JP2012228263A - 胚性幹細胞のフィーダー非依存性長期培養 - Google Patents

胚性幹細胞のフィーダー非依存性長期培養 Download PDF

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Abstract

【課題】いずれの種類のフィーダー細胞又は条件培地も必要としないヒト胚性幹細胞を培養する方法の提供。
【解決手段】骨形成タンパク質のアンタゴニストを、幹細胞を培養する培地に線維芽細胞増殖因子とともに添加すると、たとえフィーダー細胞又は条件培地が存在しなくても、幹細胞は無限に未分化のままである。そのため、未分化状態でヒト胚性幹細胞を維持するために十分な量で塩、ビタミン、アミノ酸、グルコース、線維芽細胞増殖因子及び骨形成タンパク質アンタゴニストを含む培地中でヒト胚性幹細胞をフィーダー非依存性培養物として培養する。
【選択図】なし

Description

関連出願の相互引用:本出願は、米国仮特許出願60/573,545(2004年5月21日出願)により優先権を主張する。
本発明は、いずれの種類のフィーダー細胞又は条件培地も必要としないヒト胚性幹細胞を培養する方法に関する。
幹細胞は、他の多くの分化細胞タイプに分化する能力を有する細胞と定義される。胚性幹細胞は胚から得られる幹細胞であり、成熟した身体の、全てでないにしてもほとんどの分化した細胞タイプに分化することができる。幹細胞は多能性と称されるが、前記用語は多くの細胞タイプに分化しうるこの能力を説明している。学術界で強い関心を持たれている多能性幹細胞のカテゴリーはヒト胚性幹細胞(略してhES細胞)であり、ヒトの胚を供給源とする胚性幹細胞である。ヒト胚性幹細胞は学術的に極めて興味深い。なぜならば、ヒト胚性幹細胞は培養物として無限に増殖することができ、したがって少なくとも原則的には欠陥のある又は不完全なヒトの組織の代替のために細胞及び組織を供給することができるからである。培養物としてヒト胚性幹細胞が存在することは、人間の健康を促進するために多様な治療的プロトコルで使用される無限量のヒト細胞及び組織の提供の可能性を秘めている。将来、ヒト胚性幹細胞を増殖させ、特定の系列への分化を誘導して、治療のために人間の体に移植しうる分化した細胞又は組織へ発達させることが考えられる。
ヒト胚性幹細胞のもっとも重要な特質の1つは、自己再生することができるその特性である。このことは、hES細胞は増殖して多数の子孫幹細胞を生じることができ、その各々が先祖細胞の完全な潜在能力を持つように見えるということを意味する。換言すれば、親細胞の発生能力及び増殖能力の全てを有するように子孫が更新される。理論的には、hES細胞は無限にかつ大量に再生することができ、人の身体のいかなる細胞型にもなるように誘導できるので、この性質は、多能性と併せてhES細胞を多くの可能な用途のための候補とする特徴である。少なくとも現在の知見によれば未分化のhES細胞のみが無限に自己再生でき、細胞が分化するとすぐに自己再生能という性質は失われるという意味で、この自己再生できるという性質は、未分化であるという性質と密接に結びついているようである。ヒト胚性幹細胞は自発的に分化するので、この細胞を未分化状態に維持するためには培養条件に注意しなければならない。
ヒト胚性幹細胞を作成し未分化の状態で前記細胞を維持するための基礎的な技術は既に記載されている。現存する技術は確かに機能しているが、ヒト胚性幹細胞を培養するために現在用いられているいくつかの方法には制限及び欠点が存在する。ある制限に特に懸念が寄せられている。ほとんどの現存するヒト胚性幹細胞株は、程度の差こそあれ、マウス細胞に直接暴露されているか、又はマウス細胞が以前に培養された培養液に暴露されている。ヒト胚性幹細胞の作成及び培養のための最初の技術では、ヒト胚性幹細胞をその上で培養することができるフィーダー層としてマウス胚性線維芽細胞(MEF)フィーダーを使用することが記載された。線維芽細胞フィーダー層は、未だ完全には理解されていないいくつかのメカニズムを介して機能して、幹細胞が未分化状態を維持することを可能にする。後には、幹細胞を“条件培地”に暴露しても同じ現象が達成されうることが発見された。条件培地とは、以前にMEFのようなフィーダー細胞上で培養された幹細胞培養液に過ぎない。フィーダー細胞が何らかの因子を培地に付与するのであれ、培地から何らかの因子を除去するのであれ、結果はこの条件培地は幹細胞を分化させることなくその培養に使用できるというものである。フィーダー細胞上の直接の増殖または条件培地の使用、というどちらの培養条件も、ウイルスのような1以上の病原体がマウス細胞からヒトES細胞へ移り得るという問題を生じさせる。ヒト胚性幹細胞培養の目的の1つが、最終的には人間の身体に移植することができる組織を作成することであるならば、幹細胞は、別の種の細胞又は別の種の細胞を培養するために用いられた培養液に暴露されたことがないことが極めて望ましい。さらにまた、いずれかの種のフィーダー細胞が必要であるということは幹細胞の培養において不必要な生物学的変量を意味し、これは可能であれば避けるのが最もよい。したがって、線維芽細胞フィーダー層の非存在下及び条件培地の非存在下でヒト胚性幹細胞の増殖及び培養を可能にする培養条件を規定することは、ヒト胚性幹細胞を使用するための技術の持続的開発で極めて重要である。
