JP2012226978A - 気密容器及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】第一及び第二のマザー基板1,2間に、所定の領域を囲む枠状の接合材4を複数箇所配置し、この接合材4を局部加熱により順次加熱軟化させて第一及び第二のマザー基板1,2を接合し、第一及び第二のマザー基板1,2を接合材4間で切断して気密容器11を多面取り製造するに際し、第一及び第二のマザー基板1,2の合わせ位置ずれを防止できるようにする。
【解決手段】接合材4をM行×N列(但し、M及びNは3以上の整数)設け、この接合材4を局部加熱により順次加熱軟化させるに際し、最初に加熱軟化させる接合材4を、行方向の両隣と列方向の両隣にそれぞれ隣接する他の接合材4が存在する接合材4とする。
【選択図】図1
【解決手段】接合材4をM行×N列(但し、M及びNは3以上の整数)設け、この接合材4を局部加熱により順次加熱軟化させるに際し、最初に加熱軟化させる接合材4を、行方向の両隣と列方向の両隣にそれぞれ隣接する他の接合材4が存在する接合材4とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、第一の基板と第二の基板を、両者間の隙間の周囲を囲んで内側に密閉空間を規定する接合材で接合した気密容器及びこの気密容器を外囲器とする画像表示装置の製造方法に関する。
従来、有機LEDディスプレイ(OLED)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のフラットパネル型の画像表示装置が知られている。これらの画像表示装置は、互いに対向するガラス板等の二枚の基板を気密接合することで製造される、内部空間が外部空間に対して仕切られた外囲器を備えている。フラットパネル型の画像表示装置の外囲器等の気密容器を製造するには、互いに対向する基板の間に、必要に応じて間隔規定部材及びそれを接合するための局所的な接合材を配置し、周辺部に連続した枠状に接合材を配置して、加熱接合を行う。接合材の加熱方法としては、基板全体を加熱炉によってベークする方法や、局所加熱により接合材周辺を選択的に加熱する方法が知られている。局所加熱は、加熱冷却時間、加熱に要するエネルギー、生産性、容器の熱変形防止、容器内部に配置された機能デバイスの熱劣化防止等の観点から、全体加熱より有利である。特に、局所加熱の手段としてレーザ光が知られている。局所加熱手段による気密容器の製造方法は、内部に機能デバイスを具備しない真空断熱ガラスの製造方法として適用可能であることも知られている。
特許文献1には、気密封止された画像表示装置を多面取りする製造方法として、局所加熱光にレーザー光を使用し、複数箇所に設けたガラス接合材料を溶融して、マザーガラスを接合する方法が開示されている。即ち、隣接する接合材料に対して順番にレーザー光を照射することで、画像表示装置の生産性を向上させられることが開示されている。また、特許文献2にも局所加熱光にレーザー光を使用し、複数箇所に設けたガラス接合材料を溶融してマザーガラスを接合させる方法が開示されている。即ち、マザーガラスを加圧する方法として井桁形状の加圧装置を使用することにより、画像表示装置の生産性を向上させられることが開示されている。
ところで、第一の基板と第二の基板を、両者間の隙間の周囲を囲んで内側に密閉空間を規定する接合材で接合した気密容器の製造に際しては、第一のマザー基板と第二のマザー基板を用い、多面取りすることで製造効率を向上させることが行われている。この多面取りにおいては、第一又は第二のマザー基板の表面に、所定の領域を囲む枠状の接合材を複数箇所配置し、この接合材を挟んで両マザー基板を対向配置し、接合材を局部加熱により順次加熱軟化させて両マザー基板を接合することが行われる。
上記気密容器の製造に際し、単に前記特許文献1又は2の方法を適用したのでは、接合材を加熱軟化させて両マザー基板を接合する際に、第一又は第二のマザー基板の撓み等により両マザー基板の合わせ位置にずれを生じて製造品質上の問題を生じる場合があった。
本発明は、第一及び第二のマザー基板間に複数箇所配置した接合材を局部加熱により順次加熱軟化させて両マザー基板を接合して気密容器を多面取り製造するに際し、第一及び第二のマザー基板の合わせ位置ずれを防止できるようにすることを目的とする。
本発明は、上記目的のために、第一のマザー基板又は第二のマザー基板の表面に、所定の領域を囲む枠状の接合材を複数箇所配置し、該接合材を挟んで前記第一のマザー基板と第二のマザー基板とを対向配置した後、前記接合材を局部加熱により順次加熱軟化させることで、前記第一のマザー基板と第二のマザー基板とを前記接合材で接合する工程を有する気密容器の製造方法において、
前記接合材をM行×N列(但し、M及びNは3以上の整数)設け、前記接合材を局部加熱により順次加熱軟化させるに際し、最初に加熱軟化させる接合材を、行方向の両隣と列方向の両隣にそれぞれ隣接する接合材が存在する接合材とすることを特徴とする気密容器の製造方法を提供するものである。
