JP2012500807A - 抗糖尿病治療用オクタヒドロキノリジン - Google Patents

抗糖尿病治療用オクタヒドロキノリジン Download PDF

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Abstract

本発明は、以下の式(I)
【化1】
Figure 2012500807

[式中、X=H、F;R=メチル、エチル、nプロピル、nブチル]
を有する、医薬用途のためのオクタヒドロキノリジンに関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、医薬用途(pharmaceutical use)のためのオクタヒドロキノリジンおよびオクタヒドロキノリジンの合成の中間体に関する。これらのオクタヒドロキノリジンは、糖尿病およびその合併症の治療または予防のための、高脂血症の治療または予防のための、糖尿病性脂質異常症の治療のための、メタボリックシンドロームの治療または予防のための、代謝機能不全と関連する疾患の治療のための、肥満症または肥満症関連疾患の治療のためのものである。本発明はまた、ヒトまたは動物における前記の疾患または症候群の治療または予防の改善を目的として、これらの化合物を単独で、またはその他の薬物もしくは化合物と組み合わせて含む医薬組成物およびキットも含む。
糖尿病は、高血糖症およびグルコース代謝の乱れを特徴とする慢性疾患である。高血糖症は、グルコース低下ホルモンインスリンの欠乏症または、代償するには不十分なレベルのインスリン分泌を伴うインスリンの効果に対する末梢組織の抵抗性に起因する。糖尿病の2つの主要な形態:1型および2型糖尿病がある。1型糖尿病は、膵臓のインスリン産生β細胞の永久破壊をもたらす自己免疫疾患である。通常、1型糖尿病は、青年期の間に現れ、注射による外因性インスリンで治療されない限り、命を危うくするものである。2型糖尿病は、主に、末梢のインスリン抵抗性、相対的インスリン欠乏症および発症時の軽度の高血糖症を特徴とする代謝障害である。1型糖尿病とは対照的に、2型糖尿病は、診断の前に、何年も気づかずに進行し得る。2型糖尿病の危険因子として、肥満症、年齢、2型糖尿病を患う一等親血縁者、妊娠糖尿病の病歴、高血圧症および高トリグリセリド血症が挙げられる。インスリン抵抗性および2型糖尿病の発生を推し進める最もよく見られる因子は、ライフスタイルと関連しており、主な危険因子は肥満症である。2型糖尿病を患う患者の約90%が、過体重または肥満である。脂肪量の増大、特に、過剰の腹部脂肪が、インスリン抵抗性を引き起こし、インスリン抵抗性が脾臓β細胞にインスリンを産生するよう強く要求することとなり、膵臓の消耗のために、インスリン産生が年齢とともに衰え、明白な糖尿病の発生につながる。先進国では、2型糖尿病は、すべての糖尿病の約90%を示す。
参照:非特許文献1
糖尿病は、世界中で増大しつつある健康の負担である。全世界的に最も一般的な疾患の1種であり、先進国では主な死亡原因に入っている。現在、糖尿病を患う人の数が最も多いと推定される3つの国は、インド、中国および米国である。糖尿病を患う人の数は、すでに極めて高いが、その数は、驚くべき速度で増大し続けている。世界的規模の糖尿病の有病率は、2000年から2030年の間に2倍になると予想されている(2000年に2.8%および2030年には最小で4.4%)。糖尿病を患っている人の総数は、2000年の1億7100万人から2030年には、少なくとも3億6600万人へ増大すると予測されており、最大の相対的増大は、中東、アフリカおよびインドにおける途上国において予測される。おそらくは、環境的危険因子の変化による1型糖尿病における顕著な増大もあるが、「糖尿病の蔓延」は、主に2型糖尿病を患う患者の数の増大によって起こる。これは、人口増加、加齢、都市化ならびに肥満症および運動不足の有病率の増大による。世界の一部の地域では、過体重(肥満度指数(Body Mass Index)、BMI>25)および肥満症(BMI>30)は、高脂肪および高タンパク質食の過剰消費を含む急速な文化的および社会的変化と関連して流行的割合にまで増大した。この病気の流行の人的および経済的費用は膨大である。糖尿病有病率および糖尿病と関連している心血管疾患の体重と関連する増大は、今世紀を通して最も重大な公衆衛生上の懸念であると予想され、莫大な財政負担につながるであろう。現在、糖尿病の年次直接医療費は、少なくとも1530億ドルから2860億ドルの間であると推定されている。このような発展の観点から、食事および行動の変化ならびに薬理学的アプローチを含めた有効な介入が大いに必要とされている。