いくつかの培地配合物はヒトES細胞をしばらくの間未分化の状態で維持することを可能にするが、長期培養ではそのような状態自体をしばしば維持することができない。特に、ヒトES細胞が培養プレートにおいて初期播種培養物が同じ培養プレートにおいてコンフルエントになるまで生長するのを“継代”として定義する。我々は、顕著な分化を生じることなく1代又は2代の継代の間はヒトES細胞の培養を可能とするが、その後の継代によって細胞は次第にまたは急速に分化するいくつかの培地配合物を見いだした。我々は、培地がフィーダー細胞又はフィーダー条件培地の非存在下で分化しないヒトES細胞の無限の増殖を本当に支持するためには、前記培地は、少なくとも5継代の間、実質的に均質で未分化の状態でヒトES細胞の培養を支持することを示さなければならないと考えるに至った。
いずれの種類のフィーダー細胞又は条件培地も必要としないヒト胚性幹細胞を培養する方法を提供する。
本発明はまた、骨形成タンパク質を含む培地中で培養され、ヒト胚性幹細胞が線維芽細胞フィーダー細胞または条件培地を必要とせず未分化状態で無限に培養することができる、ヒト胚性幹細胞のin vitro細胞培養物を提供する。
本発明の目的は、フィーダー細胞の使用(フィーダー細胞上での培養及びフィーダー-条件培地中での培養の両者を含む)を回避する、ヒト胚性幹細胞のための長期培養条件を規定することでもある。
本発明のさらに別の目的は、完全にフィーダー細胞非依存性であるヒト胚性幹細胞のための培養条件を可能なかぎり明確に規定することである。
本発明の他の目的、特徴及び利点は以下の記述から明らかとなろう。
本発明は、未分化状態でヒト胚性幹細胞を維持するために十分な量で塩、ビタミン、アミノ酸、グルコース、線維芽細胞増殖因子及び骨形成タンパク質アンタゴニストを含む培地中でヒト胚性幹細胞を培養する工程を含む、ヒト胚性幹細胞をフィーダー非依存性培養物として培養する方法である。
また、本発明は、 培養容器中に、
ヒト胚性幹細胞、及び、
培地、
を含むin vitro細胞培養物であって、塩、ビタミン、アミノ酸、グルコース、線維芽細胞増殖因子及び骨形成タンパク質シグナリングアンタゴニストを、前記幹細胞をフィーダー非依存性未分化の状態で維持するために十分な量で含み、前記培地はフィーダー細胞を含まずフィーダー細胞に暴露されたこともない、前記in vitro細胞培養物でもある。
本発明は、また、胚性幹細胞をフィーダー非依存性培養物として培養するための培地であって、フィーダー細胞又はフィーダー細胞に暴露された培地に暴露することなく前記培地中で増殖させた幹細胞を未分化の状態で維持するために十分な量で塩、ビタミン、アミノ酸、グルコース、線維芽細胞増殖因子及び骨形成タンパク質アンタゴニストを含む、前記培地でもある。
ヒト胚性幹(ES)細胞培養物は、フィーダー線維芽細胞の存在下又は条件培地中で培養されたときにのみ未分化状態で維持されてきたという知見によって、線維芽細胞が、ES細胞の分化を阻害するように作用する因子を培養液中に放出するという推測が為された。この推測はまた、フィーダー線維芽細胞とともに培養されたとき、げっ歯類ES細胞株が線維芽細胞によって分泌される白血病阻害因子(LIF)に応答して未分化で維持されるという並行する知見にも基づいている。LIFは、げっ歯類ES細胞において自己再生の引き金となるシグナル伝達経路を活性化する。しかしながら、ヒトES細胞はLIFに非応答性であり、実際のところそれらの細胞表面にLIFレセプターを有していないようである。ヒトES細胞で分化を妨げる作用を引き起こすように思われるただ1つの因子すら条件培地からこれまで単離されていないので、我々は新しい仮説を打ち立てた。我々は、むしろ線維芽細胞は条件培地中に存在する分化因子を不活化するという仮説を立てた。
種々の研究グループが、1つ又は2つ以上の特定の系列の細胞で豊富な、ヒトES細胞の子孫細胞培養物への分化を開始させる因子を調べてきた。これらの分化因子の1つは骨形成タンパク質(BMP)として知られているタンパク質因子の範疇に入る。BMPは、分泌シグナル伝達分子である形質転換増殖因子β(TGFβ)スーパーファミリーのメンバーである。それらは、胚発生のほぼ全ての局面で広範囲の役割を演じる。BMP4及び他のBMPファミリーメンバー(例えばBMP-2、-5及び-7)は、BMPII型レセプター、BRIIと結合し、I型レセプターBR1A(ALK3)またはBR1Bを動員補充する。リガンド活性化されると、I型レセプターの細胞内キナーゼドメインはSmad-1、-5及び-8をリン酸化し、続いてこれらは共通のSmadによって導かれて核内に入り標的遺伝子を活性化する。