前記接合材をM行×N列(但し、M及びNは3以上の整数)設け、前記接合材を局部加熱により順次加熱軟化させるに際し、最初に加熱軟化させる接合材を、行方向の両隣と列方向の両隣にそれぞれ隣接する接合材が存在する接合材とすることを特徴とする気密容器の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記気密容器の製造方法で製造された気密容器を外囲器として構成することを特徴とする画像表示装置の製造方法を提供するものでもある。
本発明の気密容器の製造方法によれば、最初に加熱軟化させる接合材の縦方向両隣及び横方向両隣における第一のマザー基板と第二のマザー基板の接触状態はほぼ均一になる。従って、加熱軟化させた接合材を第一のマザー基板と第二のマザー基板で挟み込んである程度圧縮接触させるために第一のマザー基板又は第二のマザー基板が多少撓んでも、この撓みによる位置ずれを生じにくい。その後の他の接合材の加熱軟化時には、最初の接合材の加熱軟化による接合で第一のマザー基板と第二のマザー基板の位置が固定されているので、大きな合わせ位置ずれを生じることなく接合をい行うことができる。
以上のことから、本発明の気密容器の製造方法によれば、第一のマザー基板と第二のマザー基板を接合する際に発生するアライメントずれを低減した品質の高い気密容器を製造することができる。
また、本発明の画像表示装置の製造方法によれば、リアプレートとフェースプレート間のアライメント誤差のない高品質な画像表示装置を容易に製造することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の気密容器は、内部空間が外部雰囲気から気密遮断されることが必要なデバイスを有するFED、OLED、PDP等の画像表示装置の外囲器として適用することができる。また、本発明の気密容器の製造方法は、この外囲器の製造方法として適用することができる。更に、本発明の気密容器及びその製造方法は、画像表示装置の外囲器及びその製造方法だけでなく、対向するガラス等の基板の周縁部に、気密性が要求される接合部を有する気密容器に広く適用することができる。例えば、本発明の気密容器及びその製造方法は、真空断熱ガラス及びその製造方法に適用することができる。
以下、OLEDの外囲器を構成する気密容器を製造する場合を例に本発明を説明する。なお、以下の説明において、特に図示又は記載されていない部分に関しては、当該技術分野における周知技術又は公知技術を適用することができる。また、以下に説明する事項は、あくまでも本発明の実施形態の一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。更に、以下の説明で参照する図面において、同じ符号は同様の構成要素を示す。
図1(e)に示される気密容器11は、OLEDの外囲器を構成するもので、第一の基板1’には、図2に示されるように、TFT回路12、平坦化膜13及びコンタクトホール14と、発光部3を構成する下部電極31、有機EL層32、上部電極33及び保護層34が設けられている。第一の基板1’の発光部3等の設置面側を内側にして、第一の基板1’と第二の基板2’が、両者間に隙間を開けて対向配置されれている。第一の基板1’と第二の基板2’の間には、両者間の隙間の周囲を囲んで内側に発光部3を収容した密閉空間を規定する枠状に設けられた接合材4が挟み込まれている。
上記気密容器11の製造は、図1(a)に示される第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を用いて行われる。第一のマザー基板1及び第二のマザー基板2としては、透明で透光性を有する材料が用いられる。また、局所加熱用の光に対する接合材4の吸収波長域において、これらの部材が良好な波長透過性を有していることが望ましい。具体的には、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、無アルカリガラス等が使用可能である。第一のマザー基板1と第二のマザー基板2はそれぞれ複数の第一の基板1’と第二の基板2’を切り出せる大きさのもので、本例においては9枚の第一の基板1’と第二の基板2’を切り出せる大きさとなっている。第一のマザー基板1と第二のマザー基板2の大きさは、一度に製造する気密容器11の個数や大きさに応じて選択することができる。
第一のマザー基板1には、発光部3が複数箇所は位置されており、第二のマザー基板2には所定の領域を囲む枠状の接合材が複数箇所配置されている。具体的には、発光部3はM行×N列(但し、M及びNは3以上の整数)設けられており、接合材4は、第一のマザー基板1の発光部3の形成面と対向させた時に各発光部3の周囲を囲む位置にやはりM行×N列設けられている。本例においては、発光部3及び接合材4は9行×9列で設けられている。
本例の気密容器11は、OLED用の外囲器として利用するものであることから、接合材4は、発光部3の形状に応じた略長方形の枠状に設けられている。しかし、接合材4の設置形状は、気密容器11の用途に応じて、閉じた環状形状であれば、例えば正方形、長円形等、任意の形状とすることができる。