参照:非特許文献2;非特許文献3
治療計画の確立によって、糖尿病患者は、短期間の間ほぼ通常の生活が可能であるが、疾患の長期の存在は、経時的に、組織、特に神経および血管の深刻な損傷につながる。結果として起こる糖尿病の後期合併症として、冠動脈および末梢血管疾患、脳血管疾患、糖尿病性神経障害、糖尿病性足病変、腎症および網膜症が挙げられる。これは、身体障害の累積する割合および死亡率の増大を引き起こす。ほとんどすべての発展した社会で、糖尿病は、失明、腎不全および下肢切断の主な原因の中にランクされており、糖尿病治療に費やす金額の約半分は、合併症を管理する費用に使われる。糖尿病が合併症につながる機序は、十分に理解されていないが、多くの研究によって、血糖の早期の厳密な制御を目的とする強力な治療が、合併症の罹患率および重篤度を低減させることが明確に裏付けられてきた。早期の強い介入は初期費用を増大させるが、合併症に起因する長期の人的および経済的費用は減少する。これは、早期のライフスタイルへの介入についてだけでなく、早期の薬物療法について、また血糖の正常に近い調節の所望の目標レベルの決定についての論理的根拠を強調する。結果として、血糖管理のさらなる改善および最適化に寄与する任意の新規薬物または薬物の組合せが、後期合併症を防ぎ、糖尿病の医学的および経済的負担を減少させる有益なツールである。
参照:非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6
1型および2型糖尿病の両方とも、医学的に証明された治癒はなく、したがって、治療の主な目的は、合併症からの罹患率および死亡率の低下である。これは、経時的なグルコース調節のための有益な読み取りパラメータとしてHbA1cを用いる高血糖症の有効な治療によって達成され得る。1型糖尿病では、外因性インスリンを用いる治療は必須であり、従って、血糖管理の改善は、主に、より精緻なインスリン注射投与計画(regimens)によって達成される。2型糖尿病は、慢性の、進行性の疾患であり、その病態生理は、1型糖尿病のものよりも患者間でより著しく異なる。これは、2型糖尿病の予防、診断的スクリーニングおよび治療のための多目的な戦略を示唆する。ライフスタイル管理、血圧管理、心血管リスク保護および糖尿病合併症スクリーニングに加えて、医薬品が、治療および結果を最適化するために必要とされる。これに関連して、種々の経口薬が、2型糖尿病の治療のために利用可能である。これらの薬物は、種々の作用機序によって血糖に影響を及ぼす。国際糖尿病財団(International Diabetes Foundation)からの2型糖尿病の世界的ガイドラインに従って、治療法の推奨は以下のとおりである:インスリン感作ビグアナイドメトホルミンは、2型糖尿病の経口治療の第一選択薬である。その主要な効果は、肝臓でのグルコース生産を減少させることによって血糖を低下させることである。メトホルミンが血糖濃度を十分に管理することができない場合、スルホニル尿素および/またはPPARγアゴニストが加えられるべきである。スルホニル尿素は、インスリン分泌を増強するが、PPARγアゴニスト(チアゾリジンジオン)は、インスリンに対する筋肉、脂肪および肝臓の感受性を高める。さらなる治療選択肢として、α−グルコシダーゼ阻害剤、エクセナチド、グリニドまたはプラムリンチドがある。α−グルコシダーゼ阻害剤は、小腸における多糖の消化速度を低下させ、これが腸からのグルコース吸収を遅延させ、食後血漿グルコース濃度を低下させる。グリニドは、スルホニル尿素と同様にインスリン分泌を刺激するが、半減期がより短い。エクセナチド(グルカゴン様ペプチド1アゴニスト)は、グルコース媒介性インスリン分泌を増強し、プラムリンチド(アミリンアゴニスト)は胃内容排出を遅くし、グルカゴン産生を阻害する。薬物およびライフスタイル介入が血糖管理を維持できない場合、インスリン治療が疾患発症の後期で必要である。
参照:非特許文献7;非特許文献8
