以下に、本願の開示する電子装置、基地局装置、通報システム、及び通報制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。例えば、以下の実施例では、電子装置の一例として携帯電話機を挙げて説明するが、これに限らず、通信機能を備えた電子装置であればよい。
図1は、通報システムの一例である緊急通報システムの全体構成及び動作の概要を示す図である。図1に示すように、緊急通報システム500は、基地局300Aと、基地局300Bと、基地局300Cと、携帯電話機400とを備える。本実施例は、気象庁サーバ100から送信される緊急通報信号150を受信したエリアメールセンタ200が、基地局300Aにのみ緊急通報信号150を転送する場合の一例を示す。つまり、本実施例は、基地局300Aのカバーエリアが緊急通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア350として指定され、基地局300Aのカバーエリアに存在する携帯電話機に対して、緊急通報信号150を送信すべき状態であると仮定する。また、本実施例は、基地局300Aのカバーエリアと基地局300Bのカバーエリアとが重複するエリアに携帯電話機400が位置しており、かつ、携帯電話機400の通信対象となる基地局は基地局300Bに設定されているものとする。
基地局300Aは、エリアメールセンタ200から緊急通報信号150を受信したら、基地局300Aに隣接する基地局300B,300Cに緊急通報信号150を転送する。緊急通報信号150には、例えば地震速報などの携帯電話機に通知すべき緊急通報情報と、この緊急通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア情報とが含まれる。なお、基地局300Aは、基地局300A内に格納された位置管理テーブルを参照することにより、隣接する基地局を選択して、選択された基地局に緊急通報信号150を転送する。
ここで、緊急通報信号のフォーマットの一例について説明する。図2は、緊急通報信号のフォーマットの一例を示す図である。図2に示すように、緊急通報信号150は、配信内容152と、配信エリア選択154と、該当位置情報156と、付加情報158とを有する。配信内容152には、緊急通報情報として、「本文(1行目)」、「本文(2行目以降)」、「情報配信者」、及び「携帯電話での動作」が含まれる。
「本文(1行目)」には例えば「地震速報」などのタイトルが入力される。また、「本文(2行目以降)」には例えば「XX地区で地震発生、強い揺れに備えてください」などの内容が入力される。「情報配信者」には、緊急通報信号の発信元を特定する情報が入力される。また、「携帯電話での動作」には、緊急通報情報を携帯電話機のユーザに知らせるために携帯電話機で行う動作処理の内容が入力される。動作処理の内容は、例えば緊急通報情報を携帯電話機の表示部に表示させる、アラーム音を携帯電話機のスピーカから出力させる、携帯電話機のバイブレータを振動させるなどである。
配信エリア選択154には、緊急通報情報を通知する基地局を特定するために、基地局が設置された市の名称、町の名称、基地局の名称が入力される。該当位置情報156には、緊急通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア情報が入力される。
通報エリア情報は、例えば「E1,W1〜E2,W2」のように緯度の範囲と経度の範囲を指定することにより位置範囲を定めることができる。また、通報エリア情報は、緯度の範囲と経度の範囲を指定するだけではなく、例えば、ある緯度経度と、この緯度経度により定まる点を中心とした半径とを指定するなど、様々な指定方法で位置範囲を定めることができる。付加情報158には、例えば「津波に注意してください」、「高台に避難してください」など、緊急通報情報に付随して、携帯電話機のユーザに伝えるべき内容が入力される。
図1の説明に戻って、基地局300Aは、エリアメールセンタ200から緊急通報信号150を受信したら、緊急通報信号150に基づいてショートメッセージ160(例えばCBSメッセージ)を生成する。そして、基地局300Aは、生成したショートメッセージ160を自基地局との通信対象となる携帯電話機にブロードキャストする。
一方、基地局300B,300Cは、基地局300Aから緊急通報信号150を受信したら、緊急通報信号150に基づいてショートメッセージ160を生成して、ショートメッセージ160を自基地局との通信対象となる携帯電話機にブロードキャストする。
ここで、携帯電話機400は基地局300Bとの通信対象に設定されているので、携帯電話機400は基地局300Bからブロードキャストされたショートメッセージ160を受信する。なお、ショートメッセージ160には、例えば地震速報などの、携帯電話機に通知すべき緊急通報情報と、この緊急通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア情報とが含まれるものとする。また、以下の説明では、基地局300A,300B,300Cを特に区別しないときには、基地局300という。本実施例は、基地局300が緊急通報信号150に基づいて生成したショートメッセージ160をブロードキャストする例を挙げるが、これには限られない。例えば、受信した緊急通報信号150が、携帯電話機に対してそのままのフォーマットで送信し得るものである場合は、受信した緊急通報信号150をそのままブロードキャストすることができる。
