JP2012253506A - 到着パケット同期方法およびシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】
マルチキャスト通信に代表される1対n通信において、事前にパケットの宛先までの遅延時間を計算し、計算された遅延時間を考慮した上でネットワークの公平性を保つためにパケット到着時刻を同期させる機能を有する装置を備えたネットワークシステムを提供する。
【解決手段】
物理的な距離に関わらず、サーバ相当の装置から複数台のクライアント向けのパケットにおいても送信側で伝送遅延を考慮し、パケットの送出タイミングをずらして送信することで到着パケットを同期する。配信サーバやマルチキャストパケット送出ルータ等に代表されるネットワーク機器が接続し、複数の宛先に送信されるネットワークにおいて、到着パケット同期装置を接続し、予め伝送遅延を計算し、パケットの送出タイミングをずらすことで拠点の位置に関わらず、同一時刻にパケットを到着させる。
【選択図】 図1

Description

本技術は、クライアントサーバ型のネットワークにおいて、同一パケットを複数クライアントへ配信する機能に関してクライアント−サーバ間の物理的に距離に関わらず、到着パケットを同期させる方法および本機能を具備したネットワークシステムに関する。
クラウドコンピューティングの普及に伴い、データセンター事業者は多岐に渡りそれぞれ特徴のあるサービスをエンドユーザへ提供することが必要となっている。データセンターにおけるネットワークの形態はサーバ−クライアント通信となることが多くそれぞれの設置場所に関わらず、クライアントが同等のサービス提供を受けられる点にクラウドコンピューティングの利点があるといってもよい。また、ネットワーク上を流れるパケットの種類も従来の1対1通信から1対n、n対nへと様々な変貌を遂げている。マルチキャスト通信に代表される1対n通信においては、例えばサーバから各クライアントへ情報を配信するサービスにおいて、配信されたパケットは転送網に配備されたネットワーク装置内での遅延や伝送遅延などが原因で必ずしも全クライアントに同時に到着するとは限らない。
特表2010−502123号 特許第03715098号
クラウドコンピューティングの普及に伴い、データセンター事業におけるサーバ−クライアント通信は今後も増加していく傾向にあると考えられる。例えば、1台のサーバに接続された複数のクライアントが存在する状況では、マルチキャスト通信に代表される1対nの通信で、サーバから各クライアントへ情報を配信するサービスにおいて、配信されたパケットは転送網に配備されたネットワーク装置内での遅延や伝送遅延などが原因で必ずしも全クライアントに同時に到着するとは限らず、物理的な距離やデータ伝送速度の問題で遅延が発生する可能性がある。例えば証券や金融のような業界においては、情報の伝達時間に関する価値が向上している。
特許文献1の技術では配信ネットワークにおいて、パケット情報を同期するために、パケット情報に伝送時間インジケータを組み込み、伝送時間インジケータ後の時間オフセットまでパケット情報を保持しておく機能を有するネットワーク機器を用いて、配信を受ける側でパケット情報を同期させる方法が記載されている。しかし、本方式では配信する側および配信される側の双方に同一の仕組みを導入しなければならなかった。また、パケット情報そのものに伝送時間インジケータという情報を追加しなければならず、自ずと帯域を逼迫する可能性があることが課題として挙げられる。
本発明の目的は、物理的な距離や伝送速度に関わらず、同一時刻にパケットを到着させる仕組みを提供することにある。
本発明の目的を達成するために、本発明のネットワークシステムは、マルチキャスト通信に代表される1対n通信において、事前にパケットの宛先までの遅延時間を計算し、計算された遅延時間を考慮した上でネットワークの公平性を保つためにパケット到着時刻を同期させる機能を有する装置を備えている。この機能では、物理的な距離に関わらず、サーバ相当の装置から複数台のクライアント向けのパケットにおいても送信側で伝送遅延を考慮し、パケットの送出タイミングをずらして送信することで到着パケットを同期させている。配信サーバやマルチキャストパケット送出ルータ等に代表されるネットワーク機器が接続し、複数の宛先に送信されるネットワークにおいて、上記の機能を有するパケット同期装置を接続し、予め伝送遅延を計算し、パケットの送出タイミングをずらすことで拠点の位置に関わらず、同一時刻にパケットを到着させる。