2型糖尿病は、患者間の変動する病態生理は別として、血糖を経時的に悪化させる進行性の疾患である。単剤療法は、4人の患者のうちおよそ3人で血糖の目標を達成できないので、大部分の患者に、経時的に2種以上の医薬が必要となり、ほとんどの場合、異なる作用機序を持つ薬物の組合せが最良の治療の成功に出会うことなる。それにもかかわらず、ほとんどの個々の患者にとって、いくつかの組合せの多数の医薬が、依然として、血糖レベルを達成および維持して、最適な健康管理状態を提供することができず、このことが、新規のより良好な薬物が継続して必要であることを際立たせる。血糖コントロールにおける治療標的に関する満足できない能力は別として、多数のグルコース低下薬の処方は、有害作用に関する懸念によって制限されている。2型糖尿病の経口治療の第一選択薬に推奨されるメトホルミンは、比較的耐性良好である。メトホルミンの最もよくある有害作用は、胃腸の問題であるが、メトホルミンはまた、極めて稀ではあるが極めて危険な有害作用として、乳酸アシドーシスとも関連している。胃腸の問題は、2型糖尿病の他のクラスの薬物について、はるかに多く見られる。グルコシダーゼ阻害剤、エクセナチドまたはプラムリンチドを服用している患者の少なくとも3分の1は、胃腸副作用に苦しめられており、これが治療の中断の原因になることが多い。胃腸の作用は、スルホニル尿素およびグリニドに関しては問題ではないが、これらの薬物は、インスリン分泌を誘導することによって作用し、極端な場合には、命を脅かしうる低血糖症のリスクをはらんでいる。最後に、最初に、その好都合なインスリン感作作用機序のために高い期待をもたらしたチアゾリジンジオンは、体液貯留を誘導することを示し、最近、心筋梗塞および心血管に起因する死亡の危険を増大する疑いがあるとされた。したがって、治療目的の達成における満足できない有効性、頻繁な問題のある有害作用および多くの場合には、高い費用が、2型糖尿病の現在の医薬品治療選択肢における解決していない問題である。2型糖尿病の憂慮すべき疫学の観点から入手可能な医薬品ツールを考慮すると、良好な治療係数、すなわち、有害作用あたりの有効性の改善された関係を有する新規薬物が緊急に必要であることは明らかである。
参照:非特許文献8;非特許文献9
新規グルコース低下剤の探索では、早期前臨床試験および特性決定は、通常、糖尿病状態に類似する代謝の異常性を有するげっ歯類系統の研究に基づいている。このような動物では、グルコースホメオスタシスに、通常、食後の血糖およびグルコース溶液の投与後の血糖の増加を判定する糖負荷試験(GTT)が課せられる。GTTでは、グルコースを、静脈内に(IVGTT)、腹腔内に(IPGTT)または経口的に(OGTT)投与してよく、最後のもの(the latter)が最も生理的なアプローチである。2型糖尿病のモデルとして最も頻繁に使用されるげっ歯類として、血糖の増加が、遺伝的欠陥、食事介入または毒性薬剤の投与によるものであるようなものが挙げられる。特定のアプローチは各々、利点および制限を有する。よく用いられる遺伝的モデルは、過食および重篤な肥満症を引き起こす遺伝子欠陥に苦しめられているラットおよびマウスである(例えば、ZDFラット、db/dbマウス)。これらの動物では、極めて重篤なインスリン抵抗性が、高血糖症の発生の背景にある駆動力であり、したがって、それらは、インスリン感作によって作用するいくつかの薬剤に対して極めて反応性である。これは、2型糖尿病を有する過度に肥満の患者の状態と合理的に類似するが、インスリン抵抗性の優勢により、このようなモデルにおいて、インスリン感作以外の機序によって作用する薬物のグルコース低下作用を示すことが困難になることが多い。その他の広く使用されるモデルとして、インスリン産生細胞を破壊する薬剤(ストレプトゾトシン、アロキサン)を注射されたげっ歯類があり、適切に投与されると、相対的インスリン欠乏症を引き起こす。しかし、このモデルは、2型糖尿病の重要な特徴である主要なインスリン抵抗性の要素を欠く。食餌性モデル(dietary model)、特に、極めて高い脂肪含量(高脂肪食、HFD)を給餌された動物は、広まっている過体重患者における2型糖尿病の発病をより良好にシミュレートする。これらのモデルは、代謝の乱れの程度は制限されたままであるので、2型糖尿病の発生の初期段階とのみ比較可能である。HFD誘導性のグルコースホメオスタシスの乱れの程度に関して系統差があり、例えば、C57/BLマウスは、HFD誘導性の代謝の乱れに対して他の系統よりも感受性がある。乱れの程度および特徴はまた、食餌組成によって調節できる。通常、HFDは、約60%(カロリーの)の脂肪含量を有し、脂肪を取りすぎているヒトに匹敵する割合の炭水化物およびタンパク質を含む。代替HFDは、炭水化物をほとんど完全に含まず、これは、より短い期間内に、より重篤な代謝結果につながるという利点を有するが、肥満患者における状態をあまり適切には模倣しない。
参照:非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12
