1βの結合を測定する際に用いるインビトロアッセイ法および細胞に基づくアッセイ法は、IL-1βまたはIL-1RIに結合する分子(抗体、アンタゴニスト、またはその他のインヒビターなど)の存在下で測定するアッセイ法を含め、当技術分野において十分に記載されている。(例えば、Evans et al., (1995), J. Biol. Chem. 270:11477-11483;Vigers et al., (2000), J. Biol. Chem. 275:36927-36933;Yanofsky et al., (1996), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:7381-7386;Fredericks et al., (2004), Protein Eng. Des. Sel. 17:95-106;Slack et al., (1993), J. Biol. Chem. 268:2513-2524;Smith et al., (2003), Immunity 18:87-96;Vigers et al., (1997), Nature 386:190-194;Ruggiero et al., (1997), J. Immunol. 158:3881-3887;Guo et al., (1995), J. Biol. Chem. 270:27562-27568;Svenson et al., (1995), Eur. J. Immunol. 25:2842-2850;Arend et al., (1994), J. Immunol. 153:4766-4774を参照されたい)。そのようなアッセイのための、ヒトI型IL-1受容体を含む組換えI型IL-1受容体は、様々な市販供給元(例えば、R&D Systems、SIGMAを参照されたい)から容易に入手することができる。I型IL-1受容体はまた、標準的な分子生物学および当技術分野で公知のトランスフェクション技法を用いて、適切な宿主細胞に導入された発現構築物またはベクターから発現させることもできる。次いで、発現されたI型IL-1受容体を、結合アッセイにおいて使用するために単離および精製することができ、またはあるいは細胞結合型として直接使用することもできる。
例えば、I型IL-1受容体に対するIL-1βの結合は、IL-1β結合抗体を固定化し、IL-1βを固体化抗体と接触させて、IL-1βが抗体に結合したかどうかを決定し、可溶型IL-1RIを結合しているIL-1β/抗体複合体と接触させて、可溶性IL-1RIが複合体に結合したかどうかを決定することによって判定することができる。この手順はまた、可溶性IL-1RIを、IL-1βと接触させる前に固定化抗体と接触させて、可溶性IL-1RIが固定化抗体に結合しないことを確認する段階をさらに含み得る。この手順は、結合相互作用の反応速度解析用のBiacore(登録商標)装置を用いて行うことができる。このような手順を用いて、抗体またはその他の分子が、IL-1βのI型IL-1受容体への結合を許容するかまたは遮断するかを判定することもできる。
その他のIL-1β/IL-1RI結合アッセイでは、IL-1β抗体またはそのIL-1β結合断片の存在下または非存在下において、IL-1RIに対するIL-1βの結合を比較することによって、I型IL-1受容体に対するIL-1β結合の許容または遮断を判定することができる。遮断は、アッセイ読み取り値において、対応する緩衝液または希釈液を含むがIL-1β抗体またはそのIL-1β結合断片を含まない対照試料と比較した場合の、抗IL-1β抗体またはそのIL-1β結合断片の存在下におけるI型IL-1受容体に対するIL-1β結合の減少表示として同定される。アッセイ読み取り値は、遮断の存在もしくは非存在を示して定性的と見なされてもよいし、または抗体もしくは断片の存在に起因する結合のパーセント減少もしくは減少倍率を示して定量的と見なされてもよい。
あるいはまたはさらに、IL-1β結合抗体またはIL-1β結合断片がIL-1RIに対するIL-1β結合を実質的に遮断する場合、IL-1RIに対するIL-1β結合は、抗体または断片の非存在下における同濃度のIL-1βとIL-1RIの結合と比較して、少なくとも10倍、あるいは少なくとも約20倍、あるいは少なくとも約50倍、あるいは少なくとも約100倍、あるいは少なくとも約1000倍、あるいは少なくとも約10000倍、またはそれ以上減少する。別の例として、IL-1β結合抗体またはIL-1β結合断片がIL-1RIに対するIL-1β結合を実質的に許容する場合、IL-1RIに対するIL-1β結合は、抗体または断片の非存在下における同濃度のIL-1βとIL-1RIの結合の少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%、あるいは少なくとも約99%、あるいは少なくとも約99.9%、あるいは少なくとも約99.99%、あるいは少なくとも約99.999%、あるいは少なくとも約99.9999%、あるいはその結合と実質的に同一である。
本発明は、特定の態様において、本明細書に記載する例示的な抗体の1つまたは複数と同じエピトープまたは実質的に同じエピトープに結合するIL-1β結合抗体またはIL-1β結合断片を包含し得る。あるいはまたはさらに、IL-1β結合抗体またはIL-1β結合断片は、米国特許出願第11/472813号に記載されるAB7の可変領域配列(配列は以下に表示)を有する抗体の結合と競合する。あるいはまたはさらに、本発明は、AB5およびAB7と命名された抗体(米国特許出願第11/472813号)が結合するエピトープであるアミノ酸配列
Figure 2012502058
中に含まれるエピトープに結合するIL-1β結合抗体および断片を包含する。本明細書において意図されるように、当技術分野におけるいくつかの公知の方法のいずれかを用いて、IL-1β結合抗体または断片が、例えばAB7と命名された抗体のような例示的な抗体の1つまたは複数と同じエピトープまたは実質的に同じエピトープに結合するかどうかを容易に判定することができる。
例えば、IL-1β結合抗体または断片が結合する重要なアミノ酸残基(エピトープ)は、例えばPepSpot(商標)ペプチドアレイ(JPT Peptide Technologies、ドイツ、ベルリン)などのペプチドアレイを用いて決定することができる。PepSpot(商標)ペプチドアレイでは、全IL-1βアミノ酸配列に及び、各ペプチドが前のペプチドと11アミノ酸重複する12アミノ酸ペプチドのスキャンが膜上に直接合成される。次いでペプチドを保有する膜を、エピトープ結合情報を探索する例えば2μg/ml濃度の抗体で、室温で2時間プロービングする。膜結合ペプチドに対する抗体の結合は、二次HRP結合ヤギ抗ヒト(またはしかるべき場合にはマウス)抗体、次いで高感度化学発光(ECL)を用いて検出することができる。抗体結合に関して陽性を表す、成熟IL-1βタンパク質の特定のアミノ酸残基または配列に対応するペプチドスポットが、特定の抗体が結合したエピトープを示す。
あるいはまたはさらに、抗体競合実験を行うことができ、このようなアッセイ法は当技術分野において周知である。例えば、抗体または断片が、成熟IL-1βタンパク質の残基83〜105に相当するアミノ酸
Figure 2012502058
を含むペプチド配列中に含まれるエピトープに結合するかどうかを判定するため、特異性が未知である抗体を、この配列内に含まれるエピトープと結合することが判明している本発明の例示的な抗体(例えば、AB7)のいずれかと比較することができる。結合競合アッセイは、例えば、結合相互作用の反応速度解析用のBiacore(登録商標)装置を用いて、またはELISAによって行うことができる。そのようなアッセイ法では、エピトープ特異性が未知である抗体を、公知の比較抗体(例えば、AB7)に対する結合を競合する能力について評価する。特定のエピトープに対する結合の競合は、公知の比較抗体(例えば、AB7)のIL-1βエピトープに対する結合の少なくとも約50%、または少なくとも約70%、または少なくとも約80%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約99%、または約100%の減少によって決定される。
例示的な抗体におけるIL-1β結合領域および/または開示する抗体によって認識されるエピトープの本開示における同定を考慮して、本開示の態様に匹敵する、類似の結合特性および治療または診断有用性を有するさらなる抗体を作製できることが意図される。
抗体の抗原結合断片には、一般に抗体の抗原結合部分を維持することによって、抗原に特異的に結合する能力を保持する断片が含まれる。抗体の抗原結合機能が全長抗体の断片によって遂行され得ることが十分に確立されている。抗原結合部分の例には、(i) VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価の断片であるFab断片;(ii) ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab')2断片;(iii) VHおよびCH1ドメインであるFd断片;(iv) 抗体の単一アームのVLおよびVHドメインであるFv断片、(v) VHドメインであるdAb断片(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が含まれる。一本鎖抗体もまた、抗体の抗原結合部分という用語の範囲内に含まれる。本発明のIL-1β結合抗体および断片はまた、一価もしくは多価、または単量体もしくは多量体(例えば四量体)、足場(例えば、タンパク質または炭水化物足場)を含むもしくは含まないCDR由来結合ドメインもまた包含する。
本発明のIL-1β結合抗体または断片は、抗体または抗体部分と1つまたは複数の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合または非共有結合によって形成された、より大きな免疫接着分子の一部であってよい。そのような免疫接着分子の例には、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov, S. M., et al. (1995) Human Antibodies and Hybridomas 6:93-101)、ならびに二価およびビオチン化scFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド、およびC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov, S. M., et al. (1994) Mol. Immunol. 31:1047-1058)が含まれる。免疫接着分子を含む抗体および断片は、本明細書に記載する標準的な組換えDNA技法を用いて得ることができる。好ましい抗原結合部分は、完全なドメインまたは完全なドメインの対である。
本発明のIL-1β結合抗体および断片はまた、VHドメインからなるドメイン抗体(dAb)断片(Ward et al., Nature 341:544-546, 1989)を包含する。本発明のIL-1β結合抗体および断片はまた、ダイアボディを包含する。ここでダイアボディとは、VHおよびVLドメインを単一のポリペプチド鎖上に発現するが、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、そのドメインを別の鎖の相補的ドメインと対形成させて、2つの抗原結合部位を創出する二価抗体である(例えば、EP 404,097;WO 93/11161;Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448, 1993、およびPoljak et al., Structure 2:1121-1123, 1994を参照されたい)。ダイアボディは二重特異性または単一特異性であってよい。
本発明のIL-1β結合抗体および断片はまた、IL-1βに結合する一本鎖抗体断片(scFv)を包含する。scFvは、抗体軽鎖可変領域(VL)に機能的に連結された抗体重鎖可変領域(VH)を含み、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は一緒にまたは個別に、IL-1βと結合する結合部位を形成する。scFvはアミノ末端にVH領域を含み、カルボキシ末端にVL領域を含み得る。あるいは、scFvはアミノ末端にVL領域を含み、カルボキシ末端にVH領域を含み得る。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは別個の遺伝子によってコードされているものの、組換え法を用いて、それらをVLおよびVH領域が対形成して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖とすることのできる合成リンカーにより、それらを結合することができる(一本鎖Fv(scFv)として知られている;例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)。
scFvは任意に、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間にポリペプチドリンカーをさらに含み得る。そのようなポリペプチドリンカーは一般に、1〜50アミノ酸、あるいは3〜12アミノ酸、あるいは2アミノ酸を含む。scFvにおける重鎖と軽鎖を連結するためのリンカーペプチドの例は、5アミノ酸配列Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(SEQ ID NO:2)を含む。その他の例は、リンカーを創出するために、この配列の1回または複数回の縦列反復(例えば、Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(SEQ ID NO:2)の2〜4回の反復を含むポリペプチド)を含む。
本発明のIL-1β結合抗体および断片はまた、重鎖抗体(HCAb)を包含する。通常の抗体のH2L2構造の例外は、ラクダ科動物(ラクダ、ヒトコブラクダ、およびラマ;Hamers-Casterman et al., 1993 Nature 363: 446;Nguyen et al., 1998 J. Mol. Biol. 275: 413)、オオセザメ(wobbegong shark)(Nuttall et al., Mol Immunol. 38:313-26, 2001)、コモリザメ(nurse shark)(Greenberg et al., Nature 374:168-73, 1995;Roux et al., 1998 Proc. Nat. Acad. Sci. USA 95: 11804)、およびスポッテッドラットフィッシュ(spotted ratfish)(Nguyen, et al., 「Heavy-chain antibodies in Camelidae; a case of evolutionary innovation」, 2002 Immunogenetics 54 (1): 39-47)に見出される免疫グロブリンのいくつかのアイソタイプで生じる。これらの機能的抗体は重鎖のみの二量体であることから、これらの抗体は明らかに、重鎖のみを用いて抗原結合領域を形成し得る(「重鎖抗体」または「HCAb」と称される)。したがって、本IL-1β結合抗体および断片のいくつかの態様は、IL-1βに特異的に結合する重鎖抗体であってよい。例えば、IgGのクラスであり軽鎖を欠いている重鎖抗体は、ラクダ、ヒトコブラクダ、およびラマを含むラクダ科属の動物によって産生される(Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993))。HCAbは、通常のIgG抗体の分子量が約160 kDaである代わりに、約 95 kDaという分子量を有する。その結合ドメインは重鎖可変ドメインのみからなり、多くの場合、通常のVHと区別するためにVHHと称される。Muyldermans et al., J. Mol. Recognit. 12:131-140 (1999)。重鎖抗体の可変ドメインは、場合によってナノボディと称される(Cortez-Retamozo et al., Cancer Research 64:2853-57, 2004)。Conrath et al., (Antimicrob Agents Chemother 45: 2807-12, 2001)に記載されているように、免疫化したヒトコブラクダから、または組換え法を用いて、ナノボディライブラリーを作製することができる。
第1定常ドメイン(CH1)が存在しないため(スプライス共通シグナルがないために、mRNAプロセシング中にスプライス除去される)、可変ドメイン(VHH)の後にすぐヒンジ領域、CH2およびCH3ドメインが続く(Nguyen et al., Mol. Immunol. 36:515-524 (1999);Woolven et al., Immunogenetics 50:98-101 (1999))。報告によれば、ラクダ科動物VHHは、ヒンジ、CH2、およびCH3ドメインを含みCH1ドメインを欠くIgG2およびIgG3定常領域と組み合わさる(Hamers-Casterman et al.、前記)。例えば、ラマIgG1は、VHがヒンジ、CH1、CH2、およびCH3ドメインを含む定常領域と組み合わさる通常の(H2L2)抗体アイソタイプであるが、ラマIgG2およびIgG3は、CH1ドメインを欠き、かつ軽鎖を含まない重鎖のみのアイソタイプである。
HCAbは軽鎖を欠いているが、抗原結合レパートリーを有する。HCAbの遺伝子生成機構は、Nguyen et al. Adv. Immunol 79:261-296 (2001)、およびNguyen et al., Immunogenetics 54:39-47 (2002)に概説されている。コモリザメを含むサメも、抗原受容体を含む同様の単一の単量体Vドメインを示す。Irving et al., J. Immunol. Methods 248:31-45 (2001);Roux et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:11804 (1998)。
VHHは、小さな無傷の抗原結合断片(例えば、約15 kDa、118〜136残基である断片)を含む。ラクダ科動物VHHドメインは高親和性で抗原に結合することが認められており(Desmyter et al., J. Biol. Chem. 276:26285-90, 2001)、VHHの親和性は典型的にナノモルの範囲であり、FabおよびscFv断片に匹敵する。VHHは非常に可溶性が高く、scFvおよびFab断片の対応する誘導体よりも安定である。VH断片は可溶型として生成することが比較的難しかったが、フレームワーク残基をよりVHH様に改変することで溶解度および特異的結合が改善され得る。(例えば、Reichman et al., J Immunol Methods 1999, 231:25-38を参照されたい)。VHHは、VHHをより親水性にし、通常は折りたたみおよび会合の際に小胞体(ER)内でH鎖に結合し、その後L鎖に置き換えられるBiP(免疫グロブリン重鎖結合タンパク質)との相互作用の持続を妨げるアミノ酸置換を有する。VHHは親水性が高いため、ERからの分泌が改善される。
機能的なVHHは、免疫化したラクダ科動物のHCAbのタンパク質切断により、免疫化したラクダ科動物のB細胞からVHH遺伝子を直接クローニングして組換えVHHをもたらすことにより、またはナイーブもしくは合成ライブラリーから得ることができる。所望の抗原特異性を有するVHHはまた、ファージディスプレイ法によって得ることもできる。ファージディスプレイにおいてVHHを用いることは、機能的な抗原結合断片を得るために1つのドメインしかクローニングして発現させる必要がないため、FabまたはscFvと比較して非常に簡単でかつより効率的である。Muyldermans, Biotechnol. 74:277-302 (2001);Ghahroudi et al., FEBS Lett. 414:521-526 (1997);およびvan der Linden et al., J. Biotechnol. 80:261-270 (2000)。ラクダ科動物重鎖を有する抗体を作製する方法はまた、米国特許出願公開第20050136049号および第20050037421号に記載されている。
リボソームディスプレイを用いて、所望の結合活性および親和性を有するscFvおよび/またはVHH分子を同定および単離することもできる。Irving et al., J. Immunol. Methods 248:31-45 (2001)。リボソームの提示および選択は、大きなライブラリー(1014)を作製し提示する可能性を有する。
他の態様は、溶解度を改善し非特異的結合を防ぐために、ヒトVHHなどの非ラクダ科VHを改変することにより、ラクダ化の過程を通して作製されたVHH様分子を提供する。これは、VHのVL側の残基をVHH様残基で置換して、より溶解度の高いVHH断片を模倣することによって達成される。ラクダ化VH断片、特にヒトのフレームワークに基づくものは、インビボで患者に投与した場合に免疫応答が大幅に低減されると考えられ、したがって治療用途に著しく有利であると考えられる。Davies et al., FEBS Lett. 339:285-290 (1994);Davies et al., Protein Eng. 9:531-537 (1996);Tanha et al., J. Biol. Chem. 276:24774-24780 (2001);およびRiechmann et al., Immunol. Methods 231:25-38 (1999)。
Fab断片、scFv、およびVHHを含むIL-1β断片の産生には、多種多様な発現系が利用可能である。例えば、原核生物および真核生物起源の発現系を、抗体断片および抗体融合タンパク質の大量生産に用いることができる。特に有利であるのは、大量の抗体断片を培地に分泌させることができる発現系である。
二重特異性Fab-scFv(「バイボディ」)および三重特異性Fab-(scFv)(2)(「トリボディ」)の作製は、Schoonjans et al. (J Immunol 165:7050-57, 2000)、およびWillems et al. (J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci. 786:161-76, 2003)に記載されている。バイボディまたはトリボディでは、scFv分子がVL-CL(L)鎖およびVH-CH1(Fd)鎖の一方または両方に融合されており、例えばトリボディを作製するには、2つのscFvをFabのC末端に融合し、バイボディの場合には、1つのscFvをFabのC末端に融合する。ペプチドリンカー(ヒンジなし)を介して、またはIgGヒンジを介してCH3に融合されたscFvからなる「ミニボディ」は、Olafsen, et al., Protein Eng Des Sel. 2004 Apr;17(4)315-23に記載されている。
イントラボディとは、細胞内発現を示し、細胞内タンパク質機能を操作できる一本鎖抗体である(Biocca, et al., EMBO J. 9:101-108, 1990;Colby et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 101:17616-21, 2004)。細胞内領域に抗体構築物を保持する細胞シグナル配列を含むイントラボディは、Mhashilkar et al (EMBO J 14:1542-51, 1995)、およびWheeler et al. (FASEB J. 17:1733-5. 2003)に記載されているように作製することができる。トランスボディとは、タンパク質導入ドメイン(PTD)を一本鎖可変断片(scFv)抗体と融合させた細胞透過性抗体である Heng et al., (Med Hypotheses. 64:1105-8, 2005)。
本発明のIL-1β結合抗体および断片はまた、標的タンパク質に特異的なSMIPまたは結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である抗体を包含するこれらの構築物は、抗体エフェクター機能を実行するのに必要な免疫グロブリンドメインに融合された抗原結合ドメインを含む一本鎖ポリペプチドである。例えば、WO03/041600、米国特許出願公開第20030133939号、および米国特許出願公開第20030118592号を参照されたい。
本発明のIL-1β結合抗体および断片はまた、イムノアドヘシンを包含する。1つまたは複数のCDRを共有結合または非共有結合により分子内に組み入れることによって、その分子をイムノアドヘシンにすることができる。イムノアドヘシンは、より大きなポリペプチド鎖の一部としてCDRを組み入れてもよく、CDRを別のポリペプチド鎖に共有結合させてもよく、または非共有結合によりCDRを組み入れてもよい。本明細書に開示するCDRによって、イムノアドヘシンがIL-1βに特異的に結合できるようになる。
本発明のIL-1β結合抗体および断片はまた、有機または分子足場(タンパク質または炭水化物足場など)上に構築された1つまたは複数のIL-1β結合部分を含む抗体模倣物を包含する。一般にタンパク質足場と称される、比較的明確な三次元構造を有するタンパク質を、抗体模倣物を設計するための試薬として用いることができる。これらの足場は典型的に、特定のまたは無作為な配列変化を受け入れる1つまたは複数の領域を含み、そのような配列の無作為化は多くの場合、そこから所望の生成物を選択することができるタンパク質のライブラリーを作製するために行われる。例えば、抗体模倣物は、各ループに挿入された親抗体由来の異なるCDRを含む2つまたはそれ以上の溶媒露出ループを有する足場を含む免疫グロブリン様ドメインを有し、かつ親抗体が結合するリガンドに対して選択的結合活性を示すキメラ非免疫グロブリン結合ポリペプチドを含み得る。非免疫グロブリンタンパク質足場は、新規結合特性を有するタンパク質を得るために提唱された。(Tramontano et al., J. Mol. Recognit. 7:9, 1994;McConnell and Hoess, J. Mol. Biol. 250:460, 1995)。他のタンパク質もフレームワークとして試験されており、αヘリックス表面上の無作為化された残基(Nord et al., Nat. Biotechnol. 15:772, 1997;Nord et al., Protein Eng. 8:601, 1995)、αヘリックス束中のαヘリックス間のループ(Ku and Schultz, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6552, 1995)、および小さいプロテアーゼインヒビターのループのようなジスルフィド架橋により拘束されたループ(Markland et al., Biochemistry 35:8045, 1996;Markland et al., Biochemistry 35:8058, 1996;Rottgen and Collins, Gene 164:243, 1995;Wang et al., J. Biol. Chem. 270:12250, 1995)を提示するために用いられている。抗体模倣物に足場を用いる方法は、米国特許第5,770,380号、ならびに米国特許出願公開第2004/0171116号、第2004/0266993号、および第2005/0038229号に開示されている。