細胞内のBMP、レセプター及びSmadの相対的発現レベルは、BMP-誘導応答の重要な決定因子である。他のシグナル伝達経路の同時刺激もまた、BMP作用の性質を変化させる。典型的な例は、マウスES細胞における同時活性化LIFシグナルによるBMP作用の変化である。すなわち、BMPシグナル単独では非神経性上皮分化が誘発され、一方BMP及びLIFシグナルは一緒になるといずれの系列への分化も阻害する。ノギン(noggin)、グレムリン(gremlin)、コーディン(chordin)、インヒビン(inhibin)、フォリスタチン(follistatin)、ツィスティッドガストルレーション(twisted gastrulation)およびDANファミリーのメンバーその他、のような細胞外BMPアンタゴニストはBMP活性を修飾、減弱、または完全に無効化することができる。他方、いくつかのシグナル伝達経路は細胞内でBMPシグナル伝達を妨害することができる。例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)によって活性化されたMAPKシグナル伝達は、Smadのリンカードメインのリン酸化を介してSmadが核内移行するのを阻害することによりBMPシグナル伝達を阻害することができる。形質転換成長因子β(TGFβ)、ノーダル(Nodal)またはアクチビン(Activin)シグナル伝達系路の活性化は、Smad4の核内移行との競合のような細胞内クロストークを介してBMPシグナル伝達と拮抗し得る。これらの分子はいずれもBMPシグナル伝達と拮抗して本明細書で報告する作用を達成するために使用することができることが予想される。
骨形成タンパク質(BMP)によって刺激された細胞内シグナルのレベルは、条件培地中で増殖させたヒトES細胞では低く、一方、この同じシグナルのレベルは非条件培地中で(かつフィーダー線維芽細胞非存在下で)増殖させたヒトES細胞では高いということもまた観察された。おそらく、培地の馴化の効果は、非条件培地に存在するBMP誘導シグナル作用の阻害によるものであろう。したがって、我々は、BMP活性のアンタゴニストが、ヒトES細胞をフィーダー細胞または条件培地を必要とせずに未分化状態で培養物として培養することを可能とするように作用する可能性を調べた。この可能性は正しいことが見出され、本明細書で報告する。BMPの活性と拮抗させることにより、胚性幹細胞の特徴を全て維持させつつヒトES細胞を無限に培養することが可能となった。
本発明で用いることができる多数のBMPアンタゴニストが存在する。最も強力なそのような公知のアンタゴニストはタンパク質ノギン(noggin)である。BMPのアンタゴニストとして機能することが知られている他のタンパク質には、gremlin(グレムリン)、chordin(コーディン)、inhibin(インヒビン)、follistatin(フォリスタチン)、twisted gastrulation(ツィスティッドガストルレーション)およびDANファミリーのメンバーが含まれる。上記で述べたように、他のタンパク質にはTFGβ及びアクチビン、並びにMAPKのシグナル伝達経路を活性化する他の分子が含まれる。前記アンタゴニストタンパク質はヒト型タンパク質である必要はない。そのタンパク質がES細胞を分化させることなく培養物として維持することを可能にするために有効であることだけが必要である。さらにまた、全てのBMP又は特定のBMPに対して特異的な抗体をアンタゴニストとして用いることもまた可能である。BMPシグナル伝達活性が培地に添加された分子によって阻害されるという点で、BMPアンタゴニストとして選択される個々のタンパク質ということよりも所望の作用が達成されるということの方が重要である。これを達成する最も単純で最も直接的な方法は、ヒトES細胞を培養している培地にBMPアンタゴニストを添加することである。
これまでに同定されたもっとも強力なBMP阻害物質、ノギン(noggin)タンパク質は最初Xenopus(アフリカツメガエル)胚における背方化因子活性に基づいてクローニングされた。マウスnoggin cDNAは推定される19aa残基シグナルペプチドを有する232個のアミノ酸(aa)残基前駆体タンパク質をコードしており、前記シグナルペプチドは切断され、213aa残基の、ホモ二量体糖タンパク質として分泌される成熟タンパク質が生成される。ノギンは高度に保存された分子である。成熟マウスノギンは、ヒト及びXenopusノギンとそれぞれ99%及び83%のaa配列同一性を共有する。ノギンは胚発生時に複雑な発現パターンを示す。成人では、ノギンは中枢神経系及びいくつかの成人の末梢組織(例えば肺、骨格筋及び皮膚)で発現される。ノギンは、ほぼ全てのBMPの生物学的活性と拮抗する、高親和性BMP結合タンパク質であることが示されている。