携帯電話機400は、ショートメッセージ160を受信したら、ショートメッセージ160に含まれる通報エリア情報に自携帯電話機の位置情報が含まれる場合には、携帯電話機400を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりする。
以上のように、本実施例の緊急通報システム500によれば、緊急通報情報を通知すべきエリア内に存在する携帯電話機に適切に緊急通報動作を実行させることができる。すなわち、従来技術では、携帯電話機400が基地局300Aのカバーエリア内に位置しているにも関わらず、通信対象となる基地局が基地局300Bに設定されていたら、携帯電話機400に対して緊急通報情報が通知されなかった。これに対して、本実施例は、基地局300Aが自基地局に隣接する基地局300Bに緊急通報信号150を転送し、基地局300Bが緊急通報信号150に基づくショートメッセージ160をブロードキャストするので、携帯電話機400に緊急通報情報が通知される。また、携帯電話機400は、ショートメッセージ160に含まれる通報エリア情報に自携帯電話機の位置情報が含まれるか否かを判定して、含まれる場合には、携帯電話機400を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりする。したがって、仮に携帯電話機400が基地局300Aのカバーエリア内に位置しない場合には、ショートメッセージ160を受信したとしても、携帯電話機400を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりすることはない。よって、本実施例の緊急通報システム500は、基地局300Aのカバーエリア内に位置する携帯電話機に限って、適切に携帯電話機400を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりすることができる。
次に、携帯電話機400及び基地局300の詳細について説明する。図3は、携帯電話機のハードウェア構成を示す図である。図3に示すように、携帯電話機400は、LCD(Liquid Crystal Display)402、スピーカ404、バイブレータ405、CPU(Central Processing Unit)406、GPS(Global Positioning System)408、メモリ410、及び無線装置412を備える。
LCD402は、文字、画像、地震等の緊急速報などの各種情報を表示する液晶パネルによる出力インターフェースである。スピーカ404は、電気信号を物理振動に変換することにより、地震の緊急速報に関するアラーム、音声案内などの各種の音を出力する出力インターフェースである。バイブレータ405は、例えば携帯電話機400の着信をユーザに伝えたり、地震等の緊急速報をユーザに伝えたりする際に用いられたりする振動器である。バイブレータ405は、例えばモータの軸に重心を偏らせた重りを取り付け、モータを回転させることで携帯電話機400を振動させる。なお、本実施例では、携帯電話機400を振動させる振動器の一例としてバイブレータ405を例に挙げたが、これに限られず、携帯電話機400を振動させるデバイスを用いることができる。
CPU406は、メモリ410に格納された各種プログラムを実行する演算処理部である。CPU406は、メモリ410に格納された各種プログラムを実行することにより、LCD402、スピーカ404、バイブレータ405、GPS408、及び無線装置412を制御する。なお、CPU406で実行されるプログラムは、メモリ410に格納されるだけではなく、CD(Compact Disc)−ROMやメモリ媒体等の頒布できる記憶媒体に記録しておき、記憶媒体から読み出して実行することができる。また、ネットワークを介して接続されたサーバにプログラムを格納し、サーバ上でプログラムが動作するようにしておいて、プログラムの動作に基づくサービスを要求元の携帯電話機400に提供することもできる。
GPS408は、GPS衛星から送信された電波を受信する電波受信機である。メモリ410は、携帯電話機400の各種機能を実行するためのデータ及びプログラムを格納する記憶媒体であり、例えばデータを格納するROM(Read Only Memory)と、プログラムを格納するRAM(Random Access Memory)とを有する。
無線装置412は、アンテナを介して通信相手の基地局との間で音声や文字などの各種データの無線通信を行う。無線装置412は、例えば基地局300から送信されたショートメッセージ160を受信する。
