JP2012251249A - 熱収縮性改良織物および複合材料 - Google Patents

熱収縮性改良織物および複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】軽量性、剛性、耐衝撃性が求められる用途、部材に好適な成形材料を提供する。
【解決手段】融点が200℃以上で引張破断ひずみが10%以上の有機繊維の撚糸コード(繊維A)と、200℃×10分の環境下で放置した際の熱収縮率が1%以下である繊維の撚糸コード(繊維B)から構成される熱収縮性改良織物、それを含む複合材料、ならびにそれを衝撃吸収材として含むサンドイッチ材。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱収縮性改良織物および、それを強化繊維として含む複合材料に関し、特に耐衝撃性が求められる用途、および耐衝撃性と剛性が求められる用途、部材に好適な複合材料に関する。
プラスチック、特に熱可塑性樹脂は様々な成形方法による加工が可能であり、今日の我々の生活には欠かせない材料である。しかし、熱可塑性樹脂の柔軟性は、場合によっては強度や剛性の低さに繋がり、高強度、高剛性を要求される用途においては、ガラス繊維や炭素繊維など無機繊維の短繊維による補強が行われてきた。しかし、有機物である熱可塑性樹脂と無機物のガラス繊維などの複合化はリサイクルが困難であり、廃棄面の課題があった。また、ガラス繊維は高比重であるために重く、軽量化には適さないという課題があった。更に、無機繊維による補強は、複合材料の強度や剛性の向上には有効なものの、耐衝撃性などの性能についてはさほど効果がなかった。
そこで、熱可塑性樹脂と有機繊維による複合化の検討が行われている。例えば、特許文献1では、強度を改良するために、押し出し機から排出した溶融状態の熱可塑性樹脂に引き揃えた長繊維状の有機繊維をローラーで押し込みながら複合化する技術が開示されている。また、特許文献2では、引張弾性率1GPa未満、伸度300%以上の熱可塑性エラストマーとシルク繊維の布帛を複合化することにより、樹脂組成物の耐衝撃性を改良する技術が開示されている。
一方、ラテックスなどのゴムやEPDM(エチレン−プロピレン共重合体)などの熱可塑性エラストマーを有機繊維で補強したゴム資材がタイヤ、ホース、ベルトなどの用途で使用されている。
特許文献2では、シルク繊維を用いて複合材料の耐衝撃性を改善しているが、シルク繊維は天然繊維であるために生産性に課題があり、高価であるためにコストなどの経済性についても課題があった。シルク繊維などの天然繊維は合成繊維と比較して、一般に強度が低いという課題もあった。
特開2002−144395号公報 特表2009−530469号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされた有機繊維の撚糸コードと低熱収縮率繊維の撚糸コードから構成される熱収縮性改良織物、該熱収縮性改良織物と熱可塑性樹脂とを構成成分とする複合材料、その複合材料からなる衝撃吸収材や成形品、およびその衝撃吸収材料と高剛性材からなるサンドイッチ材に関し、熱寸法安定性が高く成形時の寸法制御が容易で、エネルギー吸収性能が高い衝撃吸収材、および更に剛性と強度も付与したサンドイッチ材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、融点が200℃以上で引張破断ひずみが10%以上の有機繊維(繊維A)の撚糸コードと、200℃×10分の環境下で放置した際の熱収縮率が1%以下である繊維(繊維B)の撚糸コードから構成される熱収縮性改良織物を製織し、この織物と熱可塑性樹脂との複合材料とすることで、高い熱寸法安定性と衝撃吸収吸収性能を両立した衝撃吸収材となることを見出した。更に、得られた複合材料と高剛性材を組み合わせることにより、剛性と強度も付与したサンドイッチ材となることを見出した。すなわち本発明は融点が200℃以上で引張破断ひずみが10%以上の有機繊維の撚糸コード(繊維A)と、200℃×10分の環境下で放置した際の熱収縮率が1%以下である繊維の撚糸コード(繊維B)から構成される熱収縮性改良織物、それを含む複合材料、ならびにそれを衝撃吸収材として含むサンドイッチ材である。
本発明の熱収縮性改良織物は熱収縮が抑えることができ、成形時の寸法安定性に優れていた。この熱収縮性改良織物を強化材とした複合材料は寸法安定性に加え、良好な強度と耐衝撃性も保持することができ、衝撃吸収材として有用である。また、この複合材料を衝撃吸収材とし、これと高剛性材で構成されたサンドイッチ材は寸法安定性、強度、耐衝撃性に加え、剛性も保持することができる。これらの複合材料とサンドイッチ材は、自動車等の衝突安全性を高めるために設置される衝撃吸収部材、または構造材、外装材、内装材として有用である。
実施例の織物構成の模式図 実施例の織物構成の模式図
以下、本発明について説明する。
[熱収縮性改良織物を構成する繊維A]
本発明の熱収縮性改良織物を構成する繊維Aは、融点が200℃以上で引張破断ひずみが10%以上の有機繊維からなり、衝撃吸収材の衝撃吸収性を担う。材料が吸収するエネルギーは、その材料が受けた荷重と変形量に起因する。したがって、材料のエネルギー吸収量を高めるためには、材料自体の強度と破断ひずみを高める必要がある。材料の強度のみが高く、破断ひずみが小さいと衝撃に伴う荷重が過度に大きくなり、材料の支持材や衝撃をもたらした相手材に大きな衝撃を与えることとなる。また、破断ひずみが大きく、強度が低いとより多くの材料が必要となり、重量が増加しすぎてしまう。したがって、繊維Aは、両者のバランスが良い引張破断ひずみが10%以上の有機繊維が有効である。
一方で、熱収縮性改良織物を強化繊維として含む複合材料を考慮すると、マトリックスとなる熱可塑性樹脂の中で、特に有用な樹脂の成形温度は、例外を除いて170℃以上である。そのため、繊維Aは融点が200℃以上のものが好ましい。複合材料の強化繊維の融点が成形温度以下であると熱可塑性樹脂とともに溶融してしまい、複合材料が得られなくなる。また、成形工程において、強化繊維が大きく熱劣化することは強化材として好ましくない。一般に、融点付近では有機繊維内のポリマーの配向や結晶が緩和されやすいことから、繊維Aの融点は成形温度より10℃以上高いことが好ましい。繊維Aの融点は、成形温度より20℃以上高ければより好ましい。
また、熱可塑性樹脂の中で最も多く使用されているポリオレフィンなどが属する汎用プラスチックの成形温度は通常170℃以上であるが、より耐熱性が高いポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルなどのエンジニアリングプラスチックの成形温度は230℃以上である。これより、本発明で使用する繊維Aの融点は250℃以上であれば、汎用プラスチックだけでなくエンジニアリングプラスチックにも使用することができ、より好ましい。ここで融点が200℃以上とは、200℃未満で溶融しないという意味である。
このような繊維Aとしては、例えばポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエーテルスルホン繊維、ポリエステル繊維、脂肪族ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリパラフェニレンイソフタルアミド繊維などが挙げられ、この中でもポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維が力学特性や耐熱性などの物性と価格とのバランスが取れていて好ましく、この中でもポリエステル繊維またはポリアミド繊維が特に好ましい。
ポリエステル繊維の骨格としては、ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレート、ポリアルキレンテレフタレート、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸などが挙げられる。これらの中でも、融点が250℃以上であるポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートとポリアルキレンテレフタレートが好ましい。これらは単独で用いても、2種類以上を混合しても、共重合して用いてもよい。
ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートとしては、アルキレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートまたはアルキレン−2,7−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが好ましい。ポリエステル中のアルキレンナフタレンジカルボキシレートの含有量は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは96〜100モル%以上である。アルキレン基としては、脂肪族アルキレン基、脂環族アルキレン基いずれでもよいが、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートは、好ましくはポリエチレンナフタレンジカルボキシレート、より好ましくはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである。
ポリアルキレンテレフタレートとしては、アルキレン−テレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルが好ましい。ポリエステル中のアルキレンテレフタレートの含有量は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは96〜100モル%である。アルキレン基としては、脂肪族アルキレン基、脂環族アルキレン基いずれでもよいが、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、ポリアルキレンテレフタレートは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
すなわち、ポリエステル繊維がポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレートをポリエステル中の95モル%以上であることが好ましい。
ポリエステル繊維の全繰り返し単位中には、本発明の目的を損なわない範囲で第三成分を含んでいても差し支えない。かかる第三成分としては(a)2個のエステル形成性官能基を有する化合物、例えばシュウ酸、コハク酸、セバシン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロプロパンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのカルボン酸、グリコール酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチレングリコール、p−キシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、p,p’−ジヒドロキシフェニルスルホン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレングリコールなどのオキシ化合物、それらの機能的誘導体、前記カルボン酸、オキシカルボン酸、オキシ化合物またはそれらの機能的誘導体から誘導される高重合度化合物や、(b)1個のエステル形成性官能基を有する化合物、例えば安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。さらに(c)3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物、例えばグリセリン、ペンタエリストール、トリメチロールプロパンなども、重合体が実質的に線状である範囲内で使用可能である。またこれらのポリエステル中には、二酸化チタンなどの艶消し剤、リン酸、亜リン酸、それらのエステルなどの安定剤が含まれても良い。
ポリアミド繊維としてはポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド610、などの脂肪族ポリアミドからなるものが挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの中でも汎用性に優れ、安価なポリアミド66又はポリアミド6繊維が好ましく、融点が250℃以上であるポリアミド66繊維がより好ましい。
本発明における繊維Aは連続長を有するものが好ましく、これに組み合わせて不連続長の繊維を用いても良い。
本発明における繊維Aはマルチフィラメントであることが好ましい。一般に、有機長繊維には、比較的太い単糸1本で商品となるモノフィラメントと、比較的細い複数の単糸で構成され、束状となっているマルチフィラメントがある。モノフィラメントは生産性が低いことから高価なため、スクリーン紗などの特殊用途で使用され、一般の衣料、産業資材用途にはマルチフィラメントが使用される。本発明の複合材料には、比較的安価なマルチフィラメントが好ましい。マルチフィラメントを構成する単糸の本数は2本〜10000本が好ましく、50本から5000本がより好ましい。更には、100本〜1000本がより好ましい。単糸本数が10000本を超えると、生産が困難であると共に、マルチフィラメントとしての繊維の取り扱い性が著しく悪くなる。
繊維Aがマルチフィラメントの場合、マルチフィラメントの総繊度は100dtex〜10000dtexが好ましく、200dtex〜8000dtexがより好ましい。更には、500dtex〜5000dtexがより好ましい。繊度が100dtexより小さくなると、糸自体の強力が小さくなるために複合材料への補強効果が得られにくい。繊度が10000dtexより大きくなると、糸の製造が困難となる。
繊維Aがマルチフィラメントの場合、マルチフィラメントを構成する単糸の繊度は1〜30dtexであることが好ましく、さらには上限値としては25dtex以下、特には20dtex以下であることが好ましい。また下限値としては1.5dtex以上であることが好ましい。もっとも好ましくは2〜20dtexの範囲である。このような範囲にあることにより、本発明の目的を達成しやすくなる。単糸繊度が1dtex未満では製糸性に問題が生じる傾向にあり、繊度が大きすぎると繊維/樹脂間の界面強度が低下し、複合材料の物性が低下する傾向にある。
繊維Aの引張強度は6〜11cN/dtexであることが好ましい。さらに好ましくは7〜10cN/dtexである。6cN/dtex未満では、得られる複合材料の強度が低すぎる傾向にある。
繊維Aは、200℃×10分放置後の熱収縮率が20%以下であることが好ましい。好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。20%を超えると成形加工時の熱による繊維Aの寸法変化が大きくなりすぎ、補強樹脂の成形形状に不良が発生しやすくなる傾向にある。
また、樹脂成形品の特性を高める目的で、適切な処理剤で繊維表面を処理しても良い。この場合、繊維の表面に、該繊維100重量部に対して、表面処理剤が0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部付着させたらよい。表面処理剤は、熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜、選定したらよい。
[熱収縮性改良織物を構成する繊維B]
本発明の熱収縮性改良織物を構成するもう一つの繊維成分である繊維Bは、200℃×10分放置後の熱収縮率が1%以下の繊維である。ここでいう熱収縮率は、JIS L1013等で規定されており、繊維を所定の温度で所定の時間暴露させた時の繊維軸方向の寸法変化であり、本発明では上述のように熱可塑性樹脂の成形温度を勘案した熱暴露条件として200℃×10分とした。繊維Aの熱収縮特性は繊維の種類、製造方法などによって様々であるが、200℃×10分の熱収縮率は、例外を除いて、概ね5%以上である。繊維Bは繊維Aの熱収縮を抑制する役割として機能するため、繊維Aよりも熱収縮が小さい必要があり、本発明の熱寸法安定成分として、少なくとも1%以下である必要がある。