要約すれば、前記の最先端の糖尿病治療の妨げを克服するために使用できる化合物、化合物の組合せおよび治療に対する満たされていない必要性が依然としてある。本発明はこれら、ならびにその他の重要な目的を対象とする。
驚くべきことに、本発明の範囲内に、新規置換オクタヒドロキノリジンの、上記の治療分野における薬物としての治療上の使用は、その個々の化学的性質、特に、その置換パターンに決定的に依存するということを示すことができる。したがって、骨格の枠組みにおいて化学的に同様であっても、構造における特定の変化が、種々のオクタヒドロキノリジン誘導体の医薬的有用性に劇的な変化をもたらす。これとして、それだけには限らないが、例えば、立体化学に関する構造変化、骨格上の置換基の位置およびその空間特性、置換基の酸性/塩基性特性、特定の位置への芳香族または非芳香族基の組み込みおよびオクタヒドロキノリジン骨格と連結している種々の置換基の構造的柔軟性が挙げられる。
これまでに公開されたオクタヒドロキノリジン[特許文献1;非特許文献13]と比較して、本明細書において発明された新規化合物は、糖尿病および前記の疾患の治療をターゲットとした動物モデルにおいて証明される生物活性において相当な優位性を示す。これらの利点として、例えば、それだけには限らないが、優れた用量−活性関係および/または薬理学的特性またはマウス糖尿病モデルにおいて急性毒性が全くないこともしくは大幅に減少することおよび/またはげっ歯類もしくは非げっ歯類動物モデルにおいて好ましくない有害作用プロフィールが全くないこともしくは大幅に減少することが挙げられる。動物モデルにおいて有害作用を示す化合物は、通常、臨床開発から除外され、したがって、糖尿病および関連疾患のヒト治療における使用にはそれらは適していない。
本発明において開示される化合物によって、それだけには限らないが、糖尿病および関連疾患の治療または予防のための新規オクタヒドロキノリジンの合成のために使用される新規中間体を使用する新規合成法が可能となる。特に、糖尿病治療において今までに例のないその特定の作用様式のために、オクタヒドロキノリジンは、最新の抗糖尿病薬治療の治療上の利益を大きく妨害する副作用のない、その治療的優位性を伝える。これとして、それだけには限らないが、今日までに、例えば:グルコシダーゼ阻害剤またはエクセナチドのようなグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)摸倣物の治療上の使用の経過において観察されるような腸の副作用;インスリンおよび/またはスルホニル尿素のようなインスリン分泌薬の使用に関して考証される命を脅かす低血糖症;ビグアナイドを用いて治療される患者が患う可能性がある、危険な乳酸アシドーシス;ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害によって作用する最新の薬物、例えば、グリプチンの望ましくない胃腸または免疫調節副作用として知られる副作用が挙げられる。
従って、本発明に開示される化合物は、前記の治療上の使用において予測されない、相当な進歩を示す。
WO2007/050802 A (Adolor Corp [US], Dolle Roland E [US], Le Bourdonnec Bertrand [US], 2007年5月3日)
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本発明は、概して、置換オクタヒドロキノリジン誘導体、これらの化合物を含有する医薬組成物およびその医薬的使用方法を対象とする。
一態様では、本発明は、式Iのオクタヒドロキノリジノンを対象とする。
Figure 2012500807
[式中、X=H、F;R=メチル、エチル、nプロピル、nブチル]
別の態様では、本発明は、式IIのオクタヒドロキノリジンを対象とする。
Figure 2012500807
[式中、X=H、F;R=メチル、エチル、nプロピル、nブチル]
本発明のさらなる態様は、原薬(drug substance)として式IまたはIIの化合物を含有する医薬組成物である。
さらに、本発明の態様は:
糖尿病の治療または予防のための医薬組成物の製造のための式IまたはIIの化合物の使用;
高脂血症の治療または予防のための医薬組成物の製造のための式IまたはIIの化合物の使用;
糖尿病性脂質異常症の治療または予防のための医薬組成物の製造のための式IまたはIIの化合物の使用;
メタボリックシンドロームの治療または予防のための医薬組成物の製造のための式IまたはIIの化合物の使用;
肥満症の治療または予防のための医薬組成物の製造のための式IまたはIIの化合物の使用