次に、携帯電話機400の機能ブロックについて説明する。図4は、携帯電話機の機能ブロックを示す図である。図4に示すように、携帯電話機400は、表示制御部452と、アラーム鳴動部454と、緊急通報フィルタリング部456と、位置情報取得部458と、メッセージ受信部460と、呼制御部462と、無線制御部464とを備える。表示制御部452、アラーム鳴動部454、緊急通報フィルタリング部456、及び位置情報取得部458は、CPU406がメモリ410から各種プログラムを読み出して実行することによって実現される。また、メッセージ受信部460、呼制御部462、及び無線制御部464は、CPU406がメモリ410から各種プログラムを読み出して実行することによって実現される。
表示制御部452は、LCD402に表示する表示画像に関する制御を実行する。例えば表示制御部452は、基地局300からブロードキャストされたショートメッセージ160を受信して緊急通報情報をLCD402に表示すべき場合には、緊急通報情報をLCD402に表示させる制御を行う。例えば、表示制御部452は、緊急通報フィルタリング部456によって、通報エリア情報に、位置情報取得部458で取得された位置情報が含まれると判定されたら、緊急通報情報をLCD402に表示させる制御を行う。つまり、表示制御部452は、ショートメッセージ160を受信した場合に無条件で緊急通報情報をLCD402に表示させるのではなく、自携帯電話機400が通報エリア情報によって示される範囲内に位置する場合に、緊急通報情報をLCD402に表示させる。
アラーム鳴動部454は、スピーカ404から出力される音の制御及びバイブレータ405の振動の制御を行う。例えば、アラーム鳴動部454は、基地局300からブロードキャストされたショートメッセージ160を受信して緊急通報情報をユーザに伝えるべき場合には、スピーカ404からアラーム音を出力させたり、バイブレータ405を振動させたりする制御を行う。例えば、アラーム鳴動部454は、緊急通報フィルタリング部456によって、通報エリア情報に、位置情報取得部458で取得された位置情報が含まれると判定されたら、スピーカ404からアラーム音を出力させたりバイブレータ405を振動させたりする制御を行う。つまり、アラーム鳴動部454は、ショートメッセージ160を受信した場合に無条件でアラーム鳴動等の処理を行うのではなく、自携帯電話機400が通報エリア情報によって示される範囲内に位置する場合に、アラーム鳴動等の処理を行う。
緊急通報フィルタリング部456は、メッセージ受信部460によって受信されたショートメッセージ160に含まれる通報エリア情報に、位置情報取得部458で取得された位置情報が含まれるか否かを判定する。
位置情報取得部458は、GPS408によって受信されたGPS衛星からの電波に基づいて、携帯電話機400の現在位置を検出する。メッセージ受信部460は、無線制御部464によって受信された各種データの中から、基地局300から送信されたショートメッセージ160を受信する制御を実行する。例えば、メッセージ受信部460は、携帯電話機400に通知すべき緊急通報情報及び該緊急通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア情報を含む緊急通報信号150を自基地局装置に隣接する基地局装置に転送する第1の基地局装置、又は前記緊急通報信号150を転送された第2の基地局装置からブロードキャストされたショートメッセージ160を受信する。呼制御部462は、無線制御部464及び通信対象の基地局300を介して通信相手の携帯電話機との音声通話を制御する。無線制御部464は、無線装置412を制御することによって、音声、文字などの各種データの無線通信の制御を実行する。
次に、基地局300のハードウェア構成について説明する。図5は、基地局のハードウェア構成を示す図である。図5に示すように、基地局300は、メモリ302と、CPU304と、無線装置306とを備える。
メモリ302は、基地局300の各種機能を実行するためのデータ及びプログラムを格納する記憶媒体であり、例えばデータを格納するROMと、プログラムを格納するRAMとを有する。また、メモリ302には、基地局300が自基地局に隣接する基地局を選択する際に参照される位置管理テーブルが格納される。位置管理テーブルの詳細は後述する。
CPU304は、メモリ302に格納された各種プログラムを実行する演算処理部である。CPU304は、メモリ302に格納された各種プログラムを実行することにより、無線装置306を制御する。なお、CPU304で実行されるプログラムは、メモリ302に格納されるだけではなく、CD−ROMやメモリ媒体等の頒布できる記憶媒体に記録しておき、記憶媒体から読み出して実行することができる。また、ネットワークを介して接続されたサーバにプログラムを格納し、サーバ上でプログラムが動作するようにしておいて、プログラムの動作に基づくサービスを要求元の基地局300に提供することもできる。