さらに、パケット配信の遅延時間の誤差に基づいて、各パケットの送出タイミング(送出間間隔)を補正することによって、パケット配信の遅延時間によらず、全パケットの受け取り時間が同じくなるように制御する。
本発明によれば、クラウドコンピューティングにて提供される各種サーバでのマルチキャスト通信、ブロードキャスト通信、複数の宛先を持つユニキャスト通信において配下の全ユーザに対してパケットの同時到着を実現でき、ユーザ拠点の物理的な場所に関わらず、情報伝達の時間的な公平性を保障することができる。上記、サービスを提供することは金融や証券といった、情報伝達時間の公平性が企業や個人の利益や不利益に直結する業種に非常に優遇されるサービスとなることが期待される。また、物理的な場所を考慮せずにインフラが構築できるという点においても昨今のクラウドコンピューティングと非常に親和性があり、且つ今後も課題となっていくであろうネットワークインフラの公平性を解決する一解となることも期待できる。
パケット同期装置を含むシステムの一例を示す図である。 パケット同期装置内の構成の一例を示す図である。 あるクライアントに対する遅延時間の計算過程を示すシーケンス図である。 パケット同期装置内遅延時間情報テーブルの一例を示す図である。 パケット同期装置とクライアント間でやり取りされる遅延時間計算用パケットの一例を示す図である。 サーバからの出発時刻とクライアントへの到着時刻の関係を示す図である。 各クライアントに対する遅延時間の誤差と全データの送出時間Δとによる遅延の補正を示す図である。
以下、図面を用いて実施例を説明する。
本実施例では、複数台の宛先にパケットを送付するサーバ101からクライアントA103、クライアントB104、クライアントC105にパケットを送付するネットワークにおいて、クライアントA103、クライアントB104、クライアントC105にパケットを同時に到着させる機能を備えたパケット同期装置102の例を説明する。図1は、本実施例のパケット同期装置102を備えたクライアント−サーバ型のシステム構成図の例である。図中101は各クライアントに対して各種情報の配信を行うサーバ、102はサーバ101から配信された情報を各クライアントに同時にパケットを到着させるためにパケットをコピーし後述の各クライアントに対する遅延情報を考慮した上でパケットをコピー、送出する機能を具備したパケット同期装置、103はサーバ101から中距離程度離れた場所に位置するクライアントA、104はサーバ101から短距離程度離れた場所に位置するクライアントB、105はサーバ101から長距離程度離れた場所に位置するクライアントCである。
図2は本実施例を実現するパケット同期装置の構成図の例である。図2で示すパケット同期装置は以下で構成されている。図2中、201は各クライアントに対する遅延情報を後述の方法にて計算されたパケット送出のタイミングをずらす制御を行う遅延情報制御部、202はパケット遅延情報テーブルおよび複数宛先パケット格納テーブルを保持しているメモリ、203はパケット遅延情報を保持しているパケット遅延情報テーブル、204は送出をずらすパケットの各宛先が格納されている複数宛先パケット格納テーブル、205は遅延時間の計算を行うCPU、206は送出をずらすパケットを宛先毎に格納している複数宛先パケット格納部(一種のデータバッファ)、207は外部装置とのインタフェース部分である入出力装置である。