および
代謝機能不全と関連する疾患の治療または予防のための医薬組成物の製造のための式IまたはIIの化合物の使用である。
さらなる実施態様では、本発明は、ラセミ化合物として新規ケタールの調製方法(スキームA)を対象とし、鏡像異性体または部分濃縮鏡像異性体混合物を、Frank D. King, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 447-453 (1986)の手順と同様の公知の一連の一般的な反応に従って調製する。それらをさらに、それぞれのイミン、それぞれの鏡像異性体、ジアステレオマーまたは立体異性を示す混合物に移行させる(transferred)。
Figure 2012500807
[式中、X=H、F;R=メチル、エチル、nプロピル、nブチル]
なおさらなる実施態様では、本発明は、化学的前駆体としてを使用するような方法に従って、オクタヒドロキノリジノン、そのそれぞれの鏡像異性体、ジアステレオマーまたは立体異性を示す混合物を調製する方法を対象とする。
Figure 2012500807
[式中、X=H、F;R=メチル、エチル、nプロピル、nブチル]
さらなる実施態様では、本発明は、上記の治療分野において糖尿病および関連疾患の治療のためのスキームCの混合物または純粋化合物として使用される、オクタヒドロキノリジン、そのそれぞれのジアステレオマーまたは鏡像異性体を対象とする。
Figure 2012500807
[式中、X=H、F;R=メチル、エチル、nプロピル、nブチル]
調製方法および実施例
特に断りのない限り、以下の材料および溶媒が使用されている:HPLC:アセトニトリル(ACN)LC−MS等級(Fluka);水、LC−MS等級(Fluka);ギ酸、puriss.p.a.(LC−MS用溶出添加剤、Fluka);化学反応用乾燥溶媒(dry solvents):モレキュラーシーブで乾燥させたジクロロメタン(DCM),puriss.HO≦0.005%(Fluka)
特に断りのない限り、抽出および/またはカラムクロマトグラフィーには以下の材料および溶媒が使用されている:シクロヘキサン(CyclH)、トルエン(Tol):Normapur(VWR Prolabo);酢酸エチル(EtOAc)、ジクロロメタン(CHCl)、ジエチルエーテル(EtO):GPR Rectapur(VWR Prolabo);シリカゲル60、0.06〜0.2mm(Merck)
特に断りのない限り、化学反応には以下の試薬が使用されている:3−ブテン−2−オン、99%(Aldrich);硫酸ナトリウム(NaSO),purum p.a.、無水>99%(Fluka);炭酸水素ナトリウム(NaHCO)(Fluka);無水硫酸マグネシウム(MgSO),puriss.p.a.、乾燥剤、≧98%(KT)(Fluka);炭酸ナトリウム(NaCO)、purum、≧98.0%(T)(Fluka);酢酸、purum 99%(Fluka);塩酸(HCl)、puriss.p.a.、ACS試薬、ヒューム、≧37%(Sigma−Aldrich);トリエチルアミン(TEA)、puriss.p.a.、≧99.5%(GC)(Aldrich);メタンスルホニルクロリド、≧99.7%(Aldrich);クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、98%(Aldrich);テトラヒドロフラン中の(1,3−ジオキサン−2−イルエチル)マグネシウムブロミド溶液0.5M(Aldrich);水素化ホウ素ナトリウム(Aldrich);
特に断りのない限り、反応生成物は、HPLC/MSによって同定および/または特性決定されている。計測手段:SCL−10Avp、コントローラー;DGU−20A5、脱気装置(degasser)、FCV−10ALvp、低圧勾配混合ユニット、LC−10ADvpポンプ、SIL10ADvp;オートサンプラー、SPD−M10Avp、PDA検出器、LCMS 2010A MS検出器(Shimadzu);SmartMix、350μl混合チャンバーを備えた勾配ミキサー(Knauer);N LCMS 1、窒素発生装置(Claind);E2M28、2段階ロータリー真空ポンプ(Edwards);ソフトウェア:LabSolutions−LCMSolutionバージョン3.41(Shimadzu);サンプル調製:サンプルを秤量し、アセトニトリルに溶解し、アセトニトリル/水(0.1%ギ酸を含む)=9:1中、0.5〜0.05mg/mlの濃度で1mlの最終容量に希釈する。注入容量を、0.5μgサンプルの注入を達成するよう調整する(1〜10μl)。溶媒:溶媒A:0.1%ギ酸を含む水、溶媒B:0.1%ギ酸を含むアセトニトリル