さらにまた、高レベルの線維芽細胞増殖因子(FGF)もまた条件培地の存在下又は非存在下での幹細胞の培養で有用であることが見出された。FGFの添加が幹細胞培養条件への有用な添加物であるということが、以前に(WO01/66697のように)報告されているが、報告された実験の培養液中のFGFは4ng/mlの濃度の塩基性FGF(bFGF又はFGF2)であった。本明細書では、ほぼ10倍高いレベルのFGFを含む培養がより良好な結果をもたらすことが報告される。本明細書で報告される実験でのbFGFの好ましい濃度は40ng/mlである。他の種々のFGF変種もまたこの目的のために機能し、他のFGFの濃度は、このレベルのbFGF(細胞内BMP活性も阻害することを我々は示した)の有効性と一致するように調節する必要があろう。
BMPアンタゴニストによって引き起こされる作用と培地中の高レベルのFGFによって引き起こされる作用との間には相乗作用的関係が存在するように思われる。換言すれば、高レベルのbFGF(例えば100ng/ml)の使用は、フィーダー細胞又は条件培地の非存在下で未分化状態でhES細胞を培養することに役立つであろうが、BMPアンタゴニスト(例えばノギン)の使用と併用した場合、より低レベル(例えば40ng/ml)のbFGFもそのように機能するであろう。どちらの組合せも培養物を単に“無フィーダー”にするわけではなく、完全に“フィーダー非依存性”にする。“無フィーダー”とは条件培地(フィーダー細胞で馴化した培地)の使用をする培養に用いられる語であるが、完全に“フィーダー非依存性”であるとは、いかなる種類のフィーダー細胞の必要性とも完全に無関係であることを意味する。
下記に提示するデータが示すように、この仮説は正しいことが証明された。ノギン又は他のBMPシグナル伝達阻害因子を添加することによって、さらに線維芽細胞増殖因子(FGF)シグナルを刺激することによって、フィーダー細胞又は条件培地の非存在下で、ヒトES細胞を未分化状態で無限に増殖させることができる。これによって、フィーダー細胞、又はフィーダー細胞に暴露された培地に暴露することなく、ヒトES細胞培養を開始し維持することが可能になり、したがって、明瞭に規定された培地中で、動物細胞非存在下におけるヒトES細胞株の増殖が可能になる。
ヒトES細胞の培養における関心事は、不確定な構成成分及び動物由来の構成成分をES細胞培養条件から可能なかぎり除去することである。これは2つの理由のために実施される。1つの理由は、培養条件を標準化して生物学的材料における一般的な変動を可能なかぎり最小限にするためである。他の目的は、動物起源の材料、細胞、浸出物又は構成成分の使用を回避して、培養系を介する一切の可能なウイルスの種間伝達を回避することである。したがって、動物起源の産物の使用を避ける培養条件を規定することが目的である。
したがって、ヒトES細胞用の規定された培地は、塩、ビタミン、グルコースおよびアミノ酸を含む基本培地から始まる。基本培地は市販されている多数の培地のいずれでもよい。ダルベッコー改変イーグル培地とハムF12培地の組合せ(組合せ(DMEM/F12)として販売されている)が好ましい。この基本培地に、グルタミン、β-メルカプトエタノール及び非必須アミノ酸を添加する。他の可能な添加物には抗酸化剤及び脂質が含まれる。前記培地のタンパク質構成成分は血清代用製品である。アルブミン又は精製アルブミン製品、市販品アルブマックス(AlbuMax(商標))のようなものが機能するであろうが、アルブミン、インスリン及びトランスフェリンで構成された明確に規定されたタンパク質製品が好ましい。ヒトのタンパク質が好ましいが、性状が明らかでない動物の生成物が除外されている限り、そうであることは必須ではない。
本明細書における知見は哺乳動物種の幹細胞間で自己再生の機構に根本的な相違を示していることは述べておくに値する。LIFおよびBMPを培地に添加することを含む、げっ歯類幹細胞の維持を支援する条件はhES細胞を未分化状態で維持するには不十分である。我々はLIFおよびBMP4を補充した無血清培地中で未分化hES細胞を維持することができなかった。BMPはヒトES細胞を栄養芽細胞へ分化させる。実際、本明細書に提示したデータは、BMPシグナル伝達はヒト幹細胞自己再生を促進するために打ち消さなければならないことを教示している。従って、少なくとも、自己再生の細胞機構はマウス細胞系とヒト細胞系の間で非常に異なっていることが明らかである。
材料と方法
培地及び細胞培養:非条件培地(UM)は、80%のDMEM/F12及び20%のKNOCKOUT血清代替物を含み、さらに1mMのL-グルタミン、1%の非必須アミノ酸(いずれもInvitrogenより)及び0.1mMのβ-メルカプトエタノール(Sigma)を補充した。条件培地(CM)は、非条件培地をマウス胚性線維芽細胞とともに一晩インキュベートし、その後培養液を採集することによって調製し、続いてこれに4ng/mlのbFGFを補充し、冷蔵して2週間以内に使用した。hESCは、0.5μg/mlのマウスノギン(R&D Systems)、又は40ng/mlのヒトbFGF(Invitrogen)、又はその両者の存在下若しくは非存在下で、マトリゲル(Matrigel, BD Scientific)で被覆したプレート上、CM又はUM中で培養し、さらに2mg/mlのディスパーゼ(Dispase,Invitrogen)を用いて細胞コロニーを遊離させることによって増やした。