このような、繊維Bとしては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリ(パラフェニレン)−コポリ(3,4−ジフェニルエーテル)テレフタルアミド繊維などのアラミド繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリアリレート繊維、ポリイミド繊維、ポリケトン繊維などの熱寸法安定性の高い有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、玄武岩繊維などのセラミック繊維、スチール繊維、アルミニウム繊維などの金属繊維などがあげられるが、金属繊維は比重が大きく、複合材料自体の重量が増加してしまうため好ましくない。軽量性の観点から、炭素繊維や熱寸法安定性の高い有機繊維が好ましい。
本発明における繊維Bは連続長を有するものが好ましく、これに組合わせて不連続長の繊維、短繊維を用いても良い。
繊維Bは、マルチフィラメントであることが好ましい。マルチフィラメントを構成する単糸の本数は2本〜100000本が好ましく、50本〜50000本がより好ましい。更には、100本〜30000本がより好ましい。単糸本数が100000本を超えると、生産が困難であると共に、マルチフィラメントとしての繊維の取扱い性が著しく悪くなる。
繊維Bがマルチフィラメントの場合、マルチフィラメントの総繊度は繊維Aマルチフィラメントの総繊度との兼ね合いで適宜選択可能であるが、100dtex〜100000dtexが好ましく、200dtex〜50000dtexがより好ましく、500dtex〜30000dtexが更に好ましい。繊度が100dtexより小さくなると、エネルギー吸収繊維の熱収縮を十分に抑制しにくく、総繊度が100000dtexより大きくなると、糸の製造が困難となることがある。
繊維Bがマルチフィラメントの場合、繊維Bを構成する単糸の繊度も繊維Aとの兼ね合いで適宜選択可能であるが、0.5〜30dtexであることが好ましく、さらには上限値としては25dtex以下、特には20dtex以下であることが好ましい。また下限値としては1dtex以上であることが好ましい。もっとも好ましくは1.5〜20dtexの範囲である。このような範囲にあることにより、本発明の目的を達成しやすくなる。単糸繊度が1dtex未満では製糸性に問題が生じる傾向にあり、繊度が大きすぎると繊維/樹脂間の界面強度が低下し、複合材料の物性が低下する傾向にある。
[撚糸]
本発明の熱収縮改良織物を構成する繊維A、および繊維Bの形態は、撚りを掛けた撚糸コードである。
繊維がマルチフィラメントの場合、製糸メーカーから供給される原糸は無撚りの状態である。そのため、この原糸をそのまま加工すると単糸の引き揃えが乱れやすく、繊維の性能が十分に発現しないおそれがある。また、無撚りの糸は収束性が低いためにハンドリングが悪い。このような糸の引き揃えやハンドリング性を改善するために、繊維に撚りを加えることは有効である。また、原糸に撚りを加えた撚糸コードは、原糸よりも伸度が高くなること、屈曲疲労性が高くなることなどから耐衝撃性に関して有効である。
また、撚糸コードとすることは繊維束の締まり具合にも影響を与え、この後の樹脂との複合化において繊維束内部への樹脂の含浸性にも影響する。衝撃吸収材において、耐衝撃性を担う繊維Aは、繊維束の各単糸が完全に固定されるよりも多少自由度を有している方が性能を発揮しやすい。そのため、繊維Aの繊維束内部は未含浸である方が好ましい。逆に、複合材料の熱収縮の抑制を担う繊維Bは複合化した際に高剛性であることが好ましく、繊維束内部の含浸度が高い方がより好ましい。これらのことから、目的に合わせて撚数は適宜、設定したらよい。
撚り構成には特に限定はなく、マルチフィラメントに1度だけ撚りを施す片撚りでも良く、2本以上の糸を使用し、下撚りと上撚りで構成される諸撚りでも良い。糸の強度や取り扱い性を考慮すると、スナールの発生を抑制しやすい諸撚りが好ましく、下撚りと上撚りのそれぞれの構成本数は求める物性に合わせて、適宜設定して良い。繊維の撚数は、1mあたり1回〜1000回、好ましくは10〜1000回の範囲で規定される。この中で、繊維Aに関し、撚糸コードの強度と伸度の積であるタフネスを考えると、1mあたりの撚数は30回〜700回が好ましく、50回〜500回がより好ましい。撚数が1000回を超えると、撚糸コードの強度が下がりすぎるので複合材料の補強効果を考慮すると好ましくない場合がある。撚数が1000回を超えると生産性も極端に悪くなる場合がある。また、繊維Bに関し、樹脂の含浸性を考えると1mあたりの撚数は1回〜500回が好ましく、10回〜300回がより好ましい。撚数が500回を超えると、繊維束が締まりすぎて樹脂が含浸しにくくなるだけでなく、比較的剛性が高い単糸同士が摩擦して傷がつきやすくなり、強度が低下しやすい傾向となる。
上記の撚数範囲で繊維の下撚りと上撚りの回数は設定されるが、スナールの抑制を考慮すると、下撚りと上撚りは撚り係数を合わせて撚数を設定することが好ましい。また、タイヤコードに使用されているように下撚りと上撚りの回数を同数とするバランス撚りとすることも撚糸コードの耐久性の面で好ましい。
[熱収縮性改良織物]
本発明では、繊維Aと繊維Bの撚糸コードから熱収縮性改良織物を製織する。織り組織としては、平織り、綾織り、朱子織りなどを挙げることができる。その中でも、繊維束間に樹脂が含浸しやすい平織りが好適である。織物の経糸密度は、繊維束間の樹脂の含浸性を考慮すると2.5cmあたり5本〜50本が好ましく、10本〜40本がより好ましい。経糸密度が5本より少なくなると、糸が動きやすくなるために目開きが起きやすくなり、織物の取り扱い性が著しく悪くなる。経糸密度が50本より多くなると有機繊維束間が狭くなりすぎて繊維束間へ樹脂が浸透しにくくなり、目的の複合材料が得られなくなることがある。織物の緯糸密度は繊維束間の樹脂の含浸性などを考慮すると2.5cmあたり1本〜50本が好ましく、1本〜40本がより好ましい。織物の中には、織物性能は経糸に委ね、緯糸は経糸の極端な目開きを抑制するために使用されているすだれ織物もある。このようなすだれ織物はタイヤコードなどに使用されており、緯糸が極端に少ない織物であるが、本発明においても適用可能である。これより、2.5cmあたりの緯糸密度は1本以上あれば良い。これに対し、緯糸密度が多くなりすぎて50本以上となると繊維束間が狭くなりすぎて繊維束間へ樹脂が浸透しにくくなり、目的の複合材料が得られなくなることがある。経糸と緯糸の密度は、上記の範囲内であれば同一、アンバランスのどちらでも構わない。織物の目付、すなわち複合材料中の繊維織物一層の目付けは、繊維束間の樹脂の含浸性を考慮すると1mあたり30g〜500gが好ましく、50g〜400gがより好ましい。目付が30gより少なくなると、織物強度が低下するため複合材料への補強効果が得られなくなる。目付が500gより多くなると、繊維束間が狭くなって繊維束間へ樹脂が含浸しにくくなり、目的の複合材料が得られなくなる。
繊維Aと繊維Bの構成については特に限定はなく、樹脂との複合化工程において大きな熱収縮が発生せず、寸法面で不具合が発生しなければ良い。例えば、繊維Aと繊維Bを交互に1本ずつ配置したり、繊維Aと繊維Bを交互に複数本ずつ配置したり、一方の複数の繊維中に他方の繊維を一定間隔で配置する方法などが挙げられる。また、格子状のように、織物の中に一定間隔で空隙があっても構わない。
繊維Aの100体積部に対する繊維Bの割合は、10〜1000体積部が好ましく、15〜500体積部がより好ましい。更に好ましいのは、繊維Aの100体積部に対し、繊維Bが20〜300体積部であることである。繊維A100体積部に対し、繊維Bが10体積部より少なくなると熱収縮抑制に対する繊維Bの効果が弱くなる。繊維Bの割合が多くなりすぎると耐衝撃性に悪影響を及ぼす虞がある。