本発明に従って使用するための好ましいIL-1β抗体または抗体断片は、一般的に、例えば約10 nMもしくはそれ未満、約5 nMもしくはそれ未満、約1 nMもしくはそれ未満、約500 pMもしくはそれ未満、またはより好ましくは約250 pMもしくはそれ未満、約100 pMもしくはそれ未満、約50 pMもしくはそれ未満、約25 pMもしくはそれ未満、約10 pMもしくはそれ未満、約5 pMもしくはそれ未満、約3 pMもしくはそれ未満、約1 pMもしくはそれ未満、約0.75 pMもしくはそれ未満、約0.5 pMもしくはそれ未満、もしくは約0.3 pMもしくはそれ未満のIL-1βに対する平衡結合解離定数(KD)といった高親和性で(例えば、BIACOREで決定される)ヒトIL-1βに結合する。
本発明の抗体または断片は、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)により測定して、約10 nMもしくはそれ未満、約5 nMもしくはそれ未満、約2 nMもしくはそれ未満、約1 nMもしくはそれ未満、約0.75 nMもしくはそれ未満、約0.5 nMもしくはそれ未満、約0.4 nMもしくはそれ未満、約0.3 nMもしくはそれ未満、またはさらには約0.2 nMもしくはそれ未満のIC50でIL-1βに結合し得る。好ましくは、本発明の抗体または抗体断片は、IL-1以外のいかなる標的とも交差反応しない。例えば、本抗体および断片はIL-1βに結合し得るが、IL-1αには検出可能な程度に結合しないか、またはIL-1αのその結合に対してIL-1βのその結合において少なくとも約100倍(例えば、少なくとも約150倍、少なくとも約200倍、またはさらには少なくとも約250倍)高い選択性を有する。本発明に従って使用する抗体または断片は、特定の態様において、本発明の抗体または断片を投与していないIL-1β刺激動物における血清IL-6のレベルと比較して、動物における血清IL-6のIL-1β誘導性発現を少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、またはさらには少なくとも80%)阻害する。抗体はIL-1βと結合し得るが、結合したIL-1βリガンドのIL-1受容体I型(IL-1RI)への結合を許容し得るか、または実質的に許容し得る。IL-1βのIL-1RIへの結合を阻止するかまたは実質的に妨げる多くの公知のIL-1β結合抗体とは対照的に、AB5およびAB7と命名された抗体(米国特許出願第11/472813号)はIL-1βリガンドに選択的に結合するが、結合したIL-1βリガンドのIL-1RIへの結合を許容する。例えば、AB7と命名された抗体はIL-1βエピトープに結合するが、結合したIL-1βのIL-1RIに対する結合をなお許容する。特定の態様において、抗体は、結合したIL-1βのIL-1RIに結合する相互作用の親和性を減少させ得る。したがって、本発明は関連局面において、上記の特徴の少なくとも1つを有するIL-1β結合抗体またはIL-1β結合抗体断片の使用を提供する。本発明の前述の抗体、抗体断片、またはポリペプチドはいずれも、本明細書に記載するようにヒト化またはヒト型に設計できる。
例えば以下の特許および特許出願に記載されるか、または記載される方法を用いて導出された抗体を含む、当技術分野で公知の様々なIL-1(例えば、IL-1β)抗体および断片を、本明細書に提供する方法に従って使用することができる:US 4,935,343;US 2003/0026806;US 2003/0124617(例えば、抗体AAL160);WO 2006/081139(例えば、抗体9.5.2);WO 03/034984;WO 95/01997(例えば、抗体SK48-E26 VTKY);WO 02/16436(例えば、抗体ACZ885);WO 03/010282(例えば、抗体Hu007);WO 03/073982(例えば、抗体N55S)、WO 2004/072116、WO 2004/067568、EP 0 267 611 Bl、EP 0 364 778 Bl、および米国特許出願第11/472813号(現在、米国特許第7,531,166)。非限定的な例として、抗体AB5およびAB7(米国特許出願第11/472813号(現在、米国特許第7,531,166)、WO2007/002261)を本発明に従って使用することができる。AB5およびAB7の可変領域配列は以下の通りである:
AB7
軽鎖
Figure 2012502058
下線の配列は、(左側から右側に向かって)CDR 1、2、および3を示す。
重鎖
Figure 2012502058
下線の配列は、(左側から右側に向かって)CDR 1、2、および3を示す。
AB5
軽鎖
Figure 2012502058
下線の配列は、(左側から右側に向かって)CDR 1、2、および3を示す。
重鎖
Figure 2012502058
下線の配列は、(左側から右側に向かって)CDR 1、2、および3を示す。
本明細書に記載する抗体および抗体断片は、任意の適切な方法により調製することができる。そのような抗体および抗体断片を調製する適切な方法は、当技術分野において公知である。抗体および抗体断片を調製する他の方法は、本明細書の一部として本明細書に記載されている。本明細書に記載する本発明の抗体、抗体断片、またはポリペプチドは、任意の程度まで単離または精製することができる。本明細書で使用する単離された化合物とは、その天然環境から取り出された化合物である。精製された化合物とは、その化合物が(i) その天然環境において、または(ii) 実験室条件下で最初に合成および/もしくは増幅された際に存在するよりも純粋な形態で存在するように、純度が増加した化合物であり、「純度」とは相対語であって、必ずしも「絶対純度」を意味する必要はない。
薬学的組成物
本発明に従って使用するためのIL-1(例えば、IL-1β)結合抗体および抗体断片は、本明細書の方法において使用するための組成物、特に薬学的組成物に製剤化することができる。
そのような組成物は、適切な担体、例えば薬学的に許容される薬剤との混合物中に、本発明のIL-1β結合抗体若しくは抗体断片の治療的または予防的有効量を含む。典型的に、本発明のIL-1β結合抗体および抗体断片は、動物への投与のために十分に精製してから薬学的組成物中に製剤化する。
薬学的に許容される薬剤には、担体、賦形剤、希釈剤(diluent)、抗酸化剤、保存剤、着色剤、香味剤、および希釈剤(diluting agent)、乳化剤、懸濁剤、溶媒、増量剤、膨張剤、緩衝液、送達媒体、等張化剤、共溶媒、湿潤剤、錯化剤、緩衝剤、抗菌剤、および界面活性剤が含まれる。
中性緩衝生理食塩水またはアルブミンと混合した生理食塩水は、例示的な適切な担体である。薬学的組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む単糖類、二糖類、およびその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに/またはTween、プルロニック、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含み得る。同様に一例として、適切な等張化増進剤には、ハロゲン化アルカリ金属(好ましくは、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)、マンニトール、ソルビトールなどが含まれる。適切な保存剤には、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸などが含まれる。過酸化水素もまた、保存剤として用いることができる。適切な共溶媒には、グリセリン、プロピレングリコール、およびPEGが含まれる。適切な錯化剤には、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β-シクロデキストリン、またはヒドロキシ-プロピル-β-シクロデキストリンが含まれる。適切な界面活性剤または湿潤剤には、ソルビタンエステル、ポリソルベート80などのポリソルベート、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポールなどが含まれる。緩衝液は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、リン酸、炭酸水素、またはTris-HClなどの従来の緩衝液であってよい。酢酸緩衝液はpH 約4〜5.5であってよく、Tris緩衝液はpH 約7〜8.5であってよい。さらなる薬学的薬剤が、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A. R. Gennaro, ed., Mack Publishing Company, 1990に記載されている。
組成物は、液体形態であっても、または凍結乾燥もしくはフリーズドライ形態であってもよく、1つまたは複数の凍結乾燥保護剤、賦形剤、界面活性剤、高分子量構造添加物、および/または膨張剤を含み得る(例えば、米国特許第6,685,940号、第6,566,329号、および第6,372,716号を参照されたい)。1つの態様においては、スクロース、ラクトース、またはトレハロースなどの非還元糖である凍結保護剤を含める。一般的に含める凍結保護剤の量は、再構成した際に生じる製剤が等張になるようなものであるが、高張なまたはわずかに低張な製剤もまた適している場合がある。さらに、凍結保護剤の量は、凍結乾燥時のタンパク質の許容できない量の分解および/または凝集を防ぐのに十分であるべきである。凍結乾燥前の製剤中の糖類(例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース)の例示的な凍結保護剤濃度は、約10 mM〜約400 mMである。別の態様においては、例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(例えば、Triton);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);ラウリル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-スルホベタイン;ラウリル-、ミリスチル-、リノレイル-、またはステアリル-サルコシン;リノレイル-、ミリスチル-、またはセチル-ベタイン;ラウロアミドプロピル-、コカミドプロピル-、リノールアミドプロピル-、ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピル-、パルミドプロピル-、またはイソステアラミドプロピル-ジメチルアミン;ナトリウムメチルココイル-、または二ナトリウムメチルオフェイル-タウレート;ならびにMONAQUAT(商標)系(Mona Industries, Inc.、ニュージャージー州、パターソン)、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、およびエチレンとプロピレングリコールの共重合体(例えば、Pluronic、PF68など)などの非イオン性界面活性剤およびイオン性界面活性剤といった界面活性剤を含める。凍結乾燥前の製剤中に存在し得る界面活性剤の例示的な量は、約0.001〜0.5%である。高分子量構造添加物(例えば、増量剤、結合剤)には、例えば、アカシア、アルブミン、アルギン酸、リン酸カルシウム(二塩基性)、セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、デキストラン、デキストリン、デキストレート、スクロース、チロース、アルファ化デンプン、硫酸カルシウム、アミロース、グリシン、ベントナイト、マルトース、ソルビトール、エチルセルロース、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロ硫酸二ナトリウム、ポリビニルアルコール、ゼラチン、グルコース、グアーガム、液体グルコース、圧縮糖、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マルトデキストリン、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリル酸、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント結晶セルロース、デンプン、およびゼインが含まれ得る。高分子量構造添加物の例示的な濃度は、0.1重量%〜10重量%である。他の態様においては、膨張剤(例えば、マンニトール、グリシン)を含めてもよい。
組成物は、非経口投与に適切であってよい。例示的な組成物は、関節内、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、病巣内、直腸内、経皮的、経口、および吸入経路などの当業者に利用可能な任意の経路によって、動物に注射または注入するのに適している。非経口製剤は典型的に、薬学的に許容される保存剤を任意に含んで、無菌であり発熱物質を含まない等張水溶液である。
非水性溶媒の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルがある。水性担体には、水、アルコール/水溶液、乳濁液、または生理食塩水および緩衝培地を含む懸濁液が含まれる。非経口媒体には、塩化ナトリウム溶液、ブドウ糖加リンゲル液、ブドウ糖および塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、または固定油が含まれる。静脈内媒体には、液体および栄養補充剤、電解質補充剤(ブドウ糖加リンゲル液に基づくものなど)などが含まれる。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどの保存剤およびその他の添加剤もまた存在してよい。一般的には、参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th Ed., Mack Eds., 1980を参照されたい。
本明細書に記載する薬学的組成物は、持続放出性の産物の局所濃度(例えば、ボーラス、デポー効果)、および/または特定の局所環境における安定性もしくは半減期の増加を提供する様式で、制御または持続送達用に製剤化することができる。本発明は、特定の態様において、そのような組成物は最初の貯蔵物中に有意に大量の抗体または断片を含み得るが、任意の時点で実際に放出され利用可能な抗体または断片の有効量は、本明細書の開示に従って、最初の貯蔵物よりもはるかに少ない量であることを意図する。組成物は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのポリマー化合物、ならびに生分解性マトリックス、注射用微粒子、マイクロカプセル粒子、マイクロカプセル、生浸食性粒子ビーズ、リポソーム、および後にデポー注射として送達することができる、活性薬剤の制御または持続放出を提供する埋め込み型送達装置のような薬剤と共に、本発明のIL-1β結合抗体、抗体断片、核酸、またはベクターの製剤を含み得る。そのような持続または制御送達手段を製剤化する技法は公知であり、種々のポリマーが開発され、薬物の制御放出および送達に用いられている。そのようなポリマーは典型的に生分解性であり、かつ生体適合性である。鏡像体ポリマーまたはポリペプチドの部分と、温度またはpH感受性特性を有するヒドロゲルとの複合体形成によって形成されるものを含むポリマーヒドロゲルは、生物活性タンパク質剤(例えば、抗体)の捕捉に関与する穏やかな水性条件に起因して、薬物デポー効果を提供するのに望ましいと考えられる。例えば、国際公開公報 WO 93/15722における薬学的組成物を送達するための制御放出多孔性ポリマー微粒子の記載を参照されたい。
この目的に適した物質には、ポリ乳酸(例えば、米国特許第3,773,919号を参照されたい)、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP 133,988A)などのポリ-(a-ヒドロキシカルボン酸)のポリマー、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタミン酸の共重合体(Sidman et al., Biopolymers, 22: 547-556 (1983))、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリル酸)(Langer et al., J. Biomed. Mater. Res., 15: 167-277 (1981)、およびLanger, Chem. Tech., 12: 98-105 (1982))、エチレン酢酸ビニル、またはポリ-D(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。その他の生分解性ポリマーには、ポリ(ラクトン)、ポリ(アセタール)、ポリ(オルトエステル)、およびポリ(オルト炭酸)が含まれる。持続放出組成物はまたリポソームを含んでもよく、リポソームは当技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって調製することができる(例えば、Eppstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688-92 (1985)を参照されたい)。担体自体またはその分解産物は、標的組織において非毒性であるべきであり、状態をさらに悪化すべきでない。これは、標的疾患の動物モデルにおいて、またはそのようなモデルが利用できない場合には正常動物において、日常的なスクリーニングにより決定することができる。
持続放出のための組換えタンパク質のマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン-(rhIFN--)、インターロイキン-2、およびMN rgp120で行われ成功している。Johnson et al., Nat. Med., 2:795-799 (1996);Yasuda, Biomed. Ther., 27:1221-1223 (1993);Hora et al., Bio/Technologv. 8:755-758 (1990);Cleland, 「Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polylactide Polyglycolide Microsphere Systems」, Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach, Powell and Newman, eds, (Plenum Press: New York, 1995), pp. 439-462;WO 97/03692、WO 96/40072、WO 96/07399;および米国特許第5,654,010号。これらのタンパク質の持続放出製剤は、その生体適合性および広範囲の生物分解性特性に起因して、乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)ポリマーを用いて開発された。PLGAの分解産物である乳酸およびグリコール酸は、ヒトの身体から速やかに除去され得る。さらに、このポリマーの分解性はその分子量および組成に依存する。Lewis, 「Controlled release of bioactive agents from lactide/glycolide polymer」, M. Chasin and R. Langer (Eds.), Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems (Marcel Dekker: New York, 1990), pp. 1-41。持続放出組成物のさらなる例には、例えば、EP 58,481A、米国特許第3,887,699号、EP 158,277A、カナダ特許第1176565号、U. Sidman et al., Biopolymers 22, 547 [1983]、R. Langer et al., Chem. Tech. 12, 98 [1982]、Sinha et al., J. Control. Release 90, 261 [2003]、Zhu et al., Nat. Biotechnol. 18, 24 [2000]、およびDai et al., Colloids Surf B Biointerfaces 41, 117 [2005]が含まれる。
生体接着ポリマーもまた、本発明の組成物中でのまたは組成物との使用に意図される。生体接着剤とは、長期間にわたり生体基質に接着することができる合成物質および天然物質である。例えば、カルボポールおよびポリカルボフィルはいずれも、ポリ(アクリル酸)の合成架橋誘導体である。天然物質に基づく生体接着送達系は、例えば、ヒアルロナンとしても知られるヒアルロン酸を含む。ヒアルロン酸は、D-グルクロン酸およびN-アセチル-D-グルコサミンの残基からなる天然ムコ多糖である。ヒアルロン酸は、結合組織、さらに滑液ならびに眼球の硝子体液および房水を含む、脊椎動物の細胞外組織基質に見出される。ヒアルロン酸のエステル化誘導体は、生体適合性かつ生分解性である、送達に使用するための微粒子を生成するために用いられている(例えば、Cortivo et al., Biomaterials (1991) 12:727-730;欧州特許出願公開第517,565号;WO 96/29998;Illum et al., J. Controlled Rel. (1994) 29:133-141を参照されたい)。本発明の組成物を含む例示的なヒアルロン酸は、ヒアルロン酸ポリマーに対してIL-1β結合抗体または断片が約0.1%〜約40% (w/w)という量のヒアルロン酸エステルポリマーを含む。
本発明にしたがって組成物を送達するために生分解性および非生分解性ポリマーマトリックスを用いることができ、このようなポリマーマトリックスは天然または合成ポリマーを含み得る。生分解性マトリックスが好ましい。放出が起こる時間はポリマーの選択に基づく。典型的に、数時間から3〜12ヵ月の期間にわたる放出が最も望ましい。生分解性送達系を形成するために使用できる例示的な合成ポリマーには、乳酸とグリコール酸のポリマー、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリ-ビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリ無水物、ポリウレタン、およびそれらの共重合体、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリルエステルとメタクリルエステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシルエチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ならびにポリビニルピロリドンが含まれる。例示的な天然ポリマーには、アルギン酸ならびにデキストランおよびセルロースを含むその他の多糖類、コラーゲン、その化学的誘導体(例えばアルキル、アルキレンといった化学基の置換、付加、水酸化、酸化、および当業者により日常的に行われるその他の修飾)、アルブミンおよびその他の親水性タンパク質、ゼインならびにその他のプロラミン類および疎水性タンパク質、それらの共重合体および混合物が含まれる。一般に、これらの物質は、インビボにおいて酵素的加水分解または水への曝露によって、表面浸食またはバルク浸食により分解する。ポリマーは任意に、水中でその重量の約90%まで吸収し得るヒドロゲル(例えば、WO 04/009664、WO 05/087201、Sawhney, et al., Macromolecules, 1993, 26, 581-587を参照されたい)の形態であり、さらに、任意に多価イオンまたはその他のポリマーと架橋されている。
送達系にはまた、コレステロール、コレステロールエステルなどのステロール、ならびに脂肪酸、またはモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドなどの中性脂肪を含む脂質である非ポリマー系;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチドに基づく系;ワックスコーティング;従来の結合剤および賦形剤を用いる圧縮錠剤;部分的に融解した植込錠などが含まれる。具体例には、これらに限定されないが、(a) 米国特許第4,452,775号、第4,675,189号、および第5,736,152号に記載されているような、産物がマトリックスに収まる形態で含まれている浸食系、ならびに(b) 米国特許第3,854,480号、第5,133,974号、および第5,407,686号に記載されているような、産物が制御された速度でポリマーから浸透する拡散系が含まれる。産物を含むリポソームは、例えば(DE 3,218,121;Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688-3692 (1985);Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030-4034 (1980);EP 52,322;EP 36,676;EP 88,046;EP 143,949;EP 142,641;日本国特許出願第83-118008号;米国特許第4,485,045号および第4,544,545号;ならびにEP 102,324)などの公知の方法によって調製することができる。
IL-1β結合抗体または抗体断片を含む薬学的組成物は、例えば乾燥粉末としてなど、吸入用に製剤化することができる。吸入用溶液を、エアロゾル送達のための液化噴霧剤中に製剤化することもできる。さらなる別の製剤では、溶液が噴霧され得る。肺投与のためのさらなる薬学的組成物には、例えば、化学修飾されたタンパク質の肺送達について開示しているWO 94/20069に記載されているものが含まれる。肺送達するためには、粒子の大きさは、遠位肺への送達に適したものでなければならない。例えば、粒子の大きさは1μm〜5μmであってよいが、各粒子がかなり多孔性である場合には、より大きい粒子を用いることも可能である。
本発明のIL-1β結合抗体または抗体断片を含む特定の製剤は、経口投与することができる。この様式で投与する製剤は、錠剤およびカプセルなどの固体剤形の配合に通例用いられる担体を伴いまたは伴わずに製剤化することができる。例えば、カプセルは、生物学的利用能が最大となり、全身移行前の分解が最小限に抑えられる時点で、消化管の所定の箇所において製剤の活性部分を放出するように設計することができる。選択的結合剤の吸収を促進するために、さらなる薬剤を含めることができる。希釈剤、香味剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤、および結合剤を用いることもできる。
別の調製物は、錠剤の製造に適した非毒性添加剤との混合物中に、本発明のIL-1β結合抗体または抗体断片の有効量を含み得る。錠剤を滅菌水または別の適切な媒体中に溶解することにより、溶液を単位剤形として調製することができる。適切な賦形剤には、これらに限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素ナトリウム、ラクトース、またはリン酸カルシウムなどの不活性希釈剤;またはデンプン、ゼラチン、もしくはアカシアなどの結合剤;またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくはタルクなどの潤滑剤が含まれる。