図1で構成されるシステムにおいて、サーバ101はあるネットワークを介してクライアントA103、クライアントB104、クライアントC105と接続されている。この際、ネットワークはL2/L3(L2、L3はネットワークスイッチ)に関わらず、またVPN(Virtual Private Network)などのプロトコルにも依存することはない。また、同一キャリアのネットワークであることが望ましいが他キャリアを介した通信でもよい。ここで各クライアントA103、クライアントB104、クライアントC105は企業や個人のPC端末でも前段で集約しているスイッチやルータであること想定している。本システムにおいてパケット同期装置102はサーバの配下に接続され、配下に接続されるクライアントとネットワークを介して伝送遅延の計算を行う。以下、伝送遅延の計算方法ならびにパケット送出からクライアントに同時に到着させるための仕組みについて図1、図2および図3のシーケンス図を用いて説明を行う。
サーバ101から各クライアントA103、クライアントB104、クライアントC105向けにパケットを送出すると、パケット同期装置102の入出力装置207はサーバ101から受信したパケットが複数のアドレス向けであると認識する。パケット同期装置102は受信したパケットの宛先であるクライアントA103、クライアントB104、クライアントC105それぞれに対して、図5に示すパケットに送信時刻である現在の時刻情報を印加したパケットを送付する(ステップ301)。上記パケットを受信した各クライアントA103、クライアントB104、クライアントC105は、自身がパケットを受け取った時刻を本パケットに印加してパケット同期装置102へ返送する(ステップ302)。なお、本パケットの宛先が不明である場合、パケット同期装置102はネットワーク106へマルチキャストパケットを送付し、配下に存在するクライアントからの返信を待って自身の時刻情報を印加したパケットを送付する。本シーケンスは複数宛先パケットが到着したタイミングで実施してもよいが、予め本パケットが送付される可能性のある全クライアント向けに宛先確認を行ってもよい。また、後述のパケット遅延情報テーブル203に格納可能な宛先は管理者が設定を行ってもよいし、自動的に設定してもよい。
なお、本実施例に登場する各機器(サーバ101、パケット同期装置102、クライアントA103、クライアントB104、クライアントC105)はネットワークタイムプロトコル(Network Time Protocol:NTP)や高精度時間プロトコル(Precision Time Protocol:PTP)などによって予め同一の時刻同期がされていることとし、各機器での時刻は同一であることを前提としている。時間基準は前記記載に限定することはなく、いかなる方法をもって時刻同期を行っていてもよいものとする。
各クライアントA103、クライアントB104、クライアントC105からのパケットを受け取ったパケット同期装置102は受信したパケット情報を遅延時間情報テーブル401へ格納する。CPU205は格納された遅延時間情報テーブル401内のパケット同期装置102が印加した送信時刻405と各クライアントA103、クライアントB104、クライアントC105が印加した受信時刻406から遅延時間407を計算する。遅延情報制御部201は遅延時間情報テーブル401内の遅延時間407を参照し、該当パケットで送付する宛先の中から最も遅延の長い宛先を基準にし、各パケットの送出時刻を決定する。最も遅延時間が長いクライアントに対する各クライアントのパケットの送出遅延時間の決定方法は後述する。該当パケットはペイロード(Payload データ本体)504の部分を変更することなく各宛先IPアドレスへ送付するパケットをパケット同期装置102によって生成される。生成されたパケットは前述遅延情報テーブル401内遅延時間407に格納されている値に従いクライアントへ送付される(ステップ303)。
ここで、図6を用いて、各クライアントへのデータ送出の出発遅延時間を求める手順を説明する。図6は、サーバからのパケットの出発時刻Tと各クライアントへのパケットの到着時刻T、T,Tの関係を示した図であり、縦軸には各クライアントのサーバからの距離Lを示し、各距離に対応した位置に各クライアントの到着時刻を示す横軸を表記した。