無線装置306は、アンテナを介して通信相手の基地局や通信相手の携帯電話機との間で音声や文字などの各種データの無線通信を行う。無線装置306は、例えば他の基地局の無線装置との間で緊急通報信号150の送受信を行ったり、自基地局のカバーエリア内に位置する携帯電話機に対してショートメッセージ160をブロードキャストしたりする。
次に、基地局300の機能ブロックについて説明する。図6は、基地局の機能ブロックを示す図である。図6に示すように、基地局300は、無線制御部352、呼制御部354、メッセージ生成部356、メッセージ送信部357、転送制御部358、及び位置管理テーブル360を備える。無線制御部352、呼制御部354、メッセージ生成部356、メッセージ送信部357、及び転送制御部358は、CPU304がメモリ302から各種プログラムを読み出して実行することによって実現される。
無線制御部352は、無線装置306を制御することによって、音声、文字などの各種データの無線通信の制御を実行する。例えば、無線制御部352は、エリアメールセンタ200又は他の基地局300から送信された緊急通報信号150を受信する。呼制御部354は、無線制御部352を介して携帯電話機間の音声通話を制御する。
メッセージ生成部356は、無線制御部352によって受信された緊急通報信号150に基づいてショートメッセージ160を生成する。ショートメッセージ160には、例えば地震速報などの、携帯電話機に通知すべき緊急通報情報と、この緊急通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア情報とが含まれる。メッセージ送信部357は、メッセージ生成部356によって生成されたショートメッセージ160を、自基地局の通信対象に設定されている携帯電話機に対してブロードキャストする。例えば、メッセージ送信部357は、基地局装置から受信した緊急通報信号150の通報エリア情報に自装置の位置情報が含まれるか否かを判定し、通報エリア情報に自装置の位置情報が含まれると判定されたら、緊急通報信号150に応じた処理を実行させる携帯電話機に対して、ショートメッセージ160をブロードキャストする。
転送制御部358は、位置管理テーブル360を参照することにより、自装置に隣接する基地局を選択し、選択された基地局に、無線制御部352で受信された緊急通報信号150を転送する制御を行う。なお、転送制御部358は、エリアメールセンタ200から送信された緊急通報信号150を受信した場合に緊急通報信号150の転送を行い、他の基地局から転送された緊急通報信号150を受信した場合には転送を行わないようにすることもできる。
位置管理テーブル360は、複数の基地局の識別子と、この複数の基地局それぞれが緊急通報信号150を送信すべき位置範囲を示すカバーエリア情報とが対応付けられたテーブルである。位置管理テーブル360は、メモリ302に格納される。
次に、位置管理テーブルの一例について説明する。図7は、位置管理テーブルの一例を示す図である。図7に示すように、位置管理テーブル360は、基地局名362と、カバーエリア364と、備考366とを有する。基地局名362には、各地に点在する複数の基地局を識別する識別子(例えば基地局A,基地局B・・・)が入力される。また、カバーエリア364には、基地局名362に入力された複数の基地局の識別子それぞれに対応して、各基地局が緊急通報信号を送信すべき位置範囲を示すカバーエリア情報が入力される。例えば基地局Aに対応するカバーエリア情報は、「E1,W1〜E2,W2」のように緯度の範囲と経度の範囲を指定することにより定めることができる。また、カバーエリア情報は、緯度の範囲と経度の範囲を指定するだけではなく、例えば、ある緯度経度と、この緯度経度により定まる点を中心とした半径とを指定するなど、様々な指定方法で位置範囲を定めることができる。備考366には、基地局名362に入力された複数の基地局の識別子それぞれに対応して、カバーエリア情報以外に入力すべき付随情報があれば、その付随情報が入力される。
次に、緊急通報システムの処理の流れについて説明する。図8は、緊急通報システムのフローチャートを示す図である。図8は、緊急通報システムの処理の一例として、ある基地局Aのカバーエリア内に位置する携帯電話機に対して緊急通報情報を通知すべき状態であると仮定する。したがって、エリアメールセンタ200から基地局Aに対して緊急通報信号150が送信されるが、基地局Aに隣接する基地局Bにはエリアメールセンタから緊急通報信号150が送信されないものとする。また、基地局Aの通信対象として携帯電話機Aが設定されており、基地局Bの通信対象として携帯電話機Bが設定されているものとする。また、基地局A,Bは、上述の基地局300と同様の構成を有し、携帯電話機A,Bは、上述の携帯電話機400と同様の構成を有するものとする。
まず、エリアメールセンタは、気象庁サーバ100から送信された緊急通報信号150を受信したら、基地局Aに受信した緊急通報信号150を送信する(ステップS101)。基地局Aは、エリアメールセンタ200から緊急通報信号150を受信する(ステップS102)。基地局Aは、位置管理テーブル360を参照して、基地局Aに隣接する基地局Bを選択し、選択された基地局Bに緊急通報信号150を転送する(ステップS103)。なお、基地局Aは、隣接する基地局が複数選択された場合には選択された複数の基地局に対して緊急通報信号150を転送する。