適切なおよび/または好ましい薬学的組成物は、意図する投与経路、送達形式、および所望の投与量に応じて、本開示および製剤化技術の一般的知識を考慮して決定することができる。投与様式にかかわらず、患者の体重、体表面積、または臓器の大きさに従って有効量を計算することもできる。本明細書中に記載の製剤をそれぞれ含む治療に適した投与量を決定するための計算のさらなる微調整は、当技術分野において日常的に行われ、これは当技術分野において日常的に行われる仕事の範囲内である。適切な用量-応答データを用いて、適切な投薬量を確認することができる。
本開示に照らしてさらなる製剤が明らかになると考えられ、これには、1つまたは複数の他の治療薬と組み合わせて、本発明のIL-1β結合抗体および断片を含む製剤が含まれる。例えば、いくつかの製剤では、本発明のIL-1β結合抗体、抗体断片、核酸、またはベクターを、IL-1シグナル伝達経路の第2のインヒビターと共に製剤化する。代表的な第2のインヒビターには、これらに限定されないが、例えばUS 6899878、US 2003022869、US 20060094663、US 20050186615、US 20030166069、WO/04022718、WO/05084696、WO/05019259に記載されているような抗体、抗体断片、ペプチド、ポリペプチド、化合物、核酸、ベクター、および薬学的組成物が含まれる。例えば、組成物は、IL-1β結合抗体、断片、またはそのような抗体もしくは断片をコードする核酸もしくはベクターと組み合わせて、本発明のIL-1β結合抗体、抗体断片、核酸、またはベクターを含み得る。
薬学的組成物は、他の活性薬剤と組み合わせて、IL-1β結合抗体または断片を含み得る。このような組み合わせは、意図した目的に有用なものである。本発明の一部である組み合わせは、例えば本明細書に記載するようなIL-1β抗体および断片と、以下のリストから選択される少なくとも1つの付加的薬剤であってよい。以下に記載する活性薬剤は例示を目的としており、限定を意図するものではない。組み合わせはまた、形成された組成物がその意図する機能を果たし得る組み合わせである場合には、1つ以上の付加的薬剤、例えば2つまたは3つの付加的薬剤を含み得る。
本発明は、1つまたは複数の他の活性薬剤を含む薬学的組成物を、IL-1β結合抗体または断片と別々に投与することができ、そのような別々の投与は、例えば同じ日または別の日など、同じ時点または異なる時点で実施できることをさらに意図する。他の活性薬剤の投与は、当技術分野で公知の標準的な医療行為に従ってよく、または本明細書に開示するようなIL-1β結合抗体または断片の投与と併用する場合には、投与を変更することができる(例えば、間隔の延長、投与量の低減、開始の遅延)。
本抗体または断片に付随する活性薬剤または組み合わせには、アスピリン、イブプロフェン、および他のプロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、およびチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナック、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フイロフェナク、イブフェナク、イソキセパック、オキシピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、およびゾメピラック)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサルおよびフルフェニサール)、オキシカム(イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、およびテノキシカム)、サリチル酸(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)、ならびにピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン)などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が含まれる。他の組み合わせは、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)インヒビターを含む。組み合わせるためのその他の活性薬剤には、プレドニゾロン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、またはヒドロコルチゾンなどのステロイドが含まれる。本抗体および断片と組み合わせて患者を治療する場合に必要なステロイド用量が減少することによって、ステロイドの1つまたは複数の副作用が軽減され得るまたはさらには除去され得るために、そのような組み合わせは特に有利であると考えられる。
あるいはまたは加えて、異なる作用様式で働き得る少なくとも1つまたは複数の付加的活性薬剤による治療的処置を用いることもできる:1) 本質的にインスリン分泌を促進するスルホニル尿素薬(例えば、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、トルブタミド、グリブリド、グリメピリド、グリピジド)および/またはメグリチニド系薬(例えば、レパグリニド、ナテグリニド);2) ビグアナイド薬(例えば、メトホルミン)は、グルコース利用を促進し、肝臓のグルコース産生を減少させ、かつ腸のグルコース産生量を減少させることにより働く;3) α-グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボース、ミグリトール)は、炭水化物消化およびひいては腸からの吸収を遅延させ、食後の高血糖を軽減する;4) インスリン作用を増強し、よって末梢組織におけるグルコース利用を促進するチアゾリジンジオン系薬(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、グリピジド、バラグリタゾン、リボグリタゾン、ネトグリタゾン、トログリタゾン、エングリタゾン、AD 5075、T 174、YM 268、R 102380、NC 2100、NIP 223、NIP 221、MK 0767、シグリタゾン、アダグリタゾン、CLX 0921、ダルグリタゾン、CP 92768、BM 152054);5) DPP4阻害薬を含むグルカゴン様ペプチド(例えば、シタグリプチン);ならびに6) 組織のグルコース利用を促進し、肝臓のグルコース産生量を抑制するインスリン。グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)および類似体、DPP-IV耐性類似体(インクレチン模倣体)、DPP-IV阻害薬、インスリン、インスリン類似体、PPARγ作動薬、二重作用PPAR作動薬、GLP-1作動薬または類似体、PTP1B阻害薬、SGLT阻害薬、インスリン分泌促進薬、RXR作動薬、グリコーゲン合成酵素キナーゼ-3阻害薬、インスリン抵抗性改善薬、免疫調節薬、β3アドレナリン受容体作動薬、Pan-PPAR作動薬、11β-HSD1阻害薬、アミリン類似体、ビグアナイド薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、メグリチニド系薬、チアゾリジンジオン系薬、スルホニル尿素薬等もまた、他の活性薬剤として使用することができる(例えば、Nathan, 2006, N. Engl. J. Med. 355:2477-2480;Kahn et al., 2006, N. Engl. J. Med. 355:2427-2443を参照されたい)。さらに別の態様において、活性薬剤はHMG Co-A還元酵素阻害薬(例えば、スタチン)であってよい。
本発明に従って対象に投与する抗IL-1β抗体または断片を、例えば上記の活性薬剤のいずれかなどの少なくとも1つの付加的活性薬剤による治療と併用して投与できることがさらに意図される。1つの態様では、少なくとも1つの活性薬剤による治療を維持する。別の態様では、少なくとも1つの活性薬剤による治療を減らすかまたは中止し(例えば、対象が安定している場合)、抗IL-1β抗体または断片による治療を一定の投与計画で維持する。別の態様では、少なくとも1つの活性薬剤による治療を減らすかまたは中止し(例えば、対象が安定している場合)、抗IL-1β抗体または断片による治療も減らす(例えば、用量の低減、投薬頻度の低減、治療計画の短縮)。別の態様では、少なくとも1つの活性薬剤による治療を減らすかまたは中止し(例えば、対象が安定している場合)、抗IL-1β抗体または断片による治療を増やす(例えば、用量の増加、投薬頻度の増加、治療計画の延長)。さらに別の態様では、少なくとも1つの活性薬剤による治療を維持し、抗IL-1β抗体または断片による治療を減らすかまたは中止する(例えば、用量の低減、投薬頻度の低減、治療計画の短縮)。さらに別の態様では、少なくとも1つの活性薬剤による治療および抗IL-1β抗体または断片による治療を減らすかまたは中止する(例えば、用量の低減、投薬頻度の低減、治療計画の短縮)。
本願において使用される薬学的組成物は、IL-1β結合抗体または断片の治療的有効量または予防的有効量を含み得る。治療的有効量とは、必要な投与量および期間で、所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。抗体または抗体部分の治療的有効量は、個体の病状、年齢、性別、および体重などの要因、ならびに個体において所望の応答を誘発する抗体または抗体部分の能力に応じて異なり得る。治療的有効量とはまた、治療上有益な効果が、抗体または抗体部分のいかなる毒性または有害効果も上回るものでもある。予防的有効量とは、必要な投与量および期間で、所望の予防結果を達成するのに有効な量を指す。
IL-1β結合抗体または断片を含む薬学的組成物の治療的または予防的有効量は、例えば、組成物を用いる対象となる徴候などの治療目的、投与経路、および対象の状態に依存する。薬学的組成物は、IL-1関連状態を治療するために、治療的または予防的有効量で投与する。本発明のIL-1β結合抗体または断片の「治療的または予防的有効量」とは、本願明細書では、対象におけるIL-1関連疾患の1つまたは複数の症状を治療または予防し得る量である。
有効量の抗IL-1β抗体を、対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のために用いることができる。β細胞機能の改善は、例えば、β細胞生存度の保全もしくはβ細胞代謝回転の低減、β細胞増殖の増大、またはインスリン分泌の増強を含むことができる。インスリン分泌の測定は、例えば、グルコース/インスリンCペプチド濃度曲線下面積(AUC)試験またはグルカゴン-アルギニン-グルカゴン刺激試験(GAGST)における測定を含め、当技術分野において公知の種々の方法によって行うことができる。
本明細書で使用する「予防」、「予防する」、「予防すること」、「抑制」、「抑制する」、「抑制すること」、「阻害する」、および「阻害」という用語は、疾患状態または病態の臨床所見の発生を一時的にまたは永久に予防する、抑制する、または低減する様式で(例えば、疾患状態または病態の臨床症状の発生の前に)開始する行動過程(化合物または薬学的組成物の投与など)を指す。そのような予防、抑制、または低減は、絶対的に有用である必要はない。
本明細書で使用する「治療」、「治療する」、および「治療すること」という用語は、疾患状態または病態の臨床所見または進行を一時的にまたは永久に解消する、軽減する、抑制する、または改善するために、疾患状態または病態の臨床症状の発生後に開始する行動過程(化合物または薬学的組成物の投与など)を指す。そのような治療は、絶対的に有用である必要はない。
本明細書で使用する「治療を必要とする」という用語は、患者が治療を必要とするかまたは治療から恩恵を受けるという、介護者によってなされた判断を指す。この判断は、介護者の専門知識の域にあるが、本開示の方法または化合物によって治療可能な病態の結果として患者が病気であるまたは病気になるという知識を含む様々な要因に基づいてなされる。
本明細書で使用する「予防を必要とする」という用語は、患者が予防を必要とするかまたは予防から恩恵を受けるという、介護者によってなされた判断を指す。この判断は、介護者の専門知識の域にあるが、本開示の方法または化合物によって予防可能な病態の結果として患者が病気になるかまたは病気になる恐れがあるという知識を含む様々な要因に基づいてなされる。
本明細書で使用する「治療有効量」という用語は、患者に投与した場合に(例えば、1回または複数回用量として)、疾患状態または病態の任意の症状、局面、または特徴に任意の検出可能なプラスの効果を及ぼし得る、単独のまたは薬学的組成物の一部としての化合物(例えば、抗体)の量を指す。そのような効果は、絶対的に有益である必要はない。
本明細書で使用する「インスリン抵抗性」という用語は、正常量のインスリンが正常な生理応答または分子応答をもたらすことができない状態を指す。場合によっては、内因的に産生された、または外因的に添加された過生理量のインスリンが、全体的にまたは部分的にインスリン抵抗性を克服して、生物学的応答をもたらし得る。
本開示は、対象におけるC反応性タンパク質(CRP)のレベルを低下させるための、本明細書に記載するIL-1β抗体および断片の使用をさらに意図する。CRPは、IL-1、IL-6、および腫瘍壊死因子(TNF)などのサイトカインの影響下で、主に肝細胞によって産生される急性期タンパク質である。2007年電子版の内科学教科書UpToDate(登録商標)によれば、炎症の原因(例えば、感染、慢性腎疾患、自己炎症性疾患、癌)の特異性が欠如しているにもかかわらず、30を超える疫学調査の結果から、CRPの血清または血漿濃度の上昇と、基礎にあるアテローム性動脈硬化の有病率、既存の疾患を有する患者の中での再発心血管イベントのリスク、およびアテローム性動脈硬化のリスクがある個体の中での最初の心血管イベントの発生率との間に有意な関連性があることが示された。加えて、原発性腎疾患の相互作用、その酸化ストレスおよび合成後タンパク質修飾を伴って結果として生じた腎不全、関連混入物を伴う透析および血清タンパク質に及ぼす透析膜の影響、ならびに反復した接触部位侵入に伴う感染およびそれに続く全身性感染が、これらの患者に炎症性刺激の過負荷をもたらす。血清クレアチニンクリアランスレベルが腎機能の悪化と共に低下すると、血清炎症性メディエータ(例えば、サイトカインTNF、IL-6、IL-1)の比例的な上昇と共に、抗炎症性メディエータIL-1 RAおよびIL-10の増加するものの効果のない産生によりこの状況に対抗しようとする身体の兆候が認められる。慢性腎不全患者におけるこの炎症状態は、血管平滑筋細胞のアポトーシスの直接的誘発により、アテローム性動脈硬化プラークの不安定性を引き起こす。サイトカイン上昇の結果として、これらの患者では上位2つの主要な死亡率の1つが生じる‐心筋梗塞および卒中発作による心血管死亡が顕著に増加。このリスク増加の直接的説明は、患者のCRPレベルの上昇により理解される;CRP値を四分位数に分類した場合、最も高いCRP値を有する群は、約35%という12カ月死亡率を有する。したがって、本発明は、そのような患者(例えば、腎疾患罹患対象)におけるCRPレベルを低下させるための、本明細書に提供するIL-1β抗体または断片の使用を開示する。本明細書に記載する、対象におけるCRPレベルの低減は、心血管罹患率および死亡率の対応する比例的な減少を達成するための適切な手段である。
1つの態様では、β細胞機能を改善するために、対象に抗IL-1β抗体または断片を投与し、対象はまた、疾患、病態、または合併症の少なくとも1つの他の医学的に許容される治療(例えば、薬物療法、薬物、治療薬、活性薬剤)の投与を受ける。別の態様では、疾患、病態、または合併症の少なくとも1つの他の医学的に許容される治療を減らすか中止し(対象が安定している場合)、抗IL-1β抗体または断片による治療を一定の投薬計画で維持する。別の態様では、疾患、病態、または合併症の少なくとも1つの他の医学的に許容される治療を減らすかまたは中止し(例えば、対象が安定している場合)、抗IL-1β抗体または断片による治療も減らす(例えば、用量の低減、投薬頻度の低減、治療計画の短縮)。別の態様では、疾患、病態、または合併症の少なくとも1つの他の医学的に許容される治療を減らすかまたは中止し(例えば、対象が安定している場合)、抗IL-1β抗体または断片による治療を増やす(例えば、用量の増加、投薬頻度の増加、治療計画の延長)。さらに別の態様では、疾患、病態、または合併症の少なくとも1つの他の医学的に許容される治療を維持し、抗IL-1β抗体または断片による治療を減らすかまたは中止する(例えば、用量の低減、投薬頻度の低減、治療計画の短縮)。さらに別の態様では、疾患、病態、または合併症の少なくとも1つの他の医学的に許容される治療および抗IL-1β抗体または断片による治療を減らすかまたは中止する(例えば、用量の低減、投薬頻度の低減、治療計画の短縮)。
本発明による疾患または病態を治療または予防する方法は、抗体または断片の投与に所定のまたは「日常的な」スケジュールを使用することができる。本明細書で使用する日常的なスケジュールとは、用量投与間の所定の指定された期間を指す。日常的なスケジュールは、スケジュールが予め定められている限り、同じ長さまたは異なる長さの期間を包含し得る。適切なスケジュールが特定の日における投与を含むことが前もって決定されている限り、任意の特定の組み合わせが日常的なスケジュールによって網羅されると考えられる。
本発明は、本明細書において提供する本方法に従って使用するIL-1β抗体または断片を、より伝統的な治療法および薬学的組成物(例えば、活性薬剤)と併用して投与できることをさらに意図する。そのような組成物には、例えば、DPP-IV阻害薬、インスリン、インスリン類似体、PPARγ作動薬、二重作用PPAR作動薬、GLP-1作動薬または類似体、PTP1B阻害薬、SGLT阻害薬、インスリン分泌促進薬、RXR作動薬、グリコーゲン合成酵素キナーゼ-3阻害薬、インスリン抵抗性改善薬、免疫調節薬、β3アドレナリン受容体作動薬、Pan-PPAR作動薬、11β-HSD1阻害薬、アミリン類似体、ビグアナイド薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、メグリチニド系薬、チアゾリジンジオン系薬、スルホニル尿素薬等が含まれ得る(例えば、Nathan, 2006, N. Engl. J. Med. 355:2477-2480;Kahn et al., 2006, N. Engl. J. Med. 355:2427-2443を参照されたい)。特定の態様において、本発明に従って使用する抗体および断片は、付加的治療法または薬学的組成物の必要性を防ぐかまたは遅延させ得る。他の態様において、抗体または断片は、付加的治療法または薬学的組成物の量、頻度、または継続期間を減少させ得る。
または、本発明による疾患または病態を治療または予防する方法は、1回または複数回のその後の用量をいつ投与すべきかを決定するための手段としての疾患症状の存在および/または本明細書における評価(例えば、HbA1c、空腹時血糖値、OGTT、グルコース/インスリンC-ペプチドAUC、インスリンの分泌、β細胞の改善した機能、糖尿病薬物療法の使用、インスリン感受性、血清サイトカインレベル、CRPレベル、生活の質測定値、BMI改善)のいずれかの変化に基づいた、抗体または断片の投与スケジュールを使用し得る。同様に、このアプローチは、以前の用量の効果に基づいてその後の用量を増加させるべきかまたは減少させるべきかを決定するための手段として用いることができる。
抗IL-1β抗体または断片の投与の後、β細胞機能の改善のための評価は当技術分野において周知であり、本発明の方法の有効性をモニターするための手段として用いることができる。そのような方法は、例えば、インスリン分泌(例えば、グルコース依存性インスリン分泌)の増強の測定を含むことができる。インスリン分泌(例えばインスリン産生)の測定は、例えば、対象を、例えばグルコースのような、炭水化物で刺激した後の測定(例えば、グルコース/インスリンCペプチド濃度曲線下面積(AUC)試験)またはグルカゴン-アルギニン-グルコースによる複合刺激試験(GAGST)を含め、当技術分野において公知の種々の方法によって行うことができる。
血糖コントロールの改善の評価は、例えばヘモグロビンA1c(HbA1c、例えば、Reynolds et al., BMJ, 333(7568):586-589, 2006を参照されたい)の変化に基づいて評価することができる。治療有効性を示すHbA1cの改善(例えば、減少)は、患者における初期のベースライン測定値に応じて変動してよく、大きな低下は高い初期ベースラインに相当する場合が多く、小さな低下は低い初期ベースラインに相当する場合が多い。本発明の1つの局面において、本方法は、投与前レベルと比較して少なくとも約0.5%(例えば、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、少なくとも約2.5%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、またはそれ以上)のHbA1cの低下をもたらすべきである。
治療の有効性を評価するために、例えば空腹時血糖(例えば、グルコース)値(例えば、≦130、≦125、≦120、≦115、≦110、≦105、≦100までの低下、または投与前レベルと比較して>20%、>30%、>40%、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%の低下)、120分経口グルコース負荷試験(OGTT)(例えば、≦200、≦190、≦180、≦170、≦160、≦150、≦140)、グルコース/インスリンC-ペプチドAUC(例えば、治療前からの>25%、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>100%の増加)、糖尿病薬物療法(例えば、インスリン、経口血糖降下薬)の低減、インスリン感受性の改善、血清サイトカインレベル(例えば、正常化)、CRPレベル(例えば、≧0.2、≧0.4、≧0.6、≧0.8、≧1.0、≧1.4、≧1.8、≧2.2、≧2.6、≧3.0 mg/Lの低下;または治療前からの>20%、>30%、>40%、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%の低下)生活の質測定値、BMI改善(1%、3%、5%の減少)、薬物動態等などの、その後の2次エンドポイントの1つまたは複数を決定することもできる(Saudek, et al., JAMA, 295:1688-97, 2006;Pfutzner et al., Diabetes Technol Ther. 8:28-36, 2006;Norberg, et al., J Intern Med. 260:263-71, 2006)。
同様に、他の疾患または病態の有効性の評価も、上記のエンドポイントおよび/または当技術分野で公知の他のものの1つまたは複数を使用することができる。例えば、空腹時血糖(例えば、グルコース)値を測定することによって高血糖に及ぼす効果を評価することができ、インスリンレベルおよび/またはCペプチドレベルを測定することによって高インスリン血症に及ぼす効果を評価することができ、体重および/またはBMIを測定することによって肥満に及ぼす効果を評価することができ、またOGTTによってインスリン抵抗性に及ぼす効果を評価することができる。
あるいは、またはさらに、本開示によって処置される対象は、心血管リスク指標の減少および/または脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少を経験することができる。血清中脂質および/または脂質プロファイルのそのような測定は、例えばコレステロールの減少、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の減少、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL)の減少、トリグリセリドの減少、遊離脂肪酸の減少、アポリポタンパク質B (アポB)の減少、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の増加、処置前レベルと比べて高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)のレベルを維持すること、および/またはアポリポタンパク質A (アポA)の増加を含むことができる。例えば、コレステロール(例えば、総コレステロール)のレベルの減少は、処置前レベルからの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%またはそれ以上の減少であることができる。低密度リポタンパク質コレステロールのレベルの減少は、処置前レベルからの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%またはそれ以上の減少であることができる。対象の血中トリグリセリドレベルの減少は、処置前レベルからの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%またはそれ以上の減少であることができる。遊離脂肪酸のレベルの減少は、処置前レベルからの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%またはそれ以上の減少であることができる。高密度リポタンパク質コレステロールのレベルの増加は、処置前レベルからの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、8%、10%、12%、14%、16%またはそれ以上の増加であることができる。
同様に、本開示によって処置される対象は、インスリン抵抗性の減少を経験することができる。そのようなインスリン抵抗性の減少は、恒常性モデル評価(HOMA)、インスリン抵抗性試験、インスリン抑制試験、定常状態での血漿中グルコース法、または当技術分野において公知の他のアッセイ法のいずれかにおける改善により測定することができる(例えばMatthews et al., 1985, Diabetologia 28:412-419; Odegaard et al., 2007, Nature 447:1116-1121; Emoto et al., 1999, Diabetes Care 22:818-822を参照のこと)。上記の測定の他のものは、当技術分野において公知の種々の標準的アッセイ法のいずれか、例えばChernecky CC, Berger BJ, eds. (2004). Laboratory Tests and Diagnostic Procedures, 4th ed. Philadelphia: Saunders; Fischbach FT, Dunning MB III, eds. (2004). Manual of Laboratory and Diagnostic Tests, 7th ed. Philadelphia: Lippincott Williams and Wilkins; Genest J, et al. (2003). Recommendations for the management of dyslipidemia and the prevention of cardiovascular disease: Summary of the 2003 update. Canadian Medical Association Journal, 169(9): 921-924に掲載されているアッセイ法を用いて行うことができる。同様にオンラインで利用可能である: http://www.cmaj.ca/cgi/content/full/169/9/921/DC1; Handbook of Diagnostic Tests (2003). 3rd ed. Philadelphia: Lippincott Williams and Wilkins; およびPagana KD, Pagana TJ (2002). Mosby’s Manual of Diagnostic and Laboratory Tests, 2nd ed. St. Louis: Mosby。