また、本発明の熱収縮性改良織物は織物組織だけに限定するものではなく、編物組織であっても構わない。編物における編み組織としては、たて編み、よこ編み、ラッセル編みなどを挙げることができる。その中でも、編物の強度を考えると、より強靭な組織としやすいラッセル編みが好適である。編物とした場合の目付け、すなわち複合材料中の有機繊維編物一層の目付は、有機繊維束間の樹脂の含浸性を考慮すると1mあたり30g〜500gが好ましく、50g〜400gがより好ましい。目付が30gより少なくなると、編物強度が低下するため複合材料への補強効果が得られなくなることがある。目付が500gより多くなると、繊維束間が狭くなって繊維束間へ樹脂が含浸しにくくなり、目的の複合材料が得られなくなることがある。
[繊維への樹脂含浸]
本発明は上記の撚糸コード(繊維A)と、撚糸コード(繊維B)から構成される熱収縮性改良織物と、熱可塑性樹脂とからなる複合材料を包含する。すなわち本発明は融点が200℃以上で引張破断ひずみが10%以上の有機繊維の撚糸コード(繊維A)と、200℃×10分の環境下で放置した際の熱収縮率が1%以下である繊維の撚糸コード(繊維B)から構成される織物と、熱可塑性樹脂とからなる複合材料である。
本発明の複合材料においては、繊維A、繊維Bの繊維束間に樹脂が含浸しているが、繊維Aの繊維束内には樹脂が含浸していない部分を有するもの、すなわち、衝撃吸収を担う繊維は繊維束内の含浸度が低いものが好ましい。繊維Aの繊維束内部は、実質的に熱可塑性樹脂が未含浸とすることで、より良好な物性が得られている。本発明の複合材料において、繊維Aの繊維束間は実質的に熱可塑性樹脂が含浸した構造であることが好ましい。繊維束間が樹脂で十分に満たされていないと、繊維束間にボイドが残る状態となるため、複合材料の強度が低下する。本発明において、繊維束間が実質的に樹脂が含浸した構造とは、繊維束間のボイド率が10%以下であることを指す。その検証は、体積が算出可能な試料の重量を秤量することや断面の顕微鏡観察によって実施することができる。
また、本発明の複合材料において、繊維Aの繊維束内部は実質的に熱可塑性樹脂が含浸していても未含浸であっても良いが、耐衝撃性を考慮すると、材料中で繊維には多少自由度がある方が衝撃吸収に有効であると考えられることから、繊維Aの繊維束内部は実質的に樹脂が未含浸である方がより好ましい。本発明において、マルチフィラメントである繊維Aの繊維束内部が実質的に樹脂未含浸であるということは、繊維束間のボイド率が10%以下の複合材料中で、繊維Aの繊維束内部への樹脂浸透率が50%以下であることを指す。
その検証は、複合材料から取り出した衝撃吸収繊維から、マルチフィラメントを構成する単糸をどの程度取り出せるか、すなわち遊離単糸率を算出することにより判断できる。例えば、250本の単糸から構成される衝撃吸収繊維の場合、150本の遊離単糸を取り出せるのであれば遊離単糸率は60%となり、樹脂含浸率は残りの40%ということとなる。また、電子顕微鏡や光学顕微鏡などの顕微鏡観察によっても樹脂含浸率は確認でき、具体的には複合材料の断面における空隙部面積の割合より求めることができる。
上記のような構造とすることにより、複合材料の強度は衝撃吸収繊維、熱寸法安定繊維からなる繊維成分と繊維束間の熱可塑性樹脂によって保つことができる。また、複合材料中で衝撃吸収繊維、厳密には繊維を構成する単糸には変形や動きの自由度があることから、複合材料が受けた衝撃を、衝撃吸収繊維の強度と伸度、および破壊も伴う繊維や単糸の自由度によって吸収することが可能となり、耐衝撃性に優れた材料となる。
繊維束内部への樹脂浸透程度は、上述の撚糸、織物、編物構成に加え、熱可塑性樹脂の種類の選択、また後述するとおり繊維束間への樹脂の含浸工程における成形の圧力、熱可塑性樹脂の温度等により制御できる。一方で、衝撃吸収繊維の繊維束に熱硬化性樹脂を含浸させ複合材料を得た場合は、硬化前の熱硬化性樹脂は低粘度のために繊維束内部にまで樹脂がよく含浸されることから、物性が低下、例えば耐衝撃性が低くなる。
[複合材料]
本発明の複合材料は、融点が200℃以上で破断ひずみが10%以上の有機繊維(繊維A:衝撃吸収繊維)と200℃で10分放置した後の熱収縮率が1%以下の繊維(繊維B:熱寸法安定繊維)を製織した熱収縮改良織物と熱可塑性樹脂から構成される。本発明の複合材料は衝撃吸収材料として機能する。本発明において、繊維成分と熱可塑性樹脂の組成比は、体積比で繊維成分100部に対し、熱可塑性樹脂は20部〜900部であることが好ましく、より好ましくは25部〜400部である。繊維成分100部に対する熱可塑性樹脂の割合が20部より少なくなると、繊維成分の繊維束間がボイドだらけとなり複合材料の力学的強度が大きく低下することがある。逆に、900部より多くなると繊維成分の補強効果が十分に発現しなくなることがある。
[熱可塑性樹脂]
本発明の複合材料は、耐衝撃性と共に高強度、高弾性を併せ持つことを目的とすることから、マトリックスは一般の熱可塑性樹脂であることが好ましく、熱可塑性エラストマーやゴムなどの弾性体は適さない。その目安としては、マトリックスの熱変形温度が80℃以上であることが好ましい。熱変形性の指標としては荷重たわみ温度を用いる。
本発明の複合材料を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド6樹脂、ポリアミド11樹脂、ポリアミド12樹脂、ポリアミド46樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド610樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などが挙げられる。
この中でも、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂がより好ましく、特に好ましいのは、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂である。
[製造方法]
本発明の複合材料、ならびに複合材料からなる成形体の製造方法は、衝撃吸収繊維、熱寸法安定繊維からなる熱収縮性改良織物と樹脂の複合化、および得られた複合材料の賦形で構成される。
熱収縮性改良織物と樹脂の複合化方法は特に限定されない。例えば、プレス成形機や真空成形機などを用いて、熱可塑性樹脂が溶融し、繊維成分が溶融しない温度で、積層した織物や編物などの布帛と、樹脂フィルムやシートなどを加圧または減圧することにより、繊維束間に熱可塑性樹脂が浸透した複合材料を得ることができる。また、上記のプレス成形や真空成形のほかに、押出成形や引抜成形によっても繊維束間に熱可塑性樹脂が浸透した複合材料を得ることができる。引抜成形の具体例としては、クリールスタンドに仕立てた複数本の繊維成分を一定テンション下で繰出しながら、糸ガイドを用いて引き揃え、引抜成形機の含浸ダイに導入する。次に、繊維成分間に溶融樹脂を含浸させた後、含浸ダイから引抜いて冷却することにより、連続繊維のUDシートを得ることができる。
賦形方法にも特に限定はなく、繊維束間へ樹脂を浸透させる際に同時に行っても良く、いったん繊維束間へ樹脂を浸透させた後に改めて賦形しても良い。樹脂含浸と賦形を同時に行う場合には、所望の形状が得られる金型を利用すれば容易に成形体を得ることができる。樹脂含浸と賦形を分けて行う場合にも、所望形状の型枠などを利用すれば比較的容易に賦形することができる。
このように賦形方法を工夫することにより、大型・平面・薄物部材から小型・複雑形状部材まで作製することができる。成形体の形状としては、平板のほかにコルゲート、トラス、ハニカムなどの三次元形態が挙げられる。
繊維成分の繊維束間および繊維束内部への樹脂含浸のコントロールは上記の撚糸、織物、編物構成や熱可塑性樹脂の種類選択に加え、成形条件で適宜調整する。一般に、成形温度や圧力を高めれば、樹脂の溶融粘度が低下するために樹脂の浸透性が増す。温度は、樹脂が結晶性樹脂の場合には融点温度〜融点温度+50℃、樹脂が非晶性樹脂の場合にはガラス転移温度〜融点+50℃の範囲が好ましい。圧力は0.01MPa〜20MPaの範囲、時間は30秒〜1時間程度の範囲が好ましい。