続いて、基地局Aは、受信した緊急通報信号150に基づいて、通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)を含んだショートメッセージ160を生成する(ステップS104)。続いて、基地局Aは、生成されたショートメッセージ160をカバーエリア内の通信対象となる携帯電話機に対してブロードキャストする(ステップS105)。
一方、基地局Bは、基地局Aから転送された緊急通報信号150を受信する(ステップS106)。基地局Bは、受信した緊急通報信号150に基づいて、通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)を含んだショートメッセージ160を生成する(ステップS107)。続いて、基地局Bは、生成されたショートメッセージ160をカバーエリア内の通信対象となる携帯電話機に対してブロードキャストする(ステップS108)。
携帯電話機Aは、基地局Aからショートメッセージ160を受信する(ステップS109)と、位置情報取得部458によって自機器の現在位置を取得する(ステップS110)。続いて、携帯電話機Aは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内であるか否かを緊急通報フィルタリング部456によって判定する(ステップS111)。携帯電話機Aは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内であると判定された場合には(ステップS111,Yes)、アラームを鳴動させる(ステップS112)。例えば、携帯電話機Aは、アラーム音をスピーカ404から出力させるとともに、バイブレータ405を振動させる。一方、携帯電話機Aは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内ではないと判定された場合には(ステップS111,No)、ショートメッセージ160を破棄して(ステップS113)、処理を終了する。
携帯電話機Bは、基地局Bからショートメッセージ160を受信する(ステップS114)と、位置情報取得部458によって自機器の現在位置を取得する(ステップS115)。続いて、携帯電話機Bは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内であるか否かを緊急通報フィルタリング部456によって判定する(ステップS116)。携帯電話機Bは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内であると判定された場合には(ステップS116,Yes)、アラームを鳴動させる(ステップS117)。つまり、携帯電話機Bは、アラーム音をスピーカ404から出力させるとともに、バイブレータ405を振動させる。一方、携帯電話機Bは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内ではないと判定された場合には(ステップS116,No)、ショートメッセージ160を破棄して(ステップS118)、処理を終了する。
なお、上述の説明では、携帯電話機AもしくはBがショートメッセージ160を受信したことに応じて現在位置を取得するように説明したが、これに限られない。例えば、位置情報取得部458は本発明の処理とは別個に適宜位置情報を取得して記録しておき、携帯電話機AもしくはBがショートメッセージ160を受信したことに応じて、その時点で記録されている位置情報のうち最新の位置情報を自機器の現在位置として取得するように構成してもよい。また、アラーム音の出力やバイブレータの振動以外に、緊急通報情報を表示部に表示させることが考えられる。更には、通報エリア情報に対応するエリアを示す情報を表示することも考えられる。緯度や経度、または対応するエリアを表すマークを付した地図等を表示することで、受信した緊急通報情報の対象エリアを利用者が把握しやすくなる。
以上のように、本実施例の緊急通報システム500によれば、緊急通報情報をブロードキャストする基地局Aのカバーエリア内に位置する携帯電話機に、適切に緊急通報動作を実行させることができる。すなわち、本実施例は、基地局Aは自基地局に隣接する基地局Bに緊急通報信号150を転送するとともに緊急通報信号150に基づくショートメッセージ160をブロードキャストする。また、基地局Bは緊急通報信号を受信したら、緊急通報信号150に基づくショートメッセージ160をブロードキャストする。したがって、基地局A,Bの通信対象の携帯電話機A,Bに緊急通報情報が通知される。また、携帯電話機A,Bは、ショートメッセージ160に含まれる通報エリア情報に自携帯電話機の位置情報が含まれるか否かを判定して、含まれる場合には、携帯電話機を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりする。したがって、仮に携帯電話機A,Bが基地局Aのカバーエリア内に位置しない場合には、ショートメッセージ160を受信したとしても、携帯電話機を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりすることはない。その結果、本実施例の緊急通報システム500は、基地局Aのカバーエリア内に位置する携帯電話機に限って、適切に携帯電話機を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりすることができる。