本発明はまた、抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善する、血糖管理を改善するおよび/またはC反応性タンパク質のレベルを低減することを宣伝する段階を含む、抗IL-1β抗体またはその断片を含んだ製品を売るための方法を提供する。
抗IL-1β抗体またはその断片の宣伝は、抗IL-1β抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能の改善および/またはインスリンのレベルの増大をもたらすことを実証するデータの利用に基づく広告活動によって行うことができる。これらの広告活動は出版、テレビ、ラジオおよび/またはインターネット広告からなることができる。さらにまたはあるいは、抗体の宣伝は、抗体に関する広告を学術誌に載せることおよび/または消費者への直接的な訪問販売を含むことができる。そのような宣伝努力は、医師、看護師および/または病院を含む、医療提供者を対象とすることができる。さらにまたはあるいは、宣伝努力は、IL-1β抗体またはその断片で処置できる疾患または障害を有する患者を含む、患者を対象とすることができる。抗IL-1β抗体またはその断片(抗IL-1β抗体またはその断片を含んだ薬学的製品を含む)を宣伝する段階は、抗体またはその断片を用いて、ヒトでβ細胞機能を改善することによりおよび/またはインスリンのレベルを増大することにより2型糖尿病を処置できることを述べる段階を含む、抗IL-1β抗体またはその断片を含む製品の利点を宣伝する段階を含むことができる。
いくつかの態様において、血糖管理はヘモグロビンA1cの改善によって測定される。いくつかの態様において、血糖管理は空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される。いくつかの態様において、血糖管理は経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される。
いくつかの態様において、C反応性タンパク質レベルの低減は超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減によって測定される。
抗IL-1β抗体またはその断片である、例えば薬学的製品を含め、製品を含む、ならびに任意で、抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善する、血糖管理を改善するおよび/またはC反応性タンパク質のレベルを低減するという記載を含んだラベルを含んでもよい、包装も本発明によって提供される。ラベルは、抗体もしくはその断片とともに容器中に収納されてもよく、または容器の外部に貼られてもよい。IL-1β抗体またはその断片を含む製品は、例えば、供給者、卸業者、製造者、販売者、再販者、卸売販売業者、小売業者、病院、医者または患者を含めて、購入者に販売することができる。
以下の実施例は、本発明の実施をさらに説明することを単に意図しており、その範囲をいかようにも限定するものと解釈されるべきでない。本明細書内に引用するすべての特許および科学文献の開示は、参照により全体として本明細書に明白に組み入れられる。
実施例1
読み取り値としてIL-8のIL-1誘導性産生を使用するインビトロの細胞ベースのアッセイにおける高親和性IL-1β抗体を用いたIL-1βの阻害
IL-1β特異的抗体の阻害効果を、IL-1経路の非抗体阻害薬、組換えIL-1受容体アンタゴニストであるKineret(登録商標)(アナキンラ)と比較した。健常ドナーから、新鮮なヘパリン処理末梢血を採取した。全血180μlを96ウェルプレートにプレーティングし、種々の濃度の抗体AB7(US出願番号11/472813, WO2007/002261)および100 pM rhIL-1βと共にインキュベートした。アナキンラ処理試料に関しては、アナキンラとrhIL-1βを1:1で混合してから、血液と混合した。試料を37℃、5% CO2にて6時間インキュベートした。次いで、全血を2.5% Triton X-100 50μlで溶解した。清澄化溶解液中のインターロイキン-8(IL-8)の濃度を、製造業者の説明書に従ってELISA(QuantikineヒトIL-8 ELISAキット、R&D Systems)によりアッセイした。AB7およびアナキンラ処理試料中のIL-8濃度を、抗KLH対照で処理した対照試料と比較した。結果を図1に示し、表1に要約する。IC50は、IL-1β刺激によって放出されるIL-8の50%を阻害するのに必要な抗体の濃度である。
(表1)
Figure 2012502058
これらの結果から、IL-8のIL-1β刺激性放出の阻害によって測定される、AB7のインビトロでの効力が実証される。Kineret(登録商標)と比較してより高い効力を示すこれらの結果から、抗体がインビボにおいてIL-1β阻害効果を有することが示唆される。
実施例2
IL-6のIL-1β刺激性放出に及ぼす影響によって測定する、IL-1β-特異的抗体を用いたヒトIL-1βの生物活性のインビボ阻害
AB7のインビボ有効性を確認するため、マウスモデルにおいて、ヒトIL-1βの生物活性を阻止するその能力について試験した。アッセイの詳細は、Economides et al., Nature Med., 9: 47-52 (2003)に記載されている。簡潔に説明すると、雄C57/Bl6マウス(Jackson Laboratory、メイン州、バーハーバー)に、滴定量のAB7、別のIL-1β抗体、AB5、または対照抗体を腹腔内注射した。抗体注射の24時間後に、マウスに1μg/kg用量の組換えヒトIL-1β(rhIL-1β)(PeproTech Inc.、ニュージャージー州、ロッキーヒル)を皮下注射した。rhIL-1β注射の2時間後(IL-6のピーク応答時間)に、マウスを屠殺し、血液を回収して血清用に処理した。血清IL-6レベルを、製造業者のプロトコールに従ってELISA(BD Pharmingen、ニュージャージー州、フランクリンレイクス)によりアッセイした。対照動物血清において検出されたIL-6に対する実験動物血清中に検出されたIL-6の比(100を乗じる)から、阻害率を算出した。
結果を図2に示す。IL-1βのインビボ活性を阻害する能力は、血清中のIL-1β刺激性IL-6レベルに応じて評価した。図2Aによって示されるように、AB7およびAB5抗体は、ヒトIL-1βのインビボ活性の阻害に関して効果的であった。これらの結果から、AB7またはAB5の単回注射がIL-1β刺激に対する全身作用を阻止し得ること、およびそのような抗体がインビボにおけるIL-1β活性の阻害に有用であることも示される。
マウスIL-1βをインビボで中和するAB7の能力をさらに実証して、マウス疾患モデルにおけるこの抗体の使用を支持するために、同様の実験を行った。AB7が、マウスIL-1βに対する親和性よりも約10,000倍高いヒトIL-1βに対する親和性、およびマウスIL-1βに対するよりも約1,000倍高い、D10.G4.1アッセイにおけるインビトロ効力を有することが決定されていた。IL-6読み取り値を用いるC57BL/6マウスモデルにおいて、マウスにAB7(3または300 ug)またはPBS媒体対照をi.p.注射し、24時間後にヒト(図2B、パネルA)またはマウス(図2B、パネルB)IL-1β(20 ng)をs.c.注射した。2時間後に血液を採取し、血清試料をELISAによりIL-6レベルについて解析した。これらのデータから、3μgでの、ヒトIL-1βによって誘導されるIL-6レベルの最大抑制(約75%)(パネルA)が示される一方、マウスIL-1βによって誘導されるIL-6レベルの最大下抑制(約50%)が、300μgで実証された(パネルB)。これらの結果は、AB7抗体の、マウスIL-1βと比較してヒトIL-1βに対するより高い親和性およびインビトロ効力の知見と一致する。加えて、データから、この抗体は、抗体がはるかに優れた親和性および効力を有する場合のヒト対象の治療に必要とされるよりも適切に高い用量で、マウスインビボ疾患モデルで使用できることが示される。マウスIL-1βと比較してヒトIL-1βに対して有意により高い親和性およびインビトロ効力の特性を示さない、例えば本明細書に開示するおよび/または引用する抗体などの他のIL-1β抗体の場合には、マウスモデルにおいて同様のより高い用量は必要でないと考えられる。
実施例3
ヒト島細胞アッセイ系における抗IL-1β抗体の効果
インビトロモデルとして、ヒト島細胞を単離し、次に2型糖尿病環境を模倣するために高グルコースレベルで処理する。抗IL-1β抗体を島細胞系で使用して、β細胞機能(グルコースに応答したインスリン放出)、β細胞増殖、およびアポトーシスに及ぼす効果を調べることができる。
記載される通りに、糖尿病および代謝性疾患の病歴のない複数のヒト臓器提供者の膵臓から島を単離する(Linetsky et al., Diabetes 46:1120-1123, 1997;Oberholzer et al., Transplantation 69:1115-1123, 2000;Ricordi et al., Diabetes 37:413-420, 1988、Maedler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:8138-8143, 2004;WO 2004/0002512)。次に、島をウシ角膜内皮細胞由来細胞外基質コーティングプレート(Novamed Ltd、エルサレム)で培養し、細胞をプレートに接着させ、それらの機能的完全性を維持する。島は、100 U/mLペニシリン、100 ug/mLストレプトマイシン、および10%ウシ胎仔血清(GIBCO、メリーランド州、ゲイサーズバーグ)を含むCMRL 1066培地で培養する。インスリン分泌を促進するため、培養液を、5、11、または33 mMグルコースをさらに補充し、脂肪酸を添加したまたは添加しない培養液と置換する。
グルコースに応答したインスリン放出を測定するため、島細胞を洗浄し、3.3 mMグルコースおよび0.5% BSAを含むクレブス-リンゲル重炭酸緩衝液(KRB)中で30分間プレインキュベートする。次にKRBをKRB 3.3 mMグルコースに置換して1時間置き、続いてこれをKRB 16.7 mMグルコース中にさらに1時間置く。70%エタノール中の0.18 M HClで島細胞を抽出して、ヒトインスリンRIAキット(CIS Biointernational、フランス、ジフ・シュール・イヴェット)を用いてインスリン含量を決定する。β細胞アポトーシスは、様々な方法によって測定することができる。例えば、標準的なターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介dUTPニック末端標識(TUNEL)技法により、およびまたインスリンについて、細胞を二重染色する。並行して、アポトーシスはまた、記載される通りにカスパーゼ3活性化またはFas発現の検出により確認される(例えば、WO 2004/002512;Maedler et al., 2004、前記を参照されたい)。
実施例4
ラット偽島細胞アッセイ系における抗IL-1β抗体の効果
あるいはまたはヒト島細胞モデルに加えて、抗IL-1β抗体の効果を評価するためのインビトロモデルとして、ラット偽島細胞を使用することもできる。例えば、偽島は、US 20060094714に記載されている通りに調製および試験することができる。Sprague Dawleyラット4匹の膵臓を小片に分割し、Hanks-Hepes緩衝液で3回リンスし、水浴振盪機中で、コラゲナーゼ(Liberase、0.25 mg/ml、Roche Diagnostic Corp.、米国、インディアナ州、インディアナポリス)により37℃で10分間消化する。次いで消化した膵臓組織をHanks-Hepes緩衝液50 mlで3回リンスしてコラゲナーゼを除去し、次に組織ペレットを250ミクロンフィルターを通して濾過する。濾液をHanks-Hepes緩衝液中の27% Ficoll(Sigma、米国、ミズーリ州、セントルイス)w/v 16 mlと混合し、次にFicoll勾配(それぞれ23%、20.5%、および11%;各濃度8 ml)において、1,600 rpm、室温で10分間遠心分離する。膵島は、島のサイズに応じて11%と20.5%の間および20.5%と23%の間の界面に濃縮される。2つの界面から島を回収し、カルシウム不含Hanks-Hepes緩衝液で2回リンスし、次に1 mM EDTAを含むカルシウム不含Hanks-Hepes緩衝液5 mlに再懸濁し、室温で8分間インキュベートする。トリプシンおよびDNAse Iをそれぞれ最終濃度25 ug/mlおよび2 ug/mlになるよう島懸濁液に添加し、懸濁液を振盪させながら30℃で10分間インキュベートする。10% FBSを添加したRPMI 1640(GIBCO Life Technologies、Invitrogen、カリフォルニア州、カールズバッド) 40 mlを添加して、トリプシン消化を停止する。次に、トリプシン消化した島細胞を63ミクロンナイロンフィルター(PGC Scientific、メリーランド州、フレデリック)を通して濾過して、大きな細胞塊を除去する。次に分散された島細胞を洗浄し、計数し、「V底」96ウェルプレートに播種する(2,500個細胞/ウェル)。次いで、分散された島細胞懸濁液を1,000 rpmで5分間遠心分離する。Hanks-Hepes緩衝液を除去し、10% FBS、1%ペニシリン--ストレプトマイシン、および2 mM L-グルタミンを含むRPMI 1640培地200 ulと置換する。次に、96ウェルプレートを1,000 rpmで5分間遠心分離して、偽島を形成している、プレートのV底に濃縮された分散された島細胞を回収する。これらの偽島は次に、5% CO2を伴う37℃の細胞培養インキュベーター中で一晩培養し、その後アッセイに使用する。
実施例5
T2Dのデブスナネズミ(Psammomys obesus)動物モデルにおける治療のためのIL-1β抗体
2型糖尿病患者で認められるβ細胞質量の減少を妨げるIL-1β抗体の治療有効性は、アレチスナネズミ亜科デブスナネズミにおいて評価されうる。この動物はインスリン抵抗性を示し、初期には高インスリン血症を伴い、β細胞増殖活性の一過性増殖、および島構造の破壊を伴うβ細胞死の割合の長期的増加を伴う重篤な高血糖に徐々に進行する食餌誘導性肥満関連糖尿病を発症する(Donath et al., Diabetes 48: 738-744, 1999)。糖尿病発症中のデブスナネズミの膵島における高血糖誘導性β細胞アポトーシスおよび増殖障害に及ぼすIL-1β抗体の効果を決定するため、抗体を皮下、静脈内、または腹腔内経路により0.1〜5 mg/kg体重の複数回用量レベルで糖尿病易発性動物(高エネルギー食餌に切り替え)に投与し、抗体投与を毎日〜毎週の間隔で繰り返す。対照群の動物は低エネルギー食餌で維持するか、または高エネルギー食餌に切り替え、緩衝液(媒体)のみまたは非関連抗体で処理する。動物の部分群を4、7、14、21、および28日目に屠殺し、その時点で血液を回収し、血漿グルコース、インスリン、およびトリグリセリドの決定に使用する。膵臓も摘出し、一部は後にインスリン含量を決定するために-70℃で凍結し、残りの部分は10%リン酸緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋し、Fas、IL-1β、およびインスリン発現、ならびにβ細胞増殖およびアポトーシスを解析するために切片を作製する。そのような解析により、糖尿病発症の予防または遅延、高血糖誘導性β細胞アポトーシス、増殖障害、およびβ細胞質量減少からの保護、ならびに膵臓インスリン含の正常化の決定が可能になる。
実施例6
2型糖尿病ヒト対象におけるIL-1β抗体の使用
IL-1β抗体またはその断片を、本明細書の記載に従って、2型糖尿病の治療的処置および/または予防のために、ヒト対象に投与することができる。具体的には、一例において、上記の特性を有するIL-1β抗体(上記のAB7、XOMA052としても既に知られている)を、2型糖尿病の徴候および症状を示す患者の治療的処置に使用する。より具体的には、2型糖尿病に対するIL-1β抗体の安全性、薬物動態、および活性を、例えば以下の設計の治験を含む、1つまたは複数のヒト臨床試験において実証する。
2型糖尿病患者において、二重盲検プラセボ対照ヒト臨床試験を行う。T2Dの米国糖尿病学会(ADA)診断基準に準じて、この試験の組み入れ基準:
‐空腹時血糖濃度≧126 mg/dL(≧7.0 mmol/L)(0日目の28日前以内に測定されたものであること)
または
‐高血糖の症状(例えば、口渇、多尿、体重減少、視覚のぼやけ)および随時/無作為血漿グルコース値≧200 mg/dL(≧11.1 mmol/L)(0日目の28日前以内に測定されたものであること)
を満たし、さらにHbA1cが>7.5%かつ≦12%(DCCT基準)である患者を、順次試験群により試験に登録し、各試験群内でIL-1β抗体またはプラセボの投与に無作為に割り当てる。対象へのリスクを最小限にするため、次の用量レベルに増大させる前に安全性および許容性を各用量レベルで再検討する。試験のための治療群および対象数を、単回投与の静脈注入のために以下の表に示す:
Figure 2012502058
および単回用量のSC投与経路の下記表:
Figure 2012502058
上記の各研究デザインに対し、例えば、さらなるその後(例えば、1ヶ月間隔またはそれ以上)の用量の投与、低用量コホート(例えば、0.001 mg/kg)、固定用量(例えば、0.1 mg、1 mg、10 mg)または群サイズの増大を含むようにさらなる試験が行われてもよい。
試験1日目に、抗体またはプラセボを、皮下よりまたは30分の定速静脈内注入により投与する。有害事象の記録、身体検査、生命徴候、臨床検査(例えば、血液化学検査、血液学的検査、尿検査)、血漿中サイトカインレベルおよび心電図(ECG)を含む安全性評価を、当技術分野において公知の標準的な医療行為によって行う。用量投与前および投与後の複数の時点(例えば、日)で血液試料を回収し、例えば、HbA1c、遊離脂肪酸、HDLおよびLDLコレステロールを含む脂質プロファイル、IL-1β抗体レベル(薬物動態)、抗IL-1β抗体応答、サイトカイン(例えば、IL-1β、IL-6、TNFα)レベル、CRP、ナトリウム、カリウム、クレアチニン、AST、ALTならびにヘマトグラム(hematogram)を評価する。アッセイは、例えば、本明細書において記述されるものなどの、他のサイトカインおよびリンホカインについて行うこともできる。投与したIL-1β抗体のレベルが検出限界を下回っていない場合には、当初デザインした日より後に、さらなる血液試料を回収してもよい。研究の評価は、処置後の特定の時点で行う。
2型糖尿病の処置の臨床的モニタリングは、ヘモグロビンA1c (HbA1c、例えば、Reynolds et al., BMJ, 333(7568):586-589, 2006を参照のこと)の改善の1次有効性エンドポイントに基づいて行う。HbA1cレベルの改善は抗IL-1b処置の治療有効性を示し、一般的に少なくとも約0.5%またはそれ以上(例えば、0.7%、1.0%)のHbA1cの減少をもたらすはずである。2型糖尿病の処置の有効性を評価するには、例えば空腹時血糖(例えば、グルコース)値(例えば、≦130、≦120)、120分経口グルコース負荷試験(OGTT)、グルコース/インスリンCペプチド濃度曲線下面積(AUC) (例えば、>50%、>60%増加)、糖尿病薬物療法(例えば、インスリン、経口血糖降下薬)の低減、インスリン感受性の改善、血清中サイトカインレベル(例えば、正常化)、生活の質測定値、BMI改善(1%、3%、5%の低減)、体重増加の速度の低減、体重の安定化、体重の低減、薬物動態、急性期反応物質の低減、脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少(例えば、コレステロールレベルの低減)、全身性炎症の低減、C反応性ペプチド(CRP)の低減、超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減、IL-6レベルの低減などのような、2次エンドポイントの1つまたは複数も決定する(Saudek, et al., JAMA, 295:1688-97, 2006; Pfutzner et al., Diabetes Technol Ther. 8:28-36, 2006; Norberg, et al., J Intern Med. 260:263-71, 2006)。
試料のさらなる脂質プロファイル解析には、当技術分野において公知の標準的な許容される方法にしたがって行う以下の試験が含まれる。
Figure 2012502058
実施例7
ヒト対象におけるIL-1β抗体の薬物動態
薬物動態解析のため0、1、2、3、4、7、9±1、11±1、14±1、21±2、28±2、42±3および56±3日目に試料を得る。2型糖尿病対象における0.01、0.03、0.1、0.3または1.0 mg/kgのAB7 (XOMA 052)単回用量のIV投与後の薬物動態データの中間解析から、終末相半減期が22日である血清濃度-時間プロファイル、クリアランス2.54 mL/day/kg、および血清量と極めてよく似た、中心コンパートメントの分布容積41.3 mL/kgが示された(図3)。
実施例8
2型糖尿病を有するヒト対象におけるHbA1cに及ぼすIL-1β抗体の効果
HbA1cの測定のため0、28±2、42±3および56±3日目に、ならびにスクリーニング日に試料を得る。HbA1cレベルの減少に関するこれらの試料の中間解析を、最初の5つの用量コホート由来の28日目の試料について以下に示す。図4に示されるように、各用量群における患者の数は限られていたが、XOMA 052の単回用量により、プラセボと比べて5つの薬物用量レベル中の4つで、確立された糖尿病管理指標であるグリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)の中央値が低減した。HbA1cレベルの中央値が全5群で低減し、この低減はベースラインと比べて28日の時点で0.6%にもなった。XOMA 052の単回用量後28日の時点で、グリコシル化ヘモグロビンの低減中央値は、プラセボでの0.30%と比べて、0.01、0.03、0.1、0.3および1.0 mg/kgの用量群で、それぞれ、0.40、0.45、0.55、0.60および0.20%であった。
実施例9
2型糖尿病を有するヒト対象におけるインスリン分泌に及ぼすIL-1β抗体の効果
グルカゴン-アルギニン-グルコース刺激試験(GAGST)を含め、β細胞機能およびインスリン産生に関するさらなる糖尿病特異的な方策を行った。GAGSTで測定したところ、2つの最低用量(0.01または0.03 mg/kg)でのXOMA 052の単回用量の中間解析から、抗IL-1β抗体が平均のインスリン産生をベースラインと比べて28日および91日の時点で26%および52%増加させる(図5b)ことが示されたのに対し、プラセボ処置患者(図5a)では改善が示されなかった。これらのデータは図6に濃度曲線下面積(AUC)の計算としてさらに表されており、これはβ細胞機能およびインスリン分泌に及ぼす効果を図解している。
実施例10
2型糖尿病を有するヒト対象におけるCRPに及ぼすIL-1β抗体の効果
IL-1に応答して産生される、IL-6を含め、さまざまなストレスの引き金に応答して肝臓から放出されるC反応性タンパク質(CRP)も、PK試料と同じ時点の血清において測定した。XOMA 052の単回用量により、プラセボと比べて処置用量群の全てで、複数の疾患と関連している全身性炎症の標準的な指標であり心リスクの指標である超高感度C反応性タンパク質(usCRP)レベルが低減した。図7に示されるように、XOMA 052の単回用量後28日の時点で、usCRPの低減率中央値は、プラセボでの4%と比べて、0.01、0.03、0.1、0.3および1.0 mg/kgの用量群で、それぞれ、33、46、47、36および26であった。
初期臨床試験から得られた結果(実施例6〜10参照)に基づき、さらなる臨床治験が行われてもよい。そのような治験は、本発明による、IL-1β抗体の上記投与量の1つもしくは複数に加えて、またはあるいはIL-1β抗体の1つもしくは複数の他の投与量(例えば、最低用量)、複数の用量計画(例えば、1ヶ月またはそれ以上の間隔)、より長い処置および/または観察期間、ならびに群当たりのより多くの患者数(少なくとも約10、50、100、200、300、400、500、750、1000、5000人)を含むことができる。さらに、これらのおよび他の試験を用いて、特定のパラメータの変化(例えば、血糖の減少、HbA1cの減少、CRPの減少、β細胞機能の改善、インスリン分泌の増加)に基づき、所望の治療的有用性を達成するために必要とされる期間を決定すること、および特定のパラメータの変化(例えば、血糖の減少、HbA1cの減少、CRPの減少、β細胞機能の改善、インスリン分泌の増加)に基づき、さらなる投与量を投与する前の、所望の治療的有用性の持続期間を決定することもできる。
実施例11
食餌誘導性肥満モデルにおけるIL-1β抗体の効果
抗IL-1β抗体の有効性を2型糖尿病の食餌誘導性肥満(DIO)モデルにおいて試験した(例えば、Sauter et al., 2008, Endocrinology 149:2208-2218を参照のこと)。このモデルにおいて、脂肪/スクロース含量が高い食餌を摂食したマウスは、体重増加を示し、数週間かけて肥満になり、グルコースのボーラス注射に曝露した場合、耐糖能異常およびインスリン分泌障害を呈する。このモデルの他の特徴としては、血清中グルコースの上昇、インスリン抵抗性の増大、コレステロールの増加、トリグリセリドの増加、脂肪酸の増加および/またはβ細胞アポトーシスの増加を挙げることができる。6週齢のC57BL/6雄性マウスに、正常食(ND、Teklad、16 kcal %脂肪)またはSurwitの高脂肪高スクロース食(HFD、Research Diets #D12331、58 kcal %脂肪)を与えた。その前日に抗体投薬を開始した。抗IL-1β試験抗体(AB7, XOMA 052)およびアイソタイプ対照ヒトIgG2抗体を、腹腔内(i.p.)注射によって投与した。抗体は、12週間にわたり週に2回投薬した。体重も週に2回記録した。4、8および12週間後、マウスをグルコース負荷試験(GTT)に供した。GTTでは、マウスを一晩絶食させた後、1 g/kgグルコースをi.p.注射する。注射から0、15、30、60、90、および120分後に、FreeStyleグルコメータを用いて、尾部の切れ目より血糖値を測定する。