傾斜した2重の矢印は、サーバからクライアントに全データを送出する際に有限の時間を要することを示している。送出するデータの全データ量をS(bit)、単位時間におけるデータの送出又は受信する量である転送速度をv(bit/sec)とすると、全データの送出又は受信に要する時間Δ(sec)はS/vとなる。但し、サーバ、各クライアントにおけるvは同じとする。
サーバから各クライアントへの伝送路の距離L(km)及びデータの伝送速度P(km/sec)はそれぞれ異なり、伝送路におけるデータ伝送時間はL/P(sec)となる。(伝送速度Pとしては、物理的な伝送速度だけでなく、伝送路の混雑の度合いを考慮した見かけの伝送速度としてもよい)図6に示した傾斜した2重の矢印の傾きの角度をθとすると、データの伝送速度PはP=tanθと表される。即ち、データの伝送速度Pが速いほど、傾斜した2重の矢印の傾きの角度θが大きくなる。図6では、サーバから各クライアントへの伝送路の伝送速度がそれぞれ異なることを図示している。
サーバからのパケットの出発時刻Tと各クライアントへのパケットの到着時刻T、T,Tの差は、各クライアントkの遅延時間Tであり、この値には、サーバからの距離L及び各伝送速度Pの影響が含まれている。各遅延時間Tの中で最長のものを最長遅延時間Tとすると、遅延時間が最長のクライアントへパケットを送出した後、他のクライアントkへパケットを送出する際の送出遅延時間τはτ=T−Tで与えられる。サーバから各クライアントへのパケット送出の出発時間を、この送出遅延時間だけ遅らせることにより、各クライアントへのパケットの到着時刻が同じになる。
本実施例1で挙げるとすれば遅延時間情報テーブル401の遅延時間407に従い、遅延時間が最長である宛先IPアドレスが30.1.1.75のNo.3の宛先パケットを送出した1.0秒後に、宛先IPアドレスが20.5.5.101のNo.1のパケットを送出し、更に、その0.5秒後に宛先IPアドレスが10.5.5.112のNo.2のパケットを送出することで各クライアントへの到着時刻を同期することが可能である。即ち、最長の遅延時間に対する遅延時間の差分の時間だけパケット送出の時間を遅らせることで、パケットの到着時刻を同じにできる。
また、該パケットが到着すれば前回(ステップ301、302)同様到着連絡パケットをやり取りし、到着確認結果をフィードバックし、遅延時間情報テーブル401を更新し、該宛先毎の遅延時間407を再計算することで遅延時間407の精度を向上することも可能である。また、実際に配信したパケットが同時に到着したかを確認するために、遅延時間の計算を該パケットで実施してもよい。遅延時間情報テーブルに記載の内容は外部端末から確認可能でありネットワーク管理者が手動で確認することも可能であり、自動的に外部端末へ情報を伝送することも可能である。また、上記のように、伝送速度Pは、物理的な伝送速度だけでなく、伝送路の混雑の度合いによって見かけ上、伝送速度が変化するので、遅延時間を何回か計測し、その平均値を用いることで、遅延時間407の信頼度が向上する。遅延時間407に従ったパケット送信を実施するために該パケットはパケット格納部206へ格納され、遅延制御指示部201の指示に従い、パケットを送付する。
なお、このパケットの送付を制御する方法はスケジューリングによるもの、キューに蓄積するものなどといった形態であってもよい。上記一連の処理をパケット同期装置102で実行、確認することでクライアント−ユーザ間のネットワークに障害が発生し、一度設定された宛先毎の遅延時間407通りに送信するとパケットの同期が取れなくなるという事象を回避することができる。
特許文献1に記載のパケット情報に伝送時間インジケータを組み込み伝送時間インジケータ後の時間オフセットまで該パケット情報を保持する方法では、ソースからエンドユーザ収容拠点まで何段階もの伝送時間インジケータを設定しなければならず、受信側でパケットを不要に保持し続けなければならない可能性もあった。そのため遅延を減らすための全体の最適化に必要なパラメータが多く、処理も煩雑なものとなっていた。本方式であればエンドエンドでの遅延状況を把握でき、ネットワーク網に依存することなくシステム構築が可能であるという利点を持つ。本実施例において、実施例1で示したパケット同期方法のみに限定せず、伝送遅延の計算方法およびパケットを同期する方法の例を説明する。