反応生成物および立体異性体を、以下の方法を適用し、HPLC/MSによって、注入後の分での相対保持時間(RTT)を用いて特性決定した。検出されるイオンは、基準ピーク(100%)に対するパーセント強度で与えられる。HPLC/MS方法A:カラム:Security Guard Cartridge Polar−RP 4×2.0mmを備えたSynergi 4μ Polar−RP 80A 150×2.0mm(Phenomenex Inc.);フロー:0.5ml/分;直線勾配(%Aは、100%に対する相違):10%Bで開始、10分で100%B、次いで、100%Bで5分間維持、次いで、1分で10%B、次いで、10%Bで7分平衡化;総実施時間:23分;PDA検出器:波長:190〜600nm、サンプリング速度:1.56Hz、MS検出器:イオン化モード:ESI陽性、マスレンジ:150〜600±0.5m/z;スキャンスピード:500amu/秒;検出器電圧:1.25kV;熱遮断温度:200℃;CDL温度:250℃;霧化ガスフロー(nebulizing gas flow):1.5L/分;乾燥ガス圧:0.1MPa;HPLC/MS方法B:カラム:Security Guard Cartridge Polar−RP 4×2.0mmを備えたSynergi 4μ Polar−RP 80A 150×2.0mm(Phenomenex Inc.);フロー:0.5ml/分;直線勾配(%Aは、100%との相違):10%Bで開始、50%Bまで10分、次いで、2分で100%B、次いで、100%Bで10分間維持、次いで、3分で10%B、次いで、10%Bで10分間平衡化;総実施時間:35分;PDA検出器:波長:190〜600nm、サンプリング速度:1.56Hz、MS検出器:イオン化モード:ESI陽性、マスレンジ:150〜600±0.5m/z;スキャン速度:500amu/秒;検出器電圧:1.25kV;熱遮断温度:200℃;CDL温度:250℃;霧化ガスフロー:1.5L/分;乾燥ガス圧:0.1MPa
特に断りのない限り、RTは、室温または周囲温度を表し、通常、20〜25℃の間にある。
3,6−ジメチル−3−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロピリジン2aおよび3−(4−フルオロフェニル)−3,6−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロピリジン2bの調製
それぞれ、2−メチル−2−フェニル−4−(2,5,5−トリメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ブタン−1−アミン1aまたは2−(4−フルオロフェニル)−2−メチル−4−(2,5,5−トリメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ブタン−1−アミン1bを、Frank D. King, J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 447-453 (1986)の手順と同様の公知の一連の一般的な反応に従って調製する。室温で、4% HClに1bを溶解し、反応混合物を1時間撹拌する。反応混合物を、ジエチルエーテルで抽出し、水相を炭酸水素ナトリウムを用いてアルカリ性にし、CHClを用いて抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空蒸発乾固させると、粗3,6−ジメチル−3−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロピリジン2aが得られ、これをさらなる精製を行わずに使用した。
HPLC/MS 方法A:2a:RTT=6.3[ms: 188 (M+H)]
7,9a−ジメチル−7−フェニルオクタヒドロ−2H−キノリジン−2−オン3aおよび7−(4−フルオロフェニル)−7,9a−ジメチルオクタヒドロ−2H−キノリジン−2−オン3bの調製