次に、緊急通報システムの第2実施例の全体構成及び動作の概要を説明する。図9は、緊急通報システムの全体構成及び動作の概要を示す図である。図9に示すように、第2実施例の緊急通報システム600は、エリアメールセンタ200と、基地局300Aと、基地局300Bと、携帯電話機400とを備える。本実施例は、気象庁サーバ100から送信される緊急通報信号150をエリアメールセンタ200が受信し、エリアメールセンタ200が、基地局300A及び基地局300Aに隣接する基地局300Bに緊急通報信号150を転送する場合の一例を示す。また、本実施例は、基地局300Aのカバーエリアが緊急通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア350として指定され、基地局300Aのカバーエリアに存在する携帯電話機に対して、緊急通報信号150を送信すべき状態であると仮定する。また、本実施例は、基地局300Aのカバーエリアと基地局300Bのカバーエリアとが重複するエリアに携帯電話機400が位置しており、かつ、携帯電話機400の通信対象となる基地局は基地局300Bに設定されているものとする。
エリアメールセンタ200は、気象庁サーバ100から緊急通報信号150を受信する。緊急通報信号150には、例えば地震速報などの携帯電話機に通知すべき緊急通報情報と、この緊急通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア情報とが含まれる。エリアメールセンタ200は、緊急通報信号150に含まれる通報エリア情報に基づいて、緊急通報信号150を転送すべき基地局は基地局300A及び基地局300Aに隣接する基地局300Bであると判定する。そして、エリアメールセンタ200は、緊急通報信号150を基地局300A及び基地局300Bに転送する。なお、エリアメールセンタ200は、エリアメールセンタ200内に格納された位置管理テーブルを参照することにより、基地局Aに隣接する基地局(基地局300B)を選択して、基地局A及び選択された基地局に緊急通報信号150を転送する。
また、基地局300Aは、エリアメールセンタ200から緊急通報信号150を受信したら、緊急通報信号150に基づいてショートメッセージ160(例えばCBSメッセージ)を生成する。そして、基地局300Aは、生成したショートメッセージ160を自基地局との通信対象となる携帯電話機にブロードキャストする。
同様に、基地局300Bは、エリアメールセンタ200から緊急通報信号150を受信したら、緊急通報信号150に基づいてショートメッセージ160(例えばCBSメッセージ)を生成する。そして、基地局300Bは、生成したショートメッセージ160を自基地局との通信対象となる携帯電話機にブロードキャストする。
ここで、携帯電話機400は基地局300Bとの通信対象に設定されているので、携帯電話機400は基地局300Bからブロードキャストされたショートメッセージ160を受信する。なお、ショートメッセージ160には、例えば地震速報などの、携帯電話機に通知すべき緊急通報情報と、この緊急通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア情報とが含まれるものとする。第2実施例の基地局300は、第1実施例の基地局300と同様のハードウェア構成を備える。また、第2実施例の基地局300は、第1実施例の基地局300の機能ブロックのうち、転送制御部358と位置管理テーブル360を備えない点で第1実施例の基地局300と異なるが、その他の機能ブロックは第1実施例と同様であるので説明を省略する。
携帯電話機400は、ショートメッセージ160を受信したら、ショートメッセージ160に含まれる通報エリア情報に自携帯電話機の位置情報が含まれる場合には、携帯電話機400を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりする。携帯電話機400の構成は、実施例1と同様であるので詳細な説明を省略する。
次に、エリアメールセンタ200の詳細を説明する。図10は、エリアメールセンタのハードウェア構成を示す図である。図10に示すように、エリアメールセンタ200は、メモリ202と、CPU204と、無線装置206とを備える。