前述実施例1で既に説明した同一の符号および構成に関しては、説明を省略する。実施例1では宛先毎のパケット遅延情報テーブル203内の遅延時間407をクライアント−サーバ間でNTPの時刻同期のシーケンスを応用して遅延時間を計算し、宛先毎にパケットを送付するタイミングを決定しているが、本方式のみならずサーバ−クライアント間に位置する全てのネットワーク機器で徐々にパケットを遅延させネットワーク全体で複数宛先パケットの同期を実現するシステムも検討することができる。その際、遅延時間の計算方法として、本方式の通り時刻情報をあるパケット同期装置相当のものから送信し、対向のネットワーク機器で受信した時刻情報を返信することで、実際にパケットを伝送するのに必要な時間を計算する方法でもよいが、精度を向上することは出来ないが距離と経由ネットワーク機器との総和で各クライアントの遅延時間を固定的に決定する方法でも、その他遅延計算の方法はいかなる方法をとってもよい。
以上で、サーバ101から送付されたパケットがパケット同期装置102、ネットワーク106を介して各クライアントA103、クライアントB104、クライアントC105へ到着するタイミングを同期するための処理フローの説明を終了する。パケット同期装置102から各クライアントA103、クライアントB104、クライアントC105へ時刻同期パケットを送付し、遅延情報407を繰り返して遅延状況を常に把握することでサーバ101からの複数宛先パケットを全クライアントに同時に到着させることが可能である。
(各クライアントに対する遅延時間の誤差と全データの送出時間Δとによる遅延の補正)
上記の実施例では、サーバ101から各クライアントへパケットを送出する際の遅延時間の予め計測した値の誤差は無いものと仮定したが、サーバからクライアントへの伝送路の状況に応じて遅延時間がばらつき、遅延時間の誤差が生じる。パケット送出の遅延時間のばらつきは、伝送路の長さが長いほど、また伝送速度が遅いほど伝送路の状況によって影響を受け易く、遅延時間の誤差は大きくなると考えられる。その結果、上記のようにパケット送出のサーバからの出発時刻を予め遅延させても各クライアント側でパケットを受け取る時間が揃わなくなる。
一方、図6では、全(パケット)データを送出又は受信するのに要する時間Δは、各クライアントに対して同一としたが、下記のように、遅延時間の誤差と全データの送出時間Δを考慮して、パケット送出のサーバからの出発時刻の遅延時間を更に調節することにより、全データの始めを受信する時間と終わりを受信する時間を、各クライアントでほぼ同一にできる。
上記の前提及び遅延の補正の概要は以下のようになる。
(1)遅延時間が長いパケットに対しては、サーバからの各パケットの送出の時間間隔を短くする。この場合は、遅延時間の大きな誤差のため、クライアント側での全データの始めを受信する時間と終わりを受信する時間との時間間隔が広がる可能性がある。
(2)遅延時間が短いパケットに対しては、サーバからの各パケットの送出の時間間隔を長くする。この場合は、遅延時間の誤差が小さいため、クライアント側での全データの始めを受信する時間と終わりを受信する時間との時間間隔はあまり広がらない。
(3)全データの送出時間Δと遅延時間の誤差σの2倍との和が各クライアントkで同じになるように、各クライアントに対してサーバからのパケットの送出の時間間隔を調節し、かつ、全データ(パケット列)の中央のパケットを受信する時の時間が一致するように、上記に述べた、パケット送出のサーバからの送出開始時の遅延時間を調整する。図7に、上記の(1)と(2)の状態を説明する図を示す。
図7に基づいて、パケット送出の遅延に対する補正の手順を説明する。
(1)各クライアント(k)について遅延時間Tを何回か計測し、その平均値<T>と誤差(標準偏差)σを求め、図4の遅延時間情報テーブル401に保存する。時間帯によって伝送路の状況が変化することを考慮して、更に時間帯ごとの遅延時間の平均値と誤差を各クライアントごとに保持し、時間帯に応じてパケット送出の遅延に対する補正すれば、補正の精度が向上する。