繊維成分と熱可塑性樹脂の組み合わせは、使用する樹脂が結晶性樹脂の場合には、繊維成分の融点は樹脂の融点より10℃以上高いことが好ましい。また、使用する樹脂が非晶性樹脂の場合には、繊維成分の融点は樹脂のガラス転移温度より10℃以上高いことが好ましい。この観点で、エネルギー吸収繊維はポリエステル長繊維またはナイロン長繊維であって、熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド6樹脂、またはポリアミド66樹脂の組み合わせが好ましい。
[サンドイッチ材]
本発明はさらに、上記の複合材料を衝撃吸収材料とし、これと高剛性材で構成されるサンドイッチ材を包含する。サンドイッチ材の構成は、衝撃吸収材料をコア層とし、その両表面を高剛性材で覆う形態でも良いし、高剛性材をコア層とし、これを衝撃吸収材で覆う形態の何れでも良い。衝撃吸収材コア/高剛性材スキンの場合には、強度、剛性、耐衝撃性のバランスが取れた材料となる。また、高剛性材コア/衝撃吸収材スキンの場合には、強度や剛性は前者より劣るが耐衝撃性に優れ、過度な衝撃で材料が破壊された場合にも鋭利な端面が表面に現れにくい安全性が高い材料となる。スキン層とコア層の体積比は、スキン100部に対し、コアが40〜9900部であることが好ましい。より好ましくはスキン100部に対し、コアが100〜1000部である。スキン100部に対するコアの体積が40部より小さくなると、コア層に使用した材料の特性が発現しにくくなることがある。逆に、スキン100部に対するコアの体積が9900部より大きくなると、スキン層に使用した材料の特性が発現しにくくなる。
[高剛性材]
サンドイッチ材で使用する高剛性材は下記式(1)で定義される比弾性(E)が2.5以上の強化繊維を含む繊維強化複合材料であることが好ましい。
E=M/D/9.8 (1)
ここで、Eは比弾性、Mは繊維の弾性率(MPa)、Dは繊維の密度(g/cm)である。
このような強化繊維の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、スチール繊維(ステンレス繊維)、セラミック繊維などの無機繊維、およびアラミド繊維などが挙げられる。この中でも、汎用性や取扱い性からガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維が好ましい。
強化繊維は、複数本の単糸(モノフィラメント)から構成されるマルチフィラメントであることが好ましい。モノフィラメントは生産性が低く、高価なためである。マルチフィラメントを構成する単糸の本数は2本〜100000本が好ましく、50本〜50000本がより好ましい。更には、100本〜30000本がより好ましい。単糸本数が100000本を超えると、生産が困難であると共に、マルチフィラメントとしての繊維の取扱い性が著しく悪くなる。
マルチフィラメントとしての強化繊維の総繊度は100dtex〜100000dtexが好ましく、200dtex〜50000dtexがより好ましい。更には、500dtex〜30000dtexがより好ましい。繊度が100dtexより小さくなると、繊維の生産性に劣るため繊維が高価となることがある。繊度が100000dtexより大きくなると、糸の製造が困難となることがある。
強化繊維を構成する単糸の繊度は0.1〜20dtexであることが好ましく、さらには上限値としては15dtex以下、特には10dtex以下であることが好ましい。また下限値としては0.3dtex以上であることが好ましい。もっとも好ましくは0.5〜5dtexの範囲である。このような範囲にあることにより、本発明の目的を達成しやすくなる。単糸繊度が0.1dtex未満では製糸性に問題が生じる傾向にあり、繊度が大きすぎると補強効果が低下し、サンドイッチ材の物性が低下する傾向にある。
高剛性材を構成する強化繊維の強度は500MPa以上であることが好ましい。さらに好ましくは1000MPa以上である。500MPa未満では、得られるサンドイッチ材の強度が低すぎる傾向にある。
また強化繊維の弾性率は30GPa以上であることが好ましい。さらに好ましくは50GPa以上である。30GPa未満では、得られるサンドイッチ材の剛性が低すぎる傾向にある。
このような物性を有する繊維の製造方法には、特に限定はない。例えば、溶融紡糸して得られる未延伸糸を延伸する方法、原料成分を含む溶液を湿式紡糸する方法、原料となる繊維を焼成、炭化する方法などで目的とする強化繊維を得ることができる。
また、サンドイッチ材および成形品の特性を高める目的で、適切な処理剤で繊維表面を処理しても良い。この場合、繊維の表面に、該繊維100重量部に対して、表面処理剤が0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部付着させたらよい。表面処理剤は、熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜、選定したらよい。
また、高剛性材を構成するマトリックスとしては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド6樹脂、ポリアミド11樹脂、ポリアミド12樹脂、ポリアミド46樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド610樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。この中でも、成形性、生産性、加工性に優れる熱可塑性樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂の中でも塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアリレート樹脂はより好ましく、特に好ましいのは、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド6樹脂、ポリアミド66樹脂である。
高剛性材中において、強化繊維の形態としては、短繊維、長繊維、および織物や編物などの布帛形態が挙げられ、これらはサンドイッチ材または成形体の用途に応じて、適宜使い分ければよい。
また、高剛性材において、強化繊維束内部はマトリックス樹脂が含浸していることが好ましく、樹脂の含浸度は体積比で80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。更に好ましくは95%以上である。繊維束内部への樹脂の含浸度が80%未満であると、サンドイッチ材の強度、剛性共に目標とするレベルに到達しない。
強化繊維束内部への樹脂含浸度の検証は、体積が判明している高剛性材中の繊維成分または樹脂成分の一方を溶解、分解、燃焼などの方法により除去し、処理前後の重量差から算出することにより行う。
高剛性材において、強化繊維とマトリックス樹脂の組成比は、体積比で強化繊維100部に対し、マトリックス樹脂は20部〜900部であることが好ましく、より好ましくは25部〜400部である。
強化繊維100部に対するマトリックス樹脂の体積割合が20部より少なくなると、材料中にボイドが発生しやすくなり、サンドイッチ材の力学的強度が大きく低下する。逆に、900部より多くなると強化繊維の補強効果が十分に発現しなくなる。
高剛性材を上記のような原料、組成、構成とすることにより、サンドイッチ材および成形体に強度と剛性を付与することができる。
高剛性材のマトリックス樹脂と、衝撃吸収材である複合材料のマトリックス樹脂は、必ずしも同一である必要はなく、溶着する樹脂、あるいは相溶する樹脂であれば異なっていても良い。
また、場合によっては高剛性材として、金属、ガラス、およびセラミックスなどの無機材料を用いても良い。
[サンドイッチ材の製造]