メモリ202は、エリアメールセンタ200の各種機能を実行するためのデータ及びプログラムを格納する記憶媒体であり、例えばデータを格納するROMと、プログラムを格納するRAMとを有する。また、メモリ202には、エリアメールセンタ200が、緊急通報信号を転送すべき第1の基地局に隣接する第2の基地局を選択する際に参照される位置管理テーブルが格納される。位置管理テーブルは図7で説明したものと同様であるので説明を省略する。
CPU204は、メモリ202に格納された各種プログラムを実行する演算処理部である。CPU204は、メモリ202に格納された各種プログラムを実行することにより、無線装置206を制御する。なお、CPU204で実行されるプログラムは、メモリ202に格納されるだけではなく、CD−ROMやメモリ媒体等の頒布できる記憶媒体に記録しておき、記憶媒体から読み出して実行することができる。また、ネットワークを介して接続されたサーバにプログラムを格納し、サーバ上でプログラムが動作するようにしておいて、プログラムの動作に基づくサービスを要求元のエリアメールセンタ200に提供することもできる。
無線装置206は、アンテナを介して通信相手の基地局との間で音声や文字などの各種データの無線通信を行う。無線装置206は、例えば緊急通報信号を送信すべき基地局と、この基地局に隣接する基地局に対して緊急通報信号150を送信する。
次に、エリアメールセンタの機能ブロックについて説明する。図11は、エリアメールセンタの機能ブロックを示す図である。図11に示すように、エリアメールセンタ200は、無線制御部252、転送制御部258、及び位置管理テーブル260を備える。無線制御部252及び転送制御部258は、CPU204がメモリ202から各種プログラムを読み出して実行することによって実現される。
無線制御部252は、無線装置206を制御することによって、音声、文字などの各種データの無線通信の制御を実行する。例えば、無線制御部252は、気象庁サーバ100から送信された緊急通報信号150を受信する。
転送制御部258は、位置管理テーブル260を参照することにより、緊急通報信号150を転送すべき第1の基地局、及び第1の基地局に隣接する基地局を選択する。例えば、転送制御部258は、緊急通報信号150に含まれる通報エリア情報と、位置管理テーブル260のカバーエリアとに基づいて、緊急通報信号150を転送すべき第1の基地局、及び第1の基地局に隣接する基地局を選択する。そして、転送制御部258は、選択された基地局に、無線制御部252で受信された緊急通報信号150を転送する制御を行う。
位置管理テーブル260は、複数の基地局の識別子と、この複数の基地局それぞれが緊急通報信号150を送信すべき位置範囲を示すカバーエリア情報とが対応付けられたテーブルである。位置管理テーブル260は、メモリ202に格納される。
次に、第2実施例の緊急通報システムの処理の流れについて説明する。図12は、緊急通報システムのフローチャートを示す図である。図12は、緊急通報システムの処理の一例として、ある基地局Aのカバーエリア内に位置する携帯電話機に対して緊急通報情報を通知すべき状態であると仮定する。また、基地局Aの通信対象として携帯電話機Aが設定されており、基地局Bの通信対象として携帯電話機Bが設定されているものとする。また、携帯電話機A,Bは、上述の携帯電話機400と同様の構成を有するものとする。
まず、エリアメールセンタは、気象庁サーバ100から送信された緊急通報信号150を受信したら、位置管理テーブル260を参照して、基地局Aと、基地局Aに隣接する基地局Bを選択し、基地局Aと基地局Bに対して緊急通報信号150を転送する(ステップS201)。
基地局Aは、エリアメールセンタ200から緊急通報信号150を受信する(ステップS202)。続いて、基地局Aは、受信した緊急通報信号150に基づいて、通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)を含んだショートメッセージ160を生成する(ステップS203)。続いて、基地局Aは、生成されたショートメッセージ160をカバーエリア内の通信対象となる携帯電話機に対してブロードキャストする(ステップS204)。
一方、基地局Bは、エリアメールセンタ200から転送された緊急通報信号150を受信する(ステップS205)。基地局Bは、受信した緊急通報信号150に基づいて、通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)を含んだショートメッセージ160を生成する(ステップS206)。続いて、基地局Bは、生成されたショートメッセージ160をカバーエリア内の通信対象となる携帯電話機に対してブロードキャストする(ステップS207)。