接合材4としては、加熱軟化又は加熱溶融させて冷却することで接合力を発揮するもので、ガラスフリット、シートフリット、低融点金属等を用いることができる。接合材4は、粘度が負の温度係数(温度依存性)を有し、高温で軟化し、第一のマザー基材1及び第二のマザー基材2よりも軟化点が低いことが好ましい。また、接合材4は、後述するレーザー光6の波長に対して高い吸収性を示すことが好ましい。
接合材4としてガラスフリットを用いる場合、まず、ガラスフリットに適当な液体物質を混合してフリットペーストを調製する。次に、調製したフリットペーストを第二のマザー基板2上に塗布して枠状の薄膜を形成する。フリットペーストの薄膜形成位置は、第一のマザー基板1と対向させた時に発光部3を取り囲む位置である。フリットペーストの塗布方法としては、ディスペンス法、スクリーン印刷法等が挙げられる。次に、フリットペーストからなる薄膜を前焼成し、接合材4とする。ここで接合材4の高さは、好ましくは、前焼成の段階で5μm〜300μmとなるようにすることが好ましい。なお、本例では前焼成時の熱から発光部3を保護するために接合材4を第二のマザー基板2上に設けている。しかし、例えば軟化した低融点金属をディスペンサーで付設して接合材4とし、接合材4の付設時に発光部3を高温に晒さないようにすれば、第一のマザー基板1に接合材を設けることもできる。
次に、図1(b)に示されるように、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2とを、発光部3の設置面と接合材4の設置面とを向き合わせて対向設置する。具体的には、第一のマザー基板1に設けられている複数の発光部3が、第二のマザー基板2上の接合材4で取り囲まれるように、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2との位置合わせを行い、第一のマザー基板1と接合材4とを接触させる。この際、接合材4による接合を確実なものとするために、第二のマザー基板2に圧力を印加して、接合材4を第一のマザー基板1と第二のマザー基板2で挟圧する。挟圧させる方法としては、例えば定盤5の上に第一のマザー基板1を置き、第二のマザー基板2上の全面を柔軟性を有する手段で加圧する方法が知られている。
図1(c)に示されるように、上記の加圧状態で、接合材4にレーザー光6を局部的に照射する。この局部加熱で接合材4を順次加熱軟化させることで、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2とが接合材4により接合される。図3に示されるように、レーザー照射装置7を走査することで、レーザー光6を接合材4の長さ方向に沿って移動させながら接合材4に照射する。レーザー光6は、接合材4及びその近傍を局所的に加熱可能であればよく、光源としては半導体レーザが好適に用いられる。接合材4を局所的に加熱する性能や、第一のマザー基板1や第二のマザー基板2の透過性等の観点から、赤外域に波長を有する加工用半導体レーザが好ましい。本例では第二のマザー基板2側からレーザー光6を照射しているが、第一のマザー基板1が上になるよう定盤5上に置き、第一のマザー基板1側から照射することもできる。
上記局部加熱により、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2で挟圧されている接合材4は軟化し、第一のマザー基板1との対向方向への第二のマザー基板2の撓みと共に押し潰される。第一のマザー基板1と第二のマザー基板2は、接合材4を介して加圧されているため、平面方向に拘束力(摩擦)が生じている。この状態で、最初に第二のマザー基板2の端にある接合材4にレーザー光6を照射し接合すると、第二のマザー基板2は図4(b−1)のように片寄った位置で撓む。そして、拘束されていない端部が第一のマザー基板1の端部より内側へXだけ入り込むような変形を生じる。その後、隣接する接合材4に順次レーザー光6を照射して加熱軟化させると、第二のマザー基板2の撓み位置が順次移動し、図4(b−2)に示されるように、第二のマザー基板2の反対側の端部が第一のマザー基板1の端部より外側へXだけ突出する。即ち、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2の間にXの位置ずれを生じる。
一方、最初に加熱軟化させる接合材4を、行方向の両隣と列方向の両隣にそれぞれ隣接する接合材4が存在する接合材4、即ち四方が等しく拘束された領域の接合材4とする。この接合材4の加熱軟化に伴う第二のマザー基板2の撓みによる変形は、図4(a−1)に示されるように、四方に均等に生じる。つまり、第二のマザー基板2の周縁が第一のマザー基板1の周縁より内側へYだけ入り込むような変形を生じるが、四方に均等であることで、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2の水平方向の相対的な位置ずれは生じない。そして、総ての接合材4の加熱軟化が完了して第二のマザー基板2の撓みが解消されると、図4(a−2)に示されるようにYも解消される。即ち、接合材4がレーザー光6により軟化し、第二のマザー基板2が撓んでも、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2との間には平面方向に位置ずれが生じ難く、得られる気密容器11の品質低下を回避できる。