さらに、抗IL-1β抗体の効果をβ細胞機能の改善(例えば、β細胞生存度の保全、β細胞代謝回転の低減、β細胞増殖の増大、またはインスリン分泌の増強)について評価した。グルコース曝露中のインスリン分泌刺激の研究において、マウスを一晩絶食させ、ベースライン・インスリン(時間 = 0分)用に血液試料を採取した後に、2 g/kgグルコースのi.p.注射による曝露を行い、30分の時点で血液試料を採取した。30分の時点で分泌されたインスリン/ベースライン・インスリンとして刺激指数を計算する。図8Aおよび8Bは、治療的(12〜14週の投薬)モデルでも予防的(12〜14週の投薬)モデルでも抗IL-1β抗体を投与されたHFDマウスにおいてインスリン分泌の刺激が顕著に改善されたことを実証する。以下の膵島(β細胞)の三重染色により、マウスの膵臓に関する免疫組織化学的検査も行った。
− DAPI / インスリン / TUNEL : β細胞のアポトーシスの場合
− DAPI / インスリン / Ki-67 : β細胞の増殖の場合
データは、マウス3〜4匹/群およびマウス1匹につきスコア化される膵島40個(マウス1匹につきスコア化されるβ細胞およそ3000個)で、陽性染色β細胞の割合として報告されている。試料は、処置条件に盲目の、2人の独立した治験責任医師によって無作為に評価された。データは平均+/-SEとして提示されており、対応のないスチューデントのt検定によって解析された。データから、抗IL-1β抗体がβ細胞をHFD誘導性のアポトーシスから保護することが明らかである(図9Aおよび9B)。というのは、抗体で処置された高脂肪食投与マウス由来の膵島がアイソタイプ対照群由来の膵島よりも顕著に低いβ細胞アポトーシス率を示したからである。さらに、複製マーカーのKi-67に関する膵臓切片の染色から、抗IL-1β注射がアイソタイプ対照処置マウスと比べてβ細胞増殖を増大することが明らかとなり(図10Aおよび10B)、HFDのマウスが、対照マウスでHFDによって誘導される増殖の低下から保護されることが実証された。
GTT中のインスリン分泌の測定の場合、マウスを一晩絶食させ、グルコースを2 g/kg体重の用量でi.p.注射し、眼窩後方からの採血によって0分および30分の時点で血液を採取した。マウスインスリン超高感度ELISA (ALPCO)を用いて血清中インスリン濃度を決定した。30分の(刺激を受けた)インスリン濃度を0分の値(基底値)で割ることによってインスリン産生の刺激指数を計算した。類似の、しかし処置の開始は高脂肪/高スクロース食の10週後として、試験を行った。
4週間、高脂肪食を与えられたマウスは、正常食のマウスと比べて耐糖能異常を有していた(図11)。高血糖または空腹時血中グルコースの低減(図12Aおよび12B)ならびにグルコース負荷試験(GTT)における耐糖能異常からの保護(図13の12週から)によって明らかなように、XOMA 052 IL-1β試験抗体の投与はHFDマウスにおいて血糖管理を改善した。さらに、IL-1β抗体はまた、インスリン抵抗性(図14Aおよび14B)を、グルコースおよびインスリンレベルに基づく、恒常性モデル評価(HOMA) (HOMA法は、例えば、Matthews et al., 1985, Diabetologia 28:412-419; Odegaard et al., 2007, Nature 447:1116-1121を参照のこと)においても、インスリン注射後のグルコース低下として測定されるインスリン抵抗性試験(ITT) (図15)においても減少させることが示された。
殺処理の時点で得られた血清を血清中脂質に関し、当技術分野において公知の標準的なアッセイ法を用いて分析した(例えば、Warnick, G.R., 1986, Enzymatic methods for quantification of lipoprotein lipids. Methods Enzymol. 129:101-123を参照のこと)。全ての脂質アッセイは三つ組で行い、既知の被分析物濃度を有する外部対照試料をアッセイのたびに入れて、正確さを確保した。遊離血漿グリセロール濃度も決定し、これを用いてトリグリセリドレベルを補正した。IL-1β抗体処置は、コレステロール(例えば、総コレステロール、図16A〜16C)の低減、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL、図17Aおよび17B)のレベルの維持(例えば、低減なし)、トリグリセリドの低減(図18Aおよび18B)、ならびに遊離脂肪酸の低減(図19Aおよび19B)を含めて、いくつかの因子から実証されるように、脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少をもたらした。
特に、上記の実施例2に記載したように、抗体が、ヒトIL-1βと比較してマウスIL-1βに対してはるかに低い親和性(約10,000倍)およびインビトロ効力を有するにもかかわらず、このマウスモデルにおいて良好な結果が認められた。
実施例12
動物モデルにおけるインスリン感受性に及ぼすIL-1β抗体の効果
インスリン抵抗性改善薬としてのIL-1β抗体のインビボ有効性は、インスリン抵抗性の食餌モデルにおいて、抗体のインスリンおよびグルコース低下活性として測定することができる。雄Sprague-Dawleyラットを、6週齢時に、60%フルクトース、10%ラード、および0.06%マグネシウムを含む高脂肪、高炭水化物食に供する。その食餌の開始から2日後に、ラットを、抗体用量レベル(0.1〜5 mg/kg体重の範囲)、投与経路(皮下、静脈内、または腹腔内経路)、および投与頻度(毎日から隔週)に基づく異なる群に無作為に割り付ける。対照群には、緩衝液(媒体)のみまたは非関連抗体を投与する。食物および水分摂取量は毎日測定し、ペアフィードプロトコールを使用して、3群間で同等の食物摂取量であることを保証する。5週間後、半空腹状態(血液採取の前夜に、動物に制限量の食物を与える)でグルコース、インスリン、およびトリグリセリドの血清レベルを取得し、翌朝に血液を採取する。このプロトコールをさらに9週間継続し、その時点で、グルコース負荷(100 mg/100グラム体重)の経口投与後に、グルコースおよびインスリン測定用に血液を試料採取することにより、半空腹状態の覚醒動物においてグルコース負荷試験(OGTT)を行う。グルコースおよびトリグリセリドの血清レベルは分光光度法により測定し、インスリンレベルは放射性免疫測定法(Linco、ミズーリ州、セントルイス)により測定する。
実施例13
脂肪細胞機能およびインスリン抵抗性に及ぼすIL-1β抗体の効果
培養脂肪細胞を使用するインビトロアッセイ法を用いて、抗IL-1β抗体の使用によるIL-1β誘導性インスリン抵抗性の軽減(例えば、阻止)を実証することができる。ATCCから入手した3T3-L1前脂肪細胞株(# CL-173)を、DMEM、25 mMグルコース、および10%仔ウシ血清中で7% CO2および37℃にて培養し、脂肪細胞への分化を誘導する。簡潔に説明すると、コンフルエンスの2日後に、培地を、イソブチルメチルキサンチン(0.25 mM)、デキサメタゾン(0.25μM)、インスリン(5μg/ml)、およびピオグリタゾン(10μM)を添加したDMEM、25 mMグルコース、および10% FCSに交換する。2日後に培地を除去し、インスリン(5μg/ml)およびピオグリタゾン(10μM)を添加したDMEM、25 mMグルコース、および10% FCSと置換し、2日間置く。その後、細胞に2日ごとにDMEM、25 mMグルコース、および10% FCSを供給する。分化プロトコールの開始から8〜15日後に、3T3-L1脂肪細胞を使用する。
ヒト前脂肪細胞(Biopredic International、フランス、レンヌ)を、補充パック前脂肪細胞増殖培地(Promocell、ドイツ、ハイデルベルク)による15 mM HEPES、2 mM L-グルタミン、5% FCS、1%抗真菌溶液、ECGS/H-2、hEGF-5、およびHC-500を含むDMEM Ham’s F12中で、5% CO2および37℃で培養する。コンフルエンスの後、培地を、ビオチン(33μM)、インスリン(100 nM)、パントテン酸(17μM)、イソブチルメチルキサンチン(0.2 mM)、デキサメタゾン(1μM)、およびロシグリタゾン(10μM)を添加したDMEM Ham’s F12 15 mM HEPES、2 mM L-グルタミン、および3% FCSに交換することにより、脂肪細胞への分化を誘導する。3日後に培地を除去し、ビオチン(33μM)、インスリン(100 nM)、パントテン酸(17μM)、およびデキサメタゾン(1μM)を添加した、15 mM HEPES、2 mM L-グルタミン、および10% FCSを含むHam’s F12と置換する。その後、細胞に2日ごとに同じ培地を供給する。分化プロトコールの開始から15日後に、ヒト脂肪細胞を使用する。ヒト前脂肪細胞はまた、例えば細胞株XA15A1およびXM18B1(Lonza、ニュージャージー州、アレンデール)など、別の供給源から得ることもできる。
培養脂肪細胞においてインスリン抵抗性(インスリン感受性の低下)を誘導するIL-1βの役割は、脂肪細胞をIL-1βと共にインキュベートした後に(例えば、20 ng/mL、48時間)、種々の濃度のインスリンと共にインキュベートし(例えば、0.5 nM、100 nM;20分)、続いて2-[3H]デオキシグルコースの添加後にグルコース輸送を測定することによって示される。インスリン抵抗性はグルコース取り込みの減少として決定され、インスリン抵抗性の軽減(例えば、阻止)における抗IL-1β抗体の効果は、この脂肪細胞培養系で容易に測定される。
実施例14
非肥満糖尿病(NOD)マウスの糖尿病に及ぼす抗IL-1β抗体の効果
他のマウス糖尿病モデルにおける抗IL-1β抗体の有効性を実証するため、雌の3〜4週齢NODマウス(Jackson Laboratories、メイン州、バーハーバー)を入手し、無菌状態下の飼育器に収容する。様々な用量の抗IL-1β抗体(例えば、3〜600μg)を適切な媒体(例えば、PBS)で希釈し、6週齢までの前糖尿病性雌NODマウスに、異なる経路(例えば、腹腔内、皮下、静脈内)を用いて規定の間隔で(例えば、毎週、隔週、毎月)投与する。グルコメーター(Encore Glucometer;Bayer、インディアナ州、エルクハート)を用いて、10週齢から開始して1週間間隔で血糖をモニターする。2回連続して血糖値が200 mg/dlであったマウスを糖尿病とみなす(糖尿病の発症は通常およそ16〜20週齢で認められ、発生率は通常30週齢までに最大約90%となる)。データは、実験過程にわたり糖尿病がないままである動物の割合として算出する。曲線間の差を、全観察期間にわたる分布を比較するログランク検定を用いて検定する。
別のNODマウスモデルでは、シクロホスファミド(CY)加速疾患モデル(Reddy et al., Histochem J. 33:317-327, 2001;Cailleau et al., Diabetes 46:937-940, 1997;Reddy et al., Histochem J., 34:1-12, 2002;Harada et al., Diabetologia 27:604-606, 1984;Nicoletti, et al., Eur J Immunol 24:1843-7, 1994)において抗IL-1b抗体の有効性を実証する。非糖尿病性の4〜8週齢雄(または雌)NODマウスを入手し(Jackson Laboratories、メイン州、バーハーバー)、無菌状態下の飼育器に収容する。マウスに200 mg/Kgの単回用量のCY(Sigma)を注射し、モデルの加速性質により様々な加速間隔で(例えば、週に1回、週に2回)2〜3週間にわたり、適切な媒体(例えば、PBS)で希釈した様々な用量の抗IL-1β抗体(例えば、3 ug、30 ug、150 ug、600μg)またはアイソタイプ対照抗体を用いてまたは用いずに、異なる投与経路(例えば、腹腔内、皮下、静脈内)により処置する。グルコメーターを用いて、CY注射の前日から開始して、尿中グルコース(糖尿)レベルを週に3回モニターし、血糖値を週に1回モニターする。2回連続して尿中グルコースレベルが>20 mmol/Lであるものを糖尿病とみなし、抗IL-1β抗体による尿中グルコースレベルの低下を有効性の尺度とする。
別のモデルでは、膵島移植の糖尿病再発モデル(非移植片拒絶)(Mellgren et al., Diabetologia 29:670-2, 1986;Sandberg, et al., Clin Exp Immunol 108:314-7, 1997)において抗IL-1β抗体の有効性を評価する。非糖尿病性の4〜8週齢雌NODマウスを入手し(Jackson Laboratories、メイン州、バーハーバー)、無菌状態下の飼育器に収容する。白血球浸潤が明らかになる前の5〜6週齢の非糖尿病性雄および雌NODマウスから膵島を調製し、自発発症性糖尿病(15〜20週齢)雌NODマウスの腎臓被膜下に移植する(島400〜450個/マウス)。移植直後に一過性の正常血糖が生じ、通常は移植の約6日後に高血糖が再び現れる。マウスを、適切な媒体(例えば、PBS)で希釈した様々な用量の抗IL-1β抗体(例えば、3 ug、30 ug、150 ug、600μg)またはアイソタイプ対照抗体を用いてまたは用いずに、異なる投与経路(例えば、腹腔内、皮下、静脈内)により処置する。移植の前および移植後に週に1回または2回、グルコメーターを用いて血糖値をモニターし、2回連続して値が>200 mg/dlであったマウスを糖尿病とみなし、抗IL-1β抗体による血糖値の低下を有効性の尺度とする。
実施例15
C57BL/Kマウスの低用量ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルの処置
複数回低用量ストレプトゾトシン(STZ)誘発高血糖および膵島炎糖尿病モデル(Sandberg, et al., Biochem Biophys Res Commun 202:543-548, 1994;Reddy, et al., Ann N Y Acad Sci 1079:109-113, 2006)における抗IL-1β抗体の有効性を実証するため、4〜8週齢C57BL/Kマウスを入手し(Jackson Laboratories、メイン州、バーハーバー)、無菌状態下の飼育器に収容する。この加速モデルにおいてマウスにSTZ(40 mg/kg)を1日1回として5回注射し、様々な間隔で(例えば、週に1回、2回、または3回)1〜3週間にわたる、適切な媒体(例えば、PBS)で希釈した様々な用量の抗IL-1β抗体(例えば、3 ug、30 ug、150 ug、600 ug)またはアイソタイプ対照抗体を用いるまたは用いない、異なる投与経路(例えば、腹腔内、皮下、静脈内)による加速処置(STZ注射の前日から開始)に供した。グルコメーターを用いて、STZ注射の前日から開始して、血糖値を週に1回モニターする。2回連続して血糖値が>200 mg/dlであるものを糖尿病とみなし、抗IL-1β抗体による血糖値の低下を有効性の尺度とする。
本明細書において引用した出版物、特許出願、および特許を含む参考文献はすべて、各参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み入れられことが示され、その全体が本明細書中に記載されるのと同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
本願明細書(特に、添付の特許請求の範囲の記載において)では、「a」「an」「the」および類似の指示対象は、特に断りがないかぎりまたは文脈上明らかに矛盾しない限り、単一または複数のいずれも含むものと解釈されるべきである。「comprising」「having」「including」「containing」は特に指定のない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含む(including )」の意味であるが、「限る(limited to)」の意味ではない)として、解釈されるべきである。オープンエンドの用語を本発明の特徴および要素を記載するために使用できる場合であれば、発明の要旨および範囲から離れることなく、オープンエンドの用語の位置にクローズドエンドの用語を使用することができることが具体的に意図される。本願明細書の値の範囲の列挙は、特に断りがない限り、その範囲内に入る個々具体的な値についてそれぞれ言及する簡便な方法とすることを単に意図し、本願明細書で個別に列挙されるように、個々の値は明細書に組み入れられる。明細書に記載する全ての方法は、特に断りがない限り、あるいは明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順で実施可能である。本願明細書の任意のまたは全ての例示、または例示の用語(例えば「例えば(such as)」の使用は、単に理解を容易にする目的であって、特に断りがない限り、本願発明の範囲を制限するものではない。明細書における用語は本願発明の実施に不可欠な、任意の非請求の要素(non-claimed element)を指すと解釈されるべきではない。
本願の好ましい態様が本願明細書に記載され、本願発明を実施するために発明者に知られる最良の態様を含む。このような好ましい態様の改変態様は、本願明細書を読めば、当業者に明らかになるだろう。このような適切な改変を当業者であれば実施しうると発明者は予測し、発明者は本願明細書に明示される以外で実施される発明を意図する。したがって、本願発明は、添付の特許請求の範囲の請求項に記載の主題の、適用される法律が許す全ての改変ならびに同等の範囲を含む。さらに、その可能な改変における上記要素の任意の組み合わせが、特に断りがない限り、または矛盾しない限り、含まれる。
本発明は、特定の態様において、本明細書に記載する例示的な抗体の1つまたは複数と同じエピトープまたは実質的に同じエピトープに結合するIL-1β結合抗体またはIL-1β結合断片を包含し得る。あるいはまたはさらに、IL-1β結合抗体またはIL-1β結合断片は、米国特許出願第11/472813号に記載されるAB7の可変領域配列(配列は以下に表示)を有する抗体の結合と競合する。あるいはまたはさらに、本発明は、AB5およびAB7と命名された抗体(米国特許出願第11/472813号)が結合するエピトープであるアミノ酸配列
Figure 2012502058
中に含まれるエピトープに結合するIL-1β結合抗体および断片を包含する。本明細書において意図されるように、当技術分野におけるいくつかの公知の方法のいずれかを用いて、IL-1β結合抗体または断片が、例えばAB7と命名された抗体のような例示的な抗体の1つまたは複数と同じエピトープまたは実質的に同じエピトープに結合するかどうかを容易に判定することができる。
scFvは任意に、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間にポリペプチドリンカーをさらに含み得る。そのようなポリペプチドリンカーは一般に、1〜50アミノ酸、あるいは3〜12アミノ酸、あるいは2アミノ酸を含む。scFvにおける重鎖と軽鎖を連結するためのリンカーペプチドの例は、5アミノ酸配列Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(SEQ ID NO:6)を含む。その他の例は、リンカーを創出するために、この配列の1回または複数回の縦列反復(例えば、Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(SEQ ID NO:6)の2〜4回の反復を含むポリペプチド)を含む。
別の局面において、本開示は、抗IL-1β抗体またはその断片を含む、かつ製品がヒトにおいてβ細胞機能を改善する、血糖管理を改善するおよび/またはC反応性タンパク質のレベルを低減する、コレステロールを低減する、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減する、トリグリセリドを低減する、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大する、低血糖を誘導しない、ならびに/あるいはインスリン抵抗性を減少させるというラベル宣伝文句を含む、薬学的製品を提供する。
[請求項1001]
対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法。
[請求項1002]
β細胞機能の改善がβ細胞生存度の保全またはβ細胞代謝回転の低減である、請求項1001記載の方法。
[請求項1003]
β細胞機能の改善がβ細胞増殖の増大である、請求項1001記載の方法。
[請求項1004]
β細胞機能の改善がインスリン分泌の増強である、請求項1001記載の方法。
[請求項1005]
インスリン分泌がグルコース依存性インスリン分泌である、請求項1004記載の方法。
[請求項1006]
インスリン分泌の増強がグルコース/インスリンCペプチドAUCとして測定される、請求項1004〜1005記載の方法。
[請求項1007]
インスリン分泌の増強がグルカゴン-アルギニン-グルコース刺激試験(GAGST)を用いて測定される、請求項1004〜1005記載の方法。
[請求項1008]
インスリン分泌の増強がベースラインと比べて少なくとも25%の増加である、請求項1004〜1007記載の方法。
[請求項1009]
インスリン分泌の増強がベースラインと比べて少なくとも50%の増加である、請求項1008記載の方法。
[請求項1010]
インスリン分泌の増強がベースラインと比べて少なくとも75%の増加である、請求項1009記載の方法。
[請求項1011]
インスリン分泌の増強がベースラインと比べて少なくとも90%の増加である、請求項1010記載の方法。
[請求項1012]
抗体またはその断片が1 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1001〜1011記載の方法。
[請求項1013]
抗体またはその断片が0.3 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1012記載の方法。
[請求項1014]
抗体またはその断片が0.1 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1013記載の方法。
[請求項1015]
抗体またはその断片が0.03 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1014記載の方法。
[請求項1016]
抗体またはその断片が0.01 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1015記載の方法。
[請求項1017]
抗体またはその断片が0.005 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1016記載の方法。
[請求項1018]
抗体またはその断片が0.001 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1017記載の方法。
[請求項1019]
抗体またはその断片が少なくとも0.0005 mg/kgの用量で投与される、請求項1012〜1018記載の方法。
[請求項1020]
抗体またはその断片が少なくとも0.001 mg/kgの用量で投与される、請求項1019記載の方法。
[請求項1021]
抗体またはその断片が用量/対象体重比とは無関係に、固定された用量として投与される、請求項1001〜1011記載の方法。
[請求項1022]
抗体またはその断片が約250 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1021記載の方法。
[請求項1023]
抗体またはその断片が約100 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1022記載の方法。
[請求項1024]
抗体またはその断片が約25 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1023記載の方法。
[請求項1025]
抗体またはその断片が約5 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1024記載の方法。
[請求項1026]
抗体またはその断片が約1 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1025記載の方法。
[請求項1027]
抗体またはその断片が約0.1 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1026記載の方法。
[請求項1028]
抗体またはその断片が少なくとも約0.05 mgの用量で投与される、請求項1021〜1027記載の方法。
[請求項1029]
抗体またはその断片が少なくとも約0.1 mgの用量で投与される、請求項1028記載の方法。
[請求項1030]
抗体またはその断片の初回用量の投与の後に、抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われる、請求項1001〜1029記載の方法。
[請求項1031]
初回用量および1回または複数回のその後の用量が、2週ごとに1度から12ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、請求項1030記載の方法。
[請求項1032]
初回用量および1回または複数回のその後の用量が、1ヶ月ごとに1度から6ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、請求項1031記載の方法。
[請求項1033]
初回用量および1回または複数回のその後の用量が、1ヶ月ごとに1度から3ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、請求項1032記載の方法。
[請求項1034]
初回用量および1回または複数回のその後の用量が、3ヶ月ごとに1度から6ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、請求項1032記載の方法。
[請求項1035]
1回または複数回のその後の用量が、初回用量とほぼ同一のまたは初回用量未満の量でのものである、請求項1030〜1034記載の方法。
[請求項1036]
1回または複数回のその後の用量が、初回用量を超えた量のものである、請求項1030〜1034記載の方法。
[請求項1037]
抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約1 nMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項1001〜1036記載の方法。
[請求項1038]
抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約250 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項1037記載の方法。
[請求項1039]
抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約100 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項1038記載の方法。
[請求項1040]
抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約10 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項1039記載の方法。
[請求項1041]
抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約1 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項1040記載の方法。
[請求項1042]
抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約0.3 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項1041載の方法。
[請求項1043]
対象が、2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン抵抗性、インスリン産生低下、高血糖、代謝症候群および肥満からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、請求項1001〜1042記載の方法。
[請求項1044]
対象が、低インスリン血症、糖尿病の二次的原因、薬物誘発性糖尿病および妊娠誘発性糖尿病からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、請求項1001〜1042記載の方法。
[請求項1045]
抗IL-1β抗体またはその断片が中和抗体である、請求項1001〜1044記載の方法。
[請求項1046]
抗IL-1β抗体またはその断片は、結合抗体または断片がIL-1βのIL-1受容体I (IL-1RI)への結合を実質的に可能にするようなIL-1βエピトープに結合する、請求項1001〜1044記載の方法。
[請求項1047]
抗体またはその断片が、IL-1α、IL-1RまたはIL-1Raに検出可能に結合しない、請求項1001〜1044記載の方法。
[請求項1048]
抗体またはその断片が、配列
Figure 2012502058
に含まれるエピトープに結合する、請求項1001〜1044記載の方法。
[請求項1049]
抗体またはその断片が、SEQ ID NO:1の軽鎖可変領域およびSEQ ID NO:2の重鎖可変領域を有する抗体の結合と競合する、請求項1001〜1044記載の方法。
[請求項1050]
抗体またはその断片が、IL-1βのGlu64を組み入れたエピトープに結合する、請求項1001〜1044記載の方法。
[請求項1051]
抗体またはその断片が、IL-1βのN末端のアミノ酸番号1-34に結合する、請求項1001〜1044記載の方法。
[請求項1052]
抗体またはその断片が、ヒト遺伝子操作されたものまたはヒト化されたものである、請求項1001〜1051記載の方法。
[請求項1053]
抗体またはその断片が、ヒトのものである、請求項1001〜1051記載の方法。
[請求項1054]
抗IL-1β抗体またはその断片が皮下経路、静脈内経路または筋肉内経路によって投与される、請求項1001〜1053記載の方法。
[請求項1055]
対象における血糖管理の改善をさらにもたらす、請求項1001〜1054記載の方法。
[請求項1056]
血糖管理の改善がヘモグロビンA1cの改善によって測定される、請求項1055記載の方法。
[請求項1057]
血糖管理の改善が空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される、請求項1055記載の方法。
[請求項1058]
血糖管理の改善が経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される、請求項1055記載の方法。
[請求項1059]
ヘモグロビンA1cの改善がヘモグロビンA1cの少なくとも0.5パーセントポイントの減少である、請求項1056記載の方法。
[請求項1060]
ヘモグロビンA1cの改善がヘモグロビンA1cの少なくとも0.7パーセントポイントの減少である、請求項1059記載の方法。
[請求項1061]
抗体または断片の用量がヘモグロビンA1cの少なくとも1パーセントポイントの改善を達成するのに十分である、請求項1060記載の方法。
[請求項1062]
抗体または断片の用量がヘモグロビンA1cの少なくとも1.5パーセントポイントの改善を達成するのに十分である、請求項1061記載の方法。
[請求項1063]
抗体または断片の用量がヘモグロビンA1cの少なくとも2パーセントポイントの改善を達成するのに十分である、請求項1062記載の方法。
[請求項1064]
以下の変化の少なくとも1つを達成するのに十分である、請求項1001〜1063記載の方法:
空腹時血糖レベルの低減、インスリン抵抗性の減少、低インスリン血症の低減、耐糖能の改善、全身性炎症の低減、C反応性ペプチド(CRP)の低減、超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減、IL-6レベルの低減、高血糖の低減、糖尿病薬物療法の必要性の低減、BMIの低減、体重増加の速度の低減、体重の安定化、体重の低減、急性期反応物質の低減、脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少、心血管リスク指標の減少。
[請求項1065]
以下の変化の少なくとも1つを達成するのに十分である、請求項1064記載の方法: 全身性炎症の低減、C反応性ペプチド(CRP)の低減、超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減、IL-6レベルの低減。
[請求項1066]
以下の変化の少なくとも1つを達成するのに十分である、請求項1064記載の方法: BMIの低減、体重増加の速度の低減、体重の安定化、体重の低減。
[請求項1067]
脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少が以下の変化の少なくとも1つを含む、請求項1064記載の方法: コレステロールの減少、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の減少、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL)の減少、トリグリセリドの減少、遊離脂肪酸の減少、アポリポタンパク質B (アポB)の減少。
[請求項1068]
脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少がコレステロールの減少である、請求項1067記載の方法。
[請求項1069]
脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の減少である、請求項1067記載の方法。
[請求項1070]
脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少が以下の変化の少なくとも1つをさらに含む、請求項1067〜1069記載の方法: 高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の増加、処置前レベルと比べて高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)のレベルを維持すること、アポリポタンパク質A (アポA)の増加。
[請求項1071]
C反応性ペプチド(CRP)の低減と、脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少のいずれをも達成するのに十分である、請求項1064〜1070記載の方法。
[請求項1072]
インスリン抵抗性の減少が恒常性モデル評価(HOMA)またはインスリン抵抗性試験における改善によって測定される、請求項1064記載の方法。
[請求項1073]
低血糖を誘導しない、請求項1064〜1072記載の方法。
[請求項1074]
IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物を投与する段階を含む、少なくとも1つのさらなる処置方法との組み合わせでのものである、請求項1001〜1073記載の方法。
[請求項1075]
IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物を投与する段階を含む、少なくとも1つのさらなる処置方法の必要性をなくすまたは先延ばしする、請求項1001〜1073記載の方法。
[請求項1076]
IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物を投与する段階を含む、少なくとも1つのさらなる処置方法の量、頻度または継続期間を減らす、請求項1001〜1073記載の方法。
[請求項1077]
IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物が、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、αグルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、DPP-IV阻害剤、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1類似体、およびインスリンからなる群より選択される、請求項1074〜1076記載の方法。
[請求項1078]
活性薬剤がスルホニル尿素である、請求項1077記載の方法。
[請求項1079]
活性薬剤がメグリチニドである、請求項1077記載の方法。
[請求項1080]
活性薬剤がビグアニドである、請求項1077記載の方法。
[請求項1081]
活性薬剤がαグルコシダーゼ阻害剤である、請求項1077記載の方法。
[請求項1082]
活性薬剤がチアゾリジンジオンである、請求項1077記載の方法。
[請求項1083]
活性薬剤がDPP-IV阻害剤である、請求項1077記載の方法。
[請求項1084]
活性薬剤がグルカゴン様ペプチド(GLP)-1類似体である、請求項1077記載の方法。
[請求項1085]
活性薬剤がインスリンである、請求項1077記載の方法。
[請求項1086]
抗体またはその断片が、IL-1β誘発性のIL-8産生を測定するヒト全血中IL-1β阻害アッセイ法においてIL-1β受容体アンタゴニストよりも低いIC 50 を有する、請求項1001〜1085記載の方法。
[請求項1087]
β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善に用いるための組成物の製造における、IL-1β誘発性のIL-8産生を測定するヒト全血中IL-1β阻害アッセイ法においてIL-1β受容体アンタゴニストよりも低いIC 50 を有する抗IL-1β抗体またはその断片の使用。
[請求項1088]
対象が、2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン抵抗性、インスリン産生低下、高血糖、代謝症候群および肥満からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、請求項1087記載の使用。
[請求項1089]
β細胞機能の改善を必要としている対象が、低インスリン血症、糖尿病の二次的原因、薬物誘発性糖尿病および妊娠誘発性糖尿病からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、請求項1087記載の使用。
[請求項1090]
IL-1β受容体アンタゴニストがアナキンラである、請求項1086記載の方法または請求項1087〜1089記載の使用。
[請求項1091]
抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善することを宣伝する段階を含む、抗IL-1β抗体またはその断片を含んだ製品を売るための方法。
[請求項1092]
β細胞機能の改善がインスリンのレベルの増加によって測定される、請求項1091記載の方法。
[請求項1093]
宣伝する段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善することをさらに含む、請求項1091〜1092記載の方法。
[請求項1094]
宣伝する段階が、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む、請求項1091〜1092記載の方法。
[請求項1095]
宣伝する段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善し、かつC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む、請求項1091記載の方法。
[請求項1096]
血糖管理がヘモグロビンA1cの改善によって測定される、請求項1093または1095記載の方法。
[請求項1097]
血糖管理が空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される、請求項1093または1095記載の方法。
[請求項1098]
血糖管理が経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される、請求項1093または1095記載の方法。
[請求項1099]
C反応性タンパク質レベルの低減が超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減によって測定される、請求項1094または1095記載の方法。
[請求項1100]
宣伝する段階が、抗体またはその断片がコレステロールを低減することをさらに含む、請求項1091〜1099記載の方法。
[請求項1101]
宣伝する段階が、抗体またはその断片が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することをさらに含む、請求項1091〜1099記載の方法。
[請求項1102]
宣伝する段階が、抗体またはその断片がトリグリセリドを低減することをさらに含む、請求項1091〜1099記載の方法。
[請求項1103]
宣伝する段階が、抗体またはその断片が高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することをさらに含む、請求項1091〜1099記載の方法。
[請求項1104]
宣伝する段階が、抗体またはその断片が低血糖を誘導しないことをさらに含む、請求項1091〜1099記載の方法。
[請求項1105]
宣伝する段階が、抗体またはその断片がインスリン抵抗性を減少させることをさらに含む、請求項1091〜1099記載の方法。
[請求項1106]
インスリン抵抗性の減少が恒常性モデル評価(HOMA)における改善によって測定される、請求項1105記載の方法。
[請求項1107]
インスリン抵抗性の減少がインスリン抵抗性試験における改善によって測定される、請求項1105記載の方法。
[請求項1108]
宣伝する段階が、紙上、テレビ上、ラジオ上、およびインターネット上からなる群より選択される媒体によるものである、請求項1091〜1107記載の方法。
[請求項1109]
宣伝する段階が、抗体またはその断片を用いて2型糖尿病を処置できることを宣伝する段階をさらに含む、請求項1091〜1107記載の方法。
[請求項1110]
宣伝する段階が、β細胞機能を改善することの利点を宣伝する段階をさらに含む、請求項1091〜1107記載の方法。
[請求項1111]
宣伝する段階が、ヒトにおいてβ細胞機能および血糖管理を改善することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項1093記載の方法。
[請求項1112]
宣伝する段階が、ヒトにおいてβ細胞機能を改善することおよびC反応性タンパク質レベルを低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項1094記載の方法。
[請求項1113]
宣伝する段階が、ヒトにおいてβ細胞機能を改善すること、血糖管理を改善することおよびC反応性タンパク質レベルを低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項1095記載の方法。
[請求項1114]
宣伝する段階が、ヒトにおいてコレステロールを低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項1110〜1113記載の方法。
[請求項1115]
宣伝する段階が、ヒトにおいて低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項1110〜1113記載の方法。
[請求項1116]
宣伝する段階が、ヒトにおいてトリグリセリドを低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項1110〜1113記載の方法。
[請求項1117]
宣伝する段階が、ヒトにおいて高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項1110〜1113記載の方法。
[請求項1118]
宣伝する段階が、ヒトにおいて低血糖を誘導しないことの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項1110〜1113記載の方法。
[請求項1119]
宣伝する段階が、ヒトにおいてインスリン抵抗性を減少させることの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項1110〜1113記載の方法。
[請求項1120]
宣伝が、抗体またはその断片とともに収納されているラベル上にある、請求項1091〜1119記載の方法。
[請求項1121]
ラベルが、抗体またはその断片を収納している容器中にある、請求項1120記載の方法。
[請求項1122]
抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善することを述べる段階を含む、抗IL-1β抗体またはその断片を含む製品の利点を宣伝するための方法。
[請求項1123]
β細胞機能の改善がインスリンのレベルの増加によって測定される、請求項1122記載の方法。
[請求項1124]
β細胞機能の改善がインスリンのレベルの増加によって測定される、請求項1122記載の方法。
[請求項1125]
述べる段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善することを述べる段階をさらに含む、請求項1122〜1124記載の方法。
[請求項1126]
述べる段階が、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することを述べる段階をさらに含む、請求項1122〜1124記載の方法。
[請求項1127]
述べる段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善する、かつC反応性タンパク質レベルを低減することを述べる段階をさらに含む、請求項1122〜1124記載の方法。
[請求項1128]
血糖管理がヘモグロビンA1cの改善によって測定される、請求項1125または1127記載の方法。
[請求項1129]
血糖管理が空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される、請求項1125または1127記載の方法。
[請求項1130]
血糖管理が経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される、請求項1125または1127記載の方法。
[請求項1131]
C反応性タンパク質レベルの低減が超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減によって測定される、請求項1126または1127記載の方法。
[請求項1132]
述べる段階が、抗体またはその断片がコレステロールを低減することを述べる段階をさらに含む、請求項1122〜1131記載の方法。
[請求項1133]
述べる段階が、抗体またはその断片が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することを述べる段階をさらに含む、請求項1122〜1131記載の方法。
[請求項1134]
述べる段階が、抗体またはその断片がトリグリセリドを低減することを述べる段階をさらに含む、請求項1122〜1131記載の方法。
[請求項1135]
述べる段階が、抗体またはその断片が高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することを述べる段階をさらに含む、請求項1122〜1131記載の方法。
[請求項1136]
述べる段階が、抗体またはその断片が低血糖を誘導しないことを述べる段階をさらに含む、請求項1122〜1131記載の方法。
[請求項1137]
述べる段階が、抗体またはその断片がインスリン抵抗性を減少させることを述べる段階をさらに含む、請求項1122〜1131記載の方法。
[請求項1138]
薬学的製品がヒトにおいてβ細胞機能を改善する抗IL-1β抗体またはその断片を含むことを注記する段階を含む、薬学的製品を宣伝するための方法。
[請求項1139]
β細胞機能の改善がインスリンのレベルの増加によって測定される、請求項1138記載の方法。
[請求項1140]
注記する段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善することを注記する段階をさらに含む、請求項1138〜1139記載の方法。
[請求項1141]
注記する段階が、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することを注記する段階をさらに含む、請求項1138〜1139記載の方法。
[請求項1142]
注記する段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善する、かつC反応性タンパク質レベルを低減することを注記する段階をさらに含む、請求項1138記載の方法。
[請求項1143]
血糖管理がヘモグロビンA1cの改善によって測定される、請求項1140または1142記載の方法。
[請求項1144]
血糖管理が空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される、請求項1140または1142記載の方法。
[請求項1145]
血糖管理が経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される、請求項1140または1142記載の方法。
[請求項1146]
C反応性タンパク質レベルの低減が超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減によって測定される、請求項1141または1142記載の方法。
[請求項1147]
注記する段階が、抗体またはその断片がコレステロールを低減することを注記する段階をさらに含む、請求項1138〜1146記載の方法。
[請求項1148]
注記する段階が、抗体またはその断片が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することを注記する段階をさらに含む、請求項1138〜1146記載の方法。
[請求項1149]
注記する段階が、抗体またはその断片がトリグリセリドを低減することを注記する段階をさらに含む、請求項1138〜1146記載の方法。
[請求項1150]
注記する段階が、抗体またはその断片が高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することを注記する段階をさらに含む、請求項1138〜1146記載の方法。
[請求項1151]
注記する段階が、抗体またはその断片が低血糖を誘導しないことを注記する段階をさらに含む、請求項1138〜1146記載の方法。
[請求項1152]
注記する段階が、抗体またはその断片がインスリン抵抗性を減少させることを注記する段階をさらに含む、請求項1138〜1146記載の方法。
[請求項1153]
注記する段階が添付文書の使用を含む、請求項1138〜1152記載の方法。
[請求項1154]
抗IL-1β抗体またはその断片である製品、および抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善するという記載を含んだラベルを含む包装。
[請求項1155]
記載は、抗体またはその断片が血糖管理を改善することをさらに含む、請求項1154記載の包装。
[請求項1156]
記載は、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む、請求項1154記載の包装。
[請求項1157]
記載は、抗体またはその断片が血糖管理を改善する、かつC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む、請求項1154記載の包装。
[請求項1158]
記載は、抗体またはその断片がコレステロールを低減することをさらに含む、請求項1154〜1157記載の包装。
[請求項1159]
記載は、抗体またはその断片が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することをさらに含む、請求項1154〜1157記載の包装。
[請求項1160]
記載は、抗体またはその断片がトリグリセリドを低減することをさらに含む、請求項1154〜1157記載の包装。
[請求項1161]
記載は、抗体またはその断片が高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することをさらに含む、請求項1154〜1157記載の包装。
[請求項1162]
記載は、抗体またはその断片が低血糖を誘導しないことをさらに含む、請求項1154〜1157記載の包装。
[請求項1163]
記載は、抗体またはその断片がインスリン抵抗性を減少させることをさらに含む、請求項1154〜1157記載の包装。
[請求項1164]
抗IL-1β抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能の改善、血糖管理の改善、C反応性タンパク質のレベルの低減、コレステロールの低減、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の低減、トリグリセリドの低減、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の増大、低血糖の誘導の欠如、および/またはインスリン抵抗性の減少をもたらすことを実証するデータの利用に基づく広告活動。
[請求項1165]
抗IL-1β抗体またはその断片を含む、かつ製品がヒトにおいてβ細胞機能を改善する、血糖管理を改善するおよび/またはC反応性タンパク質のレベルを低減する、コレステロールを低減する、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減する、トリグリセリドを低減する、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大する、低血糖を誘導しない、ならびに/あるいはインスリン抵抗性を減少させるというラベル宣伝文句を含む、薬学的製品。