サンドイッチ材の製造方法は、予めスキン材とコア材を個別に作製しておいて後で複合化する方法、スキン材とコア材の原料を合わせて一段階で複合化する方法のいずれであっても良い。
例えば、二段階で複合化する方法としては、スキン材とコア材の原料となる強化繊維とマトリックス樹脂をプレス成形機、真空成形機、押出成形機、引抜成形機などに仕込み、それぞれ成形する。この際、高剛性材は繊維束内に樹脂が含浸している方が性能面で好ましいため、より厳しい温度、圧力、時間条件で成形することが多い。その後、比較的温和な条件で成形した衝撃吸収材料とプレス成形機、真空成形機、高周波溶着機などを用いて溶着する。高剛性材と衝撃吸収材料の成形方法が同様で、成形条件が大きくかけ離れていなければ、一段階で成形しても良い。
また、サンドイッチ材の成形方法は用途の形状に合わせて適宜設定してよい。複合材料のマトリックスが熱可塑性樹脂であれば、単純な形態ならばマトリックス樹脂のガラス転移温度以上で賦形可能となることがある。また複雑な形状でも、マトリックス樹脂の融点前後の温度で賦形可能となる。これより、複合化の際に同時に成形しても良いし、いったん平板などの基材を作製した後に再度加温して賦形・成形しても良い。成形方法としては、所望形状の型枠や金型を用いたプレス成形、真空成形などが挙げられ、大型・平面・薄物部材から小型・複雑形状部材まで作製することができる。成形体の形状としては、平板のほかにコルゲート、トラス、ハニカムなどの三次元形態が挙げられる。
強化繊維の繊維束間および繊維束内部への樹脂含浸のコントロールは成形条件で適宜調整する。一般に、成形温度や圧力を高めれば、樹脂の溶融粘度が低下するために樹脂の浸透性が増す。温度は、樹脂が結晶性樹脂の場合には融点温度〜融点温度+50℃、樹脂が非晶性樹脂の場合にはガラス転移温度〜融点+50℃の範囲が好ましい。圧力は0.01MPa〜20MPaの範囲、時間は30秒〜1時間程度の範囲が好ましい。
繊維とマトリックス樹脂の組み合わせは、使用する樹脂が結晶性樹脂の場合には、繊維の融点は樹脂の融点より10℃以上高いことが好ましい。また、使用する樹脂が非晶性樹脂の場合には、繊維の融点は樹脂のガラス転移温度より10℃以上高いことが好ましい。
[成形体]
該衝撃吸収材料、ならびに該衝撃吸収材料と高剛性材を積層してサンドイッチ材とすることで、高強度、高剛性な衝撃吸収材料である成形体を提供することができる。本発明は上記の衝撃吸収材料から得られる成形体を包含する。本発明は上記のサンドイッチ材から得られる成形体を包含する。
[自動車用部品]
該衝撃吸収材料、ならびに該衝撃吸収材料と高剛性材からなるサンドイッチ材は、自動車構造材用部品、自動車外装材用部品、自動車内装材用部品に好ましく用いられる。本発明は上記の衝撃吸収材料、および/またはサンドイッチ材から得られる自動車構造材用部品、自動車外装材用部品、自動車内装材用部品を包含する。自動車構造材用部品としては、例えばクラッシュストラクチャー、フロアパンなどが挙げられる。自動車外装材用部品としては、例えばバンパー、ボンネット、フェンダーなどが挙げられる。自動車内装材用部品としては、例えばインストルメンタルパネル、ドアトリム、センターコンソール、ピラーカバーなどが挙げられる。
該衝撃吸収材料は自動車の衝撃吸収部材、例えばバンパー、ボンネット、フェンダー、フロア、座席、ドアトリム、ピラーカバーなどに用いられる。
該衝撃吸収材料と高剛性材からなるサンドイッチ材は衝撃吸収性に加え、剛性にも優れるため、上記の用途に加え、構造部材、例えばクラッシュストラクチャー、フロアパンなどに用いられる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。
(有機繊維コンポジット)
1)繊維(有機繊維および強化繊維)/樹脂の繊維体積分率測定
1cm〜10cmの試料の重量を秤量する。繊維または樹脂のいずれか一方を溶解、または分解する薬品を使用して溶解成分を抽出する。残渣を洗浄および乾燥後に秤量する。残渣と溶解成分の重量、および繊維と樹脂の比重から、繊維と樹脂の体積分率を算出する。例えば、樹脂がポリプロピレンの場合、加熱したトルエンまたはキシレンを用いることにより、ポリプロピレンのみを溶解することができる。樹脂がポリアミドの場合は、加熱したギ酸によりポリアミドを分解することができる。また、繊維/樹脂の繊維体積分率より、繊維100部に対する、樹脂の体積部を求めることができ、例えば繊維体積分率が50%である場合、樹脂100部に対し、繊維の体積部は100部となる。
2)繊維束間のボイド率測定
試料をマイクロトームで切断し、その断面を顕微鏡観察して繊維束間を2値化処理することによりボイド率を算出した。
3)繊維への樹脂の含浸度評価
複合材料における樹脂の含浸度は、試料から取り出した繊維をピンセットや針などを用いてほぐし、容易に選別できるマルチフィラメント構成単糸の本数から、遊離単糸率を算出する。例えば、250本の単糸から構成される有機繊維の場合、150本の遊離単糸を取り出せるのであれば遊離単糸率は60%となり、樹脂の含浸度は体積分率で残りの40%ということとなる。
4)複合材料の寸法変化
キャビティ寸法350mm×350mmの金型の中央に345mm×345mmに裁断した原料を積載し、市販のホットプレス機(名機製作所製、MHPC)を用いて所定の条件でプレス成形した。得られた1PLY成形体のタテ×ヨコの寸法から面積を算出し、原料面積(345mm×345mm)を100として対比し、複合材料の寸法変化とした。
5)引張試験
サンドイッチ材の引張試験は、JIS K 7165を参考として、A&D社製のテンシロン万能試験機を用いて測定した。試験片の形状はA形試験片とした。チャック間距離は136mm、試験速度は2mm/分とした。衝撃吸収材については、JIS K 7113に準拠して、島津製作所製のオートグラフAG−I型を用いて測定した。試験片の形状は1号形試験片とした。チャック間距離は115mm、試験速度は10mm/分とした。引張方向は共に布帛の経糸方向とした。
6)圧縮試験
A&D社製のテンシロン万能試験機を用い、SACMA SRM1規格に準拠して測定した。試験片の形状は矩形で幅は15mm、長さは80mm、標線間距離は4.8mmとした。試験速度は1mm/分とした。
7)落錘衝撃試験
試料の落錘衝撃試験は、インストロン社製のダイナタップ落錘衝撃試験機9250HV型を用いて測定した。試験片サイズ150mm×100mm、錘重量5.43kg、負荷エネルギー量45Jとした。
[使用原料]
1)ポリエチレンテレフタレート撚糸コード(PET撚糸)
帝人ファイバー社製ポリエチレンテレフタレート繊維P903B 1100dtexを原糸とし、カジテック社製のリング撚糸機を用いてZ方向に275T/mの下撚をかけた(撚り係数3.0)。次に、下撚糸3本を合わせ、S方向に160T/mの上撚をかけて(撚り係数3.0)、実験用の撚糸コードとした。撚糸コード1本の直径は0.5mmであった。
2)炭素繊維撚糸コード(CF撚糸)
東邦テナックス社製HTS40 3K(繊度2000dtex)を原糸とし、カジテック社製のリング撚糸機を用いてZ方向に70T/mの下撚をかけた(撚り係数1.0)。次に、下撚糸2本を合わせ、S方向に50T/mの上撚をかけて(撚り係数1.0)、実験用の撚糸コードとした。撚糸コード1本の直径は0.5mmであった。
3)すだれ織物用緯糸
すだれ織物の緯糸としては帝人ファイバー社のNOBIL 20‘Sを使用した。
4)ポリプロピレンフィルム(PPフィルム)
サン・トックス社製サントックス−CPフィルム、Kグレード、厚み25μm
5)ポリアミド6フィルム(PA6フィルム)
ユニチカ社製エンブレムONフィルム、標準グレード、厚み25μm
6)炭素繊維
高剛性材用の炭素繊維としては、東邦テナックス社製STS40 24K(繊度16000dtex)を使用した。
[実施例1]
レピア織機を用いて、PET撚糸とCF撚糸を構成糸とする熱収縮性改良織物を製織した。組織は平織りとし、経糸密度は10本/10mmとした。糸構成はPET撚糸5本おきにCF撚糸を1本配置した。緯糸も密度と糸構成は経糸と同じとした。得られた織物の目付は686g/mであった。織物の構成の模式図を図1(a)に、織物の構成等について表1に示す。