携帯電話機Aは、基地局Aからショートメッセージ160を受信する(ステップS208)と、位置情報取得部458によって自機器の現在位置を取得する(ステップS209)。続いて、携帯電話機Aは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内であるか否かを緊急通報フィルタリング部456によって判定する(ステップS210)。携帯電話機Aは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内であると判定された場合には(ステップS210,Yes)、アラームを鳴動させる(ステップS211)。例えば、携帯電話機Aは、アラーム音をスピーカ404から出力させるとともに、バイブレータ405を振動させる。一方、携帯電話機Aは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内ではないと判定された場合には(ステップS210,No)、ショートメッセージ160を破棄して(ステップS212)、処理を終了する。
携帯電話機Bは、基地局Bからショートメッセージ160を受信する(ステップS215)と、位置情報取得部458によって自機器の現在位置を取得する(ステップS216)。続いて、携帯電話機Bは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内であるか否かを緊急通報フィルタリング部456によって判定する(ステップS217)。携帯電話機Bは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内であると判定された場合には(ステップS217,Yes)、アラームを鳴動させる(ステップS218)。つまり、携帯電話機Bは、アラーム音をスピーカ404から出力させるとともに、バイブレータ405を振動させる。一方、携帯電話機Bは、取得された現在位置が通報エリア情報(E1,W1〜E2,W2)内ではないと判定された場合には(ステップS217,No)、ショートメッセージ160を破棄して(ステップS219)、処理を終了する。
なお、上述の説明では、携帯電話機AもしくはBがショートメッセージ160を受信したことに応じて現在位置を取得するように説明したが、これに限られない。例えば、位置情報取得部458は本発明の処理とは別個に適宜位置情報を取得して記録しておき、携帯電話機AもしくはBがショートメッセージ160を受信したことに応じて、その時点で記録されている位置情報のうち最新の位置情報を自機器の現在位置として取得するように構成してもよい。また、アラーム音の出力やバイブレータの振動以外に、緊急通報情報を表示部に表示させることが考えられる。更には、通報エリア情報に対応するエリアを示す情報を表示することも考えられる。緯度や経度、または対応するエリアを表すマークを付した地図等を表示することで、受信した緊急通報情報の対象エリアを利用者が把握しやすくなる。
以上のように、本実施例の緊急通報システム600によれば、緊急通報情報をブロードキャストする基地局Aのカバーエリア内に位置する携帯電話機に、適切に緊急通報動作を実行させることができる。すなわち、本実施例は、エリアメールセンタ200が、緊急通報信号を転送すべき基地局Aだけではなく、基地局Aに隣接する基地局Bにも緊急通報信号150を転送する。そして、基地局A,Bは緊急通報信号150に基づくショートメッセージ160をブロードキャストする。したがって、基地局A,Bの通信対象の携帯電話機A,Bに緊急通報情報が通知される。また、携帯電話機A,Bは、ショートメッセージ160に含まれる通報エリア情報に自携帯電話機の位置情報が含まれか否かを判定して、含まれる場合には、携帯電話機を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりする。したがって、仮に携帯電話機A,Bが基地局Aのカバーエリア内に位置しない場合には、ショートメッセージ160を受信したとしても、携帯電話機を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりすることはない。その結果、本実施例の緊急通報システムは、基地局Aのカバーエリア内に位置する携帯電話機に限って、適切に携帯電話機を鳴動させたり、緊急通報情報を表示部に表示させたりすることができる。
なお、上記実施例は、主に携帯電話機、基地局、及び緊急通報システムを中心に説明したが、これに限らず、あらかじめ用意された通報制御プログラムをコンピュータで実行することによって、上述の実施例と同様の機能を実現することができる。すなわち、通報制御プログラムは、電子装置に、基地局装置から送信された通報情報及び該通報情報を通知すべき位置範囲を示す通報エリア情報を含む通報信号を受信する処理を実行させる。また、緊急通報制御プログラムは、電子装置に、自装置の位置情報を取得する処理を実行させる。また、緊急通報制御プログラムは、電子装置に、前記受信された通報信号の通報エリア情報に、前記取得された位置情報が含まれるか否かを判定する処理を実行させる。また、緊急通報制御プログラムは、電子装置に、前記通報エリア情報に前記取得された位置情報が含まれると判定されたら、前記通報情報に応じた処理を実行させる。なお、通報制御プログラムは、インターネットなどの通信ネットワークを介してコンピュータに配布することができる。また、通報制御プログラムは、電子装置に設けられたメモリ、ハードディスク、その他のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。