最初に加熱軟化させる接合材4は、それを設けた第一又は第二のマザー基板1,2の中央部に位置する接合材4が好ましい。中央部に位置する接合材4とは、M行×N列で配置された接合材4が奇数行奇数列の場合は、(M+1)÷2行目かつ(N+1)÷2列目の接合材4をいう。偶数行偶数列の場合は、M÷2行又はM÷2+1行目かつN÷2列又はN÷2+1列目の接合材4をいう。奇数行偶数列の場合は、(M+1)÷2行目かつN÷2列又はN÷2+1列目の接合材4をいい、偶数数行奇数列M÷2行又はM÷2+1行目かつ(N+1)÷2列目の接合材4をいう。また、最初に接合する接合材4から、第一又は第二のマザー基板1,2の端部側に配置した順次外側の接合材4に向けて加熱軟化させて接合していくことで、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2間の位置ずれをより防止しやすくなる。その順番は、図5(a)に示されるような内側から外側への放射方向順でも、図5(b)に示されるような内側から外側への渦巻方向順でもよい。
総ての接合材4の加熱軟化による接合が完了すると、図1(d)に示されるように、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2と接合材4によって、複数の気密容器11の集合体が構成される。第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を接合材4間で切り離すことによって、図1(e)に示される気密容器11が得られる。本例の気密容器11はOLED用の外囲器を構成しており、以上の手順によってOLEDを製造することができる。
なお、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を圧接する際に、図6に示されるような井桁形状の加圧装置15を用いることができる。井桁形状の加圧装置15によれば、レーザー光6の照射を妨げることなく加圧しやすい。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示されるように、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2の気密接合を行い、3行×3列の個別の気密容器11毎に切断することによって、アクティブマトリックス型のOLEDを製造した。
図1に示されるように、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2の気密接合を行い、3行×3列の個別の気密容器11毎に切断することによって、アクティブマトリックス型のOLEDを製造した。
第一のマザー基板1、第二のマザー基板2として0.7mm厚の旭硝子株式会社製「AN100」を用意し、外形570mm×440mm×0.7mmに切り出した。次に、有機溶媒洗浄、純水リンス及びUV−オゾン洗浄によって、第一のマザー基板1及び第二のマザー基板2の表面を脱脂した。
第一のマザー基板1には図2に示されるTFT回路12、平坦化膜13及びコンタクトホール14を設けた。次に、発光部3を形成した。
本実施例では、接合材4としてガラスフリットを用いた。ガラスフリットとしては、熱膨張係数α=45×10-7/℃、軟化点348℃のP2O5系鉛非含有ガラスフリットを母材とし、バインダーとして有機物を分散混合したペーストを用いた。このガラスフリットは、粘度が負の温度係数(温度依存性)を有している。
上記ペーストを、第二のマザー基板2上にスクリーン印刷で枠形状に付設した。ペーストで形成した枠の大きさは、幅1mm、厚さ100μm、150mm×110mmの寸法で、第二のマザー基板2上に3行×3列の9箇所形成した。ペーストで形成した各枠間の間隔は40mmとした。その後、有機物をバーンアウトするため460℃で加熱、焼成した。
次に、接合材4が形成された第二のマザー基板2を第一のマザー基板1に対してアライメントしながら、接合材4が第一のマザー基板1の発光部3を備えた面と接触するように、これらの部材を仮組みした。その後、接合材4への加圧力を均一化するために、定盤5上に第一のマザー基板1を設置し、第二のマザー基板2上から、不図示の加圧装置によって第二のマザー基板2の全面を加圧6した。このようにして、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2とを接合材4を介して接触させた〔図1(b)〕。
上記第一のマザー基板1と第二のマザー基板2と接合材4とを備えた仮組み構造物に、局所加熱光としてレーザー光6を照射した。本実施例においては、加工用半導体レーザ装置を1個用意した。レーザー光6はいずれも、第二のマザー基板2に対して垂直方向に光軸を設定した。レーザー照射装置7は、レーザ出射口と第二のマザー基板2との距離が8cmとなるように配置した。