次に、得られた織物とPA6フィルムを名機製作所製ホットプレスMHPC型を用いて、最高温度240℃、最大圧力0.5MPaで10分間加熱加圧することによりPA6フィルムを溶融し、織物の繊維束間にPA6を浸透させた。その後、加圧した状態で冷却し、熱収縮性改良織物/PA6の1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は30%、繊維束内へのPA6の含浸度は体積分率で45%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。また、1PLY成形体と同様にして、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例2]
実施例1と同様の条件で加工を行い、PET撚糸とCF撚糸を交互に1本ずつ配置した熱収縮性改良織物を製織した。得られた織物の目付は730g/mであった。織物の構成の模式図を図1(b)に、織物の構成等について表1に示す。
次に、得られた織物とPA6フィルムを実施例1と同様の条件で成形し、熱収縮性改良織物/PA6の1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は30%、繊維束内へのPA6の含浸度は体積分率で48%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。また、1PLY成形体と同様にして、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例1と同様の条件で加工を行い、PET撚糸とCF撚糸を交互に5本ずつ配置した熱収縮性改良織物を製織した。得られた織物の目付は730g/mであった。織物の構成の模式図を図1(c)に、織物の構成等について表1に示す。
次に、得られた織物とPA6フィルムを実施例1と同様の条件で成形し、熱収縮性改良織物/PA6の1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は30%、繊維束内へのPA6の含浸度は体積分率で49%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。また、1PLY成形体と同様にして、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例1と同様の条件で加工を行い、CF撚糸/PET撚糸/CF撚糸/PET撚糸/CF撚糸の構成を1単位とし、1単位間に5mmの空隙がある熱収縮性改良織物を製織した。糸構成1単位の糸密度は5本/5mmとした。得られた織物の目付は372g/mであった。織物の構成の模式図を図1(d)に、織物の構成等について表1に示す。
次に、得られた織物とPA6フィルムを実施例1と同様の条件で成形し、熱収縮性改良織物/PA6の1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は30%、繊維束内へのPA6の含浸度は体積分率で45%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。また、1PLY成形体と同様にして、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1と同様の条件で加工を行い、PET撚糸のみで構成される織物を製織した。得られた織物の目付は660g/mであった。織物の構成等について表1に示す。
次に、得られた織物とPA6フィルムを実施例1と同様の条件で成形し、織物/PA6の1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は30%、繊維束内へのPA6の含浸度は体積分率で45%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。また、1PLY成形体と同様にして、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1と同様の条件で加工を行い、CF撚糸のみで構成される織物を製織した。得られた織物の目付は800g/mであった。織物の構成等について表1に示す。
次に、得られた織物とPA6フィルムを実施例1と同様の条件で成形し、織物/PA6の1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は30%、繊維束内へのPA6の含浸度は体積分率で50%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。また、1PLY成形体と同様にして、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例5]
レピア織機を用いて、PET撚糸とCF撚糸を経糸とし、すだれ織物用緯糸を緯糸とする熱収縮性改良すだれ織物を製織した。組織は平織りとし、経糸密度は10本/10mm、緯糸密度は1本/10mmとした。経糸構成はPET撚糸5本おきにCF撚糸を1本配置した。得られた織物の目付は345g/mであった。織物の構成の模式図を図1(e)に、織物の構成等について表3に示す。
次に、得られた織物とPPフィルムを名機製作所製ホットプレスMHPC型を用いて、最高温度200℃、最大圧力0.5MPaで10分間加熱加圧することによりPPフィルムを溶融し、織物の繊維束間にPPを浸透させた。その後、加圧した状態で冷却し、熱収縮性改良すだれ織物/PPの1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は60%、繊維束内へのPPの含浸度は体積分率で43%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。
また、1PLY成形体を0度/90度/90度/0度方向に4PLY積層し、1PLY品と同様にプレス成形して、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表4に示す。
[実施例6]
実施例5と同様の条件で加工を行い、経糸にPET撚糸とCF撚糸を交互に1本ずつ配置した熱収縮性改良すだれ織物を製織した。得られた織物の目付は368g/mであった。織物の構成の模式図を図1(f)に、織物の構成等について表3に示す。
次に、得られた織物とPPフィルムを実施例5と同様の条件で成形し、熱収縮性改良すだれ織物/PPの1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は60%、繊維束内へのPPの含浸度は体積分率で45%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。
また、1PLY成形体を0度/90度/90度/0度方向に4PLY積層し、1PLY品と同様にプレス成形して、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表4に示す。
[実施例7]
実施例5と同様の条件で加工を行い、経糸にPET撚糸とCF撚糸を交互に5本ずつ配置した熱収縮性改良すだれ織物を製織した。得られた織物の目付は368g/mであった。織物の構成の模式図を図1(g)に、織物の構成等について表3に示す。
次に、得られた織物とPPフィルムを実施例5と同様の条件で成形し、熱収縮性改良すだれ織物/PPの1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は60%、繊維束内へのPPの含浸度は体積分率で46%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。
また、1PLY成形体を0度/90度/90度/0度方向に4PLY積層し、1PLY品と同様にプレス成形して、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表4に示す。