Claims (165)

  1. 対象に抗IL-1β抗体またはその断片の1回または複数回用量を投与する段階を含む、β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善のための方法。
  2. β細胞機能の改善がβ細胞生存度の保全またはβ細胞代謝回転の低減である、請求項1記載の方法。
  3. β細胞機能の改善がβ細胞増殖の増大である、請求項1記載の方法。
  4. β細胞機能の改善がインスリン分泌の増強である、請求項1記載の方法。
  5. インスリン分泌がグルコース依存性インスリン分泌である、請求項4記載の方法。
  6. インスリン分泌の増強がグルコース/インスリンCペプチドAUCとして測定される、請求項4〜5記載の方法。
  7. インスリン分泌の増強がグルカゴン-アルギニン-グルコース刺激試験(GAGST)を用いて測定される、請求項4〜5記載の方法。
  8. インスリン分泌の増強がベースラインと比べて少なくとも25%の増加である、請求項4〜7記載の方法。
  9. インスリン分泌の増強がベースラインと比べて少なくとも50%の増加である、請求項8記載の方法。
  10. インスリン分泌の増強がベースラインと比べて少なくとも75%の増加である、請求項9記載の方法。
  11. インスリン分泌の増強がベースラインと比べて少なくとも90%の増加である、請求項10記載の方法。
  12. 抗体またはその断片が1 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項1〜11記載の方法。
  13. 抗体またはその断片が0.3 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項12記載の方法。
  14. 抗体またはその断片が0.1 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項13記載の方法。
  15. 抗体またはその断片が0.03 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項14記載の方法。
  16. 抗体またはその断片が0.01 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項15記載の方法。
  17. 抗体またはその断片が0.005 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項16記載の方法。
  18. 抗体またはその断片が0.001 mg/kgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項17記載の方法。
  19. 抗体またはその断片が少なくとも0.0005 mg/kgの用量で投与される、請求項12〜18記載の方法。
  20. 抗体またはその断片が少なくとも0.001 mg/kgの用量で投与される、請求項19記載の方法。
  21. 抗体またはその断片が用量/対象体重比とは無関係に、固定された用量として投与される、請求項1〜11記載の方法。
  22. 抗体またはその断片が約250 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項21記載の方法。
  23. 抗体またはその断片が約100 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項22記載の方法。
  24. 抗体またはその断片が約25 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項23記載の方法。
  25. 抗体またはその断片が約5 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項24記載の方法。
  26. 抗体またはその断片が約1 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項25記載の方法。
  27. 抗体またはその断片が約0.1 mgまたはそれ以下の用量で投与される、請求項26記載の方法。
  28. 抗体またはその断片が少なくとも約0.05 mgの用量で投与される、請求項21〜27記載の方法。
  29. 抗体またはその断片が少なくとも約0.1 mgの用量で投与される、請求項28記載の方法。
  30. 抗体またはその断片の初回用量の投与の後に、抗体またはその断片の1回または複数回のその後の用量の投与が行われる、請求項1〜29記載の方法。
  31. 初回用量および1回または複数回のその後の用量が、2週ごとに1度から12ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、請求項30記載の方法。
  32. 初回用量および1回または複数回のその後の用量が、1ヶ月ごとに1度から6ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、請求項31記載の方法。
  33. 初回用量および1回または複数回のその後の用量が、1ヶ月ごとに1度から3ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、請求項32記載の方法。
  34. 初回用量および1回または複数回のその後の用量が、3ヶ月ごとに1度から6ヶ月ごとに1度の間隔で投与される、請求項32記載の方法。
  35. 1回または複数回のその後の用量が、初回用量とほぼ同一のまたは初回用量未満の量でのものである、請求項30〜34記載の方法。
  36. 1回または複数回のその後の用量が、初回用量を超えた量のものである、請求項30〜34記載の方法。
  37. 抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約1 nMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項1〜36記載の方法。
  38. 抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約250 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項37記載の方法。
  39. 抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約100 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項38記載の方法。
  40. 抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約10 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項39記載の方法。
  41. 抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約1 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項40記載の方法。
  42. 抗体またはその断片が、ヒトIL-1βに約0.3 pMまたはそれ以下の解離定数で結合する、請求項41載の方法。
  43. 対象が、2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン抵抗性、インスリン産生低下、高血糖、代謝症候群および肥満からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、請求項1〜42記載の方法。
  44. 対象が、低インスリン血症、糖尿病の二次的原因、薬物誘発性糖尿病および妊娠誘発性糖尿病からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、請求項1〜42記載の方法。
  45. 抗IL-1β抗体またはその断片が中和抗体である、請求項1〜44記載の方法。
  46. 抗IL-1β抗体またはその断片は、結合抗体または断片がIL-1βのIL-1受容体I (IL-1RI)への結合を実質的に可能にするようなIL-1βエピトープに結合する、請求項1〜44記載の方法。
  47. 抗体またはその断片が、IL-1α、IL-1RまたはIL-1Raに検出可能に結合しない、請求項1〜44記載の方法。
  48. 抗体またはその断片が、配列
    Figure 2012502058
    に含まれるエピトープに結合する、請求項1〜44記載の方法。
  49. 抗体またはその断片が、SEQ ID NO:1の軽鎖可変領域およびSEQ ID NO:2の重鎖可変領域を有する抗体の結合と競合する、請求項1〜44記載の方法。
  50. 抗体またはその断片が、IL-1βのGlu64を組み入れたエピトープに結合する、請求項1〜44記載の方法。
  51. 抗体またはその断片が、IL-1βのN末端のアミノ酸番号1-34に結合する、請求項1〜44記載の方法。
  52. 抗体またはその断片が、ヒト遺伝子操作されたものまたはヒト化されたものである、請求項1〜51記載の方法。
  53. 抗体またはその断片が、ヒトのものである、請求項1〜51記載の方法。
  54. 抗IL-1β抗体またはその断片が皮下経路、静脈内経路または筋肉内経路によって投与される、請求項1〜53記載の方法。
  55. 対象における血糖管理の改善をさらにもたらす、請求項1〜54記載の方法。
  56. 血糖管理の改善がヘモグロビンA1cの改善によって測定される、請求項55記載の方法。
  57. 血糖管理の改善が空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される、請求項55記載の方法。
  58. 血糖管理の改善が経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される、請求項55記載の方法。
  59. ヘモグロビンA1cの改善がヘモグロビンA1cの少なくとも0.5パーセントポイントの減少である、請求項56記載の方法。
  60. ヘモグロビンA1cの改善がヘモグロビンA1cの少なくとも0.7パーセントポイントの減少である、請求項59記載の方法。
  61. 抗体または断片の用量がヘモグロビンA1cの少なくとも1パーセントポイントの改善を達成するのに十分である、請求項60記載の方法。
  62. 抗体または断片の用量がヘモグロビンA1cの少なくとも1.5パーセントポイントの改善を達成するのに十分である、請求項61記載の方法。
  63. 抗体または断片の用量がヘモグロビンA1cの少なくとも2パーセントポイントの改善を達成するのに十分である、請求項62記載の方法。
  64. 以下の変化の少なくとも1つを達成するのに十分である、請求項1〜63記載の方法:
    空腹時血糖レベルの低減、インスリン抵抗性の減少、低インスリン血症の低減、耐糖能の改善、全身性炎症の低減、C反応性ペプチド(CRP)の低減、超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減、IL-6レベルの低減、高血糖の低減、糖尿病薬物療法の必要性の低減、BMIの低減、体重増加の速度の低減、体重の安定化、体重の低減、急性期反応物質の低減、脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少、心血管リスク指標の減少。
  65. 以下の変化の少なくとも1つを達成するのに十分である、請求項64記載の方法: 全身性炎症の低減、C反応性ペプチド(CRP)の低減、超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減、IL-6レベルの低減。
  66. 以下の変化の少なくとも1つを達成するのに十分である、請求項64記載の方法: BMIの低減、体重増加の速度の低減、体重の安定化、体重の低減。
  67. 脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少が以下の変化の少なくとも1つを含む、請求項64記載の方法: コレステロールの減少、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の減少、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL)の減少、トリグリセリドの減少、遊離脂肪酸の減少、アポリポタンパク質B (アポB)の減少。
  68. 脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少がコレステロールの減少である、請求項67記載の方法。
  69. 脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の減少である、請求項67記載の方法。
  70. 脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少が以下の変化の少なくとも1つをさらに含む、請求項67〜69記載の方法: 高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の増加、処置前レベルと比べて高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)のレベルを維持すること、アポリポタンパク質A (アポA)の増加。
  71. C反応性ペプチド(CRP)の低減と、脂質プロファイルの改善を伴う血清中脂質の減少のいずれをも達成するのに十分である、請求項64〜70記載の方法。
  72. インスリン抵抗性の減少が恒常性モデル評価(HOMA)またはインスリン抵抗性試験における改善によって測定される、請求項64記載の方法。
  73. 低血糖を誘導しない、請求項64〜72記載の方法。
  74. IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物を投与する段階を含む、少なくとも1つのさらなる処置方法との組み合わせでのものである、請求項1〜73記載の方法。
  75. IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物を投与する段階を含む、少なくとも1つのさらなる処置方法の必要性をなくすまたは先延ばしする、請求項1〜73記載の方法。
  76. IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物を投与する段階を含む、少なくとも1つのさらなる処置方法の量、頻度または継続期間を減らす、請求項1〜73記載の方法。
  77. IL-1β抗体または断片以外の活性薬剤を含んだ少なくとも1つの薬学的組成物が、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、αグルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジンジオン、DPP-IV阻害剤、グルカゴン様ペプチド(GLP)-1類似体、およびインスリンからなる群より選択される、請求項74〜76記載の方法。
  78. 活性薬剤がスルホニル尿素である、請求項77記載の方法。
  79. 活性薬剤がメグリチニドである、請求項77記載の方法。
  80. 活性薬剤がビグアニドである、請求項77記載の方法。
  81. 活性薬剤がαグルコシダーゼ阻害剤である、請求項77記載の方法。
  82. 活性薬剤がチアゾリジンジオンである、請求項77記載の方法。
  83. 活性薬剤がDPP-IV阻害剤である、請求項77記載の方法。
  84. 活性薬剤がグルカゴン様ペプチド(GLP)-1類似体である、請求項77記載の方法。
  85. 活性薬剤がインスリンである、請求項77記載の方法。
  86. 抗体またはその断片が、IL-1β誘発性のIL-8産生を測定するヒト全血中IL-1β阻害アッセイ法においてIL-1β受容体アンタゴニストよりも低いIC50を有する、請求項1〜85記載の方法。
  87. β細胞機能の改善を必要としている対象におけるβ細胞機能の改善に用いるための組成物の製造における、IL-1β誘発性のIL-8産生を測定するヒト全血中IL-1β阻害アッセイ法においてIL-1β受容体アンタゴニストよりも低いIC50を有する抗IL-1β抗体またはその断片の使用。
  88. 対象が、2型糖尿病、1型糖尿病、インスリン抵抗性、インスリン産生低下、高血糖、代謝症候群および肥満からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、請求項87記載の使用。
  89. β細胞機能の改善を必要としている対象が、低インスリン血症、糖尿病の二次的原因、薬物誘発性糖尿病および妊娠誘発性糖尿病からなる群より選択される疾患または病態と診断されている、請求項87記載の使用。
  90. IL-1β受容体アンタゴニストがアナキンラである、請求項86記載の方法または請求項87〜89記載の使用。
  91. 抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善することを宣伝する段階を含む、抗IL-1β抗体またはその断片を含んだ製品を売るための方法。
  92. β細胞機能の改善がインスリンのレベルの増加によって測定される、請求項91記載の方法。
  93. 宣伝する段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善することをさらに含む、請求項91〜92記載の方法。
  94. 宣伝する段階が、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む、請求項91〜92記載の方法。
  95. 宣伝する段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善し、かつC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む、請求項91記載の方法。
  96. 血糖管理がヘモグロビンA1cの改善によって測定される、請求項93または95記載の方法。
  97. 血糖管理が空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される、請求項93または95記載の方法。
  98. 血糖管理が経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される、請求項93または95記載の方法。
  99. C反応性タンパク質レベルの低減が超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減によって測定される、請求項94または95記載の方法。
  100. 宣伝する段階が、抗体またはその断片がコレステロールを低減することをさらに含む、請求項91〜99記載の方法。
  101. 宣伝する段階が、抗体またはその断片が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することをさらに含む、請求項91〜99記載の方法。
  102. 宣伝する段階が、抗体またはその断片がトリグリセリドを低減することをさらに含む、請求項91〜99記載の方法。
  103. 宣伝する段階が、抗体またはその断片が高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することをさらに含む、請求項91〜99記載の方法。
  104. 宣伝する段階が、抗体またはその断片が低血糖を誘導しないことをさらに含む、請求項91〜99記載の方法。
  105. 宣伝する段階が、抗体またはその断片がインスリン抵抗性を減少させることをさらに含む、請求項91〜99記載の方法。
  106. インスリン抵抗性の減少が恒常性モデル評価(HOMA)における改善によって測定される、請求項105記載の方法。
  107. インスリン抵抗性の減少がインスリン抵抗性試験における改善によって測定される、請求項105記載の方法。
  108. 宣伝する段階が、紙上、テレビ上、ラジオ上、およびインターネット上からなる群より選択される媒体によるものである、請求項91〜107記載の方法。
  109. 宣伝する段階が、抗体またはその断片を用いて2型糖尿病を処置できることを宣伝する段階をさらに含む、請求項91〜107記載の方法。
  110. 宣伝する段階が、β細胞機能を改善することの利点を宣伝する段階をさらに含む、請求項91〜107記載の方法。
  111. 宣伝する段階が、ヒトにおいてβ細胞機能および血糖管理を改善することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項93記載の方法。
  112. 宣伝する段階が、ヒトにおいてβ細胞機能を改善することおよびC反応性タンパク質レベルを低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項94記載の方法。
  113. 宣伝する段階が、ヒトにおいてβ細胞機能を改善すること、血糖管理を改善することおよびC反応性タンパク質レベルを低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項95記載の方法。
  114. 宣伝する段階が、ヒトにおいてコレステロールを低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項110〜113記載の方法。
  115. 宣伝する段階が、ヒトにおいて低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項110〜113記載の方法。
  116. 宣伝する段階が、ヒトにおいてトリグリセリドを低減することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項110〜113記載の方法。
  117. 宣伝する段階が、ヒトにおいて高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項110〜113記載の方法。
  118. 宣伝する段階が、ヒトにおいて低血糖を誘導しないことの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項110〜113記載の方法。
  119. 宣伝する段階が、ヒトにおいてインスリン抵抗性を減少させることの利点を消費者に宣伝する段階をさらに含む、請求項110〜113記載の方法。
  120. 宣伝が、抗体またはその断片とともに収納されているラベル上にある、請求項91〜119記載の方法。
  121. ラベルが、抗体またはその断片を収納している容器中にある、請求項120記載の方法。
  122. 抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善することを述べる段階を含む、抗IL-1β抗体またはその断片を含む製品の利点を宣伝するための方法。
  123. β細胞機能の改善がインスリンのレベルの増加によって測定される、請求項122記載の方法。
  124. β細胞機能の改善がインスリンのレベルの増加によって測定される、請求項122記載の方法。
  125. 述べる段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善することを述べる段階をさらに含む、請求項122〜124記載の方法。
  126. 述べる段階が、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することを述べる段階をさらに含む、請求項122〜124記載の方法。
  127. 述べる段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善する、かつC反応性タンパク質レベルを低減することを述べる段階をさらに含む、請求項122〜124記載の方法。
  128. 血糖管理がヘモグロビンA1cの改善によって測定される、請求項125または127記載の方法。
  129. 血糖管理が空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される、請求項125または127記載の方法。
  130. 血糖管理が経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される、請求項125または127記載の方法。
  131. C反応性タンパク質レベルの低減が超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減によって測定される、請求項126または127記載の方法。
  132. 述べる段階が、抗体またはその断片がコレステロールを低減することを述べる段階をさらに含む、請求項122〜131記載の方法。
  133. 述べる段階が、抗体またはその断片が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することを述べる段階をさらに含む、請求項122〜131記載の方法。
  134. 述べる段階が、抗体またはその断片がトリグリセリドを低減することを述べる段階をさらに含む、請求項122〜131記載の方法。
  135. 述べる段階が、抗体またはその断片が高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することを述べる段階をさらに含む、請求項122〜131記載の方法。
  136. 述べる段階が、抗体またはその断片が低血糖を誘導しないことを述べる段階をさらに含む、請求項122〜131記載の方法。
  137. 述べる段階が、抗体またはその断片がインスリン抵抗性を減少させることを述べる段階をさらに含む、請求項122〜131記載の方法。
  138. 薬学的製品がヒトにおいてβ細胞機能を改善する抗IL-1β抗体またはその断片を含むことを注記する段階を含む、薬学的製品を宣伝するための方法。
  139. β細胞機能の改善がインスリンのレベルの増加によって測定される、請求項138記載の方法。
  140. 注記する段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善することを注記する段階をさらに含む、請求項138〜139記載の方法。
  141. 注記する段階が、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することを注記する段階をさらに含む、請求項138〜139記載の方法。
  142. 注記する段階が、抗体またはその断片が血糖管理を改善する、かつC反応性タンパク質レベルを低減することを注記する段階をさらに含む、請求項138記載の方法。
  143. 血糖管理がヘモグロビンA1cの改善によって測定される、請求項140または142記載の方法。
  144. 血糖管理が空腹時血中グルコースレベルの低減によって測定される、請求項140または142記載の方法。
  145. 血糖管理が経口グルコース負荷試験(OGTT)の改善によって測定される、請求項140または142記載の方法。
  146. C反応性タンパク質レベルの低減が超高感度C反応性タンパク質(usCRP)の低減によって測定される、請求項141または142記載の方法。
  147. 注記する段階が、抗体またはその断片がコレステロールを低減することを注記する段階をさらに含む、請求項138〜146記載の方法。
  148. 注記する段階が、抗体またはその断片が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することを注記する段階をさらに含む、請求項138〜146記載の方法。
  149. 注記する段階が、抗体またはその断片がトリグリセリドを低減することを注記する段階をさらに含む、請求項138〜146記載の方法。
  150. 注記する段階が、抗体またはその断片が高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することを注記する段階をさらに含む、請求項138〜146記載の方法。
  151. 注記する段階が、抗体またはその断片が低血糖を誘導しないことを注記する段階をさらに含む、請求項138〜146記載の方法。
  152. 注記する段階が、抗体またはその断片がインスリン抵抗性を減少させることを注記する段階をさらに含む、請求項138〜146記載の方法。
  153. 注記する段階が添付文書の使用を含む、請求項138〜152記載の方法。
  154. 抗IL-1β抗体またはその断片である製品、および抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能を改善するという記載を含んだラベルを含む包装。
  155. 記載は、抗体またはその断片が血糖管理を改善することをさらに含む、請求項154記載の包装。
  156. 記載は、抗体またはその断片がC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む、請求項154記載の包装。
  157. 記載は、抗体またはその断片が血糖管理を改善する、かつC反応性タンパク質レベルを低減することをさらに含む、請求項154記載の包装。
  158. 記載は、抗体またはその断片がコレステロールを低減することをさらに含む、請求項154〜157記載の包装。
  159. 記載は、抗体またはその断片が低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減することをさらに含む、請求項154〜157記載の包装。
  160. 記載は、抗体またはその断片がトリグリセリドを低減することをさらに含む、請求項154〜157記載の包装。
  161. 記載は、抗体またはその断片が高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大することをさらに含む、請求項154〜157記載の包装。
  162. 記載は、抗体またはその断片が低血糖を誘導しないことをさらに含む、請求項154〜157記載の包装。
  163. 記載は、抗体またはその断片がインスリン抵抗性を減少させることをさらに含む、請求項154〜157記載の包装。
  164. 抗IL-1β抗体またはその断片がヒトにおいてβ細胞機能の改善、血糖管理の改善、C反応性タンパク質のレベルの低減、コレステロールの低減、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)の低減、トリグリセリドの低減、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の増大、低血糖の誘導の欠如、および/またはインスリン抵抗性の減少をもたらすことを実証するデータの利用に基づく広告活動。
  165. 抗IL-1β抗体またはその断片を含む、かつ製品がヒトにおいてβ細胞機能を改善する、血糖管理を改善するおよび/またはC反応性タンパク質のレベルを低減する、コレステロールを低減する、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)を低減する、トリグリセリドを低減する、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)を増大する、低血糖を誘導しない、ならびに/あるいはインスリン抵抗性を減少させるというラベル宣伝文句を含む、薬学的製品。
JP2011526240A 2008-09-05 2009-09-04 β細胞機能の改善のための方法 Pending JP2012502058A (ja)