Oct4+細胞の数を評価するために、35,000細胞を含む懸濁コロニーを複数のウェルの各培養液に添加し、7日間培養した。細胞を採集し、1日目及び7日目に計数し、7日目のOct4+細胞を蛍光活性化セルソーティング(FACS、下記参照)によって検出した。UM中非-被覆プレート上で細胞は凝集するので、CMまたはUM/bFGF/noggin(UMFN)中で培養しておいたhESCを懸濁することによって胚様体(Eb)を形成させ、振盪機で7日間培養した。続いて前記EB細胞をゼラチン被覆プレートの10%ウシ胎児血清補充DMEM培地に再播種して5日間培養し、続いて採集し逆転写PCR(RT-PCR)分析を実施した。実験を数回繰り返し、統計分析のためには全実験を通してANOVAを用いた。
免疫沈降及びウェスタンブロッティング:15mlのDMEM/F12培地を、T75フラスコ中、放射線照射マウス胚性線維芽細胞(2.12x105/ml)上で一晩馴化した。培養液を採集し、5kD分子量カットオフフィルター(Millipore)で約0.7mlに濃縮し、ヤギ抗マウスノギン及びグレムリン抗体(R&D Systems)(各々5μg)及び陰性コントロールとして10μgのヤギIgGを用いて免疫沈降した。沈降したタンパク質又は細胞溶解物(図2A)を、ウェスタンブロッティングのために4%−20%の直線勾配ポリアクリルアミドTris-HClプレキャストゲル(BioRad)上で電気泳動した。沈降したタンパク質についてはマウスノギンおよびグレムリンに対する抗体を用い、細胞溶解物についてはヒトSmad1/5/8、リン酸化Smad1/5/8(Cell Signaling Technology)、BMP2/4(R&D Systems)およびβ-アクチン(Abcam)に対する抗体を使用した。ブロットをECL置換溶液1および2(Amersham Biosciences)で処理し、化学発光に対してFuji イメージャー中で感光させた。
BMP/Smad-ルシフェラーゼレポーターアッセイ:CM中で培養したhESCにBMP/Smad応答性ホタルルシフェラーゼレポータープラスミドpID120-Luxを、内部コントロールとしてレニラルシフェラーゼを発現させるために微量のpRL-tkプラスミド(Promega)とともにトランスフェクトした。トランスフェクションの1日後に、前記細胞を24時間様々に処理した。細胞溶解物を抽出して、ホタル及びレニラの両ルシフェラーゼ活性を、二重ルシフェラーゼレポーターアッセイ系(Promega)を用いて3010ルミノメーター(BD Biosciences)で調べた。結果は、レニラルシフェラーゼ活性によって正規化したホタルルシフェラーゼ活性として記録した。
定量的PCR及びRT-PCR:全細胞RNAをRNイージーキット(RNeasy kit; Qiagen)で抽出し、さらに製造元の指示書にしたがいRNase非含有DNaseで処理した。1μgのRNAを、インプロム(Improm)-II逆転写システム(Promega)を用いて逆転写した。定量的PCRは、以下の条件下でAB7500リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)でSYBRグリーンQ-PCRマスターミックス(Stratagene)を用いて実施した:95℃で10分;95℃30秒、60℃1分及び72℃1分を40サイクル;及び72℃の伸長を3分。GAPDH転写物を内因性リファレンスとして調べ、標的遺伝子の相対的発現レベルをアプライドバイオシステムズ社の指示書にしたがって算出した。RT-PCRについては、以下の条件を用いた:94℃で3分;94℃20秒、55℃30秒及び72℃1分を種々のサイクル(下記参照)。PCR反応物はゲル上で電気泳動により分離させ、DNAバンドは写真撮影のために紫外光下で可視化させた。プライマー配列及びPCRサイクル数は下記に示されている。
表1.Q-PCRおよびRT-PCRのためのプライマーおよびサイクル数
Figure 2012228263

Figure 2012228263
FACS及び免疫細胞化学検査:種々の培地中で培養したhESCをOct4+細胞を検出するためにFACS分析用に処理した。2μg/mlのマウス抗-ヒトOct4抗体(Santa Cruz Biotechnology)及び1:1000希釈の蛍光イソチオシアネート標識ウサギ抗-マウス二次抗体(Molecular Probes)を用いた。統計分析は、Oct4+細胞の百分率から変換したアークサイン数をもとに実施した。免疫細胞化学検査については、マウス抗-Oct4抗体(0.2μg/ml)、続いて1:1000希釈のアレキサフルオル488(Alexa Fluor 488)標識抗マウスIgG二次抗体(Moleular Probes)を用いた。