ここで、複数のクライアントに対して平均値<T>と誤差σとの間に正の相関がある、即ち、σ∝<T>であれば、以下に述べる補正では、<T>が最大のクライアントのσを基準としてもよい。
また、以下に述べる補正では、平均値<T>と誤差σとは独立として扱っているが、相対誤差σ/<T>が大きい場合は、伝送路の距離の長さに伴う誤差要因よりも外乱要因、例えば、伝送路の途中に存在するルータなどのようなネットワークの構成要素における動作の変動などの不確定な要因が大きいことを示す。このような場合、実際にデータを受信する際のクライアント側での全データの受信所要時間の変動が大きくなる可能性がある。
(2)遅延時間の平均値<T>が最大のクライアント(Mとする)の<T>を基準として、図6に示したように、この<T>と各クライアントkの<T>との差分から、全データの中央のパケットに対する出発遅延時間τ=<T>−<T>を求める。図7の斜め破線の矢印は、全データの中央のパケットに対する遅延を表しており、各クライアントでは、図6と同様に、全データの中央のパケットに対して受信時間が一致していることを示している。
(3)パケットの総数をnとし、クライアントMに対するサーバからの各パケットの送出(時間)間隔δ(δはパケット送出間隔の最小値)とすると、サーバからクライアントMへの全データの送出時間ΔはΔ=(n−1)δとなり、遅延時間の誤差σを含む、クライアントMでの全データ(パケット)の受信所要時間Wは、W=Δ+2σとなる。他のクライアントkについても同様に、Δ=(n−1)δ、W=Δ+2σとなる。一般に、遅延時間Tが長いものほど、その誤差σは大きくなるが(σ>σ)、パケット送出の遅延に対する補正では、遅延時間の長さとは無関係に遅延時間の誤差σが最大のものをσとしてもよい。
(4)クライアントM及び各クライアントkでも全データ(全パケット)の受信所要時間が同じくなるようにするために、W=Δ+2σ=(n−1)δ+2σが、W=Δ+2σ=(n−1)δ+2σと同じであるという条件から、サーバから各クライアントkに対するパケットの送出間隔δは、δ=δ+2(σ−σ)/(n−1)となる。ここで、σ>σであるからδ>δとなり、遅延時間の誤差が小さいものほどパケットの送出間隔を長くすれば、統計的に見て、各クライアント側での全データの受信所要時間が同じくなり、かつ、全データ(全パケット)の始めのパケットの受信時間と終わりのパケットの受信時間が同じになることが期待される。
(5)図6を用いて説明したサーバから各クライアントへのデータの出発遅延時間τに対する補正量は−Δ/2であり、全データの始めのパケットに対する出発遅延時間は、τ→τ−Δ/2と補正される。ここで、基準となるクライアントMに対する出発遅延時間τの補正量は−Δ/2であり、他のクライアントkに対する出発遅延時間τkの補正量は−Δ/2=−(Δ/2+(σ−σ))となる。但し、Δ>Δである。
以上のことから、遅延時間の誤差に基づいて、パケットの出発遅延時間と各パケットの送出間隔が各クライアントごとに補正される。
以上のような補正によって、クライアント側での全データの始めを受信する時間と終わりを受信する時間とがほぼ同一となる可能性(確率)が高くなり、各クライアント間でのパケット受信に伴う不公平感が低減される。
本実施例によれば、とあるネットワークで複数の宛先に送付されるパケットに対し、拠点の物理的な距離に関わらず各クライアントに同時にパケットを到着される機能を有することで、パケットの時間的公平性を確保し、通信キャリアはより魅力的なサービスを提供することができるという効果がある。
101 サーバ
102 パケット同期装置
103 クライアントA
104 クライアントB
105 クライアントC
201 遅延情報制御部
202 メモリ
203 パケット遅延情報テーブル
204 パケット格納テーブル
205 CPU
206 パケット格納部
207 入出力装置

Claims (7)