[比較例3]
実施例5と同様の条件で加工を行い、PET撚糸のみで構成されるすだれ織物を製織した。得られた織物の目付は333g/mであった。織物の構成等について表3に示す。
次に、得られた織物とPPフィルムを実施例5と同様の条件で成形し、すだれ織物/PPの1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は60%、繊維束内へのPPの含浸度は体積分率で41%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。また、1PLY成形体を0度/90度/90度/0度方向に4PLY積層し、1PLY品と同様にプレス成形して、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表4に示す。
[比較例4]
実施例5と同様の条件で加工を行い、CF撚糸のみで構成されるすだれ織物を製織した。得られた織物の目付は403g/mであった。織物の構成等について表3に示す。
次に、得られた織物とPPフィルムを実施例5と同様の条件で成形し、すだれ織物/PPの1PLY成形体を得た。1PLY成形体の厚みは0.5mm、織物の体積分率は60%、繊維束内へのPPの含浸度は体積分率で45%であった。得られた1PLY成形体から、引張試験片を切り出して評価した。また、1PLY成形体を0度/90度/90度/0度方向に4PLY積層し、1PLY品と同様にプレス成形して、厚みが2.0mmの4PLY成形体も作製した。この4PLY成形体から落錘試験片を切り出して評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 2012251249
Figure 2012251249
Figure 2012251249
Figure 2012251249
比較例対比、本発明の熱収縮性改良織物を用いて成形した実施例1〜7の複合材料は、良好な強度と耐衝撃性を併せ持っていた。また、成形に伴う熱収縮も改善されており、良好な寸法安定性を有していた。
[作製例1]炭素繊維/PA6樹脂 高剛性材の作製
カット長20mmの炭素繊維32gを400mm×400mmのアルミ板に均一な厚さになるよう散布した。この上にPA6フィルムを5枚置き、名機製作所製ホットプレスMHPC型を用いて、最高温度260℃、最大圧力2.0MPaで10分間加熱加圧することによりPA6が部分含浸した炭素繊維等方性材料を得た。次に、この部分含浸等方性材料を3枚重ね、適当なサイズに切り出した後、350mm×350mmの金型を用いて最高温度260℃、最大圧力3.0MPaで20分間加熱加圧することにより、樹脂の含浸度を99%まで高めた炭素繊維の等方性材料を得た。炭素繊維等方性の高剛性材の厚みは0.5mm、繊維の体積分率は30%であった。評価結果を表5に示す。
[作製例2]炭素繊維/PP樹脂 高剛性材の作製
カット長20mmの炭素繊維32gを400mm×400mmのアルミ板に均一な厚さになるよう散布した。この上にPPフィルムを5枚置き、名機製作所製ホットプレスMHPC型を用いて、最高温度200℃、最大圧力2.0MPaで10分間加熱加圧することによりポリプロピレンが部分含浸した炭素繊維等方性材料を得た。次に、この部分含浸等方性材料を3枚重ね、適当なサイズに切り出した後、350mm×350mmの金型を用いて最高温度200℃、最大圧力3.0MPaで20分間加熱加圧することにより、樹脂の含浸度を99%まで高めた炭素繊維の等方性材料を得た。炭素繊維等方性の高剛性材の厚みは0.5mm、繊維の体積分率は30%であった。評価結果を表5に示す。
Figure 2012251249
作製例1と2の高剛性材は、引張試験と圧縮試験の結果、強度と剛性に優れた材料であった。
[実施例8]高剛性材/衝撃吸収材/PA6樹脂 サンドイッチ材の作製
実施例2で得られた衝撃吸収材をコア材とし、作製例1で得られた高剛性材2枚で挟んだものを、350mm×350mmの金型に仕込み、名機製作所製ホットプレスMHPC型を用いて、最高温度240℃、最大圧力0.5MPaで10分間加熱加圧することによりスキン材とコア材の界面を溶着して、高剛性材/衝撃吸収材/PA6樹脂のサンドイッチ材を得た。サンドイッチ材の厚みは3.0mm、コア材の体積分率は67%であった。得られたサンドイッチ材から、コア材の経糸方向を基準として引張試験片と圧縮試験片を切り出して評価した。同様に、サンドイッチ材から落錘試験片も切り出して評価した。評価結果を表6に示す。
[実施例9]高剛性材/衝撃吸収材/PP樹脂 サンドイッチ材の作製
実施例6で得られた衝撃吸収材をコア材とし、作製例2で得られた高剛性材2枚で挟んだものを、350mm×350mmの金型に仕込み、名機製作所製ホットプレスMHPC型を用いて、最高温度200℃、最大圧力0.5MPaで10分間加熱加圧することによりスキン材とコア材の界面を溶着して、高剛性材/衝撃吸収材/ポリプロピレン樹脂のサンドイッチ材を得た。サンドイッチ材の厚みは3.0mm、コア材の体積分率は67%であった。得られたサンドイッチ材から、コア材の経糸方向を基準として引張試験片と圧縮試験片を切り出して評価した。同様に、サンドイッチ材から落錘試験片も切り出して評価した。評価結果を表6に示す。
Figure 2012251249
実施例8と9のサンドイッチ材は強度と剛性に優れているだけでなく、耐衝撃性にも優れた材料であった。

Claims (13)

  1. 融点が200℃以上で引張破断ひずみが10%以上の有機繊維の撚糸コード(繊維A)と、200℃×10分の環境下で放置した際の熱収縮率が1%以下である繊維の撚糸コード(繊維B)とから構成される熱収縮性改良織物。
  2. 繊維Aの100体積部に対する繊維Bの割合が10〜1000体積部である請求項1記載の熱収縮性改良織物。
  3. 繊維Aの融点が250℃以上である請求項1または2のいずれかに記載の熱収縮性改良織物。
  4. 繊維Aがポリエステル繊維またはナイロン繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性改良織物。
  5. ポリエステル繊維がポリアルキレンテレフタレートおよび/またはポリアルキレンナフタレートをポリエステル中の95モル%以上の成分とする請求項4に記載の熱収縮性改良織物。
  6. 繊維Bが炭素繊維、ガラス繊維、およびアラミド繊維からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性改良織物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性改良織物と、熱可塑性樹脂とからなる複合材料。
  8. 繊維Aと繊維Bがマルチフィラメントであり、その繊維束間は実質的に熱可塑性樹脂が含浸している請求項7に記載の複合材料。
  9. 繊維Aの繊維束内部は、実質的に熱可塑性樹脂が未含浸である請求項8に記載の複合材料。
  10. 織物と熱可塑性樹脂の体積比が、織物100部に対し、熱可塑性樹脂が20部〜900部である請求項7〜9のいずれかに記載の複合材料。
  11. 下記式(1)で定義される比弾性(E)が2.5以上の強化繊維を含む繊維強化複合材料からなる高剛性材と、請求項7〜10のいずれかに記載の複合材料とから構成されるサンドイッチ材。
    E=M/D/9.8 (1)
    (Eは比弾性、Mは繊維の弾性率(MPa)、Dは繊維の密度(g/cm))
  12. 高剛性材における強化繊維が炭素繊維、ガラス繊維、およびアラミド繊維からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項11に記載のサンドイッチ材。
  13. 高剛性材をスキン材とし、複合材料をコア材とする請求高11または12のいずれかに記載のサンドイッチ材。
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