本実施例におけるレーザー光6の照射において、最初に、図3に示されるように、第二のマザー基板2中央に配置されている枠状の接合材4に照射した。レーザー光6の照射条件は、波長980nm、レーザパワー40W、有効ビーム径2.0mmとし、図3に示される走査方向Dに10mm/sの速度で走査した。レーザー光6は、接合材4を含む被照射物は固定とし、レーザー照射装置7を接合材4の長さ方向に移動させて照射した。なお、レーザパワーは、レーザー照射装置7から出射した全光束を積分した強度値として規定し、有効ビーム径は、レーザー光6の強度がピーク強度のe−2倍以上となる範囲として規定した。
第一のマザー基板1と第二のマザー基板2で挟圧されている接合材4は、粘度が負の温度係数(温度依存性)を有しているため、レーザー光6により加熱されると軟化し、第二のマザー基板2の撓みと共に厚み80μmまで20μm程押し潰された。この時の第二のマザー基板2の撓みにより、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2間に平面方向の位置ずれが発生した。しかし、レーザー光6の照射により軟化した枠状の接合材4は、接合材4が設けられた第二のマザー基板2の中央部にある。このため、第二のマザー基板2の撓みは、図4(a−1)に示すように、中央部の接合材4を中心にした均等なものであった。続いて、最初に接合した接合材4の周辺にある未接合の接合材4にレーザー光6を照射して接合させた。接合完了時には第一のマザー基板1と第二のマザー基板2間の位置ずれは極めて小さいものであった。
次に、形成した気密容器11を破損しないように、第一のマザー基板1及び第二のマザー基板2を接合材4の間で切断し、9セットの気密容器11に切り分けた。切断は、第一のマザー基板1及び第二のマザー基板2の所定位置をガラス切りで加傷した後、外力を加え、第一のマザー基板1及び第二のマザー基板2を加傷部から割ることで行った。
以上のようにして気密容器11を製造し、更に通常の方法に従って駆動回路等を実装し、気密容器11を外囲器として備えたOLEDを製造した。得られたOLEDを動作させたところ、画質異常のない良好な表示が長時間安定して維持された。また、接合部がOLEDに適用可能な程度の強度と安定した気密性とを確保していることが確認された。
<実施例2>
実施例1と同様に、第一のマザー基板1、第二のマザー基板2を準備した。本実施例では、第一のマザー基板1上に発光部3を5行×5列の25箇所形成し、第二のマザー基板2上に枠状の接合材4を5行×5列の25箇所形成した。接合材4の幅、高さは、実施例1と同じである。
実施例1と同様に、第一のマザー基板1、第二のマザー基板2を準備した。本実施例では、第一のマザー基板1上に発光部3を5行×5列の25箇所形成し、第二のマザー基板2上に枠状の接合材4を5行×5列の25箇所形成した。接合材4の幅、高さは、実施例1と同じである。
実施例1と同様に、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を対向配置して全面を加圧した。この状態で、3行かつ3列目の枠状の接合材4にレーザー光6を照射して第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を接合した。3行かつ3列目の枠状の接合材4は、実施例1と同様に、厚み80μmまで20μm程押し潰された。第二のマザー基板2は、3行目かつ3列目の接合材4を中心に撓んだが、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2の水平方向の相対的な位置ずれは生じなかった。その後、図5(a)の矢印番号の順番で接合材4にレーザー光6を照射して、残りの接合材4による第一のマザー基板1と第二のマザー基板2の接合を行った。その結果、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2のアライメントずれは、最大で2μmに抑えることができた。以上のように、接合材4をバランス良く接合していくことで、5列×5行の多面取りやそれ以上の多面取りにおいてもアライメントずれの無いOLEDを製作することができることが分かった。
<実施例3>
実施例2と同様に、第一のマザー基板1、第二のマザー基板2を準備した後に、対向配置して加圧した。この状態で、3列目かつ3行目の接合材4にレーザー光6を照射して、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を接合した。次に、図5(b)の矢印番号の順番で接合材4にレーザー光6を照射して、残りの接合材4による第一のマザー基板1と第二のマザー基板2の接合を行った。その結果、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2のアライメントずれは、最大で3μmと実施例2に比べると悪化したが、OLEDの品質上においては何ら問題の無い精度とすることができた。また、本実施例のように内側から外側への渦巻方向順に接合材4による接合を進めることで、レーザー光6の照射工程のタクトを短縮することができた。