培地中のHCGのイムノアッセイ:UMFN(bFGF及びノギンを含む非条件培地)中で複数継代して培養したhESCを、続いてCM+100ng/mlのBMP4中で毎日新しい培養液およびBMP4に交換しながら7日まで培養した。使用済み培養液を3、5及び7日目に採集し、記載したようにアッセイした。
G-バンド染色および蛍光in situハイブリダイゼーション:MFN中で複数代継代して培養したhESCを、G-バンド染色及び蛍光in situハイブリダイゼーション処理した。全ての分散及び固定細胞について、分裂中期の20個の細胞をG-バンドについて解析し注目する染色体上のマーカー遺伝子を検出するプローブを用いて、100-200個の核を蛍光in situハイブリダイゼーションアッセイした。CytoVysion(登録商標)デジタル画像化システム(Applied Imaging)によってキャプチャーした代表的な画像を検討した。
結果
UMはBMP-様分化誘導活性を含む:UMは20%のNOCKOUT(商標)血清代替物(Invitrogen)を含んでおり、これには脂質に富むウシアルブミン成分、ALBUMAX(商標)が含まれる。UMを線維芽細胞上で一晩馴化し、続いて4ng/mlのヒトbFGF を補充してCMを得た。我々は以下の培地中でhESC(H1)を培養した:CM、UM、CMとUMの1:1混合物、又はCMとDMEM/F12との1:1混合物。CM又はCM-DMEM/F12の1:1混合物中の細胞は未分化で維持され、典型的hESC形態によって特徴付けられた。しかしながら、UM又はCM-UMの1:1混合物中の細胞はいずれも48時間以内に急速に分化した。次に、アルブミンがこの分化を生じさせたのかどうかを決定するため、血清代替物を精製ウシ胎児血清アルブミン(16.6g/L、Fisher Scientific)に置換した。この培地はhESCを約7日間の間未分化形態に維持することを可能とした。しかしながら、細胞は増殖速度が低下しており、最終的には混合細胞集団へと分化した。これらの結果は、血清代替物に含まれているアルブミン以外の成分がUM-培養細胞の急速な分化に関与していることを示唆している。CMはこの分化誘導発活性を低下させるが、hESCの自己再生を維持する正の因子もまた提供する。アルブミンに加えて血清代替物はhESC培養のために必要な他の成分も含む。そこでアルブミンではなく血清代替物を以降の全ての実験で用いた。
UM中の分化誘導活性がhESCにおいてBMPシグナル伝達を刺激するか否かを調べるために、リン酸化Smad1(BMPレセプターのすぐ下流のエフェクター)のレベルをウェスタンブロッティングによって評価した。Smad1のリン酸化(本実験で用いた抗体はまた他のBMPエフェクター(Smad5及び8)のリン酸化も検出することができた)はCMで培養したH1細胞では低いが、UM又はCM+BMP4で24時間培養した細胞では高かった。UMにノギンを添加することによってSmad1のリン酸化レベルが低下したが、UMへの40ng/mlのbFGFの添加ではSmad1リン酸化レベルに変化はなかった。BMPシグナル伝達はBMPリガンドの発現を誘導することができ、hESCを含む種々の種由来の細胞において正のフィードバックループを形成する。実際、BMP2/4タンパク質はCMまたはUM+noggin中で培養された細胞に比較して、UM-培養されたhESC中でレベルが上昇していることが検出された。hESCにおいてBMPシグナル伝達を直接刺激するBMPがUMに存在するのか、又はBMP分泌を誘導することによって間接的にBMPシグナル伝達を刺激する他の分化誘導分子が存在するのかは、現時点では不明である。ノギン及びまた別のBMPアンタゴニスト(グレムリン)が両者ともに線維芽細胞によって馴化した培地中に検出された。これらのデータは上昇した、但し抑制可能な、BMPシグナル伝達活性がUM-培養されたhESCに存在し、BMPアゴニストもアンタゴニストのいずれもhESCの線維芽細胞-支援培養物中に存在することを明らかにするものである。
我々はさらに、BMP/Smadに特異的に応答するルシフェラーゼレポータープラスミドを用いることによって、タンパク質因子の存在下又は非存在下で種々の培地で培養したhESC (H14)におけるBMPシグナル伝達を調べた。レポーター活性は、血清代替物又はBMP4の濃度が増加するにつれ増加し、ノギン又はbFGFの濃度が増加するにつれ低下した。500ng/mlのノギン及び40ng/mlのbFGFは相乗効果を示し、CMによって達成されるレベルと同様なレベルまでレポーター活性を低下させた。いくぶん驚いたことには、さらに高いレベルのbFGF (100ng/ml)が、ノギンを添加しないCMで見出されたレベルに匹敵するレベルまでBMPシグナル伝達を低下させた。これらの結果は、血清代替物は実際にBMP-様活性を含み、ノギン及び/又はbFGFは前記活性を低下させることができることを示唆している。