  1. マルチキャスト通信に代表される1対n通信において、事前にパケットの宛先までの遅延時間を計算し、計算された遅延時間に基づいてパケット送出に時間をずらすことによってパケット到着時刻を同期させる機能を有する装置を備えたネットワークシステム。
  2. 前記装置は、
    遅延時間計算のために、パケット内に組み込まれた送信時刻および到着時刻をもとに伝送遅延を計算し、格納するパケット遅延情報テーブルと、遅延情報をもとにパケットをずらして送信する指示を出す、遅延情報制御部と送信するパケットを格納するためのパケット格納部を有することを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
  3. 前記装置は、公平性を確保する範囲は宛先を変更することで設定可能である機能を有することを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
  4. サーバと複数のクライアントとがネットワークを介して接続され、前記サーバから前記複数のクライアントのそれぞれに同一のパケットであるデータを送信するネットワークシステムにおける到着パケット同期方法であって、前記サーバは、
    前記複数のクライアントのそれぞれにデータを送信した時の送出時刻と前記複数のクライアントのそれぞれが前記データを受信した時の受信時刻から遅延時間を計算し、
    前記計算した遅延時間に基づいて、前記複数のクライアントの何れもが所定の時刻にパケットを受信するための、前記複数のクライアントのそれぞれに対するパケットの出発遅延時間を求め、
    前記複数のクライアントに対して、前記遅延時間が最大の前記クライアントが前記所定の時刻にパケットを受信するための送出時刻から、前記出発遅延時間だけ送出時刻を遅らせてパケットを送信することを特徴とする到着パケット同期方法。
  5. サーバと複数のクライアントとがネットワークを介して接続され、前記サーバから前記複数のクライアントのそれぞれに、複数のパケットからなる同一のデータを送信するネットワークシステムにおける到着パケット同期方法であって、前記サーバは、
    前記複数のクライアントのそれぞれに複数回データを送信した時の送出時刻と前記複数のクライアントのそれぞれが前記データを受信した時の受信時刻から計算した遅延時間の平均値と複数回データを送信した時の前記遅延時間の誤差とを、前記複数のクライアントに対応して保持し、
    前記計算した遅延時間の平均値に基づいて、前記複数のクライアントの何れもが所定の時刻にパケットを受信するための、前記複数のクライアントのそれぞれに対するパケットの出発遅延時間を求め、
    前記誤差が最大のクライアントに対して、前記複数のパケットの数、各パケット送出間隔の最小値、及び前記誤差に基づいて、前記複数のパケットを前記誤差が最大のクライアントが受信するための所要時間を求め、
    前記誤差が最大であるクライアント以外のクライアントのそれぞれに対して、前記所要時間、及び当該クライアントの前記遅延時間誤差に基づいて、各パケット送出間隔を求め、
    前記求めた各パケット送出間隔に基づいて、前記パケットの出発遅延時間を補正し、
    前記複数のクライアントに対して、前記遅延時間の平均値が最大の前記クライアントが前記所定の時刻に前記複数のパケットの中央にあるパケットを受信するための送出時刻から、前記補正された出発遅延時間だけ送出時刻を遅らせて前記複数のパケットの送信を開始することを特徴とする到着パケット同期方法。
  6. 前記複数のクライアントのそれぞれに対して、前記遅延時間の平均値と前記誤差との間に正の相関がある場合は、前記遅延時間が最大のクライアントに対して前記所要時間を求めることを特徴とする請求項5記載の到着パケット同期方法。
  7. 前記複数のクライアントのそれぞれに対して、時間帯ごとに求めた前記遅延時間の平均値及び前記誤差をそれぞれ保持し、前記時間帯に応じて、前記パケットの出発遅延時間を補正することを特徴とする請求項5記載の到着パケット同期方法。
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