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US9484208P 2008-09-05 2008-09-05
US9485708P 2008-09-05 2008-09-05
US61/094,842 2008-09-05
US61/094,857 2008-09-05
US12145108P 2008-12-10 2008-12-10
US12148608P 2008-12-10 2008-12-10
US61/121,486 2008-12-10
US61/121,451 2008-12-10
PCT/US2009/056084 WO2010028273A1 (en) 2008-09-05 2009-09-04 Methods for improvement of beta cell function

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012502058A true JP2012502058A (ja) 2012-01-26
JP2012502058A5 JP2012502058A5 (ja) 2013-08-15

Family

ID=41797517

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011526240A Pending JP2012502058A (ja) 2008-09-05 2009-09-04 β細胞機能の改善のための方法
JP2011526241A Pending JP2012502059A (ja) 2008-09-05 2009-09-04 IL−1β関連疾患を処置または予防するための方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011526241A Pending JP2012502059A (ja) 2008-09-05 2009-09-04 IL−1β関連疾患を処置または予防するための方法

Country Status (6)

Country Link
US (3) US8377429B2 (ja)
EP (2) EP2341935A4 (ja)
JP (2) JP2012502058A (ja)
AU (2) AU2009289545A1 (ja)
CA (2) CA2735940A1 (ja)
WO (2) WO2010028275A1 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2735940A1 (en) * 2008-09-05 2010-03-11 Xoma Technology Ltd. Methods for treating or preventing il-1.beta. related diseases
US20130122008A1 (en) * 2009-05-06 2013-05-16 Novartis Ag Anti-IL 1- ß Antibody Combination Therapy
US8926976B2 (en) 2009-09-25 2015-01-06 Xoma Technology Ltd. Modulators
MX2013001267A (es) * 2010-08-13 2013-04-10 Genentech Inc ANTICUERPOS A IL-1ß E EIL-18 PARA TRATAMIENTO DE ENFERMEDAD.
CN103328511B (zh) * 2010-09-10 2016-01-20 埃派斯进有限公司 抗-IL-1β抗体及其使用方法
WO2012062697A1 (en) * 2010-11-08 2012-05-18 Novartis Ag Combination therapy for type 1 diabetes
BR112015009892B1 (pt) 2012-11-05 2022-12-27 Delenex Therapeutics Ag Anticorpo contra il-1 beta, seu método de produção e seu uso, sequência isolada de ácido nucleico, vetor, composição cosmética, de diagnóstico ou farmacêutica, e kit
US10000565B2 (en) 2012-11-16 2018-06-19 Novartis Ag Use of IL-1 β binding antibodies for treating peripheral arterial disease
WO2014095808A1 (en) 2012-12-17 2014-06-26 Delenex Therapeutics Ag Antibodies against il-1 beta
EP3062782A1 (en) * 2013-10-30 2016-09-07 Pharnext Compositions, methods and uses for the treatment of diabetes and related conditions by controlling blood glucose level
ES2831428T3 (es) * 2014-07-30 2021-06-08 Shyam Prasad Kodimule Composiciones de ácido clorogénico y métodos para producir y usar las mismas en el tratamiento de la obesidad
US11896600B2 (en) 2019-09-21 2024-02-13 Vidya Herbs, Inc. Composition and method of using eicosanoyl-5-hydroxytryptamide for treating neurodegenerative disorders

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007002261A2 (en) * 2005-06-21 2007-01-04 Xoma Technology Ltd. IL-1β BINDING ANTIBODIES AND FRAGMENTS THEREOF
WO2007042524A2 (en) * 2005-10-14 2007-04-19 Novo Nordisk A/S Treating diabetes using inhibitors of il-1
WO2008077145A2 (en) * 2006-12-20 2008-06-26 Xoma Technology Ltd. Treatment of il-1-beta related diseases

Family Cites Families (45)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5077219A (en) 1984-05-18 1991-12-31 New England Medical Center Hospitals Human IL-1 cDNA sequences encoding biologically-active human IL-1 proteins
EP0569687B1 (en) 1984-05-18 2002-08-21 New England Medical Center Hospitals, Inc. Human IL-1 cDNA sequences encoding biologically-active human IL-1 proteins
US4762914A (en) 1984-05-18 1988-08-09 Auron Philip E Truncated protein of interleukin-1
EP0161901B1 (en) 1984-05-18 1993-12-01 New England Medical Center Hospitals, Inc. Human il-1 cDNA sequences encoding biologically-active human il-1 proteins
US5484887A (en) 1984-06-19 1996-01-16 Immunex Corporation Homogeneous interleukin 1
US5122459A (en) 1984-12-31 1992-06-16 Immunex Corporation Gene encoding biologically active human interleukin 1
US4772685A (en) 1985-10-02 1988-09-20 Merck & Co., Inc. Immunogenic peptides of human interleukin-1 and the corresponding anti-peptide antibodies
US4935343A (en) 1986-08-08 1990-06-19 Syntex (U.S.A.) Inc. Monoclonal antibodies for interleukin-1β
DK590387A (da) 1986-11-13 1988-05-14 Otsuka Pharma Co Ltd Antistoffer mod interleukin-1
US5474899A (en) 1987-05-13 1995-12-12 Cistron Biotechnology, Inc. Selective immunoassay for IL-1 β
EP0364778B1 (en) 1988-10-01 1996-03-13 Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. Antibody against interleukin-1beta
CA2046303C (en) 1989-02-27 2001-05-01 Lee Gehrke Il-1 biological activity inhibitors
US5859205A (en) * 1989-12-21 1999-01-12 Celltech Limited Humanised antibodies
MX9204374A (es) 1991-07-25 1993-03-01 Idec Pharma Corp Anticuerpo recombinante y metodo para su produccion.
WO1993011236A1 (en) 1991-12-02 1993-06-10 Medical Research Council Production of anti-self antibodies from antibody segment repertoires and displayed on phage
JP4157160B2 (ja) 1991-12-13 2008-09-24 ゾーマ テクノロジー リミテッド 改変抗体可変領域の調製のための方法
US5869619A (en) 1991-12-13 1999-02-09 Xoma Corporation Modified antibody variable domains
WO1995001997A1 (en) 1993-07-09 1995-01-19 Smithkline Beecham Corporation RECOMBINANT AND HUMANIZED IL-1β ANTIBODIES FOR TREATMENT OF IL-1 MEDIATED INFLAMMATORY DISORDERS IN MAN
US5959085A (en) 1993-11-23 1999-09-28 Schering Corporation Human monoclonal antibodies against human cytokines and methods of making and using such antibodies
US5817476A (en) 1995-06-07 1998-10-06 Genetics Institute, Inc. Polynucleotides encoding interleukin-1 receptor intracellular ligand proteins
GB0001448D0 (en) 2000-01-21 2000-03-08 Novartis Ag Organic compounds
AU2001259758A1 (en) 2000-05-12 2001-11-26 Immunex Corporation Interleukin-1 inhibitors in the treatment of diseases
KR100919593B1 (ko) * 2000-06-29 2009-09-29 아보트 러보러터리즈 이중 특이성 항체 및 이의 제조 방법 및 이를 포함하는 조성물
GB0020685D0 (en) 2000-08-22 2000-10-11 Novartis Ag Organic compounds
US20030026806A1 (en) 2000-10-27 2003-02-06 Amgen Inc. Antibodies and other selective IL-1 binding agents that allow binding to IL-1 receptor but not activation thereof
US20030166069A1 (en) 2000-11-28 2003-09-04 Amgen, Inc. Interleukin-1 receptor antagonist-like molecules and uses thereof
US6727234B2 (en) 2001-04-03 2004-04-27 University Of Iowa Research Foundation Isoprenoid analog compounds and methods of making and use thereof
US8206753B2 (en) 2001-06-20 2012-06-26 Metaproteomics, Llc Anti-inflammatory botanical products for the treatment of metabolic syndrome and diabetes
EP1423432A4 (en) 2001-07-26 2006-01-11 Lilly Co Eli ANTIBODIES TO INTERLEUKIN 1 BETA (IL-1BETA)
EP1578385A4 (en) 2001-10-19 2011-11-09 Genentech Inc COMPOSITIONS AND METHODS FOR THE DIAGNOSIS AND TREATMENT OF INFLAMMATORY INTESTINAL DISEASES
WO2003073982A2 (en) 2002-02-28 2003-09-12 Eli Lilly And Company Anti-interleukin-1 beta analogs
US7572770B2 (en) 2002-06-27 2009-08-11 University Of Zurich Use of an interleukin 1 receptor antagonist and/or pyrrolidinedithiocarbamate for the treatment or prophylaxis of type 2 diabetes
ES2449578T3 (es) 2002-09-06 2014-03-20 Amgen Inc. Anticuerpo monoclonal anti-IL-1R1 humano terapéutico
AU2004207741B2 (en) 2003-01-24 2011-02-10 Applied Molecular Evolution, Inc Human IL-1 beta antagonists
GB0303337D0 (en) 2003-02-13 2003-03-19 Celltech R&D Ltd Biological products
WO2005019259A2 (en) 2003-08-25 2005-03-03 Compugen Ltd. Variants of interleukin-1 receptor antagonist: compositions and uses thereof
US7732478B2 (en) 2004-01-09 2010-06-08 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Methods for facilitating metabolic control
US20050152850A1 (en) 2004-01-09 2005-07-14 Engebretson Steven P. Methods and compositions for facilitating metabolic control
WO2005084696A1 (en) 2004-03-08 2005-09-15 Universita'degli Studi Di Milano Methods and agents for controlling intestinal inflammation and mucosal immunity using agents interacting with tir8/sigirr
US8618054B2 (en) 2004-05-05 2013-12-31 Valorisation-Rechereche Société en Commandite Interleukin-1 receptor antagonists, compositions, and methods of treatment
US20080162221A1 (en) 2004-06-14 2008-07-03 Symphonyrpm, Inc. Decision object for associating a plurality of business plans
CA2574610A1 (en) 2004-07-22 2006-03-02 Sequenom, Inc. Methods for identifying risk of type ii diabetes and treatments thereof
WO2006081139A2 (en) 2005-01-26 2006-08-03 Abgenix, Inc. Antibodies against interleukin-1 beta
WO2007120828A1 (en) 2006-04-14 2007-10-25 Novartis Ag Use of il-i antibodies for treating ophthalmic disorders
CA2735940A1 (en) * 2008-09-05 2010-03-11 Xoma Technology Ltd. Methods for treating or preventing il-1.beta. related diseases

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007002261A2 (en) * 2005-06-21 2007-01-04 Xoma Technology Ltd. IL-1β BINDING ANTIBODIES AND FRAGMENTS THEREOF
WO2007042524A2 (en) * 2005-10-14 2007-04-19 Novo Nordisk A/S Treating diabetes using inhibitors of il-1
WO2008077145A2 (en) * 2006-12-20 2008-06-26 Xoma Technology Ltd. Treatment of il-1-beta related diseases

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013042976; Diabetes Vol.46, 1997, p.937-940 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP2341935A1 (en) 2011-07-13
EP2341936A4 (en) 2012-07-25
WO2010028275A1 (en) 2010-03-11
CA2735940A1 (en) 2010-03-11
EP2341935A4 (en) 2012-07-25
AU2009289545A1 (en) 2010-03-11
JP2012502059A (ja) 2012-01-26
US8377429B2 (en) 2013-02-19
CA2735939A1 (en) 2010-03-11
US20120005127A1 (en) 2012-01-05
WO2010028273A1 (en) 2010-03-11
US20120003226A1 (en) 2012-01-05
EP2341936A1 (en) 2011-07-13
AU2009289547A1 (en) 2010-03-11
US20140017249A1 (en) 2014-01-16
US8545846B2 (en) 2013-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5856667B2 (ja) IL−1β関連疾患の治療方法
JP5536666B2 (ja) 痛風の治療のための方法
US8377429B2 (en) Methods for improvement of beta cell function with anti-IL-1β antibodies or fragments thereof
JP5809338B2 (ja) 関節リウマチの治療のための方法
BRPI0720928A2 (pt) Método para tratar em um ser humano, uma doença ou condição, e, uso de um anticorpo anti-il-1-beta ou fragmento do mesmo.

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120330

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120330

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130701

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130828

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131106

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131113

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20140131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140228

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20141020