Id1プロモーターはBMP応答性エレメントを含み、さらにId1は以前にヒトESC及びマウスのESCのいずれにおいてもBMP4シグナル伝達の標的であることが示されている。我々は、したがって種々の培地で培養したhESCにおけるBMPシグナル伝達の第二の指標としてId遺伝子の発現を調べた。Id1-4転写物は、CM中で培養した細胞よりもUM又はCM+BMP4中で24時間培養したhESC(H9)において高く、さらにUMにノギンを添加することによってId遺伝子の発現は低下した。
UM/bFGF/ノギンはhESCの未分化増殖を持続させる:0.5μg/mlのノギン及び40ng/mlのbFGFを補充したUMはhESCの未分化増殖を持続させた。H1細胞をCM、UM、UM+bFGF、UM+noggin、またはUM+bFGFおよびノギン中に同数播種し7日間培養した。Oct4+細胞の数は、UM、UM/bFGF又はUM/ノギンの場合よりもCM及びUM/bFGF/ノギンで7日後に顕著に高かった。中間的な数のOct4+細胞がUM/bFGF及びUM/ノギン中で検出され、ノギンとbFGFとの相乗作用が示唆された。UM/bFGF又はUM/ノギンで培養したhESCは複数代増殖させることができたが、分化した細胞がhESCコロニーの中央(UM/bFGFの場合)又はへり(UM/ノギンの場合)に蓄積した。ノギン濃度を0.1μg/mlに低下させ、さらにbFGF濃度を10ng/mlに低下させた場合には、UM/bFGF/ノギンで培養した細胞でも分化の増加が生じた。UM/bFGF/ノギン中のノギンはグレムリン(5μg/ml)又は可溶性BMPレセプターIA(0.5μg/ml)によって置き換えることができ(データは示されていない)、ノギンの作用は実際にBMPによるBMPレセプターの妨害を介していることを支持する。
40日以上の間UM/bFGF/ノギン中で増殖させた3つの異なるhESC株(H1、H9及びH14、それぞれ7、6及び6継代)はOct4について陽性を維持したが、しかしながらその後bFGFとノギンを欠くUMに切り替えた場合分化した。UM/bFGF/ノギン培養hESCは、他のES細胞マーカー(Nanog及びRex1を含む)、及び細胞表面マーカーSSEA4及びTRA-1-60を発現し続けた(データは示されていない)。もっとも良好な培養においても、hESCは小数の割合の自発的に分化した細胞と混ざっていた。例えば、栄養芽細胞マーカーである絨毛膜刺激ホルモンβサブユニット(CGβ)がCMで培養したES細胞において検出でき、このことは栄養芽細胞の
小集団が存在することを示している。しかしながら、このマーカーはUM/bFGF/nogginで培養した細胞においては検出できなかった。神経系前駆体細胞マーカーPax6およびNeuroD1、中胚葉マーカー、ブラキュリ(brachyury)、および内胚葉マーカーHNF3αはCMで培養したhESCおよびUM/bFGF/ノギンで培養したhESCにおいて全て陰性であった。このように、UM/bFGF/ノギン中で増やしたES細胞は、さらなる培養後もES細胞マーカーを維持した。
我々はさらにUM/bFGF/ノギン中で長期培養した後のhESCを調べた。H9細胞をUM/bFGF/ノギン中で32代の間継続的に培養した。UM/bFGF/ノギン中で培養したH1及びH14細胞をそれぞれ20代及び16代継代後に凍結した。その後、H14細胞をUM/bFGF/ノギン中に直接融解し、18代まで培養した。UM/bFGF/ノギン中でそれぞれ27および18代継代培養したH9細胞およびH14細胞の集団倍加時間およびOct4+細胞の割合はCM-培養したコントロールhESCと同様であった。
UM/bFGF/ノギンはhESCの発生能を維持する:CM中において3〜7日間BMP4で処理すると、UM/bFGF/noggin中で10代継代培養しておいたhESCは扁平な上皮に分化し、培地中にヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を分泌した。このことは栄養芽細胞分化を示すものである。UM/bFGF/ノギン中で5代にわたって培養されたH1細胞及びコントロールCM培養細胞に由来する胚様体(EB)は、栄養芽細胞マーカーCGβ及び3つの胚葉のマーカー(Pax6、NeuroD1、brachyury、及びHNF3αを含む)を発現した。EB細胞ではまたES細胞マーカーOct4、Nanog及
びRex1の発現が低下していた。UM/bFGF/ノギン中でそれぞれ7代及び6代培養したH1及びH9
細胞をSCID-ベージュマウスに注射した。複雑な分化を示すテラトーマが接種後5−6週でマウスに発生した。
UM/bFGF/ノギン培養ES細胞は正常な核型である:UM/bFGF/ノギン中で5代培養したH1細胞、33代培養したH9、及び19代培養したH14を標準的なG-バンド染色によって核型検査を実施し、2番および17番染色体を蛍光in situハイブリダイゼーションによって調べた。細胞は正常な核型を保持していた。