実施例2と同様に、第一のマザー基板1、第二のマザー基板2を準備した後に、対向配置して加圧した。この状態で、3列目かつ3行目の接合材4にレーザー光6を照射して、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を接合した。次に、図5(b)の矢印番号の順番で接合材4にレーザー光6を照射して、残りの接合材4による第一のマザー基板1と第二のマザー基板2の接合を行った。その結果、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2のアライメントずれは、最大で3μmと実施例2に比べると悪化したが、OLEDの品質上においては何ら問題の無い精度とすることができた。また、本実施例のように内側から外側への渦巻方向順に接合材4による接合を進めることで、レーザー光6の照射工程のタクトを短縮することができた。
<実施例4>
実施例2と同様に、第一のマザー基板1、第二のマザー基板2を準備した。次に、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を対向配置させて、図6に示されるような井桁形状の加圧装置15を使い、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を加圧した。次に、井桁状の加圧装置15の隙間に位置する3行目かつ3列目の接合材4にレーザー光6を照射して第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を接合した。その後、井桁状の加圧装置15を移動させた後に、隣の接合材4(3行目かつ2列目)にレーザー光6を照射した。この様に井桁状の加圧装置15を移動させながらレーザー光6の照射を行うことで、井桁状の加圧装置15を使用した場合でもアライメントずれの無い高品質なOLEDを製作することができた。
実施例2と同様に、第一のマザー基板1、第二のマザー基板2を準備した。次に、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を対向配置させて、図6に示されるような井桁形状の加圧装置15を使い、第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を加圧した。次に、井桁状の加圧装置15の隙間に位置する3行目かつ3列目の接合材4にレーザー光6を照射して第一のマザー基板1と第二のマザー基板2を接合した。その後、井桁状の加圧装置15を移動させた後に、隣の接合材4(3行目かつ2列目)にレーザー光6を照射した。この様に井桁状の加圧装置15を移動させながらレーザー光6の照射を行うことで、井桁状の加圧装置15を使用した場合でもアライメントずれの無い高品質なOLEDを製作することができた。
1:第一のマザー基板、2:第二のマザー基板、1’:第一の基板、2’:第二の基板、3:発光部、4:接合材、5:定盤、6:レーザー光、7:レーザ照射装置、11:気密容器、12:TFT回路、13:平坦化膜、14:コンタクトホール、15:井桁形状の加圧装置、31:下部電極、32:有機EL層、33:上部電極、34:保護層
Claims (4)
- 第一のマザー基板又は第二のマザー基板の表面に、所定の領域を囲む枠状の接合材を複数箇所配置し、該接合材を挟んで前記第一のマザー基板と第二のマザー基板とを対向配置した後、前記接合材を局部加熱により順次加熱軟化させることで、前記第一のマザー基板と第二のマザー基板とを前記接合材で接合する工程を有する気密容器の製造方法において、
前記接合材をM行×N列(但し、M及びNは3以上の整数)設け、前記接合材を局部加熱により順次加熱軟化させるに際し、最初に加熱軟化させる接合材を、行方向の両隣と列方向の両隣にそれぞれ隣接する接合材が存在する接合材とすることを特徴とする気密容器の製造方法。 - 最初に加熱軟化させる接合材を中央部に位置する接合材とし、中央部の接合材から順次外側の接合材を加熱軟化させることを特徴とする請求項1に記載の気密容器の製造方法。
- 局部加熱を、レーザー光の照射で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の気密容器の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれか一項の気密容器の製造方法で製造された気密容器を外囲器として構成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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-
2011
- 2011-04-20 JP JP2011093616A patent/JP2012226978A/ja not_active Withdrawn
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