JP2012240031A - 木質系焼却灰からなる重金属捕集材、およびその重金属捕集材を用いて捕集した重金属の回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
溶液中の重金属を捕集するための重金属捕集材3であって、木質系焼却灰2をペレット状に加圧成形することで設けられ、繰り返し再利用可能な重金属捕集材3、および、木質系焼却灰2をペレット状に加圧成形した重金属捕集材3を、重金属を含む溶液中に添加し、その後、当該重金属捕集材3を強酸性溶液中に置くことで、捕集した重金属を溶液中に溶出させるようにした重金属の回収方法である。
【選択図】図1
Description
そこで、木質系バイオマスの焼却灰を有効活用する技術の開発が望まれている。
しかしながら、捕集した重金属を回収する技術、および捕集材を再利用することについては、従来提案されていない(非特許文献2)。
従って、従来、木質系バイオマスを燃焼する際に発生する焼却灰を重金属捕集材として活用する技術は実現されていない。
また、本発明は、『木質系焼却灰をペレット状に加圧成形した重金属捕集材を、重金属を含む溶液中に添加し、その後、当該重金属捕集材を強酸性溶液中に置くことで、捕集した重金属を溶液中に溶出させる重金属の回収方法』であって、特に『捕集した重金属を溶液中に溶出させた後、その残渣物を再度重金属捕集材として使用する重金属の回収方法』を特徴とするものである。
また、前記強酸性溶液のpHは、2以下であることを特徴とする。
従って、本発明は、木質系バイオマスを燃料として利用した際に生じる廃棄物としての焼却灰を有効に活用して実施できるものである。
よって、本発明の重金属捕集材を構成する焼却灰は、極めて安価に入手可能であるばかりか、木質系バイオマスのエネルギー源としての利用促進と、廃棄物の有効活用に繋がるものである。
なお、岐阜県飛騨地方製材所ボイラーから採取した焼却灰について、環境省告示18号に基づき焼却灰の溶出試験を行ったが、全ての重金属において環境基準を下回っており、環境上クリーンで安全なものであることが確かめられた。
ペレット状とは、立方体形状、直方体形状、その他の角柱状、円柱状、角錐形状、半球状、球状、楕円球状、カプセル状、椀状、有底筒状、リング状、管状、星形形状、その他の粒子形状が含まれ、重金属捕集材に安定した形態を維持させうるものであればよい。
なお、焼却灰に水と適宜成形助剤を加え、混練したものを加圧成形することでペレット状にすることが望ましい。
図2に示す結果を得た実験方法。
5mM KNO3 溶液に硝酸鉛を溶かし、1000ppm溶液を準備し、0.1M硝酸あるいは0.1M KOHにてpHを5に調整した。
上記にて得られた溶液40mlを50mlコニカルチューブにとり、焼却灰を0.100g添加したものを、振とう器にて3,5,10,20,30,60,120,180分間振とうした。
所定時間振とう後、0.45μmのメンブレンフィルターにてろ過し、ろ液の鉛濃度をICP−OES(Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectrometry)にて測定した。
5mM KNO3 溶液に硝酸鉛を溶かし、それぞれ100,200,300,500,800,1000,1500,2000,3000ppm溶液を準備し、0.1M硝酸あるいは0.1M KOHにてpHを5に調整した。
上記にて得られた溶液40mlをコニカルチューブにとり、焼却灰を0.100g添加したものを、振とう器にて24時間振とうした。
振とう後、0.45μmのメンブレンフィルターにてろ過し、ろ液の鉛濃度をICP−OESにて測定した。
5mM KNO3 溶液に硝酸鉛を溶かし、1000ppm溶液を準備し、0.1M硝酸あるいは0.1M KOHにてpHをそれぞれ2,3,4,5,6,7に調整した。
上記にて得られた溶液40mlをコニカルチューブにとり、焼却灰を0.100g添加したものを、振とう器にて24時間振とうした。振とう中、0.1M硝酸あるいは0.1M KOHにて適宜所定のpHとなるように調整した。
振とう後、0.45μmのメンブレンフィルターにてろ過し、ろ液の鉛濃度をICP−OESにて測定した。
これは、一般的なアパタイト−リン酸資材(化学試薬などに代表される工業製品)の3〜4倍の数値である。
なお、廃石膏(CaSO4)とリン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)を水溶液中で反応させ、沈殿物を乾燥して得られる重金属捕集効果に優れた安価ではないアパタイトの場合には、800mg/g−乾物捕集できる。
この鉛捕集後の焼却灰の結晶構造は、図3に示すようになっており、Hydrocerussite(Pb3(CO3)2(OH)2)が同定された。
よって、本発明の重金属捕集材による重金属の主要な捕集メカニズムは、Hydrocerussiteの沈着によるものであることが確かめられた。
特に溶液がpH2であっても鉛を捕集できることが確かめられ、これはケイ酸塩鉱物による吸着であると考えられる。