明確に規定され、ヒト化された系で培養されたES細胞は未分化状態を維持する:CMをUMFNに置き換えることによってマウス由来のフィーダー細胞の必要性は排除されたが、UMはなおウシ胎児血清由来アルブミン抽出物(完全には規定されていない成分)を含み、さらにプレート被覆材料であるマトリゲルはマウス腫瘍から抽出された可溶化基底膜マトリックスである。したがって、これら動物材料の更なる除去が、ヒトES細胞のためのヒト化培養系を明確に規定するために適切であろうと考えられた。我々は先ず、これまで用いられてきたKNOCKOUT SRの代用となる規定されたヒト化血清代替物を探し、3種のヒトのタンパク質(アルブミン、インスリン及びトランスフェリン)で構成されているシグマの50xシーラルリプレースメント3(SR3)を検討した。CM中のヒトES細胞培養のためのプレートを被覆するためにMatrigelをラミニンで置換できることが示されている。続いて、我々は、ラミニン被覆プレート上、KNOCKOUT SRの代わりに5xSR3、プラス40ng/mlのFGF2、及び0.5μg/mlのノギンを含むUM中でヒトES細胞を培養する系を樹立した。この系においては、ES細胞は多数回の週毎の継代後もES細胞としての実体を維持していた。したがって、この組合せはヒトES細胞に適した、明確に規定されたヒト化培養系を構成する。
これらのデータは、まとめると、骨形成タンパク質アンタゴニスト(例えばノギン)をFGFとともに含む培養条件を使用することによって、フィーダー細胞及び条件培地を避けることができることを示している。前記培地の他の成分は動物産物を避けるように選択することができる。その結果は、ヒト胚性幹細胞の長期間培養および増殖を可能とし、一方それらの細胞の潜在能力の全てを維持させる高度に明確に規定された培地である。

Claims (14)

  1. 未分化状態でヒト多能性幹細胞を維持するために十分な量で塩、ビタミン、アミノ酸、グルコース、線維芽細胞増殖因子及び骨形成タンパク質アンタゴニストを含む培地中でヒト多能性幹細胞を培養する工程を含む、ヒト多能性幹細胞をフィーダー非依存性培養物として培養する方法であって、前記骨形成タンパク質アンタゴニストが、ノギン、グレムリン、コーディン、フォリスタチン、ツィスティッドガストルレーションびDANファミリーメンバーからなる群より選ばれる、前記方法。
  2. 培地が少なくとも4ng/mlの濃度で線維芽細胞増殖因子を含む、請求項1記載の方法。
  3. 形成タンパク質アンタゴニストがノギンである、請求項1または2記載の方法。
  4. 線維芽細胞増殖因子が40ng/mlの濃度のbFGFである、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
  5. 培養容器中に、
    ヒト多能性幹細胞、及び、
    培地、
    を含むin vitro細胞培養物であって、
    塩、ビタミン、アミノ酸、グルコース、線維芽細胞増殖因子及び骨形成タンパク質シグナリングアンタゴニストを、前記幹細胞をフィーダー非依存性未分化の状態で維持するために十分な量で含み、前記培地はフィーダー細胞を含まずフィーダー細胞に暴露されたことがなく、
    前記骨形成タンパク質アンタゴニストが、ノギン、グレムリン、コーディン、フォリスタチン、ツィスティッドガストルレーションびDANファミリーメンバーからなる群より選ばれる、
    前記in vitro細胞培養物。
  6. 骨形成タンパク質シグナル伝達アンタゴニストがノギンである、請求項5記載の細胞培養物。
  7. 培地が、少なくとも4ng/mlの濃度のbFGFとして線維芽細胞増殖因子を含む、請求項5または6記載の細胞培養物。
  8. 培地が、アルブミン、インスリン及びトランスフェリンから成る群から選択されるタンパク質をさらに含む、請求項5〜7のいずれか1項記載の細胞培養物。
  9. タンパク質がヒトのタンパク質である、請求項8記載の細胞培養物。
  10. タンパク質が組換えタンパク質である、請求項8記載の細胞培養物。
  11. 多能性幹細胞をフィーダー非依存性培養物として培養するための培地であって、フィーダー細胞又はフィーダー細胞に暴露された培地に暴露することなく前記培地中で増殖させた幹細胞を未分化の状態で維持するために十分な量で塩、ビタミン、アミノ酸、グルコース、線維芽細胞増殖因子及び骨形成タンパク質アンタゴニストを含み、
    前記骨形成タンパク質アンタゴニストが、ノギン、グレムリン、コーディン、フォリスタチン、ツィスティッドガストルレーションびDANファミリーメンバーからなる群より選ばれる、
    前記培地。
  12. 骨タンパク質アンタゴニストがノギンである、請求項11記載の培地。
  13. アルブミン、インスリン及びトランスフェリンからなる群から選択されるタンパク質をさらに含む、請求項11または12記載の培地。
  14. 線維芽細胞増殖因子が、少なくとも4ng/mlの濃度で存在するbFGFである、請求項11〜13のいずれか1項記載の培地。
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