それぞれ、粗3,6−ジメチル−3−フェニル−2,3,4,5−テトラヒドロピリジン2aまたは3−(4−フルオロフェニル)−3,6−ジメチル−2,3,4,5−テトラヒドロピリジン2bを、酢酸に溶解し、2.3当量の3−ブテン−2−オンを加える。反応混合物を50℃で24時間撹拌した後、トルエンで希釈し、溶媒を40℃、減圧下で除去する。得られたシロップを飽和炭酸ナトリウム溶液およびCHClに分配し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空蒸発乾固させる。粗生成物をスタート−スポット(start−spot)濾過(SiO;シクロヘキサン/酢酸エチル=9/1)によって精製し、シクロヘキサンから結晶化させると、それぞれ、7,9a−ジメチル−7−フェニルオクタヒドロ−2H−キノリジン−2−オン3aまたは7−(4−フルオロフェニル)−7,9a−ジメチルオクタヒドロ−2H−キノリジン−2−オン3bが得られる。
HPLC/MS方法A:3a:Isomere A:RTT=6.7[ms:258.2(M+H);Isomere B:RTT=6.9[ms:258.2(M+H)];3b:Isomere A:RTT=6.9[ms:276.2(M+H);Isomere B:RTT=7.1[ms:276.2(M+H)]
7−フェニル−2−(3−ヒドロキシプロピル)−7,9a−ジメチルオクタヒドロ−2H−キノリジン−2−オル4aおよび7−(4−フルオロフェニル)−2−(3−ヒドロキシプロピル)−7,9a−ジメチルオクタヒドロ−2H−キノリジン−2−オル4bの調製
乾燥DEE(dry DEE)に7−(4−フルオロフェニル)−7,9a−ジメチルオクタヒドロ−2H−キノリジン−2−オン3bを溶解し、1.2当量の(1,3−ジオキサン−2−イルエチル)マグネシウムブロミド溶液を加え、反応混合物を室温で1.5時間撹拌する。反応混合物をNHCl溶液を用いてクエンチし、EtOを用いて抽出する。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空蒸発乾固させる。生成物をHCl 5%水溶液に溶解し、室温で一晩撹拌する。反応混合物を水で希釈し、固体の炭酸ナトリウム(pH11)を用いてアルカリ性にし、CHClを用いて抽出する。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空蒸発乾固させる。生成物をメタノールに溶解し、0℃に冷却し、10当量の水素化ホウ素ナトリウムを加えた。室温で2時間後、反応混合物を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注ぎ入れ、CHClで抽出する。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空蒸発乾固させる。
HPLC/MS方法B:4b:RTT=8.7[ms:336.2(M+H)]
7’,9a’−ジメチル−7’−フェニルデカヒドロ−3H−スピロ[フラン−2,2’−キノリジン]5aおよび7’−(4−フルオロフェニル)−7’,9a’−ジメチルデカヒドロ−3H−スピロ[フラン−2,2’−キノリジン]5bの調製
7−(4−フルオロフェニル)−2−(3−ヒドロキシプロピル)−7,9a−ジメチルオクタヒドロ−2H−キノリジン−2−オル4bを乾燥ジクロロメタン2当量に溶解する。トリエチルアミンおよび1.1当量のメタンスルホニルクロリドを加える。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、飽和炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、CHClで抽出する。有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空蒸発乾固させる。粗生成物を、スタート−スポット濾過(SiO、1%トリエチルアミンを含む、シクロヘキサン/酢酸エチル=2/1)によって精製すると、7’,9a’−ジメチル−7’−フェニルデカヒドロ−3H−スピロ[フラン−2,2’−キノリジン]5bが得られる。
HPLC/MS方法B:5b:RTT=11.6[ms:318.2(M+H)]
7’,9a’−ジメチル−7’−フェニルデカヒドロ−5H−スピロ[フラン−2,2’−キノリジン]−5−オン6aおよび7’−(4−フルオロフェニル)−7’,9a’−ジメチルデカヒドロ−5H−スピロ[フラン−2,2’−キノリジン]−5−オン6bの調製