よって、同等の重金属捕集効果をCd、Ni、Zn、Cuといった他の重金属についても得ることが可能である。
濾紙上に残ったサンプル(以下、「鉛捕集焼却灰」という。)を回収・風乾し、鉛の全量分析を行った。
超純水に硝酸を添加し、pH1の溶液を1L準備した。
この溶液に2.5gの鉛捕集焼却灰を添加し、ときどき撹拌しながら、6時間静置した。なお常にpHが1となっていることを確認した。
溶液の一部を0.45μmフィルターにてろ過し、ろ液の鉛濃度をICP−OESにて測定した。溶液量と鉛濃度より鉛捕集焼却灰から溶解した鉛量を算出した。
このように酸不溶解物に鉛を捕集させた後、酸(pH1)で溶解させる操作を3回繰り返した結果を以下の表2に示す。
1)超純水に硝酸を添加し、pH1の溶液を準備し、これに焼却灰を添加後、ときどき撹拌しながら、静置した。
濾紙にてろ過し、超純水で2回洗浄後、濾紙上に残った残渣を回収、風乾した(以下、「酸不溶解物」という。)。
2)5mM KNO3 溶液(鉛:2000ppm,pH5)溶液に固液比が1:400となるよう酸不溶解物を添加し、24時間振とう後、0.45μmフィルターにてろ過した。
フィルター上に残った残渣を回収・風乾した。
ろ液の鉛濃度を測定し、鉛捕集量を求めた(1回目捕集量)。
3)フィルター上に残った残渣を,超純水に硝酸を添加しpH1に調整した溶液に添加した。
4)ときどき撹拌しながら、静置し、0.45μmフィルターにてろ過した。フィルター上に残った残渣を回収・風乾した。
5)フィルター上に残った残渣を用い、上記2),3),4)の操作を更に2回繰り返した
但し、重金属捕集材を再利用する度にその重量が減少するため、重金属捕集材を補充する必要がある。
Cdは、硝酸カドミウム4水和物を用い、50,100,200,300,500,800,1000ppmの溶液で実験を行った(図6参照)。
Niは、硝酸ニッケル6水和物を用い、50,100,200,300,500,800,1000ppmの溶液にて実験した。
Znは、硝酸亜鉛6水和物を用い、75,150,300,450,750,1200,1500ppmの溶液にて実験した。
Cuは、硝酸銅3水和物を用い、75,150,300,450,750,1200,1500ppmの溶液にて実験した。
鉛、カドミウム、ニッケル、亜鉛、銅は、それぞれ硝酸鉛、硝酸カドミウム4水和物、硝酸ニッケル6水和物、硝酸亜鉛6水和物、硝酸銅3水和物を用い、溶液の濃度は、全金属共通で、50,100,200,300,500,800,1000,1500ppmの溶液にて実験した。
この実施例は、杉の間伐材1を燃焼して得られる焼却灰2に水を加えて混練し、加圧成形してペレット状に形成した本発明による重金属捕集材3を用い、掘削土、埋め立て処分場跡地からの排水(溶液)に含まれる重金属を捕集し、重金属を回収する方法について説明する。
このようなペレット状に加工した重金属捕集材3による重金属の捕集効果については、粉末状の焼却灰をそのまま使用する場合よりも単位重量当たりの表面積が低下することによって効率は低下するものの、取扱性が向上することで、重金属捕集材としての再利用可能性および実用性を備えたものとすることができる。
その後、重金属捕集材3を排水処理槽4内から取り出し、pH1の酸性溶液を入れた重金属回収槽5内に入れ、当該酸性溶液中に重金属を溶出させる。
また、酸性溶液中に溶出した重金属については、pH値を上げるpH調節を行うこと、または電気分解などの方法により回収することができる。
さらに、本発明は、重金属捕集材を収納したカートリッジを使用して具体化して実施することで、重金属捕集材の取扱性・交換などを容易とするようにしてもよい。
2 焼却灰
3 重金属捕集材
4 排水処理槽
5 重金属回収槽
Claims (5)
- 溶液中の重金属を捕集するための重金属捕集材であって、木質系焼却灰をペレット状に加圧成形することで設けられ、繰り返し再利用可能であることを特徴とする木質系焼却灰からなる重金属捕集材。
- 前記重金属捕集材は、間伐材を燃焼して得られる焼却灰に水を加えて混練したものをペレット状に加圧成形することで設けられたものであることを特徴とする請求項1に記載の木質系焼却灰からなる重金属捕集材。
- 木質系焼却灰をペレット状に加圧成形した重金属捕集材を、重金属を含む溶液中に添加し、
その後、当該重金属捕集材を強酸性溶液中に置くことで、捕集した重金属を溶液中に溶出させることを特徴とする木質系焼却灰からなる重金属捕集材を用いて捕集した重金属の回収方法。 - 捕集した重金属を溶液中に溶出させた後、その残渣物を再度重金属捕集材として使用することを特徴とする請求項3に記載の木質系焼却灰からなる重金属捕集材を用いて捕集した重金属の回収方法。
- 前記強酸性溶液のpHが2以下であることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれか一項に記載の木質系焼却灰からなる重金属捕集材を用いて捕集した重金属の回収方法。
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