乾燥DEEに、7−(4−フルオロフェニル)−7,9a−ジメチルオクタヒドロ−2H−キノリジン−2−オン3bを溶解し、1.2当量の(1,3−ジオキサン−2−イルエチル)マグネシウムブロミド溶液を加え、反応混合物を室温で1.5時間撹拌する。反応混合物をNHCl溶液を用いてクエンチし、EtOを用いて抽出する。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し真空蒸発乾固させる。生成物を、HCl 5%水溶液に溶解し、室温で一晩撹拌する。反応混合物を水で希釈し、固体の炭酸ナトリウム(pH11)を用いてアルカリ性にし、CHClを用いて抽出する。生成物を、アセトンに溶解し、10当量のPCCを加え、反応混合物を室温で一晩撹拌する。溶媒を蒸発させた後、残渣を水およびCHClに分配し、有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空蒸発乾固させる。残渣を、1%TEAを含有するCyclH/EtOAc(1:1)の混合物に再溶解し、酸化アルミニウムで濾過すると、6bが得られる。
HPLC/MS方法A:6b:RTT=7.5[ms332.2(M+H)]
生物学的方法
以下に記載および表1に列挙されるすべての動物実験は、オーストリアの法律および優良実験動物管理の原則に従って実施した。表1に示されるデータは、例えば、Charles River Lab.(USA)の繁殖用施設から購入される、市販の雄のマウスを使用して得られている。雄のC57BL/6マウスを、7〜30週齢で使用し、実験前の定義された絶食期間を除き、標準的な実験室用固形飼料の食餌(kg/kg:<10%粗脂肪)および水を自由に食べさせた。それらは、室温、12h/12h明暗サイクルで維持した。
表1に列挙された生成物の抗糖尿病活性を、一般医に公知の手順と同様に、マウスにおいて経口糖負荷試験で評価した。マウスを8〜12時間絶食させ、その後、経口糖負荷試験を実施した。生物学的試験のために、表1に列挙された生成物を、1〜2%酢酸を含有する0.5%カルボキシメチルセルロース中に溶解または懸濁した。各マウスを、表1に列挙される生成物を用い、経口の胃管栄養法によって処置した。各試験実施において、試験生成物を投与されない対照群を並行して調べた。対照群には、1〜2%酢酸を含有する同量の0.5%カルボキシメチルセルロース溶液(ビヒクル)を投与した。T=−45分での表1に列挙される生成物またはビヒクルの投与に、45分後、T=0分で、グルコース溶液(3g/kg)の胃管栄養法による経口投与を続けた。表1に列挙された生成物またはビヒクルの投与の直前、グルコース投与の直前、場合によってはT=30分および/またはT=90および/またはT=150で、尾の先端の穿刺によって血液を採取した。ヒト糖尿病においてよく使用されるように、ポータブルグルコメーターを使用して血糖を測定した。
各動物について、T=0分で測定されたレベルを超えるT=分での血糖の増分を算出した。処理群およびビヒクル群の増分の平均値を比較した(通常の群の大きさn=6〜10匹のマウス)。ビヒクルに対して表1に列挙される生成物によって導かれる減少パーセントを、グルコース低下活性の読み取りパラメータとした。表1に列挙されるように、1の効果は、ビヒクル群に対する、所定の時点T=分での増分血糖の15%を超える低減を意味する。
生成物の抗糖尿病効果は、マウスにおける糖負荷試験において評価されたとおりに表1に列挙される。
Figure 2012500807

Claims (9)

  1. 式I
    Figure 2012500807
    [式中、X=H、F;R=メチル、エチル、nプロピル、nブチル]
    のオクタヒドロキノリジノン。
  2. 式II
    Figure 2012500807
    [式中、X=H、F;R=メチル、エチル、nプロピル、nブチル]
    のオクタヒドロキノリジン。
  3. 原薬として式IまたはIIの化合物を含有する医薬組成物。
  4. 糖尿病の治療または予防のための医薬組成物の製造のための、請求項2および3に記載の式IまたはIIの化合物の使用。
  5. 高脂血症の治療または予防のための医薬組成物の製造のための、請求項2および3に記載の式IまたはIIの化合物の使用。
  6. 糖尿病性脂質異常症の治療または予防のための医薬組成物の製造のための、請求項2および3に記載の式IまたはIIの化合物の使用。
  7. メタボリックシンドロームの治療または予防のための医薬組成物の製造のための、請求項2および3に記載の式IまたはIIの化合物の使用。
  8. 肥満症の治療または予防のための医薬組成物の製造のための、請求項2および3に記載の式IまたはIIの化合物の使用。
  9. 代謝機能不全に関連する疾患の治療または予防のための医薬組成物の製造のための、請求項2および3に記載の式IまたはIIの化合物の使用。
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